(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】食器洗浄機
(51)【国際特許分類】
A47L 15/42 20060101AFI20241220BHJP
A47L 15/46 20060101ALI20241220BHJP
【FI】
A47L15/42 Q
A47L15/42
A47L15/46 Z
A47L15/42 U
(21)【出願番号】P 2021115900
(22)【出願日】2021-07-13
【審査請求日】2024-05-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】弁理士法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】大橋 龍成
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】実開平02-029658(JP,U)
【文献】特開2021-041250(JP,A)
【文献】実開昭51-070068(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2019/0387951(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第105992545(CN,A)
【文献】特開2013-103178(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 15/00~15/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄物が収容される洗浄槽と、
前記洗浄槽内に設けられ、前記被洗浄物が載置される食器かごと、
前記洗浄槽内において前記被洗浄物を洗浄水によって洗浄する洗浄運転を実行する洗浄装置と、を備えた食器洗浄機であって、
前記洗浄装置は、前記食器かごよりも下方に設けられ、
噴射する前記洗浄水が円錐状に拡散することを抑制する先端形状を有する第1洗浄水衝突用ノズルであって、鉛直方向に延びる噴射軸心を中心として
鉛直方向上向き
の水柱状に前記洗浄水を噴射する
前記第1洗浄水衝突用ノズルと、
前記第1洗浄水衝突用ノズルに上から対向する位置に設けられ、
噴射する前記洗浄水が円錐状に拡散することを抑制する先端形状を有する第2洗浄水衝突用ノズルであって、前記噴射軸心を中心として
鉛直方向下向き
の水柱状に前記洗浄水を噴射する
前記第2洗浄水衝突用ノズルと、を有していることを特徴とする食器洗浄機。
【請求項2】
前記第1洗浄水衝突用ノズルから噴射された前記洗浄水と、前記第2洗浄水衝突用ノズルから噴射された前記洗浄水と、が衝突する衝突高さを調整する衝突高さ調整手段を備えている請求項
1記載の食器洗浄機。
【請求項3】
被洗浄物が収容される洗浄槽と、
前記洗浄槽内に設けられ、前記被洗浄物が載置される食器かごと、
前記洗浄槽内において前記被洗浄物を洗浄水によって洗浄する洗浄運転を実行する洗浄装置と、を備えた食器洗浄機であって、
前記洗浄装置は、前記食器かごよりも下方に設けられ、鉛直方向に延びる噴射軸心を中心として上向きに前記洗浄水を噴射する第1洗浄水衝突用ノズルと、
前記第1洗浄水衝突用ノズルに上から対向する位置に設けられ、前記噴射軸心を中心として下向きに前記洗浄水を噴射する第2洗浄水衝突用ノズルと、を有し、
前記第1洗浄水衝突用ノズルから噴射された前記洗浄水と、前記第2洗浄水衝突用ノズルから噴射された前記洗浄水と、が衝突する衝突高さを調整する衝突高さ調整手段を備えていることを特徴とする食器洗浄機。
【請求項4】
前記洗浄装置を制御して前記洗浄運転を実行させる制御部を備え、
前記制御部は、前記洗浄運転の実行中に前記衝突高さ調整手段を制御して前記衝突高さを変更可能である請求項
2又は3記載の食器洗浄機。
【請求項5】
前記制御部は、複数の運転コースから選択された1つの前記運転コースで、前記洗浄装置に前記洗浄運転を実行させることが可能であり、
各前記運転コースは、前記洗浄運転の実行中に前記衝突高さを変更するときの上限高さが第1位置である第1運転コースと、
前記上限高さが前記第1位置よりも高い第2位置である第2運転コースと、を含み、
前記第2位置は、前記第1洗浄水衝突用ノズルと前記第2洗浄水衝突用ノズルとから等しい距離で離れた中間位置よりも高い請求項4記載の食器洗浄機。
【請求項6】
前記制御部は、複数の運転コースから選択された1つの前記運転コースで、前記洗浄装置に前記洗浄運転を実行させることが可能であり、
各前記運転コースは、前記洗浄運転の実行中に前記衝突高さを変更するときの上限高さが第1位置である第1運転コースと、
前記上限高さが前記第1位置よりも低い第3位置である第3運転コースと、を含み、
前記第3位置は、前記第1洗浄水衝突用ノズルと前記第2洗浄水衝突用ノズルとから等しい距離で離れた中間位置以下である請求項4又は5記載の食器洗浄機。
【請求項7】
前記洗浄装置は、前記食器かごよりも下方に設けられ、前記噴射軸心周りに回転しながら前記洗浄水を噴射する回転ノズルを有している請求項1
乃至6のいずれか1項記載の食器洗浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は食器洗浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の食器洗浄機の一例が開示されている。この食器洗浄機は、洗浄槽、食器かご及び洗浄装置を備えている。
【0003】
洗浄槽には被洗浄物が収容される。食器かごは洗浄槽内に設けられ、被洗浄物が載置される。洗浄装置は、回転ノズル及びタワーノズルを有している。回転ノズルは、食器かごよりも下方で回転しながら洗浄水を噴射する。タワーノズルは、回転ノズルの回転軸から上向きに突出し、回転ノズルと共に回転しながら横向きに洗浄水を噴射する。洗浄装置は、洗浄槽内において被洗浄物を洗浄水によって洗浄する洗浄運転を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、被洗浄物には、底から開口縁までの高さが大きい深底の被洗浄物が含まれる。深底の被洗浄物は、例えば鍋等の調理器具や、深鉢、キャニスタ等の食器類である。そして、深底の被洗浄物は、食器かごに横向きに載置される場合が多い。
【0006】
この場合、上記従来の食器洗浄機において、回転ノズルから噴射される洗浄水は、横向きに載置された深底の被洗浄物の外周面や底の外面にかかり易い一方、その内周面や底の内面にかかり難い。
【0007】
また、タワーノズルから横向きに噴射される洗浄水は、回転ノズルと比較して、横向きに載置された深底の被洗浄物の内周面や底の内面にかかり易いものの、回転ノズルと共に回転するという制約により、横向きの噴射方向の変化が画一的になり易い。
【0008】
その結果、この食器洗浄機は、食器かごに横向きに載置された被洗浄物の内部に対する洗浄性能を向上させることが難しい。
【0009】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、食器かごに横向きに載置された被洗浄物の内部に対する洗浄性能の向上を実現できる食器洗浄機を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の食器洗浄機は、被洗浄物が収容される洗浄槽と、
前記洗浄槽内に設けられ、前記被洗浄物が載置される食器かごと、
前記洗浄槽内において前記被洗浄物を洗浄水によって洗浄する洗浄運転を実行する洗浄装置と、を備えた食器洗浄機であって、
前記洗浄装置は、前記食器かごよりも下方に設けられ、鉛直方向に延びる噴射軸心を中心として上向きに前記洗浄水を噴射する第1洗浄水衝突用ノズルと、
前記第1洗浄水衝突用ノズルに上から対向する位置に設けられ、前記噴射軸心を中心として下向きに前記洗浄水を噴射する第2洗浄水衝突用ノズルと、を有していることを特徴とする。
【0011】
本発明の食器洗浄機において、第1洗浄水衝突用ノズルが鉛直方向に延びる噴射軸心を中心として上向きに噴射した洗浄水と、第2洗浄水衝突用ノズルが噴射軸心を中心として下向きに噴射した洗浄水とが衝突することにより、それらの洗浄水が洗浄槽内で噴射軸心から横向きに放射状に飛散し、かつ横向きの飛散方向が上り傾斜する方向、水平方向、又は下り傾斜する方向に不規則に変化する。
【0012】
これにより、衝突して飛散する洗浄水は、食器かごに横向きに載置された被洗浄物、特に鍋、深鉢、キャニスタ等の深底の被洗浄物の内周面や底の内面にかかり易く、また、横向きの飛散方向の変化が画一的になり難い。
【0013】
したがって、本発明の食器洗浄機は、食器かごに横向きに載置された被洗浄物の内部に対する洗浄性能の向上を実現できる。
【0014】
洗浄装置は、食器かごよりも下方に設けられ、噴射軸心周りに回転しながら洗浄水を噴射する回転ノズルを有していることが望ましい。
【0015】
この場合、回転ノズルから噴射される洗浄水が横向きに載置された被洗浄物の外周面や底の外面にかかり易い。その結果、この食器洗浄機は、食器かごに横向きに載置された被洗浄物の全体に対する洗浄性能の向上を実現できる。また、この場合、回転ノズルが回転するときの振動が第1洗浄水衝突用ノズルに伝わることで、第1洗浄水衝突用ノズルから噴射された洗浄水の噴射軸心に直交する断面における分布に不規則なゆらぎが発生し易くなる。その結果、第1洗浄水衝突用ノズルから噴射された洗浄水と、第2洗浄水衝突用ノズルから噴射された洗浄水との衝突位置が不規則に変動し易くなるため、衝突した洗浄水の飛散方向の変化が一層画一的になり難い。
【0016】
食器洗浄機は、第1洗浄水衝突用ノズルから噴射された洗浄水と、第2洗浄水衝突用ノズルから噴射された洗浄水と、が衝突する衝突高さを調整する衝突高さ調整手段を備えていることが望ましい。
【0017】
この場合、衝突高さ調整手段が衝突高さを高くしたり、低くしたりすることにより、衝突した洗浄水を洗浄槽内の高さ方向の広い範囲において、様々な方向に飛散させることができる。その結果、衝突して飛散する洗浄水は、食器かごに載置される被洗浄物の大きさ、形状、数量等が様々に変化しても、それらの被洗浄物の内周面や底の内面にかかり易く、また、横向きの飛散方向の変化が一層画一的になり難い。その結果、この食器洗浄機は、食器かごに横向きに載置された被洗浄物の内部に対する洗浄性能の向上を確実性高く実現できる。
【0018】
食器洗浄機は、洗浄装置を制御して洗浄運転を実行させる制御部を備えていることが望ましい。そして、制御部は、洗浄運転の実行中に衝突高さ調整手段を制御して衝突高さを変更可能であることが望ましい。
【0019】
この場合、制御部は、洗浄運転の実行中に、例えば食器かごに載置される被洗浄物の大きさ、形状、数量等に応じて、衝突高さを変更したり、衝突高さの変動範囲を変更したり、衝突高さの変動パターンや変動周期を変更したりすることができる。その結果、この食器洗浄機は、食器かごに横向きに載置された被洗浄物の内部に対する洗浄性能の向上を一層確実性高く実現できる。
【0020】
制御部は、複数の運転コースから選択された1つの運転コースで、洗浄装置に洗浄運転を実行させることが可能であることが望ましい。各運転コースは、洗浄運転の実行中に衝突高さを変更するときの上限高さが第1位置である第1運転コースと、上限高さが第1位置よりも高い第2位置である第2運転コースと、を含んでいることが望ましい。そして、第2位置は、第1洗浄水衝突用ノズルと第2洗浄水衝突用ノズルとから等しい距離で離れた中間位置よりも高いことが望ましい。
【0021】
この場合、標準的な大きさの食器類等である被洗浄物が食器かごに載置されたときに第1運転コースが選択される一方、フライパンや鍋等の高さ方向に嵩張る被洗浄物が食器かごに載置されたときに第2運転コースが選択されることにより、制御部は、被洗浄物が高さ方向に嵩張る程、衝突高さの上限を高くできる。これにより、この食器洗浄機は、高さ方向に嵩張る被洗浄物の上部分に洗浄水がかかり難くなることを抑制できる。その結果、この食器洗浄機は、食器かごに横向きに載置された被洗浄物の内部に対する洗浄性能の向上を一層確実性高く実現できる。
【0022】
制御部は、複数の運転コースから選択された1つの運転コースで、洗浄装置に洗浄運転を実行させることが可能であることが望ましい。各運転コースは、洗浄運転の実行中に衝突高さを変更するときの上限高さが第1位置である第1運転コースと、上限高さが第1位置よりも低い第3位置である第3運転コースと、を含んでいることが望ましい。そして、第3位置は、第1洗浄水衝突用ノズルと第2洗浄水衝突用ノズルとから等しい距離で離れた中間位置以下であることが望ましい。
【0023】
この場合、標準的な大きさの食器類等である被洗浄物が食器かごに載置されたときに第1運転コースが選択される一方、茶碗、小皿、小鉢、湯呑み等の高さ方向に嵩張らない被洗浄物が食器かごに載置されたときに第3運転コースが選択されることにより、制御部は、被洗浄物が高さ方向に嵩張らない程、衝突高さの上限を低くできる。これにより、この食器洗浄機は、高さ方向に嵩張らない被洗浄物よりも上方で洗浄水が飛散する機会が多くなってその被洗浄物に洗浄水がかかり難くなることを抑制できる。その結果、この食器洗浄機は、食器かごに横向きに載置された被洗浄物の内部に対する洗浄性能の向上を一層確実性高く実現できる。
【0024】
食器洗浄機は、前方が開放された筐体を備えていることが望ましい。洗浄槽は、上方が開放された槽開口を有し、筐体内に収容された収容位置と、収容位置から前方に移動して筐体の外部に露出する引き出し位置との間で移動可能であることが望ましい。食器洗浄機は、筐体内に設けられ、洗浄槽が収容位置にあるときには槽開口を閉塞する一方、洗浄槽が収容位置と引き出し位置との間で移動するときには上昇して槽開口を開放するように構成された蓋体をさらに備えていることが望ましい。そして、第2洗浄水衝突用ノズルは、蓋体に設けられていることが望ましい。
【0025】
この場合、食器洗浄機は引き出し式であって、第1洗浄水衝突用ノズル及び第2洗浄水衝突用ノズルが奏する作用効果により、食器かごに横向きに載置された被洗浄物の内部に対する洗浄性能の向上を実現できる。また、第2洗浄水衝突用ノズルは、洗浄槽が収容位置と引き出し位置との間で移動するときには槽開口を開放する蓋体と共に上昇するので、洗浄槽の移動を阻害し難く、また、洗浄槽に対する被洗浄物の収容及び取り出し作業を阻害し難い。
【発明の効果】
【0026】
本発明の食器洗浄機によれば、食器かごに横向きに載置された被洗浄物の内部に対する洗浄性能の向上を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、実施例1の食器洗浄機の模式断面図である。
【
図2】
図2は、第1、2洗浄水衝突用ノズルから噴射された洗浄水が衝突して飛散する状態と、第1、2回転ノズルから噴射された洗浄水が飛散する状態と、を説明するための部分模式断面図である。
【
図3】
図3は、実施例1の食器洗浄機のブロック図である。
【
図4】
図4は、洗浄運転の実行中に衝突高さを変更するときの上限高さとしての第1~3位置を説明するための部分模式断面図である。
【
図5】
図5は、洗浄運転の実行中に、第1、2洗浄水衝突用ノズルから噴射された洗浄水が衝突して飛散する状態を説明するための部分模式断面図である。
【
図6】
図6は、実施例2の食器洗浄機の模式断面図であって、洗浄槽が収容位置にある状態を示す図である。
【
図7】
図7は、実施例2の食器洗浄機の模式断面図であって、洗浄槽が引き出し位置に移動した状態を示す図である。
【
図8】
図8は、実施例2の食器洗浄機のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を具体化した実施例1、2を図面を参照しつつ説明する。
【0029】
(実施例1)
図1に示すように、実施例1の食器洗浄機1は、本発明の食器洗浄機の具体的態様の一例である。食器洗浄機1は、扉体8が開閉するフロントオープン式であり、システムキッチンの天板CT1の下方に配置されている。
【0030】
<筐体、洗浄槽、食器かご及び扉体>
食器洗浄機1は、筐体9、洗浄槽7、食器かご70D、70U及び扉体8を備えている。本実施例では、システムキッチンを利用するユーザが筐体9と対向する側、すなわち扉体8が位置する
図1の紙面左側を筐体9の前方と規定し、
図1の紙面右側を筐体9の後方と規定する。
【0031】
筐体9は略箱状体であり、その内部に洗浄槽7を据え置き状態で収容している。洗浄槽7は、槽開口7Hを有する略箱状体である。槽開口7Hは、洗浄槽7の前部を開放して、洗浄槽7内と筐体9の外部とを連通させている。洗浄槽7内の底部には、水を貯める貯水部71が設けられている。貯水部71は、残采フィルタ67によって、上部分と下部分とに区画されている。
【0032】
食器かご70Dは、洗浄槽7内の下部分に設けられている。食器かご70Dの下端側には、複数のローラが設けられている。洗浄槽7内における貯水部71よりも上方には、食器かご70Dのローラを案内するレール70Rが前後方向に延びるように設けられている。
【0033】
食器かご70Uは、洗浄槽7内の上部分に設けられている。食器かご70Uと洗浄槽7の内壁面との間には、複数段引き出し式のスライドレール70Sが前後方向に延びるように設けられている。
【0034】
洗浄槽7には、食器類TW1が食器かご70D、70Uに載置された状態で収容される。食器類TW1は、例えば、茶碗TW1C、皿TW1D、グラスTW1G、深鉢等の飲食用器、箸、スプーン、フォーク等の飲食用具、深底の鍋TW1P、フライパン等の調理器具、キャニスタ等の保存容器等である。食器類TW1は、本発明の「被洗浄物」の一例である。
【0035】
食器かご70Dは、食器かご70Uと比較して、皿TW1Dや深底の鍋TW1P等を載置し易い大きさ及び形状を有している。深底の鍋TW1Pは、底から開口縁までの高さが大きいため、食器かご70Dに横向きに載置される。
【0036】
食器かご70Dは、規制柵70Eを有している。規制柵70Eは、食器かご70Dの底部の中央から上向きに略円筒状に突出している。
【0037】
扉体8は、筐体9の前面に配置されて、洗浄槽7の槽開口7Hを閉塞している。扉体8は、その下端が揺動軸心X8周りに揺動可能に筐体9に支持されている。
【0038】
図示は省略するが、扉体8は、ユーザが手動による開操作を行うことにより、その上端が前方かつ下方に向かうように揺動する。そして、扉体8は、略水平に前向きに突出する状態となって、洗浄槽7の槽開口7Hを開放する。また、この状態から、ユーザが手動による閉操作を行うことにより逆向きに揺動し、洗浄槽7の槽開口7Hを閉塞する状態に復帰する。
【0039】
扉体8が洗浄槽7の槽開口7Hを開放する状態で、洗浄槽7内の食器かご70D、70Uを前方に引き出すことにより、食器かご70D、70Uが筐体9の外部に露出する。これにより、ユーザは、食器類TW1を食器かご70D、70Uに載置したり、食器かご70D、70Uから食器類TW1を取り出したりすることができる。
【0040】
<給水管、給水電磁弁及び排水管>
食器洗浄機1は、給水管P1、給水電磁弁69及び排水管P2をさらに備えている。給水管P1、給水電磁弁69及び排水管P2は、筐体9内に設けられている。
【0041】
給水管P1は、食器洗浄機1の外部に設けられた図示しない給水源から洗浄槽7内に水を供給する。給水電磁弁69は、給水管P1を開閉して洗浄槽7内への水の供給と停止とを切り替える。給水管P1及び給水電磁弁69によって洗浄槽7内に供給された水は、貯水部71に貯められて洗浄運転において洗浄水とされる。排水管P2は、洗浄槽7内の洗浄水を食器洗浄機1の外部に排出する。
【0042】
<洗浄装置>
食器洗浄機1は、洗浄装置60をさらに備えている。洗浄装置60は、以下の構成により、洗浄槽7内において食器類TW1を洗浄水によって洗浄する洗浄運転を実行する。
【0043】
洗浄装置60は、第1ポンプ65、第2ポンプ66、第1接続配管P3、第2接続配管P4、第1圧送配管P5及び第2圧送配管P6を有している。
【0044】
第1ポンプ65及び第2ポンプ66は、洗浄槽7の貯水部71の下部に組み付けられている。第1ポンプ65及び第2ポンプ66はそれぞれ電動モータ駆動型であり、洗浄水を圧送するときの圧力や流量を適宜変更可能である。
【0045】
第1接続配管P3は、貯水部71における残采フィルタ67よりも下に位置する部分と第1ポンプ65の吸入口とに接続している。第2接続配管P4は、貯水部71における残采フィルタ67よりも下に位置する部分と第2ポンプ66の吸入口とに接続している。
【0046】
第1圧送配管P5は、第1ポンプ65の吐出口に接続している。第1圧送配管P5は、上方に延びて貯水部71における残采フィルタ67よりも上に位置する部分の中央に突出している。第1ポンプ65は、内蔵する電動モータが回転することにより、貯水部71に貯められた洗浄水を第1圧送配管P5に圧送する。
【0047】
第2圧送配管P6は、第2ポンプ66の吐出口に接続している。第2圧送配管P6は、後方に延びた後に屈曲し、洗浄槽7の後壁に沿って上方に延びている。そして、第2圧送配管P6は、食器かご70Dよりも上方、かつ食器かご70Uよりも下方の位置で前向きに屈曲し、洗浄槽7の後壁を通過して、洗浄槽7内に突出している。第2圧送配管P6は、洗浄槽7内において片持ち梁状に前方に延び、その下流端が洗浄槽7の中央に位置している。
【0048】
第2ポンプ66は、内蔵する電動モータが回転することにより、貯水部71に貯められた洗浄水を第2圧送配管P6に圧送する。
【0049】
なお、排水管P2は、第2ポンプ66の別の吐出口に接続している。第2ポンプ66は、内蔵する電動モータが逆回転することにより、貯水部71に貯められた洗浄水を排水管P2に圧送し、食器洗浄機1の外部に排出する。
【0050】
図1及び
図2に示すように、洗浄装置60は、第1回転ノズル61D及び第1洗浄水衝突用ノズル62Dをさらに有している。第1回転ノズル61D及び第1洗浄水衝突用ノズル62Dは、食器かご70Dよりも下方に設けられている。
【0051】
第1回転ノズル61Dは、本発明の「回転ノズル」の一例である。第1回転ノズル61Dは、連結部61D1、複数のアーム61D2及び複数のノズル孔61D3を有している。
【0052】
連結部61D1は、第1圧送配管P5の上端に回転可能に連結されている。これにより、第1回転ノズル61Dは、洗浄槽7の中央で鉛直方向に延びる噴射軸心X1周りに回転可能である。各アーム61D2は、連結部61D1から噴射軸心X1の径外方向に延びている。各ノズル孔61D3は、各アーム61D2の上面に設けられている。
【0053】
第1ポンプ65によって圧送される洗浄水が第1圧送配管P5を経由して第1回転ノズル61Dに到達すると、第1回転ノズル61Dは、噴射軸心X1周りに回転しながら、各ノズル孔61D3から洗浄水を噴射する。第1回転ノズル61Dの噴射方向は、洗浄槽7内の全域に向かって、特に食器かご70Dに載置された食器類TW1に向かって、洗浄水を飛散させるように様々な方向に変化するようになっている。
【0054】
第1洗浄水衝突用ノズル62Dは、第1回転ノズル61Dの連結部61D1の上面に設けられている。第1洗浄水衝突用ノズル62Dは、噴射軸心X1を中心として上向きに突出する略円筒形状である。特に、第1洗浄水衝突用ノズル62Dの先端形状は、噴射する洗浄水が円錐状に拡散することを抑制する形状である。
【0055】
第1ポンプ65によって圧送される洗浄水が第1圧送配管P5を経由して第1洗浄水衝突用ノズル62Dに到達すると、第1洗浄水衝突用ノズル62Dは、噴射軸心X1を中心として上向きに洗浄水を噴射する。この際、第1洗浄水衝突用ノズル62Dから噴射される洗浄水は、噴射軸心X1を中心とする水柱状になる。
【0056】
規制柵70Eは、食器かご70Dに載置された食器類TW1が第1洗浄水衝突用ノズル62Dによる洗浄水の噴射を阻害しないように、食器類TW1の位置を規制する。
【0057】
洗浄装置60は、第2回転ノズル61U及び第2洗浄水衝突用ノズル62Uをさらに有している。第2回転ノズル61U及び第2洗浄水衝突用ノズル62Uは、食器かご70Dよりも上方、かつ食器かご70Uよりも下方に設けられている。
【0058】
第2回転ノズル61Uは、連結部61U1、複数のアーム61U2及び複数のノズル孔61U3を有している。
【0059】
連結部61U1は、第2圧送配管P6の下流端の上面に回転可能に連結されている。これにより、第2回転ノズル61Uは、噴射軸心X1周りに回転可能である。各アーム61U2は、連結部61U1から噴射軸心X1の径外方向に延びている。各ノズル孔61U3は、各アーム61U2の上面に設けられている。
【0060】
第2ポンプ66によって圧送される洗浄水が第2圧送配管P6を経由して第2回転ノズル61Uに到達すると、第2回転ノズル61Uは、噴射軸心X1周りに回転しながら、各ノズル孔61U3から洗浄水を噴射する。第2回転ノズル61Uの噴射方向は、洗浄槽7内の特に食器かご70Uに載置された食器類TW1に向かって洗浄水を飛散させるように様々な方向に変化するようになっている。
【0061】
第2洗浄水衝突用ノズル62Uは、第2圧送配管P6の下流端の下面に設けられている。第2洗浄水衝突用ノズル62Uは、噴射軸心X1を中心として下向きに突出する略円筒形状である。特に、第2洗浄水衝突用ノズル62Uの先端形状は、噴射する洗浄水が円錐状に拡散することを抑制する形状である。
【0062】
つまり、第2洗浄水衝突用ノズル62Uは、第1洗浄水衝突用ノズル62Dに上から対向する位置に設けられている。第2回転ノズル61Uは、第2洗浄水衝突用ノズル62Uよりも上方に設けられている。
【0063】
第2ポンプ66によって圧送される洗浄水が第2圧送配管P6を経由して第2洗浄水衝突用ノズル62Uに到達すると、第2洗浄水衝突用ノズル62Uは、噴射軸心X1を中心として下向きに洗浄水を噴射する。この際、第2洗浄水衝突用ノズル62Uから噴射される洗浄水は、噴射軸心X1を中心とする水柱状になる。
【0064】
第1洗浄水衝突用ノズル62Dから噴射された水柱状の洗浄水と、第2洗浄水衝突用ノズル62Uから噴射された水柱状の洗浄水と、が衝突することにより、それらの洗浄水が洗浄槽7内で噴射軸心X1から横向きに放射状に飛散し、かつ横向きの飛散方向が上り傾斜する方向、水平方向、又は下り傾斜する方向に不規則に変化する。
【0065】
第1回転ノズル61D、第1洗浄水衝突用ノズル62D、第2回転ノズル61U及び第2洗浄水衝突用ノズル62Uから洗浄槽7内に噴射された洗浄水は、貯水部71に貯められる。そして、その洗浄水は、第1ポンプ65によって第1回転ノズル61D及び第1洗浄水衝突用ノズル62Dに繰り返し供給され、また、第2ポンプ66によって第2回転ノズル61U及び第2洗浄水衝突用ノズル62Uに繰り返し供給される。
【0066】
<ヒータ、温度センサ、乾燥ファン及び水位センサ>
図1に示すように、食器洗浄機1は、ヒータ63、温度センサ31、乾燥ファン68及び水位センサ34をさらに備えている。
【0067】
ヒータ63は、貯水部71の底部に配置されている。乾燥ファン68は、洗浄槽7の後壁に組み付けられている。温度センサ31は、貯水部71の底部におけるヒータ63に対して下方の位置に設けられている。
【0068】
ヒータ63は、洗浄槽7の貯水部71に貯められた洗浄水、又は洗浄槽7内の空気を加熱する。温度センサ31は、洗浄槽7の貯水部71に貯められた洗浄水、又は洗浄槽7内の空気の温度をヒータ63の近傍において検知する。
【0069】
乾燥ファン68は、ヒータ63を作動させた状態で回転作動することにより、加熱された空気を洗浄槽7内に送り込んで食器類TW1を乾燥させる。乾燥ファン68により洗浄槽7内に送り込まれた空気は、筐体9の前面の上端に開口して洗浄槽7内と連通する排気通路79を経由して食器洗浄機1の外部に排気される。
【0070】
水位センサ34は、洗浄槽7の貯水部71の隣に設けられている。水位センサ34は、連通管を介して洗浄槽7の貯水部71と接続された水位検知槽内のフロートの上下動に基づいて、洗浄槽7内の洗浄水の水位を検知する。
【0071】
<制御部及び衝突高さ調整手段>
図3に示すように、食器洗浄機1は、制御部C1、駆動回路C1D及び衝突高さ調整手段C1Hをさらに備えている。
【0072】
制御部C1は、図示しないCPU、記憶部C1M及びインターフェース回路を含んで構成された電子回路ユニットである。
【0073】
記憶部C1Mは、ROM及びRAM等の記憶素子によって構成されている。記憶部C1Mは、食器洗浄機1を動作させるために制御部C1が実行する各種プログラム、例えば制御部C1が洗浄装置60を制御して洗浄運転を実行させるための洗浄運転プログラム等を記憶している。また、記憶部C1Mは、食器洗浄機1の設定情報等の各種情報や、各種プログラムを実行するための初期設定情報等を随時記憶する。
【0074】
制御部C1は、温度センサ31及び水位センサ34から検知信号を受信する。また、制御部C1は、図示しないセンサ類、例えば、扉体8が閉じた状態でロックされているか否かを検知するロックセンサから検知信号を受信する。
【0075】
また、制御部C1は、駆動回路C1Dに対して、第1ポンプ65、第2ポンプ66、給水電磁弁69、ヒータ63及び乾燥ファン68を制御するための制御信号を出力する。
【0076】
駆動回路C1Dは、制御部C1からの制御信号に基づいて、第1ポンプ65、第2ポンプ66、給水電磁弁69、ヒータ63及び乾燥ファン68への給電と、給電の停止とを切り替えたり、給電するときの電圧や電流等を調整したりする。
【0077】
衝突高さ調整手段C1Hは、駆動回路C1Dの一部を構成し、特に、洗浄装置60の構成要素である第1ポンプ65及び第2ポンプ66の駆動を行う。
【0078】
より詳しくは、衝突高さ調整手段C1Hは、第1ポンプ65及び第2ポンプ66のそれぞれに内蔵された電動モータへの給電と、給電の停止とを切り替えたり、給電するときの電圧や電流等を変更して回転数を調整したりする。
【0079】
この際、衝突高さ調整手段C1Hは、第1ポンプ65を制御して第1洗浄水衝突用ノズル62Dに供給される洗浄水の流量や供給圧力を調整することで、第1洗浄水衝突用ノズル62Dから噴射される洗浄水の噴射速度、噴射圧力、単位時間当たりの噴射量等を調整する。
【0080】
また、衝突高さ調整手段C1Hは、第2ポンプ66を制御して第2洗浄水衝突用ノズル62Uに供給される洗浄水の流量や供給圧力を調整することで、第2洗浄水衝突用ノズル62Uから噴射される洗浄水の噴射速度、噴射圧力、単位時間当たりの噴射量等を調整する。
【0081】
これにより、衝突高さ調整手段C1Hは、第1洗浄水衝突用ノズル62Dから噴射された洗浄水と、第2洗浄水衝突用ノズル62Uから噴射された洗浄水と、が衝突する衝突高さを調整可能である。
【0082】
また、制御部C1は、洗浄装置60を制御して洗浄運転を実行させているときに、衝突高さ調整手段C1Hを制御して衝突高さを変更可能である。具体的には、制御部C1は、洗浄運転の実行中に、例えば食器かご70Dに載置される食器類TW1の大きさ、形状、数量等に応じて、衝突高さを変更したり、衝突高さの変動範囲を変更したり、衝突高さの変動パターンや変動周期を変更したりする。
【0083】
図4に示すように、本実施例では、制御部C1は、洗浄運転の実行中に衝突高さを変更するときの下限高さPD1を食器かご70Dの底部よりも若干上方の位置に固定している。下限高さPD1で衝突した洗浄水は、食器かご70Dに載置された様々な種類の食器類TW1の下端に向けて飛散し易い。
【0084】
また、本実施例では、制御部C1は、洗浄運転の実行中に衝突高さを変更するときの上限高さを食器かご70Dに載置される食器類TW1の大きさ等に応じて、第1位置PU1、第2位置PU2又は第3位置PU3に変更可能である。
【0085】
第1洗浄水衝突用ノズル62Dと第2洗浄水衝突用ノズル62Uとから等しい距離で離れた位置を中間位置PU0とする。
【0086】
第1位置PU1は、中間位置PU0よりも上方の位置であって、食器かご70Dの上端よりも若干上方の位置である。第1位置PU1に設定された上限高さで衝突した洗浄水は、食器かご70Dに載置された標準的な大きさの食器類TW1、例えば皿TW1D等の上端に向けて飛散し易い。
【0087】
第2位置PU2は、中間位置PU0及び第1位置PU1よりも高い位置である。第2位置PU2に設定された上限高さで衝突した洗浄水は、食器かご70Dに載置された標準サイズよりも大きい食器類TW1、例えば深底の鍋TW1P等の上端に向けて飛散し易い。
【0088】
第3位置PU3は、第1位置PU1よりも低く、中間位置PU0以下となる位置である。本実施例では、第3位置PU3は、中間位置PU0と等しい。第3位置PU3に設定された上限高さで衝突した洗浄水は、食器かご70Dに載置された標準サイズよりも小さい食器類TW1、例えば茶碗TW1C等の上端に向けて飛散し易い。
【0089】
<洗浄運転の第1~3運転コース>
制御部C1は、複数の運転コースから選択された1つの運転コースで、洗浄装置60に洗浄運転を実行させることが可能である。各運転コースは、第1運転コース、第2運転コース及び第3運転コースを含んでいる。
【0090】
第1運転コースは、上限高さが第1位置PU1であり、標準的な大きさの食器類TW1を洗浄対象とする。制御部C1は、第1運転コースで洗浄運転を実行中に、衝突高さを下限高さPD1と、第1位置PU1である上限高さとの間で変動させる。
【0091】
第2運転コースは、上限高さが第2位置PU2であり、標準サイズよりも大きい調理器具等の食器類TW1を洗浄対象とする。制御部C1は、第2運転コースで洗浄運転を実行中に、衝突高さを下限高さPD1と、第2位置PU2である上限高さとの間で変動させる。
【0092】
第3運転コースは、上限高さが第3位置PU3であり、標準サイズよりも小さい食器類TW1を洗浄対象とする。制御部C1は、第3運転コースで洗浄運転を実行中に、衝突高さを下限高さPD1と、第3位置PU3である上限高さとの間で変動させる。
【0093】
<入出力部>
図1及び
図3に示すように、食器洗浄機1は、入出力部40をさらに備えている。
図1に示すように、入出力部40は、扉体8の前面の上端に配置されている。
【0094】
入出力部40は、ユーザが入力操作を行うための図示しない複数のボタン等を有している。また、入出力部40は、ランプや、ユーザに各種の情報を伝達するために数字や文字等を表示可能な表示素子等を有している。
図3に示すように、入出力部40は、ユーザの入力操作を制御部C1に伝達するとともに、制御部C1から伝達された情報を表示する。
【0095】
ユーザは、食器かご70Dに載置する食器類TW1の大きさ等を考慮して、入出力部40に対して、第1運転コース、第2運転コース及び第3運転コースのいずれか1つを選択する入力操作を行うことができる。
【0096】
<洗浄運転>
上記構成である食器洗浄機1において、制御部C1は、以下の手順で、洗浄装置60に洗浄運転を実行させる。
【0097】
すなわち、ユーザは、食器かご70D、70Uに食器類TW1を載置し、扉体8を閉じた後、入出力部40を操作して運転コースを選択し、洗浄運転の開始を指示する。
【0098】
これにより、制御部C1は、図示しないロックセンサによって扉体8のロックが検知されたことを条件として、洗浄装置60に洗浄運転を開始させる。この際、制御部C1は、ユーザの入出力部40に対する入力操作によって選択された運転コースで、洗浄装置60に洗浄運転を実行させる。
【0099】
洗浄装置60は、第1ポンプ65を作動させて第1回転ノズル61D及び第1洗浄水衝突用ノズル62Dから洗浄水を噴射させ、また、第2ポンプ66を作動させて第2回転ノズル61U及び第2洗浄水衝突用ノズル62Uから洗浄水を噴射させる。こうして、洗浄装置60は、洗浄槽7内で様々な方向に飛散する洗浄水によって食器かご70D、70Uに載置された食器類TW1を洗浄する。
【0100】
制御部C1は、洗浄運転において、洗剤を含む洗浄水を用いた洗浄工程と、清浄な洗浄水を用いたすすぎ工程とを順次実行し、洗浄槽7内の食器類TW1を綺麗に洗浄する。
【0101】
制御部C1は、洗浄工程及びすすぎ工程において、衝突高さ調整手段C1Hを制御して、選択された運転コースに係る上限高さ(第1位置PU1、第2位置PU2又は第3位置PU3)と下限高さPD1との間で衝突高さを変動させる。
【0102】
図5に示すように、食器かご70Dに深底の鍋TW1Pが載置された場合、第2運転コースが選択されることで、衝突高さが上限高さ(第2位置PU2)と下限高さPD1との間で変動する。これにより、衝突して飛散する洗浄水は、深底の鍋TW1Pの上端から下端までの範囲で、噴射軸心X1から横向きに飛散し、かつ横向きの飛散方向が不規則に変化する。その結果、衝突して飛散する洗浄水は、深底の鍋TW1Pの内周面や底の内面にかかり易く、また、横向きの飛散方向の変化が画一的になり難い。
【0103】
そして、制御部C1は、洗浄運転の最後に乾燥工程を実行し、ヒータ63及び乾燥ファン68を適宜作動させて洗浄槽7内の食器類TW1を乾燥させた後、洗浄運転を終了する。
【0104】
<作用効果>
実施例1の食器洗浄機1において、
図2及び
図5に示すように、洗浄運転の実行中に、第1洗浄水衝突用ノズル62Dが鉛直方向に延びる噴射軸心X1を中心として上向きに噴射した洗浄水と、第2洗浄水衝突用ノズル62Uが噴射軸心X1を中心として下向きに噴射した洗浄水とが衝突することにより、それらの洗浄水が洗浄槽7内で噴射軸心X1から横向きに放射状に飛散し、かつ横向きの飛散方向が上り傾斜する方向、水平方向、又は下り傾斜する方向に不規則に変化する。
【0105】
これにより、衝突して飛散する洗浄水は、
図5に示すように、食器かご70Dに横向きに載置された食器類TW1、特に鍋TW1P等の深底の食器類TW1の内周面や底の内面にかかり易く、また、横向きの飛散方向の変化が画一的になり難い。
【0106】
したがって、実施例1の食器洗浄機1は、食器かご70Dに横向きに載置された食器類TW1の内部に対する洗浄性能の向上を実現できる。
【0107】
また、この食器洗浄機1において、洗浄装置60は、第1回転ノズル61D及び第2回転ノズル61Uを有している。第1回転ノズル61Dから噴射される洗浄水は、食器かご70Dに横向きに載置された食器類TW1の外周面や底の外面にかかり易い。第2回転ノズル61Uから噴射される洗浄水は、食器かご70Uに載置された食器類TW1にかかり易く、さらに垂れて食器かご70Dに載置された食器類TW1にかかり易い。その結果、この食器洗浄機1は、食器かご70Dに横向きに載置された食器類TW1の全体に対する洗浄性能の向上を実現できる。また、この食器洗浄機1において、第1回転ノズル61Dが回転するときの振動が第1洗浄水衝突用ノズル62Dに伝わることで、第1洗浄水衝突用ノズル62Dから噴射された洗浄水の噴射軸心X1に直交する断面における分布に不規則なゆらぎが発生し易くなる。その結果、第1洗浄水衝突用ノズル62Dから噴射された洗浄水と、第2洗浄水衝突用ノズル62Uから噴射された洗浄水との衝突位置が不規則に変動し易くなるため、衝突した洗浄水の飛散方向の変化が一層画一的になり難い。
【0108】
さらに、この食器洗浄機1は、衝突高さ調整手段C1Hが衝突高さを高くしたり、低くしたりすることにより、衝突した洗浄水を洗浄槽7内の高さ方向の広い範囲において、様々な方向に飛散させることができる。その結果、衝突して飛散する洗浄水は、食器かご70Dに載置される食器類TW1の大きさ、形状、数量等が様々に変化しても、それらの食器類TW1の内周面や底の内面にかかり易く、また、横向きの飛散方向の変化が一層画一的になり難い。その結果、この食器洗浄機1は、食器かご70Dに横向きに載置された食器類TW1の内部に対する洗浄性能の向上を確実性高く実現できる。
【0109】
また、この食器洗浄機1において、制御部C1は、洗浄装置60を制御して洗浄運転の実行中に衝突高さ調整手段C1Hを制御して衝突高さを変更可能である。具体的には、制御部C1は、洗浄運転の実行中に、例えば食器かご70Dに載置される食器類TW1の大きさ、形状、数量等に応じて、衝突高さを変更したり、衝突高さの変動範囲を変更したり、衝突高さの変動パターンや変動周期を変更したりすることができる。その結果、この食器洗浄機1は、食器かご70Dに横向きに載置された食器類TW1の内部に対する洗浄性能の向上を一層確実性高く実現できる。
【0110】
さらに、この食器洗浄機1において、制御部C1は、複数の運転コースから選択された1つの運転コースで、洗浄装置60に洗浄運転を実行させることが可能である。各運転コースは、上限高さが第1位置PU1である第1運転コースと、上限高さが第2位置PU2である第2運転コースと、上限高さが第3位置PU3である第3運転コースと、を含んでいる。
【0111】
この構成により、ユーザは、標準的な大きさの食器類TW1を食器かご70Dに載置したときに第1運転コースを選択できる。
【0112】
また、ユーザは、フライパンや深底の鍋TW1P等の高さ方向に嵩張る食器類TW1を食器かご70Dに載置したときに第2運転コースを選択できる。これにより、制御部C1は、食器類TW1が高さ方向に嵩張る程、衝突高さの上限を高くできる。このため、この食器洗浄機1は、高さ方向に嵩張る食器類TW1の上部分に洗浄水がかかり難くなることを抑制できる。
【0113】
また、ユーザは、茶碗TW1C、小皿、小鉢、湯呑み等の高さ方向に嵩張らない食器類TW1を食器かご70Dに載置したときに第3運転コースを選択できる。これにより、制御部C1は、食器類TW1が高さ方向に嵩張らない程、衝突高さの上限を低くできる。このため、この食器洗浄機1は、高さ方向に嵩張らない食器類TW1よりも上方で洗浄水が飛散する機会が多くなってその食器類TW1に洗浄水がかかり難くなることを抑制できる。
【0114】
それらの結果、この食器洗浄機1は、食器かご70Dに横向きに載置された食器類TW1の内部に対する洗浄性能の向上を一層確実性高く実現できる。
【0115】
(実施例2)
図6に示すように、実施例2の食器洗浄機2は、本発明の食器洗浄機の具体的態様の別の一例である。食器洗浄機2は、洗浄槽207がスライドする前面引き出し式であり、システムキッチンの天板CT1の下方に配置されている。
【0116】
<筐体、洗浄槽、食器かご及び蓋体>
食器洗浄機2は、筐体209、洗浄槽207、食器かご270及び蓋体208を備えている。本実施例では、システムキッチンを利用するユーザが筐体209と対向する側、すなわち
図6の紙面左側を筐体209の前方と規定し、
図6の紙面右側を筐体209の後方と規定する。
【0117】
筐体209は略箱状体であり、筐体開口209Hを有している。筐体開口209Hによって、筐体209の前部の上端から下端までの広い範囲が開放されている。筐体開口209Hは、筐体209内と外部とを連通させている。
【0118】
洗浄槽207は、筐体209内に収容されている。
図6に示す洗浄槽207の位置を収容位置とする。洗浄槽207は、収容位置にある状態で、筐体開口209Hを閉塞している。
【0119】
略箱状体である洗浄槽207の側面と、筐体209の内壁面との間には、図示しないスライドレール機構が配置されている。
図7に示すように、洗浄槽207は、そのスライドレール機構によって、筐体209に対して前後方向にスライド可能となっている。
【0120】
洗浄槽207は、槽開口207Hを有している。槽開口207Hによって、洗浄槽207の上方が開放されている。洗浄槽207の前部の上端には、取っ手207Gが設けられている。
【0121】
ユーザが取っ手207Gを把持し、手動操作で洗浄槽207を
図6に示す収容位置から筐体209の前方にスライドさせることにより、
図7に示すように、洗浄槽207が筐体開口209Hを介して筐体209の外部に露出する引き出し位置に移動する。また、
図7に示す引き出し位置にある洗浄槽207をユーザが手動操作で筐体209の後方にスライドさせることにより、洗浄槽207が
図6に示す収容位置に復帰する。
【0122】
洗浄槽207内の底部には、水を貯める貯水部271が設けられている。貯水部271は、残采フィルタ267によって、上部分と下部分とに区画されている。
【0123】
食器かご270は、洗浄槽207内に設けられている。洗浄槽207には、食器類TW1が食器かご270に載置された状態で収容される。
【0124】
食器かご270は、皿TW1Dや深底の鍋TW1P等を横向きに載置し易い大きさ及び形状を有している。また、食器かご270は、規制柵270Eを有している。規制柵270Eは、食器かご270の底部の中央から上向きに略円筒状に突出している。
【0125】
図7に示すように、洗浄槽207が引き出し位置に移動した状態で、ユーザは槽開口207Hを介して、食器類TW1を洗浄槽207に収容したり、洗浄槽207から取り出したりすることができる。
【0126】
蓋体208は、筐体209内の上部に配置されている。蓋体208は、図示しない連動機構によって、洗浄槽207のスライドに連動して上下動するように支持されている。
【0127】
蓋体208は、洗浄槽207が
図6に示す収容位置にあるときには槽開口7Hを閉塞する。その一方、蓋体208は、洗浄槽207が
図6に示す収容位置と
図7に示す引き出し位置との間で移動するときには上昇して槽開口207Hを開放する。
【0128】
<給水管、給水電磁弁及び排水管>
図6に示すように、食器洗浄機2は、給水管P201、給水電磁弁269及び排水管P202をさらに備えている。給水管P201、給水電磁弁269及び排水管P202は、筐体209内に設けられている。
【0129】
給水管P201は、食器洗浄機2の外部に設けられた図示しない給水源から洗浄槽207内に水を供給する。給水電磁弁269は、給水管P201を開閉して洗浄槽207内への水の供給と停止とを切り替える。給水管P201及び給水電磁弁269によって洗浄槽207内に供給された水は、貯水部271に貯められて洗浄運転において洗浄水とされる。排水管P202は、洗浄槽207内の洗浄水を食器洗浄機2の外部に排出する。
【0130】
<洗浄装置>
食器洗浄機2は、洗浄装置260をさらに備えている。洗浄装置260は、以下の構成により、洗浄槽207内において食器類TW1を洗浄水によって洗浄する洗浄運転を実行する。
【0131】
洗浄装置260は、ポンプ265、接続配管P203、分岐配管P204、第1流量調整弁275、第2流量調整弁276、第1圧送配管P205及び第2圧送配管P206を有している。
【0132】
ポンプ265は、洗浄槽207の貯水部271の下部に組み付けられている。ポンプ265は電動モータ駆動型であり、洗浄水を圧送するときの圧力や流量を適宜変更可能である。
【0133】
接続配管P203は、貯水部271における残采フィルタ267よりも下に位置する部分とポンプ265の吸入口とに接続している。
【0134】
分岐配管P204の上流端は、ポンプ265の吐出口に接続している。分岐配管P204の一方の分岐端は、第1流量調整弁275の入り口に接続している。分岐配管P204の他方の分岐端は、第2流量調整弁276の入り口に接続している。
【0135】
第1圧送配管P205は、第1流量調整弁275の出口に接続している。第1圧送配管P205は、上方に延びて貯水部271における残采フィルタ267よりも上に位置する部分の中央に突出している。
【0136】
ポンプ265は、内蔵する電動モータが回転することにより、貯水部271に貯められた洗浄水を第1流量調整弁275を経由して第1圧送配管P205に圧送する。第1流量調整弁275は、第1圧送配管P205に圧送される洗浄水の流量を調整する。
【0137】
第2圧送配管P206は、第2流量調整弁276の出口に接続している。第2圧送配管P206は、後方に延びた後に屈曲し、洗浄槽207の後壁に沿って上方に延びている。そして、第2圧送配管P206は、蓋体208の後端の近傍において略U字状に曲がる伸縮部分P206Aを有し、さらに伸縮部分P206Aの下流端から蓋体208の上面に沿って前向きに延びている。第2圧送配管P206の下流端は、蓋体208における上面の中央に位置している。
【0138】
図7に示すように、第2圧送配管P206は、伸縮部分P206Aによって洗浄槽207のスライドに追従可能となっている。
【0139】
図6に示すように、ポンプ265は、内蔵する電動モータが回転することにより、貯水部271に貯められた洗浄水を第2流量調整弁276を経由して第2圧送配管P206に圧送する。第2流量調整弁276は、第2圧送配管P206に圧送される洗浄水の流量を調整する。
【0140】
なお、排水管P202は、ポンプ265の別の吐出口に接続している。ポンプ265は、内蔵する電動モータが逆回転することにより、貯水部271に貯められた洗浄水を排水管P202に圧送し、食器洗浄機2の外部に排出する。
【0141】
洗浄装置260は、回転ノズル261D及び第1洗浄水衝突用ノズル262Dをさらに有している。回転ノズル261D及び第1洗浄水衝突用ノズル262Dは、食器かご270よりも下方に設けられている。
【0142】
回転ノズル261Dは、連結部261D1、複数のアーム261D2及び複数のノズル孔261D3を有している。
【0143】
連結部261D1は、第1圧送配管P205の上端に回転可能に連結されている。これにより、回転ノズル261Dは、洗浄槽207の中央で鉛直方向に延びる噴射軸心X2周りに回転可能である。各アーム261D2は、連結部261D1から噴射軸心X2の径外方向に延びている。各ノズル孔261D3は、各アーム261D2の上面に設けられている。
【0144】
ポンプ265によって圧送される洗浄水が第1流量調整弁275及び第1圧送配管P205を経由して回転ノズル261Dに到達すると、回転ノズル261Dは、噴射軸心X2周りに回転しながら、各ノズル孔261D3から洗浄水を噴射する。回転ノズル261Dの噴射方向は、洗浄槽207内の全域に向かって洗浄水を飛散させるように様々な方向に変化するようになっている。
【0145】
第1洗浄水衝突用ノズル262Dは、回転ノズル261Dの連結部261D1の上面に設けられている。第1洗浄水衝突用ノズル262Dは、噴射軸心X2を中心として上向きに突出する略円筒形状である。特に、第1洗浄水衝突用ノズル262Dの先端形状は、噴射する洗浄水が円錐状に拡散することを抑制する形状である。
【0146】
ポンプ265によって圧送される洗浄水が第1流量調整弁275及び第1圧送配管P205を経由して第1洗浄水衝突用ノズル262Dに到達すると、第1洗浄水衝突用ノズル262Dは、噴射軸心X2を中心として上向きに洗浄水を噴射する。この際、第1洗浄水衝突用ノズル262Dから噴射される洗浄水は、噴射軸心X2を中心とする水柱状になる。
【0147】
規制柵270Eは、食器かご270に載置された食器類TW1が第1洗浄水衝突用ノズル262Dによる洗浄水の噴射を阻害しないように、食器類TW1の位置を規制する。
【0148】
洗浄装置260は、第2洗浄水衝突用ノズル262Uをさらに有している。第2洗浄水衝突用ノズル262Uは、蓋体208に設けられている。第2洗浄水衝突用ノズル262Uは、第2圧送配管P206の下流端に接続して下向きに突出し、蓋体208を貫通している。
【0149】
第2洗浄水衝突用ノズル262Uは、噴射軸心X2を中心とする略円筒形状である。特に、第2洗浄水衝突用ノズル262Uの先端形状は、噴射する洗浄水が円錐状に拡散することを抑制する形状である。
【0150】
つまり、第2洗浄水衝突用ノズル262Uは、第1洗浄水衝突用ノズル262Dに上から対向する位置に設けられている。
【0151】
ポンプ265によって圧送される洗浄水が第2流量調整弁276及び第2圧送配管P206を経由して第2洗浄水衝突用ノズル262Uに到達すると、第2洗浄水衝突用ノズル262Uは、噴射軸心X2を中心として下向きに洗浄水を噴射する。この際、第2洗浄水衝突用ノズル262Uから噴射される洗浄水は、噴射軸心X2を中心とする水柱状になる。
【0152】
第1洗浄水衝突用ノズル262Dから噴射された水柱状の洗浄水と、第2洗浄水衝突用ノズル262Uから噴射された水柱状の洗浄水と、が衝突することにより、それらの洗浄水が洗浄槽207内で噴射軸心X2から横向きに放射状に飛散し、かつ横向きの飛散方向が上り傾斜する方向、水平方向、又は下り傾斜する方向に不規則に変化する。
【0153】
回転ノズル261D、第1洗浄水衝突用ノズル262D及び第2洗浄水衝突用ノズル262Uから洗浄槽207内に噴射された洗浄水は、貯水部271に貯められる。そして、その洗浄水は、ポンプ265によって回転ノズル261D、第1洗浄水衝突用ノズル262D及び第2洗浄水衝突用ノズル262Uに繰り返し供給される。
【0154】
<ヒータ、温度センサ、乾燥ファン及び水位センサ>
食器洗浄機2は、ヒータ263、温度センサ231、乾燥ファン268及び水位センサ234をさらに備えている。
【0155】
ヒータ263は、貯水部271の底部に配置されている。乾燥ファン268は、洗浄槽207の後壁に組み付けられている。洗浄槽207の前壁には、乾燥ファン268により洗浄槽207内に送り込まれた空気を排気するための排気通路279が設けられている。温度センサ231は、貯水部271の底部におけるヒータ263に対して下方の位置に設けられている。水位センサ234は、洗浄槽207の貯水部271の隣に設けられている。
【0156】
ヒータ263、温度センサ231、乾燥ファン268及び水位センサ234の構成及び動作は、実施例1に係るヒータ63、温度センサ31、乾燥ファン68及び水位センサ34と同様であるので説明は省略する。
【0157】
<制御部及び衝突高さ調整手段>
図8に示すように、食器洗浄機2は、制御部C2、駆動回路C2D及び衝突高さ調整手段C2Hをさらに備えている。
【0158】
制御部C2は、実施例1に係る制御部C1と同様に、図示しないCPU、記憶部C2M及びインターフェース回路を含んで構成された電子回路ユニットである。記憶部C2Mが記憶する情報も、実施例1に係る記憶部C1Mと同様である。
【0159】
制御部C2は、温度センサ231及び水位センサ234から検知信号を受信する。また、制御部C2は、図示しないセンサ類、例えば、洗浄槽207が収容位置でロックされているか否かを検知するロックセンサから検知信号を受信する。
【0160】
また、制御部C2は、駆動回路C2Dに対して、ポンプ265、第1流量調整弁275、第2流量調整弁276、給水電磁弁269、ヒータ263及び乾燥ファン268を制御するための制御信号を出力する。
【0161】
駆動回路C2Dは、制御部C2からの制御信号に基づいて、ポンプ265、第1流量調整弁275、第2流量調整弁276、給水電磁弁269、ヒータ263及び乾燥ファン268への給電と、給電の停止とを切り替えたり、給電するときの電圧や電流等を調整したりする。
【0162】
衝突高さ調整手段C2Hは、駆動回路C2Dの一部を構成し、特に、洗浄装置260の構成要素であるポンプ265、第1流量調整弁275、第2流量調整弁276の駆動を行う。
【0163】
より詳しくは、衝突高さ調整手段C2Hは、ポンプ265に内蔵された電動モータへの給電と、給電の停止とを切り替えたり、給電するときの電圧や電流等を変更して回転数を調整したりする。
【0164】
また、衝突高さ調整手段C2Hは、第1流量調整弁275及び第2流量調整弁276のそれぞれに内蔵された電動アクチュエータへの給電と、給電の停止とを切り替えて、第1流量調整弁275及び第2流量調整弁276のそれぞれの弁体の開度を増減させる。
【0165】
この際、衝突高さ調整手段C2Hは、ポンプ265及び第1流量調整弁275を制御して第1洗浄水衝突用ノズル262Dに供給される洗浄水の流量や供給圧力を調整することで、第1洗浄水衝突用ノズル262Dから噴射される洗浄水の噴射速度、噴射圧力、単位時間当たりの噴射量等を調整する。
【0166】
また、衝突高さ調整手段C2Hは、ポンプ265及び第2流量調整弁276を制御して第2洗浄水衝突用ノズル262Uに供給される洗浄水の流量や供給圧力を調整することで、第2洗浄水衝突用ノズル262Uから噴射される洗浄水の噴射速度、噴射圧力、単位時間当たりの噴射量等を調整する。
【0167】
これにより、衝突高さ調整手段C2Hは、第1洗浄水衝突用ノズル262Dから噴射された洗浄水と、第2洗浄水衝突用ノズル262Uから噴射された洗浄水と、が衝突する衝突高さを調整可能である。
【0168】
また、制御部C2は、洗浄装置260を制御して洗浄運転を実行させているときに、衝突高さ調整手段C2Hを制御して衝突高さを変更可能である。さらに、制御部C2は、複数の運転コースから選択された1つの運転コースで、洗浄装置260に洗浄運転を実行させることが可能である。
【0169】
洗浄運転、衝突高さの変更、及び複数の運転コースの具体的内容は、実施例1と同様であるので説明は省略する。
【0170】
<入出力部>
図6及び
図8に示すように、食器洗浄機2は、入出力部240をさらに備えている。入出力部240は、洗浄槽207の前部の上端に配置されている。入出力部240の構成は、実施例1に係る入出力部40と同様であるので説明は省略する。
【0171】
入出力部240は、ユーザの入力操作を制御部C2に伝達するとともに、制御部C2から伝達された情報を表示する。ユーザは、実施例1と同様に、入出力部240に対して、複数の運転コースのいずれか1つを選択する入力操作を行うことができる。
【0172】
<作用効果>
実施例2の食器洗浄機2において、
図6に示すように、洗浄運転の実行中に、第1洗浄水衝突用ノズル262Dが鉛直方向に延びる噴射軸心X2を中心として上向きに噴射した洗浄水と、第2洗浄水衝突用ノズル262Uが噴射軸心X2を中心として下向きに噴射した洗浄水とが衝突することにより、それらの洗浄水が洗浄槽207内で噴射軸心X2から横向きに放射状に飛散し、かつ横向きの飛散方向が上り傾斜する方向、水平方向、又は下り傾斜する方向に不規則に変化する。
【0173】
これにより、衝突して飛散する洗浄水は、食器かご270に横向きに載置された食器類TW1、特に鍋TW1P等の深底の食器類TW1の内周面や底の内面にかかり易く、また、横向きの飛散方向の変化が画一的になり難い。
【0174】
したがって、実施例2の食器洗浄機2は、実施例1の食器洗浄機1と同様に、食器かご270に横向きに載置された食器類TW1の内部に対する洗浄性能の向上を実現できる。
【0175】
また、この食器洗浄機2において、洗浄装置260は、回転ノズル261Dを有している。回転ノズル261Dから噴射される洗浄水は、食器かご70Dに横向きに載置された食器類TW1の外周面や底の外面にかかり易い。その結果、この食器洗浄機2は、食器かご270に横向きに載置された食器類TW1の全体に対する洗浄性能の向上を実現できる。また、この食器洗浄機2において、回転ノズル261Dが回転するときの振動が第1洗浄水衝突用ノズル262Dに伝わることで、第1洗浄水衝突用ノズル262Dから噴射された洗浄水の噴射軸心X2に直交する断面における分布に不規則なゆらぎが発生し易くなる。その結果、第1洗浄水衝突用ノズル262Dから噴射された洗浄水と、第2洗浄水衝突用ノズル262Uから噴射された洗浄水との衝突位置が不規則に変動し易くなるため、衝突した洗浄水の飛散方向の変化が一層画一的になり難い。
【0176】
さらに、この食器洗浄機2において、第2洗浄水衝突用ノズル262Uは、洗浄槽207が
図6に示す収容位置と、
図7に示す引き出し位置との間で移動するときには槽開口207Hを開放する蓋体208と共に上昇する、これにより、第2洗浄水衝突用ノズル262Uは、洗浄槽207の移動を阻害し難く、また、洗浄槽207の食器かご270に対する食器類TW1の収容及び取り出し作業を阻害し難い。
【0177】
以上において、本発明を実施例1、2に即して説明したが、本発明は上記実施例1、2に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0178】
例えば、実施例1の食器洗浄機1から食器かご70Uを無くし、第2回転ノズル61Uの各ノズル孔61U3を各アーム61U2の下面に設けるように変更した構成や、実施例1の食器洗浄機1から上方の食器かご70U及び第2回転ノズル61Uを無くした構成も、本発明に含まれる。
【0179】
実施例1では、第3位置PU3は中間位置PU0と等しいが、本発明はこの構成には限定されない。実施例1に係る第3位置PU3を中間位置PU0よりも低く変更した構成も、本発明に含まれる。
【0180】
実施例1では、制御部C1は下限高さPD1を固定しているが、本発明はこの構成には限定されない。実施例1に係る制御部C1が下限高さPD1を変更する構成も、本発明に含まれる。
【0181】
洗浄装置が第1洗浄水衝突用ノズル及び第2洗浄水衝突用ノズルを複数組有する構成も本発明に含まれる。また、洗浄装置が第1洗浄水衝突用ノズル及び第2洗浄水衝突用ノズルに加えて、洗浄槽内に分散配置された複数の固定ノズルを有する構成も本発明に含まれる。
【0182】
実施例1では、衝突高さ調整手段C1Hが第1ポンプ65及び第2ポンプ66を制御して衝突高さを調整するが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、実施例1について、第1ポンプ65、第2ポンプ66及び衝突高さ調整手段C1Hの代わりに、実施例2に係る衝突高さ調整手段C2H、ポンプ265、第1流量調整弁275及び第2流量調整弁276と同様のポンプ、第1流量調整弁及び第2流量調整弁を採用するように変更し、それによって衝突高さを調整してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0183】
本発明は例えば、食器洗浄機又は食器洗浄乾燥機等に利用可能である。
【符号の説明】
【0184】
1、2…食器洗浄機
TW1…被洗浄物
7、207…洗浄槽
70D、70U、270…食器かご
60、260…洗浄装置
X1、X2…噴射軸心
62D、262D…第1洗浄水衝突用ノズル
62U…262U…第2洗浄水衝突用ノズル
61D、261D…回転ノズル(61D…第1回転ノズル)
C1H、C2H…衝突高さ調整手段
C1、C2…制御部
PU1…第1位置
PU2…第2位置
PU0…中間位置
PU3…第3位置
9、209…筐体
207H…槽開口
208…蓋体