(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】電源制御装置および電源制御方法
(51)【国際特許分類】
B60R 16/033 20060101AFI20241220BHJP
H02H 7/00 20060101ALI20241220BHJP
【FI】
B60R16/033 B
H02H7/00 Z
(21)【出願番号】P 2021096193
(22)【出願日】2021-06-08
【審査請求日】2024-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白島 大樹
(72)【発明者】
【氏名】松本 健
(72)【発明者】
【氏名】松本 寛
(72)【発明者】
【氏名】木村 康臣
(72)【発明者】
【氏名】吉村 実
【審査官】高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-40475(JP,A)
【文献】特開2019-62727(JP,A)
【文献】特開2017-185881(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/033
H02H 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電源の電力を第1負荷に供給する第1系統と、
第2電源の電力を第2負荷に供給する第2系統と、
前記第1系統および前記第2系統を接続する系統間ラインに設けられる系統間スイッチと、
前記系統間ラインに流れる電流値を検出する第1電流センサと、
前記第1電流センサで検出される電流値が第1閾値より高く、前記第1負荷に供給される電流を検出する第2電流センサおよび前記第2負荷に供給される電流を検出する第3電流センサで検出される電流値が第2閾値より低いことを検出すると、地絡と判定して前記系統間スイッチを遮断する異常検出部と
を備えることを特徴とする電源制御装置。
【請求項2】
前記異常検出部は、
前記第1電流センサおよび前記第2電流センサで検出される電流値が前記第1閾値より高く、前記第3電流センサで検出される電流値が前記第2閾値より低いことを検出すると、前記第1負荷が過負荷であると判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の電源制御装置。
【請求項3】
前記異常検出部は、
前記第1電流センサおよび前記第3電流センサで検出される電流値が前記第1閾値より高く、前記第2電流センサで検出される電流値が前記第2閾値より低いことを検出すると、前記第2負荷が過負荷であると判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の電源制御装置。
【請求項4】
第1電源の電力を第1負荷に供給する第1系統と、
第2電源の電力を第2負荷に供給する第2系統と、
前記第1系統および前記第2系統を接続する系統間ラインに設けられる系統間スイッチと、
前記系統間ラインに流れる電流値を検出する第1電流センサと
を備える電源制御装置の異常検出部が、
前記第1電流センサで検出される電流値が第1閾値より高く、前記第1負荷に供給される電流を検出する第2電流センサおよび前記第2負荷に供給される電流を検出する第3電流センサで検出される電流値が第2閾値より低いことを検出すると、地絡と判定して前記系統間スイッチを遮断すること
を含むことを特徴とする電源制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、電源制御装置および電源制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の自動運転による走行中に電源失陥が発生しても、安全な場所まで退避走行させて停車させることができるように、第1電源と第2電源とを備え、一方の電源系統に地絡が発生した場合に、他方の電源系統によって自動運転用の車載機器(負荷)へ電力を供給する冗長電源システムがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
冗長電源システムは、自動運転用の第1負荷に接続される第1系統と、第1負荷と同一の機能を備える第2負荷に接続される第2系統と、第1系統および第2系統間を接続切断可能な系統間スイッチとを備える。
【0004】
冗長電源システムは、通常時には、系統間スイッチを接続して第1電源から第1負荷および第2負荷へ電力を供給する。そして、冗長電源システムは、例えば、第1系統と第2系統とを接続する系統間ラインに地絡閾値以上の過電流が流れた場合に、第1系統または第2系統に地絡が発生したと判定して系統間スイッチを遮断する。
【0005】
そして、冗長電源システムは、例えば、第1系統の地絡が確定した場合には、第2電源から第2負荷へ電力を供給し、第2系統の地絡が確定した場合には、第1電源から第1負荷へ電力を供給するバックアップ制御を行い、その旨を自動運転制御装置に通知する。自動運転制御装置は、第1系統または第2系統に地絡が発生した場合、自動運転の継続を禁止して、車両を退避走行させて停車させるフェイルセーフ制御を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、冗長電源システムは、例えば、第1負荷または第2負荷が一時的な過負荷状態になって系統間ラインに過電流が流れた場合に、地絡が発生したと誤判定して系統間スイッチを不必要に遮断することがある。
【0008】
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、過負荷による一時的な過電流が発生しても、系統間スイッチの不必要な遮断を防止することができる電源制御装置および電源制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態に係る電源制御装置は、第1系統と、第2系統と、系統間スイッチと、第1電流センサと、異常検出部とを備える。第1系統は、第1電源の電力を第1負荷に供給する。第2系統は、第2電源の電力を第2負荷に供給する。系統間スイッチは、前記第1系統および前記第2系統を接続する系統間ラインに設けられる。第1電流センサは、前記系統間ラインに流れる電流値を検出する。異常検出部は、前記第1電流センサで検出される電流値が第1閾値より高く、前記第1負荷に供給される電流を検出する第2電流センサおよび前記第2負荷に供給される電流を検出する第3電流センサで検出される電流値が第2閾値より低いことを検出すると、地絡と判定して前記系統間スイッチを遮断する。
【発明の効果】
【0010】
実施形態に係る電源制御装置および電源制御方法は、過負荷による一時的な過電流が発生しても、系統間スイッチの不必要な遮断を防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施形態に係る電源制御装置の構成例を示す説明図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る電源制御装置の動作例を示す説明図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る電源制御装置の動作例を示す説明図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る電源制御装置の動作例を示す説明図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る異常検出部による判定条件を示す説明図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る電源制御装置の動作例を示す説明図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る電源制御装置の動作例を示す説明図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る電源制御装置の異常検出部が実行する異常検出処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、実施形態に係る電源制御装置の異常検出部が実行する地絡発生系統判定処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、電源制御装置および電源制御方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。以下では、自動運転機能を備える車両に搭載されて負荷へ電力を供給する電源制御装置を例に挙げて説明するが、実施形態に係る電源制御装置は、自動運転機能を備えていない車両に搭載されてもよい。
【0013】
また、以下では、電源制御装置が搭載される車両が電気自動車またはハイブリット自動車である場合について説明するが、電源制御装置が搭載される車両は、内燃機関によって走行するエンジン自動車であってもよい。
【0014】
[1.電源制御装置の構成]
図1は、実施形態に係る電源制御装置の構成例を示す説明図である。
図1に示すように、実施形態に係る電源制御装置1は、第1電源10と、第1負荷101と、一般負荷102と、第2負荷103と、自動運転制御装置100とに接続される。電源制御装置1は、第1電源10の電力を第1負荷101および一般負荷102に供給する第1系統110と、後述する第2電源20の電力を第2負荷103に供給する第2系統120とを備える。
【0015】
第1負荷101は、自動運転用の負荷を含む。例えば、第1負荷101は、自動運転中に動作するステアリングモータ、電動ブレーキ装置、車載カメラ、およびレーダ等を含む。一般負荷102は、例えば、ディスプレイ、エアコン、オーディオ、ビデオ、および各種ライト等を含む。
【0016】
第2負荷103は、第1負荷101と同様の機能を備える。第2負荷103は、例えば、ステアリングモータ、電動ブレーキ装置、車載カメラ、およびレーダ等の自動運転中に動作する装置を含む。第1負荷101、一般負荷102、および第2負荷103は、電源制御装置1から供給される電力によって動作する。自動運転制御装置100は、第1負荷101または第2負荷103を動作させて、車両を自動運転制御する装置である。
【0017】
第1電源10は、DC/DCコンバータ(以下、「DC/DC11」と記載する)と、鉛バッテリ(以下、「PbB12」と記載する)とを含む。なお、第1電源10の電池は、PbB12以外の任意の2次電池であってもよい。
【0018】
DC/DC11は、発電機と、PbB12よりも電圧が高い高圧バッテリとに接続され、発電機および高圧バッテリの電圧を降圧して第1系統110に出力する。発電機は、例えば、走行する車両の運動エネルギーを電気に変換して発電するオルタネータである。高圧バッテリは、例えば、電気自動車やハイブリット自動車に搭載される車両駆動用のバッテリである。
【0019】
なお、第1電源10は、エンジン自動車に搭載される場合、DC/DC11の代わりにオルタネータ(発電機)が設けられる。DC/DC11は、PbB12の充電、第1負荷101および一般負荷102への電力供給、第2負荷103への電力供給、および後述する第2電源20の充電を行う。
【0020】
電源制御装置1は、第2電源20と、系統間スイッチ41と、異常検出部3と、第1電流センサ51とを備える。第2電源20は、第1電源10による電力供給ができなくなった場合のバックアップ用電源である。第2電源20は、リチウムイオンバッテリ(以下、「LiB21」と記載する)を備える。なお、第2電源20の電池は、LiB21以外の任意の2次電池であってもよい。
【0021】
系統間スイッチ41は、第1系統110と第2系統120とを接続する系統間ライン130に設けられ、第1系統110と第2系統120とを接続および切断可能なスイッチである。第1電流センサ51は、系統間ライン130に設けられ、系統間ライン130に流れる電流の電流値を検出し、検出結果を異常検出部3に出力する。
【0022】
第1系統110における第1負荷101の電流入力部には、第2電流センサ52が設けられる。また、第2系統120における第2負荷103の電流入力部には、第3電流センサ53が設けられる。
【0023】
第2電流センサ52は、第1負荷101に供給される電流の電流値を検出し、検出結果を異常検出部3に出力する。第3電流センサ53は、第2負荷103に供給される電流の電流値を検出し、検出結果を異常検出部3に出力する。
【0024】
異常検出部3は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを有するマイクロコンピュータや各種の回路を含む。なお、異常検出部3は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成されてもよい。
【0025】
異常検出部3は、CPUがROMに記憶されたプログラムを、RAMを作業領域として使用して実行することにより、電源制御装置1の動作を制御する。異常検出部3は、第1電流センサ51、第2電流センサ52、および第3電流センサ53から入力される検出結果に基づいて、第1系統110および第2系統120の地絡を検出する。異常検出部3による地絡の検出方法の具体例については、後述する。
【0026】
異常検出部3は、第1系統110または第2系統120の地絡を検出した場合、その旨を自動運転制御装置100に通知する。なお、異常検出部3は、第1系統110または第2系統120の地絡を検出した場合、自動運転が不可能な状態である旨を自動運転制御装置100に通知してもよい。また、異常検出部3は、第1系統110または第2系統120の地絡を検出していない場合、自動運転が可能な状態である旨を自動運転制御装置100に通知してもよい。
【0027】
異常検出部3は、第1系統110および第2系統120のうち、一方の系統に地絡等の電源失陥が発生した場合には、系統間スイッチ41を遮断し、電源失陥が発生していない他方の系統によって負荷へ電力を供給する。
【0028】
これにより、電源制御装置1は、自動運転中にいずれか一方の系統が地絡しても、他方の系統を使用し、自動運転制御装置100によって車両を安全な場所まで退避走行させて停車させることができる。次に、
図2~
図7を参照し、電源制御装置1の動作について説明する。
図2~
図4および
図6~7は、実施形態に係る電源制御装置の動作例を示す説明図である。
図5は、実施形態に係る異常検出部による判定条件を示す説明図である。
【0029】
[2.電源制御装置の通常時動作]
異常検出部3は、第1系統110および第2系統120に地絡が発生していない通常時には、
図2に示すように、系統間スイッチ41を導通して、第1電源10から第1負荷101、一般負荷102、および第2負荷103に電力を供給する。
【0030】
[3.電源制御装置の過電流検出時動作]
次に、
図3および
図4を参照して、電源制御装置1の過電流検出時動作について説明する。
図3に示すように、電源制御装置1では、通常動作中に、第1電源10と第2電流センサ52との間で地絡201が発生することがある。
【0031】
電源制御装置1では、地絡201が発生すると、第1電源10および第2電源20から地絡201の発生箇所に向かって過電流が流れる。このとき、異常検出部3は、系統間ライン130に過電流が流れるため、第1電流センサ51によって過電流が検出された場合に、地絡201が発生したとことを検出することは可能である。電源制御装置1は、地絡201が発生すると、系統間スイッチ41を遮断する。
【0032】
また、
図4に示すように、電源制御装置1では、通常動作中に、第2電源20と第3電流センサ53との間で地絡202が発生することがある。電源制御装置1では、地絡202が発生すると、第1電源10および第2電源20から地絡202の発生箇所に向かって過電流が流れる。このとき、異常検出部3は、系統間ライン130に過電流が流れるため、第1電流センサ51によって過電流が検出された場合に、地絡202が発生したとことを検出することは可能である。電源制御装置1は、地絡202が発生すると、系統間スイッチ41を遮断する。
【0033】
しかし、電源制御装置1では、例えば、第1負荷101または第2負荷103が過負荷状態になった場合にも、一時的に系統間ライン130に過電流が流れることがある。ここでの過負荷状態は、電源失陥ではない。
【0034】
このため、異常検出部3は、第1電流センサ51の検出結果だけに基づいて地絡201の発生を判定すると、過負荷状態による過電流を地絡201による過電流と誤判定し、不必要に系統間スイッチ41を遮断して電源失陥がなくても自動運転を中止させてしまうことがある。
【0035】
そこで、異常検出部3は、第1電流センサ51の検出結果に加え、第2電流センサ52および第3電流センサ53の検出結果を使用して、地絡201,202の発生を正確に判定する。地絡201,202が発生した場合、第1電流センサ51では過電流が検出されるが、第2電流センサ52および第3電流センサ53では過電流が検出さず、むしろ検出電流は低下する。
【0036】
これに対して、例えば、第1負荷101が過負荷状態になった場合、第1電流センサ51および第2電流センサ52の双方によって過電流が検出されるが、第3電流センサ53では過電流が検出されない。また、例えば、第2負荷103が過負荷状態になった場合、第1電流センサ51および第3電流センサ53の双方で過電流が検出されるが、第2電流センサ52では過電流が検出されない。
【0037】
このため、異常検出部3は、
図5に示す判定条件によって第1系統110の地絡201、第2系統120の地絡202、第1負荷101の過負荷状態、および第2負荷103の過負荷状態を判定する。
図5に示す第1閾値は、例えば、通常動作時に系統間ライン130を流れる電流値よりも高く設定される。
【0038】
第2閾値は、通常動作時に系統間ライン130を流れる電流値よりも低く設定される。例えば、第1負荷101および第2負荷103が稼働できる最低限の電力を供給する際に流れる電流値と同じ、または、それよりも低く設定される。
【0039】
異常検出部3は、
図5に示すように、第1電流センサ51で検出される電流値が第1閾値より高く、第2電流センサ52および第3電流センサ53で検出される電流値が第2閾値より低いことを検出すると、第1系統110または第2系統120に地絡202が発生したと判定し、系統間スイッチ41を遮断する。
【0040】
このとき、異常検出部3は、第1電流センサ51の検出結果に基づき、系統間ライン130を流れた過電流の方向が第2系統120から第1系統110へ向かう方向であった場合、第1系統110における地絡201と判定する。
【0041】
異常検出部3は、第1系統110において地絡201が発生したと判定した場合、
図6に示すように、系統間スイッチ41を遮断し、その旨を自動運転制御装置100に通知する。これにより、自動運転制御装置100は、第2電源20から供給される電力によって第2負荷103を動作させて、車両を安全な場所まで退避走行させて停車させることができる。
【0042】
また、異常検出部3は、第1電流センサ51の検出結果に基づき、系統間ライン130を流れた過電流の方向が第1系統110から第2系統120へ向かう方向であった場合、第2系統120における地絡202と判定する。
【0043】
異常検出部3は、第2系統120において地絡202が発生したと判定した場合、
図7に示すように、系統間スイッチ41を遮断し、その旨を自動運転制御装置100に通知する。これにより、自動運転制御装置100は、第1電源10から供給される電力によって第1負荷101を動作させて、車両を安全な場所まで退避走行させて停車させることができる。
【0044】
また、異常検出部3は、
図5(第1負荷過負荷)に示すように、第1電流センサ51および第2電流センサ52で検出される電流値が第1閾値より高く、第3電流センサ53で検出される電流値が第2閾値より低ければ、第1負荷101が過負荷状態であると判定し、系統間スイッチ41を遮断せず、導通状態を維持させる。
【0045】
また、異常検出部3は、
図5(第2負荷過負荷)に示すように、第1電流センサ51および第3電流センサ53で検出される電流値が第1閾値より高く、第2電流センサ52で検出される電流値が第2閾値より低ければ、第2負荷103が過負荷状態であると判定し、系統間スイッチ41を遮断せず、導通状態を維持させる。
【0046】
これにより、異常検出部3は、地絡201,202による過電流が発生した場合には、確実に系統間スイッチ41を遮断し、過負荷状態による過電流が発生した場合には、系統間スイッチ41の不必要な遮断を防止することができる。
【0047】
[4.異常判定部が実行する異常検出処理]
次に、
図8を参照して実施形態に係る異常検出部が実行する異常判定処理の一例について説明図する。
図8は、実施形態に係る電源制御装置の異常検出部が実行する異常検出処理の一例を示すフローチャートである。実施形態に係る異常検出部3は、通常動作中に、
図9に示す処理を繰り返し実行する。
【0048】
具体的には、
図8に示すように、異常検出部3は、まず、第1電流センサ51の電流値が第1閾値より高いか否かを判定する(ステップS101)。異常検出部3は、第1電流センサ51の電流値が第1閾値より低いと判定した場合(ステップS101,No)、異常なしと判定し(ステップS107)、処理を終了してステップS101から処理を再度開始する。
【0049】
また、異常検出部3は、第1電流センサ51の電流値が第1閾値より高いと判定した場合(ステップS101,Yes)、第2電流センサ52および第3電流センサ53の電流値が第2閾値より低いか否かを判定する(ステップS102)。
【0050】
異常検出部3は、第2電流センサ52または第3電流センサ53の電流値が第2閾値より高いと判定した場合(ステップS102,No)、異常なしと判定し(ステップS107)、処理を終了してステップS101から処理を再度開始する。
【0051】
このとき、第2電流センサ52の電流値が第1閾値よりも高く、第3電流センサ53の電流値が第2閾値よりも低ければ、第1負荷101が過負荷状態であり、第2電流センサ52の電流値が第2閾値よりも低く、第3電流センサ53の電流値が第1閾値よりも高ければ第2負荷103が過負荷状態である(
図5参照)。ただし、いずれの状態も地絡201,202ではないので、異常検出部3は、異常なしと判定し、処理を終了してステップS101から処理を再度開始する。
【0052】
また、異常検出部3は、第2電流センサ52および第3電流センサ53の電流値が第2閾値より低いと判定した場合(ステップS102,Yes)、第1系統110または第2系統120に地絡発生と判定する(ステップS103)。
【0053】
続いて、異常検出部3は、系統間スイッチ41を遮断し(ステップS104)、地絡発生系統判定処理を実行する(ステップS105)。地絡発生系統判定処理の一例については、
図9を参照して後述する。その後、異常検出部3は、地絡発生系統判定処理の判定結果を自動運転制御装置100に通知して(ステップS106)、処理を終了する。
【0054】
[5.異常判定部が実行する地絡発生系統判定処理]
次に、
図9を参照して実施形態に係る異常検出部が実行する地絡発生系統判定処理の一例について説明図する。
図9は、実施形態に係る電源制御装置の異常検出部が実行する地絡発生系統判定処理の一例を示すフローチャートである。
【0055】
図9に示すように、異常検出部3は、地絡発生系統判定処理を開始すると、系統間ライン130を流れた過電流の方向が、第2系統120から第1系統110に向かう方向であるか否かを判定する(ステップS201)。
【0056】
異常検出部3は、系統間ライン130を流れた過電流の方向が、第2系統120から第1系統110に向かう方向であると判定した場合(ステップS201,Yes)、第1系統110の地絡201と判定し(ステップS202)、地絡発生系統判定処理を終了して、処理を
図8に示すステップS106へ移す。
【0057】
また、異常検出部3は、系統間ライン130を流れた過電流の方向が、第2系統120から第1系統110に向かう方向でない、つまり、第1系統110から第2系統120へ向かう方向であると判定した場合(ステップS201,No)、第2系統120の地絡202であると判定し(ステップS203)、地絡発生系統判定処理を終了して、処理を
図8に示すステップS106へ移す。
【0058】
上述した実施形態では、電源制御装置1が第2電流センサ52と第3電流センサ53とを備える場合を例に挙げて説明したが、これは一例である。第2電流センサ52は、例えば、第1負荷101の内部に設けられてもよい。同様に第3電流センサ53は、第2負荷103の内部に設けられてもよい。
【0059】
また、第2電流センサ52は、第1系統110に複数の第1負荷101が接続される場合、各第1負荷101に設けられてもよいし、各第1負荷101に電力を供給する配線の合流点に設けられてもよい。
【0060】
同様に、第3電流センサ53は、第2系統120に複数の第2負荷103が接続される場合、各第2負荷103に設けられてもよいし、各第2負荷103に電力を供給する配線の合流点に設けられてもよい。
【0061】
上述した実施形態では、地絡発生系統の判定を、系統間スイッチ41を流れる電流の向きで行ったが、第1系統110と第2系統120にそれぞれ別途図示せぬ電圧センサを設け、各電圧センサの電圧で地絡発生系統を判定してもよい。その場合、電圧センサの検出電圧が、地絡判定用の閾値より低い系統が地絡発生系統であると判定する。
【0062】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0063】
1 電源制御装置
10 第1電源
11 DC/DC
12 PbB
20 第2電源
21 LiB
3 異常検出部
41 系統間スイッチ
51 第1電流センサ
52 第2電流センサ
53 第3電流センサ
100 自動運転制御装置
101 第1負荷
102 一般負荷
103 第2負荷
110 第1系統
120 第2系統
130 系統間ライン