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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】制御システムおよび玩具システム
(51)【国際特許分類】
   A63H 18/16 20060101AFI20241220BHJP
   A63H 18/02 20060101ALI20241220BHJP
【FI】
A63H18/16 A
A63H18/02 D
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023221602
(22)【出願日】2023-12-27
(62)【分割の表示】P 2023121947の分割
【原出願日】2020-09-24
(65)【公開番号】P2024026585
(43)【公開日】2024-02-28
【審査請求日】2024-01-16
(31)【優先権主張番号】P 2019203469
(32)【優先日】2019-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】310021766
【氏名又は名称】株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中山 哲法
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ アレクシー
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】ロマン・トマ
【審査官】白形 優依
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-163547(JP,A)
【文献】国際公開第2018/025467(WO,A1)
【文献】登録実用新案第3215614(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2002/0102910(US,A1)
【文献】特開2006-181241(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00 - 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ座標が符号化された画像である複数のパターンが印刷されたカードと、
前記カードが配置される位置を規制する規制部材と、
前記規制部材により規制された位置に配置されるカードの上を走行する移動部、および、前記カードに印刷されるパターンを撮影するカメラ、を有する移動デバイスと、を含み、
前記座標は前記カード内における当該座標が符号化された画像の位置を示し、
前記撮影されたパターンに基づいて検出される前記移動デバイスの座標に基づいて、前記移動デバイスの走行が制御される、
制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載の制御システムにおいて、
前記撮影されたパターンに基づいて検出される前記移動デバイスの向きにさらに基づいて、前記移動デバイスの走行が制御される、
制御システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の制御システムにおいて、
前記カードには座標空間内の領域が割り当てられ、前記複数のパターンには、前記領域内の対応する位置の座標が符号化された座標が印刷される、
制御システム。
【請求項4】
請求項1に記載の制御システムにおいて、
前記規制部材にはユーザに視認可能な画像が印刷される、
制御システム。
【請求項5】
カードと、
前記カードが配置される位置を規制する規制部材と、を含み、
前記カードには、表面に当該カード内における位置を示す座標が符号化された画像である複数のパターンが印刷され、
前記規制部材により規制された位置に配置される前記カードの上には、前記パターンを撮影し、かつ当該撮影されたパターンが復号化された座標に応じて走行する移動デバイスが走行可能である、
玩具システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は制御システムおよび玩具システムに関する。
【背景技術】
【0002】
位置情報が符号化されたパターンが印刷されたシートがある。シート上に配置された移動デバイスは、シートに印刷されたパターンを読み込み、移動デバイスは、パターンにより認識された位置に基づいてその動作を制御される。
【0003】
特許文献1には、マットに印刷されたパターンを認識し、自走デバイスがそのパターンが示す位置に基づいてマット上を走行することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2018/025467号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シート上に、位置情報が符号化されたパターンが印刷されたピースを乗せることで、移動デバイスの動作などに対する制御の自由度を高めることが可能である。発明者らは、このピースとしてカードを用いることを検討している。例えばカードはシールと異なり移動が容易であるが、移動デバイスがカードの上を通る際にカードがずれてしまうなどの走行上の問題が生じやすい。
【0006】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、位置情報が符号化されたパターンが印刷されたシートであってピースが配置されたシートの上を自走デバイスが走行する際の問題の発生を減らすことにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明にかかる制御システムは、位置情報が符号化されたパターンが印刷され、複数のくぼみを含むシートと、前記くぼみに応じた平面形状を有し、前記くぼみの上に配置可能なカードと、前記シートおよび前記くぼみの上に配置されるカードの上を走行する移動部、および、前記シートに印刷されるパターンを撮影するカメラ、を有する移動デバイスと、前記撮影されたパターンに基づいて検出される前記移動デバイスの位置に基づいて、前記移動デバイスを制御する制御手段と、を含む。
【0008】
また、本発明にかかるシートは、カードを配置可能な形状を有するくぼみと、表面に印刷され位置情報が符号化されたパターンと、を含み、前記くぼみの上は、前記カードが配置されているかに関わらず、前記パターンを撮影し、かつ当該撮影されたパターンが復号化された位置情報に応じて走行する移動デバイスが走行可能である。
【0009】
また、本発明にかかる玩具システムは、カードと、シートと、を含み、前記シートは、くぼみ、および、表面に印刷される位置情報が符号化されたパターンを含み、前記カードは、前記くぼみに応じた平面形状を有し、前記くぼみの上に配置可能であり、前記くぼみの上は、前記カードが配置されているかに関わらず、前記パターンを撮影し、かつ当該撮影されたパターンが復号化された位置情報に応じて走行する移動デバイスが走行可能である。
【0010】
本発明によれば、位置情報が符号化されたパターンが印刷されたシートであってピースが配置されたシートの上を自走デバイスが走行する際の問題の発生を減らすことができる。
【0011】
本発明の一形態では、前記くぼみの深さは、前記カードの厚さより小さくてよい。
【0012】
本発明の一形態では、前記パターンは、前記くぼみの表面と、前記くぼみの外側とに印刷されてよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態にかかる制御システムの一例を示す図である。
図2】制御システムのハードウェア構成を示す図である。
図3】台車の一例を示す図である。
図4】シートの一例を示す図である。
図5】ピースが配置されるシートの一例を示す図である。
図6図5のVI-VI切断線における断面図である。
図7】ピースが配置されるシートの比較例を示す図である。
図8】座標空間に対する領域の割当の一例を示す図である。
図9】制御システムが実現する機能を示すブロック図である。
図10】制御システムの処理の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。出現する構成要素のうち同一機能を有するものには同じ符号を付し、その説明を省略する。本発明の実施形態では、自走可能な移動デバイスがシートおよびシート上のピースの上を走行する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態にかかる制御システムの一例を示す図である。本発明にかかる制御システムは、デバイス制御装置10と、台車20a,20bと、コントローラ17と、カートリッジ18とを含む。台車20a,20bはカメラ24を有する自走式の移動デバイスであり、どちらも同じ機能を有する。以下では特に区別する必要がない限り、これらの台車20a,20bを台車20と記載する。デバイス制御装置10は、無線を介して台車20を制御する。デバイス制御装置10は凹部32を有し、台車20が凹部32にはめ込まれると、デバイス制御装置10は台車20を充電する。コントローラ17はユーザによる操作を取得する入力装置であり、ケーブルによりデバイス制御装置10に接続されている。カートリッジ18は不揮発性メモリを内蔵する。
【0016】
図2は、本発明の実施形態にかかる制御システムのハードウェア構成の一例を示す図である。デバイス制御装置10は、プロセッサ11、記憶部12、通信部13、入出力部14を含む。台車20は、プロセッサ21、記憶部22、通信部23、カメラ24、2つのモータ25を含む。デバイス制御装置10は、台車20の制御に最適化された専用の装置であってもよいし、汎用的なコンピュータであってもよい。
【0017】
プロセッサ11は、記憶部12に格納されているプログラムに従って動作し、通信部13、入出力部14などを制御する。プロセッサ21は、記憶部22に格納されているプログラムに従って動作し、通信部23、カメラ24、モータ25などを制御する。上記プログラムは、カートリッジ18内のフラッシュメモリ等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に格納されて提供されるが、インターネット等のネットワークを介して提供されてもよい。
【0018】
記憶部12は、デバイス制御装置10に内蔵されるDRAMおよび不揮発性メモリと、カートリッジ18内の不揮発性メモリ等によって構成されている。記憶部22は、DRAMおよび不揮発性メモリ等によって構成されている。記憶部12,22は、上記プログラムを格納する。また、記憶部12,22は、プロセッサ11,21や通信部13,23等から入力される情報や演算結果を格納する。
【0019】
通信部13,23は他の機器と通信するための集積回路やアンテナなどにより構成されている。通信部13,23は、例えばBluetooth(登録商標)プロトコルに従って互いに通信する機能を有する。通信部13,23は、プロセッサ11,21の制御に基づいて、他の装置から受信した情報をプロセッサ11,21や記憶部12,22に入力し、他の装置に情報を送信する。なお、通信部13はLANなどのネットワークを介して他の装置と通信する機能を有してもよい。
【0020】
入出力部14は、コントローラ17などの入力デバイスからの情報を取得する回路と、音声出力デバイスや画像表示デバイスなどの出力デバイスを制御する回路とを含む。入出力部14は、入力デバイスから入力信号を取得し、その入力信号が変換された情報をプロセッサ11や記憶部12に入力する。また入出力部14は、プロセッサ11などの制御に基づいて、音声をスピーカに出力させ、画像を表示デバイスに出力させる。
【0021】
モータ25は、プロセッサ21により回転方向、回転量および回転速度が制御される、いわゆるサーボモータである。2つのモータ25のそれぞれには、1つの車輪254が割り当てられており、モータ25は、割り当てられた車輪254を駆動する。
【0022】
カメラ24は、台車20の下方を撮影するように配置され、台車20が置かれているシート31またはピース33(図4,15参照)に印刷されたパターンを撮影する。本実施形態では、シート31およびピース33には赤外線の周波数領域で認識されるパターンが印刷されており、カメラ24は、その赤外線の画像を撮影する。
【0023】
図3は、台車20の一例を示す図である。図3は、台車20を下からみた図である。台車20は、電源スイッチ250、スイッチ222、2つの車輪254をさらに含む。
【0024】
図4は、シート31の一例を示す図である。シート31には、ユーザが視認できる画像が印刷されており、さらに、カメラ24により読み取り可能なパターンが印刷されている。シート31は複数のくぼみ41と、平面視でくぼみ41のそれぞれの周縁で接するフレーム領域42とを含む。シート31上のくぼみ41の底はフレーム領域42より低い位置にある。図4の例では、複数のくぼみ41は横方向および縦方向に並んでいる。複数のシート31が平面的に並べられてもよい。この場合、隣に他のシート31を固定するために、シート31の外周に係合部および被係合部が設けられてもよい。
【0025】
くぼみ41には、ピース33を配置することができる。図5はピース33が配置されるシート31の一例を示す図であり、図6図5のVI-VI切断線における断面図である。図5および図6に示されるように、ピース33は厚みtを有する板状のカードであり、平面的に、ピース33の外形は、くぼみ41の内周に対応する形状である。より具体的には、平面的に、ピース33の外形状はくぼみ41の内周と相似であり、ピース33の大きさはくぼみ41より少し小さく、ピース33がくぼみ41の上に配置された際に、ピース33の端とくぼみ41の内周との距離が所定の値(例えば車輪254の半径)より小さくなるようにピース33の大きさが定められている。台車20は、ピース33が配置されているか否かに関わらず、くぼみ41の上を走行可能である。
【0026】
くぼみ41の底は平らであり、その底の深さDpはほぼ一定である。ピース33がくぼみ41に配置される場合には、底の平らな部分はピース33の裏面と接する。深さDpは、ピース33の厚さtより小さい。ここで、フレーム領域42とピース33との間の高さの差s(段差の大きさ)は(t-Dp)である。
【0027】
図7は、ピース33eが配置されるシート31eの比較例を示す図である。図7の例では、シート31eはフラットな形状を有し、くぼみ41を含まない。この場合、ピース33eの水平方向の移動を妨げるものが存在しないため、シート31eおよびピース33eの上を台車20が走行する際に、ピース33の位置がずれやすい。一方、本実施形態では、くぼみ41にピース33を配置することで、その上を台車20が走行する際にピース33の位置がずれることを避けることができる。
【0028】
また、図7の例では、シート31eの上からピース33eの上へ台車20が移動する際の段差の大きさがピース33の厚さtとなる。本実施形態では、くぼみ41の深さDpがピース33の厚さtより小さいことで、シート31eの上からピース33eの上へ台車20が移動する際の段差の大きさsが(t-Dp)となり、段差をより小さくすることができる。さらにいえば、仮に、深さDpが厚さtの場合はシート31eの上からピース33eの上へ台車20が移動する際の段差は最小になるが、ピース33が配置されていないくぼみ41に台車20が進入する際の段差の大きさが厚さt(深さDpに同じ)となる。ピース33の厚さtが一定であるとすると、この段差は本実施形態より大きくなってしまう。
【0029】
くぼみ41を設けつつくぼみ41の深さDpがピース33の厚さtより小さいことで、シート31eの上からピース33eの上へ台車20が移動する際の段差、および、ピース33が配置されていないくぼみ41に台車20が進入する際の段差を小さくすることができる。これにより、例えば、車輪254の大きさなどの制約により段差を超える性能が低い台車20であっても、ピース33の厚さtを確保することが可能になる。
【0030】
ここで、シート31およびピース33に印刷されるパターンについてより詳細に説明する。シート31およびピース33の上には、所定の大きさ(例えば0.2mm角)の単位パターンがマトリクス状に並んでいる。単位パターンのそれぞれは、そのパターンが配置される位置の座標が符号化された画像である。
【0031】
シート31およびピース33には、符号化された座標が表現することが可能な座標空間のうち、そのシート31およびピース33の大きさに対応する領域が割り当てられている。
【0032】
図8は、座標空間に対する領域の割当の一例を示す図である。図8の例では、シート31に対して割り当てられる座標領域と、ピース33に対して割り当てられる座標領域とが異なっている。また、フレーム領域42およびくぼみ41の底に対しては、走行時に座標の不連続が生じないように、一貫性のある座標領域が割り当てられている。
【0033】
本実施形態にかかる制御システムでは、台車20のカメラ24がシート31等に印刷された単位パターンを撮影し、台車20またはデバイス制御装置10がその単位パターンを復号して座標を取得する。これにより、台車20のシート31等の上における位置が認識される。また、台車20またはデバイス制御装置10は、カメラ24により撮影された画像内にある単位パターンの向きを検出することにより、台車20の向きも算出する。
【0034】
本実施形態では、シート31等に印刷されるパターンを利用することにより、ステレオカメラなどの他のデバイスを用いることなくシート31等の上における台車20の位置を高精度に認識することができる。
【0035】
ここで、シート31に割当てられる座標領域と、ピース33に割当てられる座標領域が異なるため、シート31上からピース33上に台車20が移動すると、得られる座標が不連続的に移動し、台車20の制御の支障となる。以下では、この問題の発生を低減させるための制御システムの動作について説明する。
【0036】
図9は、制御システムが実現する機能を示すブロック図である。制御システムは、機能的に、現在位置取得部51、座標変換部52、走行制御部53を含む。これらの機能は、主に、デバイス制御装置10に含まれるプロセッサ11が記憶部12に格納されるプログラムを実行し、通信部13を介して台車20を制御することにより実現される。また、現在位置取得部51などの機能の一部は、台車20に含まれるプロセッサ21が記憶部22に格納されるプログラムを実行し、通信部23を介してデバイス制御装置10とデータをやり取りし、カメラ24やモータ25を制御することにより実現される。
【0037】
現在位置取得部51は、カメラ24により撮影された画像から、座標が符号化されたパターンを認識し、そのパターンが示す座標から、台車20の位置する座標と台車20の向きとを検出する。
【0038】
座標変換部52は、台車20の検出された座標がシート31の内にない場合に、変換ルールに基づいてその座標をそのシート31を基準とする座標に変換し、向きもその変換ルールに基づいて変換する。
【0039】
走行制御部53は、台車20の座標および向きに基づいて台車20の動作を制御する。
【0040】
以下ではこの制御システムが実行する処理についてより詳細に説明する。図10は、制御システムの処理の一例を示すフロー図である。
【0041】
はじめに、現在位置取得部51は、台車20のカメラ24が撮影したパターンに基づいて、現在の台車20の座標および向きを取得する(検出する)(ステップS201)。
【0042】
次に、座標変換部52は、パターンに基づいて検出された座標が、シート31上の座標であるか否か判定する(ステップS202)。検出された座標がシート31上の座標である場合には(ステップS202のY)、座標の変換はせず座標変換部52の処理を終了する。一方、シート31上の座標でない場合は(ステップS202のN)、座標変換部52は取得された座標を含む領域が割り当てられたピース33を特定する(ステップS203)。
【0043】
そして座標変換部52は、座標の変換ルールがすでに決定されているか判定する(ステップS204)。例えば、座標変換部52は、前回検出された座標がシート31上の座標で、今回検出されたピース33上の座標である場合に、座標の変換ルールが決定されていないと判定してもよい。
【0044】
座標の変換ルールが決定されていない場合には(ステップS204のN)、座標変換部52は直近のシート31上の座標およびピース33上の現在の座標に基づいて、ピース33上の座標をシート31上の座標に変換する変換ルールを決定する(ステップS205)。なお、このピース33について座標の変換ルールがすでに決定されている場合には(ステップS204のY)、ステップS205の処理はスキップされる。
【0045】
ステップS205の変換ルールの決定についてさらに説明する。以下では、移動元座標が最後に検出されたシート31の上の座標であり、移動先座標が最初に取得されたピース33の上の座標であるとする。座標変換部52は、移動元座標が示す位置、台車20の向き、および、移動元座標が取得されてから移動先座標が取得されるまでのモータ25の回転量に基づいて、仮にシート31上を走行した場合における、現在の位置の予測座標を求める。座標変換部52は、予測座標が示す位置と移動先座標が示す位置とが一致し、かつ、移動元座標における向きから移動先座標における向きの変化に基づいて算出されるシート31に対するピース33の傾きが反映されるように座標の変換式を生成し、その変換式を変換ルールとして決定する。
【0046】
変換ルールが決定されると、座標変換部52は、決定された変換ルールに基づいて、現在の座標をシート31上の座標に変換する(ステップS206)。
【0047】
座標変換部52による処理が終了すると、走行制御部53は、変換された台車20の座標および向きに基づいて、台車20の走行を制御する(ステップS207)。
【0048】
図10に示される処理により、台車20がピース33上にある場合に、座標変換部52は現在位置取得部51が取得したピース33上の座標をシート31上の座標に変換し、その変換された座標を走行制御部53が台車20の移動の制御に用いる座標として入力する。これにより、走行制御部53による走行の制御を適切に行うことが可能になる。例えば、ピース33上を走行している際にも、シート31上の他のオブジェクト等を考慮して台車20の移動を制御することが可能になる。
【0049】
ここで、ステップS205の変換ルールの決定は他の手法により行われてもよい。例えば、くぼみ41およびピース33の形状により、ピース33の相対的位置と向きの自由度が制限されるので、座標変換部52は、移動元座標と移動先座標とに基づいて、変換式のパラメータを選択することにより変換ルールを決定してもよい。例えば、座標変換部52は、移動先座標がどのピース33に割り当てられているかにより、ピース33に対応する変換式のパラメータとしてピース33内の基準位置の座標を決定し、さらに移動先座標に近いピース33の端の方向を検出し、その検出された端に基づいてピース33がはめ込まれた向きの相違を解消するための座標および向きの変換のパラメータを決定してよい。
【0050】
なお、図8の説明において、くぼみ41の底およびフレーム領域42に対して統一的な座標領域が割り当てられているが、くぼみ41の底に対してフレーム領域42と連続しない領域が割り当てられてもよい。この場合、別途、座標変換部52は台車20が読み取った座標がくぼみ41の底の座標である場合に、座標の値に対して固定的な値をそうかまたは減少させることによりシート31上の座標に変換してよい。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10