(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】エアロゾル供給デバイス
(51)【国際特許分類】
A24F 40/465 20200101AFI20241220BHJP
A24F 40/51 20200101ALI20241220BHJP
【FI】
A24F40/465
A24F40/51
(21)【出願番号】P 2023516140
(86)(22)【出願日】2021-09-15
(86)【国際出願番号】 EP2021075394
(87)【国際公開番号】W WO2022058393
(87)【国際公開日】2022-03-24
【審査請求日】2023-05-09
(32)【優先日】2020-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】トーマス, マイケル
(72)【発明者】
【氏名】マクグラス, コーナー
(72)【発明者】
【氏名】ウォーレン, ルーク
(72)【発明者】
【氏名】ビュロー, デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】バージェス, ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】ホールデン, マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ゴメス, ホルヘ
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0183178(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル生成材料を受容するように構成されたヒータアセンブリであって、変動磁場の侵入によって加熱可能であるサセプタを含むヒータアセンブリと、
前記ヒータアセンブリの少なくとも一部分の周りに延びる流体的にシールされた包囲体であって、該包囲体と前記サセプタとの間に流体的にシールされたキャビティを画定する、包囲体と、
前記包囲体の周りに少なくとも部分的に延びるインダクタコイルであって、変動磁場を生成するように構成されたインダクタコイルと
を備えるエアロゾル供給デバイス。
【請求項2】
前記流体的にシールされたキャビティ内に設けられたセンサを備える、請求項1に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項3】
前記センサが熱電対である、請求項2に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項4】
前記熱電対が前記サセプタ上にある、請求項3に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項5】
前記センサが通信ケーブルを含み、前記流体的にシールされた包囲体が、通信ケーブル通路であって、前記通信ケーブルが該通信ケーブル通路を通り前記包囲体を通って延びる、通信ケーブル通路と、前記通信ケーブル通路をシールするよう前記通信ケーブル通路内にあるシール要素とを備える、請求項2~4のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項6】
前記流体的にシールされた包囲体が、前記サセプタの一端にエンドサポートを備え、前記通信ケーブル通路は前記エンドサポート内に形成されている、請求項5に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項7】
前記流体的にシールされた包囲体と前記ヒータアセンブリとの間に流体シールを備える、請求項1~6のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項8】
前記流体シールが、周方向に延びる部材である、請求項7に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項9】
当該エアロゾル供給デバイスは、前記ヒータアセンブリの周りに延びる管状部材を備え、前記流体的にシールされた包囲体が前記管状部材を備える、請求項7又は8に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項10】
前記流体シールが、前記ヒータアセンブリと前記管状部材との間に延びている、請求項9に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項11】
当該エアロゾル供給デバイスは、前記ヒータアセンブリの一端にエンドサポートを備え、前記管状部材が前記エンドサポート上にあり、前記流体的にシールされた包囲体が前記エンドサポートを備え、前記流体シールが、前記エンドサポートと前記ヒータアセンブリとの間を流体的にシールしている、請求項9又は10に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項12】
前記エンドサポートが、前記ヒータアセンブリの第1の端部にある第1のエンドサポートであり、前記流体シールが第1の流体シールであり、前記流体的にシールされた包囲体が、前記ヒータアセンブリの第2の端部にある第2のエンドサポートと、前記第2のエンドサポートと前記ヒータアセンブリとの間にある第2の流体シールとを備える、請求項11に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項13】
前記流体的にシールされた包囲体が空隙を画定している、請求項1~12のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項14】
請求項1~
13のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイスと、
エアロゾル生成材料を含む物品であって、前記ヒータアセンブリ内に少なくとも部分的に受容されるように寸法決めされている物品と
を備えるエアロゾル供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル供給デバイス、並びに、エアロゾル供給デバイス及びエアロゾル生成材料を含む物品を備えるエアロゾル供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
紙巻タバコ、葉巻タバコ等の喫煙品は、使用時にタバコを燃焼させて、タバコ煙を生成する。燃焼なしに化合物を放出する製品の創出によって、これらタバコを燃焼させる物品の代替物を提供しようとする試みがなされている。このような製品の例は、材料を燃焼させずに加熱することによって化合物を放出する加熱デバイスである。この材料は、例えばタバコ又は他の非タバコ製品が考えられ、ニコチンを含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
【発明の概要】
【0003】
本開示の一態様によれば、エアロゾル生成材料を受容するように構成されたヒータアセンブリであって、変動磁場の侵入によって加熱可能であるサセプタを含むヒータアセンブリと、ヒータアセンブリの少なくとも一部分の周りに延びる流体的にシールされた包囲体であって、該包囲体とサセプタとの間に流体的にシールされたキャビティを画定する、包囲体と、包囲体の周りに少なくとも部分的に延びるインダクタコイルであって、変動磁場を生成するように構成されたインダクタコイルとを備えるエアロゾル供給デバイスが提供される。
【0004】
ヒータアセンブリは、エアロゾル生成材料を受容するように構成されたヒータチャンバを画定してもよい。エアロゾル供給デバイスは、流体的にシールされたキャビティ内にセンサを備えてもよい。センサは熱電対であってもよい。
【0005】
熱電対はサセプタ上にあってもよい。
【0006】
センサは通信ケーブルを含んでも良い。流体的にシールされた包囲体は、通信ケーブル通路を備えてもよい。この通信ケーブルを通って通信ケーブルが包囲体を通って延びる。また、包囲体は、通信ケーブル通路をシールするよう通信ケーブル通路内にあるシール要素とを備えてもよい。
【0007】
流体的にシールされた包囲体は、サセプタの一端にエンドサポートを備えてもよく、通信ケーブル通路はエンドサポート内に形成されてもよい。
【0008】
エアロゾル供給デバイスは、流体的にシールされた包囲体とヒータアセンブリとの間に流体シールを備えてもよい。
【0009】
流体シールは、周方向に延びる部材であってもよい。
【0010】
流体シールは、ヒータアセンブリの外側に形成されてもよい。
【0011】
流体シールは、ヒータアセンブリの外側にオーバモールドされてもよい。
【0012】
流体シールは、Oリング、圧縮ガスケット及び/又はグロメットであってもよい。
【0013】
エアロゾル供給デバイスは、ヒータアセンブリの周りに延びる管状部材を備えてもよい。流体的にシールされた包囲体はこの管状部材を備えてもよい。
【0014】
流体シールは、ヒータアセンブリと管状部材との間に延びてもよい。
【0015】
エアロゾル供給デバイスは、ヒータアセンブリの一端にエンドサポートを備えてもよい。管状部材はこのエンドサポート上にあるものとしてもよい。
【0016】
流体シールは、ヒータアセンブリ及びエンドサポートのうちの一方に形成されてもよい。
【0017】
流体シールは、エンドサポートのリムに当接するように構成されてもよい。
【0018】
エンドサポートは、ヒータアセンブリの開放端に空気入口を画定してもよい。
【0019】
流体シールは、ヒータアセンブリを軸線方向に位置付けてもよいし、ヒータアセンブリを半径方向に位置付けてもよい。
【0020】
流体的にシールされた包囲体はエンドサポートを備えてもよく、流体シールは、エンドサポートとヒータアセンブリとの間を流体的にシールしてもよい。
【0021】
エンドサポートは、ヒータアセンブリの第1の端部にある第1のエンドサポートであってもよく、流体シールは第1の流体シールであってもよい。流体的にシールされた包囲体は、ヒータアセンブリの第2の端部にある第2のエンドサポートと、第2のエンドサポートとヒータアセンブリとの間にある第2の流体シールとを備えてもよい。
【0022】
エンドサポート又は各エンドサポート及び管状部材は、一体型の構成要素として作製されてもよい。
【0023】
流体的にシールされた包囲体は空隙を画定してもよい。
【0024】
本開示の一態様によれば、エアロゾル生成材料を受容するように構成されたレセプタクルを有するヒータアセンブリであって、加熱要素を備えるヒータアセンブリと、ヒータアセンブリの少なくとも一部分の周りに延びる流体的にシールされた包囲体であって、この包囲体とレセプタクルとの間に流体的にシールされたキャビティを画定する包囲体とを備えるエアロゾル供給デバイスが提供される。
【0025】
加熱要素は、レセプタクルを形成してもよい。
【0026】
本開示の一態様によれば、エアロゾル生成材料を受容するように構成されたヒータアセンブリであって、変動磁場の侵入によって加熱可能であるサセプタを含むヒータアセンブリと、サセプタの周りに延びる断熱部材と、断熱部材とサセプタとの間の第1のバリアと、断熱部材の周りに延びるインダクタコイルであって、変動磁場を生成するように構成されたインダクタコイルと、インダクタコイルと断熱部材との間の第2のバリアとを備えるエアロゾル供給デバイスが提供される。
【0027】
第1のバリアは、ヒータアセンブリチャンバを画定してもよい。
【0028】
第1のバリアは、ヒータアセンブリから離間されてもよい。エアロゾル供給デバイスは、第1のバリアとヒータアセンブリとの間に空隙を備えてもよい。
【0029】
第1のバリア及び第2のバリアは、第1のバリアと第2のバリアとの間に断熱部材チャンバを画定してもよい。
【0030】
断熱部材チャンバは、ヒータアセンブリから隔離されてもよい。
【0031】
エアロゾル供給デバイスは、インダクタコイルの周りにデバイスシェルを備えてもよい。第2のバリア及びデバイスシェルは、デバイスシェルと第2のバリアとの間にインダクタコイルチャンバを画定してもよい。
【0032】
第2のバリアは、インダクタコイルのためのコイルサポートを備えてもよい。第1のバリア及び第2のバリアのうちの少なくとも一方が管状部材を備えてもよい。
【0033】
本開示の一態様によれば、上記段落のいずれかに記載されたようなエアロゾル供給デバイスと、エアロゾル生成材料を含む物品であって、ヒータアセンブリ内に少なくとも部分的に受容されるように寸法決めされている物品とを備えるエアロゾル供給システムが提供される。
【0034】
使用時、インダクタコイルは、約200℃~約300℃の温度まで、サセプタを加熱するよう構成されていてもよい。使用時、インダクタコイルは、約350℃の温度まで、サセプタを加熱するよう構成されていてもよい。
【0035】
インダクタコイルは、実質的に螺旋状であってもよい。インダクタコイルは、螺旋状のコイルであってもよい。例えば、インダクタコイルは、コイルサポートに螺旋状に巻回されたリッツ線等のワイヤにより構成されていてもよい。ワイヤは単線(solid wire)であってもよい。
【0036】
実際の物の「外面」というのは、サセプタの軸線と垂直な方向に、軸線から最も遠く配置された表面を意味する。同様に、実際の物の「内面」というのは、サセプタの軸線と垂直な方向に、軸線に最も近く配置された表面を意味する。
【0037】
実際の物の「厚さ」というのは、その物の内面とその物の外面との間の平均距離を意味する。厚さは、サセプタの軸線と垂直な方向に測定されるようになっていてもよい。
【0038】
インダクタコイル、サセプタ及び流体的にシールされた包囲体は、同軸であってもよい。
【0039】
いくつかの例において、使用時、インダクタコイルは、約200℃~約350℃(約240℃~約300℃又は約250℃~約280℃等)の温度まで、サセプタを加熱するよう構成されている。外カバーが少なくともこの距離だけサセプタから離隔している場合、外カバーの温度は、約60℃未満、約50℃未満、約48度未満、又は約43℃未満等の安全レベルに保たれる。
【0040】
流体的にシールされた包囲体は、例えばプラスチックのような断熱材料から作られてもよい。特定の一例において、流体的にシールされた包囲体は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)により構成されている。PEEKは断熱性に優れており、エアロゾル供給デバイスでの使用によく適している。
【0041】
別の例において、流体的にシールされた包囲体は、マイカ又はマイカ-ガラスセラミックを含んでいてもよい。
【0042】
また、流体的にシールされた包囲体は、熱伝導率が約0.5W/mK未満又は約0.4W/mK未満であってもよい。例えば、熱伝導率は、約0.3W/mKであってもよい。PEEKは、熱伝導率が約0.32W/mKである。
【0043】
流体的にシールされた包囲体は、融点が約320℃超(約300℃超又は約340℃超)であってもよい。PEEKは、融点が343℃である。
【0044】
このデバイスは、非燃焼加熱式デバイスとしても知られるタバコ加熱デバイスであってもよい。
【0045】
本発明の別の特徴及び利点については、本発明の好適な実施形態に関する以下の説明から明らかとなるであろうが、これは、添付の図面を参照しつつ、一例として示しているに過ぎない。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】エアロゾル供給デバイスの一例の正面図である。
【
図2】筐体、端部材、電源、エアロゾル生成アセンブリ、交換式物品、及び外カバーを示した
図1のエアロゾル供給デバイスの一部分解側面図である。
【
図3】
図1のエアロゾル供給デバイスの一部分の拡大側方断面図である。
【
図4】
図2のエアロゾル生成アセンブリの一部を示した拡大断面図である。
【
図5】
図2のエアロゾル生成アセンブリの近位部を示した別の拡大断面図である。
【
図6】
図2のエアロゾル生成アセンブリの遠位部を示した別の拡大断面図である。
【
図7】
図2のエアロゾル生成アセンブリの一部を示した別の拡大断面図である。
【
図8】
図2のエアロゾル生成アセンブリの一部を示した別の拡大断面図である。
【
図9】インダクタコイル及びコイルサポートを含む
図2のエアロゾル生成アセンブリの側面図である。
【
図11】
図2の筐体及びエアロゾル生成アセンブリの側面図である。
【
図12】熱電対取り付け部を示した
図4のコイルサポートの一部分の拡大側面図である。
【
図13】センサ通信ケーブルと通信ケーブルチャネルとを含む、
図2のエアロゾル生成アセンブリの部分拡大斜視図である。
【
図14】
図2のエアロゾル生成アセンブリの通信ケーブルチャネルをシールするように構成されたシール要素の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本明細書において、用語「エアロゾル生成材料(aerosol generating material)」は、通常はエアロゾルの形態で、加熱時に揮発成分を与える材料を含む。エアロゾル生成材料には、任意のタバコ含有材料を含み、例えば、タバコ、タバコ派生物、拡張タバコ、再生タバコ、又はタバコ代替品のうちの1つ又は複数が挙げられる。また、エアロゾル生成材料としては、他の非タバコ製品も挙げられ、製品によっては、ニコチンを含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。エアロゾル生成材料は、例えば固体、液体、ゲル、ワックス等の形態であってもよい。また、エアロゾル生成材料は、材料の組み合わせ又は混合であってもよい。また、エアロゾル生成材料は、「喫煙材」として知られる場合もある。
【0048】
エアロゾル生成材料を加熱して当該エアロゾル生成材料の少なくとも1つの成分を揮発させることにより、通常はエアロゾル生成材料の燃焼(burn又はcombust)なく吸引可能なエアロゾルを形成する装置が知られている。このような装置は、「エアロゾル生成デバイス」、「エアロゾル供給デバイス」、「非燃焼加熱式デバイス」、「タバコ加熱製品デバイス」、又は「タバコ加熱デバイス」等として記載される場合がある。同様に、通常は液体の形態のエアロゾル生成材料(ニコチンを含む場合もあれば、含まない場合もある)を気化させる、いわゆるeシガレットデバイスが存在する。エアロゾル生成材料は、装置に挿入可能なロッド、カートリッジ、又はカセット等の一部分の形態であってもよいし、一部として提供されるようになっていてもよい。エアロゾル生成材料を加熱して揮発させる加熱器は、装置の「永久」部品として設けられていてもよい。
【0049】
エアロゾル供給デバイスは、エアロゾル生成材料を含む物品を受容して加熱することができる。これに関連して、「物品」は、使用時にエアロゾル生成材料を具備又は含有し、加熱されてエアロゾル生成材料及び任意選択で使用時の他の構成要素を揮発させる構成要素である。ユーザが物品をエアロゾル供給デバイスに挿入した後、当該エアロゾル供給デバイスが加熱されて、ユーザが後で吸引するエアロゾルが生成されるようになっていてもよい。物品は、例えば当該物品を受容するようにサイズ規定されたデバイスの加熱チャンバ内に配置されるように構成された予め定められたサイズであってもよいし、特定のサイズであってもよい。
【0050】
図1は、エアロゾル生成媒体/材料からエアロゾルを生成するエアロゾル供給デバイス100の一例を示している。概略として、デバイス100は、エアロゾル生成媒体を含む交換式物品110を加熱して、当該デバイス100のユーザが吸引するエアロゾル又は他の吸引可能媒体を生成するのに用いられるようになっていてもよい。
【0051】
デバイス100は、当該デバイス100の様々な構成要素を囲んで収容する(外カバーを含む)ハウジング102を備える。デバイス100は、物品110を挿通してヒータアセンブリ105により加熱可能な開口104を一端に有する(
図2参照)。使用時、物品110は、ヒータアセンブリ105に全部又は一部が挿入され、ヒータアセンブリ105の1つ又は複数の構成要素により加熱されるようになっていてもよい。
【0052】
また、デバイス100は、ボタン又はスイッチ等、押された場合にデバイス100を動作させるユーザ操作可能な制御要素112を具備していてもよい。例えば、ユーザは、スイッチ112の操作によって、デバイス100をオンするようにしてもよい。
【0053】
デバイス100は、長手方向軸線101を画定する。
【0054】
図2は、
図1のデバイス100の模式分解図である。デバイス100は、外カバー102、第1の端部材106、及び第2の端部材116を備える。デバイス100は、筐体109、電源118、及びヒータアセンブリ105を含むエアロゾル生成アセンブリ111を具備する。デバイス100は、少なくとも1つの電子機器モジュール122をさらに備える。
【0055】
外カバー102は、デバイスシェル(デバイス外囲体)108の一部を構成する。第1の端部材106は、デバイス100の一端に配置されており、デバイス100の反対端には第2の端部材116が配置されている。第1及び第2の端部材106、116は、外カバー102を閉じる。第1及び第2の端部材106、116は、シェル108の一部を構成する。実施形態のデバイス100は、物品110が適所にない場合に、第1の端部材106に対する移動によって開口104を閉鎖し得る蓋(図示せず)を備える。
【0056】
また、デバイス100は、コネクタ/ポート114等、ケーブルを受容して当該デバイス100のバッテリを充電可能な電気的構成要素を備えていてもよい。例えば、コネクタ114は、USB充電ポート等の充電ポートであってもよい。いくつかの例において、コネクタ114は、追加又は代替として、デバイス100とコンピュータデバイス等の別のデバイスとの間のデータの転送に用いられるようになっていてもよい。
【0057】
デバイス100は、筐体109を具備する。筐体109は、外カバー102により受容される。エアロゾル生成アセンブリ111は、使用時に物品110の全部又は一部が挿入され得るヒータアセンブリ105を備え、物品110は、ヒータアセンブリ105の1つ又は複数の構成要素により加熱されるようになっていてもよい。エアロゾル生成アセンブリ111及び電源118は、筐体109に搭載されている。筐体109は、一体型(ワンピース型)の構成要素である。
【0058】
筐体109は、例えば射出成形プロセスによって、作製時に一体形成されるようになっていてもよい。或いは、最初に筐体109の2つ以上の特徴が別個に形成された後、例えば溶接プロセスにより、作製段階における一体形成によって、一体型の構成要素が形成されるようになっていてもよい。
【0059】
一体型の構成要素は、デバイス100の組み立て後、2つ以上の構成要素に分離できないデバイス100の構成要素を表す。一体形成は、構成要素の作製段階で一体型の構成要素として形成される2つ以上の特徴に関する。
【0060】
第1及び第2の端部材106、116は一体的に、デバイス100の端面を少なくとも部分的に画定する。例えば、第2の端部材116の底面は、デバイス100の底面を少なくとも部分的に画定する。また、外カバー102の縁部が端面の一部を画定していてもよい。第1及び第2の端部材116は、外カバー102の開放端を閉じる。第2の端部材116は、筐体109の一端にある。
【0061】
開口104に最も近いデバイス100の端部は、使用時にユーザの口に最も近いため、デバイス100の近位端(又は、口側端部)として知られていてもよい。使用時、ユーザは、物品110を開口104に挿入し、ユーザ制御112を操作してエアロゾル生成材料の加熱を開始し、デバイスで生成されたエアロゾルを利用する。これにより、流路に沿ってデバイス100の近位端に向かって、エアロゾルがデバイス100を流れる。
【0062】
開口104から最も遠いデバイスの他端は、使用時にユーザの口から最も遠くなる端部であるため、デバイス100の遠位端として知られていてもよい。デバイスで生成されたエアロゾルをユーザが利用する場合、エアロゾルは、デバイス100の近位端に向かう方向に流れる。デバイス100の特徴に適用される近位及び遠位という用語は、軸線101に沿った近位-遠位方向において、このような特徴の互いの相対的配置を参照することにより説明されるであろう。
【0063】
電源118は、デバイス100の遠位端に配設されている。筐体109は、電源118を搭載している。筐体109は、電源取り付け部119を備える。筐体109は、電源118を部分的に囲んでいる。電源118は、例えば充電式バッテリ又は非充電式バッテリ等のバッテリであってもよい。好適なバッテリの例としては、例えばリチウムバッテリ(リチウムイオンバッテリ等)、ニッケルバッテリ(ニッケルカドミウムバッテリ等)、及びアルカリバッテリが挙げられる。バッテリは、エアロゾル生成アセンブリ111に対して電気的に結合され、必要に応じて電力を供給するとともに、制御装置121の制御下でエアロゾル生成材料を加熱する。本例において、バッテリは、当該バッテリ118を適所に保持する中央サポートとして作用する筐体109に接続されている。
【0064】
電源118及びエアロゾル生成アセンブリ111は、軸線方向構成体として、電源118がデバイス100の遠位端に、エアロゾル生成アセンブリ111がデバイス100の近位端に配設されている。他の構成が想定される。筐体109は、エアロゾル生成アセンブリ取り付け部113を備える。
【0065】
デバイス100は、少なくとも1つの電子機器モジュール122をさらに備える。電子機器モジュール122は、例えばプリント配線板(PCB)123を備えていてもよい。PCB123は、プロセッサ等の少なくとも1つの制御装置121及びメモリを支持していてもよい。また、PCB123は、デバイス100の様々な電子的構成要素を電気的に一体接続する1つ又は複数の電気的トラックを備えていてもよい。例えば、電力をデバイス100全体に配分可能となるように、バッテリ端子がPCB123に対して電気的に接続されていてもよい。また、コネクタ114は、電気的トラックを介して、バッテリ118に対して電気的に結合されていてもよい。筐体109は、PCB取り付け部117を備える。
【0066】
エアロゾル生成アセンブリ111は、誘導加熱アセンブリであり、誘導加熱プロセスによって物品110のエアロゾル生成材料を加熱する様々な構成要素を備える。誘導加熱は、電磁誘導によって導電体(サセプタ等)を加熱するプロセスである。誘導加熱アセンブリは、誘導要素(例えば、1つ又は複数のインダクタコイル)と、交流等の変動電流を誘導要素に通過させるデバイスとを備えていてもよい。誘導要素の変動電流は、変動磁場を生成する。変動磁場は、誘導要素に対して好適に配置されたサセプタに侵入して、サセプタの内側に渦電流を生成する。サセプタは、渦電流に対する電気抵抗を有するため、この抵抗に対する渦電流の流れによって、サセプタがジュール加熱により加熱される。また、サセプタが鉄、ニッケル、又はコバルト等の強磁性材料を含む場合は、サセプタの磁気ヒステリシス損すなわち変動磁場との位置合わせの結果としての磁性材料の磁気双極子の変動配向によっても熱が生成されてもよい。誘導加熱においては、例えば伝導による加熱と比較して、サセプタの内側で熱が生成されるため、急速加熱が可能となる。さらに、誘導加熱器とサセプタとの間の物理的な接触が一切不要なため、構成及び用途の自由度が増す。
【0067】
図3は、デバイス100の一部を示した一部断面拡大側面図を示している。外カバー102は、エアロゾル生成アセンブリ111を囲んでいる。デバイス100のエアロゾル生成アセンブリ111は、ヒータアセンブリ105及びインダクタコイルアセンブリ127を備える。インダクタコイルアセンブリ127は、ヒータアセンブリ105の周りに延びている。インダクタコイルアセンブリ127は、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126を含む。また、インダクタコイルアセンブリ127は、コイルサポート200を備える。
【0068】
ヒータアセンブリ105は、サセプタ構成体132(本明細書においては、「サセプタ」と称する)を具備する。本例のサセプタ132は中空であるため、エアロゾル生成材料が受容されるレセプタクル131を画定する。例えば、物品110をサセプタ132に挿入可能である。本例において、サセプタ132は、円形の断面を有する管状である。サセプタ132は、ヒータアセンブリ105の第1の部分を画定する。サセプタ132は、その軸線方向長さに沿って、略一定の直径を有する。サセプタ132は、第1の端部である近位端133にフレア部134を有する。フレア部134は、外方に広がっている。フレア部134は、外方延伸リップ135を画定する。すなわち、リップ135は、サセプタ132の主部の外径よりも大きな直径を有する。リップ135は、第1の端部133におけるサセプタ132の他の構成要素との接触を最小限に抑えるように作用する。この構成は、サセプタ132が加熱された場合に、例えば伝導による熱伝達の低減に役立つ。
【0069】
サセプタ132は、電磁誘導による加熱に適した導電材料により形成されている。本例におけるサセプタは、炭素鋼により形成されている。他の好適な材料(例えば、鉄、ニッケル、又はコバルト等の強磁性材料)も使用可能であることが理解されよう。
【0070】
他の実施形態において、レセプタクルとして機能する特徴は、誘導加熱に限定され得ない。したがって、加熱要素として機能する特徴は、電気抵抗により加熱可能であってもよい。このため、ヒータアセンブリ105は、装置と電気的につながって、電気エネルギーの流れを加熱要素に通すことで加熱要素を電気的に作動させる電気接点を備えていてもよい。
【0071】
図3は、サセプタ132が提供するレセプタクル131に受容された物品110の部分を示している。サセプタ132及び物品110は、物品110がサセプタ132により受容されるように寸法規定されている。これにより、加熱が最も効率的であることを確実にするのに役立つ。本例の物品110は、エアロゾル生成材料を含む。エアロゾル生成材料は、サセプタ132内に配置されている。また、物品110は、フィルタ、包装材、及び/又は冷却構造等の他の構成要素を備えていてもよい。
【0072】
また、ヒータアセンブリ105は、漏斗部140を備える。漏斗部140は、サセプタ132の第2の端部である遠位端136にある。漏斗部140は、サセプタ132から突出している。実施形態において、サセプタ132及び漏斗部140は、一体型の構成要素である。
【0073】
漏斗部140は、シンブル構成を有する。漏斗部140は、サセプタ132の第2の端部である遠位端136にある。漏斗部140は、ヒータアセンブリ105の第2の部分を画定する。漏斗部140は、第1の直径の第1の部分141及び第2の直径の第2の部分142を備える。第1及び第2の部分141、142間には、中間部143が延びている。第1の部分141は、管状であって、軸線方向に延びている。第2の部分142は、管状であって、軸線方向に延びている。漏斗部140は、中空である。中間部143は、肩部145を構成する。肩部145は、物品110のレセプタクルへの挿入を制限するストッパとして作用する。肩部145は、実質的に垂直な平面で長手方向軸線101へと延びている。
【0074】
第1の部分141は、第2の部分142の内径よりも大きな内径を有する。したがって、漏斗部140は、第1の部分141から第2の部分142へと広がっている。このため、漏斗部140は、サセプタ端148から遠位端149へと直径が小さくなっている。
【0075】
漏斗部140は、内部を通る空気通路146を画定する。第1の部分141及びサセプタ132は、当該サセプタ132の一端で互いに一部が重なり合う。一例において、この重なりは、約1mm~約3mmである。特定の本例において、重なりは、2mmである。重なりが存在しない例もある。このような例においては、サセプタ132及び漏斗部140が隣接する。第1の部分141は、サセプタ132の第2の端部である遠位端136に重なる。第1の部分141は、略円筒状であり、サセプタ132の外径に実質的に対応する内径を有する。第1の部分141は、サセプタ132に隣接する。漏斗部140の第1の部分141とサセプタ132との間には、接合部147が形成されている。接合部147は、サセプタ132と漏斗部140との間の伝熱路の形成を補助する。
【0076】
接合部147は、流体的にシールされた接合部である。流体シールは、サセプタ132と漏斗部140との間に形成されている。このため、サセプタ132及び漏斗部140の対向端部間には、流体的にシールされた流体経路が画定される。したがって、サセプタ132により画定されたレセプタクルは、漏斗部140により形成された空気通路146を備える流体シール空気路を構成する。
【0077】
実施形態において、接合部147における流体シールは、機械的加工結合(例えば、溶接)により形成されている。接合部147における流体シールは、レーザ溶接プロセスにより形成されるがや接着等の他の方法が使用可能であることは理解されよう。漏斗部140は、伝熱材料により形成されている。実施形態において、漏斗部140は、炭素鋼により形成されている。実施形態において、漏斗部は、サセプタ132と同じ材料により形成されている。接合部は、サセプタ132がその予め定められた動作温度である場合に、流体シールを維持するように構成されている。このようなプロセスにより、サセプタ132及び漏斗部140は、一体型の構成要素として作製される。
【0078】
したがって、サセプタ132と漏斗部140との間のシールされた流体経路は、ヒータアセンブリ105の一方の開放端からヒータアセンブリ105を通ってヒータアセンブリ105の他方の開放端まで延びている。このため、ヒータアセンブリ105には、ヒータアセンブリ105を通る任意の流体流が含まれる。ヒータアセンブリ105の外側には、乾燥ゾーンが画定されていてもよい。
【0079】
サセプタ132及び漏斗部140の隣接により、サセプタ132から漏斗部140への伝導による熱伝達が実現される。このため、漏斗部140の受動加熱の補助が可能である。漏斗部140の受動加熱によって、デバイス100中の凝縮物の蓄積速度を制限することが可能である。
【0080】
漏斗部140は、インダクタコイルアセンブリ127から軸線方向に離隔している。特に、漏斗部140の第2の部分142がインダクタコイルアセンブリ127から軸線方向に離隔している。このため、インダクタコイルアセンブリ127による漏斗部140の直接加熱は、最小限又は皆無となる。漏斗部140は、軸線方向においてインダクタコイルアセンブリ127に隣り合っていてもよい。
【0081】
特に
図4~
図8を参照して、デバイス100は、第1のエンドサポート220及び第2のエンドサポート230を備える。ヒータアセンブリ105は、第1及び第2のエンドサポート230間に延びている。第1のエンドサポート220と第2のエンドサポート230との間には、バリア部材250が延びている。バリア部材250は、サポート部材として作用する。
【0082】
第1のエンドサポート220は、ヒータアセンブリ105の第1の端部である近位端に係合して、サセプタ132を適所に保持する。第1のエンドサポート220は、後述の通り、拡張チャンバとして作用する。特に
図7及び
図8を参照して、第1のエンドサポート220は、サセプタ132の第1の端部から離れて開口104に向かって延びている。第1のエンドサポート220内には、デバイス100内に受容された場合の物品110に隣接して保持する保持クリップ等の保持構成体221の少なくとも一部が配置されている。第1のエンドサポート220は、端部材106に接続されている。
【0083】
第1のエンドサポート220は、挿入チャンバ222を備える。挿入チャンバ222は、その内部に物品110を受容するように構成されている。保持構成体221は、挿入チャンバ222にある。挿入チャンバ222は、物品110の直径よりも大きな内径を有する。第1のエンドサポート220は、ヒータアセンブリ105の第1のカラーである近位カラーを構成する。その内部には、穿孔223が延びている。例えば
図7及び
図8に示すように、穿孔223の内面では、遠位対向肩部225が画定されている。遠位対向肩部225は、サセプタ132が第1のエンドサポート220により受容された場合に、サセプタのリップ135と位置合わせされる。
【0084】
ここで特に
図4及び
図5を参照して、第1のエンドサポート220は、当該第1のエンドサポート220の遠位側でシールリム226を構成する。遠位シールリム226は、穿孔223の周りに延びている。第1のエンドサポート220の第1の端部外面である近位端部外面228からは、第1の取り付けフランジ227が延びている。第1の取り付けフランジ227は、円周方向に延びるとともに、シールリム226から離隔している。第1の取り付けフランジ227は、第1の端部外面228から直立して、第1の端部取り付け面である近位端部取り付け面229を構成する。第1の端部外面である近位端部外面228及び第1の端部取り付け面229は、段差構成を画定する。第1の端部取り付け面229は、第1の端部外面228よりも大きな直径を有する。実施形態において、第1の端部外面228及び第1の端部取り付け面は、第1及び第2の段差面を画定する。
【0085】
特に
図4~
図8を参照して、デバイス100は、サセプタ132の第2の端部である遠位端において漏斗部140に係合することにより、ヒータアセンブリ105を適所に保持する第2のエンドサポート230をさらに備える。第2のエンドサポート230は、ヒータアセンブリ105の第2のカラーである遠位カラーを構成する。漏斗部が省略される実施形態においては、第2のエンドサポート230がサセプタ132に直接係合する。第2のエンドサポート230は、後述の通り、空気入口として作用する。第2のエンドサポート230は、サセプタ132の第2の端部から離れてデバイス100の遠位端に向かって延びている。
【0086】
特に
図4及び
図6を参照して、第2のエンドサポート230は、第2の端部穿孔231を含む。第2の端部穿孔231は、空気入口として作用する。空気入口は、第2のエンドサポート230を通る流路を画定する。空気入口は、エアロゾル生成アセンブリ111の外部と連通して、デバイス100の外部への空気路を提供する。第2のエンドサポート230は、漏斗部140を少なくとも部分的に受容するように構成されている。第2のエンドサポート230の内面は、段差状である。内面は、第1の段差を備えた第1の段差状領域232及び第2の段差を備えた第2の段差状領域233を備える。第1の段差状領域232は、漏斗部140の第1の部分141を受容する。第2の段差状領域233は、漏斗部140の第2の部分142を受容する。第2の段差状領域233は、第1のシール面234を含む。第2の段差状領域233は、第2のシール面235を含む。第1のシール面234は、内部の円周方向延伸面である。第2のシール面235は、長手方向軸線101と実質的に垂直な平面に延びた円周方向延伸面である。
【0087】
第2のエンドサポート230の第2の外面である遠位外面238からは、第2の取り付けフランジ237が延びている。第2の取り付けフランジ237は、円周方向に延びるとともに、第2のエンドサポート230の近位端から離隔している。第2の取り付けフランジ237は、第2の端部外面238から直立して、第2の端部取り付け面である遠位端部取り付け面239を構成する。第2の端部外面である遠位端部外面238及び第2の端部取り付け面である遠位端部取り付け面239は、段差構成を画定する。第2の端部取り付け面239は、第2の端部外面238よりも大きな直径を有する。実施形態において、第2の端部外面238及び第2の端部取り付け面239は、第1及び第2の段差面を画定する。
【0088】
バリア部材250は、第1のエンドサポート220と第2のエンドサポート230との間に延びている。バリア部材250は、第1及び第2のエンドサポート220、230間に延びている。バリア部材250は、第1及び第2のエンドサポート220、230とともに、ヒータアセンブリ105を囲んでいる。このことは、デバイス100の他の構成要素からのヒータアセンブリ105の熱的分離の補助として作用する。バリア部材250は、中空の管状部材である。
【0089】
バリア部材250は、第1及び第2のエンドサポート220、230に固定して取り付けられている。第1及び第2のエンドサポート220、230は、バリア部材250の端部に受容される。第1のエンドサポート220は、バリア部材250の近位端を閉じる。第2のエンドサポート230は、バリア部材250の遠位端を閉じる。バリア部材250は、第1及び第2のエンドサポート220、230と部分的に重なり合う。一例において、この重なりは、約2mm~約3mmである。特定の本例において、重なりは、約2.2mmである。重なりが存在しない例もある。バリア部材250の近位端は、第1の端部外面228に隣接する。バリア部材250の遠位端は、第2の端部外面238に隣接する。
【0090】
バリア部材250は、第1及び第2のエンドサポート220、230に固定して取り付けられている。バリア部材250は、第1及び第2のエンドサポート220、230と流体シールを構成する。実施形態においては、バリア部材250と第1及び第2のエンドサポート220、230それぞれとの間に機械的加工結合(例えば、溶接)が形成される。部品の結合部における流体シールは溶接プロセスにより形成されるが、ろう付けや接着等の他の方法が使用可能であることが理解されよう。実施形態において、バリア部材250並びに第1及び第2のエンドサポート220、230は、同じ材料により形成されている。上記結合は、サセプタ132がその予め定められた動作温度である場合に、流体シールを維持するように構成されている。このようなプロセスにより、バリア部材250並びに第1及び第2のエンドサポート220、230は、一体型の構成要素として形成されている。
【0091】
実施形態において、バリア部材250は、非金属材料による形成によって、磁気誘導との干渉の制限を補助する。この特定の本例において、バリア部材250は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)により構成されている。第1及び第2のエンドサポート220、230は、PEEKにより構成されている。他の好適な材料が可能である。このような材料により形成された部品は、サセプタが加熱された場合にバリア部材250が剛性/固体性を維持するのに役立つ。バリア部材250は、剛性材料による形成によって、ヒータアセンブリ105及びエンドサポート220、230等の他の構成要素の支持を補助する。バリア部材250は、例えばプラスチック等の絶縁材料により構成されていてもよい。一例において、バリア部材250の厚さは、約0.1mm~約0.5mmである。本例において、厚さは、約0.3mmである。
【0092】
ヒータアセンブリ105、バリア部材250、並びに第1及び第2のエンドサポート220、230は、サセプタ132の中央長手方向軸線について同軸である。バリア部材250は、サセプタ132において生成された熱からデバイス100の様々な構成要素を断熱するのに役立ち得る。
【0093】
サセプタ132と第1のエンドサポート220との間には、半径方向間隙が設けられている。穿孔223の直径は、サセプタ132の外面の直径よりも大きい。半径方向間隙は、約0.2mmであるが、これと異なっていてもよい。半径方向間隙を設けることは、サセプタ132と第1のエンドサポート220との間の熱伝達の最小化に役立つ。
【0094】
ここで特に
図4~
図6を参照して、第1のシール部材240が加熱アセンブリ(ヒータアセンブリ)105と第1のエンドサポート220との間の流体シールを構成する。第1のシール部材240は、円周方向延伸部材である。第1のシール部材240は、シリコンゴムシールを含む。他の好適な材料が使用可能である。第1のシール部材240は、弾性である。この材料は、ヒータアセンブリ105が動作温度の場合に安定化するように構成されている。第1のシール部材240は、サセプタ240に固定して搭載されている。第1のシール部材240は、例えばサセプタ132の外面への当該第1のシール部材240のオーバモールドによって、サセプタ132に付着している。第1のシール部材240は、サセプタ132の近位端から離隔している。サセプタ132の近位端が第1のエンドサポート220により受容された場合、第1のエンドサポート220のシールリム226は、第1のシール部材240と接してシールを行う。このようなシールは、第1のエンドサポート220とサセプタ220との間に形成される。第1のシール部材240は、軸線方向のシールを構成する。
【0095】
第1のシール部材240は、バリア部材250に接してシールを行う。第1のシール部材240は、サセプタ132から直立している。第1のシール部材240は、バリア部材250の内面に隣接する。したがって、サセプタ132とバリア部材250との間にシールが形成される。第1のシール部材240は、半径方向のシールを構成する。第1のシール部材240は、第1のエンドサポート220及びバリア部材250に対してサセプタを配置及び配向させるように作用する。
【0096】
第2のシール部材245が加熱アセンブリ(ヒータアセンブリ)105と第2のエンドサポート230との間の流体シールを構成する。第2のシール部材245は、円周方向延伸部材である。第2のシール部材245は、シリコンゴムシールを含む。他の好適な材料が使用可能である。第2のシール部材245は、弾性である。この材料は、ヒータアセンブリ105が動作温度の場合に安定化するように構成されている。第2のシール部材245は、漏斗部140に固定して搭載されている。実施形態において、第2のシール部材はサセプタ132にあり、例えば漏斗部が省略されている。第2のシール部材245は、例えば漏斗部140の外面への当該第2のシール部材245のオーバモールドによって、サセプタ132に付着している。第2のシール部材245は、漏斗部140の開放端に隣り合う。ヒータアセンブリの遠位端が第2のエンドサポート230により受容された場合、第2のエンドサポート230の第1のシール面234は、第2のシール部材245と接してシールを行う。このようなシールは、第2のエンドサポート230とヒータアセンブリ105との間に形成される。第2のシール部材245は、半径方向のシールを構成する。
【0097】
第2のシール部材245は、第2のエンドサポート230の第2のシール面235に接してシールを行う。第2のシール部材245は、軸線方向のシールを構成する。第2のシール部材245は、ヒータアセンブリ105から直立している。第2のシール部材245は、第2のエンドサポート230及びバリア部材250に対してヒータアセンブリ105を配置及び配向させるように作用する。
【0098】
実施形態において、第1のシール部材240は、第1のエンドサポート220にあり、ヒータアセンブリ105とともにシールを行う。実施形態において、第2のシール部材245は、第2のエンドサポート230にあり、ヒータアセンブリ105とともにシールを行う。第2のシール部材245は、漏斗部140の第2の部分142にある。実施形態において、第2のシール部材245は、漏斗部140の第1の部分141にある。このような実施形態において、第2のシール部材245は、第2のエンドサポート230の近位リムをシールする。
【0099】
第1のシール部材240及び第2のシール部材250は、第2のシール部材250、ヒータアセンブリ105、及び第1のシール部材240を通るシールされた空気流路を構成する。バリア部材250並びに第1及び第2のエンドサポート220、230は、ヒータアセンブリ105の連続的にシールされた包囲体を構成する。バリア部材250は、サセプタ132から離隔している。バリア部材250の内面は、サセプタ132の外面から離れて配置されることにより、バリア部材250とヒータアセンブリ105との間に空隙を提供する。空隙は、サセプタ132において生成された熱からの断熱を提供する。
【0100】
ヒータアセンブリ105とバリア部材105との間には、流体的にシールされたキャビティ260が形成されている。流体的にシールされたキャビティ260は、チャンバを構成する。キャビティ260は、空隙を提供する。キャビティ260は、いくつかの実施形態において、他のガス状の要素又は固体状の要素を含む。ヒータアセンブリ105の一部分の周りには、流体的にシールされた包囲体261が形成されている。流体的にシールされた包囲体261は、気密なシールを形成する。流体的にシールされた包囲体は、バリア部材105、第1及び第2のシール部材240、245、ヒータアセンブリ105、並びに第2のエンドサポート230により形成されている。いくつかの実施形態において、第1のエンドサポート220は、包囲体261の一部を構成する。いくつかの実施形態において、流体的にシールされた包囲体261は、バリア部材105、ヒータアセンブリ105、並びに第1及び第2のシール部材240、245により形成されている。実施形態において、ヒータアセンブリ105とバリア部材105との間の間隙は、約0.8mm~1mmである。実施形態において、間隙は、約0.9mmである。
【0101】
流体的にシールされたキャビティ260には、熱電対265等のセンサが配設されている。熱電対265は、サセプタ132に搭載されている。熱電対265は、サセプタ132の温度を決定するように構成されている。熱電対265は、サセプタ132の温度を直接検出する。デバイス100は、サセプタ132の温度を決定するように構成された2つ以上の熱電対132を備えていてもよい。流体的にシールされたキャビティ260を設けることは、流体的にシールされたキャビティ260の外部の大気から熱電対265を分離するのに役立つ。流体的にシールされたキャビティ260を設けることは、デバイス100を通る空気流路から熱電対265を分離するのに役立つ。このため、空気流路からの凝縮物の熱電対265への流れが制限される。
【0102】
次に
図13を参照すると、1本以上の通信ケーブル266が、センサとして作用する熱電対265から延びている。
図13には3本のケーブルが示されているが、ケーブルの数は異なっていてもよい。1本以上のケーブル266は、単一の熱電対265に関連したものであってもよい。通信ケーブル266は、流体的にシールされたキャビティ260内に延びている。通信ケーブル266は、流体的にシールされた包囲体に設けられた開口部267を通って延びている。開口部は、通信ケーブル通路を画定する。開口部は、第2のエンドサポート230に設けられたケーブルチャネル268によって形成される。ケーブルチャネル268は、第2のエンドサポート230の第2の遠位外面238上に形成されている。ケーブルチャネル268は、第2の取り付けフランジ237を通って延びている。本実施形態では、ケーブルチャネル268は開いたチャネルである。いくつかの実施形態において、ケーブルチャネル268は、穴を形成する閉じたチャネルである。バリア部材250は、ケーブルチャネルの一部と重なってケーブルチャネルの開放側を閉じる。したがって、通信ケーブル266は、第2のエンドサポート230とバリア部材250との間を通る。シール要素がケーブルチャネルをシールする。
図13では、分かりやすくするためにシール要素を省略している。
【0103】
シール要素は、例えば、エポキシ樹脂等の硬化性樹脂及び/又は弾性インサートとすることができる。シール要素は、通信ケーブル266及び周囲のチャネル面と流体的なシールを形成する。ケーブルチャネル268は、第2のエンドサポート230に形成されるが、いくつかの実施形態では、シール可能なケーブル開口部267として作用するケーブルチャネル268は、バリア部材250又は第1の端部材220に形成されることは理解されよう。通信ケーブル266は、電力及び通信信号の少なくとも一方を送信及び/又は受信するように構成される。周壁269は、チャネル268の遠位端の周りに立設される。周壁269は、組立中のシール要素のシール及び配置を補助する。
【0104】
一実施形態によると、シール要素は硬化可能なサーマル埋め込み剤(termal potting)である。
【0105】
図13において、ケーブルチャネル268は、第2のエンドサポート230及び第2の取り付けフランジ237における部分切除によって形成される。ケーブルチャネル268は、通信ケーブル266が延びる第2のエンドサポート230とバリア部材250とによって画定される開口部によって提供される。他の実施形態では、開口部は、バリア部材250及び第2のエンドサポート230のうちの一方に画定される。シール要素は、バリア部材250及び/又は第2のエンドサポート230によって画定される開口部をシールするように作用する。
【0106】
図13に示すようなケーブルチャネル268の開口部は、軸線方向に細長い。代替的な形状及び寸法が可能であることは理解されるであろう。
図14はシール要素310を示している。
図14のシール要素310は、ケーブルチャネルの半径方向に細長い開口部をシールするように構成されているが、シール要素310は、軸線方向に細長い開口部等の開口部の別の構成をシールするように形状が変更されてもよいことは理解されよう。
【0107】
シール要素310は弾性部材である。このようなシール要素310はグロメットとして知られている。シール要素310は、ケーブルチャネル268をシールするために開口部に受容される。シール要素310の周りの側面は、バリア部材250及び/又は第2のエンドサポート230でシールを行う。通信ケーブル266は、ケーブルチャネル268を通って延びる。シール要素310は、そこを通って延びる通信ケーブル266でシールを行う。したがって、流体的なシールを容易に得ることができる。
【0108】
シール要素310は、内側本体端部311aと外側本体端部311bとを有する。首部分312は、内側本体端部311aと外側本体端部311bとの間に延びている。内側本体端部311a及び外側本体端部311bはフランジを含む。首部分312は、内側本体端部311a及び外側本体端部311bが開口部のリムの両側にある開口部を通って延びる。3つのケーブル通路313a、313b、313cは、シール要素310を貫通して延びる。各ケーブル通路は、シール要素310の内側と外側との間で延びている。ケーブル通路313a、313b、313cの各々は、対応のケーブルを受けるが、異なる数のケーブル通路が、例えば単一ケーブル用の単一ケーブル通路が、使用されてもよいことは理解されよう。内側本体端部311aの切欠き314は、ケーブル通路313の第1の端部からケーブル266のためのガイド経路を提供する。ケーブル通路の第2の端部(図示せず)には、切欠き314と同様の切欠きを設けてもよい。このような切欠きは、シール要素310に必要とされる空間を最小にし、ケーブルの経路を提供する。
【0109】
特に
図9及び
図10を参照して、インダクタコイルアセンブリ127は、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126を含む。第1及び第2のインダクタコイル124、126は、導電材料により構成されている。本例において、第1及び第2のインダクタコイル124、126は、螺旋状に巻回されてヘリカルインダクタコイル124、126を提供するリッツ線/ケーブルにより構成されている。リッツ線は、個別に絶縁され、一体的な撚り合わせによって単一のワイヤを構成する複数の個々のワイヤを備える。リッツ線は、導電体の表皮効果損を抑えるように設計されている。例示的なデバイス100において、第1及び第2のインダクタコイル124、126は、円形の断面を有する銅リッツ線により構成されている。他の例において、リッツ線は、矩形等、他の形状の断面を有し得る。インダクタコイルの数は、異なっていてもよい。例えば、実施形態において、インダクタコイルアセンブリ127は、単一のインダクタコイルを含んでいてもよい。第1又は第2のインダクタコイルが省略されてもよい。
【0110】
第1のインダクタコイル124は、サセプタ132の第1の部分を加熱する第1の変動磁場を生成するように構成され(
図4参照)、第2のインダクタコイル126は、サセプタ132の第2の部分を加熱する第2の変動磁場を生成するように構成されている。本例において、第1のインダクタコイル124は、デバイス100の長手方向軸線101に沿った方向で第2のインダクタコイル126に隣り合っている(すなわち、第1及び第2のインダクタコイル124、126は、重なり合わない)。サセプタ構成体132は、単一のサセプタを備えていてもよいし、2つ以上の別個のサセプタを備えていてもよい。第1及び第2のインダクタコイル124、126の端部130は、PCB123に接続可能である(
図2参照)。
【0111】
いくつかの例において、第1及び第2のインダクタコイル124、126は、互いに異なる少なくとも1つの特性を有していてもよいことが明らかであろう。例えば、第1のインダクタコイル124は、第2のインダクタコイル126と異なる少なくとも1つの特性を有していてもよい。より具体的に、一例として、第1のインダクタコイル124は、第2のインダクタコイル126と異なるインダクタンスの値を有していてもよい。
図3及び
図4において、第1及び第2のインダクタコイル124、126は、第1のインダクタコイル124がサセプタ132に巻回される部分が第2のインダクタコイル126よりも小さくなるように、異なる長さを有する。このため、第1のインダクタコイル124は、第2のインダクタコイル126と異なる巻回数であってもよい(個々の巻回の間隔は実質的に同じと仮定する)。さらに別の例において、第1のインダクタコイル124は、第2のインダクタコイル126と異なる材料により構成されていてもよい。いくつかの例において、第1及び第2のインダクタコイル124、126は、実質的に同一であってもよい。
【0112】
本例において、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126は、同じ方向に巻回されている。インダクタコイルは、異なるタイミングで作動するようになっていてもよい。例えば、最初に第1のインダクタコイル124が物品110の第1の部分を加熱するように動作していてもよく、さらにその後で第2のインダクタコイル126が物品110の第2の部分を加熱するように動作していてもよい。実施形態において、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126は、反対方向に巻回されている。コイルを反対方向に巻回することは、特定種類の制御回路と併せて使用される場合に非作動のコイルに誘導される電流を抑えるのに役立つ。このような例においては、第1のインダクタコイル124が右手螺旋であってもよく、また、第2のインダクタコイル126が左手螺旋であってもよい。別の実施形態においては、第1のインダクタコイル124が左手螺旋であってもよく、また、第2のインダクタコイル126が右手螺旋であってもよい。
【0113】
インダクタコイルの数は、異なっていてもよいことが理解されよう。実施形態において、デバイス100は、単一のインダクタコイルを備える。
【0114】
デバイス100は、サポート部材として作用するコイルサポート200を備える。サポート部材は、略管状で、少なくとも部分的にサセプタ132を囲んでいてもよい。サポート部材200は、第1及び第2のインダクタコイル124、126を支持する。
図4においては、コイルサポート200を断面で示している。
図9は、コイルサポート200の側面図であって、デバイス100の様々部品を省略して示す。また、
図10にコイルサポート200を示す。
【0115】
コイルサポート200は、第1及び第2のエンドサポート220、230間に延びている。コイルサポート200は、第1及び第2のエンドサポート220、230とともに、ヒータアセンブリ105を囲んでいる。このことは、デバイス100の他の構成要素からのヒータアセンブリ105の熱的分離の補助として作用する。コイルサポート200は、中空の管状部材である。
【0116】
実施形態において、コイルサポート200は、非金属材料による形成によって、磁気誘導との干渉の制限を補助する。特定の本例において、コイルサポート200は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)により構成されている。他の好適な材料が可能である。このような材料により形成されたコイルサポートによれば、サセプタが加熱された場合に、アセンブリが剛性/固体性を維持することを確実にする。コイルサポート200は、剛性材料による形成によって、コイル124、126等の他の構成要素の支持を補助する。コイルサポート200は、例えばプラスチック等の絶縁材料により構成されていてもよい。一例において、コイルサポート200は、厚さが1mm~1.5mmである。本例において、厚さは、約1.3mmである。
【0117】
特に
図3、
図4、及び
図9に示すように、第1及び第2のインダクタコイル124、126は、コイルサポート200の周りに配置されるとともに、コイルサポート200に隣接する。第1及び第2のインダクタコイル124、126は、コイルサポート200の半径方向外方面201にある。実施形態において、第1及び第2のインダクタコイルは、コイルサポート200の半径方向内方面202にある。
【0118】
サセプタ132、コイルサポート200、並びに第1及び第2のインダクタコイル124、126は、サセプタ132の中央長手方向軸線101の周りで同軸である。コイルサポート200は、サセプタ132において生成された熱からデバイス100の様々な構成要素を断熱するのに役立ち得る。
【0119】
コイルサポート200は、外面203を有する。外面203は、外カバー102から離隔している。コイルサポート200は、ヒータアセンブリ105から離隔している。コイルサポート200は、サセプタ132の外面203から離れて配置された内面を有する。
【0120】
コイルサポート200は、第1及び第2のエンドサポート220、230に固定して取り付けられている。第1及び第2のエンドサポート220、230は、コイルサポート200の端部に受容される。第1のエンドサポート220は、コイルサポート200の近位端を閉じる。第2のエンドサポート230は、コイルサポート200の遠位端を閉じる。コイルサポート200は、第1及び第2のエンドサポート220、230と部分的に重なり合う。バリア部材250の近位端は、第1の端部外面228に隣接する。バリア部材250の遠位端は、第2の端部外面238に隣接する。コイルサポート200の近位端は、第1のエンドサポート220の第1の端部取り付け面である近位端部取り付け面229に重なり合う。コイルサポート220の遠位端は、第2のエンドサポート230の第2の端部取り付け面である遠位端部取り付け面229に重なり合う。
【0121】
コイルサポート200は、第1及び第2のエンドサポート220、230に固定して取り付けられている。コイルサポート200は、第1及び第2のエンドサポート220、230間に保持されている。実施形態においては、溶接又は接着等の機械的加工結合によって、コイルサポート200が適所に固定される。実施形態において、コイルサポート200並びに第1及び第2のエンドサポート220、230は、同じ材料により形成されている。
【0122】
特に
図3、
図4、
図9、及び
図10を参照して、第1及び第2のインダクタコイル124、126は、コイルサポート200によってコイルサポート200で位置合わせされている。すなわち、第1及び第2のインダクタコイル124、126は、コイルサポート200の機構により、コイルサポート200に対する特定の配置にて保持されている。例として、位置合わせ機構は、チャネル205である。チャネル205は、コイルサポート200の半径方向外方面201に形成されている。チャネル205は、螺旋状チャネル205である。チャネル205は、第1及び第2のインダクタコイル124、126を受容する。第1及び第2のインダクタコイル124、126は、チャネル205によって保持されている。チャネル205は、一定の螺旋状経路に従う。チャネル205は、コイルサポート200の周りで複数巻きとなっている。位置合わせ機構として作用するチャネル205は、例えば一貫した間隔等、コイル214、216の一貫した経路を提供する。これは、インダクタコイルアセンブリの性能の最大化及び/又はコイルの予め定められた特性の実現に役立つ。
【0123】
第1及び第2のインダクタコイル124、126はそれぞれ、コイルサポート200で螺旋状配置にて位置合わせされている。例として、インダクタコイルの一方が省略される場合もある。第1及び第2のインダクタコイル124、126はそれぞれ、螺旋状経路に従う。第1及び第2のインダクタコイル124、126それぞれの螺旋状経路の巻回は、間隔が等しい。
【0124】
実施形態において、螺旋状チャネル205は、サポートコイル200の外面203の溝により形成されている。実施形態において、螺旋状チャネル205は、螺旋状配置にて延びた一対の隣り合う山部により形成されている。山部は、不連続であって、複数の突起により形成されていてもよい。突起は、サポートコイルが受容及び保持される螺旋状経路を画定していてもよい。
【0125】
コイルサポート200は、チャネル205の隣り合う巻回間に螺旋状凹部206を備える。螺旋状凹部206は、細長溝である。例として、螺旋状凹部206は、複数の凹部を含む。例として、螺旋状凹部206は、空隙として作用する。螺旋状凹部を設けることは、熱伝達の制限の補助となる。螺旋状凹部を設けることは、重量の最小化の補助となり得る。螺旋状凹部206は、チャネル205との二重螺旋構成を成す。実施形態においては、螺旋状凹部が省略される。
図3及び
図4には螺旋状凹部を示していない。
【0126】
第1及び第2のインダクタコイル124、126は、チャネル205に保持されている。チャネル205における第1及び第2のインダクタコイル124、126の保持には、クリップ、ボンディング、及びオーバー層等の保持機構が用いられるようになっていてもよい。
【0127】
第1及び第2のインダクタコイル124、126はそれぞれ、コイルサポート200に完全に受容される。すなわち、第1及び第2のインダクタコイル124、126はそれぞれ、コイルサポート200の表面と同一平面であるか、又は、コイルサポート200の表面から凹んでいる。実施形態において、第1及び第2のインダクタコイル124、126は、チャネル205から部分的に突出している。
【0128】
コイルサポート200は、単一のチャネルを備える。ただし、チャネル205は、コイル124、126に1つずつ、2つのチャネル部に分離されていてもよいことが理解されよう。各チャネルが1つ又は複数の異なる特性(例えば、周期、幅、深さ、及び長さ)を有することにより、コイル124、126間の位置合わせが異なっていてもよい。
【0129】
インダクタコイル124、126の周りには、フェライトシールド280が延びている。フェライトシールドは、電磁シールドとして作用する。他の好適な材料が使用可能である。フェライトシールド280は、コイルサポート200に搭載されている。フェライトシールド280は、コイルサポート200に隣接するため、例えば接着によって、コイルサポート200に直接取り付けられていてもよい。チャネル205は、コイル124、126をコイルサポート200に凹ませるものである。インダクタコイル124、126は、コイルサポート200及びフェライトシールド280により囲まれている。
【0130】
図12を参照して、コイルサポート200には、熱電対等のセンサ290が配置されている。コイルサポート200は、センサ取り付け部291を備える。これは、コイルに対するセンサの正確な配置の補助となるため、正確な測定が可能となる。取り付け部291は、凹部を含む。取り付け部291は、熱電対を取り付けるための配置面を構成する。
【0131】
上述の実施形態における位置合わせ機構がチャネルである。ただし、チャネルが省略されてもよく、位置合わせ機構が異なっていてもよいことが理解されよう。
【0132】
上述の実施形態においては、コイルの位置合わせのためのチャネル205及び/又は他の位置合わせ機構がコイルサポート200に設けられている。いくつかの実施形態においては、コイルの位置合わせのためのチャネル及び/又は他の位置合わせ機構が省略されてもよいことが理解されよう。このような実施形態において、コイルは、コイルサポートの表面に付着していてもよいし、コイルサポートの周りに間隙を挟んで組み上げられていてもよい。
【0133】
ヒータアセンブリ105、バリア部材250、並びにコイルサポート200は、サセプタ132の中央長手方向軸線について同軸である。コイルサポート200は、サセプタ132において生成された熱からデバイス100の様々な構成要素を断熱するのに役立ち得る。
【0134】
コイルサポート200は、サセプタ132から離隔している。コイルサポート200は、バリア部材250から離隔している。バリア部材250は、ヒータアセンブリ105とコイルサポート200との間にある。コイルサポート200とバリア部材250との間には、断熱チャンバ270が形成されていてもよい。
【0135】
一例において、コイルサポート200とバリア部材250との間の間隔は、0.5mm~1.5mmである。本例において、厚さは、約0.9mmである。コイルサポート200は、第2のバリア部材として作用する。バリアとして作用するバリア部材を設けることにより、離隔配置において、デバイスの異なる構成要素の相互分離を補助する別個のチャンバの提供に役立ち得る。
【0136】
バリアは、断熱部材として作用する。このため、バリアは、サセプタ132からエアロゾル生成アセンブリ111の外部への熱伝達を制限する断熱スタックの一部を構成する。バリア部材250は、第1の断熱部材として作用する。コイルサポート200は、第2の断熱部材として作用する。バリア部材250とコイルサポート200との間には、断熱層271が延びている。断熱層271は、バリア部材250の周りに延びている。断熱層271は、バリア部材250及びコイルサポート200に隣接する。
【0137】
実施形態において、断熱層271は、バリア部材250及びコイルサポート200により支持される。いくつかの実施形態において、断熱層271は、バリア部材250により支持される。このような実施形態において、断熱層271は、例えば小さな間隙だけ、コイルサポート200から離隔していてもよい。いくつかの実施形態において、断熱層271は、コイルサポート200により支持される。このような実施形態において、断熱層271は、例えば小さな間隙だけ、バリア部材250から離隔していてもよい。断熱層271は、バリア部材250及びコイルサポート200の一方に取り付けられていてもよいし、両方に取り付けられていてもよい。実施形態においては、バリア部材250が省略されてもよい。実施形態において、コイルサポート200は、断熱層271と一体的に形成されていてもよい。断熱層271は、省略されてもよい。このような実施形態においては、バリア部材250とコイルサポート200との間に空隙が形成されている。このような構成において、空隙は、断熱体として作用する。
【0138】
断熱層271は、第3の断熱部材として作用する。実施形態において、断熱層271は、組み立て前のシートである。実施形態において、断熱層271は、管状構成にてコイルサポート200の内側面の周りに形成されている。エンドリップ272(
図4参照)が断熱層271の保持に役立つ。断熱層271は、コイルサポート20に付着している。例として、断熱層271は、バリア部材250に付着している。バリア部材250は、サセプタ132から断熱層271を離隔させる。コイルサポート200は、インダクタコイル124、126から離れて断熱層271を離隔させる。
【0139】
断熱スタックは、(i)空気(約0.02W/mKの熱伝導率を有する)、(ii)エアロゲル(例えば、エアロゼロ(AeroZero)(登録商標))(約0.03W/mK~約0.04W/mKの熱伝導率を有する)、(iii)ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)(いくつかの例において、約0.25W/mKの熱伝導率を有する場合がある)、(iv)セラミッククロス(約1.13kJ/kgKの比熱を有する)、(v)サーマルパテといった材料のうちの2つ以上の組み合わせにより提供されるようになっていてもよい。他の好適な材料が使用可能である。
【0140】
断熱層271は、エアロゲルにより形成されている。例えば多孔質フォーム材料等の他の好適な材料も使用可能である。エアロゲルの両側にバリア部材を設けることにより、例えば、断熱層271の保護バリアを提供可能である。1つ又は複数のバリアは、断熱層271をその長さに沿って支持するのに役立つ。
【0141】
バリア部材とエアロゲル断熱層との組み合わせは、ヒータアセンブリ105の周りの断熱構成の強化によって、コンパクトな構成におけるデバイス100のシェルへの熱伝達の制限を補助する。
【0142】
断熱層271は、内側断熱層273として作用する。インダクタコイルアセンブリ127の周りには、外側断熱層273が延びている。外側断熱層273は、管状構成を成す。外側断熱層273は、インダクタコイルアセンブリ127により支持される。内側及び外側断熱層271、273は、インダクタコイルアセンブリ127を挟んでいる。外側断熱層273は、フェライト層280に搭載されている。外側断熱層273は、フェライト層280に付着しているが、他の取り付け構成も想定される。外側断熱層273を設けることにより、予め定められた厚さの断熱を使用可能である一方、コイルとサセプタ132との間の距離を変更可能である。外側断熱層273は、エアロゲルにより形成されている。他の好適な材料(例えば、多孔質フォーム材料)も使用可能である。
【0143】
図11を参照して、第1のエンドサポート220は、コイルサポート200の近位端から突出している。第2のエンドサポート230は、コイルサポート200の遠位端から突出している。第1のエンドサポート220は、軸線方向に位置合わせされている。第2のエンドサポート230は、軸線方向に位置合わせされている。エアロゾル生成アセンブリ111は、筐体109に取り付けられている。エアロゾル生成アセンブリ111は、その近位端及び遠位端が取り付けられている。筐体109のエアロゾル生成アセンブリ取り付け部113がエアロゾル生成アセンブリ111を保持する。第1の配置機構300が筐体109において、第1の端部である近位端にエアロゾル生成アセンブリ111を配置する。第2の配置機構301が筐体109において、第2の端部である遠位端にエアロゾル生成アセンブリ111を配置する。
【0144】
インダクタコイル端部130は、エアロゾル生成アセンブリ111から延びている。インダクタコイル端部130は、筐体109に支持される。インダクタコイル端部130は、PCB123と接続される。
【0145】
上記例において、サセプタ132は、約0.08mmの厚さ154を有する。サセプタ132の厚さは、軸線158と垂直な方向に測定した、サセプタ132の内面とサセプタ132の外面との間の平均距離である。
【0146】
一例において、サセプタ132の長さは、約30mm~約50mm又は約30mm~約35mmである。特定の本例において、サセプタ132は、約34.8mmの長さを有し、エアロゾル生成材料を含む物品110を受容可能である。エアロゾル生成材料及びサセプタ132の長さは、軸線101と平行な方向に測定される。
【0147】
外カバー102は、デバイスの内部構成要素を保護するものであり、一般的には、デバイスの使用時にユーザの手と接触する。外カバー102は、内面及び外面を備える。
【0148】
いくつかの例において、インダクタコイルは、磁場の誘導のために使用すると、例えば磁場誘導のための電流通過による抵抗加熱によって、それ自体が発熱する場合もある。インダクタコイルと外カバーとの間に断熱層を設けることは、加熱したインダクタコイルの外カバーからの断熱に役立つ。フェライトシールドは、外カバーの断熱に役立つ。フェライトシールドが1つ又は複数のインダクタコイルと接触し、少なくとも部分的に囲む場合は、外カバーの表面温度を約3℃低下し得ることが分かっている。
【0149】
外カバーの内面は、約2mm~約3mmの距離だけ、断熱部材の外面から離れて配置されていてもよい。このサイズの分離距離は、外カバーが熱くなり過ぎない十分な断熱を与えることが分かっている。断熱部材の外面と外カバーとの間には、空気が存在していてもよい。
【0150】
外カバーの内面は、約0.2mm~約1mmの距離だけ、インダクタコイルの外面から離れて配置されていてもよい。
【0151】
インダクタコイルの内面は、約3mm~約4mmの距離だけ、サセプタの外面から離れて配置されていてもよい。特定の本例において、この距離は、約3.2mmである。
【0152】
外カバーは、アルミニウムを含んでいてもよい。
【0153】
外カバーは、熱伝導率が約140W/mK~約220W/mKであってもよい。例えば、アルミニウムの熱伝導率は、209W/mK前後である。
【0154】
外カバーは、厚さが約0.4mm~約2mmであってもよい。外カバーは、断熱バリアとして作用し得る。
【0155】
サセプタ132、バリア部材250、及びコイルサポート200はそれぞれ、円形状の断面を有するが、その断面は他の如何なる形状であってもよく、いくつかの例においては、互いに異なっていてもよい。
【0156】
上記実施形態は、本発明の例示的な実例として理解されるものとする。本発明の他の実施形態も考えられる。任意の一実施形態に関して記載の任意の特徴は、単独又は他の記載特徴との組み合わせで使用可能であり、また、実施形態の任意のその他又はその任意の組み合わせの1つ又は複数の特徴との組み合わせで使用可能であることが理解されるものとする。さらに、本発明の範囲から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲に規定の上述していない同等物及び改良も採用可能である。