(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】ハイブリッド溶媒バリア及びプライマー層を含むフィルム
(51)【国際特許分類】
B32B 27/34 20060101AFI20241220BHJP
【FI】
B32B27/34
(21)【出願番号】P 2022510872
(86)(22)【出願日】2020-08-19
(86)【国際出願番号】 IB2020057795
(87)【国際公開番号】W WO2021033146
(87)【国際公開日】2021-02-25
【審査請求日】2023-08-16
(32)【優先日】2019-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ビルブレイ,ディヴィッド ビー.
【審査官】須藤 英輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-125506(JP,A)
【文献】特開2008-063492(JP,A)
【文献】特表2018-508030(JP,A)
【文献】特表2015-533191(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
C09J 7/00-7/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸長可能で印刷可能なフィルムであって、
インクを受容するための第1の主面を有するフィルム基材と、
感圧接着剤と、
前記フィルム基材と前記感圧接着剤との間に配置され、前記フィルム基材の前記第1の主面と反対側に配置されている、ハイブリッド溶媒バリア/プライマー層と、を含み、
前記ハイブリッド溶媒バリア/プライマー層が、混和性ではない2つのコポリアミドを含み、
前記ハイブリッド溶媒バリア/プライマー層が、
第三級アミド官能基を有しないコポリアミド
の連続相と
、第三級アミド官能基を有するコポリアミド
の不連続相と
を含む、フィルム。
【請求項2】
前記第三級アミド官能基を有するコポリアミドが、前記2つのコポリアミドの50重量%以下である、請求項
1に記載のフィルム。
【請求項3】
前記第三級アミド官能基を有するコポリアミドが、前記2つのコポリアミドの40重量%以下である、請求項
1に記載のフィルム。
【請求項4】
前記ハイブリッド溶媒バリア/プライマー層が、5マイクロメートル又はそれよりも薄い、請求項1に記載のフィルム。
【請求項5】
前記ハイブリッド溶媒バリア/プライマー層の前記2つのコポリアミドが、n-プロパノールと水との混合物中、あるいは、極性溶媒中に溶解する、請求項1に記載のフィルム。
【請求項6】
前記ハイブリッド溶媒バリア/プライマー層の前記2つのコポリアミドが、共押出し可能である、請求項1に記載のフィルム。
【請求項7】
前記ハイブリッド溶媒バリア/プライマー層が、顔料を含む、請求項1に記載のフィルム。
【請求項8】
前記フィルム基材が、ポリ塩化ビニル又はポリウレタンを含む、請求項1に記載のフィルム。
【請求項9】
前記ハイブリッド溶媒バリア/プライマー層が、前記フィルム基材及び前記感圧接着剤層の両方に結合している、請求項1に記載のフィルム。
【請求項10】
前記ハイブリッド溶媒バリア/プライマー層と前記フィルム基材との間に配置され、それらの両方に結合した層を更に含み、前記層は任意選択的に顔料を含む、請求項1に記載のフィルム。
【請求項11】
前記ハイブリッド溶媒バリア/プライマー層が、前記層及び前記感圧接着剤層に結合する、請求項
10に記載のフィルム。
【請求項12】
前記層が、アミノエチル化アクリルポリマー又は架橋アクリルアクリレート-アミンコポリマーを含む、請求項
10に記載のフィルム。
【請求項13】
ハイブリッド溶媒バリア/プライマー層を有する、
伸長可能で印刷可能なフィルムを提供する方法であって、
フィルム基材を提供することと、
前記フィルム基材の主面上に2つの非混和性コポリアミドのブレンドをコーティングして、
第三級アミド官能基を有しないコポリアミドが連続相であり、
第三級アミド官能基を有するコポリアミドが不連続相であるハイブリッド溶媒バリア/プライマー層を形成することと、
前記ハイブリッド溶媒バリア/プライマー層上に感圧接着剤を塗布することと、を含む、方法。
【請求項14】
伸長可能で印刷可能なフィルムであって、
インクを受容するための第1の主面を有するフィルム基材と、
感圧接着剤と、
前記フィルム基材と前記感圧接着剤との間に配置され、かつそれらに両方に結合しており、前記フィルム基材の前記第1の主面と反対側に配置されている、ハイブリッド溶媒バリア/プライマー積層体と、を含み、
前記ハイブリッド溶媒バリア/プライマー積層体が、2つの層を含み、
前記ハイブリッド溶媒バリア/プライマー積層体の前記層の各々が、混和性ではない2つのコポリアミドを含み、
前記ハイブリッド溶媒バリア/プライマー積層体の前記層の各々が、前記2つの同じコポリアミドの異なるブレンドを含
み、
前記ハイブリッド溶媒バリア/プライマー積層体の前記層の各々が、第三級アミド官能基を有しないコポリアミドの連続相と、第三級アミド官能基を有するコポリアミドの不連続相とを含む、フィルム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ある特定のフィルムは、表面に接着されると、グラフィック及び他の視覚情報を表示するために使用される。これらのフィルムは、そのようなフィルムのインク受容表面上にインクを印刷することによって部分的に作製され得る。インクが一般的に溶媒系であるため、これらの溶媒のいくつかは、フィルムの厚さを通して接着剤層に透過し、望ましくない粘着性及び不十分な剥離性を生じさせ得る。ある特定の感圧接着剤は、フィルム基材への接着が不十分であり得、接着剤及び基材の各々への適切な接着性を有する中間層を伴わないフィルムを層間剥離しやすくしている。
【発明の概要】
【0002】
一態様では、本明細書は、順応性があり、伸長可能で印刷可能なフィルムに関する。フィルムは、インクを受容するための第1の主面を有するフィルム基材、感圧接着剤、及びハイブリッド溶媒バリア/プライマー層を含む。ハイブリッド溶媒バリア/プライマー層は、フィルム基材及び感圧接着剤の両方の間に配置され、それらの両方に結合し、フィルム基材の第1の主面と反対側に配置されている。ハイブリッド溶媒バリア/プライマー層は、混和性ではない2つのコポリアミドを含み、ハイブリッド溶媒バリア/プライマー層は、連続相である1つのコポリアミド及び不連続相である1つのコポリアミドを含む。
【0003】
別の態様では、本明細書は、ハイブリッド溶媒バリア/プライマー層を有する順応性のある伸長可能なインク受容フィルムを提供する方法に関する。本方法は、フィルム基材を提供することと、フィルム基材の主面上に2つの非混和性コポリアミドのブレンドをコーティングして、1つのコポリアミドが連続相であり、1つのコポリアミドが不連続相であるハイブリッド溶媒バリア/プライマー層を形成することと、ハイブリッド溶媒バリア/プライマー層上に感圧接着剤層を塗布することと、を含む。
【0004】
更に別の態様では、本明細書は、順応性があり、伸長可能で印刷可能なフィルムに関する。フィルムは、インクを受容するための第1の主面を有するフィルム基材、感圧接着剤、及びハイブリッド溶媒バリア/プライマー積層体を含む。ハイブリッド溶媒バリア/プライマー積層体は、フィルム基材及び感圧接着剤の両方の間に配置され、それらの両方に結合し、フィルム基材の第1の主面と反対側に配置されている。ハイブリッド溶媒バリア/プライマー積層体は、2つの層を含み、ハイブリッド溶媒バリア/プライマー層中の層の各々は、混和性ではない2つのコポリアミドを含む。ハイブリッド溶媒バリア/プライマー層中の層の各々は、同じ2つのコポリアミドの異なるブレンドを含む。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】ハイブリッド溶媒バリア及びプライマー層を含むフィルムの実施形態の側面概略断面図である。
【
図2】2層ハイブリッド溶媒バリア及びプライマー積層体を含むフィルムの別の実施形態の側面概略断面図である。
【
図3】3層ハイブリッド溶媒バリア及びプライマー積層体を含むフィルムの別の実施形態の側面概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
ビークル、壁、及び看板に情報を表示する際に使用するための大判グラフィックを含むグラフィックフィルムは、典型的には、基材上の容易な一時的、半永久的、又は永久的(剥離可能であるか否かにかかわらず)位置決めのための接着フィルムとして提供される。そのようなフィルムは、非着色(透明)であってもよく、白色であってもよく、又は任意の他の好適な色であってもよい。多くの場合、フィルムは、画像又は他の情報がフィルム上に転写され得るように、印刷可能であるように設計され得る(すなわち、本質的にインク受容性であり得るか、又はインク受容コーティングを含み得る)。例えば、ブランド所有者は、トラック又はバンに接着されるように、フィルム上の広告、ロゴ、又は他の情報を提供したい場合がある。
【0007】
インクは通常、印刷によって塗布される。大判印刷は、溶媒系インクを利用して広く利用可能である。水性のラテックスインクは存在しているが、一般的には使用されていない。インクは、典型的には、そのようなフィルムの上面にのみ塗布され、最も一般的なインク系で使用される溶媒は、層を通って透過し、最終的に接着剤層に移動する。接着剤層への溶媒移動は、接着剤層の他の注意深く調整された特性を変更する可能性があり、その場合、貼り付け及び剥離性を困難にする。いくつかの用途では、他の方法(すなわち、接着剤からインク受容基材へ)の汚染物質移動も問題となり得る。
【0008】
この問題に対処するために、ある特定のフィルムは多層システムを特徴とする。層のうちの1つは、溶媒バリアとして作用するように設計され、1つ以上の層を使用して、溶媒バリア層が、プライマー又はプライム層と称されるフィルムの層の残りの層に接着することを可能にする。使用される基材及び接着剤系に応じて、フィルムは、溶媒バリア層の両側にプライマー層を使用してもよい。
【0009】
プライマー層と溶媒バリア層との特性を組み合わせることは、2つのポリマーをこれらの特性とブレンドするのほど単純ではない。共加工性(例えば、共押出される又は一般的な溶媒中に溶解される能力)は、商業規模での製造に必要であり得る。更に、バリア特性は、典型的には、溶媒が層内の任意の点を容易に透過することができない場合にのみ有効である。ブレンドが、溶媒の経路が層を通って移動することを可能にする場合、バリアとして効果がない場合がある。更に、効果的な溶媒バリアを作り出すために必要とされ得るブレンドの割合は、プライマー層としての効果がなくなり得る。最後に、効果的な溶媒バリア及びプライマー層の両方であり得る全てのブレンドが、伸長可能な順応性のあるフィルムシステムに好適であり、取り扱い及び塗布されたときに亀裂を生じ、層間剥離し、又はそうでなければ脆性であり得るわけではない。
【0010】
驚くべきことに、ハイブリッド溶媒バリア/プライマー層に混和性ではない2つのコポリアミドであって、1つのコポリアミドが連続相であり、1つのコポリアミドは不連続相であるものを使用すると、効果的なバリア性能及び効果的なプライマー性能の両方を提供することができる。いくつかの実施形態では、コポリアミドのうちの1つは、第三級アミド官能基を含み、コポリアミドのうちの1つは、第三級アミド官能基を有さない。いくつかの実施形態では、第三級アミド官能基を有するコポリアミドは、不連続相のコポリアミドである。これらの実施形態では、第三級アミド官能基を有さないコポリアミドは、連続相である。
なお、各実施形態に加えて以下の態様について付記する。
(付記1)
順応性があり、伸長可能で印刷可能なフィルムであって、
インクを受容するための第1の主面を有するフィルム基材と、
感圧接着剤と、
前記フィルム基材と前記感圧接着剤との間に配置され、前記フィルム基材の前記第1の主面と反対側に配置されている、ハイブリッド溶媒バリア/プライマー層と、を含み、
前記ハイブリッド溶媒バリア/プライマー層が、混和性ではない2つのコポリアミドを含み、
前記ハイブリッド溶媒バリア/プライマー層が、連続相である1つのコポリアミドと不連続相である1つのコポリアミドと、を含む、フィルム。
(付記2)
前記2つのコポリアミドが、第三級アミド官能基を有するコポリアミドと、第三級アミド官能基を有さないコポリアミドと、を含む、付記1に記載のフィルム。
(付記3)
前記第三級アミド官能基を有するコポリアミドが、前記2つのコポリアミドの50重量%以下である、付記2に記載のフィルム。
(付記4)
前記第三級アミド官能基を有するコポリアミドが、前記2つのコポリアミドの40重量%以下である、付記2に記載のフィルム。
(付記5)
前記ハイブリッド溶媒バリア/プライマー層が、5マイクロメートル又はそれよりも薄い、付記1に記載のフィルム。
(付記6)
前記ハイブリッド溶媒バリア/プライマーが、1マイクロメートル又はそれよりも薄い、付記1に記載のフィルム。
(付記7)
前記ハイブリッド溶媒バリア/プライマー層の前記2つのコポリアミドが、n-プロパノールと水との混合物中に溶解する、付記1に記載のフィルム。
(付記8)
前記ハイブリッド溶媒バリア/プライマー層の前記2つのコポリアミドが、極性溶媒中に溶解する、付記1に記載のフィルム。
(付記9)
前記ハイブリッド溶媒バリア/プライマー層の前記2つのコポリアミドが、共押出し可能である、付記1に記載のフィルム。
(付記10)
前記ハイブリッド溶媒バリア/プライマー層が、顔料を含む、付記1に記載のフィルム。
(付記11)
前記フィルム基材が、ポリ塩化ビニルを含む、付記1に記載のフィルム。
(付記12)
前記フィルム基材が、ポリウレタンを含む、付記1に記載のフィルム。
(付記13)
前記ハイブリッド溶媒バリア/プライマー層が、前記フィルム基材及び前記感圧接着剤層の両方に結合している、付記1に記載のフィルム。
(付記14)
前記ハイブリッド溶媒バリア/プライマー層と前記フィルム基材との間に配置され、それらの両方に結合した層を更に含む、付記1に記載のフィルム。
(付記15)
前記ハイブリッド溶媒バリア/プライマー層が、前記層及び前記感圧接着剤層に結合する、付記14に記載のフィルム。
(付記16)
前記層が、アミノエチル化アクリルポリマーを含む、付記14に記載のフィルム。
(付記17)
前記層が、架橋アクリルアクリレート-アミンコポリマーを含む、付記14に記載のフィルム。
(付記18)
前記層が、顔料を含む、付記14に記載のフィルム。
(付記19)
ハイブリッド溶媒バリア/プライマー層を有する、順応性があり、伸長可能で印刷可能なフィルムを提供する方法であって、
フィルム基材を提供することと、
前記フィルム基材の主面上に2つの非混和性コポリアミドのブレンドをコーティングして、1つのコポリアミドが連続相であり、1つのコポリアミドが不連続相であるハイブリッド溶媒バリア/プライマー層を形成することと、
前記ハイブリッド溶媒バリア/プライマー層上に感圧接着剤を塗布することと、を含む、方法。
(付記20)
前記2つのコポリアミドのブレンドが、溶媒系であり、コーティングすることが、溶媒コーティングすることを意味する、付記19に記載の方法。
(付記21)
前記2つのコポリアミドのブレンドが、ホットメルト加工可能であり、コーティングすることが、押出コーティングすることを意味する、付記19に記載の方法。
(付記22)
前記フィルム基材が、プライマー処理されたフィルム基材である、付記19に記載の方法。
(付記23)
順応性があり、伸長可能で印刷可能なフィルムであって、
インクを受容するための第1の主面を有するフィルム基材と、
感圧接着剤と、
前記フィルム基材と前記感圧接着剤との間に配置され、かつそれらに両方に結合しており、前記フィルム基材の前記第1の主面と反対側に配置されている、ハイブリッド溶媒バリア/プライマー積層体と、を含み、
前記ハイブリッド溶媒バリア/プライマー積層体が、2つの層を含み、
前記ハイブリッド溶媒バリア/プライマー積層体の前記層の各々が、混和性ではない2つのコポリアミドを含み、
前記ハイブリッド溶媒バリア/プライマー積層体の前記層の各々が、前記2つの同じコポリアミドの異なるブレンドを含む、フィルム。
(付記24)
前記フィルム基材が、プライマー処理されたフィルム基材である、付記23に記載のフィルム。
(付記25)
前記層の各々が、第三級アミド官能基を有するコポリアミドと、第三級アミド官能基を有さないコポリアミドと、を含む、付記23に記載のフィルム。
(付記26)
前記ハイブリッド溶媒バリア/プライマー積層体が、50重量%超の、第三級アミド官能基を有するコポリアミドを含む1つの層を含み、前記ハイブリッド溶媒バリア/プライマー積層体が、50重量%以下の、第三級アミド官能基を有するコポリアミドを含む1つの層を含む、付記23に記載のフィルム。
(付記27)
前記ハイブリッド溶媒バリア/プライマー積層体が、第3の層を含み、前記第3の層が、前記他の2つの層のうちの少なくとも1つとは異なる前記2つの同じコポリアミドのブレンドを含む、付記23に記載のフィルム。
(付記28)
前記ハイブリッド溶媒バリア/プライマー積層体の2つの層が、50重量%超の、第三級アミド官能基を有するコポリアミドを含み、前記ハイブリッド溶媒バリア/プライマー積層体の1つの層が、50重量%以下の、第三級アミド官能基を有するコポリアミドを含む、付記25に記載のフィルム。
【0011】
図1は、ハイブリッド溶媒バリア及びプライマー層を含むフィルムの実施形態の側面概略断面図である。フィルム100は、フィルム基材110、ハイブリッド溶媒バリア及びプライマー層120、接着剤層130、及び任意にライナー140を含む。
【0012】
基材110は、任意の好適な基材であってもよく、任意の所望の形状又はサイズであってもよい。基材110は、キャスト、カレンダー加工、又は押出成形フィルム基材として形成され得る。いくつかの実施形態では、基材110は、ポリ塩化ビニル(PVC)であり得るか、又はPVCを含んでもよい。PVCは、その良好な耐候性及び屋外耐久性のために、風雨に曝されるグラフィックスフィルムに一般的に使用される。いくつかの実施形態では、基材110は、ポリウレタン(熱可塑性ポリウレタンを含む)、酢酸酪酸セルロース、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、及びフルオロポリマーなどの他のポリマー若しくはポリマーブレンドであり得るか、又はそれらを含んでもよい。基材110は、任意の好適な厚さであってもよく、実際には、それが製造される方法に依存し得る。例えば、基材は、10μm、15μm、20μm、25μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μm、125μm、150μm、175μm、又は200μm、若しくは前に列挙された値のうちのいずれか2つの間の範囲の厚さを有し得る。基材110は、顔料又は他の着色剤を含んでもよい。いくつかの実施形態では、基材110は、カーボンブラック又は二酸化チタン(白色)を含むことができるが、任意の顔料系を所望の用途に選択されてもよい。いくつかの実施形態では、基材110は、プライマー処理された層であってもよく、又はプライマー層若しくは層間接着を増加させるための他の処理を含んでもよい。
【0013】
ハイブリッド溶媒バリア/プライマー層120は、任意の好適な材料から形成され、任意の好適な厚さであってもよい。いくつかの実施形態では、ハイブリッド溶媒バリア/プライマー層は、10μm未満であってもよく、8μm未満であってもよく、6μm未満であってもよく、4μm未満であってもよく、3μm未満であってもよく、2μm未満であってもよく、1μm未満であってもよく、又は更には0.5μm未満であってもよい。いくつかの実施形態では、ハイブリッド溶媒バリア/プライマー層の薄さは、所望のバリア性能を提供するために必要な最小厚さによってのみ、厚さが制限される。いくつかの実施形態では、ハイブリッド溶媒バリア/プライマー層が押出成形される場合、ウェブの完全性を維持する必要性により、より高い実用的な厚さが存在し得る。
【0014】
いくつかの実施形態では、ハイブリッド溶媒バリア/プライマー層120は、2つのコポリアミドのブレンドを含む。いくつかの実施形態では、ハイブリッド溶媒バリア/プライヤ層120は、第二級アミド官能基を含む1つのコポリアミドを含む。いくつかの実施形態では、ハイブリッド溶媒バリア/プライマー層120は、第三級アミド官能基を含む1つのコポリアミドを含み、第三級アミド官能基を含まない1つのコポリアミドを含む。いくつかの実施形態では、ハイブリッド溶媒バリア/プライマー層120は、2つのコポリアミド間に第三級アミド官能基を有するコポリアミドを50重量%以下含む。いくつかの実施形態では、ハイブリッド溶媒バリア/プライマー層120は、2つのコポリアミド間に第三級アミド官能基を有するコポリアミドを40重量%以下含む。いくつかの実施形態では、2つのコポリアミドは、一般的な溶媒中に溶解する。いくつかの実施形態では、2つのコポリアミドは、n-プロパノールと水との混合物中に溶解する。いくつかの実施形態では、2つのコポリアミドは、共押出し可能である。
【0015】
第三級アミド官能基を有さない好適なコポリアミドとしては、ELVAMIDE8063(DuPont;Wilmington,Del.から入手可能)及びULTRAMID 1C(BASF,Wyandotte,Mich.から入手可能)が挙げられる。そのようなコポリアミドは、結合能力が低いが、優れた溶媒バリア性能を示す。
【0016】
第三級アミド官能基は、感圧接着剤及びポリ塩化ビニル基材への効果的な結合を可能にし得る。例えば、ピペラジン又はジピペラジンなどのモノマーに少なくとも部分的に形成されたコポリアミドは、PVC基材に対する良好な接着を示す。第三級アミド官能基を有する好適なコポリアミドとしては、PLATAMID M1276及びPLATAMID HX2592T(Arkema NA;King of Prussia,Pa.から入手可能)が挙げられる。これらのコポリアミドは、良好な結合を呈し、一方で、溶媒バリア性能がほとんど提供しない。
【0017】
いくつかの実施形態では、コポリアミドは相分離されている。いくつかの実施形態では、1つのコポリアミドは連続相を形成し、1つのコポリアミドは、離散相又は不連続相を形成する。そのような相分離システムでは、溶媒移動を効果的に防止しないポリアミドを含むにもかかわらず、連続相を形成する良好なバリア性能を示すコポリアミドを有することで、ハイブリッド溶媒バリア/プライマー層は、薄い厚さであっても、依然として効果的である。
【0018】
いくつかの実施形態では、ハイブリッド溶媒バリア及びプライマー層は、着色されているか、又は着色剤を含む。いくつかの実施形態では、ハイブリッド溶媒バリア及びプライマー層は、カーボンブラックを含み得る。ハイブリッド溶媒バリア及びプライマー層を着色することは、最終印刷フィルムの知覚される不透明度を助けることができる。
【0019】
接着剤層130は、感圧接着剤を含む様々な接着剤から作製することができるか、又は接着剤を含んでもよい。好適な接着剤は、当業者によって選択され得、しばしばそれらが接着される基材の種類に基づいて選択される。感圧接着剤のクラスとしては、アクリル、粘着付与ゴム、粘着付与合成ゴム、エチレン酢酸ビニル、及びシリコーンなどが挙げられる。好適なアクリル接着剤は、例えば、米国特許第3,239,478号、同第3,935,338号、同第4,952,650号、同第4,181,752号、及び同第5,169,727号に開示されている。
【0020】
この特定の用途に有用であり得る特定のクラスの感圧接着剤は、少なくとも1つのアルキルアクリレートと少なくとも1つの強化コモノマーとの反応生成物である。好適なアルキルアクリレートは、約-10℃未満のホモポリマーガラス転移温度を有するものであり、例えば、n-ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソノニルアクリレート、オクタデシルアクリレートなどが挙げられる。好適な強化モノマーは、約-10℃のホモポリマーガラス転移温度を有するものであり、例えば、アクリル酸、メチリデンコハク酸、イソボルニルアクリレート、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニルピロリドンなどが挙げられる。
【0021】
接着剤層130の厚さは、例えば、接着剤の組成、接着剤が微細構造化表面を含むかどうか、基材の種類、及びフィルムの厚さを含む、いくつかの要因に基づいて特定の用途のために選択され得る。当業者は、本明細書の開示に基づいて、特定の用途の要因に対処するように厚さを調整することができる。接着層130は、ライナー上にコーティングされ、残りのフィルム100に塗布され得るか、又は残りのフィルム100に直接コーティングされ得るか、又はそれと共押出され得る。
【0022】
ライナー140は、構造において任意であり、典型的には、接着剤層から容易に剥離するためのコーティングを有する紙又はポリマーライナーである。場合によっては、ライナー140は、非常に均一な、滑らかな又は光沢のある表面を有し得る。他の例では、ライナーは、エンボス加工又は印刷などの方法によって作製された表面テクスチャーを有し得る。いくつかの実施形態では、ライナーは、チャネル、隆起、又は溝などの構造化パターンを含む。そのような構造化パターンは、接着剤層上に逆構造を付与することができる。このパターンは、接着剤を表面に塗布し、例えば、最初の設置時に容易な空気放出を提供するのに役立ち得る。
【0023】
図2は、2層ハイブリッド溶媒バリア及びプライマーを含むフィルムの別の実施形態の側面概略断面図である。フィルム200は、フィルム基材210、第1のハイブリッド溶媒バリア及びプライマー層222、第2のハイブリッド溶媒バリア及びプライマー層224、接着剤層230、及び任意にライナー240を含む。
【0024】
フィルム200は、ハイブリッド溶媒バリア/プライマー層が単一層の代わりに2層積層体であることを除いて、
図1のフィルム100と同様である。第1のハイブリッド溶媒バリア及びプライマー層222と第2のハイブリッド溶媒バリア及びプライマー層224とは、各々、2つのコポリアミドのブレンドを含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2のハイブリッド溶媒及びプライマー層は各々、同じ2つのコポリアミドの異なるブレンドである。いくつかの実施形態では、2つのコポリアミドのブレンドは、相分離され得る。相分離のために、同じ2つのコポリアミドの異なるブレンドは、異なる性能を有し得る。1つのブレンドは、効果的なバリア層として機能し得るが、結合能力が比較的低い一方で、わずかに異なるブレンドは、中程度のバリア性能を有し得るが、優れた結合を有し得る。用途及びフィルム内の他の層に応じて、これらの層は、任意の順序で提供され得る。異なる効果を達成するために同じ2つのコポリアミドを有することは、簡略化された又はより適応可能な製造プロセスを可能にし得る。ブレンドの割合は、異なる成分を必要とせずに所望の特性を達成するように微調整及び調節することができる。いくつかの実施形態では、1つの層は、第三級アミド官能基を有するコポリアミドを50重量%超含み、1つの層は、第三級官能基を有するコポリアミドを50重量%以下含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、第1のハイブリッド溶媒バリア及びプライマー層222は、基材210と第2のハイブリッド溶媒バリア及びプライマー層224との間の層間接着を促進するために、無視できるバリア性能を有することができ、主にプライマー層として機能する。そのような層は、基材210と第2のハイブリッド溶媒バリア及びプライマー層224間に配置され、それらの両方に結合しているであろう。そのような実施形態では、そのような層は、アミノエチル化アクリルポリマー又は架橋アクリルアクリレート-アミンコポリマーであり得るか、又はそれを含み得る。好適なアミノエチル化アクリルポリマーの例としては、POLYMENT(Nippon Shokubai,Osaka,Japanから入手可能)が挙げられる。本明細書に記載の層と同様に、そのような層は、二酸化チタン(白色)又はカーボンブラックを含む顔料又は他の着色剤を含み得る。
【0026】
図3は、3層ハイブリッド溶媒バリア及びプライマー積層体を含むフィルムの別の実施形態の側面概略断面図である。フィルム300は、フィルム基材310、第1のハイブリッド溶媒バリア及びプライマー層322、第2のハイブリッド溶媒バリア及びプライマー層324、第3のハイブリッド溶媒バリア及びプライマー層326、接着剤層330、及び任意にライナー340を含む。
【0027】
図3のフィルム300は、ハイブリッド溶媒バリア/プライマー層積層体が、2層の代わりに、又は単一層の代わりに3層であることを除いて、
図2のフィルム200及び
図1のフィルム100と同様である。
図2のフィルム200と同様に、ハイブリッド溶媒バリア及びプライマー積層体は、複数の層で構成されている。他のハイブリッド溶媒バリア及びプライマー層の積層体及び層のように、層の各々は、2つのコポリアミドのブレンドを含む。いくつかの実施形態では、層の各々は、同じ2つのコポリアミドの異なるブレンドを含む。いくつかの実施形態では、層の各々は、同じ2つのコポリアミドのブレンドを含み、ブレンドのうちの2つは同じである。そのような構成は、例えば、3層積層体の外側2層(例えば、第1のハイブリッド溶媒バリア及びプライマー層322と第3のハイブリッド溶媒バリア及びプライマー層326)が、例えば、フィルム基材310及び接着剤層330のうちの1つ以上に対して優れたプライマー結合性能を有するようにブレンドされる用途において有用であり得る。いくつかの実施形態では、ハイブリッド溶媒バリア及びプライマー積層体の2つの層は、50重量%超の、第三級アミド官能基を有するコポリアミドを含み、ハイブリッド溶媒バリア及びプライマー積層体の1つの層は、50重量%以下の、第三級アミド官能基を有するコポリアミドを含む。
【0028】
フィルムの順応性に影響を及ぼし得る要因としては、フィルムを製造するために使用される材料が何であるか、そのような材料の分子量、そのようなフィルムが曝される条件(例えば、温度、放射線被曝、及び湿度)、並びにフィルム材料中の添加剤の存在(例えば、含有される可塑剤、強化繊維、顔料、安定剤(例えばUV安定剤)、及び硬度向上粒子)が挙げられる。
【0029】
本明細書に記載されるフィルムはまた、伸長可能であり、これは、それらが破損することなく、又は塑性変形することなくその初期寸法を超えていくらかの割合で伸長され得ることを意味する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のフィルムは、その元の寸法の120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、又は更には200%以上に伸長可能である。
【0030】
用いた用語及び表現は、限定ではなく説明の用語として使用したものであり、そのような用語及び表現を使用する際、図示及び記載する特徴又はその一部分の均等物を除外する意図はなく、本発明の実施形態の範囲内で様々な修正形態が可能であることが理解される。したがって、特定の実施形態及び任意選択の特徴によって、本発明を具体的に開示したが、本明細書に開示する概念の修正形態及び変形形態を、当業者であれば用いることができ、そのような修正形態及び変形形態は、本発明の実施形態の範囲内であると見なされることが理解されるべきである。
【実施例】
【0031】
コポリマー樹脂ブレンドを作製し、キャストビニルフィルム上にコーティングし、感圧接着剤でコーティングされた剥離ライナーに積層した。溶媒バリア特性及び接着特性を測定した。これらの実施例は、単に例示目的のみのものであり、添付の特許請求の範囲を限定することを意味するものではない。本明細書の実施例及び他の箇所における全ての部、百分率、比などは、別途指示がない限り、重量に基づくものである。以下の略語が本明細書で使用される:mil=インチの1000分の1;m=メートル;cm=センチメートル;℃=摂氏度;min=分;BCM=10億立方マイクロメートル。
【0032】
【0033】
実施例(E1~E12)及び比較例(CE1~CE9)
キャストビニル基材を、Sarvetnick HA(1972)「Plastisols and Organosols」(Van Nostrand Reinhold Company:New York,N.Y.)と同様に、又は記載されているように、オルガノゾルを紙キャスティングライナー上にコーティングすることによって形成した。成分は、オルガノゾル高分子量PVC樹脂ホモポリマー、高分子アジピン酸可塑剤、熱安定剤、及び二酸化チタン顔料を含んでいた。米国特許第5,296,277号に記載されるものと同様のシリコーンコーティングされた高精細の(microreplicated)エンボス加工された剥離ライナーを、アクリル酸含有アクリル感圧接着剤でコーティングした。
【0034】
アルコール及び水に溶解した樹脂を使用して、ハイブリッド溶媒バリア/プライマーコーティング溶液を調製した。2つの樹脂のブレンドを、一方の他方に対する比を調整することによって調製した。樹脂を、90パーセントのn-プロパノール及び10パーセントの脱イオン水を含む溶液中に溶解した。
【0035】
フィルム基材を1インチ×5インチ(2.5cm×12.7cm)の切片に切断し、各々をノッチバーを使用してコーティングした。バーとプリントフィルムとの間の3ミル(76マイクロメートル)のギャップに設定されたノッチバーを使用して、樹脂溶液を引き伸ばした。コーティングされたフィルムをフード内で約1分間乾燥させ、次いで40℃のオーブンに1分間入れた。以下に記載する透過率-重量測定カップ試験を実施した後、コーティングされたフィルム基材を剥離ライナー感圧接着剤積層体に積層し、65℃のオーブンに入れて乾燥させた。
【0036】
試験方法
透過率-重量測定カップ試験
試験は、アメリカ自動車技術会(Society of Automotive Engineers(SAE))のJ2665「Test Procedure to Measure the Fuel Permeability of Materials by the Cup Weight Loss Method」に由来した。2”EZ-Cup Vapometer Permeability Cupは、Thwing-Albert Instrument Company,West Berlin,NJから入手した。カップはアルミニウムであり、アルミニウムのねじ切りされたフランジリングを備えている。試験されるバリアコーティングされたフィルムは、試験中にフィルムが膨らまないようにするために、ポリテトラフルオロエチレンガスケット、微細スクリーン、及び粗スクリーンを使用して適所に保持する。試験は、カップをメチルエチルケトン(MEK)で部分的に満たし、次いでバリアコーティングされたフィルムを使用してカップを密閉することによって行われる。カップを40℃のオーブンに入れて、カップの重量を経時的に計った。透過率は、時系列に対する溶媒重量損失の%の勾配を計算することによって得られ、バリア性能の性能指数である。参考のために、コーティングされていないビニルフィルムは、2.66%の溶媒損失/時間の透過率を有した。結果を表2に示す。
【0037】
ハイブリッド溶媒バリア/プライマー層とビニルフィルムとの間の結合
プライ結合試験は、実世界剥離のための実験室プロキシとして、ハイブリッド溶媒バリア/プライマー層とビニルフィルムとの間の結合を探索する。このフィルム構造は、最初にフィルムを3M 8518Overlaminateフィルムに積層し、各試料を3つの1インチ×5インチ(2.5cm×12.7cm)ストリップに切断し、フィルムの接着剤側をAlodine Qパネルに塗布し、次いで、66℃のオーブンで2時間エージングすることによって、プライ性能について評価した。Instron Universal Test Machine(Norwood,MA)を使用して、フィルム構造をパネルから90度で500インチ/分(13m/分)の速度で剥離する。各ハイブリッド溶媒バリア/プライマー層について1インチ×5インチ(2.5cm×12.7cm)の3つの試料を評価した。評価は、最初の1/4インチ(0.64cm)を除く結合サイトで実行し、次の1インチ(2.5cm)(すなわち、1/4インチ~1.25インチ、0.64cm~3.14cm)にわたって検査した。試料のいずれも、ハイブリッド溶媒バリア/プライマー層からビニルを剥離せず、又はハイブリッド溶媒バリア/プライマー層が分割せず、合格の評価をもたらした。結果を表2に示す。
【0038】
【0039】
実施例(E13~E26)ハイブリッド溶媒バリア/プライマー層-グラビアコーティングされたビニルフィルムの透過性能及び厚さ
実施例E13~E26の全てのフィルムを、Hirano Tecseed Co.Ltd,Japanによって製造されたモジュールを使用して、12インチ(30.5cm)の幅でグラビアコーティングした。使用したグラビアシリンダーを以下の表3に記載する。
【0040】
【0041】
実施例E1~E12について上記のプロセスを使用して、追加のキャストビニル基材を作製した。以下の表4に示されるように、ビニルフィルム基材は、順方向又は逆方向のいずれかで異なるシリンダを使用してコーティングした。全てのコーティングを、121℃で25秒間オーブン乾燥させた。透過率(%溶媒損失/時間)を、上記の透過率-重量測定カップ試験を使用して各フィルムについて測定した。走査型電子顕微鏡(JEOL JSM-7001F電界放出走査型電子顕微鏡、Peabody,MA)を使用して、ハイブリッド溶媒バリア/プライマー層の厚さを決定した。試料調製を、液体窒素中にフィルムを浸漬し、それらを破砕して、ハイブリッド溶媒バリア/プライマー層の断面図を明らかにすることによって行った。測定用に少なくとも2つの位置でサンプリングし、平均厚さ値を表4に示す。表4には、CB1及びCB1/2が、それぞれ約5%及び2.5%の濃度でカーボンブラック分散液Hostajet Black O-PT含有溶液であったことに留意されたい。
【0042】
【0043】
実施例E27~E30及び比較例CE10~CE12 FTIR/ATR分光法を使用したハイブリッド溶媒バリア/プライマー層-グラビアコーティングされたビニルフィルムの透過率試験
全反射(ATR)結晶サンプリング装置を備えたフーリエ変換赤外分光法(FTIR)を使用して、中間ハイブリッド溶媒バリア/プライマー層を通って接着剤層に移動する接着剤コーティングされたビニルプリントフィルム上にコーティングされたインクからの溶媒の量を特性評価した。Roland ECO-SOL MAX2 ESL4-4BK黒色インクを、250%~300%のインク被覆率(充填%)に対応する1.25ミル~1.5ミルの湿潤を目標とする#15 Mayer Rodを使用して接着剤積層ビニルプリントフィルム上にコーティングした。インクコーティングされたフィルムを、52℃のホットプレート上に2.5分間置き、典型的なインクジェット印刷プロセスの乾燥工程をシミュレートした。次いで、剥離ライナーを接着剤から剥離し、フィルムの接着剤側をATR結晶に貼り付けた。
【0044】
定量分析については、感圧接着剤中のインクの異なる比率を調製し、特定の波数(1731cm-1に対する1778cm-1)を追跡することによって、較正曲線を最初に作成し、ピーク高さを溶媒重量パーセント組成に較正した。次いで、この較正曲線を使用して、市販の印刷されたプリントフィルム(3M Company;St.Paul.,Minn.から入手可能なIJ180Cv3-10)及びハイブリッド溶媒バリア/プライマー層でコーティングされたフィルムの接着剤の表面における全溶媒重量パーセントを定量化した。セレン化亜鉛(ZnSe)マルチバウンス全反射(ATR)結晶を備えたNicolet iS10フーリエ変換赤外分光計(Thermo Fisher,168 Third Avenue,Waltham,MA)を使用して、グラフィックフィルム表面からフィルムを通って、バリアコーティングを横切り接着剤への溶媒移動の動態を、時間の関数として特性評価した。
【0045】
市販の印刷ビニルフィルム(IJ180Cv3-10、2ミルPVCフィルム)(バリアなし)及びブレンド組成並びに厚さが変化する10wt/wt%の溶液のハイブリッド溶媒バリア/プライマーコーティングされたグラフィックフィルムについての接着面における総溶媒インク濃度データ(重量%)を表5a及び5bに示す。ハイブリッド溶媒バリア/プライマー層溶液をコーティングするために使用されるグラビアシリンダーBCM値を括弧内に示す。E13~E26について使用した実施例CE10~CE12及びE27~E30を生成した。1層又は2層とラベル付けされた実施例は、それぞれ、フィルム上にコーティングされた初期単一層及びコーティングされた第2の層を表す。負の値は、低信号対雑音データ点での器具ノイズによるものである。
【0046】
【0047】
【0048】
実施例E31~E36製造スケールのビニルフィルムでの重量測定カップ透過率性能(%溶媒損失/時間)及び走査電子顕微鏡法を使用して測定されたコーティング厚さ(マイクロメートル)
「A」とラベル付けされたビニルフィルムは、実施例E1~E12について上記のように形成した。「B」とラベル付けされたビニルフィルムは、それらがまたアクリル樹脂及び光安定剤を含み、ポリエステルキャスティングライナー上にキャスティングされたことを除いて、実施例E1~E12について上述したように形成した。「C」とラベル付けされたビニルフィルムは、それらがまたキャストオルガノゾル中にポリエステル樹脂を含んだことを除いて、実施例E1~E12について上述したように形成した。
【0049】
ビニルフィルム基材を、70/30 Ultramid 1C/HX2592溶液で10重量%溶液を使用してグラビアコーティングした。コーティングは、21.2又は9.6のBCMグラビアシリンダーのいずれかを使用して、逆方向又は順方向のグラビアのいずれかを使用して作製した。オーブン乾燥条件は以下の通りであった:E31は135℃で32秒間乾燥させ、E32は135℃で16秒間、93℃で8秒間、66℃で8秒間乾燥させ、E33は135℃で25秒間、93℃で8秒間、66℃で8秒間乾燥させ、E34は135℃で41秒間乾燥させ、E35は135℃で41秒間乾燥させ、E36は135℃で41秒間乾燥された。透過率は、前述の重量測定カップ試験を使用して決定した。厚さの測定は、走査型電子顕微鏡法、試料調製法、及び前述の平均化を使用して決定した。透過率及び厚さの結果を表6に示す。
【0050】