(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】アプリケーションプロセッサに接続された計測プロセッサを特徴とするマルチプロセッサ需給計器
(51)【国際特許分類】
G08C 15/00 20060101AFI20241220BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20241220BHJP
【FI】
G08C15/00 C
H02J13/00 301A
H02J13/00 301J
(21)【出願番号】P 2021571032
(86)(22)【出願日】2020-05-29
(86)【国際出願番号】 US2020035332
(87)【国際公開番号】W WO2020243577
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2023-04-14
(32)【優先日】2019-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513113895
【氏名又は名称】ランディス・ギア イノベーションズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】LANDIS+GYR INNOVATIONS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【氏名又は名称】岡部 英隆
(72)【発明者】
【氏名】トーピー,キース
(72)【発明者】
【氏名】カールガード,マット
(72)【発明者】
【氏名】デッカー,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ターナー,ジェイムズ ランドール
【審査官】平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-028093(JP,A)
【文献】国際公開第2018/179110(WO,A1)
【文献】特開2007-304913(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08C 13/00-25/04
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測エンジンと、マイクロプロセッシングユニット(MPU)と、1つ又は複数の計測アプリケーションとを備える需給計器であって、
上記計測エンジンは、リソースの消費量を測定し、上記リソースの消費量に基づいて消費量データを生成するように構成され、
上記計測エンジンは、
計測プロセッサと、
専用メモリと、
上記計測プロセッサによって
上記需給計器上で実行されることで、時間についてクリティカルな計測機能を上記計測エンジンがリアルタイムで実行することを可能にするリアルタイムオペレーティングシステム(RTOS)
である第1のオペレーティングシステムとを備え、
上記マイクロプロセッシングユニット(MPU)は、上記計測プロセッサに接続され、1つ又は複数のプロセッサコアを備え、
上記需給計器は、上記第1のオペレーティングシステムとは別個の第2のオペレーティングシステムであって、上記MPUによって上記需給計器上で実行される第2のオペレーティングシステムを備え、
上記1つ又は複数の計測アプリケーションは、上記MPUの
第2のオペレーティングシステム上において、上記MPUによって実行され、
上記1つ又は複数の計測アプリケーションは上記消費量データを利用する、
需給計器。
【請求項2】
上記MPUは、マルチスレッディングを用いて、上記1つ又は複数の計測アプリケーションを実行する、
請求項1記載の需給計器。
【請求項3】
上記MPUの各プロセッサコアは、上記需給計器の機能の各部分集合に割り当てられ、
各プロセッサコアは、上記機能の各部分集合を実行する、
請求項1記載の需給計器。
【請求項4】
上記MPUの第1のプロセッサコアは、上記
第2のオペレーティングシステムを実行するために割り当てられ、
上記MPUの第2のプロセッサコアは、上記1つ又は複数の計測アプリケーションを実行するために割り当てられる、
請求項3記載の需給計器。
【請求項5】
上記需給計器は、上記MPUに関連付けられた一次メモリをさらに備え、
上記計測エンジンの専用メモリは、上記一次メモリの論理パーティションを備える、
請求項1記載の需給計器。
【請求項6】
上記需給計器は、上記MPUに関連付けられた一次メモリをさらに備え、
上記計測エンジンの専用メモリは、上記一次メモリとは別個のハードウェアを備える、
請求項1記載の需給計器。
【請求項7】
上記計測プロセッサはマイクロコントローラユニットである、
請求項6記載の需給計器。
【請求項8】
上記需給計器は、上記消費量データをヘッドエンドシステムに送信するように構成された無線装置をさらに備え、
上記無線装置のメディアアクセス層及び物理層は、上記MPUに接続された第2のRTOSによって実行される、
請求項1記載の需給計器。
【請求項9】
上記MPUは、仮想マシンを実行するように構成される、
請求項1記載の需給計器。
【請求項10】
上記MPUは、クラウドと通信してクラウドに基づくアプリケーションを実行するように構成される、
請求項1記載の需給計器。
【請求項11】
上記MPUは、ピアメーターから付加的な消費量データを収集するように構成される、
請求項1記載の需給計器。
【請求項12】
一体化されたディスプレイを有しない、請求項1記載の需給計器。
【請求項13】
計測エンジンと、マイクロプロセッシングユニット(MPU)と、一次メモリと
、1つ又は複数の計測アプリケーションとを備えた需給計器であって、
上記計測エンジンは、リソースの消費量を測定し、上記リソースの消費量に基づいて消費量データを生成するように構成され、
上記計測エンジンは、
計測プロセッサ及び専用メモリを備えるマイクロコントローラユニット(MCU)と、
上記MCUによって
上記需給計器上で実行されることで、時間についてクリティカルな計測機能を上記計測エンジンがリアルタイムで実行することを可能にするリアルタイムオペレーティングシステム(RTOS)
ある第1のオペレーティングシステムとを備え、
上記マイクロプロセッシングユニット(MPU)は、上記計測プロセッサに接続され、1つ又は複数のプロセッサコアを備え、
上記一次メモリは、上記MPUに関連付けられ、上記計測エンジンの専用メモリとは別個であり、
上記需給計器は、上記第1のオペレーティングシステムとは別個の第2のオペレーティングシステムであって、上記MPUによって上記需給計器上で実行される第2のオペレーティングシステムを備え、
上記
第2のオペレーティングシステムは、計測ユニットのRTOSとは別個であり、
上記1つ又は複数の計測アプリケーションは、上記MPUの
第2のオペレーティングシステム上において、上記MPUによって実行され、
上記1つ又は複数の計測アプリケーションは、上記計測エンジンによって生成された上記消費量データを利用する、
需給計器。
【請求項14】
上記
第2のオペレーティングシステムはマルチスレッディングをサポートし、
MPUは、マルチスレッディングを用いて、上記1つ又は複数の計測アプリケーションを実行する、
請求項13記載の需給計器。
【請求項15】
上記MPUの各プロセッサコアは、上記需給計器の機能の各部分集合に割り当てられ、
各プロセッサコアは、上記機能の各部分集合を実行し、
上記MPUの第1のプロセッサコアは、上記
第2のオペレーティングシステムを実行するために割り当てられ、
上記MPUの第2のプロセッサコアは、上記1つ又は複数の計測アプリケーションを実行するために割り当てられる、
請求項13記載の需給計器。
【請求項16】
一体化されたディスプレイを有しない、請求項13記載の需給計器。
【請求項17】
1つ又は複数のプロセッサコアを備えるマイクロプロセッシングユニット(MPU)を需給計器に設置することと、
上記MPUに接続された計測エンジンであって、リソースの消費量を測定して上記リソースの消費量に基づいて消費量データを生成するように構成され、計測プロセッサ及び専用メモリを備える計測エンジンを上記需給計器に設置することと、
時間についてクリティカルな計測機能を上記計測エンジンがリアルタイムで実行することを可能にするために、
上記計測プロセッサにより実行されるように構成された、リアルタイムオペレーティングシステム
である第1のオペレーティングシステムを
上記需給計器にインストールすることと、
上記第1のオペレーティングシステムとは別個の第2のオペレーティングシステムであって、上記MPUが実行するように構成された第2のオペレーティングシステムを上記需給計器にインストールすることと、
1つ又は複数の計測アプリケーションを上記MPUの
第2のオペレーティングシステム上にインストールすることとを含み、
上記1つ又は複数の計測アプリケーションは上記消費量データを利用する、
方法。
【請求項18】
上記MPUを一次メモリに関連付けることをさらに含み、
上記計測エンジンの専用メモリは、上記一次メモリの論理パーティションを備える、
請求項17記載の方法。
【請求項19】
上記MPUを一次メモリに関連付けることをさらに含み、
上記計測エンジンの専用メモリは、上記一次メモリとは別個のハードウェアを備える、
請求項17記載の方法。
【請求項20】
上記
第2のオペレーティングシステムはマルチスレッディングをサポートする、
請求項17記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願において説明する実施例は、需給計器(ユーティリティメーター)に関し、より詳しくは、アプリケーションプロセッサに接続された計測プロセッサを特徴とするマルチプロセッサ需給計器に関する。
【背景技術】
【0002】
概して、需給計器は、電気、水、又はガスのようなリソースの消費量を測定する。典型的には、需給計器は、家屋等(構内)の内部又は近くに設置され、当該家屋における消費量を測定する。需給計器は、典型的には、サービスプロバイダによって提供される。それは、需給計器が完全に動作し、正確な消費測定が得られることを保証するために必要に応じて需給計器を管理する。ある場合には、需給計器は一体化された無線を有し、それによって、無線メッシュネットワークに参加する。無線メッシュネットワークを介して、需給計器は、複数の需給計器と通信しかつ複数の需給計器にわたるサービスを担当する遠隔の集中化されたヘッドエンドシステムに消費量を報告する。消費者は需給計器において測定された彼らの消費量に基づいて請求されるので、消費量の測定及び報告において高い精度が要求される。
【0003】
既存の需給計器は、典型的には、単一のチップにおいてランダムアクセスメモリ(RAM)及び読み出し専用メモリ(ROM)を一体化した中央処理装置を組み込んだマイクロコントローラを利用する。ハードウェアにインストールされたファームウェアは、消費量のサンプリング及び報告のような動作を実施する。需給計器において利用可能である限られた記憶スペースに部分的に起因して、メーター機能の大部分又はすべての態様がファームウェアに符号化されかつ互いに依存するように、ファームウェアはモノリシックである。
【0004】
需給計器はさらに、データを技術者に提供したり又はデータをローカルに報告したりするために有用であるディスプレイを含む。保守は典型的にはローカルに行われ、ここで、技術者は、需給計器に一体化されたディスプレイを読み取ったり、又は、サービスのために物理的ツールを需給計器に取り付けたりする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、アプリケーションプロセッサに接続された計測プロセッサを特徴とするマルチプロセッサ需給計器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの実施例では、需給計器は、計測エンジン、マイクロプロセッシングユニット(MPU)、及び1つ又は複数の計測アプリケーションを含む。計測エンジンは、リソースの消費量を測定し、リソースの消費量に基づいて消費量データを生成する。計測エンジンは、計測プロセッサと、専用メモリと、計測プロセッサによって実行されることで、時間についてクリティカルな計測機能を上記計測エンジンがリアルタイムで実行することを可能にするリアルタイムオペレーティングシステム(RTOS)とを含む。MPUは計測プロセッサに接続され、1つ又は複数のプロセッサコアを含む。MPUは、上記MPUの一次オペレーティングシステム上において1つ又は複数の計測アプリケーションを実行し、1つ又は複数の計測アプリケーションは消費量データを利用する。
【0007】
もう1つの実施例では、需給計器は、計測エンジン、MPU、一次メモリ、一次オペレーティングシステム、及び1つ又は複数の計測アプリケーションを含む。計測エンジンは、リソースの消費量を測定し、リソースの消費量に基づいて消費量データを生成する。計測エンジンは、計測プロセッサ及び専用メモリを含むマイクロコントローラユニット(MCU)と、MCUによって実行されることで、時間についてクリティカルな計測機能を計測エンジンがリアルタイムで実行することを可能にするRTOSとを含む。MPUは計測プロセッサに接続され、1つ又は複数のプロセッサコアを含む。一次メモリは、MPUに関連付けられ、計測エンジンの専用メモリとは別である。MPUは、計測ユニットのRTOSとは別個の一次オペレーティングシステムを実行する。さらに、MPUは、MPUの一次オペレーティングシステム上において1つ又は複数の計測アプリケーションを実行し、1つ又は複数の計測アプリケーションは消費量データを利用する。
【0008】
さらにもう1つの実施例では、ある方法は、1つ又は複数のプロセッサコアを有するMPUを需給計器に設置することを含む。本方法は、MPUに接続された計測エンジンであって、リソースの消費量を測定してリソースの消費量に基づいて消費量データを生成するように構成される計測エンジンを上記需給計器に設置することをさらに含む。計測エンジンは、計測プロセッサ及び専用メモリを含む。本方法は、計測プロセッサにRTOSをインストールすることで、時間についてクリティカルな計測機能を計測エンジンがリアルタイムで実行することを可能にすることをさらに含む。さらに、本方法は、1つ又は複数の計測アプリケーションをMPUの一次オペレーティングシステム上にインストールすることを含み、ここで、1つ又は複数の計測アプリケーションは消費量データを利用する。
【0009】
この例示的な実施例は、本開示を限定又は定義するためではなく、発明の理解を支援する例を提供するために言及される。追加の実施例は詳細な説明において説明され、さらなる説明がそこで提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本願において説明したいくつかの実施例に係る、需給計器の例示的なハードウェアアーキテクチャの図である。
【
図2】本願において説明したいくつかの実施例に係る、需給計器の例示的なハードウェアアーキテクチャのもう1つの図である。
【
図3】本願において説明したいくつかの実施例に係る、メーターの例示的なハードウェア及びソフトウェアアーキテクチャの図である。
【
図4】本願において説明したいくつかの実施例に係る、メーターのもう1つの例示的なハードウェア及びソフトウェアアーキテクチャの図である。
【
図5】本願において説明したいくつかの実施例に係る、外部装置に無線接続されたメーターの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、以下の詳細な説明が添付の図面を参照して読まれるとき、さらに理解される。
【0012】
需給計器の現在のハードウェア及びファームウェアには、いくつかの欠点が存在する。大部分の需給計器で使用されているような単一のマイクロコントローラユニット(MCU)は、複雑なアプリケーションを効率的に実行する真のマルチスレッディングを行うことができない。さらに、ファームウェアは、メーターのすべての動作のための単一のコードである。コードは異なるタスクを実行する部分を含む可能性があるが、それらの部分は、ファームウェア内で互いに依存する。その結果、各ファームウェアアップグレードが、ファームウェアコードに表されたすべての動作に影響するので、ファームウェアアップグレード時間は長くなる。コードが破損している場合には、破損は、単一の機能にだけではなく、需給計器の全体に影響する。
【0013】
しかしながら、本願において説明したいくつかの実施例によれば、需給計器は、追加の計測プロセッサに接続された(すなわち、通信する)マイクロプロセッシングユニット(MPU)を利用する、マルチプロセッサアーキテクチャを有する。MPUは複数のコアを有していてもよい。計測プロセッサは、MCUであってもよく、時間についてクリティカルな計測機能をリアルタイムで実行するように構成され、その一方で、MPUは、マルチスレッディング又はマルチプロセッシングを用いて様々なアプリケーションを実行する。いくつかの実施例では、計測プロセッサは、リアルタイムオペレーティングシステムを実行して、計測機能のリアルタイム処理を保証する。コア計測機能以外の機能のためのアプリケーションは、MPU上で実行されてもよく、それは、リアルタイムオペレーティングシステムを有することを必要とせず、強化されたリアルタイム操作性を有することを必要としない。需給計器のいくつかの実施例は、ネットワーク通信のような他のリアルタイム動作をサポートするための追加のMCU又は他のプロセッサを含む。
【0014】
上述したことに加えて又は代えて、本願において説明したいくつかの実施例によれば、需給計器は、液晶ディスプレイ(LCD)画面のような一体化されたディスプレイを有しない。それ自体のディスプレイを含むのではなく、需給計器は、スマートフォン又は他の装置に接続可能である。需給計器は、消費量データ、需給計器の動作、又は他のデータについて記述するデータを、スマートフォン又は他の装置への送信するように構成され、これにより、ユーザは、スマートフォン又は他の装置においてそのようなデータを見ることができる。
【0015】
メーターとも呼ばれる、本願において説明した需給計器の実施例は、従来の需給計器に対して様々な技術的利点を提供する。MPUにおいて複数のコアを含むことにより、命令処理の速度を、例えば4~12倍、増大させることができる。MCUに組み込まれたメモリだけでなく、別個のメモリを利用することによって、メモリスペースを、例えば2倍以上、増大させることができる。いくつかの実施例では、個々のアプリケーションがインストールされてもよい。このモジュール性は、各需給計器をカスタマイズされた方法で構成できるように複数の需給計器にわたって選択的に使用可能である、独立したアプリケーションの生成をサポートする。より具体的には、いくつかの実施例では、需給計器は、当該需給計器の特定の使用に適したアプリケーションを用いて調整することができる。いくつかの実施例では、需給計器のアーキテクチャは、需給計器を使用し始めてから、必要に応じて、アプリケーションを配備することを可能にする。さらに、需給計器におけるアプリケーションのモジュール性により、ユーザは、需給計器のカスタム管理のために、彼ら自身のアプリケーションを作成、変更、又はインストールすることを可能にする。例えば、ユーザは、メーターによって生成又は収集されたデータであるメーター又は計測データを操作、処理、又は管理するためのアプリケーションをインストールすることができる。
【0016】
その結果、いくつかの実施例では、リアルタイム機能は、いくつかの実施例に係る需給計器においてサポートされ続け、また、需給計器はさらに、必要に応じて各アプリケーションを別個にアップグレード、インストール、又はアンインストールすることができるアプリケーションエンジンとして動作する高性能MPU上で効率的に動作する、より広い、より複雑な機能を有する。本願において説明した需給計器の実施例は、新規な又はカスタムの機能に加えて、標準的なプロトコル及びインターフェースのためのより頑健なプラットフォームを提供する。本願において説明したハードウェア及びソフトウェアはともに、スケーラブルであり、セキュアであり、かつ容易に保持される特徴の集合をもたらす。
【0017】
本願において説明したメーターの実施例は、メーター及び他のノードのネットワーク内においてタスクの再分配を可能にする、強力な意思決定の機能を有する。例えば、従来、メーターは、ネットワークにおける他のノードに消費量を報告し、この消費量は、最終的に、集中化された意思決定を担当するヘッドエンドシステムに配送される。しかしながら、いくつかの実施例によれば、メーターは、メーター自体において意思決定の実行を可能にするために、本願において説明するようにハードウェア又はソフトウェアのアプリケーションの形式で、適切なインテリジェント機能を含む。例えば、限定としてではなく、本願において説明したメーターは、電力品質をモニタリングし、是正処置をとってもよい。したがって、メーターの実施例は、ネットワーク通信のオーバヘッドを低減すること、エンドポイント及びヘッドエンドシステムの間のボトルネックを低減すること、又はヘッドエンドシステム又は他のノードにおける作業負荷を軽減することが可能である、エッジインテリジェント機能を提供する。集中化されたソース(例えばヘッドエンドシステム)がもはや分析及び意思決定のすべて又は大部分を担当することがないように、ネットワークを介して接続された、本願において説明したメーターのグループを利用することによって、分散型インテリジェント機能が可能にされる。
【0018】
図1は、本発明のいくつかの実施例に係る、需給計器100の例示的なハードウェアアーキテクチャの図である。本願ではメーター100とも呼ばれる需給計器100は、電気、水、又はガスのような、1つ又は複数のリソースの消費量を測定するために使用可能である。いくつかの実施例では、メーターは、計測機能(例えば、消費量の測定)を組み込み、その一方で、潜在的には他のアプリケーションに加えて、計測機能によって生成されたデータを利用するソフトウェアアプリケーションをサポートする。
図1に示すように、いくつかの実施例では、メーター100は、コア計測機能105を実行するための計測エンジン105、1つ又は複数のコアを有するMPU110、メモリ120、及び記憶装置130のうちの1つ又は複数を含み、これらはシステムバス101によってともに接続されてもよい。各周辺機器145は、例えば、メーター100に組み込まれるか、又は補助スロットによって接続される。いくつかの実施例では、通信バス140は、1つ又は複数の通信装置150を含む1つ又は複数の周辺機器145をメーター100へ同様に一体化する。しかしながら、通信バス140が必要ではなく、代替として、各周辺機器145は、ソフトウェアドライバのような各インターフェースによってMPU110に接続されることが理解される。
【0019】
概して、従来のメーターとは対照的に、本願において説明したメーター100の実施例は、MPU110がメーター100の心臓部となっているMPUベースである。いくつかの実施例では、メーター100の時間についてクリティカルな機能は、埋め込まれた又は接続計測エンジン105によって、又は、1つ又は複数の周辺機器145において実行される。この時間についてクリティカルな機能は、例えば、消費量に関連付けられた様々な時間間隔のそれぞれにおいて消費されたリソース(すなわちユーティリティ)の量について記述するデータである、消費量データの決定及び無線に基づく報告を含む。より具体的には、例えば、計測の累積及び計算は、リアルタイムで動作を実行可能である計測エンジン105によって決定される。例えば、限定としてではなく、計測エンジン105は、リアルタイムオペレーティングシステム(RTOS)を利用し、無線機能は、同じRTOS上で、又は、周辺機器145における異なるRTOS上で動作する。いくつかの実施例では、時間についてよりクリティカルではない、より高レベルのアプリケーションは、MPU110上で動作し、それは強化されたリアルタイム機能を必要としない。これらの態様及びその他については、下記でさらに詳細に説明される。
【0020】
MPU110は1つ又は複数のコアを有する。いくつかの実施例では、MPU110におけるオペレーティングシステムは、マルチスレッディング、マルチプロセッシング、又はそれらの両方をサポートする。追加的又は代替的に、MPU110が複数のコアを有する場合、各コアは、メーターにおける機能の部分集合を担当してもよい。追加的又は代替的に、複数のコアは、複数のタスクを並列に実行することを可能にしながら(例えばマルチスレッディング)、同じ機能に対して動作してもよい。複数のコアの例示的な使用は、下記でさらに詳細に、具体的には
図3及び
図4に関して提供される。
【0021】
いくつかの実施例によれば、広範囲の機能が、MPU110によってサポートされるアプリケーションとして実装されてもよい。例えば、限定としてではなく、下記の機能のうちの1つ又は複数が、MPU110によってサポートされたアプリケーションとして実装され、したがって、MPU110上で動作してもよい。時間帯別料金(time-of-use)の有効化、リソースの消費方法に関する負荷固有のプロファイル、支払い又は他の目的の暗号通貨トランザクション、自動化された機能不全報告、ユーティリティ使用に関連づけられたクラウドソーシング情報、使用パターンの検出、電気自動車充電の有効化又は検出、太陽又は他の再生可能エネルギー源の接続の有効化、太陽発電の検出、バッテリー管理の有効化又は検出、インバータ管理、負荷制御、及びホームオートメーション又は制御のシステムへの接続。
【0022】
いくつかの実施例では、本願において説明するようなマルチスレッディング又はマルチプロセッシングMPU110の使用は、既存のメーターによってサポートされない広範囲の複雑なアプリケーションを可能にする。例えば、メーター100において人工知能(AI)アプリケーションが動作してもよい。その結果、メーター100が担当する家屋等に関連する消費量データを処理するか、共通のユーティリティグリッドにおいて他のノード(例えば他のメーター)から受信されたデータを処理するか、あるいは、メーター999のユーティリティグリッドに関連する他のデータを処理するためにAIが使用されてもよい。例えば、AIアプリケーションはメーター100上で動作し、これにより、家屋等における消費量について記述する消費量データを処理することで、機器の電力署名(すなわち、負荷の内訳)に基づいて家屋等においてどの機器が使用中であるかを決定する。もう1つの実施例では、AIアプリケーションはメーター100上で動作し、これにより、他のメーターから受信されたデータを処理することで、他のメーターが電力を失ったと決定する。さらにもう1つの実施例では、メーター100がキャパシタバンクを制御するためのアクセスを有する場合、AIアプリケーションはメーター100上で動作し、これにより、共通のユーティリティグリッドにおける1つ又は複数の他のメーターに関連するデータを処理することで、1つ又は複数の電気的メーターにおける力率の1つ又は複数の測定値に基づいて力率を制御するキャパシタバンクをオンするか否か及びいつオンするかを決定する。追加的又は代替的に、メーター100がキャパシタバンクを直接的に制御できない場合、メーター100は、キャパシタバンクをオンさせることができる遠隔のリソースへの通知を発行することで、キャパシタバンクをオンすることを開始してもよい。これら又は他のAI機能のうちの1つ又は複数は、メーター100によって実行されたアプリケーションとして具体化されてもよい。
【0023】
より具体的には、いくつかの実施例では、所定の機器の動作、不適切な力率、又は近くのメーター100における電力喪失のような事象を認識するようにトレーニングされた機械学習(ML)モデルがメーター100において実装されてもよい。MLモデルは、例えば、ニューラルネットワーク、決定木、分類モデル、又は他の何らかのMLモデルであってもよい。例えば、需給計器にロードされる前に、そのようなMLモデルは、(a)需給計器の現在の状態について記述する特徴ベクトル(例えば、特徴の集合)と、(b)関心対象の発生を示すラベルとをそれぞれ含むタプルの集合を含む学習データに基づいてトレーニングされる。特徴は、例えば、測定されている電気又は他の何らかのリソースの消費量の使用パターンを含んでもよい。具体的には、例えば、特徴ベクトルは、様々な区間において使用されるリソースの量(例えばキロワット時)に対応する値の集合を含んでもよい。ラベルは、例えば、どの機器が使用中にあるか、力率が不適切であるか否か、又は、メーター又は近傍メーターが電力を喪失したか否かを示してもよい。トレーニングデータが与えられると、MLモデルは、特徴ベクトルをラベルにマッピングするように学習する。このように、需給計器の動作中に、需給計器に対するMLモデルは、所与の時間におけるメーターの状態について記述する特徴を入力として受信することができ、従って、どの機器が使用中であるかの表示、力率が不適切であるか否かの表示、又はメーター又は近傍メーターが停電を体験したことの表示のようなラベルを予測することができる。
【0024】
いくつかの実施例では、メーター100は、MLモデルによって実行されるとして上述したタスクのうちの1つ又は複数を実行するが、MLモデルの使用に加えて又は代えて、所定の技術によってそれを実行してもよい。例えば、メーター100の実施例は決定木を保持するが、それは機械学習に基づくことを必要としない。メーター100は、メーター100の現在の状態(例えば、状態について記述する特徴ベクトル)を決定木へ入力してもよく、決定木の使用によって、メーター100は、どの動作を行うかを決定してもよい。そのような動作は、通知を送信すること、又は、キャパシタバンクの起動を開始することのような、上述の1つ又は複数を含んでもよい。メーター100においてエッジインテリジェント機能を提供するために様々な技術が使用可能であることが理解されるであろう。
【0025】
追加的又は代替的に、メーター100のいくつかの実施例は、従来は需給計器でサポートされていなかった、1つ又は複数のバーチャルマシン又はコンテナアプリケーションを実行することができる。さらに、ローカルアプリケーションを実行することに加えて又は代えて、メーター100は、通信装置150を利用して、クラウドに基づくアプリケーションにアクセスして使用してもよい。例えば、メーター100を用いる顧客は、その顧客の制御内のプライベートクラウドに関連付けられてもよい。その場合、メーター100は、例えばゲートウェイを介してクラウドにアクセスし、クラウドにインストールされる任意のアプリケーションを実行することができる。メーター100からアクセス可能なクラウドに基づくアプリケーションは、例えば、電力品質モニタリング、グリッドトポロジー又はマッピング、位相識別、AIに基づく機能、又はエネルギー内訳の推定を実行するアプリケーションを含んでもよい。
メーター100は、無線メッシュネットワーク、セルラー接続、又は他の何らかの通信技術によってクラウドに接続することができる。
【0026】
アプリケーションは、様々な機構によってメーター100にインストールされてもよい。例えば、限定としてではなく、アプリケーションは、ヘッドエンドシステム又はクラウドサーバのような遠隔のシステムからインストールされてもよく、メーターへの有線接続によってローカルにインストールされてもよく、又は、NFC(near-field communication)、Bluetooth、又はWiFi(wireless fidelity)のような直接の無線接続によってローカルにインストールされてもよい。1つ又は複数のバーチャルマシン又はクラウドへのアクセスを介して、メーター100は、例えば、メーター100のネイティブオペレーティングシステムによってサポートされないアプリケーションを実行することができる。
【0027】
図1に示すように、所定の実施例では、メーター100は、MPU110とは別個のメモリ120を含む。いくつかの実施例では、メモリ120はRAMである。例えば、限定としてではなく、メーターのハードウェアは、1~2ギガバイトのRAMを利用する。記憶装置は、例えばフラッシュ記憶装置であってもよく、それは、いくつかの実施例では、少なくとも8ギガバイトであってもよい。しかしながら、他の様々なメモリ120又は記憶装置130が使用されてもよく、そのようなメモリ120及び記憶装置130のサイズは実施例に応じて変化することが理解されるであろう。
【0028】
メーター100の通信装置150は、例えば、無線通信を可能にする無線周波数(RF)無線装置160、WiFi通信を可能にするWiFi装置(図示せず)、セルラー通信を可能にするセルラー装置(図示せず)、及びNFC通信を可能にするNFCチップ170を含んでもよい。いくつかの実施例では、メーター100は、例えば、消費量データをヘッドエンドシステムに報告するために、又は、メーター及び他の装置のネットワークに関連する他のデータの通信のために、ヘッドエンドシステムとの双方向通信を行うためのRF無線装置160を利用する。いくつかの実施例では、RF無線装置160は、物理層(PHY)及びメディアアクセス制御(MAC)層を利用し、ここで、PHYは、データ送信の機能を有する物理媒体にMACを接続する。いくつかの実施例では、MAC及びPHYは、リアルタイムで実行されなければならない時間についてクリティカルな機能を実行する。したがって、MAC層及びPHY層は、MPU110の一次オペレーティングシステムとは別個のRTOS又は他のオペレーティングシステムによって実行されてもよく、したがって、RF無線装置160は、MPU110に一体化さもなければ接続された周辺機器145へ埋め込まれてもよい。もし使用されれば、WiFi装置は、他のメーター100、又はメーター100に近接したスマート装置のような、近くの装置とネットワーク接続することを可能にしうる。例えば、限定としてではなく、メーター100はIoT(Internet of Things)装置であり、WiFi装置は、メーター100が他のIoT装置と通信することを可能にする。
【0029】
いくつかの実施例では、メーター100は、通信装置150を利用して、外部ソースから消費量データを収集する。例えば、限定としてではなく、ピアメーター又はサブメーターは、メーター100自体によっては直接的に測定されない消費量を直接的に測定してもよく、そのようなピアメーター又はサブメーターから、メーター100は、そのような測定値について記述する消費量データを受信してもよい。例えば、サブメーターは、電気自動車を充電するために消費された電力を測定してもよく、その消費量について記述する消費量データをメーター100に送信してもよい。メーター100は、例えば、WiFi又はBluetoothを介して、又は無線メッシュネットワークを介して、そのような消費量データを受信してもよい。このように、メーター100は、様々なソースから消費量データを収集し、請求書発行又は他の目的のためのその消費量データを集約してもよい。
【0030】
図1に示すように、メーター100の実施例は、NFCチップ170を組み込む。例えば、限定としてではなく、NFCチップ170は、最大で4センチメートルまでの範囲、約4センチメートル、3フィート(91.44センチメートル)、3~5フィート(91.44~152.4センチメートル)、又は他の様々な範囲を有してもよい。NFCチップ170は、メーター100における様々な用途を有してもよい。例えば、NFCチップ170は、製造又は構成中におけるメーター100自体の追跡を可能にするために、メーターの製造又は構成中に使用されてもよい。詳細後述するように、NFCチップ170又は他の通信装置は、ローカルのスマートフォン又は他の外部装置と通信するために使用可能である。例えば、スマートフォンは、メーター100のNFCチップ170を介してメーター100に直接的に接続することで、スマートフォンがメーター100のユーザインターフェースを表示することを可能にすることができる。したがって、スマートフォンは、メーター100に関連する消費量データ又は他の情報をオンデマンドで表示することができる。詳細後述するように、メーター100のいくつかの実施例は、従来は需給計器へ一体化される構成要素であったディスプレイを有しない。ディスプレイをもたないメーター100は、ディスプレイを備えた需給計器よりも、製造のコストが潜在的に低くなる。NFCチップ170の使用を通じて、例示的なメーター100は、従来のディスプレイに代えて、スマートフォンのような外部装置を利用することができる。ディスプレイなしのメーターの有用性に関するさらなる例は、詳細後述される。
【0031】
各周辺機器145は、メーター100の能力を拡張してもよい。例えば、限定としてではなく、補助スロットによってサービスツールが取り付け可能であり、これによって周辺機器145になる。もう1つの実施例では、ハードウェア(例えば、RF無線装置160)が誤動作する場合、そのハードウェアの追加又は更新されたバージョンが補助スロットを介して接続されてもよく、これが周辺機器145になる。本発明の実施例によれば、周辺機器145の様々な可能な使用がサポートされることが理解されるであろう。
【0032】
いくつかの実施例では、計測エンジン105は、消費量の累積及び計算のような、メーター100の時間についてクリティカルな機能を実行する。例えば、計測エンジン105は、消費量のサンプルを連続的に測定し、確立された時間期間わたって累積された消費量を計算する。例えば、電気メーターの場合、計測エンジン105は、累積された消費量を、キロワット時(kWh)を単位として計算する。詳細後述するように、計測エンジン105は、MCUのような、RTOSを利用する処理装置を含んでもよい。RTOSの使用は、ハードウェアにおける所定の応答時間を保証し、したがって、結果として得られる消費量データが正確に計算されることを保証する。計測エンジン105についての追加の詳細事項は、詳細後述される。
【0033】
いくつかの実施例では、MCUによってリアルタイムタスクを取り扱い、MPU110がより高レベルのアプリケーション(すなわち、時間についてクリティカルではないアプリケーション)を取り扱うことを可能にすることで、MPU110は、広範囲のアプリケーションを有効にサポートすることができる。メーター100にインストールされてMPU110によって実行されるソフトウェアアプリケーションは、モジュール式であり、基礎をなすファームウェアから分離されている。その結果、メーター100は、MCUによって実行されている時間についてクリティカルなタスクに干渉することなく、MPU上で動作するアプリケーションとして実装された様々な非従来型の機能を備えたシステムになりえる。
【0034】
図2は、本発明のいくつかの実施例に係る、需給計器100の例示的なハードウェアアーキテクチャのもう1つの図である。前述したように、計測エンジン105は、メーター100のコア計測機能を実行する。
図2に示すように、いくつかの実施例では、計測エンジン105は、計測プロセッサを含み、具体的には、いくつかの実施例では、RTOSを実行するMCU210を含む。計測エンジン105は、メーター100に埋め込まれてもよく、MPU110と通信してもよい。しかしながら、計測エンジン105は別個のプロセッサ及び別個のメモリを含んでもよく、例えば、計測エンジン105のプロセッサ及びメモリは、MPU210と、MPU210に関連付けられたメモリ120とはそれぞれ別個のハードウェアを有してもよい。例えば、計測エンジン105のMCU210は、計測エンジン105に専用の一体化されたメモリを含んでもよい。一実施例では、計測エンジン105のMCU210は、リアルタイムリナックス(Real-Time Linux)(Linux:登録商標)のようなRTOSを有するCortex-M7 600MHzである。さらなる実施例では、MPU110は、
図5に示す例示的なMPU110のように、クアッドコアであり、1コア当たり1.5GHzで動作可能であってもよい。しかしながら、MCU210の代わりに、又は、
図2に示すMPU110の代わりに、他のタイプの処理装置が使用可能であることが理解されるであろう。
【0035】
いくつかの実施例では、計測エンジン105は、別個のプロセッサを利用するのではなく、MPU110上で動作する。例えば、限定としてではなく、メモリ120及び記憶装置130において別個の論理パーティションが実装されてもよく、計測エンジン105を実装するために、RTOS、又はリアルタイム機能を強制するための他の機構が、この論理パーティションにインストールされてもよい。
【0036】
いくつかの管轄において、所定のセキュリティ及びデータ保護要件であって、別々に分割されたメモリ及び別個の処理を必要とすることがある要件を満たすために、所定の態様の計測処理が法律によって要求され、本発明の実施例は、別々に分割されたメモリ及び別個のプロセッサ又は処理コアの使用を通じて、そのような要件に応じる。そのような要件に起因して、ファームウェアアップグレード、セキュリティ、及び検証のために特別な手順が使用されなければならず、そのような手順は、MPU110上で動作するアプリケーションに強制されることを必要とせず、計測エンジン105に強制されてもよい。
【0037】
いくつかの実施例では、
図2に示すように、RF無線装置160もまたRTOSを組み込む。計測エンジン105のように、RF無線装置160は、MCUのような、各RTOSが動作するそれ自体のプロセッサを含んでもよい。計測エンジン105及びRF無線装置160のどちらか又は両方は、単一のチップとしてMPU110に一体化されてもよく、又は、計測エンジン105及びRF無線の各々は、ドライバを介してMPU110と通信する別個のMCU210を組み込んでもよい。
【0038】
RTOSを必要とする機能以外の機能は、MPU110上で動作してもよい。いくつかの実施例では、時間についてクリティカルである機能のみがRTOS上で実行され、一方、他の機能はMPU110上で実装される。より具体的には、このような他の機能は、RTOSであることを必要としないリナックス(Linux)のようなオペレーティングシステムによって、MPU110上で動作する1つ又は複数のアプリケーションとして実装されてもよい。そのような他のアプリケーションは、例えば通信装置150によって無線を介して、遠隔で更新されてもよい。
【0039】
図3は、本発明のいくつかの実施例に係る、メーター100の例示的なハードウェア及びソフトウェアアーキテクチャの図である。
図3に示すように、いくつかの実施例では、オペレーティングシステム(OS)310は、MPU110上で動作し、マルチスレッディング又はマルチプロセッシングをサポートしてもよく、一方、RTOS320は、MCU210上で、又は、計測エンジン105の他のプロセッサ上で動作する。前述したように、RTOS320は、計測エンジン105が時間についてクリティカルな動作を実行することを可能にする。OS310及びRTOS320は別個であってもよく、例えば、RTOSは、MPU210のOS310とは異なるオペレーティングシステムであるか、又は、RTOSは同じオペレーティングシステムの異なるインストールである。OS310及びRTOS320が同じオペレーティングシステムの異なるインストールである場合、OS310及びRTOS320の両方がリアルタイムオペレーティングシステムであってもよい。しかしながら、所定の実施例では、リナックスはMPU110のOS310であり、その一方で、リアルタイムリナックスは計測エンジン105のRTOS320である。しかしながら、プロセッサの各々のために様々なオペレーティングシステムが使用可能であり、MPU110のOS310が同様にRTOS320であってもよいが、それである必要はないことが理解されるであろう。
【0040】
いくつかの実施例では、メーター100は、RTOS320上で動作する時間についてクリティカルな動作と、RTOS320の外部で動作する時間についてクリティカルではない動作との間の相互動作のために定義されたソフトウェアインタフェースの集合(すなわち、アプリケーションプログラミングインターフェース)を含む。一実施例では、メーター100は、メーター100から他の装置にデータを送信するために定義された第1のアプリケーションプログラミングインターフェース(API)を実装し、また、メーター100において他の装置からデータを受信するために第2のAPIを実装してもよい。MPU110によって実行されるアプリケーションから、又は、他の何らかの時間についてクリティカルではない構成要素からデータを送信するために、OS310は、第1のAPIにおける関数を呼び出して、データをヘッドエンドシステム、他のメーター、又は他の場所に送信してもよい。いくつかの実施例では、RTOS320は、関数呼び出しを受信し、利用可能な次の時間スロット中にRF無線装置160を介してデータを送信するように動作をスケジューリングする。当該利用可能な次の時間スロットに達したとき、RTOS320の実施例は、各時間スロットにおいてどのチャネルを使用するかを定義する、確立されたチャンネルホッピングポリシーによって示されるような適切なチャネルにおいて、関数呼び出しで示されるデータが送信されることを保証する。データが単一の時間スロットに入らない場合、RTOS320は、データを分割し、様々な時間スロットにおいて、また潜在的には、必要に応じて様々なチャネルにわたって送信してもよい。
【0041】
追加的又は代替的に、OS310は、最大送信電力レベルを制御するためのAPI、又は、RF無線装置160に係る平均信号強度を示すためのAPIを利用する。RF無線装置160は、送信中及び受信中のビットエラーの個数、失われたパケットの個数、又は他の統計量のような、様々な概要統計量を収集してもよく、OS310は、このデータ又は他のデータをRF無線160に要求するために1つ又は複数のAPIを使用してもよい。追加的又は代替的に、いくつかの実施例では、メーター100は、OS310及び計測エンジン105の間の通信のための1つ又は複数のAPIを実装してもよい。計測エンジン105のRTOS320は、計測データ(例えば、計測エンジン105によって生成又は収集された消費量データ又は他のデータ)の時間についてクリティカルな生成と、当該計測データの関連付けられた高速処理とを取り扱ってもよく、RTOS320は、そのような計測データ(例えば、キロワット時、力率、ピーク電圧、又は電流で表された測定値)の表示をOS310に送るために1つ又は複数のAPIを使用する。
【0042】
図3に示すように、いくつかの実施例では、MPU110の各コア220は、例えば、所定の機能を実装するアプリケーションのスレッドをあるコア220が実行するように、メーターの所定の機能を担当する。この実施例では、MPU110は、プロセッサコアとも呼ばれる4つのコア220を有するが、MPU110のコア220の個数が変化してもよいことが理解されるであろう。この実施例では、第1のコア220はOS310の実行及びレガシーコード(例えば、メーターのファームウェアに伝統的に組み込まれたアプリケーション)の実行を担当し、第2のコア220はJavaアプリケーション又は他のタイプのアプリケーションの実行を担当し、第3のコア220は時間についてクリティカルではない計測アプリケーションのような計測アプリケーションの実行を担当し、第4のコア220はメーター100の他のすべての動作を担当する。
【0043】
さらに、図示したように、拡張を可能にするために、より具体的には、周辺機器145のためのサポートを提供するために、オペレーティングシステム310上に1つ又は複数のドライバ330がインストールされてもよい。この実施例では、周辺機器145は、NFCチップ170、RF無線装置160、計測エンジン105、及び追加の周辺機器145を含む。概して、NFCチップ170は、メーター100によって必要とされたとき、近くの外部装置と通信してもよい。例えば、詳細後述するように、メーター100自体がディスプレイを組み込む必要がなくなるように、NFCチップ170は、ディスプレイの代わりに使用されるスマートフォンと通信してもよい。
【0044】
図3が例示的な実施例を図示し、本発明の様々な実施例の範囲を制限しないことが理解されるであろう。例えば、代替として、コア220は、特定の役割を割り当てられることを必要としないが、代わりに、メーター100の様々な機能の負荷を共有してもよい。もう1つの実施例では、本願において図示及び説明した役割とは異なる役割が割り当てられてもよい。
【0045】
図4は、本発明のいくつかの実施例に係る、メーター100のもう1つの例示的なハードウェア及びソフトウェアアーキテクチャを示す。この実施例では、第1のコア220は、小電力無線パーソナルネットワーク上のインターネットプロトコルバージョン6(Internet Protocol Version 6 (IPv6) over Low-Power Wireless Personal Area Networks:6LowPan)を利用する装置制御ワード仮想マシン(Device Control Word (DCW) virtual machine (VM))を実装する。より具体的には、
図4に示すように、DCW VMは、小電力又は損失のあるネットワークのためのルーティングプロトコル(Routing Protocol for Low-Power or Lossy Networks:RPL)によりIPv6上でユーザデータグラムプロトコル( User Datagram Protocol:UDP)を利用してもよい。DCW VMは、符号化されたレガシー動作、具体的にはレガシーDCWを実行するための環境を提供する。したがって、メーター100のいくつかの実施例は、マルチスレッディングを利用する新規かつ複雑なアプリケーションの使用を可能し、その一方で、レガシーファームウェアに組み込まれた機能との後方互換性も提供する。この実施例では、第2のコア220は、1つ又は複数のサービスと、MicroEJ(登録商標)プラットフォームを利用するソフトウェアのためのMicroEJ VMを提供することを担当し、また、MicroEJ VM又は1つ又は複数のサービス上で動作する1つ又は複数のアプリケーションを提供することを担当する。MPU110の第3のコア220は計測アプリケーション420専用であり、それは、計測エンジン105によって決定された消費量データを利用する。第4のコア220は、消費量データを利用してもしなくてもよい他のアプリケーション420により利用可能である。さらに、この実施例では、MPU110上で動作するOSはリナックスであり、その一方で、MCU210上で(すなわち、計測エンジン105において)動作するRTOS320はリアルタイムリナックスである。しかしながら、この実施例は例示のみを目的としていることは理解されるであろう。
【0046】
いくつかの実施例では、メーター100は、スマートフォン又は他の装置のような外部装置に直接的に接続するように構成される。
図5は、本発明のいくつかの実施例に係る、外部装置510に無線接続されたメーター100の例を示す。より具体的には、
図5の例は、外部装置510がスマートフォンであることを示すが、外部装置510が、代替として、タブレット、ノートブックコンピュータ、又は本願において説明するように利用可能である他の外部装置510であってもよいことが理解されるであろう。
【0047】
上述のように、メーター100は、ディスプレイを組み込む必要はない。より具体的には、いくつかの実施例によれば、例示的なメーター100は、テキスト形式又は他の情報を表示するためのLCD画面のような画面を有していない。さらに、いくつかの実施例では、メーター100は、ボタン又は光学ポートを有していない。従来、テストモードを開始したり、リセットを開始したり、ディスプレイに表示される内容を切り換えたり、あるいは他の機能を実行したりするために、メーターには1つ又は複数のボタンが含まれ、また、ファームウェアアップグレード又は構成パラメータを受信するためのローカル接続を可能にするために光学ポートが使用される。そのような構成要素を除去することで、メーター100を製造するコストを下げることができ、その一方で、これらの機能は、本願において説明するように、1つ又は複数の通信装置150の使用を通じて保持することができる。
【0048】
いくつかの実施例では、メーター100に組み込まれる1つ又は複数の通信装置150の中には、NFCチップ170がある。メーター100のNFCチップ170は、NFCを介してメーター100を外部装置510に接続してもよい。例えば、限定としてではなく、NFCチップ170の通信範囲は、約0~4インチ(0~10.16センチメートル)であってもよく、これにより、外部装置510は、接続中にメーター100の4インチの範囲内に存在する。この短い距離は、悪意をもって遠隔の装置をメーター100に接続する可能性を低下させるために有用となりうる。さらに、いくつかの実施例では、メーター100は、例えば外部装置510の署名又は証明書を確認することによって、外部装置510の認可を検証し、これにより、外部装置510がメーター100にアクセスすることを認可されていることを保証する。
【0049】
外部装置510と通信するために、NFCのチップ170の代わりに代替の通信装置150が使用されてもよいことが理解されるであろう。例えば、ディスプレイとして利用されるスマートフォン又は他の外部装置510にメーター100を接続するために、無線周波数識別(RFID)装置、Bluetooth、又はWiFiが使用されてもよく、又は、メーター100は、通信のために外部装置510への有線接続を可能にするポート(例えば、光学又はUSB(universal serial bus))を含んでもよい。
【0050】
いくつかの実施例では、外部装置510は、メーター100自体のディスプレイの代わりに利用される、一体化されたか取り付けられたディスプレイ520を有する。従来行われるように、メーター100の一体化されたディスプレイに情報を出力する代わりに、出力される情報は、メーター100によって外部装置510に送信され、外部装置510がそのような情報を表示する。言いかえると、外部装置510は、メーター100へのユーザインターフェースを提供する。そのユーザインターフェースを介して、ユーザは、メーター100に命令を手動で提供するか、又は、メーター100からデータを受信することができる。例えば、限定としてではなく、メーター100は、下記のタイプの情報ののうちの1つ又は複数を表示のために外部装置510に送信してもよい。消費されたリソースの量について記述する消費量データ(例えばキロワット時)、リソースのリアルタイム又は履歴の需要(例えばキロワット)、ログファイル、内部時間、サービス時間、負荷の内訳に関する情報、力率、及び請求金額の見積もり。
【0051】
従来、メーター100はメッシュネットワークに参加し、それによって、典型的には1つ又は複数の中間ノードによって間接的に、消費量データをヘッドエンドシステムに送信する。次いで、消費量データが集中化された場所に格納された後、ヘッドエンドシステムは、消費量データを、クラウドのみを介してアクセス可能であるようにしてもよい。しかしながら、いくつかの実施例では、外部装置510は、消費量データがヘッドエンドシステムにおいて受信されること又はクラウドに格納されることを待機する必要なく、メーター100から消費量データを直接的に受信する。メーター100は、メーター100によって測定さもなければ収集された消費量について記述するリアルタイム又はほぼリアルタイムの消費量データを外部装置510に直接的に送信するように構成される。いくつかの実施例では、リアルタイム又はほぼリアルタイムの消費量データの送信は、この消費量データがヘッドエンドシステムにより又はクラウドにおいて利用可能になる前に行われる。いくつかの実施例では、消費量データを外部装置510に送信することに加えて又は代えて、メーター100は、他のデータをメーター100に送信してもよい。例えば、メーター100は、どのデータが外部装置510によってアクセス可能であるかに関するポリシーであって、メーターに関連付けられたサービスプロバイダ又は他の何らかのエンティティによって確立されたポリシーを強制してもよい。ポリシーは、メーター100がどのデータを外部装置510に送信することを許可されているかを指示してもよく、そのデータは、メーター100からヘッドエンドシステムに送信されるデータと異なっていても異なっていなくてもよく、メーター100からヘッドエンドシステムに送信されるデータに比べて強く制限されていても弱く制限されていてもよい。
【0052】
いくつかの実施例では、外部装置510は、メーター100から受信された情報に基づく分析又は他のデータ処理を実行する。外部装置510は、おそらくは、従来のメーターが有するよりも高品質のディスプレイ520を有するので、外部装置510は、例えばテーブル又はグラフの形式でグラフィックに、ユーザにとって直観的な可視化を行って消費量データ又は他の情報を出力することができ、又は、外部装置510は、消費量データにおけるパターンを認識したり、他の複雑な処理を実行したりすることができる。
【0053】
この目的で、いくつかの実施例では、計器測定アプリケーション530は、外部装置510によって実行可能であり、ここで、計器測定アプリケーション530は、メーター100へのグラフィカルユーザインターフェースを提供し、また、消費量データに関連付けられた他のタスクを実行するように構成されてもよい。いくつかの実施例では、計器測定アプリケーション530によるメーター100へのアクセスは、認可されたユーザに制限され、さらに、許可されたアクセスのタイプは、複数のユーザにわたって変化してもよい。
【0054】
例えば、顧客は、外部装置510をメーター100に接続することができ、その接続中に、メーター100は、の読み出し専用のアクセスを外部装置510に許可してもよい。いくつかの実施例では、読み出し専用のアクセスが許可される前に、外部装置510は、それ自体をメーター100に対して認証させるように要求されてもよく、それは、顧客が認証情報(例えば、ユーザ名及びパスワード、バイオメトリックデータ)を外部装置510に提供することを必要としてもよい。外部装置510は、それ自体を認証するために、認証情報を検証することによって、顧客によって提供されたこの認証情報をメーター100に送信してもよく、追加的又は代替的に、外部装置510がユーザを認証した後で、外部装置510は、他の適切な認証データ(例えば、署名又は認可された証明書)をメーター100に提供し、これにより、ユーザを認証したことに応答して外部装置510を認証してもよい。
【0055】
外部装置510にアクセスを与えたとき、メーター100は、外部装置510のユーザによって手動で入力された命令を受信してもよい。さらに、メーター100は、(例えばNFCを介して)外部装置にデータを送信してもよく、ここで、そのデータは、例えば、予め決められた期間にわたる消費量データの表示を含んでもよい。いくつかの実施例では、需給計器100は、外部装置510においてユーザによって入力された命令であって、消費量データの要求である命令に応答して、外部装置にそのようなデータを送信する。外部装置510は、さらなる詳細事項を提供したり、メーター100によって提供された消費量データを分析したり、又は、可視化結果(例えば、グラフ、テーブル、又はチャート)を出力したりするように構成されてもよい。外部装置510は、外部装置510のインターフェースにおいて受信されたユーザ要求に応答して、そのようなタスクのうちの1つ又は複数を実行してもよい。例えば、消費量データを特定の形式で可視化する要求を受信したとき、外部装置510は、必要に応じて消費量データを分析し、外部装置510のディスプレイ520を介して、結果として得られた可視化結果を表示してもよい。
【0056】
いくつかの実施例では、外部装置510は、分析を実行し、メーター100から直接的に受信された消費量データに基づいた高度なグラフィックスを出力することができる。例えば、限定としてではなく、外部装置510は、消費量データを分析することで、予め決められた期間又は選択された期間にわたる消費量の傾向を決定し、それによって、将来の使用に関する予測を行う。いくつかの実施例では、外部装置510は、家屋等においてどの機器が使用中にあるかを識別するために内訳を推定する。いくつかの実施例では、そのような分析は、計器測定アプリケーション530を通じて、外部装置510において実装された人工知能の使用を必要とする。
【0057】
いくつかの実施例では、外部装置510は、消費量データに基づいて、ユーザによって支払われるべき請求金額を計算するように構成される。それは、顧客によって消費されたユーティリティを表す。計算された金額は、前納式のメーターに適用されてもよく、その場合、金額は、過去の消費量に基づく示唆であってもよく、又は、計算された金額は、後納式のメーターに適用されてもよく、その場合、金額は、発生じた実際の消費量に基づく来たる金額の予測であってもよい。さらに、外部装置510は、予想される将来の消費量に基づいて推定された請求金額を計算するために、例えば人工知能によって、消費量の傾向を決定してもよい。外部装置510は、顧客のユーティリティ消費量に関連付けられたアカウントに対して、計算された金額又はユーザによって選択された他の金額で、支払いを始めてもよい。いくつかの実施例では、受信された支払いは、外部装置510によって要求されたとき、メーター100において処理され、その確認は、RF無線装置160又は他の通信装置150を介して、集中化された場所(例えば、ヘッドエンドシステム又はクラウド)に送信される。追加的又は代替的に、メーター100又は外部装置510は、支払い情報を、処理のために、集中化された支払い処理ソース(例えば支払いサーバ)に送信してもよく、いくつかの実施例では、ヘッドエンドシステムがその支払い処理ソースとして動作してもよい。その場合、ヘッドエンドシステムのような支払い処理ソースは、支払いを処理して、肯定応答をメーター100又は外部装置510に返送する。外部装置510は、支払いが行われたことの確認として、顧客への肯定応答を示す情報を表示することができる。したがって、顧客は、消費量データを見て、請求書を受けとる前に支払うことを可能にされてもよい。この場合、その支払いは、消費量の傾向に従って推定に基づいてもよい。
言いかえると、顧客は、メーター100から外部装置510に直接的に送信された消費量データに基づいて、外部装置510によって開始される前納を実施可能にされてもよい。
【0058】
いくつかの実施例では、計器測定アプリケーション530は、外部装置510における他のアプリケーションに接続し、それは、そのような他のアプリケーショにより消費量データを利用することを可能にしてもよい。例えば、限定としてではなく、接続されたアプリケーション(例えば、計器測定アプリケーション530が接続されるアプリケーション)は、PDFを生成してもよく、又は、メーター100から受信された消費量データ又は他の情報をレンダリングする印刷ジョブを開始してもよい。もう1つの実施例では、計器測定アプリケーション530は、外部装置510のカレンダー又はタスクマネージャに接続することで、請求書の支払いを行うための、又は、計器測定に関連する他の何らかのタスクを実行するための注意喚起を設定してもよい。メーター100から受信された情報に基づいた追加又は代替のサービスを提供するために、計器測定アプリケーション530が他の様々なアプリケーションに接続してもよいことが理解されるであろう。
【0059】
いくつかの実施例では、アクセスの階層が存在し、認可された技術者の外部装置510は、メーター100についての情報に対する追加に又は代替のアクセスを有する。例えば、計器測定アプリケーション530が技術者を認証した後で、又は、メーター100自体が、技術者によって使用中であるとして外部装置510を認証した後で、計器測定アプリケーション530は、メーター100への読み出し及び書き込みアクセスの両方を外部装置510に両方を提供してもよい。ここで、書き込みアクセスは、何らかの点で制限されていてもいなくてもよい。例えば、限定としてではなく、技術者は、外部装置510に入力された命令又は他のデータによって、テストモードを開始すること、プログラミングすること、又はメーター100をリセットすることを可能にされる。そのような命令又は他のデータは、外部装置510からメーター100に送信されてもよい。例えば、外部装置510は、物理的アダプタを使用することなく、オンサイトのファームウェア又はソフトウェア更新をメーター100に無線でプッシュ送信してもよい。
【0060】
ディスプレイをもたないにもかかわらず、例示的なメーター100は、較正中に、又は他の目的で使用可能である1つ又は複数のライトを含む。例えば、限定としてではなく、メーター100は、メーターを較正するか他のタスクを実行する処理の間に点滅又は脈動するように構成された発光ダイオード(LED)装置540を含む。いくつかの実施例では、パルスのタイミング又はパターンは、確立されたパターンに従い、これにより、技術者は、脈動によって伝えられる情報に基づいて、メーターを較正するか又は他の何らかのタスクを実行することを可能にされる。その場合、光の様々な状態は、メーター100に関する情報を示す特定のメッセージにマッピングされる。ここで、ある状態は、色と、その色が提示されるパターン(例えば、連続点灯、又は所定周波数の点滅)との組み合わせである。したがって、光の状態が与えられると、技術者は、メーター100が関連付けられた特定のメッセージを提供し、それに従ってふるまうことができることを示すとして、その状態を解釈することができる。例えば、限定としてではなく、LED装置540は、予め決められた量のキロワット時(例えば、1キロワット時)が消費されたとき、一回点滅し、それは較正中にガイドラインを提供する。追加的又は代替的に、メーター100が光学ポートを含む場合、LED装置540は、光学ポートのための送信LEDとして動作してもよく、それは、受信トランスデューサとしてフォトダイオードを含んでもよい。したがって、メーター100が一体化されたディスプレイをもたないことは、従来の較正機器を用いて較正を可能にすることに関して、メーター100の能力を必ずしも低下させることはない。
【0061】
上述の特徴に加えて、メーター100自体におけるディスプレイを除去することにより、様々な利点が存在する。例えば、ディスプレイをもたないことは、ディスプレイに関連する故障を発生させないので、メーター100の信頼性を増大させうる。他の故障に加えて、長期的なコントラスト及び電気化学に関する故障が、従来のメーターのディスプレイにおける時間、日光、熱、又は湿度に起因して生じる場合があるが、そのような故障は、メーター100からそのようなディスプレイを除去することで発生させないことが可能である。さらに、ディスプレイの代わりにNFCチップ170を含むことでディスプレイの場合よりもコストが低減するかもしれないことと、ディスプレイを使用しないことでメーター100の機械的設計を簡単化できることと、ディスプレイを除去することにより利用可能なプリント回路基板(PCB)の領域が増大されることとを理由として、ディスプレイを除去することは費用効率の高い選択肢となりうる。
【0062】
いくつかの実施例では、メーター100におけるディスプレイ及び光学ポートを除去することに起因して、本願において説明した残りのハードウェアは、従来使用されるよりも小さなPCBの上にあてはめるように構成することができ、それによって、コストを著しく低減し、PCBにおける追加の空間を他の機能に割り当てることができる。より具体的には、例えば、メーターの実施例は、下記のものを除外する。多数のトレースを必要とするであろうディスプレイ、光トランジスタ及び信号調節ハードウェアとともに設けられる光学ポート、ボタンとボタンのための信号調節ハードウェアとに至るトレースとともに設けられる押しボタン及び対応するリードスイッチ。典型的には、メーターのディスプレイは、ディスプレイ及び処理装置の間の延在する36本のトレースを含み、これらのトレースはともに、PCBの領域のうちの2平方インチ(12.9平方センチメートル)よりも多くを必要とする。いくつかの実施例では、ディスプレイ自体を除去することで、これらのトレースはメーター100から除去される。メーター100の実施例は、従来使用されていたよりも小さなPCBに収まる可能性が高い、電源、メモリ120、記憶装置130、MPU110、計測エンジン105、及び通信装置150を保持する。
【0063】
特許請求の範囲に記載された主題についての詳細な理解を提供するために、本明細書において多数の特定の詳細事項を述べている。しかしながら、当業者は、特許請求の範囲に記載された主題がこれらの特定の詳細事項なしで実施されてもよいことを理解するであろう。本願において議論した特徴は、任意の特定のハードウェアアーキテクチャ又は構成に限定されない。需給計器は、本願において説明するようにふるまう構成要素の任意の適切な構成を含んでもよい。需給計器又は他の装置のプログラミング又は構成に使用されるソフトウェアにおいて、本願に含まれる開示内容を実装するために、任意の適切なプログラミング、スクリプティング、他のタイプの言語、又は言語の組み合わせが使用されてもよい。特許請求の範囲に記載された主題を不明瞭にしないように、当業者によって知られるであろう方法、装置、又はシステムについては詳述していない。
【0064】
本願における「~ように適応される」又は「~ように構成される」の使用は、追加のタスク又はステップを実行するように適応化又は構成された装置を除外しない、オープンかつ包括的な用語を意図している。さらに、「~に基づく」の使用は、記載された1つ又は複数の条件又は値「に基づく」処理、ステップ、計算、又は他の動作が、実際に、記載したものを越える追加の条件又は値に基づいてもよいという点で、オープンかつ包括的であることを意図している。本願に含まれた見出し、リスト、及び番号は、説明の簡単化のみを目的とし、限定を意図していない。
【0065】
本願の主題をその特定の態様に関して詳述したが、当業者は、上述したことを理解することにより、そのような態様の変更、変形、及び等価物を容易に作成しうることが認識されるであろう。従って、本開示が限定ではなく例示の目的で提示され、当業者に容易に明らかになるように、本願の主題に係るそのような変更、変形、又は追加を含むことを除外しないことは理解されるべきである。