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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20241220BHJP
【FI】
H04N1/00 838
H04N1/00 350
H04N1/00 127B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021063766
(22)【出願日】2021-04-02
(65)【公開番号】P2022158697
(43)【公開日】2022-10-17
【審査請求日】2024-03-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112335
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英介
(74)【代理人】
【識別番号】100101144
【弁理士】
【氏名又は名称】神田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100101694
【弁理士】
【氏名又は名称】宮尾 明茂
(74)【代理人】
【識別番号】100124774
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 信幸
(72)【発明者】
【氏名】小川 晃
【審査官】豊田 好一
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-303639(JP,A)
【文献】特開2016-134042(JP,A)
【文献】特開2009-283998(JP,A)
【文献】特開2020-87359(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶部と、制御部と、表示部とを備え、
前記記憶部は、
端末装置の識別情報と当該端末装置が管理する宛先を用いたジョブの実行に係る履歴情報とを関連付けた設定履歴情報を記憶し、
前記制御部は、
前記端末装置と未接続状態であるときは、前記設定履歴情報の前記表示部での表示を制限し、
前記端末装置と接続状態であり、接続状態の前記端末装置から取得した前記識別情報と前記履歴情報に関連付けた前記識別情報とが一致する場合、前記設定履歴情報を前記表示部に表示することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記記憶部は、
前記ジョブの実行ユーザに関する情報を前記履歴情報に関連付けた前記設定履歴情報を記憶し、
前記制御部は、
装置へのログインユーザと前記実行ユーザとが一致する場合、前記設定履歴情報を前記表示部に表示することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記識別情報と前記履歴情報とを関連付けていない前記設定履歴情報を前記表示部で表示することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記端末装置と接続状態であるとき、接続状態の前記端末装置から取得した前記識別情報と前記履歴情報に関連付けた前記識別情報とが一致する前記設定履歴情報のみを前記表示部で表示することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記端末装置と接続状態であるとき、前記端末装置から取得した前記識別情報と前記履歴情報に関連付けた前記識別情報とが一致しない前記設定履歴情報の前記宛先に関する情報を秘匿して表示部に表示することを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、
パスコードを生成して前記端末装置に送信し、
前記パスコードが入力されるまで、前記端末装置から取得した前記識別情報と前記履歴情報に関連付けた前記識別情報とが一致するかしないかに関わらず前記設定履歴情報の前記表示部での表示を制限することを特徴とする請求項1から請求項5の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
端末装置が管理する宛先を用いたジョブを実行可能な情報処理装置による情報処理方法であって、
前記端末装置の識別情報と前記ジョブの実行に係る履歴情報とを関連付けた設定履歴情報を記憶する工程と、
前記端末装置と未接続状態であるときは、前記設定履歴情報の表示装置での表示を制限し、
前記端末装置と接続状態であり、接続状態の前記端末装置から取得した前記識別情報と前記履歴情報に関連付けた前記識別情報とが一致する場合、前記設定履歴情報を前記表示装置に表示することを特徴とする情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
複合機等の情報処理装置には、スマートフォン、タブレット、携帯電話、又はパーソナルコンピュータ等の端末装置が管理するメールアドレスやファクス番号等の宛先情報を取得する機能を備えるものがある。これらの情報処理装置の中には、端末装置から取得した宛先情報を、例えば、Scan to E-mail機能や、Scan to FAX機能などの画像データの送信ジョブに係る送信先に設定することで、自己が管理していない宛先に対しても画像データを送信することができるものが知られている。
【0003】
ところで、過去に実行したジョブと同一又は類似するジョブの実行を容易とするために、当該ジョブに係る設定値を設定履歴情報として記憶することで再利用する試みがなされている。設定履歴情報は、例えば、表示装置において選択可能に表示され、ユーザは所望の設定履歴情報を選択し、必要に応じて設定値を変更することで、容易にジョブを実行することができる。
【0004】
送信ジョブ実行後の設定履歴情報の記憶に際し、送信先として設定した宛先情報は設定履歴情報の一部として記憶される。宛先情報を含む設定履歴情報は、当該宛先情報の取得元たる端末装置のユーザが再利用する場合、セキュリティ上の問題は少ない。しかしながら、当該設定履歴情報は、情報処理装置を使用してジョブを実行する他のユーザにも再利用が可能である。したがって、何らセキュリティ上の対策が講じられていない場合、端末装置のユーザが管理する宛先情報が他のユーザに漏洩するといった問題があった。
【0005】
上記セキュリティ上の問題に対処するため、例えば、特許文献1には、画像処理装置が送信ジョブを実行する場合に、その送信ジョブに係る設定を設定履歴として保存するか否かをユーザによる指示に応じて決定することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-167764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、ユーザは、送信ジョブを実行する度に、当該ジョブに係る設定を設定履歴として保存するか否かを画像処理装置に対して指示する必要があり、操作が煩わしくなる恐れがある。また、例えば、後に同一の設定にて送信ジョブを実行する際に、再利用する目的で、設定履歴を保存したいが、自己が管理する設定情報を他のユーザに利用されたくないというユーザの要望を充たすことは出来なかった。
【0008】
本開示の目的は、特別な操作を必要とせずとも、端末装置のユーザ以外の他のユーザに対して、当該端末装置から取得した情報を含む設定履歴情報の利用を防止することができる情報処理装置等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本開示に係る情報処理装置は、記憶部と、制御部と、表示部とを備え、前記記憶部は、端末装置の識別情報と当該端末装置が管理する宛先を用いたジョブの実行に係る履歴情報とを関連付けた設定履歴情報を記憶し、前記制御部は、前記端末装置と未接続状態であるときは、前記設定履歴情報の前記表示部での表示を制限し、前記端末装置と接続状態であり、接続状態の前記端末装置から取得した前記識別情報と前記履歴情報に関連付けた前記識別情報とが一致する場合、前記設定履歴情報を前記表示部に表示することを特徴としている。
【0010】
また、本開示に係る情報処理方法は、端末装置が管理する宛先を用いたジョブを実行可能な情報処理装置による情報処理方法であって、前記端末装置の識別情報と前記ジョブの実行に係る履歴情報とを関連付けた設定履歴情報を記憶する工程と、前記端末装置と未接続状態であるときは、前記設定履歴情報の表示装置での表示を制限し、前記端末装置と接続状態であり、接続状態の前記端末装置から取得した前記識別情報と前記履歴情報に関連付けた前記識別情報とが一致する場合、前記設定履歴情報を前記表示装置に表示することを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、特別な操作を必要とせずとも、端末装置のユーザ以外の他のユーザに対して、当該端末装置から取得した情報を含む設定履歴情報の利用を防止することができる情報処理装置等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態に係る複合機の全体構成を概略的に説明する図である。
図2】第1実施形態に係る複合機の全体構成を説明するための外観斜視図である。
図3】第1実施形態に係る複合機の機能構成を説明する図である。
図4】第1実施形態に係る端末装置の機能構成を説明する図である。
図5】第1実施形態に係る処理の流れを説明するフローチャートである。
図6】設定履歴情報の構成例を説明する図である。
図7】第1実施形態に係る処理の流れを説明するフローチャートである。
図8】設定履歴情報の表示判定結果の一例を説明する図である。
図9】第1実施形態の動作例を説明する図である。
図10】第1実施形態の動作例を説明する図である。
図11】第1実施形態の動作例を説明する図である。
図12】第1実施形態の動作例を説明する図である。
図13】第2実施形態に係る複合機の機能構成を説明する図である。
図14】第2実施形態に係る処理の流れを説明するフローチャートである。
図15】設定履歴情報の構成例を説明する図である。
図16】第2実施形態に係る処理の流れを説明するフローチャートである。
図17】設定履歴情報の表示判定結果の一例を説明する図である。
図18】第2実施形態の動作例を説明する図である。
図19】第2実施形態の動作例を説明する図である。
図20】第3実施形態に係る処理の流れを説明するフローチャートである。
図21】第3実施形態の動作例を説明する図である。
図22】第4実施形態に係る複合機の機能構成を説明する図である。
図23】第4実施形態に係る処理の流れを説明するフローチャートである。
図24】第4実施形態の動作例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。本開示では、コピー機能、スキャン機能、Scan to E-mail機能、Scan to FAX機能等を有する複合機を、情報処理装置の一形態として説明する。なお、以下の実施形態は、本開示を説明するための一例であり、特許請求の範囲に記載した説明の技術的範囲が、以下の記載に限定されるものではない。
【0014】
[1 第1実施形態]
第1実施形態は、端末装置から取得した宛先情報に基づきジョブを実行可能な複合機において、当該端末装置から取得した後述の識別情報が、ジョブの実行に係る履歴情報に関連付けられた識別情報に一致する場合に、設定履歴情報を表示する形態である。
【0015】
[1.1 機能構成]
図1は、第1実施形態に係る複合機10の全体構成を概略的に説明する図である。複合機10は、端末装置30と接続が可能となるように構成されている。なお、本開示において、「接続」とは、複合機10と端末装置30とが通信によってコネクションを確立し、相互に情報の送受信を行うことが可能な状態を表すものとする。
【0016】
ここで、接続方法としては特に限定はされないが、例えば、Bluetooth(登録商標)、NFC(Near field communication)、Wi-fi(登録商標)、ZigBee(登録商標)、Irda、ワイヤレスUSB等の通信技術を採用することができる。なお、図1では、複合機10は端末装置30と直接接続する形態を例示しているが、LAN(Local area network)、WAN(Wide area network)、インターネット等の不図示のネットワークを介して接続することも可能である。
【0017】
以下の説明では、異なる識別情報を有する端末装置30a(識別情報“11:11:11:11:11:11”)及び端末装置30b(識別情報“22:22:22:22:22:22”)を用いて説明する。端末装置30aと端末装置30bとは保有する識別情報が異なれば、同一機能構成であってもよく、異なる機能構成であってもかまわない。加えて、複合機10に接続可能な端末装置30の台数にも制限はない。なお、端末装置30aと端末装置30bとを区別する必要がない場合は、単に端末装置30として説明する。
【0018】
図2は、複合機10の全体構成を説明する外観斜視図である。また、図3は、複合機10の機能構成図である。複合機10は、制御部11と、表示部13と、操作入力部15と、通信部17と、画像形成部19と、画像読取部21と、記憶部23とを備える。
【0019】
制御部11は、複合機10全体を制御する。制御部11は、例えば、1又は複数の演算装置(CPU(Central processing unit)等)により構成される。制御部11は、記憶部23に記憶された各種プログラムを読み出して実行することによりその機能を実現する。
【0020】
表示部13は、各種情報をユーザ等に対して表示する。表示部13は、例えば、LCD(Liquid crystal display)や有機EL(Electro-luminescence)ディスプレイ等により構成することができる。
【0021】
操作入力部15は、ユーザ等による情報の入力を受け付ける。操作入力部15は、ハードキー(例えば、テンキー)やボタン等で構成することができる。なお、操作入力部15は、表示部13を介して入力が可能なタッチパネルとして構成することができる。この場合、タッチパネルの入力検出方式としては、例えば、抵抗膜方式、赤外線方式、電磁誘導方式、静電容量方式といった方式を採用することができる。
【0022】
通信部17は、前述したように、Bluetooth、NFC、Wi-fi、ZigBee、Irda、ワイヤレスUSB等の無線通信用インタフェースを備える。また、通信部17は、LAN、WAN、インターネット、電話回線、ファクス回線等の不図示のネットワークを介して他装置との通信を行うための有線/無線の何れか又はその両方のインタフェースを備えることも可能である。
【0023】
画像形成部19は、画像データに基づく画像を記録媒体としての用紙に形成する。画像形成部19は、給紙部25から用紙を給紙し、用紙上に画像データに基づく画像を形成した後、排紙部27に排紙する。画像形成部19は、例えば、電子写真方式を利用したレーザプリンタ等により構成することができる。画像形成部19は、トナー色(例えば、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック))に対応した不図示のトナーカートリッジから供給されるトナーを用いて画像形成を行う。
【0024】
画像読取部21は、読取対象の原稿画像を走査して読み取ることにより、スキャンデータを生成する。画像読取部21は、例えば、CCD(Charge coupled device)、CIS(Contact image sensor)等のイメージセンサを備えたスキャナ装置として構成することができる。画像読取部21は、原稿画像からの反射光像をイメージセンサで読み取ることで、スキャンデータを生成する構成であれば、その構成に特に制限はない。
【0025】
記憶部23は、複合機10の動作に必要な各種プログラムや、各種データを記憶する。記憶部23は、例えば、RAM(Random access memory)、HDD(Hard disk drive)、SSD(Solid state drive)、ROM(Read only memory)等の記憶装置により構成することができる。
【0026】
第1実施形態において、記憶部23は、ジョブ実行プログラム231と、情報取得プログラム232と、設定履歴情報処理プログラム233と、表示処理プログラム234とを記憶し、設定値記憶領域235と、識別情報記憶領域236と、設定履歴情報記憶領域237とを確保する。
【0027】
ジョブ実行プログラム231は、コピー機能、スキャン機能、Scan to E-mail機能、Scan to FAX機能等の実行に伴う処理をジョブ単位で行うために、制御部11が読み出すプログラムである。制御部11は、ジョブ実行プログラム231を読み出すことで当該ジョブの実行に関与する各部を制御する。
【0028】
情報取得プログラム232は、端末装置30から識別情報及び宛先情報を取得する際に制御部11が読み出すプログラムである。情報取得プログラム232を取得した制御部11は、端末装置30を一義的に識別するための識別情報と、端末装置30が管理する宛先情報とを取得する。なお、識別情報は、端末装置30を一義的に識別することが可能であれば、特に制限はなく、例えば、MAC(Media access control address)アドレス等を用いることができる。また、宛先情報としては、例えば、メールアドレス、ファクス番号等の送信ジョブに係る送信宛先を特定することができる情報であれば、特に制限はない。
【0029】
設定履歴情報処理プログラム233は、例えば、ジョブの実行に係る設定値等の取得、設定履歴情報の生成、設定履歴情報に対する各処理を行う際に制御部11が読み出すプログラムである。制御部11は、設定履歴情報処理プログラム233を読み出すことによりジョブの実行に係る設定値を取得して設定履歴情報を生成し、設定履歴情報記憶領域237に記憶する。
【0030】
表示処理プログラム234は、設定履歴情報、ジョブの実行画面、装置に対するログイン画面、又はホーム画面等を表示する際に制御部11が読み出すプログラムである。表示処理プログラム234を読み出した制御部11は、不図示のフレーム情報やコンテンツ配置情報等を取得し、例えば、後述の設定履歴情報画面を表示部13に表示する。
【0031】
設定値記憶領域235は、ジョブの実行に係る設定値を記憶する記憶領域である。設定値は、例えば、カラーモード、原稿/用紙サイズ、濃度、画質、解像度、フォーマット等の、ユーザにより設定された設定値や装置自身が保持する装置初期値等の設定値が含まれる。なお、情報取得プログラム232を読み出した制御部11は、端末装置30から取得した宛先情報を設定値として設定値記憶領域235に記憶する。
【0032】
識別情報記憶領域236は、端末装置30から取得した識別情報を記憶する記憶領域である。識別情報記憶領域236に記憶された識別情報は、ジョブ実行に係る履歴情報との関連付けや、端末装置30の識別処理等の際に読み出される。
【0033】
設定履歴情報記憶領域237は、設定履歴情報をデータテーブル形式で記憶する記憶領域である。本開示に係る設定履歴情報は、例えば、実行日時、実行ジョブ種等のジョブの実行履歴に関する情報と、設定値記憶領域235に記憶された設定値の一部又は全部と、の組み合わせからなる情報に対し、当該情報を一義的に識別するためのジョブIDを付した履歴情報として構成することができる。なお、本開示における設定履歴情報は、先述の履歴情報に対して端末装置30の識別情報や、後述の実行ユーザが関連付けられた履歴情報を表す場合と、これらの情報が関連付けられていない履歴情報を表す場合とがある。
【0034】
図4は、端末装置30の機能構成を説明する図である。本開示に係る端末装置30は、例えば、スマートフォン、タブレット、携帯電話、ノートパソコン等の所謂、モバイル端末装置を想定しているが、これに限定されるものではない。複合機10と通信可能な環境にあれば、デスクトップパソコン等の設置型端末装置も本開示の端末装置に含まれる。
【0035】
このような端末装置30は、制御部31と、表示部33と、操作入力部35と、通信部37と、記憶部39とを備える。
【0036】
制御部31は、端末装置30全体を制御する。制御部31は、例えば、1又は複数の演算装置(CPU等)により構成される。制御部31は、記憶部39に記憶された各種プログラムを読み出して実行することによりその機能を実現する。
【0037】
表示部33は、各種情報をユーザに対して表示する。表示部33は、例えば、LCDや有機ELディスプレイ等により構成することができる。
【0038】
操作入力部35は、ユーザ等による情報の入力を受け付ける。操作入力部35は、表示部33を介して入力が可能なタッチパネルとして構成することができる。この場合、タッチパネルの入力検出方式としては、例えば、抵抗膜方式、赤外線方式、電磁誘導方式、静電容量方式といった方式を採用することができる。
【0039】
通信部37は、Bluetooth、NFC、Wi-fi、ZigBee、Irda、ワイヤレスUSB等の通信用インタフェースを備える。また、通信部37は、LAN、WAN、インターネット、電話回線、ファクス回線等の不図示のネットワークを介して他装置との通信を行うための有線/無線の何れか又はその両方のインタフェースを備えることも可能である。
【0040】
記憶部39は、端末装置30の動作に必要な各種プログラムや、各種データを記憶する。記憶部39は、例えば、RAM、HDD、SSD、ROM等の記憶装置により構成することができる。
【0041】
第1実施形態において、記憶部39は、アプリケーションプログラム391と、宛先情報管理プログラム392とを記憶し、宛先情報記憶領域393と、識別情報記憶領域394とを確保する。
【0042】
アプリケーションプログラム391は、例えば、メール、ファクス、SNS、通話、動画・音楽視聴、ゲーム等の各種アプリケーションを実行する際に制御部31が読み出すプログラムである。
【0043】
宛先情報管理プログラム392は、メール、ファクス、SNS、通話等のアプリケーションにて使用される相手先のメールアドレス、ファクス番号、アカウント、電話番号といった宛先情報を管理する際に制御部31が読み出すプログラムである。制御部31は、宛先情報の新規登録、編集、削除等の処理をユーザによる指示に基づき行う。また、制御部31は、複合機10の制御部11からの要求に応じて管理する宛先情報を読み出して出力する。制御部31は、宛先情報取得のリクエストが、例えば、PBAP(Phone book access profile)等に基づいて行われた場合、宛先情報をvCard形式で一括して書き出すことができる。なお、宛先情報はCSV形式で書き出すことも可能である。なお、宛先情報管理プログラム392は、アプリケーションプログラム391に組み込まれた管理プログラムとして実装されてもよい。
【0044】
宛先情報記憶領域393は、例えば、メールアドレス、ファクス番号、アカウント、電話番号等の宛先情報をユーザ名、ユーザID、住所、会社名等の識別情報に関連付けて記憶する記憶領域である。
【0045】
識別情報記憶領域394は、MACアドレス等の識別情報を記憶する記憶領域である。
【0046】
[1.2 処理の流れ]
次に、第1実施形態に係る処理の流れについて説明する。図5は、複合機10による処理の流れを説明するフローチャートである。ここでの説明では、複合機10は、識別情報“11:11:11:11:11:11”を有する端末装置30aと主に接続するものとして説明する。
【0047】
初めに、複合機10の制御部11は、端末装置30aと接続中か否かを判定する(ステップS100)。端末装置30aと接続中であると判定した場合、制御部11は、端末装置30aから宛先情報と識別情報とを取得する(ステップS100;Yes→ステップS110)。
【0048】
制御部11は、ジョブ実行の指示を受信した等のタイミングでジョブを実行する(ステップS120)。ジョブを実行すると、制御部11は、実行ジョブに係る設定値を取得し、実行ジョブに係る履歴情報を生成する(ステップS130)。
【0049】
次いで、制御部11は実行ジョブが送信ジョブであるか否かを判定する(ステップS140)。実行ジョブが送信ジョブであった場合、制御部11は送信ジョブが端末装置30aから取得した宛先が使用されたか否かを判定する(ステップS140;Yes→ステップS150)。
【0050】
送信ジョブが端末装置30aから取得した宛先が使用された場合、制御部11はステップS110で取得した識別情報とステップS130で生成した履歴情報とを関連付けることで(ステップS160)、設定履歴情報を生成する(ステップS170)。制御部11は設定履歴情報を生成すると、処理を終了する。
【0051】
一方、実行ジョブが送信ジョブでなかった場合(ステップS140;No)及び送信ジョブが端末装置30aから取得した宛先情報が使用されなかった場合(ステップS150;No)、制御部11は、識別情報を関連付けることなく設定履歴情報を生成する(ステップS170)。制御部11は設定履歴情報を生成すると、処理を終了する。
【0052】
図6は、設定履歴情報の一構成例を説明する図である。例えば、ジョブID“1”は、ジョブ種が“コピー”であり、実行日時“2020年04月01日、9;00”に実行されたジョブを表している。設定値は、例えば、カラーモード、原稿/用紙サイズ、倍率、濃度、画質、解像度、フォーマット等の設定値記憶領域235に記憶されたジョブ実行に係る設定値である。ジョブID“1”は、カラーモード:フルカラー、原稿サイズ:A4、用紙サイズ:A4、倍率:100(等倍)等の設定値を含む。なお、図6に例示する設定値はあくまでも例示であって、本開示における設定値が図6の記載事項にのみ限定されるものではない。
【0053】
識別情報は、端末装置30から取得され、識別情報記憶領域236に記憶された端末装置30の識別情報を示している。なお、ジョブID“1”のジョブはコピーに係るジョブであり、送信ジョブではない。したがって、ジョブID“1”に対して識別情報は関連付けられていない。
【0054】
送信ジョブの一例であるジョブID“2”は、ジョブ種が“E-mail送信”であり、実行日時“2020年04月01日、11:00”に実行されたジョブを表している。ジョブID“2”は、カラーモード:フルカラー、解像度:200x200dpi、フォーマット:PDF等の設定値に加え、“aaaaa@sample.com”の宛先情報を含む。
【0055】
ジョブID“2”には、“11:11:11:11:11:11”の識別情報が関連づけられている。これは、ジョブID“2”に係るジョブ種が“E-mail送信”の送信ジョブであり(図5のステップS140;Yes)、識別情報“11:11:11:11:11:11”を有する端末装置30aから取得された宛先情報(aaaaa@sample.com)がE-mail送信の宛先として使用されたため(図5のステップS150;Yes)、当該履歴情報に対して識別情報が関連付けられたものである(図5のステップS160)。
【0056】
送信ジョブの他の一例であるジョブID“3”は、ジョブ種が“ファクス送信”であり、実行日時“2020年04月01日、13:10”に実行されたジョブを表している。ジョブID“3”は、画質:普通字、濃度:濃い目等の設定値に加え、“12345”の宛先情報を含む。
【0057】
ジョブID“3”にも、“11:11:11:11:11:11”の識別情報が関連づけられている。ジョブID“2”と同様に、端末装置30aから取得された宛先情報(12345)がファクス送信の宛先として使用されたため、当該履歴情報に対して識別情報が関連付けられたものである。
【0058】
ジョブID“4”は、ジョブ種が“E-mail送信”であり、実行日時“2020年04月02日、13:30”に実行されたジョブを表している。ジョブID“4”は、カラーモード:白黒、解像度:200x200dpi、フォーマット:TIFF等の設定値に加え、“bbbbb@sample.com”の宛先情報を含む。
【0059】
ジョブID“4”には、識別情報が関連付けられていない。これは、宛先として使用された宛先情報(bbbbb@sample.com)が端末装置30から取得された宛先情報に由来しない(例えば、複合機10自身が管理する宛先情報等に由来する)ため、識別情報が関連付けられなかった例である。
【0060】
送信ジョブの一例であるジョブID“5”は、ジョブ種が“E-mail送信”であり、実行日時“2020年04月02日、13:40”に実行されたジョブを表している。ジョブID“5”は、カラーモード:フルカラー、解像度:400x400dpi、フォーマット:PDF等の設定値に加え、“ccccc@sample.com”の宛先情報を含む。
【0061】
ジョブID“5”には、“22:22:22:22:22:22”の識別情報が関連づけられている。これは、ジョブID“5”に係るジョブ種が“E-mail送信”の送信ジョブであり、識別情報“22:22:22:22:22:22”を有する端末装置30bから取得された宛先情報(ccccc@sample.com)がE-mail送信の宛先として使用されたため、当該履歴情報に対して識別情報が関連付けられたものである。
【0062】
同様に、ジョブID“6”は、端末装置30bから取得された宛先情報(67890)がファクス送信の宛先として使用されたため、当該履歴情報に対して識別情報が関連付けられたものである
【0063】
次に、設定履歴情報の表示処理について図7のフローチャートを用いて説明する。本処理は、設定履歴情報記憶領域237に記憶されている設定履歴情報に対して行われる処理である。
【0064】
設定履歴情報の表示指示を受けると、制御部11は識別情報が履歴情報に関連付けられているか否かを判定する(ステップS180)。識別情報が関連付けられている場合、制御部11は端末装置30と接続中であるか否かを判定する(ステップS180;Yes→ステップS190)。
【0065】
ここで、端末装置30と接続中である場合、制御部11は端末装置30から識別情報を取得する(ステップS190;Yes→ステップS200)。そして、制御部11は取得した識別情報と、履歴情報に関連付けられた識別情報とが一致するか否かを判定する(ステップS210)。
【0066】
識別情報が一致する場合、制御部11は表示判定を“true”に設定する(ステップS210;Yes→ステップS220)。
【0067】
ところで、識別情報が関連付けられていない場合、制御部11は表示判定を“true”に設定する(ステップS180;No→ステップS220)。一方で、端末装置30と接続中でない場合(ステップS190;No)、識別情報が一致しない場合(ステップS210;No)、制御部11は表示設定を“false”に設定する(ステップS230)。
【0068】
制御部11は表示判定が“true”に設定された設定履歴情報を表示部13に表示し(ステップS240)、処理を終了する。
【0069】
図8は、図7で説明した処理に基づく設定履歴情報の表示判定結果の一例を説明するテーブルである。図8は、接続対象が識別情報“11:11:11:11:11:11”を有する端末装置30aであった場合の表示判定結果である。
【0070】
ジョブID“1”は、ジョブ種が“コピー”であり送信ジョブではない。したがって、ジョブID“1”に係る履歴情報には識別情報が関連付けられていない(図7のステップS180;No→ステップS220)。したがって、制御部11は表示判定を“true”と判定する(ステップS220)。同様に、ジョブID“4は、ジョブ種が“E-mail送信”であるが、履歴情報に識別情報が関連付けられていない。よって、制御部11は表示判定を“true”と判定する(図7のステップS180;No→ステップS220)。
【0071】
また、ジョブID“2”、“3”、及び“7”は端末装置30aが実行したジョブである(ステップS210;Yes→ステップS220)。したがって、制御部11は表示判定を“true”と判定する(ステップS220)。
【0072】
一方、ジョブID“5”及び“6”は端末装置30bが実行したジョブである(ステップS210;No→ステップS230)。したがって、制御部11は表示判定を“false”と判定する(ステップS230)。
【0073】
制御部11は上記判定結果に基づき、端末装置30aが接続中において、ジョブID“1”、“2”、“3”、“4”及び“7”に係る設定履歴情報を表示部13に表示する。
【0074】
[1.3 動作例]
次に、第1実施形態の動作例について説明する。図9図10図11、及び図12は複合機10が表示する設定履歴情報画面の一構成例である。なお、本動作例は、図7のステップS240の処理に対応する動作例である。
【0075】
図9は、複合機10が端末装置30と未接続状態である場合に、複合機10が表示する設定履歴情報画面W10の一構成である。設定履歴情報画面W10は、設定履歴情報表示領域R10と、OKボタンB10と、ジョブ状況表示ボタンB12と、全削除ボタンB14とを含む。
【0076】
設定履歴情報表示領域R10は、設定履歴情報を表示する領域である。制御部11は端末装置30との接続状況に応じ、図8の判定処理結果に基づいて設定履歴情報を設定履歴情報表示領域R10に表示する。
【0077】
本動作例においては、端末装置30と未接続状態であるため、制御部11は、図6で説明した設定履歴情報の中で、ジョブID“1”及び“4”に係る設定履歴情報のみを表示する(図中点線枠内)。
【0078】
OKボタンB10は、ユーザによる承認指示の入力を受け付けるボタンである。OKボタンB10の押下に伴う承認指示入力後の処理は、適宜設定することができる。例えば、特定の設定履歴情報が選択された状態でOKボタンB10が押下された場合、制御部11は選択された設定履歴情報に係るジョブの実行画面に画面を遷移する制御等を行うことができる。また、特定の設定履歴情報が選択されていない状態でOKボタンB10が押下された場合、制御部11は複合機10のホーム画面(基本画面)に画面を遷移する制御等を行ってもよい。
【0079】
ジョブ状況表示ボタンB12は、ジョブの実行状況や、予約・キャンセル状況等の表示指示を受け付けるボタンである。
【0080】
全削除ボタンB14は、設定履歴情報表示領域R10に表示された全ての設定履歴情報の非表示指示を受け付ける。全削除ボタンB14の押下を受け、制御部11は設定履歴情報表示領域R10に表示している設定履歴情報の表示を取止める。
【0081】
図10は、複合機10が端末装置30aと接続状態である場合に、複合機10が表示する設定履歴情報画面W12の一構成である。設定履歴情報画面W12の構成は設定履歴情報画面W10と同一構成とすることができる。したがって、画面構成に係る説明は省略し、設定履歴情報表示領域R10における表示内容の差異について説明する。
【0082】
本動作例においては、端末装置30aと接続状態であるため、制御部11は、図6で説明した設定履歴情報の中で、ジョブID“1”及び“4”に加え、ジョブID“2”、“3”、及び“7”に係る設定履歴情報を時系列に表示する(図中点線枠内)。
【0083】
この場合、ジョブID“2”及び“3”に係るジョブは、ジョブID“1”(実行日時“2020年04月01日、09:00”)とジョブID“4”(実行日時“2020年04月02日、13:30”)との間の期間で実行されているため、当該ジョブID“2”及び“3”はジョブID“1”及び“4”との間に位置するよう表示される。そして、ジョブの実行日時が最も遅いジョブID“7”に係るジョブはジョブID“4”に続いて表示される。
【0084】
図11は、複合機10が端末装置30aと接続状態である場合に、複合機10が表示する設定履歴情報画面の他の一構成例である。
【0085】
図11に示す設定履歴情報画面W14は、接続状態である端末装置30a以外の端末装置30bに係るジョブも併せて表示する形態である。識別番号“22:22:22:22:22:22”を有する端末装置30bに係るジョブは、ジョブID“5”に係るE-mail送信ジョブとジョブID“6”に係るファクス送信ジョブである。
【0086】
この場合、ジョブID“5”に係る宛先情報(E-mail送信先)及びジョブID“6”に係る宛先情報(ファクス送信先)は、所定のマーク(例えば、「*」)で秘匿された状態で表示される。本構成例のように、宛先情報を秘匿した状態で設定履歴情報を表示することにより、宛先情報の漏洩に係るセキュリティを確保しながらも、当該設定履歴情報に係る設定値を再利用したジョブを実行することができる。なお、宛先情報は、図11の例示のように、所定のマークで完全に秘匿する、一部分を秘匿する、又は全く表示しないといった形態も可能である。
【0087】
図12は、複合機10が端末装置30bと接続状態である場合に、複合機10が表示する設定履歴情報画面W16の一構成例である。設定履歴情報画面W16の構成は設定歴情報画面W10と同一構成とすることができる。したがって、画面構成に係る説明は省略し、設定履歴情報表示領域R10における表示内容の差異について説明する。
【0088】
本動作例においては、端末装置30bと接続状態であるため、制御部11は、図6で説明した設定履歴情報の中で、ジョブID“1”及び“4”に加え、ジョブID“5”及び“6”に係る設定履歴情報を時系列に表示する(図中点線枠内)。
【0089】
この場合、ジョブID“5”(実行日時“2020年04月02日、13:40”)及び“6” (実行日時“2020年04月02日、13:50”)に係るジョブは、ジョブID“4”(実行日時“2020年04月02日、13:30”)よりも遅く実行されているため、ジョブID“5”及び“”6はジョブID“4”に続いて表示される。
【0090】
以上のように、第1実施形態によれば、特別な操作を必要とせずとも、端末装置のユーザ以外の他のユーザが当該端末装置から取得した宛先情報を含む設定履歴情報の利用を防止することができる。
【0091】
[2 第2実施形態]
第2実施形態は、端末装置から取得した宛先情報に基づきジョブを実行可能な複合機において、当該端末装置から取得した識別情報が、ジョブの実行に係る履歴情報に関連付けられた識別情報に一致し、複合機のログインユーザがジョブの実行ユーザである場合に、当該設定履歴情報を表示する形態である。
[2.1 機能構成]
図13は、第2実施形態に係る複合機50の機能構成を説明する機能構成図である。なお、第1実施形態に係る複合機10と同一構成については同一の符号を付してその説明は省略することがある。
【0092】
複合機50は、制御部11と、表示部13と、操作入力部15と、通信部17と、画像形成部19と、画像読取部21と、記憶部53とを備える。
【0093】
第2実施形態において、記憶部53は、ジョブ実行プログラム231と、情報取得プログラム232と、設定履歴情報処理プログラム233と、表示処理プログラム234と、ユーザ判定プログラム531とを記憶し、設定値記憶領域235と、識別情報記憶領域236と、設定履歴情報記憶領域237とを確保する。
【0094】
ユーザ判定プログラム531は、複合機50に対するログインユーザと履歴情報に関連付けられた実行ユーザとが同一であるか否かを判定する際に制御部11が読み出すプログラムである。制御部11は、ユーザ判定プログラム531を読み出すことにより、複合機50に対するログインユーザと履歴情報に関連付けられた実行ユーザとが同一であるかを判定する。
【0095】
[2.2 処理の流れ]
次に、第2実施形態に係る処理の流れについて説明する。図14は、第2実施形態の処理の流れを説明するフローチャートである。なお、第2実施形態に係る一部の処理は、図5のフローチャートで説明したステップS100からステップS170に係る処理と同様に行うことができる。したがって、ここでの説明では図5のフローチャートと異なる箇所について説明する。
【0096】
制御部11はステップS110で取得した識別情報とステップS130で生成した履歴情報とを関連付けた後、ジョブの実行ユーザを認証中であるか否かを判定する(ステップS160→ステップ250)。
【0097】
実行ユーザが認証中である場合(ステップS250;Yes)、制御部11は、ユーザ情報と履歴情報とを関連付けることで(ステップS260)、設定履歴情報を生成する(ステップS170)。制御部11は設定履歴情報を生成すると、処理を終了する。
【0098】
図15は、設定履歴情報の一構成例を説明する図である。第2実施形態に係る設定履歴情報は、図6で説明した履歴情報に対して更に実行ユーザが関連付けられたものである。
【0099】
図15は、ジョブID“4”、“5”、“6”、及び“7”に対して実行ユーザ“User1”が関連付けられて生成された設定履歴情報の一構成例である。
【0100】
次に、設定履歴情報の表示処理について図16のフローチャートを用いて説明する。本処理は、設定履歴情報記憶領域237に記憶されている設定履歴情報に対して行われる処理である。
【0101】
設定履歴情報の表示指示を受けると、制御部11は実行ユーザが履歴情報に関連付けられているか否かを判定する(ステップS270)。履歴情報が関連付けられている場合、制御部11は複合機50に対するログインユーザと履歴情報に関連付けられている実行ユーザとが一致するか否かを判定する(ステップS270;Yes→ステップS280)。
【0102】
ログインユーザと履歴情報に関連付けられている実行ユーザとが一致する場合、制御部11は表示判定を“true”に設定する(ステップS280;Yes→ステップS290)。
【0103】
ところで、実行ユーザが関連付けられていない場合、制御部11は表示判定を“false”に設定する(ステップS270;No→ステップS300)。また、ログインユーザと履歴情報に関連付けられている実行ユーザとが一致しない場合、制御部11は表示判定を“false”に設定する(ステップS280;No→ステップS300)。
【0104】
制御部11は、表示判定が“true”に設定された設定履歴情報を表示して(ステップS310)、処理を終了する。
【0105】
図17は、図16で説明した処理に基づく設定履歴情報の表示判定結果の一例を説明するテーブルである。図17は、ログインユーザが“User1”であった場合の表示判定結果である。
【0106】
ジョブID“1”、“2”、及び“3”に係る履歴情報には実行ユーザが関連付けられていない(図16のステップS270;No→ステップS300)。したがって、制御部11は、表示判定を“false”と判定する(ステップS300)。
【0107】
一方、ジョブID“4”、“5”、“6”、及び“7”に係る履歴情報には、実行ユーザ“User1”が関連付けられている(ステップS270;Yes)。そして、ログインユーザ“User1”と履歴情報に関連付けられている実行ユーザ(User1)とは一致するため(ステップS280;Yes)、制御部11は表示設定を“true”と判定する(ステップS290)。
【0108】
制御部11は上記判定結果に基づき、端末装置50のログインユーザが“User1”である場合において、ジョブID“4”、“5”、“6”、及び“7”に係る設定履歴情報を表示部13に表示する。
【0109】
[2.3 動作例]
次に、第2実施形態に動作例について説明する。図18は複合機50に対するユーザ認証画面の一構成例を説明する図である。なお、第2実施形態においては、ユーザ認証として、ログインユーザ名とログインパスワードとを用いた知識認証について説明するが、例えば、トークン等を用いた所有物認証や、指紋認証、顔認証といった生体認証を用いることも可能である。
【0110】
ユーザ認証画面W50は、複合機50にログインするユーザの認証情報の入力を受け付ける画面である。ユーザ認証画面W50は、ログインユーザ名入力ボックスBx10と、ログインパスワード入力Bx12と、認証先指定ボタンB16と、OKボタンB18と、キャンセルボタンB20とを備える。
【0111】
ログインユーザ名入力ボックスBx10は、ログインユーザ名の入力を受け付けるボックスである。複合機50へのログインを試みるユーザは、ログインユーザ名入力ボックスBx10に自身のログインユーザ名を入力する。なお、ログインユーザ名はリストから選択することも可能である。
【0112】
ログインパスワード入力ボックスBx12は、ログインユーザ名に対応するログインパスワードの入力を受け付けるボックスである。複合機50へのログインを試みるユーザは、ログインユーザ名の入力と併せてログインパスワードを入力する。
【0113】
認証先指定ボタンB16は、ユーザ認証先の指定を受け付けるボタンである。認証先は、装置単体であってもよいし、例えば、ネットワーク上に別途設けられた認証サーバ等を指定することも可能である。認証先として装置単体での認証が指定された場合、制御部11は入力されたログインユーザ名及びログインパスワードを、予め準備した認証情報(例えば、ユーザ名とパスワードとの組み合わせ等)と対比することにより、ユーザ認証を行う。また、ネットワーク上に設けられた認証サーバ等を利用する場合、制御部11は入力されたログインユーザ名及びログインパスワードを認証サーバに送信し、認証サーバからの認証結果を受信することでユーザ認証を行うことも可能である。
【0114】
OKボタンB18は、ユーザによる入力動作の確定指示入力を受け付ける。ユーザは、ログインユーザ名入力ボックスBx10及びログインパスワード入力ボックスBx12への入力、認証先指定ボタンB16を介した認証先の指定を確定させる場合に押下する。キャンセルボタンB20は、ユーザによる入力動作のキャンセル指示入力を受け付ける。
【0115】
ユーザは、ユーザ認証画面W50を介した認証動作により複合機50へログインすることができる。
【0116】
図19は、複合機50に対してログインユーザ(User1)がログイン状態である場合に、複合機50が表示する設定履歴情報画面W18の一構成例である。設定履歴情報画面W18の構成は設定履歴情報画面W10等と同一構成とすることができる。したがって、画面構成に係る説明は省略し、設定履歴情報表示領域R10における表示内容の差異について説明する。
【0117】
本動作例においては、ログインユーザ(User1)が複合機50に対してログイン状態であるため、制御部11は、図15で説明した設定履歴情報の中で、実行ユーザが関連づけられており、かつ、ログインユーザ(User1)と当該実行ユーザとが一致する設定履歴情報を表示する。
【0118】
すなわち、制御部11は、ジョブID“4”、“5”、“6”、及び“7”に係る設定履歴情報を時系列に表示する(図中点線枠)。
【0119】
以上のように、第2実施形態によれば、第1実施形態の効果に加え、複合機のログインユーザとジョブの実行ユーザとが一致する場合に設定履歴情報が表示される構成であるため、実行ユーザが関連付けられていない設定履歴情報や、ログインユーザとは異なる実行ユーザが実行したジョブに係る設定履歴情報が再利用されることを防ぐことができる。
【0120】
[3 第3実施形態]
第3実施形態は、端末装置と接続状態であって、端末装置から取得した識別情報と、宛先情報に関連付けられた識別情報とが一致する設定履歴情報のみを表示する形態である。
【0121】
[3.1 機能構成]
第3実施形態の機能構成は、第2実施形態に係る複合機50と同一構成とすることができる。したがって、ここでの説明は省略する。
【0122】
[3.2 処理の流れ]
次に、第3実施形態に係る処理の流れについて説明する。図20は、第3実施形態の処理の流れを説明するフローチャートである。本処理は、設定履歴情報記憶領域237に記憶されている設定履歴情報に対して行われる処理である。
【0123】
設定履歴情報の表示指示を受けると、制御部11は端末装置30と接続中であるか否かを判定する(ステップS320)。
【0124】
端末装置30と接続中である場合、制御部11は識別情報が履歴情報に関連付けられているか否かを判定する(ステップS320;Yes→ステップS330)。
【0125】
識別情報が関連付けられている場合、制御部11は端末装置30から識別情報を取得する(ステップS330;Yes→ステップS340)。
【0126】
そして、制御部11は取得した識別情報と、履歴情報に関連付けられた識別情報とが一致するか否かを判定する。(ステップS350)。識別情報が一致する場合、制御部11は表示判定を“true”に設定する(ステップS350;Yes→ステップS360)。
【0127】
ところで、識別情報が関連付けられていない場合(ステップS330;No)、識別情報が一致しない場合(ステップS350;No)、制御部11は表示判定を“false”に設定する(ステップS370)。
【0128】
制御部11は表示判定が“true”に設定された設定履歴情報を表示部13に表示し(ステップS380)、処理を終了する。
【0129】
一方、端末装置30と接続中ではない場合、制御部11は実行ユーザが履歴情報に関連付けられているか否かを判定する(ステップS320;No→ステップS390)。
【0130】
実行ユーザが関連付けられている場合、制御部11は端末装置30に対するログインユーザが実行ユーザと一致するか否かを判定する(ステップS390;Yes→ステップS400)。
【0131】
ログインユーザと実行ユーザとが一致する場合、制御部11は表示設定を“true”に設定する(ステップS400;Yes→ステップS410)。ログインユーザと実行ユーザとが一致しない場合、制御部11は表示設定を“false”に設定する(ステップS400;No→ステップS430)。
【0132】
ところで、実行ユーザが関連付けられていない場合、制御部11は識別情報が履歴情報に関連付けられているか否かを判定する(ステップS390;No→ステップS420)。
【0133】
識別情報が履歴情報に関連付けられている場合、制御部11は表示判定を“false”に設定する(ステップS420;Yes→ステップS430)。一方、識別情報が履歴情報に関連づけられていない場合、制御部11は表示判定を“true”に設定する(ステップS420;No→ステップS410)。
【0134】
制御部11は、表示判定が“true”に設定された設定履歴情報を表示部13に表示して処理を終了する(ステップS380)。
【0135】
[3.3 動作例]
図21は、複合機50が端末装置30aと接続状態である場合に、複合機50が表示する設定履歴情報画面の一構成例である。設定履歴情報画面W20の構成は設定歴情報画面W10と同一構成とすることができる。したがって、画面構成に係る説明は省略し、設定履歴情報表示領域R10における表示内容の差異について説明する。
【0136】
本動作例においては、端末装置30aと接続状態であるため、制御部11は、図15で説明した設定履歴情報の中で、ジョブID“2”、“3”、及び“7”に係る設定履歴情報のみを時系列に表示する。
【0137】
ところで、端末装置30と未接続状態である場合、ログインユーザと実行ユーザとが一致する場合は(図20のステップS400;Yes→ステップS410)、ログインユーザが実行したジョブに係る設定履歴情報のみを表示すればよい。一方で、ログインユーザと実行ユーザとが一致しない場合は(図20のステップS400;No→ステップS430)、端末装置30から取得した宛先情報を用いて実行されたジョブに係る設定履歴情報は表示しない構成とすることで、端末装置30から取得された宛先情報の漏洩を防止することが可能である。
【0138】
以上のように、第3実施形態によれば、第1実施形態の効果に加え、端末装置から取得した識別情報と、宛先情報に関連付けられた識別情報とが一致する設定履歴情報のみを表示する構成であるため、識別情報が関連付けられていない設定履歴情報や、識別情報が一致しない設定履歴情報が誤って選択されることを防止することができる。
【0139】
[4 第4実施形態]
第4実施形態は、第1実施形態から第3実施形態に係る複合機において、セキュリティ性をより厳重にすることを目的とした形態である。
【0140】
[4.1 機能構成]
図22は、第4実施形態に係る複合機70の機能構成を説明する機能構成図である。なお、第1実施形態に係る複合機10と同一構成については同一の符号を付してその説明は省略することがある。
【0141】
複合機70は、制御部11と、表示部13と、操作入力部15と、通信部17と、画像形成部19と、画像読取部21と、記憶部73とを備える。
【0142】
第4実施形態において、記憶部73は、ジョブ実行プログラム231と、情報取得プログラム232と、設定履歴情報処理プログラム233と、表示処理プログラム234と、パスコード処理プログラム731とを記憶し、設定値記憶領域235と、識別情報記憶領域236と、設定履歴情報記憶領域237とを確保する。
【0143】
パスコード処理プログラム731は、設定履歴情報の表示可否に係るパスコードの生成、送信、入力受付、認証等を行う際に制御部11が読み出すプログラムである。制御部11はパスコード処理プログラム731を読み出すことにより、パスコード認証に係る一連の処理を行う。なお、パスコードは、4桁、6桁等の英数字や記号等を組み合わせた任意の文字列として構成することができ、例えば、乱数発生プログラム等を用いてランダムに発生させた文字列を用いることも可能である。制御部11は、生成したパスコードを端末装置30に対して送信し、入力されたパスコードと生成したパスコードとが一致した場合に、設定履歴情報を表示部13に表示する。
【0144】
[4.2 処理の流れ]
次に、第4実施形態に係る処理の流れについて説明する。図23は、第4実施形態の処理の流れを説明するフローチャートである。なお、本図で説明するパスコード処理以外の処理は、第1実施形態から第3実施形態で説明した処理と同様に実施することができる。
【0145】
制御部11は、端末装置30から設定履歴情報の表示指示を受ける(ステップS440)。設定履歴情報の表示指示を受けると、制御部11はパスコードを生成、端末装置30に送信する(ステップS440;Yes→ステップS450)。
【0146】
制御部11は、所定のパスコード入力画面を介してパスコードの入力を受け付ける(ステップS460)。制御部11は、受信したパスコードが生成したパスコードと一致するか否かに基づき、パスコードの認証を行う(ステップS470)。
【0147】
パスコードを認証すると、制御部11は設定履歴情報を表示部13に表示する(ステップS470;Yes→ステップS480)。設定履歴情報を表示すると、制御部11は処理を終了する。なお、パスコードを認証しない場合、制御部11はパスコードの受信から処理を繰り返す(ステップS470;No→ステップS460)。
【0148】
[4.3 動作例]
図24は、パスコード処理プログラム731を読み出した制御部11が、端末装置30に対してパスコードを送信した後に、表示部13に表示するパスコート入力画面W70の一構成例である。
【0149】
パスコード入力画面W70は、パスコード入力ボックスBx14と、OKボタンB22と、キャンセルボタンB24とを備える。
【0150】
パスコード入力ボックスBx14は、端末装置30に対して送信したパスコードの入力を受け付けるボックスである。端末装置30のユーザは、複合機70から受信したパスコードをパスコード入力ボックスBx14に入力する。
【0151】
OKボタンB22は、ユーザによる入力動作の確定指示入力を受け付ける。ユーザはパスコード入力ボックスBx14へのパスコードの入力を確定させる場合に押下する。キャンセルボタンB24は、ユーザによる入力動作のキャンセル指示入力を受け付ける。
【0152】
制御部11は、パスコード入力画面W70を介して受け付けたパスコードと生成したパスコードとが一致する場合に設定履歴情報の表示を行う。なお、パスコードが入力されていない、又は間違ったパスコードが入力された場合、制御部11は、端末装置30から取得した宛先情報を用いて実行されたジョブに係る設定履歴情報を表示しない。
【0153】
以上のように、第4実施形態によれば、第1実施形態の効果に加え、パスコードが入力されていない又は間違ったパスコードが入力された場合、設定履歴情報は表示されないため、宛先情報に対するセキュリティ性をより厳重にすることができる。
【0154】
本発明は上述した各実施の形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。すなわち、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施の形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0155】
また、上述した実施形態は、説明の都合上、それぞれ別に説明している部分があるが、技術的に可能な範囲で組み合わせて実行してもよいことは勿論である。
【0156】
また、実施形態において各装置で動作するプログラムは、上述した実施形態の機能を実現するように、CPU等を制御するプログラム(コンピュータを機能させるプログラム)である。そして、これら装置で取り扱われる情報は、その処理時に一時的に一時記憶装置(例えば、RAM)に蓄積され、その後、各種ROM(Read Only Memory)やHDD等の記憶装置に格納され、必要に応じてCPUによって読み出し、修正・書き込みが行なわれる。
【0157】
ここで、プログラムを格納する記録媒体としては、半導体媒体(例えば、ROMや、不揮発性のメモリカード等)、光記録媒体・光磁気記録媒体(例えば、DVD(Digital Versatile Disc)、MO(Magneto Optical Disc)、MD(Mini Disc)、CD(Compact Disc)、BD (Blu-ray Disk(登録商標)等))、磁気記録媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク等)等の何れであってもよい。また、ロードしたプログラムを実行することにより、上述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、オペレーティングシステムあるいは他のアプリケーションプログラム等と共同して処理することにより、本発明の機能が実現される場合もある。
【0158】
また、市場に流通させる場合には、可搬型の記録媒体にプログラムを格納して流通させたり、インターネット等のネットワークを介して接続されたサーバコンピュータに転送したりすることができる。この場合、サーバコンピュータの記憶装置も本発明に含まれるのは勿論である。
【符号の説明】
【0159】
10、50、70 複合機
11 制御部
13 表示部
15 操作入力部
17 通信部
19 画像形成部
21 画像読取部
23 記憶部
231 ジョブ実行プログラム
232 情報取得プログラム
233 設定履歴情報処理プログラム
234 表示処理プログラム
235 設定値記憶領域
236 識別情報記憶領域
237 設定履歴情報記憶領域
30、30a、30b 端末装置
31 制御部
33 表示部
35 操作入力部
37 通信部
39 記憶部
391 アプリケーションプログラム
392 宛先情報管理プログラム
393 宛先情報記憶領域
394 識別情報記憶領域
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