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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-19
(45)【発行日】2024-12-27
(54)【発明の名称】気液分離装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 19/00 20060101AFI20241220BHJP
【FI】
B01D19/00 102
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2024550717
(86)(22)【出願日】2024-04-03
(86)【国際出願番号】 JP2024013785
【審査請求日】2024-08-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗原 幸大
(72)【発明者】
【氏名】山口 竜晴
(72)【発明者】
【氏名】今村 英二
【審査官】河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】特開昭56-073567(JP,A)
【文献】特開2009-119325(JP,A)
【文献】国際公開第2024/013885(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 19/00
B04C 3/00 - 3/06
B04C 5/00 - 5/30
B04B 5/00 - 5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体中の気体と液体とを分離する気液分離装置において、
前記流体が内部を旋回することで前記気体と前記液体とを分離させる円筒状の容器と、
前記容器内に前記流体を流入させる流入管と、
移動により前記容器内で分離した前記気体を気体排出口から排出させる気体排出弁を有する気体排出部と、
前記気体排出弁から排出できなかった前記気体を、前記液体とともに気液排出口から排出させる気液排出弁を有する気液排出部と、
前記気体と分離した前記液体を、前記容器内から流出させる流出管
備える気液分離装置。
【請求項2】
前記気体排出部は、前記容器の上部に設置される請求項1に記載の気液分離装置。
【請求項3】
前記気体排出弁は、前記容器内の圧力に応じて移動して、前記容器内と前記気体排出口とを連通させて前記気体排出口を開放する請求項1または請求項2に記載の気液分離装置。
【請求項4】
前記気体排出部は、分離した前記気体と前記液体との境界で移動するフロートを有し、
前記気体排出弁は、前記フロートの位置に基づいて移動する請求項1または請求項2に記載の気液分離装置。
【請求項5】
前記気液排出部は、前記気体排出部が設置された位置よりも下方に設置される請求項1または請求項2に記載の気液分離装置。
【請求項6】
前記気液排出部は、前記容器の下部に設置される請求項に記載の気液分離装置。
【請求項7】
前記気液排出弁は、前記容器内の圧力に応じて移動して、前記容器内と前記気液排出口とを連通させて前記気液排出口を開放する請求項1または請求項2に記載の気液分離装置。
【請求項8】
前記気液排出弁が前記気液排出口を開放するように移動する圧力は、前記気体排出弁が前記気体排出口を開放する圧力よりも高い圧力である請求項に記載の気液分離装置。
【請求項9】
前記気液排出部は、前記気液排出弁を移動させる弾性体を有する請求項1または請求項2に記載の気液分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示に係る技術は、気液分離装置に関するものである。特に、旋回流を利用して気体と液体とを分離する装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
流体が流れる流路に設置され、流体に含まれる気体と流体を分離する気液分離装置が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1における装置は、円筒状の槽内に流入した流体を旋回させ、発生した気泡を上部に導き、設置された旋回流阻止板で消泡して、旋回流阻止板よりも上部に設置された排出口から気体を排出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-076107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1における気液分離装置では、流体における気体が高速かつ多量に槽内に流入すると、槽の上部に設置された旋回流阻止板および排出口だけでは気体を排出することができなくなる。また、旋回流阻止板は、槽内に発生した旋回流を低減などして消泡する。このため、旋回流阻止板が圧力損失を増大させるなどして、円筒中央部に集められた気体が分散してしまう。このため、気体が高速かつ多量に流入する場合には、気体の分離および排出が追いつかなくなる。
【0005】
そこで、前述の課題を解決するため、効率よく気体を分離して排出などすることができる気液分離装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この開示に係る気液分離装置は、流体中の気体と液体とを分離する気液分離装置において、流体が内部を旋回することで気体と液体とを分離させる円筒状の容器と、容器内に流体を流入させる流入管と、移動により容器内で分離した気体を気体排出口から排出させる気体排出弁を有する気体排出部と、気体排出弁から排出できなかった気体を、液体とともに気液排出口から排出させる気液排出弁を有する気液排出部と、気体と分離した液体を、容器内から流出させる流出管とを備えるものである。
【発明の効果】
【0007】
開示に係る気液分離装置によれば、気体と液体とが含まれる流体を、容器内で旋回させて気体と液体とに分離し、気体排出弁が移動して気体排出口を開放することで気体を排出することができる。このため、流体内の気体が高速かつ多量で容器内に流入する場合でも、効率よく気体を分離して排出などすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る気液分離装置100の構成を示す図である。
図2】実施の形態1に係る気体排出部140の構成を示す図である。
図3】実施の形態1に係る気液排出部150の構成を示す図である。
図4】実施の形態1に係る気液分離装置100における流体の状態を説明する図である。
図5】実施の形態2に係る気液分離装置100の構成を示す図である。
図6】実施の形態3に係る流体循環システムを中心とする給湯システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態に係る気液分離装置について、図面などを参照しながら説明する。以下の図面において、同一の符号を付したものは、同一またはこれに相当するものであり、以下に記載する実施の形態の全文において共通することとする。また、図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。さらに、内部構成を示す図では、視認性に鑑みて、一部の図および機器において、ハッチングを省略している。そして、明細書全文に表わされている構成要素の形態は、あくまでも例示であって、明細書に記載された形態に限定するものではない。特に、構成要素の組み合わせは、各実施の形態における組み合わせのみに限定するものではなく、他の実施の形態に記載した構成要素を別の実施の形態に適用することができる。また、圧力および温度の高低については、特に絶対的な値との関係で高低が定まっているものではなく、装置などにおける状態、動作などにおいて相対的に定まるものとする。また、添字で区別などしている複数の同種の機器などについて、特に区別したり、特定したりする必要がない場合には、添字などを省略して記載する場合がある。また、図における上下方向を高さ方向とする。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る気液分離装置100の構成を示す図である。図1に示すように、気液分離装置100は、気液分離部110、流入部120、流出部130、気体排出部140および気液排出部150を備える。
【0011】
気液分離部110は、円筒状の容器111、流入管口112、流出管口113、気体排出接続部114および気液排出接続部115を有する。容器111は、気体および液体が含まれる流体が通過する容器である。容器111内では、流入した流体は旋回流となって流れる。流入管口112は、容器111の側面上部において、後述する流入部120の流入管121と連通する開口部である。また、流出管口113は、容器111の側面下部において、後述する流出部130の流出管131と連通する開口部である。気体排出接続部114は、容器111の上面に設置される気体排出部140の気体排出機141との接続流路となる貫通孔である。実施の形態1の気液分離部110は、容器111の上面における略中央部分に、気体排出接続部114を有する。そして、気液排出接続部115は、容器111の下面に接続される気液排出部150との接続流路となる貫通孔である。実施の形態1の気液分離部110は、容器111の下面における略中央部分に、気液排出接続部115を有する。
【0012】
流入部120は、装置外からの気液二相流体を容器111内に流入させる。流入部120は、容器111の側面上部において、容器111と接続される流入管121を有する。流入管121は、容器111の円筒形状における円の接線方向に流体が流入されるように、容器111と接続される。円の接線方向に流体を流入させることで、容器111内を流れる流体は、旋回流となる。流入管121は、外部の配管と接続される流入口122を一端に有する。また、流入管121の他端は、容器111と接続され、流入管口112を介して、容器111内と連通する。
【0013】
流出部130は、気液二相流体の液体成分を装置外に流出させる。流出部130は、容器111の側面下部において、容器111と接続される流出管131を有する。流出管131は、外部の配管と接続される流出口を132を一端に有する。また、流出管131の他端は、容器111と接続され、流出管口113を介して、容器111内と連通する。
【0014】
図2は、実施の形態1に係る気体排出部140の構成を示す図である。気体排出部140は、容器111の上面に設置されて、気体排出接続部114を介して容器111内部と連通し、容器111内で分離した気体を排出する。ここで、気体排出部140は、気体排出機141および気体排出口145を有する。気体排出口145は、後述するように、気体排出弁143の移動によって、気液分離部110において分離された気体が排出される開口部である。また、気体排出機141は、分離した気体量に基づく圧力により、自動的に気体を排出する。気体排出機141は、気体排出機本体142、気体排出弁143およびフロート144を有する。
【0015】
気体排出機本体142は、たとえば、内部が空洞の円筒形状である。また、気体排出機本体142は、フロート144の移動を高さ方向に規制する。気体排出機本体142の内部は、気液分離部110が分離された気体がない場合には、液体で満たされる。そして、気体排出接続部114を介して気液分離部110から気体が浮上して、気体排出機本体142に流入すると、気体排出機本体142の上部に溜まる。
【0016】
フロート144は、気体排出機本体142内に収容され、気体排出機本体142内における気体と液体との境界に応じて、気体排出機本体142内を高さ方向に移動することができる。フロート144は、気体排出機本体142内が液体で満たされている場合には、気体排出機本体142内の上部に位置する。そして、気体排出機本体142内に気体が流入すると、気体の圧力が液体の圧力を上回って、気体排出機本体142内において気体と液体との境界面が下がり、気体排出機本体142内におけるフロート144の位置が下がる。また、気体排出機本体142内の気体が排出されると、液体の圧力が気体の圧力を上回って、気体排出機本体142内において気体と液体との境界面が上がり、気体排出機本体142内におけるフロート144の位置が上がる。
【0017】
気体排出弁143は、フロート144と接続されており、フロート144の移動にともなって弁体が移動し、気体排出口145の開放または閉止を行う弁である。前述したように、フロート144は、気体と液体との境界に応じて、気体排出機本体142内を移動する。気体排出機本体142内に気体が流入すると、フロート144が気体排出機本体142内の気体の圧力に基づき、気体排出機本体142内を下方向に移動する。気体排出弁143は、フロート144の移動する位置に基づいて、気体排出口145を開放させるように移動する。気体排出弁143が移動することで、気体排出機本体142内上部と気体排出口145とが連通し、気体排出機本体142内の気体が排出される。一方、気体の排出により気体排出機本体142内の気体が少なくなって、気体における圧力が下がると、フロート144の位置が上がり、気体排出弁143は、気体排出口145を閉止させるように移動する。
【0018】
図3は、実施の形態1に係る気液排出部150の構成を示す図である。気液排出部150は、容器111の下面に設置され、気液排出接続部115を介して容器111内部と連通し、容器111内の圧力に対応して、流体を排出する。気液排出部150は、気液排出機151および気液排出口155を有する。気液排出機151は、容器111内における流体の圧力が設定圧力以上になると、自動的に流体体を排出する。気液排出機151は、気液排出機本体152、気液排出弁153およびバネ154を有する。
【0019】
気液排出機本体152は、気液排出弁153およびバネ154を収容する。また、気液排出機本体152は、容器111の下面において、気液排出弁153およびバネ154が高さ方向に移動するように規制する。また、弾性体であるバネ154は、気液排出弁153を支えるとともに、気液排出弁153の下方への移動に基づき、元に戻ろうとする力を働かせる。
【0020】
気液排出弁153は、弁体の移動にともなって、気液排出口155を開放または閉止を行う弁である。気液排出弁153は、流体が容器111内を旋回しながら下方に移動したときに流体から加わる圧力が設定圧力以上になると、気液排出口155を開放させる方向となる下方に移動する。気液排出弁153が下方に移動することで、気液排出機本体152と気液排出口155とが連通し、気液排出口155が開放され、気液排出機本体152内から流体が排出される。一方、流体が気液排出弁153に加わる圧力が弱まり、バネ154が気液排出弁153に加える力が上回ると、気液排出弁153は、気液排出口155を閉止させる方向となる上方に移動することで、気液排出口155が閉止する。
【0021】
ここで、設定圧力については、たとえば、通常時において、気液分離装置100を通過する流体量では超えない圧力を定める。そして、特に、流体中の気体量が多くなり、容器111内の圧力が設定圧力を超えたときに、気液排出弁153が下方に移動するようにする。また、気液排出弁153が下方に移動する設定圧力は、気体排出部140における気体排出弁143が気体排出口145を開放する圧力よりも高い圧力とすることで、気体排出部140からの排出が先に行われるようにする。
【0022】
図4は、実施の形態1に係る気液分離装置100における流体の状態を説明する図である。流体が気液二相状態で流入すると、液体より軽い気体は、流入管121の上部を流れ、流入管口112から容器111内に流入する。容器111内では、流体は旋回流となるが旋回流により発生する遠心力により、液体である水よりも軽い気体は、円筒状の容器111において円の中心に集まって、流出管口113がある下部に移動する。中心に集まった気体は、消泡しながら浮上して気体排出部140により排出されるか、または、気液排出部150により液体とともに排出される。そして、液体が、流出管口113から容器111外に流出し、流出管131を通過して流出口132から流出する。
【0023】
以上のように、実施の形態1における気液分離装置100は、流入部120の流入管121から容器111内に流入した気体と液体とが含まれる流体を、容器111内で流体を旋回させ、気体と液体とに分離する。分離した気体は、容器111の上部に設置された気体排出部140の気体排出弁143が移動して気体排出口145を開放することで気体排出口145から排出される。このとき、容器111内で分離した気体の圧力に基づいて、気体排出弁143が移動するため、流体内の気体が高速かつ多量で容器111内に流入する場合でも、効率よく気体を分離して排出などすることができる。また、実施の形態1における気液分離装置100は、容器111の下部に、気液排出弁153を有する気液排出部150を備える。このため、気体排出部140で排出できなかった気体を排出することができる。このとき、気液排出弁153が移動する設定圧力を、気体排出部140における気体排出弁143が気体排出口145を開放する圧力よりも高い圧力とすることで、気体排出部140からの気体排出を優先して行うことができる。
【0024】
実施の形態2.
図5は、実施の形態2に係る気液分離装置100の構成を示す図である。図5において、図1と同じ符号を付している機器などについては、実施の形態1で説明したことと同様の動作などを行う。
【0025】
実施の形態1における気液分離装置100は、下面に気液排出部150を有する装置であった。実施の形態2における気液分離装置100は、図5に示すように、気体排出接続部114と接続する排出管160を介して、気体排出部140と気液排出部150とを容器111の上部側に設置したものである。そして、実施の形態2における気液分離装置100は、気液排出接続部115を有していない。また、実施の形態1においては、気液排出弁153は高さ方向(上下方向)に移動して気液排出口155を開閉させるものであった。一方、実施の形態2においては、気液排出部150が設置される方向は、図5において左右方向に設置され、実施の形態1における設置方向とは異なる。このため、気液排出弁153が気液排出口155を開放または閉止させる方向も異なる。
【0026】
実施の形態2における気液分離装置100は、気体排出部140および気液排出部150を容器111の上部に設置することで、上部において、気体排出部140だけでは排出できなかった場合も気体を排出することができる。
【0027】
実施の形態3.
図6は、実施の形態3に係る流体循環システムを中心とする給湯システムの構成を示す図である。ここでは、実施の形態1および実施の形態2において説明した気液分離装置100を設置した流体循環システムについて説明する。そして、流体循環システムの一例として、水を加熱した湯を供給する給湯システムについて説明する。ここでは、加熱に係る熱媒体も水であるものとし、熱媒体となる水が流体として循環するものとして説明する。そして、熱媒体である水が、熱の供給を受ける熱負荷にもなる。ここで、熱媒体となる水は、特に区別しない場合は、湯も含むものとする。実施の形態1における給湯システムは、熱源ユニット200と負荷ユニット210とを配管230で接続することで、冷媒回路10および熱媒体回路20を有する。また、実施の形態3における給湯システムは、放熱器240およびサニタリー機器250を有する。
【0028】
熱源ユニット200は、屋外に設置されるユニットである。熱源ユニット200は、負荷ユニット210に熱供給を行うユニットである。実施の形態1における熱源ユニット200は、冷媒回路10を構成する機器および熱媒体回路20を構成する一部の機器を有する。また、熱源ユニット200は、ユニット内の機器を制御する熱源側制御装置201を有する。
【0029】
熱源ユニット200が有する冷媒回路10は、加熱運転を行って、後述する熱媒体熱交換器13において冷媒との熱交換によって、熱媒体回路20を流れる水を加熱する。熱源ユニット200は、圧縮機11、四方弁12、熱媒体熱交換器13、第1膨張弁14、レシーバ15、第2膨張弁16および空気熱交換器17を冷媒配管で接続し、冷媒が循環する冷媒回路10となる。
【0030】
圧縮機11は、吸入した冷媒を圧縮して吐出する。実施の形態1における圧縮機11は、インバータ装置などを備え、熱源側制御装置201からの指示に基づいて、駆動周波数を任意に変化させることにより、圧縮機11の容量(単位時間あたりの冷媒を送り出す量)を細かく変化させることができる。四方弁12は、冷媒回路10における流路の流れを切り替える流路切替弁となる。このため、ここでは、特に説明しないが、たとえば、給湯システムは、加熱運転だけでなく、熱媒体回路20を流れる水を冷却する冷却運転および冷媒回路10を除霜する除霜運転を行うことができる。
【0031】
熱媒体熱交換器13は、熱媒体回路20を流れる水と冷媒回路10を流れる冷媒との熱交換を行う。このため、熱媒体熱交換器13は、熱媒体回路20を構成する機器であり、冷媒回路10を構成する機器ともなる。熱媒体熱交換器13は、たとえば、プレート熱交換器である。熱媒体回路20を流れる水および冷媒回路10を流れる冷媒は、互いに隔離された流路を通過する。熱媒体熱交換器13は、冷媒回路10においては凝縮器または放熱器となって、熱媒体回路20を流れる水を加熱する。ここでは、熱源ユニット200が熱媒体熱交換器13を有するものとして説明するが、たとえば、熱源ユニット200および負荷ユニット210とは独立したユニットが有してもよい。
【0032】
第1絞り装置となる第1膨張弁14は、たとえば、熱媒体熱交換器13を流れる冷媒の流量および圧力を調整する。レシーバ15は、冷媒回路10において、第1膨張弁14と第2膨張弁16との間に位置し、余剰冷媒を溜める容器である。第2絞り装置となる第2膨張弁16は、冷媒の流量を調整し、圧力調整を行う。ここで、実施の形態1における第1膨張弁14および第2膨張弁16は、熱源側制御装置201からの指示に基づいて、開度を変化させることができる電子膨張弁であるものとする。
【0033】
空気熱交換器17は、たとえば、屋外など外部の空気である外気と冷媒との熱交換を行う。空気熱交換器17は、蒸発器または吸熱器として機能し、冷媒を蒸発させる。
【0034】
ここで、特に限定するものではないが、実施の形態1における熱源ユニット200が有する冷媒回路10を流れる冷媒は、ハイドロフルオロオレフィン系の冷媒またはHC(Hydro Carbon)系の冷媒などのような可燃性冷媒とする。可燃性冷媒は、一般的に、温暖化係数が低い冷媒である。
【0035】
次に、図6に基づいて、冷媒回路10の加熱運転について、冷媒回路10における冷媒の流れに基づいて説明する。冷媒回路10における圧縮機11などのアクチュエータは、熱源ユニット200内の機器を制御する制御装置(図示せず)が制御する。加熱運転においては、圧縮機11、四方弁12、熱媒体熱交換器13、第1膨張弁14、レシーバ15、第2膨張弁16、空気熱交換器17、四方弁12および圧縮機11の順に冷媒が循環する。
【0036】
圧縮機11が吐出した高温高圧の気相の冷媒(以下、ガス冷媒という)は、四方弁12を経て熱媒体熱交換器13に流入する。そして、熱媒体熱交換器13に流入したガス冷媒は、凝縮器として機能する熱媒体熱交換器13で放熱しながら凝縮液化し、高圧低温の液相の冷媒(以下、液冷媒という)となる。熱媒体熱交換器13を通過する冷媒が放熱することで、熱媒体熱交換器13を通過する熱媒体回路20を流れる水は加熱される。
【0037】
熱媒体熱交換器13を流出した液冷媒は、第1膨張弁14によって減圧されてレシーバ15に流入し、一部の液冷媒が溜められる。レシーバ15から流出した冷媒は、第2膨張弁16において減圧され、二相冷媒となって空気熱交換器17に流入する。空気熱交換器17に流入した冷媒は、外気と熱交換し、蒸発してガス冷媒となる。空気熱交換器17から流出したガス冷媒は、四方弁12を通過して、圧縮機11に吸入される。
【0038】
一方、熱媒体回路20は、水タンク21、コイル22、浸水ヒータ23、ブースタヒータ24、三方弁25、ストレーナ26、フロースイッチ27、ポンプ28、膨張タンク29、気液分離装置100および熱媒体熱交換器13を有する。ここで、熱媒体回路20における機器のうち、熱媒体熱交換器13、膨張タンク29、ポンプ28および気液分離装置100は、熱源ユニット200が有する。それ以外の機器は、負荷ユニット210が有する。ここで、実施の形態1における負荷ユニット210は、熱源側制御装置201と連携して、負荷ユニット210内の機器を制御する負荷側制御装置211を有する。
【0039】
負荷ユニット210は、たとえば、屋内に設置される。負荷ユニット210が有する水タンク21は、水を内部に溜める容器である。水タンク21は、熱媒体回路20に接続されたコイル22が内蔵されている。コイル22は、熱媒体回路20を循環する熱媒体となる水と水タンク21内部に溜まった水とを熱交換させ、水タンク21内部に溜まった水を加熱する負荷熱交換器である。また、水タンク21は、浸水ヒータ23が内蔵されている。浸水ヒータ23は、水タンク21内部に溜まった水を、さらに加熱する加熱装置である。水タンク21内部に溜まった水は、たとえば、風呂およびシャワーなどに接続されるサニタリー機器250に供給される。
【0040】
ブースタヒータ24は、熱源ユニット200の加熱能力が足りない場合などに、熱媒体回路20内の水をさらに加熱する装置である。また、三方弁25は、熱媒体回路20内の水を分岐する装置である。たとえば、三方弁25は、熱媒体回路20内の水を水タンク21側へ流す流路または床暖房などの放熱器240が接続される流路に切り替える弁である。ストレーナ26は、熱媒体回路20内のスケール(堆積物)を取り除く装置である。フロースイッチ27は、熱媒体回路20内を循環する流量が一定量以上であるか否かを検出する装置である。
【0041】
熱源ユニット200が有するポンプ28は、熱媒体回路20内の水を加圧し、熱媒体回路20内を循環させる装置である。また、膨張タンク29は、加熱などに伴う水の容積変化により変化する熱媒体回路20の配管などにおける圧力を一定範囲内に調整する機器である。ここで、熱媒体回路20において、膨張タンク29は、熱媒体である水の流れに対して、気液分離装置100よりも上流側に設置される。たとえば、熱媒体回路20にガス冷媒が流入して、熱媒体回路20内における圧力が膨張タンク29の圧力制御範囲を超えて高くなると、ガス冷媒は気液分離装置100に流れる。そして、気液分離装置100が、熱媒体である水からガス冷媒を分離し、ガス冷媒を外部へ排出して熱媒体回路20から気体を抜く。これにより、熱媒体回路20内における圧力を抑えることができる。また、ガス冷媒を外部に排出することで、冷媒が可燃性冷媒である場合には、熱媒体回路20を介した可燃性のある気体の屋内への流入を防止することができる。ただし、気液分離装置100が膨張タンク29よりも上流側に設置される回路構成を妨げるものではない。気液分離装置100が、膨張タンク29よりも先に熱媒体回路20内における圧力を抑えるようにしてもよい。
【0042】
以上のように、実施の形態3に係る流体循環システムでは、熱媒体である水の流れに対して気液分離装置100よりも上流側に膨張タンク29を設置する。このため、ガス冷媒が熱媒体回路20に流入した場合でも、膨張タンク29で調整できなくなったガス冷媒を分離し、外部に排出することができる。熱媒体回路20に冷媒が流入したときに、気液分離装置100において、旋回流により効率よくガス冷媒を分離することができる。特に、冷媒が可燃性冷媒であるときには、屋外において、可燃性のあるガス冷媒を分離し、排出することができるため、可燃性冷媒の屋内への流入を抑えることができる。また、水を加熱することにより発生する空気なども分離することができ、ポンプ28を空回りさせることなく保護することができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
上述の実施の形態では、流体循環システムを給湯システムに利用する場合について説明したが、これに限定するものではない。たとえば、熱媒体などの流体を利用した空気調和装置またはチラーシステムなどに利用することができる。
【0044】
また、実施の形態3において、流体が循環する流体循環システムについて説明したが、循環システムに限らず、気体と液体とを含む流体が配管などを流れる一過性のシステムにも適用することができる。
【符号の説明】
【0045】
10 冷媒回路、11 圧縮機、12 四方弁、13 熱媒体熱交換器、14 第1膨張弁、15 レシーバ、16 第2膨張弁、17 空気熱交換器、20 熱媒体回路、21 水タンク、22 コイル、23 浸水ヒータ、24 ブースタヒータ、25 三方弁、26 ストレーナ、27 フロースイッチ、28 ポンプ、29 膨張タンク、100 気液分離装置、110 気液分離部、111 容器、112 流入管口、113 流出管口、114 気体排出接続部、115 気液排出接続部、120 流入部、121 流入管、122 流入口、130 流出部、131 流出管、132 流出口、140 気体排出部、141 気体排出機、142 気体排出機本体、143 気体排出弁、144 フロート、145 気体排出口、150 気液排出部、151 気液排出機、152 気液排出機本体、153 気液排出弁、154 バネ、155 気液排出口、160 排出管、200 熱源ユニット、201 熱源側制御装置、210 負荷ユニット、211 負荷側制御装置、230 配管、240 放熱器、250 サニタリー機器。
【要約】
流体中の気体と液体とを分離する気液分離装置において、流体が内部を旋回することで気体と液体とを分離させる円筒状の容器と、容器内に流体を流入させる流入管と、容器内から気体と分離した液体を流出させる流出管と、移動により容器内で分離した気体を気体排出口から排出させる気体排出弁を有する気体排出部とを備えるものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6