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特許7607773解析システム、解析方法および解析プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】解析システム、解析方法および解析プログラム
(51)【国際特許分類】
   C25B 15/029 20210101AFI20241220BHJP
   C25B 1/02 20060101ALI20241220BHJP
   C25B 1/16 20060101ALI20241220BHJP
   C25B 1/26 20060101ALI20241220BHJP
   C25B 1/46 20060101ALI20241220BHJP
   C25B 9/00 20210101ALI20241220BHJP
   C25B 9/19 20210101ALI20241220BHJP
   C25B 15/023 20210101ALI20241220BHJP
【FI】
C25B15/029
C25B1/02
C25B1/16
C25B1/26 A
C25B1/46
C25B9/00 E
C25B9/19
C25B15/023
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2023534868
(86)(22)【出願日】2022-07-14
(86)【国際出願番号】 JP2022027779
(87)【国際公開番号】W WO2023286851
(87)【国際公開日】2023-01-19
【審査請求日】2023-12-15
(31)【優先権主張番号】P 2021117766
(32)【優先日】2021-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉本 学
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 岳昭
(72)【発明者】
【氏名】蜂谷 敏徳
【審査官】隅川 佳星
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-021187(JP,A)
【文献】特表2019-529708(JP,A)
【文献】国際公開第2017/141135(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/075767(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/262475(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0289312(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0245226(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第107400897(CN,A)
【文献】JALALI, A. A., MOHAMMADI, F., ASHRAFIZADEH, S. N.,Effects of process conditions on cell voltage, current efficiency and voltage balance of a chlor-alk,Desalination,2009年,Vol.237,p.126-139,doi: 10.1016/j.desal.2007.11.056
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25B 1/00 - 15/08
C25C 1/00 - 7/08
C25D 1/00 - 21/22
C25F 1/00 - 7/02
G01N 23/00 - 23/2276
27/00 - 27/403
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解槽における対象物に含まれる元素の量を取得する元素取得部を有する端末と、
前記元素取得部により取得された前記元素の量を受信する受信部と、前記受信部により受信された前記元素の量に基づいて前記対象物の状態を解析する状態解析部と、を有するサーバと、
を備え、
前記電解槽は、イオン交換膜と、前記イオン交換膜により仕切られた陽極室および陰極室とを有し、
前記陽極室にはアルカリ金属の塩化物の水溶液またはアルカリ金属の水酸化物の水溶液が導入され、前記陰極室からはアルカリ金属の水酸化物の水溶液が導出され、
前記状態解析部は、電解槽の電流効率と前記元素の量との予め定められた第1関係に基づいて前記対象物の状態を解析するか、電解槽の電圧と前記元素の量との予め定められた第2関係に基づいて前記対象物の状態を解析するか、または、前記アルカリ金属の水酸化物の水溶液における塩化物イオン濃度と、前記元素の量との予め定められた第3関係に基づいて前記対象物の状態を解析する、解析システム。
【請求項2】
複数の前記電解槽が、それぞれ異なる位置に配置され、
複数の前記端末におけるそれぞれの前記元素取得部は、複数の前記対象物のそれぞれに含まれる前記元素の量をそれぞれ取得し、
前記受信部は、複数の前記端末におけるそれぞれの前記元素取得部により取得された前記元素の量を受信し、
前記状態解析部は、複数の前記端末におけるそれぞれの前記元素取得部により取得され前記受信部により受信された前記元素の量に基づいて、一の前記対象物の状態を解析する、
請求項に記載の解析システム。
【請求項3】
前記サーバは、前記元素の量の経時変化と前記第1関係とに基づいて前記対象物が予め定められた第1状態となる時期を予測するか、前記元素の量の経時変化と前記第2関係とに基づいて前記対象物が予め定められた第2状態となる時期を予測するか、または、前記元素の量と前記第3関係とに基づいて前記対象物が予め定められた第3状態となる時期を予測する状態予測部をさらに有する、請求項に記載の解析システム。
【請求項4】
前記状態予測部は、一の前記電解槽における前記元素の量の経時変化と前記第1関係とに基づいて、一の前記電解槽または他の前記電解槽における前記対象物が前記第1状態となる時期を予測するか、一の前記電解槽における前記元素の量の経時変化と前記第2関係とに基づいて、一の前記電解槽または他の前記電解槽における前記対象物が前記第2状態となる時期を予測するか、または、一の前記電解槽における前記元素の量の経時変化と前記第3関係とに基づいて、一の前記電解槽または他の前記電解槽における前記対象物が前記第3状態となる時期を予測する、請求項に記載の解析システム。
【請求項5】
前記元素取得部は、前記元素の種類をさらに取得し、
前記受信部は、前記元素の種類をさらに受信し、
前記状態予測部は、前記対象物が前記第1状態となる時期を前記元素の種類ごとに予測するか、前記対象物が前記第2状態となる時期を前記元素の種類ごとに予測するか、または、前記対象物が前記第3状態となる時期を前記元素の種類ごとに予測する、請求項3または4に記載の解析システム。
【請求項6】
前記サーバは、複数の前記電解槽におけるそれぞれの運転条件を取得する運転条件取得部をさらに有し、
前記状態予測部は、前記対象物が前記第1状態となる時期を前記運転条件ごとに予測するか、前記対象物が前記第2状態となる時期を前記運転条件ごとに予測するか、または、前記対象物が前記第3状態となる時期を前記運転条件ごとに予測する、請求項3または4に記載の解析システム。
【請求項7】
前記状態予測部は、前記対象物の状態に応じた第1対策であって前記電解槽の電流効率を回復させる第1対策が実施された場合における前記対象物の状態を予測するか、前記対象物の状態に応じた第2対策であって前記電解槽の電圧を回復させる第2対策が実施された場合における前記対象物の状態を予測するか、または、前記対象物の状態に応じた第3対策であって前記アルカリ金属の水酸化物の水溶液における塩化物イオン濃度を回復させる第3対策が実施された場合における前記対象物の状態を予測する、
請求項3または4に記載の解析システム。
【請求項8】
前記状態解析部により、一の前記電解槽における一の前記対象物の状態が前記第1状態および前記第2状態の少なくとも一方であると解析された場合、前記元素取得部は、一の前記電解槽における他の前記対象物に含まれる前記元素の量を取得する、請求項3または4に記載の解析システム。
【請求項9】
前記位置に配置され、前記元素取得部により取得された前記元素の量を送信する第1送信部を有する情報端末をさらに備える、請求項2から4のいずれか一項に記載の解析システム。
【請求項10】
前記サーバは、前記状態解析部により解析された解析結果を前記情報端末に送信する第2送信部をさらに有し、
前記元素取得部は、前記第2送信部により送信された前記解析結果に基づいて、前記元素の量を取得する、
請求項に記載の解析システム。
【請求項11】
前記電解槽には、前記電解槽に導入される液体が通過する導入管が接続され、
前記状態解析部により、前記対象物が、前記導入管に含まれる元素を予め定められた量以上含む第4状態であると解析された場合、前記第2送信部は前記元素取得部に、前記導入管に含まれる前記元素を取得する旨の指示を送信する、
請求項10に記載の解析システム。
【請求項12】
前記サーバは、前記電流効率と、前記元素の量との関係を機械学習することにより、前記電流効率および前記元素の量に基づく前記対象物の第1推論状態を出力する第1状態推論モデルを生成する第1状態学習部、および、前記電圧と、前記元素の量との関係を機械学習することにより、前記電圧および前記元素の量に基づく前記対象物の第2推論状態を出力する第2状態推論モデルを生成する第2状態学習部の少なくとも一方をさらに有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の解析システム。
【請求項13】
前記元素取得部は、前記元素の量を、前記対象物における前記元素の位置ごとに取得し、
前記受信部は、前記元素の位置ごとの前記元素の量を受信し、
前記状態解析部は、前記元素の位置ごとの前記元素の量に基づいて、前記対象物の状態を解析する、
請求項1からのいずれか一項に記載の解析システム。
【請求項14】
電解槽における対象物に含まれる元素の量を取得する元素取得部を有する端末と、
前記元素取得部により取得された前記元素の量を受信する受信部と、前記受信部により受信された前記元素の量に基づいて前記対象物の状態を解析する状態解析部と、を有するサーバと、
を備え、
前記元素取得部は、前記元素の量を、前記対象物における前記元素の位置ごとに取得し、
前記受信部は、前記元素の位置ごとの前記元素の量を受信し、
前記状態解析部は、前記元素の位置ごとの前記元素の量に基づいて、前記対象物の状態を解析し、
前記電解槽には、前記電解槽に導入される液体が通過する開口が設けられ、
前記状態解析部は、前記開口の位置と、前記対象物における前記元素の位置とに基づいて、前記対象物の状態を解析する
析システム。
【請求項15】
元素取得部が、電解槽における対象物に含まれる元素の量を取得する元素取得ステップと、
受信部が、前記元素取得ステップにおいて取得された前記元素の量を受信する受信ステップと、
状態解析部が、前記受信ステップにおいて受信された前記元素の量に基づいて、前記対象物の状態を解析する状態解析ステップと、
を備え
前記電解槽は、イオン交換膜と、前記イオン交換膜により仕切られた陽極室および陰極室とを有し、
前記陽極室にはアルカリ金属の塩化物の水溶液またはアルカリ金属の水酸化物の水溶液が導入され、前記陰極室からはアルカリ金属の水酸化物の水溶液が導出され、
前記状態解析ステップは、前記状態解析部が、電解槽の電流効率と前記元素の量との予め定められた第1関係に基づいて前記対象物の状態を解析するか、電解槽の電圧と前記元素の量との予め定められた第2関係に基づいて前記対象物の状態を解析するか、または、前記アルカリ金属の水酸化物の水溶液における塩化物イオン濃度と、前記元素の量との予め定められた第3関係に基づいて前記対象物の状態を解析するステップである、
解析方法。
【請求項16】
状態予測部が、前記元素の量の経時変化と前記第1関係とに基づいて、前記対象物が予め定められた第1状態となる時期を予測するか、前記元素の量の経時変化と前記第2関係とに基づいて、前記対象物が予め定められた第2状態となる時期を予測するか、または、前記元素の量の経時変化と前記第3関係とに基づいて、前記対象物が予め定められた第3状態となる時期を予測する状態予測ステップをさらに備える、請求項15に記載の解析方法。
【請求項17】
コンピュータを、請求項1からのいずれか一項に記載の解析システムとして機能させるための解析プログラム。
【請求項18】
電解槽における対象物に含まれる元素の量を受信する受信部と、
前記受信部により受信された前記元素の量に基づいて前記対象物の状態を解析する状態解析部と、
を備え、
前記電解槽は、イオン交換膜と、前記イオン交換膜により仕切られた陽極室および陰極室とを有し、
前記陽極室にはアルカリ金属の塩化物の水溶液またはアルカリ金属の水酸化物の水溶液が導入され、前記陰極室からはアルカリ金属の水酸化物の水溶液が導出され、
前記状態解析部は、電解槽の電流効率と前記元素の量との予め定められた第1関係に基づいて前記対象物の状態を解析するか、電解槽の電圧と前記元素の量との予め定められた第2関係に基づいて前記対象物の状態を解析するか、または、前記アルカリ金属の水酸化物の水溶液における塩化物イオン濃度と、前記元素の量との予め定められた第3関係に基づいて前記対象物の状態を解析する、サーバ
【請求項19】
電解槽における対象物に含まれる元素の量であって、前記対象物における前記元素の位置ごとの前記元素の量を受信する受信部と、
前記受信部により受信された前記元素の量に基づいて前記対象物の状態を解析する状態解析部と、
を備え、
前記状態解析部は、前記元素の位置ごとの前記元素の量に基づいて、前記対象物の状態を解析し、
前記電解槽には、前記電解槽に導入される液体が通過する開口が設けられ、
前記状態解析部は、前記開口の位置と、前記対象物における前記元素の位置とに基づいて、前記対象物の状態を解析する、
サーバ。
【請求項20】
コンピュータを、請求項18または19に記載のサーバとして機能させるための解析プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、解析システム、解析方法および解析プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1および2には、「X線分析データと、前記累積疲労度との関係を表わす対応テーブルを作成するステップ」が記載されている(請求項1)。
特許文献3には、「診断対象被膜が形成された試験体を所定条件で劣化促進試験をなす手順」が記載されている(請求項1)。
特許文献4には、「劣化・寿命診断曲線と照合し計算することにより、前記電子装置の劣化度および余寿命を推定する」と記載されている(請求項1)。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特許第6762818号
[特許文献2] 特許第6762817号
[特許文献3] 特開2005-009906号公報
[特許文献4] 特開平10-313034号公報
【解決しようとする課題】
【0003】
イオン交換膜等を備えた電解装置の場合、イオン交換膜等の性能が劣化すると電解装置により生産される生産物の生産効率が低下しやすい。このため、イオン交換膜等の性能を早期に回復させることが好ましい。イオン交換膜等の性能を早期に回復させるためには、イオン交換膜等の性能劣化の原因を早期に特定するとともに、性能回復のための対策を早期に取ることが好ましい。
【0004】
イオン交換膜等の性能劣化への対策を取るためには、過去の性能劣化とのベンチマークをすることにより、過去の性能劣化と比較した、ベンチマーク対象の性能劣化の位置付けを認識できることが好ましい。これにより、イオン交換膜等の性能回復策の内容、回復策を実施する時期を決定しやすくなる。また、このベンチマークのためには、過去の性能劣化のデータは、なるべく多いことが好ましい。
【0005】
イオン交換膜等に性能劣化が生じている場合、性能劣化を認識したタイミングから、イオン交換膜等の寿命までの時間を認識できることが好ましい。これにより、イオン交換膜等を更生させるタイミングを決定しやすくなる。また、イオン交換膜等を交換する場合は、イオン交換膜等を用意する時期を決定しやすくなる。
【一般的開示】
【0006】
本発明の第1の態様においては、解析システムを提供する。解析システムは、電解槽における対象物に含まれる元素の量を取得する元素取得部を有する端末と、元素取得部により取得された元素の量を受信する受信部と、受信部により受信された元素の量に基づいて対象物の状態を解析する状態解析部と、を有するサーバと、を備える。
【0007】
電解槽は、イオン交換膜と、イオン交換膜により仕切られた陽極室および陰極室とを有してよい。陽極室にはアルカリ金属の塩化物の水溶液またはアルカリ金属の水酸化物の水溶液が導入され、陰極室からはアルカリ金属の水酸化物の水溶液が導出されてよい。状態解析部は、電解槽の電流効率と元素の量との予め定められた第1関係に基づいて対象物の状態を解析するか、電解槽の電圧と元素の量との予め定められた第2関係に基づいて対象物の状態を解析するか、または、アルカリ金属の水酸化物の水溶液における塩化物イオン濃度と、元素の量との予め定められた第3関係に基づいて対象物の状態を解析してよい。
【0008】
複数の電解槽は、それぞれ異なる位置に配置されてよい。複数の端末におけるそれぞれの元素取得部は、複数の対象物のそれぞれに含まれる元素の量をそれぞれ取得してよい。受信部は、複数の端末におけるそれぞれの元素取得部により取得された元素の量を受信してよい。状態解析部は、複数の端末におけるそれぞれの元素取得部により取得され受信部により受信された元素の量に基づいて、一の対象物の状態を解析してよい。
【0009】
サーバは、元素の量の経時変化と第1関係とに基づいて、対象物が予め定められた第1状態となる時期を予測するか、元素の量の経時変化と第2関係とに基づいて、対象物が予め定められた第2状態となる時期を予測するか、または、元素の量と第3関係とに基づいて対象物が予め定められた第3状態となる時期を予測する状態予測部をさらに有してよい。
【0010】
状態予測部は、一の電解槽における元素の量の経時変化と第1関係とに基づいて、一の電解槽または他の電解槽における対象物が第1状態となる時期を予測するか、一の電解槽における元素の量の経時変化と第2関係とに基づいて、一の電解槽または他の電解槽における対象物が第2状態となる時期を予測するか、または、一の電解槽における元素の量の経時変化と第3関係とに基づいて、一の電解槽または他の電解槽における対象物が第3状態となる時期を予測してよい。
【0011】
元素取得部は、元素の種類をさらに取得してよい。受信部は、元素の種類をさらに受信してよい。状態予測部は、対象物が第1状態となる時期を元素の種類ごとに予測するか、対象物が第2状態となる時期を元素の種類ごとに予測するか、または、対象物が第3状態となる時期を元素の種類ごとに予測してよい。
【0012】
サーバは、複数の電解槽におけるそれぞれの運転条件を取得する運転条件取得部をさらに有してよい。状態予測部は、対象物が第1状態となる時期を運転条件ごとに予測するか、対象物が第2状態となる時期を運転条件ごとに予測するか、または、対象物が第3状態となる時期を運転条件ごとに予測してよい。
【0013】
上記第1状態は、元素の量の経時変化と第1関係とに基づいて予測された第1状態であってよい。状態予測部は、対象物が第1状態となる時期を運転条件ごと、且つ、元素の種類ごとに予測するか、対象物が第2状態となる時期を運転条件ごと、且つ、元素の種類ごとに予測するか、または、対象物が第3状態となる時期を運転条件ごと、且つ、元素の種類ごとに予測してよい。
【0014】
状態予測部は、対象物の状態に応じた第1対策であって電解槽の電流効率を回復させる第1対策が実施された場合における対象物の状態を予測するか、対象物の状態に応じた第2対策であって電解槽の電圧を回復させる第2対策が実施された場合における対象物の状態を予測するか、または、対象物の状態に応じた第3対策であってアルカリ金属の水酸化物の水溶液における塩化物イオン濃度を回復させる第3対策が実施された場合における対象物の状態を予測してよい。
【0015】
状態解析部により、一の電解槽における一の対象物の状態が第1状態および第2状態の少なくとも一方であると解析された場合、元素取得部は、一の電解槽における他の対象物に含まれる元素の量を取得してよい。
【0016】
解析システムは、電解槽が配置された位置に配置され、元素取得部により取得された元素の量を送信する第1送信部を有する情報端末をさらに備えてよい。
【0017】
サーバは、状態解析部により解析された解析結果を情報端末に送信する第2送信部をさらに有してよい。元素取得部は、第2送信部により送信された解析結果に基づいて、元素の量を取得してよい。
【0018】
電解槽には、電解槽に導入される液体が通過する導入管が接続されてよい。状態解析部により、対象物が、導入管に含まれる元素を予め定められた量以上含む第4状態であると解析された場合、第2送信部は元素取得部に、導入管に含まれる元素を取得する旨の指示を送信してよい。
【0019】
サーバは、電流効率と、元素の量との関係を機械学習することにより、電流効率および元素の量に基づく対象物の第1推論状態を出力する第1状態推論モデルを生成する第1状態学習部、および、電圧と、元素の量との関係を機械学習することにより、電圧および元素の量に基づく対象物の第2推論状態を出力する第2状態推論モデルを生成する第2状態学習部の少なくとも一方をさらに有してよい。
【0020】
元素取得部は、元素の量を、対象物における元素の位置ごとに取得してよい。受信部は、元素の位置ごとの元素の量を受信してよい。状態解析部は、元素の位置ごとの元素の量に基づいて、対象物の状態を解析してよい。
【0021】
元素取得部は、元素の量を、対象物における元素の位置ごとおよび元素の種類ごとに取得してよい。受信部は、元素の位置ごとおよび元素の種類ごとの元素の量を受信してよい。状態解析部は、元素の位置ごとおよび元素の種類ごとの元素の量に基づいて、対象物の状態を解析してよい。
【0022】
電解槽には、電解槽に導入される液体が通過する開口が設けられてよい。状態解析部は、開口の位置と、対象物における元素の位置とに基づいて、対象物の状態を解析してよい。
【0023】
本発明の第2の態様においては、解析方法を提供する。解析方法は、元素取得部が、電解槽における対象物に含まれる元素の量を取得する元素取得ステップと、受信部が、元素取得ステップにおいて取得された元素の量を受信する受信ステップと、状態解析部が、受信ステップにおいて受信された元素の量に基づいて、対象物の状態を解析する状態解析ステップと、を備える。
【0024】
電解槽は、イオン交換膜と、イオン交換膜により仕切られた陽極室および陰極室とを有してよい。陽極室にはアルカリ金属の塩化物の水溶液またはアルカリ金属の水酸化物の水溶液が導入され、陰極室からはアルカリ金属の水酸化物の水溶液が導出されてよい。状態解析ステップは、状態解析部が、電解槽の電流効率と元素の量との予め定められた第1関係に基づいて対象物の状態を解析するか、電解槽の電圧と元素の量との予め定められた第2関係に基づいて対象物の状態を解析するか、または、アルカリ金属の水酸化物の水溶液における塩化物イオン濃度と、元素の量との予め定められた第3関係に基づいて対象物の状態を解析するステップであってよい。
【0025】
解析方法は、状態予測部が、元素の量の経時変化と第1関係とに基づいて、対象物が予め定められた第1状態となる時期を予測するか、元素の量の経時変化と第2関係とに基づいて、対象物が予め定められた第2状態となる時期を予測するか、または、元素の量の経時変化と第3関係とに基づいて、対象物が予め定められた第3状態となる時期を予測する状態予測ステップをさらに備えてよい。
【0026】
本発明の第3の態様においては、解析プログラムを提供する。解析プログラムは、コンピュータを解析システムとして機能させる。
【0027】
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の一つの実施形態に係る電解装置200の一例を示す図である。
図2図1における1つの電解セル91の詳細の一例を示す図である。
図3図2に示される電解セル91におけるイオン交換膜84の近傍を拡大した図である。
図4】本発明の一つの実施形態に係る解析システム100のブロック図の一例を示す図である。
図5】元素取得部12により取得された元素の量および種類の取得結果の一例を示す図である。
図6】端末10が携帯型蛍光X線分析端末であり、対象物110がイオン交換膜84である場合における、X線114の強度と電流効率CEとの関係の一例を示す図である。
図7】端末10が携帯型蛍光X線分析端末であり、対象物110がイオン交換膜84である場合における、X線114の強度と電圧CVとの関係の一例を示す図である。
図8】端末10が携帯型蛍光X線分析端末であり、対象物110がイオン交換膜84である場合における、X線114の強度と液体75のCl(塩化物イオン)濃度との関係の一例を示す図である。
図9】端末10が携帯型蛍光X線分析端末であり、対象物110が陽極80および陰極82の少なくとも一方である場合における、X線114の強度と電圧CVとの関係の一例を示す図である。
図10】本発明の一つの実施形態に係る解析システム100のブロック図の他の一例を示す図である。
図11】、本発明の一つの実施形態に係る解析システム100のブロック図の他の一例を示す図である。
図12】解析結果Raの一例を示す図である。
図13】本発明の一つの実施形態に係る解析システム100のブロック図の他の一例を示す図である。
図14図2におけるイオン交換膜84および導入管92を、陽極80から陰極82への方向に見た図である。
図15】本発明の一つの実施形態に係る解析システム100におけるサーバ20のブロック図の他の一例を示す図である。
図16】第1状態推論モデル122の一例を示す図である。
図17】第2状態推論モデル132の一例を示す図である。
図18】本発明の一つの実施形態に係る解析方法の一例を含むフローチャートである。
図19】本発明の一つの実施形態に係る解析システム100が全体的または部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0030】
図1は、本発明の一つの実施形態に係る電解装置200の一例を示す図である。本例の電解装置200は、電解槽90、導入管92、導入管93、導出管94および導出管95を備える。
【0031】
電解装置200は、電解液を電気分解する装置である。電解槽90は、電解液を電気分解する槽である。当該電解液は、例えばNaCl(塩化ナトリウム)水溶液である。電解槽90は、例えば、NaCl(塩化ナトリウム)水溶液を電気分解することにより、Cl(塩素)とNaOH(水酸化ナトリウム)とH(水素)とを生成する。電解槽90は、複数の電解セル91(電解セル91-1~電解セル91-N。Nは2以上の整数)を備えてよい。Nは、例えば50である。
【0032】
本例において、導入管92および導入管93は、電解セル91-1~電解セル91-Nのそれぞれに接続されている。電解セル91-1~電解セル91-Nのそれぞれには、液体70が導入される。液体70は、導入管92を通過した後、電解セル91-1~電解セル91-Nのそれぞれに導入されてよい。液体70は、アルカリ金属の塩化物の水溶液またはアルカリ金属の水酸化物の水溶液である。アルカリ金属は、元素周期表第1族に属する元素である。液体70がアルカリ金属の塩化物の水溶液である場合、液体70は、例えばNaCl(塩化ナトリウム)水溶液である。液体70がアルカリ金属の水酸化物の水溶液である場合、液体70は、例えばKOH(水酸化カリウム)水溶液またはNaOH(水酸化ナトリウム)水溶液である。
【0033】
電解セル91-1~電解セル91-Nのそれぞれには、液体72が導入される。液体72は、導入管93を通過した後、電解セル91-1~電解セル91-Nのそれぞれに導入されてよい。液体72は、アルカリ金属の水酸化物の水溶液である。液体72は、例えばNaOH(水酸化ナトリウム)水溶液である。液体70がアルカリ金属の水酸化物の水溶液である場合、液体72は同じアルカリ金属の水酸化物(例えばKOH)の水溶液である。
【0034】
本例において、導出管94および導出管95は、電解セル91-1~電解セル91-Nのそれぞれに接続されている。電解セル91-1~電解セル91-Nのそれぞれからは、液体76および気体78(後述)が導出される。液体76および気体78(後述)は、導出管95を通過した後、電解装置200の外部に導出されてよい。液体76は、アルカリ金属の水酸化物の水溶液である。液体72がNaOH(水酸化ナトリウム)水溶液である場合、液体76はNaOH(水酸化ナトリウム)水溶液である。気体78(後述)は、H(水素)であってよい。
【0035】
電解セル91-1~電解セル91-Nのそれぞれからは、液体74および気体77(後述)が導出される。液体74および気体77(後述)は、導出管94を通過した後、電解装置200の外部に導出されてよい。液体74は、アルカリ金属の塩化物の水溶液またはアルカリ金属の水酸化物の水溶液である。液体70がNaCl(塩化ナトリウム)水溶液である場合、液体74はNaCl(塩化ナトリウム)水溶液である。液体70がKOH(水酸化カリウム)水溶液である場合、液体74はKOH(水酸化カリウム)水溶液である。液体70がNaCl(塩化ナトリウム)水溶液である場合、気体77(後述)はCl(塩素)である。液体74がKOH(水酸化カリウム)水溶液である場合、気体77(後述)はO(酸素)である。
【0036】
図2は、図1における1つの電解セル91の詳細の一例を示す図である。電解槽90は、陽極室79、陽極80、陰極室98、陰極82およびイオン交換膜84を有する。本例においては、1つの電解セル91が、陽極室79、陽極80、陰極室98、陰極82およびイオン交換膜84を有する。陽極室79および陰極室98は、電解セル91の内部に設けられている。陽極室79と陰極室98とは、イオン交換膜84により仕切られている。陽極室79には、陽極80が配置される。陰極室98には、陰極82が配置される。
【0037】
陽極室79には、導入管92および導出管94が接続されている。陰極室98には、導入管93および導出管95が接続されている。陽極室79には、液体70が導入される。陰極室98には、液体72が導入される。
【0038】
イオン交換膜84は、イオン交換膜84に配置されたイオンとは同符号のイオンの通過を阻止し、且つ、異符号のイオンのみを通過させる、膜状の物質である。本例においては、イオン交換膜84は、Na(ナトリウムイオン)を通過させ、且つ、Cl(塩化物イオン)の通過を阻止する膜である。
【0039】
陽極80および陰極82は、それぞれ予め定められた正の電位および負の電位に維持されてよい。陽極室79に導入された液体70、および、陰極室98に導入された液体72は、陽極80と陰極82との間の電位差により、電気分解される。陽極80においては、次の化学反応が起こる。
[化学式1]
2Cl→Cl+2e
【0040】
液体70がNaCl(塩化ナトリウム)水溶液である場合、NaCl(塩化ナトリウム)は、Na(ナトリウムイオン)とCl(塩化物イオン)とに電離している。陽極80においては、化学式1に示される化学反応によりCl(塩素)ガスが生成される。気体77(当該Cl(塩素)ガス)および液体74は、陽極室79から導出されてよい。Na(ナトリウムイオン)は、陰極82からの引力により、陽極室79からイオン交換膜84を経由した後、陰極室98に移動する。
【0041】
陽極室79においては、液体73が滞留していてよい。液体73は、アルカリ金属の塩化物の水溶液またはアルカリ金属の水酸化物の水溶液である。本例においては、液体73はNaCl(塩化ナトリウム)水溶液である。液体73のNa(ナトリウムイオン)濃度およびCl(塩化物イオン)濃度は、液体70のNa(ナトリウムイオン)濃度およびCl(塩化物イオン)濃度よりも小さくてよい。
【0042】
陰極82においては、次の化学反応が起こる。
[化学式2]
2HO+2e→H+2OH
【0043】
液体72がNaOH(水酸化ナトリウム)水溶液である場合、NaOH(水酸化ナトリウム)は、Na(ナトリウムイオン)とOH(水酸化物イオン)とに電離している。陰極82においては、化学式2に示される化学反応により、H(水素)ガスとOH(水酸化物イオン)が生成される。気体78(当該H(水素)ガス)および液体76は、陰極室98から導出されてよい。
【0044】
陰極室98においては、液体75が滞留していてよい。液体75は、アルカリ金属の水酸化物の水溶液である。本例においては、液体75はNaOH(水酸化ナトリウム)水溶液である。本例においては、陰極室98には、化学式2に示される化学反応より生成したOH(水酸化物イオン)と、陽極室79から移動したNa(ナトリウムイオン)とが溶解した液体75が滞留している。
【0045】
図3は、図2に示される電解セル91におけるイオン交換膜84の近傍を拡大した図である。本例のイオン交換膜84には、陰イオン基86が固定されている。陰イオンは、陰イオン基86により反発されるので、イオン交換膜84を通過しにくい。本例において、当該陰イオンは、Cl(塩化物イオン)である。陽イオン71は、陰イオン基86により反発されないので、イオン交換膜84を通過できる。液体70(図2参照)がNaCl(塩化ナトリウム)水溶液である場合、陽イオン71はNa(ナトリウムイオン)である。
【0046】
図4は、本発明の一つの実施形態に係る解析システム100のブロック図の一例を示す図である。解析システム100は、端末10とサーバ20とを備える。端末10は、元素取得部12を有する。サーバ20は、受信部22と状態解析部24とを有する。状態解析部24は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。サーバ20には、後述する解析方法を実行させるための解析プログラムがインストールされていてよく、サーバ20を解析システム100として機能させるための解析プログラムがインストールされていてもよい。
【0047】
解析システム100は、情報端末30を備えてよい。情報端末30は、表示部32を有してよい。情報端末30は、据置型のコンピュータ端末であってよく、タブレットコンピュータであってもよい。情報端末30がタブレットコンピュータである場合、表示部32は、当該タブレットコンピュータのモニタであってよい。
【0048】
情報端末30と端末10とは、有線99により通信してよく、WiFi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線により通信してもよい。有線99は、例えばUSBケーブル等である。本例において、情報端末30は、第1送信部14を有する。
【0049】
電解槽90とサーバ20とは、異なる位置に配置されてよい。異なる位置とは、異なる地理上の位置を指してよい。サーバ20は、例えば日本の都市Aに設置される。サーバ20が日本の都市Aに設置される場合、電解槽90は、都市Aと異なる日本の都市Bに設置されてよく、日本以外の外国に設置されてもよい。サーバ20が配置されている位置を、位置Saとする。電解槽90が配置されている位置を、位置Sbとする。
【0050】
電解槽90と、端末10および情報端末30とは、同じ位置に配置されてよい。同じ位置とは、地理上の同じ位置を指してよい。端末10および情報端末30は、位置Sbに配置されてよい。電解槽90が所定の工場に設置されている場合、当該所定の工場において、電解槽90と、端末10および情報端末30とは、同じユーザにより使用されてよい。
【0051】
元素取得部12は、電解槽90(図1参照)における対象物110に含まれる元素の量を取得する。端末10は、例えば携帯型蛍光X線分析端末である。端末10が携帯型蛍光X線分析端末である場合、端末10は、対象物110にX線112を照射する。対象物110に照射されたX線112は、対象物110に含まれる元素における内殻の電子を殻外に放出させる。殻外に放出させられた電子が内殻に落ち込むとき、対象物110から当該元素特有のエネルギーのX線114が放射される。端末10が携帯型蛍光X線分析端末である場合、元素取得部12は、放射されたX線114の強度を測定することにより、元素の量を取得する。X線114の強度とは、X線114が元素取得部12により単位時間当たりに取得されるカウント数を指してよい。X線114の強度が強いほど、元素取得部12により取得された元素の量は大きい。
【0052】
対象物110は、イオン交換膜84(図2参照)であってよく、陽極80(図2参照)であってもよく、陰極82(図2参照)であってもよい。対象物110は、電解槽90に設置されたままのイオン交換膜84であってよく、陽極80であってよく、陰極82であってよい。端末10が携帯型蛍光X線分析端末である場合、元素取得部12は、電解槽90に設置されたままの対象物110に含まれる元素の量を取得できる。
【0053】
元素取得部12は、対象物110に含まれる元素の種類をさらに取得してよい。対象物110にX線112が照射された場合、対象物110から放射されるX線114のエネルギーは、元素の種類に依存する。このため、端末10が携帯型蛍光X線分析端末である場合、元素取得部12は、放射されたX線114のエネルギーを測定することにより、元素の種類を取得できる。
【0054】
電解槽90(図1参照)には、原塩が溶解した塩水に予め定められた処理がされた液体70(図1参照)が導入される。予め定められた処理とは、例えば、クラリファイヤによる、塩水に含まれるSS(サスペンデッドソリッド)の沈殿、セラミックフィルタによる当該SSの除去、樹脂塔による、塩水に含まれるCa(カルシウム)、Sr(ストロンチウム)、Ba(バリウム)およびMg(マグネシウム)の少なくとも一つの除去、等である。原塩には、I(ヨウ素)が含まれる場合がある。
【0055】
電解槽90は液体70を電気分解するので、電解槽90の稼働時間に伴い、塩水に対する予め定められた処理において導入された元素がイオン交換膜84(図2参照)に蓄積する場合がある。当該元素がイオン交換膜84に蓄積した場合、イオン交換膜84のイオン交換性能が低下し得る。
【0056】
陽極80および陰極82は、それぞれ液体73および液体75に接触している。液体73および液体75は、電解液である。陽極80および陰極82の表面には、電解槽90の電圧が上昇することを抑制するため、Ru(ルテニウム)等がコーティングされている場合がある。陽極80および陰極82の表面にされたコーティングが劣化した場合、陽極80、イオン交換膜84および陰極82の間の電圧が上昇しやすい。
【0057】
解析システム100のユーザは、端末10をイオン交換膜84、陽極80および陰極82の少なくとも一つに近接させることにより、イオン交換膜84、陽極80および陰極82の少なくとも一つに含まれる元素の量および種類を取得してよい。これにより、解析システム100のユーザは、イオン交換膜84、陽極80および陰極82の少なくとも一つを電解槽90から外すことなく、当該元素の量を取得できる。解析システム100のユーザは、電解槽90に設置されている状態のイオン交換膜84、陽極80および陰極82の少なくとも一つに含まれる元素の量および種類を取得してよい。
【0058】
図5は、元素取得部12により取得された元素の量および種類の取得結果の一例を示す図である。本例において、元素の量はX線114(図4参照)の強度で表され、元素の種類はX線114がピークを示すエネルギーで表される。本例において、X線114はスペクトル状に分布している。元素取得部12は、X線114のスペクトル状の分布を取得してよい。
【0059】
第1送信部14(図4参照)は、元素取得部12により取得された元素の量を送信する。第1送信部14は、元素取得部12により取得された元素の量および種類を送信してよい。第1送信部14は、当該元素の量および種類を無線により送信してよい。本明細書において無線とは、有線によらない通信を指す。無線とは、インターネット経由による全ての通信を指してよく、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線による通信に限られない。第1送信部14は、図5に示される、X線114のスペクトル状の分布を無線送信してよい。
【0060】
受信部22(図4参照)は、元素取得部12により取得された元素の量を受信する。本例においては、受信部22は、第1送信部14により送信された元素の量を受信する。受信部22は、第1送信部14により送信された元素の量および種類を受信してよい。受信部22は、当該元素の量および種類を無線により受信してよい。受信部22は、第1送信部14により送信された、X線114のスペクトル状の分布を無線により受信してよい。
【0061】
状態解析部24は、受信部22により受信された元素の量に基づいて、対象物110の状態を解析する。対象物110がイオン交換膜84である場合、対象物110の状態とは、イオン交換膜84のイオン交換性能の状態であってよい。イオン交換膜84のイオン交換性能が劣化した場合、電解槽90の電流効率が低下する場合がある。当該電流効率を、電流効率CEとする。電流効率CEは、電解槽90の電流効率を指してよく、イオン交換膜84の電流効率を指してもよい。
【0062】
電流効率CEとは、電解槽90により生産される生産物の理論上の生産量に対する実際の生産量の割合を指す。当該生産物を、生産物Pとする。生産物Pの理論上の生産量を、生産量Paとする。生産物Pの実際の生産量を、生産量Prとする。電流効率CEとは、生産量Paに対する生産量Prの割合を指す。
【0063】
イオン交換膜84のイオン交換性能が劣化した場合、電解槽90の電圧が上昇する場合がある。当該電圧を、電圧CVとする。電圧CVは、電解セル91(図1参照)一つ当たりの電圧であってよい。
【0064】
イオン交換膜84のイオン交換性能が劣化した場合、液体73(図2参照)の陰イオンがイオン交換膜84を通過する場合がある。液体73(図2参照)の陰イオンがイオン交換膜84を通過した場合、当該陰イオンは液体75に含まれる。液体73がNaCl(塩化ナトリウム)水溶液であり、液体75がNaOH(水酸化ナトリウム)水溶液である場合、イオン交換膜84を通過したCl(塩化物イオン)は、NaOH(水酸化ナトリウム)水溶液に含まれる。イオン交換膜84のイオン交換性能が劣化するほど、NaOH(水酸化ナトリウム)水溶液のCl(塩化物イオン)濃度は高くなりやすい。NaOH(水酸化ナトリウム)水溶液のCl(塩化物イオン)濃度は、いわゆる苛性中食塩濃度である。
【0065】
対象物110がイオン交換膜84である場合、対象物110の状態を解析するとは、イオン交換膜84に含まれる元素の種類および量を解析することにより、電流効率CEの低下をもたらしている原因を特定することを指してよく、電圧CVの上昇をもたらしている原因を特定することを指してもよい。
【0066】
対象物110が陽極80および陰極82である場合、対象物110の状態とは、陽極80および陰極82の表面にコーティングされている金属等のコーティング状態であってよい。陽極80および陰極82のコーティング状態が劣化した場合、電圧CVが上昇する場合がある。対象物110が陽極80および陰極82である場合、対象物110の状態を解析するとは、陽極80および陰極82に含まれる元素の種類および量を解析することにより、電圧CVの上昇をもたらしている原因を特定することを指してよい。
【0067】
図6および図7は、端末10が携帯型蛍光X線分析端末であり、対象物110がイオン交換膜84である場合における、X線114の強度と電流効率CEとの関係の一例、および、X線114の強度と電圧CVとの関係の一例をそれぞれ示す図である。図8は、端末10が携帯型蛍光X線分析端末であり、対象物110がイオン交換膜84である場合における、X線114の強度と、液体75のCl(塩化物イオン)濃度との関係の一例を示す図である。図9は、端末10が携帯型蛍光X線分析端末であり、対象物110が陽極80および陰極82の少なくとも一方である場合における、X線114の強度と電圧CVとの関係の一例を示す図である。図6図9におけるX線114の強度は、図5において強度のピークを示したいずれかのエネルギーの元素によるX線114の強度であってよい。
【0068】
図6および図7に示されるとおり、対象物110がイオン交換膜84である場合、X線114の強度が強いほど、電流効率CEは小さくなりやすく、電圧CVは大きくなりやすい。図6に示されるX線114の強度と電流効率CEとの関係を、電流効率CEと元素の量との予め定められた第1関係R1とする。図7に示されるX線114の強度と電圧CVとの関係を、電圧CVと元素の量との予め定められた第2関係R21とする。
【0069】
図8に示されるとおり、対象物110がイオン交換膜84である場合、X線114の強度が強いほど、液体75のCl(塩化物イオン)濃度は高くなりやすい。図8に示される、X線114の強度と液体75のCl(塩化物イオン)濃度との関係を、アルカリ金属の水酸化物の水溶液におけるCl(塩化物イオン)濃度と、元素の量との予め定められた第3関係R3とする。
【0070】
図9に示されるとおり、対象物110が陽極80および陰極82の少なくとも一方である場合、X線114の強度が弱いほど電圧CVは大きくなりやすく、X線114の強度が弱いほど電圧CVの変化率は大きくなりやすい。図9に示されるX線114の強度と電圧CVとの関係を、電圧CVと元素の量との予め定められた第2関係R22とする。
【0071】
状態解析部24(図4参照)は、第1関係R1に基づいてイオン交換膜84の状態を解析してよい。状態解析部24は、第2関係R21に基づいてイオン交換膜84の状態を解析してもよい。状態解析部24は、第1関係R1と第2関係R21とに基づいて、イオン交換膜84の状態を解析してもよい。状態解析部24は、第2関係R22に基づいて、陽極80および陰極82の少なくとも一方の状態を解析してよい。状態解析部24は、第3関係R3に基づいてイオン交換膜84の状態を解析してよい。
【0072】
図10は、本発明の一つの実施形態に係る解析システム100のブロック図の他の一例を示す図である。本例の解析システム100においては、サーバ20は、運転条件取得部23、記憶部25および第2送信部27をさらに有する。本例の解析システム100は、係る点において図4に示される解析システム100と異なる。
【0073】
第2送信部27は、状態解析部24により解析された対象物110の状態の解析結果を、情報端末30に送信する。当該解析結果を、解析結果Raとする。第2送信部27は、解析結果Raを情報端末30に無線送信してよい。表示部32には、解析結果Raが表示されてよい。
【0074】
本例においては、端末10において元素取得部12により取得された、対象物110に含まれる元素の量が第1送信部14によりサーバ20に送信され、サーバ20において、当該元素の量に基づいて、状態解析部24により対象物110の状態が解析される。このため、解析システム100のユーザは、状態を解析するための対象物110のサンプルを位置Sbから位置Saへ送付しなくとも、解析結果Raを認知できる。対象物110のサンプルが位置Sbから位置Saへ送付される場合と比較して、対象物110に含まれる元素の量を取得されてから解析結果Raが算出されるまでの時間が、短縮されやすくなる。
【0075】
本例において、解析結果Raは、第2送信部27により情報端末30に送信される。このため、電解槽90のユーザは、端末10により取得した元素の量に基づく解析結果Raを、表示部32を見ることにより即座に認知できる。電解槽90のユーザは、解析結果Raを見ながら電解槽90を作業できる。
【0076】
運転条件取得部23は、電解槽90の運転条件を取得する。当該運転条件を、運転条件Cdとする。運転条件Cdとは、対象物110の状態に影響を与え得る、電解槽90の運転状況を指す。運転条件Cdには、電解槽90に供給される電流、電解槽90の電流効率CE、電解槽90の電圧CV、液体70(図2参照)のpHおよび流量、液体72(図2参照)のpHおよび流量、生産物Pの目標生産量等が含まれてよい。運転条件取得部23は、電解槽90から無線により運転条件Cdを取得してよい。
【0077】
運転条件Cdは、継続的に取得をされてよく、定期的に取得されてもよい。定期的な取得とは、例えば午前8時から午後20時までの毎日の取得、継続的な8時間の取得を3日おき等、予め定められた時間間隔をおいた継続的な取得を指す。
【0078】
記憶部25には、運転条件取得部23により取得された運転条件Cdと、対象物110に含まれる元素の種類および量とが記憶されてよい。電解槽90が複数の運転条件Cdで稼働される場合、記憶部25には、複数の運転条件Cdごとに、元素の種類および量が記憶されてよい。記憶部25には、解析結果Raがさらに記憶されてよい。
【0079】
なお、運転条件Cdは、運転条件取得部23により取得されなくてもよい。記憶部25には、解析システム100のユーザにより入力された運転条件Cdが記憶されてもよい。
【0080】
図11は、本発明の一つの実施形態に係る解析システム100のブロック図の他の一例を示す図である。本例の解析システム100は、複数の端末10および複数の情報端末30を備える点で、図10に示される解析システム100と異なる。
【0081】
本例においては、複数の電解槽90は、それぞれ異なる位置に配置されている。本例において、電解槽90-1は位置Sb1に配置され、電解槽90-2は位置Sb2に配置され、電解槽90-mは位置Sbmに配置されている。ここで、mは2以上の整数である。
【0082】
位置Sb1~位置Sbmは、それぞれ異なる地理上の位置であってよい。位置Sb1は例えば米国の所定の都市であり、位置Sb2は例えば欧州の所定の都市であり、位置Sbmは例えば豪州の所定の都市である。本例において、端末10-1および情報端末30-1は位置Sb1に配置され、端末10-2および情報端末30-2は位置Sb2に配置され、端末10-mおよび情報端末30-mは位置Sbmに配置されている。
【0083】
本例においては、複数の端末10におけるそれぞれの元素取得部12は、複数の対象物110のそれぞれに含まれる元素の量をそれぞれ取得する。サーバ20における受信部22は、複数の端末10におけるそれぞれの元素取得部12により取得された元素の量を受信する。本例においては、複数の情報端末30におけるそれぞれの第1送信部14が、複数の対象物110のそれぞれに含まれる元素の量をそれぞれ送信し、受信部22が、第1送信部14により送信された、それぞれの当該元素の量を受信する。
【0084】
サーバ20における状態解析部24は、複数の端末10におけるそれぞれの元素取得部12により取得され受信部22により受信された元素の量に基づいて、一の対象物110の状態を解析する。本例においては、状態解析部24は、複数の情報端末30におけるそれぞれの第1送信部14により送信され受信部22により受信されたそれぞれの元素の量に基づいて、一の対象物110の状態を解析する。一の対象物110とは、電解槽90-1~電解槽90-mのいずれか一つまたは複数の対象物110を指す。
【0085】
記憶部25には、複数の電解槽90におけるそれぞれの運転条件Cdと、複数の対象物110のそれぞれに含まれる元素の種類および量とが記憶されてよい。記憶部25には、複数の電解槽90ごとに、運転条件Cdと、元素の種類および量とが記憶されてよい。
【0086】
状態解析部24は、複数の電解槽90におけるそれぞれの電流効率CEと、複数の対象物110のそれぞれに含まれる元素の量とに基づいて、第1関係R1(図6参照)を算出してよい。第1関係R1は、予め定められていてよく、状態解析部24により算出されてもよい。状態解析部24は、複数の電解槽90におけるそれぞれの電圧CVと、複数の対象物110のそれぞれに含まれる元素の量とに基づいて、第2関係R21(図7参照)および第2関係R22(図9参照)を算出してよい。第2関係R21および第2関係R22は、予め定められていてよく、状態解析部24により算出されてもよい。第1関係R1、第2関係R21および第2関係R22は、記憶部25に記憶されてもよい。
【0087】
状態解析部24は、受信部22により受信された元素の量と、記憶部25に記憶された第1関係R1とに基づいて、一のイオン交換膜84の状態を解析してよい。これにより、解析システム100のユーザは、他のイオン交換膜84の状態と比較した一のイオン交換膜84の状態を認知できる。本例においては、受信部22が複数の情報端末30におけるそれぞれの第1送信部14により送信された元素の量を受信するので、受信部22は、相互に遠距離に離隔されて配置された電解槽90における対象物110の元素の量を受信でき、且つ、状態解析部24は一のイオン交換膜84の状態を解析できる。このため、解析システム100のユーザは、状態を解析するための対象物110のサンプルを複数の位置Sbのそれぞれから位置Saへ送付しなくとも、解析結果Raを認知できる。対象物110のサンプルが複数の位置Sbのそれぞれから位置Saへ送付される場合と比較して、状態解析部24による解析結果Raの算出は、容易になる。
【0088】
同様に、状態解析部24は、受信部22により受信された元素の量と、記憶部25に記憶された第2関係R21とに基づいて、一のイオン交換膜84の状態を解析してよい。同様に、状態解析部24は、受信部22により受信された元素の量と、記憶部25に記憶された第2関係R22とに基づいて、一の陽極80または陰極82の状態を解析してよい。
【0089】
複数の元素取得部12のそれぞれは、複数の電解槽90のうち一の電解槽90における対象物110と、他の電解槽90における対象物110とを識別する識別情報をさらに取得してよい。当該識別情報を、識別情報Idとする。対象物110がイオン交換膜84である場合、識別情報Idは、イオン交換膜84の種類であってよい。イオン交換膜84の種類とは、イオン交換膜84における陰イオン基86(図3参照)の密度、イオン交換膜84の厚さ等、イオン交換膜84の個体ごとに異なり得る物理量であってよい。イオン交換膜84の種類とは、当該個体ごとの、いわゆるロット番号であってもよい。イオン交換膜84の種類とは、陰イオン基86(図3参照)の種類であってもよい。
【0090】
対象物110が陽極80(図2参照)または陰極82(図2参照)である場合、識別情報Idは、陽極80または陰極82の表面をコーティングしている元素の種類であってよい。対象物110が陽極80および陰極82である場合、識別情報Idは、陽極80および陰極82を保持する枠の番号であってもよい。当該枠は、一つの陽極80と一つの陰極82とをペアで保持する。一のイオン交換膜84は、一の枠における陽極80と他の枠における陰極82との間に配置されてよい。当該一の枠における陽極80と当該他の枠における陰極82と当該一のイオン交換膜84とが、一つの電解セル91(図2参照)に含まれてよい。
【0091】
受信部22は、複数の対象物110のそれぞれの識別情報Idを受信してよい。第1送信部14は、識別情報Idを送信してよい。複数の第1送信部14のそれぞれは、複数の対象物110のそれぞれの識別情報Idを送信してよい。本例においては、受信部22は、第1送信部14により送信された識別情報Idを受信する。
【0092】
記憶部25には、複数の電解槽90におけるそれぞれの運転条件Cdと、複数の対象物110に含まれる元素の種類および量と、複数の電解槽90のそれぞれに対応する識別情報Idとが記憶されてよい。記憶部25には、複数の電解槽90ごとに、運転条件Cdと、元素の種類および量と、識別情報Idとが記憶されてよい。
【0093】
記憶部25には、それぞれ異なる位置に配置された複数の電解槽90における、当該異なる位置に係る複数の位置情報がさらに記憶されてよい。図11の例においては、記憶部25には、位置Sb1~位置Sbmに係るそれぞれの位置情報が記憶される。位置Sbに係る位置情報とは、例えば、位置Sbは米国のニューヨークであるとの情報である。
【0094】
記憶部25には、複数の電解槽90におけるそれぞれの運転条件Cdと、複数の対象物110に含まれる元素の種類および量と、複数の電解槽90のそれぞれに対応する識別情報Idと、複数の電解槽90のそれぞれに係る位置情報とが記憶されてよい。記憶部25には、複数の電解槽90ごとに、運転条件Cdと、元素の種類および量と、識別情報Idと、位置情報とが記憶されてよい。
【0095】
対象物110の予め定められた第1状態を、第1状態S1とする。第1状態S1とは、対象物110が寿命である状態であってよい。対象物110がイオン交換膜84(図2参照)である場合、第1状態S1とは、イオン交換膜84が陰イオンを反発することが困難な状態であってよい。
【0096】
対象物110の予め定められた第2状態を、第2状態S2とする。第2状態S2とは、対象物110が寿命である状態であってよい。対象物110が陽極80(図2参照)または陰極82(図2参照)である場合、第2状態S2とは、陽極80または陰極82の表面をコーティングしているコーティング材料の量が、予め定められた量未満である状態であってよい。
【0097】
対象物110の予め定められた第3状態を、第3状態S3とする。第3状態S3とは、対象物110がイオン交換膜84である場合において、イオン交換膜84が寿命であることにより、液体75(アルカリ金属の水酸化物の水溶液)のCl(塩化物イオン)濃度が予め定められた閾値濃度である状態であってよい。
【0098】
第2送信部27は、解析結果Raを情報端末30に送信してよい。第2送信部27は、解析結果Raを端末10に送信してもよい。状態解析部24は、解析結果Raに基づいて、元素取得部12が取得する元素の種類をさらに解析してよい。第2送信部27は、情報端末30に、状態解析部24により解析された元素の種類を送信してよい。状態解析部24により解析された元素の種類は、表示部32(図10参照)に表示されてよい。
【0099】
図12は、解析結果Raの一例を示す図である。図12は、陽極80の状態の解析結果Raの一例である。図12には、複数の陽極80についての解析結果Raが示されている。図12において、時間とは、陽極80を使用開始してから、陽極80の状態を解析するまでの経過時間を指す。経過時間は、経過年数であってもよい。図12において、残量とは、陽極80をコーティングしているコーティング材料の残量を指す。当該コーティング材料は、Ru(ルテニウム)であってよい。図12において、今回の解析結果Raが黒丸で示されている。白丸で示された解析結果Raは、今回よりも過去の解析結果Raであってよい。
【0100】
図12に示される解析結果Raは、表示部32(図10参照)に表示されてよい。これにより、一の電解槽90(図11参照)のユーザは、他の電解槽90(図11参照)における陽極80の状態の解析結果Raと比較した、一の電解槽90における陽極80の状態の解析結果Raを認知できる。
【0101】
対象物110の性能劣化の原因を特定するために、電解装置200の稼働が一時的に停止される場合がある。電解装置200の稼働を停止させる時間は、なるべく短いことが好ましい。端末10が携帯型蛍光X線分析端末である場合、電解装置200のユーザは、対象物110を電解装置200から取り外すことなく、対象物110の性能劣化の原因を特定しやすくなるとともに、対象物110の性能回復のための対策を取りやすくなる。そのため、電解装置200の稼働を停止させる時間が短くなりやすい。電解装置200のユーザは、対象物110を交換することなく対象物110の性能を回復し得るので、対象物110を損失しにくくなる。
【0102】
元素取得部12(図11参照)は、第2送信部27(図11参照)により送信された解析結果Raに基づいて、元素の量を取得してよい。元素取得部12は、第2送信部27により送信され情報端末30により受信された解析結果Raに基づいて、元素の量を取得してよい。これにより、元素取得部12は、解析結果Raが反映された元素の量を取得できる。元素取得部12が、解析結果Raが反映された元素の量を取得するとは、例えば、一のイオン交換膜84の解析結果Raが、当該一のイオン交換膜84の一の位置に特定の元素が蓄積しているとの解析結果Raである場合に、当該一のイオン交換膜84の他の位置における当該特定の元素を、元素取得部12が取得すること等を指す。
【0103】
状態解析部24により、一の電解槽90における一の対象物110の状態が第1状態S1~第3状態S3の少なくとも一つであると解析された場合、元素取得部12は、一の電解槽90における他の対象物110に含まれる元素の量を取得してよい。元素取得部12(図11参照)は、一の電解槽90(図11参照)における他の対象物110(図4参照)に含まれる元素の量を取得してよい。
【0104】
例えば、第2送信部27(図11参照)が、電解槽90-1における一の電解セル91-1(図1参照)に配置されたイオン交換膜84(図2参照)の状態が第1状態S1であるとの解析結果Raを情報端末30-1に送信した場合、元素取得部12-1(図11参照)は、電解槽90-1における他の電解セル91-2に配置されたイオン交換膜84に含まれる元素の量を取得してよい。一の電解セル91-1に配置されたイオン交換膜84が第1状態S1である場合、当該イオン交換膜84が第1状態S1でない場合よりも、他の電解セル91-2に配置されたイオン交換膜84が第1状態S1である蓋然性が高い。このため、解析システム100のユーザは、他の電解セル91-2に配置されたイオン交換膜84の状態を認知しやすくなる。
【0105】
同様に、第2送信部27(図11参照)が、例えば電解槽90-2(図11参照)における一の電解セル91-2(図1参照)に配置された陽極80(図2参照)の状態が第2状態S2であるとの解析結果Raを情報端末30-2に送信した場合、元素取得部12-2は、電解槽90-2における他の電解セル91-3に配置された陽極80に含まれる元素の量を取得してよい。
【0106】
同様に、第2送信部27(図11参照)が、例えば電解槽90-m(図11参照)における一の電解セル91-3(図1参照)に配置されたイオン交換膜84(図2参照)の状態が第3状態S3であるとの解析結果Raを情報端末30-mに送信した場合、元素取得部12-m(図11参照)は、電解槽90-mにおける他の電解セル91-1に配置されたイオン交換膜84に含まれる元素の量を取得してよい。
【0107】
図13は、本発明の一つの実施形態に係る解析システム100のブロック図の他の一例を示す図である。本例の解析システム100において、サーバ20は状態予測部26をさらに有する。本例の解析システム100は、係る点で図11に示される解析システム100と異なる。状態予測部26は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。状態解析部24および状態予測部26は、一つのCPUであってよい。
【0108】
元素取得部12は、対象物110に含まれる元素の量の経時変化を取得してよい。電解槽90の稼働時間の経過に伴い、対象物110には液体70(図2参照)等に含まれる元素が蓄積し得る。このため、対象物110に含まれる元素の量は、経時変化し得る。
【0109】
第1送信部14は、元素取得部12により取得された元素の量の経時変化を送信してよい。受信部22は、第1送信部14により送信された元素の量の経時変化を受信してよい。
【0110】
状態予測部26は、受信部22により受信された元素の量の経時変化と、第1関係R1(図6参照)とに基づくかまたは第2関係R21(図7参照)とに基づいて、対象物110が第1状態S1となる時期を予測してよい。上述したとおり、第1状態S1とは、対象物110が寿命である状態であってよい。対象物110がイオン交換膜84(図2参照)である場合、第1状態S1とは、イオン交換膜84が陰イオンを反発することが困難な状態であってよい。
【0111】
X線114(図4および図10参照)の強度を強度Inとすると、電流効率CEおよび電圧CVは、それぞれ以下の式1および式2で表される。
【数1】
【数2】
式1および式2において、i、jおよびkはそれぞれ、Ni(ニッケル)、Ca(カルシウム)、Sr(ストロンチウム)、Ba(バリウム)、I(ヨウ素)、Fe(鉄)およびZr(ジルコニウム)のいずれかであってよい。
【0112】
式1において、α1は元素iが電流効率CEの低下に与える影響の度合いを表す。式1において、β1は、元素jおよび元素kが電流効率CEの低下に与える影響の度合いを表す。式1において、CE0は電流効率CEの低下前における初期電流効率を表す。式2において、α2は元素iが電圧CVの上昇に与える影響の度合いを表す。式2において、β2は、元素jおよび元素kが電圧CVの上昇に与える影響の度合いを表す。式2において、CV0は電圧CVの上昇前における初期電圧を表す。状態予測部26は、強度Inの増加速度を算出してよい。状態予測部26は、強度Inの増加速度に基づいて、イオン交換膜84が第1状態S1となる時期を予測してよい。
【0113】
第1関係R1は、識別情報Idごとに定められてもよい。状態予測部26は、一の電解槽90における元素の量の経時変化と、当該一の電解槽90における第1関係R1とに基づいて、当該一の電解槽90における対象物110が第1状態S1となる時期を予測してよく、他の電解槽90における対象物110が第1状態S1となる時期を予測してもよい。
【0114】
第2関係R21は、識別情報Idごとに定められてもよい。状態予測部26は、一の電解槽90における元素の量の経時変化と、当該一の電解槽90における第2関係R21とに基づいて、当該一の電解槽90における対象物110が第1状態S1となる時期を予測してよく、他の電解槽90における対象物110が第1状態S1となる時期を予測してもよい。
【0115】
状態予測部26は、受信部22により受信された元素の量の経時変化と、第2関係R22(図9参照)とに基づいて、対象物110が第2状態S2となる時期を予測してよい。上述したとおり、第2状態S2とは、対象物110が寿命である状態であってよい。対象物110が陽極80(図2参照)または陰極82(図2参照)である場合、第2状態S2とは、陽極80または陰極82の表面をコーティングしているコーティング材料の量が、予め定められた量未満である状態であってよい。
【0116】
電圧CVは、以下の式3でも表される。
【数3】
式3において、iはRu(ルテニウム)であってよく、jはFe(鉄)であってよい。式3において、α3およびβ3は、元素i(本例においてはRu(ルテニウム))の電圧CVへの影響の度合いを表す。式3において、εは元素j(本例においてはFe(鉄))による電圧CVへの影響の度合いを表す。式3において、γは定数である。
【0117】
状態予測部26は、陽極80または陰極82の表面をコーティングしているコーティング材料の消耗速度を算出してよい。当該消耗速度は、式3におけるInの単位時間当たりの変化量であってよい。状態予測部26は、当該コーティング材料の当該消耗速度に基づいて、陽極80(図2参照)が第2状態S2となる時期を予測してよい。
【0118】
第2関係R22は、識別情報Idごとに定められてもよい。状態予測部26は、一の電解槽90における元素の量の経時変化と、当該一の電解槽90における第2関係R22とに基づいて、当該一の電解槽90における対象物110が第2状態S2となる時期を予測してよく、他の電解槽90における対象物110が第2状態S2となる時期を予測してもよい。
【0119】
状態予測部26は、受信部22により受信された元素の量の経時変化と、第3関係R3(図8参照)とに基づいて、対象物110が第3状態S3となる時期を予測してよい。第3状態S3とは、対象物110がイオン交換膜84である場合において、イオン交換膜84が寿命であることにより、液体75(アルカリ金属の水酸化物の水溶液)のCl(塩化物イオン)濃度が予め定められた閾値濃度である状態であってよい。
【0120】
第3関係R3は、識別情報Idごとに定められてもよい。状態予測部26は、一の電解槽90における元素の量の経時変化と、当該一の電解槽90における第3関係R3とに基づいて、当該一の電解槽90における対象物110が第3状態S3となる時期を予測してよく、他の電解槽90における対象物110が第3状態S3となる時期を予測してもよい。
【0121】
第2送信部27は、状態予測部26により予測された、対象物110が第1状態S1となる時期、第2状態S2となる時期または第3状態S3となる時期を、情報端末30に送信してよい。これにより、電解槽90のユーザは、対象物110が第1状態S1となる時期、第2状態S2となる時期または第3状態S3となる時期を認知できる。
【0122】
状態予測部26は、受信部22により受信された元素の量の経時変化と、第1関係R1(図6参照)とに基づくかまたは第2関係R21(図7参照)とに基づいて、対象物110が第1状態S1となる時期を、元素の種類ごとに予測してよい。状態予測部26は、受信部22により受信された元素の量の経時変化と、第2関係R22(図9参照)とに基づいて、対象物110が第2状態S2となる時期を、元素の種類ごとに予測してよい。状態予測部26は、受信部22により受信された元素の量の経時変化と、第3関係R3(図8参照)とに基づいて、対象物110が第3状態S3となる時期を、元素の種類ごとに予測してよい。
【0123】
状態予測部26は、対象物110が第1状態S1となる時期を運転条件Cdごとに予測してよい。運転条件Cdとは、上述したとおり、電解槽90に供給される電流、電解槽90の電流効率CE、電解槽90の電圧CV、液体70(図2参照)のpHおよび流量、液体72(図2参照)のpHおよび流量、生産物Pの目標生産量等が含まれてよい。対象物110がイオン交換膜84である場合、イオン交換膜84が、陰イオンを反発することが困難な状態となる時期は、運転条件Cdに依存し得る。このため、対象物110が第1状態S1となる時期が運転条件Cdごとに予測されることにより、電解槽90のユーザは、対象物110が第1状態S1となる時期を、運転条件Cdごとに認知できる。同様に、状態予測部26は、対象物110が第2状態S2となる時期を運転条件Cdごとに予測してよく、対象物110が第3状態S3となる時期を運転条件Cdごとに予測してよい。
【0124】
状態予測部26は、対象物110が第1状態S1となる時期を運転条件Cdごと、且つ、元素の種類ごとに予測してよい。状態予測部26は、対象物110が第2状態S2となる時期を運転条件Cdごと、且つ、元素の種類ごとに予測してよい。状態予測部26は、対象物110が第3状態S3となる時期を運転条件Cdごと、且つ、元素の種類ごとに予測してよい。
【0125】
電解槽90の電流効率CEを回復させる対策を、第1対策Cm1とする。例えば、電流効率CEが予め定められた値未満になっている場合において、第1対策Cm1は、電流効率CEが予め定められた値未満になっている原因に基づく対策であって、当該原因を解消することにより電流効率CEを予め定められた値以上に回復させるための対策である。例えば、イオン交換膜84に予め定められた不純物が付着していることが、電流効率CEが予め定められた値未満になっている原因である場合、第1対策Cm1は、当該不純物をイオン交換膜84から除去することである。
【0126】
電解槽90の電圧CVを回復させる対策を、第2対策Cm2とする。例えば、電圧CVが予め定められた値を超えている場合において、第2対策Cm2は、電圧CVが予め定められた値を超えている原因に基づく対策であって、当該原因を解消することにより電流効率CEを予め定められた値以下に回復させるための対策である。例えば、陽極室79にNaCl(塩化ナトリウム)水溶液が導入される場合であって当該水溶液のNaCl(塩化ナトリウム)濃度が予め定められた範囲にないことが、電圧CVが予め定められた値を超えている原因である場合、第2対策Cm2は、NaCl(塩化ナトリウム)濃度を予め定められた範囲に戻すための対策である。
【0127】
液体75のCl(塩化物イオン)濃度を回復させる対策を、第3対策Cm3とする。液体75のCl(塩化物イオン)濃度が予め定められた濃度を超えている場合において、第3対策Cm3は、当該Cl(塩化物イオン)濃度が予め定められた濃度を超えた原因に基づく対策であって、当該原因を解消することにより液体75のCl(塩化物イオン)濃度を予め定められた値以下に回復させるための対策である。当該Cl(塩化物イオン)濃度を予め定められた値以下に回復させるとは、当該Cl(塩化物イオン)濃度を予め定められた値以下に低下させることを指してよい。
【0128】
記憶部25には、第1対策Cm1、第2対策Cm2および第3対策Cm3の少なくとも一つが記憶されてよい。第1対策Cm1が実施された場合、状態予測部26は、第1対策Cm1が実施された場合における対象物110の状態を予測してよい。状態予測部26は、第1対策Cm1が実施された場合における対象物110の状態を、運転条件Cdごとに予測してよい。第2送信部27は、状態予測部26により予測された対象物110の状態であって第1対策Cm1が実施された場合における対象物110の状態を、情報端末30に送信してよい。これにより、電解槽90のユーザは、当該電解槽90に対して第1対策Cm1を実施した場合の対象物110の状態を予測できる。なお、第2送信部27は、第1対策Cm1が実施された場合における対象物110の状態を、端末10に送信してもよい。
【0129】
同様に、第2対策Cm2が実施された場合、状態予測部26は、第2対策Cm2が実施された場合における対象物110の状態を予測してよい。状態予測部26は、第2対策Cm2が実施された場合における対象物110の状態を、運転条件Cdごとに予測してよい。第2送信部27は、状態予測部26により予測された対象物110の状態であって第2対策Cm2が実施された場合における対象物110の状態を、情報端末30に送信してよい。なお、第2送信部27は、第2対策Cm2が実施された場合における対象物110の状態を、端末10に送信してもよい。
【0130】
同様に、第3対策Cm3が実施された場合、状態予測部26は、第3対策Cm3が実施された場合における対象物110の状態を予測してよい。状態予測部26は、第3対策Cm3が実施された場合における対象物110の状態を、運転条件Cdごとに予測してよい。第2送信部27は、状態予測部26により予測された対象物110の状態であって第3対策Cm3が実施された場合における対象物110の状態を、情報端末30に送信してよい。なお、第2送信部27は、第3対策Cm3が実施された場合における対象物110の状態を、端末10に送信してもよい。
【0131】
図14は、図2におけるイオン交換膜84および導入管92を、陽極80から陰極82への方向に見た図である。本明細書において、陽極80から陰極82への当該方向を、側面視と称する。本例において、イオン交換膜84には不純物89が含まれている。不純物89は、液体70に含まれていてよい。
【0132】
電解槽90には、液体70が通過する導入管92が接続されている。1つの電解セル91(図1参照)の側面視において、導入管92はイオン交換膜84の下方に配置されている。電解槽90には、液体70が通過する開口60が設けられている。導入管92の上端は、開口60に接続されている。図14において、側面視における開口60の位置が太線で示され、側面視における開口60の両端の位置が破線で示されている。
【0133】
導入管92には、導入管92を形成する元素が含まれる。当該元素を、元素Eとする。元素Eは、液体70により陽極室79(図2参照)に導入される場合がある。導入管92が経年劣化した場合、元素Eは陽極室79に導入されやすい。陽極室79に導入された元素Eは、対象物110に蓄積する場合がある。
【0134】
状態解析部24(図4図10および図11参照)は、対象物110に含まれる元素Eの量および種類の少なくとも一方を解析してよい。対象物110が元素Eを予め定められた量以上含む状態を、対象物110の第4状態S4とする。
【0135】
状態解析部24により、対象物110が第4状態S4であると解析された場合、第2送信部27(図10および図11参照)は、元素取得部12(図4図10および図11参照)に、元素Eを取得する旨の指示を送信してよい。第2送信部27は、情報端末30に導入管92の調査に関する指示を送信してよい。導入管92の調査に関する当該指示は、情報端末30の表示部32に表示されてよい。これにより、電解槽90のユーザは、導入管92の調査を開始できる。
【0136】
本例において、不純物89は、元素Eまたは元素Eの化合物であるとする。元素取得部12(図4図10および図11参照)は、元素Eの量を、対象物110における元素Eの位置ごとに取得してよい。元素Eの位置とは、1つの電解セル91(図1参照)の側面視において、イオン交換膜84の側面視における不純物89の位置を指す。元素取得部12は、対象物110において予め定められた位置ごとに元素Eの量を取得してよく、対象物110における元素Eの位置情報と当該位置情報に対応する元素Eの量とを取得してもよい。元素取得部12は、元素Eの量を、対象物110における元素Eの位置ごとおよび元素Eの種類ごとに取得してもよい。
【0137】
第1送信部14(図4図10および図11参照)は、元素Eの位置ごとの元素Eの量を送信してよい。受信部22(図4図10および図11参照)は、元素Eの位置ごとの元素Eの量を受信してよい。状態解析部24は、元素Eの位置ごとの元素Eの量に基づいて、対象物110の状態を解析してよい。不純物89の位置は、元素Eの種類に依存する場合がある。このため、元素Eの位置に基づいて対象物110の状態が解析されることにより、対象物110の状態をもたらしている元素Eが特定されやすくなる。第2送信部27(図10および図11参照)は、元素Eの位置および元素Eの量に基づく解析結果Raを、情報端末30に送信してよい。第2送信部27は、当該解析結果Raを端末10に送信してもよい。
【0138】
第1送信部14(図4図10および図11参照)は、元素Eの位置ごとおよび元素Eの種類ごとの元素Eの量を送信してよい。受信部22(図4図10および図11参照)は、元素Eの位置ごとおよび元素Eの種類ごとの元素Eの量を受信してよい。状態解析部24は、元素Eの位置ごとおよび元素Eの種類ごとの元素Eの量に基づいて、対象物110の状態を解析してよい。第2送信部27(図10および図11参照)は、元素Eの位置、元素Eの種類および元素Eの量に基づく解析結果Raを、情報端末30に送信してよい。第2送信部27は、当該解析結果Raを端末10に送信してもよい。
【0139】
状態解析部24は、開口60の位置と、対象物110における元素Eの位置とに基づいて、対象物110の状態を解析してよい。開口60の位置および元素Eの位置は、1つの電解セル91(図1参照)の側面視における位置であってよい。開口60の位置と元素Eの位置とに基づくとは、開口60の位置と元素Eの位置との相対的な位置関係に基づくことを指してよい。開口60の位置と元素Eの位置との相対的な位置関係とは、例えば、開口60の位置と元素Eの位置との距離である。
【0140】
対象物110の状態は、開口60の位置および元素Eの位置に依存する場合がある。このため、開口60の位置と元素Eの位置に基づいて対象物110の状態が解析されることにより、対象物110の状態をもたらしている元素Eが特定されやすくなる。第2送信部27は、開口60の位置と元素Eの位置に基づく解析結果Raを、情報端末30に送信してよい。
【0141】
図15は、本発明の一つの実施形態に係る解析システム100におけるサーバ20のブロック図の他の一例を示す図である。ただし、図15において、端末10、情報端末30および電解槽90は省略されている。本例のサーバ20は、第1状態学習部120および第2状態学習部130をさらに有する点で、図10および図11に示されるサーバ20と異なる。
【0142】
第1状態学習部120は、電流効率CEと、元素取得部12(図10および図11参照)により取得された元素の量との関係を機械学習することにより、第1状態推論モデル122(後述)を生成する。第2状態学習部130は、電圧CVと、元素取得部12により取得された元素の量との関係を機械学習することにより、第2状態推論モデル132(後述)を生成する。
【0143】
図16は、第1状態推論モデル122の一例を示す図である。第1状態推論モデル122は、電流効率CEと元素の量とが入力された場合、当該電流効率CEおよび当該元素の量に対する第1推論状態を出力する。当該第1推論状態を、第1推論状態Se1とする。
【0144】
図17は、第2状態推論モデル132の一例を示す図である。第2状態推論モデル132は、電圧CVと元素の量とが入力された場合、当該電圧CVおよび当該元素の量に対する第2推論状態を出力する。当該第2推論状態を、第2推論状態Se2とする。
【0145】
第1推論状態Se1および第2推論状態Se2は、状態解析部24による解析結果Raであってよい。第1状態推論モデル122および第2状態推論モデル132は、記憶部25に記憶されてよい。状態解析部24は、記憶部25に記憶された第1状態推論モデル122および第2状態推論モデル132の少なくとも一方に基づいて、対象物110の状態を解析してよい。
【0146】
図18は、本発明の一つの実施形態に係る解析方法の一例を含むフローチャートである。本発明の一つの実施形態に係る解析方法は、解析システム100(図4図10図11および図13参照)における対象物110(図4参照)の解析方法の一例である。本例の解析方法は、元素取得ステップS100、受信ステップS104および状態解析ステップS109を備える。
【0147】
元素取得ステップS100は、元素取得部12が、電解槽90における対象物110に含まれる元素の量を取得するステップである。本例の解析方法は、第1送信ステップS102を備える。第1送信ステップS102は、第1送信部14が、元素取得ステップS100において取得された元素の量を送信するステップである。受信ステップS104は、受信部22が、元素取得ステップS100において取得された元素の量を受信するステップである。本例においては、受信ステップS104は、受信部22が、第1送信ステップS102において送信された元素の量を受信するステップである。
【0148】
本例の解析方法は、判断ステップS106を備える。判断ステップS106は、状態解析部24が、対象物110がイオン交換膜84か、または、陽極80および陰極82の少なくとも一方かを判断するステップであってよい。判断ステップS106において、状態解析部24は、元素取得ステップS100において取得された元素の種類に基づいて、対象物110がイオン交換膜84か、または、陽極80および陰極82の少なくとも一方かを判断してよい。
【0149】
本例の解析方法は、記憶ステップS108および記憶ステップS114を備える。記憶ステップS108は、判断ステップS106において対象物110がイオン交換膜84であると判断された場合に、記憶部25が、元素取得ステップS100において取得された元素の量を記憶するステップであってよい。記憶ステップS114は、判断ステップS106において対象物110が陽極80および陰極82の少なくとも一方であると判断された場合において、記憶部25が、元素取得ステップS100において取得された元素の量を記憶するステップであってよい。
【0150】
状態解析ステップS109は、状態解析部24が、受信ステップS104において受信された元素の量に基づいて、対象物110の状態を解析するステップである。図18において、状態解析ステップS109の範囲が破線で囲われている。
【0151】
対象物110がイオン交換膜84である場合において、本例の状態解析ステップS109は、強度取得ステップS110、判断ステップS112、判断ステップS200~S212および比較ステップS300を有する。強度取得ステップS110は、元素取得部12により測定されたX線114(図4参照)の強度を、受信部22が取得するステップである。
【0152】
X線114の強度の閾値を、閾値強度Stpとする。閾値強度Stpは、元素の種類ごとに予め定められていてよい。判断ステップS112は、強度取得ステップS110において取得されたX線114の強度が閾値強度Stp以上であるか否かを、状態解析部24が判断するステップである。判断ステップS112において、X線114の強度が閾値強度Stp以上であると判断された場合、解析方法はステップS200に進む。判断ステップS112において、X線114の強度が閾値強度Stp未満であると判断された場合、解析方法はステップS300に進む。
【0153】
状態解析ステップS109において、状態解析部24は、電解槽90の電流効率CEと元素の量との予め定められた第1関係R1に基づいて対象物110(本例においてはイオン交換膜84)の状態を解析するか、または、電解槽90の電圧CVと元素の量との予め定められた第2関係R21に基づいて対象物110(本例においてはイオン交換膜84)の状態を解析してよい。本例においては、判断ステップS200~S212において、状態解析部24が予め定められた元素ごとにX線114の強度が閾値強度Stp以上であるか否かを判断することにより、対象物110(本例においてはイオン交換膜84)の状態を解析する。予め定められた元素とは、本例においては、Ni(ニッケル)、Ca(カルシウム)、Sr(ストロンチウム)、Ba(バリウム)、I(ヨウ素)、Fe(鉄)およびZr(ジルコニウム)である。
【0154】
対象物110が陽極80および陰極82の少なくとも一方である場合において、本例の状態解析ステップS109は、強度取得ステップS116を有する。強度取得ステップS116は、元素取得部12により測定されたX線114(図4参照)の強度を、受信部22が取得するステップである。
【0155】
状態解析ステップS109において、状態解析部24は、電解槽90の電圧CVと元素の量との予め定められた第2関係R22に基づいて、対象物110(本例においては陽極80および陰極82の少なくとも一方)の状態を解析してよい。本例においては、状態解析部24が、強度取得ステップS116において取得されたX線114(図4参照)の強度に基づいて、対象物110(本例においては陽極80および陰極82の少なくとも一方)の状態を解析する。
【0156】
状態解析ステップS109において、状態解析部24は、アルカリ金属の水酸化物の水溶液におけるCl(塩化物イオン)濃度と、元素の量との予め定められた第3関係R3に基づいて、対象物110(本例においてはイオン交換膜84)の状態を解析してよい。本例においては、判断ステップS200~S212において、状態解析部24が予め定められた元素ごとにX線114の強度が閾値強度Stp以上であるか否かを判断することにより、対象物110(本例においてはイオン交換膜84)の状態を解析する。
【0157】
本例の解析方法は、提案ステップS220をさらに備える。提案ステップS220は、X線114の強度が閾値強度Stp以上の元素について、電解槽90のユーザに調査項目、対策等を提案するステップである。当該対策は、上述した第1対策Cm1、第2対策Cm2および第3対策Cm3の少なくとも一つであってよい。
【0158】
比較ステップS300は、状態解析部24が、一の対象物110の解析結果Raと他の対象物110の解析結果Raとを比較するステップである。一の対象物110とは、解析対象の対象物110であってよい。他の対象物110とは、過去の解析結果Raに係る対象物110であってよい。これにより、一の電解槽90のユーザは、他の電解槽90における対象物110の解析結果Raと比較した、一の電解槽90における対象物110の状態の解析結果Raを認知できる。
【0159】
本例の解析方法は、状態予測ステップS302、第2送信ステップS304および表示ステップS306をさらに備える。状態予測ステップS302は、状態予測部26が、元素の量の経時変化と第1関係R1とに基づいて、対象物110(本例においてはイオン交換膜84)が第1状態S1となる時期を予測するか、または、元素の量の経時変化と第2関係R21とに基づいて、対象物110(本例においてはイオン交換膜84)が第2状態S2となる時期を予測するステップである。状態予測ステップS302は、状態予測部26が、元素の量の経時変化と第2関係R22とに基づいて、対象物110(本例においては陽極80および陰極82の少なくとも一方)が第2状態S2となる時期を予測するステップである。状態予測ステップS302は、状態予測部26が、元素の量の経時変化と第3関係R3とに基づいて、対象物110(本例においてはイオン交換膜84)が第3状態S3となる時期を予測するステップである。
【0160】
第2送信ステップS304は、第2送信部27が、状態解析ステップS109における解析結果Raを情報端末30に送信するステップである。第2送信ステップS304は、第2送信部27が、状態予測ステップS302において予測された、対象物110が第1状態S1となる時期または第2状態S2となる時期を、情報端末30に送信するステップであってもよい。
【0161】
表示ステップS306は、情報端末30における表示部32が、解析結果Raを表示するステップである。これにより、電解槽90のユーザは、解析結果Raを認知できる。表示ステップS306は、情報端末30における表示部32が、対象物110が第1状態S1となる時期または第2状態S2となる時期を表示するステップであってもよい。これにより、電解槽90のユーザは、第1状態S1となる時期または第2状態S2となる時期を認知できる。
【0162】
本発明の様々な実施形態は、 フローチャートおよびブロック図を参照して記載されてよい。本発明の様々な実施形態において、ブロックは、(1)操作が実行されるプロセスの段階または(2)操作を実行する役割を持つ装置のセクションを表わしてよい。
【0163】
特定の段階が、専用回路、プログラマブル回路またはプロセッサによって実行されてよい。特定のセクションが、専用回路、プログラマブル回路またはプロセッサによって実装されてよい。当該プログラマブル回路および当該プロセッサは、コンピュータ可読命令と共に供給されてよい。当該コンピュータ可読命令は、コンピュータ可読媒体上に格納されてよい。
【0164】
専用回路は、デジタルハードウェア回路およびアナログハードウェア回路の少なくとも一方を含んでよい。専用回路は、集積回路(IC)およびディスクリート回路の少なくとも一方を含んでもよい。プログラマブル回路は、論理AND、論理OR、論理XOR、論理NAND、論理NORまたは他の論理操作のハードウェア回路を含んでよい。プログラマブル回路は、フリップフロップ、レジスタ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)等のメモリ要素等を含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでもよい。
【0165】
コンピュータ可読媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよい。コンピュータ可読媒体が当該有形なデバイスを含むことにより、当該デバイスに格納される命令を有するコンピュータ可読媒体は、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。
【0166】
コンピュータ可読媒体は、例えば電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等であってよい。コンピュータ可読媒体は、より具体的には、例えばフロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(RTM)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等であってよい。
【0167】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、ソースコードおよびオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。当該ソースコードおよび当該オブジェクトコードは、オブジェクト指向プログラミング言語および従来の手続型プログラミング言語を含む、1または複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されてよい。オブジェクト指向プログラミング言語は、例えばSmalltalk(登録商標)、JAVA(登録商標)、C++等であってよい。手続型プログラミング言語は、例えば「C」プログラミング言語であってよい。
【0168】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサまたはプログラマブル回路に対し、ローカルにまたはローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して提供されてよい。汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサまたはプログラマブル回路は、図18に示されるフローチャート、または、図4図10図11図13および図15に示されるブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく、コンピュータ可読命令を実行してよい。プロセッサは、例えばコンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等であってよい。
【0169】
図19は、本発明の一つの実施形態に係る解析システム100が全体的または部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の一例を示す図である。コンピュータ2200にインストールされたプログラムは、コンピュータ2200に、本発明の実施形態に係る解析システム100に関連付けられる操作または解析システム100の1または複数のセクションとして機能させることができ、または当該操作または当該1または複数のセクションを実行させることができ、またはコンピュータ2200に、本発明の解析方法に係る各ステップ(図18参照)を実行させることができる。当該プログラムは、コンピュータ2200に、本明細書に記載されたフローチャート(図18)およびブロック図(図4図10図11図13および図15)におけるブロックのうちのいくつかまたはすべてに関連付けられた特定の操作を実行させるべく、CPU2212によって実行されてよい。
【0170】
本実施形態によるコンピュータ2200は、CPU2212、RAM2214、グラフィックコントローラ2216およびディスプレイデバイス2218を含む。CPU2212、RAM2214、グラフィックコントローラ2216およびディスプレイデバイス2218は、ホストコントローラ2210によって相互に接続されている。コンピュータ2200は、通信インターフェース2222、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226およびICカードドライブ等の入出力ユニットをさらに含む。通信インターフェース2222、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226およびICカードドライブ等は、入出力コントローラ2220を介してホストコントローラ2210に接続されている。コンピュータは、ROM2230およびキーボード2242等のレガシの入出力ユニットをさらに含む。ROM2230およびキーボード2242等は、入出力チップ2240を介して入出力コントローラ2220に接続されている。
【0171】
CPU2212は、ROM2230およびRAM2214内に格納されたプログラムに従い動作することにより、各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ2216は、RAM2214内に提供されるフレームバッファ等またはRAM2214の中に、CPU2212によって生成されたイメージデータを取得することにより、イメージデータがディスプレイデバイス2218上に表示されるようにする。
【0172】
通信インターフェース2222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。ハードディスクドライブ2224は、コンピュータ2200内のCPU2212によって使用されるプログラムおよびデータを格納する。DVD-ROMドライブ2226は、プログラムまたはデータをDVD-ROM2201から読み取り、読み取ったプログラムまたはデータを、RAM2214を介してハードディスクドライブ2224に提供する。ICカードドライブは、プログラムおよびデータをICカードから読み取るか、または、プログラムおよびデータをICカードに書き込む。
【0173】
ROM2230は、アクティブ化時にコンピュータ2200によって実行されるブートプログラム等、または、コンピュータ2200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入出力チップ2240は、様々な入出力ユニットをパラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入出力コントローラ2220に接続してよい。
【0174】
プログラムが、DVD-ROM2201またはICカードのようなコンピュータ可読媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読媒体から読み取られ、コンピュータ可読媒体の例でもあるハードディスクドライブ2224、RAM2214、またはROM2230にインストールされ、CPU2212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ2200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置または方法が、コンピュータ2200の使用に従い、情報の操作または処理を実現することによって構成されてよい。
【0175】
例えば、通信がコンピュータ2200および外部デバイス間で実行される場合、CPU2212は、RAM2214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インターフェース2222に対し、通信処理を命令してよい。通信インターフェース2222は、CPU2212の制御下、RAM2214、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROM2201またはICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ処理領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、またはネットワークから受信された受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ処理領域等に書き込む。
【0176】
CPU2212は、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226(DVD-ROM2201)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイルまたはデータベースの全部または必要な部分がRAM2214に読み取られるようにしてよい。CPU2212は、RAM2214上のデータに対し、様々なタイプの処理を実行してよい。CPU2212は、次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックしてよい。
【0177】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、およびデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理されてよい。CPU2212は、RAM2214から読み取られたデータに対し、本開示に記載された、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプの操作、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索または置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよい。CPU2212は、結果をRAM2214に対しライトバックしてよい。
【0178】
CPU2212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU2212は、第1の属性の属性値が指定される、条件に一致するエントリを当該複数のエントリの中から検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、第2の属性値を読み取ることにより、予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0179】
上述したプログラムまたはソフトウェアモジュールは、コンピュータ2200上またはコンピュータ2200のコンピュータ可読媒体に格納されてよい。専用通信ネットワークまたはインターネットに接続されたサーバーシステム内に提供されるハードディスクまたはRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読媒体として使用可能である。プログラムは、当該記録媒体によりコンピュータ2200に提供されてよい。
【0180】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、請求の範囲の記載から明らかである。
【0181】
請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0182】
10・・・端末、12・・・元素取得部、14・・・第1送信部、20・・・サーバ、22・・・受信部、23・・・運転条件取得部、24・・・状態解析部、25・・・記憶部、26・・・状態予測部、27・・・第2送信部、30・・・情報端末、32・・・表示部、60・・・開口、70・・・液体、71・・・陽イオン、72・・・液体、73・・・液体、74・・・液体、75・・・液体、76・・・液体、77・・・気体、78・・・気体、79・・・陽極室、80・・・陽極、82・・・陰極、84・・・イオン交換膜、86・・・陰イオン基、89・・・不純物、90・・・電解槽、91・・・電解セル、92・・・導入管、93・・・導入管、94・・・導出管、95・・・導出管、98・・・陰極室、100・・・解析システム、112・・・X線、114・・・X線、120・・・第1状態学習部、122・・・第1状態推論モデル、130・・・第2状態学習部、132・・・第2状態推論モデル、200・・・電解装置、2200・・・コンピュータ、2201・・・DVD-ROM、2210・・・ホストコントローラ、2212・・・CPU、2214・・・RAM、2216・・・グラフィックコントローラ、2218・・・ディスプレイデバイス、2220・・・入出力コントローラ、2222・・・通信インターフェース、2224・・・ハードディスクドライブ、2226・・・DVD-ROMドライブ、2230・・・ROM、2240・・・入出力チップ、2242・・・キーボード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
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図18
図19