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  • 特許-濾過循環システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-20
(45)【発行日】2025-01-06
(54)【発明の名称】濾過循環システム
(51)【国際特許分類】
   B01D 29/66 20060101AFI20241223BHJP
   B23Q 11/00 20060101ALI20241223BHJP
【FI】
B01D29/38 520A
B01D29/38 510C
B23Q11/00 U
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2024152265
(22)【出願日】2024-09-04
【審査請求日】2024-09-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521351650
【氏名又は名称】株式会社きりしま
(74)【代理人】
【識別番号】100174780
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 敦史
(72)【発明者】
【氏名】宮本 治郎
【審査官】増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-038205(JP,A)
【文献】中国実用新案第213289596(CN,U)
【文献】特開2023-025359(JP,A)
【文献】特開2020-089827(JP,A)
【文献】特開2004-321839(JP,A)
【文献】特開昭52-114171(JP,A)
【文献】特開昭48-023055(JP,A)
【文献】中国実用新案第214914963(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 11/00
B01D 29/11、66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属加工機械での使用によって固形異物が混入した流体である汚濁流体を濾過および循環させる濾過循環システムであって、
前記汚濁流体を濾過する濾過装置と、
前記濾過装置の逆洗の際に排出された前記流体を収容するドレンボックスと、
前記ドレンボックスの下面に接続され、前記ドレンボックス内の前記流体を流出させる逆洗液流出管と、を備え、
前記ドレンボックスの底板には、前記ドレンボックスの内部空間と前記逆洗液流出管とを連通させる流出口が形成され、
前記流出口の開口面積が前記逆洗液流出管の流路断面積よりも小さい濾過循環システム。
【請求項2】
前記流出口の平面視形状は多角形(正多角形を除く)である請求項記載の濾過循環システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属加工機械等に用いられるクーラント液を濾過,循環させる濾過循環システムおよび濾過循環システムに用いられるドレンボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属加工機械では冷却,潤滑,洗浄等の目的で切削油,研削油,クーラント液等と呼ばれる流体(以下、クーラント液と総称する)が使用されている。そのため、使用されたクーラント液には切削屑や研削屑等の粒子状の固形異物(以下、スラッジと称する)が混入している。一般的には、このクーラント液は循環装置を介して繰り返して使用されるが、スラッジが混入したクーラント液を使用すると切削等の加工に影響を及ぼすため、一度使用したクーラント液からスラッジを除去する必要がある。
【0003】
クーラント液からスラッジを除去するために様々な濾過装置が提案されている。例えば、特許文献1の濾過装置は、略筒状のフィルタとフィルタを外囲する外殻と、を備えており、スラッジを含んだクーラント液がフィルタを通過する際にスラッジが濾過される。濾過されたスラッジはフィルタに付着したり、外殻の底に沈殿したりする。このようなスラッジが増加すると濾過性能の低下を招くため、フィルタに付着したり、外殻の底に沈殿したりしているスラッジを外部に排出する逆洗を行う必要がある。
【0004】
特許文献1では、逆洗の際に、外殻の底部に接続された逆洗液排出配管のバルブを開けるとともに、フィルタの上部からエアを流入させている。これにより、濾過装置内のスラッジを外部に排出している。
【0005】
逆洗によって排出されたクーラント液には当然ながらスラッジが含まれているため、このクーラント液を再利用するためにはスラッジを除去する必要がある。特許文献1では、そのためにマグネットセパレータを用いている(特許文献1の図5参照)。具体的には、濾過装置の下方に補助タンクを設け、その補助タンクとマグネットセパレータとを配管を介して接続している。そのため、逆洗に使用されたクーラント液はスラッジとともに補助タンクに落下し、マグネットセパレータでスラッジが除去された後に再利用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2007-038205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の図5の実施例のような補助タンク(本発明におけるドレンボックスに相当)を用いると、クーラント液は補助タンクに一時的に貯留された後にマグネットセパレータに流出するため、マグネットセパレータの容量を小さくすることができるとともに、マグネットセパレータへのクーラント液の流入が穏やかになる。しかしながら、このような構成では、補助タンクとマグネットセパレータとを接続する配管の内壁にスラッジが溜まるおそれがある。また、逆洗の際にフィルタに付着したスラッジが塊の状態で補助タンク内に落下し、そのスラッジが補助タンクの内部空間と配管とを連通させる開口部を塞ぐおそれがある。いずれの場合にも、補助タンクからのクーラント液の流出が阻害され、補助タンクからクーラント液があふれるおそれがある。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、逆洗に使用された流体の流れが阻害されにくい濾過循環システムと、ドレンボックスと、を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る、金属加工機械での使用によって固形異物が混入した流体である汚濁流体を濾過および循環させる濾過循環システムは、前記汚濁流体を濾過する濾過装置と、前記濾過装置の逆洗の際に排出された前記流体を収容するドレンボックスと、前記ドレンボックスの下面に接続され、前記ドレンボックス内の前記流体を流出させる逆洗液流出管と、を備え、前記ドレンボックスの底板には、前記ドレンボックスの内部空間と前記逆洗液流出管とを連通させる流出口が形成され、前記流出口の開口面積が前記逆洗液流出管の流路断面積よりも小さい。
【0010】
本発明の発明者(以下、本発明者と称する)は、ドレンボックスの内部空間内の逆洗液が流出口を介して逆洗液流出管に流出する際に逆洗液流出管の流路抵抗が大きいと、逆洗液流出管の流路(内壁)に固形異物が溜まりやすくなるという知見を得た。本発明者は、このような知見に基づき、逆洗液流出管の流路抵抗が小さくするために、ドレンボックスの底板に形成された流出口の開口面積を逆洗液流出管の流路断面積よりも小さくするという構成に想到した。これにより、逆洗液流出管の流路への固形異物の蓄積を抑制できるため、ドレンボックスからの逆洗液の流出が阻害されにくくなる。
【0013】
ドレンボックスからの逆洗液の流出を阻害するのは、逆洗液流出管の流路への固形異物の蓄積だけだはないことが判明している。例えば、逆洗液に塊状(板状)の固形異物が混入する場合があり、このような固形異物が流出口の上に乗るとドレンボックスからの逆洗液の流出を阻害するおそれがある。このような課題に対して、本発明者は創意工夫の末に、流出口の形状を多角形(正多角形を除く)にすると、板状の固形異物が崩れやすくなるという知見を得た。
【0014】
そこで、本発明に係る濾過循環システムの好適な実施形態の一つでは、前記流出口の平面視形状は多角形(正多角形を除く)である。
【0015】
この構成では、流出口の上に板状の固形異物が乗ったとしても、液体が流出口から流出しようとする力が固形異物に不均一に作用することで固形異物が崩れやすくなり、崩れた固形異物は流体とともに流出しやすくなる。これにより、ドレンボックスからの逆洗液の流れが阻害されにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】濾過循環システムのブロック図である。
図2】濾過装置の断面図である。
図3】(a)ドレンボックスの斜視図であり、(b)ドレンボックスのB-B’断面図であり、(c)ドレンボックスのC-C’断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に図面を用いて本発明に係る濾過循環システムの実施形態を説明する。図1は本実施形態における濾過循環システムAのブロック図である。濾過循環システムAは、金属加工機械Bにおいて洗浄,冷却,潤滑のために用いられたクーラント液(本発明における流体の例)を循環させるものであり、ダーティータンク1,濾過装置2,ドレンボックス3,マグネットセパレータ4を備えている。また、クーラント液を流すための流路を備えた配管Lとして、スラッジ(本発明における固形異物の例)を含むクーラント液(ダーティー液,本発明における汚濁流体の例)を金属加工機械Bからダーティータンク1に流すためのダーティー液第1配管L1,ダーティー液をダーティータンク1から濾過装置2に流すためのダーティー液第2配管L2,濾過装置2においてスラッジが濾過されたクーラント液(クリーン液,本発明における清浄流体の例)を金属加工機械Bに流すためのクリーン液配管L3,逆洗に用いられたクーラント液(以下、逆洗液と称する)を濾過装置2からドレンボックス3に流すための逆洗液第1配管L4,ドレンボックス3からマグネットセパレータ4に逆洗液を流す逆洗液第2配管L5(本発明における逆洗液流出管の例),マグネットセパレータ4においてスラッジが除去されたクーラント液をダーティータンク1に流すための戻し配管L6を備えている。さらに、配管Lの流路の開閉を制御するバルブVとして、クリーン液配管L3の流路の開閉を制御するクリーン液配管用バルブV1,逆洗液第1配管L4の流路の開閉を制御する逆洗液配管用バルブV2を備えている。なお、図1では、配管LやバルブVの一部およびクーラント液を循環させるためのポンプ等を省略している。
【0018】
次に、濾過循環システムAにおけるクーラント液の流れを簡単に説明する。先ず、通常の循環・濾過時における流れを説明するが、このとき、クリーン液配管用バルブV1は「開」、逆洗液配管用バルブV2は「閉」となっている。金属加工機械Bにおいて使用され、スラッジを含むクーラント液(ダーティー液)は、ダーティー液第1配管L1を通ってダーティータンク1に流れ込む。図示しないポンプによって、ダーティータンク1内のダーティー液はダーティー液第2配管L2を通って濾過装置2に供給される。詳細は後述するが、濾過装置2の内部にはフィルタが備えられており、そのフィルタによってダーティー液からスラッジが濾過される。スラッジが除去されたクーラント液(クリーン液)は、クリーン液配管L3を通って再度金属加工機械Bに供給され、使用される。
【0019】
この処理を継続すると、スラッジが濾過装置2のフィルタに付着したり、濾過装置2の底に沈殿したりする。これらは濾過装置2の濾過性能の低下を招くため、定期的にこれらのスラッジを除去する逆洗を行う必要がある。逆洗時には、クリーン液配管用バルブV1は「閉」、逆洗液配管用バルブV2は「開」となっている。ただし、図3に示すように、複数の濾過装置2を備え、それぞれの逆洗のタイミングをずらして常にいずれからの濾過装置2が濾過を行えるようにする場合には、クリーン液配管用バルブV1は「開」のままである。
【0020】
詳細は後述するが、逆洗液第1配管L4は、濾過装置2の下端に接続され、真下に向かって延びている。また、逆洗液第1配管L4の流路は比較的大きな径を有している。そのため、逆洗液配管用バルブV2を「開」に制御すると、濾過装置2内のクーラント液が勢いよく流出する。このとき、濾過装置2のフィルタに付着していたり、濾過装置2の底に沈殿したりしているスラッジが、逆洗液とともに逆洗液第1配管L4を通ってドレンボックス3へ流出する。
【0021】
逆洗液は、ドレンボックス3に流入した後に逆洗液第2配管L5を通って、マグネットセパレータ4に流出する。マグネットセパレータ4では逆洗液中の磁性体のスラッジが除去される。磁性体のスラッジが除去された逆洗液は、戻し配管L6を通ってダーティータンク1に戻される。
【0022】
図2は、本実施形態における濾過装置2の断面図である。濾過装置2は、略筒状であり、天井を有し、下方に開口する上部ケーシング21と、上方に開口する略漏斗状の下部ケーシング22と、からなるケーシングを備えている。上部ケーシング21および下部ケーシング22の内部には空間が形成されており、それぞれ上部空間21a、下部空間22aと称する。上部ケーシング21の下端部と下部ケーシング22の上端部とをネジ等を用いて水密に締結することにより、上部ケーシング21と下部ケーシング22とが連結固定され、ケーシングを形成している。このとき、それぞれの開口が一致するように固定され、下部空間22aと上部空間21aとが連通している。
【0023】
下部ケーシング22にはダーティー液が流入する流入口が形成されており、その流入口にダーティー液第2配管L2が接続されている。一方、上部ケーシング21にはクリーン液を流出させる流出口が形成されており、その流出口にクリーン液配管L3が接続されている。また、下部ケーシング22の下端には下方に開口する排出口が形成されており、その排出口に逆洗液第1配管L4が接続されている。
【0024】
また、上部ケーシング21の内部には、ダーティー液からスラッジをろ過するためのフィルタ部が備えられている。フィルタ部は、支持体23と、支持体23に内包されるフィルタ体(図示せず)とを備えている。支持体23は、略筒状体であり、上方は天板によって閉塞されている一方、下方は開口し導入口を形成している。また、支持体23の壁面には複数の漏出孔が形成されている。この漏出孔の径はスラッジの粒径と比べて大きいものではあるが、特に制限はない。なお、漏出孔の径が小さ過ぎるとクーラント液の流出を阻害するため、好ましくない。
【0025】
この支持体23は、導入口が上部ケーシング21の開口と下部ケーシング22の開口と一致するように配置されている。そのため、この導入口を介して、ダーティー液が下部空間22aから上部空間21a、より具体的には、支持体23の内部空間23aへと流入する。また、図2に示すように、支持体23の外周面と上部ケーシング21の内周面との間には間隙が形成されており、濾過されたクーラント液(クリーン液)の流路となっている。
【0026】
フィルタ体は、スラッジを含むクーラント液を濾過し、クーラント液からスラッジを除去するためのものであり、濾過対象の粒径よりも細い目を有する濾布等である。フィルタ体としては、合成繊維製の不織布やプラスチック繊維布等を単層または複層に形成したものを用いることができる。
【0027】
このような濾過装置2として、例えば、特開2023-025359号公報に開示された濾過装置を用いることができる。
【0028】
次に、図2を用いて、濾過装置2によってダーティー液を濾過する処理過程を説明する。なお、図中の矢印はクーラント液の流れを示している。
【0029】
金属加工機械Bで使用され、スラッジが混入したクーラント液(ダーティー液)は、ダーティー液第2配管L2から下部ケーシング22の下部空間22a内に流入する。このとき、逆洗液配管用バルブV2は閉められており、ダーティー液は逆洗液第1配管L4からは流出しない。そのため、ダーティー液の流入が継続すると、下部空間22a内のダーティー液の水位が上昇する。そして、水位が下部空間22aの上端を越えると、ダーティー液は導入口を介して上部空間21a、すなわち、支持体23の内部空間23aへと流入する。支持体23の内部空間23aに流入したダーティー液には、さらなるダーティー液の流入による下方からの圧力が加わっており、支持体23の内部空間23aがダーティー液で満たされた状態では、この圧力は支持体23の内部空間23aのダーティー液を支持体23の外部に流出させる力として作用する。このとき、支持体23の上部は閉塞されているため、支持体23の内部空間23aのダーティー液は支持体23の径外方向にのみ流出することができる。このとき、比較的比重の大きなスラッジは沈降するが、比重の小さなスラッジは内部に漂っている。このようなスラッジに対して径外方向への圧力が作用する。上述したように、フィルタ体の目はスラッジの粒径よりも細かいため、この径外方向への圧力によってスラッジはフィルタ体の内面に付着し、クーラント液のみがフィルタ体の外方に流出する。
【0030】
このようにして、フィルタ体によって濾過されたクーラント液(クリーン液)は支持体23の漏出孔から支持体23の外部に流出する。支持体23の外部に流出したクーラント液は、支持体23と上部ケーシング21との間に形成された流路を通って、クリーン液配管L3へと流れる。そして、クリーン液は再度金属加工機械Bにおいて使用される。
【0031】
このような濾過装置2では、上述したように、スラッジはフィルタ体の内面に付着したり、下部ケーシング22の底に沈殿したりする。濾過装置2の内部にこのようなスラッジが増加すると濾過性能が低下するため、定期的にこれらを除去する、いわゆる逆洗を行う必要がある。逆洗を行う場合には、逆洗液配管用バルブV2を開く。そうすると、濾過装置2の内部に溜まっていたクーラント液とともに、底に沈殿していたり、フィルタ体の内面に付着したりしているスラッジが逆洗液第1配管L4を介して排出される。以下、逆洗液第1配管L4を介して排出されるクーラント液を逆洗液と称する。
【0032】
上述したように、本発明の濾過循環システムAでは、逆洗液第1配管L4の下方にドレンボックス3が備えられているため、逆洗液はドレンボックス3に流入する。ドレンボックス3に流入した逆洗液は、逆洗液第2配管L5を通ってマグネットセパレータ4流入する。そして、マグネットセパレータ4によって磁性体のスラッジが除去されたクーラント液は戻し配管L6を通ってダーティータンク2に還流する。
【0033】
濾過装置2とマグネットセパレータ4との間にドレンボックス3を設けることによって、マグネットセパレータ4の容量を少なくすることができる。また、逆洗液第1配管L4から勢いよく流出する逆洗液を直接マグネットセパレータ4に流入させると、泡立ちが発生する等このましくない現象が生じるおそれがあるが、ドレンボックス3を介することにより、このような好ましくない現象の発生を抑制することができる。
【0034】
しかしながら、逆洗液に含まれたスラッジが配管抵抗によって逆洗液第2配管L5の内壁に蓄積しやすいことが判明している。本発明に係るドレンボックス3では、以下の構成によって逆洗液第2配管L5の配管抵抗を小さくし、スラッジの蓄積を抑制している。
【0035】
図3(a)は本実施形態におけるドレンボックス3の斜視図、図3(b)はB-B’断面図、図3(c)はC-C’断面図である。なお、図3(c)では天板31は表していない。ドレンボックス3は中空の略直方体状であり、図3(a)における左側(流出口33aが形成されている側)が若干下方となるように傾けて設置されている。天板31には逆洗液第1配管L4が接続されている。なお、本実施形態では、2つの濾過装置2を備えているため、2本の逆洗液第1配管L4がドレンボックス3に接続されている。このように複数の濾過装置2を備えておき、各々の濾過装置2の逆洗を行うタイミングをずらすことにより、濾過循環システムA全体における循環濾過処理を停止させることなく、逆洗を行うことができる。
【0036】
図3(c)に示すように、ドレンボックス3の底板32には開口32aが形成されており、開口32aを介して、逆洗液第2配管L5とドレンボックス3の内部空間とが連通している。本実施形態では、開口32aの形状と逆洗液第2配管L5の流路断面形状とは合同であり、それらの面積は同一であるが、開口32aの開口面積よりも逆洗液第2配管L5の流路断面積の方を大きくしても構わない。なお、流路断面積とは、流路の流れ方向に直交する平面での断面積である。
【0037】
本実施形態では、開口32aの上に流出口33aが形成された弾性板33が設けられている。弾性板33は開口32aよりも若干大きく、開口32a全体を覆うように配置されており、その周縁は押さえ板34によって押圧固定されている。流出口33aの開口面積は逆洗液第2配管L5の流路断面積よりも小さくなっており、流出口33a全体が逆洗液第2配管L5の内周の内側に収まるように配置されている。これにより、逆洗液第2配管L5の配管抵抗を小さくし、スラッジの蓄積を抑制している。本実施形態では、流出口33aは2つの直角の角を有する五角形のいわゆるホームベース状である。
【0038】
濾過装置2から流出する逆洗液には、濾過装置2の底に沈殿していたスラッジだけでなく、フィルタ体に付着していたスラッジが含まれることがある。特に、特開2023-025359号公報の図6,7に開示されているような支持体を有する濾過装置2の場合には、フィルタ体にスラッジが板状に付着し、逆洗によってこの板状のスラッジがドレンボックス3に流入することがある。このような板状のスラッジは流出口33aを塞ぎ、逆洗液第2配管L5からの逆洗液の流出を阻害するおそれがある。
【0039】
本発明の発明者は、創意工夫の末に、流出口33aの形状を多角形(正多角形を除く)とすると、流出口33a上に乗った板状のスラッジが崩れやすくなるとの知見を得た。これは、流出口33aの形状が多角形(正多角形を除く)の場合には、逆洗液が流出口33aから流出しようとする力が、板状のスラッジに不均一に力が作用するために、板状のスラッジが崩れやすくなると考えられる。また、本発明者は多角形のうち、五角形や六角形がさらに好ましいとの知見も得ている。
【0040】
このように本発明に係る循環濾過システムAおよびドレンボックス3では、ドレンボックス3の底板33に形成された流出口33aの開口面積を逆洗液第2配管L5の流路断面積よりも小さくすることにって逆洗液第2配管L5の流路の流路抵抗を小さくしている。これにより、逆洗液第2配管L5の流路にスラッジが蓄積することを抑制することができる。また、流出口33aの形状を多角形(正多角形を除く)とすることにより、流出口33aの上方に乗った板状等塊状のスラッジを崩れやすくし、スラッジが流出口33aを塞ぐことを防止している。
【0041】
〔別実施形態〕
(1)上述の実施形態では、ドレンボックス3に流出口33aを有する弾性板33を設けたが、弾性板33を設けない構成とすることもできる。この場合、開口32aを流出口とし、開口32aはその開口面積が逆洗液第2配管L5の流路断面積よりも小さくなるように形成すればよい。
【0042】
(2)上述の実施形態では、流出口33aの開口形状と、逆洗液第2配管L5の流路断面形状とは合同でも相似でもなかったが、これらを相似形としても構わない。この場合でも流出口の開口面積は逆洗液第2配管L5の流路断面積よりも小さくすればよい。例えば、両方を円形とし、流出口33aの開口形状の径を逆洗液第2配管L5の流路断面形状の径よりも小さくすればよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、金属加工機械に使用されるクーラント液をはじめとして、固形異物を含んだ流体を濾過および循環させる濾過循環システムや、そのような濾過循環システムに用いられるドレンボックスに利用することができる。
【符号の説明】
【0044】
A:濾過循環システム
B:金属加工機械
L5:逆洗液第2配管(逆洗液流出管)
1:ダーティータンク
2:濾過装置
3:ドレンボックス
33a:流出口
4:マグネットセパレータ

【要約】
【課題】逆洗に使用された流体の流れが阻害されにくい濾過循環システムと、ドレンボックスと、を提供する。
【解決手段】金属加工機械での使用によって固形異物が混入した流体である汚濁流体を濾過および循環させる濾過循環システムは、汚濁流体を濾過する濾過装置と、濾過装置の逆洗の際に排出された流体を収容するドレンボックス3と、ドレンボックス3の下面に接続され、ドレンボックス3内の流体を流出させる逆洗液流出管L5と、を備えている。ドレンボックス3の底板32には、ドレンボックス3の内部空間と逆洗液流出管L5とを連通させる流出口33aが形成され、流出口33aの開口面積が逆洗液流出管L5の流路断面積よりも小さい。
【選択図】図3
図1
図2
図3