(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】薬物送達ポンプ用の回転付勢式挿入機構
(51)【国際特許分類】
A61M 5/158 20060101AFI20241220BHJP
A61M 5/142 20060101ALI20241220BHJP
【FI】
A61M5/158 500
A61M5/142 522
(21)【出願番号】P 2023092922
(22)【出願日】2023-06-06
(62)【分割の表示】P 2021070810の分割
【原出願日】2016-02-10
【審査請求日】2023-06-20
(32)【優先日】2015-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500049716
【氏名又は名称】アムジエン・インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マーク・エイ・デステファーノ
(72)【発明者】
【氏名】ロートン・ローレンス
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・シー・ラブ
(72)【発明者】
【氏名】イアン・ビー・ハンソン
(72)【発明者】
【氏名】ポール・エフ・ベンテ・ザ・フォース
【審査官】鈴木 洋昭
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-510571(JP,A)
【文献】特表2014-531922(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0162521(US,A1)
【文献】特表2014-510574(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/158
A61M 5/142
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着型薬物送達デバイスであって、
外側ハウジングと、
少なくとも部分的に外側ハウジング内に位置決めされた薬物保管容器と、
少なくとも部分的に外側ハウジング内に位置決めされた流体導管と、
少なくとも部分的に外側ハウジング内に位置決めされた挿入機構と、
を含み、
挿入機構は、
挿入機構ハウジングと、
挿入機構ハウジングの少なくとも一部分を回転させるように構成された回転付勢部材であって、回転付勢部材の少なくとも一部分が、挿入機構ハウジングの少なくとも一部分の周りに延在する、回転付勢部材と、
少なくとも流体導管を介して薬物保管容器と流体連通するように接続されまたは接続されるように構成された送達部材と、
を含み、
送達部材は、第1の位置と第2の位置との間で移動可能であり、第1の位置では、送達部材の挿入部分が外側ハウジング内に位置決めされ、第2の位置では、送達部材の挿入部分が患者に挿入するために外側ハウジングの外部に位置決めされ、
送達部材に対する挿入機構ハウジングの初期回転が、送達部材を第1の位置から第2の位置に
遠位方向に移動させるように、挿入機構ハウジングは、送達部材に動作可能に結合され、且つ送達部材に対して回転するように構成されており、
挿入機構は、送達部材を第2の位置から第1の位置まで近位方向に移動させるように構成され、
送達部材が第2の位置から第1の位置に移動するときに流体導管の少なくとも一部分が近位方向に移動するように、流体導管は、送達部材と動作可能に結合される、装着型薬物送達デバイス。
【請求項2】
挿入機構ハウジングは、ハブを備え、ハブは、
(i)装着型薬物送達デバイスの動作中に流体流路がハブの少なくとも一部分を通過するように、送達部材と薬物保管容器との間の接続を促進し、および
(ii)ハブに対する挿入機構ハウジングの初期回転が送達部材を第1の位置から第2の位置へ軸に沿ってまたは軸に平行に移動させるように、挿入機構ハウジングと機械的に係合する
ように構成されている、請求項1に記載の装着型薬物送達デバイス。
【請求項3】
挿入機構ハウジングは、第1のガイド面を備え、
ハブは、挿入機構ハウジングの回転中に第1のガイド面と摺動可能に係合するように構成された外方に延在する従動体を備える、請求項1に記載の装着型薬物送達デバイス。
【請求項4】
第1のガイド面の少なくとも一部
分は、軸方向および円周方向に延在する、請求項3に記載の装着型薬物送達デバイス。
【請求項5】
回転付勢部材は、挿入機構ハウジングを単一の回転方向にのみ回転させるように構成される、請求項1に記載の装着型薬物送達デバイス。
【請求項6】
挿入機構ハウジングは、軸を中心に回転可能であり、
軸は、送達部材の長手方向軸に少なくとも実質的に平行である、請求項1に記載の装着型薬物送達デバイス。
【請求項7】
ハブに対する挿入機構ハウジングの初期回転が送達部材を第1の位置から第2の位置に軸方向に移動させるように、挿入機構ハウジングと機械的に相互作用するように構成された半径方向外方に延在する突出部を備え、
半径方向外方に延在する突出部が、ハブの一方の側に限定されている、請求項2に記載の装着型薬物送達デバイス。
【請求項8】
第1の位置および第2の位置を有する第1の当接部材を備え、
第1の位置では、第1の当接部材が挿入機構ハウジングに係合して、回転付勢部材が挿入機構ハウジングを回転させることを防止し、
第2の位置では、第1の当接部材が挿入機構ハウジングから係脱されて、回転付勢部材が挿入機構ハウジングを回転させることを可能にする、請求項1に記載の装着型薬物送達デバイス。
【請求項9】
挿入機構ハウジングは、円筒の部分と、円筒の部分から外方に延びる第2の当接部材とを含み、
第2の当接部材は、第1の当接部材が第1の位置にあるときに、第1の当接部材と係合する、請求項8に記載の装着型薬物送達デバイス。
【請求項10】
外側ハウジング内に少なくとも部分的に位置決めされた駆動機構を備え、
駆動機構は、薬物を薬物保管容器から送達部材を介して患者内に移動させるように構成されている、請求項1に記載の装着型薬物送達デバイス。
【請求項11】
流体導管は、装着型薬物送達デバイスの動作中に、送達部材を薬物保管容器と流体連通状態に接続するように、かつ、送達部材の患者への挿入中に、流体導管の少なくとも一部分とハブとが一緒に並進するように、ハブに結合される、請求項2に記載の装着型薬物送達デバイス。
【請求項12】
回転付勢部材がねじりスプリングを備える、請求項1に記載の装着型薬物送達デバイス。
【請求項13】
送達部材がニードルを備える、請求項1に記載の装着型薬物送達デバイス。
【請求項14】
ニードルが中空内部を有する、請求項13に記載の装着型薬物送達デバイス。
【請求項15】
送達部材は、少なくとも挿入機構ハウジングの回転の前に、少なくとも流体導管を介して薬物保管容器に流体結合される、請求項1に記載の装着型薬物送達デバイス。
【請求項16】
挿入機構が、回転付勢部材を取り囲むカバーを有していない、請求項15に記載の装着型薬物送達デバイス。
【請求項17】
外側ハウジングを患者の皮膚に取り付けるために、外側ハウジングの壁に塗布された接着剤を含む、請求項1に記載の装着型薬物送達デバイス。
【請求項18】
外側ハウジングの壁に形成された開口部を備え、
送達部材の挿入部分が、第2の位置において開口部を通って延在する、請求項17に記載の装着型薬物送達デバイス。
【請求項19】
装着型薬物送達デバイスの動作を制御するための方法であって、
装着型薬物送達デバイスは、
外側ハウジングと、
外側ハウジング内に少なくとも部分的に位置決めされた流体導管と、
外側ハウジング内に少なくとも部分的に位置決めされた薬物保管容器と、
外側ハウジング内に少なくとも部分的に位置決めされた挿入機構と、
を備え、挿入機構は、
挿入機構ハウジングと、
起動機構と、
挿入機構ハウジングの少なくとも一部分を回転させるように構成された回転付勢部材であって、回転付勢部材の少なくとも一部分が挿入機構ハウジングの少なくとも一部分の周りに延在する回転付勢部材と、
少なくとも流体導管を介して薬物保管容器と流体連通するように接続されまたは接続されるように構成された送達部材とを含み、
送達部材に対する挿入機構ハウジングの
初期回転が、
送達部材を第1の位置から第2の位置に軸方向に移動させるように、挿入機構ハウジングは、送達部材と動作可能に結合され、且つ
送達部材に対して回転するように構成されており、
前記方法は、
作動機構が、回転付勢部材を解放することと、
回転付勢部材が、挿入機構ハウジングを回転させて、送達部材を第1の位置から第2の位置に
遠位方向に移動させること
であって、第1の位置では、送達部材の挿入部分が、外側ハウジング内に位置決めされており、第2の位置では、送達部材の挿入部分が、外側ハウジングの外側にある、
送達部材を移動させることと、
挿入機構が、送達部材を第2の位置から第1の位置まで近位方向に移動させることであって、送達部材が第2の位置から第1の位置に移動するときに流体導管の少なくとも一部分が近位方向に移動するように、流体導管は、送達部材と動作可能に結合される、送達部材を移動させることと、
を有する、装着型薬物送達デバイスの動作を制御するための方法。
【請求項20】
回転付勢部材を解放することは、挿入機構ハウジングの円筒の部分から外方に延びる第2の当接部材から第1の当接部材を係脱することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
装着型薬物送達デバイスであって、
外側ハウジングと、
少なくとも部分的に外側ハウジング内に位置決めされた薬物保管容器と、
少なくとも部分的に外側ハウジング内に位置決めされた流体導管と、
少なくとも部分的に外側ハウジング内に位置決めされた挿入機構と、
を含み、
挿入機構は、
挿入機構ハウジングと、
挿入機構ハウジングの少なくとも一部分を回転させるように構成された回転付勢部材であって、回転付勢部材の少なくとも一部分が、挿入機構ハウジングの少なくとも一部分の周りに延在する、回転付勢部材と、
少なくとも流体導管を介して薬物保管容器と流体連通するように接続されまたは接続されるように構成された送達部材と、
を含み、
送達部材は、第1の位置と第2の位置との間で移動可能であり、第1の位置では、送達部材の挿入部分が外側ハウジング内に位置決めされ、第2の位置では、送達部材の挿入部分が患者に挿入するために外側ハウジングの外部に位置決めされ、
送達部材に対する挿入機構ハウジングの初期回転が、送達部材を第1の位置から第2の位置に軸方向に移動させるように、挿入機構ハウジングは、送達部材に動作可能に結合され、且つ送達部材に対して回転するように構成されており、
挿入機構ハウジングは、
(i)装着型薬物送達デバイスの動作中に流体流路がハブの少なくとも一部分を通過するように、送達部材と薬物保管容器との間の接続を促進し、
(ii)ハブに対する挿入機構ハウジングの初期回転が、送達部材を軸に沿ってまたは軸と平行に第1の位置から第2の位置まで移動するように、挿入機構ハウジングと機械的に係合するように構成されたハブを備える、装着型薬物送達デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2015年2月10日に出願された米国仮特許出願第62/114,200号、2015年3月16日に出願された米国仮特許出願第62/133,690号、及び2015年4月14日に出願された米国仮特許出願第62/147,403号に対して優先権を主張し、上記仮特許出願の全ては、全ての目的のため、参照によりその全体が本明細書に含まれる。
【0002】
本発明は、薬物送達ポンプに関する。より詳細には、本発明は、薬物送達ポンプ用の挿入機構、安全一体化式挿入機構を有する薬物送達ポンプ、こうしたデバイスを動作させる方法、及びこうしたデバイスを組立てる方法に関する。
【背景技術】
【0003】
種々の薬物の非経口送達、すなわち、消化管を通す以外の手段による送達が、多くの理由で、薬物送達の望ましい方法になってきている。注入によるこの形態の薬物送達は、送達される物質の効果を高め、非変質医薬品がかなりの濃度でその意図される部位に達することを保証する場合がある。同様に、全身毒性等の、他の送達経路に関連する望ましくない副作用は、非経口送達によっておそらくは回避され得る。哺乳類患者の消化器系を迂回することによって、消化管内及び肝臓内の触媒酵素によって引起こされる活性成分の分解が回避され、所望の濃度の必要量の薬物が目標部位に達することが保証され得る。
【0004】
従来から、手動操作式シリンジ及び注入ペンが、非経口薬物を患者に送達するために使用されてきた。ごく最近では、液状医薬品の身体内への非経口送達は、ニードル及びリザーバを使用してボーラス注入物を、重力駆動式吐出器によって連続的にまたは経皮パッチ技術によって投与することによって、達成されてきた。ボーラス注入は、しばしば、患者の臨床的必要性に完全には適合しない場合があり、ボーラス注入が与えられる特定の時間に所望されるより多くの個々の用量を必要とし得る。重力給送式システムを通した医薬品の連続送達は、患者の移動性及びライフスタイルを低下させ、単純化した流量及びプロファイルに治療を制限する。薬物送達の別の形態である経皮パッチは、同様に制約がある。経皮パッチは、しばしば、効果を得るため特定の分子薬物構造を必要とし、また、経皮パッチを通した薬物投与の制御が大幅に制限される。
【0005】
携帯型輸液ポンプは、液状薬剤を患者に送達するために開発されてきた。これらの輸液デバイスは、ボーラス要件、連続輸液、及び可変流量送達を達成する精緻な流体送達プロファイルを提供する能力を有する。これらの輸液能力は、通常、薬物及び治療のより良好な効き目及び患者の身体に対するより少ない毒性をもたらす。現在利用可能な携帯型輸液デバイスは、費用がかかり、輸液のためにプログラムし準備することが難しく、かさばり、重く、非常に脆弱である傾向がある。これらのデバイスを充填することは、難しく、意図される医薬品ならびに充填用付属品の両方を患者が持運ぶことを必要とし得る。デバイスは、しばしば、それらの意図される長期使用にとって適切な機能性及び安全性を保証するため、特殊な手入れ、メンテナンス、及び清掃を必要とし、患者またはヘルスケア提供者にとって費用効率的でない。
【0006】
シリンジ及び注入ペンと比べて、ポンプタイプ送達デバイスは、日中または夜間にいつでも患者に対して薬物の用量が計算され自動的に送達されてもよい点で、患者にとって著しく好都合であり得る。更に、代謝センサーまたは代謝モニターと共に使用されると、ポンプは、検知されるまたはモニターされる代謝レベルに基づいて、適切な用量の流状媒体を必要性の適切な時間に提供するように自動制御されてもよい。結果として、ポンプタイプ送達デバイスは、糖尿病等のような種々のタイプの病状の現代医療処置の重要な態様になってきている。
【0007】
ポンプタイプ送達システムは、多数の患者ニーズを解決するために利用されてきたが、手動操作式シリンジ及び注入ペンは、今や一体化式安全機能を提供し、また、薬物送達の状態及び用量吐出の終了を特定するために容易に読取られ得るため、薬物送達についての好ましい選択のままであることが多い。しかし、手動操作式シリンジ及び注入ペンは、ユニバーサルに適用可能でなく、全ての薬物の送達にとって好ましくない。調整可能(及び/またはプログラム可能な)輸液システムについての必要性が存在したままであり、その輸液システムは、正確でありかつ信頼性があり、臨床医及び患者に、液状医薬品の非経口送達についての、小型で、低コストで、軽量で、使用するのが簡単な代替物を提供し得る。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、薬物送達ポンプ用の挿入機構、安全一体化式挿入機構を有する薬物送達ポンプ、こうしたデバイスを動作させる方法、及びこうしたデバイスを組立てる方法を提供する。更に、本発明の実施形態は、新規の挿入機構及び薬物ポンプを通る滅菌流体通路を提供し、その通路は、ユーザーによる適切なアクティブ化によって、係合される、接続される、または開口されるだけである。したがって、本発明の新規なデバイスは、先に参照したような従来技術のデバイスに関連する問題の1つまたは複数を軽減する。本明細書で述べるデバイスは、あまりにも大きな体積でのまたはあまりにも速いレートでの薬剤の送達を防止する機能を更に含んでもよい。こうした自動安全機構を設けることによって、患者の安全が保証され得る。インスリン等の幾つかの薬剤は、処方されるパラメータに従って送達されない場合、危険であり、おそらくは更に致死であり得る。以下で述べる安全機能は、指定パラメータから送達が逸脱する場合に、薬剤の送達が打切られることを保証してもよい。
【0009】
第1の実施形態において、本発明は、薬物ポンプ用の挿入機構を提供し、前記挿入機構は、内部チャンバを有する挿入機構ハウジングと、ハウジング内に配設されるスリーブと、最初にエネルギー蓄積状態に保持される1つまたは複数の回転付勢部材であって、回転付勢部材の少なくとも一部分はハウジングに係合する、1つまたは複数の回転付勢部材と、引込み付勢部材と、ニードルの近位端に接続されるハブであって、引込み付勢部材は、ハブとスリーブとの間で最初にエネルギー蓄積状態で保持される、ハブと、薬物容器からニードルまでの流体の流れを可能にする流体導管とを含む。
【0010】
挿入機構は、挿入機構ハウジングの遠位端に接続されるベースを更に含んでもよい。滅菌ブートは、第1の端でハブにしっかり接続され、他端でスリーブとベースとの間に留められてもよい。用語「滅菌ブート」は、1つまたは複数の動作ステージにおいて或る内部コンポーネントがその中に滅菌状態で存在する場合があるブートを述べるために使用される。ブートは、機構またはポンプの動作全体を通して滅菌されている必要はなく、また実際には、或るコンポーネントの組立て及び滅菌が起こるまで、最初に滅菌されていなくてもよい。更に、用語「ブート」は、任意の特定の形状または構成を意味することを意図されるのではなく、代わりに、他のコンポーネントが1つまたは複数の動作ステージにおいてその中に存在する場合がある内部空間を提供し得るコンポーネントを述べるために利用される。
【0011】
別の実施形態において、本発明は、ハウジング及び組立てプラットフォームを含む一体化式安全機能を有する薬物送達ポンプを提供し、薬物送達ポンプ上には、アクティブ化機構、駆動機構、流体通路接続部、電力及び制御システム、及び薬物ポンプ用の挿入機構が搭載されてもよく、前記挿入機構は、内部チャンバを有する挿入機構ハウジング;ハウジング内に配設されるスリーブ;最初にエネルギー蓄積状態に保持される1つまたは複数の回転付勢部材であって、回転付勢部材の少なくとも一部分がハウジングに係合する、1つまたは複数の回転付勢部材;引込み付勢部材;ニードルの近位端に接続されるハブであって、引込み付勢部材は、ハブとスリーブとの間においてエネルギー蓄積状態で最初に保持される、ハブ;及び薬物容器からニードルへの流体の流れを可能にする導管を含む。
【0012】
挿入機構は、挿入機構ハウジングの遠位端に接続されるベースを更に含んでもよい。滅菌ブートは、第1の端でハブにしっかり接続され、他端でスリーブとベースとの間に留められてもよい。更なる実施形態において、本発明は、挿入機構を組立てる方法を提供し、その方法は、ハブをニードルの近位端に接続するステップと;導管をハブに接続するステップと;滅菌ブートをハブに接続するステップと;ハブ、導管、及び滅菌ブートをスリーブに挿入するステップと;ハウジングをスリーブの周りに配置するステップと;フレックスアームとハウジング内の孔との係合によってベースをスリーブに接続するステップとを含む。方法は、引込み付勢部材を、ニードル挿入機構のスリーブまたはハウジング内に、一端のハブと他端のスリーブまたはハウジングとの間で引込み付勢部材が拘束される位置で、挿入するステップを更に含んでもよい。回転付勢部材は、回転付勢部材の一部分がハウジングの一部分に係合するようにハウジングの周りに配置され、それにより、付勢部材のエネルギー解放をハウジングの回転とつなげてもよい。
【0013】
更に別の実施形態において、本発明は、薬物送達ポンプを動作させる方法を提供する。動作させる方法は、挿入機構ハウジングから回転防止機能を係脱させるためアクティブ化機構をトリガーすることであって、こうした係脱は、回転付勢部材がエネルギー解放し、ハウジングの回転をもたらすことを可能にし、こうした回転は、ハウジング内に配設されるハブ及びニードルの遠位並進をもたらし、それは、ニードル及び/または可撓性カニューレのユーザーの身体内への挿入を駆動する、トリガーすること;穿刺部材を有する流体通路接続部を、穿刺可能シールを有する薬物容器に接続すること;及び、流体通路接続部、導管、及びニードルを通りかつユーザーの身体内に流体を強制的に流すように駆動機構をアクティブ化することを含む。方法は、回転付勢部材の更なるエネルギー解放をもたらすること及び/または可能にすることであって、それにより、ハウジングの更なる回転をもたらす、もたらすること及び/または可能にすることを更に含む。この回転は、引込み付勢部材が、拡張し、ハブ及びニードルの近位変位をもたらすことを可能にし、それにより、ニードルを目標組織から引込める。こうした実施形態において、可撓性カニューレは、ニードル引込み後に目標組織内に留まってもよく、それにより、送達が継続してもよい。好ましい実施形態において、動作方法は、アクティブ化機構の変位を可能にするため、1つまたは複数の身体上センサーを最初に変位させることを更に含んでもよい。
【0014】
本開示の特徴によれば、薬物ポンプ用の挿入機構が提供される。挿入機構は、軸(A)を有し、回転可能配設式ハウジング、少なくとも1つの回転付勢部材、スリーブ、ニードル、ハブ、及び1つの引込み付勢部材を含む。少なくとも1つの回転付勢部材は、ハウジングに結合され、最初にエネルギー蓄積状態に保持される。回転付勢部材は、回転付勢部材がエネルギー解放するにつれて、ハウジングを回転させるように配設される。スリーブ、ニードル、及びハブは、ハウジングの内部チャンバ内に少なくとも部分的に配設される。ニードルは、中空内部、近位端、及び遠位端を有する。ハブは、ニードルの近位端に接続される。ニードル及びハブは、初期位置と挿入位置との間で軸方向に並進するように構成される。少なくとも1つの引込み付勢部材は、ハブと少なくとも1つの軸方向静止要素との間に配設される。引込み付勢部材は、引込み付勢部材がエネルギー解放するときに、挿入位置から少なくとも部分的に引込んだ位置までハブ及びニードルを移動させるように配設される。回転付勢部材のエネルギー解放によってもたらされるハウジングの回転は、初期位置から挿入位置までの遠位方向へのハブ及びニードルの軸方向並進をもたらし、引込み付勢部材のエネルギー解放は、近位方向への少なくとも部分的に引込んだ位置へのハブ及びニードルの並進をもたらす。
【0015】
本開示の別の特徴によれば、管腔を有するカニューレを含むこうした挿入機構が提供される。カニューレは、ハウジングの内部チャンバ内に少なくとも部分的に配設され、ニードルの遠位端は、カニューレの管腔内に少なくとも部分的に配設される。回転付勢部材のエネルギー解放によってもたらされるハウジングの初期回転は、初期位置から挿入位置までの遠位方向へのハブ、ニードル、及びカニューレの軸方向並進をもたらす。回転付勢部材のエネルギー解放によってもたらされるハウジングの更なる2次回転は、引込み付勢部材のエネルギー解放を可能にし、それは、ニードルがカニューレの管腔の内部に少なくとも部分的に配設される少なくとも部分的に引込んだ位置への近位方向へのハブ及びニードルの並進をもたらす。
【0016】
本開示の更に別の特徴によれば、ニードルがカニューレの管腔内にもはや配設されない完全に引込んだ位置まで、ハブを更に移動させるために少なくとも1つの引込み付勢部材
が配設される挿入機構が設けられる。この実施形態において、更に、回転付勢部材のエネルギー解放によってもたらされるハウジングの3次回転は、引込み付勢部材のエネルギー解放を可能にし、それは、カニューレを通した薬剤の流れを打切るため、完全に引込んだ位置への近位方向へのハブ及びニードルの並進をもたらす。3次回転は、停止機構によって始動される。
【0017】
本開示の更なる特徴によれば、薬物ポンプハウジング、アクティブ化機構、駆動機構、及び軸(A)を有する挿入機構を含む薬物ポンプが提供される。挿入機構は、内部チャンバを有するハウジング、少なくとも1つの軸方向静止要素、ニードル、ハブ、及び少なくとも1つの引込み付勢部材を含む。少なくとも1つの軸方向静止要素はスリーブを含む。スリーブ、ニードル、及びハブは、ハウジングの内部チャンバ内に少なくとも部分的にある。ニードルは、中空内部、近位端、及び遠位端を有する。ハブは、ニードルの近位端に接続される。ニードル及びハブは、初期位置と、挿入位置と、ニードルの遠位端がハウジング及び少なくとも1つの軸方向静止要素の少なくとも一方の中に配設される引込み位置との間で軸方向に並進するように構成される。少なくとも1つの引込み付勢部材は、ハブと少なくとも1つの軸方向静止要素との間に配設される。引込み付勢部材は、引込み付勢部材がエネルギー解放するときに、挿入位置から引込み位置までハブ及びニードルを移動させるように配設される。引込み付勢部材は、ユーザー入力、デバイス動作エラー、及び用量終了信号の少なくとも1つの含む停止機構に応答してハブ及びニードルを引込み位置まで引込ませるためエネルギー解放することを許可される。
【0018】
本開示の更に別の特徴によれば、開示される挿入機構の1つまたは複数を含む薬物ポンプを動作させる方法が提供される。方法は、少なくとも1つの回転付勢部材が、初期エネルギー蓄積状態からエネルギー解放することを可能にすることであって、こうしたエネルギー解放は、ニードルハウジングの回転をもたらし、それにより、初期位置から挿入位置までの遠位方向へのニードル及びハブの並進をもたらす、可能にすること、滅菌アクセス接続部を薬物容器に接続すること、及び、滅菌アクセス接続部、導管、ニードルを通りかつ目標に入るよう流体を強制的に流すように駆動機構をアクティブ化することを含む。
【0019】
本明細書の全体にわたって、別途指示されない限り、「comprise(備える)」、「comprises(備える)」、「comprising(備えている」、または、「includes(含む)」または「consists of(から成る)」等の関連する用語は、排他的ではなく包含的に使用されるため、述べられる整数または整数群は、1つまたは複数の他の述べられていない整数または整数群を含んでもよい。以下で更に述べるように、本発明の実施形態は、医療デバイスの業界における標準的なコンポーネントと考えられてもよい1つまたは複数の更なるコンポーネントを含んでもよい。コンポーネント、及び、こうしたコンポーネントを含む実施形態は、本発明の企図内にあり、本発明の広がり及び範囲の中に入ると理解される。
【0020】
本発明の以下の非限定的な実施形態は、以下の図面を参照して本明細書で述べられる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1A】本発明の一実施形態による安全一体化式挿入機構を有する薬物送達ポンプの等角図である。
【
図1B】
図1Aに示す薬物送達ポンプの内部コンポーネントの等角図である。
【
図2A】薬物送達ポンプの第2の実施形態の内部コンポーネントの等角図である。
【
図2B】
図2Aに示す薬物送達ポンプの内部コンポーネントの第2の等角図である。
【
図3A】本発明の少なくとも1つの実施形態による挿入機構の軸「A」に沿って分解した分解図である。
【
図4A】本発明の少なくとも1つの実施形態による挿入機構ハウジングの等角図である。
【
図5】本発明の少なくとも1つの実施形態によるハブの等角図である。
【
図6】本発明の少なくとも1つの実施形態によるスリーブの等角図である。
【
図7】本発明の少なくとも1つの実施形態による挿入機構のベースの実施形態を示す図である。
【
図8A】初期構成にある本発明の少なくとも1つの実施形態による挿入機構の等角図である。
【
図9A】ニードル挿入済み構成にある
図8Aの挿入機構の等角図である。
【
図9B】ニードル挿入済み構成にある
図9Aの挿入機構の断面図である。
【
図10A】ニードル引込み構成にある
図8A及び9Aの挿入機構の等角図である。
【
図11】本発明の少なくとも1つの実施形態による挿入機構の等角図である。
【
図14A】初期構成にある本発明の少なくとも1つの実施形態による挿入機構の断面図である。
【
図15A】本発明の少なくとも1つの実施形態による挿入機構ハウジングの側面断面立面図である。
【
図16A】送達構成にある間の、
図14A~14Cの挿入機構の拡大部分断面図である。
【
図16B】引込み位置にある間の、
図14A~14Cの挿入機構の拡大部分断面図である。
【
図17A】初期構成にある本発明の少なくとも1つの実施形態による挿入機構の断面図である。
【
図17C】部分的に引込んだ位置にあるニードルハブを有する
図17Aの挿入機構の断面図である。
【
図17D】完全に引込んだ位置にあるニードルハブを有する
図17Aの挿入機構の断面図である。
【
図18C】引込み構成にあるニードルハブを有する
図18Aの挿入機構の断面図である。
【
図19C】引込み構成にあるニードルハブを有する
図19Aの挿入機構の断面図である。
【
図24A】初期構成にある本発明の少なくとも1つの実施形態によるNIMアクティブ化機構の断面図である。
【
図24B】アクティブ化済み構成にある
図24AのNIMアクティブ化機構の断面図である。
【
図25A】送達構成にある本発明の少なくとも1つの実施形態によるNIM引込み機構の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
挿入機構、薬物送達ポンプ、または、本発明のコンポーネントの任意の相対位置を説明するために本明細書で使用するとき、用語「axial(軸方向の)」または「axially(軸方向に)」は、一般に、長手方向軸「A」を指し、その軸の周りに挿入機構が好ましくは位置決めされるが、その周りに必ずしも対称的には位置決めされない。用語「radial(半径方向の)」は、一般に、軸Aに対して垂直な方向を指す。用語「proximal(近位の)」、「rear(後側の)」、「rearward(後方の)」、「back(逆の)」、または「backward(逆方向の)」は、一般に、方向「P」における軸方向を指す。用語「distal(遠位の)」、「front(前側の)」、「frontward(前方の)」、「depressed(押下された)」または「forward(順方向の)」は、一般に、方向「D」における軸方向を指す。
【0023】
本明細書中で使用されるとき、用語「ガラス」は、限定はしないが、環状オレフィン共重合体(COC)及び環状オレフィン重合体(COP)等の或る非反応性重合体を含む、通常、ガラスを必要とするであろう医薬品グレード用途で使用するのに適した他の同様に非反応性の材料を含むように理解されるべきである。
【0024】
用語「プラスチック」は、熱可塑性重合体及び熱硬化性重合体の両方を含んでもよい。熱可塑性重合体は、熱によってそれらの元の状態に再軟化され得るが、熱硬化性重合体は再軟化され得ない。本明細書中で使用するとき、用語「プラスチック」とは、主に、例えば、一般に硬化剤、充填材、補強材、着色剤、及び/または、可塑剤等の他の原材料を同様に含みかつ熱及び圧力下で形成され得るまたは成形され得るポリエチレン及びポリプロピレン、または、アクリル樹脂等の成形可能熱可塑性重合体を指す。本明細書中で使用するとき、用語「プラスチック」は、ガラス、非反応性重合体、またはエラストマーであって、ガラス、非反応性重合体、またはエラストマーが、プラスチックと相互作用し得る治療液体、または、別様にプラスチックから液体に入り得る置換基によって分解され得る治療液体と直接に接触する用途での使用について承認される、ガラス、非反応性重合体、またはエラストマーを含むことを意図されていない。用語「エラストマー」、「エラストマーの」、「エラストマー材料」は、主に、プラスチックより容易に変形可能であるが医薬品グレード流体と一緒の使用について承認されかつ周囲温度及び圧力下で浸出またはガス移動を容易に起こし難い架橋性熱硬化性ゴム状重合体を指す。
【0025】
「流体」は、主に、液体を指すが、液体中に分散される固体の懸濁物質、及び、シリンジの流体収容部分の内部の液体内に溶解されるまたはそうでなければ液体内に一緒に存在する気体を含み得る。
【0026】
本明細書中で使用されるとき、用語「ポンプ」は、アクティブ化すると、流体をユーザーに吐出することが可能な任意の数の薬物送達システムを含むことが意図される。こうした薬物送達システムは、例えば、注入システム、輸液システム、ボーラス注入器、及び同様のものを含む。
【0027】
本明細書で述べる種々の態様及び実施形態によれば、例えばニードル、トロカール、及び/またはカニューレの挿入または引込みのための1つまたは複数の付勢部材の文脈等において、「付勢部材」に対して参照が行われる。付勢部材がエネルギーを蓄積して解放することが可能である任意の部材であってもよいことが認識されるであろう。非限定的な例は、例えばコイル状スプリング、圧縮スプリングまたは引張スプリング、ねじりスプリング、及びリーフスプリング等のスプリング、弾性圧縮可能バンドまたは弾性バンド、あるいは、同様の機能を有する任意の他の部材を含む。本発明の少なくとも1つの実施形態において、付勢部材がスプリングである。
【0028】
本発明の新規なデバイスは、一体化式安全機能を有する挿入機構、及び、こうした挿入機構を組込む薬物送達ポンプを提供する。こうしたデバイスは、自己投与する患者にとって、安全であり、使用するのが容易であり、審美的にかつ人間工学的に魅力がある。本明細書で述べるデバイスは、たとえ訓練を受けていないユーザーにとってもデバイスのアクティブ化、動作、及び、ロックアウトを簡単にする特徴を組込む。本発明の新規なデバイスは、知られている従来技術のデバイスに関連するいずれの問題もない状態で、これらの望ましい特徴を提供する。新規な薬物送達ポンプ、挿入機構、及びそれらの各コンポーネントの或る非限定的な実施形態は、添付図面を参照して本明細書で更に述べられる。本明細書で述べるデバイスは、規制薬物の送達のために構成されてもよく、いわゆる薬剤の「run-away(ランナウェイ)」送達を防止する機能を更に含んでもよい。規制薬物を送達するとき、これは、患者を保護するための重要な安全機能である場合がある。例えば、インスリン等の幾つかの薬剤は、あまりにも大きな量で及び/またはあまりにも速いレートで投与されると、危険であり、おそらくは更に致死であり得る。こうした自動安全停止機能機構を設けることによって、患者の安全が保証される場合がある。
【0029】
薬物送達ポンプ:
図1A~
図1Cは、本発明の少なくとも1つの実施形態による例示的な薬物送達デバイスを示す。薬物送達デバイスは、ユーザーの身体内への薬物処置の送達を行うために利用されてもよい。
図1Aから
図1Cに示すように、薬物ポンプ10はポンプハウジング12を含む。ポンプハウジング12は、薬物ポンプのより容易な製造、組立て、及び動作を促進するために、しっかり係合可能である1つまたは複数のハウジングサブコンポーネントを含んでもよい。例えば、薬物ポンプ10は、上側ハウジング12A及び下側ハウジング12Bを含むポンプハウジング12を含む。薬物ポンプは、アクティブ化機構14、状態インジケーター(示さず)、及び窓18を更に含んでもよい。窓18は任意の半透明または透過性表面であってもよく、その表面を通して薬物ポンプの動作が観察されてもよい。
図1Bに示すように、薬物ポンプは、組立てプラットフォーム20、薬物容器50を有する駆動機構100、挿入機構200、流体通路接続部300であって、挿入機構200内で薬物容器50とニードルまたはトロカールとの間の滅菌流体結合を確立するための、流体通路接続部300、及び電力及び制御システム400を更に含む。こうした薬物ポンプのコンポーネントのうちの1つまたは複数は、それらが例えば別個のコンポーネントとして予め組立てられ、製造中に薬物ポンプ10の組立てプラットフォーム20上の所定の位置になるように構成されてもよい点でモジュール式であってもよい。プラットフォーム20は、下側ハウジング12Bの一部分等、ハウジング12の一部分であってもよい、または代替的に、別個のコンポーネントであってもよい。
【0030】
ポンプハウジング12は、デバイスコンポーネントの全てを収容し、デバイス10をユーザーの皮膚に取外し可能に取付ける手段を提供する。ポンプハウジング12は、また、環境影響に対するデバイス10の内部コンポーネントの保護を提供する。ポンプハウジング12は、容易な包装、保管、ハンドリング、及び訓練を受けていないかつ/または身体的に障害がある場合があるユーザーによる使用を促進するために、サイズ、形状、及び関連する特徴部が人間工学的にかつ審美的に設計される。更に、ポンプハウジング12の外側表面は、製品ラベル表示、安全指示等を提供するために利用されてもよい。更に、上述したように、ハウジング12は、動作フィードバックをユーザーに提供し得る状態インジケーター及び窓18等の或るコンポーネントを含んでもよい。
【0031】
少なくとも1つの実施形態において、薬物ポンプ10は、開始コマンドを電力及び制御システム400にトリガーするためユーザーによって変位されるアクティブ化機構14を提供する。好ましい実施形態において、アクティブ化機構は、開始ボタン14であり、開始ボタン14は、上側ハウジング12Aと下側ハウジング12Bとの間の孔を貫通して等で、ポンプハウジング12を貫通して位置付けされ、また、電力及び制御システム400の制御アーム40に接触する。少なくとも1つの実施形態において、開始ボタン14は、プッシュボタンであってよく、また他の実施形態において、ON/OFFスイッチ、トグル、または、当技術分野で知られている任意の同様のアクティブ化特徴部であってもよい。ポンプハウジング12は、また、状態インジケーター及び窓18を提供する。他の実施形態において、アクティブ化機構14、状態インジケーター、窓18、及び、その組合せのうちの1つまたは複数は、例えば薬物ポンプ10が目標組織上に配置されるとユーザーが観察可能な側等、上側ハウジング12Aまたは下側ハウジング12B上に設けられてもよい。ハウジング12は、本発明の他のコンポーネント及び実施形態を参照して、以降で更に詳細に述べられる。
【0032】
薬物ポンプは、アクティブ化機構を押下することによるユーザーによるアクティブ化によって、薬物ポンプが始動されて、流体通路をユーザー内へ挿入するように;薬物容器と、流体通路接続部と、滅菌流体導管との間の必要な接続部を使用可能にする、接続する、または、開口するように;また、ユーザー内に送達するため、薬物容器内に貯蔵される薬物流体を流体通路及び流体導管を通して強制的に流すように構成される。例えば、薬物ポンプの時期尚早のアクティブ化を防止するために、1つまたは複数の随意的な安全機構が利用されてもよい。1つまたは複数のオプションの安全機構は、例えば、薬物ポンプの時期尚早のアクティブ化を防止するために利用されてもよい。例えば、オプションの身体上センサー24(
図1Cに示す)が、安全機能として一実施形態において設けられて、薬物ポンプ10が目標組織と接触状態にない限り、電力及び制御システム400またはアクティブ化機構が係合することができないことを保証してもよい。1つのこうした実施形態において、身体上センサー24は、ユーザーの身体と接触状態になる下側ハウジング12Bの底部上に位置付けられる。身体上センサー24が変位すると、アクティブ化機構の押下が許可される。したがって、少なくとも1つの実施形態において、身体上センサー24は、例えば、アクティブ化機構14による薬物ポンプ10のトリガリングを防止する機械的ロックアウト等の機械的安全機構である。別の実施形態において、身体上センサーは、アクティブ化を許可する信号を電力及び制御システム400に送信する機械的ロックアウト等の電気機械センサーであってもよい。更なる他の実施形態において、身体上センサーは、例えば、電力及び制御システム400のアクティブ化を許可する前に組織を検出しなければならない、誘導性ベースの、静電容量性ベースの、またはインピーダンスベースのセンサー等の電気式ベースのセンサーであり得る。少なくとも1つの実施形態において、ハウジング12は、有害な物質が薬物ポンプに入ることを少なくとも部分的に防止するように構成される。例えば、ハウジングは、薬物ポンプに入る流体の通過を制限するように構成されてもよい。これは、シャワー中に、水泳中に、または他の活動中にデバイスを付けることを可能にする場合がある。電気式ベースの皮膚センサーの使用は、薬物ポンプに入る、考えられる入り口をなくす場合がある。これらの概念は互いに排他的でなく、また、例えば薬物ポンプの時期尚早なアクティブ化を防止するため、1つまたは複数の組合せが本発明の範囲内で利用されてもよい。好ましい実施形態において、薬物ポンプ10は、1つまたは複数の機械的な身体上センサーを利用する。更なる一体化式安全機構は、新規な薬物ポンプの他のコンポーネントを参照して本明細書で述べられる。
【0033】
薬物送達ポンプ1300の第2の実施形態は、
図2A~2Bに示される。第1の実施形態の場合と同様に、薬物容器1050及び挿入機構200は、組立てプラットフォームまたはハウジング1012上に配設されてもよい。この実施形態において、挿入機構200、流体通路接続部、及び薬物送達駆動機構は、モータまたはソレノイド等のアクチュエータ207の運動ならびに1つまたは複数のギア209の回転によって制御される。付加的にまたは代替的に、逃げ機構が使用されて、1つまたは複数のギアの回転レートを制御してもよい。ギアのうちの1つのギアは、挿入機構ハウジング202の歯208に係合してもよい。したがって、ギア列の1つまたは複数のギア209の回転は、挿入機構ハウジングの回転を、それにより、目標組織へのニードルの挿入を制御する。挿入機構の動作は、本明細書で更に述べられる。
【0034】
電力及び制御システム:
電力及び制御システム400は、薬物ポンプ内の種々の電気コンポーネントのためにエネルギーを提供する電力源、1つまたは複数のフィードバック機構、マイクロコントローラー、回路基板、1つまたは複数の導電性パッド、及び、1つまたは複数の相互接続部を含む。当業者によって認識されるであろうように、こうした電気システムで一般に使用される他のコンポーネントが同様に含まれてもよい。1つまたは複数のフィードバック機構は、例えば、圧電アラーム等の可聴アラーム及び/または発光ダイオード(LED)等の光インジケーターを含んでもよい。マイクロコントローラーは例えばマイクロプロセッサであってもよい。電力及び制御システム400は、ユーザーとの幾つかのデバイスのやりとりを制御し、駆動機構100にインタフェースする。一実施形態において、電力及び制御システム400は、身体上センサー24及び/またはアクティブ化機構14がアクティブ化されたときを特定するために制御アームにインタフェースする。電力及び制御システム400は、同様に、視覚フィードバックをユーザーに提供するために、光伝達を可能にする透過性材料または半透明材料を含んでもよいポンプハウジング12の状態インジケーターにインタフェースしてもよい。電力及び制御システム400は、アクティブ化、薬物送達、及び用量終了等の状態指示をユーザーに中継するために1つまたは複数の相互接続部を通して駆動機構100にインタフェースする。こうした状態指示は、可聴アラームを通して等で、聴覚トーンによって、及び/または、LEDを通して等で、視覚インジケーターによって、ユーザーに提示されてもよい。好ましい実施形態において、電力及び制御システムと薬物ポンプの他のコンポーネントとの間の制御インタフェースは、ユーザーがアクティブ化するまで、係合されないまたは接続されない。これは、薬物ポンプの偶発的動作を防止する望ましい安全機能であり、また、保管中、輸送中等において電力源に収容されるエネルギーを維持し得る。
【0035】
電力及び制御システム400は、多数の異なる状態インジケーターをユーザーに提供するように構成されてもよい。例えば、電力及び制御システム400は、身体上センサー及び/またはトリガー機構が押圧された後にデバイス始動チェックがエラーを提供しない場合、電力及び制御システム400が状態インジケーターによって始動可能状態信号を提供するように構成されてもよい。始動可能状態信号を与えた後、また、オプションの身体上センサーを用いる実施形態において、身体上センサーが目標組織と接触状態のままである場合、電力及び制御システム400は、ニードル挿入機構200内のニードルまたはカニューレに対して流体通路接続部300及び滅菌流体導管30を通して薬物処置の送達を始めるため駆動機構100に給電することになる。本発明の好ましい実施形態において、挿入機構200及び流体通路接続部300は、アクティブ化機構14のユーザー操作により直接アクティブ化させられてもよい。
【0036】
薬物送達プロセス中、電力及び制御システム400は、状態インジケーターによって吐出状態信号を提供するように構成される。薬物が目標組織内へ投与された後、また任意選択で、いずれかの更なる滞留時間の終了後に、実質的に用量の全体がユーザーに送達されていることを保証するため、電力及び制御システム400は、状態インジケーターによって取外しオーケー状態信号を提供してもよい。これは、ポンプハウジング12の窓18を通して駆動機構及び薬物用量送達を観察することによってユーザーによって独立に検証されてもよい。更に、電力及び制御システム400は、例えば障害状況または動作不良状況を示す警報等の1つまたは複数の警報信号を状態インジケーターによって提供するように構成されてもよい。
【0037】
他の電力及び制御システム構成は、本発明の新規な薬物ポンプによって利用されてもよい。例えば、或るアクティブ化遅延が薬物送達中に利用されてもよい。先に述べたように、システム構成において任意選択で含まれる1つのこうした遅延は、ユーザーに対して終了を信号送信する前に、実質的に薬物用量の全てが送達されていることを保証する滞留時間である。同様に、デバイスのアクティブ化は、薬物ポンプアクティブ化の前に薬物ポンプ10のアクティブ化機構14の遅延した押下(すなわち、押圧)を必要としてもよい。更に、システムは、ユーザーが、用量終了信号に応答し、薬物ポンプを非アクティブ化するまたは電源を切ることを可能にする機能を含んでもよい。こうした機能は、同様に、デバイスの偶発的な非アクティブ化を防止するため、アクティブ化機構の遅延した押下を必要としてもよい。こうした機能は、薬物ポンプに対して所望の安全一体化パラメータ及び使用容易パラメータを提供する。更なる安全機能は、部分的押下、したがって、薬物ポンプの部分的アクティブ化を防止するためにアクティブ化機構に一体化されてもよい。例えば、アクティブ化機構及び/または電力及び制御システムは、部分的アクティブ化を防止するためデバイスが完全にOFFするまたは完全にONするように構成されてもよい。こうした機能は、新規な薬物ポンプの他の態様に関して、更に詳しく説明する。
【0038】
流体通路接続部:
流体通路接続部300は、滅菌流体導管30、穿孔部材、接続ハブ、及び滅菌スリーブを含む。流体通路接続部は1つまたは複数の流量制限器を更に含んでもよい。デバイス10を適切にアクティブ化すると、流体通路接続部300は、滅菌流体導管30を駆動機構100の薬物容器に接続することを可能にされる。こうした接続は、駆動機構100の薬物容器の穿孔可能シールに貫入するニードル等の穿孔部材によって促進されてもよい。この接続部の滅菌性は、可撓性滅菌スリーブ内で接続を実施することによって維持されてもよい。挿入機構の実質的に同時のアクティブ化によって、薬物容器と挿入機構との間の流体通路が完成して、目標組織内への薬物送達を可能にする。
【0039】
本発明の少なくとも1つの実施形態において、流体通路接続部の穿孔部材は、ユーザーによるアクティブ化機構の押下等による、ユーザーの直接的な行為によって、駆動機構の薬物容器の穿孔可能シールに貫入させられる。例えば、アクティブ化機構自体は、アクティブ化機構のその元の位置からの変位が同様に流体通路接続部の変位をもたらすように流体通路接続部を圧迫してもよい。好ましい実施形態において、この接続は、ユーザーがアクティブ化機構を押下し、それにより、穿孔部材を、穿孔可能シールを通して押しやることによって可能にされる。その理由は、ユーザーが所望するまでこの穿孔可能シールが薬物容器からの流体の流れを防止するからである。こうした実施形態において、圧縮性滅菌スリーブは、薬物容器のキャップと流体通路接続部の接続ハブとの間にしっかり取付けられてもよい。穿孔部材は、流体通路接続部と薬物容器との間の接続が所望されるまで滅菌スリーブ内に存在してもよい。滅菌スリーブは、滅菌されて、アクティブ化前に穿孔部材及び流体通路の滅菌性を保証してもよい。
【0040】
代替的にまたは付加的に、流路の滅菌性は、流体通路接続部の1つまたは複数の滅菌チャンバを画定する1つまたは複数の膜またはフォイルによって保たれてもよい。膜またはフォイルは、穿孔部材によってまたは代替的に導入器部材によって、薬物ポンプの使用時に穿孔されてもよい。こうした実施形態において、穿孔部材は、導入器部材の管腔内に少なくとも部分的に配設されて、穿孔部材が異物と接触状態になることを防止してもよい。
【0041】
薬物ポンプは、異なる粘度及び体積を有する或る範囲の薬物を送達することが可能である。薬物ポンプは、制御された流量(流速)の及び/または指定された体積の薬物を送達することが可能である。一実施形態において、薬物送達プロセスは、流体通路接続部及び/または滅菌流体導管内の1つまたは複数の流量制限器によって制御される。他の実施形態において、他の流量が、流体流れ経路または送達導管の幾何形状を変えることにより、薬物容器内に薬物を吐出するため駆動機構のコンポーネントが薬物容器内に進む速度を変えることにより、または、その組合せを行うことによって提供されてもよい。流体通路接続部300及び滅菌流体導管30に関するなお更なる詳細は、他の実施形態を参照して以降で後の節で提供される。
【0042】
駆動機構:
ここで
図1Bを参照すると、駆動機構100は、キャップ51、穿孔可能シール、及びプランジャシールを有する薬物容器50を含む。薬物容器は、挿入機構及び薬物ポンプを通した目標組織内への送達のために、キャップとプランジャシールとの間のバレル内に薬物流体を収容してもよい。駆動機構は、バレル内でプランジャシールを進めるため任意の適切な構造または機構を含んでもよい。例えば、駆動機構は、1つまたは複数の駆動付勢部材、1つまたは複数の解放機構、及び1つまたは複数のガイドを更に含んでもよい。駆動機構のコンポーネントは、流体通路接続部、滅菌流体導管、及び挿入機構を通した目標組織内への送達のために、流体を薬物容器から、穿孔可能シールを通してまたは好ましくは流体通路接続部の穿孔部材を通して強制的に出すように機能する。
【0043】
一実施形態において、薬物容器に貯蔵される流体はインスリンを含む。流体は、U-100、U-300、及びU-500を含む任意の濃度のインスリンを含んでもよい。
【0044】
駆動機構は、対応するコンポーネント上に位置付けられる1つまたは複数の電気接点を更に含んでもよく、その電気接点は、電気接点の間で接触すると、エネルギー通路を持続することが可能である、またはそうでなければ、信号を電力及び制御システム400に及び/またはそこから中継する。こうした信号は、1つまたは複数の相互接続部にわたって伝達されてもよい。こうしたコンポーネントは、駆動機構の動作状態に関連する情報を測定し中継するため駆動機構内で利用されてもよく、その情報は、電力及び制御システム400によって、ユーザーに対する触覚フィードバック、聴覚フィードバック、及び/または、視覚フィードバックに変換されてもよい。
【0045】
1つの特定の実施形態において、駆動機構100は、付勢部材(複数可)として1つまたは複数の圧縮スプリングを使用する。ユーザーが薬物ポンプをアクティブ化すると、電力及び制御システムが作動されて、圧縮スプリング(複数可)をエネルギー蓄積状態から直接的にまたは間接的に解放してもよい。解放すると、圧縮スプリング(複数可)は、プランジャシールに当接し作用して、薬物容器から流体薬物を強制的に出してもよい。プランジャシールの並進は、駆動機構100の特徴部によって制御されてもよい、制限されてもよい、または調量されてもよい。流体通路接続部は、駆動機構のアクティブ化前に、アクティブ化と同時に、またはアクティブ化後に、穿孔可能シールを通して接続されて、薬物送達のために、薬物容器から流体通路接続部、滅菌流体導管、及び挿入機構を通り目標組織に入る流体の流れを可能にする。少なくとも1つの実施形態において、流体は、挿入機構の導管、ニードル、及びカニューレだけを通して流れ、それにより、薬物送達前及び薬物送達中に流体通路の滅菌性を維持する。こうしたコンポーネント及びその機能は、以降で更に詳細に述べられる。
【0046】
挿入機構:
例示的な挿入機構200は、
図3A及び
図3Bにおいて分解形態で示され、一方、個々のコンポーネントは
図4A~4B及び5~7に示され、組立て済みデバイス及び例示的な動作は
図8A~10Bに示される。この第1の実施形態において、挿入機構200は、
図3A及び3Bに示すように、1つまたは複数の突出部202A、ベース252、及び滅菌ブート250を有する挿入機構ハウジング202を含む。ベース252は、組立てプラットフォーム20に接続されて、挿入機構を薬物ポンプ10内に一体化してもよい(
図1Bに示すように)。組立てプラットフォーム20に対するベース252の接続は、例えば、目標組織に対するベース252の直接接触を可能にするためにベースの底部が組立てプラットフォーム20内の穴を通過することを許可されるようなものであってもよい。こうした構成において、ベース252の底部は、シール膜254を含んでもよく、そのシール膜254は、少なくとも一実施形態において、薬物ポンプ10の使用前に取外し可能である。代替的に、シール膜254は、薬物ポンプ10の動作中にニードル214がシール膜254を穿孔するようにベース252の底部に取付けられたままであってもよい。
【0047】
図3A及び3Bに示すように、挿入機構200は、回転付勢部材210、ニードルハブ212、及びニードル214を含むニードル組立体、引込み付勢部材216、スリーブ220、及びニードル挿入機構(NIM)導管218を更に含んでもよい。NIM導管218は、本明細書中で更に詳しく説明されるように、滅菌流体導管30または滅菌アクセス接続部300に接続されて、薬物送達中にNIM導管218、ニードル214を通り、目標組織内への流体の流れを可能にしてもよい。
【0048】
本明細書中で使用するとき、「ニードル」は、限定はしないが、硬質中空スチールニードル等の従来の中空ニードルを含む種々のニードルを指す。組立てると、ニードル214の近位端は、ハブ212と固定接触状態に維持され、一方、ニードル214の残りの部分は、好ましくは、滅菌ブート250内に位置付けられる。ニードル214は、ベース開口252E(
図7参照)を更に通過してもよい。
【0049】
示す実施形態において、滅菌ブート250は、近位端でハブ212と、また、遠位端でスリーブ220及び/またはベース252と固定係合状態にある圧潰可能または圧縮可能滅菌膜である。換言すれば、滅菌ブート250の遠位端は、固定要素、例えば、スリーブ220/ベース252と係合状態で維持され、一方、滅菌ブート250の近位端は、固定要素、すなわち、ハブ212に対して可動の要素と係合状態で維持される。少なくとも1つの実施形態において、滅菌ブート250は、ベース252とスリーブ220との間で遠位端において固定係合状態で維持される。当業者によって理解されるように、他の実施形態(示さず)において、滅菌ブート250は、ベース252と挿入機構ハウジング202との間で遠位端において固定係合状態で維持されてもよい。
【0050】
ベース252はベース開口252Eを含み、以下で更に述べるように、挿入機構の動作中にニードル214がベース開口252Eを通過してもよい。ニードル214の滅菌性は、挿入機構の滅菌部分内でのその初期位置決めによって維持される。特に、上述したように、ニードル214は、滅菌ブート250の滅菌環境内に維持される。ベース252のベース開口252Eは、例えばシール膜254等により、同様に非滅菌環境から閉鎖されてもよい。
【0051】
図4A~4B及び5~7は、少なくとも第1の実施形態による挿入機構のコンポーネントを更に詳細に示す。
図4A~4Bに示すように、挿入機構ハウジング202は、内部チャンバを有する実質的に円筒のコンポーネントであってよく、内部チャンバ内に、NIM導管218、ハブ212、ニードル214、スリーブ220、引込み付勢部材216、及び滅菌ブート250が、初期構成(
図8A及び8Bに示す)で実質的に配設される。ガイド表面204(
図4Bにおいて最もよく見られる)は、ハウジング202の内側表面上に位置付けられ、また、対応する従動体、ここでは、ハブ212の伸張アーム212Aと相互作用するように構成される。2つのアーム212Aがハブ212上に設けられ、2つのガイド表面204がハウジング202上に設けられるが、伸張アーム212A及びガイド表面204が対で設けられかつ係合するために構成される限り、より多くまたはより少ない数の対応する伸張アーム212及びガイド表面204が設けられてもよいことが認識されるであろう。ガイド表面204は、ハウジング202の内側表面の周りに円周方向に傾斜される。すなわち、ガイド表面204はそれぞれ、軸方向と円周方向の両方に延在するコンポーネントを有する、少なくとも部分的に半径方向に配設される表面を呈する。結果として、ハウジング202がハブ212に対して回転するにつれて、伸張アーム212Aに接触するガイド表面204の移動は、ハブ212が、初期位置に関して近位にまたは遠位に軸方向に並進するようにさせるまたは可能にする。したがって、ガイド表面204は、ハウジング202の回転運動をハブ212の軸方向並進に変換するカム表面として機能する。換言すれば、また、以降で更に詳細に述べるように、ハウジング202の回転は、ガイド表面204とハブ212の伸張アーム212Aとの相互作用によってハブ212の軸方向移動に移行される。
【0052】
ハウジング202に回転移動を提供するため、ハウジング202は、回転付勢部材210と相互作用するために配設される1つまたは複数の係合表面202Bを更に含んでもよい。示す実施形態において、ハウジング202は、回転付勢部材210の近位端に係合するように構成される1つまたは複数の突出部202Aを備える。突出部202Aは、回転付勢部材210の近位端がその中に配設されてもよい凹所の形態で係合表面202Bを形成してもよい。こうして、回転付勢部材210の巻き戻し及び/またはエネルギー解放は、軸Aの周りのハウジング202の回転をもたらす。
【0053】
示す実施形態は、突出部202Aに係合する回転付勢部材を示すが、ハウジング202及び回転付勢部材210の回転は、任意の方法で結合されてもよい。例えば、回転付勢部材210は、ハウジング202内のスロット、孔、またはボアに係合してもよい。示す実施形態の場合と同様に、回転付勢部材210は、実質的に同心の関係でハウジング202の外側に位置付けられてもよい。回転付勢部材の遠位端は、ベース252または薬物ポンプ10の別の軸方向静止特徴部に係合してもよく、それにより、回転付勢部材210の遠位端の移動が制限される。
【0054】
更に、突出部202Aまたはハウジング202の別の特徴部は、ハウジング202の回転中に滅菌アクセス接続部の一部分に更に接触してもよい。この接触は、ハウジング202の回転と共に使用されて、穿孔可能シールの穿孔を始動し、それにより、薬物容器の内容物が導管を通って流れることを可能にしてもよい。
【0055】
ハブ212は、
図5に見られるように、中心本体部分212Cから延在する、上述した伸張アーム212Aを含む。ハブ212は、NIM導管218の一部分を受取るように構成される孔212Bを更に含む。孔212Bは、NIM導管218が、目標組織に流体薬物を送達するためニードル214と流体連通状態にあることを可能にする。ニードル214は、ボンディング、圧入、または当業者に知られている任意の他の手段によってハブ212に確実に係合される。
【0056】
ハブ212の中心本体部分212Cは、スリーブ220内で軸方向に並進するように配設され、それは
図6により詳細に示される。スリーブ220に対するハブ212の軸方向移動を制御するため、ハブ212及びスリーブ220は、互いに係合するように構成される突出部212D及び凹所を備える。示す実施形態において、ハブ212の突出部212Dは、伸張アーム212Aの一部として構成され、スリーブ220は、ハブ212の伸張アーム212Aが挿入機構の動作中にその中に少なくとも部分的に配設されるスロット220Aを含む。この相互作用は、ハブ212がスリーブ220に対して回転する能力を制限する。
【0057】
スリーブ220は、ベース252に対するスリーブの移動を制限するため、ベース252に係合するように構成される構造を更に含んでもよい。示す実施形態において、スリーブ220は、ベース252のフレックスアーム252Aにインタフェースするように構成される1つまたは複数の孔220Bを含む。組立て中、フレックスアーム252Aは孔220Bに係合し、それにより、ベース252に関するスリーブ220の移動を制限する。ベース252は、
図7に示すように、スリーブ220の1つまたは複数の整列ノッチ220Cに係合するように構成される1つまたは複数の下側整列部材252Cを更に含んでもよい。この係合は、スリーブ220をベース252に整列させ、ベース252に対するスリーブ220の回転を更に制限する。ベース252は、同様に、設置中に、ハウジング202の面206に係合するように構成される1つまたは複数の上側整列部材252Dを含んでもよく、それによりハウジング202をベース252に対して位置決めする。
【0058】
挿入機構の動作は、
図8~10を考慮して上記コンポーネントを参照して本明細書で述べられる。
図8Aは、ロック済みステージ及び使用可能ステージにある本発明の少なくとも1つの実施形態による挿入機構の等角図を示し、
図8Bは、断面図を示す。回転付勢部材210の近位端は、ハウジング202の係合表面202B上に配設され、回転付勢部材210は、エネルギー蓄積状態にある。この初期位置において、ハブ212は、ニードル214がベース252の開口252Eを通過して延在しないように引込んだ近位位置にある。滅菌ブート250は、伸張構成にあり、一端はハブ212に係合し、他端はスリーブ220及びベース252に係合する。ハブ212の伸張アーム212Aは、ガイド表面204の近位部分204A(
図4B参照)内にまたは実質的にそれに隣接して位置付けられる。コイル状流体NIM導管218は、ハブ212の近位に位置付けられてもよい。流体NIM導管218は、一端においてハブ212に接続され、目標組織に送達するため、流体薬物内容物が薬物容器50からニードル214まで通過することを可能にしてもよい。
【0059】
この実施形態において、引込み付勢部材216は、比較的減圧された状態及び/またはエネルギー解放された状態でハブ212と挿入機構の1つまたは複数の軸方向静止要素との間に配設される。ここで、軸方向静止要素は、スリーブ220の一部分である。しかし、軸方向静止要素が、例えば、ベース252または2つ以上のこうした軸方向静止要素の組合せ等の代替のコンポーネントを含んでもよいことが認識されるであろう。
【0060】
引込み付勢部材が、代替的に配設されてもよく、また、任意の適切なタイプの引込み付勢部材を含んでもよいことが更に認識されるであろう。例えば、代替の実施形態において、引込み付勢部材は、圧縮スプリングと対照的に引張スプリングを含んでもよい。こうした実施形態において、引込み付勢部材は、ハブ212の近位に配設され、エネルギー解放状態でハブ及び軸方向静止部材に結合されてもよく、それにより、遠位方向へのハブ212の軸方向並進が引張スプリングにエネルギー蓄積する。
【0061】
当業者によって理解されるように、挿入機構200は、薬物ポンプ10の他のコンポーネントとの相互作用によってこの初期構成に保持されてもよい。例えば、薬物ポンプ10は、NIMアクティブ化機構を含んでもよい。NIMアクティブ化機構は、アクティブ化部材14の押下によって始動またはアクティブ化されてもよい。代替的に、NIMアクティブ化機構は、ユーザーがアクティブ化するために構成される別個の部材を含んでもよい。例として、アクティブ化部材14は、スライドに係合してもよく、スライドは、初期構成において、突出部202Aとの相互作用によってハウジング202の回転を防止する。トリガー部材14の押下は、スライドを変位させ、スライドまたは別のコンポーネントをハウジング202の突出部202Aから係脱させ、それにより、ハウジング202の回転を可能にしてもよい。
【0062】
NIMアクティブ化機構の一例は、
図24A~24Bに示される。NIMアクティブ化機構は、スローアーム606、NIMインターロック608、及びNIM保持器610を含む。最初に、
図24Aに示すように、NIM保持器610は、ハウジング202が軸Aの周りに回転することを防止するよう、NIM保持器610がハウジング202の突出部202Aと接触状態になるように位置決めされ、それにより、NIM200のアクティブ化を防止する。示す実施形態において、NIM保持器610は、軸Bの周りでの回転移動のために構成される。NIM保持器610は、例えば、ボア610Aにおいてハウジング12に搭載されてもよい。例えば、ピンまたはシャフトは、NIM保持器610がその周りに回転してもよいボア610A内に配設されてもよい。ピンまたはシャフトは、ハウジング12の一体部分であってもよい、または代替的に、別個のコンポーネントであってもよい。NIM保持器610は、最初に、NIM保持器610のアーム610BとNIMインターロック608との間の接触によって回転することを防止される。NIMインターロック608は、最初に、スローアーム606の下側表面606Bと接触状態にあるまたは隣接する第1の位置にある。
【0063】
アクティブ化機構14の押下は、スローアーム606の並進をもたらす。スローアーム606の傾斜表面606Cは、NIMインターロック608に接触し、NIMインターロック608がスローアーム606の並進方向に実質的に垂直な方向に(すなわち、
図24Aの影付き矢印の方向に)並進するようにさせる。
図24Bは、スローアームの並進後のスローアーム606及びNIMインターロック608の位置を示す。図示するように、この構成において、NIMインターロックは、スローアーム606の上側表面606Dに隣接してまたはそれと接触状態で位置決めされる。NIM保持器608の窓608Aは、NIM保持器610のアーム610Bに整列する。したがって、
図24Bに示すように、NIM保持器610は、軸Bの周りに回転できる。
【0064】
少なくとも1つの実施形態において、NIM保持器610は、付勢部材によって回転するように付勢される。付勢部材は、例えば、ねじりスプリングであってもよい。NIM保持器610の回転は、NIM保持器610をハウジング202の突出部202Aから係脱させる。したがって、NIM200は、目標組織に流体経路を挿入するようにアクティブ化できる。代替的に、突出部202AによってNIM保持器610に加えられる力は、NIM保持器610の回転をもたらす。
【0065】
他の実施形態において、NIMインターロック608は、突出部202A等のNIM200の一部分に直接係合して、NIM200のアクティブ化を最初に防止してもよい。スローアーム606の並進と垂直な方向へのNIMインターロック608の並進は、NIMインターロック608が、NIM200を係脱させ、NIM200がアクティブ化することを可能にさせてもよい。
【0066】
別の実施形態において、スローアーム606は、NIMの一部分に直接係合し、それにより、スローアーム606の並進がNIM200のアクティブ化を可能にする。
【0067】
図2A~2Bに示す代替の実施形態において、ハウジング202の一部分は、ハウジングの回転を防止するギア209と相互作用するように構成されるギア歯208を有してもよい。この構成において、ギアは、ギアの回転を制御し、したがって、ハウジングの回転を制御するモータ207に接続されてもよい。ハウジングは、ギアから係脱されることができ、それにより、回転付勢部材のエネルギー解放に応答してハウジングの自由回転を可能にしてもよい。ギア209は、ギア列を通してモータ207に接続されてもよく、ギア列は、モータ207の回転とギア209の回転との関係を制御する。付加的にまたは代替的に、逃げ機構が使用されて、ギア列の回転を制御してもよい。
【0068】
図9Aは、ニードル挿入ステージにおける挿入機構の等角図を示し、
図9Bは断面図を示す。図示するように、回転付勢部材210の巻き戻し及び/またはエネルギー解放は、ハウジング202を軸Aの周りに回転させる(
図3A参照)。ハウジング202が回転するにつれて、ガイド表面204とニードルハブ212の伸張アーム212Aとの接触は、ハブ212を遠位方向に並進させる。回転付勢部材216によって加えられる力は、伸張アーム212Aがガイド表面204との接触を維持することを保証してもよい。ハブ212は、伸張アーム212Aとスリーブ220のスロット220Aとの間の相互作用によって回転するのを防止される。スリーブ220は、フレックスアーム252Aと孔220Bとの係合によってベース252に結合される。
図9Bに示すように、滅菌ブート250は、ハウジング202が回転するにつれて圧潰することを許可され、ハブ212は、遠位方向に並進し、ニードル214を目標組織に挿入する。
図9Bに示すこのステージにおいて、ニードル214は、薬物送達のために目標組織内に導入され、伸張アーム212Aは、ガイド表面204の遠位部分204Bと接触状態になる。ハブ212の遠位並進によって、引込み付勢部材216は、圧縮またはエネルギー蓄積される。ハウジング202の回転は、好ましくは、ガイド表面204がハブ212を遠位位置に保持する位置で制限または停止される。ハウジング202の回転は、突出部202Aと薬物ポンプ10の停止コンポーネントとの間の相互作用によってこの位置で停止されてもよい。代替的に、停止コンポーネントは、ハウジング202の別の部分と相互作用してもよい。ニードル214が挿入されると、NIM導管218からニードル214を通って目標組織に至る流体通路が完成する。流体通路接続が薬物容器に対して行われ、駆動機構がアクティブ化されると、流体薬物処置は、目標組織内に送達するため、薬物容器から流体通路接続部及び滅菌流体導管218を通してニードル214に入るように強制的に行われる。
【0069】
図10A及び10Bに示すように、薬物送達が終了すると、ニードル214は、挿入機構ハウジング202内に戻るように引込まれる(すなわち、軸方向に近位方向に並進される)。ハウジング202が、例えば回転付勢部材210の力の下で回転し続けるにつれて、ハウジング202の2次回転が、ハウジング202及びハブ212を相対的に位置決めして、引込み付勢部材216が少なくとも部分的にエネルギー解放することを可能にする。すなわち、ハウジング202の更なる回転は、ハブ212の伸張アーム212Aをハウジング202の軸方向スロット208に軸方向に整列させ、それにより、ハウジング202内でのハブ212の近位並進は、ガイド表面204によってもはや制限されない。この位置において、ハブ212がハウジング202に対して遠位に並進したためエネルギー供給された引込み付勢部材216は、減圧またはエネルギー解放できる。引込み付勢部材216の伸張は、ハブ212及びハブ212が接続されるニードル214を、軸方向に近位方向に並進させる。したがって、挿入機構のアクティブ化は、ニードル214を目標組織に挿入し、薬物送達が終了した後にまたは何らかの他の引込み始動機構によって、順次、ニードル214を引込む。
【0070】
図11~13は、挿入機構の別の実施形態を示す。理解を容易にするため、この実施形態の構造は、第1の開示される実施形態における同様の構造について利用される参照数字が数字「1」で前置きされることによって特定される。すなわち、構造は、「1XXX」で特定され、「XXX」は、第1の実施形態において同様の構造を指す。したがって、
図11~13に示す参照数字に関して、以下で特定の説明がない場合、参照数字「1XXX」で特定される構造が、第1の実施形態に関して論じるのと同じまたは同様の構造を指すことを当業者は理解するであろう。
【0071】
図11に示すように、回転付勢部材1210の一端は、挿入機構のハウジング1202内に形成される凹所1202Bの形態で係合表面に沿って配設される。こうしてハウジング1202に係合することによって、ハウジングから外方に延在する突出部についての要件がなくされ、それにより、挿入機構の全体サイズが減少することを可能にする。更に、
図12に示すように、滅菌ブート1250は、滅菌ブート1250の径が、先の実施形態で示す滅菌ブートの径より小さくなることを可能にしてもよい「アコーディオン」構成で構成されてもよい。
【0072】
挿入機構のベース部分が、ベース開口1252Eがそこを通して延在するベース1252、及び、周囲プラットフォーム1020を含んでもよいことが同様に
図12において見られる。
図12に見られるように、ベース1252及びプラットフォーム1020は、ベース1252及びプラットフォーム1020の相対的位置を維持する係合構造を有してもよい。プラットフォーム1020は、ニードル挿入機構を位置付け保持するのを補助する、上方に延在するボス1020A等の1つまたは複数の位置付け構造を更に有してもよい。回転付勢部材1210は、ボス1020Aの外側の周りに位置決めされてもよく、また、ベース1252、プラットフォーム1020、またはスリーブ1220等の静止構造の1つまたは複数に係合してもよい。こうして、エネルギーが回転付勢部材1210から解放されるにつれて、ハウジング1202は、上述したように回転する。
【0073】
ニードル挿入機構は、また、キャップ1222を含んでもよい。キャップは、スリーブ1220に係合し、ニードル挿入機構のコンポーネントを所定の場所に保持するように働いてもよい。特に、キャップは、ハブ1212によってニードル1214に流体結合される導管1218を、スリーブ1220内の所定の位置に保持してもよい。引込み付勢部材1216がハブ1212の下側表面に当接することに留意されたい。キャップ1222は、任意の適切な機構によってスリーブ1220に結合されてもよい。例えば、キャップ1222は、1つまたは複数の円周方向フレックスアーム1222Aを含んでもよく、フレックスアーム1222Aは、設置中に、スリーブ1220の突出部との接触に応答して外方に撓んでもよい(
図13参照)。フレックスアーム1222Aは、その後、
図13の断面図に最もよく見られるように、その自然な位置に戻り、それにより、スリーブに関して所定の場所に戻ってもよい。また、
図13に見られるように、プラットフォーム1020の1つまたは複数のフレックスアーム1020Bは、スリーブ1220の孔1220Bに係合してもよい。この係合は、プラットフォーム1020に対して及び薬物ポンプに対して挿入機構を保持し位置決めする。この実施形態の動作ステージは、上述した動作ステージと実質的に同様であってもよい(すなわち、回転付勢部材のエネルギー解放はニードルの挿入をもたらし、引込み付勢部材のエネルギー解放はニードルの引込みをもたらす)。
【0074】
ニードル挿入機構の更なる実施形態は、
図14A~16Bに示される。この実施形態において、配置するのを補助するため硬質ニードル2214を利用して、可撓性カニューレ2260が、薬剤を送達するため目標組織に挿入される。硬質ニードル2214は、中空ニードルまたは中実トロカールであってもよい。
図14A~14Cに示す実施形態において、中空ニードルは、カニューレ2260を挿入するために使用される。理解を容易にするため、この実施形態の構造は、第1の開示される実施形態における同様の構造について利用される参照数字が数字「2」で前置きされること、または、第2の開示される実施形態において、「1XXX」から「2XXX」に参照数字を変更することによって特定される。すなわち、構造は、「2XXX」で特定され、「XXX」は、第1の実施形態において同様の構造を指す、または、第2の実施形態における同様の構造は「1XXX」で特定される。したがって、
図14A~16Bに示す参照数字に関して、以下で特定の説明がない場合、参照数字「2XXX」で特定される構造が、第1または第2の実施形態に関して論じるのと同じまたは同様の構造を指すことを当業者は理解するであろう。明確にするため、プラットフォームは
図14A~14Cに示されない。先の実施形態に示すプラットフォームと同様のプラトフォームが、このまたは後続の実施形態において使用されてもよいことを当業者は理解するであろう。
【0075】
図14Aは、アクティブ化の前の初期構成の挿入機構を示す。初期構成において、可撓性カニューレ2260は、硬質ニードル2214が可撓性カニューレの管腔を通過するように配設される。更に、可撓性カニューレ2260の近位端は、ニードルハブ2212と接触状態にあるまたはそれに近接する。図示するように、カニューレ2260は、最初に、滅菌ブート2250内に配設され、セプタム2270はベース2252内の孔2252E内に配設される。こうして、ニードル2214及びカニューレ2260は、それにより、無菌状態に維持される。カニューレは、圧入、ボンディング、または任意の他の接合方法によってニードルに係合されてもよい。ニードルは、保持器2290によってハブ2212内に更に保持及び/または位置付けられてもよい。挿入機構をアクティブ化すると、回転付勢部材2210のエネルギー解放によってもたらされるハウジング2202の回転は、ニードルハブ2212を遠位方向に並進させる。この並進は、上述したようにまた
図15A~15Bに示すように、ハブ2212の従動体/アーム2212Aとハウジング2202の内部上のガイド表面2204との接触によって誘導されてもよい。ニードルハブ2212の並進は、ニードル2214及びカニューレ2260が、同様に、遠位方向に並進し、セプタム2270を穿孔し、目標組織に挿入されるようにさせる。
図14Bは、挿入ステップの終了時の挿入機構を示す。
【0076】
ハウジング2202が、例えば回転付勢部材2210の力の下で回転し続けるにつれて、ハウジング2202の2次回転が、ハウジング2202及びハブ2212を相対的に位置決めして、引込み付勢部材2216が少なくとも部分的にエネルギー解放することを可能にする。換言すれば、ハウジング2202のこの更なる回転は、ハブ2212の伸張アーム2212Aをハウジング2202の軸方向スロット2208に整列させる。この位置において、引込み付勢部材2216は、エネルギー解放または減圧でき、ハブ2212及びニードル2214を、軸方向に近位方向に並進させる。
図14Cは、このステップの終了時の挿入機構を示す。カニューレ2260は、挿入位置内にかつ目標組織内に維持され、ニードル2214は、カニューレ内に少なくとも部分的に配設される。これは、目標組織に薬剤を送達するための、導管2218、ニードル2214、及びカニューレ2260を通る流体経路を作成する。可撓性カニューレ2260だけが目標組織内に配設されるため、カニューレ2260は、移動に応答して撓んでもよい。これは、患者の快適さにおける利点を提供し得る。カニューレ2260のさかとげ(barb)2260Aは、セプタム2270に係合し、それにより、挿入機構に入るカニューレ2260の引込みに抗するように構成されてもよい。任意選択で、ニードル2214は、この位置にあるとき、目標組織内に部分的に配設されてもよい。
【0077】
上述した利点に加えて、本明細書で述べる挿入機構は、また、流体経路を外すことによって目標組織に対する薬剤の流れを打切ることが可能であってもよい。これは、患者を保護する重要な安全機能であり得る。例えば、インスリン等の幾つかの薬剤は、あまりにも大きな量で及び/またはあまりにも速いレートで投与されると、危険であり、おそらくは更に致死であり得る。こうした自動安全停止機能機構を設けることによって、薬剤のいわゆる「ランナウェイ」送達が防止され、それにより、患者の安全を保証してもよい。流れを打切るための方法及び関連構造が、本明細書で開示される1つまたは複数の特定の挿入機構に関して論じられ得るが、方法及び関連構造が、本明細書で開示されるまたは本開示の精神及び範囲内の挿入機構のいずれについても利用または適合されてもよいことが認識されるであろう。
【0078】
目標組織に対する薬剤の送達の中断は、例えば、薬剤の送達におけるエラーによってまたはユーザーからの入力によってトリガーされてもよい。例えば、ユーザーは、自分の薬物用量を既に摂取したことを認識し、デバイスからの薬物送達を休止したいまたは打切りたいと思う場合がある。デバイスに対するこうしたユーザー入力によって、薬物の送達が、停止されることができる、かつ/または、ニードルまたはカニューレを通る流体通路が、以下で述べるようにその完全に引込んだ位置へのニードルの引込みによって打切られてもよい。
【0079】
付加的にまたは代替的に、デバイスは、動作中にエラー警報を受信する場合、薬物送達を休止してもよいまたは打切ってもよい。例えば、駆動機構が正しく機能しない場合、ニードル挿入機構は、完全に引込み、目標組織への薬物送達を打切るようにトリガーされて、目標組織に対する薬剤の過剰送達を防止してもよい。ニードル挿入機構のこの能力は、ユーザーに薬物送達するための価値のある安全機能を提供する。
【0080】
幾つかの実施形態において、引込みは、目標組織からの薬物ポンプの除去によってアクティブ化される。他の実施形態において、引込みは、目標組織に対する物質の送達においてエラーが発生したと判定された場合にアクティブ化される。例えば、薬剤の流れを妨げる薬物送達通路の閉塞は、薬物送達ポンプの検知機能によって検出されてもよい。閉塞が検知されると、電気的または機械的入力が、ニードルの引込みを始動するために使用されてもよい。
【0081】
ニードルの引込みをアクティブ化することは、多くの機構を通して達成されてもよい。例えば、停止機構は、ハウジング12の外側に設けられてもよく、ユーザーによって押下されるまたは係合されると、ユーザーの身体からのニードルの引込みをアクティブ化する。例えば、一実施形態において、停止機構を押下することまたはそれに係合することは、ハウジング202が回転することを可能にし、したがって、引込み付勢部材216が伸張し、ニードル214を引込ませることを可能にしてもよい。停止機構の作動は、停止機構を押下するために必要とされる進行距離及び/または力が減少するように、スプリングにより補助されてもよい。付加的にまたは代替的に、駆動機構100が用量終了に達すると、電気的または機械的アクチュエータは、引込みのアクティブ化をもたらしてもよい。例えば、用量終了になると、ニチノールコンポーネントに電流が印加されるように、電気接続が行われてもよい。電流が印加されると、ニチノールコンポーネントの温度が上昇する。ニチノールの形状記憶特性によって、このコンポーネントは、温度が上がると、第1の構成から第2の構成に変形するように構成されてもよい。この第2の構成において、ニチノールコンポーネントは、例えば、ハウジング202の回転を可能にすることによってニードルの引込みの作動を可能にしてもよいまたはもたらしてもよい。
【0082】
代替的にまたは付加的に、身体上センサー24等のセンサーは、薬物ポンプ10が目標組織から除去されると、ニードルの引込みのアクティブ化をもたらしてもよいまたは可能にしてもよい。例えば、ポンプ10が目標組織上に設置されると、身体上センサー24の位置は、引込み位置へのハウジング202の回転を防止してもよい。目標組織から除去されると、身体上センサー24の構成の変化は、回転を可能にしてもよい。別の実施形態において、光センサーが、ベース開口252の近くで薬物ポンプ10上に配置されてもよい。薬物ポンプ10がユーザーの身体上の所定の場所にあるとき、光は、光センサーに入ることを実質的にブロックされることになる。目標組織から薬物ポンプ10を除去すると、光は、光センサーによって検知されてもよく、光センサーは、電気機械的アクチュエータをトリガーして、引抜きのアクティブ化を可能にしてもよいまたはもたらしてもよい。他の実施形態において、ピンタイプ圧入相互接続部が、ニードルの引込みを始動するために使用される。ピンは、ハウジング12から少なくとも部分的に突出するため付勢され、ユーザー上へのポンプ10の配置によって変位されてもよい。変位されると、ピンは、電力及び制御システム400の一部であってもよいPCB上の雌穴に係合してもよい。ユーザーからポンプ10を除去すると、付勢されたピンは、雌PCB穴を係脱させ、それにより、信号がニードルの引抜きをアクティブ化するようにさせる。
【0083】
ニードル及び/またはカニューレの引抜きは、駆動機構100の障害及び/または故障によって更に始動されてもよい。例えば、駆動機構は、薬物容器50の内容物の送達を調量するまたは送達レートを制御するのに役立つテザーを含んでもよい。テザーに加えられるまたはテザーによって維持される張力は、1つまたは複数のセンサーによってモニターされてもよい。テザーの張力の減少は、テザーが、薬剤の送達を適切に調量または制御していないということを示し得る。センサーは、テザーの一部分と接触状態にある機械的コンポーネントまたは連結物であってよく、接触は、センサーの位置及び/または構成を少なくとも部分的に制御する。テザーの張力の減少に応答して、センサーは第1の位置から第2の位置に変形する。この変形は、ニードル及び/またはカニューレの引込みを直接的にまたは間接的にもたらしてもよい。引込みは、純粋に機械的なアクションによってもたらされてもよい、または代替的に、電力及び制御システム400によって受信及び/または生成される電気信号を伴ってもよい。
【0084】
他の実施形態において、センサーは、歪ゲージ、ロードセル、力センサー、または、テザー内に存在する歪、荷重、または張力を測定及び/またはモニターするように構成される他のセンサーであってもよい。これらの実施形態において、センサーは、テザーに少なくとも部分的に固着され、テザーの張力に基づいて電気信号を生成する。電気信号は、テザー内の張力の大きさに比例して大きさが変動してもよい。代替的に、信号は、テザー内の張力が、指定された大きさより下がるまたはそれを超えるときに、中断または始動されてもよい。信号は、電力及び制御システムによってモニターされてもよく、電力及び制御システムは、信号の存在、非存在、または信号の大きさに基づいて、ニードル及び/またはカニューレの引込みをもたらしてもよいまたは可能にしてもよい。
【0085】
更に他の実施形態において、テザーの機械的故障は、電気信号を直接、始動させてもよいまたは中断させてもよい。例えば、テザーは、導電性材料から少なくとも部分的に構築されてもよい。テザーは、電力及び制御システムと電気通信状態にあってもよい。テザーの機械的故障は、テザーを通る電流経路を遮断し、1つまたは複数の回路における電流の流れの変化をもたらしてもよい。この変化は、ニードル及び/またはカニューレの引込みを始動してもよいまたは可能にしてもよい。
【0086】
付加的にまたは代替的に、駆動システムの1つまたは複数の特徴部の位置及び/または速度は、エンコーダ等の光センサー、ポテンショメータ、または変換器等のセンサーによってモニターされてもよい。モニターされる特徴部の位置及び/または速度が、指定された閾値を超えるまたはそれより下がる場合、電力及び制御システムは、ニードル及び/またはカニューレの引込みを始動してもよいかつ/または可能にしてもよい。
【0087】
一例において、
図14A~14Cに示す実施形態において、目標組織に対する薬剤の流れは、カニューレ2260からニードル2214を引込むことによって打切られることができる。
図16Aは、送達位置にあるニードル2214の詳細図を示す。この位置において、ニードル2214は、カニューレ2260内に少なくとも部分的に配設され、導管、ニードル、及びカニューレを通り、目標組織に入る流体経路を作成する。
図16Bは、ニードル2214がカニューレ2260内にもはや配設されないようにニードル2214が引込んだ構成の詳細図を示す。すなわち、ハウジング2200が、例えば回転付勢部材2210の力の下で回転し続けるため、ハウジング2200のこの3次回転は、ハウジング2200内で従動体2212Aを引込み孔2207に整列させ、引込み付勢部材2216が、更にエネルギー解放し、ニードル2214を完全に引込んだ位置に移動させることを可能にする。ニードル2214はカニューレ2260内にもはや配設されないため、流体経路は、目標組織に対する薬剤の送達のために存在しない。導管2218を通過する任意の更なる流体は、ニードル2214を通して薬物ポンプの内部、例えば、滅菌ブート2250内に放出されることになる。バリア2280は、カニューレからのニードルの引抜き後に、任意の薬剤がカニューレ2260に入ることを更に防止するために含まれてもよい。バリア2280は、例えば、ニードル及びカニューレの組立て中にニードルによって穿孔されるセプタムであってもよい。代替的に、バリア2280は、組立て中にニードルによって変位されるが、カニューレからのニードルの引抜きによって、カニューレの管腔を実質的にカバーする膜またはクリップであってもよい。カニューレ内の圧力差は、また、バリア2280使用してまたは使用せずに、ニードルの引抜き後にカニューレを通る薬剤の流れを防止してもよい。
【0088】
図25A~25Bに示すように、ハウジングの2次または3次回転は、NIM引抜き機構によって制御されてもよい。NIM引抜き機構の一例において、ニードル及びニードルハブが送達位置にある状態で、突出部202Aは、
図25Aに示すように、停止部材620と接触状態にあってもよい。この位置において、停止部材620は、スライド部材622との接触によってスピンドル624の周りで回転することを防止される。そのため、ハウジング202の更なる回転が防止される。例えば、
図14A~14Cに示し、上述したような、または、
図17A~22に示し、以下で述べるような可撓性カニューレを有する実施形態において、この位置は、
図14C及び
図18Cに示す位置にそれぞれ対応してもよい。トリガー機構に応答して、スライド部材622は、停止部材620がスピンドル624の周りで回転できるように、
図25Bに示す位置まで変位されてもよい。したがって、停止部材620は、ハウジング202の回転をもはや制限せず、
図16B及び
図17Dに示すような、薬剤が目標組織にもはや送達されない位置まで、ニードルが完全に引抜かれることを可能にする。スライド部材622の変位をもたらすトリガー機構は、例えば、ユーザー入力、薬物ポンプの動作の障害、または上述した任意の他の事象によってもたらされてもよい。更に、スライド部材622の変位は、純粋に機械的であってもよい、または代替的に、少なくとも部分的に電力及び制御システム400からの信号に応答して起こってもよい。
【0089】
別の実施形態は
図17A~22に示される。上述した
図14A~14Cの実施形態の場合と同様に、本実施形態は、可撓性カニューレを目標に挿入するように構成される。理解を容易にするため、この実施形態の構造は、第1の開示される実施形態における同様の構造について利用される参照数字が数字「3」で前置きされること、または、
図14A~14Cの実施形態において、「2XXX」から「3XXX」に参照数字を変更することによって特定される。すなわち、構造は、「3XXX」で特定され、「XXX」は、第1の実施形態において同様の構造を指す、または、
図14A~14Cの実施形態における同様の構造は「2XXX」で特定される。したがって、
図17A~22に示す参照数字に関して、以下で特定の説明がない場合、参照数字「3XXX」で特定される構造が、第1または第2の実施形態に関して論じるのと同じまたは同様の構造を指すことを当業者は理解するであろう。
【0090】
動作ステージは、
図17~19において3つの異なる断面で示され、一方、個々のコンポーネントである、クリップ3286、カニューレ保持器3282、ニードルハブ3212、及びハウジング3202は、
図20~23にそれぞれ示される。
図17A~17Dに示す第1の断面は、種々の動作ステージにおけるニードルハブ3212の従動体3212Aとハウジング3202のガイド表面3204との相互作用を示す。最初に、
図17Aに示すように、フックアーム3212Cがハウジング3202のノッチ3202Cに係合する。これは、ハウジング3202に対するニードルハブ3212の適切な位置決め及び整列を可能にする。
【0091】
回転付勢部材3210のエネルギー解放によってもたらされるハウジングの回転は、フックアーム3212Cをノッチ3202Cから係脱させる。ハウジング3202の更なる回転及び従動体3212Aとガイド表面3204との間の接触は、ニードル3214及びカニューレ3260が
図17Bに示すように目標に完全に挿入されるまで、ニードルハブ3212を遠位方向に並進させる。
【0092】
ニードル3214及びカニューレ3260の挿入後に、ハウジング3202の継続した、すなわち、2次の回転は、ハウジング3202の軸方向スロット3208を従動体3212Aに整列させる。したがって、引込み付勢部材3216は、エネルギー解放でき、それが、
図17Cに示すように、少なくとも部分的に引込んだ位置へのニードルハブ3212の遠位並進をもたらす。この位置において、ニードル3214は、カニューレ3260内に少なくとも部分的に、セプタム3284を通って配設され、及び従動体3212Aは、ガイド表面3204の近位部分3204Aと接触状態にある。したがって、内容物は、ニードル3214、カニューレ3260を通り、目標組織に送達されてもよい。
【0093】
目標組織への薬剤の送達を打切るため、ハウジング3202の継続した回転は、ニードル3214を
図17Dに示す位置まで更に引込ませてもよい。すなわち、ハウジング3200が、例えば、回転付勢部材3210の力の下で回転し続けるにつれて、ハウジング3200のこの3次回転は、従動体3212Aが、近位部分3204Aを係脱させ、引込み孔3207に整列するようにし、それにより、引込み付勢部材3216のエネルギー解放に応答して、ニードルハブ3212の更なる近位並進を可能にする。この位置において、ニードル3214は、セプタム3284から引込められる。したがって、ニードル3214を通って流れる内容物は、カニューレ3260に入ることができない。ニードルの引抜きは、例えば、
図25A及び25Bに示す安全機構等の、述べる安全機構のうちの任意の安全機構によってもたらされてもよい。
【0094】
図18A~18Cに示す第2の断面は、クリップ3286の接続アーム3286Aとニードルハブ3212との相互作用を示す。クリップ3286及びニードルハブ3212は、
図20及び22にそれぞれより詳細に示される。最初に、
図18Aに見られるように、接続アーム3286Aは、ニードルハブ3212に係合し、それにより、クリップ3286及びニードルハブ3212の軸方向並進をつなげる。
図18Bに見られるように、接続アーム3286Aは、ニードル3214及びカニューレ3260が目標に挿入されるにつれて、ニードルハブ3212に係合したままである。以下で述べるように、また、
図19A~19Cに最もよく見られるように、クリップ3286は、遠位方向に並進するにつれて、スリーブ3220のフレックスアーム3220Dに係合する。この係合によって、クリップ3286は、近位方向への並進を防止される。したがって、従動体3212Aがガイド表面3204の近位部分3204Aに整列すると、接続アーム3286Aは、外方に(すなわち、
図18Cのハッチング付き矢印の方向に)撓むことによってニードルハブ3212から係脱する。結果として、従動体3212Aがガイド表面3204の近位部分3204Aに整列すると、ニードルハブ3212及びニードル3214は、近位方向に並進し、ニードル3214は、目標から少なくとも部分的に引抜かれる。カニューレ3260は目標内に配設されたままである。
【0095】
第3の断面は
図19A~19Cに示される。スリーブ3220のフレックスアーム3220Dとクリップ3286との間の相互作用は、これらの図に見られる場合がある。ニードル及びカニューレの挿入中にクリップ3286が遠位に並進されるにつれて、クリップ3286はフレックスアーム3220Dと接触状態になり、フレックスアーム3220Dを外方に(すなわち、
図19Aに示す実線矢印の方向に)変位させる。
図19Bに示すように、クリップ3286の継続した遠位並進は、フレックスアーム3220Dがその初期位置に少なくとも部分的に戻ることを可能にする。
図19Cに示すように、付勢部材3216が伸張し始めるにつれて、クリップ3286の並進は、フレックスアーム3220Dとの接触によって制限される。この制限は、カニューレ3260を目標内に配設されたままにさせる。
図20に示すように、クリップ3286は、フレックスアーム3320Dに係合するように構成される傾斜表面3286Bを含んでもよい。傾斜表面は、傾斜表面3286Bとフレックスアーム3320Dとの接触がフレックスアーム3320D外方撓みをもたらさないことを保証するアンダーカットを作成し得る。
【0096】
図21に示すように、カニューレ保持器3282は、ボア3282B及びピン3282Aを含む。組立てられるとき、カニューレ3260の肩部及びセプタム3284は、ボア3282B内に配設される。これらは、クリップ3286の位置によってこの位置に保持される。ピン3282Aは、クリップ3286の穴3286Dに係合するように構成される。この係合は、カニューレ保持器3282及びクリップ3286の相対的位置を維持する圧入係合であるように構成されてもよい。クリップ3286の中央穴3286Cは、ニードル3214を受取るように適合される。
【0097】
挿入機構200または薬物ポンプ10の或るオプションの標準的コンポーネントまたは変形物は、本発明の広がり及び範囲内にあるままで企図される。例えば、上側または下側ハウジングは、任意選択で、
図1A~1Cに示すように、1つまたは複数の透過性のまたは半透明の窓18を含んで、ユーザーが、薬物ポンプ10の動作を観察する、または、薬物用量が終了したかを検証することを可能にしてもよい。更に、薬物ポンプ10は、ハウジング12の底部表面上に接着性パッチ(図示せず)及びパッチライナー(図示せず)を含んでもよい。接着性パッチが利用されて、薬物用量を送達するため、目標組織に薬物ポンプ10を付着させてもよい。当業者によって容易に理解されるように、接着性パッチは、目標組織に薬物ポンプを付着させるための接着性表面を有してもよい。接着性パッチの接着性表面は、非接着性パッチライナーによって最初に覆われ、非接着性パッチライナーは、薬物ポンプ10を目標組織と接触状態で配置する前に、接着性パッチから除去される。接着性パッチは、任意選択で、オプションの身体上センサーの作動を防止し、ベース開口252Eを覆う保護シュラウドを含んでもよい。パッチライナーの除去は保護シュラウドを除去してもよく、または、保護シュラウドは別個に除去されてもよい。パッチライナーの除去は、挿入機構200のシール膜254を更に除去し、薬物送達のために目標組織に対して挿入機構を開口させてもよい。
【0098】
同様に、挿入機構200及び薬物ポンプ10のコンポーネントの1つまたは複数は、本発明の広がり及び範囲の中に機能的に留まりながら、修正されてもよい。例えば、上述したように、薬物ポンプ10のハウジングは、2つの別個のコンポーネント、すなわち、上側ハウジング12A及び下側ハウジング12Bとして示されるが、これらのコンポーネントは単一の統合式コンポーネントであってもよい。先に論じたように、粘着剤、接着剤、あるいは他の知られている材料または方法が利用されて、挿入機構及び/または薬物ポンプの1つまたは複数のコンポーネントを互いに固着してもよい。代替的に、挿入機構及び/または薬物ポンプの1つまたは複数のコンポーネントは統合式コンポーネントであってもよい。例えば、上側ハウジング及び下側ハウジングは、粘着剤または接着剤、ねじ取付け接続、締まり嵌め、溶融接合、溶着、超音波溶着等によって共に固着される別個のコンポーネントであってもよい、または、上側ハウジング及び下側ハウジングは単一の統合式コンポーネントであってもよい。こうした標準コンポーネント及び機能的変形物は、当業者によって認識され、したがって、本発明の広がり及び範囲の中に入るであろう。
【0099】
本明細書で開示される挿入機構及び薬物ポンプが、薬物容器からの自動化薬物送達のための効率的でかつ操作が容易なシステムを提供することが先の説明から認識されるであろう。本明細書で述べる新規な実施形態は、安全一体化式機能を提供し、挿入機構の直接的なユーザーアクティブ化を可能にし、流体通路の滅菌性を維持するように構成される。上述したように、安全一体化式機能は、オプションの身体上センサー、冗長ロックアウト、ユーザーアクティブ化による自動化ニードル挿入及び引込み、及び、視覚及び聴覚フィードバックオプションを含む多数のユーザーフィードバックオプションを含む。本発明の新規な挿入機構は、ユーザーによって直接アクティブ化されてもよい。例えば、少なくとも1つの実施形態において、挿入機構をそのロック済みで引込みの状態に維持する回転防止機能は、突出部202Aに係合するように構成される停止コンポーネントであれ、ハウジング202の歯に係合したギアであれ、アクティブ化機構のユーザー押下によってそのロック済み位置から直接変位される。代替的に、スプリング機構等の1つまたは複数の更なるコンポーネントが含まれてもよく、更なるコンポーネントは、介在ステップが全くない状態で、ユーザーによるアクティブ化機構の直接変位によって回転防止機能を変位させる。少なくとも1つの構成において、モータの回転はギアの回転をもたらしまたは可能にし、それにより、挿入機構のハウジングの回転を可能にする。
【0100】
更に、本発明の挿入機構及び薬物ポンプの新規な形態は、保管、輸送中に、及び、デバイスの動作を通して、流体通路の滅菌性を維持する。デバイス内で薬物流体が移動する経路は完全に滅菌状態に維持されるため、これらのコンポーネントだけが製造プロセス中に滅菌される必要がある。こうしたコンポーネントは、駆動機構の薬物容器、流体通路接続部、滅菌流体導管、及び、挿入機構を含む。本発明の少なくとも1つの実施形態において、電力及び制御システム、組立てプラットフォーム、制御アーム、アクティブ化機構、ハウジング、及び、薬物ポンプの他のコンポーネントは、滅菌される必要はない。これは、デバイスの製造可能性を著しく改善し、関連する組立てコストを低減する。したがって、本発明のデバイスは、組立てが終了すると最終的な滅菌を必要としない。本発明の更なる利点は、本明細書で述べるコンポーネントがモジュール式であるように形成され、それにより、例えば、薬物ポンプのハウジング及び他のコンポーネントが、挿入機構200または本明細書で述べる挿入機構の多数の他の変形を受入れ、動作させるように容易に構成されてもよいことである。
【0101】
挿入機構200、薬物ポンプ10、または個々のコンポーネントの任意のコンポーネントの組立て及び/または製造は、当技術分野における多数の知られている材料及び方法を利用してもよい。例えば、イソプロピルアルコール等の多数の知られている清掃流体を使用して、コンポーネント及び/またはデバイスを清掃してもよい。多数の知られている接着剤または粘着剤は、同様に、製造プロセスにおいて使用されてもよい。更に、シリコン処理流体及びプロセスは、新規なコンポーネント及びデバイスの製造中に使用されてもよい。更に、知られているシリコン処理プロセスは、製造または組立てステージの1つまたは複数のステージにおいて使用されて、最終製品の滅菌性を保証してもよい。
【0102】
更なる実施形態において、本発明は、挿入機構を組立てる方法を提供し、方法は、ハブをニードルの近位端に接続するステップと;導管をハブに接続するステップと;滅菌ブートをハブに接続するステップと;引込み付勢部材をニードル挿入機構のスリーブに挿入するステップと;ハブ、導管、及び滅菌ブートをスリーブに挿入するステップと(この位置において、引込み付勢部材は、一端のハブと他端のスリーブとの間に拘束される);ハウジングをスリーブの周りに配置するステップと;フレックスアームとハウジング内の孔との係合によってベースをスリーブに接続するステップとを含む。回転付勢部材は、回転付勢部材の一部分がハウジングの一部分に係合するようにハウジングの周りに配置され、それにより、付勢部材のエネルギー解放をハウジングの回転とつなげてもよい。任意選択で、組立てる方法は、ニードルの周りにかつ滅菌ブート内に可撓性カニューレを配設するステップを更に含んでもよい。
【0103】
滅菌ブートの遠位端は、ハウジングとベースとの係合によって、挿入機構ハウジングの遠位端と固定係合状態に位置決めされ保持されてもよい。この位置において、滅菌ブートは、ニードル及び/またはカニューレの周りで伸張構成にあり、滅菌性であり得る管状体積を作成する。流体導管は、ハブに接続されてもよく、それにより、流体通路は、開口すると、流体導管から直接にハブを通りニードルを通って進む。流体通路接続部は、流体導管の対向端に取付けられてもよい。流体通路接続部、特に流体通路接続部の滅菌スリーブは、薬物容器のキャップ及び穿孔可能シールに接続されてもよい。プランジャシール及び駆動機構は、流体通路接続部の対向端で薬物容器に接続されてもよい。シール膜がベースの底部に取付けられて、挿入機構を環境から閉じてもよい。流体流れのための通路を構成するコンポーネントはここで組立てられる。これらのコンポーネントは、多数の知られている方法によって滅菌されてもよく、またその後、薬物ポンプの組立てプラットフォームまたはハウジングに固定してまたは取外し可能に搭載されてもよい。
【0104】
薬物ポンプの製造は、挿入機構のベースを薬物ポンプの組立てプラットフォームまたはハウジングに取付けるステップを含む。少なくとも1つの実施形態において、取付けは、挿入機構のベースが目標組織と直接接触状態になるよう組立てプラットフォーム及び/またはハウジングを通過するようになっている。製造方法は、組立てプラットフォームまたはハウジングに対する流体通路接続部、薬物容器、及び、駆動機構の取付けを更に含む。電力及び制御システム、アクティブ化機構、及び、制御アームを含む上述した薬物ポンプの更なるコンポーネントは、組立てプラットフォームまたはハウジングに取付けられてもよい、予め形成されてもよい、または予め組立てられてもよい。接着性パッチ及びパッチライナーは、デバイスの動作中にユーザーに接触する薬物ポンプのハウジング表面に取付けられてもよい。
【0105】
薬物ポンプを動作させる方法は、アクティブ化機構をユーザーによってアクティブ化するステップと、挿入機構を作動させるために制御アームを変位させるステップと、薬物ポンプを通して流体薬物の流れを押し進めるため駆動制御機構をアクティブ化するために、電力及び制御システムを作動させるステップとを含んでもよい。方法は、アクティブ化機構をアクティブ化する前にオプションの身体上センサーを係合させるステップを更に含んでもよい。方法は、同様に、流体通路接続部と薬物容器との間の接続を確立するステップを含んでもよい。更に、動作方法は、ユーザーの身体に流体薬物を送達するため、流体薬物の流れを薬物容器、流体通路接続部、滅菌流体導管、及び挿入機構を通して押し進めるために駆動制御機構及び薬物容器内でプランジャシールを並進させることを含んでもよい。
【0106】
明細書の全体にわたって、目的は、本発明を任意の1つの実施形態または特徴の特定の集合体に限定することなく本発明の好ましい実施形態を述べることであった。種々の変更及び修正が、本発明から逸脱することなく、述べ示す実施形態に対して行われてもよい。この明細書で参照されるそれぞれの特許文献の開示内容及び科学的文書、コンピュータプログラム及びアルゴリズムは、参照によりその全体が組込まれる。