IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オリンパスメディカルシステムズ株式会社の特許一覧

特許7607803医療支援システム、レポート作成支援方法および情報処理装置
<>
  • 特許-医療支援システム、レポート作成支援方法および情報処理装置 図1
  • 特許-医療支援システム、レポート作成支援方法および情報処理装置 図2
  • 特許-医療支援システム、レポート作成支援方法および情報処理装置 図3
  • 特許-医療支援システム、レポート作成支援方法および情報処理装置 図4
  • 特許-医療支援システム、レポート作成支援方法および情報処理装置 図5
  • 特許-医療支援システム、レポート作成支援方法および情報処理装置 図6
  • 特許-医療支援システム、レポート作成支援方法および情報処理装置 図7
  • 特許-医療支援システム、レポート作成支援方法および情報処理装置 図8
  • 特許-医療支援システム、レポート作成支援方法および情報処理装置 図9
  • 特許-医療支援システム、レポート作成支援方法および情報処理装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】医療支援システム、レポート作成支援方法および情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/045 20060101AFI20241220BHJP
【FI】
A61B1/045 621
A61B1/045 619
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2023573811
(86)(22)【出願日】2022-01-17
(86)【国際出願番号】 JP2022001462
(87)【国際公開番号】W WO2023135816
(87)【国際公開日】2023-07-20
【審査請求日】2024-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】304050923
【氏名又は名称】オリンパスメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(72)【発明者】
【氏名】坂従 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】小林 祐大
【審査官】冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】特許第6425868(JP,B1)
【文献】特開2017-086274(JP,A)
【文献】特表2022-502150(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 - 1/32
A61B 5/00 - 5/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療支援システムであって、ハードウェアを有する1つ以上のプロセッサを備え、
前記1つ以上のプロセッサは、
ユーザによるキャプチャ操作によりキャプチャされた第1画像と、病変を含んでコンピュータによりキャプチャされたコンピュータキャプチャ画像とを取得し、
前記第1画像に含まれていない病変を含む前記コンピュータキャプチャ画像を、第2画像として特定し、
レポートに添付する画像を選択するための選択画面であって、前記第1画像と前記第2画像とを含む前記選択画面を生成する、
ことを特徴とする医療支援システム。
【請求項2】
前記1つ以上のプロセッサは、
前記選択画面において、ユーザが前記第1画像または前記第2画像を選択する操作を受け付ける、
ことを特徴とする請求項1に記載の医療支援システム。
【請求項3】
前記1つ以上のプロセッサは、
前記第1画像に含まれる臓器を示す情報と、前記コンピュータキャプチャ画像に含まれる臓器を示す情報にもとづいて、前記コンピュータキャプチャ画像に含まれる臓器と同じ臓器を含む前記第1画像があるか否かを判定し、
前記コンピュータキャプチャ画像に含まれる臓器と同じ臓器を含む前記第1画像がない場合、前記コンピュータキャプチャ画像を、前記第2画像として特定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の医療支援システム。
【請求項4】
前記1つ以上のプロセッサは、
前記第1画像に含まれる臓器の部位を示す情報と、前記コンピュータキャプチャ画像に含まれる臓器の部位を示す情報にもとづいて、前記コンピュータキャプチャ画像に含まれる部位と同じ部位を含む前記第1画像があるか否かを判定し、
前記コンピュータキャプチャ画像に含まれる部位と同じ部位を含む前記第1画像がない場合、前記コンピュータキャプチャ画像を、前記第2画像として特定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の医療支援システム。
【請求項5】
前記1つ以上のプロセッサは、
前記第1画像に含まれる病変のサイズを示す情報と、前記コンピュータキャプチャ画像に含まれる病変のサイズを示す情報にもとづいて、前記コンピュータキャプチャ画像に含まれる病変のサイズと同じサイズの病変を含む前記第1画像があるか否かを判定し、
前記コンピュータキャプチャ画像に含まれる病変のサイズと同じサイズの病変を含む前記第1画像がない場合、前記コンピュータキャプチャ画像を、前記第2画像として特定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の医療支援システム。
【請求項6】
前記1つ以上のプロセッサは、
前記第1画像に含まれる病変の形状を示す情報と、前記コンピュータキャプチャ画像に含まれる病変の形状を示す情報にもとづいて、前記コンピュータキャプチャ画像に含まれる病変の形状と同じ形状の病変を含む前記第1画像があるか否かを判定し、
前記コンピュータキャプチャ画像に含まれる病変の形状と同じ形状の病変を含む前記第1画像がない場合、前記コンピュータキャプチャ画像を、前記第2画像として特定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の医療支援システム。
【請求項7】
前記1つ以上のプロセッサは、
前記第1画像に含まれる病変の種類を示す情報と、前記コンピュータキャプチャ画像に含まれる病変の種類を示す情報にもとづいて、前記コンピュータキャプチャ画像に含まれる病変の種類と同じ種類の病変を含む前記第1画像があるか否かを判定し、
前記コンピュータキャプチャ画像に含まれる病変の種類と同じ種類の病変を含む前記第1画像がない場合、前記コンピュータキャプチャ画像を、前記第2画像として特定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の医療支援システム。
【請求項8】
前記1つ以上のプロセッサは、
前記第1画像に含まれる臓器を示す情報、部位を示す情報、病変のサイズを示す情報、病変の形状を示す情報および病変の種類を示す情報と、前記コンピュータキャプチャ画像に含まれる臓器を示す情報、部位を示す情報、病変のサイズを示す情報、病変の形状を示す情報および病変の種類を示す情報とにもとづいて、前記コンピュータキャプチャ画像に含まれる臓器、部位、病変と同じ臓器、部位、病変を含む前記第1画像があるか否かを判定し、
前記コンピュータキャプチャ画像に含まれる臓器、部位、病変と同じ臓器、部位、病変を含む前記第1画像がない場合、前記コンピュータキャプチャ画像を、前記第2画像として特定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の医療支援システム。
【請求項9】
前記1つ以上のプロセッサは、
前記第1画像に含まれていない病変を含む前記コンピュータキャプチャ画像の数が所定の第1上限数を超えている場合に、病変の種類に応じて設定された優先順位にもとづいて、前記第1上限数以下の前記コンピュータキャプチャ画像を、前記第2画像として特定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の医療支援システム。
【請求項10】
前記1つ以上のプロセッサは、
前記コンピュータキャプチャ画像に含まれる病変をユーザが観察した時間を示す情報を取得し、
記優先順位にもとづいて、前記第2画像の候補となる前記コンピュータキャプチャ画像を特定しても、前記第2画像の候補の数が前記第1上限数を超えている場合に、ユーザが観察した時間の短い前記コンピュータキャプチャ画像を前記第2画像の候補から外して、前記第1上限数以下の前記コンピュータキャプチャ画像を、前記第2画像として特定する、
ことを特徴とする請求項9に記載の医療支援システム。
【請求項11】
前記1つ以上のプロセッサは、
同じ部位の所定の種類の病変を含む1枚以上の前記第1画像と、1枚以上の前記コンピュータキャプチャ画像との合計枚数が所定の第2上限数を超えている場合に、前記コンピュータキャプチャ画像を、前記第2画像として特定しない、
ことを特徴とする請求項1に記載の医療支援システム。
【請求項12】
前記1つ以上のプロセッサは、
前記第1画像を表示する第1領域と、前記第2画像を表示する第2領域とを別個に設けた前記選択画面を生成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の医療支援システム。
【請求項13】
前記1つ以上のプロセッサは、
前記第1画像と前記第2画像とを、同一画面に表示する、
ことを特徴とする請求項12に記載の医療支援システム。
【請求項14】
前記1つ以上のプロセッサは、
第1表示モードで、前記第1画像と前記第2画像とを同一画面に表示し、
第2表示モードで、前記第2画像を表示し、前記第1画像を表示しない、
ことを特徴とする請求項1に記載の医療支援システム。
【請求項15】
ユーザによるキャプチャ操作によりキャプチャされた第1画像を取得し、
病変を含んでコンピュータによりキャプチャされたコンピュータキャプチャ画像を取得し、
前記第1画像に含まれていない病変を含む前記コンピュータキャプチャ画像を、第2画像として特定し、
レポートに添付する画像を選択するための選択画面であって、前記第1画像と前記第2画像とを含む前記選択画面を生成する、
ことを特徴とするレポート作成支援方法。
【請求項16】
前記選択画面において、ユーザが前記第1画像または前記第2画像を選択する操作を受け付ける、
ことを特徴とする請求項15に記載のレポート作成支援方法。
【請求項17】
コンピュータに、
ユーザによるキャプチャ操作によりキャプチャされた第1画像を取得する機能と、
病変を含んで別のコンピュータによりキャプチャされたコンピュータキャプチャ画像を取得する機能と、
前記第1画像に含まれていない病変を含む前記コンピュータキャプチャ画像を、第2画像として特定する機能と、
レポートに添付する画像を選択するための選択画面であって、前記第1画像と前記第2画像とを含む前記選択画面を生成する機能と、
を実現させるためのプログラム。
【請求項18】
コンピュータに、
前記選択画面において、ユーザが前記第1画像または前記第2画像を選択する操作を受け付ける機能を実現させる、
ことを特徴とする請求項17に記載のプログラム。
【請求項19】
情報処理装置であって、ハードウェアを有する1つ以上のプロセッサを備え、
前記1つ以上のプロセッサは、
ユーザによるキャプチャ操作によりキャプチャされた第1画像と、病変を含んでコンピュータによりキャプチャされたコンピュータキャプチャ画像とを取得し、
前記第1画像に含まれていない病変を含む前記コンピュータキャプチャ画像を、第2画像として特定し、
レポートに添付する画像を選択するための選択画面であって、前記第1画像と前記第2画像とを含む前記選択画面を生成する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項20】
前記1つ以上のプロセッサは、
前記選択画面において、ユーザが前記第1画像または前記第2画像を選択する操作を受け付ける、
ことを特徴とする請求項19に記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レポートの作成を支援するための医療支援システムおよび医療支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡検査において、医師は、表示装置に表示される内視鏡画像を観察し、病変を見つけると内視鏡のレリーズスイッチを操作して、当該病変を撮影した内視鏡画像をキャプチャ(保存)する。検査終了後、医師は、検査結果をレポート入力画面に入力するとともに、キャプチャした複数枚の内視鏡画像の中から、レポートに添付する内視鏡画像を選択して、レポートを作成する。特許文献1は、キャプチャした複数の内視鏡画像の一覧を、添付候補画像として表示するレポート入力画面を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-86274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、レポート入力画面に一覧表示される内視鏡画像は、医師によるキャプチャ操作(レリーズスイッチ操作)によりキャプチャされた画像に限定される。したがって、医師が患者に負担をかけないよう短時間で内視鏡検査を行う中で、キャプチャ操作を忘れた画像をレポートに添付することはできない。近年研究が進められているコンピュータ支援診断(CAD:computer-aided diagnosis)システムを利用して、CADシステムが病変検出した画像を添付候補画像としてレポート入力画面に表示することも可能であるが、CADシステムが病変検出した画像が大量に存在する場合、医師がレポート入力画面からレポート添付画像を選択する手間が増えることになる。
【0005】
本開示はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、CADシステムなどのコンピュータによりキャプチャされた画像を効率的に表示することのできる医療支援技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の医療支援システムは、ハードウェアを有する1つ以上のプロセッサを備える。1つ以上のプロセッサは、ユーザによるキャプチャ操作によりキャプチャされた第1画像と病変を含んでコンピュータによりキャプチャされたコンピュータキャプチャ画像とを取得し、第1画像に含まれていない病変を含むコンピュータキャプチャ画像を第2画像として特定し、レポートに添付する画像を選択するための選択画面であって、第1画像と第2画像とを含む選択画面を生成する。
【0007】
本発明の別の態様は、医療支援方法である。この方法は、ユーザによるキャプチャ操作によりキャプチャされた第1画像を取得し、病変を含んでコンピュータによりキャプチャされたコンピュータキャプチャ画像を取得し、第1画像に含まれていない病変を含むコンピュータキャプチャ画像を第2画像として特定し、レポートに添付する画像を選択するための選択画面であって、第1画像と第2画像とを含む選択画面を生成する。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせ、本開示の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例にかかる医療支援システムの構成を示す図である。
図2】サーバ装置の機能ブロックを示す図である。
図3】キャプチャ画像に紐付けられる情報の例を示す図である。
図4】情報処理装置の機能ブロックを示す図である。
図5】内視鏡画像を選択するための選択画面の例を示す図である。
図6】検査結果を入力するためのレポート作成画面の一例を示す図である。
図7】優先度記憶部に記憶されたテーブルを示す図である。
図8】内視鏡画像を選択するための選択画面の別の例を示す図である。
図9】コンピュータキャプチャ画像を全て表示したときの選択画面の例を示す図である。
図10】キャプチャ画像に紐付けられる情報の別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、実施例にかかる医療支援システム1の構成を示す。医療支援システム1は、内視鏡検査を行う病院などの医療施設に設けられる。医療支援システム1において、サーバ装置2、画像解析装置3、画像蓄積装置8、内視鏡システム9および端末装置10bは、LAN(ローカルエリアネットワーク)などのネットワーク4を介して、通信可能に接続される。内視鏡システム9は検査室に設けられ、内視鏡観察装置5および端末装置10aを有する。医療支援システム1において、サーバ装置2、画像解析装置3および画像蓄積装置8は、医療施設の外部に、たとえばクラウドサーバとして設けられてもよい。
【0011】
内視鏡観察装置5は、患者の消化管に挿入される内視鏡7を接続される。内視鏡7は、内視鏡観察装置5から供給される照明光を伝送して、消化管内を照明するためのライトガイドを有し、先端部には、ライトガイドにより伝送される照明光を生体組織へ出射するための照明窓と、生体組織を所定の周期で撮影して撮像信号を内視鏡観察装置5に出力する撮影部が設けられる。撮影部は、入射光を電気信号に変換する固体撮像素子(たとえばCCDイメージセンサまたはCMOSイメージセンサ)を含む。
【0012】
内視鏡観察装置5は、内視鏡7の固体撮像素子により光電変換された撮像信号に対して画像処理を施して内視鏡画像を生成し、表示装置6にリアルタイムに表示する。内視鏡観察装置5は、A/D変換、ノイズ除去などの通常の画像処理に加えて、強調表示等を目的とする特別な画像処理を実施する機能を備えてよい。内視鏡観察装置5は、内視鏡画像を所定の周期(たとえば1/60秒)で生成する。内視鏡観察装置5は、専用ハードウェアを有する1つ以上のプロセッサによって構成されてよいが、汎用ハードウェアを有する1つ以上のプロセッサによって構成されてもよい。
【0013】
医師は、検査手順にしたがって、表示装置6に表示されている内視鏡画像を観察する。医師は、内視鏡7を動かしながら内視鏡画像を観察し、病変が表示装置6に映し出されると、内視鏡7のレリーズスイッチを操作する。レリーズスイッチが操作されると、内視鏡観察装置5は、レリーズスイッチが操作されたタイミングで内視鏡画像をキャプチャ(保存)して、キャプチャした内視鏡画像を、当該内視鏡画像を識別する情報(画像ID)とともに画像蓄積装置8に送信する。なお内視鏡観察装置5は、検査終了後に、キャプチャした複数の内視鏡画像をまとめて画像蓄積装置8に送信してもよい。画像蓄積装置8は、内視鏡検査を識別する検査IDに紐付けて、内視鏡観察装置5から送信された内視鏡画像を記録する。画像蓄積装置8に蓄積される内視鏡画像は、医師による検査レポートの作成に利用される。
【0014】
端末装置10aは、情報処理装置11aおよび表示装置12aを備えて、検査室に設けられる。端末装置10aは、医師や看護師等が内視鏡検査中に、病変に関する情報をリアルタイムに確認するために利用される。情報処理装置11aは、サーバ装置2および/または画像解析装置3から、内視鏡検査中、病変に関する情報を取得して、表示装置12aに表示する。たとえば表示装置12aには、画像解析装置3により画像解析された病変のサイズ、病変の深達度および病変の質的診断結果などが表示されてよい。
【0015】
端末装置10bは、情報処理装置11bおよび表示装置12bを備えて、検査室以外の部屋に設けられる。端末装置10bは、医師が内視鏡検査のレポートを作成する際に利用される。端末装置10a、10bは、汎用ハードウェアを有する1つ以上のプロセッサによって構成される。
【0016】
実施例の医療支援システム1において、内視鏡観察装置5は、内視鏡画像を表示装置6からリアルタイムに表示させるとともに、内視鏡画像を、当該画像のメタ情報とともに、画像解析装置3にリアルタイムに供給する。ここでメタ情報は、画像のフレーム番号、撮影時刻情報を少なくとも含み、フレーム番号は、内視鏡7が撮影を開始してから何フレーム目であるかを示す情報である。つまりフレーム番号は、撮影順を示すシリアルな番号であってよく、たとえば最初に撮影された内視鏡画像のフレーム番号は「1」、2番目に撮影された内視鏡画像のフレーム番号は「2」に設定されている。
【0017】
画像解析装置3は内視鏡画像を解析して、内視鏡画像に含まれる病変を検出して、検出した病変を質的診断する電子計算機(コンピュータ)である。画像解析装置3はAI(artificial intelligence)診断機能を有するCAD(computer-aided diagnosis)システムであってよい。画像解析装置3は専用ハードウェアを有する1つ以上のプロセッサによって構成されてよいが、汎用ハードウェアを有する1つ以上のプロセッサによって構成されてもよい。
【0018】
画像解析装置3は、学習用の内視鏡画像および内視鏡画像に含まれる病変領域に関する情報を教師データとして用いた機械学習により生成された学習済みモデルを利用する。内視鏡画像のアノテーション作業は、医師などの専門知識を有するアノテータにより実施され、機械学習には、ディープラーニングの一種であるCNN、RNN、LSTMなどを使用してよい。この学習済みモデルは、内視鏡画像を入力すると、撮影された臓器を示す情報、撮影された部位を示す情報と、撮影された病変に関する情報(病変情報)とを出力する。画像解析装置3が出力する病変情報は、内視鏡画像に病変が含まれているか否かを示す病変有無情報を少なくとも含む。病変が含まれている場合、病変情報は、病変のサイズを示す情報、病変の輪郭の位置を示す情報、病変の形状を示す情報、病変の深達度を示す情報および病変の質的診断結果を含んでよい。病変の質的診断結果は、病変の種類を含む。内視鏡検査中、画像解析装置3は、内視鏡観察装置5から内視鏡画像をリアルタイムに提供されて、内視鏡画像ごとに、臓器を示す情報、部位を示す情報および病変情報を出力する。以下、臓器を示す情報、部位を示す情報、病変情報を、まとめて「画像メタ情報」と呼ぶ。
【0019】
実施例の画像解析装置3は、医師(以下「ユーザ」と呼ぶこともある)が病変を観察していた時間を計時する機能を有する。ユーザがレリーズスイッチを操作して内視鏡画像をキャプチャする場合、画像解析装置3は、当該内視鏡画像に含まれる病変が、それ以前の内視鏡画像に最初に含まれてから、レリーズスイッチが操作されるまでの時間を、当該病変をユーザが観察していた時間として計測する。つまり画像解析装置3は、当該病変が最初に撮影されてから、ユーザがキャプチャ操作(レリーズスイッチ操作)するまでの時間を、当該病変の観察時間として特定する。なお実施例において「撮影」は、内視鏡7の固体撮像素子が入射光を電気信号に変換する動作を意味し、「キャプチャ」は、内視鏡観察装置5が生成した内視鏡画像を保存(記録)する動作を意味する。
【0020】
ユーザがキャプチャ操作をすると、内視鏡観察装置5は、キャプチャ操作をしたことを示す情報(キャプチャ操作情報)とともに、キャプチャした内視鏡画像のフレーム番号、撮影時刻および画像IDを画像解析装置3に提供する。画像解析装置3はキャプチャ操作情報を取得すると、病変の観察時間を特定して、画像ID、フレーム番号、撮影時刻情報、病変の観察時間および提供されたフレーム番号の画像メタ情報を、サーバ装置2に提供する。サーバ装置2は、内視鏡画像の画像IDに紐付けて、フレーム番号、撮影時刻情報、病変の観察時間および画像メタ情報を記録する。
【0021】
実施例の画像解析装置3は、内視鏡画像内に病変を検出すると、当該内視鏡画像を自動でキャプチャする機能を有する。なお、1つの同じ病変が10秒間分の内視鏡動画に含まれている場合、画像解析装置3は、当該病変を最初に検出したときの内視鏡画像を自動でキャプチャしてよく、後続の内視鏡画像から同じ病変を検出しても、自動キャプチャを行わなくてよい。なお画像解析装置3は、最終的に、検出した病変を含む内視鏡画像を1枚キャプチャすればよく、たとえば同じ病変を含む複数枚の内視鏡画像をキャプチャした後、最も病変が鮮明に撮影されている1枚の内視鏡画像を選択して、他のキャプチャした内視鏡画像を破棄してもよい。以下、キャプチャ主体を明確にするために、ユーザによるキャプチャ操作によりキャプチャされた内視鏡画像を「ユーザキャプチャ画像」と呼び、画像解析装置3により自動キャプチャされた内視鏡画像を「コンピュータキャプチャ画像」と呼ぶこともある。
【0022】
画像解析装置3は、コンピュータキャプチャ画像を取得すると、当該コンピュータキャプチャ画像に含まれる病変の観察時間を事後的に特定する。画像解析装置3は、病変が撮影されている時間を、当該病変の観察時間として特定してよい。たとえば当該病変が、10秒間分の動画に含まれている場合(つまり10秒間撮影されて、表示装置12aに表示されている場合)、画像解析装置3は、当該病変の観察時間を10秒と特定してよい。したがって画像解析装置3は、当該病変がフレームインして撮影開始されてから、フレームアウトして撮影終了するまでの時間を計時して、当該病変の観察時間として特定する。画像解析装置3は、コンピュータキャプチャ画像を、当該コンピュータキャプチャ画像のフレーム番号、撮影時刻情報、病変の観察時間および画像メタ情報とともに、サーバ装置2に提供する。
【0023】
ユーザは内視鏡検査を終了すると、内視鏡観察装置5の検査終了ボタンを操作する。検査終了ボタンの操作情報は、サーバ装置2および画像解析装置3に供給されて、サーバ装置2および画像解析装置3は、当該内視鏡検査の終了を認識する。
【0024】
図2は、サーバ装置2の機能ブロックを示す。サーバ装置2は、通信部20、処理部30および記憶装置60を備える。通信部20は、ネットワーク4を介して、画像解析装置3、内視鏡観察装置5、画像蓄積装置8、端末装置10aおよび端末装置10bとの間でデータや指示などの情報を送受信する。処理部30は、第1情報取得部40、第2情報取得部42、画像ID設定部44および画像送信部46を備える。記憶装置60は、オーダ情報記憶部62、第1情報記憶部64および第2情報記憶部66を有する。オーダ情報記憶部62は、内視鏡検査オーダの情報を記憶する。
【0025】
サーバ装置2はコンピュータを備え、コンピュータがプログラムを実行することによって、図2に示す各種機能が実現される。コンピュータは、プログラムをロードするメモリ、ロードされたプログラムを実行する1つ以上のプロセッサ、補助記憶装置、その他のLSIなどをハードウェアとして備える。プロセッサは、半導体集積回路やLSIを含む複数の電子回路により構成され、複数の電子回路は、1つのチップ上に搭載されてよく、または複数のチップ上に搭載されてもよい。図2に示す機能ブロックは、ハードウェアとソフトウェアとの連携によって実現され、したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0026】
第1情報取得部40は、画像解析装置3から、ユーザキャプチャ画像の画像ID、フレーム番号、撮影時刻情報、観察時間および画像メタ情報を取得し、ユーザキャプチャ画像であることを示す情報とともに、第1情報記憶部64に記憶する。たとえばユーザが、内視鏡検査中に7回キャプチャ操作をした場合、第1情報取得部40は、画像解析装置3から、7枚分のユーザキャプチャ画像の画像ID、フレーム番号、撮影時刻情報、観察時間および画像メタ情報を取得して、ユーザキャプチャ画像であることを示す情報とともに、第1情報記憶部64に記憶する。第1情報記憶部64は、画像IDに紐付けて、ユーザキャプチャ画像であることを示す情報、フレーム番号、撮影時刻情報、観察時間および画像メタ情報を記憶してよい。なお画像IDは、内視鏡観察装置5によってユーザキャプチャ画像に付与されており、内視鏡観察装置5は、画像IDを、撮影時刻順に1から順に付与している。したがって、この場合、7枚のユーザキャプチャ画像には、それぞれ画像ID1~7が割り当てられている。
【0027】
第2情報取得部42は、画像解析装置3から、コンピュータキャプチャ画像、コンピュータキャプチャ画像のフレーム番号、撮影時刻情報、観察時間および画像メタ情報を取得し、コンピュータキャプチャ画像であることを示す情報とともに、第2情報記憶部66に記憶する。この時点で、コンピュータキャプチャ画像には画像IDが付与されていないため、画像ID設定部44は、撮影時刻に応じた画像IDを、コンピュータキャプチャ画像に設定してよい。具体的に画像ID設定部44は、ユーザキャプチャ画像の画像IDと重ならないように、コンピュータキャプチャ画像の画像IDを設定する。上記したように、7枚のユーザキャプチャ画像に対して、画像ID1~7が付与されている場合、画像ID設定部44は、コンピュータキャプチャ画像に対して、画像IDを、撮影時刻順に8から順に付与してよい。画像解析装置3が、7回の自動キャプチャを行った場合(つまり内視鏡検査において合計7つの病変を検出して、7枚の内視鏡画像を自動キャプチャした場合)、画像ID設定部44は、画像IDを撮影時刻の早い順に8から順に設定し、したがって、この場合、画像ID8~14が、7枚のコンピュータキャプチャ画像に対して設定される。第2情報記憶部66は、画像IDに紐付けて、コンピュータキャプチャ画像であることを示す情報、フレーム番号、撮影時刻情報、観察時間および画像メタ情報を記憶する。
【0028】
画像送信部46は、コンピュータキャプチャ画像を、付与された画像IDとともに、画像蓄積装置8に送信する。これにより画像蓄積装置8は、内視鏡検査でキャプチャされた画像ID1~7のユーザキャプチャ画像および画像ID8~14のコンピュータキャプチャ画像の両方を蓄積する。
【0029】
図3は、キャプチャ画像に紐付けられる情報の例を示す。画像ID1~7のユーザキャプチャ画像に関する情報は、第1情報記憶部64に記憶され、画像ID8~14のコンピュータキャプチャ画像に関する情報は、第2情報記憶部66に記憶されている。
【0030】
「画像種別」の項目には、ユーザキャプチャ画像であるか、コンピュータキャプチャ画像であるかを示す情報が記憶される。「臓器」の項目には、画像に含まれる臓器を示す情報、つまり撮影された臓器を示す情報が記憶され、「部位」の項目には、画像に含まれる臓器の部位を示す情報、つまり撮影された臓器の部位を示す情報が記憶される。
【0031】
病変情報のうち、「有無」の項目には、画像解析装置3により病変が検出されたか否かを示す情報が記憶される。全てのコンピュータキャプチャ画像は病変を含んでいるため、コンピュータキャプチャ画像の「有無」の項目には、「有」が記憶されている。「サイズ」の項目には、病変の底面の最長径を示す情報が記憶され、「形状」の項目には、病変の輪郭形状を表現する座標情報が記憶され、「診断」の項目には、病変の質的診断結果が記憶される。「観察時間」の項目には、画像解析装置3が導出した観察時間が記憶される。「撮影時刻」の項目には、画像の撮影時刻を示す情報が記憶される。「撮影時刻」の項目に、フレーム番号が含まれてもよい。
【0032】
図4は、情報処理装置11bの機能ブロックを示す。情報処理装置11bは、レポート入力画面に表示する内視鏡画像を選別する機能を有し、通信部76、入力部78、処理部80および記憶装置120を備える。通信部76は、ネットワーク4を介して、サーバ装置2、画像解析装置3、内視鏡観察装置5、画像蓄積装置8および端末装置10aとの間でデータや指示などの情報を送受信する。処理部80は、操作受付部82、取得部84、表示画面生成部100、画像特定部102および登録処理部110を備え、取得部84は、画像取得部86および情報取得部88を有する。記憶装置120は、画像記憶部122、情報記憶部124および優先度記憶部126を有する。
【0033】
情報処理装置11bはコンピュータを備え、コンピュータがプログラムを実行することによって、図4に示す各種機能が実現される。コンピュータは、プログラムをロードするメモリ、ロードされたプログラムを実行する1つ以上のプロセッサ、補助記憶装置、その他のLSIなどをハードウェアとして備える。プロセッサは、半導体集積回路やLSIを含む複数の電子回路により構成され、複数の電子回路は、1つのチップ上に搭載されてよく、または複数のチップ上に搭載されてもよい。図4に示す機能ブロックは、ハードウェアとソフトウェアとの連携によって実現され、したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0034】
内視鏡検査の終了後、医師であるユーザは情報処理装置11bにユーザIDおよびパスワードを入力して、ログインする。ユーザがログインすると、検査レポートを作成するためのアプリケーションが起動して、表示装置12bには、実施済み検査の一覧が表示される。この実施済み検査一覧には、患者名、患者ID、検査日時、検査項目などの検査情報がリスト表示され、ユーザは、マウスやキーボードなどの入力部78を操作して、レポート作成の対象となる検査を選択する。操作受付部82が、検査の選択操作を受け付けると、画像取得部86が、画像蓄積装置8から、選択された検査の検査IDに紐付けられている複数の内視鏡画像を取得して、画像記憶部122に記憶する。
【0035】
実施例において画像取得部86は、ユーザによるキャプチャ操作によりキャプチャされた画像ID1~7のユーザキャプチャ画像と、病変を含んで画像解析装置3によりキャプチャされた画像ID8~14のコンピュータキャプチャ画像とを取得して、画像記憶部122に記憶する。表示画面生成部100は、レポートに添付する内視鏡画像を選択するための選択画面を生成して、表示装置12bに表示する。
【0036】
上記したようにコンピュータキャプチャ画像は、画像解析装置3が検出した病変の数だけ存在する。実施例では、7枚の内視鏡画像が画像解析装置3により自動キャプチャされているが、内視鏡検査によっては、画像解析装置3が数十~数百の病変を検出して、数十~数百枚の内視鏡画像を自動キャプチャすることも想定される。そのような場合に、自動キャプチャされた全ての内視鏡画像を選択画面に表示すると、ユーザが選択する手間が大きく、好ましくない。そこで実施例では画像特定部102が、複数のコンピュータキャプチャ画像の中から、選択画面に表示するコンピュータキャプチャ画像を絞り込む。以下、選択画面に表示するコンピュータキャプチャ画像を、「添付候補画像」と呼ぶ。
【0037】
情報取得部88は、サーバ装置2の記憶装置60から、キャプチャ画像に紐付けられた情報を取得して、情報記憶部124に記憶する。画像特定部102は、キャプチャ画像に紐付けられた情報を参照して、ユーザキャプチャ画像に含まれていない病変を含むコンピュータキャプチャ画像を、「添付候補画像」として特定する。画像特定部102が、ユーザキャプチャ画像に含まれていない病変を含むコンピュータキャプチャ画像を添付候補画像として特定することで、ユーザキャプチャ画像に含まれる同じ病変を含むコンピュータキャプチャ画像が、重複して選択画面に表示されないようになる。
【0038】
図5は、レポートに添付する内視鏡画像を選択するための選択画面の例を示す。選択画面は、レポート入力画面の一部を構成する。内視鏡画像の選択画面は、記録画像タブ54aが選択された状態で、表示装置12bに表示される。選択画面の上段には、患者氏名、患者ID、生年月日、検査項目、検査日、実施医の情報が表示される。これらの情報は検査オーダ情報に含まれており、サーバ装置2から取得されてよい。
【0039】
表示画面生成部100は、ユーザキャプチャ画像と、絞り込まれたコンピュータキャプチャ画像(添付候補画像)とを含む選択画面を生成して、表示装置12bに表示する。コンピュータキャプチャ画像(添付候補画像)に含まれる病変は、ユーザキャプチャ画像に含まれる病変と重複していないため、ユーザは、レポートに添付する画像を効率的に選択できる。
【0040】
表示画面生成部100は、ユーザキャプチャ画像を表示する第1領域50と、コンピュータキャプチャ画像(添付候補画像)を表示する第2領域52とを別個に設けた選択画面を生成して、表示装置12bに表示する。表示画面生成部100は、第1領域50に、画像ID1~7のユーザキャプチャ画像を撮影順序にしたがって並べて表示し、第2領域52に、画像ID8,10,13,14のコンピュータキャプチャ画像を撮影順序にしたがって並べて表示する。表示装置12bが、ユーザキャプチャ画像と、添付候補画像とを同一画面に表示することで、ユーザは、レポートに添付する画像を効率的に選択できる。
【0041】
以下、コンピュータキャプチャ画像を絞り込む処理について説明する。
画像特定部102は、情報記憶部124に記憶したキャプチャ画像に関する情報(図3参照)にもとづいて、ユーザキャプチャ画像に含まれていない病変を含むコンピュータキャプチャ画像を、「添付候補画像」として特定する。画像特定部102は、画像ID1~7のユーザキャプチャ画像に含まれる臓器を示す情報と、コンピュータキャプチャ画像に含まれる臓器を示す情報にもとづいて、コンピュータキャプチャ画像に含まれる臓器と同じ臓器を含むユーザキャプチャ画像があるか否かを判定し、コンピュータキャプチャ画像に含まれる臓器と同じ臓器を含むユーザキャプチャ画像がない場合、当該コンピュータキャプチャ画像を、添付候補画像として特定してよい。コンピュータキャプチャ画像に含まれる臓器と同じ臓器を含むユーザキャプチャ画像がない場合、当該コンピュータキャプチャ画像に含まれる病変は、ユーザキャプチャ画像に含まれていないことが確実であるため、画像特定部102は、当該コンピュータキャプチャ画像を、添付候補画像として特定してよい。
【0042】
画像特定部102は、画像ID1~7のユーザキャプチャ画像に含まれる臓器の部位を示す情報と、コンピュータキャプチャ画像に含まれる臓器の部位を示す情報にもとづいて、コンピュータキャプチャ画像に含まれる部位と同じ部位を含むユーザキャプチャ画像があるか否かを判定し、コンピュータキャプチャ画像に含まれる部位と同じ部位を含むユーザキャプチャ画像がない場合、当該コンピュータキャプチャ画像を、添付候補画像として特定してよい。コンピュータキャプチャ画像に含まれる部位と同じ部位を含むユーザキャプチャ画像がない場合、当該コンピュータキャプチャ画像に含まれる病変は、ユーザキャプチャ画像に含まれていないことが確実であるため、画像特定部102は、当該コンピュータキャプチャ画像を、添付候補画像として特定してよい。
【0043】
画像特定部102は、画像ID1~7のユーザキャプチャ画像に含まれる病変のサイズを示す情報と、コンピュータキャプチャ画像に含まれる病変のサイズを示す情報にもとづいて、コンピュータキャプチャ画像に含まれる病変のサイズと実質的に同じサイズの病変を含むユーザキャプチャ画像があるか否かを判定し、コンピュータキャプチャ画像に含まれる病変のサイズと実質的に同じサイズの病変を含むユーザキャプチャ画像がない場合、当該コンピュータキャプチャ画像を、添付候補画像として特定してよい。コンピュータキャプチャ画像に含まれる病変のサイズと同じサイズの病変を含むユーザキャプチャ画像がない場合、当該コンピュータキャプチャ画像に含まれる病変は、ユーザキャプチャ画像に含まれていないことが確実であるため、画像特定部102は、当該コンピュータキャプチャ画像を、添付候補画像として特定してよい。
【0044】
画像特定部102は、画像ID1~7のユーザキャプチャ画像に含まれる病変の形状を示す情報と、コンピュータキャプチャ画像に含まれる病変の形状を示す情報にもとづいて、コンピュータキャプチャ画像に含まれる病変の形状と実質的に同じ形状の病変を含むユーザキャプチャ画像があるか否かを判定し、コンピュータキャプチャ画像に含まれる病変の形状と実質的に同じ形状の病変を含むユーザキャプチャ画像がない場合、当該コンピュータキャプチャ画像を、添付候補画像として特定してよい。コンピュータキャプチャ画像に含まれる病変の形状と同じ形状の病変を含むユーザキャプチャ画像がない場合、当該コンピュータキャプチャ画像に含まれる病変は、ユーザキャプチャ画像に含まれていないことが確実であるため、画像特定部102は、当該コンピュータキャプチャ画像を、添付候補画像として特定してよい。
【0045】
画像特定部102は、画像ID1~7のユーザキャプチャ画像に含まれる病変の種類を示す情報と、コンピュータキャプチャ画像に含まれる病変の種類を示す情報にもとづいて、コンピュータキャプチャ画像に含まれる病変の種類と実質的に同じ種類の病変を含むユーザキャプチャ画像があるか否かを判定し、コンピュータキャプチャ画像に含まれる病変の種類と実質的に同じ種類の病変を含むユーザキャプチャ画像がない場合、当該コンピュータキャプチャ画像を、添付候補画像として特定してよい。コンピュータキャプチャ画像に含まれる病変の種類と同じ種類の病変を含むユーザキャプチャ画像がない場合、当該コンピュータキャプチャ画像に含まれる病変は、ユーザキャプチャ画像に含まれていないことが確実であるため、画像特定部102は、当該コンピュータキャプチャ画像を、添付候補画像として特定してよい。
【0046】
画像特定部102は、画像ID1~7のユーザキャプチャ画像に含まれる臓器を示す情報、部位を示す情報、病変のサイズを示す情報、病変の形状を示す情報、病変の種類を示す情報と、コンピュータキャプチャ画像に含まれる臓器を示す情報、部位を示す情報、病変のサイズを示す情報、病変の形状を示す情報、病変の種類を示す情報とにもとづいて、コンピュータキャプチャ画像に含まれる臓器、部位、病変と実質的に同じ臓器、部位、病変を含むユーザキャプチャ画像があるか否かを判定し、コンピュータキャプチャ画像に含まれる臓器、部位、病変と実質的に同じ臓器、部位、病変を含むユーザキャプチャ画像がない場合、当該コンピュータキャプチャ画像を、添付候補画像として特定してよい。コンピュータキャプチャ画像に含まれる臓器、部位、病変と実質的に同じ臓器、部位、病変を含むユーザキャプチャ画像がない場合、当該コンピュータキャプチャ画像に含まれる病変は、ユーザキャプチャ画像に含まれていないことが確実であるため、画像特定部102は、当該コンピュータキャプチャ画像を、添付候補画像として特定してよい。
【0047】
以上のように画像特定部102は、画像ID1~7のユーザキャプチャ画像に含まれていない病変を含むコンピュータキャプチャ画像を、添付候補画像として特定する。図3を参照して、画像特定部102は、画像ID9のコンピュータキャプチャ画像に含まれる病変と画像ID3のユーザキャプチャ画像に含まれる病変は同一であり、画像ID11のコンピュータキャプチャ画像に含まれる病変と画像ID5のユーザキャプチャ画像に含まれる病変は同一であり、画像ID12のコンピュータキャプチャ画像に含まれる病変と画像ID6のユーザキャプチャ画像に含まれる病変は同一であることを判定する。したがって画像特定部102は、画像ID9,11,12のコンピュータキャプチャ画像を選択画面に含めないことを決定し、画像ID8,10,13,14のコンピュータキャプチャ画像を、添付候補画像として決定する。以上の絞り込みが行われた後、表示画面生成部100は、第1領域50に、画像ID1~7のユーザキャプチャ画像を表示し、第2領域52に、画像ID8,10,13,14のコンピュータキャプチャ画像を表示する。
【0048】
選択画面に表示される内視鏡画像にはチェックボックスが設けられ、ユーザがマウスを操作してマウスポインタをチェックボックスに配置し右クリックすると、当該内視鏡画像がレポートの添付画像として選択される。選択画面において、操作受付部82は、ユーザがユーザキャプチャ画像または添付候補画像を選択する操作を受け付ける。ユーザは、マウスポインタを内視鏡画像上に配置して右クリックすると、当該内視鏡画像を拡大表示させることができ、拡大表示された内視鏡画像を見て、レポートに添付するべきか判断してよい。
【0049】
図5に示す例では、画像ID3のユーザキャプチャ画像と、画像ID13,14のコンピュータキャプチャ画像のチェックボックスに、選択されたことを示すチェックマークが表示されている。ユーザが入力部78を用いて一時保存ボタンを操作すると、登録処理部110が、選択した画像ID3,13,14の内視鏡画像を、レポート添付画像として画像記憶部122に仮登録する。ユーザは添付画像を選択した後、レポートタブ54bを選択して、レポート入力画面を表示装置12bに表示させる。
【0050】
図6は、検査結果を入力するためのレポート作成画面の一例を示す。レポート作成画面は、レポート入力画面の一部を構成する。レポートタブ54bが選択されると、表示画面生成部100は、レポート作成画面を生成して、表示装置12bに表示する。レポート作成画面は、2つの領域で構成され、左側に添付画像を表示する添付画像表示領域56が、右側にユーザが検査結果を入力するための入力領域58が配置される。この例では画像ID3,13,14の内視鏡画像が添付画像として選択されて、添付画像表示領域56に表示されている。
【0051】
図5に示す第2領域52において、表示されるコンピュータキャプチャ画像の枚数には、上限が設定されていてよい。第2領域52に表示されるコンピュータキャプチャ画像は、画像解析装置3が自動キャプチャしたものであり、ユーザがキャプチャしたものではないため、表示枚数が多すぎると、ユーザが選択する手間が増える。そこで画像特定部102は、ユーザキャプチャ画像に含まれていない病変を含むコンピュータキャプチャ画像の数が所定の第1上限数を超えている場合に、病変の種類に応じて設定された優先順位にもとづいて、第1上限数以下のコンピュータキャプチャ画像を、添付候補画像として特定してよい。
【0052】
図7は、優先度記憶部126に記憶されたテーブルの例を示す。優先度記憶部126は、病変の種類を示す質的診断結果と、優先順位との対応関係を定めたテーブルを記憶する。この例では、大腸の質的診断(病変の種類)に関して、大腸がんの優先順位が1位、悪性ポリープの優先順位が2位、悪性黒色腫の優先順位が3位、非腫瘍性ポリープの優先順位が4位と定められている。以下、第2領域52に表示する表示枚数の上限が、3枚に設定されている(第1上限数=3)場合について説明する。
【0053】
実施例では、画像ID8,10,13,14のコンピュータキャプチャ画像が、ユーザキャプチャ画像に含まれていない病変を含む画像として特定されている。以下に、各コンピュータキャプチャ画像の質的診断結果を示す。
画像ID8 :悪性黒色腫瘍
画像ID10:非腫瘍性ポリープ
画像ID13:悪性ポリープ
画像ID14:悪性黒色腫瘍
【0054】
画像特定部102は、病変の種類に応じて設定された優先順位にもとづいて、3枚以下のコンピュータキャプチャ画像を、添付候補画像として特定する。実施例では、ユーザキャプチャ画像に含まれていない病変を含むコンピュータキャプチャ画像の数が4枚であり、第1上限数(3枚)を超えているため、画像特定部102は、優先順位にもとづいて3枚以下のコンピュータキャプチャ画像に絞り込む必要がある。以下に、各コンピュータキャプチャ画像の質的診断結果に対応する優先順位を示す。
【0055】
画像ID8 :悪性黒色腫瘍 3位
画像ID10:非腫瘍性ポリープ 4位
画像ID13:悪性ポリープ 2位
画像ID14:悪性黒色腫瘍 3位
【0056】
画像特定部102は、各画像の質的診断結果に対応する優先順位にもとづき、画像ID10のコンピュータキャプチャ画像を外して、画像ID8,13,14のコンピュータキャプチャ画像を、添付候補画像として特定してよい。このように第2領域52に表示する表示枚数の上限が設定され、質的診断に応じて設定された優先順位にもとづいて添付候補画像が選択されることで、表示画面生成部100は、重要な病変を含むコンピュータキャプチャ画像を優先的に第2領域52に表示することが可能となる。
【0057】
なお上記のように、優先順位にもとづいて添付候補画像を特定した場合であっても、添付候補画像の数が、第1上限数を超えることも生じうる。たとえば第2領域52に表示する表示枚数の上限が、2枚に設定されている(第1上限数=2)場合、上記の例では、3枚の添付候補画像が特定されており、依然として第1上限数を超えていることになる。そこで画像特定部102は、さらに観察時間を加味して、添付候補画像の数が第1上限数以下となるように、コンピュータキャプチャ画像を選択してよい。
【0058】
まず画像特定部102は、ユーザキャプチャ画像に含まれていない病変を含むコンピュータキャプチャ画像の数が第1上限数(2枚)を超えている場合に、優先順位にもとづいて、添付候補画像の候補となるコンピュータキャプチャ画像を特定する。ここでは、画像ID8,13,14のコンピュータキャプチャ画像が、添付候補画像の候補として特定される。添付候補画像の候補として特定したコンピュータキャプチャ画像の数(3枚)が第1上限数を超えている場合、画像特定部102は、ユーザが観察した時間の短いコンピュータキャプチャ画像を添付候補画像の候補から外して、第1上限数以下のコンピュータキャプチャ画像を、添付候補画像として特定してよい。
【0059】
画像ID13の画像の優先順位は2位であり、画像ID8,14の画像の優先順位は3位であるため、画像特定部102は、画像ID13の画像が添付候補画像であることを確定した後、画像ID8,14の画像の観察時間を比較する。ここで画像ID8の画像の観察時間は16秒、画像ID14の画像の観察時間は12秒である。観察時間が長い方が、検査中にユーザが注目していたことが予想されるため、画像特定部102は、観察時間の短い画像ID14のコンピュータキャプチャ画像を添付候補画像の候補から外し、画像ID8のコンピュータキャプチャ画像を添付候補画像として特定する。したがって画像特定部102は、画像ID8,13のコンピュータキャプチャ画像を、添付候補画像として特定してよい。
【0060】
図8は、レポートに添付する内視鏡画像を選択するための選択画面の別の例を示す。図5に示す選択画面と比較すると、第2領域52に表示されるコンピュータキャプチャ画像の枚数が2枚に制限されている。第2領域52の表示枚数を制限することで、ユーザは、レポートに添付する画像を効率的に選択できる。なお第2領域52に、コンピュータキャプチャ画像を全数表示するための切替ボタン70が設けられてもよい。
【0061】
図9は、コンピュータキャプチャ画像を全て表示したときの選択画面の例を示す。切替ボタン70は、コンピュータキャプチャ画像を制限した数だけ表示するモードと、コンピュータキャプチャ画像を全数表示するモードとを切り替えるために使用される。ユーザは全てのコンピュータキャプチャ画像を第2領域52に表示させることで、検出された全ての病変を含む内視鏡画像を見ることができる。
【0062】
なお表示画面生成部100は、第1表示モードで、ユーザキャプチャ画像と添付候補画像とを同一画面に表示し、第2表示モードで、添付候補画像のみを表示し、ユーザキャプチャ画像を表示しなくてもよい。このモード切替は、切替ボタン70とは別の操作ボタンによって実施されてよい。表示画面生成部100が、様々なモードで選択画面を生成することで、ユーザは、自分が望むキャプチャ画像を含む選択画面から、レポートに添付する画像を選択できるようになる。
【0063】
図10は、キャプチャ画像に紐付けられる情報の別の例を示す。この例では、画像ID1のユーザキャプチャ画像に関する情報が、第1情報記憶部64に記憶され、画像ID2~7のコンピュータキャプチャ画像に関する情報が、第2情報記憶部66に記憶されている。
【0064】
図10を参照すると、画像ID1のユーザキャプチャ画像と画像ID2~5のコンピュータキャプチャ画像が、大腸の上行結腸の非腫瘍性ポリープを含んでいる。画像特定部102は、同じ部位の所定の種類の病変(実施例では、非腫瘍性ポリープ)を含む1枚以上のユーザキャプチャ画像と、1枚以上のコンピュータキャプチャ画像との合計枚数が所定の第2上限数を超えている場合に、当該1枚以上のコンピュータキャプチャ画像を、添付候補画像として特定しない。
【0065】
同じ部位の非腫瘍性ポリープを含むキャプチャ画像が第2上限数(たとえば4枚)を超える場合、ユーザが、意図的に非腫瘍性ポリープをキャプチャしなかったことが想定される。このような場合に、ユーザがキャプチャしていない画像を、添付候補画像として表示することは好ましくないため、画像特定部102は、同じ部位の所定の種類の病変(非腫瘍性ポリープ)を含むユーザキャプチャ画像とコンピュータキャプチャ画像との合計枚数が所定の第2上限数を超えている場合に、コンピュータキャプチャ画像を、添付候補画像として選択しない。図10の例で、画像特定部102は、画像ID6,7のコンピュータ画像を添付候補画像として特定し、画像ID2~5のコンピュータキャプチャ画像を、添付候補画像として特定しないことが好ましい。
【0066】
以上、本開示を複数の実施例をもとに説明した。これらの実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。実施例では、内視鏡観察装置5がユーザキャプチャ画像を画像蓄積装置8に送信しているが、変形例では、画像解析装置3がユーザキャプチャ画像を画像蓄積装置8に送信してもよい。また実施例では情報処理装置11bが画像特定部102を有しているが、変形例ではサーバ装置2が画像特定部102を有してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本開示は、レポートの作成を支援する技術分野に利用できる。
【符号の説明】
【0068】
1・・・医療支援システム、2・・・サーバ装置、3・・・画像解析装置、4・・・ネットワーク、5・・・内視鏡観察装置、6・・・表示装置、7・・・内視鏡、8・・・画像蓄積装置、9・・・内視鏡システム、10a,10b・・・端末装置、11a,11b・・・情報処理装置、12a,12b・・・表示装置、20・・・通信部、30・・・処理部、40・・・第1情報取得部、42・・・第2情報取得部、44・・・画像ID設定部、46・・・画像送信部、50・・・第1領域、52・・・第2領域、54a・・・記録画像タブ、54b・・・レポートタブ、56・・・添付画像表示領域、58・・・入力領域、60・・・記憶装置、62・・・オーダ情報記憶部、64・・・第1情報記憶部、66・・・第2情報記憶部、70・・・切替ボタン、76・・・通信部、78・・・入力部、80・・・処理部、82・・・操作受付部、84・・・取得部、86・・・画像取得部、88・・・情報取得部、100・・・表示画面生成部、102・・・画像特定部、110・・・登録処理部、120・・・記憶装置、122・・・画像記憶部、124・・・情報記憶部、126・・・優先度記憶部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10