IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日東電工株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-補強用フィルム 図1
  • 特許-補強用フィルム 図2
  • 特許-補強用フィルム 図3
  • 特許-補強用フィルム 図4
  • 特許-補強用フィルム 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】補強用フィルム
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/38 20180101AFI20241220BHJP
   C09J 7/29 20180101ALI20241220BHJP
   C09J 133/00 20060101ALI20241220BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20241220BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J7/29
C09J133/00
C09J11/06
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021561157
(86)(22)【出願日】2020-07-27
(86)【国際出願番号】 JP2020028708
(87)【国際公開番号】W WO2021106272
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2023-05-01
(31)【優先権主張番号】P 2019213086
(32)【優先日】2019-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004314
【氏名又は名称】弁理士法人青藍国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 圭太
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 翔悟
【審査官】仁科 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-141659(JP,A)
【文献】特開2014-141660(JP,A)
【文献】特開2006-022313(JP,A)
【文献】特開2008-169307(JP,A)
【文献】特開2001-262101(JP,A)
【文献】特開2013-107940(JP,A)
【文献】特開2008-282020(JP,A)
【文献】特開2017-149129(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 7/38
C09J 7/29
C09J 133/00
C09J 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層A1と粘着剤層A2を含む補強用フィルムの該基材層A1側に表面保護フィルムを備える、表面保護フィルム付補強用フィルムであって、
光学部材である被着体に貼り付けられ、
該基材層A1が、トリアセチルセルロースまたはポリイミドで構成される樹脂シートであり、
該粘着剤層A2が粘着剤組成物a2から形成され、
該粘着剤組成物a2は、アクリル系ポリマーと、多官能イソシアネート系架橋剤およびエポキシ系架橋剤からなる群からなる群から選ばれる少なくとも1種と、を含み、
該粘着剤組成物a2は、三環以上の環式構造を有するアクリル系モノマーを50重量%以上含むモノマー組成物から得られる重量平均分子量が3000~6000のオリゴマー(X)を含まず、
該補強用フィルムを60℃、90%RHの環境下で1週間保管した後の波長590nmにおける面内位相差(R0)の変化率の絶対値が20.0%以下である、
表面保護フィルム付補強用フィルム。
【請求項2】
前記補強用フィルムを60℃、90%RHの環境下で1週間保管した後のヘイズ変化率が10.0%以下である、請求項1に記載の表面保護フィルム付補強用フィルム。
【請求項3】
前記補強用フィルムの全光線透過率が80%以上である、請求項1または2に記載の表面保護フィルム付補強用フィルム。
【請求項4】
前記粘着剤層A2をPETフィルムに貼り付けて23℃で30分間放置した後の、剥離角度180度、剥離速度300mm/minにおける対PETフィルム粘着力が0.30N/25mm以上である、請求項1から3までのいずれかに記載の表面保護フィルム付補強用フィルム。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれかに記載の表面保護フィルム付補強用フィルムが備える粘着剤層A2を露出させて該粘着剤層A2を光学部材である被着体に貼り付け、次いで、前記表面保護フィルムを剥離する、表面保護フィルム付補強用フィルムの使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は補強用フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
有機ELパネル、LCDパネル、タッチパネル等に代表される光学部材や電子部材などに剛性や耐衝撃性を付与するために、光学部材や電子部材などの露出面側に予め補強用フィルムを貼り合せて補強しておく場合がある(特許文献1)。
【0003】
さらに、加工、組立、検査、輸送などの際の表面の傷付き防止のために、予め補強用フィルムの露出面に表面保護フィルムが貼着された状態で使用される場合がある。このような表面保護フィルムは、表面保護の必要がなくなった時点で、補強用フィルムから剥離される(特許文献2)。
【0004】
このような補強用フィルムにおいては、光学部材や電子部材に貼り付けられて、補強用フィルム越しに光学部材や電子部材の検査がされる場合がある。
【0005】
しかしながら、補強用フィルムが光学部材や電子部材に貼り付けられて過酷な環境に長期保管される場合、補強用フィルムの位相差が変化することで、虹ムラ等の発生により検査性が低下してしまうことがある。
【0006】
以上のように、光学部材や電子部材に貼り付けられて、補強用フィルム越しに光学部材や電子部材の検査がされる補強用フィルムにおいては、改良すべき点、すなわち、光学部材や電子部材に貼り付けられて過酷な環境に長期保管される場合、補強用フィルムの位相差の変化が抑制されることが重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第6366199号公報
【文献】特開2016-17109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、光学部材や電子部材に貼り付けることが可能な補強用フィルムであって、補強用フィルム越しに光学部材や電子部材の検査がされる際に、位相差の変化が抑制され、検査性が低下しない、補強用フィルムを提供することにある。また、そのような補強用フィルムを備えた補強用フィルム付光学部材または補強用フィルム付電子部材を提供することにある。さらに、そのような補強用フィルムに表面保護フィルムが備えられた表面保護フィルム付補強用フィルムを提供すること、および、そのような表面保護フィルム付補強用フィルムの使用方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態による補強用フィルムは、
基材層A1と粘着剤層A2を含む補強用フィルムであって、
該補強用フィルムを60℃、90%RHの環境下で1週間保管した後の波長590nmにおける面内位相差(R)の変化率の絶対値が20.0%以下である。
【0010】
一つの実施形態においては、上記補強用フィルムを60℃、90%RHの環境下で1週間保管した後のヘイズ変化率が10.0%以下である。
【0011】
一つの実施形態においては、上記補強用フィルムの全光線透過率が80%以上である。
【0012】
一つの実施形態においては、本発明の実施形態による補強用フィルムは、上記粘着剤層A2をPETフィルムに貼り付けて23℃で30分間放置した後の、剥離角度180度、剥離速度300mm/minにおける対PETフィルム粘着力が0.30N/25mm以上である。
【0013】
一つの実施形態においては、本発明の実施形態による補強用フィルムは、光学部材または電子部材である被着体に貼り付けられる。
【0014】
本発明の実施形態による補強用フィルム付光学部材または補強用フィルム付電子部材は、本発明の実施形態による補強用フィルムを備える。
【0015】
本発明の実施形態による表面保護フィルム付補強用フィルムは、本発明の実施形態による補強用フィルムの上記基材層A1側に表面保護フィルムを備える。
【0016】
本発明の表面保護フィルム付補強用フィルムの使用方法は、本発明の実施形態による表面保護フィルム付補強用フィルムが備える粘着剤層A2を露出させて該粘着剤層A2を被着体に貼り付け、次いで、前記表面保護フィルムを剥離する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、光学部材や電子部材に貼り付けることが可能な補強用フィルムであって、補強用フィルム越しに光学部材や電子部材の検査がされる際に、位相差の変化が抑制され、検査性が低下しない、補強用フィルムを提供することができる。また、そのような補強用フィルムを備えた補強用フィルム付光学部材または補強用フィルム付電子部材を提供することができる。さらに、そのような補強用フィルムに表面保護フィルムが備えられた表面保護フィルム付補強用フィルムを提供すること、および、そのような表面保護フィルム付補強用フィルムの使用方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態における補強用フィルムの一つの実施形態の概略断面図である。
図2】本発明の実施形態における補強用フィルムの別の一つの実施形態の概略断面図である。
図3】表面保護フィルムの一つの実施形態の概略断面図である。
図4】表面保護フィルムの別の一つの実施形態の概略断面図である。
図5】本発明の表面保護フィルム付補強用フィルムの一つの実施形態の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書中で「質量」との表現がある場合は、従来一般に重さの単位として慣用されている「重量」と読み替えてもよく、逆に、本明細書中で「重量」との表現がある場合は、重さを示すSI系単位として慣用されている「質量」と読み替えてもよい。
【0020】
本明細書中で「(メタ)アクリル」との表現がある場合は、「アクリルおよび/またはメタクリル」を意味し、「(メタ)アクリレート」との表現がある場合は、「アクリレートおよび/またはメタクリレート」を意味し、「(メタ)アリル」との表現がある場合は、「アリルおよび/またはメタリル」を意味し、「(メタ)アクロレイン」との表現がある場合は、「アクロレインおよび/またはメタクロレイン」を意味する。
【0021】
≪1.補強用フィルム≫
本発明の補強用フィルムは、基材層A1と粘着剤層A2を含む。本発明の補強用フィルムは、基材層A1と粘着剤層A2を有していれば、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の層を有していてもよい。代表的には、本発明の補強用フィルムは、基材層A1と粘着剤層A2とからなる。
【0022】
粘着剤層A2の表面には、保護のために、後述する剥離シートが設けられていてもよい。
【0023】
基材層A1の表面には、各種機能を付与するために、後述する機能層A3が設けられていてもよい。
【0024】
補強用フィルムの厚みとしては、本発明の効果を損なわない範囲で、目的に応じて、任意の適切な厚みを採用し得る。このような厚みとしては、好ましくは5μm~800μmであり、より好ましくは10μm~650μmであり、さらに好ましくは20μm~550μmであり、特に好ましくは25μm~450μmである。
【0025】
補強用フィルムの一つの実施形態は、図1に示すように、基材層A1(10)と粘着剤層A2(20)とからなる。
【0026】
本発明の補強用フィルムは、該補強用フィルムを60℃、90%RHの環境下で1週間保管した後の波長590nmにおける面内位相差(R)の変化率の絶対値が20.0%以下であり、好ましくは15.0%以下であり、より好ましくは12.0%以下であり、さらに好ましくは10.0%以下であり、特に好ましくは9.5%以下である。上記波長590nmにおける面内位相差(R)の変化率の絶対値が上記範囲内にあれば、補強用フィルム越しに光学部材や電子部材の検査がされる際に、検査性が低下しない、補強用フィルムを提供することができる。
【0027】
本発明の補強用フィルムは、該補強用フィルムを60℃、90%RHの環境下で1週間保管した後のヘイズ変化率が、好ましくは10.0%以下であり、より好ましくは7.0%以下であり、さらに好ましくは6.0%以下であり、さらに好ましくは5.0%以下であり、特に好ましくは4.0%以下であり、最も好ましくは3.5%以下である。上記ヘイズ変化率が上記範囲内にあれば、補強用フィルム越しに光学部材や電子部材の検査がされる際に、検査性がより低下しない、補強用フィルムを提供することができる。
【0028】
本発明の補強用フィルムの全光線透過率は、好ましくは80%以上であり、より好ましくは83%以上であり、さらに好ましくは85%以上であり、特に好ましくは88%以上である。補強用フィルムの全光線透過率が上記範囲内にあれば、補強用フィルム越しに光学部材や電子部材の検査がされる際に、検査性がより低下しない、補強用フィルムを提供することができる。
【0029】
<1-1.基材層A1>
基材層A1としては、本発明の効果を損なわない範囲で、目的に応じて、任意の適切な材料から形成される基材を採用し得る。このような材料としては、例えば、樹脂シート、不織布、紙、金属箔、織布、ゴムシート、発泡シート、これらの積層体(特に、樹脂シートを含む積層体)などが挙げられる。
【0030】
樹脂シートを構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル系樹脂、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリサルフォン、ポリアリレート、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリアミド(ナイロン)、全芳香族ポリアミド(アラミド)、ポリイミド(PI)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、フッ素系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、環状オレフィン系ポリマーなどが挙げられる。
【0031】
不織布としては、マニラ麻を含む不織布等の耐熱性を有する天然繊維による不織布;ポリプロピレン樹脂不織布、ポリエチレン樹脂不織布、エステル系樹脂不織布等の合成樹脂不織布;などが挙げられる。
【0032】
基材層A1は、1層のみであってもよいし、2層以上であってもよい。
【0033】
基材層A1の厚みとしては、本発明の効果を損なわない範囲で、目的に応じて、任意の適切な厚みを採用し得る。このような厚みとしては、好ましくは4μm~500μmであり、より好ましくは10μm~400μmであり、さらに好ましくは15μm~350μmであり、特に好ましくは20μm~300μmである。
【0034】
基材層A1の全光線透過率は、好ましくは90%以上であり、より好ましくは91%以上であり、さらに好ましくは92%以上であり、特に好ましくは93%以上である。基材層A1の全光線透過率が上記範囲内にあれば、補強用フィルム越しに光学部材や電子部材の検査がされる際に、検査性がより低下しない、補強用フィルムを提供することができる。
【0035】
基材層A1は、帯電防止剤を含んでいてもよい。帯電防止剤を含む基材層A1としては、例えば、帯電防止剤が練り込まれた樹脂シートが用いられ得る。このような樹脂シートは、樹脂と帯電防止剤とを含む基材層A1形成用組成物から形成され得る。
【0036】
基材層A1そのものが帯電防止剤として作用してもよい。例えば、基材層A1の材料として金属箔を採用する場合は、基材層A1そのものが帯電防止剤として作用し得る。
【0037】
基材層A1は、表面処理が施されていてもよい。表面処理としては、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理、下塗り剤によるコーティング処理などが挙げられる。
【0038】
有機コーティング材料としては、例えば、プラスチックハードコート材料II(CMC出版、(2004))に記載される材料が挙げられる。このような有機コーティング材料としては、好ましくは、ウレタン系ポリマーが挙げられ、より好ましくは、ポリアクリルウレタン、ポリエステルウレタン、またはこれらの前駆体が挙げられる。基材層A1への塗工・塗布が簡便であり、かつ、工業的に多種のものが選択でき安価に入手できるからである。このようなウレタン系ポリマーは、例えば、イソシアナートモノマーとアルコール性水酸基含有モノマー(例えば、水酸基含有アクリル化合物または水酸基含有エステル化合物)との反応混合物からなるポリマーが挙げられる。有機コーティング材料は、任意の添加剤として、ポリアミンなどの鎖延長剤、老化防止剤、酸化安定剤などを含んでいてもよい。
【0039】
基材層A1には、本発明の効果を損なわない範囲で、目的に応じて、任意の適切な他の添加剤が含まれていてもよい。
【0040】
<1-2.粘着剤層A2>
粘着剤層A2の厚みとしては、本発明の効果を損なわない範囲で、目的に応じて、任意の適切な厚みを採用し得る。このような厚みとしては、好ましくは1μm~300μmであり、より好ましくは2μm~250μmであり、さらに好ましくは4μm~200μmであり、特に好ましくは5μm~150μmである。
【0041】
粘着剤層A2は、1層のみであってもよいし、2層以上であってもよい。
【0042】
粘着剤層A2は、導電成分を含んでいてもよい。導電成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0043】
粘着剤層A2をPETフィルムに貼り付けて23℃で30分間放置した後の、剥離角度180度、剥離速度300mm/minにおける対PETフィルム粘着力は、好ましくは0.30N/25mm以上であり、より好ましくは1N/25mm~40N/25mmであり、さらに好ましくは5N/25mm~35N/25mmであり、特に好ましくは10N/25mm~30N/25mmである。
【0044】
粘着剤層A2をPETフィルムに貼り付けて60℃で60分間放置した後の、剥離角度180度、剥離速度300mm/minにおける対PETフィルム粘着力は、好ましくは10N/25mm以上であり、より好ましくは10N/25mm~40N/25mmであり、さらに好ましくは15N/25mm~35N/25mmであり、特に好ましくは20N/25mm~30N/25mmである。
【0045】
粘着剤層A2は、粘着剤組成物a2から形成される。粘着剤層A2は、粘着剤組成物a2を層状に形成できる方法であれば、任意の適切な方法によって形成され得る。例えば、粘着剤層A2は、粘着剤組成物a2を、任意の適切な基材上に塗布して、必要に応じて加熱等や活性エネルギー線(紫外線など)照射や乾燥等を行い、必要に応じて硬化させて、該基材上において粘着剤層を形成する方法が挙げられる。このような塗布の方法としては、例えば、グラビヤロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、エアーナイフコーター、スプレーコーター、コンマコーター、ダイレクトコーター、ロールブラッシュコーターなどの方法が挙げられる。
【0046】
粘着剤組成物a2は、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは、ポリマー成分を含む。
【0047】
ポリマー成分としては、好ましくは、アクリル系ポリマー、ウレタン系ポリマー、シリコーン系ポリマーから選ばれる少なくとも1種である。以下、アクリル系ポリマーを代表例として説明する。
【0048】
アクリル系ポリマーは、アクリル系粘着剤の分野においていわゆるベースポリマーと称され得るものである。アクリル系ポリマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0049】
粘着剤組成物a2中のアクリル系ポリマーの含有割合は、固形分換算で、好ましくは60重量%~99.999重量%であり、より好ましくは65重量%~99.99重量%であり、さらに好ましくは70重量%~99.9重量%であり、特に好ましくは75重量%~99.9重量%であり、最も好ましくは80重量%~99.9重量%である。
【0050】
アクリル系ポリマーとしては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なアクリル系ポリマーを採用し得る。
【0051】
アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは30万~250万であり、より好ましくは35万~200万であり、さらに好ましくは40万~180万であり、特に好ましくは50万~150万である。
【0052】
アクリル系ポリマーとしては、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは、(a成分)アルキルエステル部分のアルキル基の炭素数が4~12である(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(b成分)OH基を有する(メタ)アクリル酸エステルおよび(メタ)アクリル酸からなる群から選ばれる少なくとも1種、を含む組成物(A)から重合によって形成されるアクリル系ポリマーである。
【0053】
(a成分)、(b成分)は、それぞれ、独立に、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0054】
アルキルエステル部分のアルキル基の炭素数が4~12である(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a成分)としては、例えば、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシルなどが挙げられる。これらの中でも、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルであり、より好ましくは、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシルである。
【0055】
OH基を有する(メタ)アクリル酸エステルおよび(メタ)アクリル酸からなる群から選ばれる少なくとも1種(b成分)としては、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチルなどのOH基を有する(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸などが挙げられる。これらの中でも、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸であり、より好ましくは、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸である。
【0056】
組成物(A)は、(a)成分および(b)成分以外の、共重合性モノマーを含んでいてもよい。共重合性モノマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。このような共重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピルなどの、アルキルエステル部分のアルキル基の炭素数が1~3である(メタ)アクリル酸アルキルエステル;イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、これらの酸無水物(例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物基含有モノマー)などのカルボキシル基含有モノマー(ただし、(メタ)アクリル酸を除く);(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t-ブチルアミノエチルなどのアミノ基含有モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのエポキシ基含有モノマー;アクリロニトリルやメタクリロニトリルなどのシアノ基含有モノマー;N-ビニル-2-ピロリドン、(メタ)アクリロイルモルホリン、N-ビニルピペリドン、N-ビニルピペラジン、N-ビニルピロール、N-ビニルイミダゾール、ビニルピリジン、ビニルピリミジン、ビニルオキサゾールなどの複素環含有ビニル系モノマー;ビニルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸基含有モノマー;2-ヒドロキシエチルアクリロイルフォスフェートなどのリン酸基含有モノマー;シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミドなどのイミド基含有モノマー;2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有モノマー;シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル;フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどの芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル;スチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物;エチレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレンなどのオレフィン類やジエン類;ビニルアルキルエーテルなどのビニルエーテル類;塩化ビニル;などが挙げられる。
【0057】
共重合性モノマーとしては、多官能性モノマーも採用し得る。多官能性モノマーとは、1分子中に2以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーをいう。エチレン性不飽和基としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なエチレン性不飽和基を採用し得る。このようなエチレン性不飽和基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ビニルエーテル基(ビニルオキシ基)、アリルエーテル基(アリルオキシ基)などのラジカル重合性官能基が挙げられる。多官能性モノマーとしては、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレートなどが挙げられる。このような多官能性モノマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0058】
共重合性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルも採用し得る。(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2-メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-エトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシトリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸3-メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-エトキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-メトキシブチル、(メタ)アクリル酸4-エトキシブチルなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0059】
アルキルエステル部分のアルキル基の炭素数が4~12である(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a成分)の含有量は、本発明の効果をより発現させ得る点で、アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量(100重量%)に対して、好ましくは30重量%以上であり、より好ましくは35重量%~99重量%であり、さらに好ましくは40重量%~98重量%であり、特に好ましくは50重量%~96重量%である。
【0060】
OH基を有する(メタ)アクリル酸エステルおよび(メタ)アクリル酸からなる群から選ばれる少なくとも1種(b成分)の含有量は、本発明の効果をより発現させ得る点で、アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量(100重量%)に対して、好ましくは1重量%以上であり、より好ましくは1重量%~30重量%であり、さらに好ましくは2重量%~20重量%であり、特に好ましくは3重量%~15重量%である。
【0061】
組成物(A)は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の成分を含有し得る。このような他の成分としては、例えば、重合開始剤、連鎖移動剤、溶剤などが挙げられる。これらの他の成分の含有量は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な含有量を採用し得る。
【0062】
重合開始剤は、重合反応の種類に応じて、熱重合開始剤や光重合開始剤(光開始剤)などを採用し得る。重合開始剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0063】
熱重合開始剤は、好ましくは、アクリル系ポリマーを溶液重合によって得る際に採用され得る。このような熱重合開始剤としては、例えば、アゾ系重合開始剤、過酸化物系重合開始剤(例えば、ジベンゾイルペルオキシド、tert-ブチルペルマレエートなど)、レドックス系重合開始剤などが挙げられる。これらの熱重合開始剤の中でも、特開2002-69411号公報に開示されたアゾ系開始剤が特に好ましい。このようなアゾ系重合開始剤は、重合開始剤の分解物が加熱発生ガス(アウトガス)の発生原因となる部分としてアクリル系ポリマー中に残留しにくい点で好ましい。アゾ系重合開始剤としては、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(以下、AIBNと称する場合がある)、2,2’-アゾビス-2-メチルブチロニトリル(以下、AMBNと称する場合がある)、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオン酸)ジメチル、4,4’-アゾビス-4-シアノバレリアン酸などが挙げられる。
【0064】
光重合開始剤は、好ましくは、アクリル系ポリマーを活性エネルギー線重合によって得る際に採用され得る。光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、α-ケトール系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、ケタール系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤等などが挙げられる。
【0065】
ベンゾインエーテル系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、アニソールメチルエーテルなどが挙げられる。アセトフェノン系光重合開始剤としては、例えば、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-(t-ブチル)ジクロロアセトフェノンなどが挙げられる。α-ケトール系光重合開始剤としては、例えば、2-メチル-2-ヒドロキシプロピオフェノン、1-[4-(2-ヒドロキシエチル)フェニル]-2-メチルプロパン-1-オンなどが挙げられる。芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤としては、例えば、2-ナフタレンスルホニルクロライドなどが挙げられる。光活性オキシム系光重合開始剤としては、例えば、1-フェニル-1,1-プロパンジオン-2-(o-エトキシカルボニル)-オキシムなどが挙げられる。ベンゾイン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインなどが挙げられる。ベンジル系光重合開始剤としては、例えば、ベンジルなどが挙げられる。ベンゾフェノン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3'-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、ポリビニルベンゾフェノン、α-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどが挙げられる。ケタール系光重合開始剤としては、例えば、ベンジルジメチルケタールなどが挙げられる。チオキサントン系光重合開始剤としては、例えば、チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-メチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、ドデシルチオキサントンなどが挙げられる。
【0066】
粘着剤組成物a2は、架橋剤を含んでいてもよい。架橋剤を用いることにより、アクリル系粘着剤の凝集力を向上でき、本発明の効果をより発現させ得る。架橋剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0067】
架橋剤としては、多官能イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メラミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤の他、尿素系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、アミン系架橋剤などが挙げられる。これらの中でも、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは、多官能イソシアネート系架橋剤およびエポキシ系架橋剤からなる群から選ばれる少なくとも1種(c成分)である。
【0068】
多官能イソシアネート系架橋剤としては、例えば、1,2-エチレンジイソシアネート、1,4-ブチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートなどの低級脂肪族ポリイソシアネート類;シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネートなどの脂環族ポリイソシアネート類;2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート類などが挙げられる。多官能イソシアネート系架橋剤としては、例えば、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート付加物(日本ポリウレタン工業株式会社製、商品名「コロネートL」)、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート付加物(日本ポリウレタン工業株式会社製、商品名「コロネートHL」)、商品名「コロネートHX」(日本ポリウレタン工業株式会社)、トリメチロールプロパン/キシリレンジイソシアネート付加物(三井化学株式会社製、商品名「タケネート110N」)などの市販品も挙げられる。
【0069】
エポキシ系架橋剤(多官能エポキシ化合物)としては、例えば、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-m-キシレンジアミン、ジグリシジルアニリン、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o-フタル酸ジグリシジルエステル、トリグリシジル-トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノール-S-ジグリシジルエーテルの他、分子内にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ系樹脂などが挙げられる。エポキシ系架橋剤としては、商品名「テトラッドC」(三菱ガス化学株式会社製)などの市販品も挙げられる。
【0070】
粘着剤組成物a2中の架橋剤の含有量は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な含有量を採用し得る。このような含有量としては、例えば、本発明の効果をより発現させ得る点で、アクリル系ポリマーの固形分(100重量部)に対して、好ましくは0.005重量部~20重量部であり、より好ましくは0.05重量部~18重量部であり、さらに好ましくは0.01重量部~15重量部であり、特に好ましくは0.1重量部~10重量部である。
【0071】
粘着剤組成物a2は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の成分を含有し得る。このような他の成分としては、例えば、アクリル系ポリマー以外のポリマー成分、架橋促進剤、架橋触媒、シランカップリング剤、粘着付与樹脂(ロジン誘導体、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、油溶性フェノールなど)、老化防止剤、無機充填剤、有機充填剤、金属粉、着色剤(顔料や染料など)、箔状物、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、連鎖移動剤、可塑剤、軟化剤、界面活性剤、帯電防止剤、導電剤、安定剤、表面潤滑剤、レベリング剤、腐食防止剤、耐熱安定剤、重合禁止剤、滑剤、溶剤、触媒などが挙げられる。
【0072】
粘着剤組成物a2は、三環以上の環式構造を有するアクリル系モノマーを主成分として含むモノマー組成物から得られるオリゴマー(X)を含まないことが好ましい。この場合、オリゴマー(X)を得るために用いられるモノマー組成物に含まれる全モノマー成分100重量部に対する、三環以上の環式構造を有するアクリル系モノマーの含有割合は、好ましくは50重量部以上であり、より好ましくは60重量部~99重量部であり、さらに好ましくは70重量部~98重量部であり、特に好ましくは80重量部~96重量部である。粘着剤組成物a2が、三環以上の環式構造を有するアクリル系モノマーを主成分として含むモノマー組成物から得られるオリゴマー(X)を含まないことにより、補強用フィルム越しに光学部材や電子部材の検査がされる際に、検査性がより低下しない、補強用フィルムを提供することができる。
【0073】
三環以上の環式構造を有するアクリル系モノマーとしては、例えば、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、1-アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチルメタクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチルアクリレート、トリシクロペンタニルメタクリレート、トリシクロペンタニルアクリレート、1-アダマンチルメタクリレート、2-メチル-2-アダマンチルメタクリレート、2-メチル-2-アダマンチルアクリレート、2-エチル-2-アダマンチルメタクリレート、2-エチル-2-アダマンチルアクリレートなどが挙げられる。
【0074】
三環以上の環式構造を有するアクリル系モノマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0075】
オリゴマー(X)を得るために用いられるモノマー組成物には、三環以上の環式構造を有するアクリル系モノマー以外に、他のモノマーが含まれていてもよい。このような他のモノマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0076】
他のモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのエポキシ基含有アクリル系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル系モノマー;(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチルなどのヒドロキシル基含有モノマー;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエンなどのオレフィン系モノマー;ビニルエーテルなどのビニルエーテル系モノマー;などが挙げられる。
【0077】
他のモノマーとしては、また、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、ジビニルベンゼン、ブチルジ(メタ)アクリレート、ヘキシルジ(メタ)アクリレートなどの多官能モノマーも挙げられる。
【0078】
他のモノマーとしては、また、窒素原子含有モノマー(例えば、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N-ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t-ブチルアミノエチルなどの(メタ)アクリル酸アミノアルキル系モノマー;(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシ(メタ)アクリルアミドなどの(N-置換)アミド系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアノアクリレート系モノマー;2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート等のイソシアネート基含有モノマーなど)も挙げられる。
【0079】
粘着剤組成物a2は、オリゴマー(X)以外のオリゴマー(Y)を含んでいてもよい。しかし、本発明の効果をより発現させ得る点で、オリゴマー(Y)の含有量は少ないほうが好ましい。
【0080】
本発明の効果をより発現させ得る点で、粘着剤組成物a2中のオリゴマー(Y)の含有割合は、粘着剤組成物a2に含まれるアクリル系ポリマー100重量部に対して、好ましくは50重量部以下であり、より好ましくは40重量部以下であり、さらに好ましくは30重量部以下であり、特に好ましくは25重量部以下である。
【0081】
オリゴマー(Y)は、好ましくは、二環以下の環式構造を有するアクリル系モノマーを主成分とし、かつ、カルボキシル基含有モノマーをモノマー成分全量100重量部に対して1重量部~10重量部含んでいるモノマー組成物から得られるオリゴマーである。
【0082】
二環以下の環式構造としては、芳香族性環、非芳香族性環のいずれであってもよいが、非芳香族性環が好ましい。芳香族性環としては、例えば、芳香族炭化水素環(例えば、ベンゼン環や、ナフタレン等における縮合炭素環など)や各種芳香族性複素環などが挙げられる。非芳香族性環としては、非芳香族性脂環式環(シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環などのシクロアルカン環;シクロヘキセン環などのシクロアルケン環など)、非芳香族性橋かけ環(例えば、ピナン、ピネン、ボルナン、ノルボルナン、ノルボルネンなどにおける二環式炭化水素環)などが挙げられる。
【0083】
二環以下の環式構造を有するアクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル、(メタ)アクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸アリールエステル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル等の(メタ)アクリル酸アリールオキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸アリールアルキルエステル、スチレンやα-メチルスチレン等のスチレン系モノマーなどの分子内に環状構造を有するエチレン性不飽和単量体が挙げられる。
【0084】
二環以下の環式構造を有するアクリル系モノマーとしては、好ましくは、メタクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニルなどの非芳香族性環を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられ、透明性の観点から、より好ましくは、メタクリル酸シクロヘキシルが挙げられる。
【0085】
二環以下の環式構造を有するアクリル系モノマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0086】
オリゴマー(Y)を得るために用いられるモノマー組成物に含まれる全モノマー成分100重量部に対する、二環以下の環式構造を有するアクリル系モノマーの含有割合は、好ましくは50重量部~99重量部であり、より好ましくは70重量部~99重量部であり、さらに好ましくは80重量部~98重量部であり、特に好ましくは90重量部~97重量部であり、最も好ましくは92重量部~96重量部である。
【0087】
オリゴマー(Y)は、モノマー成分としてカルボキシル基含有モノマーを含んでいてもよい。このようなカルボキシル基含有モノマーとしては、アクリル系ポリマーを構成し得るカルボキシル基含有モノマーと同様に、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸などが挙げられる。また、これらのカルボキシル基含有モノマーの酸無水物(例えば、無水マレイン酸、無水イコタン酸などの酸無水物基含有モノマー)も、カルボキシル基含有モノマーとして挙げられる。
【0088】
オリゴマー(Y)を得るために用いられるモノマー組成物に含まれる全モノマー成分100重量部に対する、カルボキシル基含有モノマーの含有割合は、好ましくは1重量部~10重量部であり、好ましくは2重量部~9重量部であり、さらに好ましくは3重量部~8重量部であり、特に好ましくは4重量部~7重量部である。
【0089】
オリゴマー(Y)を得るために用いられるモノマー組成物には、二環以下の環式構造を有するアクリル系モノマー以外に、他のモノマーが含まれていてもよい。このような他のモノマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0090】
他のモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのエポキシ基含有アクリル系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル系モノマー;(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチルなどのヒドロキシル基含有モノマー;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエンなどのオレフィン系モノマー;ビニルエーテルなどのビニルエーテル系モノマー;などが挙げられる。
【0091】
他のモノマーとしては、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、ジビニルベンゼン、ブチルジ(メタ)アクリレート、ヘキシルジ(メタ)アクリレートなどの多官能モノマーも挙げられる。
【0092】
他のモノマーとしては、窒素原子含有モノマー(例えば、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N-ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t-ブチルアミノエチルなどの(メタ)アクリル酸アミノアルキル系モノマー;(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシ(メタ)アクリルアミドなどの(N-置換)アミド系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアノアクリレート系モノマー;2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート等のイソシアネート基含有モノマーなど)も挙げられる。しかしながら、このような窒素原子含有モノマーは加熱下における粘着剤黄変の原因となり得るため、用いなくてもよい場合は用いないことが好ましい。
【0093】
オリゴマー(X)やオリゴマー(Y)は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な重合方法により調製することができる。アクリル系ポリマーの重合方法としては、例えば、溶液重合方法、乳化重合方法、塊状重合方法、紫外線照射による重合方法などが挙げられ、透明性、耐水性、コストなどの点で、溶液重合方法が好ましい。
【0094】
重合に際して用いられ得る重合開始剤、連鎖移動剤などは、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なものを採用し得る。
【0095】
重合開始剤の使用量は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な量を採用し得る。このような使用量としては、例えば、モノマー成分全量に対して0.1重量%~15重量%が好ましい。
【0096】
連鎖移動剤の使用量は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な量を採用し得る。このような使用量としては、例えば、モノマー成分全量に対して0.01重量%~15重量%が好ましい。
【0097】
溶液重合方法においては、各種の一般的な溶剤を用いることができる。このような溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n-ブチル等のエステル類;トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類;n-ヘキサン、n-ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;などの有機溶剤が挙げられる。溶剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0098】
オリゴマー(X)、(Y)は、重量平均分子量が、好ましくは3000~6000であり、より好ましくは3300~5500であり、さらに好ましくは3500~5000である。
【0099】
オリゴマー(X)、(Y)の重量平均分子量は、重合開始剤や連鎖移動剤の種類やその使用量、重合の際の温度や時間の他、モノマー濃度、モノマー滴下速度などによりコントロールすることができる。
【0100】
粘着剤組成物a2がアクリル系ポリマーとオリゴマーを含んでいる場合において、アクリル系ポリマーとオリゴマーとの割合としては、オリゴマーが、アクリル系ポリマー100重量部に対して、好ましくは10重量部~35重量部であり、より好ましくは15重量部~30重量部である。粘着剤組成物a2がアクリル系ポリマーとオリゴマーを含んでいる場合において、アクリル系ポリマーとオリゴマーとの割合が上記範囲内にあれば、本発明の効果をより発現し得る。
【0101】
粘着剤組成物a2には、必要に応じて、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、老化防止剤、粘着付与剤、可塑剤、軟化剤、充填剤、着色剤(顔料や染料など)、界面活性剤、帯電防止剤などの公知の添加剤が含まれていてもよい。
【0102】
<1-3.剥離シート>
粘着剤層A2の表面には、保護のために、剥離シートが設けられていてもよい。剥離シートは、1層であってもよいし、2層以上であってもよい。
【0103】
剥離シートの厚みとしては、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは5μm~300μmであり、より好ましくは10μm~200μmであり、さらに好ましくは10μm~150μmであり、特に好ましくは10μm~130μmであり、最も好ましくは20μm~120μmである。
【0104】
剥離シートは、樹脂基材フィルムを含む。
【0105】
樹脂基材フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂から構成されるプラスチックフィルム;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)等のα-オレフィンをモノマー成分とするオレフィン系樹脂から構成されるプラスチックフィルム;ポリ塩化ビニル(PVC)から構成されるプラスチックフィルム;酢酸ビニル系樹脂から構成されるプラスチックフィルム;ポリカーボネート(PC)から構成されるプラスチックフィルム;ポリフェニレンスルフィド(PPS)から構成されるプラスチックフィルム;ポリアミド(ナイロン)、全芳香族ポリアミド(アラミド)等のアミド系樹脂から構成されるプラスチックフィルム;ポリイミド系樹脂から構成されるプラスチックフィルム;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から構成されるプラスチックフィルム;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のオレフィン系樹脂から構成されるプラスチックフィルム;ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン-フッ化ビニリデン共重合体などのフッ素系樹脂などから構成されるプラスチックフィルム;などが挙げられる。
【0106】
樹脂基材フィルムは、1層のみであってもよいし、2層以上であってもよい。樹脂基材フィルムは、延伸されたものであってもよい。
【0107】
樹脂基材フィルムは、表面処理が施されていてもよい。表面処理としては、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理、下塗り剤によるコーティング処理などが挙げられる。
【0108】
樹脂基材フィルムには、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な添加剤が含まれていてもよい。
【0109】
剥離シートは、粘着剤層A2からの剥離性を高めるため、離型層を有していてもよい。剥離シートが離型層を有する場合、離型層の側が、粘着剤層A2に直接に積層されてなる。
【0110】
離型層の形成材料は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な形成材料を採用し得る。このような形成材料としては、例えば、シリコーン系離型剤、フッ素系離型剤、長鎖アルキル系離型剤、脂肪酸アミド系離型剤などが挙げられる。これらのなかでも、シリコーン系離型剤が好ましい。離型層は、塗布層として形成することができる。
【0111】
離型層の厚みとしては、本発明の効果を損なわない範囲で、目的に応じて、任意の適切な厚みを採用し得る。このような厚みとしては、好ましくは10nm~2000nmであり、より好ましくは10nm~1500nmであり、さらに好ましくは10nm~1000nmであり、特に好ましくは10nm~500nmである。
【0112】
離型層は、1層のみであってもよいし、2層以上であってもよい。
【0113】
シリコーン系離型層としては、例えば、付加反応型シリコーン樹脂が挙げられる。付加反応型シリコーン樹脂としては、具体的には、例えば、信越化学工業製のKS-774、KS-775、KS-778、KS-779H、KS-847H、KS-847T;東芝シリコーン製のTPR-6700、TPR-6710、TPR-6721;東レ・ダウ・コーニング製のSD7220、SD7226;などが挙げられる。シリコーン系離型層の塗布量(乾燥後)は、好ましくは0.01g/m~2g/mであり、より好ましくは0.01g/m~1g/mであり、さらに好ましくは0.01g/m~0.5g/mである。
【0114】
離型層の形成は、例えば、上記の形成材料を、任意の適切な層上に、リバースグラビアコート、バーコート、ダイコート等、従来公知の塗布方式により塗布した後に、通常、120~200℃程度で熱処理を施すことにより硬化させることにより行うことができる。また、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。
【0115】
剥離シートは、帯電防止層を有していてもよい。
【0116】
帯電防止層の厚みとしては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な厚みを採用し得る。このような厚みとしては、好ましくは1nm~1000nmであり、より好ましくは5nm~900nmであり、さらに好ましくは7.5nm~800nmであり、特に好ましくは10nm~700nmである。
【0117】
帯電防止層は、1層のみであってもよいし、2層以上であってもよい。
【0118】
帯電防止層としては、帯電防止効果を奏することができる層であれば、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な帯電防止層を採用し得る。このような帯電防止層としては、好ましくは、導電性ポリマーを含む導電コート液を任意の適切な基材層上にコーティングして形成される帯電防止層である。具体的には、例えば、導電性ポリマーを含む導電コート液を樹脂基材フィルム上にコーティングして形成される帯電防止層である。具体的なコーティングの方法としては、ロールコート法、バーコート法、グラビアコート法などが挙げられる。
【0119】
導電性ポリマーとしては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な導電性ポリマーを採用し得る。このような導電性ポリマーとしては、例えば、π共役系導電性ポリマーにポリアニオンがドープされた導電性ポリマーなどが挙げられる。π共役系導電性ポリマーとしては、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレンなどの鎖状導電性ポリマーが挙げられる。ポリアニオンとしては、ポリスチレンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリアクリル酸エチルスルホン酸、ポリメタクリルカルボン酸などが挙げられる。導電性ポリマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0120】
<1-4.機能層A3>
【0121】
補強用フィルムは、機能層A3と基材層A1と粘着剤層A2をこの順に含んでいてもよい。すなわち、補強用フィルムの別の一つの実施形態は、図2に示すように、機能層A3(30)と基材層A1(10)と粘着剤層A2(20)とからなる。
【0122】
機能層A3は、任意に備えられていてもよい層であり、補強用フィルムに各種機能を付与し得る層である。
【0123】
機能層A3の厚みとしては、本発明の効果を損なわない範囲で、目的に応じて、任意の適切な厚みを採用し得る。このような厚みとしては、好ましくは1nm~1000nmであり、より好ましくは2nm~800nmであり、さらに好ましくは5nm~400nmであり、特に好ましくは10nm~200nmである。
【0124】
機能層A3は、1層のみであってもよいし、2層以上であってもよい。
【0125】
機能層A3としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な機能層を採用し得る。このような機能層としては、例えば、帯電防止層、反射防止層、アンチグレア層、ハードコート層などが挙げられ、本発明の効果をより発現させ得る点では、反射防止層が選択され得る。
【0126】
反射防止層としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な反射防止層を採用し得る。このような反射防止層としては、例えば、特開2019-144577号公報などに記載の反射防止層が挙げられる。
【0127】
機能層A3としては、帯電防止効果を発現させるために、帯電防止層も好ましく選択され得る。
【0128】
機能層A3として、反射防止層と帯電防止層の両方が選択される場合は、反射防止層の機能をより発現させ得る点で、基材層A1側に帯電防止層を配置することが好ましい。
【0129】
帯電防止層としては、帯電防止効果を奏することができる層であれば、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な帯電防止層を採用し得る。このような帯電防止層としては、好ましくは、導電性ポリマーを含む導電コート液を任意の適切な基材層上にコーティングして形成される帯電防止層である。具体的には、例えば、導電性ポリマーを含む導電コート液を基材層A1上にコーティングして形成される帯電防止層である。具体的なコーティングの方法としては、ロールコート法、バーコート法、グラビアコート法などが挙げられる。
【0130】
導電性ポリマーとしては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な導電性ポリマーを採用し得る。このような導電性ポリマーとしては、例えば、π共役系導電性ポリマーにポリアニオンがドープされた導電性ポリマーなどが挙げられる。π共役系導電性ポリマーとしては、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレンなどの鎖状導電性ポリマーが挙げられる。ポリアニオンとしては、ポリスチレンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリアクリル酸エチルスルホン酸、ポリメタクリルカルボン酸などが挙げられる。
【0131】
<1-5.補強用フィルムの用途、補強用フィルム付光学部材、補強用フィルム付電子部材>
本発明の補強用フィルムは、任意の適切な部材である被着体に貼り付けられる。代表的には、本発明の補強用フィルムは、光学部材または電子部材である被着体に貼り付けられる。この場合、本発明の補強用フィルムの粘着剤層A2の露出面側が、光学部材または電子部材である被着体に貼り付けられる。このようにして、本発明の補強用フィルム付光学部材または補強用フィルム付電子部材が得られる。すなわち、本発明の補強用フィルム付光学部材または補強用フィルム付電子部材は、本発明の補強用フィルムを備える。
【0132】
≪2.表面保護フィルム≫
表面保護フィルムは、補強用フィルムの基材層A1側に配置される。基材層A1が機能層A3を有する場合は、機能層A3の側に表面保護フィルムが配置される。
【0133】
表面保護フィルムの厚みとしては、本発明の効果を損なわない範囲で、目的に応じて、任意の適切な厚みを採用し得る。このような厚みとしては、好ましくは4μm~500μmであり、より好ましくは10μm~400μmであり、さらに好ましくは15μm~350μmであり、特に好ましくは20μm~300μmである。
【0134】
表面保護フィルムは、基材層B1と粘着剤層B2を含む。表面保護フィルムは、基材層B1と粘着剤層B2を有していれば、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の層を有していてもよい。
【0135】
粘着剤層B2の表面には、保護のために、剥離シートが設けられていてもよい。
【0136】
基材層B1の表面には、各種機能を付与するために、機能層B3が設けられていてもよい。
【0137】
表面保護フィルムの厚みとしては、本発明の効果を損なわない範囲で、目的に応じて、任意の適切な厚みを採用し得る。このような厚みとしては、好ましくは5μm~500μmであり、より好ましくは10μm~450μmであり、さらに好ましくは15μm~400μmであり、特に好ましくは20μm~300μmである。
【0138】
表面保護フィルムの一つの実施形態は、図3に示すように、基材層B1(40)と粘着剤層B2(50)と剥離シート(60)とからなる。
【0139】
表面保護フィルムの一つの実施形態は、図4に示すように、機能層B3(70)と基材層B1(40)と粘着剤層B2(50)と剥離シート(60)とからなる。
【0140】
<2-1.基材層B1>
基材層B1としては、本発明の効果を損なわない範囲で、目的に応じて、任意の適切な材料から形成される基材を採用し得る。このような材料としては、例えば、<1-1.基材層A1>の項目で例示したものが挙げられる。
【0141】
基材層B1は、1層のみであってもよいし、2層以上であってもよい。
【0142】
基材層B1の厚みとしては、本発明の効果を損なわない範囲で、目的に応じて、任意の適切な厚みを採用し得る。このような厚みとしては、好ましくは4μm~350μmであり、より好ましくは8μm~325μmであり、さらに好ましくは12μm~290μmであり、特に好ましくは15μm~205μmである。
【0143】
基材層B1は、帯電防止剤を含んでいてもよい。帯電防止剤を含む基材層B1としては、例えば、帯電防止剤が練り込まれた樹脂シートが用いられ得る。このような樹脂シートは、樹脂と帯電防止剤とを含む基材層B1形成用組成物から形成され得る。
【0144】
基材層B1そのものが帯電防止剤として作用してもよい。例えば、基材層B1の材料として金属箔を採用する場合は、基材層B1そのものが帯電防止剤として作用し得る。
【0145】
基材層B1は、表面処理が施されていてもよい。表面処理としては、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理、下塗り剤によるコーティング処理などが挙げられる。
【0146】
有機コーティング材料としては、例えば、<1-1.基材層A1>の項目で例示したものが挙げられる。
【0147】
基材層B1には、本発明の効果を損なわない範囲で、目的に応じて、任意の適切な他の添加剤が含まれていてもよい。
【0148】
<2-2.粘着剤層B2>
粘着剤層B2の厚みとしては、本発明の効果を損なわない範囲で、目的に応じて、任意の適切な厚みを採用し得る。このような厚みとしては、好ましくは1μm~150μmであり、より好ましくは2μm~125μmであり、さらに好ましくは3μm~110μmであり、特に好ましくは5μm~95μmである。
【0149】
粘着剤層B2としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な粘着剤から構成される粘着剤層を採用し得る。このような粘着剤としては、例えば、特開2019-127526号公報に記載の粘着剤層を構成する粘着剤が挙げられ、好ましくは、該公報に記載の、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
【0150】
<2-3.剥離シート>
粘着剤層B2の表面には、保護のために、剥離シートが設けられていてもよい。剥離シートは、1層であってもよいし、2層以上であってもよい。
【0151】
表面保護フィルムが有し得る剥離シートについては、<1-3.剥離シート>の項目での説明を援用し得る。
【0152】
<2-4.機能層B3>
【0153】
表面保護フィルムは、機能層B3と基材層B1と粘着剤層B2をこの順に含んでいてもよい。
【0154】
機能層B3は、任意に備えられていてもよい層であり、補強用フィルムに各種機能を付与し得る層である。
【0155】
機能層B3の厚みとしては、本発明の効果を損なわない範囲で、目的に応じて、任意の適切な厚みを採用し得る。このような厚みとしては、好ましくは1nm~1000nmであり、より好ましくは2nm~800nmであり、さらに好ましくは5nm~400nmであり、特に好ましくは10nm~200nmである。
【0156】
機能層B3は、1層のみであってもよいし、2層以上であってもよい。
【0157】
機能層B3については、<1-4.機能層A3>の項目での説明を援用し得る。
【0158】
≪3.表面保護フィルム付補強用フィルム≫
本発明の表面保護フィルム付補強用フィルムは、本発明の補強用フィルムの基材層A1側に表面保護フィルムを備える。本発明の補強用フィルムが基材層A1上にさらに機能層A3を有する場合は、該機能層A3の表面に、表面保護フィルムが備えられる。
【0159】
本発明の表面保護フィルム付補強用フィルムは、補強用フィルムと表面保護フィルムを有する。本発明の表面保護フィルム付補強用フィルムは、補強用フィルムと表面保護フィルムを有していれば、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の層を有していてもよい。
【0160】
本発明の表面保護フィルム付補強用フィルムにおいては、補強用フィルムが基材層A1と粘着剤層A2を含み、表面保護フィルムが基材層B1と粘着剤層B2を含む。
【0161】
本発明の表面保護フィルム付補強用フィルムの厚みとしては、本発明の効果を損なわない範囲で、目的に応じて、任意の適切な厚みを採用し得る。このような厚みとしては、好ましくは9μm~1300μmであり、より好ましくは20μm~1050μmであり、さらに好ましくは35μm~900μmであり、特に好ましくは45μm~750μmである。
【0162】
本発明の表面保護フィルム付補強用フィルムは、補強用フィルムと表面保護フィルムを、基材層A1(基材層A1上にさらに機能層A3を有する場合は、該機能層A3)と表面保護フィルムの粘着剤層B2(粘着剤層B2上に剥離シートが設けられている場合は、該剥離シートを剥離して露出させた粘着剤層B2)が直接に積層されてなるように張り合わせることにより得ることができる。
【0163】
本発明の表面保護フィルム付補強用フィルムの一つの実施形態は、図5に示すように、基材層A1(10)と粘着剤層A2(20)とからなる補強用フィルムと、基材層B1(40)と粘着剤層B2(50)からなる表面保護フィルムとが、基材層A1(10)と粘着剤層B2(50)が直接に積層されてなるように張り合わせられた形態である。
【0164】
≪4.補強用フィルムの使用形態≫
本発明の補強用フィルムは、代表的には、光学部材または電子部材である被着体に貼り付けられる。具体的には、本発明の補強用フィルムの粘着剤層A2の露出面が、光学部材または電子部材である被着体に貼り付けられる。粘着剤層A2の表面に剥離シートが設けられている場合は、該剥離シートを剥離して露出した粘着剤層A2が、光学部材または電子部材である被着体に貼り付けられる。
【0165】
上記光学部材または電子部材である被着体としては、例えば、LED、マイクロLED、ミニLED、OLEDが挙げられる。このような被着体として、代表的には、OLEDである。
【0166】
本発明の補強用フィルムが発現する効果をより活用させ得る点で、上記OLEDは、好ましくは、フォルダブル部材、フレキシブル部材、およびローラブル部材からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
【0167】
フォルダブル部材は、可動屈曲部を有する(折りたたむことが可能な)部材であり、フレキシブル部材は、曲げることが可能な部材であり、ローラブル部材は、丸めることが可能な部材である。
【0168】
≪5.表面保護フィルム付補強用フィルムの使用方法≫
本発明の表面保護フィルム付積層フィルムの使用方法は、本発明の表面保護フィルム付補強用フィルムが備える粘着剤層A2を露出させて該粘着剤層A2を被着体に貼り付け、次いで、表面保護フィルムを剥離する。本発明の表面保護フィルム付補強用フィルムにおいて、粘着剤層A2の表面に剥離シートが設けられている場合は、まず、剥離シートを剥がして粘着剤層A2の一方の粘着剤層表面を露出させ、該粘着剤層表面を、被着体に貼り付ける。次いで、表面保護フィルムを剥離する。
【0169】
このようにして、補強用フィルムが被着体に貼り付けられた部材が得られる。
【実施例
【0170】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。なお、実施例等における、試験および評価方法は以下のとおりである。なお、「部」と記載されている場合は、特記事項がない限り「重量部」を意味し、「%」と記載されている場合は、特記事項がない限り「重量%」を意味する。
【0171】
<重量平均分子量の測定>
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法により測定した。具体的には、GPC測定装置として、商品名「HLC-8120GPC」(東ソー株式会社製)を用いて、下記の条件にて測定し、標準ポリスチレン換算値により算出した。
(分子量測定条件)
・サンプル濃度:0.2重量%(テトラヒドロフラン溶液)
・サンプル注入量:10μL
・カラム:商品名「TSKguardcolumn SuperHZ-H(1本)+TSKgel SuperHZM-H(2本)」(東ソー株式会社製)
・リファレンスカラム:商品名「TSKgel SuperH-RC(1本)」(東ソー株式会社製)
・溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
・流量:0.6mL/min
・検出器:示差屈折計(RI)
・カラム温度(測定温度):40℃
【0172】
<波長590nmにおける面内位相差の変化率の絶対値>
実施例または比較例で得られた補強用フィルムから剥離シートを剥がして、偏光・位相差測定システム(Axometrics製、「AxoScan」)により、測定波長590nmで基材側からの面内位相差Rを測定し、面内位相差R1(nm)とした。次いで、実施例または比較例で得られた補強用フィルムを、60℃、90%RHの環境下で1週間保管した後、23℃で30分放置して室温に戻し、剥離シートを剥がした後、残った補強用フィルムについて同様に、基材側からの面内位相差Rを測定し、面内位相差R2(nm)とした。得られた面内位相差R1(nm)と面内位相差R2(nm)の値を用いて、波長590nmにおける面内位相差(R)の変化率の絶対値ΔR(nm)=|(R2-R1)/(R1)×100|を算出した。
【0173】
<ヘイズ変化率>
実施例または比較例で得られた補強用フィルムから剥離シートを剥がして、ヘイズをヘイズメータ(村上色彩社製、型式:HM-150)で測定し、ヘイズH1(%)を求めた。次いで、実施例または比較例で得られた補強用フィルムを、60℃、90%RHの環境下で1週間保管した後、23℃で30分放置して室温に戻し、剥離シートを剥離した後、残った補強用フィルムについて同様にヘイズを測定し、ヘイズH2(%)を求めた。得られたヘイズの値を用いて、ヘイズ変化率ΔH(%)=(H2-H1)/(H1)×100を算出した。
【0174】
<全光線透過率>
実施例または比較例で得られる補強用フィルムから剥離シートを剥がし、580nmおける透過率を、分光光度計(日立製作所社製、型式:U-4100)を用いて測定した。
【0175】
<対PETフィルム粘着力>
剥離シートを剥がした補強用フィルム(幅25mm×長さ140mm)を、ガラスに裏打ちをしたPETフィルム「ルミラーS10#25」(東レ株式会社製)へ2kgハンドローラー1往復にて貼着した。その後、23℃の環境温度下で30分間放置した。
上記のようにして得られた評価用試料を、引っ張り試験機にて測定した。引っ張り試験機としては、島津製作所社製の商品名「オートグラフAG-Xplus HS 6000mm/min高速モデル(AG-50NX plus)」を用いた。引っ張り試験機に評価用試料をセットした後、引っ張り試験を開始した。引っ張り試験の条件は、剥離角度:180度、剥離速度(引っ張り速度):300mm/分とした。上記PETフィルムから補強用フィルムを剥離した時の荷重を測定し、その際の平均荷重を補強用フィルムの対PETフィルム粘着力とした。
【0176】
<対PETフィルム粘着力(60℃×60分間加熱後)>
剥離シートを剥がした補強用フィルム(幅25mm×長さ140mm)を、ガラスに裏打ちをしたPETフィルム「ルミラーS10#25」(東レ株式会社製)へ2kgハンドローラー1往復にて貼着した。その後、60℃の環境温度下で60分間放置した。
上記のようにして得られた評価用試料を、引っ張り試験機にて測定した。引っ張り試験機としては、島津製作所社製の商品名「オートグラフAG-Xplus HS 6000mm/min高速モデル(AG-50NX plus)」を用いた。引っ張り試験機に評価用試料をセットした後、引っ張り試験を開始した。引っ張り試験の条件は、剥離角度:180度、剥離速度(引っ張り速度):300mm/分とした。上記PETフィルムから補強用フィルムを剥離した時の荷重を測定し、その際の平均荷重を補強用フィルムの対PETフィルム粘着力とした。
【0177】
<虹ムラ>
実施例または比較例で得られた補強用フィルムから剥離シートを剥がして、偏光板の透過軸方向とフィルム基材のMD方向とが平行になるように貼り合せた。補強用フィルム上に、別の偏光板を、補強用フィルムに貼り合せた偏光板とクロスニコルとなるように配置した。一方の偏光板の下側から蛍光灯の光を照射し、透過光の目視により、虹ムラの発生有無を評価した。虹ムラが確認されなかったものをOK、虹ムラが確認されたものをNGとした。
【0178】
〔製造例1〕:(メタ)アクリル系重合体(1)の製造
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた四つ口フラスコに、2-エチルヘキシルアクリレート(日本触媒社製):65部、N-ビニルピロリドン(日本触媒社製):15部、ヒドロキシエチルアクリレート(東亜合成社製):13部、メチルメタクリレート(三菱瓦斯化学社製):7部、重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(和光純薬工業社製):0.2部、酢酸エチル:156重量部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を63℃付近に保って10時間重合反応を行い、重量平均分子量70万の(メタ)アクリル系重合体(1)の溶液(固形分濃度=40重量%)を調製した。
【0179】
〔製造例2〕:(メタ)アクリル系重合体(2)の製造
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた四つ口フラスコに、ブチルアクリレート(日本触媒社製):100部、アクリル酸(東亜合成社製):7.5部、重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(和光純薬工業社製):0.2部、酢酸エチル:156重量部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を63℃付近に保って10時間重合反応を行い、重量平均分子量70万の(メタ)アクリル系重合体(2)の溶液(固形分濃度=40重量%)を調製した。
【0180】
〔製造例3〕:(メタ)アクリル系重合体(3)の製造
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた四つ口フラスコに、2-エチルヘキシルアクリレート(日本触媒社製):96部、ヒドロキシエチルアクリレート(東亜合成社製):4部、重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(和光純薬工業社製):0.2部、酢酸エチル:156重量部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を63℃付近に保って10時間重合反応を行い、重量平均分子量50万の(メタ)アクリル系重合体(3)の溶液(固形分濃度=40重量%)を調製した。
【0181】
〔製造例4〕:(メタ)アクリル系オリゴマー(4)の製造
モノマー成分としてメタクリル酸シクロヘキシル[ホモポリマー(ポリメタクリル酸シクロヘキシル)のガラス転移温度:66℃]:95重量部、アクリル酸:5重量部、連鎖移動剤として2-メルカプトエタノール:3重量部、重合開始剤として2,2´-アゾビスイソブチロニトリル:0.2重量部、および重合溶媒としてトルエン:103.2重量部を、セパラブルフラスコに投入し、窒素ガスを導入しながら、1時間攪拌した。このようにして、重合系内の酸素を除去した後、70℃に昇温し、3時間反応させ、さらに、75℃で2時間反応させ、重量平均分子量4000の(メタ)アクリル系オリゴマー(4)の溶液(固形分濃度=50重量%)を調製した。
【0182】
〔製造例5〕:(メタ)アクリル系オリゴマー(5)の製造
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器、滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、トルエン100重量部、ジシクロペンタニルメタクリレート(DCPMA)(商品名:FA-513M、日立化成工業社製):60重量部、メチルメタクリレート(MMA):40重量部、および連鎖移動剤としてチオグリコール酸メチル:3.5重量部を投入した。そして、70℃にて窒素雰囲気下で1時間攪拌した後、重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチロニトリル:0.2重量部を投入し、70℃で2時間反応させ、続いて80℃で4時間反応させた後に、90℃で1時間反応させ、重量平均分子量4000の(メタ)アクリル系オリゴマー(5)の溶液(固形分濃度=51重量%)を調製した。
【0183】
〔製造例6〕:(メタ)アクリル系オリゴマー(6)の製造
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器、滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、トルエン100重量部、メチルメタクリレート(MMA)40重量部、ブチルメタクリレート(BMA)20重量部、2-エチルヘキシルメタクリレート(2-EHMA)20重量部、官能基当量が900g/molのポリオルガノシロキサン骨格含有メタクリレートモノマー(商品名:X-22-174ASX、信越化学工業株式会社製)17重量部、官能基当量が4600g/molのポリオルガノシロキサン骨格含有メタクリレートモノマー(商品名:X-22-174DX、信越化学工業株式会社製)3重量部、および連鎖移動剤としてチオグリコール酸メチル0.51重量部を、投入した。そして、70℃にて窒素雰囲気下で1時間撹拌した後、熱重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.2重量部を投入し、70℃で2時間反応させた後に、熱重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を投入し、続いて80℃で5時間反応させ、重量平均分子量21300の(メタ)アクリル系オリゴマー(6)の溶液(固形分濃度=50重量%)を調製した。
【0184】
〔製造例7〕:(メタ)アクリル系粘着剤組成物(1)の製造
製造例1で得られた(メタ)アクリル系重合体(1)の溶液に、(メタ)アクリル系重合体(1)の溶液の固形分100重量部に対して、架橋剤としてコロネートHL(日本ポリウレタン社製)を固形分換算で1.0重量部を加えて、全体の固形分が25重量%となるように酢酸エチルで希釈し、ディスパーで攪拌し、(メタ)アクリル系粘着剤組成物(1)を調製した。
【0185】
〔製造例8〕:(メタ)アクリル系粘着剤組成物(2)の製造
製造例2で得られた(メタ)アクリル系重合体(2)の溶液に、(メタ)アクリル系重合体(2)の溶液の固形分100重量部に対して、架橋剤としてTETRAD-C(三菱瓦斯化学社製)を固形分換算で0.075重量部、製造例4で得られた(メタ)アクリル系オリゴマー(4)の溶液を固形分換算で20重量部を加えて、溶液全体の固形分が25重量%となるように酢酸エチルで希釈し、ディスパーで攪拌し、(メタ)アクリル系粘着剤組成物(2)を調製した。
【0186】
〔製造例9〕:(メタ)アクリル系粘着剤組成物(3)の製造
製造例3で得られた(メタ)アクリル系重合体(3)の溶液に、(メタ)アクリル系重合体(3)の溶液の固形分100重量部に対して、架橋剤としてコロネートHL(日本ポリウレタン社製)を固形分換算で0.1重量部を、製造例5で得られた(メタ)アクリル系オリゴマー(5)の溶液を固形分換算で5重量部を加えて、全体の固形分が25重量%となるように酢酸エチルで希釈し、ディスパーで攪拌し、(メタ)アクリル系粘着剤組成物(3)を調製した。
【0187】
〔製造例10〕:(メタ)アクリル系粘着剤組成物(4)の製造
製造例3で得られた(メタ)アクリル系重合体(3)の溶液に、(メタ)アクリル系重合体(3)の溶液の固形分100重量部に対して、架橋剤としてコロネートHL(日本ポリウレタン社製)を固形分換算で0.1重量部を、製造例5で得られた(メタ)アクリル系オリゴマー(5)の溶液を固形分換算で7.5重量部を加えて、全体の固形分が25重量%となるように酢酸エチルで希釈し、ディスパーで攪拌し、(メタ)アクリル系粘着剤組成物(4)を調製した。
【0188】
〔製造例11〕:(メタ)アクリル系粘着剤組成物(5)の製造
製造例3で得られた(メタ)アクリル系重合体(3)の溶液に、(メタ)アクリル系重合体(3)の溶液の固形分100重量部に対して、架橋剤としてコロネートHL(日本ポリウレタン社製)を固形分換算で0.1重量部を、製造例5で得られた(メタ)アクリル系オリゴマー(5)の溶液を固形分換算で10重量部を加えて、全体の固形分が25重量%となるように酢酸エチルで希釈し、ディスパーで攪拌し、(メタ)アクリル系粘着剤組成物(5)を調製した。
【0189】
〔製造例12〕:(メタ)アクリル系粘着剤組成物(6)の製造
製造例3で得られた(メタ)アクリル系重合体(3)の溶液に、(メタ)アクリル系重合体(3)の溶液の固形分100重量部に対して、架橋剤としてコロネートHL(日本ポリウレタン社製)を固形分換算で4.0重量部を加えて、全体の固形分が25重量%となるように酢酸エチルで希釈し、ディスパーで攪拌し、(メタ)アクリル系粘着剤組成物(6)を調製した。
【0190】
〔製造例13〕:(メタ)アクリル系粘着剤組成物(7)の製造
製造例1で得られた(メタ)アクリル系重合体(1)の溶液に、(メタ)アクリル系重合体(1)の溶液の固形分100重量部に対して、架橋剤としてコロネートHL(日本ポリウレタン社製)を固形分換算で1.0重量部を、製造例6で得られた(メタ)アクリル系オリゴマー(6)の溶液を固形分換算で2.0重量部を加えて、全体の固形分が25重量%となるように酢酸エチルで希釈し、ディスパーで攪拌し、(メタ)アクリル系粘着剤組成物(7)を調製した。
【0191】
〔製造例14〕:(メタ)アクリル系粘着剤組成物(8)の製造
製造例1で得られた(メタ)アクリル系重合体(1)の溶液に、(メタ)アクリル系重合体(1)の溶液の固形分100重量部に対して、架橋剤としてコロネートHL(日本ポリウレタン社製)を固形分換算で2.5重量部を、製造例6で得られた(メタ)アクリル系オリゴマー(6)の溶液を固形分換算で2.5重量部を加えて、全体の固形分が25重量%となるように酢酸エチルで希釈し、ディスパーで攪拌し、(メタ)アクリル系粘着剤組成物(8)を調製した。
【0192】
〔製造例15〕:反射防止層形成用塗料組成物の製造
200mLのガラス製容器に、エタノール:60g、ZnO微粒子の水分散ゾル(平均一次粒子径:20nm、平均凝集粒子径:40nm、固形分換算濃度:20重量%):30g、テトラエトキシシラン(SiO固形分濃度:29重量%):10gを入れ、アンモニア水溶液を添加してpHを10とし、20℃で6時間撹拌して、コア-シェル粒子の分散液(固形分濃度:6重量%):100gを得た。得られたコア-シェル粒子の分散液:100gに、強酸性カチオン交換樹脂(総交換容量:2.0meq/mL以上)を100g加え、1時間撹拌してpHが4となった後、ろ過により強酸性カチオン交換樹脂を除去し、SiOからなる球状中空微粒子の分散液を得た。得られた分散液を限外ろ過により固形分濃度20重量%まで濃縮した。球状中空微粒子は二次凝集していた。球状中空微粒子の外殻の厚さは5nmであり、平均一次粒子径の1/6であった。球状中空微粒子の平均凝集粒子径は40nm、アスペクト比は1.0であった。
200mLのガラス製容器に、得られた球状中空微粒子の分散液(固形分濃度:20重量%):2g、繊維状中実微粒子の分散液(日産化学工業社製、IPA-ST-UP、平均凝集粒子径(平均一次粒子径):90nm、アスペクト比:7.0、固形分濃度:15重量%):2g、エタノール:90g、ケイ酸オリゴマー溶液(固形分濃度:5重量%):6gを入れ、10分間撹拌して、反射防止層形成用塗料組成物を得た。
【0193】
〔製造例16〕:反射防止層を有するTACフィルム基材(A)の製造
製造例15で得られた反射防止層形成用塗料組成物を、セルローストリアセテート(以下、「TAC」と称することがある)フィルム(TG60UL、富士フイルム社製)の片面に塗布し、回転数200rpmで60秒間スピンコートして均一化した後、200℃で30分間乾燥し、膜厚100nmの反射防止層を形成した。このようにして、反射防止層を有するセルローストリアセテートフィルム基材を得た。
【0194】
〔製造例17〕:反射防止層を有するPETフィルム基材(B)の製造
製造例15で得られた反射防止層形成用塗料組成物を、ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」と称することがある)フィルム(ルミラーU48、東レ社製)の片面に塗布し、回転数200rpmで60秒間スピンコートして均一化した後、200℃で30分間乾燥し、膜厚100nmの反射防止層を形成した。このようにして、反射防止層を有するポリエチレンテレフタレートフィルム基材を得た。
【0195】
〔製造例18〕:表面保護フィルム(C)の製造
製造例13で得られた(メタ)アクリル系粘着剤組成物(7)を、ポリエステル樹脂からなる基材(商品名:「ルミラーS10」、厚み38μm、東レ社製)にファウンテンロールで乾燥後の厚みが21μmとなるように塗布し、乾燥温度130℃、乾燥時間30秒の条件でキュアーして乾燥した。このようにして、基材上に粘着剤層を作製した。次いで、得られた粘着剤層の表面に、一方の面にシリコーン処理を施した厚さ25μmのポリエステル樹脂からなる剥離シート(商品名「MRF25」、厚み25μm、三菱ケミカル株式会社製)のシリコーン処理面を貼合せて、表面保護フィルム(C)を得た。得られた表面保護フィルム(C)は、常温で7日間エージングを行った。
【0196】
〔実施例1〕
(メタ)アクリル系粘着剤組成物(1)を、一方の面にシリコーン処理を施した厚さ25μmのポリエステル樹脂からなる剥離シート(商品名「MRF25」、厚み25μm、三菱ケミカル株式会社製)のシリコーン処理面に、乾燥後の厚みが25μmとなるように塗布し、乾燥温度130℃、乾燥時間3分の条件でキュアーして乾燥した。このようにして、シリコーン処理面に(メタ)アクリル系粘着剤組成物(1)から形成された粘着剤層を設けた。次いで、得られた粘着剤層の表面に、反射防止層を有するTACフィルム基材(A)の反射防止層が施されていない面を貼合せて、補強用フィルム(1)を得た。得られた補強用フィルム(1)は、常温で7日間エージングを行った。結果を表1に示した。
【0197】
〔実施例2〕
表1に示すように、基材を、TACフィルム(TG60UL、富士フイルム社製)に変更した以外は、実施例1と同様に行い、補強用フィルム(2)を得た。結果を表1に示した。
【0198】
〔実施例3〕
表1に示すように、基材を、ポリイミド(以下、「PI」と称することがある)フィルム(ネオプリムS-100、三菱瓦斯化学社製)に変更した以外は、実施例1と同様に行い、補強用フィルム(3)を得た。結果を表1に示した。
【0199】
〔実施例4〕
表1に示すように、(メタ)アクリル系粘着剤組成物(1)を、(メタ)アクリル系粘着剤組成物(2)に変更した以外は、実施例1と同様に行い、補強用フィルム(4)を得た。結果を表1に示した。
【0200】
〔実施例5〕
表1に示すように、(メタ)アクリル系粘着剤組成物(1)を、(メタ)アクリル系粘着剤組成物(2)に変更した以外は、実施例2と同様に行い、補強用フィルム(5)を得た。結果を表1に示した。
【0201】
〔実施例6〕
表1に示すように、(メタ)アクリル系粘着剤組成物(1)を、(メタ)アクリル系粘着剤組成物(7)に変更した以外は、実施例1と同様に行い、補強用フィルム(6)を得た。結果を表1に示した。
【0202】
〔実施例7〕
表1に示すように、(メタ)アクリル系粘着剤組成物(1)を、(メタ)アクリル系粘着剤組成物(7)に変更した以外は、実施例2と同様に行い、補強用フィルム(7)を得た。結果を表1に示した。
【0203】
〔実施例8〕
表1に示すように、(メタ)アクリル系粘着剤組成物(1)を、(メタ)アクリル系粘着剤組成物(7)に変更した以外は、実施例3と同様に行い、補強用フィルム(8)を得た。結果を表1に示した。
【0204】
〔実施例9〕
表1に示すように、(メタ)アクリル系粘着剤組成物(1)を、(メタ)アクリル系粘着剤組成物(8)に変更した以外は、実施例1と同様に行い、補強用フィルム(9)を得た。結果を表1に示した。
【0205】
〔実施例10〕
表1に示すように、(メタ)アクリル系粘着剤組成物(1)を、(メタ)アクリル系粘着剤組成物(8)に変更した以外は、実施例2と同様に行い、補強用フィルム(10)を得た。結果を表1に示した。
【0206】
〔実施例11〕
表1に示すように、(メタ)アクリル系粘着剤組成物(1)を、(メタ)アクリル系粘着剤組成物(8)に変更した以外は、実施例3と同様に行い、補強用フィルム(11)を得た。結果を表1に示した。
【0207】
【表1】
【0208】
〔実施例12〕
実施例1で得られた補強用フィルム(1)の基材上に、製造例18で得られた表面保護フィルム(C)を貼り合わせて、表面保護フィルム付補強用フィルム(12)を得た。
【0209】
〔実施例13〕
実施例2で得られた補強用フィルム(2)の基材上に、製造例18で得られた表面保護フィルム(C)を貼り合わせて、表面保護フィルム付補強用フィルム(13)を得た。
【0210】
〔実施例14〕
実施例3で得られた補強用フィルム(3)の基材上に、製造例18で得られた表面保護フィルム(C)を貼り合わせて、表面保護フィルム付補強用フィルム(14)を得た。
【0211】
〔実施例15〕
実施例4で得られた補強用フィルム(4)の基材上に、製造例18で得られた表面保護フィルム(C)を貼り合わせて、表面保護フィルム付補強用フィルム(15)得た。
【0212】
〔実施例16〕
実施例5で得られた補強用フィルム(5)の基材上に、製造例18で得られた表面保護フィルム(C)を貼り合わせて、表面保護フィルム付補強用フィルム(16)を得た。
【0213】
〔実施例17〕
実施例6で得られた補強用フィルム(6)の基材上に、製造例18で得られた表面保護フィルム(C)を貼り合わせて、表面保護フィルム付補強用フィルム(17)を得た。
【0214】
〔実施例18〕
実施例7で得られた補強用フィルム(7)の基材上に、製造例18で得られた表面保護フィルム(C)を貼り合わせて、表面保護フィルム付補強用フィルム(18)を得た。
【0215】
〔実施例19〕
実施例8で得られた補強用フィルム(8)の基材上に、製造例18で得られた表面保護フィルム(C)を貼り合わせて、表面保護フィルム付補強用フィルム(19)を得た。
【0216】
〔実施例20〕
実施例9で得られた補強用フィルム(9)の基材上に、製造例18で得られた表面保護フィルム(C)を貼り合わせて、表面保護フィルム付補強用フィルム(20)を得た。
【0217】
〔実施例21〕
実施例10で得られた補強用フィルム(10)の基材上に、製造例18で得られた表面保護フィルム(C)を貼り合わせて、表面保護フィルム付補強用フィルム(21)を得た。
【0218】
〔実施例22〕
実施例11で得られた補強用フィルム(11)の基材上に、製造例18で得られた表面保護フィルム(C)を貼り合わせて、表面保護フィルム付補強用フィルム(22)を得た。
【0219】
〔比較例1〕
(メタ)アクリル系粘着剤組成物(3)を、一方の面にシリコーン処理を施した厚さ25μmのポリエステル樹脂からなる剥離シート(商品名「MRF25」、厚み25μm、三菱ケミカル株式会社製)のシリコーン処理面に、乾燥後の厚みが25μmとなるように塗布し、乾燥温度130℃、乾燥時間3分の条件でキュアーして乾燥した。このようにして、シリコーン処理面に(メタ)アクリル系粘着剤組成物(3)から形成された粘着剤層を設けた。次いで、得られた粘着剤層の表面に、反射防止層を有するTACフィルム基材(A)の反射防止層が施されていない面を貼合せて、補強用フィルム(C1)を得た。得られた補強用フィルム(C1)は、常温で7日間エージングを行った。結果を表2に示した。
【0220】
〔比較例2〕
表2に示すように、基材を、TACフィルム(TG60UL、富士フイルム社製)に変更した以外は、比較例1と同様に行い、補強用フィルム(C2)を得た。結果を表2に示した。
【0221】
〔比較例3〕
表2に示すように、(メタ)アクリル系粘着剤組成物(3)を、(メタ)アクリル系粘着剤組成物(4)に変更した以外は、比較例1と同様に行い、補強用フィルム(C3)を得た。結果を表2に示した。
【0222】
〔比較例4〕
表2に示すように、(メタ)アクリル系粘着剤組成物(3)を、(メタ)アクリル系粘着剤組成物(4)に変更した以外は、比較例2と同様に行い、補強用フィルム(C4)を得た。結果を表2に示した。
【0223】
〔比較例5〕
表2に示すように、(メタ)アクリル系粘着剤組成物(3)を、(メタ)アクリル系粘着剤組成物(5)に変更した以外は、比較例1と同様に行い、補強用フィルム(C5)を得た。結果を表2に示した。
【0224】
〔比較例6〕
表2に示すように、(メタ)アクリル系粘着剤組成物(3)を、(メタ)アクリル系粘着剤組成物(5)に変更した以外は、比較例2と同様に行い、補強用フィルム(C6)を得た。結果を表2に示した。
【0225】
〔比較例7〕
表2に示すように、基材を、反射防止層を有するPETフィルム基材(B)に変更した以外は、実施例1と同様に行い、補強用フィルム(C7)を得た。結果を表2に示した。
【0226】
〔比較例8〕
表2に示すように、基材を、PETフィルム(ルミラーU48、東レ社製)に変更した以外は、実施例1と同様に行い、補強用フィルム(C8)を得た。結果を表2に示した。
【0227】
〔比較例9〕
表2に示すように、(メタ)アクリル系粘着剤組成物(1)を、(メタ)アクリル系粘着剤組成物(2)に変更した以外は、比較例7と同様に行い、補強用フィルム(C9)を得た。結果を表1に示した。
【0228】
〔比較例10〕
表2に示すように、(メタ)アクリル系粘着剤組成物(1)を、(メタ)アクリル系粘着剤組成物(2)に変更した以外は、比較例8と同様に行い、補強用フィルム(C10)を得た。結果を表1に示した。
【0229】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0230】
本発明の補強用フィルム、表面保護フィルム付補強用フィルムは、代表的には、光学部材や電子部材の分野で利用可能である。
【符号の説明】
【0231】
1000 表面保護フィルム付補強用フィルム
100 補強用フィルム
200 表面保護フィルム
10 基材層A1
20 粘着剤層A2
30 機能層A3
40 基材層B1
50 粘着剤層B2
60 剥離シート
70 機能層B3
図1
図2
図3
図4
図5