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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】検知装置、検知方法及び検知プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01S 17/89 20200101AFI20241220BHJP
   G01S 17/66 20060101ALI20241220BHJP
   G01S 17/04 20200101ALI20241220BHJP
【FI】
G01S17/89
G01S17/66
G01S17/04
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2023150814
(22)【出願日】2023-09-19
【審査請求日】2023-09-19
(73)【特許権者】
【識別番号】394013002
【氏名又は名称】三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002491
【氏名又は名称】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 紘和
(72)【発明者】
【氏名】井ノ口 裕也
(72)【発明者】
【氏名】山足 光義
(72)【発明者】
【氏名】中尾 尭理
(72)【発明者】
【氏名】西濱 令
【審査官】山下 雅人
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-014514(JP,A)
【文献】特開2020-118619(JP,A)
【文献】特開2020-076580(JP,A)
【文献】国際公開第2017/168472(WO,A1)
【文献】特開2023-086534(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48-G01S 7/51
G01S 17/00-G01S 17/95
G06T 1/00-G06T 7/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象領域に対して照射光を照射して反射点で反射した反射光を受信することにより得られた点群データを繰り返し取得する点群取得部と、
前記点群取得部によって繰り返し取得された前記点群データそれぞれを対象の点群データとし、前記対象の点群データの各点を対象の点として、前記対象領域を分割した複数のボクセルのうち対象の点の位置が含まれるボクセルに対象の点を対応付けることにより、前記対象の点群データに対応するボクセルデータを生成するボクセル化部と、
前記複数のボクセルそれぞれについて、対応付けされた点の有無に基づき、前記対象の点群データについて前記ボクセル化部によって生成された前記ボクセルデータと基準データとの間で差分がある差分セルを特定する差分特定部と
検出期間に取得された前記点群データについて前記差分特定部によって前記差分セルとして特定されたボクセルのうち、前記差分セルとして特定された割合が基準割合以上のボクセルを対象セルとして特定する蓄積処理部と、
前記蓄積処理部によって特定された前記対象セルに基づき対象物を検知する検知部と
を備える検知装置。
【請求項2】
前記差分特定部は、特定された差分セルを特定種別の物体検知装置に受け渡す
請求項1に記載の検知装置。
【請求項3】
前記差分特定部は、前記基準データで点が対応付けされたボクセルを前記差分セルとして特定せず、前記基準データでは点が対応付けされておらず、かつ、前記ボクセルデータでは点が対応付けされているボクセルを前記差分セルとして特定する
請求項1に記載の検知装置。
【請求項4】
前記差分特定部は、前記差分セルのうち、前記ボクセルデータにおいて対応付けされた点の数が基準点数以下のボクセルを前記差分セルから除外する
請求項に記載の検知装置。
【請求項5】
前記基準点数は、前記対象領域において前記点群データを取得する光センサからの距離に応じた値が設定される
請求項に記載の検知装置。
【請求項6】
前記差分特定部は、前記差分セルをクラスタリングして得られたクラスタに含まれるボクセルの数が第1ボクセル数以下のクラスタを構成するボクセルを前記差分セルから除外する
請求項に記載の検知装置。
【請求項7】
前記第1ボクセル数は、前記対象領域において前記点群データを取得する光センサからの距離に応じた値が設定される
請求項に記載の検知装置。
【請求項8】
前記検知部は、前記対象セルをクラスタリングして得られたクラスタのうち、クラスタに含まれるボクセルの数が第2ボクセル数より多いクラスタを前記対象物として検知する請求項に記載の検知装置。
【請求項9】
前記基準割合と前記第2ボクセル数との少なくともいずれかは、前記対象領域において前記点群データを取得する光センサからの距離に応じた値が設定される
請求項に記載の検知装置。
【請求項10】
前記点群取得部は、点群データを繰り返し取得し、
前記検知装置は、さらに、
繰り返し取得された前記点群データそれぞれを対象の点群データとして、前記対象の点群データに基づき特定された前記差分セルをクラスタリングして得られた1つ以上のクラスタそれぞれを、前記対象の点群データの前に取得された点群データに基づき特定された前記差分セルをクラスタリングして得られた1つ以上のクラスタのうち対応するクラスタと紐づけして移動軌跡を特定する軌跡特定部
を備える請求項1に記載の検知装置。
【請求項11】
前記検知装置は、さらに、
前記軌跡特定部によって特定された前記移動軌跡のうち、移動方向と移動速度との少なくともいずれかに基づき規定された条件を満たす前記移動軌跡を通知対象として通知する通知部
を備える請求項10に記載の検知装置。
【請求項12】
前記基準データは、前記対象領域に対象物が存在しない状態で取得された点群データに対応するボクセルデータである
請求項1に記載の検知装置。
【請求項13】
前記基準データは、前記対象の点群データの1つ前に取得された点群データに対応するボクセルデータである
請求項10に記載の検知装置。
【請求項14】
前記検知装置は、さらに、
前記対象領域のうち検知対象外とするマスク領域を設定するマスク処理部
を備え、
前記差分特定部は、前記対象領域のうち前記マスク処理部によって設定された前記マスク領域を除いた領域を構成するボクセルについて、前記ボクセルデータと前記基準データとの間で差分がある差分セルを特定する
請求項1に記載の検知装置。
【請求項15】
コンピュータが、対象領域に対して照射光を照射して反射点で反射した反射光を受信することにより得られた点群データを繰り返し取得し、
コンピュータが、繰り返し取得された前記点群データそれぞれを対象の点群データとし、前記対象の点群データの各点を対象の点として、前記対象領域を分割した複数のボクセルのうち対象の点の位置が含まれるボクセルに対象の点を対応付けることにより、前記対象の点群データに対応するボクセルデータを生成し、
コンピュータが、前記複数のボクセルそれぞれについて、対応付けされた点の有無に基づき、前記対象の点群データについての前記ボクセルデータと基準データとの間で差分がある差分セルを特定し、
コンピュータが、検出期間に取得された前記点群データについて前記差分セルとして特定されたボクセルのうち、前記差分セルとして特定された割合が基準割合以上のボクセルを対象セルとして特定し、
コンピュータが、前記対象セルに基づき対象物を検知する検知方法。
【請求項16】
対象領域に対して照射光を照射して反射点で反射した反射光を受信することにより得られた点群データを繰り返し取得する点群取得処理と、
前記点群取得処理によって繰り返し取得された前記点群データそれぞれを対象の点群データとし、取得された前記対象の点群データの各点を対象の点として、前記対象領域を分割した複数のボクセルのうち対象の点の位置が含まれるボクセルに対象の点を対応付けることにより、前記対象の点群データに対応するボクセルデータを生成するボクセル化処理と、
前記複数のボクセルそれぞれについて、対応付けされた点の有無に基づき、前記対象の点群データについて前記ボクセル化処理によって生成された前記ボクセルデータと基準データとの間で差分がある差分セルを特定する差分特定処理と
検出期間に取得された前記点群データについて前記差分特定処理によって前記差分セルとして特定されたボクセルのうち、前記差分セルとして特定された割合が基準割合以上のボクセルを対象セルとして特定する蓄積処理と、
前記蓄積処理によって特定された前記対象セルに基づき対象物を検知する検知処理と
を行う検知装置としてコンピュータを機能させる検知プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、点群データを用いて対象物を検知する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
可視光カメラを用いて置去物等の物体を検知する技術がある。可視光カメラを用いて物体を検知する場合には、夜間のように光量が不足する環境と、可視光カメラに直射日光が差し込みフレアが発生する環境とでは、物体を適切に検知できない。
【0003】
照射光を照射して反射点で反射した反射光を受信することにより点群データを収集するLiDARといった光センサがある。LiDARは、Light Detection And Rangingの略である。光センサでは、夜間のように光量が不足する環境と、可視光カメラに直射日光が差し込みフレアが発生する環境とにおいても、点群データを得ることが可能である。そこで、光センサを用いて得られた点群データに基づき対象物を検知することが検討されている。
【0004】
特許文献1には、メモリに保持された背景点群データと、現時点の点群データとを比較して、差が生じた場合に何かしらの物体が現れたと識別することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-118619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
光センサでは、照射光を常に同じ箇所に照射することは難しく、若干のずれが生じる。その結果、生成される点群データも毎回少しずつ異なる。そのため、特許文献1に記載されたように、背景点群データと現時点の点群データとを比較すると、実際には物体が現れていない部分についても物体が現れたと識別されてしまう可能性がある。
本開示は、点群データを用いて、適切に対象物を検知可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る検知装置は、
対象領域に対して照射光を照射して反射点で反射した反射光を受信することにより得られた点群データを取得する点群取得部と、
前記点群取得部によって取得された前記点群データの各点を対象の点として、前記対象領域を分割した複数のボクセルのうち対象の点の位置が含まれるボクセルに対象の点を対応付けることにより、前記点群データに対応するボクセルデータを生成するボクセル化部と、
前記複数のボクセルそれぞれについて、対応付けされた点の有無に基づき、前記ボクセル化部によって生成された前記ボクセルデータと基準データとの間で差分がある差分セルを特定する差分特定部と
を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示では、対象領域を分割した複数のボクセルに各点を対応付け、ボクセル毎に対応付けされた点の有無に基づき差分を特定する。これにより、照射光の照射位置に若干のずれが生じた場合にも、適切に対象物を検知可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る検知装置10の構成図。
図2】実施の形態1に係るボクセル定義31の説明図。
図3】実施の形態1に係る検知装置10の処理の流れを示すフローチャート。
図4】実施の形態1に係るボクセル化処理の説明図。
図5】実施の形態1に係る差分特定処理の説明図。
図6】実施の形態1に係る第1フィルタリング処理の説明図。
図7】実施の形態1に係る第2フィルタリング処理の説明図。
図8】変形例1に係る検知装置10の構成図。
図9】変形例1に係る検知装置10の処理の流れを示すフローチャート。
図10】実施の形態2に係る検知装置10の構成図。
図11】実施の形態2に係る検知装置10の処理の流れを示すフローチャート。
図12】実施の形態3に係る検知装置10の構成図。
図13】実施の形態3に係る検知装置10の処理の流れを示すフローチャート。
図14】実施の形態4に係る検知装置10の構成図。
図15】実施の形態4に係るマスク定義34の説明図。
図16】実施の形態4に係る検知装置10の処理の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
***構成の説明***
図1を参照して、実施の形態1に係る検知装置10の構成を説明する。
検知装置10は、コンピュータである。
検知装置10は、プロセッサ11と、メモリ12と、ストレージ13と、通信インタフェース14とのハードウェアを備える。プロセッサ11は、信号線を介して他のハードウェアと接続され、これら他のハードウェアを制御する。
【0011】
プロセッサ11は、プロセッシングを行うICである。ICはIntegrated Circuitの略である。プロセッサ11は、具体例としては、CPU、DSP、GPUである。CPUは、Central Processing Unitの略である。DSPは、Digital Signal Processorの略である。GPUは、Graphics Processing Unitの略である。
【0012】
メモリ12は、データを一時的に記憶する記憶装置である。メモリ12は、具体例としては、SRAM、DRAMである。SRAMは、Static Random Access Memoryの略である。DRAMは、Dynamic Random Access Memoryの略である。
【0013】
ストレージ13は、データを保管する記憶装置である。ストレージ13は、具体例としては、HDDである。HDDは、Hard Disk Driveの略である。また、ストレージ13は、SD(登録商標)メモリカード、CompactFlash(登録商標)、NANDフラッシュ、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク、DVDといった可搬記録媒体であってもよい。SDは、Secure Digitalの略である。DVDは、Digital Versatile Diskの略である。
【0014】
通信インタフェース14は、外部の装置と通信するためのインタフェースである。通信インタフェース14は、具体例としては、Ethernet(登録商標)、USB、HDMI(登録商標)のポートである。USBは、Universal Serial Busの略である。HDMIは、High-Definition Multimedia Interfaceの略である。
【0015】
検知装置10は、通信インタフェース14を介して、光センサ40と接続されている。光センサ40は、対象領域に照射光を照射して反射点で反射した反射光を受信することにより点群データ41を取得する装置である。点群データ41の各点は、照射光の照射角度と、照射光を照射してから反射光を受信するまでの時間とから、位置が特定されている。
【0016】
検知装置10は、機能構成要素として、点群取得部21と、ボクセル化部22と、差分特定部23と、検知部24とを備える。検知装置10の各機能構成要素の機能はソフトウェアにより実現される。
ストレージ13には、検知装置10の各機能構成要素の機能を実現するプログラムが格納されている。このプログラムは、プロセッサ11によりメモリ12に読み込まれ、プロセッサ11によって実行される。これにより、検知装置10の各機能構成要素の機能が実現される。
【0017】
また、ストレージ13には、ボクセル定義31が記憶される。
【0018】
図1では、プロセッサ11は、1つだけ示されていた。しかし、プロセッサ11は、複数であってもよく、複数のプロセッサ11が、各機能を実現するプログラムを連携して実行してもよい。
【0019】
***動作の説明***
図2から図7を参照して、実施の形態1に係る検知装置10の動作を説明する。
実施の形態1に係る検知装置10の動作手順は、実施の形態1に係る検知方法に相当する。また、実施の形態1に係る検知装置10の動作を実現するプログラムは、実施の形態1に係る検知プログラムに相当する。
【0020】
図2を参照して、実施の形態1に係るボクセル定義31を説明する。
ボクセル定義31は、ボクセル32を定義したデータである。ボクセル32は、対象領域33を分割した3次元の各領域である。ボクセル32のサイズは、対象領域33における位置に応じて任意に設定可能である。実施の形態1では、光センサ40からの距離が遠くなるほど、大きいサイズのボクセル32が定義されている。
【0021】
図3を参照して、実施の形態1に係る検知装置10の処理の流れを説明する。
実施の形態1では、検知装置10は対象領域33に置き去られた置去物を対象物として検知する。
【0022】
(ステップS11:点群取得処理)
点群取得部21は、光センサ40によって収集された点群データ41を取得する。
【0023】
(ステップS12:ボクセル化処理)
ボクセル化部22は、ステップS11で取得された点群データ41からボクセルデータ42を生成する。
図4を参照して具体的に説明する。ボクセル化部22は、ステップS11で取得された点群データ41の各点を対象の点に設定する。ボクセル化部22は、対象領域33を分割した複数のボクセルのうち対象の点の位置が含まれるボクセルに対象の点を対応付ける。これにより、点群データ41に対応するボクセルデータ42が生成される。
【0024】
(ステップS13:差分特定処理)
差分特定部23は、ボクセルデータ42と基準データ43との間で差分がある差分セル44を特定する。実施の形態1では、基準データ43は、背景点群データから生成されたボクセルデータ42である。つまり、基準データ43は、背景点群データに対してステップS12の処理を行うことにより生成されたボクセルデータ42である。背景点群データは、対象領域33に対象物等が存在しない状態で光センサ40によって取得された点群データ41である。
具体的には、差分特定部23は、複数のボクセル32それぞれを対象のボクセル32に設定する。差分特定部23は、対象のボクセル32について、対応付けされた点があるか否か、つまりボクセル32の点の有無に基づき、ボクセルデータ42と基準データ43との間で差分があるか否かを判定する。差分特定部23は、差分がある場合には、そのボクセル32を差分セル44として特定する。
ここでは、図5に示すように、差分特定部23は、対象のボクセル32について、基準データ43では点が対応付けされておらず、かつ、ボクセルデータ42では点が対応付けされている場合に、差分セル44として特定する。つまり、差分特定部23は、基準データ43で点が対応付けされたボクセル32については、対応付けされた点の数が異なっていても差分セル44として特定しない。
【0025】
(ステップS14:第1フィルタリング処理)
差分特定部23は、ステップS13で特定された差分セル44のうち、ボクセルデータ42において対応付けされた点の数が基準点数以下のボクセル32を差分セル44から除外する。
例えば、基準点数を2とする。この場合には、図6に示すように、ボクセルデータ42において対応付けされた点の数が2以下のボクセル32については、差分セル44から除外される。図6では、真ん中のボクセル32は、対応付けされた点の数が2個であるため、差分セル44から除外される。一方、下のボクセル32は、対応付けされた点の数が3個であるため、差分セル44のまま残される。
【0026】
(ステップS15:第2フィルタリング処理)
差分特定部23は、ステップS14で除外されずに残っている差分セル44をクラスタリングしてクラスタ45を形成する。クラスタリングの方法は、近接する差分セル44を同一クラスタにする等、既存のクラスタリング技術を用いればよい。差分特定部23は、得られたクラスタ45に含まれるボクセル32の数が第1ボクセル数以下のクラスタ45を構成するボクセル32を差分セル44から除外する。
例えば、第1ボクセル数を5とする。この場合には、図7に示すように、ボクセル32の数が4であるクラスタ45Bを構成するボクセル32は差分セル44から除外される。一方、ボクセル32の数が10であるクラスタAを構成するボクセル32は差分セル44のまま残される。
【0027】
(ステップS16:検知処理)
検知部24は、差分特定部23によって特定された差分セル44に基づき対象物を検知する。つまり、検知部24は、ステップS15で除外されずに残っている差分セル44に基づき対象物を検知する。例えば、検知部24は、ステップS15で除外されなかった差分セル44によって構成されたクラスタ45を対象物として検知する。
図3を用いて説明した処理の流れの中で、ボクセル32のサイズ同様に、第1ボクセス数及び基準点数の数を光センサ40からの距離は遠くなるほど、少なく設定してもよい。このとき第1ボクセス数及び基準点数の設定は、ボクセル32のサイズの設定と連動してもよいし、しなくてもよい。第1ボクセス数又は基準点数の数、どちらか一方だけの設定でもよい。また、第1ボクセス数及び基準点数の設定は、光センサ40からの距離が遠くなるほど、多く設定してもよい。
つまりボクセル32のサイズ、第1ボクセス数及び基準点数は、光センサ40からの距離に応じた値を設定することができる。
【0028】
***実施の形態1の効果***
以上のように、実施の形態1に係る検知装置10は、対象領域33を分割した複数のボクセル32に点群データ41の各点を対応付け、ボクセル32毎に対応付けされた点の有無に基づき差分を特定して、対象物を検知する。
光センサ40は、照射光を常に同じ箇所に照射することは難しく、若干のずれが生じる。その結果、生成される点群データ41も毎回少しずつ異なる。そのため、単純に点群データ41を基準データ43と比較すると、様々な箇所で差分が生じしてしまい、適切に対象物を検知することが難しい。
実施の形態1に係る検知装置10は、ボクセル32毎に比較を行う。これにより、照射光の照射位置に若干のずれが生じた場合にも、差分として現れづらくなる。その結果、適切に対象物を検知可能である。
【0029】
光センサ40から遠いほど、光センサ40が光を照射する角度が少しずれただけで、反射点の位置が大きくずれる。そのため、光センサ40から遠いほど、照射光のずれが生じ易い。
実施の形態1では、光センサ40からの距離が遠くなるほど、ボクセル32のサイズが大きい。そのため、光センサ40からの距離が遠い領域でも、照射光の照射位置のずれが差分として現れづらくなり、適切に対象物を検知可能である。
【0030】
背景点群データを取得するときに、光センサ40の前を物体が横切る場合がある。この場合には、ボクセルデータ42には点群が存在せず、背景点群データから生成された基準データ43には点群が存在するボクセル32が多く出現する。
実施の形態1に係る検知装置10では、基準データ43で点が対応付けされたボクセル32を差分セル44として特定しない。実施の形態1に係る検知装置10は、基準データ43では点が対応付けされておらず、かつ、ボクセルデータ42では点が対応付けされているボクセル32を差分セル44として特定する。そのため、光センサ40の前を横切った物体が検知されないようにすることが可能である。
【0031】
風又は振動により、草木又は構造物が検出される位置がずれることがある。このようなずれについては、ボクセル化だけでは吸収しきれないことがある。
実施の形態1に係る検知装置10は、点の数が基準点数以下のボクセル32を差分セル44から除外する。また、実施の形態1に係る検知装置10は、ボクセル32の数が第1ボクセル数以下のクラスタ45を構成するボクセル32を差分セル44から除外する。これにより、風又は振動により現れた点群が差分セル44として特定され難くなる。その結果、適切に対象物を検知可能である。
【0032】
***他の構成***
<変形例1>
実施の形態1では、検知装置10の機能構成要素である検知部24が、最終的な対象物の検知を実行した。しかし、最終的な対象物の検知については、検知装置10の外部の装置である特定種別の物体検知装置で実行するように構成してもよい。つまり、検知装置10は、最終的な対象物の検知を行うための情報である差分セル44を生成する処理まで行い、最終的な対象物の検知は外部の装置で実行されるように構成してもよい。
【0033】
図8を参照して、変形例1に係る検知装置10の構成を説明する。
検知装置10は、機能構成要素としては、図1に示す検知装置10と異なり、検知部24を備えていない。また対象物の検知は、特定種別の物体検知装置により行われる。特定種別とは、人物、車両等である。実施の形態3では、特定種別が人物であるとして、人物検知装置に差分セル44を出力する例について説明する。
【0034】
図9を参照して、変形例1に係る検知装置10の処理の流れを説明する。
ステップS21からステップS25の処理は、図3のステップS11からステップS15の処理と同じである。
【0035】
(ステップS26:検知結果出力処理)
差分特定部23は、差分セル44の情報を人物検知装置に引き渡す。
人物検知装置は、差分セル44の情報をインプット情報として、人物か否かの判定、人物と判定した場合は、人物の位置を判定する。
以上のように、変形例1に係る検知装置10は、対象物の検知と、種別の判定は特定種別の物体検知装置により行われる。そのため、特定種別の物体検知装置、例えば人検知装置側の処理が軽くなるという効果が得られる。また人検知装置側の誤検知が抑制される効果も期待できる。
【0036】
実施の形態2.
実施の形態2は、差分セル44の特定を一定期間繰り返し行った上で対象物を検知する点が実施の形態1と異なる。実施の形態2では、この異なる点を説明し、同一の点については説明を省略する。
【0037】
***構成の説明***
図10を参照して、実施の形態2に係る検知装置10の構成を説明する。
検知装置10は、機能構成要素として、蓄積処理部25を備える点が図1に示す検知装置10と異なる。蓄積処理部25の機能は、他の機能と同様に、ソフトウェアによって実現される。
【0038】
***動作の説明***
図11を参照して、実施の形態2に係る検知装置10の処理の流れを説明する。
基準間隔毎に図11の処理が繰り返し実行される。ステップS31からステップS35の処理は、図3のステップS11からステップS15の処理と同じである。
【0039】
(ステップS36:蓄積処理)
蓄積処理部25は、ステップS35で除外されずに差分セル44として残っているボクセル32をメモリ12に記録する。
【0040】
(ステップS37:高割合セル特定処理)
蓄積処理部25は、差分セル44として記録された割合が基準割合以上のボクセル32を対象セル46として特定する。
具体的には、直近基準期間に図11に示す処理が実行された回数をTとする。蓄積処理部25は、各ボクセル32を対象のボクセル32に設定する。蓄積処理部25は、直近基準期間に、対象のボクセル32が差分セル44として記録された回数Cを特定する。蓄積処理部25は、回数Cを回数Tで除して、対象のボクセル32について、直近基準期間に差分セル44として記録された割合Rを計算する。蓄積処理部25は、割合Rが基準割合α以上である場合には、対象のボクセル32を対象セル46として特定する。
【0041】
基準割合αは、対象領域33における位置に応じた値が設定されてもよい。ここでは、基準割合αは、対象領域333において光センサ40からの距離が遠いほど低い値が設定される。
【0042】
(ステップS38:クラスタリング処理)
検知部24は、ステップS37で特定された対象セル46をクラスタリングしてクラスタ47を形成する。クラスタリングの方法は、近接する差分セル44を同一クラスタにする等、既存のクラスタリング技術を用いればよい。
【0043】
(ステップS39:検知処理)
検知部24は、ステップS38で形成されたクラスタ47のうち条件を満たすクラスタ47を対象物として検知する。
具体的には、検知部24は、以下の条件1,2の両方を満たすクラスタ47を対象物として検知する。条件1は、クラスタ47に含まれるボクセル32の数が第2ボクセル数より多いという条件である。条件2は、クラスタ47のサイズが基準サイズより大きいという条件である。クラスタ47のサイズは、垂直方向、水平方向、奥行方向のいずれか、又は垂直方向、水平方向、奥行方向少なくとも2つ以上の組合せである。
ここで第2ボクセル数は第1ボクセル数と同じ値でもよいし、違う値でもよい。また第2ボクセル数も第1ボクセル数同様に、光センサ40からの距離は遠くなるほど、少なく設定してもよい。このとき第2ボクセス数の設定は、ボクセル32のサイズの設定と連動してもよいし、しなくてもよい。また光センサ40からの距離は遠くなるほど、多く設定してもよい。つまり第2ボクセス数は、光センサ40からの距離に応じた値を設定することができる。
【0044】
***実施の形態2の効果***
以上のように、実施の形態2に係る検知装置10は、差分セル44の特定を一定期間繰り返し行った上で対象物を検知する。これにより、対象物である置去物を適切に検知可能である。
【0045】
実施の形態2に係る検知装置10は、差分セル44として記録された割合Rが基準割合α以上のボクセル32を用いて対象物を検知する。差分セル44として記録された割合を用いることで、対象物が物陰に隠れる等の一時的な遮蔽があっても検知可能である。
【0046】
実施の形態2では、基準割合αは、対象領域333において光センサ40からの距離が遠いほど低い値が設定される。これにより、遠い位置ほど、割合Rが低くても対象物として検知されることになる。遠い位置の方が遮蔽が起こり易いといった理由から、点群が精度よく取得できない傾向がある。そのため、遠い位置ほど、割合Rが低くても対象物として検知されることで、遠い位置にある対象物の検知漏れが防止され易くなる。一方、近い位置にある場合には、基準割合αが高くなることで、対象物であると誤検知してしまうことが防止され易くなる。
【0047】
実施の形態3.
実施の形態3は、対象物の移動軌跡を特定する点が実施の形態1と異なる。実施の形態3では、この異なる点を説明し、同一の点については説明を省略する。
【0048】
***構成の説明***
図12を参照して、実施の形態3に係る検知装置10の構成を説明する。
検知装置10は、機能構成要素として、検知部24に代えて、軌跡特定部28と、通知部29とを備える点が図1に示す検知装置10と異なる。軌跡特定部28と通知部29との機能は、他の機能と同様に、ソフトウェアによって実現される。
【0049】
***動作の説明***
図13を参照して、実施の形態3に係る検知装置10の処理の流れを説明する。
実施の形態3では、検知装置10は対象領域33を移動する移動体を対象物として検知する。
【0050】
基準間隔毎にステップS41からステップS45の処理が繰り返し実行される。ステップS41からステップS45の処理は、図3のステップS11からステップS15の処理と同じである。但し、ステップS45では、特定されたクラスタ45を一定時間だけメモリ12に記録しておく。
【0051】
(ステップS46:軌跡特定処理)
軌跡特定部28は、直近のステップS45で特定されたクラスタ45を、1周期前に実行されたステップS45で特定されたクラスタ45のうち対応するクラスタ45と紐づけして移動軌跡を特定する。
具体的には、軌跡特定部28は、直近のステップS45で特定されたクラスタ45の位置と、前に実行されたステップS45で特定されたクラスタ45とを比較する。軌跡特定部28は、対象物の移動方向及び速度から想定される位置関係である場合には、両クラスタ45は同じ対象物であると判定する。この際、軌跡特定部28は、両クラスタ45のサイズの差異が上限値未満であるという条件も考慮して、両クラスタ45が同じ対象物であるか否かを判定してもよい。
【0052】
(ステップS47:通知処理)
通知部29は、ステップS46で特定された移動軌跡を通知する。
具体的には、通知部29は、移動方向が同じである、移動速度が一定であるといった移動体としての特徴を有することの条件を満たしている移動軌跡を特定する。そして、特定された移動軌跡を通知する。例えば、通知部29は、特定された移動軌跡を示した表示を行う等して通知する。
【0053】
***実施の形態3の効果***
以上のように、実施の形態3に係る検知装置10は、対象物の移動軌跡を特定して通知する。これにより、移動体を検知しつつ、移動軌跡を特定することが可能である。
【0054】
実施の形態3に係る検知装置10は、移動体としての特徴を有することの条件を満たしている移動軌跡のみを通知する。これにより、通知部29は、草木の揺れのように同じ範囲を不規則な方向に動き続けているような対象物を除外した上で通知できる。
【0055】
***他の構成***
<変形例2>
実施の形態1では、基準データ43として背景点群データから生成されたボクセルデータ42を用いた。実施の形態3では、基準データ43として1周期前にステップS42で生成されたボクセルデータ42を用いてもよい。これにより、事前に背景点群データを取得する、背景点群データを定期的に更新するといった処理を省略可能である。
【0056】
実施の形態4.
実施の形態4は、対象領域33の中に対象物を検知しない領域を設定する点が実施の形態1~4と異なる。実施の形態4では、この異なる点を説明し、同一の点については説明を省略する。
実施の形態4では、実施の形態1に機能を追加した場合を説明する。しかし、実施の形態2~4に機能を追加することも可能である。
【0057】
***構成の説明***
図14を参照して、実施の形態4に係る検知装置10の構成を説明する。
検知装置10は、機能構成要素として、マスク処理部30を備える点が図1に示す検知装置10と異なる。マスク処理部30の機能は、他の機能と同様に、ソフトウェアによって実現される。
また、ストレージ13には、マスク定義34が記憶される。
【0058】
***動作の説明***
図15を参照して、実施の形態4に係るマスク定義34を説明する。
マスク定義34は、対象領域33のうち検知対象外とする領域を示す。例えば、地面に置かれた物体が対象物の場合には、地面からある程度離れた空中の領域が検知対象外とする領域に設定される。
なお、マスク定義34は、検知対象外とする領域の指定を受け付けて設定されてもよい。あるいは、マスク定義34は、ある領域のうち対象領域33とする領域の指定を受け付け、指定されなかった領域が検知対象外とする領域として設定されてもよい。
【0059】
図16を参照して、実施の形態4に係る検知装置10の処理の流れを説明する。
ステップS51の処理は、図3のステップS11の処理と同じである。ステップS55からステップS57の処理は、図3のステップS14からステップS16の処理と同じである。
【0060】
(ステップS52:マスク処理)
マスク処理部30は、対象領域33のうちマスク定義34が示す領域をマスク領域に設定する。
【0061】
(ステップS53:ボクセル化処理)
ボクセル化部22は、図3のステップS12と同様に、点群データ41からボクセルデータ42を生成する。この際、ボクセル化部22は、ステップS52で設定されたマスク領域の除いた対象領域33のボクセル32に対してのみ点を対応付ける。
【0062】
(ステップS54:差分特定処理)
差分特定部23は、図3のステップS13と同様に、ボクセルデータ42と基準データ43との間で差分がある差分セル44を特定する。この際、差分特定部23は、ステップS52で設定されたマスク領域の除いた対象領域33を構成するボクセル32についてのみ比較を行い、差分セル44を特定する。
【0063】
***実施の形態4の効果***
以上のように、実施の形態4に係る検知装置10は、マスク領域を設定して、マスク領域を除いた対象領域33のみを対象として対象物を検知する。これにより、計算負荷の低減を図ることが可能である。また、不要な誤検知を抑制することが可能である。
【0064】
***他の構成***
<変形例3>
実施の形態1では、各機能構成要素がソフトウェアで実現された。しかし、変形例3として、各機能構成要素はハードウェアで実現されてもよい。この変形例3について、実施の形態1と異なる点を説明する。
【0065】
各機能構成要素がハードウェアで実現される場合には、検知装置10は、プロセッサ11とメモリ12とストレージ13とに代えて、電子回路15を備える。電子回路15は、各機能構成要素と、メモリ12と、ストレージ13との機能とを実現する専用の回路である。
【0066】
電子回路15としては、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ロジックIC、GA、ASIC、FPGAが想定される。GAは、Gate Arrayの略である。ASICは、Application Specific Integrated Circuitの略である。FPGAは、Field-Programmable Gate Arrayの略である。
各機能構成要素を1つの電子回路15で実現してもよいし、各機能構成要素を複数の電子回路15に分散させて実現してもよい。
【0067】
<変形例4>
変形例4として、一部の各機能構成要素がハードウェアで実現され、他の各機能構成要素がソフトウェアで実現されてもよい。
【0068】
プロセッサ11とメモリ12とストレージ13と電子回路15とを処理回路という。つまり、各機能構成要素の機能は、処理回路により実現される。
【0069】
また、以上の説明における「部」を、「回路」、「工程」、「手順」、「処理」又は「処理回路」に読み替えてもよい。
【0070】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1) 対象領域に対して照射光を照射して反射点で反射した反射光を受信することにより得られた点群データを取得する点群取得部と、
前記点群取得部によって取得された前記点群データの各点を対象の点として、前記対象領域を分割した複数のボクセルのうち対象の点の位置が含まれるボクセルに対象の点を対応付けることにより、前記点群データに対応するボクセルデータを生成するボクセル化部と、
前記複数のボクセルそれぞれについて、対応付けされた点の有無に基づき、前記ボクセル化部によって生成された前記ボクセルデータと基準データとの間で差分がある差分セルを特定する差分特定部と
を備える検知装置。
(付記2)
前記検知装置は、さらに、
前記差分特定部によって特定された前記差分セルに基づき対象物を検知する検知部
を備える付記1に記載の検知装置。
(付記3)
前記差分特定部は、特定された差分セルを特定種別の物体検知装置に受け渡す
付記1に記載の検知装置。
(付記4)
前記差分特定部は、前記基準データで点が対応付けされたボクセルを前記差分セルとして特定せず、前記基準データでは点が対応付けされておらず、かつ、前記ボクセルデータでは点が対応付けされているボクセルを前記差分セルとして特定する
付記1に記載の検知装置。
(付記5)
前記差分特定部は、前記差分セルのうち、前記ボクセルデータにおいて対応付けされた点の数が基準点数以下のボクセルを前記差分セルから除外する
付記4に記載の検知装置。
(付記6)
前記基準点数は、前記対象領域において前記点群データを取得する光センサからの距離に応じた値が設定される
付記5に記載の検知装置。
(付記7)
前記差分特定部は、前記差分セルをクラスタリングして得られたクラスタに含まれるボクセルの数が第1ボクセル数以下のクラスタを構成するボクセルを前記差分セルから除外する
付記4に記載の検知装置。
(付記8)
前記第1ボクセル数は、前記対象領域において前記点群データを取得する光センサからの距離に応じた値が設定される
付記7に記載の検知装置。
(付記9)
前記点群取得部は、点群データを繰り返し取得し、
前記検知装置は、さらに、
検出期間に取得された前記点群データに基づき前記差分セルとして特定されたボクセルのうち、前記差分セルとして特定された割合が基準割合以上のボクセルを対象セルとして特定する蓄積処理部
を備え、
前記検知部は、前記蓄積処理部によって特定された前記対象セルに基づき対象物を検知する
付記2に記載の検知装置。
(付記10)
前記検知部は、前記対象セルをクラスタリングして得られたクラスタのうち、クラスタに含まれるボクセルの数が第2ボクセル数より多いクラスタを前記対象物として検知する付記9に記載の検知装置。
(付記11)
前記基準割合と前記第2ボクセル数との少なくともいずれかは、前記対象領域において前記点群データを取得する光センサからの距離に応じた値が設定される
付記10に記載の検知装置。
(付記12)
前記点群取得部は、点群データを繰り返し取得し、
前記検知装置は、さらに、
繰り返し取得された前記点群データそれぞれを対象の点群データとして、前記対象の点群データに基づき特定された前記差分セルをクラスタリングして得られた1つ以上のクラスタそれぞれを、前記対象の点群データの前に取得された点群データに基づき特定された前記差分セルをクラスタリングして得られた1つ以上のクラスタのうち対応するクラスタと紐づけして移動軌跡を特定する軌跡特定部
を備える付記1に記載の検知装置。
(付記13)
前記検知装置は、さらに、
前記軌跡特定部によって特定された前記移動軌跡のうち、移動方向と移動速度との少なくともいずれかに基づき規定された条件を満たす前記移動軌跡を通知対象として通知する通知部
を備える付記12に記載の検知装置。
(付記14)
前記基準データは、前記対象領域に前記対象物が存在しない状態で取得された点群データに対応するボクセルデータである
付記1に記載の検知装置。
(付記15)
前記基準データは、前記対象の点群データの1つ前に取得された点群データに対応するボクセルデータである
付記12に記載の検知装置。
(付記16)
前記検知装置は、さらに、
前記対象領域のうち検知対象外とするマスク領域を設定するマスク処理部
を備え、
前記差分特定部は、前記対象領域のうち前記マスク処理部によって設定された前記マスク領域を除いた領域を構成するボクセルについて、前記ボクセルデータと前記基準データとの間で差分がある差分セルを特定する
付記1に記載の検知装置。
(付記17)
コンピュータが、対象領域に対して照射光を照射して反射点で反射した反射光を受信することにより得られた点群データを取得し、
コンピュータが、前記点群データの各点を対象の点として、前記対象領域を分割した複数のボクセルのうち対象の点の位置が含まれるボクセルに対象の点を対応付けることにより、前記点群データに対応するボクセルデータを生成し、
コンピュータが、前記複数のボクセルそれぞれについて、対応付けされた点の有無に基づき、前記ボクセルデータと基準データとの間で差分がある差分セルを特定する検知方法。
(付記18)
対象領域に対して照射光を照射して反射点で反射した反射光を受信することにより得られた点群データを取得する点群取得処理と、
前記点群取得処理によって取得された前記点群データの各点を対象の点として、前記対象領域を分割した複数のボクセルのうち対象の点の位置が含まれるボクセルに対象の点を対応付けることにより、前記点群データに対応するボクセルデータを生成するボクセル化処理と、
前記複数のボクセルそれぞれについて、対応付けされた点の有無に基づき、前記ボクセル化処理によって生成された前記ボクセルデータと基準データとの間で差分がある差分セルを特定する差分特定処理と
を行う検知装置としてコンピュータを機能させる検知プログラム。
【0071】
以上、本開示の実施の形態及び変形例について説明した。これらの実施の形態及び変形例のうち、いくつかを組み合わせて実施してもよい。また、いずれか1つ又はいくつかを部分的に実施してもよい。なお、本開示は、以上の実施の形態及び変形例に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0072】
10 検知装置、11 プロセッサ、12 メモリ、13 ストレージ、14 通信インタフェース、21 点群取得部、22 ボクセル化部、23 差分特定部、24 検知部、25 蓄積処理部、26 位置取得部、27 種別判定部、28 軌跡特定部、29 通知部、30 マスク処理部、31 ボクセル定義、32 ボクセル、33 対象領域、34 マスク定義、40 光センサ、41 点群データ、42 ボクセルデータ、43 基準データ、44 差分セル、45 クラスタ、46 対象セル、47 クラスタ。
【要約】
【課題】点群データを用いて、適切に対象物を検知可能にする。
【解決手段】点群取得部21は、対象領域に対して照射光を照射して反射点で反射した反射光を受信することにより得られた点群データを取得する。ボクセル化部22は、点群データの各点を対象の点として、対象領域を分割した複数のボクセルのうち対象の点の位置が含まれるボクセルに対象の点を対応付けることにより、点群データに対応するボクセルデータを生成する。差分特定部23は、複数のボクセルそれぞれについて、対応付けされた点の有無に基づき、ボクセルデータと基準データとの間で差分がある差分セルを特定する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16