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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】食器洗い機
(51)【国際特許分類】
   A47L 15/42 20060101AFI20241220BHJP
【FI】
A47L15/42 M
A47L15/42 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021023941
(22)【出願日】2021-02-18
(65)【公開番号】P2022126081
(43)【公開日】2022-08-30
【審査請求日】2023-10-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000176866
【氏名又は名称】三菱電機ホーム機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】須藤 真行
(72)【発明者】
【氏名】田仲 導生
(72)【発明者】
【氏名】柴崎 豊
【審査官】遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-005125(JP,A)
【文献】実開昭55-133956(JP,U)
【文献】特許第5141697(JP,B2)
【文献】特開2005-279290(JP,A)
【文献】特開2020-014719(JP,A)
【文献】特開2015-173285(JP,A)
【文献】特開2006-020894(JP,A)
【文献】実開昭59-025941(JP,U)
【文献】特開2014-009751(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 15/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部で食器の洗浄が行われる洗浄槽を備え、
前記洗浄槽は、
底部を構成する底部部材と、
側面を構成する側部部材と、
前記底部部材の上端部と前記側部部材の下端部との間をシールするシール部と、
前記底部部材の前記上端部から上方に延び、前記シール部と間隔を空けて、前記シール部よりも該洗浄槽の内部側に配置された第1リブと、
前記側部部材の前記下端部から下方に延び、前記シール部と前記第1リブとの間に配置された第2リブと、
を備え、
前記シール部は、前記第1リブと間隔を空けて前記第1リブ及び前記第2リブよりも前記洗浄槽の外部側に配置され、前記第1リブとの間に溝を形成する内周リブを備え、
前記第1リブ、前記第2リブ及び前記内周リブによって、前記第1リブと前記内周リブとの間の前記溝に水を貯留するトラップ構造が構成されている食器洗い機。
【請求項2】
側面に開口部が形成された外郭部を備え、
前記洗浄槽は、前記開口部から出し入れ自在に、前記外郭部に収容されている
請求項1に記載の食器洗い機。
【請求項3】
前記シール部は、
前記底部部材の前記上端部から上方に延びた外周リブと、
記外周リブと前記内周リブとの間に形成された溝に設けられたシール部材と、
前記側部部材の前記下端部から下方に延び、前記シール部材を押圧するシールリブと、
を備え、
前記内周リブは、前記底部部材の前記上端部から上方に延び、前記外周リブと間隔を空けて、前記外周リブよりも前記洗浄槽の内部側に配置されており、
前記内周リブの上端は、前記第1リブの上端よりも上方に配置されている請求項1又は請求項2に記載の食器洗い機。
【請求項4】
前記外周リブの上端は、前記内周リブの上端よりも上方に配置されている請求項3に記載の食器洗い機。
【請求項5】
前記外周リブの前記シールリブ側の側面は、上端に向かうにしたがって前記洗浄槽の外部側へ傾く形状であり、
前記シールリブの前記外周リブ側の側面は、下端に向かうにしたがって前記洗浄槽の内部側へ傾く形状であり、
前記シールリブの前記内周リブ側の側面は、下端に向かうにしたがって前記洗浄槽の外部側へ傾く形状であり、
前記内周リブの前記シールリブ側の側面は、上端に向かうにしたがって前記洗浄槽の内部側へ傾く形状である
請求項3に記載の食器洗い機。
【請求項6】
前記第2リブの下端は、前記第2リブの延伸方向に沿った一部が切り欠かれており、前記第2リブの下端の切り欠かれた部分が前記第1リブと前記内周リブとの間の前記溝に挿入されて前記底部部材に接触せず、前記第2リブの下端の切り欠かれていない部分が前記底部部材に接触している請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の食器洗い機。
【請求項7】
前記第1リブの上端は、食器の洗浄時に前記洗浄槽の内部に溜まる水の水位よりも上方に配置されている請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の食器洗い機。
【請求項8】
前記洗浄槽の内部に設けられ、食器の洗浄時に噴射口から水を噴射する洗浄ノズルを備え、
前記第1リブの上端は、前記洗浄ノズルの前記噴射口よりも下方に配置されている請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の食器洗い機。
【請求項9】
平面視において前記第1リブと前記第2リブとの間に形成された空間を覆う遮蔽リブを備えている請求項1~請求項8のいずれか一項に記載の食器洗い機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、洗浄槽のシール部に対してシール性能の低下の抑制を図った食器洗い機に関する。
【背景技術】
【0002】
食器洗い機は、内部で食器の洗浄が行われる洗浄槽を備えている。また、従来の洗浄槽には、該洗浄槽の底部を構成する底部部材と、該洗浄槽の側面を構成する側部部材とに分割されたものが知られている。このように分割された洗浄槽は、底部部材の上端部と側部部材の下端部との間をシールするシール部を備えている。ここで、シール部に水が浸入すると、シール部のシール性能が低下する。このため、底部部材及び側部部材に分割された洗浄槽を備えた従来の食器洗い機には、シール部への水の浸入の抑制を図ったものも提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
具体的には、シール部への水の浸入の抑制を図った従来の食器洗い機は、シール部よりも洗浄槽の内部側となる位置に配置された遮蔽リブを備えている。また、シール部のシール性能が低下することの抑制を図った従来の食器洗い機は、シール部と遮蔽リブとの間に、水が毛細管現象にて上昇してシール部に達することを防止する回収空間が形成されている。シール部への水の浸入の抑制を図った従来の食器洗い機は、このような構成により、シール部への水の侵入の抑制を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5141697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シール部への水の浸入の抑制を図った従来の食器洗い機においては、遮蔽リブ先端近傍等に発生する毛細管現象により、回収空間に溜まった水を排出することができない。このため、例えば、シール部のシール性能が低下することの抑制を図った従来の食器洗い機においては、ユーザー等によって洗浄槽に振動又は衝撃が加わった際、回収空間に水が浸入し、回収空間内の水量が増加する。また、例えば、シール部のシール性能が低下することの抑制を図った従来の食器洗い機においては、食器の洗浄時に発生する振動、あるいは洗浄槽内の温度変化による内圧の上昇により、回収空間に水が浸入し、回収空間内の水量が増加する。そして、シール部のシール性能が低下することの抑制を図った従来の食器洗い機においては、回収空間内の水量が増加していくと、回収空間内の水は、遂にはシール部へ侵入してしまう。このように、シール部への水の浸入の抑制を図った従来の食器洗い機は、シール部への水の浸入を未だ十分に抑制できないという課題があった。
【0006】
本開示は、上述の課題を解決するためのもので、洗浄槽のシール部への水の浸入を従来よりも抑制できる食器洗い機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る食器洗い機は、内部で食器の洗浄が行われる洗浄槽を備え、前記洗浄槽は、底部を構成する底部部材と、側面を構成する側部部材と、前記底部部材の上端部と前記側部部材の下端部との間をシールするシール部と、前記底部部材の前記上端部から上方に延び、前記シール部と間隔を空けて、前記シール部よりも該洗浄槽の内部側に配置された第1リブと、前記側部部材の前記下端部から下方に延び、前記シール部と前記第1リブとの間に配置された第2リブと、を備え、前記シール部は、前記第1リブと間隔を空けて前記第1リブ及び前記第2リブよりも前記洗浄槽の外部側に配置され、前記第1リブとの間に溝を形成する内周リブを備え、前記第1リブ、前記第2リブ及び前記内周リブによって、前記第1リブと前記内周リブとの間の前記溝に水を貯留するトラップ構造が構成されている。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る食器洗い機は、トラップ構造に水が溜まると、トラップ構造の水の貯留箇所とシール部との間に密閉空間が形成される。このため、本開示に係る食器洗い機においては、当該密閉空間が形成された後は、トラップ構造内の水位は増加しない。したがって、本開示に係る食器洗い機は、洗浄槽のシール部への水の浸入を従来よりも抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施の形態に係る食器洗い機を右側方から見た縦断面図である。
図2】本実施の形態に係る食器洗い機の正面図である。
図3】本実施の形態に係る食器洗い機における洗浄槽周辺の構成を前方右側から見た斜視図である。
図4】本実施の形態に係る食器洗い機の洗浄槽を前方右側から見た分解斜視図である。
図5】本実施の形態に係る食器洗い機の洗浄槽を左右方向に平行な縦断面で切断し、該洗浄槽を前方右側から見た分解斜視図である。
図6】本実施の形態に係る食器洗い機の洗浄槽のシール部周辺を示す要部断面図である。
図7】本実施の形態に係る食器洗い機の洗浄槽のシール部周辺を示す要部断面図である。
図8】本実施の形態に係る食器洗い機の洗浄槽のシール部周辺を示す要部断面図であり、トラップ構造に水が溜まっている状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の実施の形態において、本開示に係る食器洗い機の一例を説明する。なお、本開示に係る食器洗い機は、以下の実施の形態で説明する構成に限定されるものではない。また、以下の実施の形態に示す図面では、各構成の大きさの関係等が、本開示に係る食器洗い機を実際に製造したものとは異なる場合がある。また、以下の実施の形態においては、本開示に係る食器洗い機の一例の理解を容易にするために、方向を表す用語を適宜用いる。しかしながら、以下の実施の形態で示す方向は、本開示に係る食器洗い機の一例を説明するために用いられるものである。以下の実施の形態で示す方向は、本開示に係る食器洗い機を限定するものではない。なお、方向を表す用語とは、例えば、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」及び「後」等である。
【0011】
実施の形態.
図1は、本実施の形態に係る食器洗い機を右側方から見た縦断面図である。すなわち、図1では、紙面左側が、食器洗い機1の前面側すなわち正面側となる。
食器洗い機1は、内部で食器200の洗浄が行われる洗浄槽100を備えている。本実施の形態では、食器洗い機1は、食器200が載置される食器かご50を備えている。そして、食器かご50に載置された食器200が洗浄槽100に収容される構成となっている。また、本実施の形態では、洗浄槽100は、ほぼ箱体形状を有しており、底面の少なくとも一部に、鉛直下方向に凹んだ凹部101が設けられている。
【0012】
また、本実施の形態に係る食器洗い機1は、洗浄槽100を収容する外郭部2を備えている。本実施の形態では、外郭部2は、例えば箱形形状をしており、側面に開口部2aが形成されている。詳しくは、外郭部2は、側面として、前面、背面、左側面及び右側面を備えている。本実施の形態では、外郭部2は、前面に開口部2aが形成されている。そして、洗浄槽100は、開口部2aから出し入れ自在に、外郭部2に収容されている。
【0013】
具体的には、外郭部2には、固定レール22が取り付けられている。また、洗浄槽100には、固定レール22に移動自在に設けられた図示せぬ可動レールが取り付けられている。これにより、洗浄槽100は、開口部2aから出し入れ自在となっている。なお、本実施の形態では、必要なとき以外は洗浄槽100が開口部2aの外側へ移動しないように、洗浄槽100を外郭部2内部に保持するための保持機構21が外郭部2に設けられている。具体的には、洗浄槽100を外郭部2の内部方向に所定の保持位置まで押し込むと、保持機構21により所定の位置に保持される。このとき保持機構21は、図示せぬバネによって、洗浄槽100が開口部2aの外側へ移動しないように付勢されている。これにより、洗浄槽100は、保持機構21によって、外郭部2内の所定の位置に保持される。
【0014】
また、本実施の形態に係る食器洗い機1は、ドア3及び蓋4を備えている。ドア3は、洗浄槽100の前方に設けられ、洗浄槽100に取り付けられている。すなわち、ドア3は、洗浄槽100と共に移動する。そして、ドア3は、洗浄槽100が外郭部2に収容された状態においては、外郭部2の開口部2aを閉じる。蓋4は、洗浄槽100の開口部102を開閉するものである。詳しくは、本実施の形態に係る洗浄槽100は、上面に開口部102が形成されており、該洗浄槽100の上方から該洗浄槽100内へ食器200を収容できる構成となっている。そして、蓋4は、洗浄槽100が外郭部2に収容された状態において、洗浄槽100の上面に形成された開口部102を閉じるものである。
【0015】
具体的には、蓋4には、図示せぬリンク機構の一端が取り付けられている。このリンク機構の他端は、外郭部2の上面の内側に取り付けられている。そして、このリンク機構により、洗浄槽100が外郭部2から引き出される際に蓋4が持ち上がり、洗浄槽100の開口部102を開放することができるようになっている。また、このリンク機構により、洗浄槽100が外郭部2から引き出される際に、洗浄槽100と一緒に蓋4が外郭部2から引き出されないようになっている。一方で、洗浄槽100が外郭部2内に収容されたときには、このリンク機構によって蓋4が下がり、洗浄槽100の開口部102を閉じることができるようになっている。
【0016】
また、本実施の形態に係る食器洗い機1は、給水弁15、水位検知装置16、水温検知装置17、湯沸かしヒーター18、加圧ポンプ19、排水ポンプ20、乾燥用ヒーター23、乾燥用送風機24、及び制御装置14を備えている。
【0017】
給水弁15は、外郭部2の内部であって洗浄槽100の外部に設けられている。給水弁15は、洗浄槽100内に水を供給するものである。本実施の形態においては、食器洗い機1では、食器200を洗浄する際、洗浄工程と、洗浄工程の後のすすぎ工程とが行われる。食器200を洗浄する洗浄工程においては、給水弁15は、水道水に洗剤を含んだ洗浄用水を洗浄槽100内に供給する。また、食器200をすすぐすすぎ工程においては、給水弁15は、すすぎ用水として水道水を洗浄槽100内に供給する。
【0018】
水位検知装置16は、洗浄槽100内に溜まる洗浄槽100内の水位を検知するものである。本実施の形態では、水位検知装置16は、洗浄槽100の凹部101の側面部に設けられている。水温検知装置17は、洗浄槽100内の水の温度を検知するものである。本実施の形態では、水温検知装置17は、洗浄槽100の凹部101の底部に設けられている。湯沸かしヒーター18は、洗浄槽100内の水を加熱するものである。本実施の形態では、湯沸かしヒーター18は、洗浄槽100の凹部101内に設けられ、凹部101に溜まった水を加熱する。
【0019】
加圧ポンプ19は、外郭部2の内部であって洗浄槽100の外部に設けられている。加圧ポンプ19は、配管19aで洗浄槽100の凹部101と接続されている。加圧ポンプ19は、凹部101に溜まった水を、軸部30を通して、洗浄槽100内に設けられた洗浄ノズル40に送る。これにより、洗浄ノズル40に送られた水は、洗浄ノズル40の噴射口から食器200に向けて噴射される。具体的には、食器200の洗浄工程時、加圧ポンプ19は、凹部101に溜まった洗浄水を洗浄ノズル40に送る。これにより、洗浄ノズル40の噴射口から食器200に向けて洗浄水が噴射され、食器200が洗浄される。また、食器200のすすぎ工程時、加圧ポンプ19は、凹部101に溜まったすすぎ用水を洗浄ノズル40に送る。これにより、洗浄ノズル40の噴射口から食器200に向けてすすぎ用水が噴射され、食器200のすすぎが行われる。なお、洗浄ノズル40の詳細構成については後述する。
【0020】
排水ポンプ20は、外郭部2の内部であって洗浄槽100の外部に設けられている。排水ポンプ20は、排水配管20aで洗浄槽100の凹部101と接続されている。排水ポンプ20は、凹部101に溜まった水を、食器洗い機1の外部へ排出するものである。
【0021】
乾燥用ヒーター23は、洗浄槽100に供給する空気を加熱するものである。乾燥用送風機24は、乾燥用ヒーター23で加熱された空気を洗浄槽100に供給するものである。本実施の形態では、乾燥用ヒーター23及び乾燥用送風機24は、外郭部2の内部であって洗浄槽100の外部に設けられている。具体的には、乾燥用ヒーター23及び乾燥用送風機24は、洗浄槽100の後方に設けられている。
【0022】
制御装置14は、食器洗い機1の動作を制御するものである。本実施の形態では、制御装置14は、ドア3の背面と洗浄槽100の前面との間の空間に設けられている。制御装置14は、専用のハードウェア、又はメモリに格納されるプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)で構成されている。なお、CPUは、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、又はプロセッサともいう。
【0023】
図2は、本実施の形態に係る食器洗い機の正面図である。
上述のように、ドア3は、外郭部2の前面に形成された開口部2aを開閉自在に閉じている。すなわち、ドア3は、食器洗い機1の正面に配置されている。このドア3は、上部に操作パネル10を備えている。
【0024】
操作パネル10は、右側に、操作部11を備えている。操作部11は、ユーザーから操作指示の入力を受け付け、これに対応した操作信号を制御装置14に出力するものである。本実施の形態では、操作部11は、食器洗い機1の電源を入れるための電源スイッチ12と、食器洗い機1の運転をスタートしたり一時停止したりする運転スイッチ13とを備えている。また、操作パネル10は、左右方向のほぼ中央の位置に、手掛け部6を備えている。手掛け部6は、正面側に洗浄槽100を引き出す際、手を掛けるところである。また、操作パネル10は、左側に、洗浄槽100内の空気を食器洗い機1の外部へ排出する排気口3aが設けられている。
【0025】
図3は、本実施の形態に係る食器洗い機における洗浄槽周辺の構成を前方右側から見た斜視図である。なお、図3では、洗浄槽の一部を断面として示している。
洗浄槽100の内部には、洗浄ノズル40が設けられている。詳しくは、洗浄ノズル40は、洗浄槽100内において、該洗浄槽100の底面近傍に設けられている。この洗浄ノズル40は、洗浄槽100の底面の中央部に設けられた軸部30を上から覆うように、該軸部30に着脱可能に取り付けられている。また、洗浄ノズル40は、軸部30に回転可能に支持される。
【0026】
本実施の形態に係る洗浄ノズル40は、上ノズル41及び下ノズル42を備えている。上ノズル41は、平面視において軸部30と重なる位置、つまり洗浄ノズル40の回転中心となる位置に設けられており、上方に向かって突出している。上ノズル41の上部には、噴射口41aが形成されている。下ノズル42は、洗浄ノズル40の回転中心となる位置から水平方向に延びている。下ノズル42の上面には、間隔を空けて複数の噴射口42aが形成されている。
【0027】
続いて、本実施の形態に係る洗浄槽100の詳細構成について説明する。
【0028】
図4は、本実施の形態に係る食器洗い機の洗浄槽を前方右側から見た分解斜視図である。
洗浄槽100は、底部を構成する底部部材110と、側面を構成する側部部材120とを備えている。また、図5図7で後述するように、洗浄槽100は、底部部材110の上端部111と側部部材120の下端部121との間をシールするシール部130を備えている。底部部材110は、有底トレー状に成形されている。このため、底部部材110の上端部111は、底部部材110の外周全域に形成され、額縁形状となっている。側部部材120は、上面に上述の開口部102が形成されており、角筒形状に形成されている。このため、側部部材120の下端部121は、側部部材120の外周全域に形成されている。したがって、シール部130は、底部部材110と側部部材120との間の全周をシールしている。換言すると、本実施の形態では、シール部130は、底部部材110と側部部材120との間の全周の水密性を確保している。底部部材110及び側部部材120は、例えば、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂で作製されている。しかしながら、底部部材110及び側部部材120の材料は特に限定されず、底部部材110及び側部部材120を熱可塑性樹脂以外の材料で作製してもよい。
【0029】
図5は、本実施の形態に係る食器洗い機の洗浄槽を左右方向に平行な縦断面で切断し、該洗浄槽を前方右側から見た分解斜視図である。図6及び図7は、本実施の形態に係る食器洗い機の洗浄槽のシール部周辺を示す要部断面図である。なお、図6は、左右方向に平行で図5に示すA点を通る縦断面で切断した、シール部130周辺の図面となっている。また、図7は、左右方向に平行で図5に示すB点を通る縦断面で切断した、シール部130周辺の図面となっている。
以下、図5図7を参照しながら、シール部130周辺の詳細構成について説明する。
【0030】
本実施の形態に係る洗浄槽100は、第1リブ141及び第2リブ142を備えている。第1リブ141は、底部部材110の上端部111から上方に延び、シール部130と間隔を空けて、シール部130よりも洗浄槽100の内部側に配置されている。詳しくは、第1リブ141は、洗浄槽100の内部側の全周に配置されている。すなわち、平面視において、シール部130と第1リブ141との間には、洗浄槽100の全周において、溝が形成されることとなる。以下、当該溝をトラップ溝144と称することとする。また、トラップ溝144とシール部130との間の空間をトラップ構造二次側空間146と称することとする。なお、本実施の形態では、第1リブ141は、底部部材110と一体形成されている。
【0031】
第2リブ142は、側部部材120の下端部121から下方に延び、シール部130と第1リブ141との間に配置されている。なお、本実施の形態では、第2リブ142は、側部部材120と一体形成されている。すなわち、第2リブ142は、トラップ溝144に配置されている。このため、本実施の形態に係る洗浄槽100は、第1リブ141、第2リブ142及びシール部130によって、トラップ構造150が構成されている。換言すると、本実施の形態に係る洗浄槽100は、トラップ溝144がトラップ構造150となっている。
【0032】
なお、本実施の形態では、シール部130は、次のような構成となっている。シール部130は、外周リブ131、内周リブ132、シール部材134、及びシールリブ135を備えている。外周リブ131は、底部部材110の上端部111から上方に延びている。外周リブ131は、底部部材110の外周全域に形成されている。内周リブ132は、底部部材110の上端部111から上方に延び、外周リブ131と間隔を空けて、外周リブ131よりも洗浄槽100の内部側に配置されている。内周リブ132は、底部部材110の外周全域に形成されている。すなわち、外周リブ131と内周リブ132との間には、環状の溝133が形成されている。この溝133には、ゴム等の弾性体で形成されたシール部材134が設けられている。
【0033】
シールリブ135は、側部部材120の下端部121から下方に延び、シール部材134を押圧している。シールリブ135は、側部部材120の外周全域に形成されている。本実施の形態では、このような構成のシール部130により、底部部材110と側部部材120との間の全周をシールしている。換言すると、本実施の形態では、このような構成のシール部130により、底部部材110と側部部材120との間の全周の水密性を確保している。また、本実施の形態では、第1リブ141、第2リブ142及びシール部130の内周リブ132によって、トラップ構造150が構成されている。なお、本実施の形態では、外周リブ131及び内周リブ132は、底部部材110と一体形成されている。また、シールリブ135は、側部部材120と一体形成されている。
【0034】
ここで、内周リブ132の上端132aは、第1リブ141の上端141aよりも上方に配置されていることが好ましい。また、外周リブ131の上端131aは、内周リブ132の上端132aよりも上方に配置されていることが好ましい。
【0035】
また、第2リブ142は、一部が底部部材110に接触していることが好ましい。本実施の形態では、第2リブ142の下端142aが底部部材110に接触する構成となっている。また、第2リブ142の下端142aの一部に切り欠き143が形成されている。これにより、第2リブ142の下端142aの一部が、底部部材110に接触する。また、切り欠き143を形成することにより、第2リブ142の下端142aが底部部材110に接触する構成であっても、トラップ溝144の第1リブ141側と内周リブ132側とが連通することとなり、後述のようにトラップ溝144に水を貯めることが可能となる。
【0036】
また、第1リブ141の上端141aは、食器200の洗浄時に洗浄槽100の内部に溜まる水の水位よりも上方に配置されていることが好ましい。すなわち、図6に示すように、第1リブ141の上端141aは、洗浄槽100の内部に溜まる洗浄水300の水位301よりも上方に配置されていることが好ましい。
【0037】
また、第1リブ141の上端141aは、洗浄ノズル40の噴射口よりも下方に配置されていることが好ましい。詳しくは、本実施の形態に係る洗浄ノズル40には、上ノズル41に噴射口41aが形成されており、下ノズル42に噴射口42aが形成されている。そして、下ノズル42の噴射口42aは、上ノズル41の噴射口41aよりも下方に配置されている。このような場合、第1リブ141の上端141aは、噴射口42aよりも下方に配置されていることが好ましい。
【0038】
また、洗浄槽100は、遮蔽リブ145を備えていることが好ましい。この遮蔽リブ145は、例えば、第2リブ142に設けられている。そして、遮蔽リブ145は、平面視において、第1リブ141と第2リブ142との間に形成された空間を覆っている。換言すると、遮蔽リブ145は、第1リブ141と第2リブ142との間に形成された空間を上方から覆っている。なお、遮蔽リブ145と第1リブ141との間の水の流通を可能とするため、遮蔽リブ145の下面と第1リブ141の上端141aとの間には、所定の隙間が空いている。例えば、本実施の形態では、遮蔽リブ145の下面と第1リブ141の上端141aとの間の隙間は、0.1ミリメートル~0.3ミリメートルとなっている。
【0039】
また、外周リブ131のシールリブ135側の側面は、上端131aに向かうにしたがって洗浄槽100の外部側へ傾く形状であることが好ましい。また、シールリブ135の外周リブ131側の側面は、下端に向かうにしたがって洗浄槽100の内部側へ傾く形状であることが好ましい。また、シールリブ135の内周リブ132側の側面は、下端に向かうにしたがって洗浄槽100の外部側へ傾く形状であることが好ましい。また、内周リブ132のシールリブ135側の側面は、上端132aに向かうにしたがって洗浄槽100の内部側へ傾く形状であることが好ましい。外周リブ131、内周リブ132及びシールリブ135のうちの少なくとも1つにこのような構成を採用することにより、外周リブ131と内周リブ132との間の溝133にシールリブ135を挿入することが容易となり、洗浄槽100の組立が容易となる。
【0040】
なお、本実施の形態では、底部部材110と側部部材120とは、次のように接続されている。詳しくは、図7に示すように、側部部材120は、外周リブ131の外側の側面と対向する係合部160を備えている。外周リブ131は、複数箇所に、係合部160に向かって突出する凸部160aを備えている。また、係合部160の凸部160aと対向する位置には、凸部160aが挿入される孔160bが形成されている。このため、側部部材120を上方から底部部材110に近づけていくと、係合部160が凸部160aに押されて弾性変形する。そして、側部部材120を上方からさらに底部部材110に近づけていくと、凸部160aが係合部160の孔160bに挿入される。これにより、係合部160と凸部160aとが係合し、底部部材110と側部部材120とが接続される。このように底部部材110と側部部材120とを接続することにより、底部部材110と側部部材120との接続が容易となる。
【0041】
続いて、本実施の形態に係る食器洗い機1の洗浄槽100が得られる効果について説明する。
【0042】
図8は、本実施の形態に係る食器洗い機の洗浄槽のシール部周辺を示す要部断面図であり、トラップ構造に水が溜まっている状態を示す図である。なお、図8は、図7と同じ断面にて、シール部130周辺を観察した図となっている。また、図8は、トラップ構造150に洗浄水300が溜まっている状態を示している。
【0043】
洗浄槽100の内部で食器200の洗浄が行われると、洗浄ノズル40の噴射口41a及び噴射口42aから噴射された水が、トラップ溝144換言するとトラップ構造150に溜まっていく。トラップ構造150に一定量の水が溜まると、トラップ構造150内の水とシール部130とに挟まれて、トラップ溝144とシール部130との間のトラップ構造二次側空間146が密閉空間となる。このようにトラップ構造二次側空間146が密閉空間になると、トラップ構造150内の水位はこれ以上増加しなくなる。このため、本実施の形態に係る食器洗い機1は、シール部130への水の浸入を従来よりも抑制できる。すなわち、本実施の形態に係る食器洗い機1は、シール部130の信頼性を従来よりも長期間維持することができる。
【0044】
また、本実施の形態に係る食器洗い機1においては、洗浄槽100は、外郭部2の開口部2aから出し入れ自在に、外郭部2に収容されている。洗浄槽が外郭部から出し入れ自在となっている従来の食器洗い機は、洗浄槽を外郭部から出し入れする際に該洗浄槽に発生する振動又は衝撃等により、シール部に水が浸入しやすい。このため、洗浄槽100が外郭部2から出し入れ自在となっている食器洗い機1に対して、シール部130への水の浸入を従来よりも抑制できる本実施の形態に係る洗浄槽100を採用することは、特に有効である。
【0045】
また、本実施の形態に係るシール部130は、外周リブ131、内周リブ132、シール部材134、及びシールリブ135を備えている。すなわち、シール部130は、外周リブ131、内周リブ132及びシールリブ135によってトラップ構造が構成されている。このため、万が一、シール部材134のシール機能が損なわれた場合であっても、外周リブ131、内周リブ132及びシールリブ135によって構成されるトラップ構造により、洗浄槽100の外部への水漏れを抑制することができる。また、トラップ構造は精密な嵌合を必要としないので、洗浄槽100の組立を容易にすることができ、食器洗い機1の製造コストを抑制することができる。
【0046】
また、本実施の形態に係る洗浄槽100においては、内周リブ132の上端132aは、第1リブ141の上端141aよりも上方に配置されている。このように構成された洗浄槽100においては、トラップ構造150の水位は、最高でも第1リブ141の上端141aの高さとなり、内周リブ132の上端132aよりも低い位置となる。このため、このように構成された洗浄槽100においては、シール部130への水の浸入をさらに抑制でき、シール部130の信頼性がさらに向上する。
【0047】
また、本実施の形態に係る洗浄槽100においては、外周リブ131の上端131aは、内周リブ132の上端132aよりも上方に配置されている。上述のように、万が一、シール部材134のシール機能が損なわれた場合、外周リブ131、内周リブ132及びシールリブ135によって構成されるトラップ構造に水が溜まる可能性がある。この際、外周リブ131の上端131aが内周リブ132の上端132aよりも上方に配置されている場合、当該トラップ構造内の水位は、最高でも内周リブ132の上端132aの高さとなり、外周リブ131の上端131aよりも低い位置となる。このため、このように構成された洗浄槽100においては、洗浄槽100の外部への水漏れをさらに抑制することができる。
【0048】
また、本実施の形態に係る洗浄槽100においては、第2リブ142は、一部が底部部材110に接触している。洗浄槽100を外郭部2から出し入れする際、及び食器200を洗浄する際等において、洗浄槽100が振動し、側部部材120に下向きの力が作用する場合がある。この際、第2リブ142の一部が底部部材110に接触していることにより、シール部材134は、シールリブ135から必要以上の押し込み力を受けることが無い。このため、このように構成された洗浄槽100においては、シール部材134の信頼性が向上する。
【0049】
また、本実施の形態に係る洗浄槽100においては、第1リブ141の上端141aは、洗浄槽100の内部に溜まる水の水位よりも上方に配置されている。このように構成された洗浄槽100においては、トラップ構造150内の水位が第1リブ141の上端141a以上となることを抑制できる。このため、このように構成された洗浄槽100においては、シール部130への水の浸入をさらに抑制でき、シール部130の信頼性がさらに向上する。
【0050】
また、本実施の形態に係る洗浄槽100においては、第1リブ141の上端141aは、洗浄ノズル40の噴射口41a及び噴射口42aよりも下方に配置されている。このように構成された洗浄槽100においては、噴射口41a及び噴射口42aから噴射された水が、トラップ構造150に溜まりやすくなり、トラップ構造二次側空間146を密閉空間として維持しやすくなる。このため、このように構成された洗浄槽100においては、シール部130への水の浸入をさらに抑制でき、シール部130の信頼性がさらに向上する。
【0051】
また、本実施の形態に係る洗浄槽100においては、平面視において第1リブ141と第2リブ142との間に形成された空間を覆う遮蔽リブ145を備えている。このように構成された洗浄槽100においては、トラップ構造150に水が浸入する際、該水に含まれる食品の残渣物がトラップ構造150に侵入することを抑制できる。このため、洗浄槽100を清潔に保つことができ、食器洗い機1の信頼性が向上する。
【0052】
以上、本実施の形態に係る食器洗い機1は、内部で食器200の洗浄が行われる洗浄槽100を備えている。洗浄槽100は、底部部材110と、側部部材120と、シール部130と、第1リブ141と、第2リブ142とを備えている。底部部材110は、洗浄槽100の底部を構成している。側部部材120は、洗浄槽100の側面を構成している。シール部130は、底部部材110の上端部111と側部部材120の下端部121との間をシールする。第1リブ141は、底部部材110の上端部111から上方に延び、シール部130と間隔を空けて、シール部130よりも洗浄槽100の内部側に配置されている。第2リブ142は、側部部材120の下端部121から下方に延び、シール部130と第1リブ141との間に配置されている。そして、本実施の形態に係る食器洗い機1は、第1リブ141、第2リブ142及びシール部130によって、トラップ構造150が構成されている。
【0053】
このように構成された本実施の形態に係る食器洗い機1は、トラップ構造150に水が溜まると、トラップ構造150の水の貯留箇所とシール部130との間に密閉空間が形成される。このため、本実施の形態に係る食器洗い機1においては、当該密閉空間が形成された後は、トラップ構造150内の水位は増加しない。したがって、本実施の形態に係る食器洗い機1は、洗浄槽100のシール部130への水の浸入を従来よりも抑制できる。
【符号の説明】
【0054】
1 食器洗い機、2 外郭部、2a 開口部、3 ドア、3a 排気口、4 蓋、6 手掛け部、10 操作パネル、11 操作部、12 電源スイッチ、13 運転スイッチ、14 制御装置、15 給水弁、16 水位検知装置、17 水温検知装置、18 湯沸かしヒーター、19 加圧ポンプ、19a 配管、20 排水ポンプ、20a 排水配管、21 保持機構、22 固定レール、23 乾燥用ヒーター、24 乾燥用送風機、30 軸部、40 洗浄ノズル、41 上ノズル、41a 噴射口、42 下ノズル、42a 噴射口、50 食器かご、100 洗浄槽、101 凹部、102 開口部、110 底部部材、111 上端部、120 側部部材、121 下端部、130 シール部、131 外周リブ、131a 上端、132 内周リブ、132a 上端、133 溝、134 シール部材、135 シールリブ、141 第1リブ、141a 上端、142 第2リブ、142a 下端、143 切り欠き、144 トラップ溝、145 遮蔽リブ、146 トラップ構造二次側空間、150 トラップ構造、160 係合部、160a 凸部、160b 孔、200 食器、300 洗浄水、301 水位。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8