(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】廃棄物処理システム及び廃棄物処理方法
(51)【国際特許分類】
B09B 3/60 20220101AFI20241220BHJP
B09B 3/40 20220101ALI20241220BHJP
C08J 11/10 20060101ALI20241220BHJP
【FI】
B09B3/60
B09B3/40
C08J11/10 ZAB
(21)【出願番号】P 2021076482
(22)【出願日】2021-04-28
【審査請求日】2023-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】坪田 潤
(72)【発明者】
【氏名】杉本 雅行
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-144102(JP,A)
【文献】特開2013-126665(JP,A)
【文献】特開2005-095729(JP,A)
【文献】国際公開第2012/001784(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0021979(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B 3/00- 3/80
C08J11/00-11/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂成分を含有する樹脂含有廃棄物を処理するシステムであって、
前記樹脂含有廃棄物が供給される分解槽を有し、アミン化合物存在下で前記樹脂含有廃棄物を加温して、前記樹脂成分の少なくとも一部をモノマーに加水分解する樹脂成分分解部と、
難分解性固形分を含む有機廃棄物と、前記樹脂成分分解部で得られる前記モノマーとが供給される発酵槽を有し、前記有機廃棄物及び前記モノマーをメタン発酵するメタン発酵部と、を備え
、
前記樹脂含有廃棄物は、前記発酵槽に供給される前記有機廃棄物の容積負荷を前記発酵槽の全容積負荷から減じた残容積負荷に応じて定める前記発酵槽への供給可能量以下の前記モノマーが前記樹脂成分分解部で得られるように、前記樹脂成分のうち前記樹脂成分分解部で分解可能な前記樹脂成分の量が調整されたものであり、
前記メタン発酵部は、前記発酵槽に前記モノマーが供給されていない状態において、前記発酵槽に対する前記有機廃棄物の容積負荷が5gCODcr/L/日以下である状態で当該有機廃棄物をメタン発酵するように構成される廃棄物処理システム。
【請求項2】
前記分解槽に供給された前記樹脂含有廃棄物中の前記樹脂成分のうち、前記樹脂成分分解部で分解されなかった前記樹脂成分を熱分解して、少なくとも水素及び一酸化炭素を含むガスを生成する未分解成分ガス化部を備える請求項
1に記載の廃棄物処理システム。
【請求項3】
前記未分解成分ガス化部で生成したガスのうちの少なくとも前記水素を前記発酵槽に供給するように構成される請求項
2に記載の廃棄物処理システム。
【請求項4】
前記未分解成分ガス化部で生成したガスのうちの少なくとも前記一酸化炭素が供給される生成槽を有し、前記一酸化炭素から酢酸を生成する酢酸生成部を備える請求項
2又は
3に記載の廃棄物処理システム。
【請求項5】
前記樹脂含有廃棄物は、
前記発酵槽に供給される前記有機廃棄物の容積負荷を前記発酵槽の全容積負荷から減じた残容積負荷に応じて定まる前記発酵槽への供給可能量と同程度の前記モノマーを前記樹脂成分分解部で得られるように、前記樹脂成分のうち前記樹脂成分分解部で分解可能な前記樹脂成分の量が調整され、
前記メタン発酵部における前記有機廃棄物及び前記モノマーのメタン発酵によって発生する二酸化炭素のメタン化に必要な量の水素が前記未分解成分ガス化部で生成されるように、前記樹脂成分のうち前記樹脂成分分解部で分解されない前記樹脂成分の量が調整されたものである請求項
2~
4のいずれか一項に記載の廃棄物処理システム。
【請求項6】
前記メタン発酵部は、固液分離処理を実行可能に構成され、
前記メタン発酵部での前記固液分離処理で得られる固形分を前記未分解成分ガス化部に供給するように構成される請求項
2~
5のいずれか一項に記載の廃棄物処理システム。
【請求項7】
前記未分解成分ガス化部で生成した前記一酸化炭素を燃焼させて発生した熱を前記樹脂成分分解部又は前記メタン発酵部で利用するように構成される請求項
2~
6のいずれか一項に記載の廃棄物処理システム。
【請求項8】
前記分解槽に供給された前記樹脂含有廃棄物中の前記樹脂成分のうち、前記樹脂成分分解部で分解されなかった前記樹脂成分を燃焼させる未分解成分燃焼部を備える請求項
1に記載の廃棄物処理システム。
【請求項9】
前記未分解成分燃焼部で発生した熱を前記樹脂成分分解部又は前記メタン発酵部で利用するように構成される請求項
8に記載の廃棄物処理システム。
【請求項10】
前記メタン発酵部は、固液分離処理を実行可能に構成され、
前記メタン発酵部での前記固液分離処理で得られる固形分を前記未分解成分燃焼部に送給するように構成される請求項
8又は
9に記載の廃棄物処理システム。
【請求項11】
前記樹脂成分分解部は、前記分解槽内に発生した水蒸気と、前記アミン化合物とを回収して再利用するように構成される請求項1~
10のいずれか一項に記載の廃棄物処理システム。
【請求項12】
前記樹脂成分として、少なくともエステル結合部位を有する樹脂を含み、
前記樹脂成分分解部は、前記エステル結合部位を有する樹脂を前記モノマーとしての各構成成分に分解する請求項1~
11のいずれか一項に記載の廃棄物処理システム。
【請求項13】
前記樹脂成分として、少なくともポリエステルを含み、
前記樹脂成分分解部は、前記ポリエステルを前記モノマーとしての各構成成分に分解する請求項1~
12のいずれか一項に記載の廃棄物処理システム。
【請求項14】
前記樹脂成分として、少なくともバイオマス由来の樹脂を含み、
前記樹脂成分分解部は、前記バイオマス由来の樹脂を前記モノマーとしての各構成成分に分解する請求項1~
13のいずれか一項に記載の廃棄物処理システム。
【請求項15】
前記樹脂成分として、モノマー成分として乳酸又は3-ヒドロキシ酪酸を有する樹脂を含み、
前記樹脂成分分解部は、前記モノマー成分として乳酸又は3-ヒドロキシ酪酸を有する樹脂を前記モノマーとしての前記乳酸又は前記3-ヒドロキシ酪酸に分解する請求項1~
14のいずれか一項に記載の廃棄物処理システム。
【請求項16】
前記樹脂成分として、少なくともポリ乳酸を含み、
前記樹脂成分分解部は、前記ポリ乳酸を前記モノマーとしての乳酸に分解する請求項1~
15のいずれか一項に記載の廃棄物処理システム。
【請求項17】
前記樹脂成分として、少なくともポリヒドロキシアルカノエートを含み、
前記樹脂成分分解部は、前記ポリヒドロキシアルカノエートを前記モノマーとしての各構成成分に分解する請求項1~
16のいずれか一項に記載の廃棄物処理システム。
【請求項18】
前記樹脂成分として、少なくともポリ3-ヒドロキシ酪酸を含み、
前記樹脂成分分解部は、前記ポリ3-ヒドロキシ酪酸を前記モノマーとしての3-ヒドロキシ酪酸に分解する請求項1~
17のいずれか一項に記載の廃棄物処理システム。
【請求項19】
前記有機廃棄物は、下水汚泥である請求項1~
18のいずれか一項に記載の廃棄物処理システム。
【請求項20】
樹脂成分を含有する樹脂含有廃棄物を処理する方法であって、
前記樹脂含有廃棄物を分解槽に供給して、アミン化合物存在下で前記樹脂含有廃棄物を加温して、前記樹脂成分の少なくとも一部をモノマーに加水分解する樹脂成分分解工程と、
難分解性固形分を含む有機廃棄物と、前記樹脂成分分解工程で得られる前記モノマーとを発酵槽に供給して、前記有機廃棄物及び前記モノマーをメタン発酵するメタン発酵工程と、を行
い、
前記樹脂含有廃棄物は、前記発酵槽に供給される前記有機廃棄物の容積負荷を前記発酵槽の全容積負荷から減じた残容積負荷に応じて定める前記発酵槽への供給可能量以下の前記モノマーが前記樹脂成分分解工程で得られるように、前記樹脂成分のうち前記樹脂成分分解工程で分解可能な前記樹脂成分の量が調整されたものであり、
前記メタン発酵工程は、前記発酵槽に前記モノマーが供給されていない状態において、前記発酵槽に対する前記有機廃棄物の容積負荷が5gCODcr/L/日以下である状態で当該有機廃棄物をメタン発酵するように構成される廃棄物処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂成分を含有する樹脂含有廃棄物を処理するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
廃プラスチックについては、長年にわたってリサイクル技術の開発が進められており、現在では、廃プラスチックをプラスチック製品の原料として再生するマテリアルリサイクルや、廃プラスチックを化学原料や燃料として利用可能なガスとして再生するケミカルリサイクル、廃プラスチックを燃焼させてエネルギーを回収するサーマルリサイクルといった手法が確立されている。
【0003】
ところで、ポリエチレンテレフタラート(PET)などの単一の樹脂成分が廃プラスチックとして含まれる廃棄物については、当該廃棄物をマテリアルリサイクルに供してプラスチック製品の原料を回収し易い。しかしながら、種々の樹脂成分が廃プラスチックとして含まれる廃棄物については、マテリアルリサイクルによるプラスチック製品の原料の回収が困難である。
【0004】
そこで、種々の樹脂成分が廃プラスチックとして含まれる廃棄物をリサイクルする際には、上記ケミカルリサイクルやサーマルリサイクルといった手法が用いられる。
【0005】
例えば、特許文献1には、ケミカルリサイクルによってプラスチックなどを含む廃棄物をリサイクルする方法が提案されている。特許文献1記載の方法では、プラスチックなどを含む廃棄物を低温でガス化し、得られたガス状物質とチャーと呼ばれる炭化固形物とを高温でガス化することによって化学原料や燃料として利用可能なガスを得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、ケミカルリサイクルを利用して廃プラスチックからメタンを製造する場合、廃プラスチックから一旦シンガス(水素及び一酸化炭素を主に含む混合ガス)を生成し、このシンガス中の一酸化炭素をメタン化することになる。しかしながら、廃プラスチックからシンガスを生成する際に、廃プラスチックが分子レベルに分解されており、例えば、得られたシンガス中の一酸化炭素の全量をメタン化するために必要な水素の量が不足する場合があるため、別途製造した水素が必要になる場合がある。
【0008】
脱炭素社会が望まれる現在、水素は比較的高価なエネルギーであるため、これを多量に用いて製造したメタンは高価なものにならざるを得ず、結果的にリサイクルに要するコストが増加するという問題がある。
【0009】
本発明は以上の実情に鑑みなされたものであり、シンガスを経由したメタンの製造量を減らしつつ、樹脂成分を含有する樹脂含有廃棄物からメタンを製造できる廃棄物処理システム及び廃棄物処理方法の提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明に係る廃棄物処理システムの特徴構成は、
樹脂成分を含有する樹脂含有廃棄物を処理するシステムであって、
前記樹脂含有廃棄物が供給される分解槽を有し、アミン化合物存在下で前記樹脂含有廃棄物を加温して、前記樹脂成分の少なくとも一部をモノマーに加水分解する樹脂成分分解部と、
難分解性固形分を含む有機廃棄物と、前記樹脂成分分解部で得られる前記モノマーとが供給される発酵槽を有し、前記有機廃棄物及び前記モノマーをメタン発酵するメタン発酵部と、を備え、
前記樹脂含有廃棄物は、前記発酵槽に供給される前記有機廃棄物の容積負荷を前記発酵槽の全容積負荷から減じた残容積負荷に応じて定める前記発酵槽への供給可能量以下の前記モノマーが前記樹脂成分分解部で得られるように、前記樹脂成分のうち前記樹脂成分分解部で分解可能な前記樹脂成分の量が調整されたものであり、
前記メタン発酵部は、前記発酵槽に前記モノマーが供給されていない状態において、前記発酵槽に対する前記有機廃棄物の容積負荷が5gCODcr/L/日以下である状態で当該有機廃棄物をメタン発酵するように構成される点にある。
【0011】
また、上記目的を達成するための本発明に係る廃棄物処理方法の特徴構成は、
樹脂成分を含有する樹脂含有廃棄物を処理する方法であって、
前記樹脂含有廃棄物を分解槽に供給して、アミン化合物存在下で前記樹脂含有廃棄物を加温して、前記樹脂成分の少なくとも一部をモノマーに加水分解する樹脂成分分解工程と、
難分解性固形分を含む有機廃棄物と、前記樹脂成分分解工程で得られる前記モノマーとを発酵槽に供給して、前記有機廃棄物及び前記モノマーをメタン発酵するメタン発酵工程と、を行い、
前記樹脂含有廃棄物は、前記発酵槽に供給される前記有機廃棄物の容積負荷を前記発酵槽の全容積負荷から減じた残容積負荷に応じて定める前記発酵槽への供給可能量以下の前記モノマーが前記樹脂成分分解工程で得られるように、前記樹脂成分のうち前記樹脂成分分解工程で分解可能な前記樹脂成分の量が調整されたものであり、
前記メタン発酵工程は、前記発酵槽に前記モノマーが供給されていない状態において、前記発酵槽に対する前記有機廃棄物の容積負荷が5gCODcr/L/日以下である状態で当該有機廃棄物をメタン発酵するように構成される点にある。
【0012】
下水汚泥などの難分解性固形分を含む有機廃棄物のメタン発酵では、難分解性固形分を可溶化して水溶性有機物とし、この水溶性有機物を酸発酵によって機酸にして、この有機酸を基にメタンが生成される。ここで、難分解性固形分の可溶化は、進行速度が遅いため、難分解性固形分を含む有機廃棄物はメタン発酵が進み難い。このため、生ごみなどの易分解性固形分ではなく、難分解性固形分を含む有機廃棄物のみを発酵槽にてメタン発酵する場合、発酵槽に対する容積負荷を高くすることができず、容積負荷が低い状態となっており、発酵槽を有効に利用できていない。
しかしながら、上記特徴構成によれば、樹脂含有廃棄物中の樹脂成分の一部をモノマーに分解できる。このモノマーは、難分解性固形分を含む有機廃棄物とは異なり、可溶化が不要であるため、難分解性固形分を含む有機廃棄物よりもメタン発酵が進行し易い。そのため、難分解性固形分を含む有機廃棄物のメタン発酵を行っている発酵槽にモノマーを供給することで、発酵槽内において、難分解性固形分を含む有機廃棄物のメタン発酵(難分解性固形分の可溶化段階及び水溶性有機物の酸発酵段階を経て行われるメタンの生成)と、モノマーのメタン発酵(モノマーが有機物である場合には、酸発酵段階を経て行われるメタンの生成、モノマーが有機酸である場合には、当該有機酸を基にしたメタンの生成)とを両立でき、有機廃棄物のみをメタン発酵する場合に発酵槽に対する容積負荷が低い状態となるメタン発酵部を有効利用して、有機廃棄物及びモノマーから効率よくメタンを製造することができる。
このように、上記特徴構成によれば、有機廃棄物のメタン発酵を行う設備を利用して、樹脂含有廃棄物中の樹脂成分の一部を分解して得られるモノマーをメタン発酵してメタンを得ることができる、即ち、樹脂含有廃棄物中の樹脂成分の少なくとも一部から、シンガスを経由することなくメタンを製造できる。したがって、上記特徴構成によれば、シンガスを経由したメタンの製造量を減らしつつ、樹脂含有廃棄物からメタンを製造できる。また、上記特徴構成によれば、樹脂含有廃棄物のリサイクル処理に要するコストの増加を抑えることもできる。
また、樹脂含有廃棄物中の樹脂成分が分解されることで、上記供給可能量と同程度のモノマーを得ることができ、得られたモノマーを発酵槽へ供給できる。したがって、上記特徴構成によれば、残容積負荷に応じた適量のモノマーを発酵槽へ供給することが可能である。
さらに、発酵槽に対する有機廃棄物の容積負荷5gCODcr/L/日以下であるメタン発酵部、即ち、有機廃棄物をメタン発酵する際に、容積負荷が低く、発酵槽を有効に利用できていないメタン発酵部を利用して、樹脂含有廃棄物中の樹脂成分の一部を分解して得られるモノマーをメタン発酵してメタンを得ることができる。
【0017】
本発明に係る廃棄物処理システムの更なる特徴構成は、
前記分解槽に供給された前記樹脂含有廃棄物中の前記樹脂成分のうち、前記樹脂成分分解部で分解されなかった前記樹脂成分を熱分解して、少なくとも水素及び一酸化炭素を含むガスを生成する未分解成分ガス化部を備える点にある。
【0018】
上記特徴構成によれば、樹脂成分分解部で分解されなかった樹脂成分から化学原料や燃料ガスとして利用可能な水素や一酸化炭素といった成分を含むガスを生成することができる。
【0019】
本発明に係る廃棄物処理システムの更なる特徴構成は、
前記未分解成分ガス化部で生成したガスのうちの少なくとも前記水素を前記発酵槽に供給するように構成される点にある。
【0020】
発酵槽内にメタン生産菌が存在する場合、発酵槽内に水素を供給することで、メタン発酵によって発生した二酸化炭素からメタンを生成することが可能である。即ち、上記特徴構成によれば、発酵槽内にメタン生成菌が存在するような状況下において、メタン生成菌によるメタンの生成が可能となる。
【0021】
本発明に係る廃棄物処理システムの更なる特徴構成は、
前記未分解成分ガス化部で生成したガスのうちの少なくとも前記一酸化炭素が供給される生成槽を有し、前記一酸化炭素から酢酸を生成する酢酸生成部を備える点にある。
【0022】
上記特徴構成によれば、未分解成分ガス化部で生成した一酸化炭素を基に、メタン発酵の基質や化学原料等として利用可能な酢酸の製造が可能である。
【0023】
本発明に係る廃棄物処理システムの更なる特徴構成は、
前記樹脂含有廃棄物は、
前記発酵槽に供給される前記有機廃棄物の容積負荷を前記発酵槽の全容積負荷から減じた残容積負荷に応じて定まる前記発酵槽への供給可能量と同程度の前記モノマーを前記樹脂成分分解部で得られるように、前記樹脂成分のうち前記樹脂成分分解部で分解可能な前記樹脂成分の量が調整され、
前記メタン発酵部における前記有機廃棄物及び前記モノマーのメタン発酵によって発生する二酸化炭素のメタン化に必要な量の水素が前記未分解成分ガス化部で生成されるように、前記樹脂成分のうち前記樹脂成分分解部で分解されない前記樹脂成分の量が調整されたものである点にある。
【0024】
上記特徴構成によれば、樹脂含有廃棄物中の樹脂成分が分解されることで、上記供給可能量と同程度のモノマーを得ることができ、得られたモノマーを発酵槽へ供給できる。更に、樹脂成分分解部で分解されない樹脂成分が未分解成分ガス化部でガス化されることで、メタン発酵部において発生する二酸化炭素のメタン化に必要な量の水素を得ることができ、得られた水素を発酵槽へ供給できる。即ち、上記特徴構成によれば、発酵槽に対する残容積負荷に応じた適量のモノマーを発酵槽へ供給でき、且つ、発酵槽で発生する二酸化炭素の量に応じた適量の水素を発酵槽へ供給できる。
【0025】
本発明に係る廃棄物処理システムの更なる特徴構成は、
前記メタン発酵部は、固液分離処理を実行可能に構成され、
前記メタン発酵部での前記固液分離処理で得られる固形分を前記未分解成分ガス化部に供給するように構成される点にある。
【0026】
上記特徴構成によれば、メタン発酵部での固液分離処理で得られた固形分を未分解成分ガス化部においてガス化し、化学原料や燃料ガスとして利用可能な成分を含むガスを得ることができる。
【0027】
本発明に係る廃棄物処理システムの更なる特徴構成は、
前記未分解成分ガス化部で生成した前記一酸化炭素を燃焼させて発生した熱を前記樹脂成分分解部又は前記メタン発酵部で利用するように構成される点にある。
【0028】
樹脂成分分解部での樹脂成分の加水分解処理は55~220℃程度で行い、メタン発酵部での有機廃棄物及びモノマーのメタン発酵は20~60℃程度で行う。上記特徴構成によれば、このような樹脂成分分解部での加水分解処理やメタン発酵部でのメタン発酵で必要となる熱を一酸化炭素の燃焼によって発生した熱で補うことができる。
【0029】
本発明に係る廃棄物処理システムの更なる特徴構成は、
前記分解槽に供給された前記樹脂含有廃棄物中の前記樹脂成分のうち、前記樹脂成分分解部で分解されなかった前記樹脂成分を燃焼させる未分解成分燃焼部を備える点にある。
【0030】
上記特徴構成によれば、樹脂成分分解部で分解されなかった樹脂成分を燃焼させて熱を得ることができる。
【0031】
本発明に係る廃棄物処理システムの更なる特徴構成は、
前記未分解成分燃焼部で発生した熱を前記樹脂成分分解部又は前記メタン発酵部で利用するように構成される点にある。
【0032】
樹脂成分分解部での樹脂成分の加水分解処理は55~220℃程度で行い、メタン発酵部での有機廃棄物及びモノマーのメタン発酵は20~60℃程度で行う。上記特徴構成によれば、このような樹脂成分分解部での加水分解処理やメタン発酵部でのメタン発酵で必要となる熱を未分解成分燃焼部で発生した熱で補うことができる。
【0033】
本発明に係る廃棄物処理システムの更なる特徴構成は、
前記メタン発酵部は、固液分離処理を実行可能に構成され、
前記メタン発酵部での前記固液分離処理で得られる固形分を前記未分解成分燃焼部に送給するように構成される点にある。
【0034】
上記特徴構成によれば、メタン発酵部での固液分離処理で得られた固形分を未分解成分燃焼部において燃焼させることで、熱を得ることができる。
【0035】
本発明に係る廃棄物処理システムの更なる特徴構成は、
前記樹脂成分分解部は、前記分解槽内に発生した水蒸気と、前記アミン化合物とを回収して再利用するように構成される点にある。
【0036】
樹脂成分分解部において利用するアミン化合物は、樹脂成分を加水分解するための触媒として機能するものである。上記特徴構成によれば、樹脂成分を加水分解した後の分解槽内に存在する水蒸気及びアミン化合物を回収し、これらを再利用できる。
【0037】
本発明に係る廃棄物処理システムの更なる特徴構成は、
前記樹脂成分として、少なくともエステル結合部位を有する樹脂を含み、
前記樹脂成分分解部は、前記エステル結合部位を有する樹脂を前記モノマーとしての各構成成分に分解する点にある。
【0038】
上記特徴構成によれば、樹脂成分分解部において、エステル結合部位を有する樹脂の少なくとも当該エステル結合部位を加水分解してモノマーを得ることができる。
【0039】
本発明に係る廃棄物処理システムの更なる特徴構成は、
前記樹脂成分として、少なくともポリエステルを含み、
前記樹脂成分分解部は、前記ポリエステルを前記モノマーとしての各構成成分に分解する点にある。
【0040】
上記特徴構成によれば、樹脂成分分解部において、ポリエステルのエステル結合部位を加水分解してモノマーを得ることができる。
【0041】
本発明に係る廃棄物処理システムの更なる特徴構成は、
前記樹脂成分として、少なくともバイオマス由来の樹脂を含み、
前記樹脂成分分解部は、前記バイオマス由来の樹脂を前記モノマーとしての各構成成分に分解する点にある。
【0042】
本願発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、バイオマス由来の樹脂が樹脂成分分解部で分解され易いという知見を得た。即ち、上記特徴構成によれば、樹脂成分分解部で分解され易いバイオマス由来の樹脂を樹脂成分として含む樹脂含有廃棄物を基に、効率よくメタンを製造できる。
【0043】
本発明に係る廃棄物処理システムの更なる特徴構成は、
前記樹脂成分として、モノマー成分として乳酸又は3-ヒドロキシ酪酸を有する樹脂を含み、
前記樹脂成分分解部は、前記モノマー成分として乳酸又は3-ヒドロキシ酪酸を有する樹脂を前記モノマーとしての前記乳酸又は前記3-ヒドロキシ酪酸に分解する点にある。
【0044】
本願発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、モノマー成分として乳酸又は3-ヒドロキシ酪酸を有する樹脂が樹脂成分分解部で分解され易いという知見を得た。即ち、上記特徴構成によれば、樹脂成分分解部で分解され易い、モノマー成分として乳酸又は3-ヒドロキシ酪酸を有する樹脂を樹脂成分として含む樹脂含有廃棄物を基に、効率よくメタンを製造できる。
【0045】
本発明に係る廃棄物処理システムの更なる特徴構成は、
前記樹脂成分として、少なくともポリ乳酸を含み、
前記樹脂成分分解部は、前記ポリ乳酸を前記モノマーとしての乳酸に分解する点にある。
【0046】
本願発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、特にポリ乳酸が樹脂成分分解部で分解され易いという知見を得た。即ち、上記特徴構成によれば、特に分解され易いポリ乳酸を樹脂成分として含む樹脂含有廃棄物を基に、効率よくメタンを製造できる。
【0047】
本発明に係る廃棄物処理システムの更なる特徴構成は、
前記樹脂成分として、少なくともポリヒドロキシアルカノエートを含み、
前記樹脂成分分解部は、前記ポリヒドロキシアルカノエートを前記モノマーとしての各構成成分に分解する点にある。
【0048】
本願発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、特にポリヒドロキシアルカノエートが樹脂成分分解部で分解され易いという知見を得た。即ち、上記特徴構成によれば、特に分解され易いポリヒドロキシアルカノエートを樹脂成分として含む樹脂含有廃棄物を基に、効率よくメタンを製造できる。
【0049】
本発明に係る廃棄物処理システムの更なる特徴構成は、
前記樹脂成分として、少なくともポリ3-ヒドロキシ酪酸を含み、
前記樹脂成分分解部は、前記ポリ3-ヒドロキシ酪酸を前記モノマーとしての3-ヒドロキシ酪酸に分解する点にある。
【0050】
本願発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、ポリヒドロキシアルカノエートの一つであるポリ3-ヒドロキシ酪酸が樹脂成分分解部で分解され易いという知見を得た。即ち、上記特徴構成によれば、特に分解され易いポリ3-ヒドロキシ酪酸を樹脂成分として含む樹脂含有廃棄物を基に、効率よくメタンを製造できる。
【0051】
本発明に係る廃棄物処理システムの更なる特徴構成は、
前記有機廃棄物は、下水汚泥である点にある。
【0052】
上記特徴構成によれば、難分解性固形分を含む有機廃棄物としての下水汚泥のメタン発酵を行う設備と利用して、当該下水汚泥と、樹脂含有廃棄物由来のモノマーとからメタンを製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】第一実施形態に係る廃棄物処理システムの概略構成を示す図である。
【
図2】第二実施形態に係る廃棄物処理システムの概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
〔第一実施形態〕
以下、図面を参照して本発明の第一実施形態に係る廃棄物処理システム及び廃棄物処理方法について説明する。
【0055】
まず、第一実施形態に係る廃棄物処理システム1について説明する。
図1は、廃棄物処理システム1の概略構成を示す図である。同
図1に示すように、廃棄物処理システム1は、樹脂成分を含有する樹脂含有廃棄物を処理するシステムであって、樹脂含有廃棄物が供給される分解槽3を有し、アミン化合物存在下で樹脂含有廃棄物を加温して、樹脂成分の少なくとも一部をモノマーに加水分解する樹脂成分分解装置2(樹脂成分分解部)と、難分解性固形分を含む有機廃棄物及び樹脂成分分解装置2で得られるモノマーが供給される発酵槽5を有し、有機廃棄物及びモノマーをメタン発酵するメタン発酵装置4(メタン発酵部)と、を備えている。
【0056】
樹脂成分を含有する樹脂含有廃棄物とは、一又は複数種類の樹脂成分を含有する廃棄物を意味し、当該樹脂含有廃棄物に含まれる樹脂成分は、各樹脂成分が個別の形態であってもよいし、混合成型された形態であってもよいが、アミン化合物存在下で少なくとも一部が加水分解される樹脂である。このような樹脂としては、少なくともエステル結合部位を有する樹脂やポリエステルが挙げられ、具体的には、ポリ乳酸やポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペートテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリカブロラクトン、ポリヒドロキシアルカノエート(ポリ3-ヒドロキシ酪酸など)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンフラノエート、ポリエチレンナフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートなどである。尚、樹脂含有廃棄物に含まれる樹脂成分は、樹脂成分分解装置2での分解性に優れるという観点から、バイオマス由来であると好ましく、モノマー成分として乳酸又は3-ヒドロキシ酪酸を有する樹脂やポリ乳酸、ポリ3-ヒドロキシ酪酸などのポリヒドロキシアルカノエートであるとより好ましく、ポリ乳酸やポリ3-ヒドロキシ酪酸であると更に好ましい。本実施形態において、樹脂含有廃棄物は、樹脂成分としてバイオマス由来のポリエステルであるポリ乳酸の他、ポリエチレンやポリプロピレンなどを含有する廃棄物である。尚、以下の説明においては、樹脂含有廃棄物に含まれる樹脂成分のうち、ポリ乳酸以外の樹脂成分をその他の樹脂成分ともいう。
【0057】
難分解性固形分を含有する有機廃棄物とは、一又は複数種類の固形状の有機物を含有する廃棄物を意味する。本実施形態において、有機廃棄物は下水汚泥である。
【0058】
また、第一実施形態に係る廃棄物処理システム1は、分解槽3に供給された樹脂含有廃棄物中の樹脂成分のうち、樹脂成分分解装置2で分解されなかった樹脂成分を熱分解して、少なくとも水素及び一酸化炭素を含むガスを生成する未分解成分ガス化装置6(未分解成分ガス化部)を備えている。
【0059】
樹脂成分分解装置2は、上記のように分解槽3を備えており、当該分解槽3内では、アミン化合物存在下において樹脂成分(本実施形態ではポリ乳酸)の加水分解処理が行われる。尚、分解槽3は、後述する加水分解処理の条件を調節・保持可能に構成されている。
【0060】
加水分解処理に使用するアミン化合物としては、アンモニアやモノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミンが挙げられる。尚、本実施形態においては、アミン化合物としてアンモニアを用い、アミン化合物供給手段によって分解槽3内にアンモニア水を供給する態様とする。分解槽3に供給するアンモニア水の濃度は、特に限定されるものではないが、例えば、1~35質量%程度である。また、ガス態のアンモニアを使用し、加水分解に必要な水は別途添加することもできる。
【0061】
上記加水分解処理の圧力条件(即ち、分解槽3内の圧力)は、分解槽3中のアミン化合物の量や種類、処理すべき樹脂成分(ポリ乳酸)の量や種類を考慮して設定されるが、例えば、ゲージ圧で0~10MPaGであることが好ましいが、装置構造上の観点からより好ましくは0~1MPaGである。
【0062】
上記加水分解処理の処理時間についても、分解槽3中のアミン化合物の量や種類、処理すべき樹脂成分(ポリ乳酸)の量や種類を考慮して設定されるが、例えば、0.1~48時間であることが好ましく、1~12時間であることがより好ましい。
【0063】
上記加水分解処理の温度条件(即ち、分解槽3内の温度)は、その他の樹脂成分の融点等を考慮して設定されるが、例えば、40℃以上であり、好ましくは50~220℃、より好ましくは80~160℃である。
【0064】
また、図示しないが、樹脂成分分解装置2は、任意の量の樹脂含有廃棄物を分解槽3に供給するための樹脂含有廃棄物供給手段や、任意の量のアミン化合物を分解槽3内に供給するアミン化合物供給手段、樹脂成分の分解により得られたモノマー(本実施形態では乳酸)と未分解の樹脂成分(本実施形態では上記その他の樹脂成分)とを分離する分離手段などを備えており、これら各手段は、公知の手法を採用して構築できる。
【0065】
また、本実施形態において、樹脂成分分解装置2は、ポリ乳酸を加水分解した後、分解槽3内に残留する水蒸気及びアンモニアを分解槽3内から回収可能に構成されている。
【0066】
以上の構成を備えた樹脂成分分解装置2によれば、ポリ乳酸を含む樹脂含有廃棄物が分解槽3に供給されるとともに、アンモニア水が分解槽3に供給された状態で、所定の処理条件下において所定時間経過させることで、ポリ乳酸が乳酸に加水分解される。一方、その他の樹脂成分は、加水分解されない。そして、樹脂成分分解装置2によれば、得られた乳酸と未分解のその他の樹脂成分とが分離手段によって分離される。また、ポリ乳酸を加水分解した後、分解槽3内から水蒸気及びアンモニアが回収され、これらがアンモニア水の原料として再利用される。
【0067】
尚、本実施形態では、分離手段によって分離されたモノマーは、下水汚泥とともに後述するメタン発酵装置4の発酵槽5へ供給され、未分解のその他の樹脂成分は、後述する未分解成分ガス化装置6へ供給される。
【0068】
メタン発酵装置4は、上記のように発酵槽5を備えており、当該発酵槽5内では、有機廃棄物(本実施形態では下水汚泥)及びモノマー(本実施形態では乳酸)がメタン発酵されてメタンが生成される。具体的に、メタン発酵の対象が下水汚泥である場合、難分解性固形分の可溶化によって得られる水溶性有機物が酸発酵され、これにより得られる有機酸を基にメタンが生成される。一方、メタン発酵の対象が乳酸である場合、当該乳酸を基にメタンが生成される。つまり、メタン発酵装置4によれば、下水汚泥のメタン発酵と乳酸のメタン発酵とを並行して行うことができる。
【0069】
ここで、下水汚泥には難分解性固形分が含まれているため、当該下水汚泥のメタン発酵によってメタンを得るためには、難分解性固形分の可溶化という進行速度の遅い段階を経る必要がある。そのため、発酵槽5において下水汚泥のみのメタン発酵を行う場合、発酵槽5に対する容積負荷が低い状態となっている。一方、樹脂成分分解装置2での加水分解によって得られるモノマーのメタン発酵では、当該モノマーが有機物である場合及び有機酸である場合のいずれ場合であっても、難分解性固形分の可溶化という段階が不要である。そこで、本実施形態のメタン発酵装置4では、発酵槽5に対する容積負荷が低い状態で下水汚泥のメタン発酵を行っている発酵槽5に上記モノマーを供給することで、上記のように下水汚泥のメタン発酵とモノマーのメタン発酵とを両立するように構成している。このようにすることで、下水汚泥のみをメタン発酵する場合に発酵槽5に対する容積負荷が低い状態となるメタン発酵装置4を有効利用して、下水汚泥及びモノマーから効率よくメタンを製造することができる。また、本実施形態では、モノマーが有機酸である乳酸であるため、下水汚泥のメタン発酵と比較して、可溶化だけでなく酸発酵も不要であるため、より効率よくメタンが製造できる。本実施形態では、メタン発酵装置4を有効利用するという観点から、メタン発酵装置4が、発酵槽5にモノマーが供給されていない状態において、発酵槽5に対する下水汚泥(有機廃棄物)の容積負荷が5gCODcr/L/日以下(より好ましくは3gCODcr/L/日以下)である状態で下水汚泥をメタン発酵するように構成されたものである。
【0070】
また、本実施形態において、発酵槽5内では、後述する未分解成分ガス化装置6から供給される水素と、下水汚泥及び乳酸のメタン発酵によって発生する二酸化炭素とからメタン生成菌によってメタンが生成される。更に、本実施形態の発酵槽5内では、未分解成分ガス化装置6から供給される一酸化炭素を基に、酢酸生成菌によって酢酸が生成される。
【0071】
尚、発酵槽5は、下水汚泥及び乳酸のメタン発酵や二酸化炭素及び水素を基にしたメタンの生産、一酸化炭素を基にした酢酸の生産が微生物によって行われるのに適した条件を調節・保持可能に構成されている。
【0072】
発酵槽5内の温度は、用いる微生物の種類に応じて広い温度範囲から適宜設定することができ、特に限定されるものではないが、例えば、20~60℃程度である。
【0073】
また、発酵槽5内での下水汚泥及び乳酸の処理時間は、下水汚泥及び乳酸の量や、使用する微生物の種類、発酵槽5内の温度などを考慮して設定されるが、例えば、下水汚泥については20~60日程度、乳酸については1~10日程度である。
【0074】
また、メタン発酵装置4は、発酵槽5内の処理物を固液分離する固液分離処理を実行可能に構成されている。固液分離処理は、沈殿分離、メッシュ分離、膜分離、遠心分離などの公知の方法によって行うことができ、特に限定されるものではない。つまり、メタン発酵装置4は、固液分離処理を行う方法に応じた構成からなる固液分離手段(図示せず)を備えている。この固液分離処理によれば、処理物を固液分離した固形分含有画分(固形分)を得ることができる。尚、固形分含有画分には、消化汚泥などが含まれる。
【0075】
また、図示しないが、メタン発酵装置4は、任意の量の下水汚泥を発酵槽5に供給するための汚泥供給手段や、発酵槽5内で発生したバイオガスによって当該発酵槽5を撹拌する撹拌手段、発酵槽5内で発生したメタン等を含むバイオガスや酢酸を外部に取り出す取出手段、処理物の固液分離処理によって得られる固形分を未分解成分ガス化装置6に送給する送給手段などを備えており、これら各手段は、公知の手法を採用して構築できる。
【0076】
以上の構成を備えたメタン発酵装置4によれば、外部から供給される下水汚泥とともに、樹脂成分分解装置2によって得られた乳酸が発酵槽5内に供給され、下水汚泥のメタン発酵と乳酸のメタン発酵とが発酵槽5内で並行して進行し、メタンが生成される。また、未分解成分ガス化装置6から水素及び一酸化炭素を含むガスが供給され、メタン発酵によって発生した二酸化炭素と、未分解成分ガス化装置6から供給される水素とからメタンが生成されるともに、未分解成分ガス化装置6から供給される一酸化炭素を基に酢酸が生成される。そして、生成されたメタン及び酢酸が外部に取り出される。また、本実施形態の樹脂成分分解装置2によれば、固液分離処理によって発酵槽5内の処理物を固液分離して、得られた固形分が未分解成分ガス化装置6に送給される。
【0077】
本実施形態において、未分解成分ガス化装置6は、樹脂成分分解装置2で分解されなかったその他の樹脂成分を熱分解して、水素及び一酸化炭素を含むガスを生成する。そして、メタン発酵装置4の撹拌手段として設けられるバイオガスの流通ラインなどを通して、生成したガスを発酵槽5内に供給するように構成されている。このような未分解成分ガス化装置6は、従来公知の廃棄物のガス化処理装置を用いることができ、例えば、上記その他の樹脂成分を600~800℃程度で燃焼させる低温ガス化炉(図示せず)や、低温ガス化炉から出たガス状物質が供給され、酸素及び水蒸気を加えた状態でガス状物質を1400℃程度で熱分解する高温ガス化炉(図示せず)などから構成された装置を例示できる。
【0078】
また、本実施形態において、未分解成分ガス化装置6には、メタン発酵装置4での固液分離処理によって分離された固形分が供給されるように構成されている。つまり、未分解成分ガス化装置6は、上記その他の樹脂成分に加えて、メタン発酵装置4から供給される固形分も熱分解して、水素及び一酸化炭素を含むガスを生成する。
【0079】
次に、廃棄物処理システム1によって廃棄物を処理する方法(廃棄物処理方法)について説明する。
【0080】
まず、樹脂含有廃棄物を樹脂成分分解装置2の分解槽3に供給するとともに、分解槽3内にアンモニア水を供給し、分解槽3内の温度及び圧力が所定範囲内となるように調整して、所定時間処理を行うことで、ポリ乳酸を乳酸に加水分解する(樹脂成分分解工程)。
【0081】
ここで、本実施形態において、樹脂含有廃棄物は、樹脂成分分解装置2で分解される樹脂成分であるポリ乳酸の量と、分解されない樹脂成分であるその他の樹脂成分の量とが調整されたものである。即ち、本実施形態の樹脂含有廃棄物は、発酵槽5に供給される下水汚泥の容積負荷を発酵槽5の全容積負荷から減じた残容積負荷に応じて定まる発酵槽5への供給可能量と同程度の乳酸が樹脂成分分解装置2で得られるように、樹脂含有廃棄物に含まれる樹脂成分のうち樹脂成分分解装置2で分解可能なポリ乳酸の量が調整されている。
【0082】
このように、樹脂含有廃棄物中のポリ乳酸の量が調整されていることで、ポリ乳酸を分解して上記供給可能量と同程度の乳酸を得ることができ、得られた乳酸を発酵槽5へ供給できる。
【0083】
尚、発酵槽5の全容積負荷としては、例えば、20gCODcr/L/日である。したがって、本実施形態では、発酵槽5の全容積負荷である20gCODcr/L/日から下水汚泥の容積負荷(例えば、2~3gCODcr/L/日)を減じた17~18gCODcr/L/日に応じて発酵槽5への乳酸の供給可能量が定まる。そして、当該定まった供給可能量と同程度の乳酸が得られるように、分解槽3に供給する樹脂含有廃棄物中のポリ乳酸の量が調整されている。
【0084】
更に、本実施形態の樹脂含有廃棄物は、メタン発酵装置4における下水汚泥及び乳酸のメタン発酵によって発生した二酸化炭素のメタン化に必要な量の水素が未分解成分ガス化装置6で生成されるように、樹脂含有廃棄物に含まれる樹脂成分のうち樹脂成分分解装置2で分解されないその他の樹脂成分の量が調整されている。
【0085】
このように、樹脂含有廃棄物中のその他の樹脂成分の量が調整されていることで、その他の樹脂成分がガス化されて、メタン発酵装置4で発生する二酸化炭素のメタン化に必要な量の水素を得ることができ、得られた水素を発酵槽5へ供給できる。
【0086】
ついで、ポリ乳酸の分解により得られた乳酸と未分解のその他の樹脂成分とを分離する。そして、分離した乳酸の全量を、下水汚泥とともにメタン発酵装置4の発酵槽5に供給する。一方、その他の樹脂成分については、その全量を未分解成分ガス化装置6へと供給する。尚、本実施形態では、加水分解処理後の発酵槽5内に残留する水蒸気及びアンモニアを回収し、これらをアンモニア水の原料として再利用する。
【0087】
その他の樹脂成分を未分解成分ガス化装置6に供給した後、当該未分解成分ガス化装置6において、当該その他の樹脂成分をガス化し、水素及び一酸化炭素を含むガスを生成する(未分解成分ガス化工程)。そして、生成したガスをメタン発酵装置4の発酵槽5に供給する。
【0088】
乳酸及び下水汚泥をメタン発酵装置4の発酵槽5に供給した後、当該メタン発酵装置4において、乳酸のメタン発酵と下水汚泥のメタン発酵とを並行して行い、メタンを生成する(メタン発酵工程)。更に、本実施形態のメタン発酵工程では、発酵槽5内において、乳酸及び下水汚泥のメタン発酵に伴い発生する二酸化炭素と未分解成分ガス化装置6から供給される水素とからメタンを生成するとともに、未分解成分ガス化装置6から供給される一酸化炭素を基に酢酸を生成する。
【0089】
尚、メタン発酵工程では、適宜固液分離処理を行い、発酵槽5内の処理物を固液分離した、消化汚泥などを含む固形分含有画分を得て、当該固形分含有画分を未分解成分ガス化装置6に送給する。未分解成分ガス化装置6に固形分含有画分を送給した場合、当該未分解成分ガス化装置6において、固形分含有画分をガス化して、水素及び一酸化炭素を含むガスを生成し、当該ガスをメタン発酵装置4の発酵槽5に供給する。
【0090】
そして、下水汚泥及び乳酸を発酵槽5内に供給してから所定時間経過した後、発酵槽5内のメタン及び酢酸を外部に排出する。
【0091】
〔第二実施形態〕
次に、図面を参照して本発明の第二実施形態に係る廃棄物処理システム及び廃棄物処理方法について説明する。
【0092】
図2は、第二実施形態に係る廃棄物処理システム10の概略構成を示す図である。第二実施形態に係る廃棄物処理システム10は、主として、未分解成分ガス化装置の代わりに未分解成分燃焼装置11を備える点が第一実施形態と異なっている。以下、第二実施形態に係る廃棄物処理システム10について説明するが、第一実施形態に係る廃棄物処理システム1と同様の構成については説明を省略する。
【0093】
図2に示すように、第二実施形態に係る廃棄物処理システム10は、分解槽3に供給された樹脂含有廃棄物中の樹脂成分のうち、樹脂成分分解装置2で分解されなかった樹脂成分を燃焼させる未分解成分燃焼装置11(未分解成分燃焼部)を備えている。
【0094】
具体的に、本実施形態において、未分解成分燃焼装置11は、樹脂成分分解装置2で分解されなかったその他の樹脂成分(即ち、樹脂含有廃棄物中の樹脂成分のうちポリ乳酸以外の樹脂成分)を燃焼させて熱を発生させる。そして、発生した熱を熱媒体を介して樹脂成分分解装置2の分解槽3やメタン発酵装置4の発酵槽5に供給して、分解槽3や発酵槽5の温度維持に利用するように構成されている。このような未分解成分燃焼装置11は、従来公知の廃棄物の焼却装置を用いることができる。
【0095】
また、本実施形態においては、メタン発酵装置4での固液分離処理によって分離された固形分含有画分が供給されるように構成されており、未分解成分燃焼装置11は、上記その他の樹脂成分に加えて、メタン発酵装置4から供給される固形分含有画分も燃焼させて熱を発生させる。
【0096】
次に、廃棄物処理システム10によって廃棄物を処理する方法(廃棄物処理方法)について説明する。
【0097】
まず、第一実施形態に係る廃棄物処理システム1によって廃棄物を処理する場合と同様に樹脂成分分解工程を行い、ポリ乳酸の分解により得られた乳酸を分離して、分離した乳酸の全量を下水汚泥とともにメタン発酵装置4の発酵槽5に供給し、乳酸のメタン発酵と下水汚泥のメタン発酵とを並行して行う。
【0098】
尚、本実施形態においては、分解槽3へ供給する樹脂含有廃棄物中のポリ乳酸の量が第一実施形態と同様に調整されたものである。したがって、発酵槽5に供給される下水汚泥の容積負荷を発酵槽5の全容積負荷から減じた残容積負荷に応じて定まる発酵槽5への供給可能量と同程度の乳酸をポリ乳酸を分解して得ることができ、得られた乳酸を発酵槽5へ供給できる。
【0099】
一方、樹脂成分分解工程で分解されなかったその他の樹脂については、その全量を未分解成分燃焼装置11へ供給し、未分解成分燃焼装置11において、当該その他の樹脂成分を燃焼させて熱を発生させる(未分解成分燃焼工程)。そして、発生させた熱を分解槽3や発酵槽5に供給して、当該分解槽3や発酵槽5を所定温度に維持するために当該熱を利用する。
【0100】
また、本実施形態では、発酵槽5内の処理物を固液分離した固形分含有区分を未分解成分燃焼装置11に送給する。未分解成分燃焼装置11に固形分含有画分を送給した場合、当該未分解成分燃焼装置11において、固形分含有画分を燃焼させて熱を発生させ、当該熱を分解槽3や発酵槽5の温度維持に利用する。
【0101】
そして、本実施形態では、下水汚泥及び乳酸を発酵槽5内に供給してから所定時間経過した後、発酵槽5内のメタンを外部に排出する。
【0102】
以上のように、第一実施形態及び第二実施形態に係る各廃棄物処理システム及び各廃棄物処理方法によれば、下水汚泥のメタン発酵を行う設備を利用して、樹脂含有廃棄物中のポリ乳酸を分解して得られる乳酸をメタン発酵してメタンを得ることができる。つまり、樹脂含有廃棄物中のポリ乳酸からシンガスを経由することなくメタンを製造できる。したがって、シンガスを経由したメタンの製造量を減らしつつ、樹脂含有廃棄物からメタンを製造でき、樹脂含有廃棄物のリサイクル処理に要するコストの増加を抑えることもできる。
【0103】
(実験例)
以下、実験例を示す。
ポリ乳酸(PLA、ユニチカ株式会社製TE2000)、ポリ3-ヒドロキシ酪酸(PHB、大阪瓦斯株式会社にて合成)、ポリブチレンサクシネート(PBS、XINJIANG BLUE RIDGE TUNHE CHEMICAL INDUSTRY JOINT STOCK CO., LTD.製TH803S)、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT、XINJIANG BLUE RIDGE TUNHE CHEMICAL INDUSTRY JOINT STOCK CO., LTD.製TH801H)、ポリプロピレン(PP、日本ポリプロ株式会社製FW4BT)及び低密度ポリエチレン(LLDPE、日本ポリエチレン株式会社製UF230)の6つの樹脂2.5gに対して、28質量%のアンモニア水をそれぞれ5g添加し、密閉状態で120℃で1時間及び4時間それぞれ加温した。加温終了後、反応液中に残存する固形物の重量を測定し、下記式により分解率を算出した。表1には、その結果をまとめた。
分解率(%)=(反応前樹脂量(2.5g)-反応後固形物量)/反応前樹脂量(2.5g)×100
【0104】
【0105】
表1に示すように、PLA及びPHBは完全に分解されたのに対し、PBS及びPBATは速度は遅いがある程度分解しており、特にPLA及びPHBの分解速度が速い。一方、PP及びLLDPEは分解されないかほとんど分解されなかった。このことから、樹脂含有廃棄物中に樹脂成分としてポリ乳酸や樹脂成分分解装置2で分解され易い樹脂成分が含まれていれば、樹脂成分分解装置2によってポリ乳酸を乳酸まで分解でき、PHBなどのその他の樹脂成分もその構成成分まで分解できることが確認できた。また、樹脂含有廃棄物中にPPやLLDPEといった樹脂成分分解装置2で極めて分解され難い樹脂成分が含まれていれば、樹脂含有廃棄物を樹脂成分分解装置2に供給した場合に、未分解成分ガス化装置6や未分解成分燃焼装置11に供給する樹脂成分を確保できることが確認できた。尚、このような樹脂成分分解装置2で極めて分解され難い樹脂成分は、樹脂成分分解装置2で分解可能な樹脂に混錬された状態で樹脂含有廃棄物中に含まれていてもよい。
【0106】
〔別実施形態〕
〔1〕第一実施形態では、未分解成分ガス化装置6を設け、第二実施形態では、未分解成分燃焼装置11を設ける態様としたが、未分解成分ガス化装置及び未分解成分燃焼装置の双方を備えていない態様であってもよい。この場合、樹脂成分分解装置2で分解されなかった樹脂成分については、別途適当な方法で処理すればよい。また、未分解成分ガス化装置及び未分解成分燃焼装置の双方を備えた態様であってもよい。
【0107】
〔2〕上記各実施形態では、樹脂含有廃棄物中に、樹脂成分分解装置2で分解可能な樹脂成分としてポリ乳酸が含まれる態様としたが、これに限られるものではない。ポリ乳酸に加えて分解可能な別の樹脂成分が含まれていてもよいし、ポリ乳酸に代えて分解可能な別の樹脂成分が含まれていてもよい。分解可能な別の樹脂成分としては、アミン化合物存在下で加水分解される樹脂であれば特に限定されるものではない。また、メタン発酵装置4にモノマーとして有機酸である乳酸が供給される態様としたが、メタン発酵装置4に供給する物質は、樹脂成分分解装置2で分解されて得られたモノマーであれば、特に限定されるものではない。
【0108】
〔3〕上記各実施形態では、難分解性固形分を含む有機廃棄物が下水汚泥である態様としたが、これに限られるものではない。
【0109】
〔4〕上記各実施形態では、メタン発酵装置4が固液分離処理を実行可能に構成された態様としたが、メタン発酵装置4が固液分離処理を実行可能に構成されていない態様であってもよい。
【0110】
〔5〕上記各実施形態では、メタン発酵装置4が、発酵槽5にモノマーが供給されていない状態において、発酵槽5に対する下水汚泥の容積負荷が5gCODcr/L/日以下である状態で下水汚泥をメタン発酵するように構成されたものである態様としたが、メタン発酵装置4が、発酵槽5にモノマーが供給されていない状態において、発酵槽5に対する下水汚泥の容積負荷が5gCODcr/L/日より大きい状態で下水汚泥をメタン発酵するように構成されたものであってもよい。
【0111】
〔6〕上記各実施形態では、樹脂含有廃棄物中のポリ乳酸の量が調整されている態様としたが、樹脂含有廃棄物中のポリ乳酸の量が調整されていない態様であってもよい。また、第一実施形態では、樹脂含有廃棄物中のその他の樹脂成分(樹脂成分分解装置2で分解されない樹脂成分)の量が調整されている態様としたが、樹脂含有廃棄物中のその他の樹脂成分の量が調整されていない態様であってもよい。例えば、ポリ乳酸やその他の樹脂成分は、常時必要量が処理施設に集まるとは限らない。そのため、処理施設に集まった樹脂含有廃棄物を、樹脂成分の量を調整することなく、リサイクル処理に供してもよい。
【0112】
〔7〕上記各実施形態では、ポリ乳酸を加水分解した後、分解槽3内に残留する水蒸気及びアンモニアを分解槽3内から回収して再利用する態様としたが、分解槽3内に残留する水蒸気及びアンモニアを回収せずに廃棄する態様であってもよい。
【0113】
〔8〕上記第一実施形態では、未分解成分ガス化装置6で生成した水素及び一酸化炭素をメタン発酵装置4の発酵槽5に供給する態様としたが、これに限られるものではない。例えば、いずれか一方のみを発酵槽5に供給し、他方を化学原料や燃料ガスとして回収する態様であってもよい。また、未分解成分ガス化装置6で生成した水素及び一酸化炭素の双方を発酵槽5に供給せず、これらを化学原料や燃料ガスとして回収する態様であってもよい。
【0114】
〔9〕上記第一実施形態では、メタン発酵装置4の発酵槽5において、一酸化炭素を基に酢酸を生成する態様としたが、発酵槽5において酢酸を生成しない態様であってもよい。また、一酸化炭素が供給される生成槽を有し、一酸化炭素から酢酸を生成する酢酸生成部をメタン発酵装置4とは別に設ける態様であってもよい。
【0115】
〔10〕上記第一実施形態では、未分解成分ガス化装置6で生成した一酸化炭素をメタン発酵装置4の発酵槽5に供給する態様としたが、これに限られるものではない。例えば、未分解成分ガス化装置6で生成した一酸化炭素を燃焼させ、発生した熱を樹脂成分分解装置2やメタン発酵装置4で利用する態様や、他の装置に利用する態様であってもよい。
【0116】
〔11〕上記第二実施形態では、未分解成分燃焼装置11で発生した熱を樹脂成分分解装置2及びメタン発酵装置4の双方で利用する態様としたが、樹脂成分分解装置2及びメタン発酵装置4のいずれか一方でのみ利用する態様であってもよいし、未分解成分燃焼装置11で発生した熱を他の装置に利用する態様であってもよい。
【0117】
上記実施形態(別実施形態を含む)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明は、樹脂成分を含有する樹脂含有廃棄物を処理するシステム及び方法に利用できる。
【符号の説明】
【0119】
1,10:廃棄物処理システム
2 :樹脂成分分解装置(樹脂成分分解部)
3 :分解槽
4 :メタン発酵装置(メタン発酵部)
5 :発酵槽
6 :未分解成分ガス化装置(未分解成分ガス化部)
11 :未分解成分燃焼装置(未分解成分燃焼部)