(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】容器搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/84 20060101AFI20241220BHJP
B67C 3/24 20060101ALI20241220BHJP
【FI】
B65G47/84 B
B67C3/24
(21)【出願番号】P 2021010493
(22)【出願日】2021-01-26
【審査請求日】2023-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣田 和生
(72)【発明者】
【氏名】澤田 祐一郎
(72)【発明者】
【氏名】今岡 健悟
(72)【発明者】
【氏名】金澤 宏幸
(72)【発明者】
【氏名】小松 直隆
(72)【発明者】
【氏名】小松 由尚
(72)【発明者】
【氏名】川野 貴司
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 聡
(72)【発明者】
【氏名】石倉 真治
(72)【発明者】
【氏名】水野 資広
(72)【発明者】
【氏名】田中 守
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-186078(JP,A)
【文献】特表2019-513633(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/00 - 47/96
B67C 3/00 - 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直方向に沿う第1回転軸により回転可能な第1回転体と、
長手方向の一端部が前記第1回転体の外周部に支持されて他端部が容器の首部を把持可能な第1グリッパ装置と、
鉛直方向に沿う第2回転軸により回転可能な第2回転体と、
長手方向の一端部が前記第2回転体の外周部に支持されて他端部が容器受け渡し位置で前記第1グリッパ装置が把持した前記容器の首部を把持可能な第2グリッパ装置と、
前記容器受け渡し位置より前記第1回転体の回転方向の上流側の第1所定位置から前記第1グリッパ装置を移動して前記容器受け渡し位置で発生する前記容器の液面変動を打ち消す遠心力を前記容器に作用させる第1グリッパ移動装置と、
を備
え、
前記第1グリッパ移動装置は、発生する前記容器の液面変動の固有周期に相関するように前記容器に前記遠心力を作用させる、
容器搬送装置。
【請求項2】
前記第1グリッパ移動装置は、前記容器に対して前記第1回転体の径方向の遠心力を作用させる、
請求項1に記載の容器搬送装置。
【請求項3】
前記第1グリッパ移動装置は、前記容器受け渡し位置で前記容器に作用する遠心力の切替方向に対して逆方向の遠心力を前記容器に作用させる、
請求項1または請求項2に記載の容器搬送装置。
【請求項4】
前記第1グリッパ移動装置は、前記第1グリッパ装置が把持した前記容器を前記第1回転体の径方向に少なくとも1往復動作させることで前記遠心力を前記容器に作用させる、
請求項1から
請求項3のいずれか一項に記載の容器搬送装置。
【請求項5】
前記容器受け渡し位置から前記容器受け渡し位置より前記第2回転体の回転方向の下流側の第2所定位置まで前記第2グリッパ装置を移動して前記容器受け渡し位置で発生した液面変動を打ち消す遠心力を前記容器に作用させる第2グリッパ移動装置を有する、
請求項1から
請求項4のいずれか一項に記載の容器搬送装置。
【請求項6】
前記第1グリッパ移動装置は、前記容器を把持した前記第1グリッパ装置を前記第1回転体の径方向に沿って移動可能である、
請求項1から
請求項5のいずれか一項に記載の容器搬送装置。
【請求項7】
前記第1グリッパ移動装置は、前記容器を把持した前記第1グリッパ装置を前記第1回転体の径方向に交差する水平軸心を回転中心として回動可能である、
請求項1から
請求項5のいずれか一項に記載の容器搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、食品飲料などが充填される容器を把持して搬送する容器搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
容器に飲料製品を充填する充填装置は、搬送装置により搬送される容器(例えば、ペットボトルなど)に飲料を充填し、容器の口部にキャップ(蓋)を装着して容器製品とする。このとき、容器は、グリッパ装置に把持された状態で、各種の工程を搬送される。例えば、飲料充填機は、回転テーブルを有し、回転テーブルは、外周部に周方向に沿って均等間隔でグリッパ装置が設けられる。回転テーブルは、各グリッパ装置が容器を把持した状態で回転し、回転中の容器に飲料が充填される。飲料が充填された容器は、転送ホイールを介してキャッパ装置に搬送される。キャッパ装置は、飲料が充填された容器の口部にキャップを装着する。
【0003】
キャッパ装置は、キャッパホイールを有する。転送ホイールとキャッパホイールは、同様の構成をなす。転送ホイールとキャッパホイールは、それぞれ外周部に周方向に沿って均等間隔でグリッパ装置が設けられる。転送ホイールは、グリッパ装置が飲料充填機から受け取った容器を把持して搬送し、キャッパホイールは、グリッパ装置が転送ホイールのグリッパ装置が把持した容器を受け取って搬送する。このような技術としては、例えば、下記特許文献に記載されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-100096号公報
【文献】特開平08-169493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した転送ホイールやキャッパホイールは、飲料が充填された容器の上部をグリッパ装置が把持して回転することから、搬送される容器に遠心力が作用する。転送ホイールとキャッパホイールは、外周部が隣接して配置される。そのため、容器が転送ホイールのグリッパ装置からキャッパホイールのグリッパ装置に受け渡されるとき、容器に作用する遠心力の向きが逆方向になる。すると、容器に作用する遠心力の方向が逆方向に切り替わることで液面揺動(以下、スロッシングと称する。)が発生し、飲料が外部へ飛跳ねる現象が発生する。従来、飲料の外部への飛跳ね現象を防止するため、転送ホイールやキャッパホイールの回転速度を低下せざるを得ず、作業効率の低下を招いてしまうという課題がある。
【0006】
本開示は、上述した課題を解決するものであり、内容物の外部への飛跳ねを抑制する容器搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本開示の容器搬送装置は、鉛直方向に沿う第1回転軸により回転可能な第1回転体と、長手方向の一端部が前記第1回転体の外周部に支持されて他端部が容器の首部を把持可能な第1グリッパ装置と、鉛直方向に沿う第2回転軸により回転可能な第2回転体と、長手方向の一端部が前記第2回転体の外周部に支持されて他端部が容器受け渡し位置で前記第1グリッパ装置が把持した前記容器の首部を把持可能な第2グリッパ装置と、前記容器受け渡し位置より前記第1回転体の回転方向の上流側の第1所定位置から前記第1グリッパ装置を移動して前記容器受け渡し位置で発生する前記容器の液面変動を打ち消す遠心力を前記容器に作用させる第1グリッパ移動装置と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示の容器搬送装置によれば、内容物の外部への飛跳ねを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1実施形態の容器充填装置の配置を表す概略平面図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態の容器搬送装置としての転送ホイールとキャッパホイールとの配置を表す要部平面図である。
【
図3】
図3は、転送ホイールとキャッパホイールとの配置を表す要部側面図である。
【
図4】
図4は、容器搬送装置の作動を表す概略図である。
【
図5】
図5は、容器の変動によって発生する液位変動を表す概略図である。
【
図6】
図6は、転送ホイールおよびキャッパホイールにおける容器の搬送経路を表す概略図である。
【
図7】
図7は、容器に作用する遠心力と液位変動との関係を表すタイムチャートである。
【
図8】
図8は、第2実施形態の容器充填装置の転送ホイールおよびキャッパホイールにおける容器の搬送経路を表す概略図である。
【
図9】
図9は、容器に作用する遠心力と液位変動との関係を表すタイムチャートである。
【
図10】
図10は、第3実施形態のグリッパ装置を表す要部側面図である。
【
図11】
図11は、グリッパ装置の傾斜状態を表す要部側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を参照して、本開示の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。また、実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
【0011】
[第1実施形態]
<容器充填装置の構成>
図1は、第1実施形態の容器充填装置の配置を表す概略平面図である。
【0012】
本発明の容器充填装置は、食品容器に食品飲料を充填するものである。ここで、食品容器とは、飲料や調味料などの食品として使用されるスラリーや粒子状、粉末状などを含む流体が充填される容器である。また、飲料としては、清涼飲料、水、茶、コーヒー、紅茶、ココア、果汁飲料、牛乳、健康飲料、酒類などがあり、調理料としては、醤油、酢、料理酒、みりん、油、各種ソース、塩、砂糖などがある。また、食品容器としては、プラスチックボトル(ペットボトル)、ガラス瓶、金属製の缶、紙製の容器などがある。
【0013】
図1に示すように、第1実施形態の容器充填装置10は、容器検査機11と、容器洗浄機12と、容器殺菌装置13と、容器すすぎ装置14と、飲料充填機15と、キャッパ装置16と、キャップ殺菌機17とを備える。
【0014】
容器検査機11は、容器(食品容器)の損傷を検査するものである。容器洗浄機12は、容器の内部を洗浄するものである。容器殺菌装置13は、容器の内部を殺菌するものである。容器すすぎ装置14は、容器の内部をすすぐものである。飲料充填機15は、容器の内部に飲料を充填するものである。キャッパ装置16は、飲料が充填された容器にキャップ(蓋)を装着するものである。キャップ殺菌機17は、容器に装着されたキャップを殺菌するものである。
【0015】
飲料充填機15は、回転テーブル21と、グリッパ装置22とを有する。回転テーブル21は、外周部に周方向に沿って均等間隔でグリッパ装置22が設けられる。回転テーブル21は、所定の速度で回転可能である。グリッパ装置22は、容器すすぎ装置14から供給された容器を把持可能である。飲料充填機15とキャッパ装置16との間に転送ホイール23が配置される。転送ホイール23は、外周部に周方向に沿って均等間隔でグリッパ装置24が設けられる。転送ホイール23は、所定の速度で回転可能である。グリッパ装置24は、飲料充填機15から供給された容器を把持可能である。キャッパ装置16は、キャッパホイール25と、グリッパ装置26とを有する。キャッパホイール25は、外周部に周方向に沿って均等間隔でグリッパ装置26が設けられる。キャッパホイール25は、所定の速度で回転可能である。グリッパ装置26は、転送ホイール23から供給された容器を把持可能である。
【0016】
<転送ホイールおよびキャッパホイール>
図2は、本実施形態の容器搬送装置としての転送ホイールとキャッパホイールとの配置を表す要部平面図、
図3は、転送ホイールとキャッパホイールとの配置を表す要部側面図、
図4は、容器搬送装置の作動を表す概略図である。
【0017】
図2から
図4に示すように、容器30は、容器本体31と、口部32と、首部33とを有する。容器本体31は、例えば、円筒形状をなし、長手方向の下部が閉塞した底部(図示略)が設けられる。容器本体31は、上端部の外径が小さくなって首部33が設けられる。容器本体31は、上端に口部32が設けられる。口部32は、開口部であって、飲料を充填可能である。また、容器本体31は、首部33にねじ部34とネックリング35が設けられる。ねじ部34は、雄ねじであって、キャップ(図示略)の雌ねじが螺合する。ネックリング35は、首部33の外周面から外方に突出したリング形状をなす。
【0018】
転送ホイール23は、円板形状をなし、鉛直方向(
図2にて、紙面直交方向)に沿う回転軸により回転自在に支持される。転送ホイール23は、図示しない駆動装置により
図2にて時計回り方向に駆動回転可能である。転送ホイール23は、外周部にグリッパ装置24が設けられる。グリッパ装置24は、容器30の首部33を把持可能である。キャッパホイール25は、円板形状をなし、鉛直方向(
図2にて、紙面直交方向)に沿う回転軸により回転自在に支持される。キャッパホイール25は、図示しない駆動装置により
図2にて反時計回り方向に駆動回転可能である。キャッパホイール25は、外周部にグリッパ装置26が設けられる。グリッパ装置26は、容器30の首部33を把持可能である。
【0019】
転送ホイール23とキャッパホイール25とは、水平方向に所定間隔を空けて配置される。転送ホイール23とキャッパホイール25とは、同じ速度(周速)で同期回転する。転送ホイール23のグリッパ装置24とキャッパホイール25のグリッパ装置26とは、ほぼ同様の構成をなす。転送ホイール23は、グリッパ装置24が容器30を把持した状態で回転することで、容器30を周方向に沿って搬送する。転送ホイール23のグリッパ装置24とキャッパホイール25のグリッパ装置26とが対向する位置、つまり、容器受け渡し位置に到達したとき、転送ホイール23のグリッパ装置24が保持した容器30をキャッパホイール25のグリッパ装置26に受け渡す。
【0020】
<容器搬送装置>
第1実施形態の容器搬送装置は、転送ホイール(第1回転体)23と、グリッパ装置(第1グリッパ装置)24と、キャッパホイール(第2回転体)25と、グリッパ装置(第2グリッパ装置)26と、グリッパ移動装置(第1グリッパ移動装置)27と、グリッパ移動装置(第2グリッパ移動装置)28とを備える。
【0021】
グリッパ装置24は、転送ホイール23の径方向(
図2および
図3にて、左右方向)に沿って配置される。グリッパ装置24は、一対のグリッパ部材41,42を有する。グリッパ部材41,42は、転送ホイール23の周方向に並んで配置され、それぞれ長手方向の中間部が鉛直方向に沿う支持軸43,44により支持部材45に回動自在に支持される。
【0022】
グリッパ部材41,42は、長手方向の一端部に把持部41a,42aがそれぞれ設けられる。把持部41a,42aは、円弧形状をなし、容器30の首部33を把持可能である。そのため、把持部41a,42aは、容器30の首部33の外周部に密着できる円弧形状となっている。このとき、把持部41a,42aは、容器30の首部33におけるネックリング35の上方の位置を把持する。グリッパ部材41,42は、長手方向の他端部にばね受部41b,42bがそれぞれ設けられる。ばね受部41b,42bの間に圧縮コイルばね46が装着される。圧縮コイルばね46は、グリッパ部材41,42に対してばね受部41b,42bが離間する方向に付勢力を付与する。
【0023】
そのため、
図2にて、一方のグリッパ部材41は、圧縮コイルばね46の付勢力により支持軸43を中心に反時計回り方向に付勢支持される。他方のグリッパ部材42は、圧縮コイルばね46の付勢力により支持軸44を中心に時計回り方向に付勢支持される。すると、グリッパ部材41,42は、圧縮コイルばね46の付勢力により把持部41a,42aが接近する方向に付勢支持される。グリッパ部材41,42は、圧縮コイルばね46の付勢力により把持部41a,42aが容器30の首部33を挟み込むように把持可能となる。
【0024】
グリッパ部材42は、レバー47の一端部が連結される。レバー47は、グリッパ部材42における他端部側からグリッパ部材41側に延出される。レバー47は、他端部にカムローラ48が回転自在に装着される。転送ホイール23は、下方にカム49が配置される。カム49は、容器受け渡し位置の近傍に固定される。カムローラ48とカム49とは、鉛直方向のほぼ同位置に配置され、カムローラ48がカム49に接触可能である。すなわち、転送ホイール23と共に回転するグリッパ装置24のカムローラ48が移動不能に固定されたカム49に接触可能である。なお、グリッパ部材41とグリッパ部材42とは、図示しない連動機構(例えば、歯車機構)により連動可能となっている。
【0025】
そのため、カムローラ48がカム49に接触していないとき、グリッパ部材41,42は、圧縮コイルばね46の付勢力により把持部41a,42aが容器30の首部33を把持可能である。一方、転送ホイール23が回転し、カムローラ48がカム49に接触すると、グリッパ部材42は、圧縮コイルばね46の付勢力に抗して支持軸44を中心に
図2の反時計回り方向に回動する。このとき、グリッパ部材42の回動動作が連動機構を介してグリッパ部材41に伝達される。グリッパ部材41は、圧縮コイルばね46の付勢力に抗して支持軸43を中心に
図2の時計回り方向に回動する。すると、グリッパ部材41,42は、把持部41a,42aが容器30の首部33から離れ、容器30の把持が解除される。
【0026】
一方、グリッパ装置26は、グリッパ装置24とほぼ同様の構成をなす。グリッパ装置26は、キャッパホイール25の径方向(
図2および
図3にて、左右方向)に沿って配置される。グリッパ装置26は、一対のグリッパ部材51,52を有する。グリッパ部材51,52は、転送ホイール23の周方向に並んで配置され、それぞれ長手方向の中間部が鉛直方向に沿う支持軸53,54により支持部材55に回動自在に支持される。
【0027】
グリッパ部材51,52は、長手方向の一端部に把持部51a,52aがそれぞれ設けられる。把持部51a,52aは、円弧形状をなし、容器30の首部33を把持可能である。そのため、把持部51a,52aは、容器30の首部33の外周部に密着できる円弧形状となっている。このとき、把持部51a,52aは、容器30の首部33におけるネックリング35の下方の位置を把持する。グリッパ部材51,52は、長手方向の他端部にばね受部51b,52bがそれぞれ設けられる。ばね受部51b,52bの間に圧縮コイルばね56が装着される。圧縮コイルばね56は、グリッパ部材51,52に対してばね受部51b,52bが離間する方向に付勢力を付与する。
【0028】
そのため、
図2にて、一方のグリッパ部材51は、圧縮コイルばね56の付勢力により支持軸53を中心に時計回り方向に付勢支持される。他方のグリッパ部材52は、圧縮コイルばね56の付勢力により支持軸54を中心に反時計回り方向に付勢支持される。すると、グリッパ部材51,52は、圧縮コイルばね56の付勢力により把持部51a,52aが接近する方向に付勢支持される。グリッパ部材51,52は、圧縮コイルばね56の付勢力により把持部51a,52aが容器30の首部33を挟み込むように把持可能となる。
【0029】
グリッパ部材51は、レバー57の一端部が連結される。レバー57は、グリッパ部材51における他端部側からグリッパ部材52側に延出される。レバー57は、他端部にカムローラ58が回転自在に装着される。キャッパホイール25は、下方にカム59が配置される。カム59は、容器受け渡し位置の近傍に固定される。カムローラ58とカム59とは、鉛直方向のほぼ同位置に配置され、カムローラ58がカム59に接触可能である。すなわち、キャッパホイール25と共に回転するグリッパ装置26のカムローラ58が移動不能に固定されたカム59に接触可能である。なお、グリッパ部材51とグリッパ部材52とは、図示しない連動機構(例えば、歯車機構)により連動可能となっている。
【0030】
そのため、カムローラ58がカム59に接触していないとき、グリッパ部材51,52は、圧縮コイルばね56の付勢力により把持部51a,52aが容器30の首部33を把持可能である。一方、キャッパホイール25が回転し、カムローラ58がカム59に接触すると、グリッパ部材51は、圧縮コイルばね56の付勢力に抗して支持軸53を中心に
図2の反時計回り方向に回動する。このとき、グリッパ部材51の回動動作が連動機構を介してグリッパ部材52に伝達される。グリッパ部材52は、圧縮コイルばね56の付勢力に抗して支持軸54を中心に
図2の時計回り方向に回動する。すると、グリッパ部材51,52は、把持部51a,52aが容器30の首部33から離れ、容器30の把持が解除される。
【0031】
グリッパ移動装置(第1グリッパ移動装置)27は、容器30をグリッパ装置24からグリッパ装置26に受け渡す容器受け渡し位置より転送ホイール23の回転方向の上流側の第1所定位置からグリッパ装置24を転送ホイール23の径方向に沿って移動させるものである。
【0032】
グリッパ移動装置27は、ガイド部材61と、引張コイルばね(付勢部材)62と、カム機構63とを有する。転送ホイール23は、外周部の下面部にガイド部材61が固定される。ガイド部材61は、転送ホイール23の径方向に沿って一対の案内溝64が設けられる。グリッパ部材41,42が支持された支持部材45は、一対の支持ピン65が固定される。各支持ピン65は、ガイド部材61の各案内溝64に移動自在に支持される。そのため、グリッパ部材41,42は、支持部材45およびガイド部材61を介して転送ホイール23の径方向に沿って移動自在に支持される。
【0033】
転送ホイール23は、ガイド部材61より回転中心側(
図2および
図3にて、左側)に取付片66が固定される。引張コイルばね62は、一端部が支持部材45に連結され、他端部が取付片66に連結される。そのため、グリッパ部材41,42は、支持部材45およびガイド部材61を介して転送ホイール23の回転中心側に付勢支持される。
【0034】
カム機構63は、グリッパ部材41,42を転送ホイール23の径方向の外方に移動可能である。カム機構63は、レバー67と、カムローラ68と、カム69とを有する。支持部材45は、側部にレバー67が固定され、レバー67にカムローラ68が回転自在に支持される。転送ホイール23は、下方にカム69が配置される。カム69は、容器受け渡し位置より転送ホイール23の回転方向の上流側に固定される。カムローラ68とカム69とは、鉛直方向のほぼ同位置に配置され、カムローラ68がカム69に接触可能である。すなわち、転送ホイール23と共に回転するグリッパ装置24のカムローラ68が移動不能に固定されたカム69に接触可能である。
【0035】
そのため、カムローラ68がカム69に接触していないとき、グリッパ部材41,42が支持された支持部材45は、引張コイルばね62の付勢力により転送ホイール23の回転中心側に付勢支持される。一方、転送ホイール23が回転し、カムローラ68がカム69に接触すると、グリッパ部材41,42が支持された支持部材45は、引張コイルばね62の付勢力に抗して転送ホイール23の径方向の外方に移動する。すると、グリッパ部材41,42が把持した容器30を転送ホイール23の径方向の外方に移動可能となる。
【0036】
一方、グリッパ移動装置28は、容器受け渡し位置から容器受け渡し位置よりキャッパホイール25の回転方向の下流側の第2所定位置までグリッパ装置26をキャッパホイール25の径方向に沿って移動させるものである。
【0037】
グリッパ移動装置(第2グリッパ移動装置)28は、グリッパ移動装置27とほぼ同様の構成をなす。グリッパ移動装置28は、ガイド部材71と、引張コイルばね(付勢部材)72と、カム機構73とを有する。キャッパホイール25は、外周部の下面部にガイド部材71が固定される。ガイド部材71は、キャッパホイール25の径方向に沿って一対の案内溝74が設けられる。グリッパ部材51,52が支持された支持部材55は、一対の支持ピン75が固定される。各支持ピン75は、ガイド部材71の各案内溝74に移動自在に支持される。そのため、グリッパ部材51,52は、支持部材55およびガイド部材71を介してキャッパホイール25の径方向に沿って移動自在に支持される。
【0038】
キャッパホイール25は、ガイド部材71より回転中心側(
図2および
図3にて、右側)に取付片76が固定される。引張コイルばね72は、一端部が支持部材55に連結され、他端部が取付片76に連結される。そのため、グリッパ部材51,52は、支持部材55およびガイド部材71を介してキャッパホイール25の回転中心側に付勢支持される。
【0039】
カム機構73は、グリッパ部材51,52をキャッパホイール25の径方向の外方に移動可能である。カム機構73は、レバー77と、カムローラ78と、カム79とを有する。支持部材55は、側部にレバー77が固定され、レバー77にカムローラ78が回転自在に支持される。キャッパホイール25は、下方にカム79が配置される。カム79は、容器受け渡し位置よりキャッパホイール25の回転方向の下流側に固定される。カムローラ78とカム79とは、鉛直方向のほぼ同位置に配置され、カムローラ78がカム79に接触可能である。すなわち、キャッパホイール25と共に回転するグリッパ装置26のカムローラ78が移動不能に固定されたカム79に接触可能である。
【0040】
そのため、カムローラ78がカム79に接触していないとき、グリッパ部材51,52が支持された支持部材55は、引張コイルばね72の付勢力によりキャッパホイール25の回転中心側に付勢支持される。一方、キャッパホイール25が回転し、カムローラ78がカム79に接触すると、グリッパ部材51,52が支持された支持部材55は、引張コイルばね72の付勢力に抗してキャッパホイール25の径方向の外方に移動する。すると、グリッパ部材51,52が把持した容器30をキャッパホイール25の径方向の外方に移動可能となる。
【0041】
なお、グリッパ移動装置27,28は、上述した構成に限定されるものではない。例えば、グリッパ装置24,26を転送ホイール23やキャッパホイール25の径方向に沿って移動する構成として、エアシリンダや油圧シリンダなどの流体シリンダ、ボールねじ機構などを適用してもよい。
【0042】
<容器の液面変動>
図5は、容器の変動によって発生する液位変動を表す概略図である。
【0043】
ところで、転送ホイール23やキャッパホイール25は、飲料が充填された容器30の首部33をグリッパ装置24,26がそれぞれ把持して回転することから、搬送される容器30は、転送ホイール23やキャッパホイール25の外方への遠心力が作用する。そして、転送ホイール23のグリッパ装置24が把持した容器30をキャッパホイール25のグリッパ装置26に受け渡すとき、容器30に作用する遠心力の向きが逆方向になる。すると、容器30に作用する遠心力の方向が逆方向に切り替わることで液面揺動、つまり、スロッシングが発生して飲料が外部へ飛跳ねるおそれがある。
【0044】
図5は、容器受け渡し位置でのグリッパ装置24,26により容器30の把持状態を表す概略図である。
図5に示すように、回転する転送ホイール23のグリッパ装置24に把持された容器30は、容器受け渡し位置まで転送ホイール23における径方向の外方に移動するような遠心力F1を受ける。一方、容器受け渡し位置以降で、キャッパホイール25のグリッパ装置26に把持された容器30は、キャッパホイール25における径方向の外方に移動するような遠心力F2を受ける。ここで、遠心力F1と遠心力F2とは、逆方向となる。すなわち、遠心力F1は、キャッパホイール25の中心側に向けたものであり、遠心力F2は、転送ホイール23の中心側に向けたものである。
【0045】
搬送される容器30は、容器受け渡し位置にて、作用する遠心力が遠心力F1から遠心力F2に切り替わる。そのため、容器30に充填された飲料の液面は、容器受け渡し前にはキャッパホイール25(グリッパ装置26)側が高い液面Aであり、作用する遠心力の方向が切り替わった直後に、液面Aから転送ホイール23(グリッパ装置24)側が高くなるような液面Bに移行する。その後、キャッパホイール25(グリッパ装置26)側の液面が高くなり、このような液面変動繰り返される。
【0046】
<容器搬送装置の作動>
図6は、転送ホイールおよびキャッパホイールにおける容器の搬送経路を表す概略図、
図7は、容器に作用する遠心力と液位変動との関係を表すタイムチャートである。
【0047】
第1実施形態にて、
図2から
図4に示すように、グリッパ移動装置27は、容器受け渡し位置より転送ホイール23の回転方向の上流側の第1所定位置からグリッパ装置24を移動して容器受け渡し位置で発生する容器30の液面変動を打ち消す遠心力を容器30に作用させる。
【0048】
この場合、グリッパ移動装置27は、容器30を把持したグリッパ装置24を転送ホイール23の径方向に沿って移動することで、容器30に対して転送ホイール23の径方向の遠心力を変化させる。
【0049】
このとき、グリッパ移動装置27は、容器30の液面変動の固有周期に相関するように容器30の遠心力を変化させることで、共振を利用し、グリッパ移動装置27による径方向の小さな移動量で効果的に液面変動を抑えることができる。さらに、グリッパ移動装置27は、グリッパ装置24が把持した容器30を転送ホイール23の径方向に少なくとも1往復動作させることで容器30に作用する遠心力を変化させる。
【0050】
図6に示すように、容器30をグリッパ装置24からグリッパ装置26に受け渡す容器受け渡し位置30Aは、転送ホイール23の回転中心O1とキャッパホイール25の回転中心O2とを結ぶ中心線L1上に位置する。グリッパ移動装置27は、容器受け渡し位置30Aより転送ホイール23の回転方向の上流側の第1所定位置30Bから容器受け渡し位置30Aまでの領域αで、グリッパ装置24を転送ホイール23の径方向に沿って往復移動する。すなわち、まず、グリッパ移動装置27は、グリッパ装置24が第1所定位置30Bから容器受け渡し位置30Aに向けて移動するとき、グリッパ装置24を転送ホイール23の径方向の外方に向けて移動する。次に、グリッパ装置24が容器受け渡し位置30Aに向けて移動するとき、グリッパ装置24を転送ホイール23の径方向の内方(回転中心O1側)に向けて移動する。なお、グリッパ装置24の径方向の移動開始方向は、径方向の内方からでもよい。
【0051】
第1実施形態にて、容器30を把持したグリッパ装置24が第1所定位置30Bから容器受け渡し位置30Aまで移動する間に、グリッパ移動装置27は、容器30を把持したグリッパ装置24を転送ホイール23の径方向に沿って3回往復移動させる。なお、グリッパ移動装置27によるグリッパ装置24の往復移動回数は、3回に限定されるものではない。また、グリッパ移動装置27によるグリッパ装置24の径方向外方への移動量と径方向内方への移動量は、同量であってもよく、異なる量であってもよい。
【0052】
図7における下部の実線は、時間の経過(転送ホイール23の回転)に伴うグリッパ装置24に把持された容器30の中心の移動軌跡である。一点鎖線に対して、上方は容器30が転送ホイール23の径方向の外方へ移動する移動量である。また、
図7における上部の実線は、グリッパ装置24に把持された容器30が上述した移動軌跡上を移動したときの容器30に作用する遠心力Fである。一点鎖線に対して、下方は容器30に転送ホイール23の径方向の外方へ作用する遠心力であり、上方は容器30に転送ホイール23の径方向の内方へ作用する遠心力である。さらに、
図7における中部の実線は、グリッパ装置24に把持された容器30に遠心力Fが作用したときの飲料の液面変動B1である。ここで、液面変動B1とは、容器30に遠心力が作用していないときの飲料の液面高さと、容器30に遠心力が作用したときの飲料の液面高さとの差である。一点鎖線は、容器30に遠心力Fが作用していないときの飲料の液面高さである。容器30に発生する遠心力Fと液面変動B1とは、遅れ時間T1がある。
【0053】
図6および
図7に示すように、時間t0にて、グリッパ装置24に把持された容器30は、転送ホイール23の径方向の外方への移動を開始する。時間t1にて、グリッパ装置24に把持された容器30は、転送ホイール23の径方向の最大外方位置に到達し、転送ホイール23の径方向の内方への移動を開始する。その後、グリッパ装置24に把持された容器30は、転送ホイール23の径方向の外方への移動と内方への移動を繰り返す。そして、時間t2,t3にて、グリッパ装置24に把持された容器30は、転送ホイール23の径方向の最大外方位置に到達する。その後、時間t12=t22にて、容器受け渡し位置30Aに到達する。
【0054】
グリッパ装置24に把持された容器30がこの移動軌跡上を移動するとき、容器30に対して転送ホイール23における径方向の遠心力が作用する。すなわち、容器30の移動軌跡に対して容器30に遠心力が作用する。そのため、遠心力Fは、時間t1で最大となる。ここで、容器30が転送ホイール23における径方向に移動しないとき、容器30に作用する遠心力は、転送ホイール23の径方向の外方へ作用する遠心力であり、一点鎖線より下方側で一定値となる。しかし、容器30が転送ホイール23における径方向に移動すると、容器30に作用する遠心力は、上記一定値を中心として大きさが変動する。そして、グリッパ装置24に把持された容器30が移動軌跡上を移動し、遠心力Fが作用すると、容器30に転送ホイール23における径方向の液面変動が発生する。すなわち、容器30の遠心力Fに対して遅れ時間T1をもって容器30の液面変動B1が発生する。そのため、液面変動B1は、時間t11から遅れ時間T1だけずれた時間t21で最大となる。
【0055】
時間t12=t22にて、転送ホイール23のグリッパ装置24に把持された容器30が容器受け渡し位置30Aに到達すると、容器受け渡し位置30Aにて、グリッパ装置24に把持された容器30がキャッパホイール25グリッパ装置26に受け渡される。このとき、容器30は、作用する遠心力が逆方向になる。すなわち、容器30は、グリッパ装置24に把持されて移動するとき、転送ホイール23の径方向における外方、つまり、
図2の右方の遠心力を受ける。一方、容器30は、グリッパ装置26に把持されて移動するとき、キャッパホイール25の径方向における外方、つまり、
図2の左方の遠心力を受ける。そのため、時間t12にて、容器30に作用する遠心力は、転送ホイール23の径方向における外方に向けた遠心力からキャッパホイール25の径方向における外方に向けた遠心力に切り替わる。すると、時間t22から時間t24の間にて、容器30は、遠心力の切り替わりによる液面変動B2が発生し、液面変動B2は、時間t23にて、最大になる。
【0056】
ところが、第1実施形態では、容器30は、容器受け渡し位置30Aに到達する前に、転送ホイール23の径方向に移動することで遠心力を受け、事前に液面変動B1が生じている。遠心力の切り替わりによる液面変動B2と、容器30の径方向移動による液面変動B1は、逆方向の位相であり、互いに打ち消し合うことで液面変動B2が液面変動B3に減衰される。すなわち、容器30に作用する遠心力が切り替わるときに発生する液面変動B2の方向と、事前に容器30を移動することで発生した液面変動B1の方向が逆方向となるように、グリッパ移動装置27は、グリッパ装置24を径方向に移動する。その後、容器30は、キャッパホイール25のグリッパ装置26に把持されて移動するとき、液面変動B2(液面変動B3)は、徐々に減衰していく。そのため、容器受け渡し位置30Aでの容器30の外部への飲料の飛跳ねが抑制される。
【0057】
なお、上述した実施形態では、容器30がキャッパホイール25のグリッパ装置26に受け渡された後、グリッパ装置26をキャッパホイール25の径方向に移動していない。但し、ここで、グリッパ装置26をキャッパホイール25の径方向に移動することで、液面変動B2(液面変動B3)を早期に減衰させてもよい。
【0058】
図6に二点鎖線で示すように、容器受け渡し位置30Aで容器30をグリッパ装置24からグリッパ装置26に受け渡した後、グリッパ移動装置28により、容器受け渡し位置30Aから容器受け渡し位置30Aよりキャッパホイール25の回転方向の下流側の第2所定位置30Cまでの領域βで、グリッパ装置26をキャッパホイール25の径方向に沿って往復移動するように構成する。すなわち、まず、グリッパ移動装置28は、グリッパ装置24が容器受け渡し位置30Aから第2所定位置30Cに向けて移動するとき、グリッパ装置26をキャッパホイール25の径方向の外方に向けて移動する。次に、グリッパ装置26が第2所定位置30Cに向けて移動するとき、グリッパ装置26をキャッパホイール25の径方向の内方(回転中心O2側)に向けて移動する。第1実施形態にて、容器30を把持したグリッパ装置26が容器受け渡し位置30Aから第2所定位置30Cまで移動する間に、グリッパ移動装置28は、容器30を把持したグリッパ装置26をキャッパホイール25の径方向に沿って3回往復移動させたが、この回数に限定されるものではない。
【0059】
そのため、容器受け渡し位置30Aで容器30をグリッパ装置24からグリッパ装置26に受け渡した後、残留する液面変動B2(液面変動B3)を早期に減衰させることができる。すなわち、容器30の受け渡し後、径方向に容器30を変動させることによる液面変動が、受け渡し時に発生する液面変動を打ち消すようにして早期に減衰させる。
【0060】
[第2実施形態]
図8は、第2実施形態の容器充填装置の転送ホイールおよびキャッパホイールにおける容器の搬送経路を表す概略図、
図9は、容器に作用する遠心力と液位変動との関係を表すタイムチャートである。なお、第2実施形態の基本的な構成は、上述した第1実施形態と同様であり、
図2から
図4を用いて説明し、同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0061】
第2実施形態に、
図2から
図4に示すように、グリッパ移動装置27は、容器受け渡し位置より転送ホイール23の回転方向の上流側の第1所定位置からグリッパ装置24を移動して容器受け渡し位置で発生する容器30の液面変動を打ち消す遠心力を容器30に作用させる。
【0062】
図8に示すように、容器30をグリッパ装置24からグリッパ装置26に受け渡す容器受け渡し位置30Aは、転送ホイール23の回転中心O1とキャッパホイール25の回転中心O2とを結ぶ中心線L1上に位置する。グリッパ移動装置27は、容器受け渡し位置30Aより転送ホイール23の回転方向の上流側の第1所定位置30Bから容器受け渡し位置30Aまでの領域αで、グリッパ装置24を転送ホイール23の径方向に沿って往復移動する。すなわち、まず、グリッパ移動装置27は、グリッパ装置24が第1所定位置30Bから容器受け渡し位置30Aに向けて移動するとき、グリッパ装置24を転送ホイール23の径方向の外方に向けて移動する。次に、グリッパ装置24が容器受け渡し位置30Aに向けて移動するとき、グリッパ装置24を転送ホイール23の径方向の内方(回転中心O1側)に向けて移動する。
【0063】
第2実施形態にて、容器30を把持したグリッパ装置24が第1所定位置30Bから容器受け渡し位置30Aまで移動する間に、グリッパ移動装置27は、容器30を把持したグリッパ装置24を転送ホイール23の径方向に沿って1回往復移動させる。
【0064】
図8および
図9に示すように、時間t0にて、グリッパ装置24に把持された容器30は、転送ホイール23の径方向の外方への移動を開始する。時間t1=t11にて、グリッパ装置24に把持された容器30は、転送ホイール23の径方向の最大外方位置に到達し、転送ホイール23の径方向の内方への移動を開始する。その後、時間t12=t22にて、容器受け渡し位置30Aに到達する。
【0065】
グリッパ装置24に把持された容器30がこの移動軌跡上を移動するとき、容器30に対して転送ホイール23における径方向の遠心力が作用する。遠心力Fは、時間t1=t11で最大となる。ここで、容器30が転送ホイール23における径方向に移動すると、容器30に作用する遠心力の大きさが変動する。そして、グリッパ装置24に把持された容器30が移動軌跡上を移動し、遠心力Fが作用すると、容器30に転送ホイール23における径方向の液面変動が発生する。すなわち、容器30の遠心力Fに対して遅れ時間T1をもって容器30の液面変動B1が発生する。そのため、液面変動B1は、時間t11から遅れ時間T1だけずれた時間t21で最大となる。
【0066】
時間t12=t22にて、転送ホイール23のグリッパ装置24に把持された容器30が容器受け渡し位置30Aに到達すると、容器受け渡し位置30Aにて、グリッパ装置24に把持された容器30がキャッパホイール25グリッパ装置26に受け渡される。このとき、容器30は、作用する遠心力が逆方向になる。そのため、時間t12にて、容器30に作用する遠心力は、転送ホイール23の径方向における外方に向けた遠心力からキャッパホイール25の径方向における外方に向けた遠心力に切り替わる。すると、時間t22から時間t24の間にて、容器30は、遠心力の切り替わりによる液面変動B2が発生し、液面変動B2は、時間t23にて、最大になる。
【0067】
ところが、第2実施形態では、容器30は、容器受け渡し位置30Aに到達する前に、転送ホイール23の径方向に移動することで遠心力を受け、事前に液面変動B1が生じている。遠心力の切り替わりによる液面変動B2と、容器30の径方向移動による液面変動B1は、逆方向の位相であり、互いに打ち消し合うことで液面変動B2が液面変動B3に減衰される。その後、容器30は、キャッパホイール25のグリッパ装置26に把持されて移動するとき、液面変動B2(液面変動B3)は、徐々に減衰していく。そのため、容器受け渡し位置30Aでの容器30の外部への飲料の飛跳ねが抑制される。
【0068】
なお、第2実施形態でも、第1実施形態と同様に、グリッパ装置26をキャッパホイール25の径方向に移動することで、液面変動B2(液面変動B3)を早期に減衰させてもよい。
【0069】
[第3実施形態]
図10は、第3実施形態のグリッパ装置を表す要部側面図、
図11は、グリッパ装置の傾斜状態を表す要部側面図である。なお、上述した第1実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0070】
第3実施形態の容器搬送装置は、
図10に示すように、転送ホイール23と、グリッパ装置24と、グリッパ移動装置(第1グリッパ移動装置)27Aとを備える。
【0071】
グリッパ装置24は、上述した第1実施形態とほぼ同様である。グリッパ装置24は、一対のグリッパ部材41,42を有する。グリッパ部材41,42は、中間部が鉛直方向に沿う支持軸43,44(
図2参照)により支持部材45に回動自在に支持される。グリッパ部材41,42は、一端部に把持部41a,42aが設けられ、他端部にばね受部41b,42bが設けられる。ばね受部41b,42bの間に圧縮コイルばね46(
図2参照)が装着される。
【0072】
グリッパ移動装置(第1グリッパ移動装置)27Aは、容器30をグリッパ装置24からグリッパ装置26に受け渡す容器受け渡し位置より転送ホイール23の回転方向の上流側の第1所定位置からグリッパ装置24を転送ホイール23の径方向に交差する水平軸心を回転中心として回動させるものである。
【0073】
グリッパ移動装置27Aは、回動機構81と、カム機構82とを有する。転送ホイール23は、外周部の下面部に取付部材83が固定される。グリッパ部材41,42が支持された支持部材45は、取付部材83に連結軸84により回動自在に支持される。連結軸84は、回動機構81を構成し、転送ホイール23の径方向に交差する水平方向に沿う。
【0074】
カム機構82は、連結軸84によりグリッパ部材41,42を転送ホイール23の径方向に交差する水平軸回りに傾動可能である。カム機構82は、カムローラ85と、カム86とを有する。グリッパ部材41,42は、他端部に連結部材87が連結され、連結部材87にカムローラ85が回転自在に装着される。カムローラ85は、転送ホイール23の径方向に沿う軸心を中心として回転可能である。転送ホイール23は、下方にカム86が配置される。カム86は、転送ホイール23の径方向に開口するカム溝88を有する。カムローラ85は、カム86のカム溝88内に配置される。カム86のカム溝88は、グリッパ装置24が第1所定位置から容器受け渡し位置の領域を移動する領域で、上下に繰り返し変動するような湾曲形状をなす。
【0075】
そのため、グリッパ装置24は、回動機構81およびカム機構82により姿勢が変動する。すなわち、転送ホイール23の回転に伴ってグリッパ装置24が移動するとき、カム機構82にて、カムローラ85がカム86のカム溝88内を移動する。例えば、カム溝88が上方に位置すると、グリッパ装置24により容器30は、容器中心O3が鉛直方向に沿った位置に保持される。一方、カム溝88が下方に位置すると、
図11に示すように、グリッパ部材41,42は、連結軸84を中心に
図11の反時計回り方向に回動する。すると、容器30は、容器中心O3が鉛直方向に対して所定角度θだけ傾斜した容器中心O3aに沿った位置に保持される。
【0076】
容器30を把持したグリッパ装置24が第1所定位置から容器受け渡し位置の領域以外を移動するとき、容器30は、容器中心O3が鉛直方向に沿った位置に保持される。一方、容器30を把持したグリッパ装置24が第1所定位置から容器受け渡し位置の領域を移動するとき、容器30は、容器中心O3が鉛直方向に沿った位置と、容器中心O3aに沿った位置との間で往復移動する。なお、容器30を容器中心O3が鉛直方向に沿った位置から外側と内側に交互に往復移動してもよい。
【0077】
第3実施形態の容器搬送装置にて、グリッパ移動装置27Aは、容器受け渡し位置より転送ホイール23の回転方向の上流側の第1所定位置からグリッパ装置24を移動して容器受け渡し位置で発生する容器30の液面変動を打ち消す傾斜変動を容器30に作用させる。なお、容器搬送装置の作動は、上述した第1実施形態または第2実施形態と同様である。第1実施形態および第2実施形態では、容器30全体を径方向に往復移動させたが、第3実施形態では、容器30の下部を径方向に往復移動させている。その他は、ほぼ同様であるため、説明は省略する。
【0078】
<本実施形態の作用効果>
第1の態様に係る容器搬送装置は、鉛直方向に沿う回転中心(第1回転軸)O1により回転可能な転送ホイール(第1回転体)23と、長手方向の一端部が転送ホイール23の外周部に支持されて他端部が容器30の首部33を把持可能なグリッパ装置(第1グリッパ装置)24と、鉛直方向に沿う回転中心(第2回転軸)O2により回転可能なキャッパホイール(第2回転体)25と、長手方向の一端部がキャッパホイール25の外周部に支持されて他端部が容器受け渡し位置30Aでグリッパ装置24が把持した容器30の首部33を把持可能なグリッパ装置(第2グリッパ装置)26と、容器受け渡し位置30Aより転送ホイール23の回転方向の上流側の第1所定位置30Bからグリッパ装置24を移動して容器受け渡し位置30Aで発生する容器30の液面変動を打ち消す遠心力を容器30に作用させるグリッパ移動装置(第1グリッパ移動装置)27,27Aとを備える。
【0079】
第1の態様に係る容器搬送装置によれば、グリッパ移動装置27,27Aは、グリッパ装置24が第1所定位置30Bから容器受け渡し位置30Aまで移動するとき、グリッパ装置24を転送ホイール23の径方向に沿って移動することで、容器30に遠心力を作用させて事前に液面変動を発生させておく。グリッパ装置24が把持した容器30は、容器受け渡し位置30Aに到達し、容器30が転送ホイール23のグリッパ装置24からキャッパホイール25のグリッパ装置26に受け渡されるとき、容器30に作用する遠心力の方向が逆方向になるため、液面変動が発生する。このとき、容器は、容器受け渡し位置30Aに到達する前に液面変動が発生しており、事前に発生した液面変動と容器受け渡し位置30Aで発生した液面変動が打ち消し合い、液面変動が減衰される。その結果、容器受け渡し位置30Aでのスロッシングの発生が抑制され、容器30の外部への飲料の飛跳ねを抑制することができる。
【0080】
第2の態様に係る容器搬送装置は、グリッパ移動装置27,27Aは、容器30に対して転送ホイール23の径方向の遠心力を作用させる。これにより、容器受け渡し位置30Aに到達する前に生成した液面変動により、容器受け渡し位置30Aで容器30に作用する遠心力の方向が逆方向になることで発生する液面変動を効率良く打ち消すことができる。
【0081】
第3の態様に係る容器搬送装置は、グリッパ移動装置27,27Aは、容器受け渡し位置30Aで容器30に作用する遠心力の切替方向に対して逆方向の遠心力を容器30に作用させる。これにより、容器受け渡し位置30Aで、容器30に作用する遠心力の方向が逆方向になることで発生する液面変動を適正に打ち消すことができる。
【0082】
第4の態様に係る容器搬送装置は、グリッパ移動装置27,27Aは、発生する容器30の液面変動の固有周期に相関するように容器30に作用する遠心力を変化させることで、共振を利用し、グリッパ移動装置による系方向の小さな移動量で効果的に液面変動を抑えることができる。つまり、容器受け渡し位置30Aで、容器30に作用する遠心力の方向が逆方向になることで発生する液面変動を効率良く打ち消すことができる。
【0083】
第5の態様に係る容器搬送装置は、グリッパ移動装置27,27Aは、グリッパ装置24が把持した容器30を転送ホイール23の径方向に少なくとも1往復動作させることで遠心力を容器に作用させる。これにより、グリッパ移動装置27,27Aによるグリッパ装置24の往復移動を少なくして制御の簡素化を図ることができる。
【0084】
第6の態様に係る容器搬送装置は、容器受け渡し位置30Aから容器受け渡し位置30Aよりキャッパホイール25の回転方向の下流側の第2所定位置30Cまでグリッパ装置26を移動して容器受け渡し位置30Aで発生した液面変動を打ち消す遠心力を容器30に作用させるグリッパ移動装置(第2グリッパ移動装置)28を有する。これにより、容器受け渡し位置30Aを通過した容器30に残存する液面変動を早期に減衰することができる。
【0085】
第7の態様に係る容器搬送装置は、グリッパ移動装置27は、容器30を把持したグリッパ装置24を転送ホイール23の径方向に沿って移動可能である。これにより、容器30の液面変動を適正に打ち消すことができる。
【0086】
第8の態様に係る容器搬送装置は、グリッパ移動装置27Aは、容器30を把持したグリッパ装置24を転送ホイール23の径方向に交差する水平軸心を回転中心として回動可能である。これにより、容器30の液面変動を適正に打ち消すことができる。
【0087】
なお、上述した実施形態では、容器本体31を円筒形状として説明したが、この形状に限るものではなく、例えば、多角形筒形状などであってもよい。
【0088】
なお、上述した実施形態では、本発明の回転体を転送ホイール23とキャッパホイール25に適用して説明したが、回転テーブル21とキャッパホイール25などに適用してもよい。
【符号の説明】
【0089】
10 容器充填装置
11 容器検査機
12 容器洗浄機
13 容器殺菌装置
14 容器すすぎ装置
15 飲料充填機
16 キャッパ装置
17 キャップ殺菌機
21 回転テーブル
22 グリッパ装置
23 転送ホイール(第1回転体)
24 グリッパ装置(第1グリッパ装置)
25 キャッパホイール(第2回転体)
26 グリッパ装置(第2グリッパ装置)
27 グリッパ移動装置(第1グリッパ移動装置)
28 グリッパ移動装置(第2グリッパ移動装置)
30 容器
30A 容器受け渡し位置
30B 第1所定位置
30C 第2所定位置
31 容器本体
32 口部
33 首部
34 ねじ部
35 ネックリング
41,42,51,52 グリッパ部材
41a,42a,51a,52a 把持部
41b,42b,51b,52b ばね受部
43,44,53,54 支持軸
45,55 支持部材
46,56 圧縮コイルばね
47,57 レバー
48,58 カムローラ
49,59 カム
61,71 ガイド部材
62,72 引張コイルばね(付勢部材)
63,73 カム機構
64,74 案内溝
65,75 支持ピン
66,76 取付片
67,77 レバー
68,78 カムローラ
69,79 カム
81 回動機構
82 カム機構
83 取付部材
84 連結軸
85 カムローラ
86 カム
87 連結部材
88 カム溝
L1 中心線
O1 回転中心(第1回転軸)
O2 回転中心(第2回転軸)
O3,O3a 容器中心