(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】マランゴニ乾燥の方法及び装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20241220BHJP
【FI】
H01L21/304 651G
H01L21/304 642A
(21)【出願番号】P 2021531105
(86)(22)【出願日】2019-12-02
(86)【国際出願番号】 US2019064027
(87)【国際公開番号】W WO2020117685
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2022-11-29
(32)【優先日】2018-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ベラスケス, エドウィン
(72)【発明者】
【氏名】ランガラジャン, ジェーガン
【審査官】正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-539094(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108831849(CN,A)
【文献】特開2007-111612(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0200988(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
ベースと、
前記ベースの上に配置された装着アセンブリであって、
クロスバーの上面から前記クロスバーの底面まで延在する複数の開口部を有する前記クロスバーと、
前記クロスバーの前記複数の開口部のうちの1つの中に配置され、前記ベースと接触しているガイドピンであって、前記ベースと前記装着アセンブリとを位置合わせするように構成されたガイドピンと、
前記クロスバーの前記複数の開口部のうちの1つの中に配置され、前記ベースと接触しているレベラであって、前記ベースに対して前記クロスバーを配置するように構成されたレベラと、
前記クロスバーに結合された2つのアームであって、各アームが、前記クロスバーの両方の末端に前記クロスバーに直交して配置され、1又は複数のスプレーバーを支持するように構成されている、2つのアームと
を含む、装着アセンブリと
を備える、装置。
【請求項2】
前記複数の開口部のうちの少なくとも1つが、前記ガイドピンに嵌合するように適合された滑らかな穴である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ガイドピンは、前記ベースと前記装着アセンブリとを垂直方向に位置合わせするように構成される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記滑らかな穴は、前記装着アセンブリの傾斜を容易にするように円錐形になっている、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記複数の開口部のうちの少なくとも1つは、前記レベラに嵌合するように適合されたねじ穴である、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記ねじ穴内の前記レベラにトルクを加えることにより、前記装着アセンブリが上昇又は下降する、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記複数の開口部のうちの1つの中に配置されたロッキングねじを更に備え、前記複数の開口部のうちの少なくとも1つは、前記ロッキングねじに嵌合するように適合されたねじ穴である、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記ロッキングねじは、前記装着アセンブリを前記ベースに対して所望の位置に固定するように構成される、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記装着アセンブリの傾斜を容易にするために、前記ロッキングねじが球形ワッシャに結合される、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
装置であって、
ベースと、
前記ベースの上に配置された装着アセンブリであって、
クロスバーであって、前記クロスバーの上面から前記クロスバーの底面まで延在する複数の第1の開口部と、2つの末端とを有するクロスバーと、
前記クロスバーの前記複数の第1の開口部の中に配置され、前記ベースと接触している2つ以上のガイドピンであって、少なくとも1つのガイドピンが前記クロスバーの各末端に位置する、2つ以上のガイドピンと、
前記複数の第1の開口部の中に配置され、前記ベースと接触している2つ以上のレベラであって、少なくとも1つのレベラが前記クロスバーの各末端に位置する、2つ以上のレベラと、
前記クロスバーに結合された2つのアームであって、各アームが、前記クロスバーの両方の末端に前記クロスバーと直交して配置され、1又は複数の第2の開口部を含む、2つのアームと
を含む、装着アセンブリと、
前記2つのアームの前記1又は複数の第2の開口部に配置された1又は複数のスプレーバーと
を備える、装置。
【請求項11】
2つの前記スプレーバーが前記1又は複数の第2の開口部に配置され、前記スプレーバーは、基板が輸送され得るチャネルを形成するように配置される、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記1又は複数のスプレーバーが、前記装着アセンブリ内に配置されている間、それらの縦軸を中心として回転可能である、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記2つ以上のレベラのそれぞれは、前記装着アセンブリを傾斜させるために個別に様々な量のトルクが加えられ得る、請求項10に記載の装置。
【請求項14】
前記1又は複数のスプレーバーが、x、y、及びz軸を中心として調整可能である、請求項10に記載の装置。
【請求項15】
請求項10に記載の装置を用いて基板を乾燥させる方法であって、
前記装置を乾燥システム内に配置することであって、前記装着アセンブリに結合され
た前記1又は複数のスプレーバーが、基板の方へ蒸気を向けるように適合され
る、前記装置を乾燥システム内に配置することと、
前記
1又は複数のスプレーバーを所望の位置及びx、y、及びz軸を中心とした回転に調整することと、
前記基板を、リンスプールから
持ち上げて前記
1又は複数のスプレーバー
のそばを通
すことと、
前記
1又は複数のスプレーバ
ーから前記基板の表面上に蒸気を向けることと
を含む、方法。
【請求項16】
前記基板の表面を欠陥について分析することと、当該欠陥を修正するために前記1又は複数のスプレーバーの位置及び回転を調整することとをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記欠陥の分析とスプレーバーの調整が自動化されている、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ユーザが、グラフィカルユーザインターフェースを通して前記1又は複数のスプレーバーの位置及び回転パラメータを調整し得る、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
各スプレーバーが、前記チャネルを通って前記基板が輸送される間、前記基板の両端の方へ蒸気を向けるように構成されている、請求項11に記載の装置。
【請求項20】
前記2つ以上のレベラのそれぞれは、前記装着アセンブリを水平面に亘って均一に上昇又は下降させるために個々に等しい量のトルクが加えられ得る、請求項10に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本明細書に記載の実施形態は、概して、基板を洗浄するための方法及び装置に関する。より具体的には、本明細書に記載の実施形態は、化学機械研磨後のシステムにおいて湿式基板を乾燥させるための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]半導体デバイスの形状が縮小し続けるにつれ、基板の超清浄処理を可能にするためのプロセスの利用が大幅に増加している。化学機械研磨(CMP)後の洗浄は、従来、基板に粒子や残留物を残さずに基板を洗浄及び乾燥するために実施される湿式プロセスであり、歩留に悪影響を及ぼし、その後のデバイス故障を引き起こす可能性がある。湿式基板を乾燥するプロセスにおいて、溶液中の粒子が基板に付着し得る、又は基板に存在する粒子が乾燥前に適切に除去されず、乾燥後に基板に残る可能性がある。したがって、CMP処理後に基板を乾燥させるための改善された方法が大きく注目されてきた。
【0003】
[0003]マランゴニ乾燥は、表面張力勾配を発生させて、基板に実質的に槽液がないようにする方法で、槽液が基板から流れるように誘導する。したがって、マランゴニ乾燥を採用することで、基板の縞模様、斑点、及び残留マークが回避できる。マランゴニ乾燥技法は、基板が槽から持ち上げられるときに形成される流体メニスカスに導入される槽液(すなわち、イソプロピルアルコール(IPA)蒸気)よりも低い表面張力の溶媒を利用する。溶媒蒸気は流体メニスカスに溶解し、表面張力勾配を発生させる。表面張力勾配の存在により、槽液が、乾燥メニスカスの先端の表面張力の低い領域から流れ出て、基板を離れ、基板が乾燥して、縞模様、斑点、及び残留マークが実質的になくなる。
【0004】
[0004]現在のマランゴニ乾燥システムは、静的スプレーバーを利用して、流体槽での水洗浄後に、溶媒蒸気を基板の表側及び裏側に送達する。ただし、このアプローチには、チャンバ条件間のばらつき等の制限があり、処理基板のバッチ間で一貫性のない乾燥結果が生じる。例えば、槽液レベルとチャンバの機械特性の変動により、チャンバごとに、乾燥した基板に残る縞模様、斑点、及び残留マークの量にムラが生じ得る。
【0005】
[0005]したがって、当技術分野で必要とされるのは、チャンバ間でより一貫した基板乾燥結果を得るための改良された装置である。
【発明の概要】
【0006】
[0006]一実施形態では、装置が提供される。本装置は、ベース及び装着アセンブリを含む。装着アセンブリは、クロスバーの上面からクロスバーの底面まで延在する複数のオリフィスを有するクロスバーと、クロスバーの複数のオリフィスの中に配置され、ベースと接触しているガイドピンと、複数のオリフィスの中に配置され、ベースと接触しているレベラと、クロスバーに結合された2つのアームとを更に含む。ガイドピンは、ベースと装着アセンブリとを位置合わせするように構成され、レベラは、クロスバーをベースに対して垂直に配置するように構成される。各アームは、クロスバーの対向する遠位端に直交して配置され、1又は複数のスプレーバーを支持するように構成される。
【0007】
[0007]一実施形態では、装置が提供される。本装置は、ベース及び装着アセンブリを含む。装着アセンブリは、クロスバーの上面からクロスバーの底面まで延在する複数の第1のオリフィスを有するクロスバーと、クロスバーの複数の第1のオリフィスの中に配置され、ベースと接触している2つ以上のガイドピンと、複数の第1のオリフィスの中に配置され、ベースと接触している2つ以上のレベラと、クロスバーに結合された2つのアームとを更に含む。2つ以上のガイドピンと2つ以上のレベラの少なくとも1つはそれぞれ、クロスバーの各遠位端に位置する。2つのアームは、クロスバーの対向する遠位端に直交して配置され、1又は複数の第2のオリフィスを更に含む。1又は複数のスプレーバーが、2つのアームの1又は複数の第2のオリフィスに配置される。
【0008】
[0008]一実施形態では、マランゴニ乾燥の方法が提供される。本方法は、装着ブラケットと、装着ブラケットに結合されたベースと、ベースに結合された装着アセンブリと、装着アセンブリ上に配置された1又は複数のスプレーバーとを含むスプレーバーアセンブリを配置することとを含む。1又は複数のスプレーバーは、基板の方へ蒸気を向けるように適合される。本方法は更に、スプレーバーを所望の位置及びx、y、及びz軸を中心とした回転に調整することと、リンスプールからスプレーバーアセンブリを通して基板を持ち上げることと、基板の表面上に蒸気を向けることとを含む。
【0009】
[0009]上述した本開示の特徴を詳細に理解できるように、一部が添付の図面に例示されている実施形態を参照しながら、上記に要約した本開示をより具体的に説明する。ただし、添付の図面は本開示の例示的な実施形態を単に示すものであり、したがって、実施形態の範囲を限定するものと見なすべきではなく、他の等しく有効な実施形態も許容しうることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の一実施形態に係る基板乾燥システムを示す斜視図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係る調整可能なスプレーバーアセンブリを示す斜視図である。
【
図3A】本開示の一実施形態に係る、上昇位置にある調整可能なスプレーバーアセンブリを示す側面図である。
【
図3B】本開示の一実施形態に係る、下降位置にある調整可能なスプレーバーアセンブリを示す側面図である。
【
図3C】本開示の一実施形態に係る、傾斜した向きの調整可能なスプレーバーアセンブリを示す側面図である。
【
図4】本開示の一実施形態に係る基板を乾燥させる方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0016]理解を容易にするために、可能な場合には、図面に共通の同一要素を示すのに同一の参照番号が使用されている。一実施形態の要素及び特徴は、さらなる詳述なしに他の実施形態に有益に組み込まれ得ると考えられる。
【0012】
[0017]乾燥システムの支持構造に結合された装着ブラケットを有する調整可能なスプレーバーアセンブリと、装着ブラケットに結合され、支持構造の面に平行に配置されたベースアセンブリと、ベースアセンブリに結合され、ベースアセンブリと平行な装着アセンブリとを含む、基板のマランゴニ乾燥のための方法及び装置が開示される。装着アセンブリは、2つの遠位端で垂直方向に調整可能である。装着アセンブリは、1又は複数のスプレーバーが配置され得るアームを含む。装着アセンブリに固定されている間、1又は複数のスプレーバーが縦軸を中心に回転し得る。
【0013】
[0018]
図1は、一実施形態に係るスプレーアセンブリ104を含む基板乾燥システム100を示す斜視図である。乾燥システム100は、リンスタンク102及びスプレーアセンブリ104を含む。リンスタンク102は、脱イオン水又は基板106から粒子を除去するように適合された他の適切な流体等のリンス流体108で充填されるように構成される。一実施形態では、基板106は半導体基板である。一実施形態では、基板106は300mmの基板である。他の実施形態では、基板106は、200mmの基板又は450mmの基板である。
【0014】
[0019]リンスタンク102は、アルミニウム、ステンレス鋼、及びそれらの合金等の、リンス流体108を収容するのに適した材料、又は様々なポリマー材料でできている。リンスタンク102は、基板106を収容するサイズの容積を画定する複数の側壁110A、110B、110Cを有する。スプレーアセンブリ104は、乾燥システム100内のリンスタンク102の上に配置されている。スプレーアセンブリ104は、スプレーアセンブリ104内の開口部(図示せず)を通して、リンス流体108の上に配置された2つ以上のスプレーバー120a、120b(集合的に120)を含む。スプレーバー120は、乾燥システム100内に位置し、基板106が基板移動経路112に沿って輸送されるチャネル123を形成し得る。
【0015】
[0020]乾燥システム100はまた、基板106をリンス流体108から経路112に沿ってスプレーアセンブリ104を通して垂直に持ち上げるように適合されたリフト機構(図示せず)を含む。一実施形態では、リフト機構は、リンスタンク102に結合されている。別の実施形態では、リフト機構は、乾燥システム100の側壁として機能し得る支持面114に結合されている。
【0016】
[0021]基板106がスプレーアセンブリ104を通して持ち上げられると、基板を乾燥するために、揮発性有機化合物(VOC)蒸気が、1又は複数のスプレーバー120によって、基板106のいずれかの側の空気/液体界面の方へ向けられる。一実施形態では、VOC蒸気は、イソプロピルアルコール(IPA)又は他の適切な化合物であり、可撓性蒸気供給フィッティング116及び蒸気ライン118を介してスプレーアセンブリ104に供給される。一実施形態では、スプレーアセンブリ104は、支持面114に結合される。他の実施形態では、スプレーアセンブリ104は、リンスタンク102の側壁110A、110B、及び110Cを含む、乾燥システム100内の他の表面に結合される。
【0017】
[0022]
図2は、一実施形態に係るスプレーアセンブリ104を示す斜視図である。スプレーアセンブリ104は、装着ブラケット202、ベースアセンブリ204、及び装着アセンブリ206を含む。装着ブラケット202は、
図1に示すように、支持面114等の乾燥システム100内の支持構造に結合する。幾つかの実施形態では、装着ブラケット202は、リンスタンク102の側壁110A、110B、及び110Cに結合する。装着ブラケット202は、1又は複数のねじ、ピン、留め金、クランプ、トグル等を介して支持構造に結合し得る。したがって、装着ブラケット202は、乾燥システム100内のスプレーアセンブリ104のための取り付け点を提供する。
【0018】
[0023]ベースアセンブリ204は、装着ブラケット202に結合される。装着ブラケット202と共に、ベースアセンブリ204は、スプレーアセンブリ104のための静的な機械的支持体を提供する。一実施形態では、ベースアセンブリ204は、
図2に示すように、ベースアセンブリの2つの遠位端で装着ブラケット202に結合された細長い方形レールである。しかしながら、他の実施形態では、ベースアセンブリ204は、サイズ、形状、及び装着ブラケット202との結合点が異なり得る。例えば、ベースアセンブリは、ロッドの中間点で装着ブラケット202に結合された短い環状ロッドであり得る。幾つかの実施形態では、ベースアセンブリ204は、装着ブラケット202に恒久的に取り付けられて、単一の固定具を形成する。ベースアセンブリ204及び装着ブラケット202は、ベースアセンブリ204が移動経路112に対して垂直に位置するように、支持面114又は他の支持構造に沿って配置され、基板106は、乾燥システム100内を移動する。
【0019】
[0024]装着アセンブリ206は、ベースアセンブリ204に結合される。装着アセンブリ206は、ベースアセンブリ204の上、下、又は隣接して配置され得る。装着アセンブリ206は、クロスバー205から延在する1又は複数のアーム208を含む。一実施形態では、アーム208は、クロスバー205及びベースアセンブリ204の縦方向の長さに対して垂直に配向される。一実施形態では、2つのアーム208は、
図2に示すように、上又は下から見たときに「C」形状に近づくように、クロスバー205の対向する遠位端219a及び219b(まとめて219)に配置される。別の実施形態では、1又は複数のアーム208は、クロスバー205に対して非直交角度で装着アセンブリ206から延在する。更に別の実施形態では、1又は複数のアーム208は、クロスバー205の中間点から延在する。
【0020】
[0025]アーム208は、1又は複数のスプレーバー120のための結合点を提供する。スプレーバー120は、アーム208に取り外し可能に結合される。一実施形態では、2つのスプレーバー120(
図1に示す)は、蒸気が同時に基板106の2つの対向する側面の方へ噴霧され得るように、基板106が移動経路112上の2つのスプレーバー120の間で持ち上げられることを可能にする距離に、平行に配置される。スプレーバー120は、クランプ210又は他の適切な装置を介してアーム208に固定される。一実施形態では、スプレーバー120は、アーム208内の水平に開けられた穴209を通して配置され得る。アーム208に固定されると、スプレーバー120は、それらの縦軸を中心として回転し、任意の所望の角度で移動経路112上の基板106の方への蒸気噴霧を容易にすることができる。
【0021】
[0026]クロスバー205は、それを通して配置された複数の穴を有する。複数の穴は、クロスバー205を通って、上面207からベースアセンブリ204に面する底面(図示せず)まで垂直に延在する。複数の穴は、パイロット穴213、ロッキング穴215、及びレベリング穴217を含む。一実施形態では、クロスバー205の複数の穴211は、一対のパイロット穴213、一対のロッキング穴215、及び一対のレベリング穴217を含む。一実施形態では、
図2に示すように、パイロット穴213、ロッキング穴215、及びレベリング穴217の各対の1つが、クロスバー205の各遠位端219に配置される。
【0022】
[0027]1つのパイロット穴213、1つのロッキング穴215、及び1つのレベリング穴217は、クロスバー205の各遠位端219で互いに横方向に隣接して配置される。各パイロット穴213は、ロッキング穴215及びレベリング穴217に対してクロスバー205の内側に配置され得る。各レベリング穴217は、パイロット穴213及びロッキング穴215に対してクロスバー205上で遠位に配置され得る。
図2に示すように、各ロッキング穴215は、クロスバー205の各遠位端219において、パイロット穴213とレベリング穴217との間の中間に配置され得る。しかしながら、パイロット穴213、ロッキング穴215、及びレベリング穴217の空間的配置及び順序は、交換可能であると考えられる。
【0023】
[0028]ガイドピン212、レベラ214、及びロッキングねじ216は、それぞれ、パイロット穴213、レベリング穴217、及びロッキング穴215を通って延在する。一実施形態では、ガイドピン212、レベラ214、及びロッキングねじ216のそれぞれの対は、クロスバー205の各遠位端219にあるパイロット穴213、レベリング穴217、及びロッキング穴215を通って延在する。ガイドピン212、レベラ214、及びロッキングねじは、装着アセンブリ206をベースアセンブリ204に結合させる。
【0024】
[0029]ガイドピン212は、パイロット穴213を通って延在し、ベースアセンブリ204に結合して(例えば、接触して)、ベースアセンブリ204に対して装着アセンブリ206を安定させる。パイロット穴213は、ガイドピン212よりも直径が広く、滑らかに開けられ、装着アセンブリ206とベースアセンブリ204との位置合わせを提供すると同時に、スプレーアセンブリ104の傾斜を容易にする。すなわち、パイロット穴213は、ガイドピン212に幾らかの余裕を与え、その結果、装着アセンブリ206は、垂直面(垂直方向)に沿ってベースアセンブリ204と位置合わせされたまま、水平面でクロスバー205に垂直な軸を中心として傾斜し得る。
【0025】
[0030]レベラ214は、レベリング穴217を通って延在し、ベースアセンブリ204に結合して(例えば、接触して)、スプレーアセンブリ104の垂直方向の調整及び傾斜を可能にする。レベリング穴217及びレベラ214は、レベラ214にレベリング穴217を通してトルクを加えることを可能にするためにねじ付きになっている。レベリング穴217内でレベラ214にトルクを加えると、装着アセンブリ206が、ベースアセンブリ204に対して垂直に上昇及び下降する。
【0026】
[0031]
図2に示す実施形態では、装着アセンブリ206は、レベラ214に等しくトルクを加えることによって、各遠位端219で均一に上昇又は下降させることができ、したがって、装着アセンブリ206が水平面と実質的に平行になる。あるいは、装着アセンブリ206は、各レベラ214に可変的にトルクを加えることによって、いずれかの遠位端219の方へ垂直に傾斜させることができる。すなわち、
図3Cに示すように、レベラ214の対の一方のみにトルクを加える、又は両方のレベラ214に不均等な量で同じ方向にトルクを加える、又は各レベラ214に異なる方向にトルクを加えると、装着アセンブリ206がベースアセンブリ204に対して傾斜する。
【0027】
[0032]ロッキングねじ216は、ロッキング穴215を通って延在し、装着アセンブリ206を所定の位置に固定するために、ベースアセンブリ204に結合する(例えば、接触する)。ロッキングねじ216及びロッキング穴215は、ロッキング穴215を通してロッキングねじ216にトルクを加えることが可能になるようにねじ付きになっている。レベラ214にトルクを加えることによって装着アセンブリ206が所望の高さ及び傾斜に調整されると、ロッキング穴215を通してロッキングねじ216にトルクが加わり、装着アセンブリ206を所望の位置に固定する。ロッキング穴215内でロッキングねじ216を詰まらせることなく装着アセンブリ206の傾斜に対応するために、各ロッキングねじ216は、一対の環状ワッシャ225と結合される。一対の環状ワッシャ225はそれぞれ、クロスバー205の上面207及び底面(図示せず)に位置する各ロッキング穴215の1つの開口部に配置される。環状ワッシャ225は、ロッキング穴215内のロッキングねじ216の向きを自動的に調整して、ロッキングねじ216がロッキング穴215を通って実質的に真っ直ぐに延在するようにし、したがって、装着アセンブリ206の傾斜によって引き起こされるいかなる角度偏差も補正される。
【0028】
[0033]アーム208に配置されたスプレーバー120の回転に加えて、レベラ214を介した装着アセンブリ206の傾斜、上昇、及び下降の組み合わせにより、通過する基板の方へ蒸気が向けられるように、スプレーバー120をx、y、及びz軸を中心とした所望の位置に調整することが可能になる。より具体的には、スプレーバー120は、x軸及びz軸を中心に回転し得、y軸上で直線的に移動し得る。
図2に示すように、x軸は、装着アセンブリ206及びスプレーバー120の縦軸に平行な水平線である。y軸は、装着アセンブリ206及びスプレーバー120の縦軸に垂直方向に垂直な線である。z軸は、装着アセンブリ206及びスプレーバー120の縦軸に水平方向に垂直な線である。
【0029】
[0034]
図3Aから
図3Cは、幾つかの実施形態に係るスプレーアセンブリ104の調整可能な性質を示す図である。
図3Aは、一実施形態に係る、上昇位置にあるスプレーアセンブリ104を示す側面図である。
図3Aでは、それぞれがクロスバー205の対向する遠位端219に配置された一対のレベリングねじ214に、一方向、例えば時計回りに等しいトルクが加わっている。ねじ付きレベリング穴217を通るねじ付きレベリングねじ214に等しいトルクが加わることにより、装着アセンブリ206、したがってスプレーバー120が、装着アセンブリ206の両方の遠位端219でベースラインBから距離302だけ均一に上昇する。ベースアセンブリ204は、レベリングねじ214にトルクが加わっている間、静止したままであり、レベリングねじ214の機械的支持体及び結合点として機能する。したがって、調整前のベースアセンブリ204と装着アセンブリ206との間の全ての空隙が拡大する。装着アセンブリ206が所望の位置に上昇すると、ねじ付きロッキング穴215を通してねじ付きロッキングねじ216にトルクが加わり、装着アセンブリ206が適所に固定される。
【0030】
[0035]
図3Bは、一実施形態に係る、下降位置にあるスプレーアセンブリ104を示す側面図である。
図3Bでは、それぞれがクロスバー205の対向する遠位端219に配置された一対のレベリングねじ214に、
図3Aと反対の方向に、例えば反時計回りに等しいトルクが加わっている。ねじ付きレベリング穴217を通るねじ付きレベリングねじ214に等しいトルクが加わることにより、装着アセンブリ206、したがってスプレーバー120が、装着アセンブリ206の両方の遠位端219でベースラインBから距離306だけ均一に下降する。ベースアセンブリ204は、レベリングねじ214にトルクが加わっている間、静止したままであり、レベリングねじ214の機械的支持体及び結合点として機能する。したがって、調整前のベースアセンブリ204と装着アセンブリ206との間の全ての空隙が減少する。装着アセンブリ206が所望の位置に下降すると、ねじ付きロッキング穴215を通してねじ付きロッキングねじ216にトルクが加わり、装着アセンブリ206が適所に固定される。
【0031】
[0036]
図3A及び
図3Bに示す実施形態では、スプレーアセンブリ104の最大垂直調整許容値は、上方向又は下方向のいずれかで10mm又は5mmであると考えられる。しかしながら、最大調整許容値は、スプレーアセンブリ104の水平方向の長さに応じて変化し得る。
【0032】
[0037]
図3Cは、一実施形態に係る、傾斜した、又は角度の付いた位置にあるスプレーアセンブリ104を示す側面図である。
図3Cでは、レベリングねじ214に、反対方向、例えば時計回り及び反時計回りにトルクが加わっており、その結果、装着アセンブリ206の一方の遠位端219bが上昇し、対向する遠位端219aが下降している。各遠位端219の可変調整により、装着アセンブリ206が、ベースアセンブリ204に対して角度304で着座する。1つの傾斜した配向のみを示したが、装着アセンブリ206は、どちらの方向にも傾斜させることが可能である。更に、
図3Cに示す実施形態では、装着アセンブリ206の最大傾斜調整許容値は、いずれかの方向に0.5又は0.25oであると考えられる。しかしながら、最大傾斜調整許容値は、装着アセンブリ206の水平方向の長さに応じて変化し得ることもまた考えられる。
【0033】
[0038]
図4は、提供される上記の装置を使用した、基板のマランゴニ乾燥の例示的な方法400を示すフロー図である。工程402において、スプレーアセンブリが提供される。スプレーアセンブリは、1又は複数の装着ブラケットに結合されたベースアセンブリを含む。装着アセンブリは、ベースアセンブリに更に結合される。2つのスプレーバーが配置され、基板が通過するのに十分な距離に装着アセンブリのクランプを介して固定される。工程404において、装着アセンブリ、したがってスプレーバーを上昇、下降、又は傾斜させるために、装着アセンブリを通して延在し、ベースアセンブリに結合しているレベラに、トルクが加えられる。工程406において、スプレーバーが、蒸気を基板に向けるために、それらの縦軸を中心として所望の角度に回転される。工程404及び406の結果として、スプレーバーの回転、傾斜、及び上昇又は下降の組み合わせにより、通過する基板の方へ蒸気を向けるために、スプレーバーをx、y、及びz軸を中心とした所望の位置及び向きに調整することができる。より具体的には、スプレーバーは、x軸及びz軸を中心に回転し、y軸上で直線的に移動し得る。
【0034】
[0039]工程408において、基板がリンスタンクから取り出され、乾燥システム内に位置するリフト機構を介して、スプレーアセンブリに配置されたスプレーバーの間を通過する。スプレーバーから蒸気が放出され、基板がスプレーバーアセンブリを通過するときに基板の両面に向けられる。工程410において、乾燥した基板は、縞模様、斑点、及び残留物等の乾燥プロセス後に残っている全ての欠陥について検査される。最後に、工程412において、ユーザが、基板表面に発見された全ての欠陥を修正するために、スプレーバーの高さ及び向きを調整する。調整は、レベリングねじにトルクを加え、スプレーアセンブリ内のスプレーバーを回転させることによって手動で行うことができる。
【0035】
[0040]あるいは、欠陥分析及びその後の調整を自動化することができる。例えば、基板を、自動化された欠陥検査ツールを用いて欠陥について分析することができる。次に、ユーザは、乾燥システム自体又は別個のコンピュータ端末のいずれかに配置されたグラフィカルユーザインターフェースを使用して、スプレーバーの所望の位置及び向きを送信することができる。一旦入力すると、乾燥システムは、検査ツールによって検出された欠陥を修正するために、次の乾燥サイクルの前にスプレーバーを自動的に調整することができる。更に、欠陥検査及びスプレーバーアセンブリ調整の全プロセスは、いかなるユーザによる入力又は介入の必要性も排除するように、完全に自動化され得ると考えられる。
【0036】
[0041]本明細書の実施形態は、マランゴニ乾燥プロセスから生じる基板の表面欠陥を有利に最小限に抑える。従来のマランゴニ乾燥システムでは、静的スプレーバーが水洗浄後に溶媒蒸気を基板の表側と裏側に送達する。リンスプールの液体レベルや構造の違い等の、基板バッチ間のチャンバ条件の変動により、基板表面の縞模様、斑点、及びその他の残留マークの変動を伴う一貫性のない乾燥結果が引き起こされる。x、y、及びz軸を中心として調整可能なスプレーバーアセンブリを用いることによって、本明細書の実施形態は、乾燥システム間の乾燥結果のムラを最小限に抑えるための装置及び方法を提供する。
【0037】
[0042]前述の内容は本開示の実施形態を対象としているが、以下の特許請求の範囲によって決定されるその基本的な範囲から逸脱することなく、本開示の他のさらなる実施形態を考案することが可能である。