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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/16 20060101AFI20241220BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20241220BHJP
【FI】
G06F1/16 312L
G06F1/16 312E
G06F1/16 312F
H05K5/02 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2024029879
(22)【出願日】2024-02-29
【審査請求日】2024-02-29
(73)【特許権者】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀内 茂浩
(72)【発明者】
【氏名】山内 武仁
(72)【発明者】
【氏名】中西 爽
(72)【発明者】
【氏名】潮田 達也
【審査官】小林 義晴
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第216927485(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/16
H05K 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器であって、
表示面と、前記表示面とは反対側の背面とを有するディスプレイパネルと、
前記ディスプレイパネルの背面を内面で支持すると共に、縁部に前記ディスプレイパネル側を向いた受け面が形成された立壁を有する筐体部材と、
前記ディスプレイパネルの表示面を覆うと共に、前記ディスプレイパネルの外周側面から張り出した外縁部を有し、前記外縁部の端面が前記立壁に対して隙間をあけて対向するガラスプレートと、
前記立壁と前記端面との間の隙間に介在することなく前記ガラスプレートの外縁部の裏面側で突出部を形成すると共に、前記突出部が前記受け面に係止された樹脂部材と、
を備え
前記樹脂部材は、前記ガラスプレートの裏面に固定され、前記突出部が前記受け面に当接することで前記ガラスプレートの前記端面と前記立壁との間に前記隙間を確保している
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
電子機器であって、
表示面と、前記表示面とは反対側の背面とを有するディスプレイパネルと、
前記ディスプレイパネルの背面を内面で支持すると共に、縁部に前記ディスプレイパネル側を向いた受け面が形成された立壁を有する筐体部材と、
前記ディスプレイパネルの表示面を覆うと共に、前記ディスプレイパネルの外周側面から張り出した外縁部を有し、前記外縁部の端面が前記立壁に対して隙間をあけて対向するガラスプレートと、
前記立壁と前記端面との間の隙間に介在することなく前記ガラスプレートの外縁部の裏面側で突出部を形成すると共に、前記突出部が前記受け面に係止された樹脂部材と、
を備え、
前記ガラスプレートは、前記外縁部の長手方向での一端及び他端に設けられた一対のコーナー部を有し、
前記突出部及び前記受け面は、それぞれ前記外縁部の長手方向に沿う方向での中央よりも前記一対のコーナー部に近い位置に設けられている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電子機器であって、
前記立壁は、
その起立方向の上部に設けられ、前記ガラスプレートの端面と対向する第1部分と、
前記第1部分よりも下方で前記ディスプレイパネル側に張り出すように設けられ、前記樹脂部材の下に配置された第2部分と、
を有し、
前記第2部分は凹部又は段部を有し、
前記凹部又は段部の一壁面が前記受け面を形成している
ことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項に記載の電子機器であって、
前記樹脂部材は、一対設けられ、
前記一対の樹脂部材のそれぞれに前記突出部が設けられている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項4に記載の電子機器であって、
前記筐体部材は、前記ガラスプレートの外縁部の長手方向での中央を含む部分に対向する範囲にある前記立壁を前記ディスプレイパネルから離れる方向に膨出させた膨出部を有し、
当該電子機器は、さらに、
前記膨出部に配置されたカメラレンズと、
操作ノブを有し、前記カメラレンズを開閉可能なカメラシャッターと、
前記膨出部に位置する前記立壁と、前記ガラスプレートの端面との間に介在するベゼル部材と、
を備え、
前記ベゼル部材は、前記膨出部に位置する前記立壁の長手方向に沿って延在し、一部に前記操作ノブが移動可能に配置された欠損部を有する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項6】
電子機器であって、
表示面と、前記表示面とは反対側の背面とを有するディスプレイパネルと、
前記ディスプレイパネルの背面を内面で支持すると共に、縁部に前記ディスプレイパネル側を向いた受け面が形成された立壁を有する筐体部材と、
前記ディスプレイパネルの表示面を覆うと共に、前記ディスプレイパネルの外周側面から張り出した外縁部を有し、前記外縁部の端面が前記立壁に対して隙間をあけて対向するガラスプレートと、
前記立壁と前記端面との間の隙間に介在することなく前記ガラスプレートの外縁部の裏面側で突出部を形成すると共に、前記突出部が前記受け面に係止された樹脂部材と、
を備え、
さらに、
前記筐体部材を有し、矩形状の外形を有する第1筐体と、
矩形状の外形を有し、前記第1筐体と隣接する第2筐体と、
前記第1筐体の一縁部と、前記第2筐体の一縁部とを相対的に回動可能に連結するヒンジと、
を備え、
前記立壁は、
前記ヒンジが連結された前記第1筐体の一縁部と直交する方向に沿って延在する一対の縦壁と、
前記ヒンジが連結された前記第1筐体の一縁部とは反対側で前記一対の縦壁と直交するように延在する横壁と、
を含み、
前記受け面は、前記横壁に形成されている
ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイパネルを備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
ノート型PCのような電子機器は、液晶ディスプレイ等で構成されたディスプレイパネルを備える。例えば特許文献1には、縁部に立壁を有する筐体部材の内面でディスプレイパネルを支持した構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2023-005541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成では、ディスプレイパネルの表示面がガラスプレートで覆われている。この構成では、ガラスプレートの端面と立壁との間に樹脂製のベゼル部材が介在している。ベゼル部材は、筐体部材に対するディスプレイパネルの組付時や電子機器の落下時にガラスプレートが立壁に衝突し、破損又は損傷することを抑制することができる。
【0005】
ところで、ディスプレイパネルの外周を囲むベゼル幅は、外観品質の向上のため、可能な限り幅狭に構成することが望まれている。特許文献1の構成では、ガラスプレートと立壁との間に介在するベゼル部材の板厚分だけベゼル幅が広がっている。一方で、この構成からベゼル部材を削減した場合は、立壁にガラスが直接的に干渉して破損又は損傷することが懸念される。
【0006】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、ガラスプレートの破損や損傷を抑制しつつ、ベゼル幅を狭くすることができる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様に係る電子機器は、表示面と、前記表示面とは反対側の背面とを有するディスプレイパネルと、前記ディスプレイパネルの背面を内面で支持すると共に、縁部に前記ディスプレイパネル側を向いた受け面が形成された立壁を有する筐体部材と、前記ディスプレイパネルの表示面を覆うと共に、前記ディスプレイパネルの外周側面から張り出した外縁部を有し、前記外縁部の端面が前記立壁に対して隙間をあけて対向するガラスプレートと、前記立壁と前記端面との間の隙間に介在することなく前記ガラスプレートの外縁部の裏面側で突出部を形成すると共に、前記突出部が前記受け面に係止された樹脂部材と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の上記態様によれば、ガラスプレートの破損や損傷を抑制しつつ、ベゼル幅を狭くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態に係る電子機器を上から見下ろした模式的な平面図である。
図2図2は、筐体部材の模式的な正面図である。
図3図3は、ディスプレイアセンブリの背面図である。
図4図4は、図2中のIV-IV線に沿う第1筐体の模式的な側面断面図である。
図5図5は、図2中のV-V線に沿う第1筐体の模式的な側面断面図である。
図6図6は、膨出部及びその周辺部を拡大した模式的な斜視図である。
図7図7は、筐体部材にディスプレイアセンブリを組み付ける動作を示す模式的な断面図である。
図8図8は、段部を備える第1筐体の模式的な断面図である。
図9図9は、膨出部を持たない筐体部材の模式的な正面図である。
図10図10は、図9に示す筐体部材に組み付けることができるディスプレイアセンブリの背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る電子機器について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
図1は、一実施形態に係る電子機器10を上から見下ろした模式的な平面図である。本実施形態の電子機器10は、第1筐体11と第2筐体12とをヒンジ14によって相対的に回動可能に連結した構成である。
【0012】
本実施形態の電子機器10は、筐体11,12間の角度位置に応じてノート型PC(ノートモード)やタブレット型PC(タブレットモード)として使用できる、いわゆるコンバーチブル型PCである。電子機器10は、筐体11,12間を0度~360度の角度範囲内で所望の角度位置に設定することができる。0度は、筐体11,12の面方向が互いに平行し、第1筐体11の正面11aと第2筐体12の表面(キーボード16)が対面する位置である。360度は、筐体11,12の面方向が互いに平行し、第1筐体11の背面11bと第2筐体12の底面(キーボード16側とは反対側の面)が対面する位置である。電子機器10は、コンバーチブル型PC以外にも、筐体11,12間を0度~180度程度の角度範囲内で所望の角度位置に設定することができる一般的なノート型PC又は一枚板状のタブレット型PC等、各種の電子計算機でもよい。
【0013】
第2筐体12は、平面視で矩形状の外形を有する扁平な箱体であり、第1筐体11と隣接している。第2筐体12の内部には、CPU等を搭載したマザーボード、バッテリ装置、メモリ、アンテナ装置等の各種電子部品が収容されている。第2筐体12の上面には、キーボード16及びタッチパッド17が臨んでいる。
【0014】
第1筐体11は、平面視で矩形状の外形を有し、第2筐体12よりも薄い扁平な箱体である。第1筐体11は、ディスプレイパネル18を搭載している。
【0015】
以下、第1筐体11及びこれに搭載された各構成要素について、ディスプレイパネル18の表示面18aを視認するユーザから見た方向を基準とし、左右方向をそれぞれX1,X2方向、上下方向をそれぞれY1,Y2方向、奥行方向をそれぞれZ1,Z2方向と呼んで説明する。X1,X2方向をまとめてX方向と呼ぶこともあり、Y1,Y2方向及びZ1,Z2方向についても同様にY方向、Z方向と呼ぶことがある。
【0016】
ディスプレイパネル18の表示面18aは、第1筐体11のZ1側表面(正面11a)を臨んでいる。表示面18aは映像や画像の表示面である。ディスプレイパネル18は、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイで構成される。ディスプレイパネル18は、例えばガラス、液晶層、及び導光板等を積層してそれぞれの層の外周縁部同士を両面テープや接着剤等で固定した構造である。
【0017】
ディスプレイパネル18の表示面18aはガラスプレート19で覆われている。ガラスプレート19はディスプレイパネル18も含め、第1筐体11の正面11aの略全面を覆うカバーガラスである。ガラスプレート19はタッチ操作に対応したタッチガラスで構成することができる。ガラスプレート19はタッチ操作に非対応でもよい。
【0018】
第1筐体11は筐体部材20を有する。図2は、筐体部材20の模式的な正面図である。図2では、筐体部材20の内面20a(背面11bの裏面)と、この内面20aに設置された所定の構成要素とを図示しており、後述する図9も同様である。
【0019】
筐体部材20は、矩形状のプレート部21と、プレート部21の外周縁部から起立する立壁22とを有する。筐体部材20は浅いバスタブ形状を成している。プレート部21は、第1筐体11のZ2側表面(背面11b)を形成する。立壁22は、プレート部21の四周の大部分を囲むように設けられ、Z1方向に起立している。筐体部材20は、例えば金属製であり、例えばアルミニウム合金やマグネシウム合金で形成されている。筐体部材20は樹脂製でもよい。筐体部材20は、例えば炭素繊維強化樹脂で形成したプレート部21の周囲に立壁22を構成するフレーム材を接合した構成でもよい。
【0020】
筐体部材20は、ディスプレイパネル18の表示面18aとは反対側の背面18bを内面20aで支持する。具体的には、ディスプレイパネル18の背面18bは、プレート部21の内面20aに両面粘着テープ24を用いて固定される。
【0021】
ヒンジ14は、第1筐体11のY2側縁部(縁部11c)に左右一対で連結されている。図2中の参照符号14aは、ヒンジ14が固定されるヒンジ固定部である。筐体部材20が金属製の場合、ヒンジ固定部14aはプレート部21に対する直接加工によってねじ山を形成することができる。筐体部材20が樹脂製の場合、ヒンジ固定部14aはヒンジ14をねじ止め可能な金属ブラケットで構成することができる。筐体部材20は、ヒンジ14が配置される切欠部20bをヒンジ固定部14aの側部に有する。
【0022】
本実施形態のディスプレイパネル18は、表示面18aにガラスプレート19を固定したディスプレイアセンブリ26として用いることができる。上記したように、ディスプレイパネル18の背面18bは両面粘着テープ24で筐体部材20に固定される。この際、ガラスプレート19は、その外周が立壁22の内周に沿って延在する。これによりディスプレイアセンブリ26が筐体部材20に組み付けられる。
【0023】
次に、筐体部材20に対するディスプレイアセンブリ26の組付構造を説明する。
【0024】
図3は、ディスプレイアセンブリ26の背面図である。図4は、図2中のIV-IV線に沿う第1筐体11の模式的な側面断面図である。図5は、図2中のV-V線に沿う第1筐体11の模式的な側面断面図である。
【0025】
図2図4及び図5に示すように、立壁22は、第1部分28と、第2部分29とを有する。
【0026】
第1部分28は、プレート部21からの立壁22の起立方向(Z1方向)で上部(先端側)に設けられた部分である。第1部分28は、第1筐体11の内側を臨む内壁面28aを有する。内壁面28aは、ガラスプレート19の端面19bと所定の隙間Cをあけて対向する。
【0027】
第2部分29は、立壁22の起立方向で第1部分28よりも下方に設けられた部分である。第2部分29の板厚は第1部分の板厚よりも大きい。第2部分29は、後述するガラスプレート19の外縁部19aの下に潜り込むように配置される。第2部分29は、第1筐体11の内側を臨む内壁面29aと、Z1方向を臨む支持面29bとを有する。内壁面29aは、ディスプレイパネル18の外周側面18cと所定の隙間をあけて対向する。支持面29bは、第1部分28の内壁面28aの下端から突出した面である。支持面29bは、後述する樹脂部材42を支持することができる。
【0028】
立壁22は、X方向に沿って延びる一対の横壁30,31と、Y方向に沿って延びる一対の縦壁32,33とを有する。これにより立壁22は第1筐体11の四周を囲むように延在している。第2部分29は、少なくともY1側の横壁30に設けられるが、他の壁31~33にも同様に設けてもよい。
【0029】
一方の横壁30は第1筐体11のY1側縁部(縁部11d)を構成する。横壁30は縁部11dの略全長に亘って延在している。本実施形態の第1筐体11は、縁部11dの長手方向の中央部に外側(Y1側)に膨出した膨出部34を有する。膨出部34は、立壁22(横壁30)とディスプレイパネル18の外周側面18cとの間のスペースを拡大し、高性能なカメラモジュール36の設置スペースを確保したものである。カメラモジュール36はカメラレンズ36aを備える。カメラレンズ36aは動画撮影等に用いることができるカメラであり、中心に集光用のレンズを有し、レンズの裏側にイメージセンサが設けられている。カメラモジュール36は、さらにIRLED(赤外線カメラ)及び照度センサ等を備えることもできる。
【0030】
横壁30の支持面29bには、左右一対の凹部38,38と、左右一対の被係合部39,39とが形成されている。
【0031】
凹部38は、支持面29bに形成された穴である。凹部38は、例えばX方向に延びた扁平楕円形状を有する(図2参照)。凹部38のディスプレイパネル18側(Y1側)を向いた壁面は、後述する樹脂部材42の突出部48を係止する受け面38aを形成する。被係合部39は、横壁30の第2部分29をY1方向に切り欠いた形状を有する。被係合部39は、第1部分28の内壁面28aの下端からY2方向に突出する短い板片である。
【0032】
他方の横壁31は第1筐体11の縁部11cを構成する。横壁31は各所に切欠き形状等を設けることができる。これにより横壁31は、ヒンジ14の構成部品や筐体11,12間を接続する配線の設置スペースを形成することができる。
【0033】
縦壁32,33はY方向に沿って延在し、それぞれ横壁30,31と直交する。これにより立壁22の四隅にはコーナー壁部CW1~CW4が形成されている。
【0034】
詳細は後述するが、左右の凹部38は、それぞれ可能な限りコーナー壁部CW1,CW2に近い位置に配置されることが好ましい。図2に示すように、本実施形態の横壁30は、コーナー壁部CW1,CW2の側方に凹み24aを有する。凹み24aは支持面28bの一部をY1方向に切り欠いたものである。凹み24aは、両面粘着テープ24の端部を配置することができる。横壁30は、さらに凹み24aとコーナー壁部CW1,CW2との間にも支持面29bをY1方向に円弧状に切り欠いた凹み37が形成されている。凹み37は、電子機器10が床面等に落下した際の衝撃でディスプレイパネル18の角が立壁22と衝突することを避けるための逃げ部である。左右の凹部38は、これら凹み24a,37と干渉しない位置でコーナー壁部CW1,CW2に可能な限り位置に配置されている。
【0035】
図3図5に示すように、ディスプレイアセンブリ26は、ディスプレイパネル18の表示面18aにガラスプレート19を固定した積層体である。
【0036】
ガラスプレート19は、表示面18aに対して透明な粘着部材40で固定することができる。ガラスプレート19の表面積は、ディスプレイパネル18の表面積よりも一回り大きい。このためガラスプレート19は、ディスプレイパネル18の外周側面18cから外側に張り出した庇状の外縁部19aを有する。
【0037】
ガラスプレート19は、外縁部19aの端面19bが立壁22の内壁面28aと隙間Cをあけて対向する。隙間Cは、例えば0.2mmである。具体的には、四辺の立壁22のうち、Y1側の横壁30及び左右の縦壁32,33は、第1部分28の内壁面28aが隙間Cをあけて端面19bと対向する。なお、Y2側の横壁31は、端面19bとの間にはヒンジ14や配線に関連する部品が配設されるため、内壁面28aと端面19bとの隙間は、例えば10mm以上と広い。
【0038】
ガラスプレート19の四隅には、筐体部材20のコーナー壁部CW1~CW4に沿ってカーブしたコーナー部C1~C4が形成されている。Y1側の外縁部19aの長手方向の一端及び他端に設けられたコーナー部C1,C2は、コーナー壁部CW1,CW2の内壁面28aに対して隙間Cをあけて対向する。なお、Y2側の外縁部19aの両端に設けられたコーナー部C3,C4は、コーナー壁部CW3,CW4に対して上記した横壁31との間の広い隙間(例えば10mm以上)と同様な隙間をあけて配置される。
【0039】
ディスプレイアセンブリ26は、さらに、左右一対の樹脂部材42,42と、ベゼル部材44とを有する。樹脂部材42及びベゼル部材44は、ガラスプレート19のY1側の外縁部19aの裏面19cに粘着部材46を用いて固定することができる。粘着部材46は両面粘着テープ、粘着剤又は接着剤を例示できる。以下、ガラスプレート19のY1側でX方向に延在する外縁部19aを「外縁部19a1」と呼ぶこともある。外縁部19a1には、長手方向の中央部に膨出部34の形状に対応したY1側への膨出部19a2が形成されている。
【0040】
図3図5に示すように、樹脂部材42は、X方向に延在する帯板状の樹脂パーツである。X1側の樹脂部材42は、コーナー部C1に近接する位置から膨出部19a2の手前まで延在している。X2側の樹脂部材42は、コーナー部C2に近接する位置から膨出部19a2の手前まで延在している。各樹脂部材42は、裏面19cに固定され、立壁22の内壁面28aとガラスプレート19の端面19bとの間の隙間Cには介在していない。樹脂部材42は、横壁30の支持面29b上に僅かな隙間をあけて配置される。
【0041】
各樹脂部材42は、突出部48と、フック50とを有する。
【0042】
突出部48は、ガラスプレート19の裏面19c側で下方(Z2方向)に突出したリブである。突出部48は、例えばX方向に延びた扁平楕円形状を有する(図3参照)。突出部48は、立壁22側の凹部38に挿入可能な大きさである。ディスプレイアセンブリ26が筐体部材20に組み付けられた状態において、各樹脂部材42の突出部48は左右の凹部38にそれぞれ挿入される。この状態において、突出部48は、ストッパ面48aが凹部38の受け面38aに当接する。ストッパ面48aは、ディスプレイパネル18側とは反対側(Y1側)を向いた面である。これにより突出部48はディスプレイアセンブリ26のY1方向への移動を規制する。つまり突出部48は外縁部19a1の端面19bが内壁面28aに接触することを阻止することができる。
【0043】
フック50は鉤爪状の突起である。フック50は、ガラスプレート19の裏面19c側で下方に突出した後、立壁22側(Y1側)へと屈曲している。フック50は、立壁22側の被係合部39に係脱可能である。これによりフック50はディスプレイアセンブリ26が筐体部材20からZ1方向に脱落することを防止する。
【0044】
図6は、膨出部34及びその周辺部を拡大した模式的な斜視図である。
【0045】
図3及び図6に示すように、ベゼル部材44は、X方向に延在する帯板状の樹脂パーツである。ベゼル部材44は、左右の樹脂部材42,42間でガラスプレート19の裏面19cに設けられる。ベゼル部材44は、プレート部44aと、ベゼル部44bとを有し、略L字状の断面形状を有する。
【0046】
プレート部44aは、筐体部材20の膨出部34を覆う膨出部19a2の裏面19cに固定されている。プレート部44aは、カメラモジュール36の上方(Z1側)を覆うように設けられる。
【0047】
ベゼル部44bは、プレート部44aのY1側の縁部からZ1方向に起立した立壁状の薄板である。ベゼル部44bは、膨出部34に位置する立壁22の内壁面28aとガラスプレート19の端面19bとの間の隙間Cbに介在する(図6参照)。隙間Cbは、上記した隙間Cよりも大きく、例えば0.5mm~1mm程度は必要である。
【0048】
ベゼル部材44には、カメラシャッター52がX方向にスライド可能に支持されている。カメラシャッター52は、少なくともカメラレンズ36aを開閉可能なシャッター部材である。カメラシャッター52は、シャッター部52aと、操作ノブ52bとを有する。
【0049】
シャッター部52aは、プレート部44aの下側(Z2側)でX方向にスライド可能である。操作ノブ52bは、シャッター部52aのY1側縁部からZ1方向に起立している。操作ノブ52bは人手によってX方向にスライド操作可能である。カメラシャッター52は、操作ノブ52bをX方向に移動させることで、クローズ位置とオープン位置とに切り替えることができる。クローズ位置はシャッター部52aがカメラレンズ36aを覆う位置である。オープン位置はシャッター部52aがカメラレンズ36aを覆わない位置である。
【0050】
図6に示すように、ベゼル部44bは、その長手方向の一部を切り欠いた欠損部44b1を有する。操作ノブ52bは欠損部44b1に配置され、欠損部44b1内をX方向に移動可能である。これにより操作ノブ52bは見かけ上ベゼル部44bの一部分となり、外観上で目立つことがない。
【0051】
このように本実施形態の電子機器10は、膨出部34を除く横壁30とガラスプレート19との間、横壁31とガラスプレート19との間、及び縦壁32,33とガラスプレート19との間には、ベゼル部材が介在しない。このため、少なくとも膨出部34を除く横壁30とガラスプレート19との間と、縦壁32,33とガラスプレート19との間におけるベゼル幅は、極めて幅狭である。
【0052】
一方、膨出部34に位置する立壁22とガラスプレート19との間には、ベゼル部材44のベゼル部44bが介在している。このベゼル部44bは、操作ノブ52bが外観上で目立つことを抑制する機能を有することができる。ベゼル部44bは、さらにガラスプレート19の表面から突出した操作ノブ52bが破損することを防止する機能を有することもできる。
【0053】
電子機器10は、カメラシャッター52を持たない構成とすることができる。電子機器10は、操作ノブ52bがガラスプレート19の表面(正面11a)から突出しない構成とすることもできる。これらの構成とした場合、ベゼル部材44はベゼル部44bを持たない構成の樹脂パーツで構成することもできるし、ベゼル部材44自体を省略することもできる。
【0054】
次に、筐体部材20に対するディスプレイアセンブリ26の組付動作及び電子機器10の作用効果を説明する。図7は、筐体部材20にディスプレイアセンブリ26を組み付ける動作を示す模式的な断面図である。
【0055】
図7に示すように、ディスプレイアセンブリ26は、ガラスプレート19の外縁部19a1を僅かに下にした姿勢とし、突出部48のストッパ面48aを凹部38の受け面38aに当接させる。この際、ディスプレイアセンブリ26は、外縁部19a1の端面19bが横壁30の内壁面28aに接触する前にストッパ面48aが受け面38aに当接する。そして、ストッパ面48aが受け面38aに当接すると、略同時にフック50が被係合部39に係合する。なお、この工程の前に、両面粘着テープ24はY1側の端部周辺の剥離紙を剥がしておき、ディスプレイパネル18の背面18bに対する粘着面を露出させておく。
【0056】
そうするとディスプレイアセンブリ26は、Y1側縁部が筐体部材20に対してY方向に位置決めされる。さらにディスプレイパネル18の一部が両面粘着テープ24で筐体部材20の内面20aに固定される。そこで、両面粘着テープ24の剥離紙を全て剥がし、ディスプレイアセンブリ26全体を下に降ろす。これによりディスプレイアセンブリ26は、その全体がXY方向に位置決めされた状態で筐体部材20に組み付けされる。
【0057】
以上のように、本実施形態の電子機器10は、ディスプレイパネル18の背面18bを内面20aで支持すると共に、縁部にディスプレイパネル18の方向を向いた受け面38aが形成された立壁22を有する筐体部材20を備えることができる。電子機器10は、さらに、ディスプレイパネル18の外周側面18cから張り出した外縁部19aを有し、その端面19bが立壁22との間に隙間Cをあけて対向するガラスプレート19を備えることができる。電子機器10は、さらに、立壁22と端面19bとの間の隙間Cに介在することなくガラスプレート19の外縁部19aの裏面19c側で突出部48を形成すると共に、突出部48が受け面38aに係止された樹脂部材42を備えることができる。
【0058】
このように電子機器10は、ストッパ面48aが受け面38aに当接した状態では、ガラスプレート19と立壁22との間に隙間Cが確保される(図4参照)。このため電子機器10は、筐体部材20に対するディスプレイアセンブリ26の組付時、端面19bが内壁面28aに接触する前にストッパ面48aが受け面38aに当接する。その結果、電子機器10は、ディスプレイアセンブリ26の組付時、誤ってガラスプレート19の端面19bが立壁22に衝突し、破損又は損傷することを抑制できる。
【0059】
さらに電子機器10は、誤って床面等に落下させた際、その衝撃がコーナー壁部CW1,CW2等に付与された場合であってもガラスプレート19の破損等を抑制できる。電子機器10は、ストッパ面48aと受け面38aが当接することで、立壁22の内壁面28aがガラスプレート19の端面19bに衝突することを抑制できるためである。
【0060】
しかも電子機器10は、少なくとも膨出部34を除くと、ガラスプレート19の端面19bと立壁22の内壁面28aとの間にベゼル部材が介在しない。これにより隙間Cは、例えば0.2mmと極めて狭小化することができる。この隙間Cは、上記したようにベゼル部44bが介在する隙間Cbよりも大幅に小さい。その結果、電子機器10は、ディスプレイアセンブリ26と立壁22との間の幅(ベゼル幅)を狭くすることができ、外観品質が向上する。
【0061】
図2及び図3に示すように、突出部48及び受け面38aは、外縁部19a1の両端にあるコーナー部C1,C2に近い位置にそれぞれ設けることができる。そうすると、図7に示すディスプレイアセンブリ26の組付時、仮にディスプレイアセンブリ26が面方向(XY方向)に多少傾いた姿勢となった場合であっても、左右一方の突出部48を受け面38aに確実に当接する。このためディスプレイアセンブリ26の組付時のガラスプレート19の破損等を一層抑制することができる。
【0062】
受け面38aは、ディスプレイアセンブリ26の突出部48を受け止めることができれば、凹部38に設けた構成以外とすることもできる。図8は、凹部38の代わりに段部54を備える第1筐体11の模式的な断面図である。
【0063】
図8に示す段部54は、凹部38の代わりに受け面38aを形成する。段部54は、凹部38のように支持面29bに形成した穴ではなく、横壁30の第2部分29の一部を内壁面28a側からY1側に向かって切り欠いた段差である。段部54についてもディスプレイパネル18側(Y1側)を向いた面が受け面38aを形成する。
【0064】
従って、段部54を用いた構成においても、受け面38aでディスプレイアセンブリ26側の突出部48のストッパ面48aを係止して、ガラスプレート19の破損等を抑制することができる。
【0065】
図8に示すように、段部54を用いた構成では、樹脂部材42に形成したリブ状の突出部48に代えて突出部48Aを用いることもできる。突出部48Aは樹脂部材42の略全体を下方に突出させた構成であり、そのY1側面がストッパ面48aとなる。言い換えれば突出部48Aは樹脂部材42の厚みをそのまま利用したものである。
【0066】
上記では、第1筐体11が膨出部34を備える構成を例示したが、膨出部34は省略することもできる。図9は、膨出部34を持たない筐体部材20Aの模式的な正面図である。図10は、図9に示す筐体部材20Aに組み付けることができるディスプレイアセンブリ26Aの背面図である。
【0067】
図9に示す筐体部材20Aは膨出部34を有していない。このため筐体部材20Aは、縁部11dに沿う立壁22(横壁30)が全長に亘って直線状に延在する。筐体部材20Aの横壁30にも凹部38及び被係合部39が形成されている。カメラモジュール36は、例えば横壁30の長手方向での中央を含む範囲にある第2部分29を切除し、この切除したスペースに配置することができる。
【0068】
図10に示すディスプレイアセンブリ26Aは膨出部19a2を有していない。このためディスプレイアセンブリ26Aのガラスプレート19は外縁部19a1が全長に亘って直線状に延在している。ディスプレイアセンブリ26Aはベゼル部材44を省略することができる。
【0069】
このような筐体部材20A及びディスプレイアセンブリ26Aを用いた第1筐体11は、縁部11dの全長に亘ってガラスプレート19と立壁22との間を狭小な隙間Cで形成することができる。なお、ディスプレイアセンブリ26Aにおいてもベゼル部材44を用いることもできる。
【0070】
図10に示すディスプレイアセンブリ26Aは、例えば樹脂部材42に代えて、外縁部19a1の略全長に沿って延在する1本の長尺な樹脂部材42Aを用いることもできる。樹脂部材42Aには、一対の突出部48(48A)及び一対のフック50を形成することができるため、部品点数を削減できる。なお、ディスプレイアセンブリ26Aについても左右一対の樹脂部材42を用いることもできる。
【0071】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【符号の説明】
【0072】
10 電子機器
11 第1筐体
12 第2筐体
14 ヒンジ
18 ディスプレイパネル
19 ガラスプレート
19a,19a1 外縁部
19b 端面
20,20A 筐体部材
22 立壁
26,26A ディスプレイアセンブリ
28a,29a 内壁面
36a カメラレンズ
38 凹部
38a 受け面
42,42A 樹脂部材
44 ベゼル部材
48,48A 突出部
48a ストッパ面
52 カメラシャッター
54 段部
C1~C4 コーナー部
CW1~CW4 コーナー壁部
【要約】
【課題】ガラスプレートの破損や損傷を抑制しつつ、ベゼル幅を狭くすることができる電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器は、表示面と、前記表示面とは反対側の背面とを有するディスプレイパネルと、前記ディスプレイパネルの背面を内面で支持すると共に、縁部に前記ディスプレイパネル側を向いた受け面が形成された立壁を有する筐体部材と、前記ディスプレイパネルの表示面を覆うと共に、前記ディスプレイパネルの外周側面から張り出した外縁部を有し、前記外縁部の端面が前記立壁に対して隙間をあけて対向するガラスプレートと、前記立壁と前記端面との間の隙間に介在することなく前記ガラスプレートの外縁部の裏面側で突出部を形成すると共に、前記突出部が前記受け面に係止された樹脂部材と、を備える。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10