IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社吉野工業所の特許一覧

<>
  • 特許-トリガー式液体噴出器 図1
  • 特許-トリガー式液体噴出器 図2
  • 特許-トリガー式液体噴出器 図3
  • 特許-トリガー式液体噴出器 図4
  • 特許-トリガー式液体噴出器 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】トリガー式液体噴出器
(51)【国際特許分類】
   B05B 11/10 20230101AFI20241220BHJP
   B65D 47/34 20060101ALI20241220BHJP
【FI】
B05B11/10 102J
B05B11/10 102E
B65D47/34 100
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021177973
(22)【出願日】2021-10-29
(65)【公開番号】P2023067041
(43)【公開日】2023-05-16
【審査請求日】2024-05-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】藤原 宏太郎
(72)【発明者】
【氏名】坂田 耕太
(72)【発明者】
【氏名】早川 茂
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-177897(JP,A)
【文献】特開2021-159841(JP,A)
【文献】特開2000-5658(JP,A)
【文献】特開2001-137750(JP,A)
【文献】特開2020-163322(JP,A)
【文献】特開2004-261790(JP,A)
【文献】特開2014-166612(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 11/00
B65D 47/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が収容された容器体に装着される噴出器本体と、
前記噴出器本体の前方側に配設され、液体を前方に向けて噴出する噴出孔が形成されたノズル部材と、を備え、
前記噴出器本体は、
上下方向に延び、前記容器体内の液体を吸上げる縦供給筒部と、
前記縦供給筒部の前方に前方付勢状態で後方に移動可能に配設されたトリガー部を有し、前記トリガー部の後方への移動によって、液体を前記縦供給筒部内から前記噴出孔側に向けて流通させるトリガー機構と、を備え、
前記トリガー機構は、
前記トリガー部の移動に伴って前後に移動する主ピストンと、
前記主ピストンの移動に伴って内部が加圧および減圧し、かつ内部が前記縦供給筒部内に連通する主シリンダと、
前記主シリンダの内側に配置され、前記主ピストンを前方に向けて付勢する付勢部材と、
前記主シリンダ内の加圧時に前記容器体内と前記主シリンダ内との前記縦供給筒部内を通した連通を遮断し、かつ前記主シリンダ内の減圧時に前記容器体内と前記主シリンダ内との前記縦供給筒部内を通した連通を許容する第1逆止弁と、
前記主シリンダ内の加圧時に前記主シリンダ内と前記縦供給筒部内との連通を許容し、かつ前記主シリンダ内の減圧時に前記主シリンダ内と前記縦供給筒部内との連通を遮断する第2逆止弁と、
前記主シリンダに形成されて、前記主シリンダ内を通して外部に開放されると共に、最前方位置に位置する前記主ピストンによって閉塞され、前記主ピストンが前記最前方位置から所定量だけ後方に移動したときに開放される第1通気孔と、
前記主シリンダに嵌合し、前記主ピストンの前方への抜けを規制する規制部材と、を備える、トリガー式液体噴出器。
【請求項2】
前記主シリンダの内側には、前記主ピストンを前後方向にガイドするガイド筒が設けられ、
前記主ピストンは、前記ガイド筒の外壁面に摺接する内側リップ部と、前記主シリンダの内壁面に摺接する外側リップ部と、前記内側リップ部と前記外側リップ部とを連結するリップ連結部と、を備え、
前記規制部材は、前後方向において前記リップ連結部に当接して前記主ピストンの前方への抜けを規制する規制片を備える、請求項1に記載のトリガー式液体噴出器。
【請求項3】
前記規制部材は、
前記主シリンダに外嵌する外筒部と、
前記外筒部に連設されると共に前記主シリンダの内側に挿入され、前記主シリンダの内壁面の全周に対して隙間をあけて配置された内筒部と、
前記内筒部の外周面に形成され、前後方向に延びる一対の溝部と、を備える、請求項1または2に記載のトリガー式液体噴出器。
【請求項4】
前記付勢部材は、金属ばねであり、
前記噴出器本体は、
前記トリガー部の後方への移動によって、前記主シリンダから前記縦供給筒部内を通過した液体が内部に供給される貯留シリンダと、
前記貯留シリンダ内にその中心軸線に沿う軸方向に移動可能に配設され、前記貯留シリンダ内への液体の供給に伴って前記軸方向のうちの一方側に向けて移動するとともに、他方側に向けて付勢される貯留プランジャと、を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のトリガー式液体噴出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリガー式液体噴出器に関する。
【背景技術】
【0002】
トリガー部の操作によって容器体内から液体を吸い上げ、噴出孔を通じて液体を噴出するトリガー式液体噴出器が知られている。下記特許文献1に記載されたトリガー式液体噴出器は、トリガー部の移動に伴って前後に移動するピストンと、ピストンの移動に伴って内部が加圧および減圧し、かつ内部が縦供給筒部内に連通するシリンダと、シリンダの内側に配置され、ピストンを前方に向けて付勢する付勢部材と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-159841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のトリガー式液体噴出器では、付勢部材によって前方に付勢されているピストンが、シリンダから前方に抜け出ないように、ピストンの前端部をトリガー部に当接させていた。しかしながら、トリガー部を組み付ける前は、ピストンの前進を規制することができず、また、トリガー部の組み付け精度のばらつきや変形が生じると、ピストンが設計された最前方位置よりも前進し、液漏れが生じるなどのおそれがある。また、ピストンが設計された最前方位置よりも前進してしまうと、トリガー部を引く操作をした際に、ピストンが設計された最後方位置まで後退しなくなるなどのおそれがある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、トリガー部の組み付け状態に依存せずにピストンの前進を規制できるトリガー式液体噴出器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係るトリガー式液体噴出器は、液体が収容された容器体に装着される噴出器本体と、前記噴出器本体の前方側に配設され、液体を前方に向けて噴出する噴出孔が形成されたノズル部材と、を備え、前記噴出器本体は、上下方向に延び、前記容器体内の液体を吸上げる縦供給筒部と、前記縦供給筒部の前方に前方付勢状態で後方に移動可能に配設されたトリガー部を有し、前記トリガー部の後方への移動によって、液体を前記縦供給筒部内から前記噴出孔側に向けて流通させるトリガー機構と、を備え、前記トリガー機構は、前記トリガー部の移動に伴って前後に移動する主ピストンと、前記主ピストンの移動に伴って内部が加圧および減圧し、かつ内部が前記縦供給筒部内に連通する主シリンダと、前記主シリンダの内側に配置され、前記主ピストンを前方に向けて付勢する付勢部材と、前記主シリンダに嵌合し、前記主ピストンの前方への抜けを規制する規制部材と、を備える。
【0007】
本発明に係るトリガー式液体噴出器によれば、トリガー機構を操作し、トリガー部を後方に移動させると、主ピストンの後退によって主シリンダ内が加圧され、主シリンダ内の液体が縦供給筒部内から噴出孔側に向けて流通する。これにより、ノズル部材の噴出孔を通じて液体を前方に向けて噴出させることができる。また、トリガー機構の操作を停止すると、主ピストンを前方に向けて付勢する付勢部材が主シリンダ内に設けられているため、トリガー部と共に主ピストンが前進して主シリンダ内を減圧し、容器体内から液体を吸い上げることができる。ここで、主シリンダには、規制部材が嵌合しており、規制部材によって主ピストンの前方への抜けを規制している。このため、仮にトリガー部の組み付け前の状態であっても、確実に主ピストンの前進を規制できる。また、主シリンダ、付勢部材、主ピストン、及び規制部材をユニット化して予め組んでおくことができるため、噴出器本体への組み付けが容易になる。
【0008】
(2)前記主シリンダの内側には、前記主ピストンを前後方向にガイドするガイド筒が設けられ、前記主ピストンは、前記ガイド筒の外壁面に摺接する内側リップ部と、前記主シリンダの内壁面に摺接する外側リップ部と、前記内側リップ部と前記外側リップ部とを連結するリップ連結部と、を備え、前記規制部材は、前後方向において前記リップ連結部に当接して前記主ピストンの前方への抜けを規制する規制片を備えてもよい。
【0009】
この場合には、規制部材の規制片が、主ピストンの内側リップ部と外側リップ部とを連結するリップ連結部に前後方向において直接当接することで、内側リップ部及び外側リップ部に変形を加えないようにしつつ、主ピストンの前進を規制することができる。このため、主ピストンのガイド筒及び主シリンダに対する摺動性及びシール性を確保できる。
【0010】
(3)前記規制部材は、前記主シリンダに外嵌する外筒部と、前記外筒部に連設されると共に前記主シリンダの内側に挿入され、前記主シリンダの内壁面の全周に対して隙間をあけて配置された内筒部と、前記内筒部の外周面に形成され、前後方向に延びる一対の溝部と、を備えてもよい。
【0011】
この場合には、規制部材の外筒部が主シリンダに外嵌するため、主シリンダに対する規制部材の装着が容易になる。また、規制部材の内筒部が主シリンダの内側に挿入され、主シリンダの内壁面の全周に対して隙間をあけて配置され、且つ、内筒部の外周面には前後方向に延びる一対の溝部が形成されているため、主シリンダの内壁面の寸法精度に依存せずに内筒部を主シリンダ内の所定の位置まで挿入して、主ピストンの前進を規制できる。
【0012】
(4)前記付勢部材は、金属ばねであり、前記噴出器本体は、前記トリガー部の後方への移動によって、前記主シリンダから前記縦供給筒部内を通過した液体が内部に供給される貯留シリンダと、前記貯留シリンダ内にその中心軸線に沿う軸方向に移動可能に配設され、前記貯留シリンダ内への液体の供給に伴って前記軸方向のうちの一方側に向けて移動するとともに、他方側に向けて付勢される貯留プランジャと、前記主シリンダ内の加圧時に前記容器体内と前記主シリンダ内との前記縦供給筒部内を通した連通を遮断し、かつ前記主シリンダ内の減圧時に前記容器体内と前記主シリンダ内との前記縦供給筒部内を通した連通を許容する第1逆止弁と、前記主シリンダ内の加圧時に前記貯留シリンダ内と前記主シリンダ内との前記縦供給筒部内を通した連通を許容し、かつ前記主シリンダ内の減圧時に前記貯留シリンダ内と前記主シリンダ内との前記縦供給筒部内を通した連通を遮断する第2逆止弁と、を備えてもよい。
【0013】
この場合には、付勢部材を金属ばねとすることで、主シリンダ内への液体の吸い上げを強めることができる。また、第1逆止弁および第2逆止弁によって主シリンダから縦供給筒部内を通じて貯留シリンダ内に液体を供給しながら、噴出孔を通じて液体を噴出させることができると共に貯留シリンダ内を加圧することができる。従って、貯留プランジャを前方付勢に抗して軸方向の一方側に向けて押圧することができ、液体を噴出しながら貯留プランジャを軸方向の一方側に向けて移動させることができる。そのため、トリガー部を引く操作を行う毎に、貯留プランジャを軸方向の一方側に移動させて、貯留シリンダ内に液体を溜めながら(充填しながら)、液体を噴出することができる。なお、貯留シリンダ内への液体の充填後、トリガー部の操作を停止すると、縦供給筒部内を通じた貯留シリンダ内への液体の供給が停止するが、貯留プランジャが軸方向の他方側に向けて復元移動しはじめる。これにより、貯留シリンダ内に充填した液体を、貯留シリンダ内から噴出孔側に向けて押し出すことができ、噴出孔から噴出させることができる。従って、液体の連続噴出を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るトリガー式液体噴出器によれば、トリガー部の組み付け状態に依存せずに主ピストンの前進を規制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係るトリガー式液体噴出器を示す縦断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係るトリガー機構の要部を示す拡大図である。
図3】本発明の一実施形態に係る規制部材を示す背面図である。
図4】本発明の一実施形態に係るトリガー式液体噴出器の変形例を示す縦断面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る規制部材の変形例を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係るトリガー式液体噴出器を説明する。以下の説明では、トリガー式液体噴出器が容器体に取り付けられた噴出容器を例示する。
【0017】
図1に示すように、本実施形態のトリガー式液体噴出器1は、液体を収容する容器体Aに装着される噴出器本体2と、液体を噴出する噴出孔4が形成され、噴出器本体2に装着されたノズル部材3と、噴出器本体2およびノズル部材3を覆うカバー部材5と、を備えている。
なお、トリガー式液体噴出器1の各構成部品は、特に記載がなければ、合成樹脂を用いた成形品とされている。
【0018】
噴出器本体2は、縦供給筒部10と、トリガー機構20と、接続筒部30と、貯留シリンダ40と、貯留プランジャ50と、射出筒部60と、を主に備えている。
以下の説明では、縦供給筒部10の中心軸線を軸線O1とし、この軸線O1に沿って容器体A側を下側、その反対側を上側といい、軸線O1に沿う方向を上下方向という。また、上下方向から見た平面視において、軸線O1に交差する一方向を前後方向といい、上下方向及び前後方向の双方向に直交する方向を左右方向という。
【0019】
さらに、貯留シリンダ40の中心軸線は、軸線O2とする。本実施形態において軸線O2は、前後方向に延びている。本実施形態において前後方向は、貯留シリンダ40の中心軸線に沿う軸方向に相当する。本実施形態において後方は、貯留シリンダ40の中心軸線に沿う軸方向のうちの一方側に相当し、前方は貯留シリンダ40の中心軸線に沿う軸方向のうちの他方側に相当する。ただし、軸線O2に沿う軸方向は、前後方向と一致していなくてもよい。
【0020】
縦供給筒部10は、上下方向に延在し、容器体A内の液体を吸い上げる。縦供給筒部10は、装着キャップ11によって、容器体Aに装着されている。縦供給筒部10には、上下方向に延びると共に容器体Aから液体を吸い上げるパイプ12の上部が嵌合している。縦供給筒部10内のパイプ12の嵌合位置より上側には、第1逆止弁13および第2逆止弁14が設けられている。
【0021】
第1逆止弁13は、トリガー機構20の主シリンダ23内の加圧時に、縦供給筒部10内を通じた容器体A内と主シリンダ23内との連通を遮断すると共に、主シリンダ23内の減圧時に上方に向けて変位することで、縦供給筒部10内を通じた容器体A内と主シリンダ23内との連通を許容する。
【0022】
第1逆止弁13の上方には、第2逆止弁14が配置されている。第2逆止弁14は、縦供給筒部10内から貯留シリンダ40内への液体の供給を許容すると共に、貯留シリンダ40内から縦供給筒部10内への液体の流出を規制する。
【0023】
縦供給筒部10の前側には、シリンダ用筒部15が設けられている。シリンダ用筒部15は、縦供給筒部10から前方に向けて突出すると共に、前方に向けて開口している。シリンダ用筒部15内には、主シリンダ23が嵌合している。主シリンダ23は、前方に開口すると共に後方が閉塞された有底筒状に形成されている。主シリンダ23は、その後壁部の一部において、縦供給筒部10内の第1逆止弁13および第2逆止弁14の間に空間連通している。
【0024】
トリガー機構20は、トリガー部21と、主ピストン22と、主シリンダ23と、ピストン付勢部材24(付勢部材)と、を備えている。トリガー機構20は、トリガー部21の後方への移動によって、液体を縦供給筒部10内から噴出孔4側に向けて流通させることが可能とされている。
【0025】
トリガー部21は、縦供給筒部10の前方に前方付勢状態で後方に移動可能に配置されている。トリガー部21は、射出筒部60の下方において、ノズル部材3に前後方向に揺動可能に軸支されている。トリガー部21は、ノズル部材3による軸支位置から下方に延び、主ピストン22及び主シリンダ23の前方に位置している。
【0026】
本実施形態では、トリガー部21と、主シリンダ23との間の前後方向の隙間に、ストッパTが着脱可能に設けられている。ストッパTは、トリガー部21及び主シリンダ23のそれぞれに当接することで、トリガー部21の後方への揺動を規制する。なお、ストッパTは、取り外した状態であってもよい。
【0027】
主ピストン22は、主シリンダ23の内部に前後方向に移動可能に配置されている。主ピストン22は、トリガー部21の移動に連動して前後方向に移動可能とされている。主シリンダ23の内部は、主ピストン22の前後方向の移動に伴って加圧及び減圧される。主ピストン22は、後方に開口すると共に前方が閉塞された有頂筒状に形成されている。
【0028】
主ピストン22は、トリガー部21と共にピストン付勢部材24の付勢力によって前方に付勢されている。主ピストン22は、トリガー部21の後方への移動に伴って後退して主シリンダ23内に押し込まれる。主ピストン22は、トリガー部21が最前方揺動位置にあるときに、これに対応して最前方位置に位置している。
【0029】
ピストン付勢部材24は、金属ばねである。ピストン付勢部材24は、主ピストン22及び主シリンダ23と同軸に配設され、主ピストン22を介してトリガー部21を前方に付勢している。ピストン付勢部材24は、主ピストン22の頂壁と主シリンダ23の底壁との間に配置されている。なお、ピストン付勢部材24の材質は金属製に限定されるものではなく、例えば樹脂ばね等を採用してもよい。
【0030】
接続筒部30は、シリンダ用筒部15の上方に配置されている。接続筒部30は、縦供給筒部10の上端部から前方に向けて延びている。接続筒部30内は、縦供給筒部10内の第2逆止弁14による閉止位置より上側に連通している。接続筒部30の前端部には、閉塞栓31が嵌合している。接続筒部30内を前方に流通する液体は、閉塞栓31に当たって上方に向きを変え、閉塞栓31と接続筒部30の上端部との隙間から貯留シリンダ40内に流入する。
【0031】
貯留シリンダ40は、縦供給筒部10及び接続筒部30の上方に配置されている。本実施形態の貯留シリンダ40の下端部は、縦供給筒部10の上端部及び接続筒部30の上端部と一体に形成されている。貯留シリンダ40の内部(貯留空間41)には、トリガー部21の後方への移動によって、縦供給筒部10内及び接続筒部30内を通過した液体が供給される。
【0032】
貯留プランジャ50は、貯留シリンダ40内に軸線O2に沿う前後方向に移動可能に配置されている。貯留プランジャ50は、貯留シリンダ40内を前後方向に摺動する。貯留プランジャ50は、最前方位置では、縦供給筒部10内と噴出孔4(射出筒部60内)との連通を遮断する。貯留プランジャ50は、最前方位置から後方に移動したときに、縦供給筒部10内と噴出孔4(射出筒部60内)とを連通する。貯留シリンダ40において、貯留プランジャ50よりも前方に位置する空間は、貯留空間41として機能する。
【0033】
貯留空間41は、縦供給筒部10内を通過した液体が貯留される。貯留空間41は、液体の供給によって貯留プランジャ50が後方に向けて移動することで拡張する。貯留プランジャ50は、貯留シリンダ40内への液体の供給に伴って後方に向けて移動する。貯留空間41は、接続筒部30を通して縦供給筒部10内に連通している。貯留空間41は、射出筒部60内とも連通可能である。貯留プランジャ50が最前方位置にいるとき、貯留空間41は、射出筒部60内との連通が遮断されている。貯留プランジャ50が最前方位置から後退すると、貯留空間41は、射出筒部60内と連通する。
【0034】
貯留シリンダ40内には、貯留プランジャ50を前方に向けて付勢するプランジャ付勢部材51が設けられている。プランジャ付勢部材51は、貯留シリンダ40内において貯留プランジャ50よりも後方に配置されている。使用者がトリガー部21を操作する前の初期状態において、プランジャ付勢部材51が貯留プランジャ50を前方に付勢することで、貯留プランジャ50が最前方位置に位置する。プランジャ付勢部材51は、軸線O2と同軸に配設された金属製のコイルばねとされている。ただし、例えばプランジャ付勢部材51として樹脂製のばねを用いてもよいし、その他の弾性を有する部材を用いても構わない。
【0035】
貯留プランジャ50が後方に移動するまでは、貯留シリンダ40の貯留空間41で液体が加圧される。貯留空間41の液圧が所定値に達すると、貯留プランジャ50がプランジャ付勢部材51に抗して後方に移動する。これにより、貯留空間41の液体を、噴出孔4側に供給することが可能とされている。貯留プランジャ50は、蓄圧弁として機能する。
【0036】
射出筒部60は、貯留シリンダ40から前方に向けて延びている。射出筒部60は、貯留シリンダ40内(貯留空間41)及び接続筒部30内を通じて縦供給筒部10の内部に連通している。射出筒部60は、縦供給筒部10内、接続筒部30内及び貯留シリンダ40内(貯留空間41)を通過した液体を噴出孔4に導く。射出筒部60には、ノズル部材3が前方から外嵌している。ノズル部材3には、前方に開口し、液体を前方に向けて噴出する噴出孔4が形成されている。
【0037】
カバー部材5は、縦供給筒部10のうちの下端部を除く全体、射出筒部60の全体、及び貯留シリンダ40の全体を、少なくとも左右方向の両側及び上方から覆うように形成されている。
【0038】
上記構成のトリガー式液体噴出器1は、主シリンダ23に嵌合し、主ピストン22の前方への抜けを規制する規制部材100を備えている。規制部材100は、図2の拡大図に示すように、主シリンダ23に外嵌する外筒部101と、外筒部101に連設されると共に主シリンダ23の内側に挿入され、主シリンダ23の内壁面の全周に対して隙間をあけて配置された内筒部102と、内筒部102から後方に突設された規制片103と、を備えている。
【0039】
外筒部101の内周面には、嵌合片104が突設されている。嵌合片104は、図3の規制部材100の背面図に示すように、外筒部101の周方向において間隔をあけて複数(本実施形態では軸線O2を中心に90°間隔で4つ)設けられている。嵌合片104は、図2に示すように、主シリンダ23の前端開口部に設けられたフランジ23aに後方から当接している。
【0040】
フランジ23aの外径は、シリンダ用筒部15の外径と同じになっている。フランジ23aは、シリンダ用筒部15の前端開口縁に対して、前後方向に隙間をあけて配置されている。嵌合片104は、フランジ23aとシリンダ用筒部15の前端開口縁との隙間に収まるように配置されている。このように、フランジ23aとシリンダ用筒部15の前端開口縁との隙間を設け、その隙間に規制部材100の嵌合片104を収めることで、主シリンダ23及びシリンダ用筒部15の外径を最小限に抑えることができる。
【0041】
外筒部101の前端部と、内筒部102の前端部は、環状連結部105によって連結されている。環状連結部105は、フランジ23aの前方を向く面を含む主シリンダ23の前端開口縁に前方から当接している。環状連結部105には、嵌合片104と前後方向で対向する位置に、嵌合片104を成形するための貫通孔106(成形孔)が形成されている。
【0042】
内筒部102は、環状連結部105の径方向の内端縁から後方に向かって延在している。内筒部102の外周面は、主シリンダ23の内壁面の全周に対して隙間をあけて配置されている。つまり、内筒部102は、外筒部101に環状連結部105を介して吊設されて、前後方向に位置決めされている。なお、内筒部102の外周面の後端部側は、主シリンダ23の内壁面の形状に対応して僅かに縮径している。
【0043】
内筒部102の外周面には、図3に示すように、前後方向に延びる一対の溝部107が形成されている。一対の溝部107は、内筒部102の外周面の上下に、一定の深さで形成されている。なお、一対の溝部107は、環状連結部105の後方を向く面まで延在し、上下に配置された貫通孔106まで延びている。
【0044】
図2に示すように、前方に向けて開口する有底筒状の主シリンダ23には、その後壁部の中央部分から前方に向けて突出した筒状のガイド筒25が設けられている。ガイド筒25は、前方に開口すると共に後方が閉塞された有底筒状に形成されている。ガイド筒25の前端部は、主シリンダ23の前端部よりも後方に位置している。
【0045】
ガイド筒25の底部は環状に形成され、内側にシリンダ用筒部15に設けられた嵌合筒部16が嵌合されている。なお、嵌合筒部16の前端部は、ガイド筒25の内部に突出している。ガイド筒25は、嵌合筒部16と同軸に配設されている。ガイド筒25の後端部における外周面には、環状の窪み部25aが形成されている。
【0046】
主ピストン22は、後方に開口して内部にガイド筒25が挿入されたピストン本体部22aと、ピストン本体部22aの後端部に設けられ、ガイド筒25の外壁面に摺接する内側リップ部22bと、ピストン本体部22aの後端部から径方向外側に向けて突出するリップ連結部22cと、リップ連結部22cの径方向外側に連設され、主シリンダ23の内壁面に摺接する前後一対の外側リップ部22dと、を備えている。
【0047】
ピストン本体部22aは、後方に開口すると共に前方が閉塞された有頂筒状に形成されている。ピストン本体部22aの内径は、ガイド筒25の外径よりも僅かに大きく形成されている。ピストン本体部22aの前端部は、トリガー部21(図1参照)の後方からトリガー部21に当接することで、トリガー部21に係止されている。
【0048】
ピストン本体部22aの後端部には、その径方向の内側に向けて突出し、ガイド筒25の外壁面に対して摺接する環状の内側リップ部22bが形成されている。これにより、内側リップ部22bとガイド筒25の外壁面との間に、シール性が確保されている。内側リップ部22bは、主ピストン22が最後方位置に位置したときに窪み部25aに達する。
【0049】
内側リップ部22bがガイド筒25の窪み部25aに達すると、内側リップ部22bと窪み部25aとの間に若干の隙間が形成される。この隙間を通じて、主シリンダ23の主シリンダ23内と、ピストン本体部22aの内周面とガイド筒25の外壁面との間の隙間と、が連通する。これにより、主シリンダ23内が、ガイド筒25内を通じて嵌合筒部16内に連通する。
【0050】
リップ連結部22cは、内側リップ部22bと外側リップ部22dとの間を径方向において連結する環状に形成されている。リップ連結部22cの前方を向く面は、平面になっている。外側リップ部22dは、リップ連結部22cの外周端から前方及び後方に向かうに従って各別に拡径して前後一対で形成され、主シリンダ23の内壁面に対して摺接している。これにより、外側リップ部22dと主シリンダ23の内壁面との間に、シール性が確保されている。
【0051】
主ピストン22は、トリガー部21が最前方揺動位置にあるときに、これに対応して最前方位置に位置している。この際、主ピストン22は、前後一対の外側リップ部22dの間において主シリンダ23に形成された第1通気孔23bを閉塞している。そして、トリガー部21の後方への揺動によって主ピストン22が最前方位置から所定量だけ後方に移動したときに、主ピストン22は第1通気孔23bを開放する。
【0052】
これにより、第1通気孔23bは、主シリンダ23内を通してトリガー式液体噴出器1の外部に開放される。第1通気孔23bは、各種隙間及び各種通気孔(第1隙間S1、第2通気孔15a、第2隙間S2、及び第3通気孔10a)を介して容器体Aの内部に連通しており、液体を噴出した容器体Aの内部を空気で置換できるようになっている。なお、第1隙間S1は、シリンダ用筒部15の内周面と主シリンダ23の外周面との間に形成された環状隙間である。また、第2通気孔15aは、シリンダ用筒部15の周壁に形成された貫通孔であり、第1隙間S1の下部から下方に延びている。第2隙間S2は、シリンダ用筒部15の下面と、縦供給筒部10の内筒側鍔部10Aの上面との間に形成された隙間であり、第2通気孔15aの下端に連通している。なお、内筒側鍔部10Aには、図1に示すように装着キャップ11が係止する。第3通気孔10aは、内筒側鍔部10Aを上下に貫通する貫通孔であり、第2隙間S2と容器体Aの内部との間を連通させている。
【0053】
規制部材100は、前後方向においてリップ連結部22cに当接して主ピストン22の前方への抜けを規制する規制片103を備えている。規制片103は、図3の規制部材100の背面図に示すように、内筒部102の周方向において間隔をあけて複数(本実施形態では軸線O2を中心に180°間隔で2つ)設けられている。規制片103は、図2に示すように、内筒部102の後端部における内周面側から後方に向かって突設されている。規制片103の後端部の外周面側は、後方に向かうに従って縮径している。規制片103の後端面は、リップ連結部22cと平行な平面となっており、リップ連結部22cと前後方向で対向している。
【0054】
(トリガー式液体噴出器の作用)
次に、上述のように構成されたトリガー式液体噴出器1を使用する場合について説明する。なお、トリガー部21の複数回の操作によって、トリガー式液体噴出器1の各部内に液体が充填され、縦供給筒部10内に液体を吸い上げることができる状態になっているものとする。
【0055】
使用者は、ストッパTを取り外した後、トリガー部21をピストン付勢部材24の付勢力に抗して、後方に引くように操作する。すると、主ピストン22が最前方位置から後方に移動し、主シリンダ23内が加圧される。これにより、主シリンダ23内の液体が、縦供給筒部10に供給される。すると、縦供給筒部10に供給された液体は、第1逆止弁13を下方に押し付けると共に、第2逆止弁14を押し上げる。
【0056】
これにより、縦供給筒部10内の液体を、接続筒部30内を通じて貯留シリンダ40の貯留空間41に供給することができ、貯留空間41を加圧することができる。そのため、貯留空間41の加圧に伴って、貯留プランジャ50をプランジャ付勢部材51の付勢力に抗して最前進位置から後方に向けて移動させることができ、液体を貯留空間41に溜める(充填する)ことができる。
【0057】
貯留プランジャ50が後方に移動することで、圧力が高まった貯留空間41の液体を、射出筒部60内を通じて噴出孔4に導くことができる。そして、噴出孔4から前方に向けて液体を噴出させることができる。このように、トリガー部21を後方に引く操作を行う毎に、液体を噴出孔4から噴出させることができると共に、貯留プランジャ50を後方に移動させて、貯留空間41内に液体を溜めることができる。
【0058】
その後、トリガー部21を解放すると、ピストン付勢部材24の弾性復元力(付勢力)によって主ピストン22が主シリンダ23内を前方に向けて復元移動するので、これに伴ってトリガー部21も前方に復元移動する。そのため、主シリンダ23内を減圧させて、容器体A内の圧力よりも低い圧力にすることができるので、第2逆止弁14が閉弁したままの状態で、第1逆止弁13を上昇させることができる。従って、容器体A内の液体を、縦供給筒部10内に吸い上げ、主シリンダ23内に導入することができる。
これにより、次回の噴出に備えることができる。
【0059】
トリガー部21の後方に向けた操作を停止すると、縦供給筒部10内及び接続筒部30内を通じた貯留空間41への液体の供給は停止するものの、プランジャ付勢部材51の付勢力によって貯留プランジャ50が最前進位置に向けて前方移動しはじめる。この際、貯留空間41から縦供給筒部10内への液体の流出は、第2逆止弁14によって規制される。
【0060】
これにより、貯留空間41に溜まった液体を、射出筒部60内を通じて噴出孔4に導き、噴出孔4を通じて前方に向けて液体を引き続き噴出させることができる。
このように、トリガー部21を後方に引く操作を行ったときだけでなく、トリガー部21を操作しない場合であっても液体を噴出させることができ、液体の連続噴出を行うことができる。
【0061】
上記構成のトリガー式液体噴出器1によれば、トリガー機構20を操作し、トリガー部21を後方に移動させると、主ピストン22の後退によって主シリンダ23内が加圧され、主シリンダ23内の液体が縦供給筒部10内から噴出孔4側に向けて流通する。これにより、ノズル部材3の噴出孔4を通じて液体を前方に向けて噴出させることができる。また、トリガー機構20の操作を停止すると、主ピストン22を前方に向けて付勢するピストン付勢部材24が主シリンダ23内に設けられているため、トリガー部21と共に主ピストン22が前進して主シリンダ23内を減圧し、容器体A内から液体を吸い上げることができる。ここで、主シリンダ23には、規制部材100が嵌合しており、規制部材100によって主ピストン22の前方への抜けを直接規制している。このため、仮にトリガー部21の組み付け前の状態であっても、確実に主ピストン22の前進を規制できる。
【0062】
すなわち、主シリンダ23内への液体の吸い上げを強めるために、ピストン付勢部材24の付勢力を高めると、主ピストン22が前進しようとし、それをトリガー部21のみによって規制する場合、トリガー部21の組み付け精度や変形に依存するため、完全に規制することができない。仮に、主ピストン22が設計された最前方位置よりも前進してしまうと、液漏れが生じるなどのおそれがある。また、主ピストン22が設計された最前方位置よりも前進してしまうと、トリガー部21を引く操作をした際に、主ピストン22が設計された最後方位置まで後退しなくなるなどのおそれがある。さらには、主ピストン22の前進により、空気置換用の第1通気孔23bを外側リップ部22dが通過してしまうと、第1通気孔23b内に液体が浸入し、トリガー部21を引く操作をした際に、浸入した液体が逆流し、噴出するおそれがある。このようなおそれを抑制するため、本実施形態では、主シリンダ23のフランジ23aに、リング状の規制部材100を嵌合させる事により、主ピストン22を直接押さえる事で確実に前進を規制している。また、規制部材100の嵌合によって、主シリンダ23、ピストン付勢部材24、主ピストン22、及び規制部材100をユニット化して予め組んでおくことができるため、噴出器本体2への組み付けが容易になる。
【0063】
このように、上述した本実施形態に係るトリガー式液体噴出器1は、液体が収容された容器体Aに装着される噴出器本体2と、噴出器本体2の前方側に配設され、液体を前方に向けて噴出する噴出孔4が形成されたノズル部材3と、を備え、噴出器本体2は、上下方向に延び、容器体A内の液体を吸上げる縦供給筒部10と、縦供給筒部10の前方に前方付勢状態で後方に移動可能に配設されたトリガー部21を有し、トリガー部21の後方への移動によって、液体を縦供給筒部10内から噴出孔4側に向けて流通させるトリガー機構20と、を備え、トリガー機構20は、トリガー部21の移動に伴って前後に移動する主ピストン22と、主ピストン22の移動に伴って内部が加圧および減圧し、かつ内部が縦供給筒部10内に連通する主シリンダ23と、主シリンダ23の内側に配置され、主ピストン22を前方に向けて付勢するピストン付勢部材24と、主シリンダ23に嵌合し、主ピストン22の前方への抜けを規制する規制部材100と、を備える。
この構成によれば、トリガー部21の組み付け状態に依存せずに主ピストン22の前進を規制することができる。
【0064】
また、本実施形態では、主シリンダ23の内側には、主ピストン22を前後方向にガイドするガイド筒25が設けられ、主ピストン22は、ガイド筒25の外壁面に摺接する内側リップ部22bと、主シリンダ23の内壁面に摺接する外側リップ部22dと、内側リップ部22bと外側リップ部22dとを連結するリップ連結部22cと、を備え、規制部材100は、前後方向においてリップ連結部22cに当接して主ピストン22の前方への抜けを規制する規制片103を備える。この構成によれば、規制部材100の規制片103が、主ピストン22の内側リップ部22bと外側リップ部22dとを連結するリップ連結部22cに前後方向において直接当接することで、内側リップ部22b及び外側リップ部22dに変形を加えないようにしつつ、主ピストン22の前進を規制することができる。このため、主ピストン22のガイド筒25及び主シリンダ23に対する摺動性及びシール性を確保できる。
【0065】
また、本実施形態では、規制部材100は、主シリンダ23に外嵌する外筒部101と、外筒部101に連設されると共に主シリンダ23の内側に挿入され、主シリンダ23の内壁面の全周に対して隙間をあけて配置された内筒部102と、内筒部102の外周面に形成され、前後方向に延びる一対の溝部107と、を備える。この構成によれば、規制部材100の外筒部101が主シリンダ23に外嵌するため、主シリンダ23に対する規制部材100の装着が容易になる。また、規制部材100の内筒部102が主シリンダ23の内側に挿入され、主シリンダ23の内壁面の全周に対して隙間をあけて配置され、且つ、内筒部102の外周面には前後方向に延びる一対の溝部が形成されているため、主シリンダ23の内壁面の寸法精度に依存せずに内筒部102を主シリンダ23内の所定の位置まで挿入して、主ピストン22の前進を規制できる。
【0066】
また、本実施形態では、ピストン付勢部材24は、金属ばねであり、噴出器本体2は、トリガー部21の後方への移動によって、主シリンダ23から縦供給筒部10内を通過した液体が内部に供給される貯留シリンダ40と、貯留シリンダ40内にその中心軸線に沿う軸方向に移動可能に配設され、貯留シリンダ40内への液体の供給に伴って軸方向のうちの一方側に向けて移動するとともに、他方側に向けて付勢される貯留プランジャ50と、主シリンダ23内の加圧時に容器体A内と主シリンダ23内との縦供給筒部10内を通した連通を遮断し、かつ主シリンダ23内の減圧時に容器体A内と主シリンダ23内との縦供給筒部10内を通した連通を許容する第1逆止弁13と、主シリンダ23内の加圧時に貯留シリンダ40内と主シリンダ23内との縦供給筒部10内を通した連通を許容し、かつ主シリンダ23内の減圧時に貯留シリンダ40内と主シリンダ23内との縦供給筒部10内を通した連通を遮断する第2逆止弁14と、を備える。この構成によれば、ピストン付勢部材24を金属ばねとすることで、主シリンダ23内への液体の吸い上げを強めることができる。また、第1逆止弁13および第2逆止弁14によって主シリンダ23から縦供給筒部10内を通じて貯留シリンダ40内に液体を供給しながら噴出孔4を通じて液体を噴出させることができると共に貯留シリンダ40内を加圧することができる。従って、貯留プランジャ50を前方付勢に抗して軸方向の一方側に向けて押圧することができ、液体を噴出しながら貯留プランジャ50を軸方向の一方側に向けて移動させることができる。そのため、トリガー部21を引く操作を行う毎に、貯留プランジャ50を軸方向の一方側に移動させて、貯留シリンダ40内に液体を溜めながら(充填しながら)、液体を噴出することができる。なお、貯留シリンダ40内への液体の充填後、トリガー部21の操作を停止すると、縦供給筒部10内を通じた貯留シリンダ40内への液体の供給が停止するが、貯留プランジャ50が軸方向の他方側に向けて復元移動しはじめる。これにより、貯留シリンダ40内に充填した液体を、貯留シリンダ40内から噴出孔4側に向けて押し出すことができ、噴出孔4から噴出させることができる。従って、液体の連続噴出を行うことが可能となる。
【0067】
なお、本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0068】
例えば、図4に示すような変形例を採用してもよい。図4に示す規制部材100は、前後方向において前後一対の外側リップ部22dの前方側の外側リップ部22dに当接して主ピストン22の前方への抜けを規制している。この規制部材100は、図5の背面図に示すように、内筒部102の全周に亘って連続して形成された後端部が、規制片103を兼ねる構成となっている。上記構成であっても、トリガー部21の組み付け状態に依存せずに主ピストン22の前進を規制することができる。
また、図2に示す規制片103において、外側リップ部22dの内周面から径方向内側に離間し、リップ連結部22cだけに当接する構成であってもよい。
また、規制部材100は、リング状でなくてもよい。
【0069】
また、貯留シリンダ40、貯留プランジャ50がなくてもよい。トリガー式液体噴出器1が、連続噴出を前提としていなくてもよい。
【0070】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0071】
1…トリガー式液体噴出器、2…噴出器本体、3…ノズル部材、4…噴出孔、5…カバー部材、10…縦供給筒部、10a…第3通気孔、11…装着キャップ、12…パイプ、13…第1逆止弁、14…第2逆止弁、15…シリンダ用筒部、15a…第2通気孔、16…嵌合筒部、20…トリガー機構、21…トリガー部、22…主ピストン、22a…ピストン本体部、22b…内側リップ部、22c…リップ連結部、22d…外側リップ部、23…主シリンダ、23a…フランジ、23b…第1通気孔、24…ピストン付勢部材、25…ガイド筒、25a…窪み部、30…接続筒部、31…閉塞栓、40…貯留シリンダ、41…貯留空間、50…貯留プランジャ、51…プランジャ付勢部材、60…射出筒部、100…規制部材、101…外筒部、102…内筒部、103…規制片、104…嵌合片、105…環状連結部、106…貫通孔、107…溝部、A…容器体、O1…軸線、O2…軸線、S1…第1隙間、S2…第2隙間、T…ストッパ
図1
図2
図3
図4
図5