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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】木炭の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C10B 53/02 20060101AFI20241220BHJP
   C10L 5/44 20060101ALI20241220BHJP
【FI】
C10B53/02
C10L5/44
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021561674
(86)(22)【出願日】2020-04-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-17
(86)【国際出願番号】 EP2020060715
(87)【国際公開番号】W WO2020212495
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】19169648.3
(32)【優先日】2019-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521452223
【氏名又は名称】アルペンコーレ ゲエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100149076
【弁理士】
【氏名又は名称】梅田 慎介
(74)【代理人】
【識別番号】100119183
【弁理士】
【氏名又は名称】松任谷 優子
(74)【代理人】
【識別番号】100173185
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 裕
(74)【代理人】
【識別番号】100162503
【弁理士】
【氏名又は名称】今野 智介
(74)【代理人】
【識別番号】100144794
【弁理士】
【氏名又は名称】大木 信人
(74)【代理人】
【識別番号】100204582
【弁理士】
【氏名又は名称】大栗 由美
(72)【発明者】
【氏名】フプアウフ,ベンヤミン
【審査官】岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-521544(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0095592(US,A1)
【文献】特開2009-149797(JP,A)
【文献】特開平07-008936(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2005-0030197(KR,A)
【文献】欧州特許出願公開第02883943(EP,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0132671(KR,A)
【文献】実開昭57-009845(JP,U)
【文献】特表2010-517920(JP,A)
【文献】国際公開第2008/100573(WO,A1)
【文献】特開2006-249733(JP,A)
【文献】特開2007-085064(JP,A)
【文献】特開2007-302486(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02479244(EP,A2)
【文献】特表平09-506036(JP,A)
【文献】国際公開第2011/143718(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10B 53/02
C10L 5/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
木炭の製造方法であって、以下のステップ:
a)バイオマスを熱分解ユニットに供給するステップであって、該バイオマスを、固体、液体および気体材料を含む全流に熱分解する、ステップ、
b)該全流およびガス化剤を酸化ユニットに供給するステップであって、該全流を少なくとも部分的に酸化し、含気的に移送する、ステップ、
c)該部分的に酸化された全流を、該酸化ユニットから本質的に垂直に配置された還元ユニットに供給するステップであって、該酸化ユニットの材料出口が該還元ユニットに接続されており、該酸化ユニットの該材料出口からの距離が増加するにつれて該還元ユニットの断面が大きくなり、該還元ユニット中の該全流の流速が、該還元ユニットにおいて懸濁状態に維持された安定な固定床が形成されるように、該全流の該材料および該還元ユニットの流れの断面の形状に適合されている、ステップ、
d)該還元ユニットからの原料木炭を、排水路を介して除去するステップ、
e)熱ガスフィルターで該原料木炭の気体成分を分離し、木炭を収集するステップであって、該気体成分が、250~600℃の温度で、該熱ガスフィルターで分離される、ステップ、ならびに
f)該収集した木炭を水で急冷するステップであって、該木炭が、
・68~95%の範囲の炭素の乾燥物含有量、
・4~18%の範囲の灰分の乾燥物含有量、
・5~50%の範囲の水の質量パーセンテージ、
・および200~400m/gの内部表面積
を有する、ステップ
を含む、方法。
【請求項2】
前記熱ガスフィルターが多孔質セラミックを含む、請求項1に記載の木炭の製造方法。
【請求項3】
バーベキュー用木炭ブリケットの製造方法であって、木炭が請求項1または2に記載の方法によって提供されることを特徴とし、以下のステップ:
・該木炭をブリケット化ラインに投入し、該木炭の均質化が投入システムにおいて生じるステップ、
・該均質化された木炭を、結合剤と混合するステップであって、前記均質化された木炭を結合剤と混合するステップの間に、さらに添加剤が加えられる、ステップ
・該木炭/結合剤/添加剤混合物を、予備圧縮機において、1~30分間、ローラーによって予備圧縮するステップ、
・該予備圧縮された木炭/結合剤/添加剤混合物を油圧ローラーブリケット化プラントにおいてブリケット化するステップであって、該混合物を、1~12barの接触圧力で成形キャビティを有する少なくとも2つのローラー上に誘導する、ステップ、
・該木炭ブリケットを、対流式乾燥機において、50~140℃の乾燥温度で乾燥するステップ、
・該乾燥木炭ブリケットを、充填プラントにおいて包装するステップ
を含む、方法。
【請求項4】
前記結合剤が、再生利用植物油または脂、デンプン、糖液およびセルロース化合物の群から選択され、前記木炭ブリケットの乾燥物に対して0.5~20%の質量パーセンテージを有することを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記添加剤が、カルシウム化合物、アルミナ、アラビアゴムおよび粘土鉱物の群から選択され、前記木炭ブリケットの乾燥物に対して0~10%の質量パーセンテージを有することを特徴とする、請求項およびのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
活性木炭の製造方法であって、木炭が請求項1~3のいずれか一項に記載の方法によって提供されることを特徴とし、以下のステップ:
・該木炭を活性化ユニットに投入し、該木炭の均質化を投入システムにおいて実施するステップ、
・該均質化された木炭を、該活性化ユニットにおいて600~1100℃の温度で、5~180分間、活性化剤を用いて活性化するステップであって、木炭1g当たりの該活性化剤の変換が、0.1~2gであるように選択される、ステップ、
・該活性木炭を仕上げるステップ、
・該最終活性木炭を、充填プラントにおいて包装するステップ
を含む、方法。
【請求項7】
工業用木炭の製造方法であって、木炭が請求項1~3のいずれか一項に記載の方法によって提供されることを特徴とし、以下のステップ
・該木炭を、加工ユニットに投入するステップ、
・該木炭を分級ユニットにおいて分割するステップであって、該木炭は、粒径に応じて、粗、中間および微細画分に分割され、該粗画分は0.4mm超~10mmの粒径を有し、該中間画分は、100~400μmの粒径を有し、該微細画分は、100μmよりも小さい粒径を有する、ステップ、
・該画分に応じて分割された木炭を加工して、圧縮または摩砕ユニットにおいて成形体または微細材料を形成するステップであって、該摩砕プロセス後、該微細木炭を該分級ユニットに再度供給し、分割する、ステップ、
・該圧縮された工業用木炭を仕上げるステップ、
・該最終工業用木炭を、充填プラントにおいて包装するステップ
を含む、方法。
【請求項8】
仕上げの間、成形体および凝集体が、前記木炭から製造されることを特徴とする、請求項またはに記載の方法。
【請求項9】
仕上げの間、前記木炭が、鉱物に含浸されることを特徴とする、請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記充填プラントにおいて、包装が、クラフト紙、段ボール、布袋およびプラスチック包装の群から選択されることを特徴とする、請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
断熱材の製造方法であって、木炭が、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法によって製造され、断熱材のための原材料と混合され、断熱材に加工されることを特徴とする、方法。
【請求項12】
前記バイオマスが木材チップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記工業用木炭が、コンクリート用骨材または金属加工業用の二次原材料である、請求項に記載の方法。
【請求項14】
前記成形体および凝集体が、ブリケット、ペレットまたは細粒である、請求項に記載の方法。
【請求項15】
前記鉱物が、カリウム、ナトリウムおよびカルシウム塩である、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木炭の製造方法、およびこの方法によって得ることができる木炭に関する。
【背景技術】
【0002】
木炭は、熱分解により、本質的に空気の非存在下で木材を加熱することによって製造される。従来技術による公知の方法では、木材は、まず加熱され、乾燥され、続いてより高温で熱分解にかけられることで木材の気体および液体成分が気体化され、熱分解プロセスの最後に木炭が残留物として残る。
【0003】
最終木炭中の炭素含有量は、使用されるバイオマスの品質に応じて変動する。特に高品質かつ高炭素含有量の木炭の場合、現在、一部の場合には成長の遅い南洋材を使用しなくてはならない。高炭素含有量は、純木材を炭化することによってのみ達成でき、エネルギー集約的な炭化法による最終木炭では最大80重量%の炭素含有量が達成可能である。炭化の間に外皮または周皮もまた存在する場合、最終木炭の炭素含有量は大幅に低くなる。
【0004】
さらに、公知の方法により製造された木炭は、数ミリメートル~数センチメートルの画分の範囲の直径を有する様々なサイズの小片を有する。そのようなサイズ分布は、多くの適用領域に適さない。多数の適用領域で、均質なサイズ分布の小粒子が必要である。
【0005】
バイオマスから熱エネルギーを生成するための多段階気体化プロセスによる方法は、例えば、EP2479244A2およびUS2010/095592A1に開示されている。これらの文献では、バイオマスは、熱分解ユニット、酸化ユニットおよび還元ユニットを含む3段階の気体化プロセスにおいて可燃性ガスに変換される。これを行う際、コークスまたは灰分が、副生成物としてプロセスから除去され得る。しかしながら、このようにして除去されたコークスは、汚染物質の非存在、粒径およびまた炭素含有量の点で多大な不利益を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】EP 2 479 244 A2
【文献】US 2010/095592 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、非常に高い炭素含有量および非常に低い汚染物質含有量を有する木炭の製造方法であって、低品質バイオマスを使用できる方法を提供することである。さらに、最終木炭は、mm未満の範囲の均質なサイズ分布を有するべきである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、木炭の製造方法であって、以下のステップ:
a)バイオマス、特に木材チップを熱分解ユニットに供給するステップであって、木材チップを、固体、液体および気体材料を含む全流に熱分解する、ステップ、
b)全流およびガス化剤を酸化ユニットに供給するステップであって、全流を少なくとも部分的に酸化し、含気的に移送する、ステップ、
c)部分的に酸化された全流を、酸化ユニットから本質的に垂直に配置された還元ユニットに供給するステップであって、酸化ユニットの材料出口が還元ユニットに接続されており、酸化ユニットの材料出口からの距離が増加するにつれて還元ユニットの断面が大きくなり、還元ユニット中の全流の流速が、還元ユニットにおいて懸濁状態に維持された安定な固定床が形成されるように、全流の材料および還元ユニットの流れの断面の形状に適合されている、ステップ、
d)還元ユニットからの原料木炭を、排水路を介して除去するステップ、
e)熱ガスフィルターで気体成分を分離し、木炭を収集するステップ、
f)収集した木炭を水で急冷するステップであって、木炭が、
・68~95%、好ましくは75~93%、特に好ましくは80~92%の範囲の炭素の乾燥物含有量、
・4~18%、好ましくは5~13%、特に好ましくは6~10%の範囲の灰分の乾燥物含有量、
・5~50%、好ましくは10~40%、特に好ましくは15~35%の範囲の水の質量パーセンテージ、
・および好ましくは200~400m/gの内部表面積
を有する、ステップ
を含む、方法によって達成される。
【0009】
これを行う際、ステップc)において、部分的に酸化された全流のコークスから安定な流動固定床が形成される。これは、固定床の押さえる力がすすぎ熱分解ガス流の力とほぼ平衡であるため、コークス床が、還元ユニット中で熱分解ガス流に「浮遊する」ことを意味する。結果として、熱分解ガスの長い保持時間にも起因して、コークス床の圧力損失がごくわずかであり、汚染物質の変換が効率的である。
【0010】
そのようなプロセスを使用すると、30~300μm、好ましくは40~250μm、特に好ましくは50~100μmの範囲の平均粒径d50を有する木炭が製造され得る。
【0011】
驚くべきことに、このプロセスによって、木材製造業における最低品質の廃棄物を構成する木材チップを、均質な粒径を有する高品質木炭に加工できることが見出された。
【0012】
好ましい変形実施形態では、気体成分は、250~600℃の温度で多孔質セラミックの補助により熱ガスフィルターで分離される。熱ガスフィルターを使用することによって、例えば、多環式芳香族炭化水素(PAH)などの熱化学プロセスの間に形成される汚染物質は、木炭で凝縮することが防止される。したがって、汚染物質の非存在に起因して、このようにして製造された純粋な木炭は、種々の認可および規制に従う。
【0013】
さらなる変形実施形態では、木炭は、20~50%、好ましくは25~40%、特に好ましくは28~35%の範囲の水の質量パーセンテージを有し得る。
【0014】
さらに、木炭は、200~400m/gの内部表面積を有し得る。
【0015】
このようにして製造された木炭は、種々のプロセスでさらに加工され得る。
【0016】
したがって、本発明の一態様では、バーベキュー用木炭ブリケットの製造方法であって、木炭が請求項1に記載の方法によって提供されることを特徴とし、以下のステップ
・木炭をブリケット化ラインに投入し、木炭の均質化が投入システムにおいて生じるステップ、
・均質化された木炭を、混合装置において結合剤および好ましくは添加剤と混合するステップ、
・木炭/結合剤/添加剤混合物を、予備圧縮機において、1~30分間、好ましくは2~20分間、特に好ましくは3~10分間、ローラーによって予備圧縮するステップ、
・予備圧縮された木炭/結合剤/添加剤混合物を油圧ローラーブリケット化プラントにおいてブリケット化するステップであって、混合物を、1~12bar、好ましくは1.5~9bar、特に好ましくは2~7barの接触圧力で成形キャビティを有する少なくとも2つのローラー上に誘導する、ステップ、
・木炭ブリケットを、対流式乾燥機において、50~140℃、好ましくは65~110℃、特に好ましくは75~105℃の乾燥温度で乾燥するステップ、
・乾燥木炭ブリケットを、充填プラントにおいて包装するステップ
を含む、方法が提供される。
【0017】
この場合、予備圧縮に要する時間は、より多くの動力、すなわち、ローラーの速度を速くすることによって調整できる。さらに、乾燥温度は、より高い送風動力により最小にできる。
【0018】
結合剤は、好ましくは再生利用植物油または脂、デンプン、例えば、ライ麦もしくはトウモロコシ、糖液、例えば、テンサイもしくはサトウキビ糖蜜およびセルロース化合物の群由来であってもよく、木炭ブリケットの乾燥物に対して0.5~20%、好ましくは1~15%、特に好ましくは2~10%の質量パーセンテージを有し得る。
【0019】
添加剤は、カルシウム化合物、アルミナ、アラビアゴムおよび粘土鉱物の群から選択されてもよく、木炭ブリケットの乾燥物に対して0~10%、好ましくは0.5~8%、特に好ましくは1~5%の質量パーセンテージを有し得る。
【0020】
原理的には、添加剤は、バーベキュー用木炭の特定の特性、例えば、点火挙動および強度を改善するために場合により添加される。
【0021】
一態様では、本発明は、活性木炭の製造方法であって、木炭が請求項1に記載の方法によって提供されることを特徴とし、以下のステップ
・木炭を活性化ユニットに投入し、木炭の均質化を投入システムにおいて実施するステップ、
・均質化された木炭を、活性化ユニットにおいて600~1100℃、好ましくは700~1000℃、特に好ましくは800~950℃の温度で、5~180分間、好ましくは10~120分間、特に好ましくは15~90分間、活性化剤、好ましくは、水蒸気または二酸化炭素を用いて活性化するステップであって、木炭1g当たりの活性化剤の変換が、0.1~2g、好ましくは0.3~1.8g、特に好ましくは0.4~1.6gであるように選択される、ステップ、
・活性木炭を仕上げるステップ、
・最終活性木炭を、充填プラントにおいて包装するステップ
を含む、方法に関する。
【0022】
本発明による木炭は、活性化の前でさえおよそ200~400m/gの内部表面積を有するという、通常活性化に使用される化石石炭に優る利点を提示する。これとは対照的に、化石石炭は、大きな内部表面積を有さない。
【0023】
活性化後、木炭は、好ましくは、およそ1000m/gの内部表面積を有する。
【0024】
活性石炭の第2の必須パラメーターは孔径であり、ミクロ、メソおよびマクロ孔が区別される。本発明による活性木炭は、その孔構造をその用途に合わせて具体的に調節できる。例えば、活性木炭は、好ましくはミクロ、または好ましくはメソ、または好ましくはマクロ構造で製造できる。
【0025】
仕上げの間、活性木炭は、好ましくは、細粒またはペレットなどの他の形態にされ、また、例えば、粉末化活性木炭としても使用できる。
【0026】
さらなる態様では、本発明は、工業用木炭、特にコンクリート用骨材または金属加工業用の二次原材料の製造方法であって、木炭が請求項1に記載の方法によって提供されることを特徴とし、以下のステップ
・木炭を、加工ユニットに投入するステップ、
・木炭を分級ユニットにおいて分割するステップであって、木炭は、粒径に応じて、粗、中間および微細画分に分割され、粗画分は0.4~10mm、好ましくは0.3~6mm、特に好ましくは0.25~4mmの粒径を有し、中間画分は、100~400μm、好ましくは75~300μm、特に好ましくは50~250μmの粒径を有し、微細画分は、0~100μm、好ましくは0~75μm、特に好ましくは0~50μmの粒径を有する、ステップ、
・画分に応じて分割された木炭を加工して、圧縮または摩砕ユニットにおいて成形体または微細材料を形成するステップであって、摩砕プロセス後、微細木炭を分級ユニットに再度供給し、分割する、ステップ、
・圧縮された工業用木炭を仕上げるステップ、
・最終工業用木炭を、充填プラントにおいて包装するステップ
を含む、方法に関する。
【0027】
仕上げの間、例えばブリケット、ペレットおよび細粒などの成形体および凝集体が、木炭から製造できる。
【0028】
仕上げの間、木炭は、例えばカリウム、ナトリウムおよびカルシウム塩などの好ましくは鉱物に含浸されてもよい。
【0029】
充填プラントにおいて、包装は、クラフト紙、段ボール、布袋およびプラスチック包装の群から選択されてもよい。
【0030】
本発明の一態様は、断熱材の製造方法であって、木炭を、既に言及した方法により製造し、断熱材用の原材料と混合する、方法に関する。続いて、この混合物は、断熱材に加工される。断熱材用の典型的な原材料は、ポリスチレン、ポリウレタン、フォーマイカなどのプラスチックまたは例えば木毛などの断熱産業で公知の他の材料である。これらの材料は、最終加工の前に木炭が添加され、公知の通り加工(例えば、発泡)される。
【0031】
そのような手順により、より軽量の断熱材が得られ、おそらくはまた、機械安定性が改善され、防火特性が強化され得る。
【0032】
本発明のさらなる利点および詳細を、図面および図説によって以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】木炭の製造方法の個々のステップを示す図である。
図2】バーベキュー用木炭ブリケットへの加工を示す図である。
図3】活性炭の製造を示す図である。
図4】骨材としての工業用木炭の製造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
流動床技術は、バイオマスの熱化学気体化における新しい方法を記載する。流動床反応器は、特有の反応基設計およびその動作を記載する。プロセスは、図1に図示される。
【0035】
類似の気体化概念は、その大規模化の可能性の点で明らかな不利益を示す。さらに、流動床気体化は、例えば、製品ガス中のタール濃度に関する問題を伴い、流動床系は、燃料の圧縮および固相と気相との間での交換に起因した問題を伴う。
【0036】
浮遊固定床反応基の概念は、熱分解および酸化の流入ガス流に浮遊する燃料の構造化床を構築することにある。還元ゾーンにおける制御されない粒子運動なしに流動床内の燃料粒子の相対運動のみで、比較的長いガス滞留時間が達成でき、これにより、製品ガス中のタール濃度が低くなる。そのような低いタール濃度および流動床反応基の特有の動作制御により、副生成物としてプロセスから吐出される非常に高品質かつ「純粋な」木炭が得られる。一方、この技術は、商用プラントにおける100,000時間を超える動作時間による類似の気体化技術の問題を回避することが実証されている。
【0037】
図1に示される通り、バイオマス、特に木材チップは、気体化プロセスの間、まず熱分解ユニットに入れられ、ここで固体、液体および気体材料の全流が生じる。その後全流は、酸化ユニットにおいてガス化剤の補助により、部分的に酸化され、含気的に移送される。次いで部分的に酸化された全流は、断面が本質的に円錐である、還元または気体化ユニットに進入し、流動床が形成される。排水路を通して、原料木炭は、還元ユニットからフィルターユニットに着き、ここで熱ガスフィルターを介してガスと木炭の分離が実現される。エネルギーの回収のために、次いでガスはガスバーナーまたはガスモーターに送られ、一方、本発明による木炭は、水で急冷された直後にさらに加工されてもよく、または充填ステーションに誘導されてもよい。
【0038】
さらに、本発明は、流動床気体化プロセスで生じる特有の木炭の加工および精錬に関する。
【0039】
上記の方法から得られる木炭の特別な特徴は以下の通りである:
・木炭は、流動床気体化技術を使用して、局所的に提供された木材チップによって製造される。木材チップは、森林の伐採、間伐および収獲の間に発生した低品質木材から得られる。木材チップの製品ラインは、森林木材チップの製造を目的とした木材からなることが理解される。これは、枝切りされたまたは枝切りされていない幹部、梢、枝および損傷した完全木で構成され得る。このように開始木材が非常に高い品質ではないにも関わらず、使用される技術により、特に高品質かつ汚染物質を含まない木炭の製造が可能になる。中でも使用される熱ガスフィルターは、バイオマスの熱化学気体化の間に生じる木炭上での欠陥のあるPAHの凝結を防ぐため、ここで重要な役割を果たす。冷間ろ過とは対照的に、250℃超でのろ過により、気体化プロセスの結果、法定制限値によるとただの廃棄物であるタールが混入した石炭が生じることが防止される。さらに、純粋な汚染物質を含まない木炭のみを、最高品質標準に合うようにバーベキュー用木炭にさらに加工できる。
・木炭は、乾燥物に対して68~95重量%、好ましくは75~93重量%、特に好ましくは80~92重量%の炭素含有量を有する。
・木炭は、乾燥物に対して4~18重量%、好ましくは5~13重量%、特に好ましくは6~10重量%の灰分含有量を有する。
・木炭は、湿潤状態で加工され、総質量に対して5~50重量%、好ましくは10~40重量%、特に好ましくは15~35重量%の含水量を有する。水は、熱ガスろ過の後に木炭を急冷するプロセスで添加される。さらなる変形実施形態では、含水量はまた、総質量に対して20~50重量%、好ましくは25~40重量%、特に好ましくは28~35重量%であり得る。
・木炭は、30~300μm、好ましくは40~250μm、特に好ましくは50~200μmの平均粒径d50を有する粉状木炭とみなされる。
【0040】
上で示される通りの組成および乾燥物の最大95重量%の炭素含有量を有するそのような木炭は、そうでなければ、純粋な熱分解プロセスにおいてのみ製造され得る。これは、後続の気体化プロセスにおいて、木炭はエネルギーを喪失し続け、ガスに変換されるという事実に主に起因する。しかしながら、流動床気体化プロセスの効率により、非常に高品質の木炭の製造が可能になる。
【0041】
前記木炭の本発明による加工は、高品質のバーベキュー用木炭ブリケットの製造方法である。加工は、図2に示されるプロセスに従って行われる。
【0042】
図2に示される通り、上述の特性を有する木炭は、ブリケット化ラインにまず投入される。この目的のために、木炭は、輸送包装から投入システムの容器に入れられる。投入システムにおいて、木炭の均質化は、例えば、油圧シリンダ、スクリューコンベヤおよびコンベヤベルトなどの搬送デバイスを使用して実施される。
・再度搬送デバイスを介して、均質化された木炭は、混合装置に達し、ここで木炭は結合剤および場合によりまた添加剤と混合される。木炭からブリケットを製造するために、木炭は可鍛プラスチック材料をほとんどまたはまったく含有しないため、結合剤の添加が必須である。この場合、結合剤含有量は、乾燥物の0.5~20%、好ましくは1~15%、特に好ましくは2~10%である。様々なデンプン(例えば、小麦、ライ麦、トウモロコシ)、糖液(例えば、サトウキビ糖蜜、ビート糖蜜)、セルロース化合物、または特に好ましくは、再生利用できる植物油または脂で作製された結合剤が、結合剤として使用される。植物油または脂の結合剤としての使用は、技術水準においては見出されず、再生利用油および脂の環境にやさしい使用を可能にすると考えられる。
・添加剤の割合は、乾燥物の0~10%、好ましくは0.5~8%、特に好ましくは1~5%である。例えば、粘土またはアルミナ、カルシウム化合物、アラビアゴム、または他の粘土鉱物などの物質が、添加剤として使用される。前記添加剤は、バーベキュー用木炭の特定の特性、例えば、点火挙動および強度を改善するために場合により添加される。さらに、様々な匂いのある天然物質および非炭化材料もまた、添加剤として混合されてもよい。当然のことながら、食品グレード品質は、使用される添加剤に必須である。
・再度搬送デバイスを介して、木炭/結合剤/添加剤混合物は、図2に図示される通り、予備圧縮機に達し、ここで木炭ブリケットの必要な機械安定性が達成される。これを行う際、木炭/結合剤/添加剤混合物は、容器中、ローラーによって予備圧縮される。圧縮時間は、1~30分間、好ましくは2~20分間、特に好ましくは3~10分間であり、動力の補助、すなわち、より高速のローラーを用いて短縮され得る。
・再度搬送デバイスを介して、予備圧縮された木炭/結合剤/添加剤混合物は、油圧ローラーブリケット化プラントに達し、ここで予備圧縮された木炭/結合剤/添加剤混合物は、成形キャビティを有する少なくとも2つのローラー上に誘導される。これを行う際、接触圧力は1~12bar、好ましくは1.5~9bar、特に好ましくは2~7barに調節される。この場合、接触圧力は、熱分解性木炭についてよりも大幅に高くなくてはならない。純粋な熱分解プロセスから得られるこの石炭は、揮発性成分が気体化ステップにおいて溶解し、したがって、圧縮のために必要な圧力が低いため、本発明による木炭よりもはるかに密である。
・再度搬送デバイスを介して、ブリケット化された、なお湿潤した木炭ブリケットは、対流式乾燥機に達する。乾燥機において、湿潤木炭ブリケットは通気性コンベヤベルトに層で適用され、乾燥温度は、50~140℃、好ましくは65~110℃、特に好ましくは75~105℃に調節される。この場合、乾燥温度のレベルは、送風動力の強度に合わせて上昇下降される。
・再度搬送デバイスを介して、乾燥木炭ブリケットは、充填プラントに達する。充填プラントにおいて、乾燥木炭ブリケットは、例えば、クラフト紙、段ボール、布袋またはプラスチック包装などの好適な包装に袋詰めされ、続いて保存される。
【0043】
本発明による木炭のさらなる加工は、高品質の活性木炭の製造方法および最終活性木炭によって可能になる。この方法は、大部分(世界中で製造された活性炭のおよそ80%)が化石石炭から製造されている活性炭を製造するための環境にやさしい選択肢を提供する。活性炭の残りの部分は、大半がヤシ殻で構成される。存在するとしても広葉樹から作製された木炭のみが活性炭に加工され、広葉樹は通常南洋材である。環境的側面に加えて、本発明による木炭は、活性化の前でさえおよそ200~400m/gの内部表面積を有し、一方化石石炭は、どのような活性も示さない。
【0044】
活性木炭への加工は、図3に示され、以下のステップを含むプロセスに従って行われる:
・バーベキュー用木炭の製造方法と同様に、ここでもまた、本発明による木炭は、この場合、図3に示される通り活性化ユニットにまず投入される。この目的のために、木炭は再度、輸送包装から投入システムの容器に入れられる。あるいは、木炭の投入はまた、稼働中の流動床木材気体化プロセスから直接行われてもよい。投入システムにおいて、木炭の均質化は、搬送デバイス(例えば、油圧シリンダ、スクリューコンベヤおよびコンベヤベルト)を使用して実施される。
・再度搬送デバイスを介して、均質化された木炭は活性化ユニットに達し、ここで木炭は、活性化剤、通常水蒸気または二酸化炭素と接触する。図3に示される通り、木炭などの活性化剤は、搬送デバイスを介して活性化ユニットに供給される。活性化ユニットの温度は、600~1100℃、好ましくは700~1000℃、特に好ましくは800~950℃の範囲である。従来技術によると、通常の石炭の活性化温度は、1000~1100℃の範囲である。本発明による木炭が使用される場合、木炭は既に気体化ステップを通過しているため、より低温を選択できる。活性化時間は、5~180分間、好ましくは10~120分間、特に好ましくは15~90分間である。
さらに、木炭1g当たりの活性化剤の特定の変換は、活性化の間に0.1~2g、好ましくは0.3~1.8g、特に好ましくは0.4~1.6gに調節される。
気体化プロセスもまた活性化の間に行われるため、既に本発明による木炭の製造の場合におけるのと同様に、木ガスが生成される。活性化ユニットから得られるこの木ガスは、ガスバーナーまたはガスモーターにおいて活発に利用される。
・再度搬送デバイスを介して、活性木炭は活性化されると完成し、後処理ステップが活性木炭に対して実施される。これを行う際、例えばペレットおよび細粒などの成形体および凝集体が、粉状活性木炭から製造できる。さらに、粉状活性木炭は、カリウム、ナトリウムまたはカルシウム塩などの様々な鉱物および物質に含浸されてもよい。
・再度搬送デバイスを介して、最終活性木炭は充填プラントに達し、ここで活性木炭は、クラフト紙、段ボール、布袋またはプラスチック包装などの好適な包装に袋詰めされ、続いて保存される。
【0045】
このようにして活性化された本発明による木炭は、およそ1000m/gの内部表面積を有し、最大2000m/gの内部表面積を有する高度に活性化された研究室の活性木炭が製造可能である。活性木炭の内部表面積は、BET(Brunauer-Emmert-Teller)法を使用して、測定および評価される。
【0046】
活性炭の分類のための第2の必須パラメーターは孔径であり、ミクロ、メソおよびマクロ孔が区別される。本発明による活性木炭は、その孔構造をその用途に合わせて具体的に調節できる。例えば、活性木炭は、好ましくはミクロ、または好ましくはメソ、または好ましくはマクロ構造で製造できる。
【0047】
細孔容積は、およそ71Kで窒素吸着のプロセスを使用して測定され、このプロセスの評価は、BJH(Barrett、JoynerおよびHalenda)法に基づいて実施できる。
【0048】
本発明による木炭のさらなる加工は、建設業のための骨材の製造方法に由来する。
【0049】
加工は、図4に示されるプロセスに従って行われる:
・最初に、本発明による木炭は、工業用木炭用の加工ユニットに投入される。これを行う際、木炭は再度、輸送包装から投入システムの容器に入れられる。
・再度搬送デバイスを介して、木炭は分級ユニットに達する。工業用木炭としての加工のために、木炭は、異なる画分に分割される。分割は、「粗」、「中間」および「微細画分」とする。
○「粗画分」は、およそ0.4~10mm、好ましくはおよそ0.3~6mm、特に好ましくはおよそ0.25~4mmの範囲である。
○「中間画分」は、およそ100~400μm、好ましくはおよそ75~300μm、特に好ましくはおよそ50~250μmの範囲である。
○「微細画分」は、およそ0~100μm、好ましくはおよそ0~75μm、特に好ましくはおよそ0~50μmの範囲である。
・分割後、工業用木炭は、図4に示される通り、再度搬送デバイスを介して、圧縮または摩砕ユニットに達し、ここで工業用木炭は、所望の生成物に応じて成形体または微細材料に加工され得る。
圧縮の場合には、圧縮された工業用木炭は、搬出デバイスによって仕上げに運ばれる。
摩砕プロセスの場合には、摩砕された工業用木炭は、搬出デバイスによって分級に運ばれる。
・再度搬出デバイスを介して、次いで工業用木炭は、仕上げに到達し、ここで後処理ステップが実施される。例えばブリケット、ペレットおよび細粒などの成形体および凝集体が、通常粉状である工業用木炭から製造できる。さらに、通常粉状である工業用木炭は、例えばカリウム、ナトリウム、カルシウム塩などの種々の鉱物および物質に含浸されてもよい。
・再度搬送デバイスを介して、最終工業用木炭は最後に充填プラントに達し、最終工業用木炭は、クラフト紙、段ボール、布袋またはプラスチック包装などの好適な包装に袋詰めされ、続いて保存される。
【0050】
一方、コンクリートの骨材としての木炭の使用により、木炭のより低い密度に起因して、より軽量のコンクリート成分が可能になり、他方、コンクリート内の木炭は、熱伝導性の低下に基づいて断熱をもたらし、これはまた、防火の点でも大きな利点を伴う。
【0051】
骨材として、および金属加工業における木炭の使用について、活性木炭とは異なり木炭は非常に非反応性であるため、その製造および加工は非常に妥当である。したがって、この分野で使用される石炭の大部分は、化石である。したがって、本発明による木炭は、使用される化石石炭に代わる環境にやさしい選択肢を提示する。
図1
図2
図3
図4