(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-20
(45)【発行日】2025-01-06
(54)【発明の名称】コーヒー製造装置
(51)【国際特許分類】
A47J 31/00 20060101AFI20241223BHJP
A47J 31/10 20060101ALI20241223BHJP
【FI】
A47J31/00 302
A47J31/10
(21)【出願番号】P 2021011965
(22)【出願日】2021-01-28
【審査請求日】2023-04-03
(73)【特許権者】
【識別番号】518268455
【氏名又は名称】株式会社ジゴワッツ
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】柴田 知輝
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-237863(JP,A)
【文献】特開2015-202405(JP,A)
【文献】特開2018-196466(JP,A)
【文献】特開2000-300439(JP,A)
【文献】特開2003-299577(JP,A)
【文献】国際公開第2019/054081(WO,A1)
【文献】特開2009-072352(JP,A)
【文献】特開2020-022626(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/00
A47J 31/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水源からの水を第1タンクに供給する供給部と、
前記第1タンクの水量を検出する第1水量計と、
前記第1タンクの水温を検出する第1温度計と、
前記第1タンク内の水を加熱する第1ヒーターと、
前記第1タンクの温水を第2タンクに供給する第1ポンプと、
前記第2タンクの水量を検出する第2水量計と、
前記第2タンクの水温を検出する第2温度計と、
前記第2タンクの温水を加熱する第2ヒーターと、
前記第2タンクの熱水をドリップノズルに供給する第2ポンプと、
前記ドリップノズルの熱水の流量を検出する流量計と、
前記ドリップノズルの下に設置され挽かれたコーヒーを収容するコーヒードリッパーと前記コーヒードリッパーから滴下されるコーヒーを受けるコーヒーサーバーとの間を機械的に遮断可能に動作し、遮断している間は前記コーヒードリッパーから滴下されるコーヒーが前記コーヒーサーバーに滴下されないようにするシャッターと、
前記コーヒーサーバーの重量を検出する重量計と、
前記供給部、前記第1ヒーター、前記第1ポンプ、前記第2ヒーター、前記第2ポンプ、および前記シャッターの動作を制御する制御部と、を有し、
前記第1水量計の検出値に基づいて前記第1タンクの水量が一定範囲内に維持されるように前記供給部の動作を制御し、
前記第1温度計の検出値に基づいて前記第1タンクの水温が第1設定温度になるように前記第1ヒーターの動作を制御し、
前記第2水量計の検出値に基づいて前記第2タンクの水量が一定範囲内に維持されるように前記第1ポンプの動作を制御し、
前記第2温度計の検出値に基づいて前記第2タンクの水温が前記第1設定温度よりも高い第2設定温度になるように前記第2ヒーターの動作を制御し、
前記流量計によって検出される前記ドリップノズルの熱水の流量から、定められている滴下タイミングおよび滴下量となるように前記第2ポンプの動作を制御し、
前記流量計によって検出される前記ドリップノズルの熱水の滴下量、および前記重量計によって検出される前記コーヒーサーバーの重量から、定められている動作タイミングとなるように前記シャッターの動作を制御
し、
前記制御部は、顧客にとって理想的なドリップコーヒーを淹れるためのコーヒーレシピを記憶する記憶部を有し、
コーヒーレシピは、少なくとも、コーヒー豆の種類、焙煎度、挽き目を考慮した、熱水の第2設定温度、熱水の滴下タイミング、および熱水の滴下量、前記シャッターの動作タイミングに関する制御パラメータを含み、
前記制御部は、
前記記憶部からコーヒーレシピに含まれる制御パラメータを読み込み、
前記第2ヒーターの動作を、前記第2温度計によって検出された前記第2タンク内の熱水の温度が前記制御パラメータの第2設定温度となるように制御し、
前記第2ポンプの動作を、前記流量計によって検出される前記ドリップノズルの熱水の流量から、前記ドリップノズルから滴下される熱湯の滴下タイミングおよび滴下量が前記制御パラメータの滴下タイミングおよび滴下量となるように制御し、
前記シャッターの動作を、前記流量計によって検出される前記ドリップノズルの熱水の滴下量、および前記重量計によって検出される前記コーヒーサーバーの重量から、前記制御パラメータの動作タイミングとなるように制御し、
前記制御部は、前記第2ポンプが動作している間に、前記第2温度計によって検出される前記第2タンクの水温が制御パラメータの第2設定温度を維持できなくなったときには、前記ドリップノズルに供給する熱水の流量が少なくなるように前記第2ポンプの動作を制御する、コーヒー製造装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第2温度計によって検出される前記第2タンクの水温が制御パラメータの第2設定温度になり、かつ前記重量計によって前記コーヒーサーバーを検出すると、前記第2ポンプを動作させる、請求項
1に記載のコーヒー製造装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記ドリップノズルから断続的または連続的に熱水が滴下されるように前記第2ポンプの動作を制御する、請求項
1に記載のコーヒー製造装置。
【請求項4】
前記制御部は、コーヒーレシピを読み込む読込部を有し、
前記制御部は、前記読込部が読み込んだコーヒーレシピを前記記憶部に記憶させることができ、前記制御部は、前記記憶部に記憶させたコーヒーレシピに含まれる制御パラメータを用いて、前記第2ヒーター、前記第2ポンプ、および前記シャッターの動作を制御する、請求項
1に記載のコーヒー製造装置。
【請求項5】
前記読込部は、RFIDタグ、バーコード、QRコードなどの媒体に書き込まれている顧客に固有のコーヒーレシピを読み込むことができるRFIDリーダー、バーコードリーダー、QRコードリーダーである、請求項
4に記載のコーヒー製造装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記記憶部に記憶されているコーヒーレシピを書き換える書換部を有する、請求項
1に記載のコーヒー製造装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記記憶部に記憶されているコーヒーレシピを外部に出力する出力部を有する、請求項
4に記載のコーヒー製造装置。
【請求項8】
請求項
7に記載のコーヒー製造装置は、それぞれのコーヒー製造装置の読込部と出力部とがネットワークを介して接続されている、コーヒー製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店舗でドリップコーヒーを提供するためのコーヒー製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近のコーヒーマシンとしては、たとえば特許文献1に開示されているような構造のコーヒーマシンがある。このコーヒーマシンは、ダイナミックな熱管理用の加熱システムを有し、迅速かつ高信頼で最適温度に蒸留水を加熱できるようにしたプロフェッショナル仕様となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているコーヒーマシンであれば、迅速かつ高信頼で最適温度に蒸留水を加熱できるので、たとえば、エスプレッソ、ミルクコーヒー、カプチーノなどの、安定した蒸留温度が要求される飲料を理想的な状態で提供できる。
【0005】
しかし、ドリップコーヒーを理想的な状態で提供するには、コーヒー豆の種類やコーヒー豆の挽き方の相違などによって、蒸留水の加熱温度、供給量の最適値を顧客の要望に応えて変化させる必要がある。また、ドリップコーヒーは好みのコーヒー豆の種類やコーヒー豆の挽き方に個人差があり、デフォルトとして設定されている蒸留水の加熱温度、供給量の最適値が必ずしも顧客の最適値でない場合もある。
【0006】
したがって、特許文献1のコーヒーマシンの技術を単に適用したとしても、ドリップコーヒーを顧客にとって理想的な状態で提供できないことがある。
【0007】
本発明は、顧客にとって理想的なドリップコーヒーが提供できるコーヒー製造装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係るコーヒー製造装置は、水源からの水を第1タンクに供給する供給部と、第1タンクの水量を検出する第1水量計と、第1タンクの水温を検出する第1温度計と、第1タンク内の水を加熱する第1ヒーターと、第1タンクの温水を第2タンクに供給する第1ポンプと、第2タンクの水量を検出する第2水量計と、第2タンクの水温を検出する第2温度計と、第2タンクの温水を加熱する第2ヒーターと、第2タンクの熱水をドリップノズルに供給する第2ポンプと、ドリップノズルの熱水の流量を検出する流量計と、ドリップノズルの下に設置され挽かれたコーヒーを収容するコーヒードリッパーとコーヒードリッパーから滴下されるコーヒーを受けるコーヒーサーバーとの間を機械的に遮断可能に動作し、遮断している間はコーヒードリッパーから滴下されるコーヒーがコーヒーサーバーに滴下されないようにするシャッターと、コーヒーサーバーの重量を検出する重量計と、供給部、第1ヒーター、第1ポンプ、第2ヒーター、第2ポンプ、およびシャッターの動作を制御する制御部と、を有し、第1水量計の検出値に基づいて第1タンクの水量が一定範囲内に維持されるように供給部の動作を制御し、第1温度計の検出値に基づいて第1タンクの水温が第1設定温度になるように第1ヒーターの動作を制御し、第2水量計の検出値に基づいて第2タンクの水量が一定範囲内に維持されるように第1ポンプの動作を制御し、第2温度計の検出値に基づいて第2タンクの水温が第1設定温度よりも高い第2設定温度になるように第2ヒーターの動作を制御し、流量計によって検出されるドリップノズルの熱水の流量から、定められている滴下タイミングおよび滴下量となるように第2ポンプの動作を制御し、流量計によって検出されるドリップノズルの熱水の滴下量、および重量計によって検出されるコーヒーサーバーの重量から、定められている動作タイミングとなるようにシャッターの動作を制御し、制御部は、顧客にとって理想的なドリップコーヒーを淹れるためのコーヒーレシピを記憶する記憶部を有し、コーヒーレシピは、少なくとも、コーヒー豆の種類、焙煎度、挽き目を考慮した、熱水の第2設定温度、熱水の滴下タイミング、および熱水の滴下量、前記シャッターの動作タイミングに関する制御パラメータを含み、制御部は、記憶部からコーヒーレシピに含まれる制御パラメータを読み込み、第2ヒーターの動作を、第2温度計によって検出された第2タンク内の熱水の温度が制御パラメータの第2設定温度となるように制御し、第2ポンプの動作を、流量計によって検出されるドリップノズルの熱水の流量から、ドリップノズルから滴下される熱湯の滴下タイミングおよび滴下量が制御パラメータの滴下タイミングおよび滴下量となるように制御し、シャッターの動作を、流量計によって検出されるドリップノズルの熱水の滴下量、および重量計によって検出される前記コーヒーサーバーの重量から、制御パラメータの動作タイミングとなるように制御し、制御部は、第2ポンプが動作している間に、第2温度計によって検出される第2タンクの水温が制御パラメータの第2設定温度を維持できなくなったときには、ドリップノズルに供給する熱水の流量が少なくなるように第2ポンプの動作を制御する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のコーヒー製造装置によれば、制御部が、水量計、温度計、および重量計の検出値と顧客にとって理想的なドリップコーヒーを淹れるためのコーヒーレシピとに基づいてドリップコーヒーを淹れるので、顧客にとって理想的なドリップコーヒーが提供できる。
【0011】
本発明のコーヒー製造装置によれば、制御部が、第1水量計、第1温度計、第2水量計、第2温度計、流量計、および重量計の検出値と顧客にとって理想的なドリップコーヒーを淹れるためのコーヒーレシピとに基づいてドリップコーヒーを淹れるので、顧客にとって理想的なドリップコーヒーが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態1のコーヒー製造装置の全体構成図である。
【
図2】実施形態2のコーヒー製造装置の全体構成図である。
【
図3】実施形態2のコーヒー製造装置の制御系のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係るコーヒー製造装置の一実施形態について、実施形態1と実施形態2に分けて、図面を参照しながら詳細に説明する。
(コーヒー製造装置の全体構成)
図1は、実施形態1のコーヒー製造装置の全体構成図である。
【0014】
図2に示すように、コーヒー製造装置100は、供給部115、タンク110、および制御部200を有する。制御部200は、コーヒー製造装置100の全体の動作を制御する。
【0015】
供給部115は、水源105からの水をタンク110に供給する。水源105は、たとえば、水道水、井戸水、タンクに貯蔵されているミネラルウオーターである。水源105が水道水であれば、商用の水道管が供給部115に直接接続される。水源105が井戸水であれば、井戸から水を汲み上げるポンプが供給部115に接続される。水源105がミネラルウオーターであれば、ミネラルウオーターを貯蔵しているタンク(タンクの高さがタンク110の高さよりも高い場合)が供給部115に直接接続され、ミネラルウオーターを貯蔵しているタンク(タンクの高さが第1タンク110の高さと同じか低い場合)から水を汲み上げるポンプが供給部115に接続される。
【0016】
供給部115は、水源105とタンク110とを接続する水路に設けられる。供給部115は、この水路を開閉可能な、たとえば、ソレノイド、流量バルブ、ポンプである。供給部115の動作は、制御部200が制御する。
【0017】
タンク110は水源105から供給される常温の水を、たとえば、80℃から98℃の熱水にして貯蔵する。このため、タンク110は、タンク110の水量を検出する水量計120、タンク110内の水温を検出する温度計125、およびタンク110内の水を加熱するヒーター130を有する。
【0018】
水量計120は、タンク110内にどの程度の水量の水が貯蔵されているのかを検出するセンサである。水量計120は、たとえば、タンク110内の水位を検出する水位センサであってもよいし、タンク110の入口と出口とで水の流量を検出する流量センサであってもよい。
【0019】
温度計125は、タンク110内の水温を検出するセンサであり、熱電対やサーミスタを用いた温度センサである。ヒーター130は、タンク110内に設けられタンク110内の水を加熱する電気ヒーターである。
【0020】
水量計120によって検出されたタンク110の水量および温度計125によって検出されたタンク110内の水温は、制御部200に送信される。また、ヒーター130の動作は、制御部200が制御する。
【0021】
制御部200は、水量計120によって検出されたタンク110の水量を見て供給部115の動作を制御し、タンク110の水量が一定範囲内に維持されるようにする。また、制御部200は、温度計125によって検出されたタンク110内の水温を見てヒーター130の動作を制御し、タンク110の水の温度が、コーヒーの抽出に適した80℃から98℃の水温を維持するようにする。
【0022】
図1に示すように、コーヒー製造装置100は、ポンプ135、ドリップノズル160、シャッター185、および重量計190を有する。ポンプ135は、ドリップノズル160を接続する水路に設けられ、タンク110の熱水をドリップノズル160に供給する。ポンプ135は、ポンプ135の回転数と回転数あたりの組み上げ水量のパラメータからドリップノズル160に流れる熱水の流量を検出することができる。したがって、実施形態1では、ドリップノズル160に流れる熱水の流量を検出するための流量計は設けていない。ポンプ135の動作は、制御部200が制御する。
【0023】
シャッター185は、コーヒードリッパー175とコーヒーサーバー180との間に設置される。コーヒードリッパー175は、ドリップノズル160の下に設置され、コーヒーミルなどの粉砕機によって挽かれたコーヒーを収容する。コーヒーサーバー180は、シャッター185の下に設置され、コーヒードリッパー175から滴下されるコーヒーを受ける。
【0024】
シャッター185は、コーヒードリッパー175とコーヒーサーバー180との間を機械的に遮断可能に動作する。ドリップノズル160からは、顧客のコーヒーレシピに基づいて、断続的にまたは連続的に熱湯が滴下される。滴下された熱湯はコーヒードリッパー175内のコーヒー粉に注がれる。シャッター185がコーヒードリッパー175とコーヒーサーバー180との間を遮断していなければ、コーヒードリッパー175から滴下されるコーヒーはコーヒーサーバー180に集められる。一方、シャッター185がコーヒードリッパー175とコーヒーサーバー180との間を遮断している間は、コーヒードリッパー175から滴下されるコーヒーがシャッター185上に落ちる。シャッター185上に落ちたコーヒーは図示されていない排出経路を通って排出される。
【0025】
シャッター185を設けるのは、コーヒーを蒸らしている間、またはコーヒーの抽出が終了する直前の、苦みのあるコーヒーがコーヒーサーバー180に滴下されないようにするためである。シャッター185を適切なタイミングで動作させることによって、コーヒーの味や風味を損なうようなことがなくなり、顧客にとって理想的な味と風味のコーヒーの抽出が可能となる。シャッター185の動作タイミングは理想的な味と風味のコーヒーの抽出に重要であるので、制御部200がコーヒーレシピに基づいて制御する。
(コーヒー製造装置の基本動作)
前提として、タンク110に、供給部115を介して水源105から一定範囲内の量の水が貯蔵され、その水が80℃から98℃の温度に加熱されている状態であるとする。
【0026】
まず、顧客が来店すると、店員は顧客からコーヒー豆の種類、焙煎度、挽き目の好みなどを聞き、好みに応じたコーヒー粉を作り、コーヒードリッパー175にセットする。次に、店員がコーヒードリッパー175の下にコーヒーサーバー180をセットする。
【0027】
重量計190がコーヒーサーバー180を検出すると、制御部200はデフォルトのコーヒーレシピを読み込み、制御部200は、コーヒーレシピに含まれる制御パラメータを用いて、ヒーター130、ポンプ135、およびシャッター185の動作を制御する。なお、デフォルトのコーヒーレシピは、コーヒー豆の種類、焙煎度、挽き目などの組み合わせに対応して、数種類のコーヒーレシピが設けてある。コーヒーレシピごとに制御パラメータは異なる。
【0028】
制御部200は、ポンプ135を動作させるときには、ポンプ135の回転数からドリップノズル160の熱水の流量を見て、制御パラメータの滴下タイミングおよび滴下量となるようにポンプ135の動作を制御する。
【0029】
ドリップコーヒーを淹れる場合、ドリップノズル160からゆっくりと一定量の熱湯をコーヒー粉に滴下し、少しの間熱湯の滴下を止めてコーヒー粉を蒸らし、その後、再びドリップノズル160から熱湯をコーヒー粉に滴下する。
【0030】
制御部200は、ドリップノズル160から熱湯をコーヒー粉に滴下するときには、制御パラメータの滴下タイミングおよび滴下量に基づいて、ドリップノズル160から断続的または連続的に熱水が滴下されるようにポンプ135の動作を制御する。
【0031】
制御部200は、制御パラメータの滴下量に達したことが検出されると、シャッター185を動作させて、コーヒードリッパー175とコーヒーサーバー180との間を遮断する。このときには、コーヒードリッパー175から滴下されるコーヒーがシャッター185上に落ちるが、シャッター185上に落ちたコーヒーは外部に排出される。シャッター185の作用によって、コーヒーの抽出終了直前の苦みなどの癖のある味のコーヒーがコーヒーサーバー180に滴下されることがなくなる。
【0032】
なお、シャッター185は、コーヒーの抽出終了直前だけではなく、コーヒーの蒸らし中に動作させるようにしてもよい。コーヒーの蒸らし中にコーヒードリッパー175から滴下されるコーヒーもコーヒーサーバー180に滴下されたコーヒーの風味などに影響を与えることがあるからである。以上のようにして、コーヒーレシピとおりのドリップコーヒーが顧客に提供される。
(コーヒー製造装置の全体構成)
図2は、実施形態2のコーヒー製造装置の全体構成図である。
【0033】
図2に示すように、コーヒー製造装置100は、供給部115、第1タンク110、および制御部200を有する。制御部200は、コーヒー製造装置100の全体の動作を制御する。
【0034】
供給部115は、水源105からの水を第1タンク110に供給する。水源105は、たとえば、水道水、井戸水、タンクに貯蔵されているミネラルウオーターである。水源105が水道水であれば、商用の水道管が供給部115に直接接続される。水源105が井戸水であれば、井戸から水を汲み上げるポンプが供給部115に接続される。水源105がミネラルウオーターであれば、ミネラルウオーターを貯蔵しているタンク(タンクの高さが第1タンク110の高さよりも高い場合)が供給部115に直接接続され、ミネラルウオーターを貯蔵しているタンク(タンクの高さが第1タンク110の高さと同じか低い場合)から水を汲み上げるポンプが供給部115に接続される。
【0035】
供給部115は、水源105と第1タンク110とを接続する水路に設けられる。供給部115は、この水路を開閉可能な、たとえば、ソレノイド、流量バルブ、ポンプである。供給部115の動作は、制御部200が制御する。
【0036】
第1タンク110は水源105から供給される常温の水を、たとえば、60℃から70℃程度(第1設定温度)の温水にして貯蔵する。このため、第1タンク110は、第1タンク110の水量を検出する第1水量計120、第1タンク110内の水温を検出する第1温度計125、および第1タンク110内の水を加熱する第1ヒーター130を有する。
【0037】
第1水量計120は、第1タンク110内にどの程度の水量の水が貯蔵されているのかを検出するセンサである。第1水量計120は、たとえば、第1タンク110内の水位を検出する水位センサであってもよいし、第1タンク110の入口と出口とで水の流量を検出する流量センサであってもよい。
【0038】
第1温度計125は、第1タンク110内の水温を検出するセンサであり、熱電対やサーミスタを用いた温度センサである。第1ヒーター130は、第1タンク110内に設けられ第1タンク110内の水を加熱する電気ヒーターである。
【0039】
第1水量計120によって検出された第1タンク110の水量および第1温度計125によって検出された第1タンク110内の水温は、制御部200に送信される。また、第1ヒーター130の動作は、制御部200が制御する。
【0040】
制御部200は、第1水量計120によって検出された第1タンク110の水量を見て供給部115の動作を制御し、第1タンク110の水量が一定範囲内に維持されるようにする。また、制御部200は、第1温度計125によって検出された第1タンク110内の水温を見て第1ヒーター130の動作を制御し、第1タンク110の水の温度が60℃から70℃程度(第1設定温度)の水温を維持するようにする。
【0041】
図2に示すように、コーヒー製造装置100は、第1ポンプ135と第2タンク140とを有する。第1ポンプ135は、第1タンク110の温水を第2タンク140に供給する。第1ポンプ135は、第1タンク110と第2タンク140とを接続する水路に設けられる。第1ポンプ135の動作は、制御部200が制御する。
【0042】
第2タンク140は第1ポンプ135から供給される温水を、たとえば、80℃から98℃(第2設定温度)の熱水にして貯蔵する。このため、第2タンク140は、第2タンク140の水量を検出する第2水量計145、第2タンク140内の水温を検出する第2温度計150、および第2タンク140内の温水を加熱する第2ヒーター155を有する。第2タンク140の容量は第1タンク110の容量よりも小さい。第2ヒーター155の発生熱量は第1ヒーター130の発生熱量よりも大きいことが好ましい。第2タンク140の熱水の温度を制御しやすくするためである。
【0043】
第2水量計145は、第2タンク140内にどの程度の水量の温水が貯蔵されているのかを検出するセンサである。第2水量計145は、たとえば、第2タンク140内の水位を検出する水位センサであってもよいし、第2タンク140の入口と出口とで温水の流量を検出する流量センサであってもよい。
【0044】
第2温度計150は、第2タンク140内の水温を検出するセンサであり、熱電対やサーミスタを用いた温度センサである。第2ヒーター155は、第2タンク140内に設けられ第2タンク140内の水を加熱する電気ヒーターである。
【0045】
第2水量計145によって検出された第2タンク140の水量および第2温度計150によって検出された第2タンク140内の水温は、制御部200に送信される。また、第2ヒーター155の動作は、制御部200が制御する。
【0046】
制御部200は、第2水量計145によって検出された第2タンク140の水量を見て第1ポンプ135の動作を制御し、第2タンク140の水量が一定範囲内に維持されるようにする。また、制御部200は、第2温度計150によって検出された第2タンク140内の水温を見て第2ヒーター155の動作を制御し、第2タンク140の水の温度が80℃から98℃(第2設定温度)の水温を維持するようにする。
【0047】
図2に示すように、コーヒー製造装置100は、第2ポンプ165、流量計170、ドリップノズル160、シャッター185、および重量計190を有する。第2ポンプ165は、第2タンク140とドリップノズル160とを接続する水路に設けられ、第2タンク140の熱水をドリップノズル160に供給する。流量計170は、第2ポンプ165とドリップノズル160とを接続する水路に設けられ、ドリップノズル160の熱水の流量を検出する。なお、実施形態2では、第2ポンプ165を第2タンク140側に設け、流量計170をドリップノズル160側に設けているが、流量計170を第2タンク140側に設け、第2ポンプ165をドリップノズル160側に設けてもよい。第2ポンプ165の動作は、制御部200が制御する。
【0048】
シャッター185は、コーヒードリッパー175とコーヒーサーバー180との間に設置される。コーヒードリッパー175は、ドリップノズル160の下に設置され、コーヒーミルなどの粉砕機によって挽かれたコーヒーを収容する。コーヒーサーバー180は、シャッター185の下に設置され、コーヒードリッパー175から滴下されるコーヒーを受ける。
【0049】
シャッター185は、コーヒードリッパー175とコーヒーサーバー180との間を機械的に遮断可能に動作する。ドリップノズル160からは、顧客のコーヒーレシピに基づいて、断続的にまたは連続的に熱湯が滴下される。滴下された熱湯はコーヒードリッパー175内のコーヒー粉に注がれる。シャッター185がコーヒードリッパー175とコーヒーサーバー180との間を遮断していなければ、コーヒードリッパー175から滴下されるコーヒーはコーヒーサーバー180に集められる。一方、シャッター185がコーヒードリッパー175とコーヒーサーバー180との間を遮断している間は、コーヒードリッパー175から滴下されるコーヒーがシャッター185上に落ちる。シャッター185上に落ちたコーヒーは図示されていない排出経路を通って排出される。
【0050】
シャッター185を設けるのは、コーヒーを蒸らしている間、またはコーヒーの抽出が終了する直前の、苦みのあるコーヒーがコーヒーサーバー180に滴下されないようにするためである。シャッター185を適切なタイミングで動作させることによって、コーヒーの味や風味を損なうようなことがなくなり、顧客にとって理想的な味と風味のコーヒーの抽出が可能となる。シャッター185の動作タイミングは理想的な味と風味のコーヒーの抽出に重要であるので、制御部200がコーヒーレシピに基づいて制御する。
【0051】
重量計190は、コーヒーサーバー180の重量を検出する。実施形態2では、ドリップノズル160を1つ設けているが、より多くの顧客に対応できるようにするために、複数のドリップノズル160を設けてもよい。複数のドリップノズル160を設けた場合には、それぞれのドリップノズル160に対して、第2ポンプ165、流量計170、シャッター185および重量計190を設けることが好ましい。
【0052】
第2ポンプ165とシャッター185との動作は、制御部200が制御する。まず、制御部200は、重量計190がコーヒーサーバー180の載置を検出すると、第2ポンプ165を動作させる。次に、制御部200は、コーヒーレシピに基づき、流量計170が検出する熱水の流量を見ながら、第2ポンプ165およびシャッター185の動作を制御する。
【0053】
(コーヒー製造装置の制御系の構成)
図3は、実施形態2のコーヒー製造装置の制御系のブロック図である。
【0054】
制御部200は、入力系として、第1水量計120、第2水量計145、第1温度計125、第2温度計150、流量計170、および重量計190が接続されている。制御部200は、出力系として、供給部115、第1ヒーター130、第2ヒーター155、第1ポンプ135、第2ポンプ165、およびシャッター185が接続されている。これらの部分の詳細は前述のとおりである。
【0055】
制御部200は、供給部115、第1ヒーター130、第1ポンプ135、第2ヒーター155、第2ポンプ165、およびシャッター185の動作を、第1水量計120、第1温度計125、第2水量計145、第2温度計150、流量計170、および重量計190の検出値と顧客にとって理想的なドリップコーヒーを淹れるためのコーヒーレシピとに基づいて制御する。
【0056】
具体的には、制御部200は、第1水量計120の検出値に基づいて第1タンク110の水量が一定範囲内に維持されるように供給部115の動作を制御する。制御部200は、第1温度計125の検出値に基づいて第1タンク110の水温が60℃から70℃程度の第1設定温度になるように第1ヒーター130の動作を制御する。制御部200は、第2水量計145の検出値に基づいて第2タンク140の水量が一定範囲内に維持されるように第1ポンプ135の動作を制御する。制御部200は、第2温度計150の検出値に基づいて第2タンク140の水温が60℃から70℃程度の第1設定温度よりも高い、80℃から98℃の第2設定温度になるように第2ヒーター155の動作を制御する。制御部200は、流量計170によって検出されるドリップノズル160の熱水の流量から、定められている滴下タイミングおよび滴下量となるように第2ポンプ165の動作を制御する。制御部200は、流量計170によって検出されるドリップノズル160の熱水の滴下量、および重量計190によって検出されるコーヒーサーバー180の重量から、定められている動作タイミングとなるようにシャッター185の動作を制御する。
【0057】
制御部200は、記憶部210、読込部220、書換部230、および出力部240を有する。記憶部210は、顧客にとって理想的なドリップコーヒーを淹れるためのコーヒーレシピを記憶する。コーヒーレシピは、少なくとも、コーヒー豆の種類、焙煎度、挽き目を考慮した、熱水の第2設定温度、熱水の滴下タイミング、および熱水の滴下量、シャッター185の動作タイミングに関する制御パラメータを含む。
【0058】
コーヒー豆の種類、焙煎度、挽き目の違いは、コーヒーの味や風味に大きな影響を与える。コーヒー豆の種類、焙煎度、挽き目が同じであっても、ドリップノズル160からどのような温度、量の熱水をどのように滴下させるかによっても、コーヒーの味や風味に大きく影響する。そのため、実施形態2では、記憶部210に、コーヒー豆の種類、焙煎度、挽き目を考慮した、第2タンク140の熱水の温度の制御パラメータとして第2設定温度を記憶させ、コーヒー豆の種類、焙煎度、挽き目を考慮した、コーヒー粉の蒸らしやコーヒーの抽出速度の制御パラメータとして熱水の滴下タイミング、熱水の滴下量、およびシャッター185の動作タイミングを記憶させている。
【0059】
読込部220は、記憶部210にデフォルトとして記憶されている、一般的な顧客にとって理想的なドリップコーヒーを淹れるためのコーヒーレシピを読み込むことができる。また、読込部220は、ネットワークを介して接続されている、他のコーヒー製造装置100の出力部240を介して、他のコーヒー製造装置100の記憶部210に記憶されている記憶部210のコーヒーレシピを読み込むことができる。さらに、読込部220は、RFIDタグ、バーコード、QRコード(登録商標)などの媒体に書き込まれている顧客に固有のコーヒーレシピを読み込むことができる。この場合の読込部220は、RFIDリーダー、バーコードリーダー、QRコードリーダーである。
【0060】
制御部200は、読込部220が読み込んだコーヒーレシピを記憶部210に記憶させ、制御部200は、記憶部210に記憶させたコーヒーレシピを用いて、第2ヒーター155、第2ポンプ165、およびシャッター185の動作を制御する
書換部230は、記憶部210に記憶されているコーヒーレシピを書き換える。たとえば、店舗を訪れた顧客が、コーヒー粉の蒸らし時間を長くしてもらいたいという要望や、熱水の温度を低めにしてもらいたいという要望を伝えてきたときに、その要望を書換部230によって入力し、記憶部210に記憶されているコーヒーレシピを一時的に書き換える。コーヒー粉の蒸らし時間は、熱水の滴下タイミングの制御パラメータを変更することによって、熱水の温度は、第2設定温度の制御パラメータを変更することによって、実現する。
【0061】
出力部240は、記憶部210に記憶されているコーヒーレシピを外部に出力する。たとえば、インターネットを介して複数のコーヒー製造装置100が接続されている場合、出力部240は、記憶部210に記憶されているコーヒーレシピを、他のコーヒー製造装置100の読込部220に向けて出力することができる。また、出力部240は、記憶部210に記憶されているコーヒーレシピをバーコードやQRコードとしてプリントすることができる。この場合の出力部240は、プリンターである。
(コーヒー製造装置の基本動作)
前提として、第1タンク110に、供給部115を介して水源105から一定範囲内の量の水が貯蔵され、その水が60℃から70℃の第1設定温度に加熱されており、また、第2タンク140に、第1ポンプ135を介して第1タンク110から一定範囲内の温水が貯蔵され、その温水がさらに80℃から98℃の第2設定温度に加熱されている状態であるとする。
【0062】
まず、顧客が来店すると、店員は顧客からコーヒー豆の種類、焙煎度、挽き目の好みなどを聞き、好みに応じたコーヒー粉を作り、コーヒードリッパー175にセットする。次に、店員がコーヒードリッパー175の下にコーヒーサーバー180をセットする。
【0063】
重量計190がコーヒーサーバー180を検出すると、制御部200は記憶部210からデフォルトのコーヒーレシピを読み込み、制御部200は、コーヒーレシピに含まれる制御パラメータを用いて、第2ヒーター155、第2ポンプ165、およびシャッター185の動作を制御する。なお、デフォルトのコーヒーレシピは、コーヒー豆の種類、焙煎度、挽き目などの組み合わせに対応して、数種類のコーヒーレシピが設けてある。コーヒーレシピごとに制御パラメータは異なる。
【0064】
制御部200は、第2温度計150によって検出される第2タンク140の水温が制御パラメータの第2設定温度になり、かつ重量計190によってコーヒーサーバー180を検出すると、第2ポンプ165を動作させる。
【0065】
制御部200は、第2ポンプ165を動作させるときには、流量計170によって検出されるドリップノズル160の熱水の流量を見て、制御パラメータの滴下タイミングおよび滴下量となるように前記第2ポンプ165の動作を制御する。
【0066】
ドリップコーヒーを淹れる場合、ドリップノズル160からゆっくりと一定量の熱湯をコーヒー粉に滴下し、少しの間熱湯の滴下を止めてコーヒー粉を蒸らし、その後、再びドリップノズル160から熱湯をコーヒー粉に滴下する。
【0067】
制御部200は、ドリップノズル160から熱湯をコーヒー粉に滴下するときには、制御パラメータの滴下タイミングおよび滴下量に基づいて、ドリップノズル160から断続的または連続的に熱水が滴下されるように第2ポンプ165の動作を制御する。
【0068】
制御部200は、第2ポンプ165が動作している間に、第2タンク140に貯蔵されている熱水の量が少なくなり、第1ポンプ135を介して第1タンク110の温水が供給されるようになると、第2温度計150によって検出される第2タンク140の水温が制御パラメータの第2設定温度を維持できなくなる。このようなときには、制御部200は、ドリップノズル160に供給する熱水の流量が少なくなるように第2ポンプ165の動作を制御する。
【0069】
制御部200は、流量計170によってドリップノズル160から制御パラメータの滴下量に達したことが検出されると、シャッター185を動作させて、コーヒードリッパー175とコーヒーサーバー180との間を遮断する。なお、コーヒーの滴下量は、流量計170によって検出するのではなく、第2ポンプ165の駆動量と駆動時間をかけ合わせることによって検出するようにしてもよい。このときには、コーヒードリッパー175から滴下されるコーヒーがシャッター185上に落ちるが、シャッター185上に落ちたコーヒーは外部に排出される。シャッター185の作用によって、コーヒーの抽出終了直前の苦みなどの癖のある味のコーヒーがコーヒーサーバー180に滴下されることがなくなる。なお、シャッター185は、コーヒーの抽出終了直前だけではなく、コーヒーの蒸らし中に動作させるようにしてもよい。コーヒーの蒸らし中にコーヒードリッパー175から滴下されるコーヒーもコーヒーサーバー180に滴下されたコーヒーの風味などに影響を与えることがあるからである。
【0070】
以上のようにして、コーヒーレシピとおりのドリップコーヒーが顧客に提供される。実施形態2のコーヒー製造装置100は、デフォルトのコーヒーレシピだけではなく、顧客の特別な要望にも対応することができる。その場合の制御部200の動作は次のとおりである。
(コーヒー製造装置の特別な動作)
前提として、第1タンク110に、供給部115を介して水源105から一定範囲内の量の水が貯蔵され、その水が60℃から70℃の第1設定温度に加熱されており、また、第2タンク140に、第1ポンプ135を介して第1タンク110から一定範囲内の温水が貯蔵され、その温水がさらに80℃から98℃の第2設定温度に加熱されている状態であるとする。
【0071】
まず、顧客が来店すると、店員は顧客からコーヒー豆の種類、焙煎度、挽き目の好みなどを聞き、好みに応じたコーヒー粉をコーヒードリッパー175にセットする。顧客が、デフォルトのコーヒーレシピにはない特別のコーヒーレシピ、たとえば、コーヒー粉に滴下させる熱水の温度を高めにするとか、コーヒー粉の蒸らし時間を長くするとか、シャッター185とコーヒー粉の蒸らし時とコーヒーの抽出終了直前の両方で動作させたいとか、特別の要望を申し出たときには、店員は、その要望を書換部230から入力する。
【0072】
制御部200は、書換部230から入力された顧客の要望に基づいて、記憶部210に記憶されているコーヒーレシピを一時的に書き換える。次に、重量計190がコーヒーサーバー180を検出すると、制御部200は記憶部210から一時的に書き換えられたコーヒーレシピを読み込む。制御部200は、書き換えられたコーヒーレシピに含まれる制御パラメータを用いて、第2ヒーター155、第2ポンプ165、およびシャッター185の動作を制御する。以降の制御部200の動作は上記のとおりである。
【0073】
なお、実施形態2では、顧客に独自に作成したコーヒーレシピを記憶部210に一時的に記憶させたが、たとえば、その顧客に設定した独自のIDとともに記憶部210に記憶させておいてもよい。このように記憶させておくことによって、次回、その顧客が来店したときに、読込部220に顧客のIDを読み込ませることによって、その顧客のコーヒーレシピに基づいてドリップコーヒーを淹れることができるようになる。
【0074】
また、出力部240はネットワークを介して他のコーヒー製造装置100の読込部220と接続されている。したがって、記憶部210が記憶しているすべてのコーヒーレシピを、ネットワークに接続されているすべてのコーヒー製造装置100において共有させることができる。顧客は、どの店舗でも、顧客のIDを読み込ませることによって、同一のコーヒーレシピに基づいて淹れられたドリップコーヒーを飲むことができる。
【0075】
さらに、顧客自身が、自己のパソコンや携帯から、ネットワークを介してコーヒー製造装置100の読込部220にアクセスできるようにしておいてもよい。このようにしておけば、顧客は、店舗で要望を伝えることなく、自分で好みのコーヒーレシピを店舗以外の場所で作成しておくことができる。顧客が作成したコーヒーレシピは、顧客のIDとともにすべてのコーヒー製造装置100の記憶部210に記憶させておくことができる。
(コーヒー製造装置の他の特別な動作)
前提として、第1タンク110に、供給部115を介して水源105から一定範囲内の量の水が貯蔵され、その水が60℃から70℃の第1設定温度に加熱されており、また、第2タンク140に、第1ポンプ135を介して第1タンク110から一定範囲内の温水が貯蔵され、その温水がさらに80℃から98℃の第2設定温度に加熱されている状態であるとする。
【0076】
まず、顧客が来店すると、店員は顧客がRIFDタグ、バーコード、QRコードなどの媒体を持っているか否かを聞く。顧客がいずれかの媒体を持っていれば、RFIDリーダー、バーコードリーダー、QRコードリーダーなどの読込部220を用いて、顧客の持っている媒体を読み込む。これらの媒体には、顧客に固有のコーヒーレシピが書き込まれているので、制御部200は、読み込んだコーヒーレシピに基づいて上記のようにしてドリップコーヒーを淹れる。
【0077】
なお、出力部240は、顧客にバーコード、QRコードなどの媒体を、ネットワークを介して顧客のパソコンや携帯に出力したり、プリントアウトしたりすることができる。
【0078】
以上のように、実施形態2のコーヒー製造装置100によれば、制御部200が、第1水量計120、第1温度計125、第2水量計145、第2温度計150、流量計170、および重量計190の検出値と顧客にとって理想的なドリップコーヒーを淹れるためのコーヒーレシピとに基づいて供給部115、第1ヒーター130、第1ポンプ135、第2ヒーター155、第2ポンプ165、およびシャッター185の動作を制御するので、顧客にとって理想的なドリップコーヒーが提供できる。
【0079】
また、実施形態2のコーヒー製造装置100によれば、顧客が独自のコーヒーレシピを記憶部210に記憶させたり、読込部220に読み込ませたりすることができるので、顧客にとって理想的なドリップコーヒーが提供できる。
【0080】
以上、本発明に係るコーヒー製造装置の実施形態1、2を説明したが、本発明の技術的範囲は、上記の実施形態1、2に記載されている事項に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0081】
100 コーヒー製造装置
105 水源
110 タンク、第1タンク
115 供給部
120 水量計、第1水量計
125 温度計、第1温度計
130 ヒーター、第1ヒーター
135 ポンプ、第1ポンプ
140 第2タンク
145 第2水量計
150 第2温度計
155 第2ヒーター
160 ドリップノズル
165 第2ポンプ
170 流量計
175 コーヒードリッパー
180 コーヒーサーバー
185 シャッター
190 重量計
200 制御部
210 記憶部
220 読込部
230 書換部
240 出力部