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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】飲料用ディスペンサ
(51)【国際特許分類】
   B67D 1/08 20060101AFI20241220BHJP
   F25C 1/147 20180101ALI20241220BHJP
【FI】
B67D1/08 Z
F25C1/147 L
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021009718
(22)【出願日】2021-01-25
(65)【公開番号】P2022113453
(43)【公開日】2022-08-04
【審査請求日】2024-01-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141645
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100076048
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜幾
(72)【発明者】
【氏名】大谷 輝彦
(72)【発明者】
【氏名】水谷 保起
(72)【発明者】
【氏名】田代 秀行
(72)【発明者】
【氏名】荒井 伸幸
(72)【発明者】
【氏名】中田 大貴
(72)【発明者】
【氏名】芝田 悠月
(72)【発明者】
【氏名】山崎 拓也
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-063520(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0126536(US,A1)
【文献】特表2013-500100(JP,A)
【文献】特開2018-135115(JP,A)
【文献】実開平03-037583(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 1/08
F25C 1/147
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料や氷等を下方に向けて放出可能な放出部(25)が筐体(11)に設けられ、該放出部(25)の下方に離間してドレンパン(50)が設けられている飲料用ディスペンサにおいて、
前記ドレンパン(50)は、前記筐体(11)に設けられた保持部(17a,19b,19d)により保持することで当該筐体(11)に対する装着状態となり、該保持部(17a,19b,19d)による保持を解除することで前記筐体(11)から離脱可能となるように構成され
前記ドレンパン(50)の底壁(54)には、該底壁(54)から下方に延出する垂下部(61)および該垂下部(61)から後方に屈曲する屈曲部(63)とによりL字状に形成されると共に、前記底壁(54)に形成された流出口(54a)に連通する第1経路(60a)を形成する始端パイプ(60)が設けられ、
前記筐体(11)の下面側に、第2経路(37a)を形成する中継管構成部(37)が設けられ、
前記中継管構成部(37)は、入口側を形成する受容パイプ(71)に、上方に開口して前記始端パイプ(60)を前記第2経路(37a)に受け容れ可能であると共に、前記筐体(11)に対する前記ドレンパン(50)の着脱に伴う前記始端パイプ(60)の前記第2経路(37a)内での移動を許容する入口が設けられ、
前記ドレンパン(50)は、前記始端パイプ(60)を受容パイプ(71)の入口から第2経路(37a)に挿入して後方に移動することで、始端パイプ(60)の前記第1経路(60a)が前記中継管構成部(37)の第2経路(37a)に連通した状態で、前記筐体(11)に対して前記装着状態になるよう構成した
ことを特徴とする飲料用ディスペンサ。
【請求項2】
前記筐体(11)に対する前記ドレンパン(50)の装着状態において、前記始端パイプ(60)の外周面と前記受容パイプ(71)の内周面との間がシールされている請求項記載の飲料用ディスペンサ。
【請求項3】
前記中継管構成部(37)は、前記受容パイプ(71)の出口側端部に接続されるドレンホース(73)を備え、
前記筐体(11)に対する前記ドレンパン(50)の装着状態において、前記始端パイプ(60)の出口側端部が前記受容パイプ(71)の管路から下流側に突出して前記ドレンホース(73)の内周面の全周にわたって密着することにより、該始端パイプ(60)の外周面と前記ドレンホース(73)の内周面との間がシールされている請求項または記載の飲料用ディスペンサ。
【請求項4】
前記筐体(11)の内部に画成される機械室(11a)に製氷機構(21)が収容されていると共に、前記機械室(11a)の底部に、前記製氷機構(21)により生じて滴下する結露水を当該機械室(11a)から排出する内部ドレンパン(27)が設けられ、
前記中継管構成部(37)は、前記受容パイプ(71)の出口側端部に接続されるドレンホース(73)、外部の排出先に繋がる排出ホース(H)とを繋ぐ終端パイプ(75)を備え、該終端パイプ(75)の管路に前記内部ドレンパン(27)からの排水を合流させるように構成されている請求項1~3の何れか一項に記載の飲料用ディスペンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料や氷等を放出する放出部の下方にドレンパンが設けられている飲料用ディスペンサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ファミリーレストラン等の飲食店では、客に飲料や氷等の提供物を提供する飲料用ディスペンサが使用されている。この飲料用ディスペンサとしては例えば、筐体内部に製氷機構およびストッカを内蔵したアイスディスペンサがある。アイスディスペンサは、製氷機構で生成した氷をストッカに貯留し、その貯留した氷を、客等の操作に応じて、ストッカの前面側に設けられた放出部から筐体前側の受け取り位置(放出部の下方)にあるコップ(飲料容器)に提供する。氷を放出する放出部は、ストッカに連通する氷案内路や、氷の放出口を形成するスパウト、氷案内路の入口を開閉するシャッタ機構等から構成される。なお、氷の他に飲料水を提供する場合には、外部水道に繋がる注水ノズルや開閉弁を含むように放出部が構成される。
【0003】
筐体前面のフロントパネルには、ストッカ前面側の放出部を前側から覆うカバー部が設けられている。カバー部は、放出部からの氷や飲料水の放出を妨げない形状で設けられ、その下方には、飲料容器を受け取り位置に配置するためのスペースが確保されている。客等が操作する操作部として、飲料容器(コップ)を押し付けて操作する操作レバーが採用される場合、この操作レバーはカバー部の下方に配置される。そして、受け取り位置に飲料容器を配置することで操作レバーを後方へ押しのけるように操作すると、放出部から受け取り位置に向けて氷や飲料水が放出されるので、飲料容器内に氷や飲料水を受け取ることができる。なお、操作部としては、手指で押圧操作するボタン等も採用し得る。
【0004】
ここで、従来における一般的なアイスディスペンサ(氷のみを提供するタイプ)の概略構成について図10に示す。なお、図10において、符号11は筐体、符号15はフロントパネル、符号16はカバー部、符号18は操作レバー、符号20は受け取り位置、符号21は製氷機構、符号23はストッカ、符号25は放出部である。このアイスディスペンサは、受け取り位置20を挟んで放出部25と反対側(受け取り位置20の下方)に、ドレンパンDPが設けられている。ドレンパンDPは、器状(上方に開口する箱状)の部材であってその上方開口には網目板状のグリルGが蓋のように被せられ、また下面からはドレンパイプPが下方に延出している。ドレンパイプPの入口側はドレンパンDPの内部空間Sに連通しており、出口側には排出ホースHが接続されている。このため、ドレンパンDPで受けた氷は、グリルG上で溶けて水となりグリルGを通過するか、或いは小さな氷の状態でグリルGを通過し、ドレンパンDPの底壁に形成されている流出口54aからドレンパイプPへと流出して、排出ホースHにより外部に排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-117352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ドレンパンDPは、フロントパネル15と一体的に設けられているため、筐体11側から容易に取り外したり再び取り付けたりすることができない。また仮に、ドレンパンDPの着脱ができる構造にしたとしても、その着脱に際してドレンパンDPのドレンパイプPに排出ホースHを接続したり外したりする必要がある。従って、例えばドレンパンDPの清掃作業等は、店内におけるディスペンサの設置場所で行われることになる。この場合は水道水によるドレンパンDPの洗い流し等が行い難く、洗浄方法が濡らした雑巾による拭き取り等に限られることで、ドレンパンDPの細かな箇所まで汚れを取り除くのには非常に手間がかかる。すなわち、従来のアイスディスペンサは、ドレンパンDPを筐体11側から適時に取り外して独立的に扱うことが困難であり、ドレンパンDPの清掃或いはメンテナンスを好適に行えないという難点がある。
【0007】
なお、氷のみを提供する前述したアイスディスペンサの他に、飲料水やジュース等の飲料のみ或いは氷および飲料を提供する飲料用ディスペンサ等があり、これら各種の飲料用ディスペンサにも前述した放出部およびドレンパンが設けられている。そして、前述した各種の飲料用ディスペンサにおいて、ドレンパンの清掃やメンテナンスに関し同様の問題がある。
【0008】
そこで本発明は、従来の飲料用ディスペンサに内在する前記問題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、ドレンパンの清掃やメンテナンスを好適に行うことができる飲料用ディスペンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、第1の手段は、
飲料や氷等を下方に向けて放出可能な放出部が筐体に設けられ、該放出部の下方に離間してドレンパンが設けられている飲料用ディスペンサにおいて、
前記ドレンパンは、前記筐体に設けられた保持部により保持することで当該筐体に対する装着状態となり、該保持部による保持を解除することで前記筐体から離脱可能となるように構成されていることを要旨とする。
この構成によれば、ドレンパンを保持部で保持することで筐体に装着し得ると共に、保持部による保持を解除することでドレンパンを筐体から離脱させ得る。すなわち、筐体側に対してドレンパンを容易に着脱できるので、ドレンパンの清掃やメンテナンスを行う際には当該ドレンパンを筐体から取り外した状態で作業を行うことができる。
【0010】
第2の手段は、
前記ドレンパンの底壁に形成された流出口に連通する第1経路を形成する始端パイプが当該ドレンパンの底壁から下方に延出するよう設けられると共に、前記第1経路に連通する第2経路を形成する中継管構成部が前記筐体の下面側に設けられ、該中継管構成部に、外部の排出先に繋がる排出ホースが接続されていることを要旨とする。
この構成によれば、外部からの排出ホースを筐体下面側の中継管構成部に接続する(ドレンパン側には接続しない)構成により、筐体に対するドレンパンの着脱に際して排出ホースを着脱する必要がなくなり、筐体からドレンパンを取り外して独立的に取り扱う場合の手間を省くことができる。
【0011】
第3の手段は、
前記中継管構成部は、上方に開口する入口から前記始端パイプを前記第2経路に受け容れ可能で、前記筐体に対する前記ドレンパンの着脱に伴う前記始端パイプの前記第2経路内での移動を許容するように構成されていることを要旨とする。
この構成によれば、中継管構成部により形成される第2経路にドレンパンの始端パイプを受け容れ、筐体に対するドレンパンの着脱に伴う第2経路での始端パイプの移動を許容することで、着脱するドレンパンの始端パイプから流出する排水(飲料や氷)を確実に中継管構成部(第2経路)で受けて排出ホース側に誘導することができる。
【0012】
第4の手段では、
前記筐体に対する前記ドレンパンの装着状態において、前記始端パイプの外周面と前記受容パイプの内周面との間がシールされていることを要旨とする。
この構成によれば、受容パイプの内周面と始端パイプの外周面との間をシールすることにより、例えば排出ホースまたは中継管構成部で詰まり等が生じて排出できない排水(飲料や氷)が増加したとしても、その増加した排水を中継管構成部の入口から溢れさせずドレンパン側に収容することができる。
【0013】
第5の手段では、
前記中継管構成部は、その入口側を形成する受容パイプと、該受容パイプの出口側端部に接続されるドレンホースとを備え、
前記筐体に対する前記ドレンパンの装着状態において、前記始端パイプの出口側端部が前記受容パイプの管路から下流側に突出して前記ドレンホースの内周面の全周にわたって密着することにより、該始端パイプの外周面と前記ドレンホースの内周面との間がシールされていることを要旨とする。
この構成によれば、筐体にドレンパンを装着することに応じて始端パイプ(第1経路)がドレンホースの内周面に密着する構成により、受容パイプとの間で密着させようとする場合よりも確実に、中継管構成部(第2経路)との間をシールでき、始端パイプから流出する排水(飲料や氷)が中継管構成部の外側に漏れ出るのを防止できる。
【0014】
第6の手段は、
前記筐体の内部に画成される機械室に製氷機構が収容されていると共に、前記機械室の底部に、前記製氷機構により生じて滴下する結露水を当該機械室から排出する内部ドレンパンが設けられ、
前記中継管構成部は、前記ドレンホースと前記排出ホースとを繋ぐ終端パイプを備え、該終端パイプの管路に前記内部ドレンパンからの排水を合流させるように構成されていることを要旨とする。
この構成によれば、内部ドレンパンで受けた結露水を筐体前側のドレンパンを経由せずに排出することができるので、ドレンパンを取り外した状態としても内部ドレンパンからの結露水が筐体前側に漏れ出ることがない。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、飲料用ディスペンサに備えられるドレンパンの清掃やメンテナンスを好適に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施例に係るアイスディスペンサを左上前方から見た斜視図である。
図2】アイスディスペンサにおける筐体の内部構造に関する説明図である。
図3】アイスディスペンサを右下前方から見た斜視図である。
図4】(a)は、ドレンパネルを右上前方から見た斜視図であり、(b)は、ドレンパネルを右下後方から見た斜視図である。
図5】中継管構成部が設けられる筐体下部の縦断側面図である。
図6】ドレンパネルを取り外した状態の筐体を右上前方から見た斜視拡大図である。
図7】(a)は、ドレンパネルを棚部の上方に位置させた状態を示しており、(b)は、ドレンパネルを装着待機位置に位置するように棚部に載置した状態を示している。
図8】ドレンパネルを装着位置に位置するように棚部に載置し、始端パイプ(第1経路)と中継管構成部(第2経路)とを接続した状態を示している。
図9】別例における始端パイプと受容パイプとの接続構造を示している。
図10】従来における一般的なアイスディスペンサの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明に係る飲料用ディスペンサにつき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。本実施例では、氷および飲料水を提供するアイスディスペンサ(氷・飲料ディスペンサ)について説明し、前述した従来のアイスディスペンサ(図10参照)と同一の構成に関しては、同じ符号を用いて詳細な説明を省略する。なお、アイスディスペンサの他、氷のみ或いは飲料のみを提供する飲料用ディスペンサ等にも本発明の構成を適用し得る。また以下の説明では、アイスディスペンサを正面側(前側)から見た状態を基準として、左右方向、上下方向および前後(手前・奥)方向を規定して説明する。
【実施例
【0018】
実施例のアイスディスペンサ10は、図1および図2に示すように、外郭を構成する縦長矩形状の筐体11の内側(機械室11a)に、チップアイス等の氷(提供物)を生成する製氷機構21や、生成された氷を貯留するストッカ23等が収容されている。筐体11は、前方に開口する箱形の筐体基部13と、この筐体基部13の前面開口を覆うように配置されたフロントパネル15とで基本的に構成されており、筐体基部13の下壁(筐体11の下壁)を構成する平板状のベース板31(図3参照)から延びる4本の脚部33によって自立する。すなわち、アイスディスペンサ10(筐体11)を平面に設置する場合、その下壁であるベース板31の下方には脚部33の長さ分に相当する上下寸法の隙間が確保される。そして、その隙間の空気(外気)が、ベース板31に形成された下通気口(吸気口)133を通じて機械室11a内に取り込まれて上昇し、筐体基部13の上壁35に形成された上通気口(排気口)35aを通じて筐体11の上方へと排出されるようになっている。
【0019】
図3に示すように、ベース板31は、前端側の一部が筐体基部13より前方に延出している。このベース板31について、機械室11aを下方から覆う部分をベース本体部31Bとし、前方への延出部分をベース延出部31Aとすると、前述した下通気口133はベース本体部31Bに形成されている。これに対し、ベース延出部31Aは、フロントパネル15の下縁部から前方に延出する平板状の棚部19によって上面が覆われ、その上側には後述するドレンパネル50が配設されている。
【0020】
(放出部25について)
図2に示すように、ストッカ23の前面側には、氷および飲料水を放出口26から下方(コップ等の飲料容器による氷の受け取り位置20)に向けて放出する放出部25が設けられている。本実施例の放出部25は、ストッカ23内の氷を放出するための機構部分(氷案内路25a、スパウト25bおよびシャッタ機構25c)と、外部水道からの飲料水を放出するための機構部分(注水ノズル25dおよび図示しない開閉弁)とで構成される。これに対し、氷および飲料水の何れかを放出する機構部分のみで放出部25を構成してもよい。なおこの放出部25に関しては、従来公知の構造であるため詳細な説明を省略する。
【0021】
(カバー部16・凹面部17について)
図1図3に示すように、フロントパネル15の上部には、放出部25を前側から覆うカバー部16が設けられている。図2に示すように、カバー部16は、開口側が後方を向く凹状となっており、この凹状部分に放出部25が収容されている。このカバー部16は、その一部がフロントパネル15に対して別部材16xとして着脱自在に配置されているので、当該別部材16xを取り外すことで放出部25が露出し、清掃やメンテナンス等を行うことができる。また、図1および図3に示すように、フロントパネル15の下部(カバー部16の装着位置の下側)は、前面が後方に凹むように形成されている(以下「凹面部17」という)。この凹面部17によってカバー部16の下方にスペースが確保されていることで、カバー部16(放出部25)の下方領域(受け取り位置20)への飲料容器の配置が容易(可能)となっている。このカバー部16の下壁16aには、図3に示すように、放出部25の下端部の放出口26を露出する露出口16bが形成されている。
【0022】
(操作レバー18について)
また、図1図3に示すように、カバー部16の下壁16aと凹面部17の上縁部との間から下方に延出するように、氷を放出部25から放出させる場合の操作の対象となる操作レバー18が設けられている。この操作レバー18は、上端側を支点として前後方向に揺動可能で、かつ図示しない付勢手段によって前向きに付勢されており、常には揺動範囲の前端側に位置している。このため、操作レバー18の前面に飲料容器を押し付けて操作レバー18を後方へ揺動させることで、放出部25から下方(受け取り位置20)の飲料容器に向けて氷が放出されることとなり、飲料容器内に氷を受け取ることができる。
【0023】
(ドレンパネル50について)
図1図3に示すように、フロントパネル15の凹面部17の前側であって放出部25の下方位置には、排水処理用のドレンパネル(ドレンパン)50が設けられている。このドレンパネル50は例えば、飲料容器が受け取り位置20に準備されていない状態で放出部25から放出された氷や飲料水を内部空間Sに受け容れ、底面の流出口54aから排出経路R(図8参照)に流出させる。ドレンパネル50は、器状(箱状)の合成樹脂部材であり、上方開口には網目状の複数の開口を有するグリル(図示省略)が蓋状に被せられている。なお図1は、グリルを取り外したドレンパネル50を斜め上方から見た状態である。
【0024】
図4に示すように、ドレンパネル50には、内部空間Sを形成する皿形成部52と、この皿形成部52の前面および左右の側面を被覆する被覆板53とが設けられている。皿形成部52は、図4(a)に示すように、フロントパネル15の凹面部17(図3参照)の形状に合わせて、後壁部55における左右方向の中央部が後方に向けて突出している。また、図4(b)に示すように、皿形成部52の底壁54の下面には、前後方向に延在する3本のリブ56,57が形成されている(左右の長いリブを「第1リブ56」と称し、中央の短いリブを「第2リブ57」と称する)。第1リブ56および第2リブ57は、各下端面の高さ位置が互いに揃うように形成されている。被覆板53は、皿形成部52の上縁部から下方に向けて、各リブ56,57の下端面よりやや下方まで延出している。これにより、本実施例のドレンパネル50(ドレンパネル50)は、リブ56,57の下端面で棚部19の上面に支持された状態でフロントパネル15の棚部19に載置され、被覆板53の下端部が棚部19の前端面を前側から覆うように構成されている。
【0025】
皿形成部52の底壁54のうち側端部に偏った位置(左端側)には、内部空間Sに受け容れた排水を流出させる流出口54aが形成されている(図7参照)。また、皿形成部52の底壁54のうち流出口54aの形成位置から下方に延出するように、流出口54aから流出した排水を流下させる始端パイプ60(図4(b)および図7参照)が設けられている。始端パイプ60は、流出口54aの形成位置から垂下する垂下部61と、この垂下部61の下端から後方に下り傾斜するように屈曲する屈曲部63とによりL字状に形成されている。始端パイプ60は、剛性のある(非可撓性の)合成樹脂管であり、ドレンパネル50の内部空間Sと、外部からの排出ホースHとを繋ぐ排出経路Rのうち、上流側(以下「第1経路60a」という)を形成している。
【0026】
(中継管構成部37について)
次に、図5を参照し、排出経路Rの下流側(第2経路37a)を形成する中継管構成部37について説明する。中継管構成部37は、筐体11(ベース板31)の下面側に設けられ、ドレンパネル50に設けられた始端パイプ60と、外部の排出先に繋がる排出ホースHとの間を中継するように構成されている。この中継管構成部37により形成される第2経路37aは、筐体11の下面側で後方に下り傾斜する管路であり、ドレンパネル50から(第1経路60aを介して)流入する排水を排出ホースHに向けて流下させる。
【0027】
ここで、本実施例の中継管構成部37は、機械室11aの底部に設けられた内部ドレンパン27(図5参照)からの排水(製氷機構21により生じた結露水)を第2経路37aの途中箇所に合流させる構成となっている。中継管構成部37は1つの部材(パイプ)でも構成可能であるが、本実施例では、ドレンパネル50からの排水の流入を受ける管路形成部位(受容パイプ71)と、内部ドレンパン27からの排水の流入を受ける管路形成部位(終端パイプ75)とを別部材とし、中継管構成部37の設置(形成)を容易にしている。具体的には、受容パイプ71が前述したフロントパネル15の棚部19と一体に形成され、ベース板31のベース延出部31Aに形成されている前側挿入口131に上から挿入されることで筐体11の下面側に配置されている。また、終端パイプ75が内部ドレンパン27と一体に形成され、ベース板31のベース本体部31Bに形成されている後側挿入口132に上から挿入されることで筐体11の下面側に配置されている。
【0028】
また、本実施例の中継管構成部37は、剛性のある(非可撓性の)受容パイプ71および終端パイプ75の間を柔軟な(可撓性の)ドレンホース73で接続する構成となっている。具体的には、受容パイプ71が、後方に延出してその延出端部が出口側端部となる第1突出管部71aを有し、終端パイプ75が、前方に延出してその延出端部となる第2突出管部75aを有する構成となっており、受容パイプ71の第1突出管部71aがドレンホース73の入口側端部に挿入され、終端パイプ75の第2突出管部75aがドレンホース73の出口側端部に挿入されることで、受容パイプ71および終端パイプ75の間をドレンホース73が接続している。すなわち、中継管構成部37は、第2経路37aの上流部に相当する管路が受容パイプ71によって形成され、第2経路37aの中流部に相当する管路がドレンホース73によって形成されると共に、第2経路37aの下流部に相当する管路が終端パイプ75によって形成されている。このような構成により、ドレンホース73を取り外すことで容易に第2経路37a内の清掃作業等が行えるようになっている。
【0029】
また、中継管構成部37を構成する終端パイプ75は、第2経路37aの下流部としての前後方向の管路の他に、内部ドレンパン27からの上下方向の管路を形成しており、内部ドレンパン27からの排水を第2経路37aの下流部に合流させるように構成されている。
【0030】
(ドレンパネル50の着脱に関する構成について)
本実施例のアイスディスペンサ10では、ドレンパネル50が筐体11に対して着脱自在に構成されている。そして、この筐体11に対するドレンパネル50の着脱によって、始端パイプ60により形成される第1経路60aと、中継管構成部37(受容パイプ71、ドレンホース73および終端パイプ75)により形成される第2経路37aとが接続・分離するように構成されている。そこで、図6図7(a)、図7(b)および図8を参照し、ドレンパネル50の着脱について以下に説明する。
【0031】
前述したように、フロントパネル15には、その下縁部から前方に延出してベース延出部31Aを上から覆う平板状の棚部19(図6参照)が設けられている。そして、ドレンパネル50を着脱自在に保持する保持部17a,19b,19dが、ドレンパネル50の下面に対向する棚部19と、ドレンパネル50の後面に対向する凹面部17とに設けられている。本実施例において、保持部17a,19b,19dは、ドレンパネル50に設けられた被係止部53aを係止する係止片19bと、ドレンパネル50に設けられた被挟持部19dを挟持する第1リブ56およびフック58と、ドレンパネル50に設けられた嵌合部59が嵌合する嵌合溝部17aとで構成されている。
【0032】
そして、ドレンパネル50を、図7(a)に示す棚部19の上方位置から、図7(b)に示すように棚部19上に載置し、更に棚部19上で後方に向けて図8に示す位置までスライドさせることで、保持部17a,19b,19dによってドレンパネル50が図8の位置に保持(固定)され、これによりドレンパネル50が筐体11に装着されるようになっている。また、ドレンパネル50を、図8の位置での所定の保持部(係止片19b)による保持(係止)を解除して図7(b)に示す位置までスライドさせることで、他の保持部(嵌合溝部17a、被挟持部19d)による保持が解除となり、更に、上方位置(図7(a)の位置)に移動させることにより、筐体11からドレンパネル50を取り外し(装着状態を解除)できるようになっている。なお、ドレンパネル50は、第1リブ56の下端面と第2リブ57の下端面とを棚部19の上面に接触させた状態で棚部19に載置され、この載置した状態で図7(b)および図8に示す各位置の間で前後にスライド可能となっている。すなわち、保持部17a,19b,19dによる保持および保持解除に応じて容易にドレンパネル50を着脱できるようにすることで、ドレンパネル50を筐体11から適時に取り外して独立的に清掃やメンテナンスを行うことが可能な構成としている。以下、図7(b)に示すドレンパネル50の位置を「装着待機位置」と称し、図8に示すドレンパネル50の位置を「装着位置」と称して、保持部17a,19b,19dによるドレンパネル50の保持について説明を行う。
【0033】
図6に示すように、棚部19の前端面から後方へ向かう細長い2つの切込み部19aが形成されることで、その2つの切込み部19aの間で係止片19bが前方に延出するように形成されている。この係止片19bは棚部19の前端部のうち左右方向の略中央部に設けられており、当該係止片19bの延出端部から上方に突出するように係止爪19cが形成されている。これに対し、ドレンパネル50には、図4(b)、図7および図8に示すように、被覆板53の下端面から下方に僅かに延出する被係止部53aが形成されている。そして、ドレンパネル50の装着待機位置(図7(b)参照)では、被係止部53aが係止爪19cのやや前方に位置し、棚部19の上面に沿ってドレンパネル50を後方に移動させると、被係止部53aが係止爪19cに接触して係止片19bが一時的に下方に撓み、ドレンパネル50が装着位置(図8参照)に到達するまでの間に被係止部53aが係止爪19cの位置を通過して係止片19bが復帰することで、装着位置では係止片19bの係止爪19cによって被係止部53aが係止される。また、ドレンパネル50が装着位置にある状態で、作業者の手指で係止片19bを押し下げて被係止部53aの係止状態を解除しつつ、ドレンパネル50を装着位置の前方の装着待機位置までスライドさせることで、筐体11の棚部19から上方に向けたドレンパネル50の離脱が可能となるように構成される。
【0034】
また、図6に示すように、棚部19には、その前縁部における係止片19bを挟んで両側に離間する部位が矩形の切欠き状となっており、その切欠きの後縁部によって左右方向に延在する被挟持部19dが形成されている。これに対し、ドレンパネル50には、図4(b)、図7および図8に示すように、皿形成部52の底壁54から左右の第1リブ56の前端面に沿って下方に延出してその延出端から後方へ向けて突出する鉤状のフック58が形成されている。このフック58における後方への突出部分は、第1リブ56の下面から下方に僅かに離間(棚部19の板厚分だけ離間)している。なお、図7(b)に示した囲みa1の範囲について縦断位置を被挟持部19dの位置に変更した場合の構成を囲みa2に示しており、図8に示した囲みa3の範囲について縦断位置を被挟持部19dの位置に変更した場合の構成を囲みa4に示している。ドレンパネル50の装着待機位置(図7(b))において、被挟持部19dは、囲みa2に示すように、第1リブ56の下面に沿う位置にあるがフック58に対して前方に離間している。そして、ドレンパネル50を棚部19上で装着待機位置(図7(b)参照)から装着位置(図8参照)にスライドさせることで、囲みa4に示すように棚部19の被挟持部19dがドレンパネル50(被覆板53)の第1リブ56およびフック58との間に挟み込まれ、ドレンパネル50(被挟持部19d)の前部のぐらつきが規制されるので、係止片19bによる被係止部53aの係止状態が意図せず解除されるような不具合が防がれる。そして、係止片19bによる係止状態を解除してドレンパネル50を装着位置から装着待機位置にスライドさせることで、第1リブ56およびフック58との間から被挟持部19dが前方に抜け出るようになっている。
【0035】
フロントパネル15における凹面部17の前面には、図6に示すように、左右方向に延在する凹状の嵌合溝部17aが形成されている。これに対し、ドレンパネル50(皿形成部52)の後壁部55の上部には、図4(b)、図7および図8に示すように、後方に向けて凸となる嵌合部59が設けられている。嵌合部59は、後壁部55の上部で上縁に近づくにつれて後方への突出寸法が増加する階段状の段部59aと、この段部59aの上縁から後方に延出するフランジ59bとで構成されている。図7(b)および図8に示すように、嵌合溝部17aと嵌合部59とは、上下寸法が概ね同じであり、棚部19にドレンパネル50を載置した状態で同じ高さ位置に位置する。このため、ドレンパネル50を棚部19の上で装着待機位置(図7(b)参照)から装着位置(図8参照)にスライドさせることで、嵌合部59が嵌合溝部17aに前方から嵌まり込む。この挟み込んだ状態では、嵌合部59のうちのフランジ59bの上面が嵌合溝部17aの上面と接し、かつ段部59aの下面が嵌合溝部17aの下面と接する。これにより、ドレンパネル50の後部のぐらつきが規制され、係止片19bによる被係止部53aの係止状態が意図せず解除されるような不具合が防がれる。この係止片19bによる係止状態(筐体11に対するドレンパネル50の装着状態)では、図1に示すようにフロントパネル15における凹面部17の前面とドレンパネル50における皿形成部52の内側後面とが面一に連なるので、ゴミ等が溜まり難く、また拭き掃除等も行い易い。そして、係止片19bによる係止状態を解除してドレンパネル50を装着位置から装着待機位置にスライドさせることで、嵌合溝部17aから嵌合部59が前方に抜け出るようになっている。
【0036】
ドレンパネル50に設けられる始端パイプ60は、ドレンパネル50を棚部19の上方位置(図7(a)参照)から装着待機位置(図7(b)参照)に載置する場合に、中継管構成部37(受容パイプ71)における上方に開口する入口から第1経路60aの上流部に挿入され、また逆にドレンパネル50を装着待機位置から上方位置に移動させる場合には、第1経路60aの上流部から上方に抜き出される。すなわち、受容パイプ71の前後寸法は、その入口から底面にかけて、始端パイプ60における屈曲部63の前後寸法よりも大きく形成されている。そして、ドレンパネル50の装着待機位置では、始端パイプ60の垂下部61が受容パイプ71の内側前面に近接し、始端パイプ60の屈曲部63が受容パイプ71の底面に近接する。
【0037】
受容パイプ71のうちドレンホース73と接続する第1突出管部71aは、その内径が始端パイプ60における屈曲部63の外径より大きく、また前後寸法が始端パイプ60における屈曲部63の前後寸法より小さい。始端パイプ60は、ドレンパネル50を装着待機位置から装着位置にスライドさせる場合に、受容パイプ71内(第2経路37aの上流部)を後方に向けて移動し、垂下部61が受容パイプ71の内側後面に近接する。この場合に、始端パイプ60の屈曲部63は、受容パイプ71の内底面に沿って移動し、その先端側(出口側端部)が受容パイプ71の第1突出管部71aによる管路から下流側(後方)に突出する。そして、ドレンパネル50を装着待機位置および装着位置の間でスライドする場合に、そのスライド移動が受容パイプ71の内側の始端パイプ60の存在によって妨げられるようなことがない(始端パイプ60の移動を許容する)構成となっている。
【0038】
また、ドレンパネル50の装着位置では、受容パイプ71の出口から突出した始端パイプ60の屈曲部63の先端側(始端パイプ60の出口側端部)が、受容パイプ71に接続された状態のドレンホース73の内側に挿入された状態となる。ここで、ドレンホース73は柔軟性がある(可撓性を有する)素材で形成されており、その内径が始端パイプ60の屈曲部63の外径よりも小さく形成されている。このため、受容パイプ71の管路から後方へ突出する始端パイプ60(屈曲部63)の出口側端部が、ドレンホース73の入口側端部における内周面の全周にわたって密着し、これによって始端パイプ60の外周面とドレンホース73の内周面との間がシールされている。
【0039】
〔実施例の作用効果〕
本実施例に係るアイスディスペンサ10に関する作用効果を以下に挙げる。
【0040】
筐体11に設けられた保持部17a,19b,19dによりドレンパネル50を保持することで当該ドレンパネル50が筐体11に対する装着状態となり、その保持部17a,19b,19dによる保持を解除することで当該ドレンパネル50が筐体11から離脱可能となる。ドレンパネル50を筐体11側に対して容易に着脱できるので、ドレンパネル50の清掃やメンテナンスを行う際には当該ドレンパネル50を筐体11から取り外した状態で作業を行うことができる。
【0041】
ドレンパネル50の底壁54から下方に延出するように設けられた始端パイプ60により、その底壁54に形成された流出口54aに連通する第1経路60aを形成すると共に、筐体11の下面側に設けられた中継管構成部37により、第1経路60aに連通する第2経路37aを形成し、外部の排出先に繋がる排出ホースHが、ドレンパネル50の始端パイプ60ではなく、筐体11に設けられた中継管構成部37に接続される。これにより、ドレンパネル50の着脱に際して排出ホースHを着脱する必要がなくなる。従って、ドレンパネル50を筐体11から取り外して独立的に清掃やメンテナンスを行う際に、ドレンパネル50の着脱に煩雑な作業が必要とならず、作業者の手間を省くことができる。
【0042】
筐体11に設けられる中継管構成部37は、ドレンパネル50側の始端パイプ60を上方に開口する入口から第2経路37aに受け容れ可能で、筐体11に対するドレンパネル50の着脱に伴う始端パイプ60の第2経路37a内での移動を許容する。従って、筐体11からドレンパネル50を取り外す際、ドレンパネル50が棚部19上で装着位置から装着待機位置までスライドしても、始端パイプ60は受容パイプ71の外側に露出しない。すなわち、始端パイプ60から流出する排水を中継管構成部37(第2経路37a)で確実に受け、中継管構成部37から排出ホースH側に誘導できる。
【0043】
ここで、ドレンパネル50側の始端パイプ60と、筐体11側の中継管構成部37とが接続・分離される構成であるため、例えば中継管構成部37の下流側や排出ホースHの内部でゴミ等が詰まって排水が流れなくなると、行き場を失った排水が受容パイプ71の入口から溢れ出る虞がある。これに対し、本実施例では、筐体11に対するドレンパネル50の装着状態において、始端パイプ60の外周面と受容パイプ71の内周面との間がシールされるようにしている。このため、例えば排出ホースHまたは中継管構成部37で詰まり等が生じて排出経路R内の排水が上流側に向けて増加したとしても、その増加した排水を中継管構成部37の入口から溢れさせず、ドレンパネル50側に収容できる。
【0044】
具体的に、ドレンパネル50および排出ホースHを中継する本実施例の中継管構成部37は、入口側を形成する受容パイプ71と、この受容パイプ71の出口側端部に接続されるドレンホース73とを備えている。中継管構成部37は、筐体11に対するドレンパネル50の装着状態において、始端パイプ60の出口側端部が受容パイプ71の管路から下流側に突出してドレンホース73の内周面の全周にわたって密着することにより、始端パイプ60の外周面とドレンホース73の内周面との間がシールされる。すなわち、受容パイプ71は、成形時の型抜きにより、その第1突出管部71aの内周面が始端パイプ60の挿入方向に対して逆勾配となり、内部の管路が下流側に向かうほど広くなるため、始端パイプ60との間で出口側の隙間が大きくなり易い。これに対し、筐体11にドレンパネル50を装着することに応じて始端パイプ60(第1経路60a)がドレンホース73の内周面に密着する構成により、受容パイプ71との間で密着させようとする場合よりも確実に、中継管構成部37(第2経路37a)との間をシールすることができる。従って、始端パイプ60から流出する排水が中継管構成部37の外側に漏れ出るのを防止できる。
【0045】
機械室11a(筐体11の内部)の製氷機構21により生じて滴下する結露水を、その機械室11aの底部に設けられる内部ドレンパン27によって受けて機械室11aから排出する構成において、ドレンホース73と排出ホースHとを繋ぐ中継管構成部37の終端パイプ75の管路に、内部ドレンパン27からの排水を合流させるので、内部ドレンパン27で受けた結露水を筐体11前側のドレンパネル50を経由せずに排出することができる。従って、ドレンパネル50を取り外した状態としても内部ドレンパン27からの結露水が筐体11前側に漏れ出ることがない。
【別例】
【0046】
以下、前述した実施例に係るアイスディスペンサ10における始端パイプ60および中継管構成部37の接続に関する構成の別例について、図9を参照しながら説明する。
【0047】
前述した実施例では、筐体11に対するドレンパネル50の装着状態において、始端パイプ60の出口側端部が受容パイプ71の管路から下流側に突出してドレンホース73の内周面の全周にわたって密着するようにして、中継管構成部37と始端パイプ60との接続箇所をシールした。これに対し、別例では、図9(a)および図(b)に示すように、始端パイプ60における屈曲部63の外周面に環状溝部63aを形成し、この環状溝部63aにオーリング(環状のシール部材)63bを保持するようにしている。なお、図9(a)は、前述の実施例で採用した、始端パイプ60の突出部分60bをドレンホース73の内周面に密着させるシール構造にかえて、環状溝部63aおよびオーリング63bを設けることによるシール構造を採用したものであり、図9(b)は、始端パイプ60の突出部分60bをドレンホース73の内周面に密着させる前述した実施例のシール構造を採用しつつ、環状溝部63aおよびオーリング63bを設けることによるシール構造を更に追加したものである。図9(a)および図9(b)に示す各構成において、オーリング63bは、その外周側の一部が環状溝部63aから突出している。そして、環状溝部63aと、受容パイプ71における第1突出管部71aの内周面との間をシールしている。
【0048】
(別例の作用効果)
すなわち、ドレンパネル50が装着位置にある状態(筐体11に対するドレンパネル50の装着状態)において、始端パイプ60の外周面に取り付けられたオーリング(環状のシール部材)63bによって受容パイプ71の内周面と始端パイプ60の外周面との間をシールすることにより、例えば排出ホースHまたは中継管構成部37で詰まり等が生じて排出経路R内の排水が上流側に向けて増加したとしても、その増加した排水を中継管構成部37の入口から溢れさせず、ドレンパネル50側に収容することができる。
【0049】
〔変更例〕
本願は前述した実施例の構成に限定されるものではなく、例えば以下の構成を適宜に採用することができる。
(1) 実施例では、筐体側(棚部)に係止片を設けてドレンパン(ドレンパネル)の被係止部を係止し、これによりドレンパンを筐体側に装着するように構成したが、ロック位置とロック解除位置とに変位可能なロックレバーを筐体側に設け、このロックレバーによってドレンパンを固定することで、ドレンパンを筐体側に装着するように構成してもよい。
(2) 実施例では、筐体の内部の機械室に収容される製氷機構で生じた結露水を内部ドレンパンで受けて、その結露水を、筐体の下面側に形成した中継管構成部の後端パイプによる管路に合流させるように構成した。これに対し、内部ドレンパンで受けた結露水を筐体前側のドレンパン(ドレンパネル)内に合流させるようにしてもよい。但しこの場合は、ドレンパンを筐体前側から取り外す際に結露水が筐体前側に流出しないようにする開閉部材等が必要となる。
(3) 実施例では、ドレンパネルの底壁から下方に延出するように始端パイプを形成し、この始端パイプに、筐体側の中継管構成部の第2経路に連通する第1経路を形成したが、始端パイプを備えず、ドレンパネルの流出口から第2経路の上流部(受容パイプ内)へと排水を直接流下させる構成としてもよい。なおこの場合には、ドレンパネルの流出口のみが第1経路として機能する。
(4) 実施例では、筐体側の中継管構成部を、受容パイプ、ドレンホースおよび終端パイプにより構成したが、ドレンホースを用いずに受容パイプおよび終端パイプを直接接続して環状のシール部材等でシールするように構成してもよいし、中継管構成部を1つのパイプのみで構成してもよい。このようにしても、排出ホースを筐体側の中継管構成部の出口側端部に接続することができるので、筐体に対するドレンパン(ドレンパネル)の着脱時に排出ホースを着脱する作業を不要にすることができる。
【符号の説明】
【0050】
11 筐体,11a 機械室,17a 嵌合溝部(保持部),19b 係止片(保持部),
19d 被挟持部(保持部),21 製氷機構,25 放出部,27 内部ドレンパン,
37 中継管構成部,37a 第2経路,50 ドレンパン,54 底壁,
54a 流出口,60 始端パイプ,60a 第1経路,
63b オーリング(シール部材),71 受容パイプ,73 ドレンホース,
75 終端パイプ,H 排出ホース,
図1
図2
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