(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】粉末化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/25 20060101AFI20241220BHJP
A61K 8/89 20060101ALI20241220BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20241220BHJP
【FI】
A61K8/25
A61K8/89
A61Q19/00
(21)【出願番号】P 2020187774
(22)【出願日】2020-11-11
【審査請求日】2023-09-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100187159
【氏名又は名称】前川 英明
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100206265
【氏名又は名称】遠藤 逸子
(72)【発明者】
【氏名】有本 晃佑
(72)【発明者】
【氏名】胡 亜萍
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 由樹
【審査官】井上 莉子
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-219426(JP,A)
【文献】特開昭55-160711(JP,A)
【文献】特開昭57-098205(JP,A)
【文献】特開平06-107519(JP,A)
【文献】特開2009-167181(JP,A)
【文献】国際公開第2010/114125(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0034281(US,A1)
【文献】特開2008-044883(JP,A)
【文献】米国特許第06461595(US,B1)
【文献】米国特許第05082660(US,A)
【文献】特開平10-165527(JP,A)
【文献】特開2018-172804(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61Q
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスク着用時に少なくとも該マスクと触れる部分に使用する粉末化粧料であって、
(A)多孔質球状粉末と、
(B)前記(A)多孔質球状粉末と形状および/または粒子径の異なる粉末と、
を含み、
前記(A)多孔質球状粉末が多孔質球状シリカであり、化粧料全量に対し前記(A)多孔質球状シリカを50~99質量%含み、
前記粉末化粧料の吸水量が100~180ml/100gである粉末化粧料。
【請求項2】
化粧料全量に対し前記(A)多孔質球状シリカを
65~
95質量%含む請求項1記載の粉末化粧料。
【請求項3】
前記(A)多孔質球状シリカに対する前記(B)粉末の質量比が0.03~0.3である請求項
1または2記載の粉末化粧料。
【請求項4】
前記(B)粉末が、板状粉末または球状シリコーン樹脂粉末である請求項1~
3いずれか1項記載の粉末化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスク着用時に少なくともマスクと触れる部分に適用する粉末化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
メーキャップの仕上げには、油分配合量の少ないフェイスパウダーを用いるのが一般的である。フェイスパウダーは皮脂や汗を吸収することから、ファンデーションの持ちをよくし化粧くずれを防ぐことができ、パウダーが光を拡散して肌を立体的に見せられるといった美的効果もある。また、アイシャドーのよれやチークのムラも、フェイスパウダーを丁寧につけることで解決することもある。
【0003】
化粧くずれや化粧料の二次付着を防止できる仕上げ用の化粧料として、特許文献1には微細セルロース繊維と皮膜形成能を持つ高分子とを含有する仕上げ用化粧料が記載されている。この化粧料は、スプレーやミストで噴霧した直後にソフトな皮膜を形成してファンデーション等のメーキャップを覆い、化粧くずれや二次付着を抑制することができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来より、細菌やウイルス等の感染予防や、気管支炎、喘息、アレルギー性疾患等の原因となる花粉、ハウスダスト等を遮断する目的で、また寒さ抑制等の観点からマスクを使用する機会が増えている。メイクをしてマスクを使用すると、マスクにメイクが付着して化粧くずれが起こりやすいという問題がある。また、マスクと肌との擦れにより肌への刺激が生じるという問題がある。特に近年、感染予防の観点から季節にかかわらずマスクを使用する機会が増えており、マスク着用に起因する化粧くずれおよび肌刺激を防ぎたいという要求は高い。
【0006】
本発明者らが鋭意検討を行ったところ、マスク着用時に起因する化粧くずれおよび肌刺激はマスクへの二次付着やマスクと肌との擦れのみならず、マスクと肌の間の隙間や境目で肌が蒸れることによりメイクが落ちやすくなったり、マスク内が蒸れることで肌刺激が助長されており、マスク内にこもる湿度の高さにも一因があることがわかった。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、マスク着用時に起因する化粧くずれおよび肌刺激を抑制することが可能な粉末化粧料を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の粉末化粧料は、マスク着用時に少なくともマスクと触れる部分に使用する粉末化粧料であって、
(A)多孔質球状粉末と、
(B)(A)多孔質球状粉末と形状および/または粒子径の異なる粉末と、
を含み、
粉末化粧料の吸水量が100~180ml/100gである。
【0008】
(A)多孔質球状粉末は多孔質球状シリカであることが好ましい。
【0009】
化粧料全量に対し(A)多孔質球状シリカを50~99質量%含むことが好ましい。
【0010】
(A)多孔質球状シリカに対する(B)粉末の質量比は0.03~0.3であることが好ましい。
【0011】
(B)粉末は、板状粉末または球状シリコーン樹脂粉末であることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の粉末化粧料は、マスク着用時に少なくともマスクと触れる部分に使用する粉末化粧料であって、
(A)多孔質球状粉末と、
(B)(A)多孔質球状粉末と形状および/または粒子径の異なる粉末と、
を含み、
粉末化粧料の吸水量が100~180ml/100gであるので、マスク着用に起因する化粧くずれおよび肌刺激を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の粉末化粧料について詳細に説明する。
本発明の粉末化粧料は、マスク着用時に少なくともマスクと触れる部分に使用する粉末化粧料であって、
(A)多孔質球状粉末と、
(B)(A)多孔質球状粉末と形状および/または粒子径の異なる粉末と、
を含み、
粉末化粧料の吸水量が100~180ml/100gである。
【0014】
本発明の粉末化粧料は、マスク着用時に少なくともマスクと触れる部分に使用する粉末化粧料であり、詳細には、マスク着用時にマスク本体と対向する肌やマスクの耳掛け部分等に触れる肌はもちろんのこと、マスクを着用したときのマスク本体との境目部分やマスクや耳掛け部分の周辺、換言すればマスク周縁部にも使用が可能なものである。
以下、各成分について詳細に説明する。
【0015】
(A)多孔質球状粉末
本発明で用いられる(A)多孔質球状粉末は、比表面積が100m2/g以上であることが好ましく、比表面積が300m2/g以上のものがさらに好ましい。
なお、比表面積は77Kにおける粉末への窒素吸着量を測定して、BET法で解析して比表面積を算出する。測定機器としてBeckmann Coluter社製 OMNISORPを用いる。
【0016】
(A)多孔質球状粉末の平均粒子径は、0.1~20μmであることが好ましく、より好ましくは1~15μm、さらには3~10μmであることが好ましい。平均粒子径が0.1μm以上であることで使用性が良好となり、10μm以下であることで、ぼかし効果を良好なものとすることができる。
なお、平均粒子径は、レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置(MT3300EXII;マイクロトラック・ベル製)を用いて体積平均粒子径(D50)として測定した値である。
【0017】
(A)多孔質球状粉末の材質は特に限定されないが、シリカ(無水ケイ酸)、セルロース等を挙げることができるが、なかでもシリカが好ましい。
(A)多孔質球状粉末として使用できるシリカ粉末の市販品としては、球状の多孔質シリカ(旭硝子株式会社製 SILDEX L-51、比表面積が300m2/g、平均粒子径5μm)、球状の多孔質シリカ(触媒化成工業株式会社製 球状シリカP-1500、比表面積が160m2/g、平均粒子径5μm)を挙げることができる。(A)多孔質球状粉末は1種または2種以上を適宜選択して用いることができる。
【0018】
(A)多孔質球状シリカは化粧料全量に対しを50~99質量%含むことが好ましく、より好ましくは65~95質量%、さらには70~90質量%であることが好ましい。(A)多孔質球状シリカを化粧料全量に対し50質量%以上含むことで、化粧くずれおよび肌刺激をより抑制することができ、化粧料全量に対し99質量%以下であることで、容器中での詰まりを防ぎ、容器の選択の幅を広げることができる。
【0019】
(B)(A)多孔質球状粉末と形状および/または粒子径の異なる粉末
(B)(A)多孔質球状粉末と形状および/または粒子径の異なる粉末(以下、単に(B)粉末ともいう)は、(A)多孔質球状粉末とは、粒子の形や大きさが異なることを意味し、薄片状、薄板状、鱗片状、葉片状、雲母状、箔状などの板状、真球状、略球状、楕円球状、偽球状などの球状(ただし、(A)多孔質球状粉末と粒子の形が同じ場合には大きさが異なる)は、棒状、半球状、不定形状、塊状、等が挙げられる。(B)粉末としては、例えば板状粉末、(A)多孔質球状粉末と粒子径の異なる球状粉末、棒状粉末、不定形状粉末等が挙げられる。
【0020】
板状粉末はアスペクト比(平均粒子径/平均厚み)が1より大きい、例えば少なくとも5以上であることで球状粉末とは区別されるが、20以上であることが好ましく、より好ましくは35~80の範囲、さらには50~65の範囲であることが好ましい。
【0021】
具体的には、マイカ、セリサイト、タルク、カオリン、アルミナ、硫酸バリウム、窒化ホウ素、N-アシル化リジン、合成金雲母、合成マイカ、合成タルク、酸化亜鉛、シリカ、魚鱗箔、オキシ塩化ビスマス等からなる板状粉末が挙げられ、これらの1種または2種以上を適宜選択して用いることができる。なお、板状粉末は、下記球状粉末のような表面処理がされているものでも表面処理がされていないものでもよい。
【0022】
球状粉末は、通常化粧料に配合され得る球状粉末の素材であれば特に限定されないが、(A)多孔質球状粉末と粒子の形が同じ場合には大きさが異なる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリアミド樹脂(ナイロン)、ウレタン、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、シリコーン樹脂被覆ゴム、ポリ四フッ化エチレン、二酸化ケイ素(シリカ)、スチレンとアクリル酸との共重合体樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、セルロース等が例示される。なお、樹脂粉末等のマイクロプラスチックビーズは含まない方が好ましい。シリコーン粉末の市販品としては、例えば「KSP-102」(信越化学工業株式会社製、(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー、平均粒子径:30μm)を挙げることができる。
【0023】
球状粉末は、表面処理がなされていてもよい。表面処理は、例えば、シリコーン化合物処理、フッ素変性シリコーン化合物処理、フッ素化合物処理、高級脂肪酸処理、高級アルコール処理、脂肪酸エステル処理、金属石鹸処理、アミノ酸処理、アルキルフォスフェート処理等が挙げられる。
【0024】
球状粉末の粒子径(平均粒子径)は、1~30μmの範囲であることが使用感触上好適であり、3~20μmの範囲であることが特に好適である。
【0025】
棒状粉末は、酸化チタン、チタン酸塩、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、ジルコニア、ハロイサイト等が挙げられる。棒状粉末の大きさは、短径0.005~0.2μmであり、短径と長径の比が1:10~1:1000の範囲にあり、かつ長径が0.5μm以上であることが好ましい。
【0026】
棒状粉末は、表面処理粉末であってもよい。表面処理の種類としては、たとえばチタニア等の金属酸化物による無機処理や、アミノ酸、金属石鹸、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤による処理、シリコーン、フッ素化合物による処理、脂肪酸処理、油剤処理、多糖類等の天然物による処理、シルク、アシル化リジン、ケラチン等による処理、PMMA(ポリメチルメタアクリレート)等の樹脂による処理、プラズマによる処理、メカノケミカルによる処理等が挙げられる。
【0027】
不定形状粉末は、板状、球状等の形状の粉末を除くものであり、シリカ、酸化アルミニウム、酸化ジルコニア、二酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられる。不定形状粉末の平均粒子径は、特に限定されるものでないが、1~100μm程度が好ましい。また不定形状粉末は、微粉末状、造粒体状等、いずれの形態のものも用い得る。なお造粒体状とは、粉末を加圧あるいはバインダー等により固めた状態のものをいう。不定形状粉末も上記球状粉末や棒状粉末と同様に、表面処理がされていてもよい。
【0028】
なお、粉末の形状の測定方法としては、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)観察もしくは走査型電子顕微鏡(SEM:走査型電子顕微鏡)観察から得られる粒子径を用いる。(B)粉末は1種または2種以上を適宜選択して用いることができる。
【0029】
(A)多孔質球状粉末に対する(B)粉末の質量比((B)/(A))は0.03~0.3であることが好ましい。(A)多孔質球状粉末に対する(B)粉末の質量比が0.03以上であることで、(A)多孔質球状粉末が固まることをより抑制することができ、0.3以下であることで、より化粧くずれおよび肌刺激 を抑制することができる。
【0030】
(粉末化粧料の吸水量)
本発明の粉末化粧料の吸水量は100~180ml/100gである。より好ましくは105~175ml/100gであり、さらには110~170ml/100gであることが好ましい。吸水量が100ml/100g以上であることで、マスク着用に起因する化粧くずれを抑制することができ、180ml/100g以下であることで、マスク着用時の肌荒れを抑制することができる。吸水量は、吸油量測定の指標JIS K-5101にならって、測定前に70℃中で12時間静置した後、25℃雰囲気下において粉末化粧料1gを精密に秤り、ガラス板上に採り、イオン交換水を少量ずつ粉末の中心にたらし、その都度ヘラで均一になるように練り合わせ、全体がペースト状になり、流動化する直前を終点とし、下記式により算出した。
吸水量(g/100g)=(イオン交換水(g)/試料の量(g))×100
【0031】
本発明の粉末化粧料は、上記必須成分(A)と(B)以外に、通常化粧品や医薬品等の皮膚外用剤に用いられる成分、例えば、油性成分、紫外線吸収剤、界面活性剤、保湿剤、増粘剤、アルコール類、他の粉末成分、各種薬剤等を必要に応じて適宜配合することができる。
【0032】
油性成分としては、例えば、ツバキ油、マカデミアナッツ油、オリーブ油、ヒマシ油、サフラワー油、大豆油、茶実油、カカオ脂、ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、カンデリラロウ、カルナウバロウ、ラノリン、液状ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、ポリオキシエチレンラノリンアルコールエーテル、ポリオキシエチレンコレステロールエーテル等の天然油脂類、流動パラフィン、オゾケライト、スクワレン、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素系油脂類、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ-2-エチルヘキシル酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、テトラ-2-エチルヘキシル酸ペンタエリスリトール、トリ-2-エチルヘキシル酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル-2-エチルヘキサノエート、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル等の合成油性成分、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、デカメチルポリシロキサン、ドデカメチルポリシロキサン、テトラメチルテトラハイドロジェンポリシロキサン等の環状ポリシロキサン、3次元網目構造を形成し得るシリコーン樹脂およびシリコーンゴム等のシリコーン類等が挙げられる。
【0033】
紫外線吸収剤としては、例えば、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸モノグリセリンエステル、N,N-ジプロポキシパラアミノ安息香酸エチルエステル、N,N-ジメ
チルパラアミノ安息香酸エチルエステル等の安息香酸系紫外線吸収剤、ホモメンチル-N-アセチルアントラニレート等のアントラニル酸系紫外線吸収剤、アミルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p-イソプロパノールフェニルサリシレート等のサリチル酸系紫外線吸収剤、オクチルシンナメート、エチル-4-イソプロピルシンナメート、メチル-2,5-ジイソプロピルシンナメート、エチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、プロピル-p-メトキシシンナメート、イソアミル-p-メトキシシンナメート、オクチル-p-メトキシシンナメート(2-エチルヘキシル-p-メトキシシンナメート)、2-エトキシエチル-p-メトキシシンナメート、2-エチルヘキシル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、グリセリルモノ-2-エチルヘキサノイル-ジ-p-メトキシシンナメート等の桂皮酸系紫外線吸収剤、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸塩、4-フェニルベンゾフェノン、2-エチルヘキシル-4’-フェニルベンゾフェノン-2-カルボキシレート等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、3-(4’-メチルベンジリデン)-d,l-カンファー、3-ベンジリデン-d,l-カンファー、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチルエステル、2,2’-ヒドロキシ-5-メチルフェニルベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ジベンザラジン、ジアニソイルメタン、4-メトキシ-4’-t-ブチルジベンゾイルメタン、5-(3,3-ジメチル-2-ノルボルニリデン)-3-ペンタン-2-オン等が挙げられる。
【0034】
親油性非イオン性界面活性剤としては、例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ペンタ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類、モノステアリン酸グリセリン、α,α’-オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸エステル等のグリセリンまたはポリグリセリンのエステル類、モノステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコール脂肪酸エステル類、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル等が挙げられる。
【0035】
アニオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等の脂肪酸石鹸、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等の高級アルキル硫酸エステル塩、 ポリオキシエチレンラウリル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム等のアルキルエーテル硫酸エステル塩、ラウロイルサルコシンナトリウム等のN-アシルサルコシン酸、N-ミリストイル-N-メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリッドナトリウム、ラウリルメチルタウリッドナトリウム等の高級脂肪酸アミドスルホン酸塩、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸ナトリウム等のリン酸エステル塩、ジ-2-エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸塩、リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、N-ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N-ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム等のN-アシルグルタミン酸、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等の高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、高級脂肪酸エステルスルホン酸塩、二級アルコール硫酸エステル塩、高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩、ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム、N-パルミトイルアスパラギン酸、ジトリエタノールアミン、ヤシ油脂肪酸コラーゲン加水分解アルカリ塩等が挙げられる。
【0036】
カチオン界面活性剤としては、例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等のアルキルトリメチルアンモニウム塩、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム等のジアルキルジメチルアンモニウム塩、塩化ポリ(N,N’-ジメチル-3,5,-メチレンピペリジニウム)、塩化セチルピリジニウム等のアルキルピリジニウム塩、アルキル四級アンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、ジアルキルモリホニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアミン塩、ポリアミン脂肪酸誘導体、アミルアルコ-ル脂肪酸誘導体、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、カチオンポリマー、アクリル酸β-N-N-ジメチル-N-エチルアンモニオエチル塩化ビニルピロリドン共重合体等が挙げられる。
【0037】
両性界面活性剤としては、例えば、2-ウンデシル-N,N,N,-(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)-2-イミダゾリンナトリウム、2-ココイル-2-イミダゾリニウムヒドロキサイド-1-カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等のイミダゾリン系両性界面活性剤、2-ヘプタデシル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等のベタイン系両性界面活性剤等が挙げられる。
【0038】
保湿剤としては、例えば、コレステリル-12-ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、dl-ピロリドンカルボン酸塩、尿素、ジグリセリンエチレンオキサイド・プロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。
【0039】
増粘剤としては、例えば、アラビアガム、カラギーナン、トラガントガム、クインスシード(マルメロ)、カゼイン、カゼインナトリウム、デキストリン、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、グアーガム、キサンタンガム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ベントナイト、ヘクトライト等が挙げられる。
【0040】
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、エリスリトール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マルチトール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
【0041】
その他の粉末成分には、本発明で特定している(A)や(B)以外の体質顔料や粉末を含んでいてもよく、例えば、タルク、カオリン、絹雲母(セリサイト)、金雲母、合成雲母、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ゼオライト、焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ)、リン酸カルシウム、弗素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、金属石鹸(ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム等)、窒化ホウ素等の無機粉末、ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末、ポリメチシルセスキオキサン粉末等の有機粉末、二酸化チタン、酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄、黄酸化鉄、黒酸化鉄、カーボンブラック、低次酸化チタン、マンゴバイオレット、コバルトバイオレット、酸化クロム、群青、紺青等の無機顔料、酸化チタンコーティッドマイカ、酸化チタンコーティッドオキシ塩化ビスマス、着色酸化チタンコーティッドマイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等のパール顔料、アルミニウムパウダー等の金属粉末顔料、赤色201号、赤色202号、橙色203号、黄色205号、黄色401号、青色404号等の有機顔料、赤色3号、黄色4号、緑色3号、青色1号等のジルコニウム、バリウム、アルミニウムレーキ等の有機顔料、クロロフィル、β-カロチン等の天然色素等が挙げられる。合成樹脂エマルジョンとしては、例えば、アクリル樹脂エマルジョン、ポリ酢酸ビニル樹脂エマルジョン等が挙げられる。
【0042】
本発明の粉末化粧料は、粉末化粧料に使用される常法を用いて製造することができる。
本発明の粉末化粧料は、マスク着用時に少なくともマスクと触れる部分に使用することができるのはもちろんのこと、マスク着用時に肌に触れる側に粉末化粧料をパフやブラシ等でなじませる等により使用してもよい。本発明の粉末化粧料の形態としては、例えば、ファンデーション、白粉、ボディパウダー、美白パウダー、エモリエントパウダー、フレグランスパウダー、頬紅、紙おしろい等を挙げることができる。また、本発明の化粧料は、マスクにあらかじめ粉末化粧料をなじませる等してマスクと一体化させ、マスクとセットとした形態としてもよい。
【0043】
なお、マスクには、機能面から、細菌やウイルス等の感染予防や花粉、ハウスダスト等を遮断する目的等で利用するような一般用マスクの他、医療、病院関係者等が使用するサージカルマスク、クリーンルーム、食品加工現場等で作業する人が使用するフェイスマスク、何らかの作業に伴って発生する粉塵、ミスト等を吸引しないようにする目的の防塵マスク、等、様々なタイプのものがある。また、構造面からは、マスク本体部にプリーツが形成され、着用時には上下方向に展開できるプリーツタイプのマスク、縦中心線により二つ折りされたマスク本体部を開くとカップ状の空間が形成される立体形状タイプのマスク、カップ状などの立体形状にあらかじめ成形された成形マスク等、様々なタイプのマスクがあるが、本発明の粉末化粧料はマスクのタイプによらず使用することができる。
【0044】
また、マスク本体のシートの例としては、積層シートよりなるものであっても一層よりなるものであってもよく、さらに、マスクの材質には特に限定はなく、天然繊維、合繊繊維、これらの混合繊維からなる任意の不織布または織布を用いることができる。天然繊維としては、綿、麻等の植物繊維、毛、絹等の動物繊維のいずれでもよい。一方、合成繊維としては、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリオレフィン系、ポリアクリロニトリル系、ポリウレタン系繊維等が挙げられる。マスクの耳掛け部分の例としては、好ましくは弾性的に伸縮可能なものであって、断面円形の丸ゴムや断面矩形の平ゴム、ウレタン系繊維、ナイロン系繊維、ポリエステル系繊維、ポリプロピレン系繊維等からなる織布、不織布、または編紐等が挙げられる。
【実施例】
【0045】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものでない。配合量は特に断りがない限り質量%である。
下記表1および2に掲げた処方で粉末化粧料を常法により調製し、吸水量を以下の方法で測定した。また、以下の基準により分散性の評価を行った。
【0046】
(吸水量)
調製した粉末化粧料を70℃中で12時間静置した。その後、25℃雰囲気下において粉末化粧料1gを精密に秤り、ガラス板上に採り、イオン交換水を少量ずつ粉末の中心にたらし、その都度ヘラで均一になるように練り合わせ、全体がペースト状になり、流動化する直前を終点とし、下記式により算出した。
吸水量(g/100g)=(イオン交換水(g)/試料の量(g))×100
【0047】
(分散性評価)
ガラス試験管に調製した粉末化粧料を3g入れ、高さ5cmから100回自然落下させ。その後、試験管の口元を下にして持ち、高さ2cmから1回自然落下させ、引き続き落下を繰り返し、ガラス管中の粉が全て出るまでに要した落下回数をカウントし、以下の基準で評価した。
A:0~6回
B:7~13回
C:14~20回
D:21回以上
【0048】
表1および2に評価結果を処方とともに示した。
なお、表中の原料の製品名等の詳細は下記のとおりである。
*1:SILDEX L-51:多孔質シリカ、平均粒径5μm(旭硝子株式会社製)
*2:CHIFFONSIL P-3R:無孔質シリカ、平均粒径10μm(日揮触媒化成株式会社製)
*3:マイカST(HS)、板状マイカ、アスペクト比30(トピー工業株式会社製)
*4:KSP-102:球状シリコーンエラスロマーパウダー、平均粒径30μm(信越化学工業社製)
*5:KSP-100:球状シリコーンエラスロマーパウダー、平均粒径5μm(信越化学工業社製)
*6:PDM-10L、板状マイカ、アスペクト比60(トピー工業株式会社製)
【0049】
【0050】
【0051】
表1に示すように、実施例1は多孔質球状粉末と形状の異なる粉末を用いたものであるが、吸水量が高かった。一方、比較例1は実施例1において多孔質球状粉末を無孔質球状粉末に変更したものであるが、この場合には吸水量が低かった。なお、化粧くずれはマスク内の吸水量に起因するため、実施例1の化粧料は化粧くずれが抑制されると推測できる。
【0052】
また、表2に示すように、実施例2は多孔質球状粉末と粒子径の異なる粉末を用いたもの、実施例1および3は多孔質球状粉末と形状の異なる粉末を用いたものであるが、いずれも分散性が良好であった。一方、比較例2は多孔質球状粉末のみを用いたもの、比較例3は多孔質球状粉末と粒子径が同じ粉末を用いたものであるが、これらは分散性が悪かった。