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▶ コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】衛生化機能を有する口腔ケアシステム
(51)【国際特許分類】
   A46B 15/00 20060101AFI20241220BHJP
   A61L 2/12 20060101ALI20241220BHJP
   A61L 2/06 20060101ALI20241220BHJP
   A61C 17/00 20060101ALI20241220BHJP
【FI】
A46B15/00 P
A61L2/12
A61L2/06
A61C17/00 Z
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2023517755
(86)(22)【出願日】2021-09-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-18
(86)【国際出願番号】 EP2021075164
(87)【国際公開番号】W WO2022063626
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2024-05-30
(31)【優先権主張番号】20197522.4
(32)【優先日】2020-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ゲルハルト ルツ クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ブランダオ シルヴァ プリシラ
(72)【発明者】
【氏名】ウィラード ニコラース ペトルス
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン マーク トーマス
(72)【発明者】
【氏名】シェッフェルス ルーカス ペトルス ヘンリクス
(72)【発明者】
【氏名】ファン ザンテン ヨイセ
(72)【発明者】
【氏名】ロンダ コルネリス レインダー
【審査官】田村 惠里加
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-523677(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0288007(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0060829(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0060153(US,A1)
【文献】特表平10-502831(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A46B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄又はトリートメント機能を行うためにユーザの口腔内に少なくとも部分的に受容されるための洗浄又はトリートメント部分を備えるか或いは前記洗浄又はトリートメント部分に動作可能に結合可能である口腔ケアデバイスであって、前記口腔ケアデバイスは、
エミッタ構成部に動作可能に結合されたときに無線周波数(RF)及び/又はマイクロ波周波数の電磁放射線を生成するように動作可能な信号発生器
を備え、
口腔ケアの目的のために、前記信号発生器は、選択的に洗浄又はトリートメントモードにおいて動作可能であり、前記洗浄又はトリートメントモードでは、前記信号発生器は、前記エミッタ構成部に口腔洗浄又はトリートメント機能を行うための電磁放射線を生成させるための信号を生成し、
前記洗浄又はトリートメント部分の衛生化を行うために、前記信号発生器は、選択的に衛生化モードにおいて動作可能であり、前記衛生化モードでは、前記信号発生器は、前記エミッタ構成部に前記エミッタ構成部の周りの衛生化領域内でRF及び/又はマイクロ波周波数の電磁放射線を生成させるための信号を生成し、前記電磁放射線は、前記衛生化領域内に配置された前記洗浄又はトリートメント部分の任意の露出した表面に接触している水の少なくとも50℃の温度までの加熱を引き起こすのに適している、口腔ケアデバイス。
【請求項2】
前記洗浄又はトリートメントモードでは、前記信号発生器は、前記エミッタ構成部に前記衛生化モードにおけるよりも低い電磁周波数を有する電磁放射線を生成させるための信号を生成する、請求項1に記載の口腔ケアデバイス。
【請求項3】
前記衛生化モードにおいて、前記信号発生器は、前記エミッタ構成部に電磁放射線を生成させるための駆動信号を生成し、前記駆動信号は、少なくとも10~20Wの平均出力を有し、前記駆動信号は、少なくとも10~20秒間の期間にわたって生成される、請求項1又は2に記載の口腔ケアデバイス。
【請求項4】
前記口腔ケアデバイスは、機械的動作の供給源を提供し且つ使用時に前記機械的動作を前記洗浄又はトリートメント部分に結合するための機械的アクチュエータをさらに備え、前記機械的アクチュエータは、前記衛生化モード中に機能する、請求項1から3のいずれか一項に記載の口腔ケアデバイス。
【請求項5】
前記信号発生器及び前記エミッタ構成部は、結合されたときに発生回路を形成し、前記口腔ケアデバイスは、検知モジュールをさらに備え、前記検知モジュールは、前記発生回路の電気的特性を検知し、且つ、
前記発生回路の電気的特性に基づく前記衛生化領域内に存在する水分、及び/又は、
前記発生回路の電気的特性に基づく前記衛生化領域内の温度
を検出する、請求項1から4のいずれか一項に記載の口腔ケアデバイス。
【請求項6】
前記口腔ケアデバイスは、前記洗浄又はトリートメント部分を備え、前記洗浄又はトリートメント部分は、前記エミッタ構成部を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の口腔ケアデバイス。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の口腔ケアデバイスと、
前記信号発生器に動作可能に結合するためのエミッタ構成部と、
展開構成が可能な電磁シールドユニットであって、前記展開構成では、前記電磁シールドユニットは前記エミッタ構成部の周りの前記衛生化領域に対して定められた空間的関係に配置され、且つ、前記電磁シールドユニットは前記衛生化領域からの電磁エネルギーの漏出を少なくとも部分的に抑制する、電磁シールドユニットと、
を備える、口腔ケアシステム。
【請求項8】
前記電磁シールドユニットは、前記電磁シールドユニットが前記展開構成に配置されたときに前記電磁放射線を前記衛生化領域内に少なくとも部分的に閉じ込めるのに使用するために、前記衛生化モードにおいて前記エミッタ構成部によって生成された前記電磁放射線を少なくとも部分的に反射する1つ又は複数の電磁反射要素又は表面を備える、請求項7に記載の口腔ケアシステム。
【請求項9】
前記口腔ケアシステムは、前記洗浄又はトリートメント部分を備え、前記洗浄又はトリートメント部分は、前記エミッタ構成部を備え、
前記電磁シールドユニットは、内部空洞を画定し且つ前記展開構成にあるときに前記洗浄又はトリートメント部分の少なくとも一セクションが前記内部空洞内に少なくとも部分的に受容された状態で前記セクション上に嵌合するように配置されるカバーユニットを備える、請求項7又は8に記載の口腔ケアシステム。
【請求項10】
前記口腔ケアシステムは、前記洗浄又はトリートメント部分を備え、前記洗浄又はトリートメント部分は、前記エミッタ構成部を備え、
前記電磁シールドユニットは、展開構成及び非展開構成が可能であり、前記電磁シールドユニットは、前記電磁シールドユニットを前記非展開構成にするために前記口腔ケアデバイスから物理的に分離可能であり、且つ、前記電磁シールドユニットを前記展開構成にするために前記口腔ケアデバイスに機械的に取付け可能又は接続可能である、
請求項7から9のいずれか一項に記載の口腔ケアシステム。
【請求項11】
前記口腔ケアシステムは、前記洗浄又はトリートメント部分を備え、前記洗浄又はトリートメント部分は、前記エミッタ構成部を備え、
前記電磁シールドユニットは、非展開構成と展開構成との間で機械的に移動可能であり、前記電磁シールドユニットは、両方の位置において前記口腔ケアデバイスに機械的に接続されるか又は取り付けられ、
前記展開構成では、前記電磁シールドユニットは、前記衛生化領域を少なくとも部分的に覆うか又は前記衛生化領域に少なくとも部分的に面して配置され、前記非展開構成では、前記電磁シールドユニットは、異なる位置にある、
請求項7から9のいずれか一項に記載の口腔ケアシステム。
【請求項12】
前記信号発生器及び前記エミッタ構成部は、発生回路を形成し、前記口腔ケアデバイスは、前記発生回路の電気的特性を検知する検知モジュールをさらに備え、
前記電磁シールドユニットは、前記エミッタ構成部によって生成された前記電磁放射線を少なくとも部分的に反射する1つ又は複数の電磁反射表面又は電磁反射要素を備え、
前記検知モジュールは、前記電気的特性に基づいて前記展開構成における前記電磁シールドユニットの配置を検出する、
請求項7から11のいずれか一項に記載の口腔ケアシステム。
【請求項13】
請求項1から6のいずれか一項に記載の口腔ケアデバイスと、
前記衛生化領域での蒸気発生を促すために前記衛生化領域を包囲するか又は取り囲んで熱の漏出を少なくとも部分的に制限するように配置される展開構成が可能であって、且つ、蒸気の漏出を可能にするための圧力除去開口部を有する、カバーユニットと、
を備える、口腔ケアシステム。
【請求項14】
請求項1から6のいずれか一項に記載の口腔ケアデバイス
を備える、口腔ケアシステムであって、
前記信号発生器及び前記エミッタ構成部は、結合されたときに発生回路を形成し、前記口腔ケアデバイスは、前記発生回路の電気的特性を検知し且つ前記発生回路の電気的特性に基づいて前記衛生化領域内の温度を検出する検知モジュールをさらに備え、
前記口腔ケアシステムは、少なくとも50~70℃の温度まで前記衛生化領域内の流体を加熱すること及び前記流体を少なくとも10~20秒間にわたって前記温度に維持することを含む衛生化制御プログラムを実施する制御装置をさらに備え、前記制御装置は、前記衛生化制御プログラムを実施するのに使用するために前記検知モジュールから温度検知信号を受信する、口腔ケアシステム。
【請求項15】
ユーザの口腔内で洗浄又はトリートメント機能を行うための洗浄又はトリートメント要素と、
信号発生器に動作可能に結合されたときに無線周波数(RF)及び/又はマイクロ波周波数の電磁放射線を生成するように動作可能であるエミッタ構成部と、
を備える、洗浄又はトリートメント部分であって、
前記洗浄又はトリートメント部分は、選択的に衛生化モードにおいて動作可能であり、前記衛生化モードでは、前記エミッタ構成部によって生成される前記電磁放射線は、前記洗浄又はトリートメント部分の衛生化を行うために前記エミッタ構成部の周りの衛生化領域内に配置された前記洗浄又はトリートメント部分の任意の露出した表面に接触している水の少なくとも50℃の温度までの加熱を引き起こすのに適している、洗浄又はトリートメント部分。
【請求項16】
口腔ケアデバイスの少なくとも洗浄又はトリートメント部分を衛生化するための方法であって、前記洗浄又はトリートメント部分は、洗浄又はトリートメント機能を行うためにユーザの口腔内に受容されるためのものであり、前記方法は、
前記口腔ケアデバイスによって備えられた信号発生器を使用して、接続されたエミッタ構成部に前記エミッタ構成部の周りの衛生化領域内で無線周波数及び/又はマイクロ波周波数の電磁放射線を生成させるための信号を生成するステップであって、前記電磁放射線は、前記衛生化領域内に配置された前記洗浄又はトリートメント部分の任意の露出した表面に接触している水の少なくとも50℃までの加熱を引き起こすのに適している、ステップ
を有する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔ケアデバイスを含む口腔ケアシステムに関し、詳細には、衛生化機能を有する口腔ケアシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
WO2017216606A1及び米国特許出願第US2008288007A1号は、従来技術の口腔ケアデバイスを開示している。
【0003】
衛生化は、表面上の細菌及び他の微生物を殺す又は非活性化することを目的とするプロセスである。衛生化は、微生物の導入が健康への影響を有し得るという点で、口に入れられる部品を含む口腔ケアデバイスにとって有益な機能である。口腔ケアデバイスの例には、電動歯ブラシ、ブラッシングマウスピースデバイス、口腔洗浄器、及び電動フロッサーが含まれる。それぞれは、使用中に口内に受容される少なくとも1つの部分(洗浄及び/又はトリートメント部分)(例えば、ブラシヘッド、又はマウスピース部分)を含む。
【0004】
口腔ケアデバイスの口に受け入れられる部分のための既存の衛生化技法は、有効性が低いか、煩わしくて不便なことが多い。1つの例は、UV光の使用を含む。これは、一部の表面の照射を妨げる、毛領域などの口腔ケアデバイスの部品によってもたらされる遮光効果が原因で、効果的又は効率的でないことが多い。UV光の使用はまた、典型的には、長い露光時間(最長で15分間)を必要とするか、或いは、危険であるか非実用的である非常に高い強度を必要とする。UV光での衛生化に関する別の制限は、特にブラシヘッド又はブラッシングマウスピースの場合、光が主に毛の表面と相互作用し、毛と毛との間のプラテンの基底部において表面まで行き渡ることができないことである。さらに、そのような表面に到達する照射は、UV放射線の吸収又は反射をもたらす練り歯磨き残留物の蓄積が原因で低い強度を有する場合があり、それにより、そのような箇所でのUV光での衛生化が無効とされる。
【0005】
したがって、例えば毛領域の基底部又は毛と毛との間にいる微生物には、UV光が届かない。これらの領域の不十分な衛生化は、カビの形成につながり得る。
【0006】
さらに、既存の衛生化解決法は、典型的には、衛生化処置を行うためのより大きな外部付属品、例えば専用の洗浄ステーションの使用を必要とする。それらの付属品は、それら自体の動力源の提供を必要とし、また場合により、それらが口腔ケアデバイスの口腔洗浄及び/又はトリートメント部分を積極的に衛生化するためのものであるのならば、洗浄剤の提供を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、口腔ケアデバイスの口内に受容される部分のためのより効果的且つ効率的な洗浄及び衛生化手順を実現することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、独立請求項によって定められる。従属請求項は、有利な実施形態を定める。
【0009】
本発明の一態様による例によれば、口腔ケアデバイスを備える口腔ケアシステムが提供され、口腔ケアデバイスは、洗浄機能又はトリートメント機能を行うためにユーザの口腔内に少なくとも部分的に受容される洗浄及び/又はトリートメント部分を備えるか、或いは洗浄及び/又はトリートメント部分に動作可能に結合可能である。
【0010】
口腔ケアデバイスは、エミッタ構成部(例えば、導体構成部、電気活性材料構成部、又はメタマテリアル構成部)に動作可能に結合されたときに無線周波数(RF)及び/又はマイクロ波周波数の電磁放射線(及び/又は交番電磁場)を生成するように動作可能な信号発生器を備える。
【0011】
信号発生器は、選択的に衛生化モードにおいて動作可能であり、衛生化モードでは、信号発生器は、接続されたエミッタ構成部にエミッタ構成部の周りの衛生化領域内で無線周波数(RF)及び/又はマイクロ波周波数の電磁放射線を生成させるための信号を生成するように適合され、この電磁放射線は、衛生化領域内に配置された洗浄又はトリートメント部分の任意の露出した表面に接触している(少なくとも)水又は水含有流体の加熱を引き起こすのに適している。これは、洗浄及び/又はトリートメント部分の衛生化を行うためのものである。
【0012】
放射線は、洗浄又はトリートメント部分の任意の露出した表面に接触している水の少なくとも50℃、好ましくは少なくとも70℃の温度までの加熱を引き起こすのに適していることが好ましい。
【0013】
放射線はさらに、いくつかの例では、エチレングリコール、エタノール、メタノール、酢酸などの他の液体又は気体を加熱するのに適している。これらは、例えば、洗浄及び/又はトリートメント部分の衛生化中に使用するための専用の洗浄溶剤に含まれる場合がある。
【0014】
本開示のコンテキストにおいて、「水の加熱に適している」という語句は、水又は(例えば、練り歯磨き若しくは練り歯磨き懸濁液、唾液、洗口液、又はそれらの組み合わせなどの)水含有物質の加熱に適していることを意味する。より一般的には、マイクロ波放射線が、極性分子を含む任意の物質を加熱するのに適している場合がある。
【0015】
本発明の実施形態は、口腔洗浄又はトリートメント部分を含む空間内で水の加熱また場合により蒸発(蒸気化)を引き起こすのに適した周波数において電磁(EM)エネルギー又は放射線を生成することにより口腔ケアデバイス(例えば、歯ブラシのブラシヘッド、又はブラッシングマウスピースユニット)の洗浄又はトリートメント部分(CTP)の衛生化を実現することに基づく。少なくとも、CTPの表面に接触している任意の水含有流体(液体又は気体)が加熱される。これは、口腔洗浄又はトリートメント後に残された残留流体であるか、又は、CTPは、衛生化中に流体に沈められる。残留流体は、例えば練り歯磨き懸濁液である。
【0016】
制御パラメータは、場合により、所望の閾値温度までまた好ましくは所望の閾値時間にわたって水が加熱されることによりCTPを衛生化するように設定される。例えば、EMエネルギーを生成して水を少なくとも10秒間にわたって少なくとも70℃まで加熱することが、細菌の99.9%を殺す衛生化には十分であることが示されている。これは、例えば、想定量の水、例えばおおよそ1mlの水が15~25℃から加熱されることに基づく。エミッタ構成部の放射特性及び構造配置に関する知見を考慮すると、所望の時間にわたって所望の加熱レベルを達成する制御プログラムを提供することが可能である。
【0017】
いくつかの例では、制御パラメータは、EM放射線にさらされる洗浄又はトリートメント部分の表面の材料自体が所望の閾値温度まで、また好ましくは所望の閾値時間にわたって加熱されることによりCTPを衛生化するように設定される。例えば、衛生化領域内の洗浄及び/又はトリートメント部分の露出した表面は、少なくとも50~70℃まで加熱される。
【0018】
水の加熱は、水分子双極子と効率的に相互作用するのに適した特定の周波数範囲のEM放射又線はエネルギーを印加して双極子を振動させることを必要とすることが知られている。例えば、発生器は、衛生化モードでは300MHz~300GHzの間の周波数、例えば2~300GHzの間の周波数、例えば2~30GHzの間の周波数におけるEM放射線を生成するようにエミッタ構成部を駆動するように適合される。
【0019】
衛生化領域とは、発生器によって駆動されたときのエミッタ構成部によって放射される電磁放射線にさらされる領域、空間、又は区域を単純に意味する。したがって、衛生化領域とは、水又は他の物質が加熱の影響を受ける空間であり、したがって、衛生化が起こり得る空間である。
【0020】
エミッタ構成部の位置及び構成には、様々な選択肢がある。エミッタ構成部は、洗浄又はトリートメント部分内、若しくは洗浄又はトリートメント部分上に配置されてよい。これは、エミッタ構成部の周りの衛生化領域がCTPの一セクションを本質的に包含することを意味する。エミッタ構成部は、使用時に衛生化されるように意図された領域に配置されるか、その領域内に配置されるか、又はその領域の近傍に配置され得る。衛生化モードは、CTPが口腔の外側にあるときに行われ得る。
【0021】
或いは、エミッタ構成部は、別個のユニット、例えば衛生化ステーション内に配置されてよく、そのようなユニットは、洗浄又はトリートメント部分を受容することができる衛生化領域、例えば空洞を画定する。
【0022】
どちらの場合でも、口腔ケアデバイスは、信号発生器を備え、且つ、少なくとも衛生化中にエミッタ構成部に電気的に結合されるように適合される。例えば、デバイスは、別個の衛生化ステーションと電気的にドッキングする。口腔ケアデバイス内に発生器を有することにより、別個の衛生化ユニット内の能動電子構成要素の必要性がなくなる。受動的な構成要素のみが、必要とされる(エミッタ構成部)。口腔ケアデバイスは、典型的には、例えば振動運動の発生のための局所電源を既に含んでいる。これは、EM場又は放射線生成に電力を供給することの二重機能を提供するために効率的に利用される。
【0023】
或いは、エミッタ構成部が洗浄又はトリートメント部分(CTP)内又はCTP上に含まれる場合、エミッタ構成部は、洗浄又はトリートメント部分がデバイスに結合されたときに発生器に電気的に結合されるように構成されるか、又は、恒久的に発生器に電気的に接続される。したがって、ここでは、エミッタ構成部は、CTPによって担持される。したがって、衛生化領域は、少なくとも導電性要素を含むCTPのセクションを包含する領域に相当する。口腔ケアシステムがCTPを備えるか、又は、CTPが補助ユニットであってもよい。
【0024】
1つ又は複数の実施形態によれば、信号発生器はさらに、選択的に洗浄又はトリートメントモードにおいて動作可能であり、洗浄又はトリートメントモードでは、信号発生器は、接続されたエミッタ構成部に口腔洗浄又はトリートメント機能を行うための電磁場又は放射線を生成させるための信号を生成するように適合される。前述の機能は、エミッタ構成部が口腔内に受容されたときに行われるためのものである。
【0025】
したがって、この実施形態では、口腔ケアデバイスは、洗浄又はトリートメント部分内のエミッタ構成部を駆動して洗浄又はトリートメントを行うためのEM場又はEM放射線を生成するように設計された、統合された洗浄又はトリートメント機能を備える。
【0026】
この事例では、場合により、同じエミッタ構成部及び信号発生器が、衛生化アクションをも行う二重機能のために利用される。
【0027】
洗浄又はトリートメントモードでは、発生器は、衛生化モードにおけるよりも低い電磁周波数のEM場又はEM放射線の生成を引き起こし得る。発生器はまた、より低い電磁力且つ/又はより低い出力密度の場若しくは放射を生成し得る。
【0028】
例えば、衛生化モードは、数百MHz又はGHz程度(例えば、0.3~300GHz)のEM放射で動作され、一方で、洗浄又はトリートメントモードは、1~300MHzの間程度、例えば1~100MHzの間のEM放射を生成する。例えば、洗浄又はトリートメントモードでは、発生器は、100MHz未満、例えば50MHz未満、例えば1~20MHzの間、例えば1~10MHzの間の周波数におけるEM放射線を生成するようにエミッタ構成部を駆動する。
【0029】
1つ又は複数の実施形態によれば、衛生化モードでは、発生器は、エミッタ構成部に少なくとも10~20Wの平均出力を有するEM場又はEM放射線を少なくとも10~20秒間にわたって生成させるための信号を生成するように適合又は制御される。これは、エミッタ構成部に電磁放射線を生成させるための駆動信号を生成することによって行うことができ、駆動信号は、少なくとも10~20Wの平均出力を有し、また、駆動信号は、少なくとも10~20秒間にわたって発生される。これは、口腔ケアデバイスの表面に見られるような少量の水を少なくとも70℃の温度まで加熱するのに十分であることが分かっている。発生器は、続いて10~20Wの平均出力を有するEM放射線をさらに10~20秒間にわたって生成するようにさらに適合されてよい。これは、前述の少なくとも70℃の温度の水を10~20秒間にわたって維持するのに十分であることが分かっている。
【0030】
1つ又は複数の実施形態によれば、衛生化モードは、衛生化制御プログラムを含み、この衛生化制御プログラムでは、電磁場又は放射線が、予め定められた最小体積の水、例えば少なくとも1mlの水を少なくとも70℃の温度まで加熱し且つ温度を少なくとも10秒間にわたって70℃以上に維持するために、適切な出力で適切な時間にわたって生成される。
【0031】
1つ又は複数の実施形態によれば、口腔ケアデバイスは、機械的動作の供給源を提供するための機械的アクチュエータをさらに備える。アクチュエータは、機械的動作が洗浄又はトリートメント部分に機械的に結合されるように構成されるか、或いは、洗浄又はトリートメント部分が動作可能に接続されたときに前述の部分に機械的に結合されるように適合される。機械的アクチュエータは、衛生化モード中に機能するように制御されることが好ましい。
【0032】
これは、洗浄又はトリートメント部分の機械的洗浄(攪拌)と電磁的衛生化との組み合わせを実現する。機械的洗浄は、より大きな異物の粒子を(例えば、歯ブラシ若しくはマウスピース部分の毛領域から、又はエミッタ構成部から)除去し、一方で、放出されるEMエネルギーは、微生物を殺すか非活性化することができる。
【0033】
1つ又は複数の実施形態によれば、口腔ケアシステムは、エミッタ構成部を備え、また、展開位置に構成可能な電磁シールドユニットをさらに備え、展開位置では、シールドユニットは、エミッタ構成部の周りの衛生化領域に対して定められた空間的関係に配置され、且つ、衛生化領域からの電磁放射線又はエネルギーの漏出を少なくとも部分的に抑制するように適合される。
【0034】
シールドユニットは、水の加熱効率を高め、したがって、衛生化を行うための時間及びエネルギー要求を減少させる。シールドユニットはまた、安全機能を提供して、ユーザをEM放射線への暴露から保護する。
【0035】
シールドユニットは、衛生化領域内に電磁放射線又はエネルギーを少なくとも部分的に閉じ込めるように適合される。シールドユニットは、いくつかの事例では、反射を通じて放射線を向け直すか又は集中させる。
【0036】
シールドユニットは、衛生化領域の周りに配置され且つ衛生化領域に面する、複数の遮蔽壁を備える。
【0037】
シールドユニットは、シールドユニットが展開構成に配置されたときに衛生化モードにおけるエミッタ構成部によって生成された電磁エネルギーを少なくとも部分的に衛生化領域内に閉じ込めるのに使用するために、前述のエネルギーを少なくとも部分的に反射するように適合された1つ又は複数の電磁反射要素又は電磁反射表面を備える。展開構成にあるときに、シールドユニットは、EMエネルギーをエミッタに反射し返すか、さもなければ衛生化領域の方へ反射する。
【0038】
反射表面又は反射要素は、衛生化モードにおいて発生器によって生成される周波数における放射線を反射するべきである。
【0039】
EM反射表面又はEM反射要素は、そこに入射する(衛生化モードによって生成される)任意の電磁エネルギーの少なくとも20%、例えば少なくとも50%、例えば少なくとも60%、例えば少なくとも80%を反射するように構成されることが好ましい。
【0040】
反射表面は、シールドユニットと一体であってよい。例えば、反射表面は、例えばシールドユニットがEM反射材料で形成される場合、シールドユニット自体の材料によって本質的に提供される。
【0041】
1つ又は複数の実施形態によれば、口腔ケアシステムは、洗浄又はトリートメント部分を備え、シールドユニットは、内部空洞又は空間を画定するキャップ又はカバーを備え、且つ、展開構成では洗浄又はトリートメント部分が空洞内に少なくとも部分的に受容された状態で洗浄又はトリートメント部分の少なくとも一セクション上に嵌合するように配置される。
【0042】
エミッタ構成部を備える洗浄及び/又はトリートメント部分のセクションは、シールドユニットが展開構成にあるときに、空洞内に受容される。
【0043】
キャップ又はカバーは、空洞内のエミッタ構成部によって生成されるEM放射を少なくとも部分的に閉じ込めるように配置される。
【0044】
1つ又は複数の実施形態によれば、カバー又はキャップがCTPの少なくとも一セクション上に展開されているときの空洞の占有されていない全体積は、1cmから10cmの間である。占有されていない体積は、動作中に加熱されるべき流体で完全に又は部分的に満たされる、流体受容空間を形成する。衛生化モードは、占有されていない全空間を満たす体積の水を少なくとも50~70℃まで加熱し且つ前述の温度を10~20秒間にわたって維持するように構成された衛生化制御プログラムを含む。これは、例えば15~25℃の間の室温から始まる水の仮定に基づく。
【0045】
有利な例では、衛生化制御プログラムは、展開されたときのカバー又はキャップ内の洗浄又はトリートメント部分の全露出表面の少なくとも50~70℃までの加熱を引き起こすように構成される。これは、本質的に、前述の表面に接触している水の加熱を通じて達成されるか、又は、電磁放射による加熱を受けやすい材料の表面を形成することを通じてさらに達成される。
【0046】
1つの例として、口腔ケアデバイスは、歯ブラシであり、キャップは、ブラシヘッドのプラテンを覆って取り付けられるように設計される。プラテンは、エミッタ構成部及び毛領域を担持するものである。さらなる例として、口腔ケアデバイスは、歯ブラシであり、エミッタ構成部は、デバイスの柄部分に組み入れられ、且つ、柄からブラシヘッドに隣接した位置まで延在するように配置される。キャップは、ブラシヘッド及びエミッタ構成部を覆って取り付けられる。
【0047】
1つ又は複数の実施形態によれば、シールドユニットは、口腔ケアデバイスから物理的に分離可能である。非展開構成では、シールドユニットは、口腔ケアデバイスから分離される。展開構成では、シールドユニットは、口腔ケアデバイスに機械的に取り付けられるか又は接続される。1つ又は複数の実施形態のこのセットでは、口腔ケアシステムは、洗浄又はトリートメント部分を備え、洗浄又はトリートメント部分は、エミッタ構成部を備える。
【0048】
1つ又は複数の実施形態によれば、シールドユニットは、非展開構成と展開構成との間で機械的に(手動で又は電子的に)移動可能であるように適合され、シールドユニットは、両方の位置において口腔ケアデバイスに機械的に接続されるか又は取り付けられ、
展開構成では、シールドユニットは、衛生化領域(例えば、洗浄又はトリートメント部分の一セクション)を少なくとも部分的に覆うか又は衛生化領域に少なくとも部分的に面して配置され、非展開構成では、シールドユニットは、異なる位置にある。異なる位置は、シールドユニットを格納構成にさせ、格納構成では、シールドユニットは、衛生化領域を覆わないか又は衛生化領域に面さない。
【0049】
1つ又は複数の実施形態のこのセットでは、口腔ケアシステムは、洗浄又はトリートメント部分を備え、洗浄又はトリートメント部分は、エミッタ構成部を備える。したがって、この事例では、展開構成では、シールドユニットは、洗浄又はトリートメント部分の少なくとも一セクションを含む領域、例えば歯ブラシのヘッドを少なくとも部分的に覆うか又はそれに面する。
【0050】
例えば、例の1つのセットでは、口腔ケアデバイスは、作動端部及び柄端部を有する本体部分を備える。口腔洗浄又はトリートメント部分は、作動端部に接続可能であるように適合される。シールドユニットは、作動端部と柄端部との間で口腔ケアデバイスの本体部分に沿って摺動可能であるように適合される。
【0051】
1つ又は複数の実施形態によれば、口腔ケアシステムは、展開構成に構成可能なカバーユニットをさらに備え、展開構成では、カバーユニットは、衛生化領域/体積内での蒸気発生を促すために、衛生化領域を封入するか又は取り囲んで熱の漏出を少なくとも部分的に抑制するように配置され、また、カバーユニットは、制御された蒸気の漏出を可能にするための圧力除去開口部を有する。
【0052】
カバーユニットは、展開構成に可逆的に位置決め可能であり、例えば、CTPに取外し可能に取付け可能である。
【0053】
シールドユニットは、例えば洗浄及び/又はトリートメント部分上に嵌合するように構成されたカバー又はキャップである。シールドユニットは、例えば、洗浄及び/又はトリートメント部分の少なくとも一部分を取り囲み且つ封入する。
【0054】
シールドユニットは、圧力除去エスケープ又は開口部を除いては、衛生化領域の周りをまた場合により洗浄又はトリートメント部分の一セクションの周りを流体的に密閉するように配置される。
【0055】
カバーユニットは、限定的ではない2つの例として、シリコーン又はゴム製のバルーン又はキャップを備える。
【0056】
場合により、カバーユニットはまた、例えばEM反射表面又はEM反射要素を備えることにより、EMの漏出を少なくとも部分的に防止するように適合される。
【0057】
1つ又は複数の実施形態によれば、信号発生器及びエミッタ構成部は、発生回路を形成し、口腔ケアデバイスは、検知モジュールをさらに備え、検知モジュールは、発生回路の電気的特性を検知するように配置され、且つ、
発生回路の電気的特性に基づく衛生化領域内の水分の存在、及び/又は発生回路の電気的特性に基づく衛生化領域内の温度
を検出するように適合される。
【0058】
或いは、制御装置が、検知モジュールからの出力に基づいて水分の存在及び/又は温度を検出してもよい。
【0059】
水分検出は、上述の蒸気を生成する実施形態との組み合わせでの適用に特に有用である。例えば、水分検出は、衛生化領域/ボリューム内に蒸気が存在するかどうかを検出するために使用される。これは、デバイスの衛生化サイクルの進捗を監視することを可能にし、衛生化サイクルには、流体/水を蒸気に変換すること、及び、領域(体積)に水分を残さずに蒸気が出ていくことが含まれる。したがって、定められた水分閾値を水分レベルが下回ったときに、蒸気生成又は蒸気衛生化サイクルの終了が検出され得る。
【0060】
さらに、又はその代わりに、水分検出は、衛生化領域が乾いているときにそのことを検出するために使用される。これは、衛生化が完了したことを示す。
【0061】
温度の検出もまた、デバイスの衛生化サイクルの進捗を監視することを可能にする。EM発生器の動作は、場合により、温度を調節するために、又は、意図された衛生化サイクルを通して衛生化領域を導くために、検知に基づいて制御される。
【0062】
例えば、1つ又は複数の実施形態によれば、上述の検知モジュールは、発生回路の電気的特性を検知するように構成されて設けられ、且つ、発生回路の電気的特性に基づいて衛生化領域内の温度を検出するように適合される。口腔ケアシステムは、衛生化領域内の流体を少なくとも50~70℃の温度まで加熱すること及び少なくとも10~20秒間にわたって流体を前述の温度に維持することを含む衛生化制御プログラムを実施するように適合された制御装置をさらに備え、制御装置は、制御プログラムを実施するのに使用するために(即ち、最低温度に達したときにそれを検知するために)、また、発生器回路のEM出力を調節して少なくとも10~20秒間の時間窓にわたって温度を維持するために、検知モジュールからの温度検知信号を受信するように構成される。
【0063】
1つ又は複数の実施形態によれば、信号発生器及びエミッタ構成部は、発生回路を形成し、口腔ケアデバイスは、発生回路の電気的特性を検知するように構成された検知モジュールをさらに備え、
シールドユニットは、エミッタ構成部によって生成された電磁場又は放射線を少なくとも部分的に反射するように適合された1つ又は複数の電磁反射表面若しくは電磁反射要素を備え、
検知モジュールは、電気的特性に基づいて展開構成におけるシールドユニットの配置を検出するように適合される。
【0064】
或いは、制御装置が、検知モジュールからの出力に基づいて配置を検出する。検知モジュール又は制御装置は、検出された信号特性を、シールドユニットの正しい配置に関連する基準信号と比較する。検知モジュール又は制御装置は、閾値を超えるか又はキャップ配置に関連する定められた電気信号に一致する、1つ又は複数の電気的特性の定められた変化を検出する。
【0065】
1つ又は複数の実施形態によれば、口腔ケアデバイスは、電動歯ブラシ又はマウスピースのための柄又は本体部分を備える。
【0066】
本発明の別の態様は、
ユーザの口腔内で洗浄又はトリートメント機能を行うための洗浄又はトリートメント要素と、
信号発生器に動作可能に結合されたときに無線周波数(RF)及び/又はマイクロ波周波数の電磁放射線を生成するように動作可能なエミッタ構成部と、
を備える洗浄又はトリートメント部分であって、
洗浄又はトリートメント部分は、選択的に衛生化モードにおいて動作可能であり、衛生化モードでは、エミッタ構成部によって生成される放射線が、洗浄又はトリートメント部分の衛生化を行うためにエミッタ構成部の周りの衛生化領域内に配置された洗浄又はトリートメント部分の任意の露出した表面に接触している水の少なくとも50℃、好ましくは少なくとも70℃の温度までの加熱を引き起こすのに適している、洗浄又はトリートメント部分を提供する。
【0067】
本発明のさらなる態様による例は、口腔ケアデバイスの少なくとも洗浄又はトリートメント部分を衛生化する方法であって、洗浄又はトリートメント部分は、洗浄又はトリートメント機能を行うためにユーザの口腔内に受容されるためのものであり、方法は、
信号発生器を使用して、接続されたエミッタ構成部にエミッタ構成部の周りの衛生化領域内に無線周波数及び/又はマイクロ波周波数の電磁放射線を生成させる信号を生成するステップであって、放射線は、衛生化領域内に配置された洗浄又はトリートメント部分の任意の露出した表面上に存在する水の加熱を引き起こすのに適している、ステップを有する、方法を提供する。
【0068】
放射線は、洗浄又はトリートメント部分の任意の露出した表面上に存在する水の少なくとも50℃、好ましくは少なくとも70℃の温度までの加熱を引き起こすのに適していることが好ましい。
【0069】
洗浄又はトリートメント部分及び方法の実施形態は、システムの上記の実施形態に適合する。
【0070】
本発明の上記その他の態様は、以下に説明される実施形態から明らかになり、且つ、それらを参照して解明される。
【0071】
次に、単なる例として、本発明をより良く理解するために、また、本発明がどのようにして実施され得るかをより明確に示すために、添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0072】
図1】例示的な口腔ケアシステムの構成要素を模式的に示す図である。
図2】EMエネルギーを使用した(洗浄又はトリートメント部分の表面に接触している)流体の加熱を模式的に示す図である。
図3】例示的な口腔ケアデバイスを模式的に示す図である。
図4】発生器回路のエミッタ構成部を含む口腔洗浄又はトリートメントデバイスの例示的な口腔洗浄又はトリートメント部分を示す図である。
図5】発生器回路のエミッタ構成部を含む口腔洗浄又はトリートメントデバイスの例示的な口腔洗浄又はトリートメント部分を示す図である。
図6】エミッタ構成部が洗浄又はトリートメント部分に埋め込まれている、図5の構成部の一変形形態を示す図である。
図7】エミッタ構成部が洗浄又はトリートメント部分の表面に埋め込まれており且つ1つ又は複数のループコイルを備える、図5の構成部のさらなる変形形態を示す図である。
図8】エミッタ構成部が洗浄又はトリートメント部分の表面に埋め込まれており且つ1つ又は複数のループコイルを備える、図5の構成部のさらなる変形形態を示す図である。
図9】例示的な口腔洗浄及び/又はトリートメント部分を示す図である。
図10】口腔洗浄又はトリートメント部分の一部分上に取り付けられるキャップ又はカバーの形態をした例示的なEMシールドユニットを示す図である。
図11】口腔洗浄又はトリートメント部分の一部分上に取り付けられるキャップ又はカバーの形態をした例示的なEMシールドユニットを示す図である。
図12】口腔洗浄又はトリートメント部分の一部分上に取り付けられるキャップ又はカバーの形態をした例示的なEMシールドユニットを示す図である。
図13】凹面形のリフレクタ領域を含む基底部に成形リフレクタ部分を備える、図9図12のキャップ又はカバーの一変形形態を示す図である。
図14】凹面形のリフレクタ領域を含む基底部に成形リフレクタ部分を備える、図9図12のキャップ又はカバーの一変形形態を示す図である。
図15】凹面形のリフレクタ領域を含む基底部に成形リフレクタ部分を備える、図9図12のキャップ又はカバーの一変形形態を示す図である。
図16】傘ユニットの形態をしたさらなる例示的なEMシールドユニットを示す図である。
図17】傘ユニットの形態をしたさらなる例示的なEMシールドユニットを示す図である。
図18】傘ユニットの形態をしたさらなる例示的なEMシールドユニットを示す図である。
図19】口腔洗浄又はトリートメントデバイスの充電台の形態をした又は充電台に組み込まれたさらなる例示的なEMシールドユニットを示す図である。
図20】口腔洗浄又はトリートメントデバイスの保管具又は移動用ケースに組み込まれたさらなる例示的なEMシールドユニットを模式的に示す図である。
図21】展開位置での配置のために口腔ケアデバイスの本体に沿って摺動可能なスリーブ品を含むさらなる例示的なEMシールドユニットを示す図である。
図22】展開及び格納のために蛇腹式に折畳み可能なさらなる例示的なEMシールドユニットを示す図である。
図23】展開及び格納のために蛇腹式に折畳み可能なさらなる例示的なEMシールドユニットを示す図である。
図24】展開及び格納のために蛇腹式に折畳み可能なさらなる例示的なEMシールドユニットを示す図である。
図25】蒸気発生を促すために熱を保持するためのカバーユニットを示す図である。
図26】蒸気発生を促すために熱を保持するためのカバーユニットを示す図である。
図27】衛生化領域内の温度及び/又は水分を検知するための検知能力を有するEM発生回路を示す図である。
図28】エミッタ構成部上でのEMシールドの配置を検知するための手段を有するEM発生回路を示す図である。
図29】衛生化プロトコルの運用のための1つの例示的なワークフローを概説する図である。
【発明を実施するための形態】
【0073】
図を参照しながら、本発明を説明する。
【0074】
詳細な説明及び具体例は、デバイス、システム、及び方法の例示的な実施形態を示すが、例示のみを目的として意図したものであり、本発明の範囲を限定することを意図したものではないことが、理解されるべきである。本発明のデバイス、システム、及び方法の上記その他の特徴、態様、及び利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲、及び添付の図面からより良く理解されるであろう。図は、模式的なものにすぎず、一定の縮尺で描かれていないことが、理解されるべきである。同じ又は類似の部品を示すために各図にわたって同じ参照番号が使用されることもまた、理解されるべきである。
【0075】
本発明は、口腔ケアデバイスを含む口腔ケアシステムを提供する。口腔ケアデバイスは、口内に受容されたときに洗浄又はトリートメント機能を行うための洗浄又はトリートメント部分、例えばブラシヘッド又はマウスピースを備えるか又はそれらに付着するように設計される。したがって、口腔ケアデバイスは、通常使用中の洗浄又はトリートメント機能を有する。口腔ケアデバイスは、放射線又は電磁場を放出するために使用されるエミッタ構成部の周りの空間又は体積(「衛生化領域」)内に無線周波数又はマイクロ波周波数の電磁エネルギーを生成し且つ放出するように適合された電磁(EM)場又は放射線の発生器をさらに備える。EM放射は、少なくとも衛生化領域内に配置された水を加熱するのに適した電磁的性質を有するように構成される。これは、専用モードでの衛生化機能を可能にし、専用モードでは、EM発生器のEM放射が、衛生化領域内に配置された洗浄又はトリートメント部分の任意の表面上にあるか又は表面に接触している水の加熱を引き起こす。加熱は、衛生化作用を有する。
【0076】
例えば、水は、いくつかの例では、少なくとも10~20sにわたって少なくとも50~70℃まで加熱され得る。衛生化中、洗浄又はトリートメント部分は、エミッタ構成部が口腔ケアデバイスとは別の(しかし、例えば口腔ケアデバイスと電気的にドッキングされる)ユニットの場合には、衛生化領域に持ち込まれ得る。或いは、エミッタ構成部は、エミッタ構成部の周りの衛生化領域が本質的に洗浄又はトリートメント部分の表面を衛生化領域内に包含するように、洗浄又はトリートメント部分自体に含まれる。
【0077】
図1は、本発明の実施形態による口腔ケアシステムの全体構造を模式的に示す。システムは、口腔ケアデバイス12を備え、このデバイスは、洗浄又はトリートメント機能を行うためにユーザの口腔内に受容される洗浄又はトリートメント部分14を備えるか、或いは洗浄又はトリートメント部分14に動作可能に結合可能である。洗浄及び/又はトリートメント部分(本明細書ではCTPと省略される)は、例えば、歯ブラシのブラシヘッド、又は口腔洗浄器のヘッドである。いくつかの事例では(例えば、洗浄マウスピースユニットの場合には)、口腔ケアデバイス全体が口内に受容される。この場合、デバイス全体がCTPを形成する(即ち、この部分が、デバイスの全体を形成し得る)。図1では、CTP14は、口腔ケアデバイス12から物理的に分離されて示されており、例えば、電動歯ブラシから分離された取外し可能なブラシヘッドである。これは、次の例で明らかになるように、単なる模式的な例示のためのものである。
【0078】
口腔ケアデバイス12は、エミッタ構成部24に動作可能に動作可能に結合されたときに無線周波数(RF)及び/又はマイクロ波周波数の電磁(EM)放射32(例えば、交番EM場及び/又はEM放射線)を生成するように動作可能な、組み込まれた信号発生器22を備える。発生器は、振動性信号発生器、例えばオシレータである。発生器は、エミッタ構成部に結合されてEM放射線の放出又はEM場の生成を引き起こす、交番駆動信号を生成する。口腔ケアデバイスは、発生器22に電力を供給するための局所電力貯蔵器、例えば電池を備え得る。
【0079】
エミッタ構成部は、例えば、電極間での交番場の発生を引き起こすために発生器により周期的に逆になる極性で駆動される電極の対を備える。或いは、各電極は、EM放射線の放出を引き起こすために、別々の交流電流又は電圧で駆動される。別の可能性は、ループ又はコイルの軸線方向に沿った交番場の発生を誘導するために交流電流で駆動される1つ又は複数の誘導コイル若しくはループの使用である。交番場の発生はまた、伝搬するEM放射線(波)の生成につながる。さらなる可能性は、電磁放射を生成することにより交流電圧の印加に応答するメタマテリアルベースのアンテナの使用であるが、メタマテリアル構造設計を利用することは、小型化、より広い帯域幅、及び効率性の改善を可能にする。本明細書では、EM放射線の生成が参照される。しかし、いくつかの実施形態では交番EM場がさらに又はその代わりに生成されることが、理解されるべきである。
【0080】
信号発生器は、選択的に衛生化モードにおいて動作可能であり、衛生化モードでは、信号発生器は、接続されたエミッタ構成部24にエミッタ構成部の周りの衛生化ゾーン、衛生化区域、又は衛生化領域34内でRF又はマイクロ波周波数のEM放射線32を生成させるための信号を生成するように適合される。生成されるEM放射線は、少なくとも水又は水含有物質、例えば衛生化領域内に配置された洗浄又はトリートメント部分14の任意の露出した表面上に存在するか又は露出した表面に接触している水の加熱を引き起こすのに適している。
【0081】
場合により、システムは、信号発生器を衛生化モードに選択的に切り替えるか又は衛生化モードを有効にするために、使用に際して信号発生器22と動作可能に結合される制御装置を備える。制御装置は、衛生化モードが選択的に有効にされたときに信号発生器の動作を制御することにより、衛生化モードを実施する。いくつかの例では、衛生化モードの有効化は、例えば、デバイス上の若しくはデバイス外部の物理的ボタンにより、又は動作可能に結合されたソフトウェア(例えば、スマートフォンアプリ)により、ユーザによって有効化される。制御装置は、デバイスによって備えられるか、又はデバイスの外部にあってよいが、信号発生器に動作可能に接続される。他の例では、信号発生器自体が、衛生化モードの局所的な有効化及び実施を可能にするプロセッサ又はICチップを備える。
【0082】
衛生化領域は、生成されたEM放射線にさらされることになるエミッタ構成部の周りの体積的領域(空間又は体積)を意味する。衛生化領域は、境界され得るか、又は、明確な境界を有さない。この領域内では、存在するいかなる水も、EMエネルギーの吸収を通じた加熱を受ける。したがって、衛生化領域は、EM放射線の作用により水の加熱が起こる領域として理解される。衛生化領域は、図1では破線の輪で模式的に示されている。これは、生成される場若しくは放出される放射線又は水の加熱若しくは蒸気生産が起こる領域の実際の物理的な形状又は範囲を表すものではない。
【0083】
図2は、歯ブラシヘッドの形態をした例示的な洗浄及び/又はトリートメント部分(CTP)14を模式的に示す。支持体42を形成するブラシヘッドのプラテンの側面図が示されており、支持体42の上部表面44からは、毛束46などの複数の洗浄要素が直立している。残留する水含有流体38(例えば、水、唾液、練り歯磨き懸濁液)が、毛46の露出した表面及びCTP14の支持体42の上部表面44上に模式的に示されている。衛生化モード中、CTP14は、流体38がEM放射線にさらされるように、発生器22によって生成されたEM放射線32にさらされる衛生化領域34内に配置される。これは、水分の加熱を引き起こし、水分の加熱は、水の温度が上昇し、水から表面への熱的接触に起因して、毛46の表面及びCTP支持体42の表面44上に存在する微生物を殺すので、衛生化を可能にする。
【0084】
衛生化のための水の加熱には、300MHzから30GHzの範囲内の周波数を有するEM放射線を生成することが好ましい。水の(例えば、70℃以上の温度までの)効率的な加熱は、水分子の双極子の振動を生じさせるための特定の周波数範囲のEMエネルギーの印加を必要とすることが知られている。例えば、おおよそ300MHzを下回る交番EM場又は放射線は、水の摩擦加熱(イオン性攪乱(ionic agitation))のみを誘導して、熱をもたらす。対照的に、300MHzを上回るより高い周波数では、EMエネルギーは、水分子によってより効率的に吸収されて、双極子配向の振動性変化及び分子振動(運動エネルギー)をもたらす。これは、水をより速く加熱する。
【0085】
したがって、衛生化モードでは、発生器22は、実施形態の少なくとも1つのセットによれば、少なくとも300MHz、例えば300MHz~30GHzの間、例えば少なくとも2.4GHz、例えば少なくとも2.45GHzの周波数においてEM放射線を生成するように、エミッタ構成部24を駆動する。
【0086】
さらに、理想的には、衛生化サイクル又は衛生化動作は、定められた最低温度まで水を加熱し次いで予め定められた最短時間にわたってその温度を維持することを含む特定の加熱サイクル又は加熱プロトコルを通じて水を利用する。例えば、好ましい事例では、水は、少なくとも10~15秒間にわたって少なくとも70~75℃まで加熱される。これは、特に細菌及び他の微生物の99.9%を殺す衛生化(衛生化=ログ3リダクション=99.9%微生物)に十分であることが示されている。参照として、牛乳の低温殺菌は、70~75℃での15sにわたる加熱を必要とする。
【0087】
この特定の閾値温度までの加熱は、様々なやり方で達成され得る。例えば、発生器22によって生成されるEM信号の特定の電気的特性(例えば、周波数、振幅、出力)は、洗浄されることを意図されたCTPのサイズ及び表面積(したがって、加熱されるべき水の体積)に関する仮定並びにCTPの表面に対するエミッタ構成部の相対的な空間的配置に基づいて、使用時に所望の加熱を達成するように特別に事前設定される。別の選択肢は、衛生化領域34内又はCTPの表面の温度を検知するための検知手段を含むことであり、また、温度を閾値まで上昇させ、次いで定められた又は最短の期間にわたって(少なくとも)前述の温度を維持するように、温度検知の出力に基づいて発生器22を制御することである。
【0088】
実施形態の1つの有利なセットでは、衛生化モードにおいて、発生器22は、エミッタ構成部24に例えば少なくとも10~20Wの平均出力を有する電磁放射線32を少なくとも10~20秒の期間にわたって生成させるための信号を生成するように適合又は制御される。これは、発生器22により駆動信号を生成することによって達成することができ、信号は、10Wの平均出力を有し、また、信号は、少なくとも10~20秒間にわたって生成される。
【0089】
この設定は、以下の例示的な計算から理解される。
【0090】
水の比熱を使用すると、おおよそ1ml(質量m=1g)の水を20℃の室温から70℃の温度まで加熱し(ΔT=50℃)、その水を15秒間にわたってこの温度に維持するのに必要とされるエネルギーの量Eを計算することができる。水の比熱容量Cは、4,200ジュール毎キログラム毎セ氏温度(J/kg℃)である。これは、1kgの水の温度を1℃上昇させるのに4,200Jを要することを意味する。したがって、おおよそ1ml(0.001kg)の水を50℃加熱するのに必要とされるエネルギーEは、以下のように計算され得る:
E=m・C・ΔT=1.0×10-3kg×4200J/kg℃×50℃=0.210kJ=210ジュール
【0091】
したがって、この温度の上昇(1mlの流体又は水をΔT=50℃まで)を行うのに必要とされる電気エネルギーは、おおよそ210Jである。これは、例えば、(10Vの電圧と1Aの電流とを有する発生器22からの駆動信号をおおよそ21秒間にわたって生成することにより)10Wの出力において21秒間にわたって、又は20Wの出力においておおよそ10秒間にわたって、EM場を働かせるか若しくはEM放射線を生成することによって達成される。
【0092】
これは、十分に、電動口腔ケアデバイスに含まれる電池の典型的な電荷容量の範囲内である。例えば、単セルAAリチウム電池(3.7~4.2V、500mAh)から利用可能な全エネルギーは、約7200Jである(容量500mAh:0.5A×3600s×4V=7200J)。
【0093】
要約すると、少なくとも10W(例えば、10~12Wの間)の出力Pにおいて少なくとも20秒間にわたってエミッタ構成部を駆動する発生器によって作り出されるEM放射線は、典型的には、口腔ケアデバイスのCTPの表面上の残留水(おおよそ1ml(程度)の体積と仮定する)を室温から70℃の温度まで加熱するのに十分である。同様に、出力又は時間は、放射線生成の期間にわたって送達される全エネルギーがおおよそ200J、例えば上述のように210Jであるように、上下に調整され得る。使用時により大きな又はより小さな体積の水が加熱されることが望まれる場合、送達される全エネルギーは、それに応じて調整される。
【0094】
この加熱(昇温(temperature ramping))段階の後に、水が例えば10~15秒間の最短期間にわたって好ましい閾値温度(例えば、少なくとも70℃)に維持される、さらなる温度維持段階が続くことが好ましい。
【0095】
例として、温度をt=15秒間の期間(例示的な標的衛生化時間)にわたって70℃の例示的な標的温度に維持するために、理論的には追加的なエネルギーEが必要とされ、Eの消費量=P×t=10W×15s=150Jである。これは空間内への直接の熱の散逸を想定していることが、留意される。したがって、これは事実上、最大限の又は最悪の場合の追加的なエネルギー要求を表す。
【0096】
したがって、この例での加熱段階及び温度維持段階の両方に対する全(最大)エネルギー要求は、210J+150J=360Jである。
【0097】
7200Jのエネルギー容量を有するリチウムAA電池の場合、両方の段階を伴う本例による完全な衛生化プログラム/手順のためのエネルギー消費量は、利用可能な電池エネルギーのおおよそ1/20までである(360J/7200J)。
【0098】
この事例での全衛生化プロセスは、おおよそ36秒を要する。この事例では、必要なEM場又は放射線を生成して所望の衛生化を行うために発生器22に電力を供給するのには、少なくとも10Wの平均出力で十分である。
【0099】
上記の計算は、単に1つの例を表すものである。閾値流体温度を実現し定められた時間窓の間維持するために発生器22に必要とされる正確な駆動特性は、衛生化されることを意図されたCTPのサイズ及び表面積の他に、衛生化されることを意図されたCTPの表面に対するエミッタ構成部の空間的配置、EM場にさらされる水含有流体(水、唾液、練り歯磨き懸濁液)の熱容量に依存する。
【0100】
例えば、ブラシヘッドの標準的な流体容量が1mlと仮定すると、最大でおおよそ360Jのエネルギーが必要とされ、これは36秒間の全衛生化プロセスにわたっておおよそ10Wを意味する。例えば、いくつかの事例では、ブラシヘッド及び毛を取り囲むキャップの内部空洞内に多量の水を閉じ込めるために、ブラシヘッドが沈められている間、流体保持キャップがブラシヘッドに被せられる。このキャップの典型的な容積は、(例として)おおよそ1mlである。
【0101】
しかし、ブラシヘッドに存在する水がより少ない場合、例えば毛上の残留水のみが衛生化のために使用される場合、必要とされる電力及び/又はエネルギーは少なくなる。この場合、必要とされるエネルギーの必要量は、著しく少なくなる。いくつかの例では、電力レベルは、CTPが沈水されるべきか又は残留水だけが加熱されるべきかどうかに応じて、ユーザ設定可能である。或いは、これは、いくつかの例では、検知モジュールを用いて自動的に検出され得る。
【0102】
上述のように、エミッタ構成部の位置には、様々な選択肢が存在する。
【0103】
実施形態の1つのセットでは、エミッタ構成部24は、外部ユニット、例えば衛生化ステーションによって備えられ、これは、衛生化中にCTP14を受容するための専用の衛生化領域又は空洞を画定する。この場合、口腔ケアデバイス12は、衛生化ステーションと電気的にドッキング又は結合し、口腔ケアデバイスの発生器22とエミッタ構成部との間に電気的結合を確立する。これは、別個の電源、又は別個の衛生化ユニット内の何らかの能動電気部品を用意する必要性を無くす。口腔ケアデバイスは、典型的には、例えばデバイスの機械的アクチュエータを駆動するのに使用するための電源を既に含んでいる場合がある(例えば、電動歯ブラシ)。
【0104】
本明細書において詳細に論じられる実施形態のさらなるセットでは、エミッタ構成部24は、口腔ケアシステム自体の洗浄及び/又はトリートメント部分(CTP)14によって備えられる。この統合されたCTP及びエミッタ構成部は、システムが衛生化モードにあるときに衛生化セルを形成するものと理解される。CTPは、洗浄又はトリートメント機能を行うために口内に受容される口腔ケアデバイスの部分、例えば歯ブラシヘッド又はブラッシングマウスピースユニットを意味する。これは、口腔洗浄又はトリートメントデバイス12の一部分であってよく(口腔洗浄又はトリートメントデバイス12に一体的に含まれるか、或いはそれに取外し可能に結合可能である)、又は、別個の部品であって動作時にデバイス12に動作可能に結合可能であってもよい。言い換えれば、口腔ケアデバイスは、本発明の1つの態様によれば、口腔ケアデバイスが発生器22を備え、また少なくともCTP14と結合可能である限り、単独で提供され得る。
【0105】
図3は、電動歯ブラシの形態をした口腔ケアデバイス12を備える口腔ケアシステム10の1つの例を模式的に示し、口腔ケアデバイス12は、ブラシヘッドアタッチメントの形態をした取外し可能なCTP14に結合可能である。ブラシヘッドのプラテン42が、エミッタ構成部24を備える。口腔ケアデバイス12の本体部分15に組み込まれた信号発生器22とCTP14に組み込まれたエミッタ構成部24との間に電気的結合が提供される。電気的接続は、ブラシヘッド14が本体部分15に接続又は嵌合されたときに確立される。歯ブラシは、適切な口腔ケアデバイスの1つの例に過ぎない。他の例には、ブラッシングマウスピースユニット及び口腔洗浄器、又は電動フロッシングデバイスが含まれる。本発明のシステム10は、口腔ケアデバイス12の本体部分15だけを含むか、又は、本体部分14と洗浄及び/又はトリートメント部分14の両方を含む。
【0106】
図4は、エミッタ構成部24を担持している例示的なCTP14を模式的により詳細に示す。この例では、CTPは、支持体42、例えばブラシヘッド(図4では毛は示されていない)のプラテンを備え、支持体42の上部表面44からは、エミッタ構成部24を形成する電極52a、52bの対が延在する。電極は、電極間に交流電圧又は交流電流を駆動する信号発生器22に接続される。例えば、交流電圧又は交流電流は、周期的に逆になる極性で駆動され、それにより、電極間及び電極の周りの空間(衛生化領域)内に交番EM場又はEM放射線を生成する。場合により、発生器の動作を制御するために、制御装置26が発生器22に動作可能に結合されて設けられる。制御装置は、例えば、衛生化モードの選択的な実施を制御する。信号発生器及び制御装置のどちらも、口腔ケアデバイスの本体部分内に実装され得る(図3には示されていない)。
【0107】
図5に示されるように、電極52a、52bは、毛46の束などの洗浄要素によって片側又は両側を取り囲まれてもよい。電極は、例えば毛の群の中に埋められてもよい。エミッタ構成部24によって形成される衛生化領域34が、模式的に示されている。この事例では、衛生化領域は、洗浄及び/又はトリートメント部分14の少なくとも一部分、例えば少なくとも使用中に口内に受容される洗浄要素46(例えば、毛)を担持する支持体42を包囲する、エミッタ構成部(電極の対)の間及びその周りの区域である。したがって、毛、及び毛が取り付けられている支持体42の上部表面は、衛生化モード中に衛生化のために電磁エネルギーにさらされる。
【0108】
代替的な例(図6)では、エミッタ構成部24は、CTP14の支持体42(例えば、プラテン)の表面14下に組み込まれた電極52a、52bを含む。電極52a、52bは、支持体42の上部表面44及び露出された導電表面と同一平面であるか、又は、表面下に埋設される。その他の点では、電極52a、52bの対の動作は、先に論じられたのと同じであってよい。
【0109】
図7及び図8は、さらなる変形形態を示す。ここでは、エミッタ構成部42は、電極の代わりに1つ又は複数の誘導ループ若しくはコイル19を備え、それらは、ループに対して軸線方向に沿って交番電磁場を生成するために、交流電流又は交流電圧により発生器22によって駆動される。交番場はまた、周囲空間内へのEM波の放射をもたらす。
【0110】
実施形態の有利なセットによれば、信号発生器22は、選択的に洗浄又はトリートメントモードにおいてさらに動作可能であり、洗浄又はトリートメントモードでは、信号発生器は、接続されたエミッタ構成部24に口腔内で口腔洗浄又はトリートメント機能を行うための電磁放射線を生成させるための信号を生成するように適合又は制御される。
【0111】
洗浄又はトリートメントモードでは、発生器22は、衛生化モードにおけるよりも低い電磁周波数を有するEM場又は放射線の生成を引き起こす。例えば、無線周波数における電磁場又は放射線は、歯の表面又は歯肉組織の洗浄又はトリートメントでの使用に効果的であることが知られている。例えば、無線周波数における電磁場又は放射線は、歯の表面上の生物膜を弱体化させることができ、これは、歯の洗浄中に洗浄又はトリートメント部分14を積極的に支援し得る。無線周波数はまた、歯肉組織を刺激することができ、これは、局所加熱効果を有し得る。洗浄又はトリートメントモードのための適切な周波数範囲は、例えば1MHzから300MHzの間、例えば1MHzから30MHzの間である。
【0112】
対照的に、衛生化モードの場合、適切な周波数範囲は、300MHzから300GHzの間、例えば2GHzから30GHzの間である。
【0113】
制御装置26が、発生器22に動作可能に結合されて設けられ、衛生化モード及び洗浄又はトリートメントモードの選択的な有効化を制御するように適合される。異なるモードの選択的な有効化は、口腔ケアデバイスの外部表面上に設けられた1つ若しくは複数のボタン、又は、スマートフォン若しくはタブレットコンピュータなどの外部コンピューティングデバイスなどのユーザ入力要素からのユーザ制御信号に応答して行われる。
【0114】
したがって、電磁的洗浄機能及び電磁的衛生化機能の両方に対して、同じ信号発生器22及びエミッタ構成部24が使用される。したがって、エミッタ構成部がCTPによって備えられる実施形態では、一体型RF洗浄構成部が、一体型衛生化セルになるように再構成される。
【0115】
いくつかの例では、衛生化モードは、口腔洗浄サイクルの終了時に自動的にトリガされる。口腔洗浄サイクルは、例えば、通常の口腔洗浄又はトリートメント機能におけるデバイスの使用、例えば歯を磨くための電動歯ブラシの使用、又は歯を洗浄するための電動マウスピースデバイスの使用を意味する。したがって、洗浄又はトリートメント部分は、口腔ケアデバイスの毎使用後に自動的に衛生化される。
【0116】
1つ又は複数の実施形態によれば、口腔ケアデバイス12は、機械的動作の供給源を提供するための機械的アクチュエータをさらに含み、機械的動作は、使用中に洗浄又はトリートメント部分14に機械的に結合されるか、又は、洗浄又はトリートメント部分が動作可能に接続されたときに前述の部分に機械的に結合されるように適合される。機械的アクチュエータは、衛生化モード中の機械的攪拌とEM衛生化との組み合わせを提供するために、衛生化モード中に機能するように制御される。これは、衛生化の有効性を高める。アクチュエータは、例えば、使用時にブラシヘッドに振動運動を伝達するように構成された電動歯ブラシの駆動列機構である。これは、単に1つの例であるが、多くのタイプの口腔ケアデバイスが、運動アクチュエータを含む。
【0117】
実施形態の1つの有利なセットによれば、口腔ケアシステム10は、生成された電磁エネルギーを衛生化領域34内に閉じ込めるのを支援するための電磁(EM)シールドユニット62をさらに備える。したがって、EMシールドユニット62は、衛生化空間からのEM放射線32の漏れを防ぐことにより、衛生化プロセスの効率を高める。
【0118】
EMシールドユニット62は、衛生化モード中に使用するための展開位置に構成可能であり、展開位置では、シールドユニットは、衛生化領域34に対して定められた空間的関係に配置され、且つ、衛生化領域からの電磁エネルギーの漏れを少なくとも部分的に抑制するように適合される。いくつかの例では、EMシールドユニット62はさらに、例えばCTP14の通常使用を可能にするために、非展開位置に構成可能である。
【0119】
エミッタ構成部24が口腔ケアデバイス12或いは洗浄又はトリートメント部分(CTP)14によって備えられない実施形態では、シールドは、例えば洗浄又はトリートメント部分を受容できる衛生化チャンバを少なくとも部分的に取り囲む、衛生化ステーションのハウジングの一部である。
【0120】
他の実施形態では、EMシールドユニット62は、衛生化領域34に対して固定された空間的関係で展開構成において口腔ケアデバイス12又はCTP部分14に接続されるか又は取り付けられるように構成された構成要素である。
【0121】
一般的な言葉で言うと、シールドユニット62は、電磁エネルギーがシールドユニット62を通過するのを妨げるのに適した構造又は材料で形成されるべきである。シールドユニットは、衛生化領域からの電磁場エネルギーの漏出を妨げるために、展開構成において衛生化領域に面するように配置された1つ又は複数の遮蔽表面を備える。したがって、シールドユニットは、電磁放射線を衛生化領域内に少なくとも部分的に閉じ込めるように働く。シールドユニットは、衛生化領域を少なくとも部分的に境界するか又は区切るように配置される。衛生化領域は、シールドユニットによって少なくとも部分的に境界される領域として定義される。シールドユニットは、単一の部品、又は複数の部品を含む。シールドユニットは、電磁放射線を衛生化領域内に集中させる。
【0122】
好ましい例では、シールドユニット62は、入射電磁放射線を少なくとも部分的に衛生化領域34の方へ反射するように構成される。シールドユニットは、シールドユニットが展開構成において設置されているときに前述の放射線を少なくとも部分的に衛生化領域内に閉じ込めるのに使用するために、衛生化モードにおいてエミッタ構成部24によって生成された電磁エネルギーを少なくとも部分的に反射するように適合された1つ又は複数の電磁反射表面を備える。
【0123】
展開構成では、シールドユニットは、衛生化領域に面して配置され且つそれによってEM放射線が遮断された場合にEM放射線を衛生化領域の方へ偏向し返すように配置された、少なくとも1つの表面部分を備える。
【0124】
したがって、展開構成では、反射表面部分又は要素は、衛生化領域の周りの1つ又は複数の側面から衛生化領域の方へ放射線を偏向させるように配置される。
【0125】
これはまた、増幅効果を提供する。例えば、シールドユニットが衛生化領域を少なくとも部分的に境界するか又は取り囲む形状となされている場合、シールドユニットは、衛生化領域及びCTPを包含する部分的な共振器空洞を形成する。
【0126】
いくつかの例では、シールドユニットは、1つ又は複数のメタマテリアルユニットで形成された部分的な空洞を形成する。
【0127】
シールドユニットは、衛生化領域を画定する内部空間又は空洞の周りに配置される複数の遮蔽壁を備え得る。
【0128】
CTPが歯ブラシヘッドである一実施形態では、展開構成は、シールドユニットに洗浄又はトリートメント部分(CTP)の毛若しくはプラテン表面の方へEM波を反射させる。
【0129】
次に、シールドユニットのためのいくつかの可能な実施形態を概説する。
【0130】
実施形態の第1のセットによれば、シールドユニット62は、非展開構成において口腔ケアデバイス12から物理的に分離可能であり、且つ、展開構成において口腔ケアデバイスに機械的に取付け可能又は接続可能であるように適合される。
【0131】
次に、この実施形態の第1のセットによる様々な例を概説する。
【0132】
例の1つのセットによれば、シールドユニット62は、内部空洞又は空間を画定するキャップ又はカバーの形態をとり、且つ、展開構成では、洗浄又はトリートメント部分14の少なくとも一部分が少なくとも部分的に空洞内に受容された状態で、前述の部分上に嵌合するように配置される。
【0133】
キャップは、EM放射線を空洞内に少なくとも部分的に保持するように構成された材料で形成された境界壁を有する。キャップは、EMエネルギーをCTPの表面の方へ反射するか又は向け直すことが好ましい。
【0134】
このタイプのシールドユニットは、エミッタ構成部24がCTP14の一部として含まれる実施形態に適している。
【0135】
CTP14に含まれるエミッタ構成部は、シールドユニットが展開構成にあるときに空洞内に受容されるように配置される。
【0136】
好ましい例では、キャップ又はカバーは、キャップ又はカバーによって画定された空洞に向かって内方に面するキャップの内部表面上に電磁気的に反射性の表面又は被覆を備える。したがって、それらは、CTP14に含まれたエミッタ構成部24の周りの衛生化領域の方へ電磁放射線を反射するか又は偏向させるように働く。
【0137】
反射表面は、(研磨された又は穿孔された)アルミニウム、銀、又は銅などの金属で形成されてもよい。反射表面は、関連する材料の被覆又はメッシュクラッディングを備えてもよい。
【0138】
反射表面は、或いは、ケイ素などの非金属材料、又は金属挿入物を含む誘電体材料で形成されてもよい。
【0139】
1つの例が、図9図12に示されている。
【0140】
図9は、洗浄又はトリートメント部分(CTP)14を示し、キャップは、このCTP14に嵌合されるように構成され得る。この例におけるCTPは、歯ブラシのためのブラシヘッドの形態をとる。ブラシヘッドは、そこから複数の毛束が延在する支持体を形成しているプラテン42を備える。例示的なエミッタ構成部24の位置は、模式的に示されている。
【0141】
図10は、CTP14の支持体42上に嵌合された展開位置におけるキャップシールドユニット62を示す。図9に示されたz方向を向いた断面が示されている。示されるように、キャップは、少なくとも上部表面、側部表面、及び後部表面において、エミッタ構成部(電極52a、52b)及び支持体62を取り囲む。いくつかの事例では、シールドの底部は、すでに支持体42によって実質的に塞がれているので、開放される。いくつかの事例では、前部表面もまた開放される。
【0142】
示されるように、シールドユニットキャップ62は、内部表面上にEM反射表面部分64を含み、このEM反射表面部分64は、EM場又は放射線の入射部分を衛生化領域34の方へ(エミッタ構成部、CTP14、及び毛領域の方へ)反射し返す。導電性表面64は、金属被覆、又は(ファラデーケージなどの中の)金属メッシュ構造であってよい。いくつかの事例では、マイクロ波メタマテリアル要素が設けられる。
【0143】
メタマテリアルは、新たな技術であり、それらの物質組成によってではなくそれらの構造(1つ又は複数の物質の幾何学的配置)によって特徴付けられる工学的物質に関する。メタマテリアルは、例えば負の屈折率などの、自然発生的な物質では得られないか又は利用するのが難しい新たな物理的特性及び特徴の実現を可能にする。
【0144】
マイクロ波メタマテリアルは、その有効特性(屈折率、誘電率、透過性)が所望の周波数帯のためのEM波操作(例えば、超反射又は集束を促進すること)を可能にする新奇な(天然物質には見られない)ものである、非常に多数のユニットによって構成される。マイクロ波メタマテリアルに関するより詳細な論述は、例えば論文:Tie Jun Cui、Microwave metamaterials、National Science Review、Vol 5、2018年3月2日発行、134~136頁に見られる。
【0145】
キャップシールドユニット62の本体は、異なる材料、例えばプラスチックで形成されてよい。例えば、いくつかの事例では、毛領域を保護するために、プラスチック製保護キャップが歯ブラシに同梱されている。これと同じキャップが、シールドユニット62を形成するために改造されてもよい。
【0146】
図11は、CTP及びエミッタ構成部上に嵌合された(例えば、摺動された)展開構成におけるシールドユニット62の側面図を示す。シールドユニット62の前方端部65は、キャップ内へのCTP14の頂部の受容を可能にするために、開放され得る。
【0147】
展開構成では、キャップ62は、エミッタ構成部を含むCTP14の部分上に嵌合される。非展開構成では、キャップは、CTPが口腔洗浄又はトリートメント機能のために口腔洗浄又はトリートメントデバイス12に関連して使用され得るように、CTP14から摺動されて外される。
【0148】
図12は、非展開構成におけるシールドキャップ62を示す。したがって、シールドユニット62は、非展開構成ではCTP14から物理的に分離可能であり、展開構成ではCTPに機械的に取り付けられる。シールドユニット62は、内部空洞66を取り囲む遮蔽壁63を有する。反射表面部分64は、壁の内部表面上に形成されてもよく、又は、壁自体が、反射表面部分を形成する内側表面を有してもよい。
【0149】
図13は、キャップの形態をした例示的なシールドユニット62を示す。このシールドユニット62は、衛生化領域34の方にまたこの例では支持体42及び毛領域の方に面する、エミッタ構成部52によって放射された電磁場又はEM波の指向性の偏向を実現するための反射表面64を含む凹み/ピット72を有する成形下方部分を備える。成形下方部分は、シールドユニット62の一部分62aを形成することができ、例えば衛生化領域34を取り囲むシールドユニットの残りのシェルが、第2の部分62bを形成する。
【0150】
成形下方部分62bは、例えば、凹形表面72を有して形成される。凹形表面は、被覆金属円板共振器64が備えられてよく、また、この62b部分は、毛に面するキャップの側に設けられる。これは、最適な反射特性を促進し得る。例えば、反射器64の湾曲形状は、衛生化効率を最大限に高めるために、キャップ内での直接反射の指向性を実現するように構成され得る。反射表面は、いくつかの例では、周波数選択性であるように作られ得る。
【0151】
成形下方部分は、例えば3D印刷によって形成される。
【0152】
連続的な反射表面64が凹み72内に形成されてよく、又は、図14に示されるように、反射要素64が、必要とされる指向性の反射性を提供するために、内側表面の周りに離間された間隔で設けられる。その結果は、図15に示されるようなものであってよく、ここでは、放物線状の又は他の凹形の反射器の形態が、平面EM反射前面(plane EM reflection front)を形成する。連続的な反射表面64又は反射要素は、例えばEMメタマテリアルを含む任意の適切なEM反射物質で形成されてよい。
【0153】
EM衛生化プロセスが、機械的アクチュエータ(例えば、歯ブラシ駆動列機構)によって提供される機械的攪拌洗浄と組み合わせられる事例では、キャップは、キャップリムとCTP14との間の接触に起因して、雑音を生じさせる場合がある。キャップは、場合により、雑音を軽減するために、導電性ゴムで形成される。或いは、キャップは、音の放射を減衰させて雑音の問題を回避する、組み合わせ音響及びマイクロ波メタマテリアル(combined acoustic and microwave metamaterial)で形成される。
【0154】
マイクロ波メタマテリアルは、上述された。負の若しくはほぼゼロの動的密度及び/又は弾性係数を示す音響メタマテリアルが、形成され得る。音響メタマテリアルは、例えば断続的な配置において、サブ波長ユニットセルで構成され得る。音響メタマテリアルは、物質を通過する波動伝搬が起こり得ない機械的(音響学的)周波数帯を示すことによって特徴付けられる。これらの非伝搬周波数帯は、物質のバンドギャップとして知られている。物質の様々なユニットが、様々なバンドギャップを有し得る。これらは、エネルギーを操作する非従来的なやり方を可能にする。組み合わせメタマテリアルは、EM波操作(反射性)及び(雑音を減少させるための)特定の共鳴性音響振動の抑制の両方を実現するように設計された構造を有して形成され得る。
【0155】
1つ又は複数の実施形態によれば、衛生化領域に面するプラテン42(又は他の支持構造)の上部表面は、電磁エネルギーを衛生化領域に向かって反射するか又は向け直すための1つ又は複数の反射表面部分を備える。
【0156】
図16図18は、シールドユニット62のさらなる例を示す。シールドは、傘構造72の形態であり、この傘構造72は、口腔ケアデバイスのCTP14の頂部上にカバーを形成し、且つ、CTP14の長さに沿ってある程度まで下方に延在する。傘構造72は、EM放射線を衛生化領域34内に少なくとも部分的に保持する機能を提供するために、CTP14に面するその下面上にEM反射被覆を含む。
【0157】
傘72は、CTPの軸方向芯(例えば、この例では歯ブラシヘッドのネック)を貫通して形成された内側ボアチャネル内に組み込まれ、また、傘72を非展開位置(歯ブラシヘッドのネック内に格納される)から展開位置(歯ブラシヘッドの頂部から突出する)へ移動させるために、前述のボアチャネルに沿って摺動可能であるように配置される。ユーザがシールドを展開構成へ手動で移動させるのを可能にするために、ユーザ制御要素(例えば、レバー)76が、歯ブラシヘッドのネックから外方に突出して設けられる。
【0158】
図19は、電磁シールドユニット62のさらなる例を示し、ここでは、シールドユニットは、口腔ケアデバイス12のための充電ステーションの構成要素であるか、又は、充電ステーションの本体に一体に組み込まれる。示された例では、充電ステーションは、ベース部分110の上に設置可能なカップ112を備え、ベース部分は、口腔ケアデバイス、例えば歯ブラシを誘導的に充電するための誘導電子装置を含む。シールドユニット62は、充電ステーションの底部から電磁場又は放射線を反射するためにベース部分110に組み込まれた遮蔽壁、例えば反射壁を備える。シールドユニット62は、カップ112の底部リムの周りにさらに組み込まれる。これは、いくつかの例では、上述のシールド62との組み合わせで使用される。
【0159】
別の例が、口腔ケアデバイス12を受容可能な保管具又は移動用ケースの形態で、図20に模式的に示されている。この例は、口腔洗浄機能を実行するために口内に受容可能なマウスピースユニットの形態をした口腔ケアデバイス12を示す。マウスピースユニットを保持するためのケースは、マウスピースユニットに含まれるエミッタ構成部24によって生成された電磁場又は放射線の漏出を少なくとも部分的に防止するための電磁的に反射性の内側表面を有する。
【0160】
シールドユニット62はまた、いくつかの例では電動歯ブラシを受容するように設計された移動用ケースの壁及び/又は蓋に組み込まれ、且つ、電磁場又は放射線を歯ブラシの方へ少なくとも部分的に偏向させるように設計される。このようにして、衛生化は、可搬性の衛生化能力を可能にする移動用ケース内に歯ブラシが受容された状態で実行され得る。移動用ケースはまた、洗浄又はトリートメント部分14の表面上の残留水の蒸発を介した歯ブラシの乾燥を可能にする。衛生化モードは、移動中に有効であってよい。ユーザが目的地に到着するときには、歯ブラシヘッドは、乾燥しているだけでなく衛生化されている。
【0161】
実施形態の第2のセットによれば、シールドユニット62は、非展開位置と展開位置との間を機械的に(手動で又は電子的に)推移可能であるように適合され、その場合、シールドユニットは、両方の位置において口腔ケアデバイスに機械的に接続されるか又は取り付けられる。展開位置は、衛生化領域(例えば、洗浄又はトリートメント部分)を少なくとも部分的に覆うか又は衛生化領域に少なくとも部分的に面するシールドユニットを有し、非展開構成は、異なる位置にある(例えば、格納され、且つ、衛生化領域に面していない)シールドユニットを有する。
【0162】
したがって、これらの実施形態では、口腔ケアデバイス及び/或いは洗浄又はトリートメント部分14は、組み込まれたシールドユニット62を有する。
【0163】
口腔ケアデバイスの本体に沿って摺動するように設計された格納可能なスリーブ品82の形態をした1つの例が、図21に示されている。
【0164】
一般に、この構成では、口腔ケアデバイス12は、作動端部84及び柄端部86を有する本体部分15を備える。口腔洗浄又はトリートメント部分14は、本体部分15の作動端部84に接続可能であり、シールドユニット62、82は、作動端部と柄端部との間で口腔ケアデバイス12の本体部分に沿って摺動可能であるように適合される。
【0165】
示された例では、シールドユニットは、電動歯ブラシの本体15の周りに同軸性に巻き付くスリーブの形態である。図21の左側は、非展開構成におけるスリーブを示し、図21の右側は、展開構成におけるスリーブを示し、展開構成では、スリーブは、洗浄又はトリートメント部分14(この事例ではブラシヘッド)を包囲して配置される。電磁場又は放射線をスリーブ内側の衛生化領域34の方へ反射するのを支援するために、反射表面部分又は反射要素がスリーブの内部面上に設けられてもよい。
【0166】
スリーブ62、82は(図10図12におけるキャップと同様に)、ブラシヘッドの毛領域の保護と衛生化強化機能の提供との二重機能を提供する。
【0167】
さらなる例示的な実施形態では、シールドユニット62は、展開構成にあるときに衛生化領域を少なくとも部分的に覆うように適合され、また、シールドユニットは、非展開構成と展開構成との間で移動するために、折り畳められたり広げられたりするように適合される。
【0168】
一例が、図22図24に模式的に示されている。示された例では、シールド62は、マウスピースユニットの形態をした口腔ケアデバイス12、14とともに使用されるように設計されている。シールドは、マウスピースユニットの頂部又は底部の表面における空洞内に受容される格納位置から、蛇腹式に広げられ得る。シールドは、マウスピースに組み込まれるか、又は別個の付属品として提供され得る。図22は、シールドユニット62の格納位置からの広がりを示す。図23は、展開位置にあるシールドを示し、展開位置では、シールドは、マウスピースユニットを完全に取り囲み得る。図24は、マウスピースユニットの頂部表面の後部における円弧状空洞内でのシールドユニット62の格納を示す。マウスピースユニットは一般に、歯受容チャネル16を間に画定する2つの突出する上部壁部分92a、92bを含む。例えばマウスピースユニットの外側周辺部に追加の円弧状チャネルが設けられてよく、この円弧状チャネル内には、シールドが折畳み可能に格納される。シールドユニットは、格納位置では視界から隠されることが好ましい。
【0169】
1つ又は複数の有利な実施形態によれば、衛生化モードでは、発生器22は、衛生化空間34内の水含有流体を典型的には大気圧において100℃の蒸気に変換するために、エミッタ構成部24を使用して電磁(EM)場又はEM放射線を生成する。蒸気は消毒を可能にするので、水の蒸気への変換は、衛生化を遙かに効率的なものにする。
【0170】
例えば、洗浄又はトリートメント部分(CTP)14上の残留水は、水が蒸気に変換される温度まで、電磁場又は放射線で加熱される。例えば、歯ブラシの例を参照すると、ブラシが濡らされて水源から移動された後で、濡れたブラシ上には典型的には0.1g未満の水が存在することが分かった。例として、そのような体積の水は、10Wの出力において電磁場又は放射線から生成されたエネルギーによって加熱された場合、電磁エネルギーの全て又は大部分が残留水によって吸収されるのであれば、ほんの4秒の期間内での蒸気発生を可能にする。
【0171】
蒸気を発生させるためのEMエネルギーの効率的な吸収を支援するために、この実施形態は、熱を閉じ込める又は保持するためのカバーの使用を採用する。これは、熱的に安定な(また、理想的には断熱の)カバーであってよく、場合により、上述の例のいずれかに関連して説明されたようにEM遮蔽機能を実行してもよい。カバーは、カバー内の蒸気によって生じる圧力に耐えるのに十分な構造強度を有し得る。
【0172】
例として、熱の漏出を少なくとも部分的に制限して衛生化領域での蒸気発生を促すために衛生化領域を包囲するように配置される展開構成と、例えば圧力が上昇し続けた場合に蒸気の制御された漏出を可能にするための圧力除去開口部(又は、弁)と、を有するカバーユニットが提供される。
【0173】
例の1つのセットでは、カバーユニットは、いくつかの例では温度安定ゴムで形成される、バルーン又はキャップの形態をとる。衛生化モードでは、湿った又は予め濡らされたブラシヘッドが、バルーン内に受容される。バルーンは、圧力除去穴又はベントを有する。カバーユニットは、口腔ケアデバイスに組み込まれる(例えば、展開構成と格納構成との間で可動である)か、又は、別個の部品として供給される。この部品は、いくつかの例では、展開構成になるようにCTPに取付け可能である。エミッタ構成部がCTP14から離れている例では、カバーユニットは、例えば、CTP14を受容するように設計された衛生化領域の周りを密閉することができる別個の衛生化ユニットのハウジングによって形成される。
【0174】
さらなる例では、カバーユニットは、EM遮蔽選択肢に関連してまた図9図12を参照して上述されたキャップに類似した外側形状及び構成のキャップの形態をとる。
【0175】
1つの例が、図25及び図26に示されている。この例では、CTP14は、歯ブラシのためのブラシヘッドの形態をしている。カバーユニット102が、毛の形態をした洗浄要素及びエミッタ構成部24(図25では見えない)を担持するCTP14の一部分42を取り囲むキャップの形態で提供される。図25は、CTP14の支持体42上に嵌合されるその展開位置におけるカバーユニット102を示す。キャップは、少なくとも上部表面、側部表面、及び後部表面においてエミッタ構成部及び支持体42を取り囲み得る。キャップは、生成された熱を閉じ込め、それにより蒸気のより効率的な発生を促すために、支持体42上のエミッタ構成部の周りに形成された衛生化領域を包囲するように配置される。
【0176】
図26に示されるように、カバーユニットは、シールリップ108によりCTP14の周りを密閉し、それによりカバー内に受容されるCTPの部分を密閉するように、配置される。シールリップ108は、蒸気が最も効率的に生成され得ることを確実にするために、衛生化領域を密閉する。したがって、キャップは、圧力除去開口部104以外は、衛生化領域を流体的に密閉する。これは、空間内に熱をより良く閉じ込め、且つ、蒸気の制御された放出を可能にする。
【0177】
場合により、カバーユニットは、電磁場又は放射線を衛生化領域34の方へ少なくとも部分的に反射するための1つ又は複数の電磁反射表面64又は電磁反射要素をさらに備える。
【0178】
発生器22は、選択的に蒸気モード(例えば、「フラッシュ蒸気」モード)において動作可能であってよく、これは、衛生化モードの特殊化した例と理解され得る。蒸気モードは、(特に、衛生化領域(例えば、洗浄及び余分な水の振払い後の湿ったブラシヘッド)内にごく少量の流体のみが存在する場合に)カバーユニット102とともに使用されるように設計され得る。蒸気モードでは、発生器は、例えば、通常の衛生化モード中よりも短い期間にわたってEM放射線を生成する。例えば、上述のように、発生器は、おおよそ4~10秒間にわたって少なくとも10Wの出力で放射線を生成する。発生器22は、いくつかの例では、選択的に蒸気モード又は通常の衛生化モードのどちらかで動作可能である。モード間の切り替えを容易にするために、制御装置が設けられ得る。
【0179】
1つ又は複数の実施形態によれば、システムは、エミッタ構成部の電気的特性の分析により衛生化領域内の水分及び/又は温度を検出するための手段を含む。
【0180】
例えば、図27に模式的に示されるように、発生器22及びエミッタ構成部24は、発生回路を形成するものと理解される。口腔ケアデバイス12は、発生回路の電気的特性を検知するように構成され且つ発生回路の電気的特性又はその変化に基づいて衛生化領域内に存在する水分を検出するように適合された検知モジュール114をさらに備える。発生器の動作は、場合により、検知モジュールの出力に応じて調整される。これは、例えば任意選択の制御装置26を使用して行われてよく、この制御装置26は、検知モジュール114からの出力を受信するように構成され、また、発生器22に動作可能に結合される。例えば、衛生化サイクル又はプロセスは、予め定められた閾値を下回る水分レベルの検知(乾燥度検出)及び/又は予め定められた閾値を上回る温度レベルの検知に応じて停止するように制御される。
【0181】
例えば、任意選択の蒸気モードに関連して使用される場合、蒸気モードサイクルは、(実質的に)全ての蒸気が蒸散したときに終了するべきである。これは、検知モジュールを使用して検出されてよく、また、蒸気衛生化モードは、蒸気の蒸散に関連付けられた閾値を水分レベルが下回ったときに終了する。
【0182】
空気と水との間の誘電率の差により、衛生化領域34の内側の大気の水分レベル(湿度)に応じて、電極52a、52bにわたって検出される電圧又は電流、或いは1つ又は複数のコイル92の回路内の検出される電圧又は電流は、変化する。例えば、電極52a、52b間の実効キャパシタンスは、大気水分レベルに応じて変化し、この変化は、検知モジュールにより発生器回路の電圧又は電流において検出可能である。図27の例では、検知モジュール114は電圧変化を検出しているが、検知モジュール114は、その代わりに、発生器回路に直列に接続されて電流を検出してもよい。ルックアップ表又は予め定められた機能若しくはアルゴリズムが、検知モジュール114又は制御装置26内に局所的に記憶されて、検知された電気的特性(又はその変化)が特定の水分レベル又は湿度レベル(或いはその変化)に関連付けられることを可能にしてもよい。
【0183】
このようにして、(実質的に)全ての蒸気が蒸散したときに、そのことが検出され得る。さらに、又はその代わりに、検知は、衛生化モードを実行するのに十分な水分が毛上に又は衛生化領域内に残っているかどうかを判定するために使用され得る。いくつかの事例では、これは、蒸気フラッシュモードを実行するのに十分な残留水分が存在するかどうかを判定するために、標準(非蒸気)衛生化モードを行った後で行われる。
【0184】
さらに、水の誘電率は、温度によって異なる。これは、例えば、論文:Andrei Andryieuskiら、Water:Promising Opportunities For Tunable All-dielectric Electromagnetic Metamaterials.2015年8月、Scientific Reports 5:13535の図1に示されている。
【0185】
これらの知られた関係性は、発生回路の電流又は電圧の変動が検知されたことを表す検知モジュール114からの出力に基づいて衛生化領域132内の水の温度又は少なくともその変化を判定するために使用され得る。これは、例えば、過熱を防ぐために、又は、例えば(上述の)衛生化サイクルのうちの加熱パートの終了を検出して温度維持パートを開始するために特定の閾値温度に達したときにそのことを検出するために、発生器22の出力又は動作持続時間を制御するために使用され得る。
【0186】
水分レベル及び温度は衛生化サイクル(時間)中に変化するので、温度及び水分レベルの様々な組み合わせを発生回路の1つ又は複数の測定された電気的特性の予め定められた様々なセットと関連付ける基準ルックアップ表又は機能が使用され得る。これは、いくつかの例では実験的に判定され、そこから工場較正マスター曲線及びルックアップ表が決定される。
【0187】
1つ又は複数の実施形態によれば、検知モジュール114が、発生回路の電気的特性を検知するように構成されて設けられ、検知モジュールの出力は、電気的特性に基づいて衛生化領域34に対する展開構成における(上述の)EMシールドユニット62の配置を検出するように適合される。したがって、エミッタ構成部は、衛生化領域34(例えば、CTP14の一部分)上でのシールドユニットの正しい配置を検知するために使用される。好ましい例では、シールドユニットは、上述の様々な例におけるように、EM反射表面部分又は要素を備える。
【0188】
キャップが正しく配置されると、EM場又は放射線の遮断又は反射作用により、衛生化領域の内側のEM場特性は、キャップが正しく配置されていない場合と比べて変化する。これは、検知モジュール114により、発生回路内の電圧又は電流の変化において検出可能である。したがって、キャップの配置が検出され得る。
【0189】
実施形態を実施するための例示的な回路装置が、図28に示されている。
【0190】
配置検知は、ユーザ制御要素からの制御命令、例えばユーザによる衛生化ボタン122の押込みに応答して、トリガされ得る。図28に示されるように、検知モジュール114は、発生回路の検知された信号特性(図28では電圧であるが、代替的な構成では電流が検知される場合もある)を示す検知信号130を出力する。この検知信号130は、シールドユニットの存在(又は、不在)を示す基準信号REFと比較される。その結果に応じて、(例えば、制御装置26によって実装されるような)制御電子装置は、衛生化モード126を有効にする(「Y])か、又は、システム128をリセットして(「N])、休眠モードに入る。場合により、タイムアウト機構が実装され、それにより、検知モジュール114からの検知信号が予め定められた時間窓内で受信されなかった場合、制御装置は、衛生化モードを自動的にオフに切り替える。
【0191】
上記の検知選択肢のそれぞれによれば、検知機能は、エミッタ構成部24(例えば、第1の電極52a及び第2の電極52b、又は少なくとも1つのループコイル19)を含む電気回路の電気的特性を監視することに基づいて実行される。例えば、信号発生器22は、第1の電極52a及び第2の電極52bに電気的に接続され、電極にわたって交番駆動信号を印加するように構成される。発生器22並びに第1及び第2の電極を含む回路は、RF発生回路を形成する。検知は、複素インピーダンス又はインダクタンスなどの発生回路の電気的特性を監視することに基づく。キャパシタンスの変化は、例えば第1の電極及び第2の電極で形成された電極対にわたる電圧変化を検知することに基づいて測定され得る。電流変化もまた、検出され且つ使用され得る。電流及び/又は電圧は、検知電気的特性として直接使用されてもよい。
【0192】
図27及び図28の例では検知モジュールは別個の物理的ユニットとして示されているが、モジュールは単に機能モジュールであってよいことが、留意される。モジュールの機能は、別のユニット、例えば制御装置26によって備えられた回路又は処理構成要素によって行われてよい。
【0193】
1つ又は複数の実施形態によれば、口腔ケアデバイスは、デバイスの外部表面において目に見える1つ又は複数のライト、又は聴覚若しくは触覚のフィードバック要素などの知覚出力要素を備える。場合により、衛生化モードの完了に続いて、制御装置は、出力要素を使用して、例えば警告音、振動、又は1つ若しくは複数のライトの照明をトリガして、ユーザに知覚フィードバックを提供する。
【0194】
本発明のさらなる態様による例が、口腔ケアデバイス12の少なくとも洗浄又はトリートメント部分14を衛生化するための方法を提供し、ここで、洗浄又はトリートメント部分は、洗浄又はトリートメント機能を実行するためにユーザの口腔内に受容されるためのものである。
【0195】
方法は、信号発生器22を使用して1つ又は複数の導電性要素を備える接続されたエミッタ構成部24にエミッタ構成部の周りの衛生化領域34内で無線周波数及び/又はマイクロ波周波数の電磁場又は放射線を生成させるための信号を生成するステップを有し、EM場又は放射線は、衛生化領域内に配置された洗浄又はトリートメント部分の任意の露出した表面上に存在する水又は水含有流体の加熱を引き起こすのに適している。
【0196】
1つ又は複数の有利な実施形態によれば、制御装置26が、以下の順序付けられたステップのうちの2つ以上を有する洗浄プロトコルを実施するように構成される。
【0197】
ステップ1:デバイスによって備えられた且つ機械的動作を口腔洗浄又はトリートメント部分(CTP)に結合するように構成された機械的アクチュエータの作動に基づいて口腔ケアデバイスの洗浄又はトリートメント部分14の機械的洗浄を実施するステップ。例えば、これは、電動歯ブラシの又は洗浄マウスピースユニットの振動機構又は駆動列機構を作動させることを含み得る。これは、洗浄又はトリートメント部分を活性成分が追加されている又は追加されていない水に沈めた状態で行われ得る。この機械的洗浄ステップは、練り歯磨き又は食べ物のかすなどの、汚れ又は異物の大きな粒子を除去し得る。
【0198】
ステップ2:CTP上又はCTPの周りの水を少なくとも70℃まで加熱し、前述の温度を少なくとも10秒間にわたって維持するために、EM放射線が生成される、標準的な衛生化モードを有効にするステップ。これは、上述の例のうちのいずれかによるシールドユニットを伴って又は伴わずに行われ得る。
【0199】
ステップ3:CTP14上又はCTP14の周りの水を加熱してその水を蒸気に変えるために電磁放射線を生成することを含む、消毒/殺菌タイプの衛生化モードを実施するステップ。これは、衛生化領域内に熱を少なくとも部分的に保持するために衛生化領域上に(例えば、歯ブラシのブラシヘッドの毛領域上に)カバーユニットが展開された状態で行われてよく、カバーユニットは、蒸気圧力除去穴を有する。
【0200】
最適な有効性のために、これらの3つの異なるステップ(「洗浄-衛生化-殺菌」)は、定められた洗浄制御プログラム又はプロトコルの一環として順々に実施され得る。ステップ2及び/又はステップ3の実行は、衛生化領域内の検知された大気状況次第で、例えば上述のように温度及び/又は水分レベルを検知することに基づいて、なされ得る。
【0201】
場合により、ステップ1及びステップ2は、同時に行われる。例えば、CTPは、水に沈められ、機械的アクチュエータは、機械的洗浄を誘発するようにトリガされる。それと同時に、発生器22は、衛生化を行うための電磁場又は放射線を生成するように制御され得る。CTPは水と接触しているので、この水は、衛生化を行うために加熱され得る。
【0202】
洗浄プロトコルのための例示的な制御ワークフローが、図29で概説されている。ステップのそれぞれは、上記で個々に詳細に説明されており、したがって、ここでは詳細は繰り返されない。方法は、電動歯ブラシに関連して説明されるが、任意の例示的な洗浄又はトリートメント部分14を含む任意の例示的な口腔ケアデバイス12に同様に適用され得る。
【0203】
プロトコルは、口腔ケアデバイス上の衛生化ボタンをユーザが押すこと302から始まる。場合により、制御装置は、発生器回路の電気的特性を監視する検知モジュールに基づいてシールドユニット62が正しく配置されたかどうかを検出304する。シールドが正しく配置されていなかった場合、衛生化ボタンはリセット306される。シールドが正しく配置されていると検出された場合、衛生化モードが開始308される。
【0204】
制御装置が、発生器回路の電気的特性を監視することに基づく水分レベルを検知することに基づいて、ブラシのヘッドが水に沈められているかどうかを検出310する。沈水が検出された場合、上述の洗浄プロトコルのステップ1及びステップ2が行われる。これは、口腔ケアデバイスの作動機構をトリガすることを介して機械的洗浄314を行うこと、及び、水を衛生化レベルまで加熱するためにマイクロ波又は無線周波数の電磁放射線が生成される衛生化モード316を同時に又は続いて行うことを伴う。次いで、制御装置が、蒸気モードが有効にされることに対して衛生化空間内の水分レベルが十分に低い(例えば、毛領域表面が十分に乾燥している)かどうかを検出する。そうでなかった場合、衛生化モード316は、乾燥レベルが達せられるまで継続される。乾燥レベルが達せられると、消毒のための蒸気フラッシュモード322が有効にされる。制御装置が、発生器回路の電気的特性を監視することに基づく衛生化空間内の水分レベルの検知に基づいて、水の実質的に全てが蒸散したかどうかをさらに検知324する。必要とされる乾燥レベルに達していなかった場合、蒸気フラッシュモードは継続322される。そうでない場合、衛生化プロトコルは終了326され、好ましくは、そのことをユーザに伝えるために、知覚フィードバックが生成される。
【0205】
本発明による実施形態は、口腔ケアデバイスのための知られた衛生化手法に優る利点を提供する。
【0206】
1つの利点は、口腔洗浄デバイスの洗浄又はトリートメント部分の全ての表面に貫入することができないUV衛生化と比較して、向上された衛生化の有効性にある。
【0207】
さらなる利点は、例えば典型的には30秒未満の、より短い衛生化時間にある。
【0208】
さらなる利点は、低い出力/エネルギー要求(例えば、1洗浄サイクルに対して、10~20W、及び100~200J未満)にある。
【0209】
上述のように、実施形態は、制御装置を利用する。制御装置は、必要とされる様々な機能を行うために、ソフトウェア及び/又はハードウェアを含めて多数のやり方で実現され得る。プロセッサは、必要とされる機能を実行するためにソフトウェア(例えば、マイクロコード)を使用してプログラムされ得る1つ又は複数のマイクロプロセッサを用いる制御装置の1つの例である。しかし、制御装置は、プロセッサを用いて又は用いることなしに実現されてよく、また、いくつかの機能を行うための専用ハードウェアと他の機能を行うためのプロセッサ(例えば、1つ又は複数のプログラムドマイクロプロセッサ及び関連する回路)との組み合わせとして実現されてもよい。
【0210】
本開示の様々な実施形態において用いられ得る制御装置構成要素の例は、従来のマイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を含むが、これらに限定されない。
【0211】
様々な実施態様において、プロセッサ又は制御装置が、RAM、PROM、EPROM、及びEEPROMのような揮発性及び非揮発性のコンピュータメモリなどの1つ又は複数の記憶メディアに関連付けられ得る。記憶メディアは、1つ又は複数のプロセッサ及び/又は制御装置上で実行されたときに必要とされる機能を行う1つ又は複数のプログラムで符号化され得る。様々な記憶メディアは、それに記憶された1つ又は複数のプログラムがプロセッサ又は制御装置にロードされ得るように、プロセッサ又は制御装置内に固定されるか、又は、可搬型とされ得る。
【0212】
開示された実施形態に対する変形は、図面、本開示、及び添付の特許請求の範囲を検討することにより、特許請求される発明を実践する当業者によって理解され且つ実現され得る。特許請求の範囲において、「備えている、有している(comprising)」という用語は、他の要素又はステップを除外するものではなく、また、不定冠詞「a」又は「an」は、複数性を除外するものではない。
【0213】
単一のプロセッサ又は他のユニットが、特許請求の範囲に記載されたいくつかの物品の機能を果たしてもよい。
【0214】
相互に異なる従属請求項に記載された方策は、有利に組み合わせられ得る。
【0215】
特許請求の範囲又は明細書において「~するように適合された」という用語が使用された場合、「~するように適合された」という用語は「~するように構成された」という用語と同等であるように意図されていることが、留意される。
【0216】
特許請求の範囲におけるいかなる参照符号も、範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
図1
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