(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】移動体制御装置、移動体制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
B60W 30/10 20060101AFI20241220BHJP
B60W 40/06 20120101ALI20241220BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20241220BHJP
G01C 21/36 20060101ALI20241220BHJP
【FI】
B60W30/10
B60W40/06
G08G1/16 D
G01C21/36
(21)【出願番号】P 2021043278
(22)【出願日】2021-03-17
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】マハジャン アディティヤ
(72)【発明者】
【氏名】小森 賢二
(72)【発明者】
【氏名】美浦 彩
【審査官】鶴江 陽介
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-092669(JP,A)
【文献】特開2019-149144(JP,A)
【文献】特開2020-027316(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/00-60/00
G08G 1/00- 1/16
B62D 6/00- 6/10
B60T 7/12- 8/1769
B60T 8/32- 8/96
G01C 21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の外部空間を撮像した画像を取得する画像取得部と、
前記画像に基づいて、前記移動体が前記移動体の進行方向側で消失する合流車線を走行しているか否かを判定する合流車線判定部と、
前記合流車線判定部によって前記移動体が合流車線を走行していると判定された場合、前記画像において前記移動体の本線側に存在し前記移動体の進行方向側に延在する
道路区画線と、前記画像において前記移動体の前記本線と反対側に存在し、前記移動体の進行方向側に延在する
ガードレールとを画像処理によって検出する検出部と、
仮想的に上空から見た想定平面において前記
道路区画線に対して第1所定幅をもって平行に延在する複数の第3参照オブジェクトを仮想的に設定する設定部と、
少なくとも前記
ガードレールと前記複数の第3参照オブジェクトの第1交点に基づいて、前記合流車線の消失する箇所に関する情報を導出する導出部と、を備
え、
前記検出部は、前記道路区画線にある、前記合流車線の車線幅が減少を終了する終了点を検出し、
前記導出部は、前記第1交点と前記終了点とに基づいて、前記合流車線の消失する箇所に関する情報である、前記合流車線の車線幅が減少を開始する開始点を導出する、
移動体制御装置。
【請求項2】
移動体の外部空間を撮像した画像を取得する画像取得部と、
前記画像に基づいて、前記移動体が前記移動体の進行方向側で消失する合流車線を走行しているか否かを判定する合流車線判定部と、
前記合流車線判定部によって前記移動体が合流車線を走行していると判定された場合、前記画像において前記移動体の本線側に存在し前記移動体の進行方向側に延在する
道路区画線と、前記画像において前記移動体の前記本線と反対側に存在し、前記移動体の進行方向側に延在する
ガードレールとを画像処理によって検出する検出部と、
仮想的に上空から見た想定平面において前記
道路区画線に対して第1所定幅をもって平行に延在する複数の第3参照オブジェクトを仮想的に設定する設定部と、
少なくとも前記
ガードレールと前記複数の第3参照オブジェクトの第1交点に基づいて、前記合流車線の消失する箇所に関する情報を導出する導出部と、を備
え、
前記設定部は、仮想的に上空から見た想定平面において前記道路区画線に対して前記第1所定幅とは異なる第2所定幅をもって平行に延在する複数の第4参照オブジェクトを仮想的に設定し、
前記導出部は、前記道路区画線と、前記第1交点と、前記ガードレールと前記複数の第4参照オブジェクトの第2交点とに基づいて、前記合流車線の消失する箇所に関する情報である、前記合流車線の車線幅が減少を開始する開始点と前記合流車線の車線幅が減少を終了する終了点を導出する、
移動体制御装置。
【請求項3】
前記設定部は、前記複数の第3参照オブジェクトのうち、前記
ガードレールと交わる最初のオブジェクトと、前記最初のオブジェクトの直前のオブジェクトとを抽出し、前記直前のオブジェクトから前記最初のオブジェクトの方向に、前記
道路区画線と平行な複数のオブジェクトを、前記複数の第3参照オブジェクトの間の間隔よりも短い間隔で設定し、前記短い間隔で設定された複数のオブジェクトのうち、前記
ガードレールと交わる最初のオブジェクトと、前記最初のオブジェクトの直前のオブジェクトとを抽出する処理を所定回数繰り返すことによって得られた前記最初のオブジェクトを、前記第1交点として設定する、
請求項1
又は2に記載の移動体制御装置。
【請求項4】
前記設定部は、前記複数の第4参照オブジェクトのうち、前記
ガードレールと交わる最初のオブジェクトと、前記最初のオブジェクトの直前のオブジェクトとを抽出し、前記直前のオブジェクトから前記最初のオブジェクトの方向に、前記
道路区画線と平行な複数のオブジェクトを、前記複数の第4参照オブジェクトの間の間隔よりも短い間隔で設定し、前記短い間隔で設定された複数のオブジェクトのうち、前記
ガードレールと交わる最初のオブジェクトと、前記最初のオブジェクトの直前のオブジェクトとを抽出する処理を所定回数繰り返すことによって得られた前記最初のオブジェクトを、前記第2交点として設定する、
請求項
2に記載の移動体制御装置。
【請求項5】
前記導出部は、前記第1交点と前記第2交点とを結んだ線分を延長することによって、前記延長した線分と前記
道路区画線の第3交点と、前記延長した線分から前記
道路区画線に引いた垂線の長さが前記車線幅に等しい前記
ガードレール上にある第4交点を検出し、前記第
4交点を前記合流車線の車線幅が減少を開始する開始点として導出し、前記第
3交点を前記合流車線の車線幅が減少を終了する終了点として導出する、
請求項
2に記載の移動体制御装置。
【請求項6】
前記第1所定幅は、前記移動体の幅である、
請求項1から
5のいずれか1項に記載の移動体制御装置。
【請求項7】
前記導出部によって導出された前記合流車線の終了点に前記移動体が到達する前に、前記移動体が車線変更を完了するような前記移動体の目標軌道を生成し、生成した前記目標軌道に沿って前記移動体が走行するように、前記移動体の運転者の操作に依らずに前記移動体の操舵および加減速を制御する運転制御部を更に備える、
請求項1から
6のいずれか1項に記載の移動体制御装置。
【請求項8】
移動体に搭載されたコンピュータが、
移動体の外部空間を撮像した画像を取得し、
前記画像に基づいて、前記移動体が前記移動体の進行方向側で消失する合流車線を走行しているか否かを判定し、
前記移動体が合流車線を走行していると判定された場合、前記画像において前記移動体の本線側に存在し前記移動体の進行方向側に延在する
道路区画線と、前記画像において前記移動体の前記本線と反対側に存在し、前記移動体の進行方向側に延在する
ガードレールとを画像処理によって検出し、
仮想的に上空から見た想定平面において前記
道路区画線に対して第1所定幅をもって平行に延在する複数の第3参照オブジェクトを仮想的に設定し、
少なくとも前記
ガードレールと前記複数の第3参照オブジェクトの第1交点に基づいて、前記合流車線の消失する箇所に関する情報を導出
し、
前記道路区画線にある、前記合流車線の車線幅が減少を終了する終了点を検出し、
前記第1交点と前記終了点とに基づいて、前記合流車線の消失する箇所に関する情報である、前記合流車線の車線幅が減少を開始する開始点を導出する、
移動体制御方法。
【請求項9】
移動体に搭載されたコンピュータに、
移動体の外部空間を撮像した画像を取得させ、
前記画像に基づいて、前記移動体が前記移動体の進行方向側で消失する合流車線を走行しているか否かを判定させ、
前記移動体が合流車線を走行していると判定された場合、前記画像において前記移動体の本線側に存在し前記移動体の進行方向側に延在する
道路区画線と、前記画像において前記移動体の前記本線と反対側に存在し、前記移動体の進行方向側に延在する
ガードレールとを画像処理によって検出させ、
仮想的に上空から見た想定平面において前記
道路区画線に対して第1所定幅をもって平行に延在する複数の第3参照オブジェクトを仮想的に設定させ、
少なくとも前記
ガードレールと前記複数の第3参照オブジェクトの第1交点に基づいて、前記合流車線の消失する箇所に関する情報を導出さ
せ、
前記道路区画線にある、前記合流車線の車線幅が減少を終了する終了点を検出させ、
前記第1交点と前記終了点とに基づいて、前記合流車線の消失する箇所に関する情報である、前記合流車線の車線幅が減少を開始する開始点を導出させる、
プログラム。
【請求項10】
移動体に搭載されたコンピュータが、
移動体の外部空間を撮像した画像を取得し、
前記画像に基づいて、前記移動体が前記移動体の進行方向側で消失する合流車線を走行しているか否かを判定し、
前記移動体が合流車線を走行していると判定された場合、前記画像において前記移動体の本線側に存在し前記移動体の進行方向側に延在する
道路区画線と、前記画像において前記移動体の前記本線と反対側に存在し、前記移動体の進行方向側に延在する
ガードレールとを画像処理によって検出し、
仮想的に上空から見た想定平面において前記
道路区画線に対して第1所定幅をもって平行に延在する複数の第3参照オブジェクトを仮想的に設定し、
少なくとも前記
ガードレールと前記複数の第3参照オブジェクトの第1交点に基づいて、前記合流車線の消失する箇所に関する情報を導出
し、
仮想的に上空から見た想定平面において前記道路区画線に対して前記第1所定幅とは異なる第2所定幅をもって平行に延在する複数の第4参照オブジェクトを仮想的に設定し、
前記道路区画線と、前記第1交点と、前記ガードレールと前記複数の第4参照オブジェクトの第2交点とに基づいて、前記合流車線の消失する箇所に関する情報である、前記合流車線の車線幅が減少を開始する開始点と前記合流車線の車線幅が減少を終了する終了点を導出する、
移動体制御方法。
【請求項11】
移動体に搭載されたコンピュータに、
移動体の外部空間を撮像した画像を取得させ、
前記画像に基づいて、前記移動体が前記移動体の進行方向側で消失する合流車線を走行しているか否かを判定させ、
前記移動体が合流車線を走行していると判定された場合、前記画像において前記移動体の本線側に存在し前記移動体の進行方向側に延在する
道路区画線と、前記画像において前記移動体の前記本線と反対側に存在し、前記移動体の進行方向側に延在する
ガードレールとを画像処理によって検出させ、
仮想的に上空から見た想定平面において前記
道路区画線に対して第1所定幅をもって平行に延在する複数の第3参照オブジェクトを仮想的に設定させ、
少なくとも前記
ガードレールと前記複数の第3参照オブジェクトの第1交点に基づいて、前記合流車線の消失する箇所に関する情報を導出さ
せ、
仮想的に上空から見た想定平面において前記道路区画線に対して前記第1所定幅とは異なる第2所定幅をもって平行に延在する複数の第4参照オブジェクトを仮想的に設定させ、
前記道路区画線と、前記第1交点と、前記ガードレールと前記複数の第4参照オブジェクトの第2交点とに基づいて、前記合流車線の消失する箇所に関する情報である、前記合流車線の車線幅が減少を開始する開始点と前記合流車線の車線幅が減少を終了する終了点を導出させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体制御装置、移動体制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両が走行する車線が合流車線であるか否かを判定する技術が知られている。例えば、特許文献1には、地図情報に基づいて、自車両が走行する車線が合流車線であるか否かを判定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術は、車線が合流車線であるか被合流車線であるかを判定するものである。しかしながら、この技術は、合流車線の車線幅が減少を開始する開始点と、車線幅が減少を終了する終了点とを検出するものではない。その結果、例えば、車両の自動運転制御において、合流車線の走行時に車線変更のタイミングを適切に判断できない場合があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、合流車線の走行時に車線変更のタイミングを適切に判断することができる移動体制御装置、移動体制御方法、およびプログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る移動体制御装置、移動体制御方法、およびプログラムは、以下の構成を採用した。
(1):この発明の一態様に係る移動体制御装置は、移動体の外部空間を撮像した画像を取得する画像取得部と、前記画像に基づいて、前記移動体が前記移動体の進行方向側で消失する合流車線を走行しているか否かを判定する合流車線判定部と、前記合流車線判定部によって前記移動体が合流車線を走行していると判定された場合、前記画像において前記移動体の本線側に存在し前記移動体の進行方向側に延在する第1参照オブジェクトと、前記画像において前記移動体の前記本線と反対側に存在し、前記移動体の進行方向側に延在する第2参照オブジェクトとを画像処理によって検出する検出部と、仮想的に上空から見た想定平面において前記第1参照オブジェクトに対して第1所定幅をもって平行に延在する複数の第3参照オブジェクトを仮想的に設定する設定部と、少なくとも前記第2参照オブジェクトと前記複数の第3参照オブジェクトの第1交点に基づいて、前記合流車線の消失する箇所に関する情報を導出する導出部と、を備えるものである。
【0007】
(2):上記(1)の態様において、前記検出部は、前記第1参照オブジェクトにある、前記合流車線の車線幅が減少を終了する終了点を検出し、前記導出部は、前記第1交点と前記終了点とに基づいて、前記合流車線の消失する箇所に関する情報である、前記合流車線の車線幅が減少を開始する開始点を導出するものである。
【0008】
(3):上記(1)の態様において、前記設定部は、仮想的に上空から見た想定平面において前記第1参照オブジェクトに対して前記第1所定幅とは異なる第2所定幅をもって平行に延在する複数の第4参照オブジェクトを仮想的に設定し、前記導出部は、前記第1参照オブジェクトと、前記第1交点と、前記第2参照オブジェクトと前記複数の第4参照オブジェクトの第2交点とに基づいて、前記合流車線の消失する箇所に関する情報である、前記合流車線の車線幅が減少を開始する開始点と前記合流車線の車線幅が減少を終了する終了点を導出するものである。
【0009】
(4):上記(1)から(3)のいずれかの態様において、前記設定部は、前記複数の第3参照オブジェクトのうち、前記第2参照オブジェクトと交わる最初のオブジェクトと、前記最初のオブジェクトの直前のオブジェクトとを抽出し、前記直前のオブジェクトから前記最初のオブジェクトの方向に、前記第1参照オブジェクトと平行な複数のオブジェクトを、前記複数の第3参照オブジェクトの間の間隔よりも短い間隔で設定し、前記短い間隔で設定された複数のオブジェクトのうち、前記第2参照オブジェクトと交わる最初のオブジェクトと、前記最初のオブジェクトの直前のオブジェクトとを抽出する処理を所定回数繰り返すことによって得られた前記最初のオブジェクトを、前記第1交点として設定するものである。
【0010】
(5):上記(3)又は(4)の態様において、前記設定部は、前記複数の第4参照オブジェクトのうち、前記第2参照オブジェクトと交わる最初のオブジェクトと、前記最初のオブジェクトの直前のオブジェクトとを抽出し、前記直前のオブジェクトから前記最初のオブジェクトの方向に、前記第1参照オブジェクトと平行な複数のオブジェクトを、前記複数の第4参照オブジェクトの間の間隔よりも短い間隔で設定し、前記短い間隔で設定された複数のオブジェクトのうち、前記第2参照オブジェクトと交わる最初のオブジェクトと、前記最初のオブジェクトの直前のオブジェクトとを抽出する処理を所定回数繰り返すことによって得られた前記最初のオブジェクトを、前記第2交点として設定するものである。
【0011】
(6):上記(3)から(5)のいずれかの態様において、前記導出部は、前記第1交点と前記第2交点とを結んだ線分を延長することによって、前記延長した線分と前記第1参照オブジェクトの第3交点と、前記延長した線分から前記第1参照オブジェクトに引いた垂線の長さが前記車線幅に等しい前記第2参照オブジェクト上にある第4交点を検出し、前記第3交点を前記合流車線の車線幅が減少を開始する開始点として導出し、前記第4交点を前記合流車線の車線幅が減少を終了する終了点として導出するものである。
【0012】
(7):上記(1)から(6)のいずれかの態様において、前記第1所定幅は、前記移動体の幅である。
【0013】
(8):上記(1)から(7)のいずれかの態様において、前記移動体制御装置は、前記導出部によって導出された前記合流車線の終了点に前記移動体が到達する前に、前記移動体が車線変更を完了するような前記移動体の目標軌道を生成し、生成した前記目標軌道に沿って前記移動体が走行するように、前記移動体の運転者の操作に依らずに前記移動体の操舵および加減速を制御する運転制御部を更に備えるものである。
【0014】
(9):この発明の一態様に係る移動体制御方法は、移動体に搭載されたコンピュータが、移動体の外部空間を撮像した画像を取得し、前記画像に基づいて、前記移動体が前記移動体の進行方向側で消失する合流車線を走行しているか否かを判定し、前記合流車線判定部によって前記移動体が合流車線を走行していると判定された場合、前記画像において前記移動体の本線側に存在し前記移動体の進行方向側に延在する第1参照オブジェクトと、前記画像において前記移動体の前記本線と反対側に存在し、前記移動体の進行方向側に延在する第2参照オブジェクトとを画像処理によって検出し、仮想的に上空から見た想定平面において前記第1参照オブジェクトに対して第1所定幅をもって平行に延在する複数の第3参照オブジェクトを仮想的に設定し、少なくとも前記第2参照オブジェクトと前記複数の第3参照オブジェクトの第1交点に基づいて、前記合流車線の消失する箇所に関する情報を導出するものである。
【0015】
(10):この発明の一態様に係るプログラムは、移動体に搭載されたコンピュータに、移動体の外部空間を撮像した画像を取得させ、前記画像に基づいて、前記移動体が前記移動体の進行方向側で消失する合流車線を走行しているか否かを判定させ、前記合流車線判定部によって前記移動体が合流車線を走行していると判定された場合、前記画像において前記移動体の本線側に存在し前記移動体の進行方向側に延在する第1参照オブジェクトと、前記画像において前記移動体の前記本線と反対側に存在し、前記移動体の進行方向側に延在する第2参照オブジェクトとを画像処理によって検出させ、仮想的に上空から見た想定平面において前記第1参照オブジェクトに対して第1所定幅をもって平行に延在する複数の第3参照オブジェクトを仮想的に設定させ、少なくとも前記第2参照オブジェクトと前記複数の第3参照オブジェクトの第1交点に基づいて、前記合流車線の消失する箇所に関する情報を導出させるものである。
【発明の効果】
【0016】
(1)~(10)の態様によれば、合流車線の走行時に車線変更のタイミングを適切に判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施形態に係る移動体制御装置を利用した車両システム1の構成図である。
【
図2】第1制御部120および第2制御部160の機能構成図である。
【
図3】本実施形態に係る移動体制御装置の処理が実行される場面の一例を示す図である。
【
図4】設定部130Cによって設定される複数の第3参照オブジェクトRO3の一例を示す図である。
【
図5】設定部130Cによって追加的に設定される複数の第3参照オブジェクトRO3の一例を示す図である。
【
図6】設定部130Cによって設定される複数の第4参照オブジェクトRO4の一例を示す図である。
【
図7】導出部130Dによって導出される合流車線L1の開始点SPと終了点EPの一例を示す図である。
【
図8】行動計画生成部140によって生成される目標軌道の一例を示す図である。
【
図9】本実施形態に係る移動体制御装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照し、本発明の移動体制御装置、移動体制御方法、およびプログラムの実施形態について説明する。本発明における移動体とは、四輪車両や二輪車両、マイクロモビリティ、ロボット等である。以下の説明において移動体は四輪車両であるものとする。
【0019】
[全体構成]
図1は、本実施形態に係る移動体制御装置を利用した車両システム1の構成図である。車両システム1が搭載される車両は、例えば、二輪や三輪、四輪等の車両であり、その駆動源は、ディーゼルエンジンやガソリンエンジンなどの内燃機関、電動機、或いはこれらの組み合わせである。電動機は、内燃機関に連結された発電機による発電電力、或いは二次電池や燃料電池の放電電力を使用して動作する。
【0020】
車両システム1は、例えば、カメラ10と、レーダ装置12と、LIDAR(Light Detection and Ranging)14と、物体認識装置16と、通信装置20と、HMI(Human Machine Interface)30と、車両センサ40と、ナビゲーション装置50と、MPU(Map Positioning Unit)60と、運転操作子80と、自動運転制御装置100と、走行駆動力出力装置200と、ブレーキ装置210と、ステアリング装置220とを備える。これらの装置や機器は、CAN(Controller Area Network)通信線等の多重通信線やシリアル通信線、無線通信網等によって互いに接続される。なお、
図1に示す構成はあくまで一例であり、構成の一部が省略されてもよいし、更に別の構成が追加されてもよい。
【0021】
カメラ10は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の固体撮像素子を利用したデジタルカメラである。カメラ10は、車両システム1が搭載される車両(以下、自車両M)の任意の箇所に取り付けられる。前方を撮像する場合、カメラ10は、フロントウインドシールド上部やルームミラー裏面等に取り付けられる。カメラ10は、例えば、周期的に繰り返し自車両Mの周辺を撮像する。カメラ10は、ステレオカメラであってもよい。
【0022】
レーダ装置12は、自車両Mの周辺にミリ波などの電波を放射すると共に、物体によって反射された電波(反射波)を検出して少なくとも物体の位置(距離および方位)を検出する。レーダ装置12は、自車両Mの任意の箇所に取り付けられる。レーダ装置12は、FM-CW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式によって物体の位置および速度を検出してもよい。
【0023】
LIDAR14は、自車両Mの周辺に光(或いは光に近い波長の電磁波)を照射し、散乱光を測定する。LIDAR14は、発光から受光までの時間に基づいて、対象までの距離を検出する。照射される光は、例えば、パルス状のレーザー光である。LIDAR14は、自車両Mの任意の箇所に取り付けられる。
【0024】
物体認識装置16は、カメラ10、レーダ装置12、およびLIDAR14のうち一部または全部による検出結果に対してセンサフュージョン処理を行って、物体の位置、種類、速度などを認識する。物体認識装置16は、認識結果を自動運転制御装置100に出力する。物体認識装置16は、カメラ10、レーダ装置12、およびLIDAR14の検出結果をそのまま自動運転制御装置100に出力してよい。本実施形態において、物体認識装置16は、画像取得部16Aを備え、画像取得部16Aは、カメラ10によって撮像された車両の外部空間の画像を取得し、後述する自動運転制御装置100に出力する。
【0025】
通信装置20は、例えば、セルラー網やWi-Fi網、Bluetooth(登録商標)、DSRC(Dedicated Short Range Communication)などを利用して、自車両Mの周辺に存在する他車両と通信し、或いは無線基地局を介して各種サーバ装置と通信する。
【0026】
HMI30は、自車両Mの乗員に対して各種情報を提示すると共に、乗員による入力操作を受け付ける。HMI30は、各種表示装置、スピーカ、ブザー、タッチパネル、スイッチ、キーなどを含む。
【0027】
車両センサ40は、自車両Mの速度を検出する車速センサ、加速度を検出する加速度センサ、鉛直軸回りの角速度を検出するヨーレートセンサ、自車両Mの向きを検出する方位センサ等を含む。
【0028】
ナビゲーション装置50は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機51と、ナビHMI52と、経路決定部53とを備える。ナビゲーション装置50は、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置に第1地図情報54を保持している。GNSS受信機51は、GNSS衛星から受信した信号に基づいて、自車両Mの位置を特定する。自車両Mの位置は、車両センサ40の出力を利用したINS(Inertial Navigation System)によって特定または補完されてもよい。ナビHMI52は、表示装置、スピーカ、タッチパネル、キーなどを含む。ナビHMI52は、前述したHMI30と一部または全部が共通化されてもよい。経路決定部53は、例えば、GNSS受信機51により特定された自車両Mの位置(或いは入力された任意の位置)から、ナビHMI52を用いて乗員により入力された目的地までの経路(以下、地図上経路)を、第1地図情報54を参照して決定する。第1地図情報54は、例えば、道路を示すリンクと、リンクによって接続されたノードとによって道路形状が表現された情報である。第1地図情報54は、道路の曲率やPOI(Point Of Interest)情報などを含んでもよい。地図上経路は、MPU60に出力される。ナビゲーション装置50は、地図上経路に基づいて、ナビHMI52を用いた経路案内を行ってもよい。ナビゲーション装置50は、例えば、乗員の保有するスマートフォンやタブレット端末等の端末装置の機能によって実現されてもよい。ナビゲーション装置50は、通信装置20を介してナビゲーションサーバに現在位置と目的地を送信し、ナビゲーションサーバから地図上経路と同等の経路を取得してもよい。
【0029】
MPU60は、例えば、推奨車線決定部61を含み、HDDやフラッシュメモリなどの記憶装置に第2地図情報62を保持している。推奨車線決定部61は、ナビゲーション装置50から提供された地図上経路を複数のブロックに分割し(例えば、車両進行方向に関して100[m]毎に分割し)、第2地図情報62を参照してブロックごとに推奨車線を決定する。推奨車線決定部61は、左から何番目の車線を走行するといった決定を行う。推奨車線決定部61は、地図上経路に分岐箇所が存在する場合、自車両Mが、分岐先に進行するための合理的な経路を走行できるように、推奨車線を決定する。
【0030】
第2地図情報62は、第1地図情報54よりも高精度な地図情報である。第2地図情報62は、例えば、車線の中央の情報あるいは車線の境界の情報等を含んでいる。また、第2地図情報62には、道路情報、交通規制情報、住所情報(住所・郵便番号)、施設情報、電話番号情報などが含まれてよい。第2地図情報62は、通信装置20が他装置と通信することにより、随時、アップデートされてよい。
【0031】
運転操作子80は、例えば、アクセルペダル、ブレーキペダル、シフトレバー、ステアリングホイール、異形ステアリングホイール、ジョイスティックその他の操作子を含む。運転操作子80には、操作量あるいは操作の有無を検出するセンサが取り付けられており、その検出結果は、自動運転制御装置100、もしくは、走行駆動力出力装置200、ブレーキ装置210、およびステアリング装置220のうち一部または全部に出力される。
【0032】
自動運転制御装置100は、例えば、第1制御部120と、第2制御部160とを備える。第1制御部120と第2制御部160は、それぞれ、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予め自動運転制御装置100のHDDやフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体(非一過性の記憶媒体)がドライブ装置に装着されることで自動運転制御装置100のHDDやフラッシュメモリにインストールされてもよい。物体認識装置16と自動運転制御装置100とを合わせたものが「移動体制御装置」の一例であり、行動計画生成部140と第2制御部160を合わせたものが「運転制御部」の一例である。
【0033】
図2は、第1制御部120および第2制御部160の機能構成図である。第1制御部120は、例えば、認識部130と、行動計画生成部140とを備える。第1制御部120は、例えば、AI(Artificial Intelligence;人工知能)による機能と、予め与えられたモデルによる機能とを並行して実現する。例えば、「交差点を認識する」機能は、ディープラーニング等による交差点の認識と、予め与えられた条件(パターンマッチング可能な信号、道路標示などがある)に基づく認識とが並行して実行され、双方に対してスコア付けして総合的に評価することで実現されてよい。これによって、自動運転の信頼性が担保される。
【0034】
認識部130は、カメラ10、レーダ装置12、およびLIDAR14から物体認識装置16を介して入力された情報に基づいて、自車両Mの周辺にある物体の位置、および速度、加速度等の状態を認識する。物体の位置は、例えば、自車両Mの代表点(重心や駆動軸中心など)を原点とした絶対座標上の位置として認識され、制御に使用される。物体の位置は、その物体の重心やコーナー等の代表点で表されてもよいし、表現された領域で表されてもよい。物体の「状態」とは、物体の加速度やジャーク、あるいは「行動状態」(例えば車線変更をしている、またはしようとしているか否か)を含んでもよい。
【0035】
また、認識部130は、例えば、自車両Mが走行している車線(走行車線)を認識する。例えば、認識部130は、第2地図情報62から得られる道路区画線のパターン(例えば実線と破線の配列)と、カメラ10によって撮像された画像から認識される自車両Mの周辺の道路区画線のパターンとを比較することで、走行車線を認識する。なお、認識部130は、道路区画線に限らず、道路区画線や路肩、縁石、中央分離帯、ガードレールなどを含む走路境界(道路境界)を認識することで、走行車線を認識してもよい。この認識において、ナビゲーション装置50から取得される自車両Mの位置やINSによる処理結果が加味されてもよい。また、認識部130は、一時停止線、障害物、赤信号、料金所、その他の道路事象を認識する。
【0036】
認識部130は、走行車線を認識する際に、走行車線に対する自車両Mの位置や姿勢を認識する。認識部130は、例えば、自車両Mの基準点の車線中央からの乖離、および自車両Mの進行方向の車線中央を連ねた線に対してなす角度を、走行車線に対する自車両Mの相対位置および姿勢として認識してもよい。これに代えて、認識部130は、走行車線のいずれかの側端部(道路区画線または道路境界)に対する自車両Mの基準点の位置などを、走行車線に対する自車両Mの相対位置として認識してもよい。
【0037】
本実施形態において、認識部130は、特に、合流車線判定部130Aと、検出部130Bと、設定部130Cと、導出部130Dとを含むが、これらの機能の詳細は後述する。
【0038】
行動計画生成部140は、原則的には推奨車線決定部61により決定された推奨車線を走行し、更に、自車両Mの周辺状況に対応できるように、自車両Mが自動的に(運転者の操作に依らずに)将来走行する目標軌道を生成する。目標軌道は、例えば、速度要素を含んでいる。例えば、目標軌道は、自車両Mの到達すべき地点(軌道点)を順に並べたものとして表現される。軌道点は、道なり距離で所定の走行距離(例えば数[m]程度)ごとの自車両Mの到達すべき地点であり、それとは別に、所定のサンプリング時間(例えば0コンマ数[sec]程度)ごとの目標速度および目標加速度が、目標軌道の一部として生成される。また、軌道点は、所定のサンプリング時間ごとの、そのサンプリング時刻における自車両Mの到達すべき位置であってもよい。この場合、目標速度や目標加速度の情報は軌道点の間隔で表現される。
【0039】
行動計画生成部140は、目標軌道を生成するにあたり、自動運転のイベントを設定してよい。自動運転のイベントには、定速走行イベント、低速追従走行イベント、車線変更イベント、分岐イベント、合流イベント、テイクオーバーイベントなどがある。行動計画生成部140は、起動させたイベントに応じた目標軌道を生成する。
【0040】
第2制御部160は、行動計画生成部140によって生成された目標軌道を、予定の時刻通りに自車両Mが通過するように、走行駆動力出力装置200、ブレーキ装置210、およびステアリング装置220を制御する。
【0041】
図2に戻り、第2制御部160は、例えば、取得部162と、速度制御部164と、操舵制御部166とを備える。取得部162は、行動計画生成部140により生成された目標軌道(軌道点)の情報を取得し、メモリ(不図示)に記憶させる。速度制御部164は、メモリに記憶された目標軌道に付随する速度要素に基づいて、走行駆動力出力装置200またはブレーキ装置210を制御する。操舵制御部166は、メモリに記憶された目標軌道の曲がり具合に応じて、ステアリング装置220を制御する。速度制御部164および操舵制御部166の処理は、例えば、フィードフォワード制御とフィードバック制御との組み合わせにより実現される。一例として、操舵制御部166は、自車両Mの前方の道路の曲率に応じたフィードフォワード制御と、目標軌道からの乖離に基づくフィードバック制御とを組み合わせて実行する。
【0042】
走行駆動力出力装置200は、車両が走行するための走行駆動力(トルク)を駆動輪に出力する。走行駆動力出力装置200は、例えば、内燃機関、電動機、および変速機などの組み合わせと、これらを制御するECU(Electronic Control Unit)とを備える。ECUは、第2制御部160から入力される情報、或いは運転操作子80から入力される情報に従って、上記の構成を制御する。
【0043】
ブレーキ装置210は、例えば、ブレーキキャリパーと、ブレーキキャリパーに油圧を伝達するシリンダと、シリンダに油圧を発生させる電動モータと、ブレーキECUとを備える。ブレーキECUは、第2制御部160から入力される情報、或いは運転操作子80から入力される情報に従って電動モータを制御し、制動操作に応じたブレーキトルクが各車輪に出力されるようにする。ブレーキ装置210は、運転操作子80に含まれるブレーキペダルの操作によって発生させた油圧を、マスターシリンダを介してシリンダに伝達する機構をバックアップとして備えてよい。なお、ブレーキ装置210は、上記説明した構成に限らず、第2制御部160から入力される情報に従ってアクチュエータを制御して、マスターシリンダの油圧をシリンダに伝達する電子制御式油圧ブレーキ装置であってもよい。
【0044】
ステアリング装置220は、例えば、ステアリングECUと、電動モータとを備える。電動モータは、例えば、ラックアンドピニオン機構に力を作用させて転舵輪の向きを変更する。ステアリングECUは、第2制御部160から入力される情報、或いは運転操作子80から入力される情報に従って、電動モータを駆動し、転舵輪の向きを変更させる。
【0045】
[動作]
次に、
図3から
図8を参照して、本実施形態に係る移動体制御装置の処理について説明する。
図3は、本実施形態に係る移動体制御装置の処理が実行される場面の一例を示す図である。
図3において、自車両Mは自動運転にて合流車線L1を走行しており、車線変更を実行して、被合流車線L2に進入する。一般的に、合流車線は、ある地点から車線幅が減少を開始し、その先の別の地点にて車線幅がゼロとなり減少を終了するため、移動体制御装置は、車線変更を実行するタイミングを判定するために、合流車線の車線幅が減少を開始する開始点と当該合流車線の車線幅が減少を終了する終了点を事前に把握する必要がある。本発明は、このような開始点と終了点とを導出し、車線変更を実行するタイミングの判定に活用するものである。
【0046】
合流車線判定部130Aは、画像取得部16Aからカメラ10によって撮像された自車両Mの外部空間の画像を取得すると、当該画像に基づいて、自車両Mが、自車両Mの進行方向側で消失する合流車線を走行しているか否かを判定する。具体的には、例えば、合流車線判定部130Aは、第2地図情報62が合流車線の走行を示すとき、自車両Mの外部空間の画像が、走行車線の左右の道路区画線(又はガードレール)が交わっていることを示すとき、或いは合流路特有の破線形状を示すときに、自車両Mが合流車線を走行していると判定する。
【0047】
検出部130Bは、合流車線判定部130Aによって自車両Mが合流車線を走行していると判定された場合、画像取得部16Aから取得した画像において自車両Mの本線側に存在し自車両Mの進行方向側に延在する第1参照オブジェクトRO1と、当該画像において自車両Mの本線と反対側に存在し自車両Mの進行方向側に延在する第2参照オブジェクトRO2とを画像処理によって検出する。具体的には、例えば、検出部130Bは、画像取得部16Aから取得した画像において隣接画素との輝度差が大きいエッジ点を抽出し、エッジ点を連ねた輪郭の延在する長さや形状などに基づいて、当該画像における左右二つの第1参照オブジェクトRO1と第2参照オブジェクトRO2とを検出する。ここで、第1参照オブジェクトRO1と第2参照オブジェクトRO2は、例えば、道路区画線やガードレールである。
図3において、検出部130Bは、第1参照オブジェクトRO1として道路区画線を検出し、第2参照オブジェクトRO2としてガードレールを検出している。
【0048】
設定部130Cは、画像取得部16Aから取得した画像を、仮想的に上空から見た想定平面に投影し、当該想定平面において、検出部130Bによって検出された第1参照オブジェクトに対して第1所定幅をもって平行に延在する複数の第3参照オブジェクトRO3を仮想的に設定する。設定部130Cは、係る処理を画像平面上で行ってもよい。以下に説明する他の処理についても同様である。
【0049】
図4は、設定部130Cによって設定される複数の第3参照オブジェクトRO3の一例を示す図である。
図4において、設定部130Cは、複数の点状の第3参照オブジェクトRO3を、第1参照オブジェクトRO1に対して第1所定幅を空けて、所定間隔FI1で設定している。ここで、第1所定幅は、例えば、自車両Mの車幅MWである。
【0050】
設定部130Cは、さらに、複数の第3参照オブジェクトRO3のうち、第2参照オブジェクトRO2と交わる最初のオブジェクトFP1と、最初のオブジェクトFP1の直前のオブジェクトPP1とを抽出する。第2参照オブジェクトRO2と交わるオブジェクトを抽出できなかった場合には、設定部130Cは、所定間隔を短く設定し直し、再度、複数の第3参照オブジェクトRO3を設定する。
【0051】
次に、設定部130Cは、抽出した直前のオブジェクトPP1から最初のオブジェクトFP1の方向に、第1参照オブジェクトRO1と平行な複数の第3参照オブジェクトRO3を、複数の第3参照オブジェクトRO3よりも短い間隔で追加的に設定する。
図5は、設定部130Cによって追加的に設定される複数の第3参照オブジェクトRO3の一例を示す図である。
図5において、設定部130Cは、直前のオブジェクトPP1から最初のオブジェクトFP1の方向に、複数の第3参照オブジェクトRO3を第1参照オブジェクトRO1に対して第1所定幅を空けて、所定間隔FI2で設定している。このときの所定間隔FI2は、所定間隔FI1よりも短く設定される。設定部130Cは、短い間隔で生成された複数の第3参照オブジェクトRO3のうち、第2参照オブジェクトRO2と交わる最初のオブジェクトFP2と、当該最初のオブジェクトFP2の直前のオブジェクトPP2とを抽出する。
図5に示す通り、このとき抽出される最初のオブジェクトFP2は、前回の最初のオブジェクトFP1と比較して、自車両Mにより近い側に設定される。設定部130Cは、上記の処理を所定回数(N回)繰り返すことによって得られた最初のオブジェクトFP(N)を、第2参照オブジェクトRO2と第3参照オブジェクトRO3の第1交点I1として設定する。代替的に、設定部130Cは、上記の処理を所定回数ではなく、前回の最初のオブジェクトFP(N―1)と今回の最初のオブジェクトFP(N)との間の距離が閾値未満(例えば、1m)となったタイミングで、当該最初のオブジェクトFP(N)を第1交点I1として設定してもよい。
【0052】
次に、設定部130Cは、設定した複数の第3参照オブジェクトRO3に加えて、第1参照オブジェクトRO1に対して第1所定幅とは異なる第2所定幅をもって平行に延在する複数の第4参照オブジェクトRO4を仮想的に設定する。
図6は、設定部130Cによって設定される複数の第4参照オブジェクトRO4の一例を示す図である。
図6において、設定部130Cは、複数の点状の第4参照オブジェクトRO4を、第1参照オブジェクトRO1に対して第2所定幅を空けて、所定間隔SI1で設定している。ここで、第2所定幅は、例えば、自車両Mの車幅MWの2分の1の長さであるが、第1所定幅と異なる値が設定されれば良い。所定間隔SI1は、所定間隔FI1と同じ値であっても、異なる値であってもよい。
【0053】
設定部130Cは、さらに、複数の第3参照オブジェクトRO4のうち、第2参照オブジェクトRO2と交わる最初のオブジェクトFP1と、最初のオブジェクトFP1の直前のオブジェクトPP1とを抽出する。第2参照オブジェクトRO2と交わるオブジェクトを抽出できなかった場合には、設定部130Cは、所定間隔を短く設定し直し、再度、複数の第4参照オブジェクトRO4を設定する。
【0054】
次に、設定部130Cは、抽出した直前のオブジェクトPP1から最初のオブジェクトFP1の方向に、第1参照オブジェクトRO1と平行な複数の第3参照オブジェクトRO4を、複数の第3参照オブジェクトRO4よりも短い間隔で追加的に設定する。設定部130Cは、
図5の場合と同様にして、短い間隔で生成された複数の第4参照オブジェクトRO4のうち、第2参照オブジェクトRO2と交わる最初のオブジェクトFP2と、当該最初のオブジェクトFP2の直前のオブジェクトPP2とを抽出する。設定部130Cは、上記の処理を所定回数(N回)繰り返すことによって得られた最初のオブジェクトFP(N)を、第2参照オブジェクトRO2と第4参照オブジェクトRO4の第2交点I2として設定する。代替的に、設定部130Cは、上記の処理を所定回数ではなく、前回の最初のオブジェクトFP(N―1)と今回の最初のオブジェクトFP(N)との間の距離が閾値未満(例えば、1m)となったタイミングで、当該最初のオブジェクトFP(N)を第2交点I2として設定してもよい。以上の処理により、第2参照オブジェクトRO2と第3参照オブジェクトRO3の第1交点I1と、第2参照オブジェクトRO2と第4参照オブジェクトRO4の第2交点I2とが設定される。
【0055】
導出部130Dは、第1参照オブジェクトRO1と、第1交点I1と、第2交点I2とに基づいて、合流車線L1の消失する箇所に関する情報である、合流車線L1の車線幅が減少を開始する開始点S1と合流車線L1の車線幅が減少を終了する終了点EPを導出する。
図7は、導出部130Dによって導出される合流車線L1の開始点SPと終了点EPの一例を示す図である。
図7に示す通り、導出部130Dは、第1交点I1と第2交点I2とを結んだ線分RLを延長し、当該延長した線分RLから第1参照オブジェクトRO1に引いた垂線の長さが車線L1の幅LWに等しい第2参照オブジェクトRO2上の点を、合流車線L1の開始点S1として導出する。導出部130Dは、さらに、延長した線分RLと第1参照オブジェクトの交点を、合流車線L1の終了点EPとして導出する。
【0056】
なお、上記の説明では、導出部130Dは、第3参照オブジェクトRO3を用いて設定された第1交点I1と、第3参照オブジェクトRO3を用いて設定された第2交点I2とを用いて、合流車線L1の開始点S1と終了点EPとを導出している。しかし、本発明はこの構成に限定されない。例えば、検出部130Bが、任意の画像処理手法によって終了点EPを検出した場合、導出部130Dは、第1交点I1と終了点EPとに基づいて、開始点S1を導出してもよい。具体的には、導出部130Dは、第1交点I1と終了点EPとを結んだ線分を延長し、当該延長した線分から第1参照オブジェクトRO1に引いた垂線の長さが車線L1の幅LWに等しい第2参照オブジェクトRO2上の点を、開始点S1として導出する。
【0057】
その後、行動計画生成部140は、認識部130から、合流車線L1の開始点S1と終了点EPに関する情報を取得し、当該情報に基づいて、目標軌道を生成する。
図8は、行動計画生成部140によって生成される目標軌道の一例を示す図である。
図8に示す通り、行動計画生成部140は、合流車線L1の終了点EPに自車両Mが到達する前に、自車両Mが車線変更を完了するような自車両Mの目標軌道TTを生成する。第2制御部160は、生成した目標軌道TTに沿って自車両Mが走行するように、自車両Mの運転者の操作に依らずに自車両Mの操舵および加減速を制御する。
【0058】
次に、
図9を参照して、本実施形態に係る移動体制御装置の処理の流れについて説明する。
図9は、本実施形態に係る移動体制御装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。本フローチャートの処理は、移動体制御装置によって所定の制御サイクル(例えば、10ミリ秒)ごとに実行されるものである。
【0059】
まず、移動体制御装置は、画像取得部16Aを用いて、カメラ10が自車両Mの外部空間を撮像した画像を取得する(ステップS100)。次に、移動体制御装置は、合流車線判定部130Aを用いて、画像取得部16Aによって取得された画像に基づいて、自車両Mが合流車線を走行しているか否かを判定する(ステップS101)。合流車線判定部130Aによって、自車両Mが合流車線を走行していないと判定された場合、移動体制御装置は処理をステップS100に戻す。
【0060】
一方、自車両Mが合流車線を走行していると判定された場合、移動体制御装置は、検出部130Bを用いて、画像において自車両Mの本線側に存在し自車両Mの進行方向側に延在する第1参照オブジェクトRO1と、画像において自車両Mの本線と反対側に存在し、自車両Mの進行方向側に延在する第2参照オブジェクトRO2とを画像処理によって検出する(ステップS102)。次に、移動体制御装置は、設定部130Cを用いて、仮想的に上空から見た想定平面において第1参照オブジェクトRO1に対して第1所定幅をもって平行に延在する複数の第3参照オブジェクトを仮想的に設定し、第2参照オブジェクトRO2との第1交点を検出する(ステップS103)。また、移動体制御装置は、設定部130Cを用いて、想定平面において第1参照オブジェクトRO1に対して第2所定幅をもって平行に延在する複数の第4参照オブジェクトを仮想的に設定し、第2参照オブジェクトRO2との第2交点を検出する(ステップS104)。
【0061】
次に、移動体制御装置は、導出部130Dを用いて、第1参照オブジェクトRO1と、第1交点I1と、第2交点I2とに基づいて、合流車線L1の開始点S1とを終了点EPを導出する(ステップS105)。次に、移動体制御装置は、行動計画生成部140を用いて、合流車線L1の終了点EPに自車両Mが到達する前に、自車両Mが車線変更を完了するような自車両Mの目標軌道TTを生成する。これにより、本フローチャートの処理が終了する。
【0062】
なお、上記の実施形態では、本発明の移動体制御装置が自動運転に適用される例について説明した。しかし、本発明の移動体制御装置はその構成に限定されず、手動運転にも適用することができる。その場合、本発明の移動体制御装置は、運転制御部に代えて、導出された合流車線の開始点と終了点に基づいて目標軌道を生成し、生成した目標軌道に沿って自車両Mの乗員が運転を行うように操舵指示と加減速指示とのうちの少なくとも一方を与える運転指示部を更に備えればよい。運転指示部は、例えば、ナビゲーション装置50の機能の一部として実現することができる。
【0063】
以上の通り説明した本実施形態によれば、移動体制御装置は、カメラ10によって撮像された画像に基づいて、合流車線の開始点と終了点とを導出し、当該開始点と終了点を考慮して、車線変更の実施タイミングを判断する。これにより、合流車線の走行時に車線変更のタイミングを適切に判断することができる。
【0064】
上記説明した実施形態は、以下のように表現することができる。
プログラムを記憶した記憶装置と、
ハードウェアプロセッサと、を備え、
前記ハードウェアプロセッサが前記記憶装置に記憶されたプログラムを実行することにより、
移動体の外部空間を撮像した画像を取得し、
前記画像に基づいて、前記移動体が前記移動体の進行方向側で消失する合流車線を走行しているか否かを判定し、
前記合流車線判定部によって前記移動体が合流車線を走行していると判定された場合、前記画像において前記移動体の本線側に存在し前記移動体の進行方向側に延在する第1参照オブジェクトと、前記画像において前記移動体の前記本線と反対側に存在し、前記移動体の進行方向側に延在する第2参照オブジェクトとを画像処理によって検出し、
仮想的に上空から見た想定平面において前記第1参照オブジェクトに対して第1所定幅をもって平行に延在する複数の第3参照オブジェクトを仮想的に設定し、
少なくとも前記第2参照オブジェクトと前記複数の第3参照オブジェクトの第1交点に基づいて、前記合流車線の消失する箇所に関する情報を導出する、
移動体制御装置。
【0065】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0066】
10 カメラ
16 物体認識装置
16A 画像取得部
100 自動運転制御装置
120 第1制御部
130 認識部
130A 合流車線判定部
130B 検出部
130C 設定部
130D 導出部
140 行動計画生成部
160 第2制御部