(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】皮膚処置装置に使用される光学アセンブリ
(51)【国際特許分類】
A61N 5/06 20060101AFI20241220BHJP
A61N 5/067 20060101ALI20241220BHJP
A61B 18/20 20060101ALI20241220BHJP
【FI】
A61N5/06 Z
A61N5/06 B
A61N5/06 A
A61N5/067
A61B18/20
(21)【出願番号】P 2023577172
(86)(22)【出願日】2022-06-09
(86)【国際出願番号】 EP2022065651
(87)【国際公開番号】W WO2022263274
(87)【国際公開日】2022-12-22
【審査請求日】2023-12-13
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ファン アベーレン フランク アントン
(72)【発明者】
【氏名】フェルハーフェン リエコ
(72)【発明者】
【氏名】ボアムファ マリウス イオシフ
(72)【発明者】
【氏名】ツマ キラン クマル
【審査官】近藤 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-523079(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0246473(US,A1)
【文献】特表2012-509720(JP,A)
【文献】特表2016-526408(JP,A)
【文献】実公昭60-041931(JP,Y2)
【文献】特開昭59-120147(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 5/06
A61N 5/067
A61B 18/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
第1の表面、前記第1の表面に対して角度付けられた第2の表面、並びに前記第1の表面及び前記第2の表面に隣接する第3の表面を含む第1のプリズムと
を備える、皮膚処置装置で使用するための光学アセンブリであって、
前記光学アセンブリは、
互いに対向して配設されている密閉された反射面を備え、前記光源から伝達される光を前記第1のプリズムの前記第1の表面を通るように誘導するように配置された第1の誘導素子と、
互いに対向して配設された密閉された反射面を備え、前記第1のプリズムの前記第3の表面から反射された光を、前記第1のプリズムの前記第2の表面を通して受け、受けられた光を、皮膚を照らすために出力するように配置された第2の誘導素子とを
さらに備え、
それぞれ屈折率界面によって、前記第1のプリズムの前記第1の表面が、前記第1の誘導素子から隔てられ、前記第1のプリズムの前記第2の表面が、前記第2の誘導素子から隔てられ、前記第1のプリズムの前記第1の表面及び前記第2の表面
各々が、
使用中、前記第1のプリズムの屈折率よりも小さい屈折率の媒質と接触して配設されることにより全内部反射表面として機能する、光学アセンブリ。
【請求項2】
前記第1のプリズムの前記第3の表面又は前記第2の誘導素子の前記反射面が、少なくとも部分的に、反射コーティングによってコーティングされている、請求項1に記載の光学アセンブリ。
【請求項3】
前記第1の誘導素子の屈折率及び/又は前記第2の誘導素子の屈折率が、前記第1のプリズムの屈折率よりも小さい、請求項1又は2に記載の光学アセンブリ。
【請求項4】
前記第1の光誘導素子の前記反射面、及び/又は前記第2の誘導素子の前記反射面は、空気と接触して配設される、請求項1から3のいずれか一項に記載の光学アセンブリ。
【請求項5】
前記第1の誘導素子の光出射面は前記第1のプリズムの前記第1の表面から、及び/又は、前記第2の誘導素子の光入射面は前記第1のプリズムの前記第2の表面から、それぞれ間隙を空けて隔てられており、前記間隙が同一である又は異なっている、請求項1から4のいずれか一項に記載の光学アセンブリ。
【請求項6】
前記間隙が、前記第1のプリズムの屈折率よりも低い屈折率を有する誘電材料をさらに含む、請求項5に記載の光学アセンブリ。
【請求項7】
前記間隙が、金属粒子、ガラス粒子、又はセラミック粒子をさらに含む、請求項5又は6に記載の光学アセンブリ。
【請求項8】
互いに角度付けられた第1の表面及び第2の表面と、前記第1の表面及び前記第2の表面に隣接する第3の表面とを有する第2のプリズムをさらに備え、
前記第2のプリズムの前記第3の表面が、前記第1のプリズムの前記第3の表面又は前記第2の誘導素子の前記反射面の一部分に取り外し可能に取り付けられ又は融合され、前記第2のプリズムの前記第1の表面が前記第1のプリズムの前記第2の表面又は前記第2の誘導素子の前記反射面に実質的に平行に配設され、及び/又は
前記第2のプリズムの前記第2の表面が、反射コーティングを有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の光学アセンブリ。
【請求項9】
前記第2のプリズムの前記第3の表面が変形可能な層をさらに含み、及び/又は前記第2のプリズムの前記第2の表面が可動アクチュエータに接続される、請求項8に記載の光学アセンブリ。
【請求項10】
前記第2のプリズムの前記第1の表面を通して前記対象物を撮像するための撮像素子をさらに備える、請求項8又は9に記載の光学アセンブリ。
【請求項11】
光学フィルタ及び/又は絶縁窓をさらに備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の光学アセンブリ。
【請求項12】
前記第1のプリズムと熱的接触する冷却部材をさらに備える、請求項11に記載の光学アセンブリ。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の光学アセンブリを備える、皮膚処置装置。
【請求項14】
前記第2の誘導素子が、前記皮膚処置装置の取り外し可能な取付部に配設されている、請求項13に記載の皮膚処置装置。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の皮膚処置装置
を制御するコントローラのプロセッサに、
前記皮膚処置装置内に配設された撮像素子によって、前記対象物の少なくとも1つの画像を取得するステップと、
前記対象物の少なくとも1つの画像に基づいて、前記
対象物の美容処置を実行するかを決定するステップと、
前記決定に基づいて、前記皮膚処置装置の前記光学アセンブリの前記光源によって照射される光を、前記美容処置を行うために前記対象物に誘導するステップと
を
実行させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚処置装置、好ましくは光脱毛装置、より好ましくは高強度パルス光を用いた装置に使用される光学アセンブリに関する。本発明はさらに、光学アセンブリを含む装置、及び当該装置において当該アセンブリを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パルス光は、美容毛髪除去などの毛髪又は皮膚の処置を行うために使用することができる。光パルスは、ランプ、電球、発光ダイオード、又はレーザなどの光源を使用して生成される。光パルスは、皮膚を透過し、例えば毛髪の毛根において吸収される。その結果、毛根の温度が上昇する。温度上昇が十分に高い場合、毛髪の成長が阻害される。このプロセスは選択的光熱分解として知られている。
【0003】
高強度パルス光(IPL)装置、光脱毛装置、皮膚若返り装置、光線療法装置、又は鎮痛装置などの、光を用いた処置装置は、皮膚又は毛髪の処置のためにインコヒーレント光を使用することが多い。例えば、IPL技術では、(10J/cm2を超えるフルエンスを使用する永久光脱毛のための専門的装置と比較して)比較的低いフルエンス(最大6.5J/cm2)の、及び(例えばレーザと比較して)比較的高いビーム発散のハロゲン、例えばXeのフラッシュ・ランプからの光が使用される。
【0004】
EP3281598A1は、毛髪又は皮膚組織のレーザ誘起光学破壊のためのレーザ皮膚処置装置を開示している。ビーム走査システムは、ビームに横方向のシフトを実施する回転プリズムを使用してビームを走査する。ビーム走査システムの出力側にある集束系は、入射光ビームを組織内の焦点スポットに集光させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光を対象物(皮膚)に誘導する導波路として光ファイバが使用される処置装置とは対照的に、プリズムを用いた光導波路を使用した装置では、処置光を皮膚に効果的に誘導するために比較的大きい角度(例えば90度)で屈曲される必要がある。本発明者は、後者においてそのような誘導を実現することが必ずしも可能ではないことを認識している。例えば、
図1に示されるように、光線は、プリズムでの反射を回避し、その結果、導波路内で正しくない角度で入射する場合がある。さらに、一部の光線は反射し、他の光線は反射しないので、装置内の光ビーム/処置光の角度及び空間の分布は不均一である。そのような光線は、効果的に対象物に方向付けられない。さらに、本デバイスのインコヒーレントな光源特性により、照射光は拡散しており、幅広い伝搬角度を特徴としている。本発明の目的は、プリズムを用いた光導波路を使用してそのような拡散光を効果的に誘導し、処置光の均一性を確実にし、それにより装置の処置効率を向上させる、光学アセンブリを提供することである。本発明のさらなる目的は、導波路を通るように光を誘導する間の光の漏れを低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
別の問題は、
図1に示すように、プリズムを用いた導波路を使用する間、プリズムでの反射をした後であっても、入射光/入射光線の一部が処置光源に再び向かうことである。これは、光線がプリズムの反射表面の最適でない位置、例えばプリズムの斜辺面の上側部分に入射する場合に起こる。本発明の別の目的は、光のそのような逆伝搬を低減させることによって、対象物に方向付けられる入射光の光束を増加させる光学アセンブリを提供することである。
【0007】
さらに、処置の前に、処置光パルスが皮膚に印加される際に通る装置処置開口に隣接して配置された皮膚/対象物の特性(例えば、色素沈着)を取得することが望ましい。皮膚接触、毛髪の数、又は装置の変位及び動きの検出のような他の態様も、同様に望ましい。例えば、皮膚接触がない、又は安全でない皮膚色調が検出される場合、装置が閃光するのが防止される。本発明のさらに別の目的は、これらの機能を実施することができる追加の光学素子を組み込むことを容易にする光学アセンブリを提供することである。一態様によると、皮膚処置装置において使用される光学アセンブリが提供される。光学アセンブリは、光源と、第1のプリズムと、互いに向かい合って又は対向して配設されている閉塞された/密閉された反射面を有する第1及び第2の誘導素子とを備える。第1のプリズムは、第1の表面、第1の表面に対して角度付けられた第2の表面、並びに第1の表面及び第2の表面に隣接する第3の表面を含む。第1の誘導素子は、光源から伝達される光を第1のプリズムの第1の表面を通って第1のプリズムの第3の表面に誘導するように配置される。第2の誘導素子は、第1のプリズムの第3の表面から反射された光を、第1のプリズムの第2の表面を通して受け、受けられた光を対象物/身体部分(皮膚)を照らすために出力するようにさらに配置される。それぞれ屈折率界面によって、第1のプリズムの第1の表面は第1の誘導素子から隔てられ、第2の表面は第2の誘導素子から隔てられている。言い換えると、プリズム材料とは異なる材料が、第1の表面と第2の表面とのそれぞれに接触して存在する。第1の表面及び第2の表面は全内部反射表面である。別の態様によると、光学アセンブリを使用して対象物の美容処置又は非治療処置を行う方法が提供される。
【0008】
一態様によると、第1のプリズムの第3の表面、又は第2の誘導素子の表面は、少なくとも部分的に、例えば外側に、反射コーティングによってコーティングされている。ある態様によると、第1のプリズム、第1の光誘導素子、及び/又は第2の光誘導素子は、全内部反射(TIR)誘導素子である。第1のプリズムがTIR素子として機能する場合、第1のプリズムの第1及び/又は第2の表面は、第1のプリズムの屈折率npよりも小さい屈折率の媒質(例えば、隣接する誘導素子の材料)と接触して配設される。
【0009】
第1のプリズムの第3の表面は、屈折率がより低い媒質(空気又は反射コーティング)とさらに接触していてもよい。第1又は第2の誘導素子がTIR素子として機能する場合、第1の光誘導素子の反射面及び/又は第2の誘導素子の反射面は、空気(屈折率がより低い媒質)に接して配設される。
【0010】
一態様によると、第1の誘導素子の光出射面は第1のプリズムの第1の表面から、及び/又は、第2の誘導素子の光入射面は第1のプリズムの第2の表面から、それぞれ所定の間隙だけ隔てられている。間隙は、誘電材料をさらに含み、誘電材料は、第1のプリズムの屈折率よりも低い屈折率を有する。間隙は、金属粒子、ガラス粒子、及び/又はセラミック粒子をさらに含む。
【0011】
一態様によると、本光学アセンブリは、互いに角度付けられた第1の表面及び第2の表面と、第1の表面及び第2の表面に隣接する第3の表面とを有する第2のプリズムをさらに備え、第2のプリズムの第3の表面が、第1のプリズムの第3の表面又は第2の誘導素子の反射表面の一部分に取り外し可能に取り付けられ又は融合され、第2のプリズムの第1の表面が第1のプリズムの第2の表面に実質的に平行に配設される。第2のプリズムの第2の表面は、例えばその外側に反射コーティングを備える。第2のプリズムの第3の表面は、透明なシリコーン層などの変形可能な層をさらに含む。第2のプリズムの第2の表面は、可動アクチュエータに接続される。
【0012】
一態様によると、光学アセンブリは、第2のプリズムの第1の表面を通して対象物を撮像するための撮像素子をさらに備える。撮像素子は、この目的のために、光学アセンブリの第1の表面又は別の適切な構成要素に装着される。
【0013】
一態様によると、光学アセンブリに光フィルタ及び/又は絶縁窓が設けられる。第1のプリズムと熱的接触する冷却部材がさらに設けられる。
【0014】
一態様によると、上記の光学アセンブリを含む装置が提供され、この装置は、使用者の身体部分/皮膚を処置するのに適している。一態様によると、第2の誘導素子は、当該装置の取り外し可能な取付部に配設される。
【0015】
一態様によると、皮膚の美容処置又は非治療処置を行うためのコンピュータ実施方法が提供される。本方法は、上記の光学アセンブリを提供することと、光学アセンブリの撮像素子によって取得された少なくとも1つの画像に基づいて、処置を行うか否かを決定することと、処置を行うと決定された場合には、光学アセンブリの光源によって照射された光を、処置を行うために対象物に誘導することとを有する。
【0016】
これら及び他の態様、ならびにさらなる利点は、本明細書に記載される実施形態を参照して、明らかになり、解明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】内部で屈折率変化のない、プリズムを用いた導波路を示す図である。
【
図2a】本発明の例示的な実施形態による光学アセンブリ1を示す図である。
【
図2b】本発明の例示的な実施形態による光学アセンブリ1を示す図である。
【
図3a-3d】本発明の第2の例示的な実施形態による光学アセンブリ1を示す図である。
【
図4a-4e】本発明の第3の例示的な実施形態による光学アセンブリ1を示す図である。
【
図5a-5e】本発明の第4の例示的な実施形態による光学アセンブリ1を示す図である。
【
図6】本発明の第5の例示的な実施形態による光学アセンブリ1を備える装置2を示す図である。
【
図7】本発明の第6の例示的な実施形態による光学アセンブリ1を示す図である。
【
図8a-8b】本発明の例示的な実施形態による光学アセンブリ1を示す図である。
【
図9】本発明の例示的な実施形態による方法を示す図である。
【
図10】本発明の例示的な実施形態による光学アセンブリ1を備える装置2を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書で例示される事項は、添付の図を参照して開示される本発明の様々な例示的な実施形態の総合的理解を助けるために提供される。
【0019】
したがって、当業者であれば、本明細書に記載の例示的な実施形態の様々な変更及び修正を、特許請求される発明の範囲から逸脱することなく行うことができることを理解するであろう。具体的には、本発明の様々な態様の特定の特徴の組み合わせが行われてよい。本発明の態様又は実施形態は、本発明の別の態様又は実施形態に関連して説明された特徴を追加することによって、さらに有利に強化される。
【0020】
さらに、任意の特定の手段に関連付けられた機能は、集中型又は分散型であり、ローカル又はリモートのどちらでもよい。コンピュータ・プログラムは、他のハードウェアと一体に又はその一部として供給される光記憶媒体又は固体媒体などの適切な媒体に記憶/分散されてよいが、インターネット又は他の有線若しくは無線の電気通信システムを介する形態などの他の形態でも配布される。用語「含む」及び「備える/有する」ならびにそれらの派生語は、限定的ではなく含むことを意味すると、有利にも規定される。さらに、単数形の要素は、1つであること、及び複数の要素のうち1つだけであることが、コンテキスト上明らかに要求されない限り、その要素が1つより多く存在する可能性を排除するものではない。したがって、単数形の要素は通常、「少なくとも1つ」を意味する。
【0021】
「A、B、及びCのうちの少なくとも1つ」という表現は、「A、B、及び/又はC」を意味し、例えばBだけが存在すればこれは満たされる。特許請求の範囲におけるいずれの参照符号も、その範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0022】
本明細書において定義される表面とは、様々な光学構成要素の面を指す。当業者であれば、これらの用語を同じ意味でとる。
【0023】
処置目的で光源(1つ又は複数)によって照射される光は、「処置光」と呼ばれる。光を用いた処置装置は、処置光として使用されない光を照射するためのさらなる光源を含む。
【0024】
本方法は美容処置を意図しているが、本明細書において、本装置を医療処置に使用することを排除するものではない。さらに、本方法は自宅で行うこともできるが、産業環境、例えば商用サロンでも実用的に利用できることは言うまでもない。
【0025】
本明細書で使用される「使用者」という用語は、装置を使用する人を指すためにも使用され、必ずしも皮膚を処置する対象物ではない。
【0026】
「誘導素子」という用語は、光を誘導することが可能な十分な寸法(長さ、幅、又は高さが互いに等しいか又は異なる)を有する任意の素子を包含する。これらの要素は細長くてもよく、長方形、正方形、三角形(例えばプリズム)、台形、平面、曲面、又は平面及び曲面の複合(例えば平凹)などの形状を有する。誘導素子12及び13は、完全に又は部分的に閉塞された表面(面)をさらに含む。
【0027】
図2a及び
図2bは、本発明の例示的な実施形態による光学配置1の上断面図を示す。本配置は、IPL装置などの皮膚又は毛髪の処置装置の内側に配置することができる。
【0028】
光学配置1は光源10を備え、光源10は、対象物3を照らし、それにより対象物3を処置するための光を生成することができる。光源10は、任意の適切な又は所望の、波長(若しくは波長の範囲)及び/又は強度の光パルスを生成することができる。例えば、光源10は、可視光、赤外(IR)光、及び/又は紫外(UV)光を生成することができる。一実施形態では、本配置は複数の光源10を備える。各光源10は、1つ又は複数の発光ダイオード(LED)、(キセノン)フラッシュ・ランプ、1つ又は複数のレーザ(例えば、レーザ・ダイオード、VCSEL)などの、任意の適切なタイプの光源を備えることができる。光源10は、530~1200ナノメートル(nm)範囲のスペクトル成分を有する光パルスを約2.5ミリ秒(ms)の間、供給することができ、これらの波長により、吸収によって毛髪及び毛根のメラニンが加熱され、毛包が休止期になり毛髪の再成長が妨げられる。これらの波長は、さらに、毛髪と周囲の真皮との間の吸収のコントラストを可能にし、周囲の真皮による光の吸収が最小限になることを保証する。一実施形態では、光源10は、広帯域光源であり、広帯域スペクトルの波長又は周波数で光を照射する。
【0029】
光学配置は、光源10から照射された光を受けるように配置されたプリズム(第1のプリズム11)をさらに備える。第1のプリズム11は、第1の表面111と、第1の表面111に対して角度付けられた第2の表面112と、第1の表面111及び第2の表面112に隣接する第3の表面113とを備える。プリズムの幾何学的形状、例えば、プリズムが図面に例示されている表面よりも多くの表面を含むことは、当業者によく知られている。一実施形態では、第1の表面111及び第2の表面112は、直角プリズム、好ましくは直角二等辺プリズムの、2つの直交する表面であり、第3の表面113は、直交する第1の表面111と第2の表面112とを接続する斜めの表面(斜辺面)である。このプリズム構成により、光路は、90度、すなわち第1の表面111と第2の表面112との間の角度だけ屈曲することになる。他のプリズム構成では、それぞれの第1の表面111と第2の表面112との間の角度に対応する光の屈曲角が生じる。第1のプリズム11は、適切な屈折率npを有する材料で作られる。
【0030】
ガイド要素12及び13は、光学アセンブリ1の一部として
図2a及び
図2bにさらに示されている。
【0031】
例えば、誘導素子12は、表面121a、121b、122a、及び122bを備え、表面121a及び121bは、第1の誘導素子12の向かい合う側、例えば、光源10、第1の誘導素子12、及び第1のプリズム11を通る軸Lを挟んで向かい合う側において、互いに対向する。表面122a及び122bは、誘導素子12の別の2つの向かい合う側において互いに対向し、上記軸に垂直に延在している。表面121a及び121bはさらなる閉塞された(閉じた)表面である。したがって、表面122a及び122bは、誘導素子12を向かい合う方向から囲む。表面121a、121b、122a、及び122bは、本明細書では、第1の誘導素子12の上面、底面、及び2つの側面とみなされる。
【0032】
第1の誘導素子12は、光源10から照射された光が誘導素子12を通って第1のプリズム11の第1の表面111に誘導されるように、光源と第1のプリズム11との間に配設される。空気は、光源10と第1の誘導素子12との間に媒質として存在し、それにより、光源10から照射された光が空気(屈折率n=1)を通って第1の誘導素子12まで進行する。対向する側表面/側面122a及び122bは、それぞれ、光源10から照射される光入射面及び光出射面として機能する。第1の誘導素子12の上面121a及び側面122bとを分けている縁部123aは、第1のプリズム11の第1の表面111と第3の表面113とを分けている縁部114aと同一平面上にあるように配置される。第1の誘導素子12の底面121bと側面122bとを分けている縁部123bは、第1のプリズム11の第1の表面111と第2の表面112とを分けている縁部114bと同一平面上にあるように配置される。
【0033】
同様に、閉塞された表面131a及び131bは、第2の誘導素子13の向かい合う側、例えば第2の誘導素子13及び第1のプリズム11を通る軸L’を挟んで向かい合う側で互いに対向している。したがって、表面131a及び131bは、誘導素子13を向かい合う方向から囲む。第2の誘導素子13は、第1のプリズムの第3の表面113から反射された光を、第1のプリズム11の第2の表面112を通して受け、当該光を、対象物3(使用者の身体部分、例えば皮膚又は毛髪)を照らし、それによって処置するために出力するように配置される。閉塞された表面131a及び131bに入射した光は、これらの表面によって処置開口に向けて反射される。第1の誘導素子12及び第2の誘導素子13の寸法に依存して、121a、121b、及び131a、131bで複数の反射が発生する。そのような反射は本明細書では除外されない。
【0034】
図2a/2bの実施形態では、軸L’に垂直に延在する対向する表面132a及び132bは、それぞれ、第1のプリズム11の第3の表面113から反射された光の光入射面及び光出射面として機能する。表面131a、131b、132a、及び132bは、本明細書では、第2の誘導素子13の側面、上面、及び底面とみなされる。一実施形態では、例えば
図7に示すように、表面131a及び131bは、単に一定の角度で、すなわち互いに平行でなく、互いに面していてもよい。この場合、表面131aは、軸L’を二等分し、軸L’に平行な表面131bに隣接している。表面132aは、第2の誘導素子13がプリズムの形状をとるように、表面131a及び表面131bを接続する。したがって、誘導素子13が表面132bを備えることは必須ではない。この場合、
図7に示すように、表面131bが光出射面として機能する。
【0035】
第2の誘導素子13の側面131aと上面132aとを分けている縁部133aは、第1のプリズム11の第1の表面111と第2の表面112とを分けている縁部114bと同一平面になるように配置される。第2の誘導素子13の側面131bと上面132aとを分けている縁部133bは、第1のプリズム11の第2の表面112と第3の表面113とを分けている縁部114cと同一平面内になるように配置される。
【0036】
ガイド要素12の上面121a及び底面121b、並びにガイド要素13の側面131a及び131bが閉塞された結果、光源10から照射された処置光と、第1のプリズム11の第3の表面113から反射された処置光との両方が、それぞれのガイド要素の内部に閉じ込められ、ビーム発散による損失が低減される。これにより、対象物3に入射する光束量が増加する。誘導素子12及び13の閉塞された表面は、さらに反射可能(例えば金属製、ガラス製)であり、それにより、いずれの発散する処置光も閉塞された表面によって反射され、第1のプリズム11の第1の表面111に向かって、又は対象物3への処置開口に向かって(再)誘導され、対象物3に入射する光束量がさらに増加する。
【0037】
第1のプリズム11(例えば固体プリズム)、第1の誘導素子12、及び第2の誘導素子13を含む、複数素子(したがって複数の屈折界面を含む)光学アセンブリでは、第1のプリズム11の表面111及び112において屈折率の変化/差異が生じる。
図2aでは、光線10a、10b、10c、及び10dが、例示の目的で示されている。光源10から伝達された各光線は、第1の表面111を通って第1のプリズム11に入射し(ここで屈折する)、第3の表面113で反射された後、第1のプリズム11の第2の表面112を通過して(ここで再び屈折する)対象物3に向かう。光線10aはさらに、第2の表面112での反射を介して第3の表面113に間接的に入射する。以下に記載される実施形態では、この反射は第2の表面112におけるTIRから生じる。第3の表面113における反射の後、光線10dは第1の表面111での反射を介して間接的に第2の表面112にさらに到達する。以下に記載する実施形態では、この反射は第1の表面111におけるTIRから生じる。第1の表面111を通って第1のプリズム11に入射した光線は、第3の表面113で反射され、第2の表面112を通って第1のプリズム11を透過するので、光学アセンブリ1における光の漏れが低減される。結果として、対象物3に向かう入射光の光束が増加する。処置光の上記光路により、空間的及び/又は角度的な均一性がさらに維持される。
【0038】
一実施形態では、第1のプリズム11の第3の表面113は反射コーティングRをさらに含み、それにより、第3の表面に入射する処置光は、当該表面によって反射される間の透過損失が最小になる。
【0039】
第1の誘導素子12及び第1のプリズム11は、
図3aから
図3dに示すように接触して配設されてもよく(したがって、縁部123a、114a及び縁部123b、114bは、どちらも同一平面上にあり互いに接触している)、又は
図2a及び
図2bに示すように互いに離間して配設されてもよい。同様に、第2の誘導素子13と第1のプリズム11とは、接触して配設されてもよいし(したがって、縁部133a、114b及び縁部133b、144cはどちらも同一平面上にあり、互いに接触している)、又は互いに離間して配設されてもよい。
【0040】
一実施形態では、第1の誘導素子12の側面122a及び122b、並びに第2の誘導素子13の上面132a及び底面132bは、さらに開放しているか、又は閉じている。
【0041】
側表面/側面122a及び122bが開放している場合、第1の誘導素子12は、本質的に中空の誘導素子/導波路であり、それにより第1の表面111は、第1のプリズム11と光源10とを隔てる媒質としての空気(任意の流体)と接触して配設される。同様に、上面132a及び底面132bが開放している場合、第2の誘導素子13は、本質的に中空の誘導素子であり、それにより第2の表面112が、第1のプリズムと装置の処置開口とを隔てる媒質としての空気(流体)と接触して配設される。処置光は、依然として、図示のように第1の誘導素子12及び第2の誘導素子13の閉塞された表面の間に閉じ込められる。中空ガイド要素により、光学アセンブリ1の軽量化が可能になり、それにより、光学アセンブリ1を組み込んだ装置2がより軽量になる。実際的な実装例では、そのような中空誘導素子は、反射性内面を有するパイプである。これらの表面は通常、金属層(例えば、真空技法によって透明基板又は金属箔上に蒸着された層)を備える。
【0042】
或いは、第1の誘導素子12及び第2の誘導素子13は、第1の誘導素子12の閉じた/閉塞された側表面/側面122a、122b、並びに第2の誘導素子13の閉塞された上面132a及び底面132bを有する中空素子であってもよい。一実装例では、そのような誘導素子は、反射表面を有する閉じたパイプである。この場合、例えば、第1の誘導素子12の側面122bは、第1のプリズム11の第1の表面111から距離をあけて配設され、第2の誘導素子13の上面132aは、第1のプリズム11の第2の表面112から距離をあけて配置される。
【0043】
第1の誘導素子12の側面122a、122bが閉じられ/閉塞されており、第2の誘導素子13の上面132a及び底面132bが閉塞されている場合、第1の誘導素子12及び第2の誘導素子13は、適切な屈折率n1及びn2を有する固体であり、n1はn2と同じであるか、又はn2と異なる。第1の誘導素子12の屈折率n1及び第2の誘導素子13の屈折率n2、並びに第1のプリズム11の屈折率npは、第1の誘導素子12、第2の誘導素子13、及び第1のプリズム11内での光の全内部反射(TIR)を可能にするようにさらに選ばれて、光学アセンブリ1における透過損失(光漏れ)がさらに最小限に抑えられる。固体誘導素子は、光源10によって生成されたビームの角度分布を誘導するために、十分に高い屈折率を有する透明材料で作られることが好ましい。
【0044】
材料、例えば特定の屈折率(例えば、ガラス、n1=1.5)を有する固体で作られた第1の誘導素子12内を伝搬する光線10a(又は10b~10d)が、より高い屈折率を有する当該固体と、より低い屈折率(n=1)を有する空気との間の境界として機能する上面121a又は底面121b(上記表面は空気と接触するように配設される)に、(第1の誘導要素12の上面121a又は底面121bに垂直に延在する軸/法線に対して測定される)臨界角θcよりも大きい角度で衝突するとき、TIRが生じる。この場合、光線は表面121a及び121bで全反射する。TIRの結果、第1の誘導素子12の反射面における光透過損失はさらに低減される。
【0045】
固体(例えばガラス、np=1.5)で作られた第1のプリズム内を伝搬する光線10aが、より高い屈折率を有する当該固体とより低い屈折率を有する媒質(例えば空気、樹脂、固体)との間の境界として機能する表面111、112、又は113に、臨界角θc(第1のプリズムのそれぞれの表面に垂直に延在する軸/法線に対して測定される)よりも大きい角度で衝突するとき、TIRがさらに生じる。この場合、光線は表面111、112、113で全反射する。
【0046】
一実施形態では、第1の誘導素子12の屈折率n1は、上述のTIR条件を満たすために、第1のプリズム11の屈折率npよりも小さい。
【0047】
第1のプリズム11の第3の表面113によって反射された光線10dが第1のプリズム11の第1の表面111に入射し、TIR条件を満たすと仮定すると、この光線は第1の表面111において全内部反射され、それによりプリズムに戻って結合され処置開口に向かう。これにより、第3の表面113によって反射された後の光線が、第1のプリズム11から第1の表面111を通して第1の誘導素子12内に漏れることが減少する。第1の表面111におけるTIRの結果、そのような光は、表面112に向けて方向が変えられ、表面112は、そのような光の入射角に応じて、光をさらに透過させるか、又は光を表面113に向けて反射させる。さらに、第1のプリズム11に向かって誘導されるとき、光線10a、10b、10c、又は10dは、表面122bで全内部反射されない。
【0048】
したがって、本配置は、光が、処置光源10に向かう方向に第1の誘導素子に戻って結合することを減少させ、これにより処置光の均一性が向上し、皮膚に向けられる光の量が増加する。
【0049】
別の実施形態では、第2の誘導素子13の屈折率n2は、第1のプリズム11の屈折率npよりも小さい。
【0050】
第1のプリズム11の第1の表面111から発した光線10aが第1のプリズム11の第2の表面112に入射し、TIR条件を満たすと仮定すると、この光線(10a)は、第2の表面112において第1のプリズム11の第3の表面113に向けて全内部反射され、次いで第3の表面113によってさらに反射され得る。
【0051】
一実施形態では、第1のプリズム11の第3の表面113は、空気と接触して配設されて、特定の入射角での第3の表面113におけるTIRが可能になる。さらに、第1のプリズム11の第3の表面113は、表面113でTIR条件が満たされることとは無関係に、ランプ10によって生成されたビームの角度分布のほとんどの光線が反射されることを確実にする反射コーティングR(例えば、金属層)で、コーティングされてもよい。一実施形態では、反射コーティングは、第1のプリズムよりも屈折率の低い材料で作られる。さらに、固体(例えば、ガラス、n1=1.5)で作られた第2の誘導素子13内を伝搬する光線10a(又は10b~10d)が、より高い屈折率を有する当該固体と、より低い屈折率(n=1)を有する空気との間の境界として機能する側面131a又は131b(上記表面は空気と接触するように配設される)に、(第2の誘導素子13の側面に垂直に延在する軸/法線に対して測定される)臨界角θcよりも大きい角度で衝突するときに、TIRが生じる。この場合、光線は表面131a及び131bで全反射する。TIRの結果、第2の誘導素子13の反射面における光透過損失がさらに低減される。
【0052】
第1の中実のプリズム11の第1の表面111及び第2の表面112に空気が接触している、中空の第1の誘導素子12及び/又は第2の誘導素子13の場合、屈折率のTIRに関する制限は暗黙で達成される。
【0053】
光学アセンブリ1は、光源10によって直接照射される処置光を対象物に向けて誘導することに加えて、対象物から散乱され、処置開口を介して装置内に戻って結合される光も誘導する。光学アセンブリ1は、処置光と同様のやり方で、そのような光を第2の誘導素子13を通して第1のプリズム11に誘導し、さらに第1の誘導素子12に誘導する。
【0054】
光源10の後方に(放物型)反射器22が配置され、そのような光の方向を変えて第1の誘導素子12、第1のプリズム11、及び第2の誘導素子13を通して対象物3に戻す。反射器22の曲率半径は、後方散乱光を収集し、第1のガイド要素12に向けて反射させるのに十分なほど大きい。反射器22は、光源1から照射され、後方に伝搬される処置光を方向付けし直すように、さらに機能する。
【0055】
図2a及び
図2bに示すように、第1の誘導素子12及び第1のプリズム11は、所定の間隙Gによって隔てられてよい。そのような場合、第1の誘導素子12の光出射面122bは、第1のプリズムの第1の表面111から、第2の光誘導素子13の光入射面132aは、第2の表面112から、それぞれ間隙Gだけ隔てられている。これは、第1のプリズム11の表面111及び112における前述の屈折率変化を導入する実施形態である。
【0056】
第1の誘導素子12の表面121a及び121b、並びに第2の誘導素子13の表面131a及び131bにおいてTIRが生じ、光線が第1のプリズムの第3の表面113で(TIR又は反射コーティングのいずれかによって)反射されると仮定すると、各光線10a、10b、10c、10dは、第1の誘導素子12の側面122b、第1のプリズム11の第1の表面111及び第2の表面112、並びに第2の誘導素子の表面132a及び132bで屈折する。光線10a、10b、10c、及び10dは、第1のプリズム11の第3の表面に入射し、第3の表面から反射された後、第1のプリズム11の第2の表面112又は第1の表面111に入射し、第2の誘導素子13に入射し、それにより処置光は均一であり、光漏れは最小限に抑えられる。TIRは第1の誘導素子12の表面121a及び121b、第1のプリズム11の第3の表面113、並びに第2の誘導素子13の表面131a及び131bで生じるので、第1の誘導素子12及び第2の誘導素子13と第1のプリズム11との両方で光漏れが最小限に抑えられる。
【0057】
漏れは、第1の誘導素子12の光出射面122bと第1のプリズム11の第1の表面111とを隔てる間隙、及び第2の誘導素子13の光入射面132aと第1のプリズム11の第2の表面112とを隔てる間隙において生じ得る。しかしながら、この漏れは、間隙Gのサイズを縮小することによって、例えば、100マイクロメートル未満、好ましくは50~100マイクロメートル、より好ましくは5~30マイクロメートルのサイズにすることによって、最小限に抑えることができる。
【0058】
図2aによると、第1の誘導素子12の光出射面122bと第1のプリズム11の第1の表面111との間の間隙G、及び第2の誘導素子13の光入射面132aと第1のプリズム11の第2の表面112との間の間隙Gは等しいことが示されているが、これらは異なっていてもよい。
【0059】
一実施形態では、間隙Gはさらに誘電材料15を含む。誘電体の例としては、空気(n=1)、樹脂、油などがある。第1のプリズム11の表面111及び112におけるTIRを可能にするために、誘電材料は第1のプリズム11の屈折率よりも低い屈折率を有する。空気(n=1)が第1の中実のプリズム11(np>1)の第1の表面111及び第2の表面112に接触している状態で、TIRの屈折率制限が暗黙のうちに達成される。この実施形態では、第1の誘導素子12の屈折率n1及び第2の誘導素子13の屈折率n2は、第1のプリズム11の屈折率npよりも小さくても、等しくても、又は大きくてもよい。
【0060】
屈折率のより低い媒質(空気、樹脂)に接続している第1のプリズム11の表面111及び112でTIRが生じるとき、密度のより低い媒質中(例えば間隙G中)で第1のプリズム11の表面111及び112に隣接してエバネッセント波(場)が発生する。これは、
図4bに示される。エバネッセント波の強度は、それぞれの表面から間隙に向かって指数関数的に減衰する。エバネッセント波が第1の誘導素子12及び第2の誘導素子13に結合するのを防ぐために、間隙Gのサイズは、間隙G内におけるエバネッセント波の減衰が可能であるために十分に大きく(例えば数マイクロメートルに)選ばれることが望ましい。
【0061】
好ましい実施形態では、間隙Gは1~100マイクロメートル、好ましくは5~30マイクロメートルになるように選ばれて、光の漏れを減少させ、間隙内でのエバネッセント波の減衰を可能にする。
【0062】
間隙Gは、その中に分散された金属粒子、ガラス粒子、及び/又はセラミック粒子をさらに含んでもよい。これは、
図2bに示される。そのような微粒子は、TiO
2、Al
2O
3、及びAlNなどの材料で構成され、1マイクロメートル~数十マイクロメートルのサイズである。そのような材料の粒子は耐熱性があり、機械的に強く、その結果、機械的に安定した間隙が得られる。さらに、そのような材料の粒子は、光脱毛に関連する波長域の光を吸収しない。したがって、光透過、及び毛髪又は皮膚の処置への影響は無視できるほど小さい。第1のプリズム11の第1の表面111及び第2の表面112の微粒子による最小の被覆率は、例えば<0.01%であり、上記技術的効果を達成するのに十分である。
【0063】
第1の誘導素子12及び第2の誘導素子13は、成形などの方法によって、誘導素子に類似した屈折率を有する(ポリマ)樹脂を用いて、又は第1のプリズム11の第1の表面111及び第2の表面112が、第1の誘導素子12の表面122b及び第2の誘導素子13の表面133bと接触することを介して、第1のプリズム11に取り付けることができ、これにより第1の誘導素子12と、第1のプリズム11と、第2の誘導素子13との間のぴったりした嵌合が確実になる。第1のプリズム11は、適切な取付け手段を用いて、例えば樹脂を用いて、第3の表面113を装置2のハウジングの一部に取り付けるか、又は第1のプリズム11の上面(
図2a又は
図2bの平面に平行に見た上面)115を機械的に締め付けることによって、所定の位置に保持することができる。
【0064】
図2a及び
図2bでは、
図3aから
図3d及び
図4aから
図4eに示すように、間隙Gによって第1のプリズム11からそれぞれ隔てられた中実の第1の誘導素子12及び中実の第2の誘導素子13を有する光学アセンブリ1が示されるが、本発明によると、光学アセンブリ1の配置の任意の組み合わせが可能である。したがって、
図2a及び
図2bに関連して上述した実施形態は、開示の実施形態である
図3aから
図3d及び
図4aから
図4eのいずれにおいても制限なく組み合わせることができる。
【0065】
図3aは、中実の第1のプリズム11、並びに第1の誘導素子12、及び第2の誘導素子13を備える光学アセンブリ1の例示的な実施形態を示し、第1の誘導素子12及び第2の誘導素子13は中空の導波路であり、その結果、第1のプリズム11の第1の表面111及び第2の表面112に空気が接触している。
【0066】
図3bは、中実の第1のプリズム11と、第1の誘導素子12と、第2の誘導素子13とを備えた光学アセンブリ1の例示的な実施形態であり、第1の誘導素子12は中空の導波路であり、これにより空気が第1のプリズム11の第1の表面111と接触し、第2の誘導素子13は、第1のプリズム11の第2の表面112と接触して配設された表面132aを有する固体である。
図3bに示すように、第2の誘導素子13の屈折率n
2は、第1のプリズム11の屈折率n
pよりも小さい。
【0067】
図3cは、中実の第1のプリズム11と、第1の誘導素子12と、第2の誘導素子13とを備えた光学アセンブリ1の例示的な実施形態であり、第2の誘導素子13は中空の導波路であり、これにより空気が第1のプリズム11の第2の表面112に接触しており、第1の誘導素子12は、第1のプリズム11の第1の表面111に接触して配設された表面122bを有する固体である。
図3cに示すように、第1の誘導素子12の屈折率n
1は、第1のプリズム11の屈折率n
pよりも小さい。
【0068】
図3dは、中実の第1のプリズム11と、中実の第1の誘導素子12と、中実の第2の誘導素子13とを備えた光学アセンブリ1の例示的な実施形態であり、第1の誘導素子12の表面122bは、第1のプリズム11の第1の表面111に接触して配設され、第2の誘導素子13の表面132aは、第1のプリズム11の第2の表面112に接触して配設される。第1の誘導素子12の屈折率n
1及び第2の誘導素子13の屈折率n
2は、
図3dに示すように、第1のプリズム11の屈折率n
pよりも小さい。
【0069】
図4aは、中実の第1のプリズム11と、中実の第1の誘導素子12と、中空の第2の誘導素子13とを備えた光学アセンブリ1の例示的な実施形態であり、第1の誘導素子12は、誘電体15(空気、樹脂など)を含む間隙Gによって第1のプリズム11の第1の表面111から隔てられており、第1のプリズム11の第2の表面112は空気と接触して配設される。第1の誘導素子12の屈折率n
1は、第1のプリズム11の屈折率n
pよりも小さくても、同じでも、又は大きくてもよい。
図4aでは、屈折率n
1は屈折率n
pと等しいことが示されている。
【0070】
図4bは、中実の第1のプリズム11と、中空の第1の誘導素子12と、中実の第2の誘導素子13とを備えた光学アセンブリ1の例示的な実施形態であり、第2の誘導素子13は、誘電体15(空気、樹脂など)を含む間隙Gによって第1のプリズム11の第2の表面112から隔てられており、第1のプリズム11の第1の表面111は空気と接触して配設される。第2の誘導素子13の屈折率n
2は、第1のプリズム11の屈折率n
pより小さくても、同じでも、又は大きくてもよい。
図4bでは、屈折率n
2は屈折率n
pと等しいことが示されている。
【0071】
図4cは、中実の第1のプリズム11と、中実の第1の誘導素子12と、中実の第2の誘導素子13とを備えた光学アセンブリ1の例示的な実施形態であり、第1の誘導素子12は、(ポリマ)樹脂15aによって第1のプリズム11の第1の表面111から隔てられており、また、第2の誘導素子13は、(ポリマ)樹脂15bによって第1のプリズム11の第2の表面112から隔てられている。第1の誘導素子12の屈折率n
1及び第2の誘導素子13の屈折率n
2は、それぞれ、第1のプリズム11の屈折率n
pよりも小さくても、同じでも、又は大きくてもよい。
図4cでは、屈折率n
1及びn
2が屈折率n
pと等しいことが示されている。ポリマ樹脂15aの屈折率n
r1、ポリマ樹脂15bの屈折率n
r2は、第1のプリズム11の屈折率n
pよりも小さい。さらに、n
r1は、n
r2と同じでも異なっていてもよい。
【0072】
図4dは、中実の第1のプリズム11と、中実の第1の誘導素子12と、中実の第2の誘導素子13とを備えた光学アセンブリ1の例示的な実施形態であり、第1の誘導素子12は第1のプリズム11の第1の表面111に接触して配設され、第2の誘導素子13は樹脂15bによって第1のプリズム11の第2の表面112から隔てられている。第1の誘導素子12の屈折率n
1は、第1のプリズム11の屈折率n
pよりも小さい。樹脂15bの屈折率n
r2は、第1のプリズム11の屈折率n
pよりも小さい。第2の誘導素子13の屈折率n
2は、第1のプリズム11の屈折率n
pよりも小さくても、同じでも、又は大きくてもよい。
図4dでは、屈折率n
2は屈折率n
pと等しいことが示されている。
【0073】
図4eは、中実の第1のプリズム11と、中実の第1の誘導素子12と、中実の第2の誘導素子13とを備えた光学アセンブリ1の例示的な実施形態であり、第1の誘導素子12は、誘電体として空気を含む間隙Gによって第1のプリズム11の第1の表面111から隔てられており、第2の誘導素子13は、第1のプリズム11の第2の表面112に接触して配設される。第2の誘導素子13の屈折率n
2は、第1のプリズム11の屈折率n
pよりも小さい。第1の誘導素子12の屈折率n
1は、第1のプリズム11の屈折率n
pよりも小さくても、同じでも、又は大きくてもよい。
図4eでは、屈折率n
1は屈折率n
pと等しいことが示されている。光源10と第1の誘導素子との間の媒質が屈折率n
0を有すると仮定すると、第1のプリズム11の第1の表面111及び第2の表面112が固体と接触して配設される実施形態において、光学アセンブリ1においてTIR条件を満たす第1のプリズム11の屈折率n
pは、第1の誘導素子12の屈折率n
1及び第2の誘導素子13の屈折率n
2に関して、以下のように計算される。
n
p
2≧n
0
2+n
1
2
n
p
2≧n
0
2+n
2
2
【0074】
例えば、
図2aの実施形態では、光源10から照射された光が空気を通って第1の誘導素子12に進行し、第1の誘導素子12及び第2の誘導素子13が標準光学ガラスで作られていると仮定すると、n
0=1、n
1=n
2=1.5であり、プリズム材料の要件はn
p≧1.8である。そのような屈折率はガラスでも実現することができる。
【0075】
第1のプリズム11の第1の表面111及び第2の表面112が空気と接触して配設される実施形態では、上式中の第1の誘導素子12の屈折率n1又は第2の誘導素子13の屈折率n2は1に置き換えられる、すなわち、以下の式のようになる。
np
2≧n0
2+1
【0076】
第1のプリズム11の上面115及び底面(図示せず)は、典型的には空気と接触して配設されるか、又は、例えば金属クランプによって機械的に締め付けられ、外部屈折率及び光学アセンブリ1の構成要素間の屈折率の関係に影響しない。
【0077】
第1のプリズム11の第1の表面111及び第2の表面112が樹脂と接触して配設される実施形態において、光学アセンブリ1においてTIR条件を満たすための第1のプリズム11の屈折率npは、ポリマ樹脂15aの屈折率nr1及びポリマ樹脂15bの屈折率nr2に関して、以下のように計算される。
np
2≧n0
2+nr1
2
np
2≧n0
2+nr2
2
【0078】
例えば、
図4cの実施形態では、光源10から出射された光が空気を通って第1の誘導素子12まで進行し、樹脂15a及び15bの材料が1.4として選ばれる(n<1.4である樹脂も同様に適用可能である)と仮定すると、n
0=1、n
r1=n
r2=1.4であり、プリズム材料への要件はn
p≧1.72となる。そのような屈折率は、ガラス(例えば、Schott N-SF4)又は光学プラスチック(例えば、チアントレン部分を有するポリマ)において実現することができる。
【0079】
上記の実施形態は、第1のプリズム11と光源10との間に単一の第1の誘導素子12を備え、第1のプリズム11と処置開口(図示せず)との間に単一の第2の誘導素子13を備える光学アセンブリ1を示す。一実施形態では、第1のプリズム11と光源10との間にさらなる光誘導素子(図示せず)が配設される。さらなる光誘導素子は、第1の誘導素子12に隣接して位置していても、又は第1の誘導素子12内に組み込まれてもよく、中空であっても、又は第1の誘導素子12の表面121aと同一平面上の閉塞された反射上面を有する固体であってもよい。同様に、第1のプリズム11と処置開口との間にさらなる光誘導素子が配設される。さらなる誘導素子の数に対する制限はない。さらなる光誘導素子を使用することによって、(異なる伝搬角を有する)拡散処置光は、光源10と対象物3との間でさらに平行化される。
【0080】
図5aから
図5eは、光学フィルタ16をさらに備えた光学アセンブリ1の様々な概略図を示す。前述のように、光源10は、複数の波長を備えた光(「インコヒーレント/白色光」、非単色)を照射する。例えば、キセノン・フラッシュ・ランプは、紫外から赤外までのスペクトル帯域内、すなわち400nmより短い波長から1700nmほどの長い波長までの高強度の光を生成することができる。530nmより短い波長は血液中のヘモグロビンによって吸収され、不快感及び副作用を引き起こす可能性があるため、この光はフィルタリングで除外されていることが好ましい。さらに、光源10の外面において高電圧が発生する場合、電気的危険から保護するために装置2において電気絶縁体が必要となる。装置2を使用している間に望ましくない放射線が対象物に誘導されるのを防ぐため、及び/又は電気的絶縁を提供するため、装置2において適切なフィルタが使用される。
【0081】
図5aにおいて、フィルタ16は、処置開口(図示せず)に近接して、第2の誘導素子13の表面132aの上方に装着されて示されている。フィルタ16と第1のプリズム11の第2の表面112との間の、空気又は適切な屈折率(n
r<n
p)を有する別の誘電体のいずれかで満たされた間隙Gにより、第1のプリズム11の第2の表面112におけるTIRが可能になる。フィルタ16は、より良好な電気的絶縁を(例えば、絶縁体の電気的沿面距離を増加させることによって)提供するために、第2の誘導素子13よりも大きい断面を有する。光学アセンブリ1内の間隙Gを収容するために、フィルタ16を有する実施形態は、第1のプリズム11の第2の表面112と第2の誘導素子13との間のより大きい(総)間隔を有する。本実施形態では、フィルタ16は絶縁体としても機能する。
【0082】
プリズムを用いた光学アセンブリ1において、上記実施形態に示されるように、光源10及び対象物3に隣接する処置開口(図示せず)を、非同軸の方向に、例えば互いに対して90度で配置することにより、フィルタ16(例えば、光学フィルタ)を代替的に第1の誘導素子12に隣接して配置するか、又は第1の誘導素子12に組み込むことができる(
図5b、
図5c)。そのような光学アセンブリ1は、対象物が見える方向に、例えば
図2aの軸L’に沿って、又は
図7に示すようにL’に垂直に、例えばカメラなどの追加の撮像素子、追加の絶縁体構成要素などを組み込むためのより高い柔軟性を提供する。
図5bでは、第1のプリズム11の第2の表面112と第2の誘導素子13の表面132aとの間に挟まれた透明な(例えば、ガラス製の)絶縁窓17が示される。光学窓17は、第1のプリズム11の第2の表面112に隣接して、及び/又は実質的に平行に配設される。窓の屈折率に応じて、窓17と第1のプリズム11の第2の表面112との間に間隙Gが存在してもよく、又はしなくてもよい。窓17は、処置開口付近の装置2の出口において電気的絶縁を提供する。光学アセンブリ1の間隙Gを収容するために、窓17を有する実施形態では、第1のプリズム11の第2の表面112と第2の誘導素子13との間により大きい(総)間隔が含まれる。
【0083】
別の実施形態では、光学窓17又はフィルタ16は、第1のプリズム11の第1の表面111に隣接して、及び/又は第1のプリズム11の第1の表面111に実質的に平行に配設される。
【0084】
図5d及び
図5eは、フィルタ16が第1のプリズム11に配設された光学アセンブリ1の概略図を示す。
図5dでは、フィルタ16は、(例えば、プリズム材料としてドープ・ガラスを使用することによって)第1のプリズム11内に完全に配設されて示されている。この場合、第1のプリズム11は、光源10からの光を処置開口に誘導することに加えて、光学フィルタとしても機能する。フィルタ16は望ましくない光の波長を遮る一方で、処置のための光波長に対しては透過可能である。当業者であれば、両方の目的を満たす適切なフィルタを選ぶ方法を知っている。
【0085】
本実施形態では、第1のプリズム11の第3の表面113を冷却部材19(例えばヒート・シンク)が熱的接触しており、それによりフィルタを効果的に冷却することができる。これにより、装置動作中にフィルタ16によって放出される熱から装置2の使用者が保護される。さらに、熱が冷却部材19に効率的に伝達されるので、フィルタ16自体はより低い温度である(温度値<100℃)。そのため、より低い温度に耐性があるポリマ材料のより幅広い選択を、フィルタを製造するために使用することができる。
【0086】
フィルタ16は、第1のプリズム11の第3の表面113上の反射コーティングRに接触して配設され、冷却部材は、次いで反射コーティングRに取り付けられる。
【0087】
図5eは、フィルタ16が第1のプリズム11中に部分的に配設され、フィルタ16の外面は第1のプリズム11の第3の表面113と共存することを示す。光源10からの光は、第1のプリズム11の第3の表面113に誘導されるとき、まず光学フィルタ16を通過する。結果として、光は第3の表面113で反射された際に対象物に到達する前に、望ましくない光波長を除去するためにフィルタリングされる。フィルタ16の屈折率は、第1のプリズム11の屈折率と同様であることが望ましい。これにより、プリズム-フィルタ界面における反射が低減され、すべての入射処置光が光学フィルタ16を通して第3の表面113に伝達される。光源10と対象物(皮膚又は毛髪)との間では、すべての光は、第3の表面113に向かって進行するとき、及び反射されてフィルタ16から離れて進行するとき、フィルタ16を2回通過する。このように光路長を増加させることにより、フィルタ層は、従来のパススルー・フィルタの半分(未満)の厚さ(例えば<1mm)にすることができる。
図5eに示すように、フィルタ16の外面(及び第1のプリズム11の第3の表面113)は、第3の表面113上の反射コーティングRを介して冷却部材19に接触して配設され、フィルタの冷却効率がさらに向上する。
【0088】
或いは、フィルタ16は、単に、コーティングとして第1のプリズム11の第3の表面113(図示せず)上に配設される。実施形態5d又は5eにおいて、フィルタ16、反射コーティングR及び冷却部材19は、冷却部材19に近接して配設された撮像素子からの光が第1のプリズム11を通って対象物/皮膚まで進行することを可能にするように、切込みが入れられてもよい。
【0089】
図6は、光を用いた処置装置2内に含まれる光学アセンブリ1の概略図を示す。光学アセンブリ1は、装置2の本体(
図10に示す)に収容される。装置2は、少なくとも1つの取付部21を含み、第2の誘導素子13は、第1のプリズム11から出力された光を対象物3に誘導するために、装置2の取付部21に代替的に配設される。
【0090】
図6の光学アセンブリ1は、第1のプリズム11の第3の表面113に装着された第2のプリズム18(例えば、直角三角形形状を有する)をさらに備える。第2のプリズム18は、互いに角度付けられた第1の表面181及び第2の面182と、第1の表面181及び第2の面182に隣接した第3の表面183とを備える。第2のプリズム18の屈折率n
p’は、第1のプリズム11の屈折率n
pと同様であってよい。
【0091】
前述のように、第1のプリズム11の(その外側の)第3の表面113は、反射コーティングRをさらに含み得る。第3の表面113は、このコーティングRを使用して全体的に、又は部分的にコーティングされ得る。
【0092】
第2のプリズム18の第3の表面183は、第1のプリズム11の第3の表面113のコーティングされていない部分に取り外し可能に取り付けられるか、又は融合されることが可能である。さらに、第2のプリズム18の第1の表面181は、第1のプリズム11の第2の表面112に対して実質的に平行に(軸L’に垂直に)配設され得る。第2のプリズム18の第2の表面182は、反射コーティングR’(R’=又は≠R)をさらに含み、それにより、第2のプリズム18内に漏れて第2の表面182に入射する処置光が、表面で受ける透過損失が最小に抑えられる。コーティングの結果、第2のプリズム18の表面182に到達する任意の光は、再利用されるために第1のプリズム11に反射される。再利用されることにより、光源10からの処置光が様々な表面(例えば、皮膚、装置の光学部品)で反射されて再び処置に使用することが可能になる。
【0093】
図7に示すように、第2の誘導素子13がプリズムとして形付けられる代替実施形態では、第2のプリズム18(例えば、その第3の表面183)は、
図7に示すように、第2の誘導素子13のコーティングされていない表面131a(斜めの表面/斜辺面)に取り付けられる。表面131aは、全体的又は部分的な反射コーティングRを備える。第2のプリズム18の第1の表面181は、第2の誘導素子13の表面131bと実質的に平行に配設される。第2のプリズム18の第2の表面182は、
図6を参照して上述したように、反射コーティングをさらに含む。
【0094】
図6~
図8の実施形態では、対象物(身体部分)を撮像するために、第2のプリズム18の第1の表面181上に、又は第1の表面181に隣接して、撮像素子、例えばカメラCがさらに装着される。第2のプリズム18は、カメラ視野口及び撮像光の入射口として機能するように配置される。
図6の実施形態では、撮像光は、第1のプリズムの第3の表面113のコーティングされていない部分に配設された第2のプリズム18の第1の表面181及び第3の表面183に入射し、これらを透過し、第1のプリズム11の第2の表面112、第2の誘導素子13の表面132a及び132b、ならびに対象物3への取付部21に入射し、これらを透過する。
図7の実施形態では、撮像光は、第2の誘導素子13の表面131aのコーティングされていない部分に配設された第2のプリズム18の第1の表面181及び第3の表面183、第2の誘導素子13の表面131bに入射し(図示せず)、これらを透過して対象物3に到達する。第2のプリズム18は、第1のプリズム又は第2の誘導素子の反射コーティングのコーティングされていない部分に取り付けられていることが開示されているが、これは単に好ましい特徴に過ぎない。
【0095】
カメラCは、第2のプリズム18の第1の表面181を通して皮膚を撮像するように適切に配置されている限り、装置2の別の要素に装着されている(例えば、装置2のハウジングに装着されている)。したがって、光学アセンブリ1におけるカメラCの位置は、
図6から
図8の実施形態に限定されない。
【0096】
図6の挿入図は、第2のプリズム18の第1の表面181の上面図を示す。カメラからの(例えばLEDを使用した)撮像光は、光入射口Oを通して対象物3に入射する。光出射口O’を通してカメラに再び入射した対象物3からの反射光は、カメラCの撮像素子によって検出される。
【0097】
このように、装置処置開口に隣接する皮膚の特性(例えば、皮膚の色素沈着/皮膚の色調)を取得することができ、この装置処置開口を介して処置光パルスが皮膚に印加される。カメラCは、皮膚接触、毛髪数、又は装置の変位及び動きの検出にも使用される。例えば、皮膚接触がない、又は皮膚の色調が安全でないことが検出された場合、装置の閃光が防止される。これにより、接触/皮膚色調/動きの専用センサを装置に組み込む必要がなく、コスト面でも有利になる。
【0098】
図5d及び
図5eの構成の場合、前述のように、撮像素子Cからの光及び撮像素子Cへの光の通過を可能にするように、例えば、フィルタの一部を全ての可視光に対して透過可能にしておくこと、第1のプリズム11の表面113の一部をコーティングしないでおくことによって、フィルタ16、冷却部材19、及び第1のプリズム11上のコーティングに、(例えば適切な透過性コーティングを使用することによって)切込み又は光チャネルがさらに設けられる。第2のプリズム18は、第1のプリズム11の第3の表面113のうち冷却部材19によって覆われていない部分に装着される。
図7の実施形態では、処置光及び撮像光を対象物に誘導するために、追加の誘導素子が第2の誘導素子13の表面131bにさらに取り付けられてよい。さらに、本実施形態では、撮像光の光路が異なることにより、前述の光チャネルの存在は必須ではない。
【0099】
図6及び
図7の実施形態の残りの態様は、上述したものと類似しており、簡潔のためにここでは繰り返さない。
【0100】
図6から
図8の実施形態は、
図2から
図5に開示された光学アセンブリのいずれか、又は、上述の技術的問題の少なくとも1つを克服するために使用することができる任意の他の複数素子アセンブリと組み合わせることもできる。
【0101】
前述のように、第2のプリズム18の第3の表面183は、第1のプリズム11の第3の表面113のコーティングされていない部分、又は第2の誘導素子13の表面131aに取り外し可能に取り付けられる、又は融合されることが可能である。これは、カメラCなどの撮像素子が光学アセンブリ1内に含まれているときに特に有用である。
【0102】
図8a及び
図8bは、
図6のカメラ構成を参照して示している。また、
図8a及び
図8bは、
図7を参照して説明されたカメラ構成と組み合わせることもできる。
【0103】
図8a及び
図8bに示すように、第2のプリズム18の(反射コーティングR’によってコーティングされ得る)第2の表面182は、可動アクチュエータAに接続されている。第1の動作モードでは、
図8aに示すように、アクチュエータAの移動により、第2のプリズム18が第1のプリズム11に(その第3の表面113と)接触して配置される。これにより、カメラCは対象物3の画像を取得する。このモードでは、処置光源10はオフに切り替えられる。言い換えると、このステップは、光パルスを使用して対象物を処置する前に実行される。
【0104】
第2のプリズム18の第3の表面183は、第1のプリズム11の第3の表面113のコーティングされていない部分と接触するようになる、弾性/変形可能な層AD、好ましくは透明なシリコーン層をさらに含む。変形可能な層は、プリズムが互いに良好に光学的な接触を有することを可能にする。一実施形態では、変形可能な層の屈折率は、第2のプリズム18の屈折率n
p’及び第1のプリズム11の屈折率n
pに類似している。この場合、
図8aに示す第1の動作モードでは、アクチュエータAの移動により、変形可能層ADを介して第2のプリズム18が第1のプリズム11に(その第3の表面113と)接触して配置される。
【0105】
取得された画像を用いてカメラCにより対象物の特性が確認され、コントローラ(
図8a/
図8bでは図示せず)によって対象物が光を用いた処置をしても安全であると判定された後、第2の動作モードが開始される。第2の動作モードでは、
図8bに示すように、アクチュエータAの移動により、第2のプリズム18は、第1のプリズム11から接続解除される/第1のプリズム11と接触しないようになる。
【0106】
第2の動作モードの結果、第1のプリズム11の第3の表面113と第2のプリズム18の第3の表面上の変形可能な層ADとの間に空隙が生成される。空隙により、高(プリズム11)-低(空気)屈折率媒質界面が第3の表面113に形成される。その結果、光源10からの光(及び装置2に結合された対象物3から反射された光)の大部分は、第2のプリズム18及びカメラCへの有害な漏れなしに、第1のプリズム11の第3の表面113において全内部反射される。本実施形態では、一例として空隙が使用されるが、上記から明らかであるように、任意の流体を、その屈折率において第1のプリズム11の第3の表面113におけるTIRが可能である限り、間隙内に含むことができる。
【0107】
このモードでは、任意選択で、
図8bに示すようにカメラCが無効にされる。後退した第2のプリズム18と組み合わせることにより、カメラCは光源10の高強度閃光からさらに保護される。
【0108】
図9は、本発明の例示的な実施形態による美容処置用装置2を操作する方法を示す。
図6に記載の撮像素子の構造的配置を参照して説明されるが、
図7の撮像素子にも適用可能である。
【0109】
本方法は、前述の実施形態のいずれかの光学アセンブリ1を提供することを有する。対象物3の少なくとも1つの画像が(撮像素子Cによって、又は外部の撮像素子/カメラによって)取得されて、処置に対する適合性が判定され、それによって処置を実行するかが判定される。「はい」の場合、光学アセンブリ1の光源10によって照射された光は、処置が行われる対象物に誘導される。
【0110】
より詳細には、ステップ901において、装置2(本体部分又は取付部)は、処置のために対象物3(皮膚)に接触させられる。ステップ902では、適切な皮膚接触センサを使用して、装置2と対象物との間で接触が適切に確立されているかを判定する。
【0111】
装置コントローラが、センサ出力に基づいて、皮膚接触が装置との間で確立されていないと判定した場合、ステップ902において、制御信号がコントローラによって、ディスプレイに接続されたインタフェース・ユニットに送信され、次いでインタフェース・ユニットが、装置2を対象物3と接触して配置するように使用者に通知する。
【0112】
装置コントローラが、センサ出力に基づいて、皮膚接触が装置との間で確立されていると判定した場合、ステップ903において、制御信号が送信されて、光学アセンブリ1のアクチュエータAを作動させる。次いで、変形可能な層ADが第3の表面113の上記部分に接触するように、第2のプリズム18を、第1のプリズム11の第3の表面113の(コーティングされていない)部分に向かって移動させる。
【0113】
ステップ904では、制御信号が光学アセンブリ1のカメラCに送信される。次いで、カメラCは対象物3(皮膚)の画像を取得して、光を用いた処置に対する皮膚(対象物3)の適合性を判定する。そのような適合性は、画像から推察される様々な皮膚特徴情報、例えば、皮膚の色素沈着/色調に基づいて判定される。
【0114】
専用の皮膚接触センサが、皮膚との接触を検出するために使用されてもよい。或いは、カメラCを、皮膚接触を検出するために使用することもできる。この場合、コントローラは、ステップ902において、光学アセンブリ1のカメラCを起動する制御信号を送信する。コントローラは、例えばディスプレイを介して、使用者によるコントローラの起動時にこの信号を送信する。カメラCは皮膚接触を検出するために皮膚の画像を取得する。この場合、ステップ902及び903が組み合わされてもよい。次いで、コントローラは、画像の焦点品質及び/又は鮮鋭度に基づいて、皮膚との間で接触が確立されたかを判定する。次いで、ステップ904において、同じ又は異なる画像がコントローラによって分析されて、処置に対する皮膚の適合性が判定される。
【0115】
ステップ905において、コントローラは、皮膚が処置に適しているかを判定する。適している場合、ステップ906において、制御信号がアクチュエータAに送信されて、第2のプリズム18を第1のプリズム11の第3の表面113のコーティングされていない部分から離れるように移動させ、これにより、変形可能な層ADが第3の表面113の上記部分から接続解除される。光源10からの処置パルスをトリガする前にカメラCを無効にするように、制御信号がカメラCにさらに送信される。第2のプリズムが後退すると(及びカメラが無効になると)、ステップ908において、光源10に送信された制御信号は、光源10を、処置光パルスを放出するように制御する。
【0116】
ステップ905において、コントローラが、皮膚が処置に適さないと判定した場合、ステップ907において、制御信号は、ディスプレイに接続されたインタフェース・ユニットに送信され、次いで、インタフェース・ユニットは、装置2を別の対象位置に配置するように使用者に通知する。次いで、本方法はステップ901から再開され、使用者が処置手順を完了させるまで続く。
【0117】
図10は、本発明の例示的な実施形態による装置2を示す。
【0118】
装置2は、装置2の動作を全般的に制御し、装置2が本明細書に記載の方法及び技法を実行するのを可能にするコントローラ81を備える。
【0119】
コントローラ81は、光源10が、光学アセンブリ1を通って対象物3に誘導される光を照射するように、光源10に制御信号を送信するように構成されている。コントローラ81は、撮像素子(例えば、カメラC)から1つ又は複数の画像を受信するようにさらに構成され、画像を処理して、装置2が対象物3(皮膚)に接触しているかを判定する。或いは、コントローラ81は、接触センサ出力を処理して、装置2が対象物に接触しているかを判定する。コントローラは、撮像素子が画像を取得するか、又は撮像素子を光源10によって照射される光から保護することができるようにアクチュエータAを作動させ、取得された画像を分析して光処置に対する皮膚の適合性を判定するようにさらに構成される。接触が確立されていない、又は皮膚が処置に適さないと判定された場合、コントローラ81は、ディスプレイ83に接続されたインタフェース・ユニット82に信号を送信し、ディスプレイ83は次いで、装置2を再配置するよう使用者に通知する。コントローラ81は、サポート・ベクタ・マシン、決定木、ランダム・フォレスト、人工ニューラル・ネットワーク、ディープ・ニューラル・ネットワーク、又は畳み込みニューラル・ネットワークなどの機械学習(ML)モデルをさらに埋め込んで、前述の分析又は判定のいずれかを実行する。
【0120】
コントローラ81は、本明細書で説明する様々な機能を実行するために、ソフトウェア及び/又はハードウェアを用いて、様々なやり方で実施することができる。コントローラ81は、ソフトウェア又はコンピュータ・プログラム・コードを使用して、必要な機能を実行するように、及び/又は、必要な機能を実現するようにコントローラ81の構成要素を制御するようにプログラムされた、1つ若しくは複数のマイクロプロセッサ又はデジタル信号プロセッサ(DSP)を含む。コントローラ81は、いくつかの機能(例えば、増幅器、前置増幅器、アナログ-デジタル変換器(ADC)及び/又はデジタル-アナログ変換器(DAC))を実行する専用ハードウェアと、他の機能を実行するプロセッサ(例えば、1つ又は複数のプログラムされたマイクロプロセッサ、コントローラ、DSP、及び関連回路)との組み合わせとして実施される。本開示の様々な実施形態において利用される構成要素の例としては、従来のマイクロプロセッサ、DSP、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、ニューラル・ネットワークを実施するためのハードウェア、及び/又はいわゆる人工知能(AI)ハードウェア・アクセラレータ(すなわち、メイン・プロセッサと並列で使用され得る、特にAIアプリケーション用に設計されたプロセッサ若しくは他のハードウェア)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0121】
コントローラ81は、メモリ・ユニット84を備えるか、又はメモリ・ユニット84と関連付けられることが可能である。メモリ・ユニット84は、コントローラ81が、装置2の動作を制御する際、及び/又は本明細書に記載の方法を実行若しくは実施する際に使用するデータ、情報、及び/又は信号(画像を含む)を記憶することができる。いくつかの実装例では、メモリ・ユニット84は、コントローラ81が本明細書に記載の方法を含む1つ又は複数の機能を実行するように、コントローラ81によって実行可能なコンピュータ可読コードを記憶する。特定の実施形態では、プログラム・コードは、スマートフォン、タブレット、ノート型コンピュータ、コンピュータ、又はサーバのためのアプリケーションの形態をとることができる。メモリ・ユニット84は、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、スタティックRAM(SRAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、リード・オンリ・メモリ(ROM)、プログラマブルROM(PROM)、消去可能PROM(EPROM)、及び電気的消去可能PROM(EEPROM(登録商標))などの揮発性及び不揮発性のコンピュータ・メモリを含むキャッシュ・メモリ又はシステム・メモリなどの、任意のタイプの非一時的な機械可読媒体を含むことができ、当該メモリ・ユニットは、メモリ・チップ、光ディスク(コンパクト・ディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)、若しくはブルーレイ・ディスクなど)、ハード・ディスク、テープ・ストレージ・ソリューション、又はメモリ・スティック、ソリッド・ステート・ドライブ(SSD)、メモリ・カードなどを含む固体デバイスの形態で実施することができる。
【0122】
インタフェース・ユニット82は、サーバ、データベース、使用者装置、及びセンサの任意の1つ又は複数を含む他の装置とのデータ接続及び/又はデータ交換を可能にする送受信機を備えてよい。インタフェース・ユニット82は、WiFi、Bluetooth、Zigbee、又は任意のセルラ通信プロトコル(グローバル・システム・フォー・モバイル・コミュニケーションズ(GSM)、ユニバーサル移動体通信システム(UMTS)、ロング・ターム・エボリューション(LTE)、LTE-Advancedなどを含むが、これらに限定されない)を使用して動作することができる。インタフェース・ユニット82は、キーボード、キーパッド、1つ又は複数のボタン、スイッチ又はダイヤル、マウス、トラック・パッド、タッチ・パネル、スタイラス、カメラ、マイクなどを含むがこれらに限定されない、任意の適切な入力構成要素を制御する回路をさらに備え、ユーザ・インタフェースは、ディスプレイ・ユニット又はディスプレイ・スクリーン、1つ又は複数のライト又はライト素子、1つ又は複数のスピーカ、振動素子などを含むがこれらに限定されない、任意の適切な出力構成要素を含むことができる。
【0123】
装置2の実際的な実装例は、
図10に示される構成要素に加えて、追加の構成要素を含むことが理解されよう。
【0124】
本明細書に開示の寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されると理解するべきではない。その代わりに、別途指定されない限り、それぞれのそのような寸法は、記載された値と、その値を囲む機能的に等価な近似値との両方を意味することが意図されている。また、別途指定されない限り、本明細書で言及された寸法は、当業者に知られている一般的な実験室的測定技法を使用して測定されたものである。
【0125】
本開示は、上述の例示的な実施形態を用いて説明されたが、当業者であれば様々な変更及び修正を想起し得る。本開示は、特許請求の範囲にあるような変更及び修正を包含することを意図している。