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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】作業車
(51)【国際特許分類】
   B62D 61/12 20060101AFI20241220BHJP
【FI】
B62D61/12
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021207182
(22)【出願日】2021-12-21
(65)【公開番号】P2023092155
(43)【公開日】2023-07-03
【審査請求日】2023-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】井田 裕介
(72)【発明者】
【氏名】平岡 実
(72)【発明者】
【氏名】石川 淳一
(72)【発明者】
【氏名】羽澤 悠平
(72)【発明者】
【氏名】溝口 祥輝
(72)【発明者】
【氏名】森崎 紗耶
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-001442(JP,A)
【文献】特開2021-062793(JP,A)
【文献】特開平10-297317(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0194413(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第19645668(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 61/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両本体と、
前記車両本体の左右両側における前後夫々に位置する複数の走行装置と、
複数の前記走行装置を駆動する走行駆動装置と、
両横側部に位置するとともに長尺状に延びる発光部を有する灯火装置と、
前記灯火装置の作動を制御する制御装置と、が備えられ、
前記灯火装置は、複数の前記走行装置を各別に昇降可能に前記車両本体に支持する支持機構の横側部に備えられ、かつ、前記支持機構及び前記走行装置の運転状態の変化に応じて作動する作業車。
【請求項2】
前記灯火装置は、
前記車両本体の横側部に備えられ、かつ、前記車両本体側の運転状態の変化に応じて作動する車体側灯火装置を備えている請求項1に記載の作業車。
【請求項3】
前記支持機構に、複数の前記走行装置の夫々を前記車両本体に対して昇降可能に支持する屈折リンク機構が備えられ、
前記発光部が前記屈折リンク機構の横側部に備えられている請求項1又は2に記載の作業車。
【請求項4】
前記灯火装置は、前記発光部が延伸方向に垂直な方向に並ぶ状態で複数備えられ、且つ、複数の前記発光部が互いに異なる色で発光するように構成されている請求項1から3のいずれか1項に記載の作業車。
【請求項5】
前記制御装置は、車両状態の違いに応じて異なる色の前記発光部を発光させるように構成されている請求項4に記載の作業車。
【請求項6】
前記発光部が、文字情報を表示可能に構成されている請求項1から5のいずれか1項に記載の作業車。
【請求項7】
前記車両本体の上部に荷物を積載可能な平坦状の積載部が備えられている請求項1から6のいずれか1項に記載の作業車。
【請求項8】
前記車体側灯火装置の前記発光部は、前記車両横側部から車両前側部及び/又は車両後側部に亘って設けられている請求項2に記載の作業車。
【請求項9】
前記制御装置は、車両状態の違いに応じて前記発光部の発光状態を変化させる請求項1から8のいずれか1項に記載の作業車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凹凸等が存在する地面あるいは山間地等の不整地を走行するのに適した作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
上記作業車として、従来では、車両本体に対して支持機構における屈折リンク機構を介して4つの走行車輪が支持され、車両本体に対する走行車輪の高さを変更させることにより、地面に凹凸があっても走行車輪が接地追従しながら回転駆動することができるように構成されたものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-111985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種の作業車には、制御動作が良好に行われているか否か等の車両状態を周囲から把握しにくいという問題があった。
【0005】
そこで、不整地を走行することが可能な作業車において、車両状態を車体外部から容易に目視で確認できるようにすることが要望されていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る作業車の特徴構成は、車両本体と、前記車両本体の左右両側における前後夫々に位置する複数の走行装置と、複数の前記走行装置を駆動する走行駆動装置と、車両横側部に位置するとともに長尺状に延びる発光部を有する灯火装置と、前記灯火装置の作動を制御する制御装置と、が備えられ、前記灯火装置は、複数の前記走行装置を各別に昇降可能に前記車両本体に支持する支持機構の横側部に備えられ、かつ、前記支持機構及び前記走行装置の運転状態の変化に応じて作動する点にある。
【0007】
本発明によれば、支持機構によって複数の走行装置を各別に車両本体に対して昇降させるとともに、走行駆動装置によって複数の走行車輪を駆動することにより、不整地を走行する場合であっても、車両本体が適正な姿勢を維持する状態で走行することができる。又、灯火装置によって、離れた箇所から目視している作業者に対して車体内部の運転状況等について知らせることができる。
【0008】
灯火装置は、車両横側部に位置する状態で備えられ、且つ、長尺状の発光部を有するので、例えば、山間地を走行している場合に、樹木の枝葉によって視界が一部遮られることがあっても、離れた箇所から容易に発光状態を目視することができ、車体内部の運転状況等を確認し易い。
【0009】
従って、不整地を走行することが可能な作業車において、車体内部での運転状況等について車体外部から容易に目視で確認することが可能となった。
【0010】
本発明においては、前記灯火装置は、前記車両本体の横側部に備えられ、かつ、前記車両本体側の運転状態の変化に応じて作動する車体側灯火装置を備えていると好適である。
【0011】
本構成によれば、例えば、車両本体の上部に荷物を積載しているような場合、あるいは、作業車の車体に対して斜め下方側から作業車が目視しているような場合であっても、視界を遮られることがなく、作業者が発光部を目視し易いものとなる。
【0012】
本発明においては、前記支持機構に、複数の前記走行装置の夫々を前記車両本体に対して昇降可能に支持する屈折リンク機構が備えられ、前記発光部が前記屈折リンク機構の横側部に備えられていると好適である。
【0013】
本構成によれば、例えば、発光部によって支持機構の動作状態を表示させるようにすると、複数の屈折リンク機構の夫々について動作状態を容易に目視で確認することが可能となる。
【0014】
本発明においては、前記灯火装置は、前記発光部が延伸方向に垂直な方向に並ぶ状態で複数備えられ、且つ、複数の前記発光部が互いに異なる色で発光するように構成されていると好適である。
【0015】
本構成によれば、互いに色が異なる発光部と車体内部の複数種の運転状況とを予め対応付けておくことにより、作業者は、発光している色の違いによって、どの種類の運転状況に関する情報であるかが即座に分るので使い勝手がよい。
【0016】
本発明においては、前記制御装置は、車両状態の違いに応じて異なる色の前記発光部を発光させるように構成されていると好適である。
【0017】
本構成によれば、作業者は、発光部が発光する色の違いによって車両状態の違いが即座に分るので、状況を確認し易い。
【0018】
本発明においては、前記発光部が、文字情報を表示可能に構成されていると好適である。
【0019】
本構成によれば、発光部によって文字情報が表示されることによって、作業者は車体内部での運転状況等について、より具体的な内容を離れた位置から確認することができる。
例えば、点検修理が必要であるか否かの判断材料となる情報を表示させることも可能であり、迅速な対応を取ることができる等の利点がある。
【0020】
本発明においては、前記車両本体の上部に荷物を積載可能な平坦状の積載部が備えられていると好適である。
【0021】
本構成によれば、平坦状の積載部であるから、突起物により邪魔されることなく、どの方向からでも荷物を積載することが可能であり、又、車両本体の上部を利用してできるだけ広い積載面積を確保することができ、作業車としての利便性が向上する。そして、灯火装置は積載された荷物によって隠れることがなく、作業車から離れた箇所から作業者が灯火装置を目視し易い。
【0022】
本発明においては、前記車体側灯火装置の前記発光部は、前記車両横側部から車両前側部及び/又は車両後側部に亘って設けられていると好適である。
【0023】
本構成によれば、発光部が車両横側部だけでなく車両前側部や車両後側部にまで延びているので、車両の前方側外方や車両の後方側外方から目視する場合であっても発光部の状態を確認し易い。
【0024】
本発明においては、前記制御装置は、車両状態の違いに応じて前記発光部の発光状態を変化させると好適である。
【0025】
本構成によれば、例えば、発光部が発光するときに点滅させるようにして点滅周期を異ならせる等、発光部が発光する際の発光状態が変化するので、作業者は、その発光状態の違いによって車両状態の違いが即座に分るので、状況を確認し易い。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】作業車の側面図である。
図2】作業車の平面図である。
図3】支持機構の平面図である。
図4】支持機構の側面図である。
図5】制御ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、以下の説明においては、図中に示される矢印FWの方向を「前」、矢印BKの方向を「後」、矢印RHの方向を「右」、矢印LHの方向を「左」、矢印UPの方向を「上」、矢印DWの方向を「下」とする。
【0028】
図1及び図2に示すように、作業車には、車両全体を支持する平面視で略矩形状の車両本体1と、車両本体1を支持する複数の走行装置としての走行車輪2と、複数の走行車輪2の夫々に対応して設けられた複数の補助車輪3と、複数の走行車輪2を車両本体1に対して位置変更可能に支持する支持機構Aと、複数の走行車輪2を各別に駆動する走行駆動装置としての複数の油圧モータ4と、が備えられている。
【0029】
走行車輪2は、車両本体1の左右両側における前後夫々に位置する。本実施形態では、作業車は、左前、右前、左後、及び右後の4つの走行車輪2を備える。又、左前、右前、左後、及び右後の4つの支持機構Aを備える。支持機構Aは、屈折リンク機構5と、屈折リンク機構5の姿勢を個別に変更可能な複数の油圧シリンダ6,7と、を備えている。
【0030】
車両本体1の上部に荷物を積載可能な平坦状の積載部8が備えられている。この積載部8の上に、例えば、収穫物を収納するコンテナ等の荷物を積載して支持することができる。
【0031】
車両本体1は、積載部8の下側において、油圧シリンダ6,7及び油圧モータ4に向けて作動油を送り出す油圧供給源9、油圧供給源9からの作動油の供給状態を調整する弁機構10、弁機構10の作動を制御するECU11(Electronic Control Unit)、電源供給用のバッテリ12等が備えられている。油圧供給源9は、エンジンによって駆動される油圧ポンプを備えている。ECU11は、マイクロコンピュータを備えており、制御プログラムに従って種々の制御を実行可能である。弁機構10は、作動油の給排あるいは流量の調節等を行う複数の油圧制御弁13を備えている。油圧制御弁13及びECU11により、制御装置Cが構成されている。バッテリ12は、エンジンの動力によって駆動される発電機により充電される。
【0032】
〔支持機構〕
上述したように、支持機構Aは、屈折リンク機構5と複数の油圧シリンダ6,7と、を備えている。図3図4に示すように、屈折リンク機構5には、車両本体1に支持される基端部14と、上側端部が基端部14の下部に横軸芯X1周りで回動可能に支持された第一リンク15と、一端部が第一リンク15の下側端部に横軸芯X2周りで回動可能に支持され且つ他端部に走行車輪2が支持された第二リンク16と、が備えられている。
【0033】
図2に示すように、走行車輪2を支持する支持ブラケット17が第二リンク16の揺動側端部に設けられたボス部18に縦軸芯Y周りで揺動可能に支持されている。第二リンク16の一端部側のブラケット19と、支持ブラケット17に設けられたアーム部17aとに亘って旋回操作用の油圧シリンダ20(以下、旋回シリンダという)が備えられている。
【0034】
4つの屈折リンク機構5の夫々に対応して、屈折リンク機構5の姿勢を各別に変更可能な複数の油圧シリンダ6,7が備えられている。すなわち、車両本体1に対する第一リンク15の揺動姿勢を変更可能な第一油圧シリンダ6と、第一リンク15に対する第二リンク16の揺動姿勢を変更可能な第二油圧シリンダ7と、が備えられている。
【0035】
第二油圧シリンダ7の作動を停止した状態で第一油圧シリンダ6を伸縮操作すると、第一リンク15、第二リンク16及び走行車輪2の夫々が、相対的な姿勢を一定に維持したまま一体的に、基端部14に対する枢支連結箇所の横軸芯X1周りで揺動する。第一油圧シリンダ6の作動を停止した状態で第二油圧シリンダ7を伸縮操作すると、第一リンク15の姿勢が一定に維持されたまま、第二リンク16及び走行車輪2が、一体的に、第一リンク15と第二リンク16との連結箇所の横軸芯X2周りで揺動する。
【0036】
4つの屈折リンク機構5夫々の中間屈折部に回転可能に補助車輪3が支持されている。
補助車輪3は走行車輪2と略同じ外径の車輪にて構成されている。第一リンク15と第二リンク16とを枢支連結する支軸が車体横幅方向外方側に突出するように延長形成され、支軸の延長突出箇所に補助車輪3が回動可能に支持されている。
【0037】
旋回シリンダ20の操作により、屈折リンク機構5に対して走行車輪2を縦軸芯Y周りで回動することにより旋回操作させることができる。
【0038】
油圧モータ4に対応する油圧制御弁13により作動油の流量調整が行われることで、油圧モータ4の回転速度すなわち走行車輪2の回転速度を変更することができる。
【0039】
〔センサ〕
この作業車は種々のセンサを備える。
図5に示すように、4つの第二油圧シリンダ7の夫々について、ヘッド側圧力センサS1及びキャップ側圧力センサS2を備える。ヘッド側圧力センサS1は、第二油圧シリンダ7のヘッド側室の油圧を検出する。キャップ側圧力センサS2は、第二油圧シリンダ7のキャップ側室の油圧を検出する。
【0040】
4つの第一油圧シリンダ6及び4つの第二油圧シリンダ7の夫々について、伸縮操作量を検出可能な複数のストロークセンサS3を備える。各油圧シリンダ6,7の伸縮操作量は、操作対象である第一リンク15及び第二リンク16の揺動位置に対応する検出値である。
【0041】
車両本体1には車体の傾斜状態を検出する傾斜センサS4が備えられている。傾斜センサS4は、周知の構成である慣性計測装置(Inertial Measurement Unit)(IMU)を用いて構成されている。IMUは、三軸加速度センサとジャイロセンサとを有し、車両本体1の姿勢変化状態、具体的には、前後方向並びに左右方向の傾きを検知することができる。
【0042】
走行車輪2の近傍には、油圧モータ4により駆動される走行車輪2の回転速度を検出する回転センサS5が備えられている。回転センサS5にて検出された走行車輪2の回転速度に基づいて、走行車輪2の回転速度が目標の値となるように、油圧モータ4への作動油の供給が制御される。油圧モータ4に供給される作動油の圧力を検出する圧力センサS6が備えられている。圧力センサS6にて検出された作動油の圧力に基づいて、走行車輪2の駆動トルクが目標の値となるように、油圧モータ4への作動油の供給(圧力)が制御される。4つの旋回シリンダ20の夫々について、伸縮操作量を検出可能なストロークセンサS7を備える。
【0043】
〔ECU〕
ECU11は、姿勢制御部100及び走行制御部101を備えている。走行制御部101は、4つの走行車輪2が接地する状態で走行するときは、4個の走行車輪2の夫々について、回転センサS5にて検出された走行車輪2の回転速度が目標速度となり、かつ、圧力センサS6にて検出される駆動トルクが目標の値となるように、油圧モータ4の作動を制御する。
【0044】
姿勢制御部100は、車体が移動走行するときは、傾斜センサS4の検出情報に基づいて車両本体1が水平姿勢になるように支持機構Aの動作を制御する水平制御を実行する。
【0045】
水平制御において、姿勢制御部100は、傾斜センサS4の検出情報に基づいて、車両本体1の水平姿勢からの前後方向での傾斜角及び左右方向での傾斜角が水平姿勢に対応する値になるように、4個の第一油圧シリンダ6及び4個の第二油圧シリンダ7の作動を制御する。
【0046】
〔灯火装置〕
この作業車には、車両横側部に位置するとともに長尺状に延びる発光部22を有する灯火装置23が備えられている。灯火装置23として、車両本体1の横側部に備えられている車体側灯火装置24と、屈折リンク機構5の横側部に備えられている脚部側灯火装置25と、が備えられている。
【0047】
図1に示すように、車体側灯火装置24は、車体前後方向に延伸する発光部22が上下方向に並ぶ状態で複数備えられ、且つ、複数の発光部22が互いに異なる色で発光するように構成されている。従って、前後方向が延伸方向に対応しており、上下方向が延伸方向と垂直な方向に対応している。説明を加えると、発光部22は、水平方向に沿って長く帯状に延びるLEDラインテープにて構成されている。LEDラインテープは、周知の構成であり、多数のLED光源チップを並べた状態で直接テープのフレキシブル基板上に実装したものである。LEDラインテープは帯状の光を発する構成となっている。
【0048】
図1に示す例では、上下に並ぶ状態で4個の発光部22が備えられている。最上段には白色で発光する第一発光部22Aが備えられ、上から2段目には赤色で発光する第二発光部22Bが備えられている。上から3段目には緑色で発光する第三発光部22Cが備えられ、最下段には青色で発光する第四発光部22Dが備えられている。
【0049】
脚部側灯火装置25は、1つの第五発光部22Eを備えており、第五発光部22Eは、黄色のLEDラインテープにて構成されている。
【0050】
制御装置Cは、灯火装置23の作動を制御するように構成されている。
制御装置Cは、例えば、運転可能な状態であるか否か、異常が発生しているか否か、発生している異常の種別、制御状態などの車両状態の違いに応じて、車体側灯火装置24における異なる色の発光部22A~22D、及び、脚部側灯火装置25における発光部22Eを発光させるように構成されている。
【0051】
油圧供給源9からの作動油の供給を行える運転可能状態であれば、すなわち、エンジンを始動して油圧ポンプからの作動油の供給可能な状態であれば、制御装置Cは、車体側灯火装置24における第一発光部22Aを点灯させる。
【0052】
移動走行が開始されたのちに、異常状態が検知されると、制御装置Cは、車体側灯火装置24における第二発光部22Bを点灯あるいは点滅させて、異常状態であることを報知する。異常状態としては、例えば、何等かの要因によって、油圧シリンダ6,7あるいは油圧モータ4に過大な負荷が掛かり、圧力センサS1、S2、S6により過剰な値が検出される等の異常状態が検知されたような場合等がある。
【0053】
移動走行中において、車体が移動走行しているときに、路面の状況の違いに応じて、姿勢制御部100による制御モードや走行制御部101による制御モードが変化したような場合には、制御装置Cは、車体側灯火装置24における第三発光部22Cの点灯状態を変更させて、そのことを報知する。
【0054】
エンジンが停止しており、不測に車体が移動するおそれがない場合には、制御装置Cは、車体側灯火装置24における第四発光部22Dを点灯させて、そのことを報知する。
【0055】
又、制御装置Cは、移動走行中において、屈折リンク機構5の作動状態や走行車輪2の走行速度の違い等に応じて、脚部側灯火装置25すなわち第五発光部22Eの点灯状態を変化させて、そのことを報知する。例えば、屈折リンク機構5が伸縮作動しているときに点灯させるようにしたり、走行速度の違いにより点滅させるときの周期を変化させたり、明るさを変化させる。
【0056】
灯火装置23を作動させるときの制御装置Cの動作内容は、上記したような制御動作に限られるものではなく、これらに代えて種々の動作内容に対応するように適宜変化させて使用することができる。
【0057】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、灯火装置23がLEDラインテープにて構成されるものを示したが、この構成に代えて、LED光源チップをマトリックス状に並べて搭載して文字情報を表示可能に構成したものを用いてもよい。この構成では、作業者が対応すべき情報、例えば、積載荷重が大き過ぎることを表示したり、エンジンの燃料が少ないこと等、作業車の作動に関わる種々の情報を表示することが可能である。又、メンテナンス作業員が判断可能なエラーコードを表示してもよい。
【0058】
(2)上記実施形態では、発光部22にLEDラインテープを用いたが、LEDに代えて、ELパネル、蛍光表示管等、各種の型式の発光式表示装置を用いることができる。
【0059】
(3)上記実施形態では、灯火装置23として車体側灯火装置24と脚部側灯火装置25とが備えられる構成としたが、脚部側灯火装置25だけを備えるものでもよい。
【0060】
(4)上記実施形態では、発光部22が上下方向に並ぶ状態で複数備えられ、且つ、複数の発光部22が互いに異なる色で発光するように構成したものを示したが、この構成に代えて、1つの発光部を備えて発する色を種々変更させる構成としてもよい。また、上記実施形態では、発光部22が前後方向に延伸するとともに、上下方向に並ぶ状態で複数備えられる構成としたが、上下方向に延伸するとともに、前後方向に並ぶ状態で複数備えられる構成としてもよい。
【0061】
(5)上記実施形態では、発光部が、発光する色を変更させる構成としたが、この構成に代えて、例えば、点滅させるときの点滅周期を変更させる等の発光部の発光状態を変化させる構成としてもよい。
【0062】
(6)上記実施形態では、発光部22が、車両本体1の横側部に備えられる構成としたが、発光部が車両横側部から車両前側部に亘って設けられる構成としてもよく、発光部が車両横側部から車両後側部に亘って設けられる構成としてもよい。又、発光部が車両横側部から車両前側部及び車両後側部の夫々に亘って設けられる構成としてもよい。
【0063】
(7)上記実施形態では、灯火装置23が制御装置Cから供給される電力によって駆動される構成としたが、このような構成に代えて、例えば、圧力センサや回転センサ等におけるアナログ出力電力をそのまま利用して点灯させるようにしてもよい。
【0064】
(8)上記実施形態では、走行駆動装置4が油圧モータにて構成されるものを示したが、油圧モータに代えて、電動モータを用いてもよく、エンジンの動力が走行装置毎に各別に設けられた伝動機構を介して動力伝達される構成としてもよい。
【0065】
(9)上記従来構成では、支持機構Aが屈折リンク機構5と油圧シリンダ6,7とを備える構成としたが、この構成に代えて、屈折リンク機構5の揺動支点部に油圧モータを備えて、その油圧モータによって屈折リンク機構の姿勢を変更する構成でもよい。
【0066】
(10)上記実施形態では、支持機構Aに屈折リンク機構5が備えられる構成としたが、この構成に代えて、例えば、任意の方向に折れ曲がり自在なロボットアーム等を用いて、走行車輪2を支持する構成でもよく、要するに、走行車輪2を各別に車両本体1に対して高さ位置変更自在に支持するとともに、車両本体1を姿勢保持可能に支持する構成であればよく、具体構造は種々変更して実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、不整地を走行するのに適した作業車に適用できる。
【符号の説明】
【0068】
1 車両本体
2 走行車輪(走行装置)
4 走行駆動装置
5 屈折リンク機構
8 積載部
22 発光部
23 灯火装置
A 支持機構
C 制御装置
図1
図2
図3
図4
図5