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特許7607530衛星コンステレーション、通信衛星および自動衝突回避方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】衛星コンステレーション、通信衛星および自動衝突回避方法
(51)【国際特許分類】
   B64G 1/10 20060101AFI20241220BHJP
【FI】
B64G1/10 600
B64G1/10 100
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021122775
(22)【出願日】2021-07-27
(65)【公開番号】P2023018562
(43)【公開日】2023-02-08
【審査請求日】2024-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002491
【氏名又は名称】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】迎 久幸
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/158505(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/060492(WO,A1)
【文献】韓国登録特許第10-0537565(KR,B1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0036767(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64G 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
法線ベクトルの経度方向成分が互いに異なる複数の軌道面を形成する衛星コンステレーションであって、
前記複数の軌道面を形成するための複数の通信衛星群を備え、
前記複数の通信衛星群のそれぞれである自己衛星群は、前記自己衛星群によって形成される自己軌道面を飛翔する複数の通信衛星で構成され、
前記複数の通信衛星のそれぞれである自己衛星は、
前記自己衛星の前後左右それぞれの通信衛星と通信することによって、前記衛星コンステレーションの各通信衛星の軌道データを受信する通信システムと、
前記自己衛星と相手軌道面を飛翔する相手衛星とが前記自己軌道面と前記相手軌道面の交点で衝突する衝突リスクを前記自己衛星の軌道データと受信された軌道データとを解析して検出し、前記衝突リスクが検出された場合に前記自己衛星と前記相手衛星のいずれかを回避衛星として選択する解析装置と、
前記自己衛星が前記回避衛星として選択された場合に前記自己衛星の速度を変化させることによって、前記自己衛星が前記交点を通過する通過タイミングを変更する推進装置と、
を備え
前記解析装置は、前記自己衛星が前記通過タイミングを変更した場合に、前記通過タイミングが変更される前の前記自己衛星の前記軌道データである更新前軌道データと前記通過タイミングが変更された後の前記自己衛星の前記軌道データである更新後軌道データの相違を示す相違データを生成し、
前記通信システムは、前記自己衛星の前後左右それぞれの通信衛星と通信することによって、前記更新後軌道データまたは前記相違データを前記衛星コンステレーションの各通信衛星へ送信する
衛星コンステレーション。
【請求項2】
前記解析装置は、前記自己衛星が前記交点を通過する将来時刻に前記交点から設計公差の範囲内を通過する前記相手衛星が存在することを前記衝突リスクとして検出する
請求項1に記載の衛星コンステレーション。
【請求項3】
前記解析装置は、前記自己軌道面と各相手軌道面の過去の交点に基づいて前記交点の偏差を機械学習する人工知能を有し、前記自己衛星が前記交点を通過する将来時刻に前記交点から前記偏差の範囲内を通過する前記相手衛星が存在することを機械学習後の前記人工知能によって前記衝突リスクとして検出する
請求項1に記載の衛星コンステレーション。
【請求項4】
前記解析装置は、前記自己軌道面と各相手軌道面の過去の交点に基づいて前記交点の最大偏差を機械学習する人工知能を有し、前記自己衛星が前記交点を通過する将来時刻に前記交点から前記最大偏差の範囲内を通過する前記相手衛星が存在することを機械学習後の前記人工知能によって前記衝突リスクとして検出する
請求項1に記載の衛星コンステレーション。
【請求項5】
前記通信システムは、前記自己衛星が前記通過タイミングを変更した場合に前後左右それぞれの前記通信衛星と通信することによって、前記通過タイミングが変更された後の更新後軌道データ、または、前記通過タイミングが変更される前の更新前軌道データと前記更新後軌道データの相違を示す相違データ、を前記衛星コンステレーションの各通信衛星へ送信する
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の衛星コンステレーション。
【請求項6】
前記解析装置は、前記更新前軌道データと前記更新後軌道データまたは前記相違データと各通信衛星の軌道データを解析して、新たな衝突リスクを検出する
請求項5に記載の衛星コンステレーション。
【請求項7】
前記複数の通信衛星群がn個の通信衛星群であり、
前記n個の通信衛星群のそれぞれがm機の通信衛星で構成され、
(n×m)機の通信衛星が、互いに(360/(n×m))度ずつ位相をずらして赤道上空を北上する
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の衛星コンステレーション。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の衛星コンステレーションで使用される通信衛星。
【請求項9】
法線ベクトルの経度方向成分が互いに異なる複数の軌道面を形成する衛星コンステレーションの自動衝突回避方法であって、
前記衛星コンステレーションは、前記複数の軌道面を形成するための複数の通信衛星群を備え、
前記複数の通信衛星群のそれぞれである自己衛星群は、前記自己衛星群によって形成される自己軌道面を飛翔する複数の通信衛星で構成され、
前記複数の通信衛星のそれぞれである自己衛星は、通信システムと解析装置と推進装置とを備え、
前記通信システムが、前記自己衛星の前後左右それぞれの通信衛星と通信することによって、前記衛星コンステレーションの各通信衛星の軌道データを受信し、
前記解析装置が、前記自己衛星と相手軌道面を飛翔する相手衛星とが前記自己軌道面と前記相手軌道面の交点で衝突する衝突リスクを前記自己衛星の軌道データと受信された軌道データとを解析して検出し、前記衝突リスクが検出された場合に前記自己衛星と前記相手衛星のいずれかを回避衛星として選択し、
前記推進装置が、前記自己衛星が前記回避衛星として選択された場合に前記自己衛星の速度を変化させることによって、前記自己衛星が前記交点を通過する通過タイミングを変更し、
前記解析装置が、前記自己衛星が前記通過タイミングを変更した場合に、前記通過タイミングが変更される前の前記自己衛星の前記軌道データである更新前軌道データと前記通過タイミングが変更された後の前記自己衛星の前記軌道データである更新後軌道データの相違を示す相違データを生成し、
前記通信システムが、前記自己衛星の前後左右それぞれの通信衛星と通信することによって、前記更新後軌道データまたは前記相違データを前記衛星コンステレーションの各通信衛星へ送信する
自動衝突回避方法。
【請求項10】
前記解析装置は、前記自己軌道面の各相手軌道面の過去の交点に基づいて前記交点の最大偏差を機械学習する人工知能を有し、前記自己衛星が前記交点を通過する将来時刻に前記交点から前記最大偏差の範囲内を通過する前記相手衛星が存在することを機械学習後の前記人工知能によって前記衝突リスクとして検出する
請求項9に記載の自動衝突回避方法。
【請求項11】
前記通信システムは、前記自己衛星が前記交点を通過するタイミングを変更した場合に前後左右それぞれの前記通信衛星と通信することによって前記自己衛星の前記軌道データと更新後の軌道データの相違を示す相違データを前記衛星コンステレーションの各通信衛星へ送信する
請求項9または請求項10に記載の自動衝突回避方法。
【請求項12】
前記解析装置は、前記更新後の軌道データに基づいて新たな衝突リスクを検出する
請求項11に記載の自動衝突回避方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、衛星コンステレーションに関するものである。
【背景技術】
【0002】
メガコンステレーションの登場とデブリの増加に伴い、宇宙空間における衝突リスクの増加が懸念されている。そのため、衝突回避方法が待望されている。
傾斜円軌道を採用するメガコンステレーションでは、中緯度帯に格子状に形成される軌道面の交差線上の同一高度の交差点が全て衝突リスクを有する。そのため、設計段階において全ての衛星の通過タイミングをずらした上で、通過タイミングの想定外のずれが発生しても衝突を回避できる仕組みが必要となる。
【0003】
特許文献1は、軌道高度が互いに異なる複数の軌道面を形成することによって衝突リスクを回避する衛星コンステレーション形成システムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2020/158505号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、衝突リスクを検出して衛星同士の衝突を回避できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の衛星コンステレーションは、法線ベクトルの経度方向成分が互いに異なる複数の軌道面を形成する。
前記衛星コンステレーションは、前記複数の軌道面を形成するための複数の通信衛星群を備え、
前記複数の通信衛星群のそれぞれである自己衛星群は、前記自己衛星群によって形成される自己軌道面を飛翔する複数の通信衛星で構成され、
前記複数の通信衛星のそれぞれである自己衛星は、
前記自己衛星の前後左右それぞれの通信衛星と通信することによって、前記衛星コンステレーションの各通信衛星の軌道データを受信する通信システムと、
前記自己衛星と相手軌道面を飛翔する相手衛星とが前記自己軌道面と前記相手軌道面の交点で衝突する衝突リスクを前記自己衛星の軌道データと受信された軌道データとを解析して検出し、前記衝突リスクが検出された場合に前記自己衛星と前記相手衛星のいずれかを回避衛星として選択する解析装置と、
前記自己衛星が前記回避衛星として選択された場合に前記自己衛星の速度を変化させることによって、前記自己衛星が前記交点を通過する通過タイミングを変更する推進装置と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、衝突リスクを検出して衛星同士の衝突を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1における衛星コンステレーションシステム100の構成図。
図2】実施の形態1における通信衛星110の構成図。
図3】実施の形態1における軌道群103を示す図。
図4】実施の形態1における軌道104を示す図。
図5】実施の形態1における軌道面(1)(2)を示す図。
図6】実施の形態1における軌道面(1)~(5)を示す図。
図7】実施の形態1における重ねた軌道面(1)~(5)を示す図。
図8】実施の形態1における傾斜させた軌道面(1)~(5)を示す図。
図9】実施の形態1における傾斜させた軌道面(1)~(5)を示す図。
図10】実施の形態1における軌道面(1)と重ねた軌道面(2)~(5)を示す図。
図11】実施の形態1における最北端を記した軌道面(1)~(5)を示す図。
図12】実施の形態1における一致点を記した軌道面(1)~(5)を示す図。
図13】実施の形態1における一致点を記した軌道面(1)~(5)を示す図。
図14】実施の形態1における昇降を記した軌道面(1)~(5)を示す図。
図15】実施の形態1における重ねた軌道面(1)~(5)を示す図。
図16】実施の形態1における昇降を記した軌道面(1)~(5)を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態および図面において、同じ要素または対応する要素には同じ符号を付している。説明した要素と同じ符号が付された要素の説明は適宜に省略または簡略化する
【0010】
実施の形態1.
衛星コンステレーションシステム100について、図1から図16に基づいて説明する。
【0011】
***構成の説明***
図1に基づいて、衛星コンステレーションシステム100の構成を説明する。
衛星コンステレーションシステム100は、法線ベクトルの経度方向成分が互いに異なる複数の軌道面を形成する衛星コンステレーション101を備える。
衛星コンステレーション101は、複数の軌道面を形成するための複数の通信衛星群102を備える。
通信衛星群102は、複数の通信衛星110で構成される。
通信衛星110は、通信機能を有する人工衛星である。
【0012】
衛星コンステレーションシステム100は、地上設備120を備える。
地上設備120は、衛星管制装置121と通信装置122とを備える。
衛星管制装置121は、処理回路および入出力インタフェースなどのハードウェアを備えるコンピュータである。衛星管制装置121は、入出力インタフェースを介して、通信装置122に接続される。衛星管制装置121は、衛星コンステレーション101を制御するために、各通信衛星110に対する各種コマンドを生成する。
通信装置122は、各通信衛星110と通信する。具体的には、各種コマンドを各通信衛星110へ送信する。
【0013】
図2に基づいて、通信衛星110の構成を説明する。
通信衛星110は、推進装置111と姿勢制御装置112と衛星制御装置113と通信システム114と解析装置118と記憶装置119を備える。
推進装置111は、通信衛星110に推進力を与える装置であり、通信衛星110の速度を調整する。具体的には、推進装置111は電気推進機である。例えば、推進装置111はイオンエンジンまたはホールスラスタである。
姿勢制御装置112は、通信衛星110の姿勢と通信衛星110の角速度といった姿勢要素を制御するための装置である。姿勢制御装置112は、各姿勢要素を所望の方向に変化させる。もしくは、姿勢制御装置112は、各姿勢要素を所望の方向に維持する。姿勢制御装置112は、姿勢センサとアクチュエータとコントローラとを備える。姿勢センサは、ジャイロスコープ、地球センサ、太陽センサ、スター・トラッカ、スラスタおよび磁気センサなどである。アクチュエータは、姿勢制御スラスタ、モーメンタムホイール、リアクションホイールおよびコントロール・モーメント・ジャイロ等である。コントローラは、姿勢センサの計測データまたは地上設備120からの各種コマンドにしたがって、アクチュエータを制御する。
衛星制御装置113は、処理回路および入出力インタフェースなどのハードウェアを備えるコンピュータであり、通信衛星110を制御する。例えば、衛星制御装置113は、地上設備120からの各種コマンドにしたがって通信衛星110を制御する。
通信システム114は、前後通信装置115と左右通信装置116と対地通信装置117を備える。
前後通信装置115は、他の通信衛星110と通信するための通信装置である。前後通信装置115は、通信衛星110の前方を指向して前方の通信衛星110と通信する。また、前後通信装置115は、通信衛星110の後方を指向して後方の通信衛星110と通信する。
左右通信装置116は、他の通信衛星110と通信するための通信装置である。左右通信装置116は、通信衛星110の左方を指向して左方の通信衛星110と通信する。また、左右通信装置116は、通信衛星110の右方を指向して右方の通信衛星110と通信する。
対地通信装置117は、地上設備120と通信するための通信装置である。
解析装置118は、処理回路および入出力インタフェースなどのハードウェアを備えるコンピュータであり、各通信衛星110の軌道データを解析して衝突リスクを検出する。
記憶装置119は、通信衛星110の処理で使用される各種データを記憶する記憶装置である。例えば、記憶装置119には、各通信衛星110の軌道データなどが記憶される。
軌道データは、通信衛星110が飛翔する予定の軌道(将来の軌道)または通信衛星110が実際に飛翔した軌道(過去の軌道)を示す。
【0014】
衛星制御装置113と解析装置118と衛星管制装置121のそれぞれに備わる処理回路について説明する。
処理回路は、専用のハードウェアであってもよいし、メモリに格納されるプログラムを実行するプロセッサであってもよい。
処理回路において、一部の機能が専用のハードウェアで実現されて、残りの機能がソフトウェアまたはファームウェアで実現されてもよい。つまり、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアまたはこれらの組み合わせで実現することができる。
専用のハードウェアは、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGAまたはこれらの組み合わせである。
ASICは、Application Specific Integrated Circuitの略称である。
FPGAは、Field Programmable Gate Arrayの略称である。
【0015】
***動作の説明***
衛星コンステレーションシステム100において、衛星同士の衝突を回避する方法を自動衝突回避方法と称する。
【0016】
以下に、自動衝突回避方法について説明する。
衛星コンステレーション101は、n個の通信衛星群102を備え、n個の軌道面を形成する。「n」は2以上の整数である。
n個の通信衛星群102のそれぞれは、m機の通信衛星110で構成される。「m」は2以上の整数である。
そして、(n×m)機の通信衛星110は、互いに(360/(n×m))度ずつ位相をずらして赤道上空を北上する。
【0017】
以下に、自動衝突回避方法における個々の通信衛星110の動作を説明する。
主体となる通信衛星群102を自己衛星群と称する。
主体となる通信衛星110を自己衛星と称する。
自己衛星が飛翔する軌道面を自己軌道面と称する。
自己衛星の相手となる通信衛星110を相手衛星と称する。
相手衛星が飛翔する軌道面を相手軌道面と称する。
【0018】
まず、通信システム114は、前後左右それぞれの通信衛星110と通信することによって、自己衛星の軌道データを衛星コンステレーション101の各通信衛星110へ送信する。
また、通信システム114は、前後左右それぞれの通信衛星110と通信することによって、衛星コンステレーション101の各通信衛星110の軌道データを受信する。
【0019】
次に、解析装置118は、自己衛星と相手衛星とが自己軌道面と相手軌道面の交点で衝突するリスク(衝突リスク)を、自己衛星の軌道データと受信された軌道データとを解析して検出する。
衝突リスクが検出された場合、解析装置118は、自己衛星と相手衛星のいずれかを回避衛星として選択する。回避衛星は、衝突リスクを回避するための行動(回避行動)を実施する通信衛星110である。
具体的には、解析装置118は、交点における自己衛星の飛翔方向と交点における相手衛星の飛翔方向に基づいて、回避衛星を選択する。例えば、解析装置118は、自己衛星と相手衛星とのうち交点を北上する方を回避衛星として選択する。
【0020】
そして、自己衛星が回避衛星として選択された場合、推進装置111は、自己衛星の速度を変化させることによって、自己衛星が交点を通過するタイミング(通過タイミング)を変更する。例えば、推進装置111は、衛星制御装置113または解析装置118の指示にしたがって動作する。
【0021】
自己衛星が通過タイミングを変更した場合、解析装置118は自己衛星の相違データを生成する。相違データは、通過タイミングが変更される前の軌道データ(更新前軌道データ)と通過タイミングが変更された後の軌道データ(更新後軌道データ)の相違を示す。また、通信システム114は、前後左右それぞれの通信衛星110と通信することによって、更新後軌道データまたは相違データを衛星コンステレーション101の各通信衛星110へ送信する。
この場合、解析装置118は、更新前軌道データと更新後軌道データまたは相違データと各通信衛星110の軌道データを解析して新たな衝突リスクを検出する。
【0022】
他の通信衛星110(例えば相手衛星)が通過タイミングを変更した場合、通信システム114は、前後左右それぞれの通信衛星110と通信することによって、他の通信衛星110の更新後軌道データまたは相違データを受信する。
この場合、解析装置118は、自己衛星の軌道データと各通信衛星110の軌道データと他の通信衛星110の更新後軌道データまたは相違データを解析して新たな衝突リスクを検出する。
【0023】
解析装置118による衝突リスクの検出について説明する。具体的には、解析装置118は、以下の少なくともいずれかの方法によって衝突リスクを検出する。
解析装置118は、自己衛星が交点を通過する将来時刻に交点から設計公差の範囲内を通過する相手衛星が存在することを衝突リスクとして検出する。
解析装置118は、人工知能(AI)を有する。人工知能は、自己軌道面と各相手軌道面の過去の交点に基づいて、交点の偏差を機械学習する。そして、解析装置118は、自己衛星が交点を通過する将来時刻に交点から偏差の範囲内を通過する相手衛星が存在することを、機械学習後の人工知能によって衝突リスクとして検出する。
解析装置118は、人工知能を有する。人工知能は、自己軌道面と各相手軌道面の過去の交点に基づいて、交点の最大偏差を機械学習する。そして、解析装置118は、自己衛星が交点を通過する将来時刻に交点から最大偏差の範囲内を通過する相手衛星が存在することを、機械学習後の人工知能によって衝突リスクとして検出する。
【0024】
***実施の形態1の補足***
図3から図16に基づいて、実施例を説明する。
図3に、軌道群103を示す。
軌道群103は、複数の通信衛星群102が飛翔する複数の軌道である。通信衛星群102は、地球109の上空の軌道を飛翔する。
衝突危険領域は衝突リスクがある領域であり、中緯度帯の領域が衝突危険領域となる。網掛けの丸は軌道面同士の交点を表している。
【0025】
通信衛星群102は、m機の通信衛星110で構成される。
m機の通信衛星110は、(360/m)degずつ位相をずらした均等配置で同一軌道面の軌道を飛翔する。
通信衛星群102の数はnである。つまり、衛星コンステレーション101における軌道面の数はn面である。各軌道面の軌道は傾斜円軌道である。傾斜円軌道は傾斜軌道であり且つ円軌道である。
n面の軌道面は、経度方向に(360/n)degずつ位相をずらして均等に配置される。
【0026】
以下に、同一軌道面において8機(m=8)の通信衛星110が飛翔し、経度方向において5つ(n=5)の傾斜円軌道が均等に配置される場合を例にして説明を行う。
【0027】
図4に、軌道面の法線方向から見た軌道104と、軌道104を均等位相で飛翔する8機の通信衛星110と、を示す。各黒星は通信衛星110を表している。各破線は互いに対向する2つの通信衛星110を結んだ線である。軌道104の中心の緯度は赤道の緯度と同じである。
8機の通信衛星110は、45degずつ位相角をずらして均等に配置されている。これにより、8機の通信衛星110が同位相を維持しながら同一高度を飛翔することになる。そのため、同一軌道面において衛星同士が衝突するリスクはない。
【0028】
図5に、法線ベクトルは異なるが軌道高度が同じ2つの軌道面(1)(2)を示す。黒十字は2つの軌道面(1)(2)の交点を表している。破線は2つの軌道面(1)(2)の交線を表している。
2つの軌道面(1)(2)は、交線上の2点(交点)で衛星同士が衝突するリスクを有する。つまり、2つの軌道面の軌道高度が同じであると、2つの軌道面の交点で衝突リスクが生じる。
この衝突リスクを解消する手段として、衛星同士が交線上の2点を通過するタイミングをずらすことが有効である。
赤道上空の通過タイミングに着目すると、各軌道面の通信衛星110が異なるタイミングで赤道上空を通過すれば、各交点において衝突リスクが解消される。
【0029】
図6に、それぞれの法線方向から見た5つの軌道面(1)~(5)を示す。5つの円は5つの軌道面(1)~(5)を表している。各軌道面の中に記された4本の直線は互いに対向する2つの通信衛星110の飛翔位置を結んだ線である。各軌道面の中心の緯度は赤道の緯度と同じである。
軌道面(1)~(5)のそれぞれにおいて、8つの飛翔位置は均等に配置されている。具体的には、飛翔位置ごとに位相が45degずつずれている。
そして、5つの軌道面(1)~(5)において、互いの8つの飛翔位置が赤道面を基準にして均等にずれている。具体的には、軌道面ごとに8つの飛翔位置の位相が9degずつずれている。
図7に、法線ベクトルを一致させて重ねた5つの軌道面(1)~(5)を示す。
【0030】
このような軌道面(1)~(5)では、互いの通信衛星110が異なるタイミングで赤道上空を通過することになる。そのため、異なる軌道面の衛星同士が赤道上空で衝突することはない。
また、同一軌道面の通信衛星110の数が偶数である場合、同一軌道面において互いに対向する2機の通信衛星110が同じタイミングで赤道上空を通過することになる。しかし、赤道上空における互いの飛翔位置が異なるため2機の通信衛星110が衝突することはない。
つまり、軌道面(1)~(5)の40機の通信衛星110が赤道上空で衝突することはない。
【0031】
図8に、それぞれの法線ベクトルをそれぞれの軌道傾斜角と同じ大きさ傾斜させて北極から見た軌道面(1)~(5)を示す。
図9に、互いの法線ベクトルの経度方向成分を等配分で傾斜させて図8の軌道面(1)~(5)を示す。軌道面(1)~(5)は、互いの法線ベクトルの経度方向成分が72degずつずれるように回転している。
図10に、図9の軌道面(1)と重ねて図9の軌道面(2)~(5)を示す。各軌道面の中に記した2本の破線は長軸と短軸を表している。軌道面(1)は軌道面(2)~(5)のそれぞれとの交点を有する。
図11に、それぞれの最北端を記した図10の軌道面(1)~(5)を示す。各星印が軌道面の最北端を表している。
図12に、軌道高度の一致点と通信衛星110の飛翔方向を記した図11の軌道面(1)~(5)を示す。黒十字は北極側の一致点を表している。白十字は南極側の一致点を表している。一致点は、軌道面同士の交線上で軌道高度が一致する点に相当する。矢印は通信衛星110の飛翔方向を表している。
図13に、図9の軌道面(1)と重ねて軌道高度の一致点を記した図9の軌道面(2)~(5)を示す。
図14に、各一致点における各通信衛星110の昇降を記した図12の軌道面(1)~(5)を示す。各一致点に記した[N/S]は、軌道面(1)の通信衛星110が南極から北上し、他方の軌道面の通信衛星110が北極から南下することを意味する。各一致点に記した[S/N]は、軌道面(1)の通信衛星110が北極から南下し、他方の軌道面の通信衛星110が南極から北上することを意味する。
交点となる各一致点では、南極から北上する通信衛星110と北極から南下する通信衛星110が交差する。
【0032】
図15に、法線ベクトルの経度方向を一致させて重ねて赤道上空から見た軌道面(1)~(5)を示す。
軌道面(1)~(5)において互いの通信衛星110が赤道上空を通過するタイミングが異なっていても、赤道上空以外の中緯度帯の各交点では、北上する通信衛星110と南下する通信衛星110の衝突リスクが発生する。同一緯度において同じタイミングで、一方の軌道面の通信衛星110が北上し、他方の軌道面の通信衛星110が南下するためである。
【0033】
図16に、図9の軌道面(1)と重ねて軌道高度の一致点と通信衛星110の飛翔方向と通信衛星110の昇降を記した図9の軌道面(2)~(5)を示す。
軌道面同士の各交点は既知である。そのため、異なる軌道面の衛星同士が各交点を同じタイミングで通過しないように設定することは、設計初期段階に可能である。
軌道面(1)~(5)では、交点を同時に通過する通信衛星110の組み合わせがないので、定常運用において衝突は発生しない。
このように、理想的な運用状態において全ての交点で衝突がないことを、設計段階において予め確認する必要がある。
【0034】
さらに、設計公差の範囲で、軌道面内の衛星同士の位相角、異なる軌道面の法線ベクトル同士の経度方向成分の離角、各軌道面の軌道高度、各軌道面の離心率または各軌道面の軌道傾斜角に変化があった場合にも、全ての交点で衝突がないことを確認する必要がある。
設計段階において、公差を考慮して、衝突が発生しないことを確認すれば、定常運用時の軌道上では衝突が発生しない。
しかしながら、衛星コンステレーション101の整備段階には衝突が発生するリスクがある。具体的には、新規の通信衛星110が軌道投入される場合、寿命を終えた通信衛星110が軌道離脱する場合、および、故障した通信衛星110が設計軌道から逸脱する場合には、衝突が発生するリスクがある。
【0035】
40機程度の通信衛星で構成される衛星コンステレーションであれば、広い宇宙空間で衝突するリスクはネグリジブルスモールである。しかし、近年、同一軌道高度に数千機の通信衛星を飛翔させる、という構想が増えている。そして、衛星数が増えれば衝突リスクが無視できないオーダーとなる。
【0036】
さらに、万が一、同一軌道高度で衝突が発生し、多数の破片がデブリ化して飛散した場合、デブリ化した破片が近傍軌道を飛翔し始めて同一軌道高度の他の通信衛星に連鎖的に衝突する、というリスクが発生する。この連鎖的衝突が止まらなくなる状態は、ケスラーシンドロームと呼ばれ警戒されている。
【0037】
***実施の形態1の特徴および効果***
n面の軌道面において、同一軌道高度の傾斜円軌道が経度方向に均等に配置される。
軌道面毎にm機の通信衛星110が均等の位相角ずつずれて飛翔する。
通信衛星110は、同一軌道面の進行方向における前後の通信衛星110と通信する通信装置(115)を具備する。そして、m機の通信衛星110は、同一軌道面において円環状の通信網を形成する。
通信衛星110は、左右の隣接軌道の通信衛星110と通信する通信装置(116)を具備する。そして、n軌道面の通信衛星群102は、経度方向において円環状またはスパイラル状の通信網を形成する。
同一軌道面における通信網と経度方向における通信網は、メッシュ状の通信網を形成する。
通信衛星110は、解析装置118を具備する。
解析装置118は、自己衛星が飛翔する軌道面IDoと、軌道面IDoとは法線ベクトルの経度方向成分が異なる軌道面IDxと、が交差する北緯θNxoと南緯θSxoを予め記録する。「x」は1以上n以下の整数である。
通信システム114は、軌道面IDxを飛翔する通信衛星IDxyの軌道情報をメッシュ通信網経由で受信する。「y」は1以上m以下の整数である。
解析装置118は、軌道情報を解析して、将来時刻tzにおいて自己衛星と軌道面IDxを飛翔する通信衛星IDxyが同時に北緯θNxoまたは南緯θSxoを通過することを導出する。そして、北上する側の通信衛星110が推進装置111を稼働して通過タイミングを変更する。
【0038】
海洋を航行する船舶同士の衝突リスクが予見された場合に回避行動をとるべき船舶の条件が予め定められている。
しかし、宇宙空間における衛星同士の衝突リスクが予見された場合に回避行動をとるべき衛星の条件は定められていない。そのため、双方が回避行動を取らなければ衝突が発生し、双方が回避行動をとれば予見された場所とは異なる場所での衝突リスクが発生する。
通信衛星コンステレーションにおいて、複数の軌道面が交差する位置では、南極から北極に向かって北上する衛星と北極から南極に向かって南下する衛星が衝突するリスクがある。衝突が予見された場合に、北上する側の衛星が回避行動をとれば、確実に衝突を回避できるという効果が得られる。
仮に双方の衛星が独立に回避行動をとると、別の位置での衝突リスクが発生する。そのため、船舶の海上航行ルールと同様に、回避行動をとる側の衛星を予めルールとして決めることが要諦となる。
なお、南下する側の衛星が回避行動をとってもよいことは言うまでもない。
【0039】
メッシュ通信網は次のように形成される。
各通信衛星が赤道上空で北上して飛翔する際に軌道傾斜角相当の方位角で北東方向の隣接軌道の通信衛星と通信すれば、赤道上空で経度方向に円環状の通信網が形成される。また、各通信衛星が軌道傾斜角とは異なる方位角で隣接軌道の通信衛星と通信すれば、スパイラル状の通信網が形成される。
【0040】
無条件で通信衛星コンステレーションを構成する全ての通信衛星の衝突解析を実施する場合、変動パラメータが過多である。そのため、解析装置の負担が重い。また、高速の解析装置を各通信衛星に具備すれば高コストになる。また、解析時間が長引けば衝突回避が間に合わない。
そこで、軌道面毎に衝突可能性がある緯度を北緯と南緯の2点のみに限定する。これにより、解析装置の負担が軽減される。また、低コストで迅速な解析が可能となる。また、時間的な余裕をもって確実に衝突回避ができる。
【0041】
解析装置118は軌道情報を解析する。このとき、解析装置118は、予め記録した北緯θNxoと南緯θSxoに対して設計公差(ΔθNxo、ΔθSxo)の幅を含め、将来時刻tzにおいて自己衛星と軌道面IDxを飛翔する通信衛星IDxyが同時にθNxo±ΔθNxoまたはθSxo±ΔθSxoを通過することを導出する。そして、北上する側の通信衛星110が推進装置111を稼働して通過タイミングを変更する。
【0042】
解析装置118は、人工知能(AI)を具備する。
解析装置118は、予め記録した北緯θNxoと南緯θSxoに対する過去の軌道実績に基づいて、軌道面IDoと軌道面IDxの交点(θNxo、θSxo)からの偏差(δθNxo、δθSxo)を機械学習する。
解析装置118は、軌道情報を解析して、将来時刻tzにおいて自己衛星と軌道面IDxを飛翔する通信衛星IDxyが同時にθNxo±δθNxoの範囲またはθSxo±δθSxoの範囲を通過する可能性があることを導出する。そして、北上する側の通信衛星110が推進装置111を稼働して通過タイミングを変更する。
【0043】
解析装置118は、人工知能(AI)を具備する。
解析装置118は、任意の通信衛星110が飛翔する軌道面IDiと、軌道面IDiとは法線ベクトルの経度方向成分が異なる軌道面IDxと、が交差する北緯θNxiと南緯θSxiを予め記録する。「i」は1以上n以下の整数である。「x」は1以上n以下の整数である。
解析装置118は、予め記録した北緯θNxiと南緯θSxiに対する過去の軌道実績に基づいて、全ての軌道面の全ての衛星の組み合わせについて、最大偏差(δθNximax、δθSximax)を機械学習する。最大偏差δθNximaxは、設計段階で想定した北半球側緯度θNxiの交点に対する定常運用段階の飛翔実績における北緯θNxiの交点の最大偏差である。最大偏差δθSximaxは、設計段階で想定した南半球側緯度θSxiの交点に対する定常運用段階の飛翔実績における南緯θSxiの交点の最大偏差である。
解析装置118は、軌道情報を解析して、将来時刻tzにおいて自己衛星と軌道面IDxを飛翔する通信衛星IDxyが同時にθNxo±δθNximaxの範囲またはθSxo±δθSximaxの範囲を通過する可能性があることを導出する。そして、北上する側の通信衛星110が推進装置111を稼働して通過タイミングを変更する。
【0044】
通信衛星が個別に回避行動をとる場合に、推進装置によって増速ないし減速すれば軌道高度が変化する。また、分点において軌道面外方向に推進装置が噴射すれば軌道傾斜角が変化する。そのため、衝突回避後の軌道情報は設計段階に想定した公差範囲を逸脱する可能性がある。そして、軌道面同士の相対位相角および衛星間の相対位相角が変化し、設計想定外の北緯θNxiおよび南緯θSxiが交点になり、別途衝突リスクが生じる懸念がある。
設計想定外の偏差については軌道上でAIによる機械学習をして最大値を把握するのが効果的である。
【0045】
回避行動をとった通信衛星110は、回避行動をとった後の軌道情報(更新軌道情報)をメッシュ通信網経由で全ての通信衛星110に通知する。
【0046】
回避行動をとった通信衛星の軌道情報が更新された結果として、その通信衛星が当初は衝突リスクがなかった軌道面の通信衛星と衝突するリスクが発生する可能性がある。しかし、即座に更新軌道情報が全ての通信衛星に通知されることにより、各通信衛星の解析装置が新規の衝突リスクがないことを確認できる。つまり、副次災害を予防できるという効果が得られる。
【0047】
回避行動をとった通信衛星110は、回避行動をとった後の軌道情報(更新軌道情報)と更新前の軌道情報の相違情報をメッシュ通信網経由で全ての通信衛星110に通知する。
各通信衛星110の解析装置118は、過去に受信した回避行動に伴う軌道情報の相違情報をAIによって機械学習して、最大偏差(δθNavdmax、δθSavdmax)を生成する。
各通信衛星110の解析装置118は、将来時刻tzにおいて自己衛星と軌道面IDxを飛翔する通信衛星IDxyが同時にθN±δθNavdmaxの範囲またはθS±δθSavdmaxの範囲を通過する可能性があることを導出する。そして、北上する側の通信衛星110が推進装置111を稼働して通過タイミングを変更する。
【0048】
回避行動をとった通信衛星の軌道情報が更新された結果として、その通信衛星が当初は衝突リスクがなかった軌道面の通信衛星と衝突するリスクが発生する可能性がある。しかし、回避行動が軌道情報に与える影響をAIが機械学習することにより、回避行動後の通信衛星との衝突を回避できるという効果が得られる。
【0049】
各軌道面の通信衛星110が赤道上空を飛翔して北上するときの位相は、360/(m×n)degずつずれている。
【0050】
赤道上空の通過タイミングが全ての通信衛星で異なることにより、定常運用における衝突がない初期配置を選びやすいという効果が得られる。
【0051】
***実施の形態1のまとめ***
メガコンステレーションの登場とデブリの増加に伴う軌道上の物体数の激増により、宇宙空間の衝突リスクが増大している。そのため、衝突回避方法が待望されている。
実施の形態1は、メッシュ型通信網を形成する通信衛星コンステレーションにおいて人工知能(AI)の機械学習により回避行動をとるための衝突回避方法を提供する。
【0052】
実施の形態1は、軌道面毎の衛星飛翔位置を変えて北上する衛星同士ないし南下する衛星同士の衝突を解消し、北上する衛星と南下する衛星の衝突が予見された場合に北上する衛星が衝突回避行動をとる、という衝突回避方法を提供する。
実施の形態1では、同一軌道面の前後の衛星が円環状の通信網を形成する。また、経度方向の隣接軌道の衛星同士が経度方向に円環状またはスパイラル状の通信網を形成する。これにより、メッシュ状の通信網が形成される。
実施の形態1は、次のような衝突回避方法を提供する。北上する衛星と南下する衛星の衝突が予見された場合に北上する衛星が推進装置を稼働して衝突を回避する。さらに、衝突回避した通信衛星が、別の軌道面の通信衛星との衝突を避けるため、メッシュ通信網経由で更新軌道情報を通知する。そして、解析装置の人工知能(AI)が機械学習を行って軌道面同士の交点の範囲を更新する。
【0053】
実施の形態1は、好ましい形態の例示であり、本開示の技術的範囲を制限することを意図するものではない。実施の形態1は、部分的に実施してもよいし、他の形態と組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0054】
100 衛星コンステレーションシステム、101 衛星コンステレーション、102 通信衛星群、103 軌道群、104 軌道、109 地球、110 通信衛星、111 推進装置、112 姿勢制御装置、113 衛星制御装置、114 通信システム、115 前後通信装置、116 左右通信装置、117 対地通信装置、118 解析装置、119 記憶装置、120 地上設備、121 衛星管制装置、122 通信装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
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