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特許7607717感光性樹脂組成物およびそれを用いたドライフィルムフォトレジスト、感光性エレメント、回路基板、およびディスプレイ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】感光性樹脂組成物およびそれを用いたドライフィルムフォトレジスト、感光性エレメント、回路基板、およびディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/033 20060101AFI20241220BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20241220BHJP
   H05K 1/03 20060101ALI20241220BHJP
【FI】
G03F7/033
G03F7/004 512
H05K1/03 610H
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023131457
(22)【出願日】2023-08-10
(62)【分割の表示】P 2022538429の分割
【原出願日】2020-12-28
(65)【公開番号】P2023159231
(43)【公開日】2023-10-31
【審査請求日】2023-08-14
(31)【優先権主張番号】10-2019-0179685
(32)【優先日】2019-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0179686
(32)【優先日】2019-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0098835
(32)【優先日】2020-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0098836
(32)【優先日】2020-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518215493
【氏名又は名称】コーロン インダストリーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【弁理士】
【氏名又は名称】鄭 元基
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 京子
(72)【発明者】
【氏名】キム ヨンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ボン ドンフン
【審査官】塚田 剛士
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/012272(WO,A1)
【文献】特開2012-062446(JP,A)
【文献】特開2017-167394(JP,A)
【文献】国際公開第2015/177947(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/033
G03F 7/004
H05K 1/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される繰り返し単位、下記化学式2で表される繰り返し単位、下記化学式3で表される繰り返し単位、および下記化学式4で表される繰り返し単位を含むアルカリ現像性バインダー樹脂、光重合開始剤、および光重合性化合物を含み、
下記化学式14で表される繰り返し単位、下記化学式15で表される繰り返し単位、および下記化学式16で表される繰り返し単位を含む第2アルカリ現像性バインダー樹脂;をさらに含み、
下記(b)を満たす、感光性樹脂組成物:
(b)基板上に前記感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂層が積層されたフィルム試料に対して、ニッケルが含まれている水溶液で20分以上ニッケルめっき時、下記数式1で定義される密着度が90%以上であり、
前記感光性樹脂層は、前記感光性樹脂組成物の乾燥物あるいは硬化物を含み、
前記基板は、10μm以上100mm以下の厚さを有する銅層が表面に位置する銅張積層板であり、
前記ニッケルめっきは、ニッケルが含まれている水溶液を使用して50℃以上100℃以下の条件で20分以上の間前記基板上に前記感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂層が積層されたフィルム試料を浸漬するものであり、
[数式1]
密着度(%)=(ニッケルめっき後の基板と接触した感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂層の表面積/ニッケルめっき前の基板と接触した感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂層の表面積)*100
【化1】
前記化学式1中、
は水素、または炭素数1~10のアルキルであり、
は炭素数1~10のアルキレンであり、
Arは炭素数6~20のアリールであり、
nは1~20の整数であり、
【化2】
前記化学式2中、
は水素、または炭素数1~10のアルキルであり、
【化3】

前記化学式3中、
は水素、または炭素数1~10のアルキルであり、
は炭素数1~10のアルキルであり、
【化4】
前記化学式4中、
Arは炭素数6~20のアリールであり、
【化10】
前記化学式14中、
’は炭素数1~10のアルキルであり、
【化11】
前記化学式15中、
’’は炭素数1~10のアルキルであり、R ’’は炭素数1~10のアルキルであり、
【化12】
前記化学式16中、
Arは炭素数6~20のアリールである。
【請求項2】
メタクリル酸、メタクリル酸メチルおよびスチレンの単量体混合物を重合して製造したアルカリ現像性バインダー樹脂をさらに含む、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記光重合性化合物は、2官能(メタ)アクリレート化合物、3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物、及び単官能(メタ)アクリレート化合物を含む、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物は、炭素数1~20の中心グループに炭素数1~10のアルキレンオキシド基および(メタ)アクリレート官能基がそれぞれ3個以上結合した構造を有する、請求項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物は、下記化学式12で表される化合物を含む、請求項に記載の感光性樹脂組成物:
【化18】
前記化学式12中、
14は水素、または炭素数1~10のアルキルであり、
15は炭素数1~10のアルキレンであり、
16は炭素数1~20の中心グループを含むpが官能基であり、
n12は1~20の整数であり、
pは前記R16に置換される官能基数であり、3~10の整数である。
【請求項6】
前記単官能(メタ)アクリレート化合物は、炭素数1~10のアルキレンオキシド基を含む(メタ)アクリレートを含む、請求項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項7】
前記単官能(メタ)アクリレート化合物は、下記化学式11で表される化合物を含む、請求項に記載の感光性樹脂組成物:
【化19】
前記化学式11中、
11は水素、または炭素数1~10のアルキルであり、
12は炭素数1~10のアルキレンであり、
13は炭素数1~10のアルキルであり、
n11は1~20の整数である。
【請求項8】
前記単官能(メタ)アクリレート化合物100重量部に対して、前記2官能(メタ)アクリレート化合物を500重量部以上1500重量部以下で含む、請求項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項9】
前記3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物100重量部に対して、前記2官能(メタ)アクリレート化合物を500重量部以上1000重量部以下で含む、請求項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項10】
前記単官能(メタ)アクリレート化合物100重量部に対して、前記3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物を110重量部以上で含む、請求項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項11】
前記2官能(メタ)アクリレート化合物100重量部に対して、前記単官能(メタ)アクリレート化合物、及び前記3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物を1重量部以上50重量部以下で含む、請求項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項12】
請求項1に記載の感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂層を含む、ドライフィルムフォトレジスト。
【請求項13】
前記ドライフィルムフォトレジストは、下記(b)を満たす、請求項12に記載のドライフィルムフォトレジスト:
(b)基板上に前記ドライフィルムフォトレジストの感光性樹脂層が積層されたフィルム試料に対して、ニッケルが含まれている水溶液で20分以上ニッケルめっき時、下記数式2で定義される密着度が90%以上であり、
[数式2]
密着度(%)=(ニッケルめっき後の基板と接触したドライフィルムフォトレジストの感光性樹脂層の表面積/ニッケルめっき前の基板と接触したドライフィルムフォトレジストの感光性樹脂層の表面積)*100
【請求項14】
高分子基材;および前記高分子基材上に形成された感光性樹脂層を含み、
前記感光性樹脂層は、下記化学式1で表される繰り返し単位、下記化学式2で表される繰り返し単位、下記化学式3で表される繰り返し単位、および下記化学式4で表される繰り返し単位を含むアルカリ現像性バインダー樹脂と光重合性化合物を含み、
前記感光性樹脂層は、下記化学式14で表される繰り返し単位、下記化学式15で表される繰り返し単位、および下記化学式16で表される繰り返し単位を含む第2アルカリ現像性バインダー樹脂;をさらに含み、
下記(b)を満たす、感光性エレメント:
(b)基板上に前記感光性樹脂層が積層されたフィルム試料に対して、ニッケルが含まれている水溶液で20分以上ニッケルめっき時、下記数式3で定義される密着度が90%以上であり、
前記感光性樹脂層は、感光性樹脂組成物の乾燥物あるいは硬化物を含み、
前記基板は、10μm以上100mm以下の厚さを有する銅層が表面に位置する銅張積層板であり、
前記ニッケルめっきは、ニッケルが含まれている水溶液を使用して50℃以上100℃以下の条件で20分以上の間前記基板上に前記感光性樹脂層が積層されたフィルム試料を浸漬するものであり、
[数式3]
密着度(%)=(ニッケルめっき後の基板と接触した感光性エレメントの感光性樹脂層の表面積/ニッケルめっき前の基板と接触した感光性エレメントの感光性樹脂層の表面積)*100
【化1】
前記化学式1中、
は水素、または炭素数1~10のアルキルであり、
は炭素数1~10のアルキレンであり、
Arは炭素数6~20のアリールであり、
nは1~20の整数であり、
【化2】
前記化学式2中、
は水素、または炭素数1~10のアルキルであり、
【化3】
前記化学式3中、
は水素、または炭素数1~10のアルキルであり、
は炭素数1~10のアルキルであり、
【化4】
前記化学式4中、
Arは炭素数6~20のアリールであり、
【化10】
前記化学式14中、
’は炭素数1~10のアルキルであり、
【化11】
前記化学式15中、
’’は炭素数1~10のアルキルであり、R ’’は炭素数1~10のアルキルであり、
【化12】
前記化学式16中、
Arは炭素数6~20のアリールである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂組成物およびそれを用いたドライフィルムフォトレジスト、感光性エレメント、回路基板、およびディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
感光性樹脂組成物は、印刷回路基板(Printed Circuit Board;PCB)やリードフレーム(Lead Frame)に用いられているドライフィルムフォトレジスト(Dry Film Photoresist,DFR)、液状フォトレジスト(Liquid Photoresist Ink)などの形態で用いられている。
現在は印刷回路基板(PCB)やリードフレームの製造だけでなく、プラズマディスプレイパネル(PDP)のリブバリア(Rib barrier)やその他のディスプレイのITO電極、バスアドレス(Bus Address)電極、ブラックマトリクス(Black Matrix)製造などにもドライフィルムフォトレジストが広く用いられている。
【0003】
一般に、このようなドライフィルムフォトレジストは、銅張積層板(Copper Clad Laminates)上に積層される用途として多く使用される。これに関連して印刷回路基板(Printed Circuit Board,PCB)の製造過程の一例としては、PCBの原板素材である銅張積層板をラミネートするために、まず前処理工程を経る。前処理工程は、外層工程ではドリリング、ばリ取り(deburring)、整面などの順であり、内層工程では整面または酸洗を経る。整面工程ではbristle brushおよびjet pumice工程を主に使用し、酸洗はソフトエッチング(soft etching)および5wt%硫酸酸洗を経ることができる。
前処理工程を経た銅張積層板に回路を形成させるためには、一般に銅張積層板の銅層上にドライフィルムフォトレジスト(以下、DFRという)をラミネートする。この工程では、ラミネータを用いてDFRの保護フィルムを剥がしながらDFRのフォトレジスト層を銅表面上にラミネートする。一般に、ラミネートを速度0.5~3.5m/min、温度100~130℃、加熱ロール圧力10~90psiで行う。
ラミネート工程を経た印刷回路基板は、基板の安定化のために15分以上放置した後、所望の回路パターンが形成されたフォトマスクを用いてDFRのフォトレジストに対して露光を行う。この過程でフォトマスクに紫外線を照射すると、紫外線が照射されたフォトレジストは、照射された部位で、含有された光開始剤によって重合を開始する。まず、初期にはフォトレジスト内の酸素が消耗し、次に活性化したモノマーが重合されて架橋反応が起こり、その後、多量のモノマーが消耗しながら重合反応が行われる。一方、未露光部位は、架橋反応が行われていない状態で存在する。
次に、フォトレジストの未露光部分を除去する現像工程を行うが、アルカリ現像性DFRの場合、現像液として0.8~1.2wt%の炭酸カリウムおよび炭酸ナトリウムの水溶液が使用される。この工程で未露光部分のフォトレジストは現像液内で結合剤高分子のカルボン酸と現像液とのけん化反応によって洗い流され、硬化したフォトレジストは銅表面上に残留する。
【0004】
次に、内層および外層工程に応じて、異なる工程を経て回路を形成する。内層工程ではエッチングおよび剥離工程を経て基板上に回路を形成し、外層工程ではめっきおよびテンティング工程を経た後、エッチングと半田剥離を行って所定の回路を形成する。
一方、めっきを行う過程で、ドライフィルムのめっき耐性が不足した場合、気泡発生や高いpHによって硬化したフォトレジストの浮き上がりまたは流出が発生する限界があった。特に、ENIGめっき工程中のニッケルめっき時に発生する気泡によって硬化したフォトレジストの浮き上がりや流出が発生する場合が一般的である。
したがって、向上しためっき耐性を有するドライフィルムの必要性が増大した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、パターンめっき時のアンダーカットを減らし、高解像度のパターンを実現できる感光性樹脂組成物を提供する。
また、本発明は、向上しためっき耐性を実現し、かつ25μm以下の優れた1:1の解像度を実現できる感光性樹脂組成物を提供する。
また、本発明は、前記感光性樹脂組成物を用いたドライフィルムフォトレジスト、感光性エレメント、回路基板、およびディスプレイ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するために、下記化学式1で表される繰り返し単位、下記化学式2で表される繰り返し単位、下記化学式3で表される繰り返し単位、および下記化学式4で表される繰り返し単位を含むアルカリ現像性バインダー樹脂、光重合開始剤、および光重合性化合物を含み、下記(a)または(b)のうちのいずれか一つを満たす、感光性樹脂組成物を提供する。
(a)感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂層の露光および現像により得られるレジストパターンに対して、互いに隣り合う感光性樹脂層ライン間の空間の底面に残留するレジスト残渣のフット長さの最大値が1μm以下であるか、
(b)基板上に前記感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂層が積層されたフィルム試料に対して、ニッケルが含まれている水溶液で20分以上ニッケルめっき時、下記数式1で定義される密着度が90%以上であり、
[数式1]
密着度(%)=(ニッケルめっき後の基板と接触した感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂層の表面積/ニッケルめっき前の基板と接触した感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂層の表面積)*100
【化1】

前記化学式1中、Rは水素、または炭素数1~10のアルキルであり、Rは炭素数1~10のアルキルであり、Arは炭素数6~20のアリールであり、nは1~20の整数であり、
【化2】

前記化学式2中、Rは水素、または炭素数1~10のアルキルであり、
【化3】

前記化学式3中、Rは水素、または炭素数1~10のアルキルであり、Rは炭素数1~10のアルキルであり、
【化4】

前記化学式4中、Arは炭素数6~20のアリールである。
また、本発明は、前記感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂層を含むドライフィルムフォトレジストが提供される。
【0007】
また、本発明は、高分子基材;および前記高分子基材上に形成された感光性樹脂層を含み、下記(a)または(b)のうちのいずれか一つを満たす、感光性エレメントが提供される。
(a)前記感光性樹脂層の露光および現像により得られるレジストパターンに対して、互いに隣り合う感光性樹脂層ライン間の空間の底面に残留するレジスト残渣のフット長さの最大値が1μm以下であるか、
(b)基板上に前記感光性樹脂層が積層されたフィルム試料に対して、ニッケルが含まれている水溶液で20分以上ニッケルめっき時、下記数式3で定義される密着度が90%以上であり、
[数式3]
密着度(%)=(ニッケルめっき後の基板と接触した感光性エレメントの感光性樹脂層の表面積/ニッケルめっき前の基板と接触した感光性エレメントの感光性樹脂層の表面積)*100
また、本発明は、前記感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂層を含む回路基板およびディスプレイ装置が提供される。
以下、発明の具体的な実施形態による感光性樹脂組成物およびそれを用いたドライフィルムフォトレジスト、感光性エレメント、回路基板、およびディスプレイ装置についてより詳細に説明する。
【0008】
本明細書で明示的な言及がない限り、専門用語は単に特定の実施例を言及するためのものであり、本発明を限定することを意図しない。
本明細書で使用される単数の形態は、文句がこれと明確に反対の意味を示さない限り、複数の形態も含む。
本明細書で使用される「含む」の意味は、特定の特性、領域、整数、段階、動作、要素および/または成分を具体化し、他の特定の特性、領域、整数、段階、動作、要素、成分および/または群の存在や付加を除外させるものではない。
そして、本明細書で「第1」または「第2」のように序数を含む用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的で使用され、前記用語により限定されない。例えば、本発明の権利範囲を逸脱せずに第1構成要素は第2構成要素として命名され、類似に第2構成要素も第1構成要素として命名され得る。
【0009】
本明細書で、置換基の例示は以下で説明するが、これらに限定されるものではない。
本明細書で、「置換」という用語は、化合物内の水素原子の代わりに他の官能基が結合することを意味し、置換される位置は水素原子が置換される位置すなわち、置換基が置換可能な位置であれば限定されず、2以上置換される場合、2以上の置換基は互いに同一または異なってもよい。
本明細書で「置換または非置換の」という用語は、重水素;ハロゲン基;シアノ基;ニトロ基;ヒドロキシ基;カルボニル基;エステル基;イミド基;アミド基;1級アミノ基;カルボキシ基;スルホン酸基;スルホンアミド基;ホスフィンオキシド基;アルコキシ基;アリールオキシ基;アルキルチオキシ基;アリールチオキシ基;アルキルスルホキシ基;アリールスルホキシ基;シリル基;ホウ素基;アルキル基;シクロアルキル基;アルケニル基;アリール基;アラルキル基;アラルケニル基;アルキルアリール基;アルコキシシリルアルキル基;アリールホスフィン基;またはN、OおよびS原子のうちの1個以上を含むヘテロ環基からなる群より選択される1個以上の置換基で置換または非置換されるか、前記例示した置換基のうちの2以上の置換基が連結された置換または非置換されたことを意味する。例えば、「2以上の置換基が連結された置換基」はビフェニル基であってもよい。すなわち、ビフェニル基はアリール基であってもよく、2個のフェニル基が連結された置換基と解釈されることもできる。
【0010】
本明細書で、
または
は他の置換基に連結される結合を意味し、直接結合は、Lで表される部分に別途の原子が存在しない場合を意味する。
本明細書で、(メタ)アクリルは、アクリルおよびメタクリルをすべて含む意味である。
本明細書において、アルキル基はアルカン(alkane)に由来する1価の官能基であり、直鎖または分枝鎖であり得、前記直鎖アルキル基の炭素数は特に限定されないが1~20であることが好ましい。また、前記分枝鎖アルキル基の炭素数は3~20である。アルキル基の具体的な例としては、メチル、エチル、プロピル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、1-メチル-ブチル、1-エチル-ブチル、ペンチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル、ヘキシル、n-ヘキシル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、4-メチル-2-ペンチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、ヘプチル、n-ヘプチル、1-メチルヘキシル、オクチル、n-オクチル、tert-オクチル、1-メチルヘプチル、2-エチルヘキシル、2-プロピルペンチル、n-ノニル、2,2-ジメチルヘプチル、1-エチル-プロピル、1,1-ジメチル-プロピル、イソヘキシル、2-メチルペンチル、4-メチルヘキシル、5-メチルヘキシル、2,6-ジメチルヘプタン-4-イルなどがあるが、これらに限定されない。前記アルキル基は、置換または非置換され得、置換される場合置換基の例示は上述した通りである。
本明細書において、アリール基は、アレーン(arene)に由来する1価の官能基であり、特に限定されないが炭素数6~20であることが好ましく、単環式アリール基または多環式アリール基であり得る。前記アリール基が単環式アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、テルフェニル基などであり得るが、これらに限定されるものではない。前記多環式アリール基としては、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基、ピレニル基、ペリレニル基、クリセニル基、フルオレニル基などであり得るが、これらに限定されるものではない。前記アリール基は、置換または非置換され得、置換される場合置換基の例示は上述した通りである。
【0011】
以下、本発明をより詳しく説明する。
1.感光性樹脂組成物
発明の一実施形態によれば、下記化学式1で表される繰り返し単位、下記化学式2で表される繰り返し単位、下記化学式3で表される繰り返し単位、および下記化学式4で表される繰り返し単位を含むアルカリ現像性バインダー樹脂、光重合開始剤、および光重合性化合物を含み、下記(a)または(b)のうちのいずれか一つを満たす、感光性樹脂組成物が提供され得る。
(a)感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂層の露光および現像により得られるレジストパターンに対して、互いに隣り合う感光性樹脂層ライン間の空間の底面に残留するレジスト残渣のフット長さの最大値が1μm以下であるか、
(b)基板上に前記感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂層が積層されたフィルム試料に対して、ニッケルが含まれている水溶液で20分以上ニッケルめっき時、下記数式1で定義される密着度が90%以上であり、
[数式1]
密着度(%)=(ニッケルめっき後の基板と接触した感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂層の表面積/ニッケルめっき前の基板と接触した感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂層の表面積)*100
【化1】
前記化学式1中、Rは水素、または炭素数1~10のアルキルであり、Rは炭素数1~10のアルキルであり、Arは炭素数6~20のアリールであり、nは1~20の整数であり、
【化2】
前記化学式2中、Rは水素、または炭素数1~10のアルキルであり、
【化3】
前記化学式3中、Rは水素、または炭素数1~10のアルキルであり、Rは炭素数1~10のアルキルであり、
【化4】

前記化学式4中、Arは炭素数6~20のアリールである。
本発明者らは、前記一実施形態の感光性樹脂組成物は、アルカリ現像性バインダー樹脂内に前記化学式1で表される繰り返し単位を含み、前記感光性樹脂組成物を用いたドライフィルムフォトレジストの露光現像によるパターン形成時、パターンの下面にレジスト残渣の長さを最小化して高解像度の微細パターンを実現できることを実験により確認して発明を完成した。
【0012】
また、本発明者らは、前記一実施形態の感光性樹脂組成物は、アルカリ現像性バインダー樹脂内に前記化学式1で表される繰り返し単位を含み、アルカリ現像性バインダー樹脂のめっき耐性を向上させることにより、前記感光性樹脂組成物を用いたドライフィルムフォトレジストのニッケルめっき時の水素気泡による浮き現象を最小化できることを実験により確認して発明を完成した。
(1)アルカリ現像性バインダー樹脂
本発明のアルカリ現像性バインダー樹脂は、前記化学式1で表される繰り返し単位、前記化学式2で表される繰り返し単位、前記化学式3で表される繰り返し単位、および前記化学式4で表される繰り返し単位を含み得る。
具体的には、前記アルカリ現像性バインダー樹脂は、前記化学式1で表される繰り返し単位、前記化学式2で表される繰り返し単位、前記化学式3で表される繰り返し単位、および前記化学式4で表される繰り返し単位のランダム共重合体を含み得る。
前記アルカリ現像性バインダー樹脂内に前記化学式1で表される繰り返し単位を含み、アルカリ現像性バインダー樹脂の疎水性の程度を増加させることにより、前記感光性樹脂組成物を用いたドライフィルムフォトレジストの現像工程で泡(foam)発生を抑制して優れた現像性を示し、基板の密着力を向上させて適正な物性(解像度、細線密着力など)を確保できる。
【0013】
前記化学式1中、Rは水素、または炭素数1~10のアルキルのうちのいずれか一つであり、前記炭素数1~10のアルキルの具体的な例としてはメチルが挙げられる。
前記化学式1中、Rは炭素数1~10のアルキルであり、前記炭素数1~10のアルキルの具体的な例としてはエチルが挙げられる。
前記化学式1中、Arは炭素数6~20のアリールであり、前記炭素数6~20のアリールの具体的な例としてはフェニルが挙げられる。
前記化学式1で表される繰り返し単位は、下記化学式1-1で表される単量体に由来する繰り返し単位であり得る。
【化5】
前記化学式1-1中、Rは水素、または炭素数1~10のアルキルであり、Rは炭素数1~10のアルキルであり、Arは炭素数6~20のアリールであり、nは1~20の整数である。前記化学式1-1中、R、R、Ar、nに関する内容は前記化学式1で上述した通りである。
【0014】
前記化学式1-1で表される単量体の具体的な例として、フェノキシポリエチレンオキシアクリレート、より具体的には2-フェノキシエチルメタクリレート(PHEMA)が挙げられる。
前記化学式1で表される繰り返し単位は、前記アルカリ現像性バインダー樹脂に含まれる繰り返し単位全体のモル含有量100モル%を基準として5モル%以上40モル%以下、または5モル%以上30モル%以下、または5モル%以上25モル%以下、または10モル%以上25モル%以下で含まれ得る。
前記化学式2~化学式4中、RおよびRは互いに同一または異なり、それぞれ独立して水素、または炭素数1~10のアルキルであり、Rは炭素数1~10のアルキルであり、Arは炭素数6~20のアリールである。
前記化学式2~化学式4中、RおよびRは互いに同一または異なり、それぞれ独立して水素、または炭素数1~10のアルキルのうちのいずれか一つであり、前記炭素数1~10のアルキルの具体的な例としてはメチルが挙げられる。
は炭素数1~10のアルキルであり、前記炭素数1~10のアルキルの具体的な例としてはメチルが挙げられる。
【0015】
Arは炭素数6~20のアリールであり、前記炭素数6~20のアリールの具体的な例としてはフェニルが挙げられる。
前記化学式2で表される繰り返し単位は、下記化学式2-1で表される単量体に由来する繰り返し単位であり得る。
【化6】
前記化学式2-1中、Rは水素、または炭素数1~10のアルキルである。前記化学式2-1中、Rに関する内容は前記化学式2で上述した通りである。前記化学式2-1で表される単量体の具体的な例として、メタクリル酸(Methacrylic acid,MAA)が挙げられる。
前記化学式3で表される繰り返し単位は、下記化学式3-1で表される単量体に由来する繰り返し単位であり得る。
【化7】
前記化学式3-1中、Rは水素、または炭素数1~10のアルキルであり、Rは炭素数1~10のアルキルである。前記化学式3-1中、RおよびRに関する内容は前記化学式3で上述した通りである。前記化学式3-1で表される単量体の具体的な例として、メタクリル酸メチル(Methylmethacrylate、MMA)が挙げられる。
前記化学式4で表される繰り返し単位は、下記化学式4-1で表される単量体に由来する繰り返し単位であり得る。
【化8】
前記化学式4-1中、Arは炭素数6~20のアリールである。前記化学式4-1中、Arに関する内容は前記化学式4で上述した通りである。前記化学式4-1で表される単量体の具体的な例として、スチレン(Styrene、SM)が挙げられる。
前記アルカリ現像性バインダー樹脂は、前記アルカリ現像性バインダー樹脂に含まれる繰り返し単位全体のモル含有量100モル%を基準として、前記化学式2で表される繰り返し単位20モル%以上60モル%以下、または20モル%以上50モル%以下、または30モル%以上40モル%以下を含み得る。
【0016】
また、前記アルカリ現像性バインダー樹脂は、前記アルカリ現像性バインダー樹脂に含まれる繰り返し単位全体のモル含有量100モル%を基準として、前記化学式3で表される繰り返し単位1モル%以上30モル%以下、または5モル%以上30モル%以下、および前記化学式4で表される繰り返し単位30モル%以上60モル%以下、または30モル%以上50モル%以下、または30モル%以上40モル%以下を含み得る。
より具体的には、前記化学式4で表される繰り返し単位100モルに対して、前記化学式3で表される繰り返し単位のモル比が10モル以上99モル以下、または15モル以上95モル以下、または20モル以上95モル以下であり得る。
このように、疎水性である前記化学式4で表される繰り返し単位の含有量が増加することに伴いアルカリ現像性バインダー樹脂の疎水性の程度もまた増大し、前記感光性樹脂組成物を用いたドライフィルムフォトレジストの現像工程で泡(foam)発生を抑制することができる。
前記アルカリ現像性バインダー樹脂は、重量平均分子量が30000g/mol以上150000g/mol以下であり、ガラス転移温度は20℃以上150℃以下であり得る。これにより、ドライフィルムフォトレジストのコーティング性、追従性、および回路形成後のレジスト自体の機械的強度が向上する。
本明細書で、重量平均分子量は、GPC法によって測定したポリスチレン換算の重量平均分子量を意味する。前記GPC法によって測定したポリスチレン換算の重量平均分子量を測定する過程では、通常知られている分析装置と示差屈折率検出器(Refractive Index Detector)などの検出装置および分析用カラムが用いられ、通常適用される温度条件、溶媒、flow rateを適用することができる。
前記測定条件の具体的な例として、アルカリ現像性バインダー樹脂は1.0(w/w)% in THF(固形分基準約0.5(w/w)%)の濃度となるようにテトラヒドロフランに溶解させ、0.45μm Pore SizeのSyringe Filterを用いて濾過した後GPCに20μlを注入し、GPC移動相はテトラヒドロフラン(Tetrahydrofuran、THF)を使用し、1.0mL/分の流速で流入し、カラムはAgilent PLgel 5μm Guard(7.5×50mm)1個とAgilent PLgel 5μm Mixed D(7.5×300mm)2個を直列連結し、検出器としてはAgilent 1260 Infinity II system、RI Detectorを用いて40℃で測定した。
【0017】
これを、テトラヒドロフランに0.1(w/w)%の濃度で以下のように多様な分子量を有するポリスチレンを溶解させたポリスチレン標準試料(STD A、B、C、D)を0.45μm Pore SizeのSyringe Filterで濾過した後GPCに注入して形成された検定曲線を用いてアルカリ現像性バインダー樹脂の重量平均分子量(Mw)の値を求めた。
STD A(Mp):791、000/27、810/945
STD B(Mp):282、000/10、700/580
STD C(Mp):126、000/4、430/370
STD D(Mp):51、200/1、920/162
ガラス転移温度は、DSC(Differential Scanning Calorimeter)(Perkin-Elmer社製、DSC-7)でreferenceとバインダーポリマーを比較した。温度設定は、20℃で15分間維持した後、200℃まで昇温速度1℃/minで昇温させて測定することができる。
前記アルカリ現像性バインダー樹脂は、酸価が120mgKOH/g以上200mgKOH/g以下、または140mgKOH/g以上160mgKOH/g以下であり得る。酸価は、前記アルカリ現像性バインダー樹脂を1g余りサンプリングして50ml混合溶剤(MeOH 20%、Acetone 80%)に溶かし、1%-フェノールフタレイン指示薬を2滴加えた後、0.1N-KOHで滴定して酸価を測定した。
前記アルカリ現像性バインダー樹脂は、固形分を基準として感光性樹脂組成物の総重量に対して、20重量%以上80重量%以下で含まれる。前記アルカリ現像性バインダー樹脂の含有量が上記の範囲内にある場合回路形成後、細線密着力を強化させる効果を得ることができる。前記重量基準である固形分は、前記感光性樹脂組成物から溶媒を除いた残りの成分を意味する。
【0018】
本発明のアルカリ現像性バインダー樹脂の含有量は、感光性樹脂組成の総重量に対して40重量%以上70重量%以下であり得る。前記アルカリ現像性バインダー樹脂の含有量が感光性樹脂組成物全体に対して40重量%未満の場合、現像端の汚染が生じて短絡などの不良をもたらす短所があり、70重量%を超える場合、密着力と解像度などの回路物性が不良になる問題がある。
一方、前記アルカリ現像性バインダー樹脂として、下記化学式13で表される繰り返し単位、下記化学式14で表される繰り返し単位、下記化学式15で表される繰り返し単位、下記化学式16で表される繰り返し単位および下記化学式17で表される繰り返し単位を含む第1アルカリ現像性バインダー樹脂;および下記化学式14で表される繰り返し単位、下記化学式15で表される繰り返し単位、および下記化学式16で表される繰り返し単位を含む第2アルカリ現像性バインダー樹脂;をさらに含み得る。
【化9】
前記化学式13中、
’’は水素であり、
【化10】
前記化学式14中、
’は炭素数1~10のアルキルであり、
【化11】
前記化学式15中、
’’は炭素数1~10のアルキルであり、R’’は炭素数1~10のアルキルであり、
【化12】
前記化学式16中、
Arは炭素数6~20のアリールであり、
【化13】
前記化学式17中、
’は水素であり、
’は炭素数1~10のアルキルである。
具体的には、前記第1アルカリ現像性バインダー樹脂は、前記化学式13で表される繰り返し単位、前記化学式14で表される繰り返し単位、前記化学式15で表される繰り返し単位、前記化学式16で表される繰り返し単位および前記化学式17で表される繰り返し単位のランダム共重合体を含み得る。
【0019】
前記化学式13~化学式17中、前記炭素数1~10のアルキルの具体的な例としてはメチルが挙げられる。
Arは炭素数6~20のアリールであり、前記炭素数6~20のアリールの具体的な例としてはフェニルが挙げられる。
前記化学式14で表される繰り返し単位は、下記化学式14-1で表される単量体に由来する繰り返し単位であり得る。
【化14】
前記化学式14-1中、R’’は炭素数1~10のアルキルである。前記化学式14-1中、R’’に関する内容は前記化学式14で上述した通りである。前記化学式14-1で表される単量体の具体的な例として、メタクリル酸(Methacrylic acid、MAA)が挙げられる。
前記化学式15で表される繰り返し単位は、下記化学式15-1で表される単量体に由来する繰り返し単位であり得る。
【化15】
前記化学式15-1中、R’’は炭素数1~10のアルキルであり、R’’は炭素数1~10のアルキルである。前記化学式15-1中、R’’およびR’’に関する内容は前記化学式15で上述した通りである。前記化学式15-1で表される単量体の具体的な例として、メタクリル酸メチル(Methylmethacrylate、MMA)が挙げられる。
【0020】
前記化学式16で表される繰り返し単位は、下記化学式16-1で表される単量体に由来する繰り返し単位であり得る。
【化16】
前記化学式16-1中、Arは炭素数6~20のアリールである。前記化学式16-1中、Arに関する内容は前記化学式16で上述した通りである。前記化学式16-1で表される単量体の具体的な例として、スチレン(Styrene、SM)が挙げられる。
前記第1アルカリ現像性バインダー樹脂は、重量平均分子量が30000g/mol以上150000g/mol以下であり、ガラス転移温度は20℃以上150℃以下であり得る。これにより、ドライフィルムフォトレジストのコーティング性、追従性、および回路形成後レジスト自体の機械的強度が向上する。また、前記第1アルカリ現像性バインダー樹脂は、酸価が140mgKOH/g以上160mgKOH/g以下であり得る。
また、前記第2アルカリ現像性バインダー樹脂は、重量平均分子量が20000g/mol以上130000g/mol以下であり、ガラス転移温度は30℃以上160℃以下であり得る。これにより、ドライフィルムフォトレジストのコーティング性、追従性、および回路形成後レジスト自体の機械的強度が向上する。
【0021】
本明細書で、重量平均分子量は、GPC法によって測定したポリスチレン換算の重量平均分子量を意味する。前記GPC法によって測定したポリスチレン換算の重量平均分子量を測定する過程では、通常知られている分析装置と示差屈折率検出器(Refractive Index Detector)などの検出装置および分析用カラムが用いられ、通常適用される温度条件、溶媒、flow rateを適用することができる。
前記測定条件の具体的な例として、アルカリ現像性バインダー樹脂は1.0(w/w)% in THF(固形分基準約0.5(w/w)%)の濃度となるようにテトラヒドロフランに溶解させ、0.45μm Pore SizeのSyringe Filterを用いて濾過した後GPCに20μlを注入し、GPC移動相はテトラヒドロフラン(Tetrahydrofuran、THF)を使用し、1.0mL/分の流速で流入し、カラムはAgilent PLgel 5μm Guard(7.5×50mm)1個とAgilent PLgel 5μm Mixed D(7.5×300mm)2個を直列連結し、検出器としてはAgilent 1260 Infinity II System、RI Detectorを用いて40℃で測定した。
これを、テトラヒドロフランに0.1(w/w)%の濃度で以下のように多様な分子量を有するポリスチレンを溶解させたポリスチレン標準試料(STD A、B、C、D)を0.45μm Pore SizeのSyringe Filterで濾過した後、GPCに注入して形成された検定曲線を用いてアルカリ現像性バインダー樹脂の重量平均分子量(Mw)の値を求めた。
STD A(Mp):791、000/27、810/945
STD B(Mp):282、000/10、700/580
STD C(Mp):126、000/4、430/370
STD D(Mp):51、200/1、920/162
ガラス転移温度は、DSC(Differential Scanning Calorimeter)(Perkin-Elmer社製、DSC-7)でreferenceとバインダーポリマーを比較した。温度設定は、20℃で15分間維持した後、200℃まで昇温速度1℃/minで昇温させて測定することができる。
【0022】
前記アルカリ現像性バインダー樹脂の酸価は、前記アルカリ現像性バインダー樹脂を1g余りサンプリングして50ml混合溶剤(MeOH 20%、Acetone 80%)に溶かし、1%-フェノールフタレイン指示薬を2滴加えた後、0.1N-KOHで滴定して酸価を測定した。
前記第1アルカリ現像性バインダー樹脂は、酸価が140mgKOH/g以上160mgKOH/g以下であり得る。また、前記第2アルカリ現像性バインダー樹脂は、酸価が160mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であり得る。
具体的には、前記第1アルカリ現像性バインダー樹脂と第2アルカリ現像性バインダー樹脂とのガラス転移温度比率が1:1.5以上1:5以下、1:1.5以上1:3以下、1:1.5以上1:2以下、1:1.5以上1:1.8以下、1:1.5以上1:75以下、または1:1.5以上1:6以下であり得る。
また、前記第1アルカリ現像性バインダー樹脂と第2アルカリ現像性バインダー樹脂との酸価比率が1:1.01以上1:1.5以下、1:1.01以上1:1.25以下、1:1.01以上1:1.2以下、または1:1.01以上1:1.1以下であり得る。
一方、前記一実施形態の感光性樹脂組成物に含まれる前記第1アルカリ現像性バインダー樹脂は、前記化学式3で表される繰り返し単位1モルに対して、前記化学式4で表される繰り返し単位を1.2モル以上3モル以下、1.2モル以上2モル以下、1.5モル以上2モル以下または1.5モル以上1.6モル以下で含み得る。
また、前記一実施形態の感光性樹脂組成物に含まれる前記第1アルカリ現像性バインダー樹脂は、前記化学式17で表される繰り返し単位1モルに対して、前記化学式15で表される繰り返し単位を2モル以上10モル以下、3モル以上10モル以下、3モル以上5モル以下または4モル以上5モル以下で含み得る。
【0023】
一方、前記第2アルカリ現像性バインダー樹脂は、下記化学式14で表される繰り返し単位、下記化学式15で表される繰り返し単位、および下記化学式16で表される繰り返し単位のランダム共重合体を含み得る。
【化10】

前記化学式14中、R’は炭素数1~10のアルキルであり、
【化11】
前記化学式15中、R’’は炭素数1~10のアルキルであり、R’’は炭素数1~10のアルキルであり、
【化12】
前記化学式16中、Arは炭素数6~20のアリールである。
前記化学式14で表される繰り返し単位は、下記化学式14-1で表される単量体に由来する繰り返し単位であり得る。
【化14】
前記化学式14-1中、R’’は炭素数1~10のアルキルである。前記化学式14-1中、R’’に関する内容は前記化学式14で上述した通りである。前記化学式14-1で表される単量体の具体的な例として、メタクリル酸(Methacrylic acid、MAA)が挙げられる。
【0024】
前記化学式15で表される繰り返し単位は、下記化学式15-1で表される単量体に由来する繰り返し単位であり得る。
【化15】
前記化学式15-1中、R’’は炭素数1~10のアルキルであり、R’’は炭素数1~10のアルキルである。前記化学式15-1中、R’’およびR’’に関する内容は前記化学式15で上述した通りである。前記化学式15-1で表される単量体の具体的な例として、メタクリル酸メチル(Methylmethacrylate、MMA)が挙げられる。
前記化学式16で表される繰り返し単位は、下記化学式16-1で表される単量体に由来する繰り返し単位であり得る。
【化16】
前記化学式16-1中、Arは炭素数6~20のアリールである。前記化学式16-1中、Arに関する内容は前記化学式6で上述した通りである。前記化学式16-1で表される単量体の具体的な例として、スチレン(Styrene、SM)が挙げられる。
具体的には、前記第1アルカリ現像性バインダー樹脂は、前記化学式14で表される繰り返し単位:前記化学式15で表される繰り返し単位:前記化学式16で表される繰り返し単位を1:(2以上5以下):(0.2以上0.9以下)、1:(2以上3以下):(0.5以上0.9以下)、1:(2.5以上3以下):(0.6以上0.9以下)または1:(2.75以上3以下):(0.6以上0.75以下)で含み得る。
また、前記第2アルカリ現像性バインダー樹脂は、前記化学式14で表される繰り返し単位:前記化学式15で表される繰り返し単位:前記化学式16で表される繰り返し単位を1:(1.1以上2以下):(0.2以上0.99以下)、1:(1.5以上2以下):(0.5以上0.99以下)、または1:(1.5以上1.75以下):(0.75以上0.99以下)で含み得る。
【0025】
一方、発明の一実施形態の感光性樹脂組成物は、前記第1アルカリ現像性バインダー樹脂100重量部に対して、第2アルカリ現像性バインダー樹脂を500重量部以上1000重量部以下、600重量部以上800重量部以下、700重量部以上800重量部以下で含み得る。
上記のように第1アルカリ現像性バインダー樹脂100重量部に対して、第2アルカリ現像性バインダー樹脂を500重量部以上の過剰に添加することにより、感光性樹脂に疎水性機能を付与して現像液に対する耐性を増加させて回路物性を向上する技術的効果が具現され得る。
【0026】
(2)光重合開始剤
本発明による感光性樹脂組成物に含まれる光重合開始剤は、UVおよびその他のradiationによって光重合性モノマーの連鎖反応を開始させる物質であって、ドライフィルムフォトレジストの硬化に重要な役割を果たす。
前記光重合開始剤として使用できる化合物としては、2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノンなどのアントラキノン誘導体;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾフェノン、フェナントレンキノン、4,4’-ビス-(ジメチルアミノ)ベンゾフェノンなどのベンゾイン誘導体が挙げられる。
その他にも2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’-5,5’-テトラフェニルビスイミダゾール、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-[4-モルフォリノフェニル]ブタン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、1-[4-(2-ヒドロキシメトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、3,3-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、ベンゾフェノン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、1-(4-イソプロピルフェニル)2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-(4-ドデシルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、4-ベンゾイル-4’-メチルジメチルスルフィド、4-ジメチルアミノ安息香酸、メチル4-ジメチルアミノベンゾエート、エチル4-ジメチルアミノベンゾエート、ブチル4-ジメチルアミノベンゾエート、2-エチルヘキシル4-ジメチルアミノベンゾエート、2-イソアミル4-ジメチルアミノベンゾエート、2,2-ジエトキシアセトフェノン、ベンジルケトンジメチルアセタール、ベンジルケトンβ-メトキシジエチルアセタール、1-フェニル-1,2-プロピルジオキシム-o,o’-(2-カルボニル)エトキシエーテル、メチルo-ベンゾイルベンゾエート、ビス[4-ジメチルアミノフェニル)ケトン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、メトキシベンゾイン、エトキシベンゾイン、イソプロポキシベンゾイン、n-ブトキシベンゾイン、イソブトキシベンゾイン、tert-ブトキシベンゾイン、p-ジメチルアミノアセトフェノン、p-tert-ブチルトリクロロアセトフェノン、p-tert-ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、α,α-ジクロロ-4-フェノキシアセトフェノン、ペンチル4-ジメチルアミノベンゾエートより選択される化合物を光重合開始剤として用いられるが、これらに限定されるものではない。
【0027】
前記光重合開始剤の含有量は、固形分を基準として、感光性樹脂組成物の総重量に対して1重量%以上10重量%以下で含まれる。前記光重合開始剤の含有量が上記の範囲内にある場合十分な感度を得ることができる。前記重量基準である固形分は、前記感光性樹脂組成物から溶媒を除いた残りの成分を意味する。
前記光重合開始剤の含有量が1重量%未満の場合、光効率が低くて露光量が多く入らなければならないので生産効率性がきわめて低下する短所があり、10重量%を超える場合フィルムが破れやすくなる(brittle)短所、および現像液の汚染性が高くなり、短絡などの不良をもたらす問題がある。
【0028】
(3)光重合性化合物
本発明の光重合性化合物は、UV露光後現像液に対する耐性を有してパターン形成を可能にする。
前記光重合性化合物は、2官能(メタ)アクリレート化合物を含み得る。前記2官能(メタ)アクリレート化合物は、アルキレングリコール系ジ(メタ)アクリレート、またはビスフェノール系ジ(メタ)アクリレートを含み得る。
前記アルキレングリコール系ジ(メタ)アクリレートとしては、下記化学式5で表される化合物を使用することができる。
【化17】
前記化学式5中、l+nは2または3の整数であり、mは12~18の整数である。
前記化学式5で表される化合物は、感光性樹脂組成物の疎水性を向上させて現像液およびめっき液に対する耐性を顕著に増加させ、硬化膜の剥離時間を短縮させることができる。
本発明では前記化学式5で表される化合物を感光性樹脂組成物の固形分の総重量に対して10重量%以上60重量%以下、または20重量%以上40重量%以下であり得る。
仮に、前記化学式5で表される化合物の含有量が感光性樹脂組成物の固形分の総重量に対して10重量%未満の場合、化学式5で表される化合物の添加による効果が不十分であり、60重量%を超える場合には疎水性が増加して露光後現像工程での現像時間が急激に増加する問題が発生することがある。
【0029】
前記ビスフェノール系ジ(メタ)アクリレートとしては、エチレンオキシドが含有された前記ビスフェノール系ジ(メタ)アクリレートを使用することができる。前記エチレンオキシドが含有された前記ビスフェノール系ジ(メタ)アクリレートは、分子当たりのエチレンオキシドが8モル以下で含有されたビスフェノール系ジ(メタ)アクリレートおよび分子当たりのエチレンオキシドが8モル超過16モル以下で含有されたビスフェノール系ジ(メタ)アクリレートの2種を含み得る。
前記エチレンオキシドが8モル以下で含有されたビスフェノール系ジ(メタ)アクリレートの例としては、Miwon Specialty Chemical Co.,Ltd.製品のMiramer M244(BPA(EO)3DA,Bisphenol A (EO) Diacrylate)、Miramer M240(BPA(EO)DA,Bisphenol A (EO)4 Diacrylate)、Miramer M241(Bisphenol A (EO) Dimethacrylate)が挙げられる。
【0030】
前記エチレンオキシドが8モル超過16モル以下で含有されたビスフェノール系ジ(メタ)アクリレートの例としては、Miwon Specialty Chemical Co.,Ltd.製品のMiramer M2100(BPA(EO)10DA、Bisphenol A(EO)10 Diacrylate)、Miramer M2200(BPA(EO)20DA、Bisphenol A(EO)20 Diacrylate)、Miramer M2101(Bisphenol A(EO)10 Dimethacrylate)などを使用することができる。
一方、前記光重合性化合物は、3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物を含み得る。
【0031】
前記3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物は、炭素数1~20の中心グループに炭素数1~10のアルキレンオキシド基および(メタ)アクリレート官能基がそれぞれ3個以上結合した構造を有することができる。
前記3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物は、下記化学式12で表される化合物を含み得る。
【化18】
前記化学式12中、R14は水素、または炭素数1~10のアルキルであり、R15は炭素数1~10のアルキレンであり、R16は炭素数1~20の中心グループを含むpが官能基であり、n12は1~20の整数であり、pは前記R16に置換される官能基数であり、3~10の整数である。
【0032】
前記光重合性化合物は、単官能(メタ)アクリレート化合物をさらに含み得る。すなわち、本発明の一実施形態による感光性樹脂組成物は、単官能(メタ)アクリレート化合物、および3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物の混合物を含み得る。
前記単官能(メタ)アクリレート化合物は、炭素数1~10のアルキレンオキシド基を含む(メタ)アクリレートを含み得る。
より具体的には、前記単官能(メタ)アクリレート化合物は、下記化学式11で表される化合物を含み得る。
【化19】
前記化学式11中、R11は水素、または炭素数1~10のアルキルであり、R12は炭素数1~10のアルキレンであり、R13は炭素数1~10のアルキルであり、n11は1~20の整数である。
【0033】
前記化学式11で表される単官能(メタ)アクリレート化合物、および前記化学式12で表される3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物を含み、既存製品との回路物性は同等であるが、光硬化速度を速くすることで、フィルムで発色が発現する時間を速くし、発色変化量を高める技術的な理由でコントラストの変更時間が改善されることにより、優れた現像性を確保することができる。
具体的には、前記化学式11中、n11は1~20の整数、1~10の整数、または5~10の整数である。前記化学式11で表される単官能(メタ)アクリレート化合物の例は特に限定されないが、例えば、下記化学式Aで表されるA040(Methoxy propylene glycol [400] acrylate)であり得る。
【化20】
前記一実施形態の感光性樹脂組成物が前記化学式11で表される単官能(メタ)アクリレート化合物を含むことにより、光硬化速度を速くする技術的原因によって露光する部分のフィルム色変化を速く具現する効果を具現することができる。
【0034】
また、前記化学式12中、n12は1~20の整数、1~10の整数、または1~5の整数であり、pは前記R16に置換される官能基数を意味し、3~10の整数、3~5の整数、または3~4の整数である。
すなわち、前記化学式12中、前記R16に置換される官能基数を意味するpが3~10の整数であるので、前記化学式12で表される3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物であり得る。
具体的には、前記3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物は、下記化学式12-1で表される。
【化21】
前記化学式12-1中、R20は3価の有機基であり、R21~R23はそれぞれ独立して炭素数1~10のアルキレンであり、R24~R26はそれぞれ独立して水素、または炭素数1~10のアルキルであり、n~n5はそれぞれ独立して1~20の整数である。
前記化学式12-1中、n13~n15は1~20の整数、1~10の整数、または1~5の整数である。
【0035】
前記化学式12で表される3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物の例は特に限定されないが、例えば、下記化学式Bで表されるT063(Trimethylolpropane [EO] triacrylate)であり得る。
【化22】

前記一実施形態の感光性樹脂組成物は、前記化学式12で表される3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物を含むことにより、単官能(メタ)アクリレート化合物に比べて、前記化学式12で表される3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物は光硬化時架橋結合が増加し、反応基が多くの技術的な原因によって回路物性の低下を防止し、発色変化量を増加させる効果を具現することができる。
【0036】
一方、前記一実施形態の感光性樹脂組成物は、前記単官能(メタ)アクリレート化合物100重量部に対して前記3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物を110重量部以上500重量部以下、110重量部以上300重量部以下、110重量部以上200重量部以下、または150重量部以上200重量部以下で含み得る。
前記一実施形態の感光性樹脂組成物は、前記単官能(メタ)アクリレート化合物に対して前記3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物を過剰に含むことにより、前記化学式11で表される単官能(メタ)アクリレート化合物の光硬化速度を速くしてフィルムの色変化を速く具現する効果および前記化学式12で表される3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物の光硬化時架橋結合を増加させて単官能物質のみを添加時発生する回路物性の低下を防止し、反応基の量が増加して発色変化量を増加させる効果を同時に具現することができる。
前記一実施形態の感光性樹脂組成物は、前記単官能(メタ)アクリレート化合物100重量部に対して前記3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物を100重量部未満で含む場合、回路低下および発色変化量が減少する技術的な問題が発生することがある。
また、前記光重合性化合物は、2官能(メタ)アクリレート化合物、前記化学式11で表される単官能(メタ)アクリレート化合物、および前記化学式12で表される3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物を含み得る。
すなわち、前記一実施形態の感光性樹脂組成物は光重合性化合物を含み、前記光重合性化合物は、単官能(メタ)アクリレート化合物、3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物、および2官能(メタ)アクリレート化合物を含み得る。
具体的には、前記一実施形態の感光性樹脂組成物は、前記単官能(メタ)アクリレート化合物100重量部に対して前記2官能(メタ)アクリレート化合物を500重量部以上1500重量部以下、500重量部以上1000重量部以下、750重量部以上1000重量部以下、800重量部以上900重量部以下で含み得る。
すなわち、前記一実施形態の感光性樹脂組成物は、前記単官能(メタ)アクリレート化合物100重量部に対して前記3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物を110重量部以上で含み、前記2官能(メタ)アクリレート化合物を500重量部以上1500重量部以下で含み得る。
【0037】
また、前記一実施形態の感光性樹脂組成物は、前記3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物100重量部に対して前記2官能(メタ)アクリレート化合物を500重量部以上1000重量部以下、500重量部以上800重量部以下、500重量部以上750重量部以下、500重量部以上700重量部以下、500重量部以上600重量部以下で含み得る。
上述したように、単官能(メタ)アクリレート化合物、3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物および2官能(メタ)アクリレート化合物を含み、かつ、上記の重量範囲を満たすように含むことにより、前記一実施形態の感光性樹脂組成物は、適切な回路物性の発現が可能であり、10mJ/cm以上の光量を与えたとき、露光する部分の速い発色および変色が可能な技術的効果を具現することができる。
より具体的には、前記一実施形態の感光性樹脂組成物は、前記2官能(メタ)アクリレート化合物100重量部に対して前記化学式11で表される単官能(メタ)アクリレート化合物、および前記化学式12で表される3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物を100重量部以下、50重量部以下、1重量部以上100重量部以下、または1重量部以上50重量部以下で含み得る。
前記光重合性化合物の含有量は、固形分を基準として感光性樹脂組成物の総重量に対して、10重量%以上70重量%以下で含まれる。前記光重合性化合物の含有量が、上記の範囲内にある場合光感度と解像度、密着性などを強化させる効果を得ることができる。前記重量基準である固形分は、前記感光性樹脂組成物から溶媒を除いた残りの成分を意味する。
【0038】
(4)感光性樹脂組成物
前記感光性樹脂組成物は、下記(a)または(b)のうちのいずれか一つを満たすことができる。
(a)感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂層の露光および現像により得られるレジストパターンに対して、互いに隣り合う感光性樹脂層ライン間の空間の底面に残留するレジスト残渣のフット長さの最大値が1μm以下であるか、
(b)基板上に前記感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂層が積層されたフィルム試料に対して、ニッケルが含まれている水溶液で20分以上ニッケルめっき時、下記数式1で定義される密着度が90%以上であり、
[数式1]
密着度(%)=(ニッケルめっき後の基板と接触した感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂層の表面積/ニッケルめっき前の基板と接触した感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂層の表面積)*100
具体的には、感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂層の露光および現像により得られるレジストパターンに対して、互いに隣り合う感光性樹脂層ライン間の空間の底面に残留するレジスト残渣のフット長さの最大値が1μm以下、または0.7μm以下、または0.1μm以上1μm以下、または0.1μm以上0.7μm以下、または0.4μm以上0.7μm以下、または0.5μm以上0.6μm以下であり得る。
前記レジストパターンは、感光性樹脂組成物に対する選択的露光および現像により感光性樹脂組成物の一部は感光性樹脂層に残留して感光性樹脂層ラインを形成し、一部は現像で除去されて感光性樹脂層ライン間の空間を形成することができる。
このとき、互いに隣り合う感光性樹脂層ライン間の空間の底面には現像によって除去しきれないまま残留するレジスト残渣が存在することがあり、このようなレジスト残渣のフット長さが1μmを超過して増加しすぎると、前記パターン底部のフッティング(footing)現象が過度に生じて、レジストパターンの高解像度を実現することが難しい場合もある。
【0039】
具体的には、前記レジスト残渣のフット長さは、前記底面と当接する感光性樹脂層ラインの一側面とレジスト残渣がなす境界線上の一地点と、前記一地点から感光性樹脂層ラインの一側面に対する垂線および前記一地点から底面に対する垂線がなす平面によるレジスト残渣の断面が前記底面とレジスト残渣がなす境界線と接する交点までの最短直線距離であり得る。
図2のレジストパターンの断面模式図により前記レジスト残渣のフット長さを説明すると、前記底面と当接した感光性樹脂層ラインの一側面とレジスト残渣がなす境界線上の一地点はd1で表した地点に相当し、前記一地点から感光性樹脂層ラインの一側面に対する垂線および前記一地点から底面に対する垂線がなす平面によるレジスト残渣の断面が前記底面とレジスト残渣がなす境界線と接する交点はd2で表した地点に相当し、d1とd2の間の最短直線距離がレジスト残渣のフット長さに相当する。
前記レジスト残渣のフット長さは、光学顕微鏡(ZEISS AXIOPHOT Microscope)を使用して図1のように測定することができる。
より具体的には、前記レジスト残渣のフット長さの測定に用いられるレジストパターンは、感光性樹脂層ライン上段の線幅と互いに隣り合う感光性樹脂層ライン上段の間隔比率が1:0.5~1:2、または1:0.9~1:1.1であり得る。具体的には、前記感光性樹脂層ライン上段の線幅は図2のLに相当し、前記互いに隣り合う感光性樹脂層ライン上段の間隔は図2のSに相当する。
また、前記レジスト残渣のフット長さの測定に用いられる感光性樹脂層ライン上段の線幅が5μm以上15μm以下、または9μm以上11μm以下であり得る。前記感光性樹脂層ライン上段の線幅は光学顕微鏡を使用して測定することができる。
前記レジスト残渣のフット長さの測定に用いられる感光性樹脂層の厚さは、20μm以上30μm以下、または24μm以上26μm以下であり得る。前記感光性樹脂層の厚さは図2のTに相当する。前記感光性樹脂層の厚さは、光学顕微鏡を使用して測定することができる。
【0040】
前記レジスト残渣のフット長さの測定時、露光条件は露光装置を用いて35mJ/cm以上45mJ/cm以下、または39mJ/cm以上41mJ/cm以下の露光量で紫外線を照射することができる。前記露光時間は1分以上10分以下であり得る。
前記レジスト残渣のフット長さの測定時、現像条件は、濃度が0.5重量%以上1.5重量%以下、または0.9重量%以上1.1重量%以下であるアルカリ水溶液を使用することができる。前記アルカリ水溶液のpHは9以上11以下の範囲であってもよく、その温度は、感光性樹脂層の現像性に合わせて調節することができる。前記アルカリ水溶液の具体的な例としては、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液などを使用することができる。
前記現像は、前記アルカリ水溶液を感光性樹脂層と接触させる方法を用いることができ、具体的な接触方法の例としては、スプレー噴射または浸漬方式を使用することができる。前記現像時間は1分以上10分以下であり得る。
一方、前記感光性樹脂組成物は、基板上に前記感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂層が積層されたフィルム試料に対して、ニッケルが含まれている水溶液で20分以上ニッケルめっき時、下記数式1で定義される密着度が90%以上、または90%以上100%以下であり得る。
[数式1]
密着度(%)=(ニッケルめっき後の基板と接触した感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂層の表面積/ニッケルめっき前の基板と接触した感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂層の表面積)*100
前記数式1で定義される密着度は、ニッケルめっき前の基板と接触した感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂層の表面積に対するニッケルめっき後の基板と接触した感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂層の表面積のパーセント比率を意味する。
前記密着度を求めるための表面積は、光学顕微鏡のイメージを通して測定することができる。
【0041】
前記ニッケルめっきの具体的な条件は特に限定されるものではないが、例えば、ニッケルが含まれている水溶液としてICP NICORON GIB水溶液(850ccの蒸留水に100ccのICP NICORON GIB-Mと50ccのICP NICORON GIB-1を投入した混合液)を使用して50℃以上100℃以下の条件で20分以上、または20分以上30分以下の間前記基板上に前記感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂層が積層されたフィルム試料を浸漬してめっきを施すことができる。
ニッケルめっきに先立って必ず前記ニッケルが含まれている水溶液による浸漬工程以前に触媒水溶液による浸漬工程をさらに行わなければならない。前記触媒水溶液による浸漬工程の具体的な条件は特に限定されるものではないが、例えば、触媒水溶液として、塩酸系パラジウム触媒剤ICP ACCERA H水溶液(870ccの蒸留水に90ccの35%塩酸水溶液と40ccのICP ACCERA Hを投入した混合液)を使用して10℃以上40℃以下の条件で0.1分以上10分以下の間前記基板上に前記感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂層が積層されたフィルム試料を浸漬することができる。
また、必要に応じて、前記ニッケルが含まれている水溶液による浸漬工程以後に金が含まれている水溶液による浸漬工程をさらに行うことができる。前記金が含まれている水溶液による浸漬工程の具体的な条件は特に限定されるものではないが、例えば、金が含まれている水溶液を使用して70℃以上100℃以下の条件で1分以上20分以下の間前記基板上に前記感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂層が積層されたフィルム試料を浸漬することができる。
【0042】
前記金が含まれている水溶液の具体的な例としては、IM GOLD IB MAKE UP SALT水溶液(1000ccの蒸留水に80gのIM GOLD IB MAKE UP SALTと2.92gのPotassium gold cyanideを投入した混合液)が挙げられる。
前記基板上に前記感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂層が積層されたフィルム試料は、任意の基板上に前記感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂層が積層された積層体であり得、前記数式1で定義される密着度の測定に用いられる基板の例としては、10μm以上100mm以下の厚さを有する銅層が表面に位置する銅張積層板が挙げられる。
前記感光性樹脂層は、前記一実施形態の感光性樹脂組成物の乾燥物あるいは硬化物を含み得る。前記乾燥物とは、前記一実施形態の感光性樹脂組成物の乾燥工程を経て得られる物質を意味する。前記硬化物とは、前記一実施形態の感光性樹脂組成物の硬化工程を経て得られる物質を意味する。
前記感光性樹脂層は、開口部がないフィルム形態であってもよく、開口部を有するパターン形態であってもよい。
前記パターン形態の感光性樹脂層を形成する方法の例としては、後述する他の実施形態のドライフィルムフォトレジストの感光性樹脂層を基板上に積層させた後、露光および現像を行う方法が挙げられる。また、後述する他の実施形態の感光性エレメントの感光性樹脂層を基板上に積層させた後、露光および現像を行う方法が挙げられる。
前記他の実施形態のドライフィルムフォトレジストあるいは感光性エレメントが感光性樹脂層上に保護フィルムを有する場合、感光性樹脂層を回路基板またはディスプレイ製造装置用基板上に積層工程以前に保護フィルムを除去する工程をさらに経ることができる。
また、前記他の実施形態のドライフィルムフォトレジストあるいは感光性エレメントが感光性樹脂層の一面に積層された高分子基材あるいは基材フィルムを有する場合、露光工程直後の高分子基材あるいは基材フィルムを除去する工程をさらに経ることができる。
前記数式1で定義される密着度の測定時、露光条件は露光装置を使用して20mJ/cm以上200mJ/cm以下、または50mJ/cm以上100mJ/cm以下の露光量で紫外線を照射することができる。前記露光時間は1秒以上10分以下、または1秒以上10秒以下であり得る。
【0043】
前記数式1で定義される密着度の測定時、現像条件は、濃度が0.5重量%以上1.5重量%以下、または0.9重量%以上1.1重量%以下であるアルカリ水溶液を使用することができる。前記アルカリ水溶液のpHは9以上11以下の範囲であり得、その温度は、感光性樹脂層の現像性に合わせて調節することができる。前記アルカリ水溶液の具体的な例としては、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液などを使用することができる。
前記現像は、前記アルカリ水溶液を感光性樹脂層と接触させる方法が用いられ、具体的な接触方法の例としては、スプレー噴射または浸漬方式を使用することができる。前記現像時間は、30秒以上10分以下、または30秒以上2分以下であり得る。
前記数式1で定義される密着度の測定に用いられる感光性樹脂層の厚さは、20μm以上80μm以下、または30μm以上60μm以下であり得る。また、前記数式1で定義される密着度の測定に用いられる感光性樹脂層は、地面に平行な断面の面積が0.10m以上1.00m以下、または0.15m以上0.30m以下であり得る。前記感光性樹脂層の厚さや断面積は、光学顕微鏡を使用して測定することができる。
めっきを施す過程で発生した気泡によって前記数式1で定義される密着度が90%未満に過度に減少すると、最終的に得られる回路基板やディスプレイ内に所望しない回路が構成される。
【0044】
前記感光性樹脂組成物は、固形分を基準として、アルカリ現像性バインダー樹脂20重量%以上80重量%以下、光重合開始剤1重量%以上10重量%以下、および光重合性化合物10重量%以上70重量%以下を含み得る。
前記感光性樹脂組成物は溶剤をさらに含み得る。前記溶剤としては、一般的にメチルエチルケトン(MEK)、メタノール、THF、トルエン、アセトンの中より選択されるものを使用し、前記溶剤は特に限定されるものではなく、含有量も光重合開始剤、アルカリ現像性バインダー樹脂および光重合性化合物の含有量に応じて適宜調節し得る。
また、前記感光性樹脂組成物は、必要に応じてその他の添加剤をさらに含み得るが、その他の添加剤としては、可塑剤としてフタル酸エステル形態のジブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジアリルフタレート;グリコールエステル形態のトリエチレングリコールジアセテート、テトラエチレングリコールジアセテート;酸アミド形態のp-トルエンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、n-ブチルベンゼンスルホンアミド;トリフェニルホスフェートなどを使用することができる。
本発明において感光性樹脂組成物の取り扱い性を向上させるためにロイコ染料や着色物質を入れることもできる。前記ロイコ染料としては、トリス(4-ジメチルアミノ-2-メチルフェニル)メタン、トリス(4-ジメチルアミノ-2メチルフェニル)メタン、フルオラン染料などが挙げられる。その中でも、ロイコクリスタルバイオレットを使用した場合、コントラストが良好であるので好ましい。ロイコ染料を含む場合、含有量は、感光性樹脂組成物中の0.1重量%以上10重量%以下であり得る。コントラストの発現の観点から0.1重量%以上が好ましく、保存安定性を維持する観点からは10重量%以下が好ましい。
【0045】
着色物質としては、例えば、トルエンスルホン酸一水和物、フクシン、フタロシアニングリーン、オーラミン塩基、パラマゼンタ、クリスタルバイオレット、メチルオレンジ、ナイルブルー2B、ビクトリアブルー、マラカイトグリーン、ダイアモンドグリーン、ベーシックブルー20などが挙げられる。前記着色物質を含有する場合の添加量は、感光性樹脂組成物に対して0.001重量%以上1重量%以下であり得る。0.001重量%以上の含有量では取り扱い性が向上する効果があり、1重量%以下の含有量では保存安定性を維持する効果がある。
なお、その他の添加剤としては、熱重合防止剤、染料、変色剤(discoloring agent)、密着力促進剤などをさらに含み得る。
2.ドライフィルムフォトレジスト
発明の他の実施形態によれば、前記一実施形態の感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂層を含むドライフィルムフォトレジストが提供される。前記感光性樹脂組成物に対する内容は前記一実施形態で上述した内容を全て含む。
具体的には、前記感光性樹脂層は、前記一実施形態の感光性樹脂組成物の乾燥物あるいは硬化物を含み得る。前記乾燥物とは、前記一実施形態の感光性樹脂組成物の乾燥工程を経て得られる物質を意味する。前記硬化物とは、前記一実施形態の感光性樹脂組成物の硬化工程を経て得られる物質を意味する。前記感光性樹脂層の厚さは特に限定されるものではないが、例えば、0.01μm~1mmの範囲内で適宜調節可能である。
例えば、前記感光性樹脂層は、前記化学式1で表される繰り返し単位;前記化学式2で表される繰り返し単位;前記化学式3で表される繰り返し単位;および前記化学式4で表される繰り返し単位;を含むアルカリ現像性バインダー樹脂と光重合性化合物を含み得る。前記化学式1で表される繰り返し単位;前記化学式2で表される繰り返し単位;前記化学式3で表される繰り返し単位;および前記化学式4で表される繰り返し単位;を含むアルカリ現像性バインダー樹脂と光重合性化合物に対する内容は前記一実施形態で上述した全ての内容を含む。
【0046】
前記ドライフィルムフォトレジストの厚さは特に限定されるものではないが、例えば、0.01μm~1mmの範囲内で適宜調節可能である。前記ドライフィルムフォトレジストの厚さが特定の数値ほど増加または減少する場合、ドライフィルムフォトレジストで測定される物性もまた、一定の数値ほど変化することがある。
前記ドライフィルムフォトレジストは、基材フィルムおよび保護フィルムをさらに含み得る。前記基材フィルムは、ドライフィルムフォトレジストを製造する間感光性樹脂層の支持体の役割を果たすものであって、粘着力を持っている感光性樹脂層の露光時取り扱いを容易にする。
前記基材フィルムは各種プラスチックフィルムを使用することができ、例えば、アクリル系フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム、ポリノルボルネン(PNB)フィルム、シクロオレフィンポリマー(COP)フィルム、およびポリカーボネート(PC)フィルムからなる群より選択される1種以上のプラスチックフィルムを含み得る。前記基材フィルムの厚さは特に限定されるものではないが、例えば、0.01μm~1mmの範囲内で適宜調節可能である。
前記保護フィルムは取り扱い時のレジストの損傷を防止し、ほこりなどの異物から感光性樹脂層を保護する保護カバーの役割を果たすものであって、感光性樹脂層の基材フィルムが形成されていない裏面に積層される。前記保護フィルムは、感光性樹脂層を外部から保護する役割を果たすものであって、ドライフィルムフォトレジストを後工程に適用する場合容易に離脱し、保管および流通の場合には離型しないように適当な離型性と粘着性を必要とする。
【0047】
前記保護フィルムは各種プラスチックフィルムを使用することができ、例えば、アクリル系フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム、ポリノルボルネン(PNB)フィルム、シクロオレフィンポリマー(COP)フィルム、およびポリカーボネート(PC)フィルムからなる群より選択される1種以上のプラスチックフィルムを含み得る。前記保護フィルムの厚さは特に限定されるものではないが、例えば、0.01μm~1mmの範囲内で適宜調節可能である。
前記ドライフィルムフォトレジストは、下記(1)または(2)のうちのいずれか一つを満たすことができる。
(a)前記感光性樹脂層の露光および現像により得られるレジストパターンに対して、互いに隣り合う感光性樹脂層ライン間の空間の底面に残留するレジスト残渣のフット長さの最大値が1μm以下であるか、
(b)基板上に前記ドライフィルムフォトレジストの感光性樹脂層が積層されたフィルム試料に対して、ニッケルが含まれている水溶液で20分以上ニッケルめっき時、下記数式2で定義される密着度が90%以上であり、
[数式2]
密着度(%)=(ニッケルめっき後の基板と接触したドライフィルムフォトレジストの感光性樹脂層の表面積/ニッケルめっき前の基板と接触したドライフィルムフォトレジストの感光性樹脂層の表面積)*100
具体的には、前記感光性樹脂層の露光および現像により得られるレジストパターンに対して、互いに隣り合う感光性樹脂層ライン間の空間の底面に残留するレジスト残渣のフット長さの最大値が1μm以下、または0.7μm以下、または0.1μm以上1μm以下、または0.1μm以上0.7μm以下、または0.4μm以上0.7μm以下、または0.5μm以上0.6μm以下であり得る。
【0048】
前記レジストパターンは、感光性樹脂組成物に対する選択的露光および現像により感光性樹脂組成物の一部は感光性樹脂層に残留して感光性樹脂層ラインを形成し、一部は現像で除去されて感光性樹脂層ライン間の空間を形成することができる。
このとき、互いに隣り合う感光性樹脂層ライン間の空間の底面には現像によって除去しきれないまま残留するレジスト残渣が存在することがあり、このようなレジスト残渣のフット長さが1μmを超過して増加しすぎると、前記パターン底部のフッティング(footing)現象が過度に生じて、レジストパターンの高解像度を実現することが難しい場合もある。
具体的には、前記レジスト残渣のフット長さは、前記底面と当接する感光性樹脂層ラインの一側面とレジスト残渣がなす境界線上の一地点と、前記一地点から感光性樹脂層ラインの一側面に対する垂線および前記一地点から底面に対する垂線がなす平面によるレジスト残渣の断面が前記底面とレジスト残渣がなす境界線と接する交点までの最短直線距離であり得る。
図2のレジストパターンの断面模式図により前記レジスト残渣のフット長さを説明すると、前記底面と当接した感光性樹脂層ラインの一側面とレジスト残渣がなす境界線上の一地点はd1で表した地点に相当し、前記一地点から感光性樹脂層ラインの一側面に対する垂線および前記一地点から底面に対する垂線がなす平面によるレジスト残渣の断面が前記底面とレジスト残渣がなす境界線と接する交点はd2で表した地点に相当し、d1とd2の間の最短直線距離がレジスト残渣のフット長さに相当する。
前記レジスト残渣のフット長さは、光学顕微鏡(ZEISS AXIOPHOT Microscope)を使用して図1のように測定することができる。
より具体的には、前記レジスト残渣のフット長さの測定に用いられるレジストパターンは、感光性樹脂層ライン上段の線幅と互いに隣り合う感光性樹脂層ライン上段の間隔比率が1:0.5~1:2、または1:0.9~1:1.1であり得る。具体的には、前記感光性樹脂層ライン上段の線幅は図2のLに相当し、前記互いに隣り合う感光性樹脂層ライン上段の間隔は図2のSに相当する。
【0049】
また、前記レジスト残渣のフット長さの測定に用いられる感光性樹脂層ライン上段の線幅が5μm以上15μm以下、または9μm以上11μm以下であり得る。
前記レジスト残渣のフット長さの測定に用いられる感光性樹脂層の厚さは、20μm以上30μm以下、または24μm以上26μm以下であり得る。前記感光性樹脂層の厚さは図2のTに相当する。
前記レジスト残渣のフット長さの測定時、露光条件は露光装置を用いて35mJ/cm以上45mJ/cm以下、または39mJ/cm以上41mJ/cm以下の露光量で紫外線を照射することができる。前記露光時間は1分以上10分以下であり得る。
前記レジスト残渣のフット長さの測定時、現像条件は、濃度が0.5重量%以上1.5重量%以下、または0.9重量%以上1.1重量%以下であるアルカリ水溶液を使用することができる。前記アルカリ水溶液のpHは9以上11以下の範囲であってもよく、その温度は、感光性樹脂層の現像性に合わせて調節することができる。前記アルカリ水溶液の具体的な例としては、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液などを使用することができる。
前記現像は、前記アルカリ水溶液を感光性樹脂層と接触させる方法を用いることができ、具体的な接触方法の例としては、スプレー噴射または浸漬方式を使用することができる。前記現像時間は1分以上10分以下であり得る。
一方、前記ドライフィルムフォトレジストは、基板上に前記ドライフィルムフォトレジストの感光性樹脂層が積層されたフィルム試料に対して、ニッケルが含まれている水溶液で20分以上ニッケルめっき時、下記数式2で定義される密着度が90%以上、または90%以上100%以下であり得る。
[数式2]
密着度(%)=(ニッケルめっき後の基板と接触したドライフィルムフォトレジストの感光性樹脂層の表面積/ニッケルめっき前の基板と接触したドライフィルムフォトレジストの感光性樹脂層の表面積)*100
前記数式2で定義される密着度は、ニッケルめっき前の基板と接触したドライフィルムフォトレジストの感光性樹脂層の表面積に対するニッケルめっき後の基板と接触したドライフィルムフォトレジストの感光性樹脂層の表面積のパーセント比率を意味する。
前記密着度を求めるための表面積は、光学顕微鏡のイメージを通して測定することができる。
【0050】
前記ニッケルめっきの具体的な条件は特に限定されるものではないが、例えば、ニッケルが含まれている水溶液としてICP NICORON GIB水溶液(850ccの蒸留水に100ccのICP NICORON GIB-Mと50ccのICP NICORON GIB-1を投入した混合液)を使用して50℃以上100℃以下の条件で20分以上、または20分以上30分以下の間前記基板上に前記感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂層が積層されたフィルム試料を浸漬してめっきを施すことができる。
ニッケルめっきに先立って必ず前記ニッケルが含まれている水溶液による浸漬工程以前に触媒水溶液による浸漬工程をさらに行わなければならない。前記触媒水溶液による浸漬工程の具体的な条件は特に限定されるものではないが、例えば、触媒水溶液として、塩酸系パラジウム触媒剤ICP ACCERA H水溶液(870ccの蒸留水に90ccの35%塩酸水溶液と40ccのICP ACCERA Hを投入した混合液)を使用して10℃以上40℃以下の条件で0.1分以上10分以下の間前記基板上に前記感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂層が積層されたフィルム試料を浸漬することができる。
また、必要に応じて、前記ニッケルが含まれている水溶液による浸漬工程以後に金が含まれている水溶液による浸漬工程をさらに行うことができる。前記金が含まれている水溶液による浸漬工程の具体的な条件は特に限定されるものではないが、例えば、金が含まれている水溶液を使用して70℃以上100℃以下の条件で1分以上20分以下の間前記基板上に前記感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂層が積層されたフィルム試料を浸漬することができる。
前記金が含まれている水溶液の具体的な例としては、IM GOLD IB MAKE UP SALT水溶液(1000ccの蒸留水に80gのIM GOLD IB MAKE UP SALTと2.92gのPotassium gold cyanideを投入した混合液)が挙げられる。
前記基板上に前記感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂層が積層されたフィルム試料は、任意の基板上に前記感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂層が積層された積層体であり得、前記数式2で定義される密着度の測定に用いられる基板の例としては、10μm以上100mm以下の厚さを有する銅層が表面に位置する銅張積層板が挙げられる。
前記感光性樹脂層は、前記一実施形態の感光性樹脂組成物の乾燥物あるいは硬化物を含み得る。前記乾燥物とは、前記一実施形態の感光性樹脂組成物の乾燥工程を経て得られる物質を意味する。前記硬化物とは、前記一実施形態の感光性樹脂組成物の硬化工程を経て得られる物質を意味する。
【0051】
前記感光性樹脂層は、開口部がないフィルム形態であってもよく、開口部を有するパターン形態であってもよい。
前記パターン形態の感光性樹脂層を形成する方法の例としては、前記他の実施形態のドライフィルムフォトレジストの感光性樹脂層を基板上に積層させた後、露光および現像を行う方法が挙げられる。また、後述する他の実施形態の感光性エレメントの感光性樹脂層を基板上に積層させた後、露光および現像を行う方法が挙げられる。
前記他の実施形態のドライフィルムフォトレジストあるいは感光性エレメントが感光性樹脂層上に保護フィルムを有する場合、感光性樹脂層を回路基板またはディスプレイ製造装置用基板上に積層工程以前に保護フィルムを除去する工程をさらに経ることができる。
また、前記他の実施形態のドライフィルムフォトレジストあるいは感光性エレメントが感光性樹脂層の一面に積層された高分子基材あるいは基材フィルムを有する場合、露光工程直後の高分子基材あるいは基材フィルムを除去する工程をさらに経ることができる。
前記数式2で定義される密着度の測定時、露光条件は露光装置を使用して20mJ/cm以上200mJ/cm以下、または50mJ/cm以上100mJ/cm以下の露光量で紫外線を照射することができる。前記露光時間は1秒以上10分以下、または1秒以上10秒以下であり得る。
前記数式2で定義される密着度の測定時、現像条件は、濃度が0.5重量%以上1.5重量%以下、または0.9重量%以上1.1重量%以下であるアルカリ水溶液を使用することができる。前記アルカリ水溶液のpHは9以上11以下の範囲であり得、その温度は、感光性樹脂層の現像性に合わせて調節することができる。前記アルカリ水溶液の具体的な例としては、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液などを使用することができる。
【0052】
前記現像は、前記アルカリ水溶液を感光性樹脂層と接触させる方法が用いられ、具体的な接触方法の例としては、スプレー噴射または浸漬方式を使用することができる。前記現像時間は、30秒以上10分以下、または30秒以上2分以下であり得る。
前記数式2で定義される密着度の測定に用いられる感光性樹脂層の厚さは、20μm以上80μm以下、または30μm以上60μm以下であり得る。また、前記数式2で定義される密着度の測定に用いられる感光性樹脂層は、地面に平行な断面の面積が0.10m以上1.00m以下、または0.15m以上0.30m以下であり得る。前記感光性樹脂層の厚さや断面積は、光学顕微鏡を使用して測定することができる。
めっきを施す過程で発生した気泡によって前記数式2で定義される密着度が90%未満に過度に減少すると、最終的に得られる回路基板やディスプレイ内に所望しない回路が構成される。
前記ドライフィルムフォトレジストを製造する方法の例は特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどの通常の基材フィルム上に通常のコーティング方法を用いて前記一実施形態の感光性樹脂組成物をコーティングした後、乾燥し、前記乾燥された感光性樹脂層上面にポリエチレンなどの通常の保護フィルムを用いてラミネートしてドライフィルムを製造することができる。
前記一実施形態の感光性樹脂組成物をコーティングする方法は特に限定されず、例えば、コーティングバーなどの方法が用いられる。
前記コーティングされた感光性樹脂組成物を乾燥させる段階は、熱風オーブン、ホットプレート、熱風循環炉、赤外線炉などの加熱手段によって行うことができ、50℃以上100℃以下の温度で行うことができる。
【0053】
3.感光性エレメント
発明のさらに他の実施形態によれば、高分子基材;および前記高分子基材上に形成された感光性樹脂層を含み、下記(a)または(b)のうちのいずれか一つを満たす感光性エレメントが提供される。
(a)前記感光性樹脂層の露光および現像により得られるレジストパターンに対して、互いに隣り合う感光性樹脂層ライン間の空間の底面に残留するレジスト残渣のフット長さの最大値が1μm以下であるか、
(b)基板上に前記感光性樹脂層が積層されたフィルム試料に対して、ニッケルが含まれている水溶液で20分以上ニッケルめっき時、下記数式3で定義される密着度が90%以上であり、
[数式3]
密着度(%)=(ニッケルめっき後の基板と接触した感光性エレメントの感光性樹脂層の表面積/ニッケルめっき前の基板と接触した感光性エレメントの感光性樹脂層の表面積)*100
前記感光性樹脂層およびレジスト残渣のフット長さ、密着度に対する内容は前記一実施形態と他の実施形態で上述した内容を全て含む。すなわち、前記感光性樹脂層は、前記化学式1で表される繰り返し単位;前記化学式2で表される繰り返し単位;前記化学式3で表される繰り返し単位;および前記化学式4で表される繰り返し単位;を含むアルカリ現像性バインダー樹脂と光重合性化合物を含み得る。
前記化学式1で表される繰り返し単位;前記化学式2で表される繰り返し単位;前記化学式3で表される繰り返し単位;および前記化学式4で表される繰り返し単位;を含むアルカリ現像性バインダー樹脂と光重合性化合物に対する内容は前記一実施形態で上述した全ての内容を含む。
【0054】
前記高分子基材は各種プラスチックフィルムを使用することができ、例えば、アクリル系フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム、ポリノルボルネン(PNB)フィルム、シクロオレフィンポリマー(COP)フィルム、およびポリカーボネート(PC)フィルムからなる群より選択される1種以上のプラスチックフィルムを含み得る。前記高分子基材の厚さは特に限定されるものではないが、例えば、0.01μm~1mmの範囲内で適宜調節可能である。
前記高分子基材の具体的な例としては、未延伸ポリエステルフィルムを一軸延伸し、その一面にバインダー樹脂と有機粒子を含む調液を塗布して残りの一軸延伸するインラインコーティング方式によってアンチブロッキング層が形成されたポリエステルフィルムが挙げられる。
前記高分子基材は、通常、製造時の走行性および巻き取り特性を考慮して添加されるアンチブロッキング剤を添加しない代わりにインラインコーティング方式を選択し、透明性を阻害しない代替粒子を使用した有機粒子層を備える。
ここで走行性および巻き取り特性を考慮し、かつ透明性を阻害しない粒子として用いられる有機粒子の例としては、メタクリル酸メチル、エチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、ノーマルブチルメタクリレート、ノーマルブチルメタクリル酸メチル、アクリル酸、メタクリル酸の共重合体または三元共重合体などのアクリル系粒子;ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系粒子;アクリルとオレフィン系の共重合体;または単一重合体粒子を形成した後、その層上に異なる種類の単量体をコーティングした多層多成分系粒子などの有機粒子などが挙げられる。
このような有機粒子は、具体的には球形で、かつバインダー樹脂との屈折率の差を有さなければならない。ここで「球形」は、楕円において短軸(a)と長軸(b)の比が0.5<a/b<2であり、長方形において対角線(d)との関係がd2≦a2+b2で定義される。また、六面体において頂間距離が最も長い軸(f)とa、b軸以外のc軸との関係はf2≦c2+a2+b2で定義する。粒子形状が球形でなければ走行性の側面から好ましくない。
【0055】
そして、有機粒子のバインダー樹脂との屈折率の差は0.05以下であることを特徴とする。屈折率の差が0.05より大きいとヘイズ(Haze)を増加させる。これは散乱光が多いことを意味し、このような散乱光が多い場合サイドウォールのスムージング効果が低下する。これは有機粒子の大きさと量にも依存する。有機粒子は、平均粒径が0.5μm~5μm程度であることが好ましく、これより小さい場合、走行特性および巻き取り特性が低下し、5μmより大きい場合ヘイズを増加させ、脱落の問題発生を勘案して好ましくない。有機粒子の含有量は、バインダー樹脂との総量を基準として1~10重量%であることが好ましい。
有機粒子の含有量がバインダー樹脂との総量を基準として1重量%未満であれば、アンチブロッキング効果が不十分でスクラッチに弱く、巻き取り特性、走行特性が悪くなり、10重量%を超えるとヘイズが増加して透明特性が悪くなる問題があり得る。
一方、前記のような有機粒子に加えて無機系粒子を添加することもできるので、この場合、通常使用されてきた無機系アンチブロッキング剤を添加するのは好ましくなく、粒子の大きさが100nm以下のコロイダルシリカを添加することが好ましい。その含有量は、バインダー樹脂100重量部に対して10重量部以下で含むことが好ましい。上記のような粒子の大きさと含有量を満たす場合、ドライフィルムフォトレジストを用いたパターン形成でアンチブロッキング層により発生するサイドウォールの欠損や噴火口のような溝を発生させないことがある。
このような有機粒子を未延伸のポリエステルフィルム上に塗布するための接着剤の役割を果たすバインダー樹脂としては、有機粒子と相容性のあるものを使用することが好ましいが、このような樹脂の例としては、不飽和ポリエステル、メタクリル酸メチル、エチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、ノーマルブチルメタクリレート、ノーマルブチルメタクリル酸メチル、アクリル酸、メタクリル酸の共重合体または三元共重合体などのアクリル系樹脂;ウレタン系樹脂;エポキシ系樹脂;またはメラミン系樹脂などが挙げられ、好ましくはアクリル系樹脂である。
バインダー樹脂と有機粒子で調液するに当たって使用可能なソルベントは水が好ましい。
このようにバインダー樹脂に有機粒子を含む調液を、PETペレットを溶融押出して得られた未延伸ポリエステルフィルムを一軸延伸した後、一軸延伸されたフィルム上に塗布する。塗布は、一軸延伸フィルムの少なくとも一面に行われ得、その厚さは、最終乾燥後の厚さを基準として30nm~200nm程度であることが好ましい。仮に、有機粒子を含む調液を一軸延伸フィルム上に30nmより薄く塗布すると有機粒子の脱落が容易でスクラッチに脆弱であり、白粉が発生する問題があり、200nmより厚く塗布すると調液の粘度上昇によってコーティング速度が速いインラインコーティングではコーティング方向にコーティングラインが発生する。
【0056】
このようにインラインコーティング方式により、一般的なアンチブロッキング剤でなく有機粒子を使用して塗布して得られた前記高分子基材は、粒子層により巻き取り特性および走行特性は維持され、かつ光透過性に優れた有機粒子によって透明性に優れた基材フィルムである。
感光性樹脂層の積層は、高分子基材において有機粒子を含む層の反対面に行われるため、このように有機粒子を含む層の反対面に感光性樹脂層が形成されることで、従来のようにアンチブロッキング剤を含む基材フィルムが積層されることによって現れる噴火口模様の傷の発生がない。シリカなどの粒子は、有機粒子に比べてその大きさが大きいだけでなく、その分布が基材フィルム全般にわたっているため、感光性樹脂層と隣接する部分でもシリカの影響がわずかにでも現れる。
これに対して、本発明で使用される高分子基材においては、その大きさが0.5μm~5μmの有機粒子であり、かつ、その有機粒子層が感光性樹脂層と隣接していないので有機粒子の物理的影響が及ばない。また、優れた光透過性を有する有機粒子を使用することでサイドウォールの欠損を減らすことができ、かつ、その他の回路物性を阻害しないことになる。
前記感光性エレメントは、感光性樹脂層上に形成された保護フィルムをさらに含み得る。前記保護フィルムは、取り扱い時感光性樹脂層の損傷を防止し、ほこりなどの異物から感光性樹脂層を保護する保護カバーの役割を果たすものであって、感光性樹脂層の高分子基材が形成されていない裏面に積層される。前記保護フィルムは、感光性樹脂層を外部から保護する役割を果たすものであって、感光性エレメントを後工程に適用する場合、容易に離脱し、かつ保管および流通時には離型しないように適当な離型性と粘着性を必要とする。
【0057】
前記保護フィルムは各種プラスチックフィルムを使用することができ、例えば、アクリル系フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム、ポリノルボルネン(PNB)フィルム、シクロオレフィンポリマー(COP)フィルム、およびポリカーボネート(PC)フィルムからなる群より選択される1種以上のプラスチックフィルムを含み得る。前記保護フィルムの厚さは特に限定されるものではないが、例えば、0.01μm~1mmの範囲内で適宜調節可能である。
4.回路基板、ディスプレイ装置
発明のさらに他の実施形態によれば、前記一実施形態の感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂層を含む、回路基板またはディスプレイ装置が提供される。前記感光性樹脂組成物に対する内容は前記一実施形態で上述した内容を全て含む。
前記回路基板またはディスプレイ装置に関する具体的な内容は特に限定されず、従来より知られている多様な技術構成を制限なく適用可能である。
前記回路基板またはディスプレイ装置に含まれる感光性樹脂層は、開口部がないフィルム形態であってもよく、開口部を有するパターン形態であってもよい。
前記パターン形態の感光性樹脂層を形成する方法の例としては、前記他の実施形態のドライフィルムフォトレジストの感光性樹脂層を回路基板またはディスプレイ製造装置用基板上に積層させた後、露光および現像を行う方法が挙げられる。また、前記他の実施形態の感光性エレメントの感光性樹脂層を回路基板またはディスプレイ製造装置用基板上に積層させた後、露光および現像を行う方法が挙げられる。
前記他の実施形態のドライフィルムフォトレジストあるいは感光性エレメントが感光性樹脂層上に保護フィルムを有する場合、感光性樹脂層を回路基板またはディスプレイ製造装置用基板上に積層工程以前に保護フィルムを除去する工程をさらに経ることができる。
また、前記他の実施形態のドライフィルムフォトレジストあるいは感光性エレメントが感光性樹脂層の一面に積層された高分子基材あるいは基材フィルムを有する場合、露光工程直後の高分子基材あるいは基材フィルムを除去する工程をさらに経ることができる。
したがって、前記他の実施形態のドライフィルムフォトレジストあるいは感光性エレメントに含まれる感光性樹脂層が前記回路基板またはディスプレイ装置に含まれ得る。
【発明の効果】
【0058】
本発明によれば、パターンめっき時のアンダーカットを減らし、高解像度のパターンを実現できる感光性樹脂組成物およびそれを用いたドライフィルムフォトレジスト、回路基板、およびディスプレイ装置を提供することができる。
また、本発明によれば、向上しためっき耐性を実現できる感光性樹脂組成物およびそれを用いたドライフィルムフォトレジスト、回路基板、およびディスプレイ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1】実施例1で測定したフット長さの光学顕微鏡イメージを示す図である。
図2】実施例1で得られたレジストパターンの断面模式図である。
図3】実施例5~8で測定した基板と感光性樹脂層との密着度の光学顕微鏡イメージを示す図である。
図4】比較例3(20分間浸漬条件)で測定した基板と感光性樹脂層との密着度の光学顕微鏡イメージを示す図である。
図5】比較例3(30分間浸漬条件)、比較例4(20分間浸漬条件)で測定した基板と感光性樹脂層との密着度の光学顕微鏡イメージを示す図である。
図6】比較例4(30分間浸漬条件)で測定した基板と感光性樹脂層との密着度の光学顕微鏡イメージを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
発明を下記の実施例でより詳細に説明する。ただし、下記の実施例は本発明を例示するだけであり、本発明の内容は下記の実施例によって限定されない。
<製造例および比較製造例:アルカリ現像性バインダー樹脂の製造>
製造例1
4口丸底フラスコにメカニカルスターラー(mechanical stirrer)と還流装置を取り付けた後、窒素でフラスコ内部をパージした。前記窒素でパージされたフラスコにメチルエチルケトン(Methyl Ethyl Ketone、MEK)68gおよびメタノール(Methanol、MeOH)5gを投入した後、アゾビスイソブチロニトリル(azobisisobutyronitrile、AIBN)0.9gを投入して完全に溶解させた。そこに単量体としてメタクリル酸(Methacrylic acid、MAA)24g、メタクリル酸メチル(Methylmethacrylate、MMA)6g、スチレン(Styrene、SM)30g、および2-フェノキシエチルメタクリレート(2-phenoxyethyl methacrylate、PHEMA)40gの単量体混合物を投入し、80℃まで昇温した後、6時間重合してアルカリ現像性バインダー樹脂(重量平均分子量68900g/mol、固形分含有量47.9重量%、酸価154mgKOH/g)を製造した。
上記製造例で製造されたアルカリ現像性バインダー樹脂は、1.0(w/w)% in THF(固形分基準約0.5(w/w)%)の濃度となるようにテトラヒドロフランに溶解させ、0.45μm Pore SizeのSyringe Filterを用いて濾過した後、GPCに20μlを注入した。GPCの移動相はテトラヒドロフラン(Tetrahydrofuran、THF)を使用し、1.0mL/分の流速で流入し、カラムはAgilent PLgel 5μm Guard(7.5×50mm)1個とAgilent PLgel 5μm Mixed D(7.5×300mm)2個を直列に連結した。検出装置としては、Agilent 1260 InfinityII system、RII Detectorを用いて40℃で測定した。
酸価は、アルカリ現像性バインダー樹脂1gをサンプリングして50mlの混合溶剤(MeOH 20%、Acetone80%)に溶かし、1%-フェノールフタレイン指示薬を2滴添加した後、0.1N-KOHで滴定して酸価を測定した。
固形分含有量は、上記製造例で製造されたアルカリ現像性バインダー樹脂の重量を基準としてオーブンで150℃、120分間加熱した後、残った固形分の重量パーセント比率を測定した。
【0061】
製造例2
4口丸底フラスコにメカニカルスターラー(mechanical stirrer)と還流装置を取り付けた後、窒素でフラスコ内部をパージした。前記窒素でパージされたフラスコにメチルエチルケトン(Methyl Ethyl Ketone、MEK)68gおよびメタノール(Methanol、MeOH)5gを投入した後、アゾビスイソブチロニトリル(azobisisobutyronitrile、AIBN)0.9gを投入して完全に溶解させた。そこに単量体としてメタクリル酸(Methacrylic acid、MAA)24g、メタクリル酸メチル(Methylmethacrylate、MMA)26g、スチレン(Styrene、SM)30g、および2-フェノキシエチルメタクリレート(2-phenoxyethyl methacrylate、PHEMA)20gの単量体混合物を投入し、80℃まで昇温した後、6時間重合してアルカリ現像性バインダー樹脂(重量平均分子量52500g/mol、固形分含有量48.3重量%、酸価154mgKOH/g)を製造した。
製造例3
4口丸底フラスコにメカニカルスターラー(mechanical stirrer)と還流装置を取り付けた後、窒素でフラスコ内部をパージした。前記窒素でパージされたフラスコにメチルエチルケトン(Methyl Ethyl Ketone、MEK)80gおよびメタノール(Methanol、MeOH)7.5gを投入した後、アゾビスイソブチロニトリル(azobisisobutyronitrile、AIBN)0.45gを投入して完全に溶解させた。そこに単量体としてアクリル酸(Acrylic acid、AA)8g、メタクリル酸(Methacrylic acid、MAA)15g、アクリル酸ブチル(Butyl acrylate、BA)15g、メタクリル酸メチル(Methyl methacrylate、MMA)52g、スチレン(Styrene、SM)10gの単量体混合物を投入し、80℃まで昇温した後、6時間重合してアルカリ現像性バインダー樹脂を製造した。
前記アルカリ現像性バインダー樹脂は、重量平均分子量71538g/mol、ガラス転移温度79℃、固形分含有量51.4重量%、酸価156.3mgKOH/gと測定された。
【0062】
製造例4
4口丸底フラスコにメカニカルスターラー(mechanical stirrer)と還流装置を取り付けた後、窒素でフラスコ内部をパージした。前記窒素でパージされたフラスコにメチルエチルケトン(Methyl Ethyl Ketone、MEK)110gおよびメタノール(Methanol、MeOH)10gを投入した後、アゾビスイソブチロニトリル(azobisisobutyronitrile、AIBN)1gを投入して完全に溶解させた。そこに単量体としてメタクリル酸(Methacrylic acid、MAA)30g、メタクリル酸メチル(Methyl methacrylate、MMA)100g、およびスチレン(Styrene、SM)30gの単量体混合物を投入し、80℃まで昇温した後、6時間重合してアルカリ現像性バインダー樹脂(重量平均分子量49852g/mol、ガラス転移温度125℃、固形分含有量48.5重量%、酸価163.17mgKOH/g)を製造した。
比較製造例1
4口丸底フラスコにメカニカルスターラー(mechanical stirrer)と還流装置を取り付けた後、窒素でフラスコ内部をパージした。前記窒素でパージされたフラスコにメチルエチルケトン(Methyl Ethyl Ketone、MEK)90gおよびPGMEA(Propylene GlycolMonomehtyl Ether Acetate)10gを投入した後、アゾビスイソブチロニトリル(azobisisobutyronitrile、AIBN)0.8gを投入して完全に溶解させた。そこにメタクリル酸20g、メタクリル酸メチル70g、およびスチレン10gの単量体混合物を投入し、80℃まで昇温した後、6時間重合してアルカリ現像性バインダー樹脂(重量平均分子量60000g/mol)を製造した。
比較製造例2
4口丸底フラスコJaket setにメカニカルスターラー(mechanical stirrer)と還流装置を取り付けた後、窒素でフラスコ内部をパージした。前記窒素でパージされたフラスコにメチルエチルケトン(Methyl Ethyl Ketone、MEK)90gおよびメタノール(Methanol、MeOH)10gを投入した後、アゾビスイソブチロニトリル(azobisisobutyronitrile、AIBN)0.8gを投入して完全に溶解させた。そこにメタクリル酸24g、メタクリル酸メチル46g、およびスチレン30gの単量体混合物を投入し、80℃まで昇温した後、6時間重合してアルカリ現像性バインダー樹脂(重量平均分子量49000g/mol、固形分含有量50.0重量%、酸価155mgKOH/g)を製造した。
<実施例および比較例:感光性樹脂組成物およびドライフィルムフォトレジストの製造>
下記表1(表1は、表1A及び1Bからなる)、表2に記載された組成に伴い、光重合開始剤類を溶剤であるメチルエチルケトン(MEK)に溶かした後、光重合性化合物とアルカリ現像性バインダー樹脂を添加し、メカニカルスターラーを用いて約1時間程度混合して感光性樹脂組成物を製造した。
前記得られた感光性樹脂組成物を20μmのPETフィルム上にコーティングバー(bar)を用いてコーティングした。コーティングされた感光性樹脂組成物層は、熱風オーブンを用いて乾燥させるが、このとき、乾燥温度は80℃であり、乾燥時間は5分であり、乾燥後の感光性樹脂組成物層の厚さは25μmであった。
乾燥が完了した感光性樹脂組成物層上に保護フィルム(ポリエチレン)を用いてラミネートしてドライフィルムフォトレジストを製造した。
【0063】
前記PETフィルムは、以下の工程により製造した。
エチレングリコールとテレフタル酸からエステル交換反応、重縮合反応を行ってPETを製造した。該PETペレットを120℃で8時間減圧乾燥した後、押出機に供給して280℃で溶融した。これを静電印加キャスト法を用いて表面温度20℃のキャスティングドラムに巻き付けて冷却固化し、未延伸フィルムを作った。押出機の吐出量を調節して未延伸フィルムの厚さを250μmに調節した。その後、未延伸フィルムを縦方向に4倍延伸した後、その一面に、アクリル系樹脂4gと有機粒子としてポリメチルメタクリレート0.1gを水95.9gに混合した調液をグラビアを用いて最終的に乾燥後、厚さ50nmとなるように塗布した。ここで使用されたポリメチルメタクリレートは、表面にポリスチレンでコーティングされたものであって、球形で、アクリル系樹脂との屈折率の差は0.03であった。
有機粒子を含む調液が塗布された縦方向の一軸延伸フィルムを120℃で予熱し、横方向に4倍延伸した。
該フィルムを、定められた長さで最高温度230℃で10秒間熱固定し、常温に冷却して総厚さ20μm、コーティング層の厚さ50nmのポリエステルフィルムを得た。
【表1A】
【表1B】

【表2】
【0064】
<実験例>
前記実施例および比較例で製造されたドライフィルムフォトレジストについて、以下の方法で物性を測定し、その結果を表3~表5に示す。
1.フット長さ(単位:μm)
前記実施例1~4および比較例1および2で製造されたドライフィルムフォトレジストの保護フィルムを剥がしてドライフィルムフォトレジストの感光性樹脂層がブラシ(Brush)研磨処理された1.6mm厚さの銅張積層板の銅層表面と接触するように基板予熱ロール温度120℃、ラミネートロール温度115℃、ロール圧力4.0kgf/cm、およびロール速度2.0min/mの条件でHAKUTO MACH 610iを用いてラミネートして積層体を形成した。
前記積層体でドライフィルムフォトレジストの支持体であるPETフィルムを剥がした後、回路評価用フォトマスク(開口部の幅10μm、開口部間の間隔10μm)を使用し、ORC社製のEXM-1201(平行光露光装置)を用いて40mJ/cmの露光量に到達するまで紫外線を照射した後、15分間放置した。その後、30±1℃のNaCO 1.0wt%水溶液でスプレー圧力1.5kgf/cmで噴射方式の現像条件で最小現像時間の2倍の時間にて現像し、図2に示すように、感光性樹脂層ライン(line)上段の線幅(L)、および感光性樹脂層ライン間の空間(space)の間隔(S)の比率L/Sが1:1であり、感光性樹脂層ライン(line)上段の線幅(L)が10μmであるレジストパターンを製造した。
その後、図2に示すように、互いに隣り合う感光性樹脂層ライン間の空間(space)の底面である銅張積層板の表面で、前記底面およびそれと当接する感光性樹脂層ライン(line)の一側面にわたって現像されないまま残留するレジスト残渣に対して、前記底面と当接する感光性樹脂層ライン(line)の一側面とレジスト残渣がなす境界線上の一地点(d1)と、前記一地点から感光性樹脂層ライン(line)の一側面に対する垂線および前記一地点から底面に対する垂線がなす平面によるレジスト残渣の断面が前記底面とレジスト残渣がなす境界線と接する交点(d2)までの最短直線距離をZEISS AXIOPHOT Microscopeで測定してフット長さ(F)で定義し、前記フット長さの最大値を下記表2に記載した。
2.細線密着力(単位:μm)
前記実施例1~4および比較例1および比較例2で製造されたドライフィルムフォトレジストの保護フィルムを剥がしてドライフィルムフォトレジストの感光性樹脂層がブラシ(Brush)研磨処理された1.6mm厚さの銅張積層板の銅層表面と接触するように基板予熱ロール温度120℃、ラミネートロール温度115℃、ロール圧力4.0kgf/cm、およびロール速度2.0min/mの条件でHAKUTO MACH 610iを用いてラミネートして積層体を形成した。
前記積層体でドライフィルムフォトレジストの支持体であるPETフィルムを剥がした後、回路評価用フォトマスクを使用し、ORC社製のEXM-1201(平行光露光装置)を用いて40mJ/cmの露光量に到達するまで紫外線を照射した後、15分間放置した。その後、30±1℃のNaCO 1.0wt%水溶液でスプレー圧力1.5kgf/cmで噴射方式の現像条件で最小現像時間の2倍の時間にて現像した。
現像が完了した積層体で、感光性樹脂層の最小線幅をZEISS AXIOPHOT Microscopeで測定して細線密着力を評価した。該値が小さいほど細線密着力に優れていると評価することができる。
【0065】
3.1:1の解像度(単位:μm)
前記実施例1~4および比較例1および製造例2で製造されたドライフィルムフォトレジストの保護フィルムを剥がしてドライフィルムフォトレジストの感光性樹脂層がブラシ(Brush)研磨処理された1.6mm厚さの銅張積層板の銅層表面と接触するように基板予熱ロール温度120℃、ラミネートロール温度115℃、ロール圧力4.0kgf/cm、およびロール速度2.0min/mの条件でHAKUTO MACH 610iを用いてラミネートして積層体を形成した。
前記積層体でドライフィルムフォトレジストの支持体であるPETフィルムを剥がした後、現像以後の回路ライン(line)の幅と回路ライン間の空間(space)の間隔が1:1となるように回路評価用フォトマスクを使用し、ORC社製のEXM-1201(平行光露光装置)を用いて40mJ/cmの露光量に到達するまで紫外線を照射した後、15分間放置した。その後、30±1℃のNaCO 1.0wt%水溶液でスプレー圧力1.5kgf/cmで噴射方式の現像条件で最小現像時間の2倍の時間にて現像した。
現像が完了した積層体で、感光性樹脂層間の間隔の最小値をZEISS AXIOPHOT Microscopeで測定して1:1の解像度を評価した。該値が小さいほど1:1の解像度の値に優れていると評価することができる。
4.最小現像時間(単位:秒)
前記実施例1~4および比較例1および比較例2で製造されたドライフィルムフォトレジストの保護フィルムを剥がしてドライフィルムフォトレジストの感光性樹脂層がブラシ(Brush)研磨処理された1.6mm厚さの銅張積層板の銅層表面と接触するように基板予熱ロール温度120℃、ラミネートロール温度115℃、ロール圧力4.0kgf/cm、およびロール速度2.0min/mの条件でHAKUTO MACH 610iを用いてラミネートして積層体を形成した。
その後、30±1℃のNaCO 1.0wt%水溶液でスプレー圧力1.5kgf/cmで噴射方式の現像条件で現像した。
銅張積層板上の感光性樹脂層が現像液で完全に除去されるまでにかかる時間(最小現像時間)を秒時計を用いて測定した。
【表3】
上記表3から分かるように、実施例は比較例に比べて類似した水準の現像時間、細線密着力および解像度を維持し、かつフット長さが顕著に短くて現像性に優れていることを確認することができた。
【0066】
5.めっき耐性
前記実施例5~8および比較例3および比較例4で製造されたドライフィルムフォトレジストの保護フィルムを剥がしてドライフィルムフォトレジストの感光性樹脂層がブラシ(Brush)研磨処理された1.6mm厚さの銅張積層板の銅層表面と接触するように基板予熱ロール温度120℃、ラミネートロール温度115℃、ロール圧力4.0kgf/cm、およびロール速度2.0min/mの条件でHAKUTO MACH 610iを用いてラミネートして積層体を形成した。
前記積層体でドライフィルムフォトレジストの支持体であるPETフィルムを剥がした後、ORC社製のEXM-1201-F(平行光露光装置)を用いて80mJ/cmの露光量で紫外線を全面に4秒間照射した後、15分間放置した。その後、30±1℃のNaCO 1.0wt%水溶液でスプレー圧力1.5kgf/cmで噴射方式の現像条件で1分間現像した。
現像が完了した積層体を横5cm×縦5cmの大きさに切断してサンプルを製造し、当該大きさと同じのPFA素材のwafer carrierに積載した後、ニッケル水溶液のめっき液1Lに浸漬してニッケルめっきを施した。
より具体的には、ニッケルめっきは、エムケーケム&テック社製の建浴条件に合わせて塩酸系パラジウム触媒剤ICP ACCERA H水溶液(870ccの蒸留水に90ccの35%塩酸水溶液と40ccのICP ACCERA Hを投入した混合液)で25℃の条件で1分間硬化膜を浸漬した後、無電解Ni-P薬品ICP NICORON GIB水溶液(850ccの蒸留水に100ccのICP NICORON GIB-Mと50ccのICP NICORON GIB-1を投入した混合液)で80℃の条件で下表2に記載されている浸漬時間の通りそれぞれ10分、20分、30分間硬化膜を浸漬した(ニッケルめっき液は、エムケーケム&テック社からICP ACCERA H、ICP NICORON GIB-M、ICP NICORON GIB-1を購入)。
ニッケルめっきを終えたとき、光学顕微鏡のイメージを通して銅張積層板上のドライフィルムフォトレジストの密着度を把握してめっき耐性を評価し、下記表2に記載した。前記ドライフィルムフォトレジストの密着度は、下記数式4のようにニッケルめっき前の銅張積層板と接触したドライフィルムフォトレジストの感光性樹脂層の表面積に対するニッケルめっき後の銅張積層板と接触したドライフィルムフォトレジストの感光性樹脂層の表面積のパーセント比率を意味する。
【0067】
[数式4]
密着度(%)=(ニッケルめっき後の銅張積層板と接触したドライフィルムフォトレジストの感光性樹脂層の表面積/ニッケルめっき前の銅張積層板と接触したドライフィルムフォトレジストの感光性樹脂層の表面積)*100

【表4】
前記表4から分かるように、実施例は比較例に比べてENIGめっき中のニッケルめっき時の基板に対する密着力が維持するので、優れためっき耐性を有することを確認することができた。
【0068】
6.細線密着力(単位:μm)
前記実施例5~8および比較例3および比較例4で製造されたドライフィルムフォトレジストの保護フィルムを剥がしてドライフィルムフォトレジストの感光性樹脂層がブラシ(Brush)研磨処理された1.6mm厚さの銅張積層板の銅層表面と接触するように基板予熱ロール温度120℃、ラミネートロール温度115℃、ロール圧力4.0kgf/cm、およびロール速度2.0min/mの条件でHAKUTO MACH 610iを用いてラミネートして積層体を形成した。
前記積層体でドライフィルムフォトレジストの支持体であるPETフィルムを剥がした後、回路評価用フォトマスクを使用し、ORC社製のEXM-1201-F(平行光露光装置)を用いて80mJ/cmの露光量で紫外線を4秒間照射した後、15分間放置した。その後、30±1℃のNaCO 1.0wt%水溶液でスプレー圧力1.5kgf/cmで噴射方式の現像条件で1分間現像した。
現像が完了した積層体で、感光性樹脂層の最小線幅をZEISS AXIOPHOT Microscopeで測定して細線密着力を評価した。該値が小さいほど細線密着力に優れていると評価することができる。
7.1:1の解像度(単位:μm)
前記実施例5~8および比較例3および比較例4で製造されたドライフィルムフォトレジストの保護フィルムを剥がしてドライフィルムフォトレジストの感光性樹脂層がブラシ(Brush)研磨処理された1.6mm厚さの銅張積層板の銅層表面と接触するように基板予熱ロール温度120℃、ラミネートロール温度115℃、ロール圧力4.0kgf/cm、およびロール速度2.0min/mの条件でHAKUTO MACH 610iを用いてラミネートして積層体を形成した。
前記積層体でドライフィルムフォトレジストの支持体であるPETフィルムを剥がした後、現像以後の回路ライン(line)の幅と回路ライン間の空間(space)の間隔が1:1となるように回路評価用フォトマスクを使用し、ORC社製のEXM-1201-F(平行光露光装置)を用いて80mJ/cmの露光量で紫外線を4秒間照射した後、15分間放置した。その後、30±1℃のNaCO 1.0wt%水溶液でスプレー圧力1.5kgf/cmで噴射方式の現像条件で1分間現像した。
現像が完了した積層体で、感光性樹脂層間の間隔の最小値をZEISS AXIOPHOT Microscopeで測定して1:1の解像度を評価した。該値が小さいほど1:1の解像度の値に優れていると評価することができる。
【表5】
上記表5から分かるように、実施例は比較例に比べて細線密着力および解像度に優れていることを確認することができた。
【符号の説明】
【0069】
L ライン上段の線幅
S ライン間の空間の間隔
T 感光性樹脂層の厚さ
d1 底面と当接した感光性樹脂層ライン(line)の一側面とレジスト残渣がなす境界線上の一地点
d2 d1から感光性樹脂層ライン(line)の一側面に対する垂線およびd1から底面に対する垂線がなす平面によるレジスト残渣の断面が前記底面とレジスト残渣がなす境界線と接する交点
F フット長さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6