(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】解放可能なクローラを有するパーチするUAVを使用した検査方法
(51)【国際特許分類】
B64C 25/32 20060101AFI20241220BHJP
B64C 13/20 20060101ALI20241220BHJP
B64C 27/04 20060101ALI20241220BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20241220BHJP
B64D 9/00 20060101ALI20241220BHJP
B64U 10/13 20230101ALI20241220BHJP
B64U 20/80 20230101ALI20241220BHJP
B64U 20/87 20230101ALI20241220BHJP
B64U 60/30 20230101ALI20241220BHJP
B64U 60/50 20230101ALI20241220BHJP
B64U 60/55 20230101ALI20241220BHJP
E04G 23/00 20060101ALI20241220BHJP
B64U 101/26 20230101ALN20241220BHJP
B64U 101/28 20230101ALN20241220BHJP
B64U 101/29 20230101ALN20241220BHJP
【FI】
B64C25/32
B64C13/20 Z
B64C27/04
B64C39/02
B64D9/00
B64U10/13
B64U20/80
B64U20/87
B64U60/30
B64U60/50
B64U60/55
E04G23/00 ESW
B64U101:26
B64U101:28
B64U101:29
(21)【出願番号】P 2021531002
(86)(22)【出願日】2019-11-26
(86)【国際出願番号】 US2019063400
(87)【国際公開番号】W WO2020154035
(87)【国際公開日】2020-07-30
【審査請求日】2022-09-12
(32)【優先日】2018-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】599130449
【氏名又は名称】サウジ アラビアン オイル カンパニー
(73)【特許権者】
【識別番号】319003493
【氏名又は名称】キング・アブドゥッラー・ユニバーシティ・オブ・サイエンス・アンド・テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ファドゥル・アブデルラティフ
(72)【発明者】
【氏名】モハメド・アブデルカデル
(72)【発明者】
【氏名】ジェフ・エス・シャムマ
【審査官】志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0149947(US,A1)
【文献】特開2002-127070(JP,A)
【文献】特表2017-512975(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1592904(KR,B1)
【文献】中国実用新案第206318030(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 25/32
B64C 13/20
B64C 27/04
B64C 39/02
B64D 9/00
B64U 10/00
B64U 20/00
B64U 60/00
B64U 101/00
E04G 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
解放可能なクローラを有する無人航空機(UAV)を使用して湾曲強磁性面を検査または保守する方法であって、
前記UAVを前記強磁性面の近傍まで飛行させることと、
前記強磁性面に前記UAVをパーチさせることであって、
前記強磁性面にアプローチする間に、前記UAVの脚部を、前記脚部の対応する磁石を使用して、前記強磁性面の湾曲部に向かって受動的に関節接合することと、
前記対応する磁石を使用して、前記UAVの前記関節接合された脚部を前記強磁性面に磁着することと、
前記パーチする間中、前記脚部の前記強磁性面への前記磁着を維持することと、を含む、パーチさせることと、
前記クローラが前記強磁性面に沿って前記UAVから離れるように移動することを可能にするように、前記パーチしたUAVから前記クローラを分離することと、
前記クローラの磁気ホイールを使用して、前記クローラを前記強磁性面に磁着させる間に、前記強磁性面上で前記分離されたクローラを操縦することと、
前記強磁性面から前記関節接合された脚部の前記磁着を解くことと、
前記強磁性面から離れて、前記UAVの磁気的に分離された前記脚部を飛行させることと、を含
み、
前記磁着を解くことが、前記UAVの1つ以上の分離アクチュエータを使用して、前記磁着された脚部へ梃子を適用することを含む、方法。
【請求項2】
前記湾曲強磁性面が、パイプを備えており、前記分離されたクローラを操縦することが、前記分離されたクローラを使用して、前記パイプの円周スキャンを実行することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記クローラのプローブまたはツールを使用して、前記操縦中に、前記強磁性面を検査または保守することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記分離されたクローラから、前記UAVまたは基地局と無線で通信することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記操縦後に、前記強磁性面から前記クローラの前記磁着を解くことと、前記分離されたクローラを前記パーチしたUAVに再ドッキングすることと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記対応する磁石が、切り替え可能な永久磁石を備えており、前記磁着を解くことが、前記永久磁石を磁化状態から非磁化状態に切り替えることを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記飛行するUAVのレーザスキャナを使用して、前記近傍の強磁性面をスキャンすることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)の下、2018年11月29日に出願された「PERCHING UAV WITH RELEASABLE CRAWLER」と題する米国特許仮出願第62/772,700号の利益を主張し、かつ、米国特許法第120条の下、2019年11月25日に出願された「INSPECTION METHOD USING A PERCHING UAV WITH RELEASABLE CRAWLER」と題する米国出願第16/694,092号の利益を主張するものであり、参照によりそれぞれの全体を本明細書に引用する。
【0002】
本開示は、概して、構造物の検査および保守に関するものであり、具体的には、構造物を検査および維持するための解放可能かつ再ドッキング可能なクローラを有するパーチする無人航空機(unmanned aerial vehicle、UAV)を使用する検査方法に関する。
【背景技術】
【0003】
パイプ、貯蔵タンクなどの露出した金属資産の検査と保守は、環境によっては人間が実行するのが困難または非現実的となり得る。そのような状況では、自動化されたUAV(ドローン)の使用は、実行可能な代替手段を提供する補助となり得る。しかしながら、このような検査と保守のタスクは、多くの場合、資産から距離をおいてホバリングするのではなく、資産への直接的な接触を使用して、または、資産上でのUAVの操縦を使用して実行するのが最良である。特に、ドローンを使用してパイプ(または他の資産)の完全な円周スキャンを実行することは困難なタスクである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
当技術分野におけるこれらおよび他の問題に関して、本開示は、解放可能かつ再ドッキング可能なクローラを有するパーチするUAVを用いた効果的な検査方法ための技術的解決策を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態に従う、解放可能なクローラを有する無人航空機(UAV)を使用して湾曲強磁性面を検査または保守する方法が提供される。本方法は、UAVを強磁性面の近傍まで飛行させることと、UAVを強磁性面にパーチさせることと、を含む。UAVをパーチさせることは、強磁性面にアプローチする間に、UAVの脚部を、脚部の対応する磁石を使用して、強磁性面の湾曲部に対して受動的に関節接合することと、UAVの関節接合された脚部を対応する磁石を使用して、強磁性面に磁着することと、パーチする間中、脚部の強磁性面に対する磁着を維持することと、を含む。この方法はさらに、パーチしたUAVから強磁性面に、クローラを分離することと、クローラの磁気ホイールを使用して強磁性面にクローラを磁着する間に、分離されたクローラを強磁性面で操縦することと、を含む。
【0006】
一実施形態では、湾曲強磁性面はパイプを備えており、分離されたクローラの操縦することは、分離されたクローラを使用して、パイプの円周スキャンを実行することを含む。
【0007】
一実施形態では、この方法は、クローラのプローブまたはツールを使用して、操縦中に、強磁性面を検査または保守することをさらに含む。
【0008】
一実施形態では、この方法は、分離されたクローラから、UAVまたは基地局と無線で通信することをさらに含む。
【0009】
一実施形態では、この方法は、操縦後に、強磁性面からのクローラの磁着を解くことと、分離されたクローラをパーチしたUAVに再ドッキングすることと、をさらに含む。
【0010】
一実施形態では、この方法は、強磁性面から関節接合された脚部の磁着を解くことと、強磁性面から離れて、UAVの磁気的に分離された脚部を強磁性面から飛行させることと、を含む。
【0011】
一実施形態では、対応する磁石は、切り替え可能な永久磁石を備えており、磁着を解くことは、永久磁石を磁化状態から非磁化状態に切り替えることを含む。
【0012】
一実施形態では、磁着を解くことは、UAVの1つ以上の分離アクチュエータを使用して、磁着する脚部へ梃子を適用することを含む。
【0013】
一実施形態では、この方法は、飛行UAVのレーザスキャナを使用して近傍の強磁性面を走査することをさらに含む。
【0014】
一実施形態による、解放可能なクローラを有する無人航空機(UAV)を使用して湾曲強磁性面を検査または保守する方法が提供される。この方法は、UAVを初期位置から強磁性面の近くのパーチする前の位置へ飛行させることと、強磁性面にUAVを自律的にパーチさせることと、強磁性面へパーチしたUAVの磁着を維持することと、磁着されたUAVからクローラを強磁性面に解放することと、解放されたクローラの強磁性面への磁着を維持する間に、クローラを湾曲強磁性面全体で移動させることと、磁着されたクローラを使用して、強磁性面を検査または保守することと、解放されたクローラを、パーチしたUAVと再ドッキングすることと、を含む。
【0015】
一実施形態では、この方法は、解放されたクローラからUAVと無線で通信することをさらに含む。
【0016】
一実施形態では、この方法は、パーチしたUAVを強磁性面から磁気的に分離することと、強磁性面から離れてパーチする前の位置へ、磁気的に分離されたUAVを飛行させることと、をさらに含む。
【0017】
一実施形態では、磁気的に分離されたUAVを飛行させることは、再ドッキングされたクローラを運ばないことを含み、方法は、解放されたクローラから飛行するUAVへ無線通信することをさらに含む。
【0018】
一実施形態では、強磁性面を検査または保守することは、強磁性面上の関心のある場所をマーキングすることを含む。
【0019】
一実施形態では、強磁性面を検査または保守することは、強磁性面の厚さを測定することを含み、関心のある場所は、測定された厚さが臨界値未満である場所を含む。
【0020】
一実施形態では、この方法は、パーチしたUAVを強磁性面から磁気的に分離することと、強磁性面から離れて、磁気的に分離されたUAVを飛行させることと、磁気的に分離されたUAVから、強磁性面上のマーキングされた関心のある場所を、検出することと、をさらに含む。
【0021】
一実施形態では、この方法は、強磁性面から、再ドッキングされたクローラを有するパーチしたUAVを磁気的に分離することと、強磁性面から離れてパーチする前の位置へ、再ドッキングされたクローラを有するパーチしたUAVを飛行させることと、再ドッキングされたクローラを有する磁気的に分離したUAVを、再ドッキングされたクローラによって検査または保守される第2の強磁性面の近くにある、別のパーチする前の位置へと飛行させることと、をさらに含む。
【0022】
一実施形態では、この方法は、強磁性面から、再ドッキングされたクローラを有するパーチするUAVを磁気的に分離することと、強磁性面から離れて初期位置へ、再ドッキングされたクローラを有する磁気的に分離されたUAVを飛行させることと、を含む。
【0023】
一実施形態では、UAVを自律的にパーチさせることは、UAVの深度カメラまたはレーザスキャナを使用して強磁性面を感知することと、感知された深度カメラまたはレーザスキャナのデータを使用して強磁性面にタッチダウンすることと、を含む。
【0024】
一実施形態では、UAVを自律的にパーチさせることは、感知された強磁性面データを使用して、UAVをタッチダウン前の位置に整合することと、再ドッキングされたクローラを有するパーチするUAVを強磁性面から磁気的に分離することと、強磁性面から離れて初期位置へ、再ドッキングされたクローラを有する磁気的に分離されたUAVを飛行させることと、を含む。
【0025】
本明細書で開示される様々な実施形態および実装形態の任意の組み合わせを使用することができる。これらおよび他の態様および特徴は、添付の図面および特許請求の範囲とともに、特定の実施形態の以下の説明から理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1A】一実施形態による、構造物(例えば、パイプ)にパーチするUAVの例の図であり、UAVは、構造物を検査または保守するための解放可能なクローラを有する。
図1AはクローラがUAVに取り付けられている様子を示す。
【
図1B】一実施形態による、構造物(例えば、パイプ)にパーチするUAVの例の図であり、UAVは、構造物を検査または保守するための解放可能なクローラを有する。
図1BはクローラがUAVに取り付けられていない(例えば、構造物上をクロールする)様子を示す。
【
図2A】一実施形態による、例示的なUAVまたはドローンの分解図および断面図であって、構造物にパーチするためのパーチする脚部を有する下部構造で構成されている図である。
【
図2B】一実施形態による、例示的なUAVまたはドローンの分解図および断面図であって、構造物を検査または保守するために、構造物にパーチしたUAVから解放するためのクローラを有する下部構造で構成されている図である。
【
図3A】一実施形態による、
図2Aおよび
図2Bの下部構造を取り付けるためのモジュール式装着点を有する例示的なUAVの断面図である。
【
図3B】一実施形態による、UAVに対して側方配向に取り付けられた下部構造を有するUAVの断面図である。
【
図3C】一実施形態による、UAVに対して上配向に取り付けられた下部構造を有するUAVの断面図である。
【
図4A】一実施形態による、UAVに対して底配向に取り付けられた下部構造とともに、
図2Aから
図3Cの下部構造を取り付けるための回転可能な装着点を有する例示的なUAVの断面図である。
【
図4B】一実施形態による、UAVに対して上配向に取り付けられた下部構造とともに、
図2Aから
図3Cの下部構造を取り付けるための回転可能な装着点を有する例示的なUAVの断面図である。
【
図4C】一実施形態による、UAVに対して側方配向に取り付けられた下部構造とともに、
図2Aから
図3Cの下部構造を取り付けるための回転可能な装着点を有する例示的なUAVの断面図である。
【
図5A】一実施形態による、解放可能なクローラを有するパーチするUAVを使用した対象となる構造物(例えば、パイプ)の例示的な検査方法の、図解である。
【
図5B】一実施形態による、解放可能なクローラを有するパーチするUAVを使用した対象となる構造物(例えば、パイプ)の例示的な検査方法の、図解に対応するフローチャートである。
【
図6】一実施形態による、構造物の検査または保守の中で遭遇した構造物(例えば、パイプ)の関心のある(例えば、疑わしい)部分に視認性のあるマーキングをする例示的な解放可能なクローラを、クローラによって残された視認性のあるマーカを検出する例示的なUAVとともに説明する図解である。
【
図7A】一実施形態による、構造物の検査または保守の中で遭遇した構造物(例えば、パイプ)の関心のある(例えば、疑わしい)部分に、解放可能なクローラが視認性のあるマーキングをする例示的な技術を、仮想マーカを使用して無線による位置特定を実行するUAVとともに説明する図解である。
【
図7B】一実施形態による、構造物の検査または保守の中で遭遇した構造物(例えば、パイプ)の関心のある(例えば、疑わしい)部分に、解放可能なクローラが視認性のあるマーキングをする例示的な技術を、仮想マーカを使用して無線による位置特定を実行するUAVとともに説明する図解である。
【
図8】一実施形態による、構造物を検査または保守するために解放可能なクローラを有するUAVを展開するための例示的な構造物である。
【
図9】一実施形態による、解放可能なクローラを有するUAVを使用して、湾曲強磁性面を有する構造物(パイプなど)を検査または保守する例示的な方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図面は例示的なものであり、必ずしも縮尺どおりである必要はなく、同じまたは類似の特徴は、全体を通して同じまたは類似の参照番号を有することに留意されたい。
【0028】
様々な例示的な実施形態で、高所にあるか、そうでなければ接近し難いパイプまたは貯蔵タンクなどの構造を検査または保守するための解放可能なクローラを有する、パーチするUAVが提供される。UAVは、炭素鋼パイプ、構造物などの強磁性面上で接触検査作業を実行する高度な性能を有するハイブリッドUAVである。UAVは、検査対象のパイプに向かって飛行して自律的に着陸し(一般にパーチするという)、解放可能なクローラを展開して、パイプの周囲をクロールし、例えば、任意の配向角で込み入った検査作業を実行することができる。クローラは、パイプ上で保守を実行するように構成することもできる。以下の議論から理解されるように、UAVは、例えば、パイプまたは他の構造物の上、側方、または直下に着陸することができ、各々の例において、構造物に着陸したと言われる。
【0029】
前述のように、パイプ、貯蔵タンクなどの露出した金属資産の検査および保守を人々が行うことは、困難または非現実的となり得る。例えば、石油およびガス業界の最大の課題の1つは、製油所、ガスプラント、海上プラットフォーム、および他のプラントおよび施設に見られる高架資産の定期検査である。これらの資産は、検査または保守作業中に接近することが困難である高所のパイプおよび構造物を含む。人々がそれらを検査または保守する唯一の方法が、足場を建てて、検査官またはエンジニアが資産に接近し、例えば、厚さ計測のために超音波検査(UT)センサを使用して手動検査を実行することであるときがある。このような足場は、高価であり、頻繁な検査に大きなコスト障壁をもたらすだけでなく、主に落下およびつまずきの危険という形で安全上の懸念を引き起こす。
【0030】
したがって、例示的な実施形態では、解放可能なクローラを有するパーチするUAVは、母子構成で2台のビークルを有することによって、前述の技術的問題に対する解決策を提供する。各ビークルは、最も適した性能を実行するように設計または最適化されている。ビークルには、パイプ上を飛行し、かつ、パイプに着陸できる、パーチするUAVと、UAVによって運ばれ、着陸または止まった後にUAVから解放される小型の磁気クローラと、が含まれる。クローラは、パイプ上をあちこち移動して、例えば、UTセンサを使用した厚さ測定などの検査スキャンを実行できる。例えば、いくつかの実施形態では、UAVおよびクローラの両方が、検査または保守されているパイプまたは他の資産の曲面に磁着する。そのため、クローラは(重力に対して逆さまでも)アセットの完全な縦方向または円周方向のスキャンを実行できる。
【0031】
これにより、UAV全体をパイプの周りでクロールさせるよりも実現可能なアプローチが提供される。これには、より大きくて重いモータが必要であり、特にクリアランスの制約が限られている場合に、近くのパイプおよび資産との衝突のリスクがある。パーチするUAVは、パイプの近くにホバリングするのとは対称的に、パイプに(パイプの上などに)にパーチすることによってエネルギー(電気エネルギー、電池エネルギーなど)も節約する。パイプの表面にUAVをパーチすると、UAVがパイプの隣でホバリングしているときよりも容易に、解放可能なクローラをUAVから解放することまたは、UAVに再ドッキングすることができるようにもなる。さらに、パーチすることにより、ホバリングと比較してより安定が増し、リスクが軽減される。
【0032】
図1Aおよび
図1Bは、一実施形態による、構造物50(例えば、パイプ)上にパーチする例示的なUAV100の図であり、UAV100は、構造物50を検査または保守するための解放可能なクローラ130を有する。クローラ130は、
図1AではUAV100に取り付けられており、
図1BではUAV100に取り付けられていない(例えば、構造50上をクロールする)ように示されている。説明を容易にするために、構造物50は、UAV100よりも大きい(例えば、著しく大きい)と全体を通して想定されている。例えば、構造物50は、UAV100よりもすべての次元で大きい。または、構造物50が提供する着陸予定区域は、UAV100の着陸予定区域よりも大きい。さらに、説明を容易にするために、構造物50(または本明細書に記載の任意の構造)は、直系8インチ以上のパイプなどのパイプであると想定されている。
【0033】
図1Aおよび
図1Bは、動作中の母子構成を示す。
図1Aは、クローラ130がまだドッキングされた状態の、パイプ50に着陸した後のUAV100を示す。
図1Bは、検査作業を実行するためにUAV100から解放された後のクローラ130を示す。解放可能なクローラ130によって提供されるクロール機能により、UAV100は、より容易な接近可用性などの検査および保守作業のための重要な機能を付与される(例えば、検査または保守が行われる正確なスポットに着陸する必要がない)。クロールにより、円周方向および縦方向のスキャンがさらに提供される。例えば、石油およびガス産業では、パイプ50のフルスキャンを実行して、パイプ50の特定の領域における最小鋼厚を見つけることが重要である。このようなスキャンには、円周スキャンと縦スキャンとが含まれることがよくあり、クロールはこれによく適合する。クロールによって、さらに、複数の検査中に電力効率が提供される(例えば、同じパイプ上の複数の検査サイト間のクロールは、飛行よりも電力効率が高くなる)。
【0034】
図1Aおよび
図2Bでは、UAV100は、4つの関節接合された磁石120(永久磁石または切り替え可能な永久磁石など)を利用する。パイプ50へのUAV100の着陸に対応するために、各磁石120(またはより正確には、その磁場)は、UAV100がパイプ50に着陸したとき、またはパーチしているときに、パイプ50に対して垂直な向きで関節運動する。
【0035】
いくつかの実施形態では、関節磁石120の磁場は、能動的にオンとオフとを切り替えることができる(例えば、作業完了後の容易な取り外しを可能にするため)。リアルタイムフィードバックの形式として、自動着陸移動中のUAV100に対するパイプの相対位置などを計測するために、レーザスキャナ110(例えば、光検出および測距、またはLIDAR)が含まれる。いくつかの実施形態では、ミニチュアクローラ130は、ワイヤによって接続され(例えば、電力および通信のために)、UTセンサ、4つの磁気ホイール140、および対応するペア(例えば、前部および後部)でホイール140を駆動するための2つのモータを含む。ワイヤはまた、検査または保守を実行するための残りの電子機器および電池をUAV本体100内に配置することを可能にする。これにより、クローラ130のサイズ、重量、および複雑さが軽減される。
【0036】
いくつかの他の実施形態では、クローラ130は、異なる数のホイール140(例えば、2つまたは3つのホイール、または4つ以上)およびそれらのタイプ(いくつか例を挙げると、オムニホイール、メカナムホイールなど)を含む。無人地上車両(unmanned ground vehicle、UGV)とは異なり、磁気クローラ130は、パイプの検査または保守の(全体に示されているように)様々な曲率および様々な方向と戦わなければならない。したがって、いくつかの実施形態では、磁気クローラ130は、パイプの曲率(または他の湾曲した構造または血管からの同様の曲率)を航行するための特別な移動システムを有する。
【0037】
いくつかの実施形態では、クローラ130とUAV100との間の通信は有線である。例えば、細いコードの小さなスプールを使用して、クローラ130は、電力および通信のためにUAV100に接続することができる。これにより、例えば、クローラ130内にバッテリーおよび他の電子機器を保持する必要がなくなり、UAV100に既に存在するいくつかの構成要素を利用することによって、クローラをより小さくし、総重量を節約することができる。
【0038】
他のいくつかの実施形態では、クローラ130とUAV100との間の通信は無線である。ここで、クローラ130は、より独立した車両を提供するために、それ自体のバッテリーおよび電子機器を含む。これは、例えば、UAV100がクローラ130を地面から拾い上げ、パイプ50に展開する際に有用な場合がある。その時点で、UAV100は飛行して何らかの他の検査作業を行い、次いで、クローラ130を拾い上げるために戻ることができる。これは、多数のクローラ130(例えば、クローラ130の群)が複数の資産を検査する場合にも有用である。UAV100は、それらを1つずつ、またはバッチで、地面から目的地に向けて拾い上げて、そして、作業完了時に回収する。異なる実施形態では、無線接続は、クローラ130とUAV100または操作者の制御局のいずれかと、もしくは、UAV100および操作者の制御局の両方と、の間であり得る。
【0039】
一実施形態では、UAV100は、UAV100の飛行を可能にするように構築された本体を含む(例えば、ロータ、制御デバイスおよび誘導デバイスなどを有する)。UAV100はまた、本体に接続され、湾曲した強磁性表面50に飛行するUAV100を着陸させてパーチするように構成された3つ以上の脚を含む。各脚部は、本体に接続された上部(または主要な)部分と、永久磁石120を含む下部と、を含む。底部は、着陸時に脚を強磁性面50に磁着し、かつ、パーチする間、脚を強磁性面に磁着されたままであるように構成されている。さらに、受動的な関節ジョイント接続は、脚の上部と下部とを接続し、着陸中に下部が強磁性表面50に近づいていくことに応答して、上部に対して下部を受動的に関節運動(例えば、ピボット)する。UAV100は、磁気ホイール140を有する解放可能なクローラ130をさらに含む。磁気ホイール140によって、パーチする間にクローラ130をUAV100から分離することが可能になり、分離後は、クローラ130を強磁性表面50に磁着しながら、強磁性表面50上でクローラ130を移動することが可能になる。
【0040】
異なる実施形態では、UAV100の異なる着陸機構を使用することができる。これらは、磁性または非磁性などの様々なタイプの接着機構を含み得る。磁気的な着陸機構の例には、パイプ50からの離陸中に機械的手段によって、遮断または克服することができる磁石が含まれる。このような磁石には、切り替え可能な永久磁石、離陸時の取り外しを支援する作動梃を備えた永久磁石、永電磁石、および電磁石が含まれる。しかしながら、連続的な電力消費は電磁石にとって不利になりうることに留意されたい。非磁性の接着機構は、ステンレス鋼、複合パイプ、コンクリート壁などの非強磁性の表面に使用できる。このような機構は、ヤモリに着想を得た乾燥接着剤(合成剛毛など)であるマイクロスパイン、吸盤、グリッパ、およびクロールを含む。
【0041】
異なる実施形態では、異なるクローラ荷重または設計を使用される。単純化するために、これらの荷重または設計を、検査および保守という2つの基本的なカテゴリに分類する。検査荷重および設計には、パイプおよび構造物を検査するために石油およびガス業界でよく使用される様々なタイプのセンサが含まれる。例えば、いくつかの実施形態では、UTセンサが厚さ計測に使用される。説明を簡単にするために、全体を通して厚さ計測用のUTセンサが、検査および保守のための例示的なデバイスとアプリケーションとを表すために時々使用される。しかしながら、他の実施形態は、そのようなデバイスまたはアプリケーションに限定されない。例えば、他の検査センサまたはプローブをUTセンサの代わりに、またはUTセンサに加えて作業に応じて使用することができ、それには渦電流センサおよび交流電流場計測(ACFM)センサなどを含む(しかし、この限りではない)。
【0042】
さらに他の実施形態では、クローラ130は、1つ以上のツールで構成され、保守目的で使用される。例えば、クローラ130を、洗浄、表面処理、およびコーティング補修などの軽い保守作業を実行するために使用することができる。さらに他の実施形態では、クローラ130は、1つ以上のカメラで構成され、目視検査に使用される。例えば、いくつかの実施形態では、カメラは、単純な目視検査の作業に使用される。関心のある領域の動画または写真のみを取得する必要があるが、その領域をUAV100によって直接的に検査することが困難であるような区域などの作業である。
【0043】
いくつかの実施形態では、クローラ130は、マーカ(ペイントまたはQRコード(登録商標)など)を関心のある領域(センサの読み取り値が正常レベル外である場所、障害が検出される場所など)に残すように構成されている。例えば、これらの位置は、重要な厚さレベルを検出する場所である可能性がある。いくつかのかかる実施形態では、クローラ130が再ドッキングし、UAV100が飛び去った後に、UAV100がこれらのマーカをスキャンし、これらのマーカの正確な位置を示す環境の3D再構成を作成する。いくつかのかかる実施形態では、UAV100は、オンボードRGB-Dカメラを使用してマーカを検出し、UAV100に対するそれらの位置を計算する。UAVのGPSの位置を使用して、マーカの絶対位置を、計算または別様に判定することができる。UAV100がマーカをスキャンしている間、クローラ130は、例えば、パイプ50上に留まるか、またはUAV100と再ドッキングすることができることに留意されたい。
【0044】
いくつかの実施形態では、クローラ130は、無線の位置特定を使用して、資産上の問題がある場所を、仮想マーカなどで識別する。言い換えれば、瑕疵の位置は、精度は低くなるが、物理的なマーカがなくても特定することできる。これは、UAV100に対するクローラの位置を、無線センサを使用して計算(または別様に判定)することができるためである。例えば、いくつかのかかる実施形態では、UAV100は、超広帯域(ultra-wide band、UWB)センサアレイを運び、当該センサアレイはクローラ130に据え付きの別のUWB送信機の無線信号を受信する。そうすると、UAV100が飛行中であるか、パイプ50に取り付けられているかに関係なく、クローラの相対位置を計測可能である。いくつかの実施形態では、操作者がクロール中に障害を発見するときはいつでも、UAV100に関するクローラの位置にタグが付けられ、キャプチャされる。UAVのGPSセンサを使用すると、これらの瑕疵の絶対位置を特定できる。いくつかの実施形態では、GPSが利用できない場合、UAVの位置は、GPSを利用できるホームベースからの飛行軌道およびIMUデータに基づいて推定される。
【0045】
いくつかの実施形態では、前もって計算された(または決定された)検査位置が、UAV100から操作用コンピュータまたは地上局に転送される。次いで、検査位置が、例えば、検査対象のプラントのあらかじめ作成された3Dモデル上、またはUAVのオンボードセンサ(例えば、深度カメラまたは3DのLIDAR)上から構築されることができる3Dモデルで視覚化される。さらに、いくつかのかかる実施形態では、視覚化された位置に、対応する計測厚(または他の検知された値または情報)の注釈が付けられる。
【0046】
図2Aおよび
図2Bは、一実施形態による、例示的なUAV200またはドローンの分解図および断面図であって、それぞれ(1)構造物150(炭素鋼パイプまたは他の湾曲強磁性面150など)にパーチするためのパーチする脚部280を有する下部構造220で構成されている図、(2)構造物150の検査および保守のために、構造物150にパーチしたUAV200から解放されるクローラ260を有する下部構造220で構成されている図、である。クローラ260は、(例えば、重力に対する配向に関係なく、逆さまでさえある)湾曲強磁性面150に接着する間に、操縦するための磁気ホイール270を有する。説明を容易にするために、湾曲強磁性面を有する構造例としてパイプが全体を通して使用されている。しかしながら、記載された実施形態は、湾曲強磁性面を有する円筒形または球形の貯蔵タンクなどの他のそのような構造に均等に適用可能である。UAV200またはドローンは、ロータ(4つもしくは6つのロータなど)および、UAV200の荷重のバランスをとり、またはUAV200を所望の方向に移動させるために、個々のロータの回転速度を調整するための制御ユニットを含むことができる。
【0047】
図2Aおよび
図2Bを参照すると、UAV200は、下部構造220の類似の装着点230のセットと嵌合するための装着点210のセットを含む。このようにして、任意の互換性のあるUAV/下部構造の組み合わせ(例えば、互換性のある装着点と有効荷重容量/重量)を、所望の目的に合わせて組み立てることができ、この場合は、構造物150に展開し、構造物150を検査または保守するための解放可能なクローラ260である。この目的のために、下部構造220は、各々が関節接合された磁石290を有する、一組のパーチする脚部280(例えば、4つのかかる脚部280)を含む。関節接合された磁石290は、UAV200が面150にアプローチしてパーチするときに、湾曲強磁性面150の方へ配向可能であるように、かつ湾曲強磁性面150に接着可能にするように、脚部280に装着されている。
【0048】
したがって、
図2Aに示されるように、ジョイントがユニバーサルジョイントを含むときなどに、複数の軸内で、脚部280がちょうどパーチする面150に対して磁石290のハウジング内で、関節接合ジョイントは磁石290の旋回を可能にする。図示されるように、旋回は、脚部280またはジョイントの軸の周りで可能であり、軸に対する角度φおよび任意選択で追加の角度θなどに対する角度を想定することができる。UAV200および下部構造220は、主に、クローラ260を構造物の上(または上近く)へパーチして展開、または構造物の上(または上近く)から回収するように構成されている(例えば、UAV200のロータをパーチングの前、最中、後に適切なレベルに保つ)。
【0049】
さらに、下部構造220は、クローラ260をパーチしたUAV200から面150に下降させるため、またはクローラ260を面150からパーチしたUAV200へ上昇させるための高さ調整機構240(例えば、モータまたは他のアクチュエータ)を含む。これを補助するために、ドッキング機構250は、ドッキングポートなどを用いて、高さ調整機構240をクローラ260に接続する。クローラ260は、面150に展開された後、ドッキングポートにより、パーチしたUAV200から離脱する(例えば、撥ね飛ばされる)ことができるか、または、面150から離れる準備ができたとき、ドッキングポートにより、クローラ260はパーチしたUAV200へ係合する(例えば、中にまたは面上に走り込む)ことができ、それは例えば、ホームベースまたは、検査または保守をされるべき他の構造または構成要素に戻るためである。ドッキング機構250はまた、UAV200とクローラ260との間の情報またはエネルギーの転送を可能にし得る。例えば、計装データをクローラ260からUAV200にダウンロードするか、またはクローラ260の電池をUAV200から再充電する。
【0050】
さらに詳細には、いくつかの実施形態では、(例えば、面150での解放を成功させるために)高さ調整機構240を使用して、パイプ直径に基づいてクローラ260の高さを調整する。例えば、大型のパイプ(または平面)では、ドッキングされたクローラ260の面150までの高さは、小さな直径のパイプのときよりも高くなる。したがって、大型のパイプ(または平面)の場合、クローラ260は、面150に到達するためにより低い高さに展開されるが、小径のパイプでは、クローラ260は、より高い点で展開および解放される。さらに、いくつかの実施形態では、高さ調整機構240は、作業完了後にクローラ260を再ドッキングするために使用される。これにより、ドッキング機構250をクローラ260に対して正しい高さにすることができる。この場合も、パイプの直径が異なれば、対応する高さも異なる。いくつかの実施形態では、高さ調整機構240を使用して、クローラ260を引っ張り、強磁性面150へのその磁着を解く。
【0051】
いくつかの実施形態では、高さ調整機構240は、モータなどで作動される。いくつかの実施形態では、高さ調整機構240は、クローラ260を分離するために使用されない場合は受動的である。例えば、かかる一実施形態では、高さ調整機構240はバネ式であるため、UAV200がパーチしてクローラ260を展開するとき、常に最大可能伸長の状態でパイプ150を押すことができる。
【0052】
下部構造220を有するUAV200では、垂直またはほぼ垂直な角度でパイプ150の上近く(例えば、12時または12時近くの位置)にアプローチして着陸することが望ましく、通常、脚部280の接着および適切なパーチを提供する。パーチする脚部280は、パイプ150へのパーチおよび接着を成功させるために有用な特徴を有する。例えば、パーチ機構の各脚部280は、関節接合された磁石290(永久磁石または切り替え可能な永久磁石など)を特徴とする。脚部280の関節接合は、関節接合された磁石290が、磁石290の磁気引力および強磁性面150に応答して、
図2Aに示される軸に対して関節接合するように設計されている点で、磁石290と強磁性面150の初期接触への応答など、UAV200(より正確には、取付けられた下部構造220)が対象となる強磁性面150のかなり近傍にある場合に、受動的である。下部構造220は、好適な装着点(例えば、装着点230と嵌合するためのもの)と有効荷重容量(例えば、飛行中に下部構造220を運搬および展開するためのもの)を有する任意のUAVへ装着可能であることに留意されたい。
【0053】
いくつかの実施形態では、展開および作業完了後、クローラ260は、UAV200で、またはより具体的には、ドッキング機構250で再ドッキングする。クローラ260を使用するUAV200による強磁性面150からの再ドッキングおよび離陸のプロセスはまた、面150からクローラ260を磁気的に分離することを含む。いくつかのかかる実施形態では、UAV200は、高さ調整機構240を使用して、クローラ260の磁気ホイール270および強磁性面150の磁気引力からクローラ260を梃子で分離する。他のいくつかのかかる実施形態では、磁気ホイール270は、切り替え可能な磁石を使用して、再ドッキング後に強磁性面150への接着を無効にする。さらに他のいくつかのかかる実施形態では、ドッキング機構250は、パイプ150上にあり、かつ、UAV200に取り付けられている傾斜路を含む。かかる実施形態では、クローラ260は、(傾斜した車道への駐車するように)再ドッキングしながら傾斜路を登る。このようにして、クローラのホイールモータは、クローラ260の駆動トルクを使用して、磁気ホイール270の磁石を強制的に分離するために使用される。傾斜路は、重量、強度などの要因に応じて、金属材料(例えば、鋼)または非磁性材料で作ることができる。かかる各実施形態では、UAV200によって安全に保持される有効荷重としてのクローラ260とともに、UAV200が次の場所に飛ぶことを可能にするために、UAV200の磁気引力は達成される。
【0054】
図3Aは、一実施形態による、
図2Aおよび
図2Bの下部構造220を取り付けるためのモジュール式装着点310を有する例示的なUAV300の断面図であり、一方、
図3Bおよび
図3Cは、一実施形態による、UAV300に対して側方配向および上配向にそれぞれに取り付けられた下部構造220を有するUAV300の断面図である。このモジュール式アプローチにより、パイプ150の上、側方、または底にそれぞれパーチできるようにするために、例えば、UAV300の底、前、または上に下部構造220(有効荷重)を取り付けることが可能になる。
【0055】
製油所でパイプを検査する際の最大の課題の1つは、ラック、構造物、他のパイプなどの障害物のために、パイプの多くに上からアクセス可能ではないことである。これらの場合、構造物の側方または底など、他の位置からそのような面にアクセスまたはパーチすることが望ましい。UAV300は、装着点310の適切なセットに取り付けられた下部構造220とともに、
図3A、
図3B、および
図3Cにそれぞれ示されるように、適応可能なパーチする脚部280を使用して、パイプ150の上、側方、または底にパーチすることができる。
【0056】
さらに詳細には、各脚部280は、脚部280を2つの別個の部分、下部構造220にしっかりと取り付けられた主要本体および可動の(または関節で接続する)磁石290に分割する関節接合された磁石290を使って設計されている。これは、脚部280に少なくとも回転自由度を提供し、これにより、磁石290は、着陸中にパイプ150に向かってそれらの配向(例えば、垂直)を受動的に再調整して、完全またはほぼ完全な接着を可能にする。
【0057】
2D側面図の説明を容易にするために、UAV300のロータのような特徴が、UAV300の他の部分(パーチする脚部280など)に接触するように示される場合があることに留意されたい。しかしながら、これは、深さ寸法(かかる特徴が重ならない)が示されていないためである。UAV300のロータは、下部構造220のいかなる構成された配向においても、下部構造220を妨害しない(例えば、下部構造220は、上から見たときにロータの間にある)。
【0058】
下部構造220の場所を変更すると、UAV300の重心が変更されることも指摘されるべきである。そのため、UAV300はこの変更に対して補正する必要がある。いくつかの実施形態では、UAV300のオンボードフライトコントローラは、重量分布に関係なく、UAV300が安定したホバリングを保つように(例えば、論理回路、コードなどによって)構成される。例えば、UAV300の前方が重くなると、コントローラは、わずかな傾きを感知することと、UAV300を水平に保ち、安定させるために、重たい側の(ロータの)推力または回転速度を上げてその傾きを補正することと、を行うように構成される。(
図4Aから4Cに示されるような)いくつかの実施形態では、重心の変化の影響を低減するために、電池などの重い構成要素が、下部構造220とは反対の回転レール上に配置される。これにより、下部構造220がUAV200の真下にない状況にある中でも、フライトコントローラがUAV200を安定に保つことが容易になる。
【0059】
図4A、
図4B、および
図4Cは、一実施形態による、UAV400に対して底配向、上配向、および側方配向にそれぞれに取り付けられた下部構造220とともに、
図2Aから
図3Cの下部構造220を取り付けるための回転可能な装着点410を有する例示的なUAV400の断面図である。いくつかの実施形態では、UAV400は、飛行中(例えば、動的回転)を含めて、装着点410を適切な配向に回転させるためのモータまたはアクチュエータを含む。いくつかの他の実施形態では、装着点410は、ミッションに先だって、手動で所望の配向に回転させることができる(例えば、静的回転)。
【0060】
例示的な電動化された実施形態では、電動システム(例えば、電動装着点410と、UAV400の周りを回るように、装着点410を回転するためのモータ)により、操作者は、ボタンを押すだけで下部構造220(有効荷重)の配向を変更することができる。別の実施形態では、UAV400は、パイプ150の周りで観察されたかまたは既知の障害などの要因に応じて、下部構造220の配向を(例えば、飛行中に)自動的に変更する。これらを念頭に置いて、
図4A、
図4B、および
図4Cは、電動システムが、パーチする脚部280の配向をどのように変更して、パイプ150のそれぞれ上、底、または側方に着地するかを示している。
【0061】
例えば、一実施形態では、UAVは、パイプ150の上、側方、または底、またはそれらの中間など、パーチするパイプ150上の最も安全な場所を計画するように(コンピュータコードなどによって)構成されたコントローラを有する。
図4Aから
図4Cに示される例示的な電動化された実施形態では、回転は、UAVの本体400の周りの円形レールを介して達成される。したがって、回転中に適切な重心を維持するために、電池などの重い構成要素をレール上に(例えば、装着点410と反対の位置に)配置して、カウンタウェイトとして機能させることができる。
【0062】
例示的なユーザが調整可能な(例えば、手動の)実施形態では、下部構造220の回転は、電動化される代わりに、ユーザによって手動で調整される。例えば、これは、重量、複雑さ、電力などを省くために行うことができる。この手動調整を達成するための例示的な技術は、手回しねじを緩めて、円形レールの周りの下部構造220の手動回転のロックを解除することによるものであり、その後、下部構造220が所望の位置になれば、再ロックすることができる。
【0063】
図5Aおよび
図5Bは、一実施形態による、解放可能なクローラ535を有するパーチするUAV505を使用した対象とする構造物555(例えば、パイプ)の例示的な検査方法500の、それぞれ図解と対応するフローチャートである。
図5Aは、
図5Bのフローチャートのステップ510からステップ590にそれぞれ対応するステップ1からステップ9を示して、方法500を示す。説明を容易にするために、方法500は、
図5Bのステップ510からステップ590を参照して説明されるが、任意の点で
図5Aに対して対応する参照をして視覚化することもできる。
【0064】
図5Aおよび
図5Bは、全体を通して例示的な実施形態に記載されるように、解放可能なクローラ535システムを有するパーチするUAV505を使用して、パイプ、タンク、およびほかの構造を含む石油およびガス産業における資産などの資産を検査するための検査方法500を説明する。このシステムは、例えば、接触検査作業を実行するために、鋼管(例えば、パイプ555)などの高架構造物に展開される解放可能なクローラ535を運ぶために使用されるUAV505を含む。重要な産業環境でこのような高度なシステムを使用するには、システムの高レベルの安全保証と信頼性とが必要である。このように、方法500は、体系的かつ安全に検査作業を実行する。さらに、方法500は、プロセス500を可能な限り自動化するために、例えば、システムソフトウェア内でプログラム化または符号化することができる。
【0065】
方法500は、対象物であるパイプ555の正常かつ安全な検査を可能にするための多段階ミッションを示す。
図5Aは、例示的な順序で方法のステップを示している。UAV505を自律的または手動で検査対象物555の近く(パーチ前のウェイポイントと呼ばれる)に飛行させることを含むいくつかの重要なステップ。対象物555が十分に近くなり、深度カメラまたはレーザスキャナ(LIDAR)などのUAV505のセンサによって検出可能になると、操作者は、自動検出された対象物555を確認するか、または画面上の異なる対象物を選択することによって、対象物555への自律的な着陸を開始する。UAV505は、自身が安全に対象物555へアプローチして対象物555へ自律的に取り付くことができるように、パーチする操縦(例えば、標的555に着陸する)を自律的に実行するようにプログラム(または他の方法で構成)される。
【0066】
着陸後、クローラ535がUAV505から解放される。一実施形態では、クローラ535は、検査作業を実行するために、操作者によって、対象物の表面555上を手動で駆動される。別の実施形態では、クローラ535は、パイプ555上を操縦し、検査(または保守)作業を自律的に実行するようにプログラムされるか、そうでなければ構成される。完了すると、クローラ535は、UAV505に(例えば、操作者によって、または事前にプログラムされたコードまたは論理回路を使用して自律的に)再ドッキングされ、その後、別の検査領域に飛ばされるか、またはホームである離陸および着陸場所515に戻る。
【0067】
さらに詳細に、そして
図5Bをさらに参照すると、方法500は、指定された離陸(および着陸)場所515にUAVシステム505(またはドローン)を配置するステップ510などの飛行前段階から始まる。一実施形態では、操作者は、ロータ(またはプロペラ)を取り外した状態で、UAV505を指定された離陸場所515に配置する。この時点で、方法500は、UAV505の電源を入れて、飛行前の点検および初期化を実行するステップ520を含む。一実施形態では、操作者は、点検および初期化を実行する。いずれかの点検が不合格だった場合、ミッションは続行されるべきではない。
【0068】
例示的な実施形態では、点検には、UAV505の電池劣化度を点検することと、推進システムが期待通りに機能することを点検することと、操作者の制御局とUAV/クローラ505/535との間の通信を点検することと、パーチ機構の機能性を点検することと、クローラ535とそのドッキング機構の機能性を点検することと、検査ツール(例えば、UTセンサ)の点検とキャリブレーションをすることと、UAV505へのロータまたはプロペラの設置をすることと、UAV505の位置モードへの設定(例えば、空中でその位置を安定させるため)と、障害物回避モードを有効化すること(例えば、UAV505が、ウェイポイントを介した自律ミッション中に環境を安全に航行できるようにするため)と、UAV505の飛行誘導モードを選択すること(一部のウェイポイントは自律的に航行され、一部のウェイポイントは手動で航行されるので、例えば、手動、自律、または混合モードを選択)と、が含まれる可能性があるが、これらに限定されない。
【0069】
方法500は、飛行誘導モードのタイプなどの要因に応じて異なるミッション計画作成を実行するステップ530をさらに含む。一実施形態では、自律誘導モードが選択される(UAV505が異なるウェイポイントに自律的に飛行するようにプログラムされている場合)。ここで、操作者はウェイポイントと関連する動作を定義する(たとえば、所定の高度における離陸ウェイポイント、対象物555からの所定の距離におけるパーチする前のウェイポイント、および計画外の事象が発生した場合のフェールセーフウェイポイント)。さらに、一実施形態では、ミッション計画者は、予想されるミッション時間の推定値を提供する。たとえば、これは、操作者によって入力されたミッション計画に与えられた推定電力消費量に基づくことができる(たとえば、対象物555への往復の推定飛行時間、検査操作の推定最大時間など)。
【0070】
別の実施形態では、手動誘導モードが選択される。ここで、操作者は、離陸点515から検査対象物555の近くに向かって飛行するための最良かつ最も安全な経路を視覚的に特定することによって、任務を計画する。さらに、一実施形態では、ミッション計画者は、ホーム515へ戻るための十分な電池寿命を有するミッション時間を計画する。例えば、ミッション計画者は、手動操作中に超えてはならないジオフェンス制限を設定できる。
【0071】
さらに別の実施形態では、混合誘導モードが選択される。これは自律モード(ミッションが制御局で完全に計画されている)に似ているが、操作者が、手動で航行するウェイポイントのいくつかを選択することを可能にする点で異なる(例えば、そのウェイポイントへ向かう途中のUAV505の前方に障害物または困難な環境がある場合)。これは、例えば、自動飛行に対する操作者の信頼度が特定のウェイポイントに対して十分に高くない場合に役立つ。
【0072】
方法500は、飛行ミッションを開始し、UAV505を検査対象物555の近くまで飛行させるステップ540をさらに含む。例示的な自律誘導モードの実施形態では、UAV505に離陸ウェイポイントに行くように命令することと、UAV505にパーチ前のウェイポイント(例えば、検査対象555の近く)に行くように命令することと、が含まれる。例えば、一実施形態では、UAV505は、1つのミッションウェイポイントから次のミッションウェイポイントに自動的に移行するように構成される(例えば、プログラムされる)が、別の実施形態では、UAV505は、ウェイポイントに到着するたびに、次に進む前に操作者の確認を待つように構成される。例示的な手動誘導モードの実施形態では、パーチの準備の中で、UAV505を検査対象555の近くに手動で飛行させることを含む。例示的な混合誘導モードの実施形態では、開始して飛行するステップ540は自律モードに類似しているが、ミッションの手動部分が開始になると、操作者は引き継ぐようにシステムによって警告される。
【0073】
方法500は、パーチ操縦を実行するステップ550をさらに含む。これは、(例えば、操作者の制御局を使って)関心のある対象物を定義することであって、定義された対象物555を使ってパーチの計画をするために、対象物555を検出および位置特定するように構成された(例えば、プログラムされた)対象物検出および位置特定ソフトウェアで定義することを含む。ここで、一実施形態では、操作者は、物体の検出を確認し、パーチ命令を発行する。
【0074】
例示的な実施形態では、UAV505は、2つのステップでパーチを自律的に実行するようにプログラムされている。第1のステップでは、UAV505は、自律的にタッチダウン前の位置で対象物555へアプローチする。その一実施形態では、操作者は、最終タッチダウンの前にその正確な位置を確認し、(2)一実施形態では、オンボードセンサ(例えば、2D LIDAR)を使用して自律的に最終的な整合を実行し、操作者によっても確認される。例示的な確認の実施形態では、位置決めと最終的な整合との両方が確認されない場合、UAV505はフェールセーフのウェイポイント(例えば、パーチを再実行できる地点)にフォールバックするように命令されるか、またはミッションの中止が安全に命令される(UAV505はホームへ戻るように構成される)。第2のステップでは、UAV505は、タッチダウン前が確認されるのを待ち、その時点で、パーチ機構がパーチ完了の確認を提供するように構成されている間に、UAV505は自律的にタッチダウンするようにプログラムされる。パーチ完了の確認が表示されない場合、UAV505はフェールセーフウェイポイントに行く。フェールセーフウェイポイントでは、パーチの再実行が可能であるか、または、ミッションの中止を命令される(そしてUAV505はホームへ戻る)。
【0075】
方法500は、クローラ535を解放するステップ560をさらに含む。一実施形態では、パーチが成功すると、操作者はクローラの解放を命令する。クローラ535が対象物555上に展開され、システムによって確認が表示されると、操作者は検査ステップを開始する。方法500は、対象物555を検査するステップ570をさらに含む。一実施形態では、操作者は、クローラ535を制御して、対象物555に対して検査作業を実行する。一実施形態では、クローラ535は、UAV505に接続されたケーブルを介して操作される。別の実施形態では、クローラ535は、無線接続を介して操作され、クローラの動きは、事前定義された安全な通信領域内に制限される。
【0076】
一実施形態では、UAVシステム505は、全体的な状態をモニタすることと、例えば、利用可能な電力に応じて最大許容検査時間の推定値を提供することと、を行うようにプログラムされているか、そうでなければ構成されている。さらに、UAVシステム505は、(例えば、UAV505由来、またはクローラ535由来、またはクローラ535によって取得されたUAV505由来の)検査データをシステムメモリに連続的に記憶することと、その記憶した検査データを操作者の制御およびモニタリング局にリアルタイムで転送することと、をさらにプログラムされている。
【0077】
方法500は、クローラの再ドッキングとUAVの分離のステップ580とをさらに含む。一実施形態では、検査が完了すると、クローラ535は操作者によってUAV505に後退させられ、そして、自律的な再ドッキングの命令が発行される。例えば、クローラ535は、UAV505との自律的な再ドッキングを実行するようにプログラムされるか、そうでなければ構成され得る。再ドッキングが確認されると、UAV505は分離状態に移行する(例えば、対象物555の磁気引力から引き離す)。一実施形態では、操作者は、UAV505にホバリング状態になるように命令し、そして、ラッチ機構の係合が外される。この時点で、操作者はUAV505に、ターゲット555の近くにある事前定義されたフェールセーフウェイポイントに行くように命令する。ここから、方法500は、UAV505を離陸および着陸位置515に安全に戻すか、または、別の検査作業の対象物に進むように(取り付けられ、再ドッキングされたクローラ535を備えた)UAV505に、命令するかどうかを決定するステップ585をさらに含む。
【0078】
方法500はさらに、UAV505をホーム(例えば、離陸および着陸位置515に)飛行させて戻すステップ590を含む。一実施形態では、(例えば、ステップ585で)別の検査が命令されない限り、UAV505は、事前定義された着陸高度で着陸位置515に行き、その後、地面に対して垂直に降下する。着陸が確認されると、ロータまたはプロペラが取り外され、ミッションが終了する。
【0079】
図6は、一実施形態による、構造物650の検査または保守の中で遭遇した構造物(例えば、パイプ650)の関心のある(例えば、疑わしい)部分640に視認性のあるマーキングをする例示的な解放可能なクローラ620の図であり、クローラ620によって残された視認性のあるマーカ640を検出する例示的なUAV610と併せたものである。
図6では、クローラ620は、UAV610による(例えば、UAV610によって感知されたカメラビュー630を通した)識別のために、多数の検査ポイント640(例えば、センサ測定値が通常の範囲外であった)をマーキングした。
【0080】
さらに詳細には、クローラ620は、不合格箇所(例えば、臨界閾値未満の厚さレベル)が検出されるパイプ650の検査された場所に物理マーカ640(塗料またはQRコード(登録商標)など)を残すようにプログラムすることができる。UAV610は、(ビュー630付きの)オンボードRGB-Dカメラを使用して、マーカ640を検出し、UAV610に対するそれらの場所を計算(または他の方法で決定)するようにプログラムされている。UAVのGPS位置を使用して、UAV610は、これらの検出からマーカ640の絶対的な場所を計算する(またはそうでなければ決定する)ようにさらにプログラムされる。一実施形態では、UAV610がマーカ640をスキャンしている間、クローラ620はパイプ650上に留まる。別の実施形態では、UAV610がマーカ640をスキャンしている間、クローラ620はUAV610にドッキングされている。
【0081】
図7Aおよび
図7Bは、一実施形態による、構造物650の検査または保守の中で遭遇した構造物(例えば、パイプ650)の関心のある(例えば、疑わしい)部分に、解放可能なクローラ620が視認性のあるマーキングをする例示的な技術の図であり、仮想マーカを使用して無線位置特定を実行するUAV610を併せたものである。
図7Aでは、UAV610はパイプ650上にパーチしているが、
図7Bでは、UAV610は、パーチする前のウェイポイントなど、パイプ650のそばでホバリングしている。
【0082】
さらに詳細には、瑕疵の場所は、精度が低下する可能性はあるものの、(例えば、物理マーカを使用せずに)仮想マーカを使用して決定できる。ここで、UAV610は、ワイヤレスセンサを使用してUAV610に対するクローラの場所を計算するようにプログラム(または構成)されている。より具体的に、ある実施形態では、UAV610は、クローラ620に据え付きの超広帯域(ultra-wide band、UWB)送信機から無線信号配信を受信する、UWBセンサアレイを運ぶ。クローラの相対的な場所は、UAV610が飛行中であるか(例えば、
図7B)、パイプ650に取り付けられているか(例えば、
図7A)に関係なく測定される。
【0083】
一実施形態では、クロール(例えば、パイプ650上の操縦および検査)する間に、クローラ620によって瑕疵が検出されるときはいつでも、UAV610は、UAV610に対するクローラの場所がタグ付けされおよびキャプチャされるように、プログラム(または他の方法で構成)される。UAVのGPSセンサとともに、UAV610は、これらの瑕疵の絶対位置を見つける(例えば、計算する、決定する)ようにさらにプログラムされている。一実施形態では、GPSが利用できない状況では、UAV610は、センサまたは飛行軌道およびホームベースからのIMUデータなどの他の計装データ(例えば、GPSが利用可能)に基づいて、UAVの場所を推定するようにプログラム(または構成)されている。
【0084】
図8は、一実施形態による、構造物を検査または保守するために解放可能なクローラを備えたUAVを展開するための例示的な構造物800である。
図8の構造物800において、より具体的には、構造物800の接近困難なパイプ上で、UAVは、(例えば、UTセンサを使用して)厚さの決定を実行するためにクローラを展開している。クローラは、2つの例示的な場所810と820をマークした。場所810は、厚さが非常に低い値(この場合は2ミリメートル(mm))に達したパイプのセクションに対応する。他方、場所820は、厚さが正常値、この場合は5mmであるパイプのセクションに対応する。
【0085】
さらに詳細には、これらの検査点810および820は、構造物800のマッピングおよびアノテーションの一部分である。UAVおよびクローラは、このマッピングおよびアノテーションの一部またはすべてを実行するようにプログラム(または構成)されている。一実施形態では、あらかじめ計算された検査場所が、UAVから操作用コンピュータまたは地上局に転送される。次に、コンピューティングシステムは、検査されたプラント800のあらかじめ構築された3Dモデル上で検査場所(例えば、810および820)を視覚化するようにプログラムされる(または他の方法で構成される)。別の実施形態では、UAVは、UAVのオンボードセンサ、例えば、深度カメラまたは3D LIDARによって取得されたデータを使用して、プラント800の部分の3Dモデルを構築するようにプログラム(または他の方法で構成)される。さらに、一実施形態では、UAVは、構造物800を検査するときにクローラによって得られた対応する測定された厚さで、視覚化された場所にアノテーションするように、さらにプログラムされる。
【0086】
図9は、一実施形態による、湾曲強磁性面を有する構造物(パイプ50、150、555、または650のようなパイプなど)を、解放可能なクローラ(解放可能なクローラ130、260、535、または620など)を有するUAV(UAV100、200、300、400、505、610など)を使用して、検査または保守する例示的な方法900のフローチャートである。
【0087】
方法900の一部またはすべては、
図1Aから
図8に示される構成要素および技術を使用して実行することができる。本明細書に開示されるこの方法および他の方法の一部は、割り当てられたタスクを実行するようにコードまたは論理によって構成された、プログラマブル論理回路(programmable logic circuit、PLC)、コンピュータ、ソフトウェア、または他の回路(例えば、ASIC、FPGA)などのカスタムまたは事前にプログラムされた論理デバイス、回路、またはプロセッサ上で、またはそれらを使用して実行することができる。デバイス、回路、またはプロセッサは、例えば、専用または共有のハードウェアデバイス(ノートパソコン、ワークステーション、タブレット、スマートフォン、サーバの一部、もしくはFPGAもしくはASICなどの専用ハードウェア回路など)、コンピュータサーバ、サーバの部分、またはコンピュータシステムであり得る。デバイス、回路、またはプロセッサは、1つまたは複数のプロセッサで実行されると部分を引き起こす命令を格納する、非一時的なコンピュータ可読媒体(computer readable medium、CRM、例えば読み取り専用メモリ(read-only memory、ROM)、フラッシュドライブ、またはディスクドライブなどの)を含むことができ、方法900(または他の開示された方法)の部分が実行されるようにする。ほかの実施形態では、操作の順序を変えることができ、操作のいくつかを省略できることに留意されたい。方法900の一部またはすべては、方法900を実行するように構成されたUAV上に配置された論理回路、回路、またはプロセッサを使用して実行することもできる。
【0088】
例示的な方法900では、処理は、UAVを強磁性面の近くに飛行させるステップ910で始まり、UAVを強磁性面にパーチするステップ920がそれに続く。パーチするステップ920は、強磁性面にアプローチする間に、UAVの脚部(パーチする脚部280など)を、脚部の対応する磁石(関節接合された磁石120、または290など)を使用して、強磁性面の湾曲部に向かって受動的に関節接合することを含む。パーチするステップ920はまた、UAVの関節接合された脚部を、対応する磁石を使用して、強磁性面に磁着する。方法900はさらに、パーチする間中、脚部の強磁性面に対する磁着を維持するステップ930、およびパーチするUAVから強磁性面上に、クローラを分離するステップ940を含む。方法900は、クローラの磁気ホイール(磁気ホイール140または270など)を使用して、クローラを強磁性面に磁着させる間に、強磁性面上で分離されたクローラを操縦するステップ950をさらに含む。
【0089】
さらなる実施形態では、方法900は、クローラのプローブまたはツール(UTセンサなど)を使用して、操縦中に強磁性面を検査または保守することを含む。さらに別の実施形態では、方法900は、操縦後に、強磁性面からクローラの磁着を解くことと、分離されたクローラをパーチしたUAVに再ドッキングすることと、を含む。
【0090】
本明細書に記載の方法は、有形の(例えば、非一時的な)記憶媒体上の機械可読形式のソフトウェアまたはファームウェアによって部分的または全体的に実行され得る。例えば、そのソフトウェアまたはファームウェアは、本明細書で説明した任意の方法の一部またはすべてのステップを実行するように適合されたコンピュータプログラムの形態であってもよく、プログラムがコンピュータまたは適切なハードウェアデバイス(例えば、FPGA)上で実行されるとき、コンピュータプログラムは、コンピュータ可読媒体上に実装されている可能性がある。有形の記憶媒体の例として、ディスク、サムドライブ、メモリなどのコンピュータ可読媒体を含むコンピュータ記憶デバイスが挙げられ、伝播される信号は含まれない。伝播される信号は有形の記憶媒体に存在する場合があるが、伝播される信号自体は有形の記憶媒体の例ではない。ソフトウェアは、方法ステップが任意の適切な順序で、または同時に実行され得るように、並列プロセッサまたは直列プロセッサ上での実行に適し得る。
【0091】
図面中の類似の数字が、いくつかの図面を通して類似の要素を表し、図面に関連して説明され、示された構成要素および/またはステップの全てが、全ての実施形態または構成に必要とされるわけではないことをさらに理解されたい。
【0092】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明する目的のためであり、本開示を限定することを意図していない。本明細書において使用されるとき、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかに別のことを示している場合を除き、複数形も含むものと意図する。「comprises(備える)」および/または「comprising(備える)」という用語は、本明細書で使用する際、述べた特徴、整数、ステップ、作業、要素、および/または構成要素の存在を明示するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、作業、要素、構成要素、および/またはそれらの群の存在または追加を排除しないことがさらに理解されるであろう。
【0093】
向きの用語は、本明細書においては、単に慣例および参照の目的で使用され、限定として解釈されるべきではない。しかしながら、これらの用語が、見る人を基準にして使用される可能性があることが認識される。したがって、限定が含意されることもなく、推測されることもない。さらに、序数(例えば、第1、第2、第3)の使用は区別のためであり、カウントではない。例えば、「第3」は、対応する「第1」または「第2」があることを示唆していない。また、本明細書において使用される表現および専門用語は、説明目的のものであり、限定として見做されるべきではない。本明細書における「including(含む)」、「comprising(備える、含む)」、または「having(有する)」、「containing(含む)」、「involving(伴う)」、およびそれらの変形の使用は、それ以降に挙げられた項目、およびその等価物、ならびに追加項目を包含することを目的としている。
【0094】
上述の主題は、単に例示として提供されており、限定されるものと解釈されるべきではない。例示的な実施形態ならびに説明および記載された用途に従うことなく、かつ、以降の特許請求の範囲に記載されている本開示の真の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な修正および変更が、本明細書に記載された主題に対して行われ得る。