(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】コミュニケーション支援システム、コミュニケーション支援方法、及びコミュニケーション支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0251 20230101AFI20241220BHJP
【FI】
G06Q30/0251
(21)【出願番号】P 2022008420
(22)【出願日】2022-01-24
【審査請求日】2024-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺濱 幸徳
(72)【発明者】
【氏名】小沢 寛之
(72)【発明者】
【氏名】新山 茂
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 毅郎
【審査官】毛利 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-075006(JP,A)
【文献】国際公開第2015/129044(WO,A1)
【文献】特開2021-056615(JP,A)
【文献】特開2021-131634(JP,A)
【文献】特開2013-250931(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク上におけるコミュニティの参加者の情報を保持する記憶装置と、
前記参加者による前記コミュニティへの投稿に関する、前記参加者とは異なる他参加者の端末からの問いかけを取得する処理と、前記投稿及び前記問いかけの少なくともいずれかと前記情報とを照合して、前記他参加者が興味を示す事象であって前記参加者にとって既知の事象を特定する処理と、前記特定した事象に関する情報を前記コミュニティに投稿または前記他参加者の端末に出力する処理
と、前記参加者の端末より、前記既知の事象に関する情報として、実体験の情報及び当該実体験に伴い利用した商品またはサービスの情報を取得し、当該情報を前記記憶装置の前記参加者の情報として格納する処理を実行し、前記既知の事象を特定する際、前記投稿及び前記問いかけの少なくともいずれかが含むキーワードをキーに、前記参加者の情報たる前記実体験及び前記商品またはサービスの各情報のうち前記キーワードを含むものを特定する演算装置と、
を備えた情報処理装置を含むことを特徴とするコミュニケーション支援システム。
【請求項2】
前記演算装置は、
前記特定した事象に関する情報を出力するに際し、前記コミュニティにおける前記参加者の前記投稿に紐付けた推奨情報として出力するものである、
ことを特徴とする請求項
1に記載のコミュニケーション支援システム。
【請求項3】
前記演算装置は、
前記推奨情報の出力に伴い、当該推奨情報が示す前記商品または前記サービスの提供事業者のシステムに対し、前記他参加者に向けた相談窓口の開設打診を通知するものである、
ことを特徴とする請求項
2に記載のコミュニケーション支援システム。
【請求項4】
前記商品または前記サービスに関する情報を保持する記憶装置と、
前記相談窓口を介した情報提供の要否確認に関して、前記他参加者の端末から要否回答を受け付け、当該要否回答の内容に応じて前記提供事業者の担当者が入力した提供情報を、前記他参加者の端末に送信する処理を、前記他参加者の要求に応じて繰り返す際、最終的に前記商品または前記サービスの販売手続の要否確認に至る、段階的な前記要否確認を前記他参加者の端末に通知する演算装置と、
を備えた前記提供事業者のシステムを含むことを特徴とする請求項
3に記載のコミュニケーション支援システム。
【請求項5】
前記記憶装置は、
前記参加者及び前記他参加者による前記ネットワークにおける挙動履歴をさらに保持し、
前記演算装置は、
前記挙動履歴に基づき、前記参加者及び前記他参加者が一定基準を越えた挙動の対象となった事象を特定して、当該事象に関するコミュニティを形成し、当該コミュニティに関して前記処理のそれぞれを実行するものである、
ことを特徴とする請求項1に記載のコミュニケーション支援システム。
【請求項6】
情報処理装置が、
ネットワーク上におけるコミュニティの参加者の情報を記憶装置で保持し、
前記参加者による前記コミュニティへの投稿に関する、前記参加者とは異なる他参加者の端末からの問いかけを取得する処理と、前記投稿及び前記問いかけの少なくともいずれかと前記情報とを照合して、前記他参加者が興味を示す事象であって前記参加者にとって既知の事象を特定する処理と、前記特定した事象に関する情報を前記コミュニティに投稿または前記他参加者の端末に出力する処理
と、前記参加者の端末より、前記既知の事象に関する情報として、実体験の情報及び当該実体験に伴い利用した商品またはサービスの情報を取得し、当該情報を前記記憶装置の前記参加者の情報として格納する処理を実行し、前記既知の事象を特定する際、前記投稿及び前記問いかけの少なくともいずれかが含むキーワードをキーに、前記参加者の情報たる前記実体験及び前記商品またはサービスの各情報のうち前記キーワードを含むものを特定する
ことを特徴とするコミュニケーション支援方法。
【請求項7】
ネットワーク上におけるコミュニティの参加者の情報を記憶装置で保持する情報処理装置に、
前記参加者による前記コミュニティへの投稿に関する、前記参加者とは異なる他参加者の端末からの問いかけを取得する処理と、前記投稿及び前記問いかけの少なくともいずれかと前記情報とを照合して、前記他参加者が興味を示す事象であって前記参加者にとって既知の事象を特定する処理と、前記特定した事象に関する情報を前記コミュニティに投稿または前記他参加者の端末に出力する処理
と、前記参加者の端末より、前記既知の事象に関する情報として、実体験の情報及び当該実体験に伴い利用した商品またはサービスの情報を取得し、当該情報を前記記憶装置の前記参加者の情報として格納する処理と、前記既知の事象を特定する際、前記投稿及び前記問いかけの少なくともいずれかが含むキーワードをキーに、前記参加者の情報たる前記実体験及び前記商品またはサービスの各情報のうち前記キーワードを含むものを特定する処理を、
実行させることを特徴とするコミュニケーション支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コミュニケーション支援システム、コミュニケーション支援方法、及びコミュニケーション支援プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
生まれながらにしてネット環境が当たり前に存在し、SNS(Social Networking Service)やチャットツール等の各種サービスを自在に使いこなす世代(例えばZ世代)が台頭している。そして当該世代においては、自分以外の人間とコミュニケーションをとる際の契機や手段、目的意識などが、それ以前の世代とは異なるケースも多い。
なお、コミュニケーションに関連する従来技術としては、ユーザ同士の関係情報に応じて公開されていない個人情報の公開を提案するコミュニケーション支援サーバ(特許文献1参照)などが提案されている。
【0003】
このサーバは、ユーザの個人情報を記憶する個人情報記憶部と、前記個人情報記憶部に記憶される第一のユーザの個人情報を第二のユーザに公開するか否かを、前記第一のユーザと前記第二のユーザとの関係に応じた関係情報が公開条件を満たしているか否かにより判別する公開条件判別部と、前記公開条件判別部が、前記関係情報が公開条件を満たしていると判別した場合、前記第一のユーザの個人情報を前記第二のユーザに公開することを前記第一のユーザに提案するための提案表示情報を生成する情報公開提案部を備えるものである。
【0004】
また同様に、インスタントメッセージングサービスを中心にソーシャルネットワークサービスを統合し、ユーザ経験を多次元的に増大させる技術(特許文献2参照)なども提案されている。
【0005】
この技術は、ユーザの端末が行う匿名基盤プロフィールを介してソーシャルネットワークサービスを提供するためのインターフェイス表示方法において、インスタントメッセージサービスのインターフェイス内の第1ページの第1領域を用いて、前記インスタントメッセージサービスのユーザアカウントによって生成された少なくとも1つの匿名基盤チャットルームのリストに該当する第1リストを表示するステップと、前記インスタントメッセージサービスのインターフェイス内の第2ページの第1領域を用いて、前記ユーザアカウントと連動して生成された複数の匿名基盤プロフィールのリストに該当する第2リストを表示するステップと、前記第2リストのいずれか1つの匿名基盤プロフィールを選択する入力に反応して、前記選択された匿名基盤プロフィールを介して前記ソーシャルネットワークサービスを提供するためのインターフェイスを表示するステップと、を含み、前記複数の匿名基盤プロフィールそれぞれには、該当する匿名基盤プロフィールと一対一にチャットする匿名基盤チャットルームに参加するためのリンク情報が付与され、前記少なくとも1つの匿名基盤チャットルームのそれぞれは、該当する匿名基盤プロフィールに付与されたリンク情報を介してアクセス可能であり、前記該当する匿名基盤プロフィールと1対1チャットするチャットルームである、匿名基盤プロフィールを介してソーシャルネットワークサービスを提供するためのインターフェイス表示方法に関するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2021-86234号公報
【文献】特開2021-34055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のような世代の者あるいはそれと同様の感覚を有する者に向け、旧来のプラットフォームや手段を介して、いわゆるプッシュ型で一方的な情報提供や営業活動を行うと、関心の無い商品やサービスを押しつけられたと認識されやすい。そのため、情報提供等が無駄になるばかりか、当該情報やサービス等に対する嫌悪感につながる可能性すらある。
そこで本発明の目的は、潜在的顧客の自然な意思を尊重した形での、適宜な情報提供を可能とする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明のコミュニケーション支援システムは、ネットワーク上におけるコミュニティの参加者の情報を保持する記憶装置と、前記参加者による前記コミュニティへの投稿に関する、前記参加者とは異なる他参加者の端末からの問いかけを取得する処理と、前記投稿及び前記問いかけの少なくともいずれかと前記情報とを照合して、前記他参加者が興味を示す事象であって前記参加者にとって既知の事象を特定する処理と、前記特定した事象に関する情報を前記コミュニティに投稿または前記他参加者の端末に出力する処理と、前記参加者の端末より、前記既知の事象に関する情報として、実体験の情報及び当該実体験に伴い利用した商品またはサービスの情報を取得し、当該情報を前記記憶装置の前記参加者の情報として格納する処理を実行し、前記既知の事象を特定する際、前記投稿及び前記問いかけの少なくともいずれかが含むキーワードをキーに、前記参加者の情報たる前記実体験及び前記商品またはサービスの各情報のうち前記キーワードを含むものを特定する演算装置と、を備えた情報処理装置を含むことを特徴とする。
また、本発明のコミュニケーション支援方法は、情報処理装置が、ネットワーク上におけるコミュニティの参加者の情報を記憶装置で保持し、前記参加者による前記コミュニティへの投稿に関する、前記参加者とは異なる他参加者の端末からの問いかけを取得する処理と、前記投稿及び前記問いかけの少なくともいずれかと前記情報とを照合して、前記他参加者が興味を示す事象であって前記参加者にとって既知の事象を特定する処理と、前記特定した事象に関する情報を前記コミュニティに投稿または前記他参加者の端末に出力する処理と、前記参加者の端末より、前記既知の事象に関する情報として、実体験の情報及び当該実体験に伴い利用した商品またはサービスの情報を取得し、当該情報を前記記憶装置の前記参加者の情報として格納する処理を実行し、前記既知の事象を特定する際、前記投稿及び前記問いかけの少なくともいずれかが含むキーワードをキーに、前記参加者の情報たる前記実体験及び前記商品またはサービスの各情報のうち前記キーワードを含むものを特定することを特徴とする。
【0009】
また、本発明のコミュニケーション支援プログラムは、ネットワーク上におけるコミュニティの参加者の情報を記憶装置で保持する情報処理装置に、前記参加者による前記コミュニティへの投稿に関する、前記参加者とは異なる他参加者の端末からの問いかけを取得する処理と、前記投稿及び前記問いかけの少なくともいずれかと前記情報とを照合して、前記他参加者が興味を示す事象であって前記参加者にとって既知の事象を特定する処理と、前記特定した事象に関する情報を前記コミュニティに投稿または前記他参加者の端末に出力する処理と、前記参加者の端末より、前記既知の事象に関する情報として、実体験の情報及び当該実体験に伴い利用した商品またはサービスの情報を取得し、当該情報を前記記憶装置の前記参加者の情報として格納する処理と、前記既知の事象を特定する際、前記投稿及び前記問いかけの少なくともいずれかが含むキーワードをキーに、前記参加者の情報たる前記実体験及び前記商品またはサービスの各情報のうち前記キーワードを含むものを特定する処理を、実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、潜在的顧客の自然な意思を尊重した形での、適宜な情報提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態におけるコミュニケーション支援システムの構成例を示す図である。
【
図2】本実施形態におけるコミュニケーション支援装置のハードウェア構成例を示す図である。
【
図3】本実施形態のコミュニティ管理DBの構成例を示す図である。
【
図4】本実施形態の実体験管理DBの構成例を示す図である。
【
図5】本実施形態の参加者DBの構成例を示す図である。
【
図6】本実施形態の契約管理DBの構成例を示す図である。
【
図7】本実施形態の商品DBの構成例を示す図である。
【
図8】本実施形態のコミュニケーション支援方法のフロー例を示す図である。
【
図9】本実施形態におけるコミュニケーション支援方法の概念例を示す図である。
【
図10】本実施形態のコミュニケーション支援方法のフロー例を示す図である。
【
図11】本実施形態における対話シナリオとカウントアップの概念例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<時代背景と発明の前提について>
SNS(Social Networking Service)など種々のサービスがネット上で発達するにつれ、生まれながらにしてネット環境が当たり前の世代、すなわちZ世代が台頭してきた。そこで、従来の営業職員や通販サイトによる販売形態だけでなく、新たな顧客層たりうるZ世代を意識した販売形態の模索が必要といえる。
【0013】
ただし、こうしたZ世代は、JOMO(Joy Of Missing Out)に関する意識を持っており、当該意識に寄り添った販売形態でなければ、当該商品やサービス等に対する嫌悪感につながる可能性すらある。そこで本発明では、上述のようなZ世代またはそれと同様の意思を持つ者に対し、当該意識を自然な形で尊重して、適宜な情報提供を可能とする。
【0014】
なお、説明の簡明化のため、本実施形態ではコミュニティの参加者層としてZ世代を一例にあげたが、勿論これに限定するものではない。
<ネットワーク構成>
以下に本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本実施形態におけるコミュニケーション支援システム10の構成例を示す図である。
図1に示すコミュニケーション支援システム10は、潜在的顧客の自然な意思を尊重した形での、適宜な情報提供を可能とするコンピュータシステムである。
【0015】
本実施形態のコミュニケーション支援システム10は、
図1で示すように、インターネットなどの適宜なネットワーク1を介して、コミュニケーション支援装置100、ユーザ端末200、及び事業者システム400が通信可能に接続された構成となっている。また、事業者システム400は、相談窓口端末300及び担当者端末450を含むものとできる。よって、これらすべてを総称してコミュニケーション支援システム10としてもよい。
【0016】
上述のうち、本実施形態のコミュニケーション支援装置100は、ネットワーク1において各コミュニティのWebサイトを運営し、保険商品等を取り扱う事業者システム400と協働するサーバ装置を想定できる。
【0017】
ユーザ端末200は、コミュニケーション支援装置100が運営するWebサイトにアクセスし、ユーザが所望のコミュニティにて投稿や閲覧を行うための端末である。具体的には、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータなどを想定できる。
【0018】
また、事業者システム300は、上述のコミュニティを通じて、その参加者に商品やサービスを提供しようとする事業者のシステムである。そのため、事業者システム300は、契約管理DB325、及び商品DB326を少なくとも保持、運用している。なお、これらデータベースの詳細については後述する。
【0019】
また、相談窓口端末350は、商品やサービスの提供事業者が、当該商品等の販売、契約に向けて(ネット上で)開設した窓口の端末である。この相談窓口端末350は、コミュニティの参加者が操作するユーザ端末200との間で、当該参加者からの問いかけに応答する担当者の端末となる。具体的には、スマートフォン、タブレット端末、パーソナル
コンピュータなどを想定できる。
<ハードウェア構成>
また、本実施形態のコミュニケーション支援装置100のハードウェア構成は、
図2に以下の如くとなる。すなわちコミュニケーション支援装置100は、記憶装置101、メモリ103、演算装置104、および通信装置105を備える。
【0020】
このうち記憶装置101は、SSD(Solid State Drive)やハードディスクドライブなど適宜な不揮発性記憶素子で構成される。
【0021】
また、メモリ103は、RAMなど揮発性記憶素子で構成される。
【0022】
また、演算装置104は、記憶装置101に保持されるプログラム102をメモリ103に読み出すなどして実行し装置自体の統括制御を行なうとともに各種判定、演算及び制御処理を行なうCPUである。
【0023】
また、通信装置105は、ネットワーク1と接続して、ユーザ端末200や事業者システム300との通信処理を担うネットワークインターフェイスカード等を想定する。
【0024】
なお、本実施形態のコミュニケーション支援装置100は、ユーザからのキー入力や音声入力を受け付ける入力装置、処理データの表示を行うディスプレイ等の出力装置、を更に備えるとしてもよい。
【0025】
また、記憶装置101内には、本実施形態のコミュニケーション支援装置として必要な機能を実装する為のプログラム102に加えて、コミュニティ管理DB125、実体験管理DB126、及び参加者DB127が少なくとも記憶されている。ただし、これらデータベースについての詳細は後述する。
<データ構造例>
続いて、本実施形態のコミュニケーション支援装置100が用いる各種情報について説明する。
図3に、本実施形態におけるコミュニティ管理DB125の一例を示す。本実施形態のコミュニティ管理DB125は、コミュニケーション支援装置100が運営する各コミュニティの情報を格納したデータベースである。
【0026】
このコミュニティ管理DB125は、例えば、コミュニティ名をキーとして、当該コミュニティのWebサイトのURL、参加者の識別情報、及び当該参加者の投稿履歴、といったデータを紐付けたレコードの集合体となっている。
【0027】
また、
図4に本実施形態の実体験管理DB126の構成例を示す。本実施形態の実体験管理DB126は、コミュニティの参加者が実際に体験した事象の情報を、当該参加者のユーザ端末200から得て格納、管理しているデータベースである。
【0028】
この実体験管理DB126は、例えば、実体験の情報提供者たる参加者の識別情報をキーに、当該実体験の内容、リンク先、実体験ラベル、及びキーワードといったデータを紐付けたレコードの集合体となっている。
【0029】
このうち「リンク先」の情報は、当該実体験に際して購入した商品やサービスに関する情報のリンク先である。具体的には、当該商品等を提供した事業者(提供事業者)の事業者システム300(の契約管理DB325)で管理する、当該商品等の販売や契約の履歴情報の格納先URLを想定できる。
【0030】
また、「実体験ラベル」の情報は、「実体験内容」の記載中から参加者又はシステムが
抽出した一文である。この実体験ラベルは、当該実体験を端的に示す文となっている。また、「キーワード」の情報は、「実体験内容」の記載中から参加者又はシステムが抽出したキーワードである。
【0031】
また、
図5に本実施形態の参加者DB127の構成例を示す。本実施形態の参加者DB127は、各コミュニティの参加者における、当該コミュニティのWebサイトへのアクセス頻度、平均滞在時間、投稿回数、対応回数、及び同意率、といったデータを対応付けたレコードの集合体となっている。
【0032】
なお、上述の対応回数は、上述の参加者による投稿に対しての他参加者からの問合せへの対応回数を示す。また同意率は、そうした投稿に対する問合せへの対応に関して、当該他参加者から納得感を示された、つまり同意を得られた率を示す。この「同意」のカウントは、コミュニケーション支援装置100が、当該他参加者に対する確認要求をユーザ端末200に配信して取得する形態等を想定できる。
【0033】
また、
図6に本実施形態の契約管理DB325の構成例を示す。本実施形態の契約管理DB325は、事業者システム300が運用するデータベースである。この契約管理DB325は、当該事業者の商品やサービスに関してクロージングした案件の情報を蓄積、管理するデータベースとなる。
【0034】
具体的には、案件IDをキーに、当該案件でクロージングした商品等の商品ID、契約者、契約日時、及び契約内容といった値を紐付けたレコードの集合体となっている。
【0035】
また、
図7に本実施形態の商品DB326の構成例を示す。本実施形態の商品DB326は、上述の事業者が取り扱う商品、サービスに関する情報を格納、管理するデータベースである。具体的には、商品IDをキーに、商品名、及び商品内容といったデータを紐付けたレコードの集合体となっている。この商品DB326で管理する商品IDが、契約管理DB325のレコードにおける商品IDと共通する。
<コミュニケーション支援方法のフロー例>
以下、本実施形態におけるコミュニケーション支援方法の実際手順について図に基づき説明する。以下で説明するコミュニケーション支援方法に対応する各種動作は、コミュニケーション支援システム10を構成する各装置らがメモリ等に読み出して実行するプログラムによって実現される。そして、このプログラムは、以下に説明される各種の動作を行うためのコードから構成されている。
【0036】
図8は、本実施形態におけるコミュニケーション支援方法のフロー例を示す図であり、
図9は、本実施形態におけるコミュニケーション支援方法の概念例を示す図である。この場合、コミュニケーション支援装置100は、まず、あるコミュニティの参加者のユーザ端末200より、当該参加者が実際に体験した事象に関する情報提供を受ける(s10)。
【0037】
ここで参加者から提供される情報としては、例えば、「突然の病気やけがで入院することになった人」のコミュニティに向けた、「一人暮らしの際に病気にかかり、金銭的にも心配で心細かったが、親に相談したところ医療保険で賄えた」、といった実体験の内容や、その「医療保険」に関する情報である「○○生命保険の○○医療保険」といった情報などが想定できる。
【0038】
次に、コミュニケーション支援装置100は、ユーザ端末200から情報提供を受けた、実体験の情報を、当該参加者の識別情報と紐付けて、実体験管理DB126に格納する(s11)。
【0039】
また、コミュニケーション支援装置100は、上述のs10で得ている「医療保険」に関する情報に基づき、例えば、対応する保険会社の商品サイトにて該当医療保険の商品紹介や契約申込のページを検索し、当該ページのURLを、実体験管理DB126の該当レコードにおける「リンク先」欄に格納する(s12)。
【0040】
ここまでの処理で、上述の参加者に関して、実体験管理DB126にて新たなレコードが生成、格納されたことになる。各コミュニティの各参加者のうち、そのコミュニティに投稿することで他の人々の参考になりそうな実体験をした者は、上述のように実体験の情報入力を適宜行うものとする。それにより、実体験管理DB126は時間経過とともに充実していくことになる。
【0041】
こうした実体験の入力がなされ、実体験管理DB126が生成された以降、以下の処理が実行されることになる。
図10は、本実施形態におけるコミュニケーション支援方法のフロー例を示す図である。
【0042】
ここでは、上述の参加者(実体験の情報を入力した者)のコミュニティ、すなわち「突然の病気やけがで入院することになった人」のコミュニティに、或る参加者(すなわち他参加者)がユーザ端末200を操作してアクセスしてきたとする。
【0043】
コミュニケーション支援装置100は、この他参加者のユーザ端末200に対し、当該コミュニティに向けて投稿された各参加者の投稿内容を、スレッド形式やチャット形式などで配信し画面表示(
図9参照)させる(s100)。
【0044】
他参加者は、画面表示された投稿内容を閲覧し、本コミュニティの趣旨に沿った事柄で、興味のあること、あるいは気になっていることについて、ユーザ端末200を操作して投稿する。ユーザ端末200は、この投稿操作を受けて、投稿内容のデータをネットワーク1経由でコミュニケーション支援装置100に送信する。
【0045】
コミュニケーション支援装置100は、上述の他参加者のユーザ端末200から受信した投稿内容をWebサイトにて表示する(s101)。
【0046】
なお、コミュニケーション支援装置100は、当該他参加者の投稿に関し、コミュニティ管理DB125における当該コミュニティのレコードにおいて、当該他参加者の投稿履歴として情報を格納する(s102)。また、コミュニケーション支援装置100は、当該投稿に基づき、参加者DB127における、当該コミュニティの上記他参加者における、当該コミュニティのWebサイトへのアクセス頻度、平均滞在時間、投稿回数の各値を更新する。
【0047】
そこで、このコミュニティにおいて既に実体験の情報を登録済みの参加者が、上述の他参加者による投稿に目を留めて閲覧したとする。或いは、上述の他参加者による上述の投稿が、そうした実体験の登録済み参加者の投稿に対しての書き込みであったとしてもよい。
【0048】
上述の参加者は、自身のユーザ端末200を操作し、上述の他参加者による投稿(悩み事等に関する質問や問いかけと言える)を閲覧し、自身の実体験の情報が役に立ちそうだと認識した場合、当該投稿に対し、自身の実体験を記した応答を行う。この応答の例としては、「親に相談したら、・・・治療費のお金はこれで賄えました」といったものとなる。
【0049】
この場合、参加者のユーザ端末200は、上述の応答のデータをコミュニケーション支援装置100に送信する。
【0050】
コミュニケーション支援装置100は、s101で受信した他参加者の投稿と、s102で送信された参加者の応答の各データを参照し、それらが共通に含むキーワードを特定し、このキーワードをキーとして、実体験管理DB126での検索を行う(s103)。
【0051】
この検索では、実体験管理DB126における「実体験内容」、「実体験ラベル」、及び「キーワード」の各欄いずれかに、上述のキーとしたキーワードが含まれるレコードを特定することになる。こうした検索の結果、コミュニケーション支援装置100は、上述の他参加者が興味を示す事象であって、上述の参加者にとって既知の事象すなわち実体験が特定される。
【0052】
続いて、コミュニケーション支援装置100は、s103の検索で特定した実体験に関する情報を実体験管理DB126から抽出し、これをコミュニティのWebサイトに投稿、または他参加者のユーザ端末200に出力する(s104)。
【0053】
なお、上述のように、特定した事象たる実体験に関する情報を出力する際、コミュニケーション支援装置100は、当該コミュニティにおける参加者の投稿(上述の例であれば、“親に相談したら、・・・治療費のお金はこれで賄えました”)のスレッドとするなど、適宜な紐付けをした推奨情報500(
図9参照)として出力するとすれば好適である。
図9で例示する推奨情報500は、「医療保険でサポート」という実体験ラベルの値を含む表示オブジェクトとしている。
【0054】
コミュニケーション支援装置100は、上述の推奨情報500の出力に伴い、当該推奨情報500が示す商品またはサービスの、1または複数の提供事業者の事業者システム300に対し、上述の他参加者に向けた相談窓口の開設打診を通知する(s105)。
【0055】
一方、開設打診を受けた、1または複数の事業者システム300は、当該事業者の担当者による判断および指示を経て、相談窓口の開設処理を実行する(s106)。この開設処理は、例えば、当該相談窓口となるWebサイトを自動生成し、これを予め用意してあるURLにて公開するといったものを想定すればよい。
【0056】
このWebサイトは、上述の他参加者と事業者の担当者との間で、金融商品等の契約を(あくまで他参加者の自由意志を尊重した上で)最終着地点としたコミュニケーションを順次行うためのインターフェイスを提供するチャット機能を提供する。
【0057】
また、事業者システム300は、開設した相談窓口において、上述の商品等の利用に関する実際の体験談といった、具体的情報の提供の要否について他参加者に問うべく、「体験談に基づく回答を聞きたい?」といった要否確認の投稿(
図11参照)を行う(s107)。事業者システム300は、ここで「はい」を選択した上述の他参加者に対して、例えば、悩みごとを記載するためのインターフェイスを表示し、記載を待ち受ける。
【0058】
事業者システム300は、上述のインターフェイスにて記載された内容を取得した場合、当該他参加者との間の対話の深さを1段階上げてもよいと判断、すなわちカウントアップした上で、一般的なアドバイス情報(個別具体的な商品提案などではない表層的なもの)を予め保持する回答リストから抽出して、または事業者の担当者からの入力を受け、上述の他参加者に向けた回答として表示する(s108)。
【0059】
事業者システム300は、こうした要否確認とそれに伴う問合せの受信、及びその問合
せに対する回答、といった一連の処理を、上述の要否回答を受けるごとすなわちカウントアップを行うごと、商品等の販売手続の要否確認に向けて、段階的な要否確認を行うものとする(s109)。なお、こうしたカウントアップの処理は、例えば、事業者システム300が、他参加者からの対話要求や要否回答(例:上述のs107での投稿に応じて他参加者が肯定的な選択や書き込みを行って応答した事象)の発生機会をカウントするカウンタを、自身のメモリ等で管理し実装するものとする。また、そうして管理するカウンタの値は、事業者と他参加者との間での対話シナリオにおける、商品契約手続を最終段階とする各段階(例:体験談から連携、一般的な回答、対応商品回答、提案・見積、契約手続)と予め紐付いている。
【0060】
よって、こうしたカウントアップが継続し、契約手続の段階にまで到達した場合、事業者システム300は、当該商品等に関する契約手続の手順を実行し(s110)、本フローを終了する。勿論、上述のカウントアップを段階的に進める中、上述の他参加者から情報提供は不要との応答があれば、同様に本フローは終了する。
<その他:コミュニティ生成など>
ここまでの説明では、コミュニティは予め用意されているものとしていたが、コミュニケーション支援装置100が自動生成するとしてもよい。その場合、コミュニケーション支援装置100は、記憶装置101で保持する参加者DB127の情報を用いて、処理を実行する。その情報とは、参加者及び他参加者による、ネットワーク1の各コミュニティのWebサイトにおける挙動履歴である。
【0061】
コミュニケーション支援装置100は、参加者DB127が示す挙動履歴である、例えば、或るWebサイト(コミュニティのものに限定せず、ネットワーク1で公開中の種々のWebサイトを含みうる)へのアクセス頻度、平均滞在時間、投稿回数、対応回数、及び同意率の各値に基づき、参加者及び他参加者が一定基準を越えた挙動の対象となった事象を特定する。
【0062】
ここでの「事象」とは、例えば、当該Webサイトで取り扱っている事柄であり、子育て、介護、住宅ローン、保険、老後資金、など様々なものを想定できる。また、「一定基準を越えた」とは、例えば一定期間中における、アクセス頻度、平均滞在時間、対応回数および同意率の少なくともいずれかが一定値以上、といった状況を想定する。
【0063】
また、コミュニケーション支援装置100は、そうして特定した事象に関するコミュニティを形成する。コミュニティの形成とは、例えば、参加者DB127で管理している各参加者(他参加者も含む)を、特定した事象に応じたコミュニティに紐付け、当該コミュニティのWebサイトを自動生成する処理を想定できる。
【0064】
以上、本発明を実施するための最良の形態などについて具体的に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0065】
こうした本実施形態によれば、潜在的顧客の自然な意思を尊重した形での、適宜な情報提供が可能となる。
【0066】
本明細書の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。すなわち、本実施形態のコミュニケーション支援システムにおいて、前記演算装置は、前記参加者の端末より、前記既知の事象に関する情報として、実体験の情報及び当該実体験に伴い利用した商品またはサービスの情報を取得し、当該情報を前記記憶装置の前記参加者の情報として格納する処理をさらに実行し、前記既知の事象を特定する際、前記投稿及び前記問いかけの少なくともいずれかが含むキーワードをキーに、前記参加者の情報たる前記実体験及び前記商品またはサービスの各情報のうち前記キーワードを含むものを特定するものである、とし
てもよい。
【0067】
これによれば、コミュニティの参加者のうち、当該コミュニティにとって何かしら有用な実体験をしている者の知見を、当該実体験に関心を持った他の参加者向けの情報として効率的に特定可能となる。ひいては、潜在的顧客の自然な意思を尊重した形での、より適宜な情報提供が可能となる。
【0068】
また、本実施形態のコミュニケーション支援システムにおいて、前記演算装置は、前記特定した事象に関する情報を出力するに際し、前記コミュニティにおける前記参加者の前記投稿に紐付けた推奨情報として出力するものである、としてもよい。
【0069】
これによれば、上述のような実体験の知見を、前記他参加者が当該事象に興味を持った契機となった投稿と紐付けた形で提示可能となる。ひいては、潜在的顧客の自然な意思を尊重した形での、より適宜な情報提供が可能となる。
【0070】
また、本実施形態のコミュニケーション支援システムにおいて、前記演算装置は、前記推奨情報の出力に伴い、当該推奨情報が示す前記商品または前記サービスの提供事業者のシステムに対し、前記他参加者に向けた相談窓口の開設打診を通知するものである、としてもよい。
【0071】
これによれば、コミュニティ参加者を潜在的ターゲットとした自然な営業活動の機会について、商品等の提供事業者に提示し、その対応について効率的に検討してもらう契機を生成できる。ひいては、潜在的顧客の自然な意思を尊重した形での、より適宜な情報提供が可能となる。
【0072】
また、本実施形態のコミュニケーション支援システムにおいて、前記商品または前記サービスに関する情報を保持する記憶装置と、前記相談窓口を介した情報提供の要否確認に関して、前記他参加者の端末から要否回答を受け付け、当該要否回答の内容に応じて前記提供事業者の担当者が入力した提供情報を、前記他参加者の端末に送信する処理を、前記他参加者の要求に応じて繰り返す際、最終的に前記商品または前記サービスの販売手続の要否確認に至る、段階的な前記要否確認を前記他参加者の端末に通知する演算装置と、を備えた前記提供事業者のシステムを含むとしてもよい。
【0073】
これによれば、商品等の提供事業者と当該商品等に関心を寄せる参加者との間でのコミュニケーションが、当該参加者の意思に沿った形で自然にエスカレーションし、契約等のクロージングまで無理なく至ることも期待される。ひいては、潜在的顧客の自然な意思を尊重した形での、より適宜な情報提供が可能となる。
【0074】
また、本実施形態のコミュニケーション支援システムにおいて、前記記憶装置は、前記参加者及び前記他参加者による前記ネットワークにおける挙動履歴をさらに保持し、前記演算装置は、前記挙動履歴に基づき、前記参加者及び前記他参加者が一定基準を越えた挙動の対象となった事象を特定して、当該事象に関するコミュニティを形成し、当該コミュニティに関して前記処理のそれぞれを実行するものである、としてもよい。
【0075】
これによれば、上述の参加者らが能動的に行動せずとも、その行動や思考などに応じた自然な形でコミュニティへ所属可能となる。ひいては、潜在的顧客の自然な意思を尊重した形での、より適宜な情報提供が可能となる。
【符号の説明】
【0076】
1 ネットワーク
10 コミュニケーション支援システム
100 コミュニケーション支援装置
101 記憶装置
102 プログラム
103 メモリ
104 演算装置
105 通信装置
125 コミュニティ管理DB
126 実体験管理DB
127 参加者DB
200 ユーザ端末
300 事業者システム
325 契約管理DB
326 商品DB
350 相談窓口端末
500 推奨情報