IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ステムコ カンパニー リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許-コイル基板およびそれを備える電子装置 図1
  • 特許-コイル基板およびそれを備える電子装置 図2
  • 特許-コイル基板およびそれを備える電子装置 図3
  • 特許-コイル基板およびそれを備える電子装置 図4
  • 特許-コイル基板およびそれを備える電子装置 図5
  • 特許-コイル基板およびそれを備える電子装置 図6
  • 特許-コイル基板およびそれを備える電子装置 図7
  • 特許-コイル基板およびそれを備える電子装置 図8
  • 特許-コイル基板およびそれを備える電子装置 図9
  • 特許-コイル基板およびそれを備える電子装置 図10
  • 特許-コイル基板およびそれを備える電子装置 図11
  • 特許-コイル基板およびそれを備える電子装置 図12
  • 特許-コイル基板およびそれを備える電子装置 図13
  • 特許-コイル基板およびそれを備える電子装置 図14
  • 特許-コイル基板およびそれを備える電子装置 図15
  • 特許-コイル基板およびそれを備える電子装置 図16
  • 特許-コイル基板およびそれを備える電子装置 図17
  • 特許-コイル基板およびそれを備える電子装置 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】コイル基板およびそれを備える電子装置
(51)【国際特許分類】
   H01F 5/00 20060101AFI20241220BHJP
   H01F 17/00 20060101ALI20241220BHJP
【FI】
H01F5/00 M
H01F17/00 B
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023506512
(86)(22)【出願日】2021-07-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-22
(86)【国際出願番号】 KR2021010002
(87)【国際公開番号】W WO2022030897
(87)【国際公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-01-31
(31)【優先権主張番号】10-2020-0096545
(32)【優先日】2020-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517210783
【氏名又は名称】ステムコ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】キム,カン ドン
(72)【発明者】
【氏名】ハン,チャン フン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヒュン ウ
(72)【発明者】
【氏名】シン,ス ジョン
【審査官】久保田 昌晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-082501(JP,A)
【文献】特開2017-062470(JP,A)
【文献】特開2005-245135(JP,A)
【文献】特開2003-158015(JP,A)
【文献】特開2010-153724(JP,A)
【文献】特開2000-124024(JP,A)
【文献】特開平07-192972(JP,A)
【文献】特開2010-287722(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0227984(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 5/00、7/06-7/17、7/20
H01F 17/00、27/28
G03B 5/00-5/08
H02K 3/26、33/00-33/18
H05K 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層;および
前記基材層上に螺旋状に巻線されるコイルパターンを含み、
前記基材層の上部は前記コイルパターンの内側に形成されるボイド領域を基準として第1領域および第2領域に区切られ、
前記コイルパターンが、前記第1領域に形成されるコイルパターン1と、前記第2領域に形成されるコイルパターン2と、前記コイルパターン1と前記コイルパターン2とを接続するコイルパターン3とを含み、
前記コイルパターン3は、コイルパターン3aと、前記コイルパターン1と前記コイルパターン3aとを接続するコイルパターン3bと、前記コイルパターン2と前記コイルパターン3aとを接続するコイルパターン3cとを含み、
前記コイルパターン2の面積が前記コイルパターン1の面積よりも大きく、
前記コイルパターン3cが、前記コイルパターン2および前記コイルパターン3aに対して非平行に形成され、
前記コイルパターン1を構成する各パターンの幅と前記コイルパターン2を構成する各パターンの幅とが異なり、前記コイルパターン3cを構成する各パターンの幅は徐々に変化する、コイル基板。
【請求項2】
前記第1領域および前記第2領域は前記ボイド領域の長手方向に沿って前記基材層の一端から前記基材層の他端まで形成される基準軸線に基づいて区切られ、
前記基準軸線は前記ボイド領域の短軸の中心を横切って形成される、請求項1に記載のコイル基板。
【請求項3】
前記コイルパターンは、
前記第1領域に形成される複数の第1直線部;
前記第2領域に形成される複数の第2直線部;
前記第1領域および前記第2領域に形成され、前記第1直線部および前記第2直線部の両側に形成される複数の第3直線部;
前記第1領域に形成され、前記第1直線部および前記第3直線部を連結する複数の第1変曲部;および
前記第2領域に形成され、前記第2直線部および前記第3直線部を連結する複数の第2変曲部を含み、
ここで、
複数の前記第1直線部はそれぞれ前記コイルパターン1を構成するパターンであり、
複数の前記第2直線部はそれぞれ前記コイルパターン2を構成するパターンであり、
複数の前記第3直線部はそれぞれ前記コイルパターン3aを構成するパターンであり、
複数の前記第1変曲部はそれぞれ前記コイルパターン3bを構成するパターンであり、
複数の前記第2変曲部はそれぞれ前記コイルパターン3cを構成するパターンである、請求項1に記載のコイル基板。
【請求項4】
前記第1直線部は前記第1領域の長手方向に沿って形成され、
前記第2直線部は前記第1直線部に平行に形成され、
前記第3直線部は前記第1直線部および前記第2直線部に垂直方向または斜め方向に形成され、
前記第1変曲部および前記第2変曲部は斜線形状または円弧形状に形成される、請求項3に記載のコイル基板。
【請求項5】
前記複数の第2直線部の幅は前記複数の第1直線部の幅より広い、請求項3に記載のコイル基板。
【請求項6】
前記複数の第3直線部の幅は前記複数の第1直線部の幅と同一であり、
前記複数の第2変曲部の幅は前記第3直線部から前記第2直線部方向に拡張される、請求項5に記載のコイル基板。
【請求項7】
前記第2直線部の巻線数は前記第1直線部の巻線数と同一であるか、請求項5に記載のより多い、コイル基板。
【請求項8】
前記第2直線部の巻線数は前記第1直線部の巻線部よりも多い、請求項3に記載のコイル基板。
【請求項9】
前記コイルパターン上に形成され、前記コイルパターンを保護する保護層をさらに含む、請求項1に記載のコイル基板。
【請求項10】
前記コイルパターンは前記基材層の一面上に複数形成されるか、前記基材層の両面上にそれぞれ少なくとも1個形成され、
前記コイルパターンが前記基材層の一面上に複数形成される場合、隣り合う二つのコイルパターンの間に層間絶縁層が形成される、請求項1に記載のコイル基板。
【請求項11】
ハウジング;
前記ハウジングの内部に設けられるコイル基板;および
前記コイル基板と離隔して前記ハウジングの内部に設けられる磁性体を含み、
前記コイル基板は、
基材層;および
前記基材層上に螺旋状に巻線されるコイルパターンを含み、
前記基材層の上部は前記コイルパターンの内側に形成されるボイド領域を基準として第1領域および第2領域に区切られ、
前記コイルパターンが、前記第1領域に形成されるコイルパターン1と、前記第2領域に形成されるコイルパターン2と、前記コイルパターン1と前記コイルパターン2とを接続するコイルパターン3とを含み、
前記コイルパターン3は、コイルパターン3aと、前記コイルパターン1と前記コイルパターン3aとを接続するコイルパターン3bと、前記コイルパターン2と前記コイルパターン3aとを接続するコイルパターン3cとを含み、
前記コイルパターン2の面積が前記コイルパターン1の面積よりも大きく、
前記コイルパターン3cが、前記コイルパターン2および前記コイルパターン3aに対して非平行に形成され、
前記コイルパターン1を構成する各パターンの幅と前記コイルパターン2を構成する各パターンの幅とが異なり、前記コイルパターン3cを構成する各パターンの幅は徐々に変化する、電子装置。
【請求項12】
前記ハウジングはカメラアクチュエータのハウジングである、請求項11に記載の電子装置。
【請求項13】
前記磁性体は前記コイル基板の前記ボイド領域と同じ基準で両側が対称をなす、請求項11に記載の電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコイル基板およびそれを備える電子装置に関する。より詳細には、電気的特性のバランスを制御できるコイル基板およびそれを備える電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に磁場内にある導線に電流が流れると導線は磁場から電磁気力を受ける。特に、導線が螺旋状に巻線されたコイルの場合、巻線数、巻線方向、巻線された導線の長さまたは厚さなどコイル自体の構造やコイルと隣接する磁性体などとの設計構造により電流、電磁気力、抵抗などの電気的特性の変化が現れる。
【0003】
最近ではこのようなコイルを適用した代表的な電子装置としてカメラアクチュエータが脚光を浴びている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
日本登録特許第6626729号を参照すると、第1コイル51に制御電流が与えられると、可動ユニット20に搭載された磁石52から放出される磁場と前記制御電流でレンズホルダ25が中心軸Oに沿って移動することにより撮像素子に対する焦点合わせが行われる。そして、軸交差駆動機構70を構成する第2コイル71に制御電流が与えられると、磁石52の第1着磁面52aから側板部63の下端63aに至る磁束Φと前記制御電流で可動ユニット20が中心軸Oと交差する方向へ駆動されて手振れ補正が行われる。
【0005】
すなわち、カメラアクチュエータはコイルと磁石が内部に近接するように備えられて相互作用によりレンズを駆動するので、間隔、基準軸が一致するか否かなど相互間の影響性を考慮した設計が必要である。
【0006】
これに加えて、コイル自体の構造設計も考慮するべきであるが、アクチュエータ内部の電磁気力を強化するためにはコイルの巻線数、厚さなどを増やすことが有効であるが、巻線数のみ増加させる場合は抵抗も同時に増加して電流の流れをかえって妨げるので、駆動制御にエラーが発生したり発熱の問題が生じ得る。反面、厚さのみ増加させる場合は抵抗が必要以上に低下して過剰電流によるまた他の発熱の問題が発生し得る。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、仮想の軸を基準として第1領域に含まれるコイルパターンの面積が第2領域に含まれるコイルパターンの面積に比べて拡張されて形成される非対称構造のコイル基板およびそれを備える電子装置を提供することにある。
【0008】
本発明の課題は以上で言及した課題に制限されず、言及されていないまた他の課題は以下の記載から当業者に明確に理解されるものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を達成するための本発明のコイル基板の一態様(aspect)は、基材層;および前記基材層上に螺旋状に巻線されるコイルパターンを含み、前記基材層の上部は前記コイルパターンの内側に形成されるボイド領域を基準として第1領域および第2領域に区切られ、前記コイルパターンが、前記第1領域に形成されるコイルパターン1と、前記第2領域に形成されるコイルパターン2と、前記コイルパターン1と前記コイルパターン2とを接続するコイルパターン3とを含み、前記コイルパターン3は、コイルパターン3aと、前記コイルパターン1と前記コイルパターン3aとを接続するコイルパターン3bと、前記コイルパターン2と前記コイルパターン3aとを接続するコイルパターン3cとを含み、前記コイルパターン2の面積が前記コイルパターン1の面積よりも大きく、前記コイルパターン3cが、前記コイルパターン2および前記コイルパターン3aに対して非平行に形成され、前記コイルパターン1を構成する各パターンの幅と前記コイルパターン2を構成する各パターンの幅とが異なり、前記コイルパターン3cを構成する各パターンの幅は徐々に変化する、
【0010】
前記第1領域および前記第2領域は前記ボイド領域の長手方向に沿って前記基材層の一端から前記基材層の他端まで形成される基準軸線に基づいて区切られ、前記基準軸線は前記ボイド領域の短軸の中心を横切って形成され得る。
【0011】
前記コイルパターンは、前記第1領域に形成される複数の第1直線部;前記第2領域に形成される複数の第2直線部;前記第1領域および前記第2領域に形成され、前記第1直線部および前記第2直線部の両側に形成される複数の第3直線部;前記第1領域に形成され、前記第1直線部および前記第3直線部を連結する複数の第1変曲部;および前記第2領域に形成され、前記第2直線部および前記第3直線部を連結する複数の第2変曲部を含み得る。ここで、複数の前記第1直線部はそれぞれコイルパターン1を構成するパターンであり、複数の前記第2直線部はそれぞれ前記コイルパターン2を構成するパターンであり、複数の前記第3直線部はそれぞれ前記コイルパターン3aを構成するパターンであり、複数の前記第1変曲部はそれぞれ前記コイルパターン3bを構成するパターンであり、複数の前記第2変曲部はそれぞれ前記コイルパターン3cを構成するパターンである。
【0012】
前記第1直線部は前記第1領域の長手方向に沿って形成され、前記第2直線部は前記第1直線部に平行に形成され、前記第3直線部は前記第1直線部および前記第2直線部に垂直方向または斜め方向に形成され、前記第1変曲部および前記第2変曲部は斜線形状または円弧形状に形成され得る。
【0013】
前記複数の第2直線部の幅は前記複数の第1直線部の幅より広くてもよい。
【0014】
前記複数の第3直線部の幅は前記複数の第1直線部の幅と同一であり、前記複数の第2変曲部の幅は前記第3直線部から前記第2直線部方向に拡張され得る。
【0016】
前記第2直線部の巻線数は前記第1直線部の巻線数と同一であるか、より多くてもよい。
【0017】
前記第2直線部の巻線数は前記第1直線部の巻線部よりも多くてもよい。
【0018】
前記コイル基板は前記コイルパターン上に形成され、前記コイルパターンを保護する保護層をさらに含み得る。
【0019】
前記コイルパターンは前記基材層の一面上に複数形成されるか、前記基材層の両面上にそれぞれ少なくとも1個形成され、前記コイルパターンが前記基材層の一面上に複数形成される場合、隣り合う二つのコイルパターンの間に層間絶縁層が形成され得る。
【0020】
前記課題を達成するための本発明の電子装置の一態様は、ハウジング;前記ハウジングの内部に設けられるコイル基板;および前記コイル基板と離隔して前記ハウジングの内部に設けられる磁性体を含み、前記コイル基板は、基材層;および前記基材層上に螺旋状に巻線されるコイルパターンを含み、前記基材層の上部は前記コイルパターンの内側に形成されるボイド領域を基準として第1領域および第2領域に区切られ、前記コイルパターンが、前記第1領域に形成されるコイルパターン1と、前記第2領域に形成されるコイルパターン2と、前記コイルパターン1と前記コイルパターン2とを接続するコイルパターン3とを含み、前記コイルパターン3は、コイルパターン3aと、前記コイルパターン1と前記コイルパターン3aとを接続するコイルパターン3bと、前記コイルパターン2と前記コイルパターン3aとを接続するコイルパターン3cとを含み、前記コイルパターン2の面積が前記コイルパターン1の面積よりも大きく、前記コイルパターン3cが、前記コイルパターン2および前記コイルパターン3aに対して非平行に形成され、前記コイルパターン1を構成する各パターンの幅と前記コイルパターン2を構成する各パターンの幅とが異なり、前記コイルパターン3cを構成する各パターンの幅は徐々に変化する。
【0021】
前記ハウジングはカメラアクチュエータのハウジングであり得る。
【0022】
前記磁性体は前記コイル基板の前記ボイド領域と同じ基準で両側が対称をなし得る。
【0023】
その他実施形態の具体的な内容は詳細な説明および図面に含まれている。
【発明の効果】
【0024】
本発明は非対称構造のコイル基板およびそれを備える電子装置を提供することによって、次のような効果を得ることができる。
【0025】
第一に、限定された領域内で電磁気力、抵抗など電気的特性を制御できるコイル基板を提供することができる。
【0026】
第二に、本発明によるコイル基板と隣接する磁性体などとの関係を考慮して電子装置の構造を設計することによって、電磁気力の強度、電磁気力の変化量、抵抗と電流などのバランスを効率的に制御することができる。
【0027】
第三に、本発明によるコイル基板、これと隣接する磁性体などとの構造設計を多様に変形して電子装置の用途別の性能を極大化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の一実施形態によるコイル基板の断面図である。
図2】本発明の一実施形態によるコイル基板を構成するコイルパターンの平面図である。
図3】本発明の一実施形態によるコイル基板を構成するコイルパターンの設置形態を説明するための第1例示図である。
図4】本発明の一実施形態によるコイル基板を構成するコイルパターンの設置形態を説明するための第2例示図である。
図5】本発明の一実施形態によるコイル基板を構成するコイルパターンの設置形態を説明するための第3例示図である。
図6】本発明の一実施形態によるコイル基板を構成するコイルパターンの設置形態を説明するための第4例示図である。
図7】本発明の一実施形態によるコイル基板を構成するコイルパターンの設置形態を説明するための第5例示図である。
図8】本発明の一実施形態によるコイル基板を構成するコイルパターンの設置形態を説明するための第6例示図である。
図9】本発明の一実施形態によるコイル基板を構成するコイルパターンの設置形態を説明するための第7例示図である。
図10】本発明の一実施形態によるコイル基板を構成するコイルパターンの構造を説明するための例示図である。
図11】本発明の一実施形態によるコイル基板を構成するコイルパターンの多様な形状を説明するための第1例示図である。
図12】本発明の一実施形態によるコイル基板を構成するコイルパターンの多様な形状を説明するための第2例示図である。
図13】本発明の一実施形態によるコイル基板を構成するコイルパターンの多様な形状を説明するための第3例示図である。
図14】本発明の一実施形態によるコイル基板を構成するコイルパターンの多様な形状を説明するための第4例示図である。
図15】本発明の一実施形態によるコイル基板を構成するコイルパターンの多様な形状を説明するための第5例示図である。
図16】本発明の他の実施形態によるコイル基板の断面図である。
図17】本発明のまた他の実施形態によるコイル基板の断面図である。
図18】従来技術と本発明を比較した実験例である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付する図面を参照して本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。本発明の利点および特徴、並びにこれらを達成する方法は添付する図面と共に詳細に後述している実施形態を参照すると明確になる。しかし、本発明は以下に開示する実施形態に限定されるものではなく互いに異なる多様な形態で実現することができ、本実施形態は、単に本発明の開示を完全にし、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供するものであり、本発明は請求項の範疇によってのみ定義される。明細書全体にわたって同一参照符号は同一構成要素を指すものとする。
【0030】
素子(elements)または層が他の素子または層の「上(on)」または「上(on)」と称される場合は他の素子または層の真上だけでなく中間に他の層または他の素子が介在する場合をすべて含む。反面、素子が「直接上(directly on)」または「真上」と称される場合は中間に他の素子または層を介在しない場合を示す。
【0031】
空間的に相対的な用語である「下(below)」、「下(beneath)」、「下部(lower)」、「上(above)」、「上部(upper)」などは図面に示されているように一つの素子または構成要素と他の素子または構成要素との相関関係を容易に記述するために使用される。空間的に相対的な用語は図面に示されている方向に加えて使用時または動作時の素子の互いに異なる方向を含む用語として理解されなければならない。例えば、図面に示されている素子をひっくり返す場合、他の素子の「下(below)」または「下(beneath)」と記述された素子は他の素子の「上(above)」に置かれ得る。したがって、例示的な用語である「下」は下と上の方向をすべて含むことができる。素子は他の方向に配向されてもよく、そのため空間的に相対的な用語は配向によって解釈されることができる。
【0032】
第1、第2などが多様な素子、構成要素および/またはセクションを叙述するために使われるが、これらの素子、構成要素および/またはセクションはこれらの用語によって制限されないのはもちろんである。これらの用語は単に一つの素子、構成要素またはセクションを他の素子、構成要素またはセクションと区別するために使用する。したがって、以下で言及される第1素子、第1構成要素または第1セクションは本発明の技術的思想内で第2素子、第2構成要素または第2セクションであり得るのはもちろんである。
【0033】
本明細書で使用された用語は実施形態を説明するためのものであり、本発明を制限しようとするものではない。本明細書で、単数形は文面で特記しない限り、複数形も含む。明細書で使用される「含む(comprises)」および/または「含む(comprising)」は言及された構成要素、段階、動作および/または素子は一つ以上の他の構成要素、段階、動作および/または素子の存在または追加を排除しない。
【0034】
他に定義のない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術的および科学的用語を含む)は本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に共通して理解される意味で使用される。また、一般的に使用される辞典に定義されている用語は明白に特に定義されていない限り理想的にまたは過度に解析されない。
【0035】
以下、添付する図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明し、添付図面を参照して説明するにあたり図面符号に関係なく同一であるかまたは対応する構成要素は同じ参照番号を付与し、これに係る重複する説明は省略する。
【0036】
本発明は非対称構造のコイル基板およびそれを備える電子装置に関するものである。本発明のコイル基板は仮想の軸を基準として第1領域に含まれるコイルパターンの面積と第2領域に含まれるコイルパターンの面積が互いに異なるように形成される非対称構造を有することができる。前記コイルパターンの面積は、(1)一方向のコイルパターンの断面積、(2)後述する基材層と接しない上面または側面の面積、(3)(1)または(2)の面積とコイルパターンの間に露出した基材層の面積の合計などを意味する。
【0037】
以下では図面などを参照して本発明について詳しく説明する。
【0038】
図1は本発明の一実施形態によるコイル基板の断面図である。
【0039】
図1によれば、コイル基板100は基材層110、コイルパターン120および保護層130を含んで構成されることができる。
【0040】
基材層110はベース基材(Base Film)をいい、平板形状であって所定の厚さ(例えば、5μm~100μm)を有するように形成されることができる。基材層110は軟性フィルム(Flexible Film)、リジットフィルム(Rigid Film)およびリジットフレキシブルフィルム(Rigid Flexible Film)のいずれか一つのフィルムで形成されることができる。
【0041】
基材層110は多様な高分子物質のうち選択される少なくとも一つの物質を素材にして製造されることができる。基材層110は例えば、ポリイミド(Poly-Imide)、ポリエチレンテレフタレート(PET;Poly-Ethylene Terephthalate)、ポリエチレンナフタレート(PEN;Poly-Ethylene Naphthalate)、ポリカーボネート(Poly-Carbonate)、エポキシ(Epoxy)、ガラス繊維(Glass Fiber)などの高分子物質のうち選択される少なくとも一つの物質を素材にして製造されることができる。
【0042】
基材層110の一面上または両面上には伝導性物質で構成されるシード層(Seed Layer;図示せず)または下地層(Under Layer)が形成されることができる。シード層はニッケル(Ni)、クロム(Cr)、銅(Cu)、金(Au)などの金属のうち選択される少なくとも一つの伝導性物質を素材にして基材層110上に形成されることができ、蒸着、接着、メッキなどの物理的方式または化学的方式を用いて基材層110上に形成されることができる。一方、シード層は基材層110上に形成されなくてもよい。
【0043】
コイルパターン120は電流が流れ、電磁気力を誘導するためのものである。コイルパターン120は基材層110上に螺旋状に巻線されて形成されることができる。
【0044】
コイルパターン120は伝導性物質を素材にして基材層110上に形成されることができる。コイルパターン120は例えば、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、金(Au)、白金(Pt)、銅(Cu)などの金属のうち選択される少なくとも一つの伝導性物質を素材にして基材層110上に形成されることができる。
【0045】
コイルパターン120はメッキ、印刷、コーティングなど多様な技法を用いて基材層110上に形成されることができる。コイルパターン120はメッキを用いて基材層110上に形成される場合、1回以上のメッキを実施して基材層110上に形成されることができ、この時、コイルパターン120の断面にはメッキ回数、メッキ条件の変更などにより一つ以上の境界線が形成されることができる。
【0046】
コイルパターン120はメッキを用いて基材層110上に形成される場合、電解メッキおよび無電解メッキのいずれか一つの技法を用いることができる。コイルパターン120は電解メッキを用いて基材層110上に形成される場合、レジストパターン層(図示せず)が形成されていない部分に形成されることができる。
【0047】
レジストパターン層は絶縁性物質で構成される樹脂層であって、コイルパターン120より先に基材層110上に形成されることができる。コイルパターン120はレジストパターン層と同じ厚さを有するように基材層110上に形成されることができ、レジストパターン層よりも薄い厚さを有するように基材層110上に形成されることも可能である。コイルパターン120が上記のように形成されると、上部にメッキが偏重されることを防止することができ、上部の幅と下部の幅を均一に形成することができる。
【0048】
一方、レジストパターン層はコイルパターン120を基材層110上に形成した後、基材層110上で除去されることができる。この時、レジストパターン層はコイルパターン120上に保護層130を形成する前に基材層110上で除去されることができる。
【0049】
保護層130はコイルパターン120を保護するためにコイルパターン120の上部を覆うように形成されるものである。保護層130はレジストパターン層が除去された後、コイルパターン120上に形成されることができる。
【0050】
保護層130は絶縁性を有する物質を素材にして形成されることができる。保護層130は例えば、ソルダレジスト(Solder Resist)を素材にして形成されることができる。しかし、本実施形態はこれに限定されるものではない。保護層130は基材層110と同じ物質を素材にして形成されることも可能である。
【0051】
一方、保護層130は印刷、コーティング、フォトリソグラフィなどの多様な工法を用いてコイルパターン120上に形成されることができる。
【0052】
コイルパターン120は前述のように、基材層110上に螺旋状に巻線されて形成されることができる。このようなコイルパターン120は図2に示すように基準軸線Rを中心に第1領域210および第2領域220に区切られる。
【0053】
図2は本発明の一実施形態によるコイル基板を構成するコイルパターンの平面図である。以下の説明は図2を参照する。
【0054】
コイルパターン120が基材層110上に螺旋状に巻線されて形成される場合、コイルパターン120の内側には基材層110の一面に対して所定の面積でボイド領域(Void,V)が形成されることができる。ここで、ボイド領域Vは第1領域210と第2領域220の最内側コイルパターン121,122の間に形成されたオープンスペースを意味し、コイルパターン120のパッド部(図示せず)と重なってもよい。すなわち、ボイド領域Vはコイルパターン120の中心領域に該当するかまたは中心領域を含む領域になる。
【0055】
基準軸線Rはこのようなボイド領域V内で第1方向10に延びる線分をいい、第1方向10はコイルパターン120の長軸方向すなわち、ボイド領域Vの長手方向になる。本発明ではボイド領域Vの幅方向を横切るように第1方向10に延びた基準軸線Rを例に挙げて説明するが、これに限定されず、コイルパターン120の短軸方向またはボイド領域Vの幅方向になることもできる。
【0056】
第1領域210は基準軸線Rを中心に基材層110上の一側に形成されるコイルパターン120が占める領域をいう。そして、第2領域220は基準軸線Rを中心に基材層110上の他側に形成されるコイルパターン120が占める領域をいう。
【0057】
第1領域210および第2領域220は基準軸線Rを中心に基材層110上に対称的に形成されることができる。第1領域210は図3に示すように第2領域220と同じ幅を有するように形成されることができる(W1=W2)。前記で、同じ幅を有することは第1領域210と第2領域220のそれぞれの最内側コイルパターン121,122の一側部から最外側コイルパターン123,124の一側部までの距離が同一または同等な水準であることを意味する。
【0058】
この場合、第1位置のボイド領域V内の基準軸線Rをコイルパターン120の中心Cと見ることができ、より詳細にはボイド領域Vの短軸中心を横切る線分と仮定する。図3は本発明の一実施形態によるコイル基板を構成するコイルパターンの設置形態を説明するための第1例示図である。
【0059】
しかし、本実施形態はこれに限定されるものではない。前記ボイド領域Vの短軸中心を横切る線分を基準軸線Rとするものの、第1領域または第2領域のうちいずれか一つの最外側コイルパターンが離隔して第1領域210と第2領域220が互いに異なる幅を有するように形成されることも可能である。
【0060】
第1領域210は例えば、図4に示すように第2領域220より広い幅を有するように形成されることができる(W1>W2)。または、第1領域210は図5に示すように第2領域220より狭い幅を有するように形成されることができる(W1<W2)。図4は本発明の一実施形態によるコイル基板を構成するコイルパターンの設置形態を説明するための第2例示図であり、図5は本発明の一実施形態によるコイル基板を構成するコイルパターンの設置形態を説明するための第3例示図である。
【0061】
前記の場合はコイルパターンの抵抗強度を低くするかまたは電磁気力の強度を向上させることが目的であるが、基板内にコイルパターンを拡張できる領域が限定的である場合に適用して後述する磁性体とのバランスまで確保することができる。
【0062】
これに対して、図6に示すように、第1領域210と第2領域220の最内側コイルパターンと最外側コイルパターンがそれぞれ同じ距離または同等水準で離隔して第2位置にボイド領域Vが形成されることができる。すなわち、図3に示す実施形態に比べてコイルパターンの面積が拡張または縮小されることができる。
【0063】
さらに、図7に示すように、第2位置にボイド領域Vを形成するが、第1領域210と第2領域220のいずれか一つの最外側コイルパターンが離隔して両領域の大きさが異なるように形成されることもできる。図6は本発明の一実施形態によるコイル基板を構成するコイルパターンの設置形態を説明するための第4例示図であり、図7は本発明の一実施形態によるコイル基板を構成するコイルパターンの設置形態を説明するための第5例示図である。
【0064】
一方、第1領域210は基材層110の外周面を超えて形成されることはできない。すなわち、第1領域210上に形成されるコイルパターン120の最外側230は図8に示すように基材層110の外周面より内側に配置されるか、図9に示すように基材層110の外周面と同一線上に配置されることができる。図8は本発明の一実施形態によるコイル基板を構成するコイルパターンの設置形態を説明するための第6例示図であり、図9は本発明の一実施形態によるコイル基板を構成するコイルパターンの設置形態を説明するための第7例示図である。
【0065】
前記で図3ないし図7に示す基準軸線Rは基材層110の中心と同一または異なってもよい。
【0066】
同様に、第2領域220も基材層110の外周面を超えて形成されることはできない。すなわち、第2領域220上に形成されるコイルパターン120の最外側240は図8に示すように基材層110の外周面より内側に配置されるか、図9に示すように基材層110の外周面と同一線上に配置されることができる。
【0067】
また、第1領域210と第2領域220の最外側は同一または互いに異なる距離で基材層110の外周面より内側に配置されることができる。
【0068】
一方、第1領域210上に形成されるコイルパターン120の最外側230が図8に示すように基材層110の外周面より内側に配置される場合、第2領域220上に形成されるコイルパターン120の最外側240は図9に示すように基材層110の外周面と同一線上に配置されることができる。
【0069】
また、第1領域210上に形成されるコイルパターン120の最外側230が図9に示すように基材層110の外周面と同一線上に配置される場合、第2領域220上に形成されるコイルパターン120の最外側240は図8に示すように基材層110の外周面より内側に配置されることができる。
【0070】
さらに、前記の図8および図9を含む実施形態でも前記の図4ないし図7のようにボイド領域Vまたは基準軸線Rの位置に応じて第1領域210と第2領域220の幅が同一または異なってもよい。
【0071】
コイルパターン120が基材層110上に螺旋状に巻線されて形成される場合、n個の直線部とm個の変曲部を含んで構成されることができる。直線部は一端部から進行方向が変更されない他端部まで形成されたコイルパターンを意味し、変曲部は互いに異なる進行方向に形成される二つの直線部を連結するコイルパターンを意味する。
【0072】
図10は本発明の一実施形態によるコイル基板を構成するコイルパターンの構造を説明するための例示図である。
【0073】
図10によれば、コイルパターン120は第1直線部310(「コイルパターン1」に相当する)、第2直線部320(「コイルパターン2」に相当する)、第3直線部330(「コイルパターン3a」に相当する)、第4直線部340、第1変曲部350(「コイルパターン3b」に相当する)、第2変曲部360(「コイルパターン3c」に相当する)、第3変曲部370および第4変曲部380を含んで構成されることができる。コイルパターン3a(330)、コイルパターン3b(350)、およびコイルパターン3c(360によってコイルパターン3が構成されることができる。
【0074】
第1直線部310は第1領域210上に直線形状に形成されるコイルパターンをいう。このような第1直線部310は第1方向10に第1領域210上に複数形成されることができる。
【0075】
第2直線部320は第2領域220上に直線形状に形成されるコイルパターンをいう。このような第2直線部320は第1直線部310と同じ方向(すなわち、第1方向10)に第2領域220上に複数形成されることができる。
【0076】
第3直線部330および第4直線部340は第1領域210上で第2領域220上にわたって直線形状に形成されてそれぞれ第1直線部310と第2直線部320を連結するコイルパターンをいう。このような第3直線部330と第4直線部340は第1直線部310および第2直線部320に直交する方向(すなわち、第2方向20)に第1領域210および第2領域220上に複数形成されることができる。
【0077】
第1変曲部350は第1領域210上に斜線形状に形成されるコイルパターンをいう。このような第1変曲部350は第1領域210上で第1直線部310および第3直線部330を相互連結させることができる。第1変曲部350は第1直線部310および第3直線部330の少なくとも一つの直線部と同一個数で形成されることができる。
【0078】
第2変曲部360は第2領域220上に斜線形状に形成されるコイルパターンをいう。このような第2変曲部360は第2領域220上で第2直線部320および第3直線部330を相互連結させることができる。第2変曲部360は第2直線部320および第3直線部330の少なくとも一つの直線部と同一個数で形成されることができる。
【0079】
第3変曲部370は第2領域220上に斜線形状に形成され、第2直線部320および第4直線部340を相互連結させることができ、第4変曲部380は第1領域220上に斜線形状に形成され、第4直線部340と第1直線部310を相互連結させることができる。第1変曲部350および第2変曲部360と同様に、第3変曲部370および第4変曲部380もまた、相互連結される両直線部の少なくとも一つの直線部と同一個数で形成されることができる。
【0080】
さらに、本発明における第1変曲部350~第4変曲部380は直線タイプの斜線で示されているが、屈曲を有する円弧タイプ(⌒)で形成されることもでき、互いに異なるタイプで形成されることもできる。
【0081】
第1直線部310、第2直線部320、第3直線部330、第4直線部340、第1変曲部350、第2変曲部360、第3変曲部370および第4変曲部380は第1領域210および第2領域220上にそれぞれ複数形成されることができる。この時、第1直線部310~第4直線部340、第1変曲部350~第4変曲部380はすべて同じ幅を有するように形成されることができる。しかし、本実施形態はこれに限定されるものではない。第1直線部310~第4直線部340、第1変曲部350~第4変曲部380はすべて互いに異なる幅を有するように形成されることも可能である。一方、第1直線部310~第4直線部340、第1変曲部350~第4変曲部380のうちのいくつかは同じ幅を有するように形成され、他のいくつは互いに異なる幅を有するように形成されることも可能である。
【0082】
一方、複数の第1直線部310はすべて同じ幅を有するように形成されることができる。しかし、本実施形態はこれに限定されるものではない。複数の第1直線部310はすべて互いに異なる幅を有するように形成されることも可能である。一方、複数の第1直線部310のうちのいくつかは同じ幅を有するように形成され、他のいくつかは互いに異なる幅を有するように形成されることも可能である。
【0083】
一方、複数の第2直線部320、複数の第3直線部330、複数の第4直線部340、複数の第1変曲部350、複数の第2変曲部360、複数の第3変曲部370、複数の第4変曲部380なども複数の第1直線部310の場合と同様に形成されるのはもちろんである。
【0084】
本実施形態では第1領域210上の第1直線部310と第1変曲部350および第4変曲部380、第2領域220上の第2直線部320と第2変曲部360および第3変曲部370などが一部同一であるかまたは互いに異なる形状に形成され、第1領域210上でのコイルパターン120の断面積が第2領域220上でのコイルパターン120の断面積より小さくてもよい。本実施形態ではそのため、コイルパターン120の内側のボイド領域Vの位置が離隔するか大きさが拡張または縮小され得る。
【0085】
下記では本発明の前記の構成によって非対称構造で形成されるコイル基板100を提供することによって、限られた面積のコイル基板100で電磁気力、抵抗などの制御が可能であり、コイル基板100が適用される電子装置の性能が極大化される本発明の効果について詳細に説明する。
【0086】
(I)第1領域210上に形成されるコイルパターン120の巻線数と第2領域220上に形成されるコイルパターン120の巻線数が同じ場合
(i)第2直線部320のパターン幅が第1直線部310のパターン幅より広い場合
第2直線部320の幅を第1直線部310の幅より拡張して形成する場合、図11に示すように第2直線部320により形成される幅W3が第1直線部310により形成される幅W4より広くなる(W3>W4)。複数の第1直線部310および複数の第2直線部320が第1領域210および第2領域220上にそれぞれこのように形成されると、第2領域220上でのコイルパターン120の面積が第1領域210上でのコイルパターン120の面積より大きくてもよい。図11は本発明の一実施形態によるコイル基板を構成するコイルパターンの多様な形状を説明するための第1例示図である。
【0087】
前記の場合、短軸方向に第2領域220上でのコイルパターン120の面積を拡張させ得るので、抵抗を低くして電流の流れを円滑にして、ひいては電磁気力の強度が強化される効果を得ることもできる。
【0088】
(ii)第2直線部320、第4直線部340、第2変曲部360および第3変曲部370の少なくとも一つ以上のパターン幅が第1直線部310のパターン幅より広い場合
第2直線部320、第4直線部340、第2変曲部360および第3変曲部370の少なくとも一つ以上のパターン幅が第1直線部310のパターン幅より拡張して形成される場合、例えば図12に示すように、第2直線部320および第2変曲部360のパターン幅が第1直線部310のパターン幅より拡張して形成される場合、第2直線部320および第2変曲部360により形成される幅W3が第1直線部310により形成される幅W4より広くなり(W3>W4)、そのため第2領域220上でのコイルパターン120の面積が第1領域210上でのコイルパターン120の面積より大きくてもよい。図12は本発明の一実施形態によるコイル基板を構成するコイルパターンの多様な形状を説明するための第2例示図である。
【0089】
前記の場合、(i)の場合と同様に短軸方向に第2領域220上でのコイルパターン120の面積のみ拡張されるので、抵抗が低くなることによって電流の流れ性が増加して電磁気力の強度が強化される効果を得ることができる。これに加えて、(i)の場合よりコイル基板100の上下対称が比較的維持されることができ、電子装置内で後述する磁性体とのバランス性もまた確保することができる。
【0090】
一方、前記の場合、第2直線部320、第4直線部340、第2変曲部360、または第3変曲部370のパターン幅は一端部から他端部の方向に徐々に拡張され得る。この場合、電流の流れが急変する現象を抑制することによって電圧変動を防止することができる。
【0091】
(iii)第2直線部320、第4直線部340、第2変曲部360および第3変曲部370の少なくとも一つ以上のパターン間の間隔が第1直線部310のパターン間の間隔より広い場合
第2直線部320、第4直線部340、第2変曲部360および第3変曲部370の少なくとも一つ以上のパターン間の間隔が第1直線部310のパターン間の間隔より広い場合、例えば図13に示すように、第2直線部320および第2変曲部360のパターン間の間隔が第1直線部310のパターン間の間隔より広い場合、第2直線部320により形成される幅W3が第1直線部310により形成される幅W4より広くなり(W3>W4)、そのため第2領域220の面積が第1領域210の面積より大きくてもよい。図13は本発明の一実施形態によるコイル基板を構成するコイルパターンの多様な形状を説明するための第3例示図である。
【0092】
前記の場合、第2領域220でのパターン間の漏洩電流、信号干渉などの影響を抑制して抵抗を低くすることができ、ひいては後述する電子装置の内部に配置されるレンズなどのその他部品と隣接するように設計されて本発明によるコイル基板100との相互間に発生する電気的エラー問題を減少させることができる。
【0093】
(II)第1領域210上に形成されるコイルパターン120の巻線数と第2領域220上に形成されるコイルパターン120の巻線数が互いに異なる場合
(i)第2直線部320の巻線数が第1直線部310の巻線数より多い場合
第2直線部320の巻線数が第1直線部310の巻線数より多い場合、各直線部のパターン間の間隔が同一であっても幅W3は図14に示すように幅W4より広くなる(W3>W4)。前記の場合、コイル基板100の巻線数の増加によって電磁気力が強化されることができる。図14は本発明の一実施形態によるコイル基板を構成するコイルパターンの多様な形状を説明するための第4例示図である。
【0094】
一方、第2直線部320の間の間隔が第1直線部310の間の間隔より広いと、図14の場合より幅W3は幅W4より広くなる(W3>W4)。これは強化された電磁気力を確保し、かつ(I)(iii)で説明した抵抗効果を加えることができる。図15は本発明の一実施形態によるコイル基板を構成するコイルパターンの多様な形状を説明するための第5例示図である。
【0095】
一方、第2直線部320の間の間隔が第1直線部310の間の間隔より狭く形成されても、第2直線部320のパターン幅が第1直線部310のパターン幅より広い場合、第2領域220上でのコイルパターン120の面積が第1領域210上でのコイルパターン120の面積より大きい場合に該当して抵抗減少効果を得ることができる。ただし、この場合、第2直線部320の間の間隔が狭くなる水準は漏洩電流や発熱などの影響因子を考慮して設計しなければならないことに留意しなければならない。
【0096】
一方、第1直線部310の巻線数が第2直線部320の巻線数より多い場合は前記で第2直線部320の巻線数がより多くの場合、すなわち、(II)の(i)が同一に適用できるのはもちろんである。
【0097】
一方、第3直線部330、第4直線部340、第1変曲部350~第4変曲部380などに対しても前記(I)および前記(II)の効果と同一または類似水準で適用できるのはもちろんである。
【0098】
以上で説明したコイル基板100は図2を参照して一つの基材層110上に一つのコイルパターン120を含むことができる。しかし、本実施形態はこれに限定されるものではない。コイル基板100は一つの基材層110上に複数のコイルパターン120を含んで構成されることも可能である。
【0099】
コイル基板100が複数のコイルパターン120を含む場合、複数のコイルパターン120は基材層110の一面上に形成されることができ、基材層110の両面上にそれぞれ少なくとも1個のコイルパターン120が形成されることも可能である。本実施形態ではこのような場合、複数のコイルパターン120のうち少なくとも1個のコイルパターン120が図2ないし図15を参照して説明した多様な実施形態で形成されることができる。
【0100】
基材層110の一面上に複数のコイルパターン120が形成される場合、複数のコイルパターン120はパターンの厚さ方向に積層されるか、または幅方向に羅列されて配置されることができる。
【0101】
また、基材層110の一面上に複数のコイルパターン120が積層されて形成される場合、隣り合う二つのコイルパターン120の間には層間絶縁層が形成されることができる。例えば、図16に示すように基材層110、第1コイルパターン120a、層間絶縁層140、第2コイルパターン120bおよび保護層130の順に積層されることができる。図16は本発明の他の実施形態によるコイル基板の断面図である。
【0102】
一方、図16には示していないが、各コイルパターンはビア、導電性パッドなどの方式で接続されることができる。
【0103】
基材層110の両面上にそれぞれ少なくとも一つのコイルパターン120が形成される場合、各コイルパターンが長手方向または幅方向に対抗して配置されるかまたは基材層110の外周面に沿って順次配置されることもできる。例えば、基材層110の平行する外周面に対して二つのコイルパターン120がそれぞれ配置される場合、両コイルパターンは別途信号の伝達を受けるかまたは図示していないが配線パターンによって連結されて同じ信号の伝達を受けることもできる。特に、両コイルパターンが配線パターンにより連結されて互いに一軸を基準として鏡面対称となって配置される場合、後述する電子装置の内部で同じ方向に電磁気力が作用してコイル基板による全体電磁気力を強化させることができる。
【0104】
前記で説明する複数のコイルパターンは互いに同じ形状であるかまたは一部異なる構造で形成されることができる。
【0105】
一方、基材層110の両面上に少なくとも1個のコイルパターン120が形成される場合、基材層110の両面上には同一個数のコイルパターン120が形成されることができ、互いに異なる個数のコイルパターン120が形成されることもできる。基材層110の両面のうち少なくとも一面に複数のコイルパターン120が形成される場合、複数のコイルパターン120は厚さ方向に積層されて形成されるか幅方向に羅列されて配置されることができ、隣り合う二つのコイルパターン120の間に層間絶縁層が形成されるのはもちろんである。例えば、基材層110の両面上にそれぞれ1個のコイルパターン120が形成される場合、コイル基板100は図17に示すように第1保護層130a、第1コイルパターン120a、基材層110、第2コイルパターン120bおよび第2保護層130bの順に積層されることができる。図17は本発明のまた他の実施形態によるコイル基板の断面図である。
【0106】
さらに、本発明によるコイル基板100は基材層110の一面または両面上にコイルパターン120だけでなく、センサ、フィルタ、インダクタ、ICなどその他の外部素子または前記外部素子と接続して信号を伝達する配線パターン(図示せず)もさらに形成されることができ、コイル基板100と連結され得る。
【0107】
以上図1ないし図17を参照してコイル基板100の多様な実施形態について説明した。以上で説明したコイル基板100を多様な電子装置のうちのカメラアクチュエータに適用した場合を例に挙げて後述し、磁性体(例えば、磁石)とともにアクチュエータのハウジングの内部に備えられることができる。この時、磁性体はコイルパターンの中心軸を基準として対称に形成されたコイル基板100と同じ軸を基準として両側が対称をなすように形成されることができる。
【0108】
アクチュエータのレンズ駆動性能はコイル基板100と磁性体の間の間隔、中心軸が同一であるか否かなどによっても影響を受け得るので、本発明では一実施形態によるコイル基板、前記コイル基板と磁性体との関係を考慮して設計される電子装置を提示する。
【0109】
図18は従来技術と本発明の一実施形態によるコイル基板((I)の(ii)場合)の磁石との相関関係によるレンズ駆動性能および抵抗を比較した実験例である。これによりカメラアクチュエータ用コイル基板と磁性体(磁石)の最適設計を導き出すことができる。
【0110】
本実験の対照群はコイルパターンの第1領域210と第2領域220が基準軸線Rを中心に同じサイズで対称に形成され、基準軸線Rが磁性体の中心軸と一致する例をいう。
【0111】
実験群1はコイルパターンの第1領域210と第2領域220が基準軸線Rを中心に互いに異なるサイズで形成され、例えば、第1領域210は対照群の第1領域210と同一または同等水準で形成され、第2領域220がより大きいサイズで形成された例をいう。したがって、基準軸線Rは磁性体の中心軸と一致することができる。
【0112】
実験群2はコイルパターンの第1領域210と第2領域220が基準軸線Rを中心に同じサイズで対称に形成されるか、前記対照群の第1,2領域サイズに比べて拡張されるように形成される例をいう。したがって、ボイド領域の位置が離隔するので、基準軸線Rの位置もまた、対照群と異なることになり、磁性体の中心軸とも一致しない。
【0113】
実験群3はコイルパターンの第1領域210と第2領域220、および基準軸線Rが実験群1と同一であるが、ただし基準軸線Rが磁性体の中心軸と一致しない例をいう。
【0114】
(1)電磁気力の強度:対照群>実験群1>実験群3>実験群2
(2)磁石位置に応じた電磁気力の変化(Min/Max、移動量):対照群<実験群1<実験群2<実験群3
(3)抵抗:対照群>実験群1>実験群2
カメラアクチュエータは磁石の移動に応じて磁場が変化することによってレンズ位置を補正するため、磁石の移動中の電磁気力の強度変化が急変せず、かつ強度は強いほど良く、適正水準の低抵抗を維持してその性能を極大化することができる。したがって、カメラアクチュエータに適したコイル基板と磁石の設計は実験群1、実験群3、実験群2および対照群の順であり、実験群1および実験群2は磁石との中心が一致するか否かによって電磁気力の強度が、第1領域と第2領域が対称するか否かによって電磁気力の変化(移動量)が異なった。
【0115】
しかし、実験群1および実験群2の移動量の差異に比べて電磁気力の強度差異がより大きく現れたので、実験群1、すなわち、本発明の一実施形態によるコイル基板の設計がカメラアクチュエータに対して有効であると見ることができる。
【0116】
一方、実験群1と実験群3の場合、第1領域と第2領域の対称は同一であるが、磁石との中心が一致するか否かが異なるため、電磁気力、電磁気力の変化、抵抗の結果が異なった。電磁気力は実験群1が強かったが抵抗の側面ではかえって実験群3がより小さい結果を示した。電磁気力の変化は実験群1が実験群3に比べて比較的有効であることが確認されたが、わずかな差であった。
【0117】
本発明者は前記の実験例で、さらに実験群3の磁石との中心軸の不一致の程度に応じた電磁気力、電磁気力の変化、抵抗を調べ、実験群3のボイド領域V内に磁石の中心軸が配置される場合の結果がすべて優れることを確認した。すなわち、本発明によるコイル基板を適用した実験群1、実験群3の傾向に照らしてみると、非対称構造によりカメラアクチュエータに適した性能を確保することができ、特に磁石の中心軸と基準軸線Rが一致するかまたはコイル基板のボイド領域V内に磁石の中心軸が位置してこそ有効な効果を奏し得ることを確認した。
【0118】
さらに、カメラアクチュエータに適用されるコイル基板の場合、A/M、他部品との結合領域、配線領域などを考慮すると、ほとんどのレンズ方向のベース基材上に余裕空間が形成される。したがって、磁石との中心軸を維持し、かつ一側に拡張されて電磁気力の強度と変化の間のバランスをとってアクチュエータ性能を向上させるのに本発明のまた他の効果があるといえる。
【0119】
以上と添付する図面を参照して本発明の実施形態について説明したが、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者は、本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更せず他の具体的な形態で実施できることを理解することができる。したがって、上記一実施形態はすべての面で例示的なものであり、限定的なものではないと理解しなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明はコイル基板と、コイル基板を備える電子装置(例えば、カメラアクチュエータ)に適用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18