(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】障子および建具
(51)【国際特許分類】
E06B 3/58 20060101AFI20241220BHJP
E05B 1/00 20060101ALI20241220BHJP
E06B 3/22 20060101ALI20241220BHJP
E06B 3/32 20060101ALI20241220BHJP
【FI】
E06B3/58 B
E05B1/00 311H
E06B3/22
E06B3/32
(21)【出願番号】P 2020193467
(22)【出願日】2020-11-20
【審査請求日】2023-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】河村 桂一
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-180055(JP,A)
【文献】特開2019-65556(JP,A)
【文献】特開2019-65558(JP,A)
【文献】特開2010-248837(JP,A)
【文献】特開2015-113582(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00-3/10
E06B 3/04-3/46
E06B 3/50-3/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
面材の周縁部に設けられる框と、
前記面材の室内側に配置され前記面材を室外側に押さえる内押縁と、
前記框に取り付けられて開閉操作を行うためのハンドルと、を有し、
前記框は、
前記面材の縁部が配置される面材溝部と、
前記面材溝部の室外側に配置されて、前記内押縁に室外側へ押さえられた前記面材を支持する面材支持部と、
前記面材溝部の室内側に位置するハンドル取付部と、
前記ハンドル取付部の室外側かつ前記面材の室内側に位置し、前記内押縁が取り付けられる内押縁取付部と、を有し、
前記ハンドルは、前記面材の室内側において前記ハンドル取付部の見込み面に取り付けら
れ、
前記内押縁取付部の前記内押縁が取り付けられる側の端面と、前記ハンドル取付部の前記ハンドルが取り付けられる側の端面とが、同一平面上にある障子。
【請求項2】
前記框には、中空部が形成され、
前記中空部の室内外方向の寸法は、前記面材溝部の室内外方向の寸法よりも大きい
請求項1に記載の障子。
【請求項3】
前記框には、中空部が形成され、
前記中空部には、前記框の芯材を設置可能であるとともに、前記障子を開閉する開閉部材を固定するための裏板を設置可能である
請求項1または2に記載の障子。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の障子と、FIX窓障子とが連なって配置された連窓であり、
前記FIX窓障子は、
FIX窓面材と、
前記FIX窓面材の室外側に配置され前記FIX窓面材を室内側に押さえる外押縁と、を有する建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、障子および建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建具の障子の構造として、押縁を使用して框にガラスなどの面材を固定する構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。押縁は、面材の室内側および室外側のいずれかに設けられる。框における面材が配置される部分よりも室内側および室外側のいずれか一方側には、額縁を設けるための溝部が形成され、他方には、押縁によって押し付けられた面材を押さえて支持する面材支持部が設けられている。面材支持部は、面材の縁部と室内外方向に重なるように室内外方向から見て内側(框に対して面材が配置されている側)に向かって突出している。
【0003】
近年では、框に障子を開閉操作するためのハンドルを設ける際に、ハンドルを框の見付け面(閉鎖状態の障子の面材と平行となる面)ではなく、框の見込み面(見付け面に直交する面)に取り付ける構造が知られている。ハンドルを框の見込み面に取り付けることにより、室内外方向から見て框の幅寸法を小さくでき、面材との重なりを小さくすることができる。これにより、建具の意匠性を高めることができる。面材がガラスの場合には、ガラスの面積が大きくなり、眺望が良くなるとともに断熱性能を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
見込み面に取り付けるハンドルを室内側から開閉操作可能とするには、ハンドルを面材の室内側において框の見込み面に取り付ける。しかしながら、ハンドルを面材の室内側において框の見込み面に取り付けて面材との重なりを小さくしたとしても、押縁を面材の室外側に配置し、面材支持部を面材の室内側に設ける構造であると、面材支持部が面材の室内側に重なって配置されるため、框の幅寸法を小さくすることができない。
【0006】
本開示は、框の幅寸法を小さくすることができる障子および建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本開示に係る障子は、面材の周縁部に設けられる框と、前記面材の室内側に配置され前記面材を室外側に押さえる内押縁と、前記框に取り付けられて開閉操作を行うためのハンドルと、を有し、前記框は、前記面材の縁部が配置される面材溝部と、前記面材溝部の室外側に配置されて、前記内押縁に室外側へ押さえられた前記面材を支持する面材支持部と、前記面材溝部の室内側に位置するハンドル取付部と、前記ハンドル取付部の室外側かつ前記面材の室内側に位置し、前記内押縁が取り付けられる内押縁取付部と、を有し、前記ハンドルは、前記面材の室内側において前記ハンドル取付部の見込み面に取り付けられ、前記内押縁取付部の前記内押縁が取り付けられる側の端面と、前記ハンドル取付部の前記ハンドルが取り付けられる側の端面とが、同一平面上にある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1および
図2に示すように、建具1は、室内外を仕切る外壁11(躯体)の開口部12に設けられている。建具1は、建具枠3と、縦すべり出し窓の障子21と、FIX窓の障子22と、を有している。建具1は、縦すべり出し窓の障子21とFIX窓の障子22とが方立6を介して隣接する連窓である。建具1は、樹脂サッシで、建具枠3および障子21,22の框211は、樹脂を材料として成形されている。
【0010】
以下では、室内13と室外14とを結ぶ水平方向(
図3-
図5参照、外壁11に直交する水平方向)を室内外方向(図の矢印Yの方向)とし、室内外方向に直交する水平方向(外壁11に沿った水平方向)を幅方向(図の矢印Xの方向)とする。図では、上下方向を矢印Zで示している。長尺の部材については、その部材が延びる方向を「長さ方向」と表記することがある。開口部12を閉鎖している状態の障子21,22の面材212,222と平行となる面を「見付け面」と表記することがある。開口部12を閉鎖している状態の障子21,22の面材212,222と外壁11の室内13側の面および室外14側の面は平行である。見付け面に直交する面を「見込み面」と表記することがある。見込み面は、幅方向および上下方向のいずれかを向く面である。縦すべり出し窓の障子21の説明では、障子21が開口部12を閉鎖する姿勢であるとする。外壁11のうち、建物の荷重を支持する構造部分を躯体とし、躯体の室外側に設けられる仕上げ材を外壁材112とする。躯体の室外側の面を躯体外面111とする。
【0011】
図1から
図5に示すように、建具枠3は、外壁11の躯体外面111に固定されている。建具枠3は、開口部12の縁部に沿って設けられた外周枠35と、外周枠35の内側に設けられた方立6と、を有している。外周枠35は、上枠31と、下枠32と、一対の縦枠33,34と、を有している。方立6は、上枠31と下枠32との間に設けられている。
図3、
図4には上枠31および下枠32が示され、
図5には一対の縦枠33,34が示されている。上枠31、下枠32、一対の縦枠33,34および方立6は、それぞれ長尺の形材で、長さ方向全体にわたって略同じ断面形状に形成されている。
【0012】
上枠31は、幅方向に延びる姿勢で開口部12の上縁部121に沿って設けられている。下枠32は、幅方向に延びる姿勢で開口部12の下縁部122に沿って設けられている。一方の縦枠33は、上下方向に延びる姿勢で開口部12の幅方向の一方側の縁部123に沿って設けられている。他方の縦枠34は、上下方向に延びる姿勢で開口部12の幅方向の他方側の縁部124に沿って設けられている。外周枠35は、四角形状に形成されている。
【0013】
上枠31、下枠32および一対の縦枠33,34は、長さ方向に直交する断面形状が互いに同じ形状である。上枠31と下枠32とは上下対称となる向きに配置され、一方の縦枠33と他方の縦枠34とは、幅方向に対称となる向きに配置される。上枠31、下枠32および一対の縦枠33,34は、それぞれの長さ方向の両端面が長さ方向に対して45°斜めに切断されている。上枠31は、長さ方向の両端面が一対の縦枠33,34の上端面と突き合わされて溶着接合されている。下枠32は、長さ方向の両端面が一対の縦枠33,34の下端面と突き合わされて溶着接合されている。
【0014】
図1に示すように、方立6は、上下方向に延びる姿勢で上枠31と下枠32との間に配置される。方立6の下端部は、下枠32の幅方向の中間部に接合されている。方立6の上端部は、上枠31の幅方向の中間部に接合されている。方立の断面形状については後述する。
【0015】
建具枠3の内側には、方立6の幅方向一方側(室内13側から見た右側)に縦すべり出し窓の障子21が設けられ、方立6の幅方向の他方側(室内13側から見た左側)にFIX窓の障子22が設けられている。縦すべり出し窓の障子21を第1障子21とし、FIX窓の障子22を第2障子22とする。第1障子21は、幅方向の一方側の縁部または幅方向の一方側の縁部近傍に位置する鉛直方向に延びる回転軸回りに回転して開口部12を開閉する。第1障子21は、幅方向の一方側が吊元側となり、幅方向の他方側が戸先側となる。
【0016】
図1、
図2、
図4および
図5に示すように、第1障子21は、框211と、面材212と、内押縁24と、ハンドル25と、を有している。框211は、面材212の周縁部に設けられる。内押縁24は、框211における面材212の室内13側となる位置に取り付けられ面材212を室外14側に押さえる。ハンドル25は、第1障子21の開閉操作を行うために設けられる。
【0017】
框211は、上框213と、下框214と、吊元框215と、戸先框8と、を有している。内押縁24は、上框213、下框214、吊元框215および戸先框8に取り付けられる。ハンドル25は、戸先框8に取り付けられる。上框213、下框214、戸先框8および吊元框215は、それぞれ長尺の形材で、長さ方向全体にわたって略同じ断面形状に形成されている。
【0018】
上框213は、幅方向に延びる姿勢で面材212の上縁部に沿って設けられている。下框214は、幅方向に延びる姿勢で面材212の下縁部に沿って設けられている。吊元框215は、上下方向に延びる姿勢で面材212の幅方向の一方側の縁部に沿って設けられている。吊元框215は、縦すべり出し窓の吊元側に設けられている。戸先框8は、上下方向に延びる姿勢で面材212の幅方向の他方側の縁部に沿って設けられている。戸先框8は、縦すべり出し窓の戸先側に設けられている。框211は、四角形状に形成されている。
【0019】
上框213、下框214、吊元框215および戸先框8は、長さ方向に直交する断面形状が互いに同じ形状である。上框213と下框214とは上下対称となる向きに配置され、吊元框215と戸先框8とは、幅方向に対称となる向きに配置される。上框213、下框214、吊元框215および戸先框8は、それぞれの長さ方向の両端面が長さ方向に対して45°斜めに切断されている。上框213は、長さ方向の両端面が吊元框215および戸先框8の上端面と突き合わされて溶着接合されている。下框214は、長さ方向の両端面が吊元框215および戸先框8の下端面と突き合わされて溶着接合されている。以下で戸先框8の詳細について説明するが、上框213、下框214、吊元框215についても戸先框8を構成する部材や部分と対応する部材や部分を同じ名称および符号で説明する。
【0020】
戸先框8は、方立6の幅方向の一方側に隣接して配置される。戸先框8に対して面材212が設けられている側が幅方向の一方側であり、戸先框8に対して方立6が対向する側を幅方向の他方側である。
【0021】
図6に示すように、戸先框8は、室外板部81と、室内板部82と、枠側板部83と、面材側板部84と、中間見付板部85と、中間見込板部86と、第1リブ87と、第2リブ88と、を有している。室外板部81は、戸先框8の室外14側の縁部に配置されている。室内板部82は、戸先框8の室内13側の縁部に配置されている。枠側板部83は、戸先框8の幅方向の他方側の縁部124に配置されている。面材側板部84は、戸先框8の幅方向の一方側の縁部に配置されている。中間見付板部85は、室外板部81と室内板部82との間に配置されている。中間見込板部86は、枠側板部83と面材側板部84との間に配置されている。
【0022】
室外板部81は、平板状に形成され板面が見付け面と平行となる姿勢で戸先框8の室外側の縁部に配置されている。室内板部82は、平板状に形成され板面が見付け面と平行となる姿勢で戸先框8の室内13側の縁部に配置されている。室外板部81は、室内板部82よりも幅方向の寸法が大きい。室外板部81の幅方向の一方側の端部は、室内板部82の幅方向の一方側の端部よりも幅方向の一方側に位置し、室外板部81の幅方向の他方側の端部は、室内板部82の幅方向の他方側の端部よりも幅方向の他方側に位置している。
【0023】
枠側板部83は、第1枠側板部831と、第2枠側板部832と、第3枠側板部833と、第4枠側板部834と、第5枠側板部835と、第6枠側板部836と、を有している。第1枠側板部831は、平板状に形成され板面が見込み面と平行となる姿勢で室外板部81の幅方向の他方側の端部から室内13側に延びている。第2枠側板部832は、平板状に形成され板面が見付け面と平行となる姿勢で第1枠側板部831の室内13側の端部から幅方向の一方側に延びている。
【0024】
第3枠側板部833は、平板状に形成され板面が室内13側から室外14側に向かって漸次幅方向の一方側に向かう斜め姿勢で第2枠側板部832の幅方向の一方側の端部から斜めに延びている。第4枠側板部834は、平板状に形成され板面が見込み面と平行となる姿勢で第3枠側板部833の室内13側の端部から室内13側に延びている。第5枠側板部835は、平板状に形成され、板面が見付け面と平行となる姿勢で第4枠側板部834の室内13側の端部近傍から幅方向の一方側に延びている。第6枠側板部836は、平板状に形成され板面が見込み面と平行となる姿勢で第5枠側板部835の幅方向の一方側の端部から室外14側に延びている。第6枠側板部836の室内13側の端部は、室内板部82の幅方向の中間部と接続されている。
【0025】
枠側板部83には、第1突出片837と、第2突出片383とが形成されている。第1突出片837は、第4枠側板部834の室内外方向の中間部から幅方向の一方側に突出し、先端部が更に室内13側に突出している。第2突出片383は、第5枠側板部835との第6枠側板部836との角部から室外14側に突出している。第1突出片837の先端部と、第2突出片383の先端部とは、室内外方向に間隔をあけて対向する位置に配置されている。
【0026】
面材側板部84は、第1面材側板部841と、第2面材側板部842と、第3面材側板部843と、第4面材側板部844と、第5面材側板部845と、第6面材側板部846と、第7面材側板部847と、を有している。第1面材側板部841は、平板状に形成され板面が見込み面と平行となる姿勢で室外板部81の幅方向の一方側の端部から室内13側に延びている。第2面材側板部842は、平板状に形成され板面が見付け面と平行となる姿勢で配置される。第2面材側板部842は、第1面材側板部841の室内13側の端部の幅方向の他方側に間隔をあけて設けられている。すなわち、第1面材側板部841の室内13側の端部と第2面材側板部842の幅方向の一方側の端部とは幅方向に間隔をあけて配置されている。第3面材側板部843は、平板状に形成され、板面が見込み面と平行となる姿勢で第2面材側板部842の幅方向の他方側の端部から室内13側に延びている。
【0027】
第4面材側板部844は、平板状に形成され板面が見付け面と平行となる姿勢で配置される。第4面材側板部844は、幅方向の中間部が第3面材側板部843の室内13側の端部と接続されている。すなわち、第4面材側板部844は、第3面材側板部843の室内13側の端部から幅方向の両側に延びている。第5面材側板部845は、平板状に形成され板面が見込み面と平行となる姿勢で第4面材側板部844の幅方向の他方側の端部から室内13側に突出している。第6面材側板部846は、平板状に形成され板面が見付け面と平行となる姿勢で第5面材側板部845の室内13側の端部から幅方向の一方側に延びている。第7面材側板部847は、平板状に形成され板面が見込み面と平行となる姿勢で第6面材側板部846の幅方向の一方側の端部から室内13側に延びている。第7面材側板部847の室内13側の端部は、室内板部82の幅方向の一方側の端部と接続されている。第7面材側板部847は、第6枠側板部836の幅方向の一方側に間隔をあけて配置されている。
【0028】
第1面材側板部841および第7面材側板部847は、第3面材側板部843よりも幅方向の一方側(面材212が配置される側)に配置される。第1面材側板部841は、第7面材側板部847よりも幅方向の一方側に配置される。第5面材側板部845は、第3面材側板部843よりも幅方向の他方側(方立6が配置される側)に配置される。第4面材側板部844の幅方向の一方側の端部と、第4面材側板部844の幅方向の端部と、第7面材側板部847とは、室内外方向に重なる位置に配置されている。
【0029】
中間見付板部85は、平板状に形成され板面が見付け面と平行となる姿勢で配置される。中間見付板部85は、第5面材側板部845と第6面材側板部846との角部から幅方向の他方側に延び、第5枠側板部835と第6枠側板部836との角部に接続されている。中間見付板部85は、第6面材側板部846と第5枠側板部835と同一見付け面上に連続して配置されている。中間見込板部86は、平板状に形成され、板面が見込み面と平行となる姿勢で配置される。中間見込板部86は、室外14側の端部が室外板部81の幅方向の中間部と接続され、室内13側の端部が第2面材側板部842の幅方向の一方側の端部近傍に接続されている。中間見込板部86は、第1面材側板部841と幅方向に間隔をあけて対向している。
【0030】
第1リブ87および第2リブ88は、それぞれ平板状に形成され板面が見込み面と平行となる姿勢で配置される。第1リブ87は、室内13側の端部が第2面材側板部842と第3面材側板部843との角部と接続され、室外14側の端部が室外板部81の幅方向の中間部と接続されている。第2リブ88は、室内13側の端部が第2枠側板部832と第3枠側板部833との角部に接続され、室外14側の端部が、室外板部81の幅方向の中間部と接続されている。
【0031】
戸先框8には、第1溝部90と、第2溝部91と、第3溝部92と、が形成されている。第1溝部90は、第1面材側板部841と、室外板部81と、中間見込板部86と、に囲まれ、室内13側に開口している。第2溝部91は、第4面材側板部844と第5面材側板部845と第6面材側板部846とに囲まれ、幅方向の一方側(面材212側)に開口している。第3溝部92は、第5枠側板部835と、第6枠側板部836と室内板部82と、に囲まれ、幅方向の他方側に開口している。
【0032】
戸先框8には、内部に第1中空部931と、第2中空部932と、第3中空部933と、第4中空部934と、が形成されている。第1中空部931は、室外板部81と、第1リブ87と、第3面材側板部843と、第4面材側板部844と、第5面材側板部845と、中間見付板部85と、第4枠側板部834と、第3枠側板部833と、第2リブ88と、に囲まれた空部である。
【0033】
上述しているように、枠側板部83には、第1突出片837と、第2突出片383とが形成されている。第1突出片837および第2突出片383は、いずれも第1中空部931の内側に向かって突出している。第1中空部931には、第4枠側板部834、第1突出片837および第2突出片383に囲まれて幅方向の一方側に開口する溝部931aが形成されている。
【0034】
第1中空部931には、芯材936が配置される、芯材936は、たとえば金属製の部材である。芯材936は、長尺の部材で、長さ方向に直交する断面形状がC字形状に形成されている。芯材936は、第1片936aと、第2片936bと、第3片936cと、を有している。第1片936a、第2片936bおよび第3片936cは、それぞれ平板状に形成されている。第2片936bは、第1片936aの一方の端部から第1片936aに直交する方向の一方側に突出している。第3片936cは、第1片936aの他方の端部から第2片936bと同じ方向に突出している。第1片936aは、第3面材側板部843に沿って配置される。第2片936bは、室外板部81に沿って配置される。第3片936cは、第4面材側板部844よりも室外14側(第1中空部931の内部側)において、第3面材側板部843と第4枠側板部834との間に配置されている。第3片936cの先端部分は、溝部931aに挿入されている。
【0035】
芯材936は、戸先框8および吊元框215の第1中空部931に設置され、上框213および下框214には設置されない。
図4に示すように、上框213および下框214の溝部931aには、第1障子21を開閉するためのフリクションステー253(開閉部材)を固定するための裏板254が設置される。
【0036】
第2中空部932は、室外板部81と、中間見込板部86と、第2面材側板部842と、第1リブ87と、に囲まれた空部である。第3中空部933は、室外板部81と、第1枠側板部831と、第2枠側板部832と第2リブ88と、に囲まれた空間である。第4中空部934は、室内板部82と、第7面材側板部847と、第6面材側板部846と、中間見付板部85と、第6枠側板部836と、に囲まれた空間である。第2中空部932は、第1中空部931の幅方向の一方側に配置される。第3中空部933は、第1中空部931の幅方向の他方側に配置される。第4中空部934は、第1中空部931の室内13側に配置される。
【0037】
第4中空部934および第3溝部92には、ハンドル25のリンク機構251が配置される。ハンドル25の把持部252は、第7面材側板部847から幅方向の一方側に突出するように設けられている。戸先框8における第6面材側板部846および中間見付板部85から室内13側の部分をハンドル取付部94とする。ハンドル取付部94は、第2溝部91の室内13側に隣接している。
【0038】
面材212の縁部212aは、第2面材側板部842と、第3面材側板部843と、第4面材側板部844と、に囲まれた溝部に配置される。面材212の縁部212aが配置される溝部を面材溝部95とする。第1中空部931は、面材溝部95よりも幅方向の寸法が大きい。面材溝部95の室外14側に位置する第2面材側板部842、第1面材側板部841、室外板部81における第3面材側板部843よりも幅方向の一方側の部分、中間見込板部86を面材支持部96とする。面材支持部96には、第1溝部90が含まれる。第1溝部90には気密材26が嵌め込まれる。
【0039】
第2溝部91には、内押縁24が嵌め込まれる。内押縁24は、幅方向の一方側から第2溝部91に嵌め込まれ、第2溝部91よりも幅方向の一方側に突出している。すなわち、内押縁24は、ハンドル取付部94の第7面材側板部847よりも幅方向一方側に突出している。内押縁24の第7面材側板部847よりも幅方向一方側に突出している部分が、面材212の室内13側の面と接触する。内押縁24によって室外14側に押し付けられた面材212は、気密材26と接触し面材支持部96に押し付けられる。戸先框8における第2溝部91が形成されている部分を内押縁取付部97とする。
【0040】
図4および
図5に示すように、上框213、下框214、吊元框215および戸先框8は、長さ方向に直交する断面形状が互いに同じ形状である。上框213、下框214および吊元框215に対しても、面材212の縁部は、面材溝部95に配置され、内押縁取付部97の第2溝部91にはめ込まれた内押縁24によって室外側に押し付けられ、第1溝部90にはめ込まれた気密材26と接触し面材支持部96に押し付けられる。
【0041】
図7に示すように、方立6は、室外板部61と、室内板部62と、第1見付板部63と、第2見付板部64と、第1中間板部65、第2中間板部66と、第3中間板部67と、第4中間板部68と、室外側リブ69と、室内側リブ70と、を有している。方立6の断面形状は、幅方向に対称である。
【0042】
室外板部61は、平板状に形成され板面が見付け面と平行となる姿勢で室外14側の端部に配置される。室内板部62は、平板状に形成され板面が見付け面と平行となる姿勢で室内13側の端部に配置される。
【0043】
第1見付板部63は、平板状に形成され板面が見付け面と平行となる姿勢で室外板部61と室内板部62との間に配置される。第2見付板部64は、平板状に形成され板面が見付け面と平行となる姿勢で第1見付板部63と室内板部62との間に配置される。
【0044】
室内板部62と第1見付板部63との間、第1見付板部63と第2見付板部64との間、第2見付板部64と室内板部62との間には、間隔が設けられている。室外板部61、室内板部62、第1見付板部63、第2見付板部64は、それぞれの幅方向の中心が室内外方向に重なるように配置されている。室外板部61と第1見付板部63とは、幅方向の寸法がほぼ同じである。第2見付板部64は、第1見付板部63よりも幅方向の寸法が大きい。室内板部62は、第2見付板部64よりも幅方向の寸法が大きい。室外板部61、第1見付板部63、第2見付板部64および室内板部62は、互いに平行に配置されている。
【0045】
第1中間板部65は、平板状に形成され、板面が見付け面と平行となる姿勢で第1見付板部63の幅方向の一方側の端部から室内13側に延び、第2見付板部64の幅方向の中間部に接続されている。第2中間板部66は、平板状に形成され、板面が見付け面と平行となる姿勢で第1見付板部63の幅方向の他方側の端部から室内13側に延び、第2見付板部64の幅方向の中間部に接続されている。第1中間板部65と第2中間板部66とは、互いに幅方向に対称であり、平行に配置されている。
【0046】
第3中間板部67は、平板状に形成され、板面が見付け面と平行となる姿勢で室内板部62の幅方向の一方側の端部よりもやや幅方向の他方側となる位置から室外14側に延びている。第3中間板部67の室外14側の端部は、第2見付板部64の幅方向の一方側に間隔をあけて配置されている。第4中間板部68は、平板状に形成され、板面が見付け面と平行となる姿勢で室内板部62の幅方向の他方側の端部よりもやや幅方向の一方側となる位置から室外14側に延びている。第4中間板部68の室外14側の端部68bは、第2見付板部64の幅方向の他方側に間隔をあけて配置されている。第3中間板部67と第4中間板部68とは、互いに幅方向に対称である。
【0047】
室外側リブ69は、平板状に形成され、板面が見付け面と平行となる姿勢で室外板部61の幅方向の中間部から室内13側に延び第1見付板部63に接続されている。室外側リブ69は、2つ設けられ、互いに幅方向に間隔をあけて配置されている。室内側リブ70は、平板状に形成され、板面が見付け面と平行となる姿勢で室内板部62の幅方向の中間部から室外14側に延び第2見付板部64に接続されている。室内側リブ70は、4つ設けられ、互いに幅方向に間隔をあけて配列されている。
【0048】
方立6には、第1見付板部63、第2見付板部64、第1中間板部65、第2中間板部66に囲まれた方立中空部71が形成されている。方立中空部71には、芯材72が配置される。
【0049】
方立6には、第1溝部731、第2溝部732、第3溝部733および第4溝部734が形成されている。第1溝部731は、室外板部61と、第1見付板部63と、室外側リブ69と、に囲まれ幅方向の一方側に開口している。第2溝部732は、室外板部61と、第1見付板部63と、室外側リブ69と、に囲まれ幅方向の他方側に開口している。第3溝部733は、第3中間板部67と、室内板部62と、室内側リブ70と、に囲まれ室外14側に開口している。第4溝部734は、第4中間板部68と、室内板部62と、室内側リブ70と、に囲まれ室外14側に開口している。
【0050】
戸先框8は、開口部を閉鎖した状態となると、方立6に対して以下のように配置される。室内板部82と第2見付板部64とが対向し、第3溝部733にはめ込まれた気密材が室内板部82と接触する。第4枠側板部834と第1中間板部65とが幅方向に対向する。
【0051】
方立6の幅方向の他方側には、FIX窓が配置される。FIX窓の面材222は、第2中間板部66と第1見付板部63とがなす角部の内側に配置される。FIX窓の面材222は、第2溝部732にはめ込まれた外押縁27によって室内13側に押し付けられる。FIX窓の面材222の室内13側には第2見付板部64が配置され、第4溝部734にはめ込まれた気密材28と当接する。
【0052】
図3および
図5に示すように、上枠31、下枠32および縦枠33,34には、外押縁27をはめ込み可能な溝部361と、外押縁27によって室内13側に押し付けられた面材222を支持する面材支持部362がそれぞれ設けられている。このため、FIX窓の面材222は、外周部全体が外押縁27によって面材支持部362に押し付けられている。
【0053】
第1障子21は、内押縁24によって面材212を框211に押し付けて固定する構造であるため、内押縁24によって押し付けられた面材212を支持する面材支持部96が室外14側に配置される。ハンドル25は、ハンドル取付部94の見込み面(第7面材側板部847)に取り付けられるため、見付け面にハンドル25を取り付ける場合と比べてハンドル取付部94の幅寸法を小さくすることができる。このように、面材212の室内13側に面材支持部96が配置されないとともに、ハンドル取付部94の幅寸法を小さくすることができるため、框211(戸先框8)の幅寸法を小さくすることができる。その結果、面材212の室内13側において框211が面材212と重なる部分を小さくすることができ、建具1の意匠性と、眺望性を向上させることができる。框211の幅寸法を小さくすることができることにより、建具1の断熱性を向上させることができる。
【0054】
第1障子21の框211の内押縁取付部97の面材212側の端部と、ハンドル取付部94の面材212側の端面とが、同一平面上にある。このような構成とすることにより、内押縁取付部97の面材212側の端部と、ハンドル取付部94の面材212側の端面との間に段差ができず、戸先框8の幅寸法を小さくすることができる。戸先框8の形状を簡便化することができる。
【0055】
第1障子21の框211の第1中空部931は、室内外方向の寸法が面材溝部95の室内外方向の寸法よりも大きい。このような構成とすることにより、第1中空部931に配置する芯材936を大型にすることができ、薄い芯材936であっても強度を確保することができる。框211の内押縁取付部97の第2溝部91が面材212の室内13側にあるため、框211の室外14側の部分に押縁を取り付けるための溝部を形成する必要がない。このため、第1中空部を室外側まで広げることができ、第1中空部931の室内外方向の寸法を、面材溝部95の室内外方向の寸法よりも大きくすることができる。
【0056】
第1障子21の框211の第1中空部931は、芯材936を設置可能であるとともに、第1障子21を開閉するためのフリクションステー253を固定するための裏板254を設置可能である。すなわち、芯材936を設置するための中空部と裏板254を設置するための中空部とが同一の中空部である。このため、裏板254を設置しない戸先框8および吊元框215では、裏板254を設置するスペースも利用して大型の芯材936を設置することができる。
【0057】
建具1は、縦すべり出し窓と、FIX窓とが連なって配置された連窓であり、FIX窓の面材212は、面材212の室外14側に配置された外押縁27によって建具枠3に固定されている。このような構成とすることにより、建具枠3への面材212の設置や交換を室外14側から行うことができる。
【0058】
本開示は上記の実施形態に限定されるものではなく、適宜変更可能である。例えば、第1障子21の框211の内押縁取付部97の面材212側の端部と、ハンドル取付部94の面材212側の端面とは、同一平面上にある。これに対し、内押縁取付部97の面材212側の端部と、ハンドル取付部94の面材212側の端面とが、同一平面上になくてもよい。
【0059】
第1障子21の框211の第1中空部931は、室内外方向の寸法が面材溝部95の室内外方向の寸法よりも大きい。第1障子21の框211の第1中空部931は、室内外方向の寸法が面材溝部95の室内外方向の寸法よりも以下でもよい。
【0060】
第1障子21の框211の第1中空部931は、芯材936を設置可能であるとともに、裏板254を設置可能である。框211には、芯材936を設置するための中空部と、裏板254を設置するための中空部とが別々に設けられていてもよい。
【0061】
第1障子21の框211には、室外板部81と、第1リブ87と、第3面材側板部843と、第4面材側板部844と、第5面材側板部845と、中間見付板部85と、第4枠側板部834と、第3枠側板部833と、第2リブ88と、に囲まれた第1中空部931が形成されている。これに対し、
図7に示すように、框211に第2枠側板部832と第3枠側板部833との角部と第2面材側板部842と第3面材側板部843との角部とを結ぶ第3リブ89を設け、第3リブ89の室内13側となる第1中空部931Bと第3リブ89の室外14側となる第5中空部935を設けてもよい。第1中空部931Bに芯材936Bを設置する。このようにすることにより、框211の断熱性能を向上させることができる。
【0062】
建具1は、縦すべり出し窓と、FIX窓とが連なって配置された連窓であり、FIX窓の面材212は、面材212の室外14側に配置された外押縁27によって建具枠2に固定されている。これに対し、建具1は連窓でなくてもよい。建具1は、縦すべり出し窓ではなく、横すべり出し窓や、開き窓など、ハンドルで障子の開閉操作を行う建具であればよい。
【符号の説明】
【0063】
1 建具、8 戸先框、12 開口部、13 室内、14 室外、21 第1障子、22 第2障子(FIX窓障子)、24 内押縁、25 ハンドル、27 外押縁、94 ハンドル取付部、95 面材溝部、96 面材支持部、97 内押縁取付部、211 框、212 面材、222 面材、253 フリクションステー(開閉部材)、254 裏板、931 第1中空部(中空部)、936 芯材