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特許7607622フローサイトメータ、そのレーザ光学アセンブリ、およびレーザ光学アセンブリの組立方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】フローサイトメータ、そのレーザ光学アセンブリ、およびレーザ光学アセンブリの組立方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 15/1434 20240101AFI20241220BHJP
   G01N 21/53 20060101ALI20241220BHJP
   G01N 21/05 20060101ALI20241220BHJP
【FI】
G01N15/1434
G01N21/53 Z
G01N21/05
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2022195472
(22)【出願日】2022-12-07
(62)【分割の表示】P 2020552698の分割
【原出願日】2019-03-28
(65)【公開番号】P2023027191
(43)【公開日】2023-03-01
【審査請求日】2022-12-07
(31)【優先権主張番号】62/650,783
(32)【優先日】2018-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】300004500
【氏名又は名称】アイデックス ラボラトリーズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】IDEXX Laboratories, Inc.
【住所又は居所原語表記】One IDEXX Drive, Westbrook, Maine 04092, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ミセナー,ガーランド クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ムーン,マイケル ライアン
(72)【発明者】
【氏名】マッケルウェイン,スペンサー フランクリン
(72)【発明者】
【氏名】パパレ,アラン
【審査官】野田 華代
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-004625(JP,A)
【文献】特開2002-296170(JP,A)
【文献】特表2021-519432(JP,A)
【文献】特開2006-250686(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 15/00-15/14
G01N 21/53
G01N 21/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フローセルと、コリメーションアセンブリと、凸シリンドリカルレンズと、凹シリンドリカルレンズと、シリンドリカル対物レンズと、を備えるフローサイトメータであって、
前記フローセルが、流れ方向を画定し、
前記コリメーションアセンブリが、レーザダイオードと、軸に沿ってレーザビームを生成するように構成されるコリメートレンズと、を備え、
前記凸シリンドリカルレンズが、前記コリメーションアセンブリから下流側の前記軸上に配置され、
前記凹シリンドリカルレンズが、前記凸シリンドリカルレンズから下流側の前記軸上に配置され、
前記シリンドリカル対物レンズが、前記凹シリンドリカルレンズから下流側の前記軸上に配置され、かつ、前記シリンドリカル対物レンズが、前記フローセルに入射する前記レーザビームが前記フローセルの前記流れ方向に平行な方向に第1のビームウェスト1/e径を画定し、かつ前記フローセルの前記流れ方向に垂直な方向に第2のビーム1/e径であって、最大210μmである第2のビーム1/e径、を画定するように、前記フローセルに前記レーザビームを投影するように構成され
前記コリメーションアセンブリ、前記凸シリンドリカルレンズ、前記凹シリンドリカルレンズ、及び前記シリンドリカル対物レンズは、最大で15μm以上の前記フローセル内の実際の半径方向のコアストリームシフトが発生した場合、又は最大で15μm以上の前記レーザビームの焦点のシフトによる見かけの半径方向のコアストリームシフトが発生した場合、のうち少なくとも1つの場合となったとしても、性能が低下しないように協調的に構成される
フローサイトメータ。
【請求項2】
前記第1のビームウェスト1/e径は、6.7μm~9μmである
請求項1に記載のフローサイトメータ。
【請求項3】
フローセルと、コリメーションアセンブリと、凸シリンドリカルレンズと、凹シリンドリカルレンズと、シリンドリカル対物レンズと、を備えるフローサイトメータであって、
前記フローセルが、流れ方向を画定し、
前記コリメーションアセンブリが、レーザダイオードと、軸に沿ってレーザビームを生成するように構成されるコリメートレンズと、を備え、
前記凸シリンドリカルレンズが、前記コリメーションアセンブリから下流側の前記軸上に配置され、
前記凹シリンドリカルレンズが、前記凸シリンドリカルレンズから下流側の前記軸上に配置され、
前記シリンドリカル対物レンズが、前記凹シリンドリカルレンズから下流側の前記軸上に配置され、かつ、前記シリンドリカル対物レンズが、前記フローセルに入射する前記レーザビームが前記フローセルの前記流れ方向に平行な方向に第1のビームウェスト1/e 径を画定し、かつ前記フローセルの前記流れ方向に垂直な方向に第2のビーム1/e 径であって、最大210μmである第2のビーム1/e 径、を画定するように、前記フローセルに前記レーザビームを投影するように構成され
前記コリメーションアセンブリ、前記凸シリンドリカルレンズ、前記凹シリンドリカルレンズ、及び前記シリンドリカル対物レンズは、前記フローセルを通る流量の変化が2%以下であれば、飛行時間測定が粒子又は細胞のサイズを1μm以下まで区別することができるように協調的に構成される
ローサイトメータ。
【請求項4】
フローセルと、コリメーションアセンブリと、凸シリンドリカルレンズと、凹シリンドリカルレンズと、シリンドリカル対物レンズと、を備えるフローサイトメータであって、
前記フローセルが、流れ方向を画定し、
前記コリメーションアセンブリが、レーザダイオードと、軸に沿ってレーザビームを生成するように構成されるコリメートレンズと、を備え、
前記凸シリンドリカルレンズが、前記コリメーションアセンブリから下流側の前記軸上に配置され、
前記凹シリンドリカルレンズが、前記凸シリンドリカルレンズから下流側の前記軸上に配置され、
前記シリンドリカル対物レンズが、前記凹シリンドリカルレンズから下流側の前記軸上に配置され、かつ、前記シリンドリカル対物レンズが、前記フローセルに入射する前記レーザビームが前記フローセルの前記流れ方向に平行な方向に第1のビームウェスト1/e 径を画定し、かつ前記フローセルの前記流れ方向に垂直な方向に第2のビーム1/e 径であって、最大210μmである第2のビーム1/e 径、を画定するように、前記フローセルに前記レーザビームを投影するように構成され
前記コリメーションアセンブリは、少なくとも2つの支持体であって、前記レーザダイオードと前記コリメートレンズの間の所定の軸方向距離を維持するように構成される少なくとも2つの支持体を更に備え、前記少なくとも2つの支持体が、前記レーザダイオードと前記コリメートレンズの間の前記所定の軸方向距離を最大で30℃の温度変化を通して維持する線熱膨張係数を有する材料から形成される
ローサイトメータ。
【請求項5】
前記所定の軸方向距離は、10℃~40℃の温度変化を通して維持される
請求項に記載のフローサイトメータ。
【請求項6】
前記少なくとも2つの支持体は、第1の支持体及び第2の支持体を備え、前記第1の支持体は第1の材料から形成され、前記第2の支持体は、前記第1の材料とは異なる第2の材料から形成される
請求項に記載のフローサイトメータ。
【請求項7】
前記少なくとも2つの支持体は、3つの支持体であって、前記所定の軸方向距離を維持するように構成され、かつ互いにバランスを取る熱膨張係数を有する材料から形成される、3つの支持体を備える
請求項に記載のフローサイトメータ。
【請求項8】
前記3つの支持体は、第1の支持体、第2の支持体、及び第3の支持体を備え、前記第1の支持体は第1の材料から形成され、前記第2の支持体は第2の材料から形成され、前記第3の支持体は第3の材料から形成され、かつ前記第1、第2、及び第3の材料は互いに異なる材料であることを特徴とする
請求項に記載のフローサイトメータ。
【請求項9】
前記フローサイトメータは、取付プラットフォームであって、前記凸シリンドリカルレンズ、前記凹シリンドリカルレンズ、前記シリンドリカル対物レンズ、前記コリメーションアセンブリ、及びハウジング、を有する取付けプラットフォームを更に備え、前記ハウジングは、取り付けられた前記フローセルを支持して、前記フローセルとレンズサブアセンブリとの間の所定の軸方向距離を維持するように構成され、
前記ハウジング及び前記取付けプラットフォームは、前記フローセルと前記レンズサブアセンブリとの間の前記所定の軸方向距離を最大30℃の温度変化を通して維持する熱膨張係数を有する材料から形成される
請求項に記載のフローサイトメータ。
【請求項10】
フローセルと、コリメーションアセンブリと、複数のレンズと、を備えるフローサイトメータであって、
前記フローセルが、流れ方向を画定し、
前記コリメーションアセンブリが、レーザダイオードと、軸に沿ってレーザビームを生成するように構成されるコリメートレンズと、を備え、
前記複数のレンズが、前記軸上に配置され、かつ、前記フローセルに入射する前記レーザビームが前記フローセルの前記流れ方向に平行な方向に第1のビームウェスト1/e径であって、6.7μm~9μmの第1のビームウェスト1/e径を画定し、かつ前記フローセルの前記流れ方向に垂直な方向に第2のビーム1/e径であって、最大210μmの第2のビーム1/e径を画定するように、前記フローセルに前記レーザビームを投影するように協働
前記コリメーションアセンブリ及び前記複数のレンズが、最大で15μm以上の前記フローセル内の実際の半径方向のコアストリームシフトが発生した場合でも、性能が低下しないように協調的に構成され
前記コリメーションアセンブリ及び前記複数のレンズが、最大で15μm以上の前記レーザビームの焦点のシフトによる見かけの半径方向のコアストリームシフトが発生した場合でも、性能が低下しないように協調的に構成されるフローサイトメータ。
【請求項11】
フローセルと、コリメーションアセンブリと、複数のレンズと、を備えるフローサイトメータであって、
前記フローセルが、流れ方向を画定し、
前記コリメーションアセンブリが、レーザダイオードと、軸に沿ってレーザビームを生成するように構成されるコリメートレンズと、を備え、
前記複数のレンズが、前記軸上に配置され、かつ、前記フローセルに入射する前記レーザビームが前記フローセルの前記流れ方向に平行な方向に第1のビームウェスト1/e 径であって、6.7μm~9μmの第1のビームウェスト1/e 径を画定し、かつ前記フローセルの前記流れ方向に垂直な方向に第2のビーム1/e 径であって、最大210μmの第2のビーム1/e 径を画定するように、前記フローセルに前記レーザビームを投影するように協働し
前記コリメーションアセンブリ及び前記複数のレンズが、前記フローセルを通る流量の変化が2%以下であれば、飛行時間測定が粒子又は細胞のサイズを1μm以下まで区別することができるように協調的に構成され
ローサイトメータ。
【請求項12】
前記複数のレンズは、凸シリンドリカルレンズ、凹シリンドリカルレンズ、及びシリンドリカル対物レンズを備える
請求項10に記載のローサイトメータ。
【請求項13】
フローセルと、コリメーションアセンブリと、複数のレンズと、を備えるフローサイトメータであって、
前記フローセルが、流れ方向を画定し、
前記コリメーションアセンブリが、レーザダイオードと、軸に沿ってレーザビームを生成するように構成されるコリメートレンズと、を備え、
前記複数のレンズが、前記軸上に配置され、かつ、前記フローセルに入射する前記レーザビームが前記フローセルの前記流れ方向に平行な方向に第1のビームウェスト1/e 径であって、6.7μm~9μmの第1のビームウェスト1/e 径を画定し、かつ前記フローセルの前記流れ方向に垂直な方向に第2のビーム1/e 径であって、最大210μmの第2のビーム1/e 径を画定するように、前記フローセルに前記レーザビームを投影するように協働し
前記コリメーションアセンブリは、少なくとも2つの支持体であって、前記レーザダイオードと前記コリメートレンズの間の所定の軸方向距離を維持するように構成される少なくとも2つの支持体を更に備え、前記少なくとも2つの支持体が、前記レーザダイオードと前記コリメートレンズの間の前記所定の軸方向距離を最大で30℃の温度変化を通して維持する線熱膨張係数を有する材料から形成される
ローサイトメータ。
【請求項14】
前記所定の軸方向距離は、10℃~40℃の温度変化を通して維持される
請求項13に記載のフローサイトメータ。
【請求項15】
前記少なくとも2つの支持体は、第1の支持体及び第2の支持体を備え、前記第1の支持体は第1の材料から形成され、前記第2の支持体は、前記第1の材料とは異なる第2の材料から形成される
請求項13に記載のフローサイトメータ。
【請求項16】
前記少なくとも2つの支持体は、3つの支持体であって、前記所定の軸方向距離を維持するように構成され、かつ互いにバランスを取る熱膨張係数を有する材料から形成される、3つの支持体を備える
請求項13に記載のフローサイトメータ。
【請求項17】
前記3つの支持体は、第1の支持体、第2の支持体、及び第3の支持体を備え、前記第1の支持体は第1の材料から形成され、前記第2の支持体は第2の材料から形成され、前記第3の支持体は第3の材料から形成され、かつ前記第1、第2、及び第3の材料は互いに異なる材料であることを特徴とする
請求項16に記載のフローサイトメータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、「FLOW CYTOMETER,LASER OPTICS ASSEMBLY THEREOF,AND METHODS OF ASSEMBLING THE SAME」と題され、2018年3月30日に出願された、米国仮特許出願第62/650,783号の利益を主張するものである。
【0002】
本開示は、フローサイトメトリーに関し、特に、フローサイトメータ、フローサイトメータ用のレーザ光学アセンブリ、およびレーザ光学アセンブリの組立方法に関する。
【背景技術】
【0003】
フローサイトメータでは、典型的には、試料コアストリームの中を流れる粒子がレーザビームによって照射されて、粒子の屈折率、サイズ、形状、および他の特性に従ってレーザ光を吸収し散乱するように、レーザビームが比較的狭い試料コアストリームを通過する必要がある。各粒子について、吸収され、散乱された光強度が測定される。吸収および散乱の測定値は、粒子の種類および粒子の特性を同定および定量化するために使用される。ごく最近では、飛行時間の測定値が、追加的にまたは代替的に、粒子の種類および/または特性を決定するために利用されている。
【0004】
理解され得るように、正確な性能を維持するためには、フローサイトメータは、試験から試験まで一貫して実行されなければならない。一貫性を保証する1つの方法は、可能な限り多くの環境要因(例えば、温度変化、機械的振動など)を排除すること、および/または、環境要因ならびに/もしくは他の変数が確実に性能に影響を及ぼさないようにフローサイトメータを連続して較正することである。しかしながら、これは、精密測定実験室においては実用的な解決策であり得るが、例えば、医師の診察室または現場のような、多くの他の環境においては実用的ではない。
【0005】
したがって、不利な環境条件に耐えることができ、比較的他の変数の影響を受けず、その結果、位置合わせおよび/または較正を繰り返す必要なしに、一貫した正確な結果をもたらす、フローサイトメータおよびそのレーザ光学アセンブリを提供することが望まれる。さらに、レーザ光学アセンブリの組立方法を提供することも望まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、例えば、比較的広い温度範囲内の温度変化および/または比較的大きなランダム軸機械的振動のような不利な環境条件に晒されても、一貫した正確な結果をもたらすことができる、フローサイトメータおよびそのレーザ光学アセンブリを提供する。本開示のフローサイトメータはさらに、実際のまたは見かけのコアストリームシフトの影響を比較的受けず、ビームストッパを必要とせずに動作し、コアストリームの流れに対して垂直な軸に沿ってゆっくりと収束するビームを利用し、飛行時間を正確に測定できるようにする。さらに、フローサイトメータおよびレーザ光学アセンブリの組立方法も提供される。本開示のこれらおよび他の態様および特徴は、以下で詳述される。一貫して、本明細書内で詳述されている態様および特徴のいずれも、一緒にまたは別々に以下で説明されているかどうかに関係なく、本明細書で詳述されている他の態様および特徴のいずれかと共に利用される場合もあれば、そうでない場合もある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の態様に従って提供されるのは、バレルを画定するベースプレート、バレル内に少なくとも部分的に配置されるコリメーションアセンブリ、バレル内に少なくとも部分的に配置される第1のレンズ、バレル内に少なくとも部分的に配置される第2のレンズ、およびバレル内に少なくとも部分的に配置される第3のレンズを含むフローサイトメータのレーザ光学アセンブリである。コリメーションアセンブリ、第1のレンズ、第2のレンズ、および第3のレンズは、ベースプレートに対するコリメーションアセンブリ、第1のレンズ、第2のレンズ、または第3のレンズの移動をもたらすことなく、少なくとも30秒間、10Gのランダム軸機械的振動に耐えるように、ベースプレートに対して固定される。
【0008】
本開示の一態様では、少なくとも1つのカバープレートは、コリメートアセンブリ、第1のレンズ、第2のレンズ、および第3のレンズをベースプレートに対して固定する。少なくとも1つのカバープレートは、ベースプレートにボルト留めされ得る。
【0009】
本開示の別の態様では、別個のカバープレートが、コリメートアセンブリ、第1のレンズ、第2のレンズ、および第3のレンズの各々をベースプレートに対して固定する。カバープレートの各々は、ベースプレートにボルト留めされ得る。
【0010】
本開示のさらに別の態様では、コリメーションアセンブリは、レーザダイオードと、レーザダイオードと位置合わせして配置されたコリメートレンズとを含む。
【0011】
本開示のさらに別の態様では、ベースプレートのバレルは、コリメーションアセンブリを少なくとも部分的に受容するように構成された第1のチャンバと、第1のレンズを少なくとも部分的に受容するように構成された第2のチャンバと、第2のレンズを少なくとも部分的に受容するように構成された第3のチャンバと、第3のレンズを少なくとも部分的に受容するように構成された第4のチャンバとを画定する。
【0012】
本開示のさらに別の態様では、第1のレンズ、第2のレンズ、および第3のレンズはそれぞれ、ベースプレートのバレルの第2のチャンバ、第3のチャンバ、および第4のチャンバ内に少なくとも部分的に配置された、それぞれの第1のレンズクレードル、第2のレンズクレードル、および第3のレンズクレードル内に固定される。
【0013】
本開示の別の態様では、第1のレンズクレードル、第2のレンズクレードル、または第3のレンズクレードルのうちの少なくとも1つは、そこから延びるフィンガであって、組立時に対応するチャンバ内のレンズクレードルの回転調整を可能にするように構成されたフィンガを含む。第1のレンズクレードル、第2のレンズクレードル、または第3のレンズクレードルのうちの少なくとも1つは、そこから延びるフィンガであって、組立時に対応するチャンバ内のレンズクレードルの軸方向調整を可能にするように構成されたフィンガを含み得る。追加的または代替的に、第1のレンズクレードル、第2のレンズクレードル、または第3のレンズクレードルのうちの少なくとも1つは、そこから延びるフィンガであって、組立時に対応するチャンバ内のレンズクレードルの回転調整および軸方向調整の両方を可能にするように構成されたフィンガを含み得る。
【0014】
本開示のさらに別の態様では、第1のレンズは凸シリンドリカルレンズであり、第2のレンズは凹シリンドリカルレンズであり、第3のレンズはシリンドリカル対物レンズである。第1のレンズ、第2のレンズ、および第3のレンズは、そのような態様では、コリメーションアセンブリから延在するバレルに沿って順に配置され得る。
【0015】
本開示の態様に従って提供されるフローサイトメータは、軸に沿って配置された複数のレンズを含むレンズサブアセンブリと、レンズサブアセンブリから軸下方に配置されたフローセルと、レンズサブアセンブリから軸上方に位置決めされたコリメーションサブアセンブリとを含む。コリメーションサブアセンブリは、ビームを放射するように構成されたレーザダイオードと、ビームをコリメートするように構成されたコリメートレンズと、レーザダイオードとコリメートレンズとの間の所定の軸方向距離を維持するように構成された少なくとも2つの支持体とを含む。少なくとも2つの支持体は、所定の軸方向距離が最大で30℃の温度変化を通して維持されるように、互いにバランスを取る熱膨張係数を有する材料から形成される。
【0016】
本開示の一態様では、温度変化は、10℃~40℃である。
【0017】
本開示の別の態様では、第1の支持体はPEEKから形成され、第2の支持体は黄銅から形成される。
【0018】
本開示のさらに別の態様では、所定の軸方向距離を維持するように構成された3つの支持体は、互いにバランスを取る熱膨張係数を有する材料から形成される。このような態様では、第1の支持体はPEEKから形成され得、第2の支持体は黄銅から形成され得、第3の支持体はアルミニウムから形成され得る。
【0019】
本開示のさらに別の態様では、フローサイトメータは、レンズサブアセンブリと、コリメーションサブアセンブリと、取り付けられたフローセルを支持してフローセルとレンズサブアセンブリとの間の所定の軸方向距離を維持するハウジングとを有する取付プラットフォームをさらに含む。このような態様では、ハウジングおよび取付プラットフォームは、フローセルとレンズサブアセンブリとの間の所定の軸方向距離が最大で30℃の温度変化を通して維持されるように、互いにバランスを取る熱膨張係数を有する材料から形成される。
【0020】
本開示のさらに別の態様では、ハウジングはコポリエステルから形成され、取付プラットフォームはアルミニウムから形成される。
【0021】
本開示の態様に従って提供されるフローサイトメータのレーザ光学アセンブリの組立方法は、ベースプレートのバレル内に少なくとも部分的にコリメーションアセンブリを固定するステップを含む。コリメーションアセンブリは、レーザダイオードと、軸に沿ってレーザビームを生成するように構成されたコリメートレンズとを含み、レーザビームは、第1の方向に第1のビームウエスト径を有し、第2の方向に第2のビームウエスト径を有する。該方法は、軸上でベースプレートのバレル内に少なくとも部分的に第3のレンズを位置決めするステップと、第1のビームウエスト径が最小になるように軸を中心として第3のレンズを回転可能に調整するステップと、第3のレンズをベースプレートに対して固定するステップと、軸上でベースプレートのバレル内に少なくとも部分的に第1のレンズを位置決めするステップと、第1のビームウエスト径が維持されるように軸を中心として第1のレンズを回転可能に調整するステップと、第1のレンズをベースプレートに対して固定するステップと、軸上でベースプレートのバレル内に少なくとも部分的に第2のレンズを位置決めするステップと、第1のビームウエスト径が維持されるように軸を中心として第2のレンズを回転可能に調整するステップと、第2のビーム径が所望の値で設定されるように軸に沿って第2のレンズを軸方向に調整するステップと、第2のレンズをベースプレートに対して固定するステップとを含む。
【0022】
本開示の一態様では、第3のレンズはコリメーションアセンブリから最も遠くに位置決めされ、第1のレンズはコリメーションアセンブリの最も近くに位置決めされ、第2のレンズは第1のレンズと第3のレンズとの間に位置決めされる。
【0023】
本開示のさらに別の態様では、第3のレンズはシリンドリカル対物レンズであり、第1のレンズは凸シリンドリカルレンズであり、第2のレンズは凹シリンドリカルレンズである。
【0024】
本開示のさらに別の態様では、第3のレンズは、第3のレンズを軸方向に拘束し、第3のレンズを固定する前に第3のレンズの回転を可能にするように構成されたバレルの第3のチャンバ内に位置決めされ、第1のレンズは、第1のレンズを軸方向に拘束し、第1のレンズを固定する前に第1のレンズの回転を可能にするように構成されたバレルの第1のチャンバ内に位置決めされ、第2のレンズは、第2のレンズを固定する前に第2のレンズの回転および並進を可能にするように構成されたバレルの第2のチャンバ内に位置決めされる。
【0025】
本発明のさらに別の態様では、第1のビームウエストは、6.7μm~9μmの1/e径を有する。
【0026】
本発明のさらに別の態様では、第2のビームは、190μm~210μmの1/e径を有する。より具体的には、第2のビームは、200μmの1/e径を有し得る。
【0027】
本開示の態様に従って提供されるフローサイトメータは、流れ方向を画定するフローセルと、レーザダイオードおよび軸に沿ってレーザビームを生成するように構成されたコリメートレンズを含むコリメーションアセンブリと、軸上に配置され、コリメーションアセンブリからレーザビームを受光するように構成された凸シリンドリカルレンズと、軸上に配置され、凸シリンドリカルレンズからレーザビームを受光するように構成された凹シリンドリカルレンズと、軸上に配置され、凹シリンドリカルレンズからレーザビームを受光し、フローセルに入射するレーザビームがフローセルの流れ方向に平行な方向に6.7μm~9μmの第1のビームウエスト1/e径およびフローセルの流れ方向に垂直な方向に190μm~210μmの第2のビーム1/e径を画定するようにレーザビームをフローセル上に投影するように構成されたシリンドリカル対物レンズと、を含む。
【0028】
本開示の一態様では、第1のビームウエスト1/e径および第2のビーム1/e径は、最大で15μmのフローセル内の実際の半径方向のコアストリームシフトが発生しても、性能が低下しないように選択される。
【0029】
本開示の別の態様では、第1のビームウエスト1/e径および第2のビーム1/e径は、最大で15μmのレーザビームの焦点のシフトによる見かけの半径方向のコアストリームシフトが発生しても、性能が低下しないように選択される。
【0030】
本開示の別の態様では、第1のビームウエスト1/e径は、フローセルを通る流量の変化が2%以下であれば、飛行時間測定が粒子または細胞のサイズを1μm以下まで区別することができるように選択される。
【0031】
本開示のフローサイトメータおよびそのレーザ光学アセンブリの様々な態様および特徴は、図面を参照しながら本明細書内で説明されており、図面において、同様の参照番号は類似または同一の要素を示すものとする。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本開示に従って提供されるフローサイトメータのレーザ光学系、フローセル、およびセンサモジュールの斜視図である。
図2図1のモジュールの長手方向断面図である。
図3-4】図1のモジュールのレーザ光学アセンブリの正面斜視図および後面斜視図である。
図5図3および図4のレーザ光学アセンブリの斜視部分断面図である。
図6-7】図3および図4のレーザ光学アセンブリのコリメーションサブアセンブリの正面斜視図および後面斜視図である。
図8図6および図7のコリメーションサブアセンブリの長手方向断面図である。
図9図6および図7のコリメーションサブアセンブリの斜視部分断面図である。
図10図3および図4のレーザ光学アセンブリのレンズサブアセンブリの斜視図である。
図11図10のレンズサブアセンブリを示す、図3および図4のレーザ光学アセンブリの横断面図である。
図12-14】レーザ光学アセンブリの凹シリンドリカルレンズの軸方向調整を示す、図1のモジュールの側面概略図である。
図15-17】レーザ光学アセンブリの凹シリンドリカルレンズの軸方向調整を示す、図1のモジュールの上面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1および図2を参照すると、本開示は、全体が参照番号10で示された、レーザ光学系、フローセル、およびセンサモジュールを含むフローサイトメータを提供する。図示されていないが、フローサイトメータは、例えば、フローサイトメータの内部の動作可能な構成要素を取り囲む外側ハウジングと、モジュール10を制御し、そこから受け取った試験結果を処理するように構成された電子機器モジュールと、被験試料を受け取るように構成された試料受容モジュールと、試料およびシース液をフローセルアセンブリ300内へ送り込むように構成されたポンプモジュールと、試験後の試料およびシース液の安全な収集を可能にするように構成された排出モジュールとをさらに含み得る。代替的または追加的に、本開示のフローサイトメータのモジュール10と共に使用するための任意の他の適切なモジュール、構成要素、および/または特徴も企図される。
【0034】
引き続き図1および図2を参照すると、モジュール10は、取付プラットフォーム100と、取付プラットフォーム100に固定されたレーザ光学アセンブリ200と、取付プラットフォーム100に固定され、レーザ光学アセンブリ200に対して動作可能に位置決めされたフローセルアセンブリ300と、前方および側方の散乱検出のためにレーザ光学アセンブリ200およびフローセルアセンブリ300に対して動作可能に配置されたセンサアセンブリ400とを含む。レーザ光学アセンブリ200、フローセルアセンブリ300、およびセンサアセンブリ400は、これらのアセンブリ200~400の相対位置を維持するために、ボルト110および/または任意の他の好適な締結構造を使用して、それぞれ独立して取付プラットフォーム100上に締結される。
【0035】
以下で詳述するように、モジュール10は、フローサイトメータが、例えば、10℃~40℃のような広い温度範囲にわたって動作することができ、性能を低下させずに、30秒間、10Gのランダム軸振動に耐えることができるように構成される。性能の低下は、本明細書では、5%を超える強度および/または感度の損失として定義される。
【0036】
さらに、以下で詳述するように、モジュール10は、フローサイトメータが、例えば、コアストリームの以前に位置合わせされた流れ軸に対する最大で15μmの半径方向シフトのような実際のまたは見かけのコアストリームシフトの影響を比較的受けず、非散乱レーザ光がセンサアセンブリ400の前方散乱センサに到達するのを阻止するためのビームストッパを必要とせずに動作し、実施形態では、ビームをコアストリームの1/e幅に設定できるようにするコアストリームの流れに垂直な軸に沿ってゆっくりと収束するビームを使用するように構成される。
【0037】
さらに、また、以下に詳述するように、モジュール10は、コアストリームの流量が2%以内で安定しているときに、粒径が4ミクロン~16ミクロンの範囲の粒子について1μmの精度で飛行時間を測定する能力を有するフローサイトメータを提供する。
【0038】
図2図5を参照すると、レーザ光学アセンブリ200は、クランプサブアセンブリ210と、コリメーションサブアセンブリ230と、複数のレンズサブアセンブリ270、280、290とを含む。クランプサブアセンブリ210は、ベースプレート212を含み、ベースプレート212は、その両側に沿って、レーザ光学アセンブリ200がボルト110を使用して取付プラットフォーム100上にしっかりと取り付けられるように貫通して画定されるアパーチャ216を含む少なくとも一対の(例えば、2対の)脚部214を画定する。ベースプレート212は、脚部214間でベースプレート212に沿って延在する略円筒形のバレル218をさらに画定する。バレル218は、バレル218の長さに沿って位置合わせされた第1のチャンバ219、第2のチャンバ221、第3のチャンバ223、および第4のチャンバ225を画定する。チャンバ219、221、223、および225はそれぞれ、コリメーションサブアセンブリ230およびレンズサブアセンブリ270、280、290を受容するように構成される。クランプサブアセンブリ210は、チャンバ219、221、223、225内にコリメーションサブアセンブリ230およびレンズサブアセンブリ270、280、290をそれぞれ封入して固定するためにボルト228を使用してベースプレート212上にしっかりと取り付けられるように構成されたカバープレート220、222、224、226をさらに含む。クランプサブアセンブリ210内のコリメーションサブアセンブリ230およびレンズサブアセンブリ270、280、290の組立およびそれらの位置合わせについて、以下で詳述する。
【0039】
図6図9を参照すると、コリメーションサブアセンブリ230は、互いに動作可能に係合し、コリメーションサブアセンブリ230のコリメートレンズ238をコリメーションサブアセンブリ230のレーザダイオード240に対して所定位置で保持するように構成された、支持ディスク232、支持ハブ234、インサート236、およびスプリングワッシャ237を含む。
【0040】
支持ディスク232は、より具体的には、外面242aおよび内面242bを画定し、それぞれ外面242aと内面242bとの間を貫通して画定される中央アパーチャ244および複数の半径方向アパーチャ246(図2)を含む。中央アパーチャ244は、支持ディスク232の外面側の外側開口部を画定し、外側開口部は、支持ディスク232の内面側に画定された中央アパーチャ244の内側開口部よりも大きく、したがって、レーザダイオード240は、外側開口部を通して中央アパーチャ244の中へ挿入され得るが、内側開口部を通過することはできない。したがって、レーザダイオード240は、中央アパーチャ244の内側開口部を通して挿入され、レーザダイオード240を支持ディスク232に対して固定するために中央アパーチャ244内に着座され得る。レーザダイオード240は、パワーエレクトロニクスおよび制御電子機器(図示せず)への接続を可能にする適切な電気コネクタ241を含む。レーザダイオード240は、630nm~665nmの範囲、または実施形態では、635nm~650nmの範囲の波長を有する赤色光を放射するように構成され得る。
【0041】
支持ハブ234は、支持ディスク232の内面242bに当接するように位置決めされたディスク部分247と、ディスク部分247から支持ディスク232とは反対方向に延在する本体部分248とを含む、略T字形形状を画定する。中央ルーメン250は、ディスク部分247および本体部分248の両方を通って延在し、複数の半径方向ボア252(図2)はディスク部分247内に画定される。ねじ山254は、ルーメン250を画定する支持ハブ234の内表面の少なくとも一部に配置される。
【0042】
インサート236は、内部通路256を画定する略円筒形形状を画定する。インサート236は、外面の少なくとも一部に配置されたねじ山258をさらに含み、ねじ山258は支持ハブ234のねじ山254と係合するように構成される。インサート236は、より具体的には、例えば接着剤を使用して、コリメートレンズ238をその通路256内で保持するように構成され、ねじ係合した状態で支持ハブ234の中心ルーメン250内に位置決めされるように構成される。スプリングワッシャ237は、インサート236と支持ディスク232との間の張力を維持するようにインサート236と支持ディスク232との間の中央ルーメン250内に位置決めされるように構成される。
【0043】
引き続き図6図9を参照すると、コリメーションサブアセンブリ230を組み立てるために、レーザダイオード240は、支持ディスク232内に固定され、コリメートレンズ238は、インサート236内に固定される。次いで、インサート236は、支持ハブ234の中央ルーメン250内に係合するようにねじ込まれる。レーザダイオード240が支持ディスク232内に固定され、インサート236(コリメートレンズ238を中で固定する)が指示ハブ234内で係合された状態で、支持ディスク232および支持ハブ234は、支持ディスク232の内面242bが支持ハブ234に当接し、支持ディスク232の中央アパーチャ244が支持ハブ234の中央ルーメン250と位置合わせされ、支持ディスク232の半径方向アパーチャ246が支持ハブ234の対応する半径方向ボア252(図2を参照)と位置合わせされるように、互いに対して位置決めされる。以下に詳述するように、支持ディスク232および支持ハブ234をこの位置で維持し、それらの位置合わせを容易にするために、固定具(図示せず)が利用され得る。
【0044】
支持ディスク232および支持ハブ234が上記で詳述したように位置決めされた状態で、ボルト260は、半径方向アパーチャ246に挿通されて、(例えば、ねじ係合によって)半径方向ボア252内で係合して、支持ディスク232および支持ハブ234を互いに対して固定する(図2を参照)。支持ディスク232と支持ハブ234との間の位置調整(例えば、垂直方向および/または水平方向の調整)は、レーザダイオード240から放射されたビームが共に十分にコリメートされ、コリメートレンズ238の光軸と同軸の方向を向くようにレーザダイオード240をコリメートレンズ238に対して位置合わせするために、例えば、固定具に付属している調整ノブ(図示せず)を介して、各ボルト260の係合前または係合後に行われ得る。固定具に付属している反転ビームエキスパンダ(図示せず)が、この位置合わせを検証するために利用されてもよい。
【0045】
コリメートレンズ238とレーザダイオード240との間の軸方向距離を調整するために、インサート236は、支持ハブ234の中央ルーメン250にねじ式に出し入れされることで、コリメートレンズ238をレーザダイオードに向かって、またはレーザダイオードから離れるように移動させる。コリメートレンズ238とレーザダイオード240との間の所定の軸方向距離を確実に実現するために、この場合も反転ビームエキスパンダ(図示せず)が利用され得る。インサート236がコリメートレンズ238とレーザダイオード240との間の所定の軸方向距離に対応する適切な位置にねじ込まれた状態で、スプリングワッシャ237は、インサート236と支持ディスク232との間の張力を維持し、その結果、例えば、コリメーションサブアセンブリ230に機械的振動が加わっても、インサート236と支持ディスク232との間の遊びをなくし、コリメートレンズ238とレーザダイオード240との間の所定の軸方向距離を維持する。
【0046】
コリメートレンズ238およびレーザダイオード240のビームと光軸が互いに同軸になり、ビームがコリメートされると、ボルト260は、適切に締め付けられて支持ディスク232および支持ハブ234を互いに対して係止し、その結果、例えば、コリメーションサブアセンブリ230に機械的振動が加わっても、支持ディスク232と支持ハブ234との間の係合および位置決めを維持する。
【0047】
上記で詳述した支持ディスク232および支持ハブ234の互いに対する係止は、上述の位置合わせを確実にするためにコリメートレンズ238およびレーザダイオード240の互いに対する水平方向、垂直方向、および軸方向の位置合わせを固定する。
【0048】
さらに図6図9を参照すると、コリメーションサブアセンブリ230は、環境の温度変化に関係なく、コリメートレンズ238とレーザダイオード240との間の所定の軸方向距離を維持するように構成される。より具体的には、コリメーションサブアセンブリ230は、性能を低下させずに、30℃以下で、例えば、10℃~40℃の範囲内で、コリメートレンズ238とレーザダイオード240との間の所定の軸方向距離を十分に維持するように構成される。これは、10℃~40℃の範囲にわたって動作するフローサイトメータのためにレーザダイオード240とコリメートレンズ238との間の所定の軸方向距離を維持し、ひいては、性能を低下させない異なる熱膨張係数を有する材料から、支持ハブ234およびインサート236、または実施形態では、支持ディスク232、支持ハブ234、およびインサート236を形成することによって達成される。実施形態では、これは、黄銅(1.8×10-5の線熱膨張係数を有する)から支持ハブ234を形成し、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)(4.5×10-5の線熱膨張係数を有する)からインサート236を形成することによって達成されるが、それに対し、10℃~40℃の範囲の温度変動に対するフローサイトメータの応答のバランスを取る線熱膨張係数を有する他の適切な材料も企図される。このバランシングは、フローサイトメータの構成要素のいくつかの線熱膨張係数を補償することを含むだけでなく、フローサイトメータの光学要素の屈折率の温度依存変化も考慮に入れる。本明細書内で使用される場合、「所定の軸方向距離」は、例えば、コリメートレンズ238とレーザダイオード240との間の目標軸方向距離の温度依存変化を考慮に入れるために、距離の範囲を包含するものと理解される。この範囲は、0.025%以下、または実施形態では、0.012%以下のコリメートレンズ238とレーザダイオード240との間の所定の軸方向距離からの変動を含み得る。
【0049】
図2図5をさらに参照すると、コリメーションサブアセンブリ230をクランプサブアセンブリ210と組み合わせるために、コリメーションサブアセンブリ230の支持ハブ234の本体部分248は、クランプサブアセンブリ210のベースプレート212のバレル218の第1のチャンバ219内に着座され、その後、カバープレート220は、支持ハブ234の本体部分248の周りに位置決めされ、ボルト228を介して支持ハブ234の両側でベースプレート212と係合されて、第1のチャンバ219内に支持ハブ234の本体部分248を封入し、圧縮下でベースプレート212に対する所定位置でコリメーションサブアセンブリ230を固定する。実施形態では、コリメーションサブアセンブリ230は、レンズサブアセンブリ270、280、290の組立前に、クランプサブアセンブリ210と組み合わせられる。ボルト218を締め付ける前に、コリメーションサブアセンブリ230は、必要に応じて回転されて、確実にレーザビームの高速軸がベースプレート212の底面に対して垂直に位置合わせされる。
【0050】
図2図5と共に、図10および図11を参照すると、上述したように、レーザ光学アセンブリ200は、3つのレンズサブアセンブリ270、280、290を含む。各レンズサブアセンブリ270、280、290はそれぞれ、それぞれのレンズ276、286、296を固定して保持するように構成されたレンズポケット274、284、294をそれぞれ画定するレンズクレードル272、282、292を含む。レンズ276は、凸シリンドリカルレンズとして構成され、レンズサブアセンブリ270の一部として、ベースプレート212のバレル218の第2のチャンバ221内に位置決めされて、第2のカバープレート222を介して第2のチャンバ221内に固定されるように構成され、その結果、凸シリンドリカルレンズ276は、コリメートレンズ238の最も近くに位置決めされる。レンズ286は、凹シリンドリカルレンズとして構成され、レンズサブアセンブリ280の一部として、ベースプレート212のバレル218の第3のチャンバ223内に位置決めされて、第3のカバープレート224を介して第3のチャンバ223内に固定されるように構成され、その結果、凹シリンドリカルレンズ286は、コリメートサブアセンブリ230に対して凸シリンドリカルレンズ276の反対側で凸シリンドリカルレンズ276に隣接して位置決めされる。レンズ296は、シリンドリカル対物レンズとして構成され、レンズサブアセンブリ290の一部として、ベースプレート212のバレル218の第4のチャンバ225内に位置決めされて、第4のカバープレート226を介して第4のチャンバ225内に固定されるように構成され、その結果、シリンドリカルレンズ対物レンズ296は、凸シリンドリカルレンズ276に対して凹シリンドリカルレンズ286の反対側で凹シリンドリカルレンズ286に隣接して位置決めされる。
【0051】
各レンズクレードル272、282、292は、そこから半径方向外向きに延在するフィンガ278、288、298を含む。フィンガ278、288、298は、ベースプレート212の底面でベースプレート212から延在するように、チャンバ221、223、225それぞれに隣接してベースプレート212内に画定されたスロット(明確に図示せず)を通って延在するように構成される。
【0052】
クランプサブアセンブリ210内にレンズサブアセンブリ270、280、290を組み合わせるために、レンズ276、286、296はそれぞれ、レンズクレードル272、282、292のポケット274、284、294内に係合され、レンズクレードル272、282、292はそれぞれ、チャンバ221、223、225内に位置決めされる。クレードル272、292はそれぞれ、チャンバ221、225の幅に概ね近似する厚さを画定し、および/または相補的な特徴を含み、クレードル272、292、ひいてはレンズ276、296それぞれを位置決めの際に、それぞれのチャンバ221、225内の一定の軸方向位置で維持する。しかしながら、レンズクレードル272、292のフィンガ278、298は、レンズクレードル272、292、ひいてはレンズ276、296をそれぞれベースプレート212に対して回転させるように操作され得る。一方、レンズクレードル282は、クレードル282、ひいてはレンズ286がレンズクレードル282のフィンガ288の対応する操作の際にバレル218に沿って軸方向に並進し得るように、チャンバ223の幅に対して薄い厚さを画定する。フィンガ288はさらに、レンズクレードル282、ひいてはレンズ286をベースプレート212に対して回転させるように操作され得る。レンズ276、286、296の回転位置合わせおよびレンズ286の軸方向の位置決めを可能にする上記で詳述した構成は、フローサイトメータの正確な性能を保証するための重要な位置合わせであることが分かっているので、有利である。
【0053】
組立時に、コリメーションサブアセンブリ230が設置されると、次に、レンズサブアセンブリ290は、チャンバ225に挿入され、フィンガ298を使用して回転可能に調整され、カバープレート226およびボルト228を使用して固定されて、圧縮下のベースプレート212に対する定位置でレンズサブアセンブリ290が固定される。ベースプレート212は、レンズサブアセンブリ290が、レンズ296の焦点距離とコリメートレンズ238の焦点距離の合計にほぼ等しいコリメートレンズ238からの距離に設置されるように構成される。上記で詳述したように、レンズサブアセンブリ290が設置されると、フローセル340(図2を参照)を通るコアストリームの流れ方向に平行な方向に、6.7μm~9μmのビームウエスト1/e径が実現されたことを確認するための検証が行われる。
【0054】
レンズサブアセンブリ290の組立および検証の後、レンズサブアセンブリ270は、チャンバ221に挿入され、フィンガ278を使用して回転可能に調整され、カバープレート222およびボルト228を使用して固定されて、圧縮下のベースプレート212に対する定位置でレンズサブアセンブリ270が固定される。レンズサブアセンブリ270の凸シリンドリカルレンズ276は、その屈折力の軸がシリンドリカル対物レンズ296の屈折力の軸に対して垂直となるように回転可能に位置合わせされ、これは、コアストリームの流れ方向に対して平行な6.7μm~9μmのビームウエスト1/e径が維持されることを再び確認することによって検証される。
【0055】
次に、レンズサブアセンブリ280が、チャンバ223に挿入され、フィンガ288を使用して回転可能におよび/または軸方向に調整され、カバープレート224およびボルト228を使用して固定されて、圧縮下のベースプレート212に対して定位置でレンズサブアセンブリ280が固定される。レンズサブアセンブリ280の凹シリンドリカルレンズ286は、その屈折度の軸がシリンドリカル対物レンズ296の屈折度の軸に垂直かつ凸シリンドリカルレンズ276の屈折度の軸に対して平行となるように回転可能に位置合わせされ、これは、コアストリームの流れ方向に対して平行な6.7μm~9μmのビームウエスト1/e径が維持されることを再び確認することによって検証される。凹シリンドリカルレンズ286の軸方向の間隔は、フローセル340(図2を参照)を通るコアストリームの流れ方向に垂直な方向に、実施形態では190μm~210μm、または実施形態では200μmのビーム1/e幅を実現するように調整される。
【0056】
上述の検証時にビーム幅を測定するための任意の適切な試験機器が利用され得るように、組立時に調整を可能にするために様々な構成要素を保持し、フィンガ278、288、298の操作を容易にするための適切な固定具(図示せず)が利用され得る。上記で詳述したように、完全に組み立てられて検証された時点で、レーザ光学アセンブリ200は、平行方向に6.7μm~9μmのビームウエスト1/e径、および垂直方向に190μm~210μm(または200μm)の1/eビーム幅を生成する。
【0057】
図12図17を参照すると、図12図14は、レーザダイオード240の高速(大きく発散する)軸に対する異なるレーザダイオードの発散範囲を示し、この軸は、フローセル340内のコアストリームに対して平行に、かつ、前述したようにベースプレート212の底面に対して垂直に、設定される。図15図17は、レーザダイオード240の低速(小さく発散する)軸に対する異なるレーザダイオードの発散範囲を示し、この軸は、フローセル340内のコアストリームに対して垂直に、かつベースプレート212の底面に対して平行に、設定される。一実施形態では、レーザダイオード240(例えば、Ushio HL6363MG-Aレーザダイオード)は、低速軸発散よりも大きい高速軸発散を有するが、これらの2つの発散は、それ以外では互いに独立している。
【0058】
レーザダイオード240の高速軸発散(フローセル340内のコアストリームに平行)は、十分に位置合わせされたシステム内のフローセルコアストリームのビームウエストに影響を与える。レーザダイオードからの最大発散ビーム(図12に示されている)は、コアストリームにおける最小ビームウエスト6.7μmを生成し、最小発散ビーム(図14に示されている)のレーザダイオードは、コアストリームにおける最大ビームウエスト9.0μmを生成する。さらに、十分に位置合わせされたシステムでは、その調整範囲内の凹シリンドリカルレンズ286の軸方向配置に関係なく、コアストリームに平行なビームウエストが維持される。
【0059】
しかしながら、凹シリンドリカルレンズ286の軸方向位置のわずかな変化により、フローセル340内の(コアストリームの流れに垂直な)レーザダイオードビームの1/e幅を190μm~210μmに、実施形態では、200μmに調整することが可能になる。数100ミクロンのこれらの軸方向位置の変化は、図15図17では認められないが、これらの3つの図面全てにおいて、コアストリーム中心線に対して垂直であり、コアストリーム中心線におけるレーザビーム1/e幅は、200μmである。図15は、最大発散低速軸レーザビームを示し、図17は、最小発散低速軸レーザビームを示す。図15では、凹シリンドリカルレンズ286は、レーザダイオード240から最も遠くに位置するが、図17では、凹シリンドリカルレンズ286は、レーザダイオード240の最も近くに位置している。低速軸の軸方向焦点位置は、異なる低速軸発散および凹シリンドリカルレンズ286の配置によって変化することにも留意されたい。低速軸焦点は、図15では、レーザダイオード240に最も近く、図17では、レーザダイオード240から最も離れている。
【0060】
以下に詳述するように、フローセル340(図2)を通るコアストリームの流れに対して垂直な方向にビーム1/e径を有するレーザ光学アセンブリ200は、有利には、15μmの半径内の半径方向のコアストリームシフト(実際のまたは見かけの)の影響を受けず、したがって、15μmの半径内の半径方向のコアストリームシフト(実際のまたは見かけの)は、性能の低下をもたらさない。
【0061】
図1図5に戻ると、レーザ光学アセンブリ200の上記で詳述したアセンブリは、組立および位置合わせを容易にするだけでなく、コリメーションサブアセンブリ230およびレンズサブアセンブリ270~290が個々にかつ独立してベースプレート212に固定される構成を提供する。レーザ光学アセンブリ200のこの構成は、レーザ光学アセンブリ200のビームウエスト1/e径の5%以上の変化を伴わずに、30秒間、10Gのランダム軸振動に耐えることができることを示している。より具体的には、ESPEC North America社(米国、コロラド州デンバー)から入手可能なQualmark OVTT(登録商標)18 Omni-Axial Vibration Table Top Systemを用いて振動試験が行われた。振動試験は、レーザ光学アセンブリ200を振動テーブル上に固定し、テーブルを少なくとも30秒間、10Gのランダム軸機械的振動に設定することによって実施された。加速度は、Omega Engineering社(米国、コネチカット州ノーウォーク)から入手可能なOmega(登録商標)HHVB82 Accelerometerを用いて検証された。
【0062】
図1および図2を参照すると、上述したように、フローセルアセンブリ300は、取付プラットフォーム100上に取り付けられる。フローセルアセンブリ300は、より具体的には、試料およびシース液をノズル320に送達するためにハウジング330によって画定されるノズル320に結合された投入部310と、ノズル320から試料およびシース(図示せず)液を受容するためにノズル320の下流側に接続されたフローセル340と、試験後に試料およびシース液を適切な収集リザーバに案内するためにフローセル340の下流側に配置された排出部350とを含む。フローセルアセンブリ300のハウジング330は、取付プラットフォーム100を貫通して画定されたアパーチャ120内に着座され、フローセル340とシリンドリカル対物レンズ296との間の所定距離(フローサイトメータの精度を確保できるよう制御するための重要な距離である)を維持するために複数のボルト110を用いて取付プラットフォーム100に固着される。
【0063】
フローセルアセンブリ300のハウジング330および取付プラットフォーム100は、フローセル340とシリンドリカル対物レンズ296との間の所定距離を、性能を低下させずに30℃の範囲内(例えば、10℃~40℃)で十分に維持するように構成される。これは、フローセルアセンブリ300のハウジング330および取付プラットフォーム100を、対物レンズ296とフローセル340との間の所定の軸方向距離を10℃~40℃にわたって維持するように構成された異なる線熱膨張係数を有する材料から形成することによって達成される。実施形態では、これは、試料(例えば、血液)およびシース液と直接接触するハウジング330であり、したがって、そのような目的にも適する必要があるハウジング330をEastman Chemical Company社(米国、テネシー州キングスポート)から入手可能なEastman Tritan(登録商標)Copolyester MX811(8.0×10-5の線熱膨張係数を有する)から形成することによって、および取付プラットフォーム100をアルミニウム(2.38×10-5の線熱膨張係数を有する)から形成することによって達成されるが、それに対し、10℃~40℃の温度変動に対するフローサイトメータの応答のバランスを取る他の好適な材料の組み合わせも企図される。このバランシングは、フローサイトメータの構成要素のいくつかの線熱膨張係数を補償することを含むだけでなく、フローサイトメータ10の光学要素の屈折率の温度依存変化も考慮に入れる。上述したように、「所定の軸方向距離」は、例えば、対物レンズ296とフローセル340との間の目標軸方向距離の温度依存変化を考慮に入れるために、距離の範囲を包含するものと理解される。この範囲は、対物レンズ296とフローセル340との間の所定の軸方向距離から0.01%以下、または、実施形態では、0.005%以下の変動を含み得る。
【0064】
フローセルアセンブリ300が取付プラットフォーム100上に取り付けられた状態では、フローセル340の面は、シリンドリカル対物レンズ296の平面に対して平行に配向されず、確実にシリンドリカル対物レンズ296からの鏡面反射がレーザ光学系に戻って結合することがないように、5°の角度だけオフセットされる。フローセル340はさらに、同様の目的のために反射防止コーティングでコーティングされる。
【0065】
引き続き図1および図2を参照すると、センサアセンブリ400は、前方散乱サブアセンブリ410および側方散乱サブアセンブリ420を含む。前方散乱サブアセンブリ410は、ボード412と、減光センサ、前方散乱低角度センサ、および前方散乱高角度センサを含むセンサアレイ414とを含む。側方散乱サブアセンブリ420は、レンズマウント422(図2)と、レンズマウント422(図2)内で支持されたレンズ424(図2)と、側方散乱センサ(図示せず)とを含む。側方散乱サブアセンブリ420の中心捕捉角度は、側方散乱信号増大させるために、レーザビーム方向から、直角(すなわち、90°)ではなく、78°である。
【0066】
全体的に図1図2を参照しながら、上述した15μm半径内の半径方向のコアストリームシフト(実際のまたは見かけの)に対するモジュール10の無反応について、より詳細に後述する。従来のように、コアストリームが正のy軸方向に流れ、レーザビーム束が正のz軸方向に向いている、デカルト座標系が定義される。ビームウエスト1/e径をy軸に沿って、さらにビーム1/e径をx軸に沿って制御することによって、レーザビームの最大強度が規定量を超えて減少しない楕円領域を設定することが可能である。以下で詳述するように、モジュール10は、15μm半径内の半径方向のコアストリームシフト(実際のまたは見かけの)の影響を受けない状態を維持するように構成され、したがって、そのような半径方向コアストリームシフトが発生しても、性能(5%以下の強度の低下)を維持する。
【0067】
レーザ光学アセンブリ200からのレーザビームは、フローセルアセンブリ300のフローセル340の中を流れるコアストリームに位置合わせされ、その一方で、コアストリーム内を流れる粒子からの散乱レーザ光が監視され、電気信号に変換される。レーザ光学アセンブリ200およびフローセル340の相対位置は、これらの信号を最大化するために、x方向およびz方向に調整される。このx軸およびz軸の位置合わせが完了する前に、センサアセンブリ400のセンサは、レーザビームに対して水平に位置合わせされ、さらなるy方向の位置合わせは必要でない。
【0068】
本開示のフローサイトメータは、散乱信号のプロファイルにおける最大散乱信号または最大面積のいずれかに基づいて測定を行い、したがって、y方向ビームウエストは、z軸に沿った距離の関数としてのレーザビームの強度に対する影響を除いて、考慮される必要がない。z方向において、相対強度は、数式(1)のように定義される。
【数1】
ここで、I0,zは、z=0(コアストリームの中心に位置合わせされたビームウエストの位置)における強度であり、z位置およびレイリー範囲zは、マイクロメートル(μm)で定義される。定義によれば、次に、数式(2)が得られる。
【数2】
y方向ビームウエスト1/e径は、μmで定義されたω0,yであり、公称レーザ波長についてλ=0.64μmであり、ビーム品質因子、M=1.2である。
【0069】
比較的大きい(例えば、190μm~210μm)x方向ビーム1/e径は、z軸に沿った距離の関数としてのレーザビーム強度に対する影響を最小限に抑える。しかしながら、コアストリームがx軸に沿ってその整列位置からシフトする場合、x方向ビーム径は、どの程度のビーム強度が散乱可能であるかに影響を及ぼす。x方向において、相対強度は、数式(3)で定義される。
【数3】
ここで、数式(1)および数式(2)と同様に、I0,xは、x=0(同様に、コアストリームの中心に位置合わせされたビーム径の中心)における強度であり、x位置およびx方向のビーム1/e径、ωは、μmで定義される。
【0070】
所与のビームウエスト1/e径ω0,yおよびビーム1/e径ωについて、数式(1)と数式(3)との積は、5%などの考慮される値のビーム強度減少のぎりぎりの限界を示すx位置およびz位置の組み合わせのために解かれる。例えば、数式(4):
【数4】
【0071】
ビーム径は、座標軸と同じ直交軸に沿って定義されるので、数式(5)は、以下のように成り立つ。
【数5】
【0072】
上記によれば、ビーム径は、y軸に対して最大で15μmの半径方向コアストリームシフトにおいて、そのシフトした中心の強度が、システムが位置合わせされた元の中心の5%以内に確実に維持されるように選択される。これらのコアストリームシフトは、実際のシフト(コアストリームが、その元の中心から半径方向に移動する場合)か、または見かけのシフト(レーザ光学系の焦点が1つまたは複数の構成要素のシフトに起因して変化する場合)であり得る。
【0073】
上記を考慮して、またビーム1/e径のx方向の広がりがフローセル340の内縁部からの反射を軽減するように制限され得ることを考慮して、190μm~210μm(または200μm)のx方向のビーム1/e径が選択される。上記のことを考慮して、またビームウエスト1/e径のy方向の広がりが、以下に詳述するように、関連する飛行時間(TOF)を測定する能力を高めるために制限され得ることを考慮して、6.7μm~9μmのy方向のビームウエスト1/e径が選択される。
【0074】
ビーム径成分(x軸およびy軸)の両方についての別の考慮すべき重要事項は、ビーム径が広いほど、より大きい面積にわたってレーザ出力を拡散させるということである。実際に、所与の軸に沿ったビーム強度は、その同じ軸に沿ったそのビーム径に反比例する。モジュール10は、190μm~210μm(または200μm)のx方向のビーム1/e径および6.7μm~9μmのy方向のビームウエスト1/e径を形成することによって、上記で詳述した制約のバランスを取る。したがって、コアストリームが実際にまたは見かけ上シフトし得る範囲の広い面積が実現され、その一方で、フローセル340の側壁からの迷光散乱の寄与が軽減される。加えて、これらのバランスの取れた制約は、以下に詳述するように、正確なTOF測定を可能にし、モジュール10のレーザ出力要件を最小限に抑える。
【0075】
TOF測定に関して、細胞または粒子がフローセル340の中を流れるにつれて、細胞または粒子は、最初に、最大レーザ強度と一致するまで、増大するレーザ強度を受け、その後、粒子は低下するレーザ強度を受ける。したがって、一般的な近似として、所与の粒子または細胞からの散乱強度は、増分レーザビーム強度と粒子断面の増分容積との間のオーバーラップ容積に比例する。したがって、ある範囲の粒径の球状粒子がレーザビームとどのように重なり合うかを考慮することによって、異なる粒子のオーバーラップの相対的なスケーリング幅を比較することができる。そして、細胞の流量の一貫性が保たれている限り、TOFはそれに応じてスケーリングされることになる。
【0076】
上記に基づいて、所与の粒子または細胞について、散乱強度曲線幅の最大比例変化として推定される半値全幅(FWHM)の変化を利用して、どんなy軸ビーム幅であれば、その粒子または細胞の径をその実際の径の±1μmの範囲内で、およそ95%の信頼水準まで、変わらずに分類可能であるかを決定することができる。しかしながら、流量変動性は粒子または細胞の径を正確に決定する能力を制限するので、流量変動性を考慮に入れなければならない。
【0077】
本開示のフローサイトメータによって実現されるように、6.7μm~9μmのy方向のビームウエスト1/e径を利用し、平均から約2%以内の流量変動性を制御することにより、少なくとも±1μmだけ異なる径を有する(4μm~16μmの径の)粒子または細胞間のTOF弁別が可能になる。さらに、周期的な流量変動性は、例えば、流量変動性を検出するための圧力センサを用いて、およびこれに基づいて、(フローセル340を通る試料およびシース液を送出するポンプモジュールからの)脈動流の変化を補正することによって、補償され得る。
【0078】
本明細書内の任意の特定の数値の言及は、当技術分野で一般に受け入れられている材料ならびに製造公差、および/または当技術分野において一般に受け入れられている測定機器の誤差を考慮に入れるために値の範囲を包含することを理解されたい。
【0079】
上述の説明から、および様々な図面を参照すれば、当業者であれば、本開示の範囲から逸脱することなく、本開示に対して特定の修正を行うこともできることを理解するであろう。本開示のいくつかの実施形態が図面に示されているが、本開示の範囲が当技術分野で許容されるような広範囲であり、本明細書が同様に読み取られることを意図しているので、本開示はそれらの実施形態に限定されることを意図するものではない。したがって、上記の説明は、限定的なものと解釈すべきではなく、単に特定の実施形態の例示として解釈すべきである。当業者であれば、本明細書に添付された請求項の範囲および精神に該当する他の修正を想定するであろう。
図1
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