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特許7607541半導体製造装置および半導体装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】半導体製造装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20241220BHJP
   H01L 21/607 20060101ALI20241220BHJP
【FI】
H01L21/60 301K
H01L21/607 C
H01L21/60 301L
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021158044
(22)【出願日】2021-09-28
(65)【公開番号】P2023048621
(43)【公開日】2023-04-07
【審査請求日】2023-10-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】山口 成徳
【審査官】庄司 一隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-188491(JP,A)
【文献】特開平05-299463(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0274014(US,A1)
【文献】特開平04-340238(JP,A)
【文献】特開平07-321144(JP,A)
【文献】特開昭61-111551(JP,A)
【文献】特開昭61-119054(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
H01L 21/607
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面にリードフレームを配置するための受け台と、
前記受け台の上側に配置され、前記受け台とで前記リードフレームを固定する固定治具と、
前記固定治具の外周部を保持する第1のテーブルと、
前記固定治具の開口部を介して前記リードフレームの位置を示す第1の位置情報を検出する画像処理カメラと、
前記第1のテーブルに取り付けられた第1のボールねじと、
前記第1のボールねじを回転させることで前記第1のテーブルと共に前記固定治具を横方向に移動させる第1のモーターと、
前記画像処理カメラにより検出された前記第1の位置情報に基づいて、前記第1のモーターの駆動を制御する制御部と、を備え、
前記固定治具は、前記リードフレームの上面を保持する本体部と、前記リードフレームにおけるワイヤボンディングが行われる領域であるワイヤボンディング領域を露出する前記開口部と、前記開口部において前記リードフレームの前記ワイヤボンディング領域を前記受け台側に押えるリードフレーム押えとを有する、半導体製造装置。
【請求項2】
上面に前記受け台が配置された第2のテーブルと、
前記第2のテーブルに取り付けられた第2のボールねじと、
前記第2のボールねじを回転させることで前記第2のテーブルと共に前記受け台を前記横方向に移動させる第2のモーターと、
前記第2のテーブルの位置を示す第2の位置情報を検出するセンサーとをさらに備え、
前記制御部は、前記センサーにより検出された前記第2の位置情報に基づいて、前記第2のモーターの駆動を制御する、請求項1に記載の半導体製造装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記画像処理カメラにより検出された前記第1の位置情報を過去履歴として取得して学習し、前記過去履歴の学習結果に基づいて、前記固定治具の初期位置を調整するように前記第1のモーターの駆動を制御する、請求項2に記載の半導体製造装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の半導体製造装置を用いた半導体装置の製造方法であって、
(a)前記リードフレームを前記受け台の上面に配置する工程と、
(b)前記固定治具を前記リードフレームの上面に配置する工程と、
(c)前記センサーにより検出された前記第2の位置情報に基づいて、前記第2のテーブルと共に前記受け台の位置を調整する工程と、
(d)前記画像処理カメラにより検出された前記第1の位置情報に基づいて、前記第1のテーブルと共に前記固定治具の位置を調整する工程と、
(e)前記固定治具と前記受け台とで前記リードフレームを固定する工程と、
(f)前記リードフレームの前記ワイヤボンディング領域にワイヤボンディングを行う工程と、
を備えた、半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体製造装置および半導体装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体素子を搭載した導電性のリードフレームが絶縁樹脂に封止されている半導体装置がある。
【0003】
例えば特許文献1には、小容量(小型)の半導体装置のリードフレームへのワイヤボンディング装置が開示されている。特許文献1に記載の技術では、ワイヤボンディング時に、ボンディング台とボンディング台に対向するように配置されたリード押えとでリードフレームが固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平4-340238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、大容量(大型)の半導体装置にワイヤボンディングを行う場合にはリードフレームも大型となるため、特許文献1に記載の技術ではリードフレームのサイズと比較してリード押えのサイズが小さいことから、リードフレームをしっかりと固定することができない。
【0006】
そのため、特許文献1に記載の技術では、ワイヤボンディング時の超音波振動がリードフレームに正しく伝わらず、ワイヤボンディングの接合強度が安定しないという懸念がある。
【0007】
そこで、本開示は、大容量の半導体装置の場合にも、安定したワイヤボンディングの接合強度を得ることが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る半導体製造装置は、上面にリードフレームを配置するための受け台と、前記受け台の上側に配置され、前記受け台とで前記リードフレームを固定する固定治具と、前記固定治具の外周部を保持する第1のテーブルと、前記固定治具の開口部を介して前記リードフレームの位置を示す第1の位置情報を検出する画像処理カメラと、前記第1のテーブルに取り付けられた第1のボールねじと、前記第1のボールねじを回転させることで前記第1のテーブルと共に前記固定治具を横方向に移動させる第1のモーターと、前記画像処理カメラにより検出された前記第1の位置情報に基づいて、前記第1のモーターの駆動を制御する制御部と、を備え、前記固定治具は、前記リードフレームの上面を保持する本体部と、前記リードフレームにおけるワイヤボンディングが行われる領域であるワイヤボンディング領域を露出する前記開口部と、前記開口部において前記リードフレームの前記ワイヤボンディング領域を前記受け台側に押えるリードフレーム押えとを有するものである。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、大容量の半導体装置の場合にも、固定治具が有するリードフレーム押えによってリードフレームのワイヤボンディング領域をしっかりと固定することができる。これにより、ワイヤボンディング時の超音波振動がリードフレームに正しく伝わり、安定したワイヤボンディングの接合強度を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態に係る半導体製造装置の全体を示す概略図である。
図2】実施の形態に係る半導体製造装置の要部を示す上面図である。
図3】実施の形態に係る半導体製造装置の要部を示す側面図である。
図4】実施の形態に係る半導体製造装置の要部から固定治具および第1のX-Yテーブルを省略した状態を示す上面図である。
図5】実施の形態に係る半導体製造装置の要部から固定治具および第1のX-Yテーブルを省略した状態を示す側面図である。
図6】受け台の他の例を示す上面図である。
図7】受け台の他の例にリードフレームが配置された状態を示す断面図である。
図8】受け台のさらに他の例を示す上面図である。
図9】固定治具の位置調整を行う際のモニター画面の表示を示す図である。
図10】実施の形態に係る半導体製造装置を用いた半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施の形態>
<半導体製造装置の構成>
実施の形態について、図面を用いて以下に説明する。図1は、実施の形態に係る半導体製造装置1の全体を示す概略図である。
【0012】
図1に示すように、半導体製造装置1は、筐体1aと、受け台8と、固定治具7と、搬送レール6と、ボンディングヘッド4と、モニター5と、ローダー2と、アンローダー3とを備えている。半導体製造装置1は、小容量(小型)の半導体装置および大容量(大型)の半導体装置にワイヤボンディングを行うことが可能な装置である。
【0013】
筐体1aの内部には、板状の受け台8と、板状の固定治具7と、搬送レール6と、ボンディングヘッド4が収容されている。ローダー2と、アンローダー3と、モニター5は、筐体1aの外部に配置されている。
【0014】
受け台8は、上面にリードフレーム9を配置するための部材である。搬送レール6は、受け台8の上面を介してローダー2とアンローダー3との間に配置されている。搬送レール6は、ローダー2に配置されたリードフレーム9にワイヤボンディングを行うために、リードフレーム9をボンディングヘッド4の下側に移動させるように搬送し、ワイヤボンディングが完了したときにアンローダー3へリードフレーム9を搬送する。
【0015】
固定治具7は、受け台8の上側に配置され、受け台8とでリードフレーム9を固定する。固定治具7の詳細については後述する。
【0016】
ボンディングヘッド4は、固定治具7の上側に配置され、リードフレーム9にワイヤボンディングを行うために上下方向および左右方向に移動可能である。モニター5は、筐体1aの外面に取り付けられ、ワイヤボンディングに関するプログラム情報および進捗状況を表示する。これにより、使用者は、外部からワイヤボンディングに関するプログラム情報および進捗状況の確認が可能である。
【0017】
なお、リードフレーム9には、数A以上数百A以下の通電が可能なパワー半導体素子(図示せず)が1つまたは複数搭載されていてもよい。また、大容量の半導体装置に対してワイヤボンディングを行う場合、ボンディングヘッド4には、直径100μm以上の金、銀、銅またはアルミニウムのワイヤをセットすればよい。
【0018】
図2は、半導体製造装置1の要部を示す上面図である。具体的には、ボンディングヘッド4側からリードフレーム9側を視た図面である。
【0019】
図2に示すように、固定治具7は、受け台8の上面に配置されたリードフレーム9の上面に配置され、受け台8とでリードフレーム9を固定する。固定治具7は、上面視で矩形状の本体部7aと、開口部7bと、リードフレーム押え15とを備えている。
【0020】
本体部7aの中央部には、上面視で矩形状の開口部7bが形成されている。開口部7bは、リードフレーム9におけるワイヤボンディングが行われる領域であるワイヤボンディング領域を露出している。これにより、固定治具7を装着した状態でワイヤボンディングを行うことが可能である。
【0021】
また、受け台8は上面視で矩形状に形成されており、受け台8の上面視輪郭は開口部7bの上面視輪郭よりも大きい。さらに、本体部7aの上面視輪郭は受け台8の上面視輪郭よりも大きい。これにより、本体部7aと受け台8とでリードフレーム9におけるワイヤボンディング領域の周辺部を固定することが可能である。
【0022】
リードフレーム9はプレス加工等により、回路(図示せず)を形成するように切り抜かれているため、リードフレーム9の剛性は低い。すなわち、ワイヤボンディング時にボンディングヘッド4から出力される超音波振動がリードフレーム9に正しく伝わりにくい状態である。半導体装置が大容量である場合、パワー半導体素子のサイズも大きく、さらにパワー半導体素子が複数搭載されていると、ワイヤボンディングされる本数も増え、ひいてはワイヤボンディング領域も大きくなる。
【0023】
このように、大容量の半導体装置では開口部7bが広くなることから、特に開口部7bの中央付近にワイヤボンディングを行う場合は、ワイヤボンディング時にボンディングヘッド4から出力される超音波振動がリードフレーム9における開口部7bの中央付近に対応する位置に正しく伝えられず、ワイヤボンディングの接合強度が安定しない。
【0024】
この問題を解消するために、本実施の形態では、開口部7bの開口端から内周側に突出する棒状のリードフレーム押え15が7つ設けられている。7つのリードフレーム押え15は、ワイヤボンディング領域のうちの、実際にワイヤボンディングが行われる箇所であるワイヤボンディング箇所の周辺を押えることが可能なように配置されている。7つのリードフレーム押え15は、開口部7bにおいて剛性の低いリードフレーム9のワイヤボンディング領域をボンディングヘッド4側から搬送レール6側(すなわち、受け台8側)に押える。これにより、剛性の低いリードフレーム9においても、ボンディング時にボンディングヘッド4から出力される超音波振動がリードフレーム9に正しく伝わるため、ワイヤボンディングの接合強度を安定させることが可能である。
【0025】
なお、図2ではリードフレーム押え15は7つ示されているが、リードフレーム押え15の個数は1つ以上であればよく、リードフレーム押え15をワイヤボンディング箇所の周辺に配置することで接合強度をさらに安定させることが可能である。また、リードフレーム押え15は棒状以外の形状であってもよい。
【0026】
また、リードフレーム押え15は着脱可能であってもよいし、リードフレーム押え15は開口部7bの開口端と一体的に設けられていてもよい。リードフレーム押え15が着脱可能である場合は、開口部7bの開口端における所望の位置にリードフレーム押え15が装着されてもよい。さらに、開口部7bの開口端に対してリードフレーム押え15を着脱可能とする構成としては、各種嵌め込み構造等、種々の着脱可能な構成を採用することが可能である。
【0027】
次に、受け台8および固定治具7の位置調整を行うための構造について説明する。図3は、半導体製造装置1の要部を示す側面図である。図4は、半導体製造装置1の要部から固定治具7および第1のX-Yテーブル13aを省略した状態を示す上面図である。図5は、半導体製造装置1の要部から固定治具7および第1のX-Yテーブル13aを省略した状態を示す側面図である。
【0028】
図2図3に示すように、半導体製造装置1はさらに、第1のX-Yテーブル13a(第1のテーブルに相当)と、画像処理カメラ14と、第1のX-Yボールねじ11a(第1のボールねじに相当)と、第1のX-Yモーター10a(第1のモーターに相当)と、制御部17と、第2のX-Yテーブル13b(第2のテーブルに相当)と、第2のX-Yボールねじ11b(第2のボールねじに相当)と、第2のX-Yモーター10b(第2のモーターに相当)と、センサー16とを備えている。
【0029】
制御部17は、自身が有するメモリに記憶されたワイヤボンディングに関する制御プログラムに基づいて、半導体製造装置1の各部を制御する。制御部17は例えばプロセッサーである。
【0030】
第1のX-Yテーブル13aは、上面視で矩形枠状に形成されている。第1のX-Yテーブル13aの開口部13a1には、受け台8の下端部を除く部分が配置されており、第1のX-Yテーブル13aの上面と受け台8の上面は同じ高さ位置に位置している。第1のX-Yテーブル13aにおける矩形枠状の上面には、リードフレーム9を介して固定治具7が配置されている。そのため、固定治具7の外周部は第1のX-Yテーブル13aに保持されている。
【0031】
第1のX-Yテーブル13aの少なくとも隣接する二辺には、第1のX-Yボールねじ11aおよび第1のX-Yモーター10aが1セットずつ取り付けられており、第1のX-Yボールねじ11aは、第1のX-Yモーター10aの駆動により回転する。第1のX-Yモーター10aの駆動は制御部17により制御される。
【0032】
第1のX-Yボールねじ11aを回転させることで、第1のX-Yテーブル13aはX-Y平面上を移動することが可能である。第1のX-Yテーブル13aを移動させることで第1のX-Yテーブル13aの上側に配置されている固定治具7もX-Y平面上を移動させることが可能である。ここで、X-Y平面とは水平方向(横方向)の面である。すなわち、第1のX-Yテーブル13aは固定治具7をX-Y平面上に移動させるためのテーブルである。
【0033】
画像処理カメラ14は、固定治具7の上側に配置されており、固定治具7の開口部7bを介してリードフレーム9の位置を示す第1の位置情報を検出する。制御部17は、画像処理カメラ14により検出された第1の位置情報に基づいて、第1のX-Yモーター10aの駆動を制御することで、固定治具7のX-Y平面上での位置合わせを行う。
【0034】
図3図5に示すように、第2のX-Yテーブル13bは、上面視で矩形状に形成され、第1のX-Yテーブル13aの下側に配置されている。第2のX-Yテーブル13bの上面には、受け台8が配置されている。第2のX-Yテーブル13bの少なくとも隣接する二辺には、第2のX-Yボールねじ11bおよび第2のX-Yモーター10bが1セットずつ取り付けられており、第2のX-Yボールねじ11bは、第2のX-Yモーター10bの駆動により回転する。第2のX-Yモーター10bの駆動は制御部17により制御される。
【0035】
第2のX-Yボールねじ11bを回転させることで、第2のX-Yテーブル13bはX-Y平面上を移動することが可能である。第2のX-Yテーブル13bを移動させることで第2のX-Yテーブル13bの上面に配置されている受け台8もX-Y平面上を移動させることが可能である。すなわち、第2のX-Yテーブル13bは受け台8をX-Y平面上に移動させるためのテーブルである。なお、受け台8と第2のX-Yテーブル13bは一体的に設けられていてもよい。
【0036】
センサー16は、第2のX-Yテーブル13bの周辺に配置されており、第2のX-Yテーブル13bの位置を示す第2の位置情報を検出する。制御部17は、センサー16により検出された第2の位置情報に基づいて、第2のX-Yモーター10bの駆動を制御することで、受け台8のX-Y平面上での位置合わせを行う。
【0037】
上記のように、受け台8は第1のX-Yテーブル13aの開口部13a1に配置されており、受け台8がX-Y平面上を移動したときに受け台8と第1のX-Yテーブル13aとが接触しないように、受け台8と第1のX-Yテーブル13aとの間にはクリアランスが設けられている。
【0038】
次に、受け台8の上面の形状について説明する。図6は、受け台8の他の例を示す上面図である。図7は、受け台8の他の例にリードフレーム9が配置された状態を示す断面図である。図8は、受け台8のさらに他の例を示す上面図である。
【0039】
リードフレーム9が平板状の場合は、受け台8の上面も平坦状にすることで、ボンディング時にボンディングヘッド4から出力される超音波振動がリードフレーム9に正しく伝わり、安定したワイヤボンディングの接合強度を得ることができる。
【0040】
リードフレーム9が段差を有する場合は、図6図7に示すように、受け台8の上面におけるリードフレーム9が配置される領域に、リードフレーム9の段差を収容可能な窪み8aを設けることで、超音波振動が正しくリードフレーム9に伝わり、ワイヤボンディングの接合強度を安定させることが可能である。また、リードフレーム9の段差に合わせて受け台8をX-Y平面上に移動させてもよい。
【0041】
さらに、図8に示すように、複数の受け台8を連結させて複数のリードフレーム9を配置してもよい。
【0042】
次に、固定治具7の初期位置の調整について説明する。図9は、固定治具7の位置調整を行う際のモニター画面の表示を示す図である。
【0043】
固定治具7の初期位置の調整は、安定したワイヤボンディングの接合強度を得ることを目的として、リードフレーム9を毎回同じ位置で固定するために行われる。
【0044】
制御部17は、画像処理カメラ14により検出された第1の位置情報を過去履歴として取得して学習し、過去履歴の学習結果に基づいて、固定治具7の初期位置を調整するように第1のX-Yモーター10aの駆動を制御する。すなわち、制御部17は、過去履歴に基づいて、固定治具7の初期位置について予め微調整を行う。これにより、固定治具7の位置調整の頻度および位置調整量が減少することから、半導体装置の製造効率が向上する。
【0045】
過去履歴の学習は、一例として機械学習および深層学習等のAI(人工知能:Artificial Intelligence)分野の技術を用いて学習することが可能であり、これらを用いた場合は、より高度な学習が可能となる。
【0046】
図9において、横軸はX軸、縦軸はY軸を示す。X軸とY軸の交点が左上にXY座標として表示されている。また、左側の枠20aは固定治具7が配置されるべき正しい位置を示し、右側の枠20bは固定治具7の現在の位置を示す。固定治具7の現在の位置とは、リードフレーム9上に固定治具7が配置され、固定治具7でリードフレーム9を押える前の固定治具7の位置である。
【0047】
制御部17は、右側の枠20bを左側の枠20aに合わせるように、第1のX-Yモーター10aの駆動を制御する。次回のワイヤボンディングでは、制御部17は、固定治具7を今回の位置調整量の分だけずらして配置するように、第1のX-Yモーター10aの駆動を制御する。
【0048】
<半導体装置の製造方法>
次に、半導体製造装置1を用いた半導体装置の製造方法について説明する。図10は、半導体製造装置1を用いた半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
【0049】
図10に示すように、最初に、制御部17は、リードフレーム9をローダー2から搬送レール6で搬送し、リードフレーム9を受け台8の上面に配置した後(ステップS1)、制御部17は、固定治具7をリードフレーム9の上面に配置する。
【0050】
次に、制御部17は、リードフレーム9と受け台8の位置関係をセンサー16で確認し、センサー16により検出された第2の位置情報に基づいて、第2のX-Yテーブル13bを移動させることにより、第2のX-Yテーブル13bと共に受け台8の位置を調整する(ステップS2)。
【0051】
次に、制御部17は、画像処理カメラ14により検出された第1の位置情報に基づいて、第1のX-Yテーブル13aと共に固定治具7の位置を調整する(ステップS3)。このとき、固定治具7の本体部7aに設けられているリードフレーム押え15の位置も調整される。
【0052】
次に、制御部17は、固定治具7をリードフレーム9に押し当てて固定治具7と受け台8とでリードフレーム9を固定した後(ステップS4)、リードフレーム9のワイヤボンディング領域の位置とサイズの情報を画像処理カメラ14で確認し、ワイヤボンディングを実行する(ステップS5)。
【0053】
次に、制御部17は、固定治具7を上方に移動させてリードフレーム9に対する固定を解除した後(ステップS6)、リードフレーム9を搬送レール6でアンローダー3側へ搬送し、リードフレーム9をアンローダー3に収納する(ステップS7)。
【0054】
最後に、リードフレーム9を封止樹脂で被覆させることにより(ステップS8)、半導体装置が完成する。
【0055】
<効果>
以上のように、実施の形態に係る半導体製造装置1は、上面にリードフレーム9を配置するための受け台8と、受け台8の上側に配置され、受け台8とでリードフレーム9を固定する固定治具7とを備え、固定治具7は、リードフレーム9の上面を保持する本体部7aと、リードフレーム9におけるワイヤボンディングが行われる領域であるワイヤボンディング領域を露出する開口部7bと、開口部7bにおいてリードフレーム9のワイヤボンディング領域を受け台8側に押えるリードフレーム押え15とを有している。
【0056】
したがって、大容量の半導体装置の場合にも、固定治具7が有するリードフレーム押え15によってリードフレーム9のワイヤボンディング領域をしっかりと固定することができる。これにより、ワイヤボンディング時の超音波振動がリードフレーム9に正しく伝わり、安定したワイヤボンディングの接合強度を得ることができる。以上より、半導体装置の歩留り向上を図ることができる。
【0057】
また、半導体製造装置1は、固定治具7の外周部を保持する第1のX-Yテーブル13aと、固定治具7の開口部7bを介してリードフレーム9の位置を示す第1の位置情報を検出する画像処理カメラ14と、第1のX-Yテーブル13aに取り付けられた第1のX-Yボールねじ11aと、第1のX-Yボールねじ11aを回転させることで第1のX-Yテーブル13aと共に固定治具7を横方向に移動させる第1のX-Yモーター10aと、画像処理カメラ14により検出された第1の位置情報に基づいて、第1のX-Yモーター10aの駆動を制御する制御部17とをさらに備えている。
【0058】
したがって、リードフレーム9と固定治具7との位置合わせの精度を向上させることが可能である。これにより、さらに安定したワイヤボンディングの接合強度を得ることができる。
【0059】
また、半導体製造装置1は、上面に受け台8が配置された第2のX-Yテーブル13bと、第2のX-Yテーブル13bに取り付けられた第2のX-Yボールねじ11bと、第2のX-Yボールねじ11bを回転させることで第2のX-Yテーブル13bと共に受け台8を横方向に移動させる第2のX-Yモーター10bと、第2のX-Yテーブル13bの位置を示す第2の位置情報を検出するセンサー16とをさらに備え、制御部17は、センサー16により検出された第2の位置情報に基づいて、第2のX-Yモーター10bの駆動を制御している。
【0060】
したがって、受け台8とリードフレーム9との位置合わせの精度を向上させることが可能である。特に、リードフレーム9が段差を有し、受け台8に窪み8aが形成された場合に有効であり、さらに安定したワイヤボンディングの接合強度を得ることができる。
【0061】
また、制御部17は、画像処理カメラ14により検出された第1の位置情報を過去履歴として取得して学習し、過去履歴の学習結果に基づいて、固定治具7の初期位置を調整するように第1のX-Yモーター10aの駆動を制御している。
【0062】
したがって、固定治具7の位置調整の頻度および位置調整量が減少するため、半導体装置の製造効率が向上する。
【0063】
なお、実施の形態を適宜、変形することが可能である。
【符号の説明】
【0064】
1 半導体製造装置、7 固定治具、7a 本体部、7b 開口部、8 受け台、9 リードフレーム、10a 第1のX-Y駆動用モーター、10b 第2のX-Y駆動用モーター、11a 第1のボールねじ、11b 第2のボールねじ、13a 第1のX-Yテーブル、13b 第2のX-Yテーブル、14 画像処理カメラ、15 リードフレーム押え、16 センサー、17 制御部。
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図7
図8
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図10