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特許7607537ユーザに対して因果ループ図を表示するシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】ユーザに対して因果ループ図を表示するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/067 20230101AFI20241220BHJP
   G06Q 10/0635 20230101ALI20241220BHJP
【FI】
G06Q10/067
G06Q10/0635
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021141348
(22)【出願日】2021-08-31
(65)【公開番号】P2023034888
(43)【公開日】2023-03-13
【審査請求日】2024-02-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】マソラ アリシア
(72)【発明者】
【氏名】太田 延之
(72)【発明者】
【氏名】吉本 尚起
【審査官】関 博文
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-76026(JP,A)
【文献】特開2017-146734(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0149621(US,A1)
【文献】国際公開第2020/162073(WO,A1)
【文献】長岡 晴子 他,顧客協創によるサービス事業の拡大 ヒトと経営の視点からの顧客価値可視化手法の開発,日立評論 ,日立評論社,2015年11月01日,第97巻, 第11号 ,pp.29-33
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに対して因果ループ図を表示するシステムであって、
1以上の演算装置と、
1以上の記憶装置と、を含み、
前記1以上の記憶装置は、
1以上の因果ループ図の情報と、
ユーザとノードとを関連付ける第1管理情報と、を格納し、
前記1以上の因果ループ図に含まれるノードそれぞれに重みが付与され、
前記1以上の演算装置は、
第1ユーザを識別するユーザ識別子を取得し、
前記第1管理情報を参照して、前記1以上の因果ループ図に含まれるノードにおいて、前記第1ユーザに関連するノードを選択し、
前記選択したノードの重みを増加させ、
前記1以上の因果ループ図のノードを含む因果ループ図の表示において、前記重みが第1閾値以上のノードを強調表示する、システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、
前記第1管理情報は、ユーザの関心ノードの種類を管理するユーザ情報を含み、
前記1以上の演算装置は、前記第1ユーザに関連付けられている関心ノードの重みを増加させる、システム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムであって、
前記第1管理情報は、
ユーザの関連するタスクを管理するユーザ情報と、
タスクとノードとを関連付けるタスク-ノード関係情報と、を含み、
前記1以上の演算装置は、前記第1ユーザに関連付けられているタスクと関連するノードの重みを増加させる、システム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムであって、
前記1以上の記憶装置は、
前記第1管理情報は、ユーザと関連する利害関係者を管理するユーザ情報を含み、
前記1以上の演算装置は、前記第1ユーザと関連付けられる利害関係者に関連付けられているノードの重みを増加させる、システム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステムであって、
前記1以上の演算装置は、
前記1以上の因果ループ図内のネガティブループの重みを、前記ネガティブループを構成するノードの重みに基づき決定し、
前記ネガティブループの重みが第2閾値以上のネガティブループを、クリティカルループと決定し、
前記因果ループ図の表示において、前記クリティカルループにおいて重みが前記第1閾値以上のノードを強調表示する、システム。
【請求項6】
請求項1に記載のシステムであって、
前記1以上の記憶装置は、
ユーザ識別子とユーザタイプとを関連付けるユーザ情報と、
前記ユーザタイプと表示が許可されたノードタイプとを関連付けるユーザタイプ情報と、を格納し、
前記1以上の演算装置は、
前記ユーザ情報及び前記ユーザタイプ情報を参照して、前記第1ユーザに対して表示可能なノードタイプを決定し、
表示する前記因果ループ図を表示可能なノードタイプのノードで構成する、システム。
【請求項7】
請求項1に記載のシステムであって、
前記1以上の演算装置は、
前記因果ループ図の表示において、前記1以上の因果ループ図のソースにより隠されたノードの一部の情報のみを表示し、
前記第1ユーザからの前記隠されたノードの表示要求を前記ソースに転送し、
前記ソースからの承認に応答して、前記隠されたノードの他の一部の情報を表示する、システム。
【請求項8】
請求項5に記載のシステムであって、
前記1以上の因果ループ図の情報は、ノード間の正負の関係性の情報を含み、
前記第1管理情報は、ノードに対する対策及び正負の効果を管理する情報を含み、
前記1以上の演算装置は、
前記クリティカルループにおいて重みが前記第1閾値以上のノードをクリティカルノードと決定し、
前記第1管理情報から、前記クリティカルノードに対する対策であって、前記クリティカルループを正のループに変化させる対策を選択して表示する、システム。
【請求項9】
システムが、ユーザに対して因果ループ図を表示する方法であって、
前記システムは、
1以上の因果ループ図の情報と、
ユーザとノードとを関連付ける第1管理情報と、を格納し、
前記1以上の因果ループ図に含まれるノードそれぞれに重みが付与され、
前記方法は、
第1ユーザを識別するユーザ識別子を取得し、
前記第1管理情報を参照して、前記1以上の因果ループ図に含まれるノードにおいて、前記第1ユーザに関連するノードを選択し、
前記選択したノードの重みを増加させ、
前記1以上の因果ループ図のノードを含む因果ループ図の表示において、前記重みが第1閾値以上のノードを強調表示する、ことを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザに対して因果ループ図を表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、オンラインデータを用いる品質計のCLD(Causal LoopDiagram:因果ループ図)を統合する方法を開示している。管理、業務及び意思決定を支援する情報システムの品質を決定することを目的とし、QI(Quality Intelligence tools)を用いて、異なる間隔で測定され、異なるソースから得られる、技術的なデータ及び非技術的なデータを組み合わせることを考慮する。
【0003】
QIのダッシュボード層は、情報システムの品質の価値のリアルタイムの情報表示をユーザに提供できる。QIシステムは、多くの異なるユーザ又はユーザの役割(CEO、CIO、CFO、カスタマサービス、プロジェクトマネージャ等)に対応することができ、彼らは自分にとって重要なシステム品質に関する表示情報を選択することができる。ユーザは、自分にとって適切な表示を選択することができ、又は、表示を自分にとって適切なように特定の目的に適応させることができる。
【0004】
結果は、ダッシュボードユニットで視認することができる。結果はGUI(Graphical User Interface)を提供するように配置され、GUIは、各品質指標の結果、因果ループモデルの内部構造の妥当性、品質指標間の関係を示す各パラメータの値、を表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願公開第2017/0052867号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
効率的なCLD統合方法は存在する。しかし、CLDの複雑性が、それらの有用性を見えづらくする。特に、異なるユーザの観点からの可視化を実現することは困難である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、ユーザに対して因果ループ図を表示するシステムであって、1以上の演算装置と、1以上の記憶装置と、を含み、前記1以上の記憶装置は、1以上の因果ループ図の情報と、ユーザとノードとを関連付ける第1管理情報と、を格納し、前記1以上の因果ループ図に含まれるノードそれぞれに重みが付与され、前記1以上の演算装置は、第1ユーザを識別するユーザ識別子を取得し、前記第1管理情報を参照して、前記1以上の因果ループ図に含まれるノードにおいて、前記第1ユーザに関連するノードを選択し、前記選択したノードの重みを増加させ、前記1以上の因果ループ図のノードを含む因果ループ図の表示において、前記重みが第1閾値を超えるノードを強調表示する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、異なるユーザ視点からのCLDの可視化をより容易なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】都市CLD可視化システムの構成例を示す。
図2A】ユーザテーブルの構成例を示す。
図2B】ユーザタイプテーブルの構成例を示す。
図2C】デフォルトPDCA-KPI関係テーブルの構成例を示す。
図2D】ユーザ関係テーブルの構成例を示す。
図2E】デフォルト利害関係者関心事テーブルの構成例を示す。
図3A】KPIリストテーブルの構成例を示す。
図3B】収集されたCLDテーブルの構成例を示す。
図3C】ノード関係性リンクテーブルの構成例を示す。
図4】センサ及び都市データの構成例を示す。
図5A】分析結果テーブル-関係モデルの構成例を示す。
図5B】ボトルネック対策パターンテーブルの構成例を示す。
図6】CLD形成部による、CLD情報の収集及びデータベースへのデータ登録方法の例のフローチャートを示す。
図7】CLDフィルタリング及びCLD可視化の処理例のフローチャートを示す。
図8】CLD可視化ステップの詳細のフローチャートを示す。
図9】利害関係者関係CLD統合ステップの詳細のフローチャートを示す。
図10】利害関係者関係CLD統合ステップのシーケンス図を示す。
図11】ユーザに提示され得る、可視化されたCLD画像の例を示す。
図12A図11のCLD内のループの例を示す。
図12B図11のCLD内のループの例を示す。
図13】ユーザに提示され得る、可視化されたCLD画像の例を示す。
図14】ユーザに提示され得る、可視化されたCLD画像の例を示す。
図15】ユーザに提示され得る、可視化されたCLD画像の例を示す。
図16】ユーザに提示され得る、可視化されたCLD画像の例を示す。
図17A】対策KPIを挿入して、負のループを正のループに変化させる例を示す。
図17B】対策KPIを挿入して、負のループを正のループに変化させる例を示す。
図17C】対策KPIを挿入して、負のループを正のループに変化させる例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下においては、便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらは互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合及び原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0011】
本システムは、物理的な計算機システム(一つ以上の物理的な計算機)でもよいし、クラウド基盤のような計算リソース群(複数の計算リソース)上に構築されたシステムでもよい。計算機システムあるいは計算リソース群は、1以上のインタフェイス装置(例えば通信装置及び入出力装置を含む)、1以上の記憶装置(例えば、メモリ(主記憶)及び補助記憶装置を含む)、及び、1以上の演算装置を含む。
【0012】
プログラムが演算装置によって実行されることで機能が実現される場合、定められた処理が、適宜に記憶装置及び/またはインタフェイス装置等を用いながら行われるため、機能は演算装置の少なくとも一部とされてもよい。機能を主語として説明された処理は、演算装置を有するシステムが行う処理としてもよい。プログラムは、プログラムソースからインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、プログラム配布計算機または計算機が読み取り可能な記憶媒体(例えば計算機読み取り可能な非一過性記憶媒体)であってもよい。各機能の説明は一例であり、複数の機能が一つの機能にまとめられたり、一つの機能が複数の機能に分割されたりしてもよい。
【0013】
以下において、意思決定、都市計画、オープンデータのための可視化ツールとして、因果ループ図(CLD)を利用するシステムを説明する。システムは、動的な変化予測に基づいて、計画や意思決定を行うためのデータの可視化を行う。以下において、都市計画のために、パーソナライズ化されたCLDを表示するシステムの例を説明する。本明細書の特徴は、他の用途のCLDの可視化システムに適用することができる。
【0014】
図1は、都市CLD可視化システム100の構成例を示す。CLDは、因果ループ図を表す。都市CLD可視化システム100は、RAMなど揮発性記憶素子で構成される主記憶装置110、SSD(Solid State Drive)やハードディスクドライブなど適宜な不揮発性記憶素子で構成される補助記憶装置120を含む。都市CLD可視化システム100は、さらに、補助記憶装置120等に格納されているプログラムを主記憶装置110に読み出すなどして実行し、システム自体の統括制御を行うとともに、各種判定、演算及び制御処理を行うCPUなどの演算装置130を含む。
【0015】
都市CLD可視化システム100は、ネットワーク140に接続しデータをやり取りするための通信インタフェイス132を含む。これら都市CLD可視化システム100の構成要素は、内部バスによって、相互に通信することができる。都市CLD可視化システム100は、さらに、入出力装置131を含む。入出力装置131は、システムユーザからの入力動作を受け付けるキーボードやマウス、タッチパネルなどの入力装置、ユーザに対して処理結果を表示するディスプレイなどの出力装置を含む。
【0016】
補助記憶装置120内には、本実施形態の都市CLD可視化システム100として必要な機能を実装するためのプログラムの他、各種処理に必要なデータを格納した情報データベース(DB)121~124が格納されている。具体的には、マスタデータベース121、CLD収集データベース122、収集されたセンサ及び都市データデータベース123、及び関係モデルデータベース124が格納されている。データベースの内容は、後に処理フローに関連してより詳細に説明する。
【0017】
図1は、主記憶装置110にロードされているプログラムを示している。具体的には、主記憶装置110は、CLD形成部111、フィルタリング部113、分析及びボトルネック検出部114、及び可視化部115を格納している。
【0018】
演算装置130は、上記プログラムの命令コードに従って動作することで、対応する機能部として動作する。つまり、演算装置130は、CLD形成部、フィルタリング部、分析及びボトルネック部、及び可視化部として動作し得る。これらのプログラムの動作は、以下において、都市CLD可視化システム100の処理フローの例に関連して説明する。
【0019】
通信インタフェイス132は、演算装置130(都市CLD可視化システム100)が、ネットワーク140を介して、外部システムと通信するためのインタフェイスである。具体的には、都市CLD可視化システム100は、関係モデリングシステム150、政府システム160、企業システム161及びプライベートシステム162と通信できる。
【0020】
次に、図2Aから5Bを参照して、都市CLD可視化システム100に格納されているデータベースの構成について説明する。データベースに格納されているデータは、後述するデータ処理で使用される。
【0021】
図2Aから2Eは、マスタデータベース121に格納されているデータ(情報)の例を示す。マスタデータベース121は、ユーザテーブル200、ユーザタイプテーブル210、デフォルトPDCA-KPI関係テーブル220、ユーザ関係テーブル230、及びデフォルト利害関係者関心事テーブル240を含む。マスタデータベース121の情報は、システム管理者によって、CLD収集データベース122の情報に基づいて入力されるものとすることができる。
【0022】
図2Aは、ユーザ情報である、ユーザテーブル200の構成例を示す。ユーザテーブル200は、ユーザの情報を管理する。ユーザテーブル200は、ユーザID201、ユーザ名202、利害関係者タイプ203、カスタマイズされた関心事(KPIカテゴリ)204、主PDCAタスク205で構成される。ユーザID201は、ユーザの識別子であり、テーブルの各レコードを識別するためのキーである。ユーザ名202は、ユーザの名前を示す。利害関係者タイプ203は、ユーザが所属する組織のタイプを示す。カスタマイズされた関心事204は、ユーザの関心事を表す。関心事はKPIカテゴリで示されている。主PDCAタスク205は、都市計画のPDCAサイクルにおいて、ユーザに割り当てられた主タスクを示す。
【0023】
図2Bは、ユーザタイプ情報である、ユーザタイプテーブル210の構成例を示す。ユーザタイプテーブル210は、ユーザが所属する組織の情報を管理する。ユーザタイプテーブル210は、利害関係者タイプID211、利害関係者タイプ名212、KPIアクセス許可213を含む。利害関係者タイプID211は、ユーザの組織の識別子であり、各レコードを識別するためのキーである。利害関係者タイプ名212は、組織の名称を示す。KPIアクセス許可213は、組織が見ることができるKPIカテゴリ及びKPIを示す。
【0024】
図2Cは、デフォルトPDCA-KPI関係テーブル220の構成例を示す。デフォルトPDCA-KPI関係テーブル220は、都市計画のPDCA業務に関する情報を管理する。デフォルトPDCA-KPI関係テーブル220は、PDCA221及びKPI ID222を含む。PDCA221は、業務の識別子であり、主キーでもある。KPI ID222は、その業務で参照されるKPIを示す。PDCA221が示すP、D、C、Aと、主PDCAタスク205が示すP、D、C、Aは同一である。PDCAは、Plan Do Check Actを表す。PDCAサイクルは、対象の質を継続的に改善するサイクルを示す。
【0025】
なお、同じKPIであっても、ユーザ毎にPDCAの位置付けを変えるものとしてもよい。例えば、kpi_1はあるユーザにはPの段階で参照するKPIであるとしても、別のユーザにはCの段階で参照するKPIであるとしてもよい。この場合、ユーザ毎にPDCAの位置付けを変えるために、デフォルトPDCA-KPI関係テーブル220にユーザIDの列を追加してもよい。
【0026】
図2Dは、ユーザ関係テーブル230の構成例を示す。ユーザ関係テーブル230は、ユーザに関わる利害関係者の情報を管理する。ユーザ関係テーブル230は、ユーザID231と、利害関係者ユーザID232を含む。ユーザID231は、ユーザの識別子であり、主キーである。利害関係者ユーザID232は、ユーザに関わる利害関係者のユーザIDを示す。このとき、ユーザ関係テーブル230と同様に、ユーザの利害関係者タイプと、利害関係者のユーザの利害関係者タイプの間の関係を示すテーブルを別に用意しておき、ユーザ関係テーブルは利害関係者タイプの間の関係を示すテーブルに基づいて、自動で作成されるものとしてもよい。
【0027】
図2Eは、デフォルト利害関係者関心事テーブル240の構成例を示す。デフォルト利害関係者関心事テーブル240は、組織が関心を持つKPIの情報を格納する。デフォルト利害関係者関心事テーブル240は、利害関係者タイプID241及びKPIカテゴリ242を含む。利害関係者タイプID241は、組織の識別子であり、主キーである。KPIカテゴリ242は、利害関係者が関心を持つKPIのカテゴリを示す。
【0028】
次に、CLD収集DB122について説明する。図3Aから3Cは、CLD収集DB122に含まれる情報を示す。具体的には、CLD収集DB122は、KPIリストテーブル300、収集されたCLDテーブル310、ノード関係性リンクテーブル320を含む。
【0029】
図3Aは、KPIリストテーブル300の構成例を示す。KPIリストテーブル300は、KPIの情報を管理する。KPIリストテーブル300は、KPIID301、KPI名302、KPIカテゴリ303、重要度重み304、重み閾値306を含む。KPI ID301は、KPIの識別子であり、テーブルの各レコードを識別するためのキーである。KPI名302は、KPIの名称を示す。
【0030】
KPIカテゴリ303は、KPIのカテゴリを示す。重要度重み304は、KPIの表示を決定するために使用される重みである。重み閾値306は、KPIの表示を決定するための重要度重み304の閾値を示す。重要度重み304、重み閾値306は、ユーザにより設定される、又は、システムによってセンサ及び都市データ400の都市データ値405の関連センサの値から予め設定された方法により計算される。図3Aの例において、全てのKPIに対して重み閾値の値は共通である。異なるKPIに対して、異なる重み閾値の値が設定されてもよい。
【0031】
図3Bは、収集されたCLDテーブル310の構成例を示す。収集されたCLDテーブル310は、外部の、政府システム160、企業システム161、プライベートシステム162から取得したCLDの情報を管理する。収集されたCLDテーブル310は、CLD ID311、リンクID312、CLDタイプ313、リンク元KPI ID314、リンク先KPI ID315、関係性316を含む。CLD ID311は、CLDの識別子であり、各レコードを識別するためのキーの一つである。リンクID312は、CLDのノード間を結ぶリンクの識別子であり、各レコードを識別するためのキーの一つである。
【0032】
CLDタイプ313は、CLDを作成した組織のタイプを示す。リンク元KPI ID314は、リンクの開始ノード(KPI)を示す。リンク先KPI ID315は、リンク先ノード(KPI)を示す。関係性316は、リンク元KPI ID314とリンク先KPI ID315の関係を示す。リンク元KPI ID314が増加するときにリンク先KPI ID315の値が増加する場合、関係性316は「+」となる。一方、リンク元KPI ID314が減少するときにリンク先KPI ID315が増加する場合、関係性316は「-」となる。
【0033】
図3Cは、ノード関係性リンクテーブル320の構成例を示す。ノード関係性リンクテーブル320は、収集されたCLDテーブル310と同様に、CLDの情報を格納する。ノード関係性リンクテーブル320は、リンクID321、CLDタイプ322、リンク元KPI ID323、リンク先KPI ID324、関係性325を含む。これらは、収集されたCLDテーブル310の構成要素と同様である。
【0034】
次に、収集されたセンサ及び都市データDB123について説明する。図4は、収集されたセンサ及び都市データDB123に格納されている情報の例を示す。具体的には、収集されたセンサ及び都市データDB123は、センサ及び都市データ400を含む。収集されたセンサ及び都市データDB123の情報は、例えば、システムによって外部システムから収集される。
【0035】
センサ及び都市データ400は、センサ又は都市の統計データを管理する。センサ及び都市データ400は、項目ID401、都市データ項目402、属性403、KPI名404、都市データ値405を含む。項目ID401は、データの識別子であり、テーブルの各レコードを識別するためのキーである。都市データ項目402は、データの名称を示す。属性403は、データの属性を示す。KPI名404は、関連するKPIの名称を示す。都市データ値405は、都市データ項目が示すデータの値を示す。
【0036】
次に、関係モデルDB124について説明する。図5A及び5Bは、関係モデルDB124が格納する情報の例を示す。具体的には、関係モデルDB124は、分析結果テーブル-関係モデル500、及びボトルネック対策パターンテーブル510を含む。例えば、分析結果テーブル-関係モデル500の情報は、外部の関係モデリングシステム150から収集され、ボトルネック対策パターンテーブル510は管理者によって予め設定登録される。
【0037】
図5Aは、分析結果テーブル-関係モデル500の構成例を示す。分析結果テーブル-関係モデル500は、都市の対策及びそれらの効果の情報を格納する。分析結果テーブル-関係モデル500は、KPIID501、対策502、効果503を含む。KPIID501は、KPIの識別子であり、テーブルの各レコードを識別するためのキーの一つである。対策502は、対策の名称であり、テーブルの各レコードを識別するためのキーの1つである。効果503は、対策の効果を示す。
【0038】
図5Bは、ボトルネック対策パターンテーブル510の構成例を示す。ボトルネック対策パターンテーブル510は、都市の対策及び対策のボトルネックに対する影響の情報を格納する。ボトルネック対策パターンテーブル510は、ID511、オリジナル関係性512、対策関係性513を含む。対策関係性513は、kpi_a→x514、x→kpi_b515を含む。
【0039】
ID511は、対策による正負関係性の変化のパターンの識別子であり、そして、テーブルの各レコードを識別するためのキーである。オリジナル関係512は、対策が適用される前のリンクされているノード間の関係性を示す。対策関係性513は、対策が適用された後のリンクされたノード間の関係性を示す。対策が適用された後、オリジナル関係性512の代わりに、KPI_a→x514、x→KPI_b515がCLDに追加される。
【0040】
つまり、対策ノードが追加される前は、kpi_aがリンク元ノードであり、kpi_bがリンク先ノードである。これらノードの間に、対策ノードxが追加される。例えば、パターンp1において、kpi_aとkpi_bのオリジナルの関係性は、正(+)である。これらKPIの間にノードxが追加される。kpi_aとxとの間の関係性は負(-)であり、xとkpi_bとの間の関係性は正(+)である。
【0041】
パターンp3において、kpi_aとkpi_bのオリジナルの関係性は、負(-)である。これらKPIの間にノードxが追加される。kpi_aとxとの間の関係性は正(+)であり、xとkpi_bとの間の関係性は正(+)である。
【0042】
以下において、都市CLD可視化システム100による処理を説明する。最初のステップとして、CLD形成部111は、以下のように、ユーザに対する可視化のために加工される前のオリジナルの因果ループ図の情報を、外部システムから収集する。図6は、CLD形成部111による、CLD情報の収集及びデータベースへのデータ登録方法の例のフローチャートを示す。
【0043】
図6の処理フローを参照して、ステップS601において、CLD形成部111は、外部ソース、つまり、政府システム160、企業システム161、プライベートシステム162から、既存のCLDの情報を収集し、CLD収集データベース122に格納する。図3Bの収集されたCLDテーブル310において示されているように、ノード関係性データは、フィールド313がソースを示すオリジナルのCLDと同様に、フィールド314、315、316に保持される。
【0044】
次のステップS602において、CLD形成部111は、収集されたCLDの情報を主記憶装置110及びCLD収集データベース122から読み出し、ステップS603において、各ノードを、一つずつチェックする。ステップS604及びS605において、CLD形成部111は、各ノードを、CLD収集データベース122のKPIリストテーブル300に追加する。このとき、重複は破棄される。また、リンク元KPI、リンク先KPI及び関係性のタイプを含むリンクの情報が、ノード関係性リンクテーブル320に追加される。さらに、各ノードの都市データ値についての情報が、センサ及び都市データ400に格納される。
【0045】
ここで、複数のCLDを読み込んで、それらを統合し、一つのCLDに繋げたものを、以降のCLDとしてもよい。その際は、同じKPIを示すノードを同一の物として自動的に結合し、ノードに接続しているリンクも自動的に接続することとしてもよいし、結合や接続は手動で行うこととしてもよいし、あるいは両者の組み合わせで行うこととしてもよい。また、公知の方法を使うこととしてもよい。
【0046】
上述のように、マスタデータベース121の一部の情報は、上述のように収集された情報から管理者によって選択され、格納される。関係モデルデータベース124の一部の情報は、上述のように、関係モデリングシステム150から収集され保存される。一部の情報は、管理者によって設定登録される。
【0047】
データベース121から124に必要な情報が格納された後、システム100は、CLDフィルタリング及びCLD可視化の処理を開始する。これにより、ユーザによる意思決定を支援することができる。CLDのフィルタリング及びパーソナライズ化(カスタマイズ)のプロセスは、次のように開始する。
【0048】
図7は、CLDフィルタリング及びCLD可視化の処理例のフローチャートを示す。最初のステップS701において、フィルタリング部113は、入出力装置131を介して、ユーザIDを取得する。フィルタリング部113は、マスタデータベース121のユーザテーブル200を参照して、ユーザID201の値が一致するレコードから、主PDCAタスク205、利害関係者タイプ203、カスタマイズされた関心事204の値を取得する。
【0049】
次に、ステップS702において、フィルタリング部113は、マスタデータベース121のデフォルトPDCA-KPI関係テーブル220を参照し、取得した主PDCAタスク205のいずれかの値に等しいPDCA221のレコードから、KPI ID222の値を取得する。
【0050】
フィルタリング部113は、CLD収集データベース122のKPIリストテーブル300を参照し、KPI ID301又はKPIカテゴリ303の値が、取得したKPI ID222又はカスタマイズされた関心事204の値と等しいレコードを検索する。フィルタリング部113は、見つけたレコードに対して、重要度重み304の値を増加させるように更新する。これにより、ユーザに関連するKPIノードの重みを増加させることができる。重要度重み304の増加値は、あらかじめシステム管理者により設定される。フィルタリング部113は、ユーザの主PDCAタスクに関連付けられたKPI又はカスタマイズされた関心事の一方と一致するレコードにおいてのみ、重要度重みを更新してもよい。
【0051】
次に、ステップS703において、フィルタリング部113は、利害関係者間の関係に関する情報を取得する。フィルタリング部113は、マスタデータベース121のユーザ関係テーブル230を参照し、ユーザID231の値が取得したユーザIDの値と一致するレコードを検索する。フィルタリング部113は、見つけたレコードの利害関係者ユーザID232が示す、既存のデフォルトのユーザ関係情報を取得する。
【0052】
さらに、フィルタリング部113は、ステップS701及び702におけるユーザIDに代えて、取得した利害関係者ユーザID232の各ユーザIDに基づいて、上述のように重要度重み304を増加させるように更新する。これにより、ユーザと関連づけられた利害関係者を介して、ユーザと関連するKPIノードの重みを増加させることができる。具体的には、フィルタリング部113は、マスタデータベース121のユーザテーブル200を参照して、取得した利害関係者ユーザID232の各ユーザIDと一致するユーザID201の値を有するレコードから、カスタマイズされた関心事204及び主PDCAタスク205の値を取得する。
【0053】
フィルタリング部113は、デフォルトPDCA-KPI関係テーブル220を参照し、取得した主PDCAタスク205のいずれかの値に等しいPDCA221のレコードから、KPI ID222の値を取得する。フィルタリング部113は、KPIリストテーブル300を参照し、取得したカスタマイズされた関心事204又はKPI ID222の値と等しいKPI ID301のレコードに対して、重要度重み304の値を増加させる。
【0054】
さらに、フィルタリング部113は、マスタデータベース121のユーザタイプテーブル210を参照し、現在のユーザの利害関係者タイプ203の値と一致する利害関係者タイプ名212のレコードを検索する。フィルタリング部113は、見つけたレコードから、KPIアクセス許可213の値を取得する。
【0055】
フィルタリング部113は、CLD収集データベース122のKPIリストテーブル300を参照し、KPIカテゴリ303の値が、取得したKPIアクセス許可213の値と等しくないレコードの重要度重み304を、「0」に更新する。なぜなら、KPIは、アクセス許可を持つユーザのみ、見ることが許されるためである。なお、0と異なる閾値以下のノードが視認不可と設定されてもよい。
【0056】
ステップS704において、解析及びボトルネック検出部114は、CLD収集データベース122のKPIリストテーブル300から、重要度重み304の値が0ではないレコードのKPI ID 301の値を取得する。
【0057】
次に、解析及びボトルネック検出部114は、CLD収集データベース122のノード関係性リンクテーブル320を参照し、取得したKPI ID301の値と等しいリンク元KPI ID323を有するレコードを検索する。解析及びボトルネック検出部114は、見つけたレコードから、リンクID321及びリンク先KPI ID324の値を取得する。つまり、重要度重み304の値が0ではないKPI ID301の値と等しいリンク元KPI ID323を有するレコードから、リンク及びリンク先の情報が取得される。
【0058】
次に、解析及びボトルネック検出部114は、KPIリストテーブル300を参照し、取得したリンク先KPI ID324の値のレコードを検索する。解析及びボトルネック検出部114は、重要度重み304の値が0ではないリンク先KPI ID324の値を抽出し、これを新たなリンク元KPI ID323とする。ここで、解析及びボトルネック検出部114は、上記のステップを繰り返す。
【0059】
ここで、新たなリンク元KPI ID323とする前の、抽出されたリンク先KPI ID324において、リンク先KPI ID324の重要度重み304の値が0の場合は、解析及びボトルネック検出部114は、重要度の重みが0でないリンク先KPI ID324の値が得られるまで、リンク先KPI IDをリンク元KPI IDとした、新たなリンク先KPI IDの検索を繰り返す。
【0060】
具体的には、解析及びボトルネック検出部114は、抽出されたリンク先KPI ID324の値を、リンク元KPI ID323の値として、ノード関係性リンクテーブル320から、新たなリンク先KPI ID324の値を取得する。解析及びボトルネック検出部114は、取得した新たなリンク先KPI ID324の値において、重要度重み304の値が0ではなくなるまで、リンク先KPI ID324の値の取得を繰り返す。
【0061】
続いて、解析及びボトルネック検出部114は、最初のリンク元KPI323の値(重み≠0)に対する最初のリンク先KPI ID324の値(重み=0)を、現在のリンク先KPI ID324の値(重み≠0)に置き換える。これにより、重要度の重みが0ではない最初のリンク元KPI IDと、重要度の重みが0ではないリンク先KPI IDの、複数のペアが得られる。
【0062】
解析及びボトルネック検出部114は、各ペアについて、最初のリンク先KPI ID324の値から現在のリンク先KPI ID324の値までの「-」の関係性325をカウントする。解析及びボトルネック検出部114は、カウント数に応じて、各ペアの関係性325の値を設定する。カウント数が奇数の場合、関係性325の値は「-」となる。カウント数が偶数の場合、関係性325の値は「+」となる。
【0063】
この結果、解析及びボトルネック検出部114は、リンクID321、リンク元KPI ID323、リンク先KPI ID324、関係性325からなる要素が得られる。上述のように、ユーザが見る許可を有していない全てのノードは抽出されていないので、これらのノードは、ユーザが見る許可を有するノードであり、互いにリンクにより結合されている。
【0064】
以上の処理により、ユーザの情報に基づきフィルタリングされたKPI及びKPI間の関係性の情報が得られる。解析及びボトルネック検出部114は、ノード関係性リンクテーブル320を複製し、抽出された重要度の重みが0ではないKPIノードの情報によって、そのノード関係性リンクテーブル320を更新する。
【0065】
次に、解析及びボトルネック検出部114は、リンク元KPI ID323に基づいてノード関係性リンクテーブル320からリンク先KPI ID324を取得し、さらに、解析及びボトルネック検出部114は、前回のリンク先KPI ID324と等しいリンク元KPI ID323に基づいて、次のリンク先KPI ID324を取得する。
【0066】
解析及びボトルネック検出部114は、最初のリンク元KPI ID323がリンク先KPI ID324として発見されるまで、これらのステップを繰り返す。この処理が終わった時点で、ループが発見されたことになる。この時点で、解析及びボトルネック検出部114は、連結された一連のKPI IDが取得されている。
【0067】
解析及びボトルネック検出部114は、先に取得した系列(発見されたループ)の中で負「-」の関係性325をカウントする。カウント数が奇数の場合、ループの関係性は負「-」となる。つまり、負/バランスのループが検出されたことになる。カウント数が偶数の場合、ループの関係性は正「+」となる。つまり、正/強化のループが検出されたことになる。検出された負のネガティブループはボトルネックを含んでいるため、「ボトルネックループ」と定義される。解析及びボトルネック検出部114は、全てのループについて、正負を判定する。ここで、正負のボトルネックの解釈を逆にして、正/強化のループをボトルネックループと定義してボトルネックループを判定することとしてもよい。
【0068】
上記処理が完了した後、解析及びボトルネック検出部114は、ボトルネックループ内の全てのリンク元KPI ID323の値を取得する。解析及びボトルネック検出部114は、KPIリストテーブル300を参照し、取得したリンク元KPI ID323の値に等しいKPI ID301を持つ全てのレコードを検索する。解析及びボトルネック検出部114は、見つけたレコードから、重要度重み304の値と重み閾値306の値を取得する。
【0069】
次に、解析及びボトルネック検出部114は、ボトルネックループの重要度重み304の値を全て加算する。重要度重み304の値の総計が、そのボトルネックループの重みとなる。解析及びボトルネック検出部114は、ボトルネックループの全てのKPIノードの重み閾値306の値を加算する。本例において、重み閾値306の値は全てのKPIに対して共通である。したがって、ボトルネックノードのKPI数と重み閾値306の値の積が、ボトルネックループの重み閾値となる。
【0070】
解析及びボトルネック検出部114は、ボトルネックループの重要度重みと重み閾値とを比較して、重み閾値以上の重要度重みを持つボトルネックループ(クリティカルループ)を特定する。検出された全てのボトルネックループについて、上述と同じプロセスを繰り返す。なお、ボトルネックループの重要度重みと重み閾値との比較の方法は、これとは別に指定する特定のアルゴリズムとしてもよく、例えば、ボトルネックループの中の任意のノードの重要度重み304とその重み閾値306を比較して、重み閾値以上の重要度重みを持つノードが一つでもあれば、そのボトルネックループは重み閾値(第2閾値)以上の重要度重みを持つとして、重み閾値以上の重要度重みを持つボトルネックループを特定してもよい。
【0071】
次のステップS705は、CLD可視化ステップである。図8のフローチャートは、CLD可視化ステップS705の詳細を示す。図8を参照して、CLD可視化ステップS705を説明する。
【0072】
CLD可視化ステップS705の詳細を説明する前に、まず、可視化されたCLD画像の例を説明する。図11、13から16は、それぞれ、ユーザに提示され得る、可視化されたCLD画像の例を示す。図12A及び12Bは、図11が示すCLD内のループの例を示す。
【0073】
図11から16に示す画像例において、CLD内の各KPIノードは円で表され、KPI名が円内に示されている。KPIノード間の接続は矢印で可視化され、リンク元KPIノードとリンク先KPIノードの関係性は「+」または「-」で可視化されている。図16の画像例において、KPIの円の近傍の数字は、KPI値、つまり、都市データ値405を示している。
【0074】
KPIを連結して構成されたループは、円形の矢印で示されている。円形の破線太字矢印は、ボトルネックループを示し、円形の連続した太い矢印は、非ボトルネックループを示す。二重太線円のKPIノードは、対策を行うことが提案されたボトルネックノードを示す。図11から16の例において、「N. Of polluting vehicles」のKPIが、対策すべきボトルネックノード(クリティカルノード)として提案されている。
【0075】
ユーザは、セクション1101からKPIを選択することができる。ユーザが好みに応じて手動で選択したKPIは、太い線の円で強調表示されている。図11から16においては、QoLのKPIがユーザに選択されている。セクション1102において、ユーザは、PDCA段階を選択することができる。図11及び13において「PLAN」が選択され、図14及び15において「DO」が選択され、図16において「CHECK」が選択されている。
【0076】
上述のようにCLDがフィルタリングされた後、ユーザは、ユーザテーブル200の自分の主PDCAタスク205に関連する全てのノードを見ることができる。この時点で、ユーザは他のフィルタを手動で選択するという選択肢が与えられる。選択可能なPDCA段階は4つあり、Plan、Do、Check、及びActである。
【0077】
図2Cに示すように、マスタデータベース121のデフォルトPDCA-KPI関係テーブル220では、上記4つの段階は、P、D、C、Aと表現されている。各ユーザは、自分の権限(ユーザテーブル200の主PDCAタスク205)に基づいて、特定のPDCA段階を選択することができる。ユーザによっては、限られた数のPDCA段階しか選択できないこともある。
【0078】
選択されたPDCA段階に応じて、ステップS702、S703で、CLDを更新することに加え、次に示す処理を画面上で行うこととしてもよい。段階Pでは、ユーザはフィルタリングされたCLDを視覚化することができる。ここで例えば、これは、デフォルトで選択されている段階であり、ユーザが最初に見る画面として、この画面で、選択可能なKPIのリストが表示されることとしてもよい。
【0079】
一つの選択がなされると(KPIが選択されるか、段階Dが選択される)、可視化部115は、段階Dが選択されたものとして表示を行い、さらに選択可能なオプションセクションを画面に表示する。そこでは、他のユーザとの関係を指定し、リクエストを送信することができる。
【0080】
段階Cでは、ユーザは、センサ及び都市データ400の都市データ値405の値を、画面上に表示させることができる。都市データ値405はKPI名404と関連づけられており、KPI名404は、CLD収集データベース122におけるKPIリストテーブル300のKPI名302に等しい。
【0081】
段階Aが選択された場合、ユーザは、関係モデリングシステム150が提案した対策ノード、または、ユーザが手動で作成した対策ノードを、画面上のCLDに挿入することができる。また、これは一例であり、例えば段階P~Cでも、ユーザが対策ノードをCLDに挿入することができることとしてもよい。
【0082】
図11は、ビジネスユーザのためにパーソナライズ化(カスタマイズ)されたCLD画像の例を示す。図11は、選択されたQoL KPIノードを含む、複数のループを示す。図12A及び12Cは、それぞれ、図11に示すCLD内の二つのループを示す。図12Aは正のループを示し、図12Bは負のループ(ボトルネックループ)を示す。
【0083】
図13は、ビジネスユーザのためにパーソナライズ化されたCLD画像の他の例を示す。図13において、CLDソースが強調表示されている。具体的には、「LOCAL GOVERNMENT」や「RESIDENT」等のCLDソースが、ドットパターンの四角で表されている。利害関係者である「AUTOMOBILE B」の隠されたKPI「Company customers」が、強調表示されている。
【0084】
図14は、自動車関連業者B(「Automobile B」)との関係を指定したビジネスユーザ不動産開発業者A(「Real-estate Developer A」)のための、パーソナライズされたCLD画像の例を示す。ユーザが、利害関係者「Automobile B」との関係を指定すると、隠されたKPIの接続が表示され、隠されたKPI値の共有要求パネル1103が表示される。
【0085】
図15は、利害関係者の自動車関連業者B(「Automobile B」)のパーソナライズされたCLD画像の例を示す。隠されたKPI値の共有要求を承認または拒否するパネル1104が表示され、新しいKPIの形成パネル1105が表示されている。
【0086】
図16は、不動産開発業者A(「Real-estate Developer A」)のパーソナライズされたCLD画像の例を示す。PDCAステージは「CHECK」であり、KPI値(都市データ値)が表示されている。自動車関連業者Bの許可を得て、元々隠れていたKPI「Company customers」の値(都市データ値)も表示されてる。
【0087】
図8を参照して、ステップS801において、可視化部115は、アクセス許可についての利害関係者間の関係に基づいてフィルタリングされたKPIノードの情報、KPIノード間の関係、ボトルネックループの情報を取り込む。可視化部115は、これらの情報を、ユーザにより指定されたKPI及びPDCA段階に応じて、ユーザのために画面上に可視化して表示する。
【0088】
ステップS802において、可視化部115は、ステップS704でボトルネックループが検出されたかどうかを判定する。ボトルネックループが検出されている場合(S802:YES)、可視化部115は、検出されたボトルネックループにおいて、各KPIノードの重要度重み304の値をチェックし(S803)、その値と重み閾値306の値と比較する(S804)。
【0089】
重要度重みが閾値(第1閾値)以上である場合(S804:YES)、そのKPIノードは、ボトルネックノード(クリティカルノード)と判定される。可視化部115は、上述のように、ボトルネックノードを、二重線円で強調表示する(S805)。本例で、強調表示されたボトルネックノードは、「N. Of polluting vehicles」(「汚染車両数」)である。ユーザが選択したKPIの関心事は「QoL」である。このステップは、検出された全てのボトルネックループに対して繰り返される。
【0090】
例えば、図13を参照すると、ユーザがアクセスできる、QoL KPIに関連する全てのループが表示されている。検出された正のループは、円形の連続した太い矢印で強調表示される。負のループ(ボトルネックループ)は、円形の破線太字矢印で表示される。
【0091】
マスタデータベース121のユーザテーブル200のユーザID201が示すユーザで、そのユーザID201に関連する主PDCAタスク205の値がPDCAの「C」(Check)段階を含むユーザは、新たな画面上で、収集されたセンサ及び都市データデータベース123におけるセンサ及び都市データ400の、都市データ値405の値を可視化することができる。この例は、図16で示されている。
【0092】
可視化部115は、KPIリストテーブル300を参照して、取得して可視化された一連のノードにおける各KPIノードのKPI IDに等しいKPI ID301の値を有するレコードを特定する。可視化部115は、それらレコードのKPI名302の値を取得し、センサ及び都市データ400において、取得した値にマッチするのKPI名404を有するレコードを検索する。可視化部115は、見つかったレコードの都市データ値405の値を表示する。
【0093】
この時点で、都市のダイナミクスを予測しながら、ユーザは既存のボトルネックを認識している。次にユーザが実行したいことは、都市を強化する方法やボトルネックを解消する方法を見つけることである。言い換えれば、次のステップは、都市を強化する方法やボトルネックを防ぐための対策を開発することである。これは、図7に示すCLDフィルタリングのフローにおける、ステップS706につながる。
【0094】
このプロセスを支援するために、関係モデリングシステム150から関係モデルデータベース124の分析結果テーブル-関係モデル500が収集される。また、ボトルネック対策パターンテーブル510にユーザから入力された情報が登録されている。CLD収集データベース122におけるKPIリストテーブル300のKPI ID301は、関係モデルデータベース124の分析結果テーブル-関係モデル500のKPI ID501と等しい。KPI ID501は、対策502と、「up」又は「down」である効果503に関連付けられている。
【0095】
一連のノードの中で、そのKPI IDがKPI ID501の中から発見され、都市の強みをより強くする対策や都市の弱みをより低減する対策として、関連する対策502が提案される。また一方で、ボトルネックループを解消するために、検出された一連のボトルネックノードに対して、その隣に挿入する新しい「対策」KPIノードを、ユーザからの画面操作で受け付ける。
【0096】
あるいは、別の方法としては、検出された一連のボトルネックノードの中で、そのKPI IDがKPI ID501の中から発見され、その対策502を抽出し、その対策502を、ボトルネックループを正/強化のループに変化させることができる対策として、ボトルネックノードの隣に挿入する新しい「対策」KPIノードとして提案することとしてもよい。
【0097】
ここで、対策502を提案するために、その「対策」KPIノードとして、対策502と同一あるいは類似するKPI IDをKPI ID301の中から検索することとしてもよい。ここで、同一あるいは類似の判定として、類語リストを別に保持しておきそれを参照して判定するとしても良く、あるいは言語解析技術を用いて判定するとしてもよい。
【0098】
ここで、対策502のノードをKPI ID501の隣に挿入することで、「対策」KPIノードの挿入による対策の提案がなされたとみなす。その際、「対策」KPIノードの属性として、対策502のノードからKPI ID501へのリンクを設定し、対策502の効果503が「up」の場合は当該リンクの関係性を「+」とし、効果503が「down」の場合は当該リンクの関係性を「-」として設定する。
【0099】
ここで、この関係性(「+」または「-」)はx→KPI_b515に相当する。次に、ボトルネック対策パターンテーブル510から、さきほどの関係性(「+」または「-」)とx→KPI_b515が一致するレコードを抽出し、さらに、KPI ID501をリンク先KPI ID324とするリンク元KPI ID323に関して、その関係性325がオリジナル関係性512と一致するレコードを、さきほどのレコードの中から抽出し、そのレコードのkpi_a->x514を取得する。
【0100】
ここで、ボトルネックループを解消するためには、リンク元KPI ID323と対策502のノードが正の相関を示す必要があるのであれば、kpi_a->x514が「+」のID511のパターンの対策を行う必要がある。また、ボトルネックループを解消するためには、リンク元KPI ID323と対策502のノードが負の相関を示す必要があるのであれば、kpi_a->x514が「-」のID511のパターンの対策を行う必要がある。
【0101】
ここで、ボトルネックループを解消するために「+」の関係が必要な場合は、ユーザにリンク元KPI ID323と正の相関を示す対策502を手動で選択するようにレコメンドする。あるいは、ボトルネックループを解消するために「-」の関係が必要な場合は、ユーザにリンク元KPI ID323と負の相関を示す対策502を手動で選択するようにレコメンドする。ここで、ユーザへのレコメンドの際に、対策502のKPIとリンク元KPI ID323の関係性を機械的に相関分析しておき、その結果に基づいて、ユーザの選択すべき対策502を予め絞って提示することとしてもよい。
【0102】
図5Bのボトルネック対策パターンテーブル510が示すように、対策KPIを挿入した後、負のループは、正のループに変わり得る。対策KPIを挿入して、負のループを正のループに変化させる例を、図17Aから17Cを参照して説明する。図17Aに示すCLDは、円形の破線太字矢印で示すように、2つのボトルネックループを含む。強調表示されているボトルネックノードは「N. of polluting vehicles」である。
【0103】
図17Bに示すCLDでは、「Investments on electric vehicles productions」というノードが、ボトルネックノード「N. of polluting vehicles」のリンク元KPIノードとしてループに追加されている。
【0104】
「N. of polluting vehicles」がリンク先KPIノードとなる。効果503は、ボトルネックノードである「N. of polluting vehicles」に作用し、「down」させる。これにより、新たに追加されたリンク元KPIノード(対策ノード)と、リンク先KPIノード(ボトルネックノード)との間に負の関係が生じる。リンク元KPI(例の場合は「Company customers」)とリンク先KPI(例の場合は「N. of polluting vehicles」)との関係性512は「+」である。
【0105】
これは、関係モデルデータベース124のボトルネック対策パターンテーブル510のパターンp2に等しい。具体的には、オリジナル関係性512、kpi_a->kpi_b=「+」である。対策KPIノード「Investments on electric vehicles productions」は、リンク元ノード「Company customers」へのリンク先ノードとして、挿入される。対策関係性513は、kpi_a->x514に相当する。xは対策ノードであり、関係性は「+」である。「Investments on electric vehicles productions」KPIノード(リンク元ノード)と「N. of polluting vehicles」KPIノード(リンク先ノード)との関係は、x→kpi_b515の関係に相当する。xは対策ノードであり、関係性は「-」である。
【0106】
上述のように、新たな負の接続の挿入は、ループ内の次の接続に作用する。ループ内の全ての関係リンクは、解析及びボトルネック検出部114によって確認され、取得した系列において「-」の関係性が再カウントされる。今回のように「-」の数が偶数であれば、ループは正「+」となる。「-」の関係が加わったことで、負のループが正のループに変わる。
【0107】
図17Cに示すCLDでも同じようなパターンが見られる。最後に残ったボトルネックのループに、関係モデルデータベース124の分析結果テーブル-関係モデル500から、もう一つの対策KPIが追加されて、負のループが正のループに変化させられる。
【0108】
ステップS707以降、ユーザは異なる好みを指定することができるようになる。ユーザからの入力があるたびに、ステップS701からステップが繰り返される。フィルタリング部113は、新たな選択に基づいてCLDを再フィルタリングする。
【0109】
ステップS707から開始して、ユーザAは、他のユーザとの関係を指定することができる。ユーザAがユーザBとの関係を指定すると決定すると、可視化部115は、入出力装置131を介して、ユーザAが指定したユーザ名に関連する、マスタデータベース121におけるユーザテーブル200のユーザID201の値を取得する。
【0110】
フィルタリング部113は、指定された「ユーザB」のユーザID201の値を、マスタデータベース121におけるUsers relationships Table230の、ユーザAのユーザID231に対応する利害関係者ユーザID231に追加する。
【0111】
上述のように、ユーザの関係における変化に対して、フィルタリング部113は、重要度重み304を更新する。つまり、ステップS703が、ユーザBを利害関係者に含む状態で実行される。ユーザBがKPIを隠すことを決定している場合、ユーザAによって関係が確立されると、後述するステップS709のように、ユーザAは、CLD上で隠されたKPIを見ることができるようになる。
【0112】
ステップS708において、ユーザAは、ユーザBが隠したKPIの都市データ値を、隠されていたKPIとユーザAの関連するKPIノードとの間の接続と共に見るためのアクセス許可を、送信する(図14参照)。
【0113】
ステップS709の詳細は、図9に示す利害関係者関係CLD統合ステップ、図10に示す隠された矢印を表示する処理を参照して、さらに、図13から図16の画面例を参照して説明する。ここでは、図10の用語を考慮して、ユーザBを利害関係者B1001とし、ユーザAを利害関係者A1002とする。
【0114】
図9のステップS901において、利害関係者B1001が、任意のKPIの値や接続を隠すことを選択すると(S901:YES)、可視化部115は、利害関係者B1001の隠されていないKPIの値や接続を利害関係者A1002に表示するが、隠されているKPIの値(都市データ値)や接続は表示されない。例えば、利害関係者B1001が他者のCLDブランチとの接続を隠している場合は、利害関係者B1001のCLDブランチが他者のCLDとは接続されず、利害関係者B1001のCLDブランチが表示されるのみである(S902)。
【0115】
具体的には、図10に示すように、CLD形成部が外部システムからCLDを収集し(S1004)、利害関係者B1001が、任意のKPIの値や接続を隠すことを選択する(S1005)。可視化部115は、選択されたKPIの値や接続を隠し(S1006)、利害関係者A1002からの利害関係者B1001との関係の指定(S1007)に応じて、利害関係者A1002に対して、隠されたKPIの値や接続は表示せず、隠されていないKPIノードの値及びKPIノードとの接続のみを表示する。
【0116】
次に、図9のステップ903及び図10のステップS1009に示すように、利害関係者A1002は、隠されたKPIノードの値と利害関係者A1002のCLDブランチへの潜在的なリンクを見るために、利害関係者B1001に要求を送る。
【0117】
図9のステップS904のYES又は図10のS1010に示すように、利害関係者B1001が利害関係者A1002の要求を受け入れたとする。図9のステップS905又は図10のステップS1011に示すように、可視化部115は、新たに表示された利害関係者B1001のKPIノードを利害関係者A1002の関連KPIノードに接続するリンク又は「矢印」と、そのKPIノード値とを表示する。
【0118】
ステップS902又はS1008の処理結果の例は、図14に示されている。当初隠されていた「Company customers」ノードは、ユーザである不動産開発業者A(利害関係者A又はユーザA)に対して表示されている。また、自動車関連業者B(利害関係者B又はユーザB)のノード(図13参照)内での接続のみが表示されている。不動産開発業者Aは、ステップS903又はS1009において、図14のセクション1103を使用して、自動車関連業者Bに隠されたKPI値や接続を見るためのリクエストを送信する。
【0119】
ステップS904又はS1010において自動関連業者Bが要求を受け入れた場合、可視化部115は、CLD形成部111に収集された情報に応じて、隠されていたKPIノードの値や不動産開発業者AのCLDに接続する矢印が、もし存在すれば、それを表示する(S905、S1011)。KPIリストテーブル300において、「Company customers」のKPI名302のKPI ID301の値が取得される。ノード関係性リンクテーブル320において、リンク元KPI ID323の値が「Company customers」のKPI IDと一致するレコードが、KPIノード「Company customers」のリンク先を示す。
【0120】
フィルタリング部113は、リンク元KPI ID323の関連するリンク先KPIID324に基づいて、不動産開発業者Aに対する許可を確認し、許可されていないようであれば、許可されるように、データベースを更新する。KPIリストテーブル300のKPI ID301において、上記リンク先KPIID324の値が検索される。マッチするレコードのKPIカテゴリ303の値が取得される。ユーザタイプテーブル210のKPIアクセス許可213において、取得されたKPIカテゴリ303の値が検索される。
【0121】
マッチするレコードの利害関係者タイプ名212の値が取得される。ユーザテーブル200の利害関係者タイプ203において、取得された利害関係者タイプ名212の値が検索される。マッチするレコードのユーザ名202において不動産開発業者Aが検索される。不動産開発業者AのユーザIDは、ユーザID201で見つけられる。見つけたユーザID201に基づいて、該当するユーザに関するユーザタイプテーブル210のKPIアクセス許可213を許可に設定してデータベースを更新する。
【0122】
上述したように、ユーザAがユーザBとの関係を指定し、ユーザBがKPIを条件付き表示(値を表示しない、特定のリンクを表示しない)にしている場合、条件を満たす範囲でユーザAに表示されるが、条件を満たさないKPIの値とノードへの接続(存在する場合)は、ユーザBがその許可を与えた場合にのみ表示される。ユーザに関連するノードは図13に示され、KPI値と接続の新たな表示は図16で示されている。図15では、隠されていたKPIと、ログインしたユーザAに関連するKPIとの間の接続が、太い矢印で示されている。図16では、以前に隠されていたKPIの値(都市データ値)が示されている。
【0123】
この処理の後、図7に示すように、ステップS701から706が反復される。ユーザからの入力毎に、ボトルネックが同定され、可視化が更新される。この場合、ユーザからの入力は、関係の指定に対応する。
【0124】
当初隠されていた「Company customers」KPIノードの接続を含む、それらのリンクID321に関連する対応するフィルタリングされたリンク(リンク元KPIID323-リンク先KPIID324のペア)は、不動産開発業者Aへの許可に基づいて、図15において太字で強調された矢印のように、可視化部115によって示される。
【0125】
さらに、ステップS906、S1011のように、当初隠されていたKPI値が、他の全てのフィルタリングされたKPI値と共に、不動産開発業者Aに示される。例えば、ユーザから選択されたPDCA段階が「Check(C)」であるとき、KPI名404の「Company customers」に関連した、センサ及び都市データ値400における都市データ値405は、図16のように表示される。
【0126】
図7のCLDフィルタリング及び判定のフロー図の次のステップに戻って、ステップS709の後にもう一度システムがボトルネック検出及び可視化ステップを完了すると、ステップS710、S711に示すように、ユーザは、画面に表示されたリストの中から選択するKPIの形で、興味の対象を指定できる。図13から16に示す例において、ユーザは、画面の左のKPIリストメニューの中から、QoLカテゴリのKPIを選択している。より具体的には、可視化部115は、ユーザの操作に応じた入出力装置131を介して、ユーザが関心を持つKPIのIDを取得する。例えば、「QoL」というKPIのIDが取得される。
【0127】
可視化部115は、CLD収集データベース122のノード関係性リンクテーブル320において、リンク元KPI ID323の値が、ユーザが選択したKPIリストテーブル300からのKPI ID301の値(例えば、KPI「QoL」のID)に等しい全てのレコードを検索し、それらレコードからリンク先KPIID324を取得する。
【0128】
次に、可視化部115は、直前のリンク先KPIID324の値と等しいリンク元KPI ID323の値を有するレコードから、次のリンク先KPIID324を取得する(例えば、「Urban Attractiveness」KPIのID)。可視化部115は、見つかった「QoL」KPI IDの全てのインスタンスについて、最初のリンク元KPI IDの値がリンク先KPI IDの値として見つかるまで、これらのステップを繰り返す。したがって、ユーザが関心を持つKPIに接続された全てのループが発見される。この時点で、可視化部115は一連のKPI IDを取得している。
【0129】
次に、可視化部115は、以前に取得した一連のKPIからのKPI IDに等しいKPI ID301に基づいて、さらに、「0」に等しくない重要度重み304(すなわち、ユーザが見ることを許可されている全てのKPIノード)に基づいて、CLD収集データベース122のKPIリストテーブル300において重要度重み304の値が増加するように更新する。
【0130】
KPI選択ステップS710、S711の後、再び、ボトルネックの検出と可視化が繰り返される。ユーザからの最終的な入力は、ステップS712、S713からわかるように、PDCAの選択である。
【0131】
上述のように、PDCAには、Plan、Do、Check、Actの4段階がある。各ユーザは、主PDCAタスク205が示す自分の権限から、特定のPDCAステージを選択することができる。選択されたPDCA段階に応じて、ステップS701からS706が反復される。それに加えて、次に示す処理を画面上で行うこととしてもよい。
【0132】
図11、13の例に示すように、P段階は、デフォルトで選択されている段階であり、ユーザに最初に表示されることとしてもよい。図14の例に示すように、KPIリストから一つのKPI又は段階Dが選択されると、可視化部115は、D段階が選択されたものとして表示を変更し、さらに選択可能なオプションを表示する。
【0133】
図16の例に示すように、C段階では、ユーザは、KPI値(都市データ値405)と他の利害関係者の隠されたKPIノードと自CLDとの接続を、画面上に可視化することができる。また、A段階が選択された場合には、関係モデリングシステム150が提案した対策ノード、または、ユーザが手動で作成した対策ノードを挿入することができる。
【0134】
上記例において、システムは都市計画のためのCLDを可視化する。システムは、都市計画と異なる分野において、CLDを可視化できる。例えば、災害分野において、利害関係者は、警察、消防、医師、地方自治体、政府、企業等とすることができる。CLDループの例は、避難者の増加->自治体が避難者のために食品メーカなどの企業から物資を調達->被災地での物資の供給が増加->被災地以外の地域での物資の供給が減少->被災地以外の地域の住民の需要が増加->企業が被災地以外にも物資を供給->被災地での物資の供給が減少、というものである。
【0135】
他の例として、車の分野において、利害関係者は、自動車メーカやサプライヤ等とすることができる。自動車の販売増加->自動車メーカからの部品注文の増加->部品の価格の上昇->自動車の価格の上昇->自動車の販売減少、といったものである。なお、上記構成例の一部が省略されてもよく、例えば、ボトルネックループの特定やユーザ関係に基づくCLDの統合等が省略されてもよい。
【0136】
上述のように、システムは、ネガティブループにおいて重みが閾値以上のノードをクリティカルノードと判定し、そのクリティカルノードを強調表示してもよい。他の構成例において、システムは、ループの特性に関わりなく、つまり、ネガティブループ又はポジティブループを問わず、重みが規定の閾値以上のノードを強調表示してもよい。
【0137】
上述のように、システムは、複数のCLDから選択されたノードによって、ユーザに表示する因果ループ図を構成してもよい。他の構成例において、システムは、構成済みの因果ループ図のノードの重みを決定し、その因果ループ図の表示において、重みが閾値以上のノードを強調表示してもよい。
【0138】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0139】
また、上記の各構成・機能・処理部等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード等の記録媒体に置くことができる。
【0140】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしもすべての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆どすべての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0141】
100 都市CLD可視化システム
110 主記憶装置
111 CLD形成部
113 フィルタリング部
114 分析及びボトルネック検出部
115 可視化部
120 補助記憶装置
121 マスタデータベース
122 CLD収集データベース
123 収集されたセンサ及び都市データ収集データベース
124 関係モデルデータベース
130 演算装置
131 入出力装置
132 通信インタフェイス
200 ユーザテーブル
210 ユーザタイプテーブル
220 デフォルトPDCA-KPI関係テーブル
230 ユーザ関係テーブル
240 デフォルト利害関係者関心事テーブル
300 KPIリストテーブル
310 収集されたCLDテーブル
320 ノード関係性リンクテーブル
400 センサ及び都市データ
500 分析結果テーブル-関係モデル
510 ボトルネック対策パターンテーブル
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3A
図3B
図3C
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16
図17A
図17B
図17C