(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】固体撮像素子および撮像装置
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20241220BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20241220BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20241220BHJP
H01L 23/522 20060101ALI20241220BHJP
H04N 25/76 20230101ALI20241220BHJP
【FI】
H01L27/146 F
H01L27/146 A
H01L21/88 J
H04N25/76
(21)【出願番号】P 2020553731
(86)(22)【出願日】2019-10-10
(86)【国際出願番号】 JP2019039986
(87)【国際公開番号】W WO2020090403
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2022-10-04
(31)【優先権主張番号】P 2018203704
(32)【優先日】2018-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山川 真弥
【審査官】加藤 俊哉
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/077580(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/169884(WO,A1)
【文献】特開2012-054786(JP,A)
【文献】特開2009-016418(JP,A)
【文献】特開2008-311678(JP,A)
【文献】特開2011-071347(JP,A)
【文献】特開2013-016963(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H01L 21/3205
H04N 25/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換部
、前記光電変換部に電気的に接続された転送トランジスタ
、および前記光電変換部で生成された信号電荷が、前記転送トランジスタから転送される電荷蓄積部を有する第1基板と、
前記第1基板に対向して設けられ、かつ、ゲート電極と、前記ゲート電極に対向して配置された第1導電型のチャネル領域と、前記
第1導電型のチャネル領域に隣接する前記第1導電型のソース・ドレイン領域とを含む出力トランジスタを有する第2基板と、
前記光電変換部で生成された信号電荷が、前記転送トランジスタおよび前記出力トランジスタを介して出力される駆動回路と
を備え、
前記第1基板は、光入射側となる第1面および前記第1面と対向する第2面を有する半導体基板を含み、
前記半導体基板は、前記第1導電型とは導電型の異なる第2導電型のウェル領域を有し、
前記光電変換部は前記第2導電型のウェル領域に埋め込み形成され、
前記電荷蓄積部は、前記半導体基板の前記第1面近傍の前記第2導電型のウェル領域に設けられた前記第1導電型の不純物拡散領域により構成され、
前記転送トランジスタは、前記光電変換部と前記電荷蓄積部との間に前記第2導電型のチャネル領域を有する
固体撮像素子。
【請求項2】
前記ゲート電極は、平板形状を有する
請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項3】
更に、前記第2基板を間にして前記第1基板に対向し、前記駆動回路が設けられた第3基板を有する
請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項4】
光入射側となる第1面および前記第1面と対向する第2面を有する半導体基板と、
光電変換部と、
前記光電変換部に電気的に接続された転送トランジスタと、
前記光電変換部で生成された信号電荷が、前記転送トランジスタから転送される電荷蓄積部と、
前記転送トランジスタに電気的に接続され、第1導電型のチャネル領域と、前記
第1導電型のチャネル領域を覆う複数の面を有するゲート電極と、前記
第1導電型のチャネル領域に隣接する前記第1導電型のソース・ドレイン領域とを含む出力トランジスタと、
前記光電変換部で生成された信号電荷が、前記転送トランジスタおよび前記出力トランジスタを介して出力される駆動回路と
を備え、
前記半導体基板は、前記第1導電型とは導電型の異なる第2導電型のウェル領域を有し、
前記光電変換部は前記第2導電型のウェル領域に埋め込み形成され、
前記電荷蓄積部は、前記半導体基板の前記第1面近傍の前記第2導電型のウェル領域に設けられた前記第1導電型の不純物拡散領域により構成され、
前記転送トランジスタは、前記光電変換部と前記電荷蓄積部との間に前記第2導電型のチャネル領域を有する
固体撮像素子。
【請求項5】
更に、前記光電変換部
、前記光電変換部に電気的に接続された
前記転送トランジスタ
、および前記光電変換部で生成された信号電荷が、前記転送トランジスタから転送される電荷蓄積部を有する第1基板と、
前記第1基板に対向して設けられ、前記出力トランジスタを有する第2基板と、
前記第2基板を間にして前記第1基板に対向し、前記駆動回路が設けられた第3基板とを有する
請求項4に記載の固体撮像素子。
【請求項6】
更に、前記ゲート電極と前記
第1導電型のチャネル領域との間のゲート絶縁膜を有する
請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項7】
更に、前記電荷蓄積部の電位の大きさに応じた信号を出力する増幅トランジスタと、
前記電荷蓄積部の電位をリセットするリセットトランジスタと、
前記増幅トランジスタの出力を制御する選択トランジスタとを有し、
前記増幅トランジスタ、前記リセットトランジスタおよび前記選択トランジスタの少なくとも1つが、前記出力トランジスタである
請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項8】
更に、前記
第1導電型のチャネル領域および前記ソース・ドレイン領域が設けられたフィンを有する
請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項9】
前記フィンには、複数の前記
第1導電型のチャネル領域および複数のソース・ドレイン領域が連続して設けられている
請求項8に記載の固体撮像素子。
【請求項10】
前記ゲート電極は、前記
第1導電型のチャネル領域を間にして対向する第1面および第2面と、前記第1面および前記第2面をつなぐ第3面とを含む
請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項11】
前記ゲート電極は、更に、前記
第1導電型のチャネル領域を間にして前記第3面に対向する第4面を含む
請求項10に記載の固体撮像素子。
【請求項12】
前記ゲート電極は、第2導電型のポリシリコンを含む
請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項13】
光電変換部
、前記光電変換部に電気的に接続された転送トランジスタ
、および前記光電変換部で生成された信号電荷が、前記転送トランジスタから転送される電荷蓄積部を有する第1基板と、
前記第1基板に対向して設けられ、かつ、ゲート電極と、前記ゲート電極に対向して配置された第1導電型のチャネル領域と、前記
第1導電型のチャネル領域に隣接する前記第1導電型のソース・ドレイン領域とを含む出力トランジスタを有する第2基板と、
前記光電変換部で生成された信号電荷が、前記転送トランジスタおよび前記出力トランジスタを介して出力される駆動回路と
を備え、
前記第1基板は、光入射側となる第1面および前記第1面と対向する第2面を有する半導体基板を含み、
前記半導体基板は、前記第1導電型とは導電型の異なる第2導電型のウェル領域を有し、
前記光電変換部は前記第2導電型のウェル領域に埋め込み形成され、
前記電荷蓄積部は、前記半導体基板の前記第1面近傍の前記第2導電型のウェル領域に設けられた前記第1導電型の不純物拡散領域により構成され、
前記転送トランジスタは、前記光電変換部と前記電荷蓄積部との間に前記第2導電型のチャネル領域を有する
固体撮像素子を備えた撮像装置。
【請求項14】
光入射側となる第1面および前記第1面と対向する第2面を有する半導体基板と、
光電変換部と、
前記光電変換部に電気的に接続された転送トランジスタと、
前記光電変換部で生成された信号電荷が、前記転送トランジスタから転送される電荷蓄積部と、
前記転送トランジスタに電気的に接続され、第1導電型のチャネル領域と、前記
第1導電型のチャネル領域を覆う複数の面を有するゲート電極と、前記
第1導電型のチャネル領域に隣接する前記第1導電型のソース・ドレイン領域とを含む出力トランジスタと、
前記光電変換部で生成された信号電荷が、前記転送トランジスタおよび前記出力トランジスタを介して出力される駆動回路と
を備え、
前記半導体基板は、前記第1導電型とは導電型の異なる第2導電型のウェル領域を有し、
前記光電変換部は前記第2導電型のウェル領域に埋め込み形成され、
前記電荷蓄積部は、前記半導体基板の前記第1面近傍の前記第2導電型のウェル領域に設けられた前記第1導電型の不純物拡散領域により構成され、
前記転送トランジスタは、前記光電変換部と前記電荷蓄積部との間に前記第2導電型のチャネル領域を有する
固体撮像素子を備えた撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、光電変換部を有する固体撮像素子および撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、イメージセンサは、画像撮影の用途に加えて、監視および自動車の自動運転等の用途にも用いられている。このようなイメージセンサには、例えば、CCD(Charge Coupled Device)およびCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の固体撮像素子が用いられる。
【0003】
固体撮像素子は、例えば、画素毎に設けられた光電変換部と、光電変換部で発生した信号電荷を、駆動回路に出力する出力トランジスタとを含んでいる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
このような固体撮像素子では、ノイズを抑えることが望まれている。
【0006】
したがって、ノイズを抑えることが可能な固体撮像素子および、これを備えた撮像装置を提供することが望ましい。
【0007】
本開示の一実施の形態に係る固体撮像素子(1)は、光電変換部、光電変換部に電気的に接続された転送トランジスタ、および光電変換部で生成された信号電荷が、転送トランジスタから転送される電荷蓄積部を有する第1基板と、第1基板に対向して設けられ、かつ、ゲート電極と、ゲート電極に対向して配置された第1導電型のチャネル領域と、第1導電型のチャネル領域に隣接する第1導電型のソース・ドレイン領域とを含む出力トランジスタを有する第2基板と、光電変換部で生成された信号電荷が、転送トランジスタおよび出力トランジスタを介して出力される駆動回路とを備えたものであり、第1基板は、光入射側となる第1面および第1面と対向する第2面を有する半導体基板を含み、半導体基板は、第1導電型とは導電型の異なる第2導電型のウェル領域を有し、光電変換部は第2導電型のウェル領域に埋め込み形成され、電荷蓄積部は、半導体基板の第1面近傍の第2導電型のウェル領域に設けられた第1導電型の不純物拡散領域により構成され、転送トランジスタは、光電変換部と電荷蓄積部との間に第2導電型のチャネル領域を有する。
【0008】
本開示の一実施の形態に係る撮像装置(1)は、上記本開示の一実施の形態に係る固体撮像素子(1)を備えたものである。
【0009】
本開示の一実施の形態に係る固体撮像素子(2)は、光入射側となる第1面および第1面と対向する第2面を有する半導体基板と、光電変換部と、光電変換部に電気的に接続された転送トランジスタと、光電変換部で生成された信号電荷が、転送トランジスタから転送される電荷蓄積部と、転送トランジスタに電気的に接続され、第1導電型のチャネル領域と、第1導電型のチャネル領域を覆う複数の面を有するゲート電極と、第1導電型のチャネル領域に隣接する第1導電型のソース・ドレイン領域とを含む出力トランジスタと、光電変換部で生成された信号電荷が、転送トランジスタおよび出力トランジスタを介して出力される駆動回路とを備えたものであり、半導体基板は、第1導電型とは導電型の異なる第2導電型のウェル領域を有し、光電変換部は第2導電型のウェル領域に埋め込み形成され、電荷蓄積部は、半導体基板の第1面近傍の第2導電型のウェル領域に設けられた第1導電型の不純物拡散領域により構成され、転送トランジスタは、光電変換部と電荷蓄積部との間に第2導電型のチャネル領域を有する。
【0010】
本開示の一実施の形態に係る撮像装置(2)は、上記本開示の一実施の形態に係る固体撮像素子(2)を備えたものである。
【0011】
本開示の一実施の形態に係る固体撮像素子(1)(2)および撮像装置(1)(2)では、出力トランジスタが、ソース・ドレイン領域の導電型と同じ導電型(第1導電型)のチャネル領域を有しているので、チャネル領域の電流経路は、ゲート電極側の界面から離れて形成される。これにより、チャネル領域を流れるキャリアが、ゲート電極側の界面に捕獲(トラップ)されにくくなる。
【0012】
なお、以下に記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれの効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示の第1の実施の形態に係る撮像素子の機能構成の一例を表すブロック図である。
【
図2】
図1に示した画素の回路構成の一例を表す図である。
【
図3】
図1に示した画素の構成の一例を表す平面模式図である。
【
図4A】
図3に示したA-A’線に沿った断面構成を表す模式図である。
【
図4B】
図3に示したB-B’線に沿った断面表す模式図である。
【
図5】
図4Bに示したゲート電極の構成の他の例を表す断面模式図である。
【
図6A】比較例に係る増幅トランジスタの
図4Aに対応した断面模式図である。
【
図6B】比較例に係る増幅トランジスタ
図4Bに対応した断面模式図である。
【
図7】
図4Bに示した増幅トランジスタを流れる電流経路を表す断面模式図である。
【
図8】変形例1に係る撮像素子の構成を表す断面模式図である。
【
図9】変形例2に係る撮像素子の構成を表す断面模式図である。
【
図10】変形例3に係る撮像素子の画素の回路構成の一例を表す図である。
【
図11】
図10に示した撮像素子の平面構成の一例を表す模式図である。
【
図12】本開示の第2の実施の形態に係る撮像素子の要部の概略構成を表す模式図である。
【
図13】
図12の画素および読み出し回路の一例を表す図である。
【
図14】
図12の画素および読み出し回路の一例を表す図である。
【
図15】
図12の画素および読み出し回路の一例を表す図である。
【
図16】
図12の画素および読み出し回路の一例を表す図である。
【
図17】複数の読み出し回路と複数の垂直信号線との接続態様の一例を表す図である。
【
図18】
図12の撮像素子の垂直方向の断面構成の一例を表す図である。
【
図19】変形例4に係る撮像素子の要部の構成を表す平面模式図である。
【
図20A】
図19に示したA-A’線に沿った断面構成を表す模式図である。
【
図20B】
図19に示したB-B’線に沿った断面構成を表す模式図である。
【
図21A】
図20A等に示した撮像素子の製造方法の一工程を表す断面模式図である。
【
図23】変形例5に係る撮像素子の要部の構成を表す断面模式図である。
【
図24】
図23の撮像素子の水平方向の断面構成の一例を表す図である。
【
図25】
図23の撮像素子の水平方向の断面構成の一例を表す図である。
【
図26】
図23の撮像素子の水平面内での配線レイアウトの一例を表す図である。
【
図27】
図23の撮像素子の水平面内での配線レイアウトの一例を表す図である。
【
図28】
図23の撮像素子の水平面内での配線レイアウトの一例を表す図である。
【
図29】
図23の撮像素子の水平面内での配線レイアウトの一例を表す図である。
【
図30】変形例6に係る撮像素子の垂直方向の断面構成の一例を表す図である。
【
図31】変形例7に係る撮像素子の水平方向の断面構成の一例を表す図である。
【
図32】
図23に示した撮像素子の水平方向の断面構成の他の例を表す図である。
【
図33】変形例8に係る撮像素子の水平方向の断面構成の一例を表す図である。
【
図34】変形例9に係る撮像素子の水平方向の断面構成の一例を表す図である。
【
図35】変形例10に係る撮像素子の水平方向の断面構成の一例を表す図である。
【
図36】
図35に示した撮像素子の水平方向の断面構成の他の例(1)を表す図である。
【
図37】
図35に示した撮像素子の水平方向の断面構成の他の例(2)を表す図である。
【
図38】上記第2の実施の形態およびその変形例に係る撮像素子の回路構成の一例を表す図である。
【
図39】
図38の撮像装置を3つの基板を積層して構成した例を表す図である。
【
図40】ロジック回路を、画素Pの設けられた基板と、読み出し回路の設けられた基板とに分けて形成した例を表す図である。
【
図41】ロジック回路を、第3基板に形成した例を表す図である。
【
図42】上記実施の形態およびその変形例に係る撮像装置を備えた撮像装置の概略構成の一例を表す図である。
【
図43】
図42の撮像装置における撮像手順の一例を表す図である。
【
図44】体内情報取得システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図45】内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【
図46】カメラヘッド及びCCUの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図47】車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図48】車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本技術の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(ソース・ドレイン領域と同じ導電型のチャネル領域を有する増幅トランジスタが設けられた固体撮像素子の例)
2.変形例1(増幅トランジスタがFin FET(Field Effect Transistor)構造を有する例)
3.変形例2(増幅トランジスタがGAA(Gate All Around)構造を有する例)
4.変形例3(複数の画素で増幅トランジスタが共有される例)
5.第2の実施の形態(第1基板、第2基板および第3基板の積層構造を有する固体撮像素子の例)
6.変形例4(リセットトランジスタ、増幅トランジスタおよび選択トランジスタがFin FET構造を有する例)
7.変形例5(FTI(Full Trench Isolation)構造を有する例)
8.変形例6(パネル外縁でCu-Cu接合を用いた例)
9.変形例7(画素と読み出し回路との間にオフセットを設けた例)
10.変形例8(読み出し回路の設けられたシリコン基板が島状となっている例)
11.変形例9(読み出し回路の設けられたシリコン基板が島状となっている例)
12.変形例10(FDを4つの画素Pで共有した例)
13.変形例11(信号処理回路を一般的なカラムADC回路で構成した例)
14.変形例12(撮像素子を、3つの基板を積層して構成した例)
15.変形例13(ロジック回路を第1基板、第2基板に設けた例)
16.変形例14(ロジック回路を第3基板に設けた例)
17.適用例(電子機器の例)
18.応用例
【0015】
<第1の実施の形態>
(撮像素子10の全体構成)
図1は、本開示の第1の実施の形態に係る固体撮像素子(撮像素子10)の機能構成の一例を表すブロック図である。この撮像素子10は、例えば、CMOSイメージセンサ等の増幅型固体撮像素子である。撮像素子10は、他の増幅型固体撮像素子であってもよく、あるいは、CCD等の電荷転送型の固体撮像素子であってもよい。
【0016】
撮像素子10は、画素アレイ部12および周辺回路部が設けられた半導体基板11を有している。画素アレイ部12は、例えば半導体基板11の中央部に設けられ、周辺回路部は、画素アレイ部12の外側に設けられている。周辺回路部は、例えば、垂直駆動回路13、信号処理回路14、水平駆動回路15、およびシステム制御回路16を含んでいる。
【0017】
画素アレイ部12には、入射光の光量に応じた電荷量の信号電荷を発生して内部に蓄積する光電変換部を有する単位画素(画素P)が行列状に2次元配置されている。換言すれば、複数の画素Pは、
図1のX方向(第1方向)およびY方向(第2方向)に沿って配置されている。ここで言う「単位画素」とは、撮像信号を得るための撮像画素である。画素P(撮像画素)の具体的な回路構成については後述する。
【0018】
画素アレイ部12には、行列状の画素配列に対して画素行毎に画素駆動線17が行方向(画素行の画素の配列方向)に沿って配線され、画素列毎に垂直信号線18が列方向(画素列の画素の配列方向)に沿って配線されている。画素駆動線17は、垂直駆動回路13から行単位で出力される、画素を駆動するための駆動信号を伝送する。
図1では、画素駆動線17について1本の配線として示しているが、1本に限られるものではない。画素駆動線17の一端は、垂直駆動回路13の各行に対応した出力端に接続されている。
【0019】
垂直駆動回路13は、シフトレジスタやアドレスデコーダ等によって構成され、画素アレイ部12の各画素を、例えば行単位で駆動する。ここでは、垂直駆動回路13の具体的な構成については図示を省略するが、一般的に、読出し走査系と掃出し走査系の2つの走査系を有する構成となっている。
【0020】
読出し走査系は、単位画素から信号を読み出すために、画素アレイ部12の単位画素を行単位で順に選択走査する。単位画素から読み出される信号はアナログ信号である。掃出し走査系は、読出し走査系によって読出し走査が行われる読出し行に対して、その読出し走査よりもシャッタスピードの時間分だけ先行して掃出し走査を行う。
【0021】
この掃出し走査系による掃出し走査により、読出し行の単位画素の光電変換部から不要な電荷が掃き出されることによって光電変換部がリセットされる。そして、この掃出し走査系による不要電荷の掃き出し(リセット)により、いわゆる電子シャッタ動作が行われる。ここで、電子シャッタ動作とは、光電変換部の信号電荷を捨てて、新たに露光を開始する(信号電荷の蓄積を開始する)動作のことをいう。
【0022】
読出し走査系による読出し動作によって読み出される信号は、その直前の読出し動作または電子シャッタ動作以降に入射した光量に対応するものである。そして、直前の読出し動作による読出しタイミングまたは電子シャッタ動作による掃出しタイミングから、今回の読出し動作による読出しタイミングまでの期間が、単位画素における信号電荷の蓄積期間(露光期間)となる。
【0023】
垂直駆動回路13によって選択走査された画素行の各単位画素から出力される信号は、垂直信号線18の各々を通して信号処理回路14に供給される。信号処理回路14は、画素アレイ部12の画素列毎に、選択行の各画素から垂直信号線18を通して出力される信号に対して所定の信号処理を施すとともに、信号処理後の画素信号を一時的に保持する。
【0024】
具体的には、信号処理回路14は、単位画素の信号を受け、その信号に対して、例えばCDS(Correlated Double Sampling)によるノイズ除去、信号増幅、AD(Analog-Digital)変換等の信号処理を行う。ノイズ除去処理により、リセットノイズや増幅トランジスタの閾値ばらつき等といった画素固有の固定パターンノイズが除去される。なお、ここで例示した信号処理は一例に過ぎず、信号処理としてはこれらに限られるものではない。ここでは、この信号処理回路14が、本開示の駆動回路の一具体例に対応する。
【0025】
水平駆動回路15は、シフトレジスタやアドレスデコーダ等によって構成され、信号処理回路14の画素列に対応する単位回路を順番に選択する走査を行う。水平駆動回路15による選択走査により、信号処理回路14の各単位回路で信号処理された画素信号が順番に水平バスBに出力され、水平バスBを通して半導体基板11の外部へ伝送される。
【0026】
システム制御回路16は、半導体基板11の外部から与えられるクロックや、動作モードを指令するデータ等を受け取り、また、撮像素子10の内部情報等のデータを出力する。さらに、システム制御回路16は、各種のタイミング信号を生成するタイミングジェネレータを有し、そのタイミングジェネレータで生成された各種のタイミング信号を基に垂直駆動回路13、信号処理回路14、および水平駆動回路15等の周辺回路部の駆動制御を行う。
【0027】
(画素Pの回路構成)
図2は、各画素Pから出力された電荷に基づく画素信号を出力する読み出し回路20の一例を示す回路図である。
【0028】
各画素Pは、光電変換部として、例えばフォトダイオード21を有している。画素P毎に設けられたフォトダイオード21には、例えば、転送トランジスタ22、リセットトランジスタ23、増幅トランジスタ24、および選択トランジスタ25が接続されている。ここでは、本開示の出力トランジスタの一具体例が増幅トランジスタ24である。
【0029】
また、画素Pに対して、画素駆動線17として、例えば、転送線17a、リセット線17b、および選択線17cの3本の駆動配線が同一画素行の各画素Pについて共通に設けられている。転送線17a、リセット線17b、および選択線17cは、それぞれの一端が垂直駆動回路13の各画素行に対応した出力端に画素行単位で接続されており、画素Pを駆動する駆動信号である転送パルスφTRF、リセットパルスφRST、および選択パルスφSELを伝送する。
【0030】
フォトダイオード21は、アノード電極が負側電源(例えば、グランド)に接続されており、受光した光(入射光)をその光量に応じた電荷量の信号電荷に光電変換してその信号電荷を蓄積する。フォトダイオード21のカソード電極は、転送トランジスタ22を介して増幅トランジスタ24のゲート電極と電気的に接続されている。増幅トランジスタ24のゲート電極と電気的に繋がったノードを、FD(フローティングディフュージョン)部26(電荷蓄積部)という。
【0031】
転送トランジスタ22は、フォトダイオード21のカソード電極とFD部26との間に接続されている。転送トランジスタ22のゲート電極には、高レベル(例えば、Vddレベル)がアクティブ(以下、Highアクティブという)の転送パルスφTRFが転送線17aを介して与えられる。これにより、転送トランジスタ22は導通状態となり、フォトダイオード21で光電変換された信号電荷がFD部26に転送される。
【0032】
リセットトランジスタ23は、ドレイン電極が画素電源Vddに、ソース電極がFD部26にそれぞれ接続されている。リセットトランジスタ23のゲート電極には、HighアクティブのリセットパルスφRSTがリセット線17bを介して与えられる。これにより、リセットトランジスタ23は導通状態となり、FD部26の電荷を画素電源Vddに捨てることによってFD部26がリセットされる。
【0033】
増幅トランジスタ24は、ゲート電極がFD部26に、ドレイン電極が画素電源Vddにそれぞれ接続されている。そして、増幅トランジスタ24は、リセットトランジスタ23によってリセットされた後のFD部26の電位をリセット信号(リセットレベル)Vrstとして出力する。さらに、増幅トランジスタ24は、転送トランジスタ22によって信号電荷が転送された後のFD部26の電位を光蓄積信号(信号レベル)Vsigとして出力する。
【0034】
選択トランジスタ25は、例えば、ドレイン電極が増幅トランジスタ24のソース電極に、ソース電極が垂直信号線18にそれぞれ接続されている。選択トランジスタ25のゲート電極には、Highアクティブの選択パルスφSELが選択線17cを介して与えられる。これにより、選択トランジスタ25は導通状態となり、単位画素Pを選択状態として増幅トランジスタ24から供給される信号が垂直信号線18に出力される。
【0035】
垂直信号線18は、定電圧でバイアスされた定電流源のトランジスタ(図示せず)に接続されている。したがって、増幅トランジスタ24、選択トランジスタ25および垂直信号線18は、いわゆるソースフォロワ回路を構成している。
【0036】
図2の例では、選択トランジスタ25を、増幅トランジスタ24のソース電極と垂直信号線18との間に接続する回路構成としたが、選択トランジスタ25を、画素電源Vddと増幅トランジスタ24のドレイン電極との間に接続する回路構成を採ることも可能である。
【0037】
各画素Pの回路構成は、上述した4つのトランジスタからなる画素構成のものに限られるものではない。例えば、増幅トランジスタ24と選択トランジスタ25とを兼用した3つのトランジスタからなる画素構成のもの等であってもよく、その画素回路の構成は問わない。
【0038】
(画素Pの具体的な構成)
以下、
図3、
図4Aおよび
図4Bを用いて画素Pの具体的な構成について説明する。
図3は、画素Pの平面構成を模式的に表したものであり、
図4Aは、
図3に示したA-A’線に沿った断面構成、
図4Bは、
図3に示したB-B’線に沿った断面構成を各々模式的に表したものである。
【0039】
この撮像素子10は、例えば裏面照射型の撮像素子である。各画素Pの広い領域にわたって、例えば略四角形状の平面形状を有するフォトダイオード21が設けられている。各画素Pの端近傍には、例えば、リセットトランジスタ23、増幅トランジスタ24および選択トランジスタ25がこの順に並んで配置されている。リセットトランジスタ23とフォトダイオード21との間に、FD部26および転送トランジスタ22が設けられている(
図3)。増幅トランジスタ24は、半導体基板11の一方の面(後述の面S11B)側に設けられており、ゲート電極24G、ゲート絶縁膜24I、チャネル領域24Cおよび一対のソース・ドレイン領域24A,24Bを有している。
【0040】
半導体基板11は、光入射側の面S11Aと、面S11Aに対向する面S11Bとを有している。この半導体基板11は、例えばシリコン(Si)により構成されている。この半導体基板11には、画素P毎に、フォトダイオード21が設けられている。フォトダイオード21は、例えばpn接合を有するフォトダイオードであり、p型ウェル領域111に形成された、p型不純物領域21aおよびn型不純物領域21bを有している。例えば、半導体基板11の面S11B側から、厚み方向に沿ってp型不純物領域21aおよびn型不純物領域21bがこの順に設けられている。例えば、p型不純物領域21aの深さ方向(
図4BのZ方向)の大きさは、30nm~200nm程度であり、n型不純物領域21bの深さ方向の大きさは、1μm~5μm程度である。例えば、p型不純物領域21aの不純物濃度は、1×10
18cm
-3~1×10
19cm
-3程度であり、n型不純物領域21bの不純物濃度は、1×10
15cm
-3×1×10
18cm
-3程度である。p型ウェル領域111の不純物濃度は、例えば、1×10
16cm
-3~1×10
18cm
-3程度である。
【0041】
半導体基板11内の面S11B近傍には、増幅トランジスタ24のチャネル領域24Cおよび一対のソース・ドレイン領域24A,24Bが設けられている。一対のソース・ドレイン領域24A,24Bは、例えば、p型ウェル領域111に形成されたn型(第1導電型)の不純物拡散領域であり、チャネル領域24Cに隣接して設けられている。増幅トランジスタ24のチャネル長方向(
図4AのY方向)に沿って、ソース・ドレイン領域24A、チャネル領域24Cおよびソース・ドレイン領域24Bがこの順に設けられている。ソース・ドレイン領域24A,24Bの不純物濃度は、例えば1×10
19cm
-3×1×10
21cm
-3程度である。本実施の形態では、増幅トランジスタ24のチャネル領域24Cが、このソース・ドレイン領域24A,24Bと同じ導電型のn型の不純物拡散領域により形成されている。即ち、増幅トランジスタ24がジャンクションレス構造を有している。詳細は後述するが、これにより、チャネル領域24Cを流れるキャリアが、ゲート絶縁膜24Iとの界面に捕獲(トラップ)されにくくなり、増幅トランジスタ24でのノイズの発生を抑えることができる。
【0042】
一対のソース・ドレイン領域24A,24Bの間に配置されたチャネル領域24Cは、p型ウェル領域111に形成されたn型の不純物拡散領域である。このチャネル領域24Cの不純物濃度は、5×10
17cm
-3×1×10
19cm
-3程度である。チャネル領域24Cは、ゲート電極24Gに囲まれている。チャネル領域24Cのチャネル長方向の大きさは、例えば200nm~3000nm程度である。チャネル領域24Cのチャネル幅方向(
図4BのX方向)の大きさは、例えば、20nm~200nm程度である。チャネル領域24Cの深さ方向の大きさ(大きさD)は、例えば、一対のソース・ドレイン領域24A,24Bの深さ方向の大きさよりも大きくなっており、50nm~500nm程度である。
【0043】
チャネル領域24Cを囲むゲート電極24Gは、対向する一対の側面241,242と、この一対の側面241,242をつなぐ上面243とを有しており、これら一対の側面241,242および上面243が、各々チャネル領域24Cに対向している。換言すれば、一対の側面241,242および上面243は、チャネル領域24Cを囲む凹形状を形成している。
【0044】
一対の側面241,242は、半導体基板11の面S11Bに略垂直な平面(
図4BのYZ平面)であり、チャネル幅方向に対向している。この一対の側面241,242の間にチャネル領域24Cが設けられている。一対の側面241,242の一部または全部は、半導体基板11に埋め込まれている。一対の側面241,242のうち、半導体基板11に埋め込まれた部分の深さ方向の大きさは、例えば、100nm~500nm程度である。
【0045】
図5は、一対の側面241,242の他の例を表している。一対の側面241,242からチャネル領域24Cの一部が露出されていてもよい。チャネル領域24Cの深さ方向の大きさの半分以上が、一対の側面241,242により覆われていることが好ましい。
【0046】
上面243は、半導体基板11の面S11Bに略平行な平面(
図3BのXY平面)であり、半導体基板11の外側に設けられている。即ち、上面243は、半導体基板11に対向して設けられている。上面243は、一対の側面241,242各々の一端に接している。
【0047】
この一対の側面241,242および上面243を含むゲート電極24Gは、例えば、p型(第2導電型)のポリシリコン(Poly-Si)等により構成されている。ゲート電極24Gは、タングステン(W),チタン(Ti),窒化チタン(TiN),ハフニウム(Hf),ハフニウムシリサイド(HfSi),ルテニウム(Ru),イリジウム(Ir)およびコバルト(Co)等の金属により構成するようにしてもよい。
【0048】
一対の側面241,242および上面243各々とチャネル領域24Cとの間に、ゲート絶縁膜24Iが設けられている。このゲート絶縁膜24Iは、例えば酸化シリコン(SiO)等の絶縁膜により構成されている。ゲート絶縁膜24Iの厚みは、例えば3nm~15nm程度である。
【0049】
半導体基板11に埋め込まれた側面241,242の周囲には、素子分離領域(STI:Shallow Trench Isolation)112が設けられている。この素子分離領域112は、例えば、酸化シリコン等の絶縁性材料により構成されている。半導体基板11内では、側面242とフォトダイオード21との間に、素子分離領域112が設けられている。
【0050】
(撮像素子10の動作)
撮像素子10では、半導体基板11の面S11Aからフォトダイオード21へ光(例えば可視領域の波長の光)が入射すると、フォトダイオード21で正孔(ホール)および電子の対が発生する(光電変換される)。転送トランジスタ22がオン状態となると、フォトダイオード21に蓄積された信号電荷がFD部26に転送される。FD部26では、信号電荷が電圧信号に変換され、この電圧信号が、増幅トランジスタ24および選択トランジスタ25を介して、垂直信号線18に出力される。
【0051】
(撮像素子10の作用・効果)
本実施の形態の撮像素子10では、増幅トランジスタ24が、いわゆるジャンクションレストランジスタであり、ソース・ドレイン領域24A,24Bの導電型(n型)と同じ導電型のチャネル領域24Cを有している。これにより、チャネル領域24Cの電流経路が、ゲート絶縁膜24Iとの界面から離れて形成されるので、チャネル領域24Cを流れるキャリアが、ゲート絶縁膜24Iとの界面に捕獲されにくくなる。以下、この作用効果について、比較例を用いて説明する。
【0052】
図6A,
図6Bは、比較例に係る増幅トランジスタ(増幅トランジスタ124)の模式的な断面構成を表している。
図6Aが、
図3のA-A’線に沿った断面構成に対応し、
図6Bが
図3のB-B’線に沿った断面構成に対応している。この増幅トランジスタ124のゲート電極(ゲート電極124G)は、半導体基板11の外側に設けられた1つの平面のみにより構成されている。このゲート電極124Gは、半導体基板11内に埋め込まれていない。ゲート電極124Gに対向するチャネル領域124Cは、例えば、一対のソース・ドレイン領域24A,24Bの導電型(n型)とは逆の導電型(p型)の不純物拡散領域により構成されている。チャネル領域124Cは、薄いn型であってもよいが、チャネル領域124Cの深さ方向(
図6AのZ方向)の大きさ(大きさD100)を大きくすることは困難である。半導体基板11の外側のみに設けられたゲート電極124Gにより、増幅トランジスタ124のオンオフを制御するためである。チャネル領域124Cの深さ方向の大きさD100は、例えば、50nm程度であり、ソース・ドレイン領域24A,24Bの深さ方向の大きさよりも小さくなっている。
【0053】
このような増幅トランジスタ124では、チャネル領域124Cの電流経路が、ゲート絶縁膜24Iとの界面近傍に形成される。このため、ゲート絶縁膜24I中に、トラップ準位が存在すると、チャネル領域124Cを流れるキャリアが、このトラップ準位に捕獲され、あるいはトラップ準位から放出され、チャネル領域124Cを流れる電流に揺らぎが生じる。この電流の揺らぎに起因してノイズが発生する。
【0054】
ノイズを抑える方法としては、増幅トランジスタの占有面積を増やすことも考え得る。しかし、この方法では、増幅トランジスタと同じ半導体基板に設けられるフォトダイオードの占有面積が小さくなり、感度および信号電荷の飽和蓄積量等に影響を及ぼす。
【0055】
これに対し、撮像素子10では、不純物濃度の高いn型不純物拡散領域によりチャネル領域24Cが構成されているので、チャネル領域24Cのゲート絶縁膜24Iとの界面近傍は空乏層となり、ゲート絶縁膜24Iから離れた位置にチャネル領域24Cの電流経路が形成される。
【0056】
図7は、オン状態の増幅トランジスタ24を流れる電流(電流C)を模式的に表したものである。このように、増幅トランジスタ24では、電流Cの大部分が、チャネル領域24Cの深さ方向の中央部を流れる。また、ゲート電極24Gの一対の側面241,242が、半導体基板11に埋め込まれているので、チャネル領域24Cの深さ方向の大きさD(
図4A)を大きくすることができる。
【0057】
このため、ゲート絶縁膜24Iにトラップ準位が存在しても、増幅トランジスタ24のチャネル領域24Cを流れるキャリアは、このトラップ順位に捕獲されにくくなる。よって、チャネル領域24Cを流れる電流の揺らぎに起因したノイズの発生が抑えられる。
【0058】
また、増幅トランジスタ24の占有面積を増やすことなく、ノイズが抑えられるので、フォトダイオード21の占有面積が維持できる。したがって、感度および信号電荷の飽和蓄積量等への影響も抑えられる。
【0059】
以上説明したように、本実施の形態の撮像素子10では、増幅トランジスタ24が、ソース・ドレイン領域24A,24Bの導電型と同じ導電型(n型)のチャネル領域24Cを有するようにしたので、チャネル領域24Cのゲート電極24G側の界面に捕獲されるキャリアに起因したノイズを減らすことができる。よって、ノイズを抑えることが可能となる。
【0060】
また、撮像素子10では、ゲート電極24Gの一対の側面241,242が、半導体基板11に埋め込まれているので、チャネル領域24Cの深さ方向の大きさDを大きくしやすい。よって、より効果的にノイズの発生を抑えることができる。
【0061】
撮像素子10では、ノイズを抑え、高いSN比を実現することが可能となる。したがって、夜間の撮影等であっても、鮮明な画像を得ることができる。
【0062】
以下、上記第1の実施の形態の変形例および他の実施の形態について説明するが、以降の説明において上記第1の実施の形態と同一構成部分については同一符号を付してその説明は適宜省略する。
【0063】
<変形例1>
図8は、上記第1の実施の形態の変形例1に係る撮像素子10(
図1)の要部の模式的な断面構成を表したものである。
図8は、
図3のB-B’線に沿った断面構成に対応している。この撮像素子10は、Fin FET構造を有する増幅トランジスタ24を有している。この点を除き、変形例1に係る撮像素子10は、上記第1の実施の形態の撮像素子10と同様の構成を有し、その作用および効果も同様である。
【0064】
このFin FET構造を有する増幅トランジスタ24は、チャネル領域24Cが設けられたフィンFと、このフィンFの周囲に設けられたゲート電極24Gと、ゲート電極24GとフィンFとの間に設けられたゲート絶縁膜24Iとを有している。
【0065】
フィンFは、例えば、n型の不純物が拡散されたシリコン(Si)等により構成されている。フィンFは、半導体基板11の面S11B上に、面S11Bに略垂直に設けられている。即ち、Fin FET構造を有する増幅トランジスタ24は、フォトダイオード21が設けられた半導体基板11の外側に、n型のチャネル領域24Cを有している。これにより、フォトダイオード21の占有面積への影響を抑えつつ、増幅トランジスタ24の占有面積を増やすことができる。チャネル領域24Cの不純物濃度は、例えば5×10
17cm
-3~1×10
19cm
-3程度である。フィンFは、チャネル長方向(
図8のY方向)に延在している。このフィンFには、チャネル領域24Cに隣接するソース・ドレイン領域24A,24B(
図4A)が設けられている。ソース・ドレイン領域24A,24Bは、チャネル領域24Cと同じ導電型(n型)を有している。
【0066】
ゲート電極24Gは、フィンFとともに、半導体基板11の面S11B上に設けられている。このゲート電極24Gは、フィンFを間にして対向する一対の側面241,242と、一対の側面241,242をつなぐ上面243とを含んでいる。上面243は、フィンFを間にして、半導体基板11の面S11Bに対向している。ゲート電極24Gは、例えばp型のポリシリコン等により構成されている。フィンFと、一対の側面241,242および上面234各々との間に、ゲート絶縁膜24Iが設けられている。ゲート絶縁膜24Iは、例えば酸化シリコン(SiO)等により構成されている。
【0067】
本変形例に係る撮像素子10も、上記第1の実施の形態で説明したのと同様に、増幅トランジスタ24が、ソース・ドレイン領域24A,24Bの導電型と同じ導電型(n型)のチャネル領域24Cを有するようにしたので、チャネル領域24Cのゲート電極24G側の界面に捕獲されるキャリアに起因したノイズを減らすことができる。また、フォトダイオード21が設けられた半導体基板11の外側に、チャネル領域24C(フィンF)が設けられているので、増幅トランジスタ24の占有面積を増やすことが可能となる。よって、より効果的にノイズを抑えることができる。
【0068】
<変形例2>
図9は、上記第1の実施の形態の変形例2に係る撮像素子10(
図1)の要部の模式的な断面構成を表したものである。
図9は、
図3のB-B’線に沿った断面構成に対応している。この撮像素子10は、GAA構造を有する増幅トランジスタ24を有している。この点を除き、変形例2に係る撮像素子10は、上記第1の実施の形態の撮像素子10と同様の構成を有し、その作用および効果も同様である。
【0069】
このGAA構造を有する増幅トランジスタ24は、チャネル領域24Cが設けられた半導体部24Nと、この半導体部24Nを囲むゲート電極24Gと、ゲート電極24Gと半導体部24Nとの間に設けられたゲート絶縁膜24Iとを有している。
【0070】
半導体部24Nは、例えば、n型の不純物が拡散されたシリコン(Si)等により構成されている。半導体部24Nは、例えばナノワイヤにより構成されていてもよい。半導体部24Nは、半導体基板11の面S11B上に設けられ、チャネル長方向(
図9のY方向)に延在している。この半導体部24Nのゲート電極24Gで囲まれた領域に、n型のチャネル領域24Cが設けられ、チャネル領域24Cに隣接する領域に、n型のソース・ドレイン領域24A,24B(
図4A)が設けられている。
【0071】
ゲート電極24Gは、半導体部24Nとともに、半導体基板11の面S11B上に設けられている。このゲート電極24Gは、半導体基板11(面S11B)に略垂直に設けられた一対の側面241,242と、半導体基板11(面S11B)に略平行に設けられた上面243および下面244とを含んでいる。一対の側面241,242は、半導体部24Nを間にして対向している。上面243および下面244は、この一対の側面241,242をつなぐとともに、ナノイワヤを間にして互いに対向している。上面243および下面244のうち、下面244がより半導体基板11に近い位置に設けられている。ゲート電極24Gは、例えばp型のポリシリコン等により構成されている。
【0072】
本変形例に係る撮像素子10も、上記第1の実施の形態で説明したのと同様に、増幅トランジスタ24が、ソース・ドレイン領域24A,24Bの導電型と同じ導電型(n型)のチャネル領域24Cを有するようにしたので、チャネル領域24Cのゲート電極24G側の界面に捕獲されるキャリアに起因したノイズを減らすことができる。また、フォトダイオード21が設けられた半導体基板11の外側に、チャネル領域24C(半導体部24N)が設けられているので、増幅トランジスタ24の占有面積を増やすことが可能となる。よって、より効果的にノイズを抑えることができる。
【0073】
<変形例3>
図10は、上記第1の実施の形態の変形例3に係る撮像素子10(
図1)の等価回路の構成の一例を表したものである。この撮像素子10では、複数の画素Pで増幅トランジスタ24等が共有されている。この点を除き、変形例3に係る撮像素子10は、上記第1の実施の形態の撮像素子10と同様の構成を有し、その作用および効果も同様である。
【0074】
この撮像素子10では、例えば4つの画素Pで、FD部26、リセットトランジスタ23、増幅トランジスタ24および選択トランジスタ25が共有されている。
【0075】
図11は、4つの画素Pと、この4つの画素Pで共有されるFD部26、リセットトランジスタ23、増幅トランジスタ24および選択トランジスタ25との模式的な平面構成を表したものである。
図10とともに、この
図11を用いて本変形例の撮像素子10の構成を説明する。
【0076】
4つの画素P各々にフォトダイオード(フォトダイオード21-1,21-2,21-3,21-4のいずれか)が設けられている。フォトダイオード21-1は、転送トランジスタ22-1に接続され、フォトダイオード21-2は、転送トランジスタ22-2に接続され、フォトダイオード21-3は、転送トランジスタ22-4に接続されている。即ち、1つの画素Pには、1つのフォトダイオード(フォトダイオード21-1,21-2,21-3,21-4のいずれか)および1つの転送トランジスタ(転送トランジスタ22-1,22-2,22-3,22-4のいずれか)が配置されている。転送トランジスタ22-1,22-2,22-3,22-4のゲート電極各々には、転送パルスφTRF1,φTRF2,φTRF3,φTRF4が転送線17a-1,17a-2,17a-3,17a-4を介して与えられるようになっている(
図10)。
【0077】
FD部26は、4つの画素Pの中央部に設けられている(
図11)。フォトダイオード21-1,21-2,21-3,21-4各々で光電変換された信号電荷は、転送トランジスタ22-1,22-2,22-3,22-4を介してFD部26に転送される。
【0078】
リセットトランジスタ23、増幅トランジスタ24および選択トランジスタ25は、例えば、共有される4つの画素Pの端部(例えば、
図11のX方向の端部)に並んで配置されている。この増幅トランジスタ24の構成は、例えば、上記第1の実施の形態で説明したものと同様である(
図4A,
図4B参照)。あるいは、増幅トランジスタ24の構成が、上記変形例1(
図8)または変形例2(
図9)で説明したものと同様であってもよい。
【0079】
本変形例に係る撮像素子10も、上記第1の実施の形態で説明したのと同様に、増幅トランジスタ24が、ソース・ドレイン領域24A,24Bの導電型と同じ導電型(N型)のチャネル領域24Cを有するようにしたので、チャネル領域24Cのゲート電極24G側の界面に捕獲されるキャリアに起因したノイズを減らすことができる。
【0080】
<第2の実施の形態>
図12は、本開示の第2の実施の形態に係る固体撮像素子(撮像素子10A)の概略構成を表したものである。この撮像素子10Aは、フォトダイオード21等が設けられた第1基板11Aと、読み出し回路20(具体的には増幅トランジスタ24および選択トランジスタ25)が設けられた第2基板30と、ロジック回路(駆動回路)が設けられた第3基板40との積層構造を有している。この点を除き、第2の実施の形態に係る撮像素子10Aは、上記第1の実施の形態の撮像素子10と同様の構成を有し、その作用および効果も同様である。ここでは、本開示の出力トランジスタの一具体例が、増幅トランジスタ24および選択トランジスタ25である。
【0081】
撮像素子10Aでは、第1基板11A、第2基板30および第3基板40がこの順に積層されている。撮像素子10Aには、第1基板11A側から光が入射するようになっている。即ち、撮像素子10Aは、裏面照射型の撮像素子である。
【0082】
第1基板11Aは、半導体基板11に、光電変換を行う複数の画素Pを有している。第2基板30は、半導体層30Sに、読み出し回路20を例えば、4つの画素Pごとに1つずつ有している。第2基板30は、画素駆動線17および垂直信号線18を有している。第3基板40は、半導体層40Sに、画素信号を処理するロジック回路LCを有している。ロジック回路LCは、例えば、垂直駆動回路13、信号処理回路14、水平駆動回路15およびシステム制御回路16を有している。ロジック回路LC(具体的には水平駆動回路15)は、画素Pごとの出力電圧Voutを外部に出力する。ロジック回路LCでは、例えば、ソース電極およびドレイン電極と接する不純物拡散領域の表面に、CoSi2やNiSiなどのサリサイド (Self Aligned Silicide)プロセスを用いて形成されたシリサイドからなる低抵抗領域が形成されていてもよい。
【0083】
図13は、画素Pおよび読み出し回路20の一例を表したものである。以下では、
図13に示したように、4つの画素Pが1つの読み出し回路20を共有している場合について説明する。ここで、「共有」とは、4つの画素Pの出力が共通の読み出し回路20に入力されることを指している。
【0084】
各画素Pは、互いに共通の構成要素を有している。
図13には、各画素Pの構成要素を互いに区別するために、各画素Pの構成要素の符号の末尾に識別番号(1,2,3,4)が付与されている。以下では、各画素Pの構成要素を互いに区別する必要のある場合には、各画素Pの構成要素の符号の末尾に識別番号を付与するが、各画素Pの構成要素を互いに区別する必要のない場合には、各画素Pの構成要素の符号の末尾の識別番号を省略するものとする。
【0085】
各画素Pは、例えば、フォトダイオード21と、フォトダイオード21と電気的に接続された転送トランジスタ22と、転送トランジスタ22を介してフォトダイオード21から出力された電荷を一時的に保持するFD部26とを有している。フォトダイオード21は、光電変換を行って受光量に応じた電荷を発生する。フォトダイオード21のカソードが転送トランジスタ22のソースに電気的に接続されており、フォトダイオード21のアノードが基準電位線(例えばグラウンド)に電気的に接続されている。転送トランジスタ22のドレインがFD部26に電気的に接続され、転送トランジスタ22のゲートは画素駆動線17に電気的に接続されている。転送トランジスタ22は、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)トランジスタである。
【0086】
1つの読み出し回路20を共有する各画素PのFD部26は、互いに電気的に接続されるとともに、共通の読み出し回路20の入力端に電気的に接続されている。読み出し回路20は、例えば、リセットトランジスタ23と、選択トランジスタ25と、増幅トランジスタ24とを有している。なお、選択トランジスタ25は、必要に応じて省略してもよい。リセットトランジスタ23のソース(読み出し回路20の入力端)がFD部26に電気的に接続されており、リセットトランジスタ23のドレインが電源線VDDおよび増幅トランジスタ24のドレインに電気的に接続されている。リセットトランジスタ23のゲートは画素駆動線17(
図12参照)に電気的に接続されている。増幅トランジスタ24のソースが選択トランジスタ25のドレインに電気的に接続されており、増幅トランジスタ24のゲートがリセットトランジスタ23のソースに電気的に接続されている。選択トランジスタ25のソース(読み出し回路20の出力端)が垂直信号線18に電気的に接続されており、選択トランジスタ25のゲートが画素駆動線17(
図12参照)に電気的に接続されている。
【0087】
転送トランジスタ22は、転送トランジスタ22がオン状態となると、フォトダイオード21の電荷をFD部26に転送する。リセットトランジスタ23は、FD部26の電位を所定の電位にリセットする。リセットトランジスタ23がオン状態となると、FD部26の電位を電源線VDDの電位にリセットする。選択トランジスタ25は、読み出し回路20からの画素信号の出力タイミングを制御する。増幅トランジスタ24は、画素信号として、FD部26に保持された電荷のレベルに応じた電圧の信号を生成する。増幅トランジスタ24は、ソースフォロア型のアンプを構成しており、フォトダイオード21で発生した電荷のレベルに応じた電圧の画素信号を出力するものである。増幅トランジスタ24は、選択トランジスタ25がオン状態となると、FD部26の電位を増幅して、その電位に応じた電圧を、垂直信号線18を介して信号処理回路14に出力する。リセットトランジスタ23、増幅トランジスタ24および選択トランジスタ25は、例えば、CMOSトランジスタである。
【0088】
なお、
図14に示したように、選択トランジスタ25が、電源線VDDと増幅トランジスタ24との間に設けられていてもよい。この場合、リセットトランジスタ23のドレインが電源線VDDおよび選択トランジスタ25のドレインに電気的に接続されている。選択トランジスタ25のソースが増幅トランジスタ24のドレインに電気的に接続されており、選択トランジスタ25のゲートが画素駆動線17(
図1参照)に電気的に接続されている。増幅トランジスタ24のソース(読み出し回路20の出力端)が垂直信号線18に電気的に接続されており、増幅トランジスタ24のゲートがリセットトランジスタ23のソースに電気的に接続されている。また、
図15、
図16に示したように、FD転送トランジスタ27が、リセットトランジスタ23のソースと増幅トランジスタ24のゲートとの間に設けられていてもよい。
【0089】
FD転送トランジスタ27は、変換効率を切り替える際に用いられる。一般に、暗い場所での撮影時には画素信号が小さい。Q=CVに基づき、電荷電圧変換を行う際に、FD部26の容量(FD容量C)が大きければ、増幅トランジスタ24で電圧に変換した際のVが小さくなってしまう。一方、明るい場所では、画素信号が大きくなるので、FD容量Cが大きくなければ、FD部26で、フォトダイオード21の電荷を受けきれない。さらに、増幅トランジスタ24で電圧に変換した際のVが大きくなりすぎないように(言い換えると、小さくなるように)、FD容量Cが大きくなっている必要がある。これらを踏まえると、FD転送トランジスタ27をオンにしたときには、FD転送トランジスタ27分のゲート容量が増えるので、全体のFD容量Cが大きくなる。一方、FD転送トランジスタ27をオフにしたときには、全体のFD容量Cが小さくなる。このように、FD転送トランジスタ27をオンオフ切り替えることで、FD容量Cを可変にし、変換効率を切り替えることができる。
【0090】
図17は、複数の読み出し回路20と、複数の垂直信号線18との接続態様の一例を表したものである。複数の読み出し回路20が、垂直信号線18の延在方向(例えば列方向)に並んで配置されている場合、複数の垂直信号線18は、読み出し回路20ごとに1つずつ割り当てられていてもよい。例えば、
図17に示したように、4つの読み出し回路20が、垂直信号線18の延在方向(例えば列方向)に並んで配置されている場合、4つの垂直信号線18が、読み出し回路20ごとに1つずつ割り当てられていてもよい。なお、
図17では、各垂直信号線18を区別するために、各垂直信号線18の符号の末尾に識別番号(1,2,3,4)が付与されている。
【0091】
図18は、撮像素子10Aの垂直方向の断面構成の一例を表している。第1基板11Aは、半導体基板11と半導体基板11上の層間絶縁膜19とを有している。第2基板30は、第1基板11Aに対向して設けられ、第1基板11A(層間絶縁膜19)側から、半導体層30S、層間絶縁膜30Iおよび多層配線層30Wをこの順に有している。第3基板40は、第2基板30(多層配線層30W)側から、多層配線層40W、層間絶縁膜40Iおよび半導体層40Sをこの順に有している。第2基板30の多層配線層30Wと、第3基板40の多層配線層40Wとの間に接合面Sが設けられている。
【0092】
半導体基板11には、例えば、フォトダイオード21およびFD部26が設けられている。FD部26は、半導体基板11内の面S11B近傍に設けられている。このFD部26は、例えばp型ウェル領域111にn型の不純物が拡散された不純物拡散領域により構成されている。FD部26のn型不純物の濃度は、例えば、1×1019cm-3~1×1020cm-3程度である。半導体基板11の面S11Aが光入射面となる。
【0093】
半導体基板11の面S11B近傍には、FD部26とともに、転送トランジスタ22が設けられている。転送トランジスタ22は、例えば、ゲート電極22Gおよびゲート絶縁膜22Iを含んでいる。ゲート電極22Gは、半導体基板11の外側に、半導体基板11に対向して設けられている。ゲート電極22Gは、例えば、p型のポリシリコン等により構成されている。ゲート電極22Gは、タングステン(W),チタン(Ti),窒化チタン(TiN),ハフニウム(Hf),ハフニウムシリサイド(HfSi),ルテニウム(Ru),イリジウム(Ir)およびコバルト(Co)等の金属により構成するようにしてもよい。ゲート絶縁膜22Iは、ゲート電極22Gと半導体基板11との間に設けられている。ゲート絶縁膜22Iは、例えば、シリコン酸化膜(SiO)等により構成されている。ゲート絶縁膜22Iは、酸化ハフニウム(HfO2),ハフニウムシリケート(HfSiO),酸化タンタル(Ta2O5)およびハフニウムアルミネート(HfAlO)等の高誘電絶縁材料により構成するようにしてもよい。ゲート電極22Gおよびゲート絶縁膜22Iは、層間絶縁膜19に覆われている。層間絶縁膜19は、例えば酸化シリコン(SiO)等により構成されている。
【0094】
第1基板11Aは、例えば、さらに、半導体基板11の面S11Aに接する固定電荷膜を有していてもよい。固定電荷膜は、半導体基板11の受光面側の界面準位に起因する暗電流の発生を抑制するため、負に帯電している。固定電荷膜は、例えば、負の固定電荷を有する絶縁膜によって形成されている。そのような絶縁膜の材料としては、例えば、酸化ハフニウム、酸化ジルコン、酸化アルミニウム、酸化チタンまたは酸化タンタルが挙げられる。固定電荷膜が誘起する電界により、半導体基板11の受光面側の界面にホール蓄積層が形成される。このホール蓄積層によって、界面からの電子の発生が抑制される。撮像素子10Aは、例えば、第1基板11Aの光入射側に、カラーフィルタ(例えば、
図30のカラーフィルタ55)および受光レンズ(例えば、
図30の受光レンズ60)を有している。カラーフィルタは、半導体基板11の面S11A側に設けられている。カラーフィルタは、例えば、固定電荷膜に接して設けられており、固定電荷膜を介して画素Pと対向する位置に設けられている。受光レンズは、例えば、カラーフィルタに接して設けられており、カラーフィルタおよび固定電荷膜を介して画素Pと対向する位置に設けられている。
【0095】
第2基板30の半導体層30Sは、層間絶縁膜19を間にして半導体基板11に対向している。半導体層30Sは、例えば厚み(
図12のZ方向の大きさ)が20nm~200nmのシリコン(Si)層により構成されている。この半導体層30Sには、例えば、増幅トランジスタ24および選択トランジスタ25各々のチャネル領域24C,25Cおよびソース・ドレイン領域24A,24B,25A,25Bが設けられている。
【0096】
増幅トランジスタ24の一対のソース・ドレイン領域24A,24Bは、半導体層30Sに設けられたn型の不純物拡散領域であり、例えば、半導体層30Sの層間絶縁膜30I側から厚み方向(
図18のZ方向)の一部にわたって設けられている。一対のソース・ドレイン領域24A,24Bの間には、チャネル領域24Cが設けられている。この増幅トランジスタ24のチャネル領域24Cは、上記第1の実施の形態で説明したのと同様に、ソース・ドレイン領域24A,24Bと同じ導電型(n型)を有している。チャネル領域24Cは、例えば、半導体層30Sの厚み方向の全部にわたって設けられている。
【0097】
選択トランジスタ25は、例えば、増幅トランジスタ24のチャネル長方向(
図18のY方向)の隣り合う位置に配置されている。この選択トランジスタ25の一対のソース・ドレイン領域25A,25Bの一方(ソース・ドレイン領域25B)は、増幅トランジスタ24の一対のソース・ドレイン領域24A,24Bの一方(ソース・ドレイン領域24A)に隣接しており、これらが共有されていてもよい。選択トランジスタ25の一対のソース・ドレイン領域25A,25Bは、半導体層30Sに設けられたn型の不純物拡散領域であり、例えば、半導体層30Sの層間絶縁膜30I側から厚み方向の一部にわたって設けられている。一対のソース・ドレイン領域25A,25Bの間には、チャネル領域25Cが設けられている。この選択トランジスタ25のチャネル領域25Cは、例えば、ソース・ドレイン領域25A,25Bと同じ導電型(n型)を有している。チャネル領域24Cは、例えば、半導体層30Sの厚み方向の全部にわたって設けられている。
【0098】
積層型の撮像素子10Aでは、フォトダイオード21およびFD部26が設けられた半導体基板11とは別の半導体層30Sに、増幅トランジスタ24および選択トランジスタ25のチャネル領域24C,25C等が設けられる。これにより、増幅トランジスタ24および選択トランジスタ25の占有面積を増やし、より効果的にノイズの発生を抑えることができる。また、フォトダイオード21等とは別に、増幅トランジスタ24および選択トランジスタ25を製造するので、増幅トランジスタ24および選択トランジスタ25を製造する際の温度を最適化しやすくなる。よって、製造工程の点でも、効果的にノイズの発生を抑えることができる。
【0099】
少なくとも増幅トランジスタ24のチャネル領域24Cおよび選択トランジスタ25のチャネル領域25Cのどちらか一方が、ソース・ドレイン領域24A,24B,25A,25Bの導電型と同じ導電型であればよい。例えば、選択トランジスタ25のチャネル領域25Cは、p型の不純物拡散領域であってもよい。
【0100】
半導体層30Sには、素子分離領域112が設けられている。この素子分離領域112は、チャネル領域24C,25Cおよび一対のソース・ドレイン領域24A,24B,25A,25Bの周囲に設けられている。これにより、複数のトランジスタが電気的に分離される。
【0101】
増幅トランジスタ24は、チャネル領域24Cおよび一対のソース・ドレイン領域24A,24Bに加えて、ゲート電極24Gおよびゲート絶縁膜24Iを有している。選択トランジスタ25は、チャネル領域25Cおよびソース・ドレイン領域25A,25Bに加えて、ゲート電極25Gおよびゲート絶縁膜25Iを有している。
【0102】
増幅トランジスタ24および選択トランジスタ25は、例えばプレーナ(planer)型のトランジスタである。ゲート電極24G,25Gは半導体層30Sの外側に設けられ、各々、チャネル領域24C,25Cに対向する1つの平面により構成されている。即ち、ゲート電極24G,25Gは平板形状を有している。例えば、半導体層30Sが、SOI基板(後述の
図15BのSOI基板50)等を用いて形成されており、半導体層30Sの厚みが小さいとき、プレーナ型のジャンクションレストランジスタを構成しやすい。ゲート電極24G,25Gは、例えば、p型のポリシリコン等により構成されている。ゲート電極24G,25Gは、タングステン(W),チタン(Ti),窒化チタン(TiN),ハフニウム(Hf),ハフニウムシリサイド(HfSi),ルテニウム(Ru),イリジウム(Ir)およびコバルト(Co)等の金属により構成するようにしてもよい。
【0103】
ゲート電極24G,25G各々と半導体層30Sとの間にゲート絶縁膜24I,25Iが設けられている。ゲート絶縁膜24I,25Iは、例えばシリコン酸化膜(SiO)等により構成されている。ゲート絶縁膜24I,25Iは、酸化ハフニウム(HfO2),ハフニウムシリケート(HfSiO),酸化タンタル(Ta2O5)およびハフニウムアルミネート(HfAlO)等の高誘電絶縁材料により構成するようにしてもよい。
【0104】
ゲート電極24G,25Gおよびゲート絶縁膜24I,25Iは、層間絶縁膜30Iに覆われている。層間絶縁膜30Iは、例えば酸化シリコン(SiO)等により構成されている。層間絶縁膜30Iには、増幅トランジスタ24のゲート電極24Gに達する接続孔と、層間絶縁膜30I、半導体層30Sおよび層間絶縁膜19を貫通し、FD部26に達する接続孔とが設けられている。ゲート電極24Gに達する接続孔には電極24Eが設けられ、FD部26に達する接続孔には電極26Eが設けられている。
【0105】
多層配線層30Wは、層間絶縁膜30Iを間にして、半導体層30Sに対向している。この多層配線層30Wは、複数の配線31と、層間絶縁膜32と、コンタクト電極33とを含んでいる。配線31は、例えば、銅(Cu)またはアルミニウム(Al)等の金属材料により構成されている。電極24Eおよび電極26Eは、配線31を介して互いに接続されている。即ち、増幅トランジスタ24のゲート電極24Gは、配線31を介してFD部26に接続されている。この配線31は、例えばリセットトランジスタ23に電気的に接続されている(
図2)。層間絶縁膜32は、複数の配線31の間を分離するためのものであり、例えば、酸化シリコン(SiO)等により構成されている。コンタクト電極33は、例えば、多層配線層30Wの配線31と、多層配線層40W(具体的には後述のコンタクト電極43)とを電気的に接続するためのものである。このコンタクト電極33は、例えば銅(Cu)により構成されており、一方の面は接合面Sに露出されている。
【0106】
第3基板40の半導体層40Sには、例えば、複数のトランジスタTrのチャネル領域40SCおよび一対のソース・ドレイン領域40SA,40SBが設けられている。この複数のトランジスタTrにより、例えばロジック回路が形成されている。このロジック回路に、フォトダイオード21から、増幅トランジスタ24および選択トランジスタ25を介して信号電荷が出力されるようになっている。このように、撮像素子10Aでは、フォトダイオード21等が設けられた半導体基板11とは、別の基板(第3基板40)にロジック回路LCが設けられ、これらが積層されている。これにより、チップサイズを小さくすることが可能となる。
【0107】
複数のトランジスタTrは、各々、チャネル領域40SCおよび一対のソース・ドレイン領域40SA,40SBに加えて、ゲート電極40IGおよびゲート絶縁膜40IIを有している。複数のトランジスタTr各々のゲート電極40IGは、例えば、半導体層40Sの外側に設けられ、各々、チャネル領域40SCに対向する1つの平面により構成されている。このゲート電極40IGと半導体層40Sとの間にゲート絶縁膜40IIが設けられている。ゲート電極40IGおよびゲート絶縁膜40IIは、層間絶縁膜40Iに覆われている。
【0108】
第3基板40多層配線層40Wは、層間絶縁膜40Iを間にして、半導体層40Sに対向している。この多層配線層40Wと、第2基板30の多層配線層30Wとの間に接合面Sが形成されている。多層配線層40Wは、複数の配線41と、層間絶縁膜42と、コンタクト電極43とを含んでいる。配線41は、例えば、銅(Cu)またはアルミニウム(Al)等の金属材料により構成されている。層間絶縁膜42は、複数の配線41の間を分離するためのものであり、例えば、酸化シリコン(SiO)等により構成されている。コンタクト電極43は、例えば、多層配線層40Wの配線41と、多層配線層30Wのコンタクト電極33とを電気的に接続するためのものである。このコンタクト電極43は、例えば銅(Cu)により構成されており、一方の面は接合面Sに露出され、コンタクト電極33に接している。即ち、第3基板40と第2基板30とはCuCu接合により接続されている。
【0109】
第2の実施の形態に係る撮像素子10Aも、上記第1の実施の形態で説明したのと同様に、増幅トランジスタ24が、ソース・ドレイン領域24A,24Bの導電型と同じ導電型(n型)のチャネル領域24Cを有するようにしたので、チャネル領域24Cのゲート電極24G側の界面に捕獲されるキャリアに起因したノイズを減らすことができる。また、選択トランジスタ25も、ソース・ドレイン領域25A,25Bの導電型と同じ導電型(n型)のチャネル領域25Cを有するようにしたので、チャネル領域25Cのゲート電極25G側の界面に捕獲されるキャリアに起因したノイズを減らすことができる。
【0110】
更に、撮像素子10Aは、第1基板11A、第2基板30および第3基板40の積層構造を有しているので、フォトダイオード21およびFD部26が設けられた第1基板11Aとは別の基板(第2基板30)に増幅トランジスタ24および選択トランジスタが形成される。これにより、増幅トランジスタ24および選択トランジスタ25の占有面積を増やし、より効果的にノイズを抑えることができる。また、製造工程の点でも、増幅トランジスタ24および選択トランジスタ25の製造温度を最適化し、ノイズの発生を抑えることができる。
【0111】
加えて、ロジック回路LCを有する第3基板40が、フォトダイオード21等が設けられた第1基板11Aに積層されているので、チップサイズを小さくすることができる。
【0112】
<変形例4>
図19、
図20Aおよび
図20Bは、上記第2の実施の形態の変形例(変形例4)に係る撮像素子10A(
図18)の要部の模式的な構成を表したものである。
図19は、リセットトランジスタ23、増幅トランジスタ24および選択トランジスタ25の平面構成を表し、
図20Aは、
図19に示したA-A’線に沿った断面構成、
図20Bは、
図19に示したB-B’線に沿った断面構成を各々表している。この撮像素子10Aのリセットトランジスタ23、増幅トランジスタ24および選択トランジスタ25は、Fin FET構造を有している。この点を除き、変形例4に係る撮像素子10Aは、上記第2の実施の形態の撮像素子10Aと同様の構成を有し、その作用および効果も同様である。
【0113】
Fin FET構造を有するリセットトランジスタ23は、チャネル領域23Cが設けられたフィンF1と、このフィンF1の周囲に設けられたゲート電極23Gと、ゲート電極23GとフィンF1との間に設けられたゲート絶縁膜23Iとを有している(
図19,
図20A)。Fin FET構造を有する増幅トランジスタ24は、チャネル領域24Cが設けられたフィンF2,F3と、このフィンF2,F3の周囲に設けられたゲート電極24Gと、ゲート電極24GとフィンF2,F3との間に設けられたゲート絶縁膜24Iとを有している(
図19,
図20A)。Fin FET構造を有する選択トランジスタ25は、チャネル領域25Cが設けられたフィンF2,F3と、このフィンF2,F3の周囲に設けられたゲート電極25Gと、ゲート電極25GとフィンF2,F3との間に設けられたゲート絶縁膜25Iとを有している(
図19,
図20B)。
【0114】
フィンF1,F2,F3は、例えば、n型の不純物が拡散されたシリコン(Si)等により構成されている。例えば、n型不純物の不純物濃度が、1×1017cm-3~1×1019cm-3程度のシリコンにより、フィンF1,F2,F3が構成されている。このフィンF1,F2,F3は、層間絶縁膜19上に、半導体基板11の面S11Bに略垂直に設けられている。このフィンF1,F2,F3により第2基板30の半導体層30Sが構成されている。フィンF1,F2,F3は、例えば、互いに平行に延在している。フィンF1,F2,F3は、互いに素子分離領域112により分離されている。フィンF2とフィンF3とは、互いに両端部で接続されている。
【0115】
フィンF1には、チャネル領域23Cに隣接するソース・ドレイン領域23A,23Bが設けられ、フィンF2,F3には、チャネル領域24Cに隣接するソース・ドレイン領域24A,24Bおよびチャネル領域25Cに隣接するソース・ドレイン領域25A,25Bが設けられている。即ち、リセットトランジスタ23は、半導体基板11の外側のフィンF1にn型のソース・ドレイン領域23A,23Bと、このソース・ドレイン領域23A,23Bと同じ導電型(n型)のチャネル領域23Cとを有している。増幅トランジスタ24は、フィンF2,F3にn型のソース・ドレイン領域24A,24Bと、このソース・ドレイン領域24A,24Bと同じ導電型(n型)のチャネル領域24Cとを有している。選択トランジスタ25は、例えば、増幅トランジスタ24と同じフィンF2,F3に、n型のソース・ドレイン領域25A,25Bと、このソース・ドレイン領域25A,25Bと同じ導電型(n型)のチャネル領域25Cとを有している。換言すれば、フィンF2,F3には複数のチャネル領域24C,25Cおよびソース・ドレイン領域24A,24B,25A,25Bが連続して設けられている。
【0116】
フィンF2,F3の一方の端部には、コンタクト部FC1が設けられ、フィンF2,F3の他方の端部には、コンタクト部FC2が設けられている。コンタクト部FC1は、増幅トランジスタ24の一対のソース・ドレイン領域24A,24Bの一方(ソース・ドレイン領域24B)を画素電源Vddに接続する部分である。コンタクト部FC2は、選択トランジスタ25の一対のソース・ドレイン領域25A,25Bの一方(ソース・ドレイン領域25A)を垂直信号線18(
図2)に接続する部分である。
【0117】
ゲート電極23Gは、フィンF1とともに、層間絶縁膜19上に設けられている。このゲート電極23Gは、フィンF1を間にして対向する一対の側面231,232と、一対の側面231,232をつなぐ上面233とを含んでいる。上面233は、フィンF1を間にして層間絶縁膜19に対向している。上面233は、層間絶縁膜30Iで覆われている。フィンF1と、一対の側面231,232および上面233各々との間に、ゲート絶縁膜23Iが設けられている。
【0118】
ゲート電極24Gは、フィンF2,F3とともに、層間絶縁膜19上に設けられている。このゲート電極24Gは、フィンF2,F3を間にして対向する一対の側面241,242と、一対の側面241,242をつなぐ上面243と、フィンF2とフィンF3との間の分離面245とを含んでいる。一対の側面241,242および分離面245は、互いに平行に設けられている。上面243は、フィンF2,F3を間にして層間絶縁膜19に対向している。上面243は、層間絶縁膜30Iで覆われている。フィンF2,F3と、一対の側面241,242、上面233および分離面235各々との間に、ゲート絶縁膜24Iが設けられている。
【0119】
ゲート電極25Gは、フィンF2,F3とともに、層間絶縁膜19上に設けられている。このゲート電極25Gは、フィンF2,F3を間にして対向する一対の側面251,252と、一対の側面251,252をつなぐ上面253と、フィンF2とフィンF3との間の分離面255とを含んでいる。一対の側面251,252および分離面255は、互いに平行に設けられている。上面253は、フィンF2,F3を間にして層間絶縁膜19に対向している。上面253は、層間絶縁膜30Iで覆われている。フィンF2,F3と、一対の側面251,252、上面253および分離面255各々との間に、ゲート絶縁膜25Iが設けられている。
【0120】
このようなゲート電極23G,24G,25Gは、例えばp型のポリシリコン等により構成されている。ゲート絶縁膜23I,24I,25Iは、例えば酸化シリコン(SiO)等により構成されている。
【0121】
層間絶縁膜30Iは、フィンF1,F2,F3を間にして、層間絶縁膜19に対向している。この層間絶縁膜30Iには、ゲート電極24G,25Gの上面243,253に達する接続孔と、フィンF1に達する接続孔とが設けられている。上面243に達する接続孔には電極24Eが設けられ、上面253に達する接続孔には電極25Eが設けられ、フィンF1に達する接続孔には電極23Eが設けられている。
【0122】
このようなリセットトランジスタ23、増幅トランジスタ24および選択トランジスタ25を有する撮像素子10Aは、例えば、以下のようにして製造することができる(
図21A~
図22H)。なお、
図21A~
図22Hでは、リセットトランジスタ23を図示するが、増幅トランジスタ24および選択トランジスタ25についても同様に製造することができる。
【0123】
まず、
図21Aに示したように、第1基板11Aを形成する。第1基板11Aは、例えば以下のようにして形成する。
【0124】
まず、p型の不純物が、例えば不純物濃度1×1016cm-3~1×1018cm-3程度で拡散された半導体基板11を準備する。より薄いp型の不純物濃度を有する半導体基板11を用いるようにしてもよく、あるいは、n型の不純物が拡散された半導体基板11を用いるようにしてもよい。次いで、熱酸化を行い、半導体基板11の面S11Bに厚み3nm~10nm程度の酸化シリコン膜を形成する。続いて、この酸化シリコン膜上に、例えば、ポリシリコン膜を成膜する。この後、ポリシリコン膜および酸化シリコン膜をリソグラフィ法およびエッチング法を用いて所定の形状に成形する。これにより、転送トランジスタ22のゲート電極22Gおよびゲート絶縁膜22Iが形成される。
【0125】
ゲート電極22Gおよびゲート絶縁膜22Iを形成した後、半導体基板11内にフォトダイオード21を形成する。フォトダイオード21は、例えば、深さ方向の大きさが30nm~200nm程度のp型不純物領域21aと、深さ方向の大きさが1μm~5μm程度のn型不純物領域21bにより形成する。例えば、p型不純物領域21aの不純物濃度は、1×1018cm-3×1×1019cm-3程度であり、n型不純物領域21bの不純物濃度は、1×1015cm-3×1×1018cm-3程度である。
【0126】
フォトダイオード21を形成した後、半導体基板11内にFD部26を形成する。FD部26は、例えば、n型の不純物拡散領域により形成する。このFD部26の濃度は、例えば、1×1019cm-3×1×1020cm-3程度である。FD部26を形成した後、例えば、1秒間~10秒間、1000℃~1100℃程度の酸化アニールを行う。この後、半導体基板11上に、転送トランジスタ22のゲート電極22Gおよびゲート絶縁膜22Iを覆うように酸化シリコン等の絶縁膜を成膜する。この絶縁膜に、CMP(Chemical Mechanical Polishing)等の平坦化処理を施し、層間絶縁膜19を形成する。このようにして第1基板11Aが形成される。
【0127】
第1基板11Aを形成した後、
図21Bに示したように、第1基板11AにSOI基板50を貼り合わせる。SOI基板50は、例えば、基板51上に、第1酸化膜52、半導体層53Fおよび第2酸化膜54をこの順に有している。基板51は、例えばシリコン(Si)基板により構成されている。第1酸化膜52および第2酸化膜54は、例えば酸化シリコン(SiO)膜により構成されている。半導体層53Fは、例えばn型の不純物が拡散されたシリコン層により構成されている。この半導体層53Fのn型不純物の濃度は、例えば、1×10
17cm
-3×1×10
19cm
-3程度である。半導体層53Fの厚みは、200nm~1000nm程度である。第2酸化膜54と層間絶縁膜19とが接するように、第1基板11AにSOI基板50を貼り合わせる。予め、これらの接合面にプラズマ処理を施しておき、接合強度を高めるようにしてもよい。半導体層53Fのn型不純物の濃度は、より薄くするようにしてもよく、あるいは、半導体層53Fにp型の不純物が拡散されていてもよい。このような半導体層53Fは、後の工程で、n型の不純物が注入される。また、SOI基板50に代えて、バルクのシリコン基板を貼り合わせるようにしてもよい。
【0128】
第1基板11Aに、SOI基板50を貼り合わせた後、
図21Cに示したように、SOI基板50の基板51および第1酸化膜52を除去する。基板51および第1酸化膜52の除去は、例えばCMP等を用いて行う。SOI基板50に代えて、バルクのシリコン基板を、第1基板11Aに貼り合わせた場合には、CMP等によりシリコン基板を削り、所望の厚みに調整する。
【0129】
基板51および第1酸化膜52を除去した後、
図22Aに示したように、半導体層53Fをリソグラフィ法およびエッチング法を用いて所望の形状に成形し、フィンF1(およびF2,F3)を形成する。なお、
図22A~
図22Hでは、層間絶縁膜19より上層のみ図示する。
【0130】
フィンF1を形成した後、
図22Bに示したように、フィンF1の周囲に素子分離領域112を形成する。素子分離領域112は、例えば、以下のようにして形成する。まず、フィンF1を覆うように、層間絶縁膜19上に、酸化シリコン等の絶縁膜を成膜する。この後、この絶縁膜にCMP等の平坦化処理を施し、素子分離領域112を形成する。このように、フィンF1(およびフィンF2,F3)および素子分離領域112を含む半導体層30Sを形成する。
【0131】
素子分離領域112を形成した後、
図22Cに示したように、フィンF1の両脇に、半導体層30Sを貫通して層間絶縁膜19に達する溝112Mを形成する。この溝112Mは、ゲート電極23G(およびゲート電極24G,25G)の一対の側面231,232(および側面241,242,251,252)を形成するためのものである。溝112Mは、例えば、エッチング法を用いて形成する。
【0132】
半導体層30Sに溝112Mを形成した後、
図22Dに示したように、フィンF1(およびフィンF2,F3)の周囲にゲート絶縁膜23I(およびゲート絶縁膜24I,25I)を形成する。ゲート絶縁膜23Iは、例えば、フィンF1に熱酸化を施すことにより形成された酸化シリコン(SiO)膜であり、厚み3nm~10nm程度を有している。ゲート絶縁膜23Iは、成膜工程により形成するようにしてもよい。
【0133】
ゲート絶縁膜23Iを形成した後、
図22Eに示したように、ゲート電極23G(およびゲート電極24G,25G)を形成する。ゲート電極23Gは、例えば以下のようにして形成する。まず、溝112Mを埋め込むように、素子分離領域112上に、例えば、p型のポリシリコンを成膜する。次いで、このポリシリコン膜に、CMP等の平坦化処理を施す。この後、フォトリソグラフィ法およびエッチング法を用いてポリシリコン膜を所定の形状に成形する。これにより、ゲート電極23Gが形成される。ゲート電極23Gを形成した後、チャネル領域23C(およびチャネル領域24C,25C)に隣り合う位置にソース・ドレイン領域23A,23B(およびソース・ドレイン領域24A,24B)を形成する。ソース・ドレイン領域23A,23Bは、フィンF1(およびフィンF2,F3)にn型の不純物を注入することにより形成する。この後、例えば、1秒間~10秒間、1000℃~1100℃程度の活性化アニールを行う。
【0134】
続いて、
図22Fに示したように、半導体層30S上に層間絶縁膜30Iを形成する。層間絶縁膜30Iは、ゲート電極23Gを覆うように、絶縁膜を成膜した後、この絶縁膜にCMP等の平坦化処理を施して形成する。
【0135】
層間絶縁膜30Iを形成した後、
図22Gに示したように、電極26E(および電極23E,24E,25E)を形成する。電極26Eは、例えば、以下のようにして形成する。まず、例えばエッチング法を用いて、FD部26に達する接続孔を形成する。次いで、この接続孔にタングステン(W)等の導電材料を埋め込む。これにより、電極26Eが形成される。
【0136】
電極26Eを形成した後、
図22Hに示したように、層間絶縁膜30I上に配線31を形成する。配線31は、例えば、銅(Cu)等を用いて形成する。
【0137】
次いで、他の配線31、層間絶縁膜32およびコンタクト電極33を含む多層配線層30Wを形成する。これにより、第2基板30が形成される。この後、この第2基板30を、例えば、CuCu接合により第3基板40に接合させる。このようにして、
図19,
図20A,
図20Bに示した撮像素子10Aが完成する。
【0138】
本変形例に係る撮像素子10Aも、上記第2の実施の形態で説明したのと同様に、増幅トランジスタ24が、ソース・ドレイン領域24A,24Bの導電型と同じ導電型(n型)のチャネル領域24Cを有するようにしたので、チャネル領域24Cのゲート電極24G側の界面に捕獲されるキャリアに起因したノイズを減らすことができる。また、リセットトランジスタ23および選択トランジスタ25も、ソース・ドレイン領域23A,23B,25A,25Bの導電型と同じ導電型(n型)のチャネル領域23C,25Cを有するようにしたので、チャネル領域23C,25Cのゲート電極23G,25G側の界面に捕獲されるキャリアに起因したノイズを減らすことができる。
【0139】
本変形例では、Fin FET構造を有するリセットトランジスタ23,増幅トランジスタ24および選択トランジスタ25について説明したが、リセットトランジスタ23,増幅トランジスタ24および選択トランジスタ25は、上記変形例2(
図9)で説明したのと同様に、GAA構造を有していてもよい。
【0140】
<変形例5>
図23は、上記第2の実施の形態の変形例(変形例5)に係る撮像素子10A(
図18)の要部の模式的な断面構成を表したものである。この変形例5に係る撮像素子10Aでは、フォトダイオード21が面S11Bよりも深い位置(面S11A側)に設けられ、かつ、転送トランジスタ22が縦型トランジスタ(転送ゲートTG)により構成されている。この点を除き、変形例5に係る撮像素子10Aは、上記第2の実施の形態の撮像素子10Aと同様の構成を有し、その作用および効果も同様である。
【0141】
転送トランジスタ22のゲート(転送ゲートTG)は、半導体基板11の表面からp型ウェル領域111を貫通してフォトダイオード21に達する深さまで延在している。
【0142】
第1基板11Aは、各画素Pを分離する画素分離部21Sを有している。画素分離部21Sは、半導体基板11の法線方向(半導体基板11の面S11Bに対して垂直な方向)に延在して形成されている。画素分離部21Sは、互いに隣接する2つの画素Pの間に設けられている。画素分離部21Sは、互いに隣接する画素P同士を電気的に分離する。画素分離部21Sは、例えば、酸化シリコンによって構成されている。画素分離部21Sは、例えば、半導体基板11を貫通している。この画素分離部21Sの側面側にp型不純物領域21aおよびn型不純物領域21bが設けられている。
【0143】
図23に示したように、第1基板11Aと第2基板30とは、電極26Eによって互いに電気的に接続されている。更に、第1基板11Aと第2基板30とは、層間絶縁膜19,30Iを貫通する電極E1,E2により接続されている(後述の
図24,25参照)。撮像素子10Aでは、例えば、画素P毎に電極E1,E2が設けられている。また、
図23に示したように、第2基板30と第3基板40とは、コンタクト電極33,43同士の接合によって互いに電気的に接続されている。ここで、電極26Eの幅は、コンタクト電極33,43同士の接合箇所の幅よりも狭くなっている。つまり、電極26Eの断面積は、コンタクト電極33,43同士の接合箇所の断面積よりも小さくなっている。従って、電極26Eは、第1基板11Aにおける1画素あたりの面積の微細化を妨げることがない。また、読み出し回路20は第2基板30に形成され、ロジック回路LCは第3基板40に形成されていることから、第2基板30と第3基板40とを互いに電気的に接続するための構造を、第1基板11Aと第2基板30とを互いに電気的に接続するための構造と比べて、配置や接続のためのコンタクトの数などをより自由なレイアウトで形成することが可能である。従って、第2基板30と第3基板40とを互いに電気的に接続するための構造として、コンタクト電極33,43同士の接合を用いることができる。
【0144】
図24、
図25は、撮像素子10Aの水平方向の断面構成の一例を表したものである。
図24、
図25の上側の図は、
図23の断面Sec1での断面構成の一例を表す図であり、
図24、
図25の下側の図は、
図23の断面Sec2での断面構成の一例を表す図である。
図24には、2×2の4つの画素Pを2組、第2方向Hに並べた構成が例示されており、
図25には、2×2の4つの画素Pを4組、第1方向Vおよび第2方向Hに並べた構成が例示されている。なお、
図24、
図25の上側の断面図では、
図23の断面Sec1での断面構成の一例を表す図に、半導体基板11の表面構成の一例を表す図が重ね合わされるとともに、層間絶縁膜19が省略されている。また、
図24、
図25の下側の断面図では、
図23の断面Sec2での断面構成の一例を表す図に、半導体層30Sの表面構成の一例を表す図が重ね合わされている。
【0145】
図24、
図25に示したように、複数の電極26E、複数の電極E2および複数の電極E1は、第1基板11Aの面内において第1方向V(
図10の上下方向、
図11の左右方向)に帯状に並んで配置されている。なお、
図24、
図25には、複数の電極26E、複数の電極E2および複数の電極E1が第1方向Vに2列に並んで配置されている場合が例示されている。第1方向Vは、マトリクス状の配置された複数の画素Pの2つの配列方向(例えば行方向および列方向)のうち一方の配列方向(例えば列方向)と平行となっている。読み出し回路20を共有する4つの画素Pにおいて、4つのFD部26は、例えば、画素分離部21Sを介して互いに近接して配置されている。読み出し回路20を共有する4つの画素Pにおいて、4つの転送ゲートTGは、4つのFD部26を囲むように配置されており、例えば、4つの転送ゲートTGによって円環形状となる形状となっている。
【0146】
素子分離領域112は、第1方向Vに延在する複数のブロックで構成されている。半導体層30Sは、第1方向Vに延在するとともに、素子分離領域112を介して第1方向Vと直交する第2方向Hに並んで配置された複数の島状のブロック30SAで構成されている。各ブロック30SAには、例えば、複数組のリセットトランジスタ23、増幅トランジスタ24および選択トランジスタ25が設けられている。4つの画素Pによって共有される1つの読み出し回路20は、例えば、4つの画素Pと対向する領域内にある、リセットトランジスタ23、増幅トランジスタ24および選択トランジスタ25によって構成されている。4つの画素Pによって共有される1つの読み出し回路20は、例えば、素子分離領域112の左隣りのブロック30SA内の増幅トランジスタ24と、素子分離領域112の右隣りのブロック30SA内のリセットトランジスタ23および選択トランジスタ25とによって構成されている。
【0147】
図26、
図27、
図28、
図29は、撮像素子10Aの水平面内での配線レイアウトの一例を表したものである。
図26~
図29には、4つの画素Pによって共有される1つの読み出し回路20が4つの画素Pと対向する領域内に設けられている場合が例示されている。
図26~
図29に記載の配線は、例えば、多層配線層30Wにおいて互いに異なる層内に設けられている。
【0148】
互いに隣接する4つの電極26Eは、例えば、
図26に示したように、配線31と電気的に接続されている。互いに隣接する4つの電極26Eは、さらに、例えば、
図26に示したように、配線31および電極24Eを介して、素子分離領域112の左隣りブロック30SAに含まれる増幅トランジスタ24のゲートと、素子分離領域112の右隣りブロック30SAに含まれるリセットトランジスタ23のゲートとに電気的に接続されている。
【0149】
電源線VDDは、例えば、
図27に示したように、第2方向Hに並んで配置された各読み出し回路20と対向する位置に配置されている。電源線VDDは、例えば、
図27に示したように、電極24Eを介して、第2方向Hに並んで配置された各読み出し回路20の増幅トランジスタ24のドレインおよびリセットトランジスタ23のドレインに電気的に接続されている。2本の画素駆動線17が、例えば、
図27に示したように、第2方向Hに並んで配置された各読み出し回路20と対向する位置に配置されている。一方の画素駆動線17(第2制御線)は、例えば、
図27に示したように、第2方向Hに並んで配置された各読み出し回路20のリセットトランジスタ23のゲートに電気的に接続された配線RSTGである。他方の画素駆動線17(第3制御線)は、例えば、
図27に示したように、第2方向Hに並んで配置された各読み出し回路20の選択トランジスタ25のゲートに電気的に接続された配線SELGである。各読み出し回路20において、増幅トランジスタ24のソースと、選択トランジスタ25のドレインとが、例えば、
図27に示したように、配線31Wを介して、互いに電気的に接続されている。
【0150】
2本の電源線VSSが、例えば、
図28に示したように、第2方向Hに並んで配置された各読み出し回路20と対向する位置に配置されている。各電源線VSSは、例えば、
図28に示したように、第2方向Hに並んで配置された各画素Pと対向する位置において、複数の電極E1に電気的に接続されている。4本の画素駆動線17が、例えば、
図28に示したように、第2方向Hに並んで配置された各読み出し回路20と対向する位置に配置されている。4本の画素駆動線17の各々は、例えば、
図28に示したように、第2方向Hに並んで配置された各読み出し回路20に対応する4つの画素Pのうちの1つの画素Pの電極E2に電気的に接続された配線TRGである。つまり、4本の画素駆動線17(第1制御線)は、第2方向Hに並んで配置された各画素Pの転送トランジスタ22のゲート(転送ゲートTG)に電気的に接続されている。
図28では、各配線TRGを区別するために、各配線TRGの末尾に識別子(1,2,3,4)が付与されている。
【0151】
垂直信号線18は、例えば、
図29に示したように、第1方向Vに並んで配置された各読み出し回路20と対向する位置に配置されている。垂直信号線18(出力線)は、例えば、
図29に示したように、第1方向Vに並んで配置された各読み出し回路20の出力端(増幅トランジスタ24のソース)に電気的に接続されている。
【0152】
本変形例では、画素Pおよび読み出し回路20が互いに異なる基板(第1基板11Aおよび第2基板30)に形成されている。これにより、画素Pおよび読み出し回路20を同一基板に形成した場合と比べて、画素Pおよび読み出し回路20の面積を拡大することができる。その結果、光電変換効率を向上させたり、トランジスタノイズを低減したりすることができる。また、画素Pを有する第1基板11Aと、読み出し回路20を有する第2基板30とが、層間絶縁膜19,30I内に設けられた電極26Eによって互いに電気的に接続されている。これにより、パッド電極同士の接合や、半導体基板を貫通させた貫通配線(例えばTSV(Thorough Si Via))によって、第1基板11Aと第2基板30とを互いに電気的に接続した場合と比べて、チップサイズをより小型化することができる。また、1画素あたりの面積の更なる微細化により、解像度をより高くすることができる。また、従前と同様のチップサイズとした場合には、画素Pの形成領域を拡大することができる。また、本変形例では、読み出し回路20およびロジック回路LCが互いに異なる基板(第2基板30および第3基板40)に形成されている。これにより、読み出し回路20およびロジック回路LCを同一基板に形成した場合と比べて、読み出し回路20およびロジック回路LCの面積を拡大することができる。また、読み出し回路20およびロジック回路LCの面積が画素分離部21Sによって律束されないので、ノイズ特性を向上させることができる。また、本変形例では、第2基板30および第3基板40は、コンタクト電極33,43同士の接合によって、互いに電気的に接続されている。ここで、読み出し回路20は第2基板30に形成され、ロジック回路LCは第3基板40に形成されていることから、第2基板30と第3基板40とを互いに電気的に接続するための構造を、第1基板11Aと第2基板30とを互いに電気的に接続するための構造と比べて、配置や接続のためのコンタクトの数などをより自由なレイアウトで形成することが可能である。従って、第2基板30と第3基板40との電気的な接続に、コンタクト電極33,43同士の接合を用いることができる。このように、本変形例では、基板の集積度に応じて基板同士の電気的な接続がなされている。これにより、基板同士を電気的に接続する構造に起因して、チップサイズが大きくなったり、1画素あたりの面積の微細化を阻害したりしてしまうことがない。その結果、今までと同等のチップサイズで、1画素あたりの面積の微細化を阻害することのない3層構造の撮像素子10Aを提供することができる。
【0153】
また、本変形例では、フォトダイオード21、転送トランジスタ22およびFD部26を有する画素Pが第1基板11Aに形成され、リセットトランジスタ23、増幅トランジスタ24および選択トランジスタ25を有する読み出し回路20が第2基板30に形成されている。これにより、画素Pおよび読み出し回路20を同一基板に形成した場合と比べて、画素Pおよび読み出し回路20の面積を拡大することができる。その結果、第2基板30と第3基板40との電気的な接続に、コンタクト電極33,43同士の接合を用いた場合であっても、チップサイズが大きくなったり、1画素あたりの面積の微細化を阻害したりしてしまうことがない。その結果、今までと同等のチップサイズで、1画素あたりの面積の微細化を阻害することのない3層構造の撮像素子10Aを提供することができる。具体的には、第1基板11Aに設けるトランジスタが少なくなることにより、特に画素Pのフォトダイオード21の面積を拡大することができる。それにより、光電変換における飽和信号電荷量を増加させ、光電変換効率を高めることができる。第2基板30では、読み出し回路20における各トランジスタのレイアウトの自由度を確保することができる。また、各トランジスタの面積を拡大することができるので、特に増幅トランジスタ24の面積を拡大することで、画素信号に影響するノイズを低減することができる。第2基板30と第3基板40との電気的な接続に、コンタクト電極33,43同士の接合を用いた場合であっても、チップサイズが大きくなったり、1画素あたりの面積の微細化を阻害したりしてしまうことがない。その結果、今までと同等のチップサイズで、1画素あたりの面積の微細化を阻害することのない3層構造の撮像素子10Aを提供することができる。
【0154】
また、本変形例では、第2基板30は、半導体基板11の表面側に半導体層30Sの裏面を向けて第1基板11Aに貼り合わされており、第3基板40は、半導体層30Sの表面側に半導体層40Sの表面側を向けて第2基板30に貼り合わされている。これにより、第1基板11Aと第2基板30との電気的な接続に電極26Eを用い、第2基板30と第3基板40との電気的な接続に、コンタクト電極33,43同士の接合を用いることにより、今までと同等のチップサイズで、1画素あたりの面積の微細化を阻害することのない3層構造の撮像素子10Aを提供することができる。
【0155】
また、本変形例では、電極26Eの断面積は、コンタクト電極33,43同士の接合箇所の断面積よりも小さくなっている。これにより、今までと同等のチップサイズで、1画素あたりの面積の微細化を阻害することのない3層構造の撮像素子10Aを提供することができる。
【0156】
また、本変形例のロジック回路LCでは、ソース電極およびドレイン電極と接する不純物拡散領域の表面に、CoSi2やNiSiなどのサリサイド (Self Aligned Silicide)プロセスを用いて形成されたシリサイドからなる低抵抗領域が形成されている。シリサイドからなる低抵抗領域は、半導体基板の材料と金属との化合物で形成されている。ここで、ロジック回路LCは、第3基板40に設けられている。そのため、画素Pや読み出し回路20を形成するプロセスとは別のプロセスで、ロジック回路LCを形成することができる。その結果、画素Pや読み出し回路20を形成する際に、熱酸化などの高温プロセスを用いることができる。また、ロジック回路LCには、耐熱性の低い材料であるシリサイドを用いることもできる。従って、ロジック回路LCのソース電極およびドレイン電極と接する不純物拡散領域の表面に、シリサイドからなる低抵抗領域を設けた場合には、接触抵抗を低減することができ、その結果、ロジック回路LCでの演算速度を高速化することができる。
【0157】
また、本変形例では、第1基板11Aには、各画素Pを分離する画素分離部21Sが設けられている。しかし、本変形例では、フォトダイオード21、転送トランジスタ22およびFD部26を有する画素Pが第1基板11Aに形成され、リセットトランジスタ23、増幅トランジスタ24および選択トランジスタ25を有する読み出し回路20が第2基板30に形成されている。これにより、1画素あたりの面積の微細化によって画素分離部21Sで囲まれた面積が小さくなった場合であっても、画素Pおよび読み出し回路20の面積を拡大することができる。その結果、画素分離部21Sを用いた場合であっても、チップサイズが大きくなったり、1画素あたりの面積の微細化を阻害したりしてしまうことがない。従って、今までと同等のチップサイズで、1画素あたりの面積の微細化を阻害することのない3層構造の撮像素子10Aを提供することができる。
【0158】
また、本変形例では、画素分離部21Sは、半導体基板11を貫通している。これにより、1画素あたりの面積の微細化によって画素P同士の距離が近づいた場合であっても、隣接する画素P間での信号クロストークを抑制でき、再生画像上での解像度低下や混色による画質劣化を抑制することができる。
【0159】
また、本変形例では、第1基板11Aおよび第2基板30からなる積層体は、画素Pごとに、3つの電極26E,E1,E2を有している。電極26Eは、転送トランジスタ22のゲート(転送ゲートTG)に電気的に接続され、電極E1は、半導体基板11のp型ウェル領域111に電気的に接続され、電極E2は、FD部26に電気的に接続されている。つまり、電極26E,E1,E2の数は、第1基板11Aに含まれる画素Pの数よりも多くなっている。しかし、本変形例では、第1基板11Aと第2基板30との電気的な接続には、断面積の小さな電極26Eが用いられている。これにより、チップサイズをより小型化することができ、また、第1基板11Aにおける1画素あたりの面積をより微細化することができる。その結果、今までと同等のチップサイズで、1画素あたりの面積の微細化を阻害することのない3層構造の撮像素子10Aを提供することができる。
【0160】
<変形例6>
図30は、上記第2の実施の形態の変形例(変形例6)に係る撮像素子10Aの垂直方向の断面構成の一変形例を表すものである。本変形例では、第2基板30と第3基板40との電気的な接続が、第1基板11Aにおける周辺領域12Bと対向する領域でなされている。周辺領域12Bは、第1基板11Aの額縁領域に相当しており、画素アレイ部12の周縁に設けられている。本変形例では、第2基板30は、周辺領域12Bと対向する領域に、複数のコンタクト電極33を有しており、第3基板40は、周辺領域12Bと対向する領域に、複数のコンタクト電極44を有している。第2基板30および第3基板40は、周辺領域12Bと対向する領域に設けられたコンタクト電極33,43同士の接合によって、互いに電気的に接続されている。
【0161】
このように、本変形例では、第2基板30および第3基板40が、周辺領域12Bと対向する領域に設けられたコンタクト電極33,43同士の接合によって、互いに電気的に接続されている。これにより、画素アレイ部12と対向する領域で、コンタクト電極33,43同士を接合する場合と比べて、1画素あたりの面積の微細化を阻害するおそれを低減することができる。従って、今までと同等のチップサイズで、1画素あたりの面積の微細化を阻害することのない3層構造の撮像素子10Aを提供することができる。
【0162】
<変形例7>
図31、
図32は、上記第2の実施の形態に係る撮像素子10Aの水平方向の断面構成の一変形例を表すものである。
図31、
図32の上側の図は、
図23の断面Sec1での断面構成の一変形例であり、
図31の下側の図は、
図23の断面Sec2での断面構成の一変形例である。なお、
図31、
図32の上側の断面図では、
図23の断面Sec1での断面構成の一変形例を表す図に、
図23の半導体基板11の表面構成の一変形例を表す図が重ね合わされるとともに、層間絶縁膜19が省略されている。また、
図31、
図32の下側の断面図では、
図23の断面Sec2での断面構成の一変形例を表す図に、半導体層30Sの表面構成の一変形例を表す図が重ね合わされている。
【0163】
図31、
図32に示したように、複数の電極26E、複数の電極E2および複数の電極E1(図中の行列状に配置された複数のドット)は、第1基板11Aの面内において第1方向V(
図23、
図24の左右方向)に帯状に並んで配置されている。なお、
図31、
図32には、複数の電極26E、複数の電極E2および複数の電極E1が第1方向Vに2列に並んで配置されている場合が例示されている。読み出し回路20を共有する4つの画素Pにおいて、4つのFD部26は、例えば、画素分離部21Sを介して互いに近接して配置されている。読み出し回路20を共有する4つの画素Pにおいて、4つの転送ゲートTG(TG1,TG2,TG3,TG4)は、4つのFD部26を囲むように配置されており、例えば、4つの転送ゲートTGによって円環形状となる形状となっている。
【0164】
素子分離領域112は、第1方向Vに延在する複数のブロックで構成されている。半導体層30Sは、第1方向Vに延在するとともに、素子分離領域112を介して第1方向Vと直交する第2方向Hに並んで配置された複数の島状のブロック30SAで構成されている。各ブロック30SAには、例えば、リセットトランジスタ23、増幅トランジスタ24および選択トランジスタ25が設けられている。4つの画素Pによって共有される1つの読み出し回路20は、例えば、4つの画素Pと正対して配置されておらず、第2方向Hにずれて配置されている。
【0165】
図31では、4つの画素Pによって共有される1つの読み出し回路20は、第2基板30において、4つの画素Pと対向する領域を第2方向Hにずらした領域内にある、リセットトランジスタ23、増幅トランジスタ24および選択トランジスタ25によって構成されている。4つの画素Pによって共有される1つの読み出し回路20は、例えば、1つのブロック30SA内の増幅トランジスタ24、リセットトランジスタ23および選択トランジスタ25によって構成されている。
【0166】
図32では、4つの画素Pによって共有される1つの読み出し回路20は、第2基板30において、4つの画素Pと対向する領域を第2方向Hにずらした領域内にある、リセットトランジスタ23、増幅トランジスタ24、選択トランジスタ25およびFD転送トランジスタ27によって構成されている。4つの画素Pによって共有される1つの読み出し回路20は、例えば、1つのブロック30SA内の増幅トランジスタ24、リセットトランジスタ23、選択トランジスタ25およびFD転送トランジスタ27によって構成されている。
【0167】
本変形例では、4つの画素Pによって共有される1つの読み出し回路20は、例えば、4つの画素Pと正対して配置されておらず、4つの画素Pと正対する位置から第2方向Hにずれて配置されている。このようにした場合には、配線31Wを短くすることができ、または、配線31Wを省略して、増幅トランジスタ24のソースと、選択トランジスタ25のドレインとを共通の不純物領域で構成することもできる。その結果、読み出し回路20のサイズを小さくしたり、読み出し回路20内の他の箇所のサイズを大きくしたりすることができる。
【0168】
<変形例8>
図33は、上記第2の実施の形態に係る撮像素子10Aの水平方向の断面構成の一変形例を表すものである。
図33には、
図24の断面構成の一変形例が示されている。
【0169】
本変形例では、半導体層30Sが、素子分離領域112を介して第1方向Vおよび第2方向Hに並んで配置された複数の島状のブロック30SAで構成されている。各ブロック30SAには、例えば、一組のリセットトランジスタ23、増幅トランジスタ24および選択トランジスタ25が設けられている。このようにした場合には、互いに隣接する読み出し回路20同士のクロストークを、素子分離領域112によって抑制することができ、再生画像上での解像度低下や混色による画質劣化を抑制することができる。
【0170】
<変形例9>
図34は、上記第2の実施の形態に係る撮像素子10Aの水平方向の断面構成の一変形例を表すものである。
図34には、
図33の断面構成の一変形例が示されている。
【0171】
本変形例では、4つの画素Pによって共有される1つの読み出し回路20が、例えば、4つの画素Pと正対して配置されておらず、第1方向Vにずれて配置されている。本変形例では、さらに、変形例8と同様、半導体層30Sが、素子分離領域112を介して第1方向Vおよび第2方向Hに並んで配置された複数の島状のブロック30SAで構成されている。各ブロック30SAには、例えば、一組のリセットトランジスタ23、増幅トランジスタ24および選択トランジスタ25が設けられている。本変形例では、さらに、複数の電極E1および複数の電極26Eが、第2方向Hにも配列されている。具体的には、複数の電極E1が、ある読み出し回路20を共有する4つの電極26Eと、その読み出し回路20の第2方向Hに隣接する他の読み出し回路20を共有する4つの電極26Eとの間に配置されている。このようにした場合には、互いに隣接する読み出し回路20同士のクロストークを、素子分離領域112および電極E1によって抑制することができ、再生画像上での解像度低下や混色による画質劣化を抑制することができる。
【0172】
<変形例10>
図35は、上記第2の実施の形態およびその変形例に係る撮像素子10Aの水平方向の断面構成の一例を表したものである。
図35には、
図24の断面構成の一変形例が示されている。
【0173】
本変形例では、第1基板11Aは、フォトダイオード21および転送トランジスタ22を画素Pごとに有し、FD部26を4つの画素Pごとに共有している。従って、本変形例では、4つの画素Pごとに、1つの電極26Eが設けられている。
【0174】
マトリクス状に配置された複数の画素Pにおいて、1つのFD部26を共有する4つの画素Pに対応する単位領域を、1つの画素P分だけ第1方向Vにずらすことにより得られる領域に対応する4つの画素Pを、便宜的に、4つの画素PAと称することとする。このとき、本変形例では、第1基板11Aは、電極E1を4つの画素PAごとに共有している。従って、本変形例では、4つの画素PAごとに、1つの電極E1が設けられている。
【0175】
本変形例では、第1基板11Aは、フォトダイオード21および転送トランジスタ22を画素Pごとに分離する画素分離部21Sを有している。画素分離部21Sは、半導体基板11の法線方向から見て、画素Pを完全には囲っておらず、FD部26(電極26E)の近傍と、電極E1の近傍に、隙間(未形成領域)を有している。そして、その隙間によって、4つの画素Pによる1つの電極26Eの共有や、4つの画素PAによる1つの電極E1の共有を可能にしている。本変形例では、第2基板30は、FD部26を共有する4つの画素Pごとに読み出し回路20を有している。
【0176】
図36は、本変形例に係る撮像素子10Aの水平方向の断面構成の一例を表したものである。
図36には、
図33の断面構成の一変形例が示されている。本変形例では、第1基板11Aは、フォトダイオード21および転送トランジスタ22を画素Pごとに有し、FD部26を4つの画素Pごとに共有している。さらに、第1基板11Aは、フォトダイオード21および転送トランジスタ22を画素Pごとに分離する画素分離部21Sを有している。
【0177】
図37は、本変形例に係る撮像素子10Aの水平方向の断面構成の一例を表したものである。
図37には、
図34の断面構成の一変形例が示されている。本変形例では、第1基板11Aは、フォトダイオード21および転送トランジスタ22を画素Pごとに有し、FD部26を4つの画素Pごとに共有している。さらに、第1基板11Aは、フォトダイオード21および転送トランジスタ22を画素Pごとに分離する画素分離部21Sを有している。
【0178】
<変形例11>
図38は、上記第2の実施の形態およびその変形例に係る撮像素子10Aの回路構成の一例を表したものである。本変形例に係る撮像素子10Aは、列並列ADC搭載のCMOSイメージセンサである。
【0179】
図38に示すように、本変形例に係る撮像素子10Aは、光電変換素子を含む複数の画素Pが行列状(マトリックス状)に2次元配置されてなる画素アレイ部12に加えて、垂直駆動回路13、信号処理回路14、参照電圧供給部38、水平駆動回路15、水平出力線37およびシステム制御回路16を有する構成となっている。
【0180】
このシステム構成において、システム制御回路16は、マスタークロックMCKに基づいて、垂直駆動回路13、信号処理回路14、参照電圧供給部38および水平駆動回路15などの動作の基準となるクロック信号や制御信号などを生成し、垂直駆動回路13、信号処理回路14、参照電圧供給部38および水平駆動回路15などに対して与える。
【0181】
また、垂直駆動回路13は、画素アレイ部12の各画素Pとともに、第1基板11A形成されており、さらに、読み出し回路20の形成されている第2基板30にも形成される。信号処理回路14、参照電圧供給部38、水平駆動回路15、水平出力線37およびシステム制御回路16は、第3基板40に形成される。
【0182】
画素Pとしては、ここでは図示を省略するが、例えば、フォトダイオード21の他に、フォトダイオード21で光電変換して得られる電荷をFD部26に転送する転送トランジスタ22とを有する構成のものを用いることができる。また、読み出し回路20としては、ここでは図示を省略するが、例えば、FD部26の電位を制御するリセットトランジスタ23と、FD部26の電位に応じた信号を出力する増幅トランジスタ24と、画素選択を行うための選択トランジスタ25とを有する3トランジスタ構成のものを用いることができる。
【0183】
画素アレイ部12には、画素Pが2次元配置されるとともに、このm行n列の画素配置に対して行毎に画素駆動線17が配線され、列毎に垂直信号線18が配線されている。複数の画素駆動線17の各一端は、垂直駆動回路13の各行に対応した各出力端に接続されている。垂直駆動回路13は、シフトレジスタなどによって構成され、複数の画素駆動線17を介して画素アレイ部12の行アドレスや行走査の制御を行う。
【0184】
信号処理回路14は、例えば、画素アレイ部12の画素列毎、即ち垂直信号線18毎に設けられたADC(アナログ-デジタル変換回路)34-1~34-mを有し、画素アレイ部12の各画素Pから列毎に出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換して出力する。
【0185】
参照電圧供給部38は、時間が経過するにつれてレベルが傾斜状に変化する、いわゆるランプ(RAMP)波形の参照電圧Vrefを生成する手段として、例えばDAC(デジタル-アナログ変換回路)38Aを有している。なお、ランプ波形の参照電圧Vrefを生成する手段としては、DAC38Aに限られるものではない。
【0186】
DAC38Aは、システム制御回路16から与えられる制御信号CS1による制御の下に、当該システム制御回路16から与えられるクロックCKに基づいてランプ波形の参照電圧Vrefを生成して信号処理回路14のADC34-1~34-mに対して供給する。
【0187】
なお、ADC34-1~34-mの各々は、画素P全ての情報を読み出すプログレッシブ走査方式での通常フレームレートモードと、通常フレームレートモード時に比べて、画素Pの露光時間を1/Nに設定してフレームレートをN倍、例えば2倍に上げる高速フレームレートモードとの各動作モードに対応したAD変換動作を選択的に行い得る構成となっている。この動作モードの切り替えは、システム制御回路16から与えられる制御信号CS2,CS3による制御によって実行される。また、システム制御回路16に対しては、外部のシステムコントローラ(図示せず)から、通常フレームレートモードと高速フレームレートモードの各動作モードとを切り替えるための指示情報が与えられる。
【0188】
ADC34-1~34-mは全て同じ構成となっており、ここでは、ADC34-mを例に挙げて説明するものとする。ADC34-mは、比較器34A、計数手段である例えばアップ/ダウンカウンタ(図中、U/DCNTと記している)34B、転送スイッチ34Cおよびメモリ装置34Dを有する構成となっている。
【0189】
比較器34Aは、画素アレイ部12のn列目の各画素Pから出力される信号に応じた垂直信号線18の信号電圧Vxと、参照電圧供給部38から供給されるランプ波形の参照電圧Vrefとを比較し、例えば、参照電圧Vrefが信号電圧Vxよりも大なるときに出力Vcoが"H"レベルになり、参照電圧Vrefが信号電圧Vx以下のときに出力Vcoが"L"レベルになる。
【0190】
アップ/ダウンカウンタ34Bは非同期カウンタであり、システム制御回路16から与えられる制御信号CS2による制御の下に、システム制御回路16からクロックCKがDAC18Aと同時に与えられ、当該クロックCKに同期してダウン(DOWN)カウントまたはアップ(UP)カウントを行うことにより、比較器34Aでの比較動作の開始から比較動作の終了までの比較期間を計測する。
【0191】
具体的には、通常フレームレートモードでは、1つの画素Pからの信号の読み出し動作において、1回目の読み出し動作時にダウンカウントを行うことにより1回目の読み出し時の比較時間を計測し、2回目の読み出し動作時にアップカウントを行うことにより2回目の読み出し時の比較時間を計測する。
【0192】
一方、高速フレームレートモードでは、ある行の画素Pについてのカウント結果をそのまま保持しておき、引き続き、次の行の画素Pについて、前回のカウント結果から1回目の読み出し動作時にダウンカウントを行うことで1回目の読み出し時の比較時間を計測し、2回目の読み出し動作時にアップカウントを行うことで2回目の読み出し時の比較時間を計測する。
【0193】
転送スイッチ34Cは、システム制御回路16から与えられる制御信号CS3による制御の下に、通常フレームレートモードでは、ある行の画素Pについてのアップ/ダウンカウンタ34Bのカウント動作が完了した時点でオン(閉)状態となって当該アップ/ダウンカウンタ34Bのカウント結果をメモリ装置34Dに転送する。
【0194】
一方、例えばN=2の高速フレームレートでは、ある行の画素Pについてのアップ/ダウンカウンタ34Bのカウント動作が完了した時点でオフ(開)状態のままであり、引き続き、次の行の画素Pについてのアップ/ダウンカウンタ34Bのカウント動作が完了した時点でオン状態となって当該アップ/ダウンカウンタ34Bの垂直2画素分についてのカウント結果をメモリ装置34Dに転送する。
【0195】
このようにして、画素アレイ部12の各画素Pから垂直信号線18を経由して列毎に供給されるアナログ信号が、ADC34-1~34-mにおける比較器34Aおよびアップ/ダウンカウンタ34Bの各動作により、Nビットのデジタル信号に変換されてメモリ装置34Dに格納される。
【0196】
水平駆動回路15は、シフトレジスタなどによって構成され、信号処理回路14におけるADC34-1~34-mの列アドレスや列走査の制御を行う。この水平駆動回路15による制御の下に、ADC34-1~34-mの各々でAD変換されたNビットのデジタル信号は順に水平出力線37に読み出され、当該水平出力線37を経由して撮像データとして出力される。
【0197】
なお、本開示には直接関連しないため特に図示しないが、水平出力線37を経由して出力される撮像データに対して各種の信号処理を施す回路等を、上記構成要素以外に設けることも可能である。
【0198】
上記構成の本変形例に係る列並列ADC搭載の撮像素子10Aでは、アップ/ダウンカウンタ34Bのカウント結果を、転送スイッチ34Cを介して選択的にメモリ装置34Dに転送することができるため、アップ/ダウンカウンタ34Bのカウント動作と、当該アップ/ダウンカウンタ34Bのカウント結果の水平出力線37への読み出し動作とを独立して制御することが可能である。
【0199】
<変形例12>
図39は、
図38の撮像素子を3つの基板(第1基板11A,第2基板30,第3基板40)を積層して構成した例を表す。本変形例では、第1基板11Aにおいて、中央部分に、複数の画素Pを含む画素アレイ部12が形成されており、画素アレイ部12の周囲に垂直駆動回路13が形成されている。また、第2基板30において、中央部分に、複数の読み出し回路20を含む読み出し回路領域20Rが形成されており、読み出し回路領域20Rの周囲に垂直駆動回路13が形成されている。第3基板40において、信号処理回路14、水平駆動回路15、システム制御回路16、水平出力線37および参照電圧供給部38が形成されている。これにより、上記実施の形態およびその変形例と同様、基板同士を電気的に接続する構造に起因して、チップサイズが大きくなったり、1画素あたりの面積の微細化を阻害したりしてしまうことがない。その結果、今までと同等のチップサイズで、1画素あたりの面積の微細化を阻害することのない3層構造の撮像素子10Aを提供することができる。なお、垂直駆動回路13は、第1基板11Aのみに形成されても、第2基板30のみに形成されてもよい。
【0200】
<変形例13>
図40は、上記第2の実施の形態およびその変形例に係る撮像素子10Aの断面構成の一変形例を表す。上記第2の実施の形態およびその変形例では、撮像素子10Aは、3つの基板(第1基板11A,第2基板30,第3基板40)を積層して構成されていた。しかし、上記第2の実施の形態およびその変形例において、撮像素子10Aが、2つの基板(第1基板11A,第2基板30)を積層して構成されていてもよい。このとき、ロジック回路LCは、例えば、
図40に示したように、第1基板11Aと、第2基板30とに分けて形成されている。ここで、ロジック回路LCのうち、第1基板11A側に設けられた回路LCAでは、高温プロセスに耐え得る材料(例えば、high-k)からなる高誘電率膜とメタルゲート電極とが積層されたゲート構造を有するトランジスタが設けられている。一方、第2基板30側に設けられた回路LCBでは、ソース電極およびドレイン電極と接する不純物拡散領域の表面に、CoSi
2やNiSiなどのサリサイド (Self Aligned Silicide)プロセスを用いて形成されたシリサイドからなる低抵抗領域30SLが形成されている。シリサイドからなる低抵抗領域は、半導体基板の材料と金属との化合物で形成されている。これにより、画素Pを形成する際に、熱酸化などの高温プロセスを用いることができる。また、ロジック回路LCのうち、第2基板30側に設けられた回路LCBにおいて、ソース電極およびドレイン電極と接する不純物拡散領域の表面に、シリサイドからなる低抵抗領域30SLを設けた場合には、接触抵抗を低減することができる。その結果、ロジック回路LCでの演算速度を高速化することができる。
【0201】
<変形例14>
図41は、上記第2の実施の形態およびその変形例に係る撮像素子10Aの断面構成の一変形例を表す。上記第2の実施の形態およびその変形例に係る第3基板40のロジック回路LCにおいて、ソース電極およびドレイン電極と接する不純物拡散領域の表面に、CoSi
2やNiSiなどのサリサイド (Self Aligned Silicide)プロセスを用いて形成されたシリサイドからなる低抵抗領域40SLが形成されていてもよい。これにより、画素Pを形成する際に、熱酸化などの高温プロセスを用いることができる。また、ロジック回路LCにおいて、ソース電極およびドレイン電極と接する不純物拡散領域の表面に、シリサイドからなる低抵抗領域40SLを設けた場合には、接触抵抗を低減することができる。その結果、ロジック回路LCでの演算速度を高速化することができる。
【0202】
<適用例>
図42は、上記第1,第2の実施の形態およびその変形例に係る撮像素子10,10Aを備えた撮像装置2の概略構成の一例を表したものである。
【0203】
撮像装置2は、例えば、デジタルスチルカメラやビデオカメラ等の撮像装置や、スマートフォンやタブレット型端末等の携帯端末装置などの電子機器である。撮像装置2は、例えば、上記第1,第2の実施の形態およびその変形例に係る撮像素子10,10A、DSP回路141、フレームメモリ142、表示部143、記憶部144、操作部145および電源部146を備えている。撮像装置2において、上記実施の形態およびその変形例に係る撮像素子10,10A、DSP回路141、フレームメモリ142、表示部143、記憶部144、操作部145および電源部146は、バスライン147を介して相互に接続されている。
【0204】
上記第1,第2実施の形態およびその変形例に係る撮像素子10,10Aは、入射光に応じた画像データを出力する。DSP回路141は、上記実施の形態およびその変形例に係る撮像素子10,10Aから出力される信号(画像データ)を処理する信号処理回路である。フレームメモリ142は、DSP回路141により処理された画像データを、フレーム単位で一時的に保持する。表示部143は、例えば、液晶パネルや有機EL(Electro Luminescence)パネル等のパネル型表示装置からなり、上記実施の形態およびその変形例に係る撮像素子10,10Aで撮像された動画又は静止画を表示する。記憶部144は、上記第1,第2の実施の形態およびその変形例に係る撮像素子10,10Aで撮像された動画又は静止画の画像データを、半導体メモリやハードディスク等の記録媒体に記録する。操作部145は、ユーザによる操作に従い、撮像装置2が有する各種の機能についての操作指令を発する。電源部146は、上記第1,第2の実施の形態およびその変形例に係る撮像素子10,10A、DSP回路141、フレームメモリ142、表示部143、記憶部144および操作部145の動作電源となる各種の電源を、これら供給対象に対して適宜供給する。
【0205】
次に、撮像装置2における撮像手順について説明する。
【0206】
図43は、撮像装置2における撮像動作のフローチャートの一例を表す。ユーザは、操作部145を操作することにより撮像開始を指示する(ステップS101)。すると、操作部145は、撮像指令を撮像素子10,10Aに送信する(ステップS102)。撮像素子10,10A(具体的にはシステム制御回路16)は、撮像指令を受けると、所定の撮像方式での撮像を実行する(ステップS103)。
【0207】
撮像素子10,10Aは、撮像により得られた画像データをDSP回路141に出力する。ここで、画像データとは、FD部26に一時的に保持された電荷に基づいて生成された画素信号の全画素分のデータである。DSP回路141は、撮像素子10,10Aから入力された画像データに基づいて所定の信号処理(例えばノイズ低減処理など)を行う(ステップS104)。DSP回路141は、所定の信号処理がなされた画像データをフレームメモリ142に保持させ、フレームメモリ142は、画像データを記憶部144に記憶させる(ステップS105)。このようにして、撮像装置2における撮像が行われる。
【0208】
本適用例では、上記実施の形態およびその変形例に係る撮像素子10,10Aが撮像装置2に適用される。これにより、撮像素子10,10Aを小型化もしくは高精細化することができるので、小型もしくは高精細な撮像装置2を提供することができる。
【0209】
<体内情報取得システムへの応用例>
更に、本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、内視鏡手術システムに適用されてもよい。
【0210】
図44は、本開示に係る技術(本技術)が適用され得る、カプセル型内視鏡を用いた患者の体内情報取得システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
【0211】
体内情報取得システム10001は、カプセル型内視鏡10100と、外部制御装置10200とから構成される。
【0212】
カプセル型内視鏡10100は、検査時に、患者によって飲み込まれる。カプセル型内視鏡10100は、撮像機能及び無線通信機能を有し、患者から自然排出されるまでの間、胃や腸等の臓器の内部を蠕動運動等によって移動しつつ、当該臓器の内部の画像(以下、体内画像ともいう)を所定の間隔で順次撮像し、その体内画像についての情報を体外の外部制御装置10200に順次無線送信する。
【0213】
外部制御装置10200は、体内情報取得システム10001の動作を統括的に制御する。また、外部制御装置10200は、カプセル型内視鏡10100から送信されてくる体内画像についての情報を受信し、受信した体内画像についての情報に基づいて、表示装置(図示せず)に当該体内画像を表示するための画像データを生成する。
【0214】
体内情報取得システム10001では、このようにして、カプセル型内視鏡10100が飲み込まれてから排出されるまでの間、患者の体内の様子を撮像した体内画像を随時得ることができる。
【0215】
カプセル型内視鏡10100と外部制御装置10200の構成及び機能についてより詳細に説明する。
【0216】
カプセル型内視鏡10100は、カプセル型の筐体10101を有し、その筐体10101内には、光源部10111、撮像部10112、画像処理部10113、無線通信部10114、給電部10115、電源部10116、及び制御部10117が収納されている。
【0217】
光源部10111は、例えばLED(light emitting diode)等の光源から構成され、撮像部10112の撮像視野に対して光を照射する。
【0218】
撮像部10112は、撮像素子、及び当該撮像素子の前段に設けられる複数のレンズからなる光学系から構成される。観察対象である体組織に照射された光の反射光(以下、観察光という)は、当該光学系によって集光され、当該撮像素子に入射する。撮像部10112では、撮像素子において、そこに入射した観察光が光電変換され、その観察光に対応する画像信号が生成される。撮像部10112によって生成された画像信号は、画像処理部10113に提供される。
【0219】
画像処理部10113は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサによって構成され、撮像部10112によって生成された画像信号に対して各種の信号処理を行う。画像処理部10113は、信号処理を施した画像信号を、RAWデータとして無線通信部10114に提供する。
【0220】
無線通信部10114は、画像処理部10113によって信号処理が施された画像信号に対して変調処理等の所定の処理を行い、その画像信号を、アンテナ10114Aを介して外部制御装置10200に送信する。また、無線通信部10114は、外部制御装置10200から、カプセル型内視鏡10100の駆動制御に関する制御信号を、アンテナ10114Aを介して受信する。無線通信部10114は、外部制御装置10200から受信した制御信号を制御部10117に提供する。
【0221】
給電部10115は、受電用のアンテナコイル、当該アンテナコイルに発生した電流から電力を再生する電力再生回路、及び昇圧回路等から構成される。給電部10115では、いわゆる非接触充電の原理を用いて電力が生成される。
【0222】
電源部10116は、二次電池によって構成され、給電部10115によって生成された電力を蓄電する。
図44では、図面が煩雑になることを避けるために、電源部10116からの電力の供給先を示す矢印等の図示を省略しているが、電源部10116に蓄電された電力は、光源部10111、撮像部10112、画像処理部10113、無線通信部10114、及び制御部10117に供給され、これらの駆動に用いられ得る。
【0223】
制御部10117は、CPU等のプロセッサによって構成され、光源部10111、撮像部10112、画像処理部10113、無線通信部10114、及び、給電部10115の駆動を、外部制御装置10200から送信される制御信号に従って適宜制御する。
【0224】
外部制御装置10200は、CPU,GPU等のプロセッサ、又はプロセッサとメモリ等の記憶素子が混載されたマイクロコンピュータ若しくは制御基板等で構成される。外部制御装置10200は、カプセル型内視鏡10100の制御部10117に対して制御信号を、アンテナ10200Aを介して送信することにより、カプセル型内視鏡10100の動作を制御する。カプセル型内視鏡10100では、例えば、外部制御装置10200からの制御信号により、光源部10111における観察対象に対する光の照射条件が変更され得る。また、外部制御装置10200からの制御信号により、撮像条件(例えば、撮像部10112におけるフレームレート、露出値等)が変更され得る。また、外部制御装置10200からの制御信号により、画像処理部10113における処理の内容や、無線通信部10114が画像信号を送信する条件(例えば、送信間隔、送信画像数等)が変更されてもよい。
【0225】
また、外部制御装置10200は、カプセル型内視鏡10100から送信される画像信号に対して、各種の画像処理を施し、撮像された体内画像を表示装置に表示するための画像データを生成する。当該画像処理としては、例えば現像処理(デモザイク処理)、高画質化処理(帯域強調処理、超解像処理、NR(Noise reduction)処理及び/又は手ブレ補正処理等)、並びに/又は拡大処理(電子ズーム処理)等、各種の信号処理を行うことができる。外部制御装置10200は、表示装置の駆動を制御して、生成した画像データに基づいて撮像された体内画像を表示させる。あるいは、外部制御装置10200は、生成した画像データを記録装置(図示せず)に記録させたり、印刷装置(図示せず)に印刷出力させてもよい。
【0226】
以上、本開示に係る技術が適用され得る体内情報取得システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、例えば、撮像部10112に適用され得る。これにより、検出精度が向上する。
【0227】
<内視鏡手術システムへの応用例>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、内視鏡手術システムに適用されてもよい。
【0228】
図45は、本開示に係る技術(本技術)が適用され得る内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【0229】
図45では、術者(医師)11131が、内視鏡手術システム11000を用いて、患者ベッド11133上の患者11132に手術を行っている様子が図示されている。図示するように、内視鏡手術システム11000は、内視鏡11100と、気腹チューブ11111やエネルギー処置具11112等の、その他の術具11110と、内視鏡11100を支持する支持アーム装置11120と、内視鏡下手術のための各種の装置が搭載されたカート11200と、から構成される。
【0230】
内視鏡11100は、先端から所定の長さの領域が患者11132の体腔内に挿入される鏡筒11101と、鏡筒11101の基端に接続されるカメラヘッド11102と、から構成される。図示する例では、硬性の鏡筒11101を有するいわゆる硬性鏡として構成される内視鏡11100を図示しているが、内視鏡11100は、軟性の鏡筒を有するいわゆる軟性鏡として構成されてもよい。
【0231】
鏡筒11101の先端には、対物レンズが嵌め込まれた開口部が設けられている。内視鏡11100には光源装置11203が接続されており、当該光源装置11203によって生成された光が、鏡筒11101の内部に延設されるライトガイドによって当該鏡筒の先端まで導光され、対物レンズを介して患者11132の体腔内の観察対象に向かって照射される。なお、内視鏡11100は、直視鏡であってもよいし、斜視鏡又は側視鏡であってもよい。
【0232】
カメラヘッド11102の内部には光学系及び撮像素子が設けられており、観察対象からの反射光(観察光)は当該光学系によって当該撮像素子に集光される。当該撮像素子によって観察光が光電変換され、観察光に対応する電気信号、すなわち観察像に対応する画像信号が生成される。当該画像信号は、RAWデータとしてカメラコントロールユニット(CCU: Camera Control Unit)11201に送信される。
【0233】
CCU11201は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等によって構成され、内視鏡11100及び表示装置11202の動作を統括的に制御する。さらに、CCU11201は、カメラヘッド11102から画像信号を受け取り、その画像信号に対して、例えば現像処理(デモザイク処理)等の、当該画像信号に基づく画像を表示するための各種の画像処理を施す。
【0234】
表示装置11202は、CCU11201からの制御により、当該CCU11201によって画像処理が施された画像信号に基づく画像を表示する。
【0235】
光源装置11203は、例えばLED(light emitting diode)等の光源から構成され、術部等を撮影する際の照射光を内視鏡11100に供給する。
【0236】
入力装置11204は、内視鏡手術システム11000に対する入力インタフェースである。ユーザは、入力装置11204を介して、内視鏡手術システム11000に対して各種の情報の入力や指示入力を行うことができる。例えば、ユーザは、内視鏡11100による撮像条件(照射光の種類、倍率及び焦点距離等)を変更する旨の指示等を入力する。
【0237】
処置具制御装置11205は、組織の焼灼、切開又は血管の封止等のためのエネルギー処置具11112の駆動を制御する。気腹装置11206は、内視鏡11100による視野の確保及び術者の作業空間の確保の目的で、患者11132の体腔を膨らめるために、気腹チューブ11111を介して当該体腔内にガスを送り込む。レコーダ11207は、手術に関する各種の情報を記録可能な装置である。プリンタ11208は、手術に関する各種の情報を、テキスト、画像又はグラフ等各種の形式で印刷可能な装置である。
【0238】
なお、内視鏡11100に術部を撮影する際の照射光を供給する光源装置11203は、例えばLED、レーザ光源又はこれらの組み合わせによって構成される白色光源から構成することができる。RGBレーザ光源の組み合わせにより白色光源が構成される場合には、各色(各波長)の出力強度及び出力タイミングを高精度に制御することができるため、光源装置11203において撮像画像のホワイトバランスの調整を行うことができる。また、この場合には、RGBレーザ光源それぞれからのレーザ光を時分割で観察対象に照射し、その照射タイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御することにより、RGBそれぞれに対応した画像を時分割で撮像することも可能である。当該方法によれば、当該撮像素子にカラーフィルタを設けなくても、カラー画像を得ることができる。
【0239】
また、光源装置11203は、出力する光の強度を所定の時間ごとに変更するようにその駆動が制御されてもよい。その光の強度の変更のタイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御して時分割で画像を取得し、その画像を合成することにより、いわゆる黒つぶれ及び白とびのない高ダイナミックレンジの画像を生成することができる。
【0240】
また、光源装置11203は、特殊光観察に対応した所定の波長帯域の光を供給可能に構成されてもよい。特殊光観察では、例えば、体組織における光の吸収の波長依存性を利用して、通常の観察時における照射光(すなわち、白色光)に比べて狭帯域の光を照射することにより、粘膜表層の血管等の所定の組織を高コントラストで撮影する、いわゆる狭帯域光観察(Narrow Band Imaging)が行われる。あるいは、特殊光観察では、励起光を照射することにより発生する蛍光により画像を得る蛍光観察が行われてもよい。蛍光観察では、体組織に励起光を照射し当該体組織からの蛍光を観察すること(自家蛍光観察)、又はインドシアニングリーン(ICG)等の試薬を体組織に局注するとともに当該体組織にその試薬の蛍光波長に対応した励起光を照射し蛍光像を得ること等を行うことができる。光源装置11203は、このような特殊光観察に対応した狭帯域光及び/又は励起光を供給可能に構成され得る。
【0241】
図46は、
図45に示すカメラヘッド11102及びCCU11201の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0242】
カメラヘッド11102は、レンズユニット11401と、撮像部11402と、駆動部11403と、通信部11404と、カメラヘッド制御部11405と、を有する。CCU11201は、通信部11411と、画像処理部11412と、制御部11413と、を有する。カメラヘッド11102とCCU11201とは、伝送ケーブル11400によって互いに通信可能に接続されている。
【0243】
レンズユニット11401は、鏡筒11101との接続部に設けられる光学系である。鏡筒11101の先端から取り込まれた観察光は、カメラヘッド11102まで導光され、当該レンズユニット11401に入射する。レンズユニット11401は、ズームレンズ及びフォーカスレンズを含む複数のレンズが組み合わされて構成される。
【0244】
撮像部11402を構成する撮像素子は、1つ(いわゆる単板式)であってもよいし、複数(いわゆる多板式)であってもよい。撮像部11402が多板式で構成される場合には、例えば各撮像素子によってRGBそれぞれに対応する画像信号が生成され、それらが合成されることによりカラー画像が得られてもよい。あるいは、撮像部11402は、3D(dimensional)表示に対応する右目用及び左目用の画像信号をそれぞれ取得するための1対の撮像素子を有するように構成されてもよい。3D表示が行われることにより、術者11131は術部における生体組織の奥行きをより正確に把握することが可能になる。なお、撮像部11402が多板式で構成される場合には、各撮像素子に対応して、レンズユニット11401も複数系統設けられ得る。
【0245】
また、撮像部11402は、必ずしもカメラヘッド11102に設けられなくてもよい。例えば、撮像部11402は、鏡筒11101の内部に、対物レンズの直後に設けられてもよい。
【0246】
駆動部11403は、アクチュエータによって構成され、カメラヘッド制御部11405からの制御により、レンズユニット11401のズームレンズ及びフォーカスレンズを光軸に沿って所定の距離だけ移動させる。これにより、撮像部11402による撮像画像の倍率及び焦点が適宜調整され得る。
【0247】
通信部11404は、CCU11201との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11404は、撮像部11402から得た画像信号をRAWデータとして伝送ケーブル11400を介してCCU11201に送信する。
【0248】
また、通信部11404は、CCU11201から、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を受信し、カメラヘッド制御部11405に供給する。当該制御信号には、例えば、撮像画像のフレームレートを指定する旨の情報、撮像時の露出値を指定する旨の情報、並びに/又は撮像画像の倍率及び焦点を指定する旨の情報等、撮像条件に関する情報が含まれる。
【0249】
なお、上記のフレームレートや露出値、倍率、焦点等の撮像条件は、ユーザによって適宜指定されてもよいし、取得された画像信号に基づいてCCU11201の制御部11413によって自動的に設定されてもよい。後者の場合には、いわゆるAE(Auto Exposure)機能、AF(Auto Focus)機能及びAWB(Auto White Balance)機能が内視鏡11100に搭載されていることになる。
【0250】
カメラヘッド制御部11405は、通信部11404を介して受信したCCU11201からの制御信号に基づいて、カメラヘッド11102の駆動を制御する。
【0251】
通信部11411は、カメラヘッド11102との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11411は、カメラヘッド11102から、伝送ケーブル11400を介して送信される画像信号を受信する。
【0252】
また、通信部11411は、カメラヘッド11102に対して、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を送信する。画像信号や制御信号は、電気通信や光通信等によって送信することができる。
【0253】
画像処理部11412は、カメラヘッド11102から送信されたRAWデータである画像信号に対して各種の画像処理を施す。
【0254】
制御部11413は、内視鏡11100による術部等の撮像、及び、術部等の撮像により得られる撮像画像の表示に関する各種の制御を行う。例えば、制御部11413は、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を生成する。
【0255】
また、制御部11413は、画像処理部11412によって画像処理が施された画像信号に基づいて、術部等が映った撮像画像を表示装置11202に表示させる。この際、制御部11413は、各種の画像認識技術を用いて撮像画像内における各種の物体を認識してもよい。例えば、制御部11413は、撮像画像に含まれる物体のエッジの形状や色等を検出することにより、鉗子等の術具、特定の生体部位、出血、エネルギー処置具11112の使用時のミスト等を認識することができる。制御部11413は、表示装置11202に撮像画像を表示させる際に、その認識結果を用いて、各種の手術支援情報を当該術部の画像に重畳表示させてもよい。手術支援情報が重畳表示され、術者11131に提示されることにより、術者11131の負担を軽減することや、術者11131が確実に手術を進めることが可能になる。
【0256】
カメラヘッド11102及びCCU11201を接続する伝送ケーブル11400は、電気信号の通信に対応した電気信号ケーブル、光通信に対応した光ファイバ、又はこれらの複合ケーブルである。
【0257】
ここで、図示する例では、伝送ケーブル11400を用いて有線で通信が行われていたが、カメラヘッド11102とCCU11201との間の通信は無線で行われてもよい。
【0258】
以上、本開示に係る技術が適用され得る内視鏡手術システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、撮像部11402に適用され得る。撮像部11402に本開示に係る技術を適用することにより、検出精度が向上する。
【0259】
なお、ここでは、一例として内視鏡手術システムについて説明したが、本開示に係る技術は、その他、例えば、顕微鏡手術システム等に適用されてもよい。
【0260】
<移動体への応用例>
本開示に係る技術は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット、建設機械、農業機械(トラクター)などのいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0261】
図47は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0262】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。
図47に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(interface)12053が図示されている。
【0263】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0264】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0265】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0266】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0267】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0268】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0269】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0270】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0271】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。
図47の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0272】
図48は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0273】
図48では、撮像部12031として、撮像部12101,12102,12103,12104,12105を有する。
【0274】
撮像部12101,12102,12103,12104,12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102,12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0275】
なお、
図48には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0276】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0277】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0278】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0279】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0280】
以上、本開示に係る技術が適用され得る車両制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、撮像部12031に適用され得る。撮像部12031に本開示に係る技術を適用することにより、より見やすい撮影画像を得ることができるため、ドライバの疲労を軽減することが可能になる。
【0281】
以上、実施の形態および変形例を挙げて本開示の内容を説明したが、本開示内容は上記実施の形態等に限定されるものではなく、種々変形が可能である。例えば、上記実施の形態において説明した撮像素子の層構成は一例であり、更に他の層を備えていてもよい。また、各層の材料や厚みも一例であって、上述のものに限定されるものではない。
【0282】
また、上記実施の形態等では、増幅トランジスタ24がジャンクションレストランジスタである場合について説明したが、リセットトランジスタ23、増幅トランジスタ24および選択トランジスタ25のうちの少なくともいずれか1つがジャンクションレストランジスタであればよい。
【0283】
また、上記第2の実施の形態では、増幅トランジスタ24および選択トランジスタ25が、シングルゲート構造を有する場合について説明したが、増幅トランジスタ24および選択トランジスタ25は、ダブルゲート構造を有していてもよい。
【0284】
また、上記変形例4では、リセットトランジスタ23のチャネル領域23Cが1つのフィン(フィンF1)に設けられ、増幅トランジスタ24および選択トランジスタ25のチャネル領域24C,25Cが2つのフィン(フィンF2,F3)に設けられる場合について説明したが、フィンの数はこれに限らない。
【0285】
上記実施の形態等において説明した効果は一例であり、他の効果であってもよいし、更に他の効果を含んでいてもよい。
【0286】
尚、本開示は、以下のような構成であってもよい。以下の構成を有する固体撮像素子および撮像素子によれば、出力トランジスタが、ソース・ドレイン領域の導電型と同じ導電型(第1導電型)のチャネル領域を有するようにしたので、チャネル領域のゲート電極側の界面に捕獲されるキャリアに起因したノイズを減らすことができる。よって、ノイズを抑えることが可能となる。
(1)
光電変換部、前記光電変換部に電気的に接続された転送トランジスタ、および前記光電変換部で生成された信号電荷が、前記転送トランジスタから転送される電荷蓄積部を有する第1基板と、
前記第1基板に対向して設けられ、かつ、ゲート電極と、前記ゲート電極に対向して配置された第1導電型のチャネル領域と、前記第1導電型のチャネル領域に隣接する前記第1導電型のソース・ドレイン領域とを含む出力トランジスタを有する第2基板と、
前記光電変換部で生成された信号電荷が、前記転送トランジスタおよび前記出力トランジスタを介して出力される駆動回路とを備え、
前記第1基板は、光入射側となる第1面および前記第1面と対向する第2面を有する半導体基板を含み、
前記半導体基板は、前記第1導電型とは導電型の異なる第2導電型のウェル領域を有し、
前記光電変換部は前記第2導電型のウェル領域に埋め込み形成され、
前記電荷蓄積部は、前記半導体基板の前記第1面近傍の前記第2導電型のウェル領域に設けられた前記第1導電型の不純物拡散領域により構成され、
前記転送トランジスタは、前記光電変換部と前記電荷蓄積部との間に前記第2導電型のチャネル領域を有する
固体撮像素子。
(2)
前記ゲート電極は、平板形状を有する
前記(1)に記載の固体撮像素子。
(3)
更に、前記第2基板を間にして前記第1基板に対向し、前記駆動回路が設けられた第3基板を有する
前記(1)または(2)に記載の固体撮像素子。
(4)
光入射側となる第1面および前記第1面と対向する第2面を有する半導体基板と、
光電変換部と、
前記光電変換部に電気的に接続された転送トランジスタと、
前記光電変換部で生成された信号電荷が、前記転送トランジスタから転送される電荷蓄積部と、
前記転送トランジスタに電気的に接続され、第1導電型のチャネル領域と、前記第1導電型のチャネル領域を覆う複数の面を有するゲート電極と、前記第1導電型のチャネル領域に隣接する前記第1導電型のソース・ドレイン領域とを含む出力トランジスタと、
前記光電変換部で生成された信号電荷が、前記転送トランジスタおよび前記出力トランジスタを介して出力される駆動回路とを備え、
前記半導体基板は、前記第1導電型とは導電型の異なる第2導電型のウェル領域を有し、
前記光電変換部は前記第2導電型のウェル領域に埋め込み形成され、
前記電荷蓄積部は、前記半導体基板の前記第1面近傍の前記第2導電型のウェル領域に設けられた前記第1導電型の不純物拡散領域により構成され、
前記転送トランジスタは、前記光電変換部と前記電荷蓄積部との間に前記第2導電型のチャネル領域を有する
固体撮像素子。
(5)
更に、前記光電変換部、前記光電変換部に電気的に接続された転送トランジスタ、および前記光電変換部で生成された信号電荷が、前記転送トランジスタから転送される電荷蓄積部を有する第1基板と、
前記第1基板に対向して設けられ、前記出力トランジスタを有する第2基板と、
前記第2基板を間にして前記第1基板に対向し、前記駆動回路が設けられた第3基板とを有する
前記(4)に記載の固体撮像素子。
(6)
更に、前記ゲート電極と前記第1導電型のチャネル領域との間のゲート絶縁膜を有する
前記(1)ないし(5)のいずれか1つに記載の固体撮像素子。
(7)
更に、前記電荷蓄積部の電位の大きさに応じた信号を出力する増幅トランジスタと、
前記電荷蓄積部の電位をリセットするリセットトランジスタと、
前記増幅トランジスタの出力を制御する選択トランジスタとを有し、
前記増幅トランジスタ、前記リセットトランジスタおよび前記選択トランジスタの少なくとも1つが、前記出力トランジスタである
前記(1)ないし(6)のいずれか1つに記載の固体撮像素子。
(8)
更に、前記第1導電型のチャネル領域および前記ソース・ドレイン領域が設けられたフィンを有する
前記(1)ないし(7)のいずれか1つに記載の固体撮像素子。
(9)
前記フィンには、複数の前記第1導電型のチャネル領域および複数のソース・ドレイン領域が連続して設けられている
前記(8)に記載の固体撮像素子。
(10)
前記ゲート電極は、前記第1導電型のチャネル領域を間にして対向する第1面および第2面と、前記第1面および前記第2面をつなぐ第3面とを含む
前記(1)ないし(9)のいずれか1つに記載の固体撮像素子。
(11)
前記ゲート電極は、更に、前記第1導電型のチャネル領域を間にして前記第3面に対向する第4面を含む
前記(10)に記載の固体撮像素子。
(12)
前記ゲート電極は、第2導電型のポリシリコンを含む
前記(1)ないし(11)のいずれか1つに記載の固体撮像素子。
(13)
光電変換部、前記光電変換部に電気的に接続された転送トランジスタ、および前記光電変換部で生成された信号電荷が、前記転送トランジスタから転送される電荷蓄積部を有する第1基板と、
前記第1基板に対向して設けられ、かつ、ゲート電極と、前記ゲート電極に対向して配置された第1導電型のチャネル領域と、前記第1導電型のチャネル領域に隣接する前記第1導電型のソース・ドレイン領域とを含む出力トランジスタを有する第2基板と、
前記光電変換部で生成された信号電荷が、前記転送トランジスタおよび前記出力トランジスタを介して出力される駆動回路とを備え、
前記第1基板は、光入射側となる第1面および前記第1面と対向する第2面を有する半導体基板を含み、
前記半導体基板は、前記第1導電型とは導電型の異なる第2導電型のウェル領域を有し、
前記光電変換部は前記第2導電型のウェル領域に埋め込み形成され、
前記電荷蓄積部は、前記半導体基板の前記第1面近傍の前記第2導電型のウェル領域に設けられた前記第1導電型の不純物拡散領域により構成され、
前記転送トランジスタは、前記光電変換部と前記電荷蓄積部との間に前記第2導電型のチャネル領域を有する
固体撮像素子を備えた撮像装置。
(14)
光入射側となる第1面および前記第1面と対向する第2面を有する半導体基板と、
光電変換部と、
前記光電変換部に電気的に接続された転送トランジスタと、
前記光電変換部で生成された信号電荷が、前記転送トランジスタから転送される電荷蓄積部と、
前記転送トランジスタに電気的に接続され、第1導電型のチャネル領域と、前記第1導電型のチャネル領域を覆う複数の面を有するゲート電極と、前記第1導電型のチャネル領域に隣接する前記第1導電型のソース・ドレイン領域とを含む出力トランジスタと、
前記光電変換部で生成された信号電荷が、前記転送トランジスタおよび前記出力トランジスタを介して出力される駆動回路とを備え、
前記半導体基板は、前記第1導電型とは導電型の異なる第2導電型のウェル領域を有し、
前記光電変換部は前記第2導電型のウェル領域に埋め込み形成され、
前記電荷蓄積部は、前記半導体基板の前記第1面近傍の前記第2導電型のウェル領域に設けられた前記第1導電型の不純物拡散領域により構成され、
前記転送トランジスタは、前記光電変換部と前記電荷蓄積部との間に前記第2導電型のチャネル領域を有する
固体撮像素子を備えた撮像装置。
【0287】
本出願は、日本国特許庁において2018年10月30日に出願された日本特許出願番号第2018-203704号を基礎として優先権を主張するものであり、この出願の全ての内容を参照によって本出願に援用する。
【0288】
当業者であれば、設計上の要件や他の要因に応じて、種々の修正、コンビネーション、サブコンビネーション、および変更を想到し得るが、それらは添付の請求の範囲やその均等物の範囲に含まれるものであることが理解される。