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特許7607790ロータ、電動機、送風機および空気調和装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】ロータ、電動機、送風機および空気調和装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/2746 20220101AFI20241220BHJP
【FI】
H02K1/2746
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023555887
(86)(22)【出願日】2021-10-25
(86)【国際出願番号】 JP2021039271
(87)【国際公開番号】W WO2023073757
(87)【国際公開日】2023-05-04
【審査請求日】2023-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116964
【弁理士】
【氏名又は名称】山形 洋一
(74)【代理人】
【識別番号】100120477
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 賢改
(74)【代理人】
【識別番号】100135921
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100203677
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 力
(72)【発明者】
【氏名】下川 貴也
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 隆徳
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 諒伍
(72)【発明者】
【氏名】矢部 浩二
【審査官】保田 亨介
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0379248(US,A1)
【文献】特開2004-236471(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0043070(US,A1)
【文献】国際公開第2020/003341(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K1/17
1/27-1/2798
15/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
N/2個(Nは偶数)の磁石磁極と、N/2個の仮想磁極とを有するロータであって、
軸線を中心とする環状のロータコアと、前記ロータコアに取り付けられた複数の永久磁石とを有し、
前記N/2個の磁石磁極はいずれも、前記複数の永久磁石のうちの少なくとも1つの永久磁石によって形成され、前記N/2個の仮想磁極はいずれも、前記ロータコアの一部によって形成され、
各磁石磁極の極中心線は、前記ロータコアの周方向における前記磁石磁極の中心と前記軸線とを通る直線で定義され、
前記磁石磁極を形成する前記少なくとも1つの永久磁石は、前記ロータコアの外周に対向し且つ前記極中心線の一方の側で前記極中心線から最も離れた第1の角部と、前記外周に対向し且つ前記極中心線の他方の側で前記極中心線から最も離れた第2の角部とを有し、
前記ロータコアは、各磁石磁極に、
前記少なくとも1つの永久磁石が配置される磁石挿入孔と、
前記磁石挿入孔と前記ロータコアの前記外周との間に形成され、前記周方向に延在する非磁性部と
を有し、
各仮想磁極を挟んで隣り合う2つの磁石挿入孔において当該仮想磁極側の各端部に、第1の空隙部および第2の空隙部が形成され、
前記第1の角部と前記軸線とを通る直線と、前記第2の角部と前記軸線とを通る直線とのなす角度θmは、θm≧360/N[度]を満足し、
前記第1の空隙部において前記第2の空隙部に対向し且つ前記外周に最も近い点を、第1の点とし、
前記第2の空隙部において前記第1の空隙部に対向し且つ前記外周に最も近い点を、第2の点とし、
前記第1の空隙部において前記第2の空隙部に対向し且つ前記ロータコアの内周に最も近い点を、第3の点とし、
前記第2の空隙部において前記第1の空隙部に対向し且つ前記内周に最も近い点を、第4の点とすると、
前記第1の点と前記軸線とを通る直線と、前記第2の点と前記軸線とを通る直線とのなす角度θv1と、前記第3の点と前記軸線とを通る直線と、前記第4の点と前記軸線とを通る直線とのなす角度θv2とは、θv1>θv2を満足する
ロータ。
【請求項2】
前記非磁性部は、前記磁石挿入孔に連続して形成されている
請求項に記載のロータ。
【請求項3】
前記ロータコアは、前記軸線を中心とする径方向において前記非磁性部と前記磁石挿入孔との間にコア領域を有し、
前記コア領域の前記径方向の幅は、前記極中心線に接近するほど広がる
請求項またはに記載のロータ。
【請求項4】
前記非磁性部は第1の非磁性部であり、前記ロータコアは前記極中心線を挟んで前記第1の非磁性部と反対側に第2の非磁性部を有し、
前記第1の非磁性部において前記極中心線に最も近く且つ前記外周に最も近い点を、第の点とし、
前記第2の非磁性部において前記極中心線に最も近く且つ前記外周に最も近い点を、第の点とすると、
前記第の点と前記軸線とを通る直線と、前記第の点と前記軸線とを通る直線とのなす角度θsは、θs≦360/N[度]を満足する
請求項からまでのいずれか1項に記載のロータ。
【請求項5】
前記角度θv1は、θv≦θs満足する
請求項に記載のロータ。
【請求項6】
各磁石磁極を形成する前記少なくとも1つの永久磁石は、前記極中心線を挟んで両側に配置された第1の永久磁石と第2の永久磁石とを有する
請求項1からまでのいずれか1項に記載のロータ。
【請求項7】
各磁石磁極を形成する前記少なくとも1つの永久磁石は、前記極中心線上に配置された第1の永久磁石と、前記第1の永久磁石に対して前記周方向の両側に配置された第2の永久磁石および第3の永久磁石とを有する
請求項1からまでのいずれか1項に記載のロータ。
【請求項8】
前記角度θmは、θm<720/N[度]を満足する
請求項1からまでのいずれか1項に記載のロータ。
【請求項9】
前記軸線を中心軸とする回転シャフトと、
前記回転シャフトと前記ロータコアとを連結する非磁性の樹脂部とを備える
請求項1からまでの何れか1項に記載のロータ。
【請求項10】
請求項1からまでのいずれか1項に記載のロータと、
前記ロータを囲むステータと
を有する電動機。
【請求項11】
請求項10に記載の電動機と、
前記電動機によって回転する羽根車と
を備えた送風機。
【請求項12】
室外機と室内機とを備え、
前記室外機と前記室内機の少なくとも一方は、請求項11に記載の送風機を有する
空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ロータ、電動機、送風機および空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンシクエントポール型のロータを有する電動機が開発されている。コンシクエントポール型のロータでは、ロータコアに取り付けられた永久磁石によって磁石磁極が形成され、ロータコアの一部によって仮想磁極が形成される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開WO2020/003341号(図2参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、電動機の高出力化に伴い、永久磁石の磁力の増加が望まれている。永久磁石の磁力を増加させるためには、永久磁石の磁極面の面積を大きくして磁束量を増加させる必要がある。一方、永久磁石の軸方向長さを長くすると、それに応じて電動機の軸方向長さを長くしなければならず、製造コストの上昇を招く。
【0005】
本開示は、上記の課題を解決するためになされたものであり、製造コストの上昇を抑えながら永久磁石の磁力を増加させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のロータは、N/2個(Nは偶数)の磁石磁極と、N/2個の仮想磁極とを有する。ロータは、軸線を中心とする環状のロータコアと、ロータコアに取り付けられた複数の永久磁石とを有する。N/2個の磁石磁極はいずれも、複数の永久磁石のうちの少なくとも1つの永久磁石によって形成され、N/2個の仮想磁極はいずれも、ロータコアの一部によって形成される。各磁石磁極の極中心線は、ロータコアの周方向における磁石磁極の中心と軸線とを通る直線で定義される。磁石磁極を形成する少なくとも1つの永久磁石は、ロータコアの外周に対向し且つ極中心線の一方の側で極中心線から最も離れた第1の角部と、外周に対向し且つ極中心線の他方の側で極中心線から最も離れた第2の角部とを有する。前記ロータコアは、各磁石磁極に、前記少なくとも1つの永久磁石が配置される磁石挿入孔と、前記磁石挿入孔と前記ロータコアの前記外周との間に形成され、前記周方向に延在する非磁性部とを有する。各仮想磁極を挟んで隣り合う2つの磁石挿入孔において当該仮想磁極側の各端部に、第1の空隙部および第2の空隙部が形成されている。第1の角部と軸線とを通る直線と、第2の角部と軸線とを通る直線とのなす角度θmは、θm≧360/N[度]を満足する。第1の空隙部において第2の空隙部に対向し且つ外周に最も近い点を第1の点とし、第2の空隙部において第1の空隙部に対向し且つ外周に最も近い点を第2の点とする。第1の空隙部において第2の空隙部に対向し且つロータコアの内周に最も近い点を第3の点とし、第2の空隙部において第1の空隙部に対向し且つ内周に最も近い点を第4の点とする。第1の点と軸線とを通る直線と、第2の点と軸線とを通る直線とのなす角度θv1と、第3の点と軸線とを通る直線と、第4の点と軸線とを通る直線とのなす角度θv2とは、θv1>θv2を満足する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、角度θmが360/N[度]以上であるため、軸方向の単位長さ当たりの永久磁石の磁極面の面積を大きくすることができる。その結果、製造コストの上昇を抑えながら永久磁石の磁力を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1の電動機を示す断面図である。
図2】実施の形態1のロータを示す断面図である。
図3】実施の形態1のロータの一部を示す拡大図である。
図4】実施の形態1のロータの各磁極の配置を説明するための図である。
図5】実施の形態1のロータの磁石磁極を示す図(A)、および永久磁石の端部を含む領域を拡大して示す図(B)である。
図6】実施の形態1のロータの各磁極を流れる磁束を示す模式図である。
図7】実施の形態1のロータの他の構成例を示す断面図である。
図8図7のロータの一部を拡大して示す断面図である。
図9】実施の形態1の電動機を示す縦断面図である。
図10】変形例1のロータを示す断面図である。
図11】変形例2のロータを示す断面図である。
図12】実施の形態2のロータを示す断面図である。
図13図12のロータの一部を拡大して示す断面図である。
図14】各実施の形態の電動機が適用可能な空気調和装置を示す図(A)、および空気調和装置の室外機を示す断面図(B)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
<電動機2の構成>
図1は、実施の形態1の電動機2を示す断面図である。電動機2は、回転可能なロータ1と、ロータ1を囲むように設けられた環状のステータ5とを備えたインナロータ型の電動機である。ステータ5とロータ1との間には、例えば0.4~0.7mmのエアギャップGが設けられている。
【0010】
以下では、ロータ1の回転中心となる軸線を軸線Axとし、この軸線Axの方向を「軸方向」と称する。軸線Axを中心とする円周方向を「周方向」と称し、軸線Axを中心とする半径方向を「径方向」と称する。なお、図1は、ロータ1の軸線Axに直交する面における断面図である。
【0011】
<ステータの構成>
ステータ5は、ステータコア50と、ステータコア50に巻き付けられたコイル55とを有する。ステータコア50は、磁性を有する積層要素を軸方向に積層し、カシメ等により固定したものである。積層要素は、鉄(Fe)を主成分とするコア材料、例えば電磁鋼板である。積層要素の厚さは、例えば0.2mm~0.5mmである。
【0012】
ステータコア50は、軸線Axを中心とする環状のヨーク52と、ヨーク52から径方向内側に延在する複数のティース51とを有する。ティース51は、周方向に等間隔に配置されている。ティース51の数は、ここでは12であるが、12に限定されるものではない。隣り合うティース51の間には、コイル55を収容する空間であるスロット53が形成される。
【0013】
ティース51の径方向内側の先端部は、ティース51の他の部分よりも周方向の幅が広い。ティース51の先端部は、上述したエアギャップGを介してロータ1の外周に対向する。
【0014】
ステータコア50には、絶縁部54が取り付けられている。絶縁部54は、ステータコア50とコイル55との間に介在し、ステータコア50とコイル55とを絶縁するものである。絶縁部54は、樹脂をステータコア50と一体に成形するか、または別部品として成形した樹脂成形体をステータコア50に組み付けることで形成される。
【0015】
絶縁部54は、例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)、またはポリエチレンテレフタレート(PET)等の絶縁性の樹脂で構成される。絶縁部54は、また、厚さ0.035~0.4mmの絶縁性の樹脂フィルムで構成することもできる。
【0016】
コイル55は、絶縁部54を介してティース51に巻き付けられる。コイル55は、銅またはアルミニウムで形成された導体と、導体を覆う被膜とを有する。コイル55の巻き付け方式は、集中巻でもよく、分布巻でもよい。
【0017】
<ロータの構成>
図2は、ロータ1を示す断面図である。ロータ1は、回転シャフト40と、回転シャフト40を径方向外側から囲む環状のロータコア10と、これらの間に設けられた樹脂部30とを有する。
【0018】
回転シャフト40は、上記の軸線Axを中心軸とするシャフトである。回転シャフト40は、例えば、鉄、ニッケル(Ni)またはクロム(Cr)等の金属で構成される。
【0019】
樹脂部30は、回転シャフト40に対してロータコア10を支持するものであり、非磁性材料、より具体的にはPBT等の熱可塑性樹脂で構成される。樹脂部30は、ロータコア10と回転シャフト40とを樹脂でモールド成形することで形成される。なお、樹脂部30にリブあるいは空洞部を設けてもよい。
【0020】
ここではロータコア10と回転シャフト40との間に樹脂部30を設けているが、樹脂部30を設ける代わりに、ロータコア10に形成したシャフト孔に回転シャフト40を嵌合させてもよい。
【0021】
ロータコア10は、磁性を有する積層要素を軸方向に積層し、カシメ等により固定したものである。積層要素は、鉄を主成分とするコア材料、例えば電磁鋼板である。積層要素の厚さは、例えば0.2~0.5mmである。ロータコア10の外周10aおよび内周10bはいずれも、軸線Axを中心とする周方向に延在する。
【0022】
ロータコア10の外周10aに沿って、複数の磁石挿入孔11が形成されている。磁石挿入孔11は、周方向に等間隔に配置されている。磁石挿入孔11は、ロータコア10の軸方向の一端から他端まで延在している。磁石挿入孔11は、その周方向中心と軸線Axとを通る直線(すなわち後述する極中心線C1)に直交する方向に直線状に延在している。磁石挿入孔11の数は、ここでは5つである。
【0023】
各磁石挿入孔11には、永久磁石20が配置されている。永久磁石20は平板状であり、周方向に幅を有し、径方向に厚さを有する。また、永久磁石20は、厚さ方向に着磁されている。永久磁石20は、例えば、ネオジム(Nd)またはサマリウム(Sm)を主成分とする希土類磁石で構成される。また、鉄を主成分とするフェライト磁石で構成してもよい。
【0024】
永久磁石20によって、磁石磁極P1が形成される。永久磁石20は、互いに同一極性(例えばN極)の磁極面をロータコア10の外周10a側に向けている。そのため、ロータコア10において隣り合う永久磁石20の間には、永久磁石20とは反対極性(例えばS極)の仮想磁極P2が形成される。
【0025】
すなわち、ロータ1は、5つの磁石磁極P1と5つの仮想磁極P2とを周方向に交互に有する。そのため、ロータ1の極数は10極である。このようなロータ構造は、コンシクエントポール型と称される。ロータ1の極数は10極に限定らず、偶数であればよい。
【0026】
ロータ1の極数をN(Nは偶数)とすると、磁石磁極P1の数はN/2で表され、仮想磁極P2の数もN/2で表される。磁石磁極P1は第1の磁極とも称し、仮想磁極P2は第2の磁極とも称する。
【0027】
ここでは各磁石挿入孔11に1つの永久磁石20を配置し、1つの永久磁石20で磁石磁極P1を構成している。しかしながら、各磁石挿入孔11に2つ以上の永久磁石を配置し、当該2つ以上の永久磁石で磁石磁極P1を構成してもよい(図10,11参照)。また、永久磁石20は必ずしも平板状でなくてもよい。
【0028】
磁石磁極P1の周方向の中心、すなわち磁石挿入孔11の周方向の中心は、磁石磁極P1の極中心である。磁石磁極P1の極中心と軸線Axとを通る直線を、極中心線C1と称する。同様に、仮想磁極P2の周方向の中心は、仮想磁極P2の極中心である。仮想磁極P2の極中心と軸線Axとを通る直線を、極中心線C2と称する。
【0029】
ロータコア10の外周10aは、磁極P1,P2の極中心で外径が最大となり、磁極P1,P2の間の極間部で外径が最小となる形状、いわゆる花丸形状を有する。但し、ロータコア10の外周10aの形状は花丸形状に限らず、例えば円形状であってもよい。
【0030】
コンシクエントポール型のロータ1では、仮想磁極P2に実際の磁石が存在しないため、仮想磁極P2を通った磁束が回転シャフト40に流れやすい。ロータコア10と回転シャフト40との間に配置された樹脂部30は、回転シャフト40への磁束漏れを抑制する作用を奏する。
【0031】
磁石挿入孔11の周方向両端には、空隙部であるフラックスバリア12が形成されている。ロータコア10の外周10aとフラックスバリア12との間には、薄肉部が形成されている。薄肉部の径方向の厚さは、隣り合う磁極間の漏れ磁束を抑制するため、ロータコア10の積層要素の厚さと等しいことが望ましい。
【0032】
上述した仮想磁極P2は、隣り合う磁石挿入孔11のフラックスバリア12の間に形成される。すなわち、フラックスバリア12は、仮想磁極P2の周方向の両端を規定する。そのため、仮想磁極P2の上述した極中心線C2は、仮想磁極P2の両側の2つのフラックスバリア12の周方向の中間位置と、軸線Axとを通る直線である。
【0033】
図3は、ロータ1を拡大して示す断面図である。なお、図3および後述する図4~8,10~13では、ロータコア10および樹脂部30のハッチングを省略する。図3に示すように、永久磁石20は、外周10a側の磁極面20aと、内周10b側の磁極面20bと、周方向両側の端面20cとを有する。磁極面20a,20bはいずれも、極中心線C1に直交する方向に延在している。
【0034】
磁石挿入孔11は、外周10a側の外端縁11aと、内周10b側の内端縁11bとを有する。外端縁11aおよび内端縁11bはいずれも、極中心線C1に直交する方向に延在している。磁石挿入孔11の内端縁11bの両端には、段差部11cが形成されている。
【0035】
磁石挿入孔11の外端縁11aは永久磁石20の磁極面20aに対向し、磁石挿入孔11の内端縁11bは永久磁石20の磁極面20bに対向する。磁石挿入孔11の2つの段差部11cは、永久磁石20の両端面20cに対向する。これにより、磁石挿入孔11内で永久磁石20が位置決めされる。
【0036】
フラックスバリア12は、ロータコア10の外周10aに沿って延在する外端縁12aと、仮想磁極P2側の端縁である側端縁12bと、側端縁12bと段差部11cとの間で延在する基端縁12cとを有する。
【0037】
また、径方向において磁石挿入孔11とロータコア10の外周10aとの間には、非磁性部としてのスリット13が形成されている。ここでは、2つのスリット13が、極中心線C1の両側に形成されている。スリット13は、周方向に延在している。
【0038】
スリット13は、フラックスバリア12の極中心線C1側に、フラックスバリア12と連続して形成されていることが望ましい。なお、スリット13をフラックスバリア12から離間して形成した例については、図7,8を参照して説明する。
【0039】
各磁石磁極P1の極中心線C1の一方の側(図3における左側)において、永久磁石20の磁極面20aと端面20cとの間の角部を、角部R1とする。極中心線C1の他方の側(図3における右側)において、永久磁石20の磁極面20aと端面20cとの間の角部を、角部R2とする。
【0040】
角部R1は、ロータコア10の外周10aに対向し且つ極中心線C1の一方の側で極中心線C1から最も離れた角部に相当する。角部R2は、永久磁石20において、ロータコア10の外周10aに対向し且つ極中心線C1の他方の側で極中心線C1から最も離れた角部に相当する。
【0041】
永久磁石20の角部R1,R2はいずれも、フラックスバリア12の外端縁12aと側端縁12bと基端縁12cとで囲まれた空間内に位置する。なお、角部R1は第1の角部とも称し、角部R2は第2の角部とも称する。
【0042】
図4は、ロータ1の磁石磁極P1および仮想磁極P2の配置を説明するための図である。永久磁石20の角部R1と軸線Axとを通る直線を、直線L1とする。同様に、永久磁石20の角部R2と軸線Axとを通る直線を、直線L2とする。
【0043】
直線L1と直線L2とのなす角度を、角度θmとする。この角度θmは、永久磁石20が周方向に占める範囲を角度で表したものである。
【0044】
ロータ1の極数をN(Nは偶数)で表すと、角度θmは、θm≧360/Nを満足する。極数Nが10の場合には、360/Nは36[度]となるため、角度θmは36[度]以上であればよい。角度θmは、一例としては、40[度]である。
【0045】
すなわち、本実施の形態では、永久磁石20が占める範囲が、360[度]を極数Nで等分した角度(すなわち360/N[度])以上となっている。
【0046】
仮想磁極P2を挟んで周方向に隣り合う2つのフラックスバリア12のうち、一方のフラックスバリア12の側端縁12bの最も外周10aに近い点を、点R3とする。他方のフラックスバリア12の側端縁12bの最も外周10aに近い点を、点R4とする。
【0047】
点R3と軸線Axとを通る直線を直線L3とし、点R4と軸線Axとを通る直線を直線L4とする。直線L3と直線L4とのなす角度を、角度θvとする。この角度θvは、仮想磁極P2が周方向に占める範囲を角度で表したものである。
【0048】
角度θvは、θv<360/Nを満足し、また、θv<θmも満足する。角度θvは、一例としては、30度である。すなわち、仮想磁極P2が占める角度θvは、永久磁石20が占める角度θmよりも小さい。
【0049】
なお、上記一方のフラックスバリア12は第1の空隙部とも称し、上記他方のフラックスバリア12は第2の空隙部とも称する。点R3は第の点とも称し、点R4は第の点とも称する。
【0050】
図5(A)は、磁石磁極P1を拡大して示す図である。図5(B)は、永久磁石20の端部を含む領域を拡大して示す図である。上記の通り、磁石磁極P1の極中心線C1の両側には、スリット13が形成される。2つのスリット13の間の領域は、スリット間領域とも称する。
【0051】
スリット13は、ロータコア10の外周10aに沿って延在する外端縁13aと、径方向において外端縁13aと対向する内端縁13bと、これらの極中心線C1側に形成された先端縁13cとを有する。
【0052】
スリット13の外端縁13aは、ここでは、フラックスバリア12の外端縁12aの延長線上で延在している。スリット13の内端縁13bと磁石挿入孔11の外端縁11aとの間には、湾曲部13dが形成されている。
【0053】
図5(B)に示すように、スリット13は、周方向に長さAを有し、径方向に幅Bを有し、長さAと幅BはA>Bの関係にある。なお、長さAは、スリット13の先端縁13cから湾曲部13dまでの距離である。幅Bは、外端縁13aと内端縁13bとの距離である。
【0054】
スリット13の内端縁13bと、磁石挿入孔11の外端縁11aとの間には、コア領域14が形成される。コア領域14は、永久磁石20からスリット間領域までの磁路の一部を構成する。コア領域14は、径方向に幅Wを有する。幅Wは、スリット13の内端縁13bと、磁石挿入孔11の外端縁11aとの径方向の距離である。
【0055】
スリット13の内端縁13bは、ロータコア10の外周10aに沿って延在しているため、極中心線C1に近づくほど磁石挿入孔11の外端縁11aからの距離が増加する。そのため、コア領域14の径方向の幅Wは、極中心線C1に近づくほど広くなる。
【0056】
図4に示したように、磁石磁極P1の2つのスリット13のうち、一方のスリット13の先端縁13cにおいて最も外周10aに近い点を、点R5とする。他方のスリット13の先端縁13cにおいて最も外周10aに近い点を、点R6とする。点R5と軸線Axとを通る直線を直線L5とし、点R5と軸線Axとを通る直線を直線L6とする。
【0057】
これら直線L5と直線L6とのなす角度を、角度θsとする。この角度θsは、スリット間領域が周方向に占める範囲を角度で表したものである。角度θsは、上記の角度θmよりも小さく、従ってθs<θmを満足し、またθs≦360/N[度]を満足する。角度θsは、一例としては25度である。
【0058】
なお、上記一方のスリット13は第1の非磁性部とも称し、上記他方のスリット13は第2の非磁性部とも称する。点R5は第の点とも称し、点R6は第の点とも称する。
【0059】
<作用>
次に、実施の形態1の作用について説明する。永久磁石20の磁極面20aの面積が大きいほど、磁極面20aから出る磁束の量が増加し、磁力が増加する。但し、永久磁石20の軸方向長さを長くすると、電動機2の軸方向長さが長くなり、電動機2の大型化あるいは製造コストの上昇につながる。そのため、軸方向の単位長さ当たりの永久磁石20の磁極面20aの面積を大きくすることが望ましい。
【0060】
実施の形態1では、永久磁石20の占める角度θmが360/N[度]以上である。そのため、永久磁石20の磁極面20aの幅を広くし、軸方向の単位長さ当たりの永久磁石20の磁極面20aの面積を大きくすることができる。これにより、磁極面20aから出る磁束の量を増加させ、永久磁石20の磁力を増加させることができる。
【0061】
全ての磁極に永久磁石が配置される非コンシクエントポール型のロータでは、角度θmを360/N[度]以上にすると隣り合う永久磁石が互いに干渉するため、角度θmは360/N[度]未満に設定される。
【0062】
これに対し、実施の形態1のロータ1はコンシクエントポール型であり、仮想磁極P2には永久磁石が配置されていない。そのため、永久磁石20の占める角度θmを360/N[度]以上にすることが可能となる。
【0063】
この実施の形態1では、永久磁石20の軸方向の長さを長くせずに磁力を増加させることができるため、電動機2の製造コストの上昇を抑えながら電動機2の出力を増加させることができる。
【0064】
また、軸方向の単位長さ当たりの永久磁石20の磁極面20aの面積が大きくなるため、同じ磁力を得るために必要な電動機2の軸方向の長さを短くすることができる。その結果、ロータコア10およびステータコア50のコア材料を少なくし、またコイル55の全長を短くすることができる。すなわち、電動機2の製造コストを低減し、また高効率化を図ることができる。
【0065】
なお、永久磁石20の角度θmが720/N[度]を超えると、隣り合う永久磁石20の間に仮想磁極P2を形成するスペースを確保することができない。そのため、角度θmは、360/N[度]≦θm<720/N[度]を満足するように設定される。
【0066】
ここで、上記のように角度θmを360/N[度]以上にすると、永久磁石20の占める角度θmが、仮想磁極P2の占める角度θvよりも大きくなる(すなわちθm>θvとなる)。そのため、仮に磁石磁極P1をN極とし、仮想磁極P2をS極とした場合、ロータ1の表面においてN極の幅がS極の幅よりも広くなる。
【0067】
ロータ1の表面においてN極とS極との幅の差が大きいと、振動および騒音が発生する原因となる。そこで、実施の形態1のロータ1は、磁石磁極P1の極中心線C1の両側に、磁路を制限する2つのスリット13を有している。スリット13は周方向に長い。これは、磁束の流れの制御に適した形状である。
【0068】
図6は、ロータ1の磁石磁極P1および仮想磁極P2における磁束の流れを説明するための模式図である。ここでは、磁石磁極P1の永久磁石20の磁極面20aがN極であるものとして説明する。
【0069】
永久磁石20の磁極面20aから出た磁束は、ロータコア10の外周10aに向かう。磁石挿入孔11の外周10a側に形成されたスリット13は、その内側が空気または他の非磁性材料であるため、磁束の通過を妨げる。
【0070】
そのため、永久磁石20の磁極面20aから出た磁束は、2つのスリット13の間の領域、すなわちスリット間領域を通ってステータ5に向かう。スリット間領域の占める角度は、上記の角度θsである。この角度θsは、永久磁石20の占める角度θmよりも小さい。すなわち、スリット13は、永久磁石20の磁極面20aから出た磁束の流れを絞る役割を有する。
【0071】
磁石磁極P1のスリット間領域の角度θsと、仮想磁極P2の角度θvとを近づけることにより、ロータ1の表面におけるN極およびS極の幅を均等に近づけることができる。これにより、N極とS極との幅の差に起因する振動および騒音を低減することができる。
【0072】
ここで、磁石磁極P1のスリット間領域の角度θsと仮想磁極P2の角度θvとが互いに等しい(すなわちθs=θvが成立する)場合には、N極とS極との幅の差が最小になる。
【0073】
しかしながら、仮想磁極P2には磁石挿入孔が存在しないため、磁石磁極P1のスリット間領域の角度θsと仮想磁極P2の角度θvとを等しくすると、仮想磁極P2のコア量が磁石磁極P1のコア量よりも多くなり、従ってロータ1とステータ5との間の磁気吸引力が仮想磁極P2で大きくなる。なお、コア量とは、電磁鋼板等のコア材料の量である。
【0074】
これに対し、θv<θsが成り立つようにすれば、磁石磁極P1のコア量と仮想磁極P2のコア量とを近づけることができ、磁気吸引力の違いに起因する振動を低減することができる。これらの理由から、磁石磁極P1のスリット間領域の角度θsおよび仮想磁極P2の角度θvは、θv≦θsを満足することが望ましい。
【0075】
ここでは極中心線C1の両側に2つのスリット13を形成しているが、スリット13は1つでも磁路を制限することができるため、スリット13の数は1つでもよい。
【0076】
また、図5(B)に示したコア領域14は、永久磁石20の磁極面20aからスリット間領域までの磁路の一部を構成する。永久磁石20の磁極面20aから出た磁束がスリット間領域に流れる際、極中心線C1に近いほど磁束の量が増加する。
【0077】
ここでは、コア領域14の径方向の幅Wが極中心線C1に近づくほど広くなるため、局所的な磁束の集中と、それによる磁気飽和を抑制することができる。これにより、永久磁石20の磁束を有効に利用することができる。
【0078】
図7は、ロータ1の他の構成例を示す断面図である。図8は、図7のロータ1の磁石磁極P1を拡大して示す図である。図7に示すように、この構成例では、各磁石磁極P1の極中心線C1の両側にスリット15が形成されているが、各スリット15はフラックスバリア12から離間して形成されている。
【0079】
図8に示すように、スリット15は、ロータコア10の外周10a側の外端縁15aと、磁石挿入孔11側の内端縁15bと、極中心線C1側の先端縁15cと、フラックスバリア12側の基端縁15dとを有する。また、スリット15の周方向の長さAと径方向の幅Bは、A>Bの関係にある。
【0080】
各スリット15は磁石磁極P1の磁路を制限する機能を奏し、2つのスリット15の間にはスリット間領域が形成される。スリット間領域の占める角度は、上記の角度θsである。一方、スリット15がフラックスバリア12から離れて形成されているため、スリット15とフラックスバリア12との間には、ブリッジ部16が形成される。
【0081】
そのため、永久磁石20の磁極面20aから出た磁束は、スリット間領域だけでなく、ブリッジ部16も通過する。すなわち、磁石磁極P1の磁路を制限する機能は、ブリッジ部16を流れる磁束の分だけ低下する。
【0082】
これに対し、図1~6に示したようにスリット13がフラックスバリア12に連続して形成されている場合には、ロータ1からステータ5に向かう磁束の出口がスリット間領域に限定されるため、スリット13が磁石磁極P1の磁路を制限する機能を有効に発揮することができる。
【0083】
ここでは磁石磁極P1がN極の場合について説明したが、磁石磁極P1がS極の場合も同様である。なお、フラックスバリア12は磁石挿入孔11の一部であるため、図1~6に示した構成では、スリット13が磁石挿入孔11と連続して形成されているということもできる。
【0084】
<モールド電動機の構成>
図9は、実施の形態1の電動機2を適用したモールド電動機を示す縦断面図である。ステータ5はモールド樹脂部60によって覆われ、モールドステータ6を構成している。
【0085】
モールド樹脂部60は、例えば、BMC(バルクモールディングコンパウンド)等の熱硬化性樹脂で構成される。モールド樹脂部60は、図9における左側に開口部61を有し、その反対側に軸受支持部62を有する。ロータ1は、開口部61からステータ5の内側の中空部分に挿入される。
【0086】
モールド樹脂部60の開口部61には、金属製のブラケット44が取り付けられている。このブラケット44には、軸受41が保持される。また、ブラケット44の外側には、軸受41への水等の侵入を防止するためのキャップ43が取り付けられている。軸受支持部62には、軸受42が保持されている。軸受41,42により、回転シャフト40が支持される。
【0087】
回転シャフト40は、ステータ5から図9における左側に突出しており、その先端部40aには、例えば送風機の羽根車が取り付けられる。そのため、回転シャフト40の突出側(図9の左側)を「負荷側」と称し、反対側(図9の右側)を「反負荷側」と称する。
【0088】
ステータ5の反負荷側には、回路基板70が配置されている。回路基板70には、磁気センサ71と、電動機2を駆動するための駆動回路72とが実装されており、リード線73が配線されている。
【0089】
リード線73は、ステータ5のコイル55に電力を供給するための電源リード線と、磁気センサ71の信号を外部に伝達するためのセンサリード線とを含む。モールド樹脂部60の外周部分には、リード線73を外部に引き出すためのリード線口出し部品74が取り付けられている。
【0090】
ロータ1の樹脂部30は、ロータコア10と回転シャフト40との間に設けられているほか、ロータコア10の軸方向両端面も覆っている。ロータコア10の反負荷側にはセンサマグネット17が配置され、樹脂部30によって保持されている。センサマグネット17は環状のマグネットであり、ロータ1の同様の磁極を有する。
【0091】
回路基板70に実装された磁気センサ71は、例えばホールICで構成され、センサマグネット17の磁束を検出する。駆動回路72は、磁気センサ71の検出信号に基づいてロータ1の回転位置を検出し、コイル55に流す電流を制御する。なお、ロータ1の回転位置を検出する代わりに、コイル55に流れる電流等からロータ1の回転位置を推定するセンサレス制御を行っても良い。
【0092】
また、ここではステータ5をモールド樹脂部60で覆っているが、ステータ5を金属製のシェルの内側に嵌合させてもよい。
【0093】
<実施の形態の効果>
以上説明したように、実施の形態1のロータ1は、ロータコア10と永久磁石20とを有し、永久磁石20によりN/2個(Nは偶数)の磁石磁極P1が形成され、ロータコア10によりN/2個の仮想磁極P2が形成される。永久磁石20は、ロータコア10の外周10aに対向し且つ極中心線C1から一方の側に最も離れた角部R1と、ロータコア10の外周10aに対向し極中心線C1から他方の側に最も離れた角部R2とを有する。角部R1と軸線Axとを通る直線L1と、角部R2と軸線Axとを通る直線L2とのなす角度θmは、θm≧360/N[度]を満足する。
【0094】
この構成により、軸方向の単位長さ当たりの永久磁石20の磁極面20aの面積を大きくすることができ、永久磁石20の磁力を増加させることができる。すなわち、電動機2の製造コストの上昇を抑えながら出力を増加させ、また効率を向上することができる。
【0095】
また、永久磁石20とロータコア10の外周10aとの間に、周方向に延在する非磁性部としてのスリット13が形成されているため、磁石磁極P1の磁路を制限することができる。これにより、ロータ1の表面におけるN極とS極との幅の差を抑制し、振動および騒音を低減することができる。
【0096】
特に、スリット13が磁石挿入孔11に連続して形成されていれば、スリット13が磁石挿入孔11から離れて形成されている場合と比較して、磁石磁極P1の磁路を制限する効果を高めることができる。
【0097】
また、スリット13と磁石挿入孔11との間にコア領域14が形成され、コア領域14の幅Wが極中心線C1に近づくほど増加するため、永久磁石20の磁極面20aからスリット間領域までの磁路における磁気飽和の発生を抑制することができる。
【0098】
また、各磁石磁極P1の2つのスリット13のうち、一方のスリット13の先端縁13cの最も外周10aに近い点を点R5とし、他方のスリット13の先端縁13cの最も外周10aに近い点を点R6としたときに、点R5と軸線Axとを通る直線L5と、点R6と軸線Axとを通る直線L6とのなす角度θsが、θs≦360/N[度]を満足する。そのため、ロータ1の表面におけるN極およびS極の幅を均等に近づけ、振動および騒音を低減することができる。
【0099】
また、仮想磁極P2の周方向両側のフラックスバリア12のうち、一方のフラックスバリア12の側端縁12bの最も外周10aに近い点を点R3とし、他方のフラックスバリア12の側端縁12bの最も外周10aに近い点を点R4としたときに、点R3と軸線Axとを通る直線L3と、点R4と軸線Axとを通る直線L4とのなす角度θvが、θv≦θsを満足する。そのため、ロータ1の表面におけるN極およびS極の幅を均等に近づけ、さらにロータ1とステータ5との間の磁気吸引力のばらつきを低減して、振動および騒音を低減することができる。
【0100】
変形例1.
図10は、変形例1のロータ1Aを示す断面図である。上述した実施の形態1のロータ1では、各磁石挿入孔11に1つの永久磁石20が挿入されていた。これに対し、変形例1のロータ1Aでは、各磁石挿入孔11に2つの永久磁石21,22が挿入されている。
【0101】
ロータ1Aのロータコア10には、N/2個の磁石挿入孔11が形成されている。磁石挿入孔11は、周方向中心がロータコア10の内周10b側に突出するV字形状を有する。磁石挿入孔11には、その周方向中心を挟んで一方の側に永久磁石21が配置され、他方の側に永久磁石22が配置されている。永久磁石21は第1の永久磁石とも称し、永久磁石22は第2の永久磁石とも称する。
【0102】
永久磁石21は、外周10a側の磁極面21aと、内周10b側の磁極面21bと、周方向両端の端面21cとを有する。永久磁石22は、外周10a側の磁極面22aと、内周10b側の磁極面22bと、周方向両端の端面22cとを有する。
【0103】
磁石挿入孔11は、外周10a側の外端縁11aと、内周10b側の内端縁11bとを有し、外端縁11aおよび内端縁11bはいずれもV字状に延在している。また、内端縁11bの周方向両側には、段差部11cが形成されている。
【0104】
磁石挿入孔11の外端縁11aは、永久磁石21,22の磁極面21a,22aに対向している。磁石挿入孔11の内端縁11bは、永久磁石21,22の磁極面21b,22bに対向している。磁石挿入孔11の段差部11cは、永久磁石21,22の端面21c,22cのうち、極中心線C1から離れた側の端面21c,22cに対向している。
【0105】
各磁石挿入孔11に配置された永久磁石21,22により、第1の磁極としての磁石磁極P1が形成される。隣り合う磁石磁極P1の間には、第2の磁極としての仮想磁極P2が形成される。
【0106】
極中心線C1は、磁石磁極P1の周方向の中心すなわち磁石挿入孔11の周方向の中心と、軸線Axとを通る直線である。極中心線C2は、仮想磁極P2の周方向の中心と軸線Axとを通る直線である。
【0107】
永久磁石21において、磁極面21aと、極中心線C1から離れた側の端面21cとの間の角部を、角部R1とする。永久磁石22において、磁極面22aと、極中心線C1から離れた側の端面22cとの間の角部を、角部R2とする。永久磁石21,22の角部R1,R2はいずれも、フラックスバリア12内に位置する。
【0108】
角部R1は、ロータコア10の外周10aに対向し且つ極中心線C1の一方の側(図10の左側)で極中心線C1から最も離れた角部に相当する。角部R2は、ロータコア10の外周10aに対向し且つ極中心線C1の他方の側(図10の右側)で極中心線C1から最も離れた角部に相当する。
【0109】
永久磁石20の角部R1と軸線Axとを通る直線L1と、角部R2と軸線Axとを通る直線L2とのなす角度を、角度θmとする。この角度θmは、永久磁石21,22が周方向に占める範囲を角度で表したものである。
【0110】
実施の形態1と同様、角度θmは、θm≧360/Nを満足する。角度θmが360/N[度]以上であるため、軸方向の単位長さ当たりの永久磁石21,22の磁極面21a,22aの面積を大きくすることができる。
【0111】
磁石挿入孔11の外周10a側にスリット13が形成されていることは、実施の形態1と同様である。また、スリット間領域の角度θsおよび仮想磁極P2の角度θvも、実施の形態1で説明した通りである。
【0112】
上記の点を除き、変形例1のロータ1Aは、実施の形態1のロータ1と同様に構成されている。
【0113】
なお、ここでは磁石挿入孔11がV字形状を有する例について説明したが、直線状の磁石挿入孔11に2つの永久磁石21,22を配置してもよい。
【0114】
このように、変形例1によれば、磁石挿入孔11に2つの永久磁石21,22を挿入したロータ1Aにおいても、永久磁石21,22の占める角度θmを360/N[度]以上にすることで、軸方向の単位長さ当たりの永久磁石21,22の磁極面21a,22aの面積を増加させることができ、磁力を増加させることができる。これにより、電動機2の製造コストの上昇を抑えながら出力を増加させ、また効率を向上することができる。
【0115】
変形例2.
図11は、変形例2のロータ1Bを示す断面図である。上述した実施の形態1のロータ1では、各磁石挿入孔11に1つの永久磁石20が挿入されていた。これに対し、変形例2のロータ1Bでは、各磁石挿入孔11に3つの永久磁石23,24,25が挿入されている。
【0116】
ロータ1Bのロータコア10には、N/2個の磁石挿入孔11が形成されている。磁石挿入孔11は、その周方向の中央に位置する中央部と、中央部の両端からロータコア10の外周10aに向けて延在する2つの傾斜部とを有する。2つの傾斜部は、中央部から離れるほど両傾斜部の間隔が広がるように傾斜している。言い換えると、磁石挿入孔11はバスタブ形状を有する。
【0117】
磁石挿入孔11の中央部には永久磁石23が配置され、2つ傾斜部には永久磁石24,25が配置されている。永久磁石24,25はいずれも、永久磁石23から離れるほど両永久磁石24,25の間隔が広がるように傾斜している。言い換えると、永久磁石23,24,25は、バスタブ状に配置されている。永久磁石23は第1の永久磁石、永久磁石24は第2の永久磁石、永久磁石25は第3の永久磁石とも称する。
【0118】
永久磁石23は、外周10a側の磁極面23aと、内周10b側の磁極面23bと、周方向両端の端面23cとを有する。永久磁石24は、極中心側の磁極面24aと、これと反対側の磁極面24bと、周方向両端の端面24cとを有する。永久磁石25は、極中心側の磁極面25aと、これと反対側の磁極面25bと、周方向両端の端面25cとを有する。
【0119】
磁石挿入孔11は、外周10a側の外端縁11aと、内周10b側の内端縁11bとを有する。磁石挿入孔11の外端縁11aは、永久磁石23,24,25の磁極面23a,24a,25aに対向している。磁石挿入孔11の内端縁11bは、永久磁石23,24,25の磁極面23b,24b,25bに対向している。なお、磁石挿入孔11に、永久磁石23,24,25を位置決めする段差部を設けてもよい。
【0120】
各磁石挿入孔11に配置された永久磁石23,24,25により、第1の磁極としての磁石磁極P1が形成される。隣り合う磁石磁極P1の間には、第2の磁極としての仮想磁極P2が形成される。
【0121】
極中心線C1は、磁石磁極P1の周方向の中心すなわち磁石挿入孔11の周方向の中心と、軸線Axとを通る直線である。極中心線C2は、仮想磁極P2の周方向の中心と軸線Axとを通る直線である。
【0122】
永久磁石24において、磁極面24aと、極中心線C1から離れた側の端面24cとの間の角部を、角部R1とする。永久磁石25において、磁極面25aと、極中心線C1から離れた側の端面25cとの間の角部を、角部R2とする。永久磁石24,25の角部R1,R2はいずれも、フラックスバリア12内に位置する。
【0123】
角部R1は、ロータコア10の外周10aに対向し且つ極中心線C1の一方の側で極中心線C1から最も離れた角部に相当する。角部R2は、ロータコア10の外周10aに対向し且つ極中心線C1の他方の側で極中心線C1から最も離れた角部に相当する。
【0124】
永久磁石20の角部R1と軸線Axとを通る直線L1と、角部R2と軸線Axとを通る直線L2とのなす角度を、角度θmとする。この角度θmは、永久磁石23,24,25が周方向に占める範囲を角度で表したものである。
【0125】
実施の形態1と同様、角度θmは、θm≧360/Nを満足する。角度θmが360/N[度]以上であるため、軸方向の単位長さ当たりの永久磁石23,24,25の磁極面23a,24a,25aの面積を大きくすることができる。
【0126】
磁石挿入孔11の外周10a側にスリット13が形成されていることは、実施の形態1と同様である。また、スリット間領域の角度θsおよび仮想磁極P2の角度θvは、実施の形態1で説明した通りである。
【0127】
上記の点を除き、変形例2のロータ1Bは、実施の形態1のロータ1と同様に構成されている。
【0128】
なお、ここでは磁石挿入孔11がバスタブ形状を有する例について説明したが、直線状の磁石挿入孔11に3つの永久磁石23,24,25を配置してもよい。
【0129】
このように、変形例2によれば、磁石挿入孔11に3つの永久磁石23,24,25を配置したロータ1Bにおいても、永久磁石23,24,25の占める角度θmを360/N[度]以上にすることで、軸方向の単位長さ当たりの永久磁石23,24,25の磁極面23a,24a,25aの面積を増加させることができる。これにより、電動機2の製造コストの上昇を抑えながら出力を増加させ、また効率を向上することができる。
【0130】
実施の形態2.
次に、実施の形態2について説明する。図12は、実施の形態2のロータ1Cを示す断面図である。実施の形態2のロータ1Cは、仮想磁極P2の周方向幅が、径方向外側と径方向内側で異なる。
【0131】
ロータ1Cのロータコア10には、N/2個の磁石挿入孔11が形成されている。磁石挿入孔11の形状は、実施の形態1で説明した通りである。各磁石挿入孔11には1つの永久磁石20が配置されている。各磁石挿入孔11の周方向の両端には、空隙部としてのフラックスバリア12が形成されている。
【0132】
図13は、ロータ1Cの一部を拡大して示す図である。図13に示すように、仮想磁極P2の両側には、フラックスバリア12が形成されている。フラックスバリア12は、仮想磁極P2の周方向の両端を規定する部分でもある。
【0133】
フラックスバリア12は、ロータコア10の外周10aに沿って延在する外端縁12aと、仮想磁極P2側の端縁である側端縁12bと、側端縁12bと段差部11cとの間で延在する基端縁12cとを有する。
【0134】
仮想磁極P2を挟んで隣り合う2つのフラックスバリア12のうち、一方のフラックスバリア12の側端縁12bの最も外周10aに近い点を、点R3(または第1の点)とする。他方のフラックスバリア12の側端縁12bの最も外周10aに近い点を、点R4(または第2の点)とする。
【0135】
また、上記一方のフラックスバリア12の側端縁12bの最も内周10bに近い点を、点R7(または第3の点)とする。上記他方のフラックスバリア12の側端縁12bの最も内周10bに近い点を、点R8(または第4の点)とする。
【0136】
点R3と点R4との周方向の距離を、距離E1とする。点R7と点R8との周方向の距離を、距離E2とする。距離E1と距離E2とは、E1>E2の関係にある。距離E1は仮想磁極P2の径方向外側での幅に相当し、距離E2は仮想磁極P2の径方向内側での幅に相当する。そのため、E1>E2の関係は、仮想磁極P2の周方向の幅が、径方向内側よりも径方向外側で広いことを意味する。
【0137】
このことは、軸線Axを中心とする角度を用いて、以下のように表現することもできる。図12に示すように、点R3と軸線Axとを通る直線を直線L3とし、点R4と軸線Axとを通る直線を直線L4とする。直線L3と直線L4とのなす角度を、角度θv1とする。この角度θv1は、上記の距離E1に対応する角度である。
【0138】
また、点R7と軸線Axとを通る直線を直線L7とし、点R8と軸線Axとを通る直線を直線L8とする。直線L7と直線L8とのなす角度を、角度θv2とする。この角度θv2は、上記の距離E2に対応する角度である。
【0139】
角度θv1および角度θv2はいずれも、360/N[度]未満である。また、角度θv1と角度θv2とは、θv1>θv2の関係にある。これは、上記のE1>E2の関係に対応している。
【0140】
実施の形態1で説明したように、軸方向の単位長さ当たりの永久磁石20の磁極面20aの面積を大きくするためには、永久磁石20の占める角度θmを大きくすることが望ましい。一方、角度θmを大きくすると、ロータ1Cの表面におけるN極とS極との幅の差が大きくなる。
【0141】
この実施の形態2では、仮想磁極P2の径方向外側の幅である距離E1が、径方向内側の幅である距離E2よりも広い。距離E1を大きくすることにより、ロータ1Cの表面におけるN極およびS極の幅を均等に近づけることができる。また、距離E2を小さくすることにより、永久磁石20の幅を広くすることができる。
【0142】
磁石挿入孔11とロータコア10の外周10aとの間のスリット13およびスリット間領域は、実施の形態1で説明した通りである。スリット間領域の角度θsは、角度θv1以上である、すなわちθv1≦θsが成り立つことが望ましい。これによりロータ1Cの表面におけるN極とS極との幅の差を低減し、且つ磁気吸引力の違いに起因する振動を低減することができる。
【0143】
実施の形態2のロータ1Cは、上述した点を除き、実施の形態1のロータ1と同様に構成されている。
【0144】
なお、ここでは、各磁石挿入孔11に1つの永久磁石20を配置した例について説明したが、変形例1,2で説明したように各磁石挿入孔11に2つ以上の永久磁石を配置してもよい。
【0145】
以上説明したように、実施の形態2によれば、仮想磁極P2の両側のフラックスバリア12間の周方向の距離が、径方向内側よりも径方向外側で広い。そのため、ロータ1Cの表面におけるN極とS極との幅の差を低減しながら、永久磁石20の磁極面20aの面積を大きくして磁力を増加させることができる。電動機2の製造コストの上昇を抑えながら出力を増加させ、また効率を向上することができる。
【0146】
<空気調和装置>
次に、上述した各実施の形態および各変形例の電動機2が適用可能な空気調和装置について説明する。図14(A)は、実施の形態1の電動機2を適用した空気調和装置500の構成を示す図である。空気調和装置500は、室外機501と室内機502とを備える。室外機501と室内機502とは、冷媒配管503で接続されている。
【0147】
室外機501は、例えばプロペラファンである室外送風機510を備え、室内機502は、例えばクロスフローファンである室内送風機520を備える。室外送風機510は、羽根車511と、これを駆動する電動機2Aとを有する。室内送風機520は、羽根車521と、これを駆動する電動機2Bとを有する。電動機2A,2Bはいずれも、実施の形態1で説明した電動機2で構成される。なお、図14(A)には、冷媒を圧縮する圧縮機504も示されている。
【0148】
図14(B)は、室外機501の断面図である。電動機2Aは、室外機501のハウジング508内に配置されたフレーム509によって支持されている。電動機2Aの回転シャフト40には、ハブ512を介して羽根車511が取り付けられている。
【0149】
室外送風機510では、電動機2Aによって羽根車511が回転し、室外に送風する。空気調和装置500の冷房運転時には、圧縮機504で圧縮された冷媒が凝縮器(図示せず)で凝縮する際に放出された熱を、室外送風機510の送風によって室外に放出する。
【0150】
室内送風機520(図14(A))では、電動機2Bによって羽根車521が回転し、室内に送風する。空気調和装置500の冷房運転時には、冷媒が蒸発器(図示せず)で蒸発する際に熱が奪われた空気を、室内送風機520の送風によって室内に送風する。
【0151】
電動機2A,2Bは、実施の形態1の電動機2で構成されているため、より高い出力が得られる。そのため、室外送風機510および室内送風機520の運転効率を向上することができる。
【0152】
電動機2A,2Bには、実施の形態1の電動機2に限らず、実施の形態2または各変形例の電動機を有してもよい。また、各実施の形態および各変形例の電動機は、ここでは室外送風機510および室内送風機520の両方に用いられているが、いずれか一方のみに用いられていてもよい。
【0153】
各実施の形態で説明した電動機2は、送風機に限らず、空気調和装置の圧縮機に用いてもよく、また、空気調和装置以外の電気機器、例えば、家庭用電気機器、換気扇、工作機械等に用いてもよい。
【0154】
以上、望ましい実施の形態について具体的に説明したが、これらの実施の形態には各種の改良または変形を行なうことができる。
【符号の説明】
【0155】
1,1A,1B,1C ロータ、 2,2A,2B 電動機、 3 ロータ、 5 ステータ、 6 モールドステータ、 10 ロータコア、 10a 外周、 10b 内周、 11 磁石挿入孔、 12 フラックスバリア、 13 スリット、 14 コア領域、 15 スリット、 20 永久磁石、 21,23 永久磁石(第1の永久磁石)、 22,24 永久磁石(第2の永久磁石)、 25 永久磁石(第3の永久磁石)、 20a,21a,22a,23a,24a,25a 磁極面、 20b,21b,22b,23b,24b,25b 磁極面、 30 樹脂部、 40 回転シャフト、 50 ステータコア、 51 ティース、 52 ヨーク、 54 絶縁部、 55 コイル、 60 モールド樹脂部、 500 空気調和装置、 501 室外機、 502 室内機、 510 室外送風機、 511 羽根車、 520 室内送風機、 521 羽根車、 Ax 軸線、 C1,C2 極中心線、 P1 磁石磁極、 P2 仮想磁極、 R1 角部(第1の角部)、 R2 角部(第2の角部)、 R3 端部(第3の点:第1の点)、 R4 角部(第4の点:第2の点)、 R5 端部(第)、 R6 端部(第)、 R7 点(第3の点)、 R8 点(第4の点)
図1
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図14