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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】カテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/00 20060101AFI20241220BHJP
【FI】
A61M25/00 622
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023561441
(86)(22)【出願日】2022-10-03
(86)【国際出願番号】 JP2022037002
(87)【国際公開番号】W WO2023089973
(87)【国際公開日】2023-05-25
【審査請求日】2023-12-05
(31)【優先権主張番号】P 2021186242
(32)【優先日】2021-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】393015324
【氏名又は名称】株式会社グッドマン
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 京子
(72)【発明者】
【氏名】地搗 敏彦
【審査官】佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/255736(WO,A1)
【文献】特表2011-510744(JP,A)
【文献】特開2007-211933(JP,A)
【文献】特表2018-531759(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルチューブと、
前記カテーテルチューブの基端部に接続されたコネクタとを備え、
前記コネクタは、前記カテーテルチューブの基端部が挿入される挿入孔を有し、
前記挿入孔は、軸線方向の全域に亘って孔径が同じとされており、
前記コネクタは、前記挿入孔に挿入された前記基端部と接合されているカテーテルであって、
前記挿入孔に挿入された前記基端部のうち、前記コネクタと接合された接合部分よりも先端側は、前記コネクタと接合されない非接合部分となっており、
前記コネクタは、前記挿入孔が形成された本体部と、前記本体部から先端側に延出し前記挿入孔よりも先端側に設けられた延出部とを有し
前記延出部は、前記カテーテルチューブにおいて前記挿入孔から先端側に導出されたチューブ導出部分の一部を前記チューブ導出部分から離間した位置で囲む筒状をなし
前記延出部の内面には、先端側に向けて拡径されたテーパ面が含まれており、
前記延出部の先端部の内面は、内径が先端に向かうほど大きくなるように形成された曲面部となっており、
前記曲面部の曲率半径は、前記曲面部の全域において前記カテーテルチューブの外径半径よりも大きくなっており、
前記曲面部は、前記延出部の先端面と前記テーパ面とを滑らかに繋いでいる、カテーテル。
【請求項2】
前記テーパ面は、前記挿入孔の周面と連続している、請求項に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記延出部は、その基端部において内径が前記挿入孔の孔径よりも大きくされており、
前記延出部の内径は、基端部から先端部に向けて大きくされている、請求項に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記コネクタは、前記本体部と前延出部とが一体形成されている、請求項1乃至のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記コネクタは、光透過性を有して形成され、
前記カテーテルチューブは、光吸収性を有して形成され、
前記コネクタは、前記カテーテルチューブの基端部と溶着により接合されている、請求項1乃至のいずれか一項に記載のカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2021年11月16日に出願された日本出願番号2021-186242号に基づくもので、ここにその記載内容を援用する。
【技術分野】
【0002】
本開示は、カテーテルに関する。
【背景技術】
【0003】
一般に、カテーテルは、体内に導入されるカテーテルチューブと、カテーテルチューブの基端部に接続されたコネクタとを備えている(例えば特許文献1参照)。コネクタには、カテーテルチューブの基端部が挿入される挿入孔が形成され、その挿入孔に挿入された基端部がコネクタと溶着又は接着により接合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-090717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
カテーテルが体内に導入される際には、カテーテルチューブにおいて挿入孔から先端側に導出されたチューブ導出部分が、コネクタと接合された接合部分に対して曲げられる場合がある。この場合、チューブ導出部分の曲げ量が大きいと、カテーテルチューブが、コネクタとの接合部分とチューブ導出部分との境界部で屈曲し、キンクが発生するおそれがある。特に、カテーテルチューブは、接合部分とチューブ導出部分との硬度差が大きいため、それらの境界部でキンクが生じ易いと考えられる。
【0006】
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、キンクの発生を抑制することができるカテーテルを提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく、第1の開示のカテーテルは、カテーテルチューブと、前記カテーテルチューブの基端部に接続されたコネクタとを備え、前記コネクタは、前記カテーテルチューブの基端部が挿入される挿入孔を有し、前記挿入孔に挿入された前記基端部と接合されているカテーテルであって、前記コネクタは、前記挿入孔よりも先端側に設けられ、前記カテーテルチューブにおいて前記挿入孔から先端側に導出されたチューブ導出部分の一部を前記チューブ導出部分から離間した位置で囲む筒状又は環状の囲み部を有する。
【0008】
第1の開示によれば、カテーテルチューブの基端部がコネクタの挿入孔に挿入された状態でコネクタと接合されている。カテーテルチューブにおいて挿入孔から先端側に導出されたチューブ導出部分の一部は、コネクタの囲み部により囲まれている。この場合、カテーテルの体内への導入の際に、チューブ導出部分が曲げられると、その曲げ量が囲み部により制限される。これにより、カテーテルチューブにおいて、コネクタとの接合部分とチューブ導出部分との境界部でキンクが発生するのを抑制することができる。
【0009】
第2の開示のカテーテルは、第1の開示において、前記コネクタは、前記挿入孔が形成された本体部と、前記本体部から先端側に延出し筒状をなす延出部とを有し、前記延出部が前記囲み部となっている。
【0010】
カテーテルチューブのチューブ導出部分の曲げ量が囲み部により制限される際には、チューブ導出部分から囲み部に対して径方向外側への荷重が作用することになる。その点、第2の開示では、コネクタが、挿入孔が形成された本体部と、本体部から先端側に延出し筒状をなす延出部とを有し、その延出部がチューブ導出部分の一部を囲む囲み部となっている。この場合、延出部(囲み部)に作用する上記荷重を安定した状態で受けることができる。
【0011】
第3の開示のカテーテルは、第2の開示において、前記延出部の内面には、先端側に向けて拡径されたテーパ面が含まれている。
【0012】
第3の開示によれば、カテーテルチューブのチューブ導出部分が曲げられた場合に、チューブ導出部分を延出部のテーパ面に沿って当接させることができる。そのため、チューブ導出部分に応力集中が生じるのを抑制することができ、その結果、応力集中に起因するキンクの発生を抑制することができる。
【0013】
第4の開示のカテーテルは、第3の開示において、前記テーパ面は、前記挿入孔の周面と連続している。
【0014】
第4の開示によれば、テーパ面と挿入孔の周面とが連続しているため、テーパ面と挿入孔の周面との境界に段差が生じていない。この場合、カテーテルチューブが、挿入孔に挿入されコネクタと接合された接合部分と、挿入孔から導出されたチューブ導出部分との境界部で屈曲するのをより確実に抑制することができる。そのため、上記境界部においてキンクが発生するのをより確実に抑制することができる。
【0015】
第5の開示のカテーテルは、第2の開示において、前記延出部は、その基端部において内径が前記挿入孔の孔径よりも大きくされており、前記延出部の内径は、前記延出部における基端部から先端部に亘って同じとされているか、又は基端部から先端部に向けて大きくされている。
【0016】
カテーテルの体内への導入時にカテーテルチューブに基端側に向けた力が作用した場合には、カテーテルチューブのチューブ導出部分が、その基端部付近において、軸線方向と直交する方向に凸となるよう(膨らむように)曲がることが想定される。その点、第5の開示によれば、延出部が上記のように構成されていることで、延出部の内側空間を基端部から先端部に亘って広く確保することができる。これにより、チューブ導出部分の基端部付近が延出部の内側空間において無理なく曲がることが可能となり、その結果、チューブ導出部分の基端部付近でキンクが発生するのを抑制することが可能となる。
【0017】
第6の開示のカテーテルは、第1乃至第5のいずれかの開示において、前記囲み部の先端部の内面は、内径が先端に向かうほど大きくなるように形成された曲面部となっている。
【0018】
チューブ導出部分の曲げ量が延出部により制限されている状態で、チューブ導出部分にさらに曲げ力が作用すると、チューブ導出部分が延出部の先端部において屈曲するおそれがある。その点、第6の開示によれば、延出部の先端部の内面が曲面部となっているため、チューブ導出部分が延出部の先端部において曲面部に沿って曲げられることになる。そのため、チューブ導出部分が延出部の先端部において屈曲するのを抑制することができる。これにより、かかる屈曲に伴うキンクの発生を抑制することができる。
【0019】
第7の開示のカテーテルは、第1乃至第6のいずれかの開示において、前記カテーテルチューブにおいて前記挿入孔に挿入された前記基端部のうち、前記コネクタと接合された接合部分よりも先端側は、前記コネクタと接合されない非接合部分となっている。
【0020】
第7の開示によれば、カテーテルチューブにおいて挿入孔に挿入された基端部のうち、コネクタとの接合部分よりも先端側が非接合部分となっている。これにより、カテーテルチューブにおいて、コネクタとの接合部分と、挿入孔から導出されたチューブ導出部分との間の硬度差(硬度変化)を小さくすることができる。そのため、硬度差に起因したキンクの発生を抑制することができる。
【0021】
第8の開示のカテーテルは、第1乃至第7のいずれかの開示において、前記コネクタは、前記挿入孔が形成された本体部と、前記囲み部とが一体形成されている。
【0022】
上述したように、チューブ導出部分の曲げ量が囲み部により制限される際には、チューブ導出部分から囲み部に対して径方向外側への荷重が作用する。その点、第8の開示によれば、コネクタにおいて、挿入孔を有する本体部と囲み部とが一体形成されているため、上記の荷重により、囲み部が本体部から離脱してしまうのを防止することができる。
【0023】
第9の開示のカテーテルは、第1乃至第8のいずれかの開示において、前記コネクタは、光透過性を有して形成され、前記カテーテルチューブは、光吸収性を有して形成され、前記コネクタは、前記カテーテルチューブの基端部と溶着により接合されている。
【0024】
第9の開示によれば、コネクタが光透過性を有し、カテーテルチューブが光吸収性を有している。この場合、コネクタとカテーテルチューブとの境界面にコネクタを介してレーザー光を照射することにより、コネクタとカテーテルチューブとを互いの境界面にてレーザー溶着することができる。これにより、コネクタとカテーテルチューブとの溶着部分の厚みを比較的薄くすることができ、その結果、カテーテルチューブにおいてコネクタとの接合部分(溶着部分)と、チューブ導出部分との硬度差を小さくすることができる。そのため、硬度差に起因するキンクの発生をより一層抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本開示についての上記目的およびその他の目的、特徴や利点は、添付の図面を参照しながら下記の詳細な記述により、より明確になる。
図1】第1の実施形態において、カテーテルにおけるカテーテルチューブとコネクタとの接合部周辺を示す断面図。
図2】延出部の作用を説明するための断面図。
図3】第2の実施形態において、カテーテルにおけるカテーテルチューブとコネクタとの接合部周辺を示す断面図。
図4】延出部の作用を説明するための断面図。
図5】他の実施形態におけるコネクタの延出部周辺を示す断面図。
図6】他の実施形態におけるコネクタの延出部周辺を示す断面図。
図7】他の実施形態におけるコネクタの延出部周辺を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[第1の実施形態]
以下に、本開示を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、カテーテル10におけるカテーテルチューブ11とコネクタ12との接合部周辺を示す断面図である。
【0027】
図1に示すように、カテーテル10は、カテーテルチューブ11と、カテーテルチューブ11の基端部(近位端部)に接続されたコネクタ12とを備える。カテーテルチューブ11は円管状に形成され、その内部に軸線方向全域に亘って延びる内腔13を有している。カテーテルチューブ11は、軟質樹脂により可撓性を有して形成され、例えばポリアミドにより形成されている。また、カテーテルチューブ11は、黒色に着色されており、光吸収性を有している。
【0028】
なお、カテーテル10は、例えば造影カテーテルである。但し、カテーテル10は、バルーンカテーテルや吸引カテーテル等、他のカテーテルであってもよい。
【0029】
コネクタ12は、硬質樹脂により形成され、例えばポリアミドにより形成されている。コネクタ12は、全体として円管状に形成され、コネクタ12を軸線方向に貫通する孔部14を有している。また、コネクタ12は、透明性又は半透明性を有して形成され、光透過性を有している。なお、コネクタ12は、ハブとも呼ばれる。また、コネクタ12は、ポリアセタール、ポリカーボネート、ABS等、ポリアミド以外の硬質樹脂により形成されてもよい。
【0030】
コネクタ12は、カテーテルチューブ11の基端部11aが挿入される挿入孔16が形成された本体部17と、本体部17から先端側に延出する延出部18とを有している。挿入孔16は、孔部14の一部を構成しており、孔径がカテーテルチューブ11の外径と略同じとされている。また、挿入孔16は、軸線方向の全域に亘って孔径が同じとされている。
【0031】
挿入孔16に挿入されたカテーテルチューブ11の基端部11aは本体部17と溶着により接合されている。本実施形態では、カテーテルチューブ11の基端部11aが本体部17とレーザー溶着により接合されている。本体部17とカテーテルチューブ11の基端部11aとは、互いの界面においてレーザー溶着されている。ここで、レーザー溶着について説明すると、本体部17とカテーテルチューブ11の基端部11aとの界面には、コネクタ12を介してレーザー光が照射される。すると、その照射されたレーザー光により、上記の界面において熱が発生し、その発生した熱により本体部17と基端部11aとが溶融し両者11a,17が溶着されるようになっている。
【0032】
本体部17は、挿入孔16よりも基端側に延びており、コネクタ12の基端部を含んで構成されている。本体部17には、挿入孔16から基端側に延びるテーパ孔23と、テーパ孔23から基端側に延びる接続孔24とが形成されている。テーパ孔23と接続孔24とは、挿入孔16とともに孔部14の一部を構成している。テーパ孔23は基端側に向けて拡径されており、接続孔24はコネクタ12の基端部において開放されている。接続孔24には、他のコネクタを接続可能となっている。
【0033】
続いて、延出部18について説明する。延出部18は、本体部17の先端部から先端側に延出しており、円筒状をなしている。延出部18の延出長さL1は、カテーテルチューブ11において本体部17と接合されている接合部分21の長さL2(軸線方向の長さ)よりも長くなっている。
【0034】
延出部18は、その外径が軸線方向の全域に亘って略一定となっているのに対して、内径が基端側から先端側に向けて連続的に大きくなっている。延出部18の内径は挿入孔16の孔径よりも大きくなっており、換言するとカテーテルチューブ11の外径よりも大きくなっている。また、延出部18の先端部の内径は、カテーテルチューブ11の外径の2倍よりも大きくなっている。なお、延出部18の内径が先端側に向けて拡径されている点からすると、延出部18を拡径部ということもできる。
【0035】
延出部18の内面は、基端側から先端側に向けて拡径されたテーパ状のテーパ面26となっている。テーパ面26は、挿入孔16の周面16aから先端側に向けて拡径されている。そのため、テーパ面26と挿入孔16の周面16aとは互いの境界部において連続している。
【0036】
延出部18の内側には、内側空間25が形成されている。内側空間25は、挿入孔16と連通しており、孔部14の一部を構成している。また、内側空間25は、先端側に向けて開口されている。カテーテルチューブ11において挿入孔16から先端側に導出されたチューブ導出部分22は、内側空間25を通じて先端側へ延びている。この場合、チューブ導出部分22の一部が、延出部18により囲まれた状態となっている。また、チューブ導出部分22と延出部18とは互いに離間している。なお、延出部18が「囲み部」に相当する。
【0037】
延出部18の先端部の内面は、内径が先端に向かうほど大きくなるように曲面状に形成された曲面部28となっている。曲面部28は、延出部18の先端面とテーパ面26とを滑らかに繋いでいる。曲面部28の曲率半径は、カテーテルチューブ11の外径半径よりも大きくなっている。詳しくは、曲面部28の曲率半径は、曲面部28の全域においてカテーテルチューブ11の外径半径よりも大きくなっている。なお、曲面部28の一部において曲率半径がカテーテルチューブ11の外径半径以下となっていてもよい。
【0038】
続いて、延出部18の作用について図2に基づき説明する。図2は、延出部18の作用を説明するための断面図である。
【0039】
カテーテル10が患者の体内に導入される際には、図2(a)に示すように、カテーテルチューブ11において挿入孔16から導出されたチューブ導出部分22が、カテーテルチューブ11においてコネクタ12と接合された接合部分21に対して曲げられることがある。この場合、上記のコネクタ12によれば、チューブ導出部分22がコネクタ12の延出部18に当接され、詳しくは延出部18のテーパ面26に沿って当接される。そして、その当接により、接合部分21に対するチューブ導出部分22の曲げ量が制限される。そのため、カテーテルチューブ11が、チューブ導出部分22と接合部分21との境界部においてキンクするのを抑制することができる。
【0040】
ところで、チューブ導出部分22の曲げ(曲げ量)が延出部18により制限されている状態で、チューブ導出部分22がさらに曲げられると、チューブ導出部分22が延出部18の先端部において屈曲するおそれがある。その点、上記のコネクタ12によれば、図2(b)に示すように、チューブ導出部分22が曲面部28に沿って曲げられる。そのため、チューブ導出部分22が延出部18の先端部において屈曲するのを抑制することができる。これにより、かかる屈曲に伴うキンクの発生を抑制することができる。
【0041】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0042】
カテーテルチューブ11のチューブ導出部分22の曲げ量が囲み部により制限される際には、チューブ導出部分22から囲み部に対して径方向外側への荷重が作用することになる。その点、上記の実施形態では、囲み部が、コネクタ12の本体部17から先端側に延出する筒状の延出部18となっているため、延出部18(囲み部)に作用する上記の荷重を安定した状態で受けることができる。
【0043】
また、本体部17と延出部18とが一体形成されているため、上記の荷重により、延出部18が本体部17から離脱してしまうのを防止することができる。
【0044】
延出部18の内面が先端側に向けて拡径されたテーパ面26となっているため、チューブ導出部分22が曲げられた場合に、チューブ導出部分22をテーパ面26に沿って当接させることができる。そのため、チューブ導出部分22に応力集中が生じるのを抑制することができ、その結果、応力集中に起因するキンクの発生を抑制することができる。
【0045】
テーパ面26と挿入孔16の周面16aとが連続しているため、テーパ面26と挿入孔16の周面16aとの境界に段差が生じていない。この場合、カテーテルチューブ11が、挿入孔16に挿入されコネクタ12と接合された接合部分21と、挿入孔16から導出されたチューブ導出部分22との境界部で屈曲するのをより確実に抑制することができる。そのため、上記境界部においてキンクが発生するのをより確実に抑制することができる。
【0046】
コネクタ12が光透過性を有し、カテーテルチューブ11が光吸収性を有している。この場合、コネクタ12とカテーテルチューブ11との境界面にコネクタ12を介してレーザー光を照射することにより、コネクタ12とカテーテルチューブ11とを互いの境界面にてレーザー溶着することができる。これにより、コネクタ12とカテーテルチューブ11との溶着部分の厚みを比較的薄くすることができ、その結果、カテーテルチューブ11においてコネクタ12との接合部分21(溶着部分)と、チューブ導出部分22との硬度差を小さくすることができる。そのため、硬度差に起因するキンクの発生をより一層抑制することができる。
【0047】
〔第2の実施形態〕
続いて、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、コネクタの延出部の構成が上記第1の実施形態と相違している。そこで、以下では、その相違点を中心として、本実施形態の構成について説明する。図3は、カテーテル30におけるカテーテルチューブ11とコネクタ32との接合部周辺を示す断面図である。
【0048】
図3に示すように、本実施形態のカテーテル30は、第1の実施形態と同様、カテーテルチューブ11と、カテーテルチューブ11の基端部11aに接続されたコネクタ32とを備える。カテーテルチューブ11は、第1の実施形態と同じ構成であるため、同じ符号を付し、その説明を割愛する。
【0049】
コネクタ32は、第1の実施形態と同様、カテーテルチューブ11の基端部11aが挿入される挿入孔36が形成された本体部37と、本体部37から先端側に延出する円筒状の延出部38とを有する。本体部37の構成は、第1の実施形態と同様であるため、その説明を割愛する。
【0050】
延出部38は、その内径が基端部から先端部に亘って一定とされている。そのため、延出部38の内面は軸線方向に対して平行に延びる非テーパ面となっている。延出部38の内径は挿入孔16の孔径よりも大きくなっており、換言するとカテーテルチューブ11の外径よりも大きくなっている。詳しくは、延出部38の内径はカテーテルチューブ11の外径の2倍よりも大きくなっている。なお、延出部38の内径が基端部から先端部に亘って一定となっている点からすると、延出部38を等径部ということもできる。
【0051】
また、延出部38の延出長さは、上記第1の実施形態と同様、カテーテルチューブ11におけるコネクタ12との接合部分21の長さよりも長くなっている。また、延出部38の先端部の内面には曲面部48が形成されている。
【0052】
続いて、延出部38の作用について図4に基づき説明する。図4は、延出部38の作用を説明するための断面図である。
【0053】
図4(a)に示すように、カテーテル30の体内への導入時に、カテーテルチューブ11のチューブ導出部分22が接合部分21に対して曲げられると、チューブ導出部分22がコネクタ32の延出部38に当接される。そして、その当接により、カテーテルチューブ11の曲げ量が制限される。そのため、上記第1の実施形態と同様、カテーテルチューブ11が、チューブ導出部分22と接合部分21との境界部にてキンクするのを抑制することができる。
【0054】
カテーテル30の体内への導入時には、カテーテルチューブ11に基端側に向けた力が作用する場合がある。その場合、カテーテルチューブ11のチューブ導出部分22が、その基端部付近において、軸線方向と直交する方向に凸となるよう(膨らむように)曲がることが想定される。その点、上記のコネクタ32によれば、延出部38の内径が、延出部38における基端部から先端部に亘って挿入孔16の孔径よりも大きくなっているため、延出部38の内側空間45が基端部から先端部に亘って広く確保されている。そのため、図4(b)に示すように、チューブ導出部分22の基端部付近が延出部38の内側空間45において無理なく曲がることが可能となり、その結果、チューブ導出部分22が基端部付近でキンクするのを抑制することが可能となる。
【0055】
〔他の実施形態〕
本開示は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0056】
(1)図5(a)に示すように、コネクタ50の延出部52の内面が、複数のテーパ面54,55を含んでいてもよい。各テーパ面54,55は、延出部52の軸線方向に隣接しており、テーパ面54が基端側に配置され、テーパ面55が先端側に配置されている。各テーパ面54,55は、いずれも基端側から先端側に向けて拡径され、互いの境界部において連続している。また、基端側のテーパ面54は、その基端部において挿入孔16の周面16aと連続している。各テーパ面54,55は、延出部52の軸線方向に対して傾斜する傾斜角度が互いに異なっている。具体的には、先端側のテーパ面55の傾斜角度が基端側のテーパ面54の傾斜角度よりも大きくなっている。
【0057】
上記の構成によれば、基端側のテーパ面54の傾斜角度が小さくなっているため、カテーテルチューブ11のチューブ導出部分22が接合部分21に対して屈曲するのをさらに抑制することができる。そのため、キンクの発生をさらに抑制することができる。また、先端側のテーパ面55の傾斜角度が大きくなっているため、キンクの発生を抑制しながらも、チューブ導出部分22の曲げ量を十分に確保することができる。
【0058】
(2)図5(b)に示すように、コネクタ60の延出部62の内面が、湾曲面63を含んでいてもよい。図5(b)の例では、湾曲面63が、延出部62における軸線方向の全域に亘って形成されている。湾曲面63は、基端側から先端側に向かうにつれて内径が大きくなるように形成され、その曲率が基端側から先端側に向かうほど大きくなっている。かかる構成によれば、上記(1)の構成と同様の効果を得ることができる。
【0059】
(3)図5(c)に示すように、コネクタ70の延出部72が、等径部73と拡径部74とをそれぞれ含んでいてもよい。図5(c)の例では、等径部73が延出部72の先端側に設けられ、拡径部74が延出部72の基端側に設けられている。等径部73は、その内径が一定とされている。そのため、等径部73の内面は、延出部72の軸線方向と平行に延びる非テーパ面76となっている。また、等径部73の内径は挿入孔16の孔径よりも大きくなっている。
【0060】
拡径部74は、その内径が基端側から先端側に向けて大きくなっている。そのため、拡径部74の内面は、先端側に向けて拡径されたテーパ面77となっている。テーパ面77は、その基端部において挿入孔16の周面16aと連続し、先端部において非テーパ面76と連続している。また、等径部73と拡径部74とは軸線方向の長さが略同じとされている。
【0061】
上記の構成によれば、カテーテルチューブ11に基端側に向けた力が作用した場合に、チューブ導出部分22が延出部72の内側空間78(主に等径部73の内側)において曲がることが可能となる。そのため、かかる場合にキンクの発生を抑制することができる。
【0062】
(4)図6(a)に示すように、コネクタ80の延出部82に、内側に突出する突出部85を設けてもよい。突出部85は、延出部82の周方向に沿って円環状に延びており、延出部82の軸線方向に所定の間隔で複数(具体的には2つ)設けられている。かかる構成では、カテーテルチューブ11のチューブ導出部分22が曲げられた場合に、チューブ導出部分22を延出部82の先端部に加え、突出部85の先端部に当接させることができる。そのため、チューブ導出部分22がコネクタ80との当接箇所から受ける応力を分散させることができる。
【0063】
図6(a)の例では、各突出部85の突出高さがいずれも同じとされているが、図6(b)に示すように、各突出部86,87の突出高さを異ならせてもよい。図6(b)の例では、各突出部86,87のうち、基端側の突出部86よりも先端側の突出部87の方が突出高さが低くされている。つまり、図6(b)の例では、先端側の突出部ほど突出高さが低くされている。かかる構成では、チューブ導出部分22が曲げられた場合に、チューブ導出部分22を各突出部86,87の先端部にそれぞれ当接させ易い。そのため、チューブ導出部分22がコネクタ80との当接箇所から受ける応力を分散させる効果を得やすい。
【0064】
(5)図7に示すように、コネクタ32の挿入孔36に挿入されるカテーテルチューブ11の基端部11aのうち、コネクタ32と接合される接合部分91よりも先端側に、コネクタ32と接合されない非接合部分92を設けてもよい。この場合、カテーテルチューブ11において、コネクタ32との接合部分91と、挿入孔36から導出されたチューブ導出部分22との間の硬度差(硬度変化)を小さくすることができる。そのため、硬度差に起因したキンクの発生を抑制することができる。
【0065】
(6)上記各実施形態では、コネクタ12,32を本体部17,37と延出部18,38とを有する構成としたが、コネクタの構成は必ずしもこれに限らない。例えば、コネクタを、本体部と、本体部よりも先端側に設けられチューブ導出部分22の一部を囲む円環状の囲み部と、囲み部と本体部とを接続する棒状の接続部とを有する構成としてもよい。この場合にも、カテーテルチューブ11のチューブ導出部分22が曲げられた場合に、その曲げ量を囲み部により制限することができる。そのため、カテーテルチューブ11が接合部分21とチューブ導出部分22との境界部でキンクするのを抑制することができる。
【0066】
(7)上記各実施形態では、カテーテルチューブ11の基端部11aをコネクタ12にレーザー溶着したが、レーザー溶着以外の溶着方法を採用してもよい。また、カテーテルチューブ11の基端部11aをコネクタ12に接着剤を用いて接着してもよい。要するに、カテーテルチューブ11の基端部11aはコネクタ12に溶着又は接着により接合されればよい。
【0067】
本開示は、実施形態に準拠して記述されたが、本開示は当該実施形態や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0068】
10…カテーテル、11…カテーテルチューブ、12…コネクタ、16…挿入孔、17…本体部、18…囲み部としての延出部、22…チューブ導出部分、26…テーパ面、28…曲面部、30…カテーテル、32…コネクタ、36…挿入孔、37…本体部、38…延出部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7