(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】流体排出装置、及びこの装置を備えた内燃機関
(51)【国際特許分類】
F02M 35/10 20060101AFI20241220BHJP
F02B 29/04 20060101ALI20241220BHJP
【FI】
F02M35/10 301J
F02B29/04 P
(21)【出願番号】P 2023160228
(22)【出願日】2023-09-25
【審査請求日】2023-09-25
(73)【特許権者】
【識別番号】390033042
【氏名又は名称】ダイハツディーゼル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100196346
【氏名又は名称】吉川 貴士
(72)【発明者】
【氏名】星野 祐馬
【審査官】小関 峰夫
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-77852(JP,A)
【文献】特開2000-130172(JP,A)
【文献】特開2013-221441(JP,A)
【文献】特開2022-018274(JP,A)
【文献】実開昭59-125664(JP,U)
【文献】実開平01-066430(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 29/04
F02M 35/00
F16K 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
流体系に接続されて前記流体系を流動する流体を前記筐体の内部に案内可能な案内路と、
前記流体から受ける圧力に応じて前記案内路の開口部を閉塞状態と開放状態とに切替え可能な切替え部とを備えた流体排出装置において、
前記切替え部のうち前記切替え動作を行う動作部に、前記筐体を貫通する
二つの貫通部が設けられており、
前記
二つの貫通部は、前記動作部に固定され
るとともに、前記案内路の開口部の開口方向から見たときの前記筐体において、前記開口部を間に挟むように該開口部の両側位置を貫通している、流体排出装置。
【請求項2】
筐体と、
流体系に接続されて前記流体系を流動する流体を前記筐体の内部に案内可能な案内路と、
前記流体から受ける圧力に応じて前記案内路の開口部を閉塞状態と開放状態とに切替え可能な切替え部とを備えた流体排出装置において、
前記切替え部のうち前記切替え動作を行う動作部に、前記筐体を貫通する貫通部が設けられており、
前記貫通部は、前記動作部に固定されて
おり、
前記切替え部は、
前記動作部と、
前記動作部を閉塞状態時の位置に向けて付勢する付勢部と、
前記付勢部における前記動作部と反対側の端部と当接し、付勢方向に沿って移動可能な受け部と、
前記受け部の前記付勢方向の移動をガイドするガイド部と、を有する、流体排出装置。
【請求項3】
前記切替え部は、前記受け部の前記付勢方向の位置を調整することで前記付勢部による付勢力の大きさを調整可能な付勢力調整部を有する、請求項
2に記載の流体排出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体排出装置、及びこの装置を備えた内燃機関に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばディーゼルエンジンなどの内燃機関には、吸気口から取り込んだ外気(空気)を各シリンダの燃焼室に供給するための吸気路が設けられている。また、この吸気路の吸気口よりも下流側には過給機のコンプレッサが設けられ、コンプレッサよりも下流側にインタークーラが設けられている。そして、コンプレッサと同軸に連結された過給機のタービンが排気ガスの流れを受けて回転することでコンプレッサを作動させる。これにより、取り込んだ空気が圧縮されると共に、圧縮された空気がインタークーラにより冷却されて燃焼室に供給されるようになっている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
また、内燃機関の吸気路に凝縮水が溜まる場合、この溜まった凝縮水を吸気路の外に排出するための排出装置(ドレンボックス、ドレン装置のように称されることもある。)を設けることがある。例えば特許文献2には、吸気路を構成する吸気マニホールドの下部に開口するドレン管と、ドレン管の下端開口部が収容されるケースと、ケース内に配設され、ドレン管の下端開口部を閉塞又は開放するフラップ弁と、フラップ弁を閉塞状態に付勢するコイルばねとを備えた凝縮水の排出装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-234733号公報
【文献】特開2013-221441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、この種の排出装置においては、安全性を担保するために、排出装置が適正に作動しているかの確認を定期的に行う必要がある。あるいは、凝縮水等に含まれる異物がフラップ弁などの可動部分に付着することで排出装置の作動が妨げられていないかどうかを定期的に確認する必要がある。しかしながら、排出装置はその構造上、フラップ弁などの可動部分を外部から確認することができないため、排出装置の動作確認や異物付着の確認を行うためには、排出装置をその都度分解せざるを得ないのが現状であった。
【0006】
上述した問題は何も内燃機関の吸気路に接続される排出装置に限った問題ではなく、流体を必要に応じて排出するための装置全てについて起こり得る。
【0007】
以上の事情に鑑み、本明細書では、分解作業等の手間をかけることなく容易に装置内部の動作確認を行うことのできる流体排出装置を提供することを、解決すべき技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題の解決は、本発明に係る流体排出装置によって達成される。すなわち、この流体放出装置は、筐体と、流体系に接続されて流体系を流動する流体を筐体の内部に案内可能な案内路と、流体から受ける圧力に応じて案内路の開口部を閉塞状態と開放状態とに切替え可能な切替え部とを備えた流体排出装置において、切替え部のうち切替え動作を行う動作部に、筐体を貫通する貫通部が設けられている点をもって特徴付けられる。
【0009】
このように本発明に係る流体排出装置では、案内路の開口部を閉塞状態と開放状態とに切替え可能な切替え部のうち切替え動作を行う動作部に、筐体を貫通する貫通部を設けるようにした。このように構成することで、貫通部のうち筐体を貫通した部分が筐体の外部から視認され得る。ここで貫通部は切替え部の動作部に設けられていることから、切替え部の切替え動作に伴い貫通部のうち外部から視認され得る部分も所定の動作を生じる。よって、案内路の開口部が開放された状態と閉塞された状態の何れであるかを、言い換えると切替え部が正常に動作しているか否かを目視で容易に確認することが可能となる。
【0010】
また、本発明に係る流体排出装置において、貫通部が、動作部の動作方向と平行な向きに筐体を貫通してもよい。
【0011】
流体排出装置(特に切替え部)の構造上、動作部の切替え動作に係る動作量はわずかであるため、案内路の開口部を閉塞した状態と開放した状態とで、貫通部の位置はあまり変わらない。そのため、目視によっては、閉塞状態と開放状態の何れであるかを判別することが難しい場合が考えられる。これに対して、貫通部が、動作部の動作方向と平行な向きに筐体を貫通するように構成すれば、貫通部をできる限り大きく移動させることができるので、貫通部のうち筐体を貫通した部分を見るだけで閉塞状態と開放状態の何れであるかを容易に判別することが可能となる。
【0012】
また、本発明に係る流体排出装置において、貫通部はピン形状をなしてもよい。また、この場合、筐体には、貫通部を嵌合可能な嵌合穴が設けられてもよい。
【0013】
このように貫通部をピン形状とした場合、筐体に貫通部を嵌合可能な嵌合穴を設けることで、動作部の切替え動作に伴う貫通部の移動を嵌合穴でガイドすることができる。これにより、ピン形状をなす貫通部を案内するための機構を別途設けずに済むので、流体排出装置の簡素化ひいては低コスト化が可能となる。
【0014】
また、本発明に係る流体排出装置において、切替え部は、動作部と、動作部を閉塞状態時の位置に向けて付勢する付勢部とを有し、貫通部が、付勢部による動作部の付勢方向と同じ向きに筐体を貫通してもよい。
【0015】
この種の流体放出装置においては、排出すべき流体に異物が混入しており、この混入していた異物が切替え部の動作部と案内路の開口部との当接部分に付着することで、動作部が開口部に固着した状態になることがあり得る。このような場合、本来であれば付勢力に抗して開放状態時の位置に動作部が変位可能な大きさの圧力が作用した場合であっても、動作部が変位できない場合が想定され得る。ここで、上述のように貫通部が、付勢部による動作部の付勢方向と同じ向きに筐体を貫通した形態をとる場合、貫通部のうち筐体の外部に突出している部分を筐体に向けて押し込むことで、動作部を付勢力に抗して閉塞状態時の位置から開放状態時の位置に向けて移動させることができる。よって、上述の如き理由で動作部が変位できない状況下においても簡単な操作で、容易に切替え部を正常な作動状態に戻すことが可能となる。
【0016】
また、本発明に係る流体排出装置において、流体系は内燃機関の吸気路で構成されてもよい。この場合、案内路の一端部は吸気路の下部に開口しており、かつ案内路の他端部は筐体の内部で下方に向けて開口してもよい。
【0017】
内燃機関の吸気路には、燃焼室に至る吸気の過程で給気ガスから凝縮水が発生することがある。よって、案内路の一端部を吸気路の下部に開口することで、吸気路で発生した凝縮水を漏れなくかつ効率的に回収することができる。加えて、案内路の他端部を筐体の内部で下方に向けて開口させた形態とすることで、回収した凝縮水が案内路内に残存する事態を回避して当該凝縮水を漏れなく確実に排出することが可能となる。
【0018】
また、この場合、貫通部は、筐体を上方に向けて貫通していてもよい。
【0019】
案内路を通じて筐体の内部に案内された凝縮水は、案内路の開口部が開放されたときに筐体の下部に流れ落ちる。そのため、仮に貫通部が筐体の底部を下方に向けて貫通していた場合、貫通部に凝縮水が接触して貫通部の腐食などを招くおそれが生じる。これに対して、上述のように貫通部が筐体を上方に向けて貫通した構成とすることによって、貫通部は筐体の上部を貫通する。よって、仮に案内路の開口部を通じて凝縮水が筐体の内部に放出された場合であっても、凝縮水が貫通部と接触する事態を回避することができ、凝縮水との接触により起こり得る不具合を防止することが可能となる。
【0020】
また、この場合、本発明に係る流体排出装置は、この流体排出装置と、吸気路が接続される燃焼室と、燃焼室の少なくとも一部を構成するシリンダブロックとを備え、流体排出装置がシリンダブロックの側壁部に取付けられている内燃機関として好適に提供することが可能である。
【0021】
燃焼機関において、燃焼室は、通常、シリンダブロックの上部に配設される。一方で、燃焼室はシリンダブロックの前後方向の複数箇所に配設されることから、吸気路はシリンダブロックの前後方向に延び、これら燃焼室の側方に配設される場合が多い。よって、流体排出装置をシリンダブロックの側壁部に取付けるようにすれば、吸気路の下方位置に流体排出装置を配設できるので、容易に吸気路の下部と流体排出装置の上部とを案内路で接続することができる。また、シリンダブロックの側壁部への取付けであれば後付けで流体排出装置を取付けることができ、汎用性の点でも好ましい。また、シリンダブロックの側壁部に取付けるのであれば、流体排出装置の下部にホースなどの排出管を取付けるスペースも確保し易い。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明によれば、分解作業等の手間をかけることなく容易に装置内部の動作確認を行うことのできる流体排出装置、及びこの装置を備えた内燃機関を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施形態に係る内燃機関の断面図である。
【
図2】
図1に示す流体排出装置の断面図で、案内部の開口部が閉塞された状態を示す断面図である。
【
図3】
図1に示す流体排出装置の断面図で、案内部の開口部が開放された状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態に係る流体排出装置、及びこの装置を備えた内燃機関の内容を図面に基づいて説明する。なお、本実施形態では、内燃機関として、船舶の発電用モータに回転力を供給する用途として使用され、又は船舶のプロペラ軸を回転させる用途として使用されるディーゼルエンジンを例にとって説明する。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態に係る内燃機関10の断面図を示している。
図1に示すように、この内燃機関10は、燃焼により動力を取り出すためのものであり、主として、直列に配置された複数のシリンダ11と、シリンダ11の上部に配置されたシリンダヘッド12と、シリンダ11に沿って往復運動可能に支持されたピストン13と、各シリンダ11の燃焼室14に燃料を噴霧するためのインジェクタ15と、出力軸(図示は省略)に連結されたクランク軸16と、各ピストン13の往復運動をクランク軸16の回転運動に変換するコンロッド17と、各燃焼室14に圧縮空気を供給するための吸気路18及び過給機19と、過給機19のコンプレッサで圧縮された空気を冷却するためのインタークーラ(図示は省略)と、インジェクタ15に燃料を供給するための燃料ポンプ20と、流体排出装置21とを備える。
【0026】
吸気路18は、インタークーラにその下流側で接続される吸気マニホールド22と、吸気マニホールド22に接続され、各シリンダ11の燃焼室14に開口する吸気ダクト23とを有する。これにより、過給機19で圧縮され、かつインタークーラで冷却された空気が、吸気マニホールド22から各シリンダ11の燃焼室14に向けて分岐した吸気ダクト23を通じて各燃焼室14に供給され得る。
【0027】
本実施形態では、上述した構成要素のうち、シリンダ11、シリンダヘッド12、吸気マニホールド22、及び吸気ダクト23が、内燃機関10本体であるシリンダブロック24と一体に形成されている。
【0028】
吸気マニホールド22はインタークーラと同レベル高さもしくはインタークーラよりも下方に配置している。また、吸気ダクト23の上流端は、吸気マニホールド22の上部に開口している。よって、インタークーラにより圧縮された空気が冷却される過程で、空気中の水蒸気が凝縮し、液体(凝縮水)の状態となって、吸気マニホールド22の底部に溜まる事態が想定され得る。この種の液体は、吸気マニホールド22の底部に水垢や錆などを生じさせる要因となり得る。あるいは、吸気バルブ25から吹き戻されたガスに含まれる酸化硫黄と反応して硫酸を生じることで、シリンダブロック24が腐食する要因ともなり得る。
【0029】
流体排出装置21は、上述した凝縮水の排除を目的とするもので、
図2に示すように、筐体26と、吸気マニホールド22に接続され吸気マニホールド22内の流体(ここでは空気、あるいは空気と凝縮水)を筐体26の内部に案内可能な案内路27と、流体から受ける圧力に応じて案内路27の開口部27aを閉塞状態と開放状態とに切替え可能な切替え部28と、筐体26を貫通する貫通部29a,29bとを備える。以下、各要素の詳細を説明する。
【0030】
筐体26は、例えば円筒形状をなす筒状部30と、筒状部30の上端開口部を閉塞する上蓋部31と、筒状部30の下端開口部を閉塞する下蓋部32とを有する。本実施形態では、筒状部30と下蓋部32は一体に形成され、筒状部30と上蓋部31とは、筒状部30の上端外周に設けた鍔部30aと上蓋部31とがボルト33等により締結されている。
【0031】
案内路27は、例えば吸気マニホールド22の底部22aに接続される案内管34(
図1を参照)と、案内管34の下端と連続し上蓋部31を厚み方向に貫通する貫通穴31a(
図2を参照)とで構成される。本実施形態では、案内管34をホース等の可撓性材料で形成し、上蓋部31の上面に筒状の突出部31bを設け、この突出部31b外周に案内管34を嵌合することにより、案内管34と貫通穴31aとを接続している。この場合、筐体26の内部に配置される案内路27の開口部27aは、貫通穴31aで構成され、下方を向いている。なお、本実施形態では、案内管34と吸気マニホールド22の内部空間とをつなぐ連通口22a1が、吸気マニホールド22の底部22aを水平方向に貫通しているが(
図1を参照)、底部22aを上下方向に貫通してもかまわない。
【0032】
切替え部28は、上述した開口部27aの閉塞状態と開放状態とを切替え可能とするもので、本実施形態では、上記切替え動作を行う動作部35と、動作部35を閉塞状態時の位置(
図2を参照)に向けて付勢する付勢部36とを有する。
【0033】
このうち、動作部35は例えば矩形板状をなし上蓋部31の下面と当接することで開口部27aを閉塞可能とする。本実施形態では、動作部35は、上蓋部31と対向する部分に緩衝体37を有する。この緩衝体37はゴム等の軟質材で形成されており、上蓋部31との当接時における衝撃を吸収可能としている。この緩衝体37は例えばボルト38とダブルナット38aとの締結により動作部35に挟持固定される。これにより緩衝体37は動作部35と一体に移動可能とされる。
【0034】
付勢部36は、本実施形態では、動作部35を介して案内路27の開口部27aと反対側に配設される。この場合、動作部35は開口部27aと正対する位置に配設されると共に、付勢部36は、付勢方向を上向き、すなわち動作部35を開口部27aに向けて付勢する向きに配設される。
【0035】
また、切替え部28は、本実施形態では、付勢部36の下端(動作部35と反対側の端部)と当接し、付勢方向に沿って移動可能な受け部39と、受け部39の高さ位置を調整することで付勢部36による付勢力の大きさを調整可能な付勢力調整部40と、受け部39の付勢方向の移動をガイドするガイド部41とをさらに有する。付勢力調整部40は例えば下蓋部32にねじ嵌合されるねじ部を有し、ねじ部の上端が受け部39の嵌合穴39aに嵌合されている。一方で、ねじ部の軸回転に対して受け部39が空回りするよう、受け部39とねじ部との嵌合はすきま嵌めとするのがよい。
【0036】
貫通部29a,29bは、例えばピン形状をなし、動作部35に取付けられている。本実施形態では、二本のピン形状をなす貫通部29a,29bのうち、一方の貫通部29aは、動作部35に設けた穴に嵌合固定(圧入固定)され、他方の貫通部29bは、その先端をボルト部29b1とし、このボルト部29b1にナット部29b2を取付けてボルト部29b1の基端に設けた大径部とナット部29b2とで動作部25を締め付けることにより動作部35に固定される。また、各貫通部29a,29bは筐体26を貫通しており、少なくとも開口部27aの閉塞状態時には各貫通部29a,29bの一部(先端部)が外部から視認可能となっている。
【0037】
本実施形態では、貫通部29a,29bは、付勢部36による動作部35の付勢方向と同じ向き、すなわち本実施形態では上方向に筐体26を貫通している。この場合、貫通部29a,29bの貫通方向は、動作部35の動作方向(すなわち上下方向)と平行な状態にある。
【0038】
本実施形態では、上記構成をなす二つの貫通部29a,29bが、筐体26の上蓋部31を貫通している。また、上蓋部31には、貫通部29a,29bを嵌合可能な嵌合穴42が設けられている。これにより、貫通部29a,29bの貫通方向の移動を嵌合穴42の内周面でガイド可能としている。
【0039】
また、本実施形態では、貫通部29a,29bのうち筐体26を貫通している部分に目印43が付されている。この目印43は、例えば
図2及び
図3に示すように、開口部27aの閉塞状態では筐体26の外部に露出し、開口部27aの開放状態では筐体26の内部、例えば嵌合穴42の内側に位置するように設けるのがよい。
【0040】
流体排出装置21の底部、すなわち筐体26の下蓋部32には、開口部27aが開放された状態で案内路27から筐体26内部に流れ込む流体(空気又は凝縮水)を筐体26の外部に排出するための排出穴44が設けられている。
図2等に示す例では、排出穴44に排出管45が接続されており、筐体26内部に流れ込んだ流体を流体排出装置21の外部に排出可能としている(
図1を参照)。
【0041】
上記構成をなす流体排出装置21において、案内路27内の流体の圧力に応じて動作部35が付勢部36による上向きの付勢力に抗して下向きに移動し、開口部27aが閉塞状態から開放状態へと変化する。また、動作部35の切替え動作に伴い、動作部35と同じ方向に貫通部29a,29bが変位し、結果、貫通部29a,29bのうち筐体26の外部に露出する部分の長さが変動する。上述のように開口部27aが閉塞状態から開放状態に変化する場合、貫通部29a,29bは動作部35と共に下方に移動するので、貫通部29a,20bのうち外部から視認され得る部分は減少する。
【0042】
以上述べたように、本実施形態に係る流体排出装置21では、案内路27の開口部27aを閉塞状態と開放状態とに切替え可能な切替え部28のうち切替え動作を行う動作部35に、筐体26を貫通する貫通部29a,29bを設けるようにした。このように構成することで、貫通部29a,29bのうち筐体26を貫通した部分が筐体26の外部から視認され得る。ここで貫通部29a,29bは切替え部28の動作部35に設けられていることから、切替え部28の切替え動作に伴い貫通部29a,29bのうち外部から視認され得る部分も所定の動作を生じる。よって、案内路27の開口部27aが開放された状態と閉塞された状態の何れであるかを、言い換えると切替え部28が正常に動作しているか否かを目視で容易に確認することが可能となる。
【0043】
また、本実施形態のように、貫通部29a,29bの筐体26を貫通している部分のうち、開口部27aの閉塞状態で筐体26の外部に露出し、開口部27aの開放状態で筐体26の内部に位置する部分に目印43を設けることで、外部から目印43が視認できるか否かでもって開口部27aが閉塞状態と開放状態の何れであるかを瞬時に判別することが可能となる。よって、流体排出装置21(切替え部28)の動作確認をより短時間で容易に行うことが可能となる。
【0044】
また、本実施形態のように、貫通部29a,29bが、付勢部36による動作部35の付勢方向と同じ向きに筐体26を貫通した形態をとる場合、貫通部29a,29bのうち筐体26の外部に突出している部分を筐体26に向けて押し込むことで、動作部35を付勢力に抗して閉塞状態時の位置から開放状態時の位置に向けて移動させることができる。よって、上述したように、排出すべき流体に混入していた異物によって動作部35が開口部27aに固着している場合であっても、簡単な操作で確実に動作部35を開口部27aから引き離すことができ、容易に切替え部28を正常な作動状態に戻すことが可能となる。
【0045】
もちろん、本実施形態のように、上蓋部31と下蓋部32の少なくとも一方を筒状部30と別体に形成し、ボルト38で締結した構造をとることで、流体排出装置21を容易に分解することができる。よって、外部からの視認だけで動作確認をできない状況下であっても確実に流体排出装置21の動作確認を実施することが可能となる。
【0046】
以上、本発明の一実施形態について述べたが、本発明に係る流体排出装置は、その趣旨を逸脱しない範囲において、上記以外の構成を採ることも可能である。
【0047】
例えば上記実施形態では、貫通部29a,29nをピン形状とした場合を例示したが、もちろんこれには限られない。筐体26を貫通する限りにおいて、貫通部29a,29bは任意の形態をとることが可能である。また、本実施形態では、貫通部29a,29bと嵌合する嵌合穴42を筐体26の一部(上蓋部31)に設けて、この嵌合穴42により貫通部29a,29bの貫通方向の移動をガイドする構造を例示したが、もちろんこれには限られない。例えば図示は省略するが、上下動する板状の動作部35の外側面と筒状部30の内周面とが摺動可能な構成として、動作部35の動作を筒状部30でガイドしてもかまわない。
【0048】
また、上記実施形態では、動作部35の動作方向と同じ方向に貫通部29a,29bを移動させる場合を例示したが、もちろんこれ以外の動作態様をとることも可能である。例えば図示は省略するが、動作部35と上蓋部31との間に、パンタグラフ等のリンク機構による動作方向変換部を設けて、動作部35の上下方向運動を水平方向運動に変換してもよい。この場合、運動方向変換部の出力部に貫通部29a,29bを設けて、貫通部29a,29bが筒状部30を貫通するように構成することで、切替え動作に伴い、貫通部29a,29bが水平方向に変位するようにしてもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、本発明に係る流体排出装置21を、内燃機関10本体としてのシリンダブロック24の側壁部に取付けた場合を例示したが、もちろんこれには限られない。シリンダブロック24の側壁部以外の箇所に流体排出装置21を取付けてもよく、内燃機関10を構成する要素のうちシリンダブロック24以外の要素に取付けてもよい。あるいは、内燃機関10以外の要素(内燃機関10が設置される箇所の床や壁などを含む)に流体排出装置21を取付けてもよい。
【0050】
また、以上の説明では、本発明に係る流体排出装置21を内燃機関10の吸気路18に適用した場合を例示したが、もちろん本発明の適用対象はこれには限られない。内燃機関10の吸気路18以外の流体系に本発明を適用してもよい。あるいは、内燃機関10に限らず、必要に応じて排出すべき流体が流動する流体系に本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0051】
10 内燃機関
11 シリンダ
12 シリンダヘッド
13 ピストン
14 燃焼室
15 インジェクタ
16 クランク軸
17 コンロッド
18 吸気路
19 過給機
20 燃料ポンプ
21 流体排出装置
22 吸気マニホールド
22a 底部
23 吸気ダクト
24 シリンダブロック
25 吸気バルブ
26 筐体
27 案内路
27a 開口部
28 切替え部
29a,29b 貫通部
30 筒状部
30a 鍔部
31 上蓋部
31a 貫通穴
32 下蓋部
33 ボルト
34 案内管
35 動作部
36 付勢部
37 緩衝体
38 ボルト
39 受け部
39a 嵌合穴
40 付勢力調整部
41 ガイド部
42 嵌合穴
43 目印
44 排出穴
45 排出管
【要約】
【課題】分解作業等の手間をかけることなく容易に装置内部の動作確認を行うことのできる流体排出装置を提供する。
【解決手段】この流体排出装置21は、筐体26と、流体系22に接続されて流体系22を流動する流体を筐体26の内部に案内可能な案内路27と、流体から受ける圧力に応じて案内路27の開口部27aを閉塞状態と開放状態とに切替え可能な切替え部28とを備え、切替え部28のうち切替え動作を行う動作部35に、筐体26を貫通する貫通部29a,29bが設けられている。
【選択図】
図2