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特許7607444予測システム、予測方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】予測システム、予測方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20240101AFI20241220BHJP
   H02J 3/00 20060101ALI20241220BHJP
   G16Y 10/35 20200101ALI20241220BHJP
【FI】
G06Q50/06
H02J3/00 170
G16Y10/35
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020200853
(22)【出願日】2020-12-03
(65)【公開番号】P2022088807
(43)【公開日】2022-06-15
【審査請求日】2023-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】手島 哲平
(72)【発明者】
【氏名】若杉 一幸
(72)【発明者】
【氏名】川上 麗子
【審査官】塚田 肇
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-166622(JP,A)
【文献】特開2003-030621(JP,A)
【文献】特開2017-102760(JP,A)
【文献】特開2014-021555(JP,A)
【文献】中国特許第106548285(CN,B)
【文献】国際公開第2020/203854(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
H02J 3/00
G16Y 10/35
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の期間(t)に水力発電設備が発電する発電量を発電量(t)とし、前記期間(t)に続く同じ長さの期間を期間(t+1)、前記期間(t+1)における前記発電量を発電量(t+1)としたときに、
過去から前記期間(t+1)の属する予測対象日までの前記期間ごとの前記発電量に影響するパラメータの値と、
前記過去から前記予測対象日の前日までの前記期間ごとの前記パラメータの値の合計値と、
前記過去から前記期間(t)までの前記期間ごとの前記発電量と、
前記過去から前記期間(t)までの前記期間ごとの前記発電量の合計値と、
を、前記発電量(t+1)の予測のための説明変数として設定し、前記発電量(t+1)を目的変数として設定する処理を、
前記予測対象日を変化させながら繰り返し行うことにより、
前記説明変数と前記目的変数を組み合わせたデータを複数作成し、
前記データを含む学習データを学習して作成された予測モデルと、
所定の予測対象期間を前記期間ごとに分割した場合の最初の前記期間を期間(s)、前記期間(s)における前記発電量の予測値または実績値を発電量(s)とし、前記パラメータの予測値または実績値をパラメータ(s)とし、前記パラメータの値の合計値を前記パラメータの合計値(s)とし、前記発電量の合計を発電量の合計(s)とし、前記期間(s)に続く期間(s+1)における前記発電量の予測値または実績値を発電量(s+1)とし、前記パラメータの予測値または実績値をパラメータ(s+1)とし、前記パラメータの値の合計値を前記パラメータの合計値(s+1)とし、前記発電量の合計を発電量の合計(s+1)とし、前記期間(s+1)に続く期間(s+2)における前記発電量を発電量(s+2)としたときに、前記予測モデルと、前記発電量(s)と、前記パラメータ(s)と、前記パラメータの合計値(s)と、前記発電量の合計(s)と、に基づいて、前記発電量(s+1)を予測し、前記予測モデルと、予測した前記発電量(s+1)と、前記パラメータ(s+1)と、前記パラメータの合計値(s+1)と、前記発電量の合計(s+1)と、に基づいて、前記発電量(s+2)を予測する、という処理を逐次的に実行し、前記予測対象期間における前記期間ごとの前記発電量を予測する予測部と、
前記予測部による前記発電量の予測結果を出力する出力部と、
を備える予測システム。
【請求項2】
前記予測モデルの前記説明変数は、
前記期間(t)における前記水力発電設備の周辺の所定範囲における雨量と、
前記期間(t)における前記水力発電設備の運転時間と、
を含む請求項1に記載の予測システム。
【請求項3】
前記予測モデルの前記説明変数は、
前記パラメータとして、前記水力発電設備の周辺の所定範囲における雨量と、前記水力発電設備の運転時間と、を含み、
さらに、前記予測対象日の月および曜日の情報、
を含む請求項1に記載の予測システム。
【請求項4】
前記予測モデルの前記目的変数が、前記発電量(t+1)に替えて、前記発電量(t)と前記発電量(t+1)の差である、
請求項1から請求項の何れか1項に記載の予測システム。
【請求項5】
所定の期間(t)に水力発電設備が発電する発電量を発電量(t)とし、前記期間(t)に続く同じ長さの期間を期間(t+1)、前記期間(t+1)における前記発電量を発電量(t+1)としたときに、
過去から前記期間(t+1)の属する予測対象日までの前記期間ごとの前記発電量に影響するパラメータの値と、
前記過去から前記予測対象日の前日までの前記期間ごとの前記パラメータの値の合計値と、
前記過去から前記期間(t)までの前記期間ごとの前記発電量と、
前記過去から前記期間(t)までの前記期間ごとの前記発電量の合計と、
を、前記発電量(t+1)の予測のための説明変数として設定し、前記発電量(t+1)を、目的変数として設定する処理を、
前記期間(t+1)を変化させながら繰り返し行うことにより、
前記説明変数と前記目的変数を組み合わせたデータを複数作成し、前記データを含む学習データを学習して作成された予測モデルを用いて、
所定の予測対象期間を前記期間ごとに分割した場合の最初の前記期間を期間(s)、前記期間(s)における前記発電量の予測値または実績値を発電量(s)とし、前記パラメータの予測値または実績値をパラメータ(s)とし、前記パラメータの値の合計値を前記パラメータの合計値(s)とし、前記発電量の合計を発電量の合計(s)とし、前記期間(s)に続く期間(s+1)における前記発電量の予測値または実績値を発電量(s+1)とし、前記パラメータの予測値または実績値をパラメータ(s+1)とし、前記パラメータの値の合計値を前記パラメータの合計値(s+1)とし、前記発電量の合計を発電量の合計(s+1)とし、前記期間(s+1)に続く期間(s+2)における前記発電量を発電量(s+2)としたときに、前記予測モデルと、前記発電量(s)と、前記パラメータ(s)と、前記パラメータの合計値(s)と、前記発電量の合計(s)と、に基づいて、前記発電量(s+1)を予測し、前記予測モデルと、予測した前記発電量(s+1)と、前記パラメータ(s+1)と、前記パラメータの合計値(s+1)と、前記発電量の合計(s+1)と、に基づいて、前記発電量(s+2)を予測する、という処理を逐次的に実行し、前記予測対象期間における前記期間ごとの前記発電量を予測し、
前記予測による前記発電量の予測結果を出力する、
予測方法。
【請求項6】
コンピュータに、
所定の期間(t)に水力発電設備が発電する発電量を発電量(t)とし、前記期間(t)に続く同じ長さの期間を期間(t+1)、前記期間(t+1)における前記発電量を発電量(t+1)としたときに、
過去から前記期間(t+1)の属する予測対象日までの前記期間ごとの前記発電量に影響するパラメータの値と、
前記過去から前記予測対象日の前日までの前記期間ごとの前記パラメータの値の合計値と、
前記過去から前記期間(t)までの前記期間ごとの前記発電量と、
前記過去から前記期間(t)までの前記期間ごとの前記発電量の合計と、
を、前記発電量(t+1)の予測のための説明変数として設定し、前記発電量(t+1)を、目的変数として設定する処理を、
前記予測対象日を変化させながら繰り返し行うことにより、
前記説明変数と前記目的変数を組み合わせたデータを複数作成し、
前記データを含む学習データを学習して作成された予測モデルを用いて、
所定の予測対象期間を前記期間ごとに分割した場合の最初の前記期間を期間(s)、前記期間(s)における前記発電量の予測値または実績値を発電量(s)とし、前記パラメータの予測値または実績値をパラメータ(s)とし、前記パラメータの値の合計値を前記パラメータの合計値(s)とし、前記発電量の合計を発電量の合計(s)とし、前記期間(s)に続く期間(s+1)における前記発電量の予測値または実績値を発電量(s+1)とし、前記パラメータの予測値または実績値をパラメータ(s+1)とし、前記パラメータの値の合計値を前記パラメータの合計値(s+1)とし、前記発電量の合計を発電量の合計(s+1)とし、前記期間(s+1)に続く期間(s+2)における前記発電量を発電量(s+2)としたときに、前記予測モデルと、前記発電量(s)と、前記パラメータ(s)と、前記パラメータの合計値(s)と、前記発電量の合計(s)と、に基づいて、前記発電量(s+1)を予測し、前記予測モデルと、予測した前記発電量(s+1)と、前記パラメータ(s+1)と、前記パラメータの合計値(s+1)と、前記発電量の合計(s+1)と、に基づいて、前記発電量(s+2)を予測する、という処理を逐次的に実行し、前記予測対象期間における前記期間ごとの前記発電量を予測し、
前記予測による前記発電量の予測結果を出力する処理、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水力発電設備による発電量の予測システム、予測方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電力会社では、水力発電設備などを有する他の発電所との間で電力の売買契約を結び、他の発電所から供給された電力を電力系統へ供給している場合がある。電力系統では、電力周波数の変動を抑えるため、需要と供給のバランスを保つことが重要である。安定した電力の供給を実現するため、水力発電設備から電力会社へ供給(売電)する電力については、予め供給可能な電力量を両者の間で取り決め、予定した電力量が供給できないと水力発電設備側へペナルティを課すような運用が行われている。
【0003】
特許文献1には、水力発電設備の発電量予測に関し、発電用に取水される水のうち溢水によって逸失する溢水電力量の予測値を予測モデルによって予測し、電力需要予測に基づく発電予定電力量に、溢水電力量の予測値を加算することによって、非常時等における電力供給能力を予測する予測システムが開示されている。
特許文献2には、電力の需要予測に関し、予測対象時刻との間で需要が相関関係を有する他の時刻での電力需要の予測結果を予測対象時刻での需要予測のための入力データの一部として使用し、予測対象時刻での電力需要を予測する需要予測装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-146065号公報
【文献】特許第5618501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2には、電力需要を予測する技術や電力需要に基づく水力発電設備の発電量を予測する技術は開示されているが、電力需要に依らず、水力発電設備が供給可能な発電量を正確に予測する技術については開示が無い。
【0006】
本開示は、上記課題を解決することができる予測システム、予測方法およびプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の予測システムは、所定の期間(t)に水力発電設備が発電する発電量を発電量(t)とし、前記期間(t)に続く同じ長さの期間を期間(t+1)、前記期間(t+1)における前記発電量を発電量(t+1)としたときに、過去から前記期間(t+1)の属する予測対象日までの前記期間ごとの前記発電量に影響するパラメータの値と、前記過去から前記予測対象日の前日までの前記期間ごとの前記パラメータの値の合計値と、前記過去から前記期間(t)までの前記期間ごとの前記発電量と、前記過去から前記期間(t)までの前記期間ごとの前記発電量の合計値と、を、前記発電量(t+1)の予測のための説明変数として設定し、前記発電量(t+1)を目的変数として設定する処理を、前記予測対象日を変化させながら繰り返し行うことにより、前記説明変数と前記目的変数を組み合わせたデータを複数作成し、前記データを含む学習データを学習して作成された予測モデルと、所定の予測対象期間を前記期間ごとに分割した場合の最初の前記期間を期間(s)、前記期間(s)における前記発電量の予測値または実績値を発電量(s)とし、前記パラメータの予測値または実績値をパラメータ(s)とし、前記パラメータの値の合計値を前記パラメータの合計値(s)とし、前記発電量の合計を発電量の合計(s)とし、前記期間(s)に続く期間(s+1)における前記発電量の予測値または実績値を発電量(s+1)とし、前記パラメータの予測値または実績値をパラメータ(s+1)とし、前記パラメータの値の合計値を前記パラメータの合計値(s+1)とし、前記発電量の合計を発電量の合計(s+1)とし、前記期間(s+1)に続く期間(s+2)における前記発電量を発電量(s+2)としたときに、前記予測モデルと、前記発電量(s)と、前記パラメータ(s)と、前記パラメータの合計値(s)と、前記発電量の合計(s)と、に基づいて、前記発電量(s+1)を予測し、前記予測モデルと、予測した前記発電量(s+1)と、前記パラメータ(s+1)と、前記パラメータの合計値(s+1)と、前記発電量の合計(s+1)と、に基づいて、前記発電量(s+2)を予測する、という処理を逐次的に実行し、前記予測対象期間における前記期間ごとの前記発電量を予測する予測部と、前記予測部による前記発電量の予測結果を出力する出力部と、を備える。
【0008】
本開示の予測方法では、所定の期間(t)に水力発電設備が発電する発電量を発電量(t)とし、前記期間(t)に続く同じ長さの期間を期間(t+1)、前記期間(t+1)における前記発電量を発電量(t+1)としたときに、過去から前記期間(t+1)の属する予測対象日までの前記期間ごとの前記発電量に影響するパラメータの値と、前記過去から前記予測対象日の前日までの前記期間ごとの前記パラメータの値の合計値と、前記過去から前記期間(t)までの前記期間ごとの前記発電量と、前記過去から前記期間(t)までの前記期間ごとの前記発電量の合計と、を、前記発電量(t+1)の予測のための説明変数として設定し、前記発電量(t+1)を、目的変数として設定する処理を、前記期間(t+1)を変化させながら繰り返し行うことにより、前記説明変数と前記目的変数を組み合わせたデータを複数作成し、前記データを含む学習データを学習して作成された予測モデルを用いて、所定の予測対象期間を前記期間ごとに分割した場合の最初の前記期間を期間(s)、前記期間(s)における前記発電量の予測値または実績値を発電量(s)とし、前記パラメータの予測値または実績値をパラメータ(s)とし、前記パラメータの値の合計値を前記パラメータの合計値(s)とし、前記発電量の合計を発電量の合計(s)とし、前記期間(s)に続く期間(s+1)における前記発電量の予測値または実績値を発電量(s+1)とし、前記パラメータの予測値または実績値をパラメータ(s+1)とし、前記パラメータの値の合計値を前記パラメータの合計値(s+1)とし、前記発電量の合計を発電量の合計(s+1)とし、前記期間(s+1)に続く期間(s+2)における前記発電量を発電量(s+2)としたときに、前記予測モデルと、前記発電量(s)と、前記パラメータ(s)と、前記パラメータの合計値(s)と、前記発電量の合計(s)と、に基づいて、前記発電量(s+1)を予測し、前記予測モデルと、予測した前記発電量(s+1)と、前記パラメータ(s+1)と、前記パラメータの合計値(s+1)と、前記発電量の合計(s+1)と、に基づいて、前記発電量(s+2)を予測する、という処理を逐次的に実行し、前記予測対象期間における前記期間ごとの前記発電量を予測し、前記予測による前記発電量の予測結果を出力する。
【0009】
本開示のプログラムは、コンピュータに、所定の期間(t)に水力発電設備が発電する発電量を発電量(t)とし、前記期間(t)に続く同じ長さの期間を期間(t+1)、前記期間(t+1)における前記発電量を発電量(t+1)としたときに、過去から前記期間(t+1)の属する予測対象日までの前記期間ごとの前記発電量に影響するパラメータの値と、前記過去から前記予測対象日の前日までの前記期間ごとの前記パラメータの値の合計値と、前記過去から前記期間(t)までの前記期間ごとの前記発電量と、前記過去から前記期間(t)までの前記期間ごとの前記発電量の合計と、を、前記発電量(t+1)の予測のための説明変数として設定し、前記発電量(t+1)を、目的変数として設定する処理を、前記予測対象日を変化させながら繰り返し行うことにより、前記説明変数と前記目的変数を組み合わせたデータを複数作成し、前記データを含む学習データを学習して作成された予測モデルを用いて、所定の予測対象期間を前記期間ごとに分割した場合の最初の前記期間を期間(s)、前記期間(s)における前記発電量の予測値または実績値を発電量(s)とし、前記パラメータの予測値または実績値をパラメータ(s)とし、前記パラメータの値の合計値を前記パラメータの合計値(s)とし、前記発電量の合計を発電量の合計(s)とし、前記期間(s)に続く期間(s+1)における前記発電量の予測値または実績値を発電量(s+1)とし、前記パラメータの予測値または実績値をパラメータ(s+1)とし、前記パラメータの値の合計値を前記パラメータの合計値(s+1)とし、前記発電量の合計を発電量の合計(s+1)とし、前記期間(s+1)に続く期間(s+2)における前記発電量を発電量(s+2)としたときに、前記予測モデルと、前記発電量(s)と、前記パラメータ(s)と、前記パラメータの合計値(s)と、前記発電量の合計(s)と、に基づいて、前記発電量(s+1)を予測し、前記予測モデルと、予測した前記発電量(s+1)と、前記パラメータ(s+1)と、前記パラメータの合計値(s+1)と、前記発電量の合計(s+1)と、に基づいて、前記発電量(s+2)を予測する、という処理を逐次的に実行し、前記予測対象期間における前記期間ごとの前記発電量を予測し、前記予測による前記発電量の予測結果を出力する処理を実行させる。
【発明の効果】
【0010】
上述の予測システム、予測方法およびプログラムによれば、水力発電設備による発電量を予測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る予測システムの構成例を示す機能ブロック図である。
図2】実施形態に係る発電量の予測モデルの概要を示す図である。
図3】実施形態に係る予測モデルの説明変数の一例を示す図である。
図4】実施形態に係る予測モデルの作成処理の一例を示すフローチャートである。
図5】実施形態に係る発電量の予測処理の一例を示すフローチャートである。
図6】実施形態に係る発電量の予測処理の説明に用いる図である。
図7】実施形態に係る予測システムのハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態>
以下、実施形態に係る予測システムについて、図1図7を参照しながら詳しく説明する。
(構成)
図1は、実施形態に係る予測システムの構成例を示す機能ブロック図である。
予測システム10は、水力発電設備が発電できる発電量を予測するシステムである。予測システム10は、予測対象日直前の所定期間における発電量などに基づいて、予測対象日の発電量を予測する。以下で説明するように、予測システム10を用いて、逐次的に予測を行うことにより、1カ月先、半年先等の遠い将来までの日々の発電量予測や、1時間ごと、30分ごと等の発電量予測が可能となる。
【0013】
図示するように予測システム10は、データ取得部11と、予測モデル作成部12と、予測部13と、記憶部14と、出力部15と、を備える。
データ取得部11は、発電量の予測に必要なパラメータ、発電量を予測する予測モデルの作成に必要なデータなどを取得する。
予測モデル作成部12は、予測モデルの作成に必要なデータを加工して学習データを作成し、学習データを用いた機械学習等によって予測モデル141を作成する。
予測部13は、予測対象期間における単位期間ごとの水力発電設備による発電量を予測する。
記憶部14は、データ取得部11が取得したパラメータや学習データ、予測モデル141などを記憶する。
出力部15は、予測部13が予測した発電量の予測結果を電子ファイル等へ出力する。
【0014】
次に、図2図3を用いて、予測モデル141について説明する。
図2に予測モデル141の概要を示す。予測モデル141は、予測対象日(t+1)等の天気情報と、予測対象日(t+1)等の運転計画と、予測対象日前日(t)等の発電量を説明変数とし、水力発電設備による予測対象日(t+1)の発電量を目的変数として、説明変数と目的変数の関係を学習して作成される予測モデルである。図2のtは日を表している。換言すれば、予測モデル141に予測対象日の天気情報と運転計画、予測対象日前日の発電量を入力すると、予測モデル141は、予測対象日に水力発電設備が発電する発電量の予測値を出力する。発明者は、取水式の水力発電設備において前日と当日での発電量の変動がほとんどないとの知見を得た。発明者は、予測精度を確保するために、前日の発電量(t)に加え、説明変数に天気情報(t+1)と運転計画(t+1)等を追加して、図2のような予測モデル141を構想した。また、発明者は、説明変数の発電量(t)を予測した発電量(t+1)に置き換えて、予測モデル141によって発電量を予測することで、予測対象日(t+1)の翌日(t+2)の発電量(t+2)を精度よく予測できることを確認した。つまり、予測モデル141によれば、例えば、昨日の発電量の実績に基づいて、当日の発電量予測を行い、当日の発電量予測を用いて、翌日の発電量予測を行い、さらに翌日の発電量予測に基づいて2日後の発電量予測を行うといった逐次的な予測が可能になる。予測システム10を用いて、逐次的に発電量の予測を行うことにより、1カ月先、半年先等の遠い将来までの発電量予測が可能である。
【0015】
次に図3を参照して、説明変数の詳細について説明する。図3に示すように予測モデル141の説明変数は、天気情報と、運転計画と、発電量とに大別することができる。
天気情報とは、例えば、雨量である。水力発電による発電量は、取水先の河川の水量に関係する為、説明変数に雨量を用いる。河川の水量の変化は、降雨から遅れが生じる為、予測対象日から過去の数日間の雨量や雨量の合計を説明変数として用いることで予測精度を向上させる。説明変数の天気情報として、(1)予測対象日および数日前からの各日の雨量と、(2)予測対象日の前日~数日前の合計雨量と、を用いる。例えば、当日の発電量を予測する場合、過去数日間の雨量の実績値を用いる。例えば、1週間後の発電量を予測する場合、1週間後から遡る数日間における雨量の予測値を用いる。雨量の実績値および予測値は、気象庁や天気予報情報を提供する企業などから入手することができる。例えば、水力発電設備が所在する位置周辺の複数個所の観測所で観測された雨量の実績値や予測値に基づいて、説明変数として入力する雨量を算出してもよい。
【0016】
運転計画とは、例えば、水力発電設備の運転時間である。水力発電による発電量は、運転時間に関係する為、説明変数に運転時間を用いる。説明変数の運転計画情報として、(1)予測対象日および数日前からの各日の運転時間と、(2)予測対象日の前日~数日前の合計運転時間と、を用いる。過去の運転時間は、水力発電設備が保有する運転の実績データから把握することができ、将来の運転時間は、水力発電設備の運転計画から把握することができる。数日前からの運転時間の合計を用いることにより、当日の運転時間だけを用いるよりも運転計画の傾向を含めて予測することができ、予測精度を向上することができる。
【0017】
また、運転計画とは、水力発電設備が運転する暦の情報である。水力発電は季節の影響を受けるため、月や曜日など暦の情報を説明変数として用いる。
【0018】
発電量は、水力発電設備で発電した発電量の実績値または予測モデル141を用いて予測した発電量予測値である。説明変数の発電量として、(1)予測対象日の前日~数日前の各日の発電量(実績値または予測値)と、(2)予測対象日の前日~数日前の合計発電量と、を用いる。過去の発電量の実績値は、水力発電設備が保有する発電量の実績データから把握することができ、将来の発電量は、予測モデル141を用いて逐次的に予測することにより得ることができる。
【0019】
なお、上記説明では、発電量予測の単位期間を1日として説明を行ったが、例えば、単位期間の長さは、1時間や30分などでもよい。つまり、例えば、予測モデル141は、予測対象日(t+1)における30分ごとの発電量の予測値を出力するように作成されてもよい。その場合、例えば、説明変数は、以下のようであってもよい。
天気情報は、(1)予測対象日および数日前からの各日の30分ごとの雨量と、(2)予測対象日の前日~数日前の合計雨量と、を用いる。運転計画の情報として、(1)予測対象日および数日前からの各日の30分ごとの運転時間と、(2)予測対象日の前日~数日前の合計運転時間と、(3)暦の情報と、を用いる。発電量は、(1)予測対象日における30分前~数日前の各日の30分ごとの発電量(実績値または予測値)と、(2)予測対象日における30分前~数日前の合計発電量と、を用いる。そして、次の30分の発電量を予測する場合は、直前の30分の発電量予測値を用いて予測する。
【0020】
また、上記説明では、予測モデル141は、予測対象日の発電量を予測するとしたが、予測モデル141は、予測対象日の発電量とその前日の発電量との差を出力するように作成されていてもよい。つまり、目的変数を、予測対象日の発電量(t+1)-前日の発電量(t)として予測モデルを作成してもよい。また、図3において数日前という記載があるが、例えば、雨量の欄の上段(各日の雨量)の数日前と、下段(合計雨量)の数日前が示す期間は異なっていてもよい。運転時間、発電量の数日前についても同様である。また、雨量、運転時間、発電量の上段に記載された数日前が示す期間は互いに異なっていてもよい。下段に記載された数日前についても同様である。
【0021】
(動作)
次に図4図5を参照して予測システム10の動作について説明する。
(予測モデルの作成処理)
まず、予測モデルの作成処理について説明する。
図4は、実施形態に係る予測モデルの作成処理の一例を示すフローチャートである。
まず、データ取得部11が、予測モデル141作成用のデータを取得する(ステップS1)。例えば、データ取得部11は、過去の所定期間における日ごとの雨量、運転時間、発電量を取得する。データ取得部11は、これらのデータを記憶部14に記録する。
次に予測モデル作成部12は、前処理を行って学習データを作成する(ステップS2)。例えば、予測モデル作成部12は、ステップS1で取得されたデータの中から、過去のある日“D1”を予測対象日として、予測対象日D1およびD1の数日前からの各日の雨量のデータを抽出し、これらを予測対象日D1用の説明変数として設定する。また、予測モデル作成部12は、予測対象日D1の前日から数日前の雨量の合計を計算し、計算した合計値を予測対象日D1用の説明変数として設定する。また、予測モデル作成部12は、予測対象日D1およびD1の数日前からの各日の運転時間および発電量を抽出し、さらに予測対象日D1の前日から数日前の運転時間の合計および発電量の合計を計算し、これらを予測対象日D1用の説明変数として設定する。また、予測モデル作成部12は、予測対象日D1の暦の情報(月と曜日)を予測対象日D1用の説明変数として設定する。また、予測モデル作成部12は、ステップS1で取得されたデータの中から予測対象日D1の発電量を抽出し、この値を予測対象日D1用の目的変数として設定する。予測モデル作成部12は、予測対象日D1を変化させながら、説明変数と目的変数の組み合せ、つまり学習データを多数作成する。予測モデル作成部12は、作成した多数の学習データを記憶部14に書き込んで保存する。
【0022】
次に予測モデル作成部12は、予測モデル141を作成する(ステップS3)。予測モデル作成部12は、ステップS12で作成した学習データを用いて、ランダムフォレストなどの方法により、説明変数と目的変数の関係を学習して予測モデル141を作成する。予測モデル作成部12は、予測モデル141を記憶部14に書き込んで保存する。予測モデル141を構築する方法は、ランダムフォレストに限らず、回帰分析や他の機械学習による方法であってもよい。
【0023】
(発電量の予測処理)
次に予測処理の流れについて説明する。
図5は、実施形態に係る発電量の予測処理の一例を示すフローチャートである。
まず、データ取得部11が、予測対象期間と単位期間の設定を受け付ける(ステップS11)。予測対象期間は、発電量を予測する期間の最初から最後までを示し、単位期間は、予測対象期間においてどの程度の長さの期間ごとの発電量を予測するかを意味する。例えば、ユーザが、予測対象期間として、予測日(予測を実行する日)当日から3日後まで、単位期間として1日ごとの発電量を予測すること指示する情報を予測システム10へ入力する。データ取得部11は、予測対象期間として“当日~3日後”、単位期間として“1日”という設定を記憶部14に記録する。
【0024】
次に、データ取得部11が、予測に必要なデータを取得する(ステップS12)。ここで図6を参照する。予測を行う当日が10月31日、図3を用いて説明した“数日前”が一律3日前であるとする。すると、予測対象期間の最初の日である10月31日の予測に必要なデータは、10月28日~10月30日の発電量、天気情報、運転計画の実績値(白丸印)と、10月31日の天気情報、運転計画の予測値(黒丸印)である。一方、予測対象期間の最終日である11月3日の予測に必要なデータは、10月31日~11月2日の発電量の予測値(黒丸印)、10月31日~11月3日の天気情報および運転計画の予測値(黒丸印)である。ユーザは、10月28日~10月30日の発電量、天気情報、運転計画の実績値と、10月31日~11月3日の天気情報、運転計画の予測値を予測システム10へ入力する。データ取得部11は、これらのデータを、予測に必要なデータとして取得し、記憶部14に記録する。10月31日~11月2日の発電量の予測値については、以降の処理によって算出する。
【0025】
次に予測部13が、変数m、tに初期値を設定する(ステップS13)。ここで、mは、予測日(=当日)から予測対象日の差、tは予測日当日を示す。今回の例では、予測開始日が予測日当日なので、予測部13は、m=0、t=予測日当日(10月31日)を設定する。
次に予測部13が、予測対象期間の最初の予測対象期間における発電量Y(t+m)を予測する(ステップS14)。今回の例の場合、予測部13は、発電量Y(10月31日)を予測する。予測部13は、10月28日~10月30日の発電量、天気情報、運転計画の実績値と、10月31日の天気情報、運転計画の予測値を予測モデル141に入力する。予測モデル141は、10月31日の発電量を出力する。予測モデル141が出力した発電量が発電量Y(10月31日)である。予測部13は、発電量Y(t+m)を記憶部14に記録する。
【0026】
次に予測部13が、変数mに1を加算する(ステップS15)。今回の例の場合、m=0+1=1となる。次に予測部13が、発電量の予測値、発電量Y(t+m-1)を用いて、発電量Y(t+m)を予測する(ステップS16)。つまり、1つ前の単位期間(10月31日)での発電量の予測値を用いて、次の単位期間(11月1日)の発電量を予測する。予測部13は、10月29日~10月31日の天気情報、運転計画の実績値と、11月1日の天気情報、運転計画の予測値、10月29日~10月30日の発電量の実績値と、10月31日の発電量の予測値を予測モデル141に入力する。予測モデル141は、11月1日の発電量を出力する。予測モデル141が出力した発電量が発電量Y(t+m=11月1日)である。予測部13は、発電量Y(t+m-1)を記憶部14に記録する。
【0027】
次に、予測部13は、mがN以上となったか否かを判定する(ステップS17)。ここでNとは、予測対象期間に含まれる単位期間の数から1を減算した値である。今回の例の場合、N=3である。mがN未満の場合(ステップS17;No)、予測部13は、ステップS15以降の処理を繰り返す。例えば、今回の例の場合、m=1であれば、予測部13は、10月30日の発電量の実績値と10月31日~11月1日の発電量の予測値などを用いて、11月2日の発電量の予測を行う。さらに次のループでは、予測部13は、10月31日~11月2日の発電量の予測値などを用いて、11月3日の発電量の予測を行う。このように予測部13は、1つ前の単位期間に対する予測結果を用いて次の単位期間の予測を行う処理を逐次的に繰り返し実行する。
【0028】
mがN以上となると(ステップS17;Yes)、出力部15が予測対象期間における単位期間ごとの発電量の予測値を出力する(ステップS18)。例えば、出力部15は、10月31日~11月3日までの1日ごとの水力発電設備による発電量の予測値を表示装置や電子ファイル等へ出力する。
【0029】
以上の説明では1日ごとの発電量を4日間にわたって予測する例を挙げたが、例えば、30分ごとの発電量予測値を出力するように作成された予測モデル141を用いて、3日先までの30分ごとの発電量予測を行ってもよいし、1カ月先までの1日ごとの発電量予測を行ってもよい。
【0030】
(効果)
以上説明したように、予測システム10によれば、水力発電設備が計測できるデータ(過去の発電量および運転時間の実績値と未来の運転計画)と、市場で入手可能な天気情報(実績値および予測値)と、予測モデル141によって、水力発電設備が供給可能な発電量を精度よく予測することができる。また、逐次的な予測を行うことにより、長期的な発電量の予測を行うことができる。これにより、水力発電設備で発電した電力を売電するような場合、高精度な発電量予測に基づいて、売電する発電量を取り決めることができ、約束した電力量を供給できなかった場合のペナルティを受けるリスクを低減することができる。また、本実施形態の発電量予測では、電力需要量予測などを必要とせず、実績に基づく、自設備の能力に応じた発電量を予測することができる。例えば、発明者が予測モデル141を構築し、図5のフローチャートによる逐次予測を行って結果を評価したところ、数日先の予測では95%程度、1月先で90%程度の精度で発電量を予測できることが確認できた。
【0031】
図7は、実施形態に係る予測システムのハードウェア構成の一例を示す図である。
コンピュータ900は、CPU901、主記憶装置902、補助記憶装置903、入出力インタフェース904、通信インタフェース905を備える。
上述の予測システム10は、コンピュータ900に実装される。そして、上述した各機能は、プログラムの形式で補助記憶装置903に記憶されている。CPU901は、プログラムを補助記憶装置903から読み出して主記憶装置902に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU901は、プログラムに従って、記憶領域を主記憶装置902に確保する。また、CPU901は、プログラムに従って、処理中のデータを記憶する記憶領域を補助記憶装置903に確保する。
【0032】
なお、予測システム10の全部または一部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各機能部による処理を行ってもよい。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、CD、DVD、USB等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ900に配信される場合、配信を受けたコンピュータ900が当該プログラムを主記憶装置902に展開し、上記処理を実行しても良い。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。予測システム10は、複数のコンピュータ900によって構成されていても良い。
【0033】
以上のとおり、本開示に係るいくつかの実施形態を説明したが、これら全ての実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態及びその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0034】
<付記>
実施形態に記載の予測システム10、予測方法およびプログラムは、例えば以下のように把握される。
【0035】
(1)第1の態様に係る予測システム10は、所定の期間(t)に水力発電設備が発電する発電量を発電量(t)とし、前記期間(t)に続く同じ長さの期間を期間(t+1)、前記期間(t+1)における前記発電量を発電量(t+1)としたときに、前記発電量(t)を説明変数に含み、発電量(t+1)を目的変数とする予測モデル141と、所定の予測対象期間を前記期間ごとに分割した場合の最初の前記期間を期間(s)、前記期間(s)における前記発電量を発電量(s)とし、前記期間(s)に続く期間(s+1)における前記発電量を発電量(s+1)とし、前記期間(s+1)に続く期間(s+2)における前記発電量を発電量(s+2)としたときに、前記予測モデルと前記発電量(s)の実績値に基づいて、前記発電量(s+1)を予測し、前記予測モデルと予測した前記発電量(s+1)に基づいて、前記発電量(s+2)を予測する、という処理を逐次的に実行し、前記予測対象期間における前記期間ごとの前記発電量を予測する予測部13と、前記予測部による前記発電量の予測結果を出力する出力部15と、を備える。
取水式の水力発電設備では、例えば、前日と当日で発電可能な発電量が大きく変動しないという知見を得た。この知見に基づいて作成された、発電量(t)を説明変数、発電量(t+1)を目的変数とする予測モデルとこの予測モデルによる予測値を用いると、期間(s)の発電量(s)から期間(s+1)の発電量(s+1)を予測し、発電量(s+1)から期間(s+2)の発電量(s+2)を予測し、といったように逐次的に次の期間の発電量を予測することで予測対象期間の最後の期間である期間(s+N)までの単位期間ごとの発電量を予測することができる。これにより、電力需要などに関係なく、自設備の実績・能力に応じた供給可能な発電量を予測することができる。
【0036】
(2)第2の態様に係る予測システム10は、(1)の予測システム10であって、前記予測モデル141の説明変数は、前記発電量(t)に加え、前記期間(t)における前記水力発電設備の周辺の所定範囲における雨量と、前記期間(t)における前記水力発電設備の運転時間と、を含む(図2)。
これにより、発電量の予測精度を向上することができる。
【0037】
(3)第3の態様に係る予測システム10は、(1)~(2)の予測システム10であって、前記予測モデル141の説明変数は、前記発電量(t)に加え、前記期間(t)を含む前記期間(t)以前の所定期間における前記期間ごとの前記発電量と、前記期間(t)を含む前記期間(t)以前の所定期間における前記発電量の合計と、前記期間(t)を含む前記期間(t)以前の所定期間における前記期間ごとの前記水力発電設備周辺の所定範囲における雨量および前記期間(t+1)における前記雨量と、前記期間(t)を含む前記期間(t)以前の所定期間における前記雨量の合計と、前記期間(t)を含む前記期間(t)以前の所定期間における前記期間ごとの前記水力発電設備の運転時間および前記期間(t+1)における前記運転時間と、前記期間(t)を含む前記期間(t)以前の所定期間における前記運転時間の合計と、前記期間(t+1)の月および曜日の情報と、を含む(図3)。
これにより、発電量の予測精度を向上することができる。
【0038】
(4)第4の態様に係る予測システム10は、(1)~(3)の予測システム10であって、前記説明変数と前記目的変数との関係を学習することによって、前記予測モデルを作成する予測モデル作成部、をさらに備える。
これにより、予測モデル141を作成することができる。
【0039】
(5)第5の態様に係る予測システム10は、(1)~(4)の予測システム10であって、前記予測モデル141の前記目的変数が、前記発電量(t+1)に替えて、前記発電量(t)と前記発電量(t+1)の差である。
目的変数を発電量(t)と発電量(t+1)の差とおくことによっても、予測モデル141を作成することができる。
【0040】
(6)第6の態様に係る予測方法は、所定の期間(t)に水力発電設備が発電する発電量を発電量(t)とし、前記期間(t)に続く同じ長さの期間を期間(t+1)、前記期間(t+1)における前記発電量を発電量(t+1)としたときに、前記発電量(t)を説明変数に含み、発電量(t+1)を目的変数とする予測モデルを用いて、所定の予測対象期間を前記期間ごとに分割した場合の最初の前記期間を期間(s)、前記期間(s)における前記発電量を発電量(s)とし、前記期間(s)に続く期間(s+1)における前記発電量を発電量(s+1)とし、前記期間(s+1)に続く期間(s+2)における前記発電量を発電量(s+2)としたときに、前記予測モデルと前記発電量(s)の実績値に基づいて、前記発電量(s+1)を予測し、前記予測モデルと予測した前記発電量(s+1)に基づいて、前記発電量(s+2)を予測する、という処理を逐次的に実行し、前記予測対象期間における前記期間ごとの前記発電量を予測し、前記予測による前記発電量の予測結果を出力する。
【0041】
(7)第7の態様に係るプログラムは、コンピュータに、所定の期間(t)に水力発電設備が発電する発電量を発電量(t)とし、前記期間(t)に続く同じ長さの期間を期間(t+1)、前記期間(t+1)における前記発電量を発電量(t+1)としたときに、前記発電量(t)を説明変数に含み、発電量(t+1)を目的変数とする予測モデルを用いて、所定の予測対象期間を前記期間ごとに分割した場合の最初の前記期間を期間(s)、前記期間(s)における前記発電量を発電量(s)とし、前記期間(s)に続く期間(s+1)における前記発電量を発電量(s+1)とし、前記期間(s+1)に続く期間(s+2)における前記発電量を発電量(s+2)としたときに、前記予測モデルと前記発電量(s)の実績値に基づいて、前記発電量(s+1)を予測し、前記予測モデルと予測した前記発電量(s+1)に基づいて、前記発電量(s+2)を予測する、という処理を逐次的に実行し、前記予測対象期間における前記期間ごとの前記発電量を予測し、前記予測による前記発電量の予測結果を出力する処理を実行させる。
【符号の説明】
【0042】
10・・・予測システム
11・・・データ取得部
12・・・予測モデル作成部
13・・・予測部
14・・・記憶部
141・・・予測モデル
15・・・出力部
900・・・コンピュータ
901・・・CPU
902・・・主記憶装置
903・・・補助記憶装置
904・・・入出力インタフェース
905・・・通信インタフェース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7