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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-20
(45)【発行日】2025-01-06
(54)【発明の名称】ピロー包装袋のガス濃度測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/3504 20140101AFI20241223BHJP
   G01N 21/359 20140101ALI20241223BHJP
   B65B 9/213 20120101ALI20241223BHJP
   B65B 31/04 20060101ALI20241223BHJP
【FI】
G01N21/3504
G01N21/359
B65B9/213
B65B31/04 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021079435
(22)【出願日】2021-05-10
(65)【公開番号】P2022173623
(43)【公開日】2022-11-22
【審査請求日】2024-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000108281
【氏名又は名称】ゼネラルパッカー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090239
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 始
(74)【代理人】
【識別番号】100100859
【弁理士】
【氏名又は名称】有賀 昌也
(72)【発明者】
【氏名】大島 雅志
(72)【発明者】
【氏名】宮部 祐樹
【審査官】井上 徹
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第209689846(CN,U)
【文献】特開2012-208126(JP,A)
【文献】国際公開第2021/079994(WO,A1)
【文献】特許第3129463(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-21/958
B65B 9/00- 9/24
B65B 47/00-47/10
B65B 31/00-31/10
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムロールから引き出した長尺フィルムを幅方向に丸めて重なり合った両端部を連続的にシールして、筒状に包材を形成する縦シール装置と、
前記包材を長手方向に沿って所定の搬送速度で連続的に搬送する搬送経路を備えた搬送装置と、
前記包材を幅方向に横切ってシールするシーラを備え、当該シーラを所定の周期で間欠的に動作させる少なくとも一台の横シール装置と、
被包装物を充填する充填装置と、
充填された被包装物の雰囲気を所定の不活性ガスへ置換するガス置換装置とを有し、
前記シーラが、前記包材の途中をシールして第1封止部を形成し、当該第1封止部で区切られた包装空間を形成する第1シール工程と、
前記包装空間に前記充填装置から前記被包装物が充填される充填工程と、
前記包装空間内に充填された前記被包装物の雰囲気を前記不活性ガスへ置換するガス置換工程と、
前記シーラが、前記包装空間を封止して第2封止部を形成する第2シール工程とによって、
前記被包装物が充填された前記包装空間を、前記第1封止部と前記第2封止部で密封したピロー包装袋を連接形成するピロー包装機において、
当該ピロー包装機の近傍に、前記包装空間に特定波長のレーザー光を射出するレーザー発生部と前記レーザー光を受光するレーザー受光部とを備えたレーザー式ガス濃度測定装置を設けて、
当該レーザー式ガス濃度測定装置が、ガス置換されて密封された前記包装空間に前記レーザー光を透過させて、当該包装空間の透過前後で変化する前記特定波長の吸収スペクトルに基づいて前記包装空間内に残留している特定ガスのガス濃度を測定するようにしたピロー包装袋のガス濃度測定方法であって、
前記レーザー式ガス濃度測定装置は、
前記第2シール工程で形成された前記ピロー包装袋に設けた測定ポイントに相対する所定の第1ポイントに、前記レーザー発生部と前記レーザー受光部を配置する測定装置配置工程と、
前記第1ポイントから、所定の第2ポイントまで前記レーザー発生部と前記レーザー受光部を、前記搬送経路に沿って平行に所定の移動速度で移動させながら、前記測定ポイントに対して前記レーザー光を射出して、所定の測定時間で前記包装空間内の前記ガス濃度を測定するガス濃度測定工程と、
前記レーザー発生部と前記レーザー受光部を、前記第2ポイントから前記第1ポイントへ、前記第2ポイントを始点とし、前記第1ポイントを終点とする略コの字状の軌跡を反搬送経路側に描く所定の帰還経路に沿って帰還させる帰還工程とを有し、
前記ガス濃度測定工程中、前記レーザー発生部と前記レーザー受光部の前記移動速度を、前記ピロー包装袋の前記搬送速度と同期させて、前記レーザー発生部と前記レーザー受光部が前記測定ポイントに対して相対的に停止するようにして、
搬送されている前記ピロー包装袋に合わせて、前記レーザー式ガス濃度測定装置が前記包装空間内の前記ガス濃度を測定するようにしたことを特徴とするピロー包装袋のガス濃度測定方法。
【請求項2】
前記搬送装置が搬送する前記包材から連接形成される前記ピロー包装袋が、縦方向に連なるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のピロー包装袋のガス濃度測定方法。
【請求項3】
前記搬送装置が搬送する前記包材から連接形成される前記ピロー包装袋が、横方向に連なるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のピロー包装袋のガス濃度測定方法。
【請求項4】
前記測定ポイントを、前記ピロー包装袋の幅方向に沿って前記レーザー光が透過するように設けたことを特徴とする請求項若しくは請求項に記載のピロー包装袋のガス濃度測定方法。
【請求項5】
前記測定ポイントを、前記ピロー包装袋の厚さ方向に沿って前記レーザー光が透過するように設けたことを特徴とする請求項若しくは請求項に記載のピロー包装袋のガス濃度測定方法。
【請求項6】
前記ピロー包装機の近傍に、前記ピロー包装機で形成された前記ピロー包装袋が搬出される搬出路を設け、
前記ピロー包装機の機外の前記搬出路途中に、前記レーザー式ガス濃度測定装置を設けたことを特徴とする請求項1に記載のピロー包装袋のガス濃度測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状の長尺包材を所定の間隔でシールして区画された包装空間を備えるピロー包装袋の当該包装空間内に残留する特定ガスのガス濃度を測定するガス濃度測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許第3129463号に開示されているシュリンク包装装置は、連続して引き出した帯状フィルムを筒状の包材に加工形成し、当該包材に被包装物を収納して、エンドシール装置で被包装物の両端を密封している。このような筒状の包材に収納した被包装物の両端をシールして密封する包装袋をピロー包装袋という。上記シュリンク装置では、エンドシール装置で密封するとき、包装袋内を窒素ガス等で充填するガス置換を行っている。これにより、被包装物の品質を高く維持することができる。
【0003】
ところが、窒素ガス等でガス置換されたピロー包装袋内に特定ガス、たとえば酸素ガスが所定の濃度以上に残留している場合は、当該特定ガスが被包装物の品質維持を妨げる原因となる。そこで、ピロー包装袋内に残留している特定ガスの残留濃度を検査し、所定の濃度以上の場合は不良品として包装機上の包装工程から排出しなければならない。
このような製品検査は、以前は製造された複数のピロー包装袋の中から所定数のサンプルを抜き取って検査する抜き取り検査が実施されていたが、そのような抜き取り検査は、確かに抜き取ったサンプル一つの残留ガス濃度の検査は精密に行えるが、帯状フィルム一枚から製造された全てのピロー包装袋全体の検査としてみた場合は検査精度が悪く、統計的に不良品の発生率を得ていたにすぎない。
【0004】
そこで、特開2012-208126号公報に開示されている包装機におけるガス濃度測定方法は、特定波長のレーザー光を発信器によって特定ガスに照射する機能を有するレーザー発生部と、その発信器から発振され特定ガスを通過するレーザー光を受信器によって受光し、そのガスにより吸収されたレーザー光の強度を測定してその強度から当該ガスの濃度を出力させる機能を有するレーザー受光部とからなるレーザー式ガス濃度測定装置を用い、ピロー包装袋内に被包装物を充填してガス置換を行なってから開口部の密封を施す包装機の製品排出経路に、発信器と受信器を所定間隔に配置したレーザー式ガス濃度測定装置のガスパージ室を設け、そのガスパージ室内にパージガスを流した状態にて発信器と受信器の間を通過するピロー包装袋内の特定ガスの濃度を測定するようにした。これによって、包装機に設けたレーザー式ガス濃度測定装置により全数のピロー包装袋について当該包装袋を損傷することなく内部の特定ガスの濃度を迅速に測定することができるようにした。
このように、近年はレーザー式ガス濃度測定装置を用いて、包装機で形成されたピロー包装袋の全数を非破壊で検査するようにして、当該ピロー包装袋内に残留した特定ガスのガス濃度の検査精度を向上させることが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第3129463公報
【文献】特開2012-208126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、まず上記のガス濃度測定方法では、包装機の製品排出経路上に窒素ガス等の不活性ガスで満たされたガスパージ室を設けて、当該ガスパージ室をピロー包装袋が通過する構成が第一の問題となる。
すなわち、限られた包装機近傍のスペースに、ガスパージ室を設ける新たなスペースが必要となること、そして、新たに設置したガスパージ室内を常に不活性ガスで満たさなければならず、包装袋内をガス置換するために使われる不活性ガス以外に、大量の不活性ガスが必要になり、その大量の不活性ガスをガスパージ室へ供給する供給装置を設けなければならないことである。
【0007】
第二にレーザー式ガス濃度測定装置の測定精度を向上させるための構成が問題となる。
ここで、レーザー式ガス濃度測定装置は、レーザー光を包装袋に透過させたとき、包装袋内に残留している特定ガスで当該レーザー光が吸光される吸光度に基づいてガス濃度を測定するように構成されている。当該吸光度は、レーザー発生部とレーザー受光部間の光路上に存在する特定ガスの分子がレーザー光の特定スペクトルを吸収する割合に基づくものであるから、光路上に存在する分子に特定スペクトルを多く吸収させると測定精度を向上させることができることが知られている。この特定スペクトルをより多く吸収させる方法が、光路長を長くするか、又は同一光路上で照射時間を長くすることである。
しかし、上記のガス濃度測定方法では、包装機上のスペースが限られた位置に設けられたガスパージ室では、長い光路長を確保することが困難であるうえ、レーザー発生部とレーザー受光部がガスパージ室内の所定の位置に固定されているため、通過するピロー包装袋に対してレーザー光を瞬間的に照射するのみであり、同一光路上での照射時間を長く確保することができないという問題がある。
【0008】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、大気雰囲気中でピロー包装袋に対するレーザー光の十分な照射時間を確保して、測定精度を向上させるようにしたピロー包装袋内のガス濃度測定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載のピロー包装袋のガス濃度測定方法は、フィルムロールから引き出した長尺フィルムを幅方向に丸めて重なり合った両端部を連続的にシールして、筒状に包材を形成する縦シール装置と、
前記包材を長手方向に沿って所定の搬送速度で連続的に搬送する搬送経路を備えた搬送装置と、
前記包材を幅方向に横切ってシールするシーラを備え、当該シーラを所定の周期で間欠的に動作させる少なくとも一台の横シール装置と、
被包装物を充填する充填装置と、
充填された被包装物の雰囲気を所定の不活性ガスへ置換するガス置換装置とを有し、
前記シーラが、前記包材の途中をシールして第1封止部を形成し、当該第1封止部で区切られた包装空間を形成する第1シール工程と、
前記包装空間に前記充填装置から前記被包装物が充填される充填工程と、
前記包装空間内に充填された前記被包装物の雰囲気を前記不活性ガスへ置換するガス置換工程と、
前記シーラが、前記包装空間を封止して第2封止部を形成する第2シール工程とによって、
前記被包装物が充填された前記包装空間を、前記第1封止部と前記第2封止部で密封したピロー包装袋を連接形成するピロー包装機において、
当該ピロー包装機の近傍に、前記包装空間に特定波長のレーザー光を射出するレーザー発生部と前記レーザー光を受光するレーザー受光部とを備えたレーザー式ガス濃度測定装置を設けて、
当該レーザー式ガス濃度測定装置が、ガス置換されて密封された前記包装空間に前記レーザー光を透過させて、当該包装空間の透過前後で変化する前記特定波長の吸収スペクトルに基づいて前記包装空間内に残留している特定ガスのガス濃度を測定するようにしたピロー包装袋のガス濃度測定方法であって、
前記レーザー式ガス濃度測定装置は、
前記第2シール工程で形成された前記ピロー包装袋に設けた測定ポイントに相対する所定の第1ポイントに、前記レーザー発生部と前記レーザー受光部を配置する測定装置配置工程と、
前記第1ポイントから、所定の第2ポイントまで前記レーザー発生部と前記レーザー受光部を、前記搬送経路に沿って平行に所定の移動速度で移動させながら、前記測定ポイントに対して前記レーザー光を射出して、所定の測定時間で前記包装空間内の前記ガス濃度を測定するガス濃度測定工程と、
前記レーザー発生部と前記レーザー受光部を、前記第2ポイントから前記第1ポイントへ、前記帰還経路を、前記第2ポイントを始点とし、前記第1ポイントを終点とする略コの字状の軌跡を反搬送経路側に描く所定の帰還経路に沿って帰還させる帰還工程とを有し、
前記ガス濃度測定工程中、前記レーザー発生部と前記レーザー受光部の前記移動速度を、前記ピロー包装袋の前記搬送速度と同期させて、前記レーザー発生部と前記レーザー受光部が前記測定ポイントに対して相対的に停止するようにして、
搬送されている前記ピロー包装袋に合わせて、前記レーザー式ガス濃度測定装置が前記包装空間内の前記ガス濃度を測定するようにしたことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載のピロー包装袋のガス濃度測定方法は、請求項1に記載の発明において、前記搬送装置が搬送する前記包材から連接形成される前記ピロー包装袋が、縦方向に連なるようにしたことを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載のピロー包装袋のガス濃度測定方法は、請求項1に記載の発明において、前記搬送装置が搬送する前記包材から連接形成される前記ピロー包装袋が、横方向に連なるようにしたことを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載のピロー包装袋のガス濃度測定方法は、請求項若しくは請求項に記載の発明において、前記測定ポイントを、前記ピロー包装袋の幅方向に沿って前記レーザー光が透過するように設けたことを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載のピロー包装袋のガス濃度測定方法は、請求項若しくは請求項に記載の発明において、前記測定ポイントを、前記ピロー包装袋の厚さ方向に沿って前記レーザー光が透過するように設けたことを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載のピロー包装袋のガス濃度測定方法は、請求項1に記載の発明において、前記ピロー包装機の近傍に、前記ピロー包装機で形成された前記ピロー包装袋が搬出される搬出路を設け、
前記ピロー包装機の機外の前記搬出路途中に、前記レーザー式ガス濃度測定装置を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明のピロー包装袋内のガス濃度測定方法によれば、レーザー式ガス濃度測定装置を構成するレーザー発生部とレーザー受光部がガス濃度を測定中に移動する移動速度と、搬送装置がピロー包装袋を搬送する搬送速度を同期させて、ピロー包装袋に設けた測定ポイントに対してレーザー発生部とレーザー受光部が相対的に停止するようにした。そして、ガス濃度測定中は、測定ポイントを挟んでレーザー発生部とレーザー受光部間の距離が一定に保持されるようにした。すなわち、光路長を一定にしたレーザー発生部とレーザー受光部がピロー包装袋に設けた測定ポイントと共に移動しながらガス濃度測定を行うようにした。
これによって、同一光路上で長時間に亘ってレーザー光を照射することができるので、大気雰囲気中でピロー包装袋に対するレーザー光の十分な照射時間を確保して、測定精度を向上させることができる。
【0016】
また、レーザー発生部とレーザー受光部が、測定終了後に第2ポイントから第1ポイントへ帰還するときの帰還経路を、第2ポイントを始点とし、第1ポイントを終点とする略コの字形状の軌跡を反搬送経路側に描くようにした。
これによって、非測定時間は、ピロー包装袋からレーザー発生部とレーザー受光部を離し、それらレーザー発生部とレーザー受光部が、ピロー包装機が備える他の装置に干渉し難くすると共に搬出されるピロー包装袋の流れに巻き込まれないようにすることができ、安全性を向上させることができる。
【0017】
さらに、ピロー包装袋が縦方向に連なる場合、横方向に連なる場合のいずれの場合であっても、ガス濃度測定中のレーザー発生部とレーザー受光部の移動速度を、ピロー包装袋の搬送速度と同期させるようにし、また、測定ポイントをピロー包装袋の幅方向に対してレーザー光が透過するように、また厚さ方向に対して透過するように構成して、いずれの場合であっても、レーザー発生部とレーザー受光部間の光路長を一定にし、光路ごと移動するようにして、同一光路上で長時間測定できるようにした。
これによって、ピロー包装機のレイアウトに合わせて、自在にレーザー式ガス濃度測定装置を設置することができ、設計の自由度と汎用性を向上させることができる。
また好ましくは、ピロー包装機の機外へ形成したピロー包装袋を藩主する搬出路途中にレーザー式ガス濃度測定装置を設けて、ガス濃度を測定することができるようにした。
これによって、レーザー式ガス濃度測定装置をピロー包装機近傍に設けても良く、若しくはピロー包装機外の搬出路途中へ設けることもできるので、ピロー包装機のレイアウトに合わせて、自在にレーザー式ガス濃度測定装置を設置することができ、設計の自由度と汎用性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1実施例に係るピロー包装袋のガス濃度測定方法の構成の概略を説明する説明図である。
図2】第1実施例に係るピロー包装袋のガス濃度測定方法におけるレーザー式ガス濃度測定装置の構成の概略を説明する説明図である。
図3】第2実施例に係るピロー包装袋のガス濃度測定方法の構成の概略を説明する説明図である。
図4】第3実施例に係るピロー包装袋のガス濃度測定方法の構成の概略を説明する説明図である。
図5】第4実施例に係るピロー包装袋のガス濃度測定方法の構成の概略を説明する説明図である。
【実施例1】
【0019】
本発明のピロー包装袋のガス濃度測定方法に係る第1実施例を、以下添付した図面にしたがって説明する。図1は、本実施例に係るピロー包装袋のガス濃度測定方法の構成の概略を説明する説明図であり、図2は、本実施例に係るレーザー式ガス濃度測定装置の構成の概略を説明する説明図である。
【0020】
ピロー包装袋10は、筒状に形成された包材1から構成されている。
当該包材1は、フィルムロールから引き出された長尺フィルムを幅方向に丸め又は折りたたんで、重ね合わせた幅方向両縁部を縦シール装置(図示略)で連続的にシールすることによって筒状に形成されている。
【0021】
そして、図1に示すように、包材1は、搬送装置(図示略)によって、長手方向に沿った図中矢印で示す搬送経路17に沿って搬送される。横シール装置15は、互いに溶着部を相対するシーラ16,16を有している。当該シーラ16,16は、搬送されている包材1に対して、当該包材1の幅方向を横断するように所定の周期で間欠的に挟持してシールするように構成されている。これによって、包材1の搬送経路17に沿って、所定の間隔でシールされた部分12,13と、当該シールされた部分で区画された被包装物を充填可能な包装空間11を備えたピロー包装袋10を形成することができる。
ここで、包材1の搬送経路17に沿って、先にシールされた包装空間の下方部分を第1封止部12とし、後にシールされた包装空間の上方部分を第2封止部13とする。そして、図1に示すように、ピロー包装袋10を縦方向に連ねて形成するピロー包装機を縦型ピロー包装機と称する。
本実施例では、図1に示すように、2台の横シール装置15が交互に包材1を所定の間隔で周期的にシールして、一の包装空間10と他の包装空間10との間に第1封止部12と第2封止部13を連接形成することで、連続的にピロー包装袋10を形成するように構成されている。
【0022】
また、図1に示すように、横シール装置15の下方近傍にはレーザー式ガス濃度測定装置20が配置されている。
ここで、レーザー式ガス濃度測定装置20は、図1及び図2に示すように、レーザー発生部21とレーザー受光部22がピロー包装袋を挟んで配置されている。
【0023】
レーザー発生部21は、図2に示すように、レーザー光源23と、当該光源23から射出するレーザー光の波長を特定の波長に設定し、所定の光強度に調整する制御部24とを有している。
レーザー光源23は、波長が可変可能なダイオードからなる半導体レーザー素子を備え、近赤外領域のレーザー光を射出可能に形成されている。本実施例に係る半導体レーザー素子は、DFB(Distributed Feed Back:分布帰還形)レーザーと呼ばれる高出力の半導体レーザー素子である。
制御部24は、半導体レーザー素子から射出されるレーザー光の波長を測定対象の特定ガス固有の特定波長に調整して、レーザー光が所定の入射光強度で射出されるように増幅する制御を行うように構成されている。また制御部24は、計測部26に対して、射出する入射光強度に係る入射光信号を出力するように構成されている。
ここで、本実施例に係るレーザー式ガス濃度測定装置20が測定する特定ガスは、酸素ガス(O)である。当該酸素ガス固有の吸収波長帯は760nm帯であり、当該吸収波長帯に含まれる複数の吸収スペクトルのうち、一の吸収スペクトルに係る特定波長がレーザー光の出力波長として選択される。本実施例では、酸化により被包装物を劣化させるおそれがある酸素ガスを検出するように構成したが、これに限定されるものでは無く、検出対象のガスを特定する吸収波長帯に係る吸収スペクトルは任意に設定することができるように構成されている。
【0024】
レーザー受光部22は、図2に示すように、ピロー包装袋10を透過して減衰したレーザー光を受光する受光センサ25と、当該受光センサ25からの受光信号に基づいて、ガス濃度を計測する計測部26とを有している。
受光センサ25は、ピロー包装袋10を透過したレーザー光の透過光強度を電気的な透過光信号に変換する素子、たとえば、フォトダイオードからなる。これによって、ピロー包装袋10の包装空間11を透過して減衰したレーザー光の透過光強度を電気的に処理することができる。
計測部26は、透過光強度に係る透過光信号と、レーザー発生部21の制御部24から出力されたレーザー光の入射光強度に係る入射光信号に基づいて透過率を計算し、当該透過率に基づいてレーザー光の特定ガスによる吸光度を求め、当該吸光度に基づいて包装空間11内の特定ガスのガス濃度を計測するように構成されている。
【0025】
レーザー発生部21とレーザー受光部22間でレーザー光が通る経路を光路cとし、その長さを光路長とする。光路c上には、大気雰囲気とピロー包装袋10の包装空間11がある。
ここで、特定ガスは、大気雰囲気に存在すると共に包装空間11内に残留している。当該特定ガスはレーザー光を構成する特定波長に係る所定の吸収スペクトルをその光路c上で吸光する。そのため、レーザー光は、光路c上で特定ガスに吸収されて減衰する。そして、光路c上で減衰されたレーザー光が受光センサ25で受光される。
計測部26は、制御部24から取得した減衰前の光強度と透過して減衰した透過光強度から、透過率を求めるように構成されている。そして計測部26は、求めた透過率から光路c上でどれだけ特定ガスが吸収スペクトルを吸収したかを示す吸光度を求めるように構成されている。そして、計測部26は、求めた吸光度に基づいて、光路c上における特定ガスの総濃度を算出して、当該総濃度から、大気雰囲気中に略一定の濃度で存在している特定ガスの濃度による影響を除いて、包装空間11内に残留している特定ガスの濃度を測定するように構成されている。
測定された残留特定ガスの濃度が所定の閾値以上であった場合、特定ガス、本実施例では酸素ガスが許容される濃度以上で包装空間11内に残留しているとして、ピロー包装袋10で被包装物を包装して製造した袋製品は不良品と判定され搬送経路外へ排出される。
レーザー式ガス濃度測定装置20は、光路c上で特定ガスによって吸光され減衰したレーザー光の減衰の度合いによって特定ガスのガス濃度を測定している。
そのため、第一に光路長を長く確保し、レーザー光の減衰度を大きくすることによって、測定精度を向上させることができる。これは、光路長が一定の場合、測定時間を長く確保して、当該測定時間中にレーザー発生部から射出したレーザー光を複数回反射させてレーザー受光部で受光させることによって可能となる。
第二にレーザー光を複数回射出して、複数回測定することによって、測定精度を向上させることができる。これは、光路長を一定に保持すると共に測定時間を長く確保して、当該測定時間中にレーザー発生部からレーザー光を複数回射出し、複数回測定した結果から測定誤差を算出し、当該測定誤差を実測値にフィードバックして誤差を除いた測定値を算出することによって可能となる。いずれの場合であっても、測定精度を向上させるためには測定時間を長く確保すること、測定時間中は光路長を長く、一定に保持することが重要である。
【0026】
上記のレーザー式ガス濃度測定装置20に対応するピロー包装袋10は、図1に示すように、レーザー光が透過可能な測定ポイントP0,P0を有している。
ここで、ピロー包装袋10は、上記したように所定のフィルムから構成されている。当該フィルムは、レーザー光の透過率が、0.00001%以上、100%未満の塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂からなるものが好ましい。すなわち、本実施例に係るレーザー式ガス濃度測定装置20は、ピロー包装袋10が着色されている場合であってもレーザー光が透過するようであれば有効である。また、フィルムが着色されている場合であっても、包材1からピロー包装袋10を形成したとき、測定ポイントP,Pとなる位置にレーザー光が透過可能な窓部を設けるようにしても良い。
測定ポイントP,Pにおける包装空間11内の光路は、図1に示すように、ピロー包装袋10の上方で被包装物がレーザー光の妨げにならない空間に形成されている。これによって、被包装物がレーザー光を吸収し、また散乱させて測定誤差が生じることを防止することができる。
【0027】
上記の構成を有する縦型ピロー包装機では、以下に説明する各工程を経てピロー包装袋10に被包装物が充填され、レーザー式ガス濃度測定装置20で各個検査されるように構成されている。
包材1を搬送している搬送装置(図示略)は、所定の搬送速度で包材1及び当該包材1から形成されるピロー包装袋を搬送経路17に沿って搬送するように構成されている。
これによって、縦型ピロー包装機は、包材1から形成したピロー包装袋に被包装物を充填した袋製品を連続して製造搬出することができる。
【0028】
また、横シール装置15は、図1に示すように、2回のシール工程をひとまとめにして行うことによって、包材1からピロー包装袋10を連接形成するように構成されている。
当該シール工程のうち、包材1の途中をシールして第1封止部12を形成するシール工程を第1シール工程とし、被包装物が充填された包装空間11を封止する第2封止部13を形成するシール工程を第2シール工程とする。図1に示すように、第2シール工程において、横シール装置15のシーラ16,16が包装空間11の第2封止部12をシール形成して先のピロー包装袋10を封止したとき、当該シーラ16,16は、後のピロー包装袋10の第1封止部12をシール形成して包装空間11を形成するように構成されている。
本実施例においては、図1に示すように、2台の横シール装置15が交互に、第1シール工程と第2シール工程を同時に行うシール工程を搬送経路17上で繰り返すことによって、筒状の包材1から連続してピロー包装袋10を形成するように構成されている。
そして、横シール装置15は、図1に示すように、搬送経路17に沿って、シーラ16,16が包材1を挟持しながら所定距離を移動するように構成されている。これによって、シーラ16,16が包材1を溶着する所定のシール時間を確保することができる。
所定のシール時間が経過してピロー包装袋10を解放したシーラ16,16は、ピロー包装袋10が搬送される搬送経路17から離れる反搬送経路17側へシール終了時の位置を始点に、シール開始時の位置を終点とする略コの字状の軌跡を描く、いわゆるボックスモーションでシール開始位置へ戻るように構成されている。このように、図1に示すように複数台の横シール装置15がそれぞれ同一軌道上で周回軌道を描いて動作することで、包材1を停止させずに連続してピロー包装袋10を形成することができる。
【0029】
第1シール工程の後、ピロー包装袋10に対して、包装空間11に被包装物を充填する充填工程、包装空間11内の大気を不活性ガスへ置換するガス置換工程、また好ましくは、包装空間11内の大気を脱気する脱気工程、包装空間11内の被包装物に振動を加える振動工程が行われる。
充填工程は、筒状の包材1の途中を第1封止部12で区画した包装空間11に被包装物を充填する処理を行う工程である。
ガス置換工程は、包装空間11内に充填された被包装物の大気雰囲気を不活性ガスへガス置換する処理を行う工程である。
充填工程はガス置換工程と同時に行っても良いし、充填工程、ガス置換工程と順におこなうようにしても良い。ガス置換工程で使用される不活性ガスとは、たとえば、窒素ガス、二酸化炭素ガス等であって、当該不活性ガスを任意に選択することができる。
また、被包装物によっては、脱気工程が、充填工程と同時に又は充填工程とガス置換工程の間に行われるようにしても良い。また好ましくは、振動工程は、充填工程とガス置換工程と並行して行われる。当該振動工程によって、より一層包装空間11内を脱気し、被包装物を下方へまとめる処理を行うことができる。
上記の充填工程等に係る処理が終了したとき、第2シール工程によって包装空間11を封止する第2封止部を形成する処理が行われる。
こうして被包装物が充填された包装空間11を第1封止部と第2封止部で密封したピロー包装袋10が形成され、図1に示すように検査工程へ移行する。
このように、縦型ピロー包装機は、長尺フィルムから筒状の包材1を形成し、各工程を経て被包装物を充填したピロー包装袋10を形成している。なお、当該縦型ピロー包装機は、先行技術文献として引用した特許第3129463号に開示されているシュリンク包装装置等をはじめとして、すでに広く知られている公知の包装機であるから、各部構成の細部について詳細な説明と図示は省略する。
【0030】
レーザー式ガス濃度測定装置20が行う検査工程は、測定装置配置工程と、ガス濃度測定工程、帰還工程を有している。
測定装置配置工程は、レーザー発生部21とレーザー受光部22を所定の位置に配置する処理を行う工程である。図1に示すように、横シール装置15のシーラ16,16下方に連なっている複数個のピロー包装袋10のうち、いずれか一つのピロー包装袋10に対して、レーザー発生部21とレーザー受光部22は、当該ピロー包装袋10が有する測定ポイントP,Pに相対すると共にピロー包装袋10を挟んで互いに対向するように配置される。この位置を以下、第1ポイントP1とする。
ここで、横シール装置15のシーラ16,16が包材1を挟んでシールする方向を、ピロー包装袋10の幅方向とし、当該幅方向に対して前後に直交する方向をピロー包装袋10の厚さ方向とすると、第1ポイントPと測定ポイントP,Pの位置は、図1に示すように、ピロー包装袋10の幅方向に沿って設けられている。
第1ポイントPにレーザー発生部21とレーザー受光部22が配置された後、次のガス濃度測定工程へ移行する。
【0031】
ガス濃度測定工程は、第1ポイントPに配置されたレーザー発生部21から測定ポイントP,Pに対してレーザー光を射出し、包装空間11内で減衰したレーザー光をレーザー受光部22で受光して包装空間11内に残留している特定ガスのガス濃度を測定する処理を行う工程である。ガス濃度測定工程では、レーザー発生部21とレーザー受光部22が、包材1及びピロー包装袋10が搬送経路17上を搬送される搬送速度と同期した同じ移動速度で移動するように構成されている。これによって、レーザー発生部21とレーザー受光部22は、ピロー包装袋10に対して相対的に停止しているので、ピロー包装袋10が搬送されている最中であっても、レーザー発生部21とレーザー受光部22は、測定ポイントP,Pに対してレーザー光を射出し続けることができる。
そして、ガス濃度測定工程は、所定の測定時間が終了したとき終了する。このとき、測定対象のピロー包装袋10と共に移動してきたレーザー発生部21とレーザー受光部22の停止位置を第2ポイントPとする。
測定時間は、横シール装置15のシール時間と同じ長さであることが好ましい。このように構成することによって、シーラ16,16から解放されたピロー包装袋10に対して、その解放後から測定を開始し、次のピロー包装袋10がシーラ16,16から解放されるときに次の測定を滞りなく開始することができる。なお、レーザー発生部21とレーザー受光部22を複数組用意した場合は、測定時間はシール時間に拘束限定されるものでは無く、任意に設定することができる。
第1ポイントPと第2ポイントP間でレーザー発生部21とレーザー受光部22が描く軌跡は、図1に示すように、ピロー包装袋10の搬送経路17に沿っており、横シール装置15直下で、シーラ16,16の中央から垂下する方向の搬送経路17の軸に対してレーザー発生部21とレーザー受光部22は互いに平行に移動するように構成されている。これによって、ピロー包装袋10がレーザー発生部21或いはレーザー受光部22のいずれかの方へ偏ってしまった場合であっても、レーザー発生部21とレーザー受光部22間の距離、すなわち光路長を一定に保持することができるので、測定誤差を抑えることができる。
上記のように構成したガス濃度測定工程によれば、ピロー包装袋10と共に移動するレーザー発生部21とレーザー受光部22は、搬送工程中に移動する測定ポイントP,Pを通じて、レーザー光を包装空間11に透過させ続けることができ、当該搬送工程中、レーザー発生部21とレーザー受光部22間の光路長を一定に保持することができる。そのため、レーザー光を複数回反射させる場合、また複数回射出する場合のいずれの場合であっても、光路長を一定に保持して、長時間の測定時間を確保することができるので、レーザー式ガス濃度測定装置20によるガス濃度の測定精度を向上させることができる。
測定時間が終了したとき、レーザー発生部21とレーザー受光部22は第2ポイントPへ到達して、ガス濃度測定工程は終了し、次の帰還工程へ移行する。
【0032】
帰還工程は、レーザー発生部21とレーザー受光部22を第2ポイントPから第1ポイントPへ帰還させる処理を行う工程である。図1に示すように、レーザー発生部21とレーザー受光部22は、第2ポイントPから互いに相反するように離れ、第2ポイントPを始点とし、第1ポイントPを終点とする略コの字状の軌跡を反搬送経路17側へ描くようにして、第2ポイントPから第1ポイントPへ帰還するように構成されている。すなわち、ガス濃度測定工程と帰還工程を合わせて、レーザー発生部21とレーザー受光部22は、いわゆるボックスモーションと呼ばれる矩形状の軌跡を描く動作を行うように構成されている。これによって、レーザー発生部21とレーザー受光部22が、包材1及びピロー包装袋10の流れに巻き込まれることを防止することができ、同じくボックスモーションで動作している横シール装置15のシーラ16,16と干渉することを防止することができる。
また、本実施例においては、一組のレーザー発生部21とレーザー受光部22を備えるレーザー式ガス濃度測定装置20を例示したが、これに限定されるものではなく、複数組のレーザー発生部とレーザー受光部を備えるレーザー式ガス濃度測定装置としても良い。
本実施例では、上記のように、レーザー発生部21とレーザー受光部22がボックスモーションで動作するように構成したので、複数組のレーザー発生部21とレーザー受光部22がレーザー式ガス濃度測定装置に組み込まれている場合は、第1ポイントP近傍に次のレーザー発生部21とレーザー受光部22を待機させておくことができる。これによって、次々と横シール装置15のシーラ16,16から解放されるピロー包装袋10に対して、途切れることなく連続して測定することができる。そのため、検査工程を含めた縦型ピロー包装機の高速化を実現することができ、さらにはピロー包装袋10の検査効率、製造効率を向上させることができる。
また同様に、そのように構成した場合は、上記のように一のシール時間と、一の測定時間を一対一で対応させなくともよく、一の測定時間に対して複数のシール時間が経過するようにしても良い。これによって、光路長を一定に保持して、長時間の測定時間を確保することができるので、レーザー式ガス濃度測定装置20によるガス濃度の測定精度を向上させることができる。
なお、本実施例においてはレーザー発生部21とレーザー受光部22がボックスモーションで動作するように構成したがこれに限定されるものでは無く、第2ポイントPを始点とし、第1ポイントPを終点とする略半円状の軌跡を描くように動作させても良いし、搬送工程の合間に停止工程を設けて、当該停止工程中にレーザー発生部21とレーザー受光部22が第2ポイントPから第1ポイントPへガス濃度測定工程で移動してきた経路を戻るように動作させても良い。
【実施例2】
【0033】
次に、本発明のピロー包装袋のガス濃度測定方法に係る第2実施例を、以下添付した図面にしたがって説明する。図3は、本実施例に係るピロー包装袋のガス濃度測定方法の構成の概略を説明する説明図である。
【0034】
本実施例に係るピロー包装機とレーザー式ガス濃度測定装置20の構成は、第1実施例と同様であるから、説明を省略する。
一方、第1実施例と第2実施例の構成に係る相違点は、ピロー包装袋に設けた測定ポイントPA,PAの位置と、ピロー包装袋10に対するレーザー発生部21とレーザー受光部22の向きである。
【0035】
横シール装置15のシーラ16,16が包材1を挟んでシールする方向を、ピロー包装袋10の幅方向とし、当該幅方向に対して前後に直交する方向をピロー包装袋10の厚さ方向とすると、第1実施例に係る測定装置配置工程において、測定ポイントP,Pと当該測定ポイントP,Pと相対する第1ポイントPの位置は、図1に示すように、ピロー包装袋10の幅方向に沿って設けられている。
これに対して、本実施例に係る測定装置配置工程では、測定ポイントPA,PAと当該測定ポイントPA,PAと相対する第1ポイントPAの位置は、図3に示すように、ピロー包装袋10の厚さ方向に沿って設けられている。それに伴って、第2ポイントPA、及び帰還経路が設定される。
【実施例3】
【0036】
次に、本発明のピロー包装袋のガス濃度測定方法に係る第3実施例を、以下添付した図面にしたがって説明する。図4は、本実施例に係るピロー包装袋のガス濃度測定方法の構成の概略を説明する説明図である。
本実施例に係るレーザー式ガス濃度測定装置20の構成は、第1実施例及び第2実施例と同様であるから、説明を省略する。
一方、第3実施例に係るピロー包装機の構成が、上記の第1、第2実施例の構成と相違している。
【0037】
第3実施例に係るピロー包装機は、図4に示すように、ピロー包装袋10を横方向に連ねて形成するように構成されており、これを横型ピロー包装機と称する。
横型ピロー包装機は、図4に示すように、ベルトコンベヤ18を備えた搬送装置によって、長手方向に沿った図中矢印で示す搬送経路17Aに沿って搬送される。横型ピロー包装機は、搬送されている包材1に対して、横シール装置15のシーラ16が、当該包材1の幅方向を横断するように所定の周期で間欠的にシールした後、形成したピロー包装袋10をベルトコンベヤ18に載置して横方向へ搬出するように構成されている。そして、包材1の搬送経路17Aに沿って、先にシールされた包装空間11の前方部分を第1封止部12とし、後にシールされた包装空間11の後方部分を第2封止部13とする。そして、図4に示すように、ピロー包装袋10を横方向に連ねて形成するピロー包装機を横型ピロー包装機と称する。
ここで、ベルトコンベヤ18のベルトは、レーザー光を透過可能なもの、たとえば、透明な合成樹脂製のベルトで構成されている。また好ましくは、ベルト中央部にレーザー光が透過可能な窓部を設けるようにしても良い。これによって、レーザー式ガス濃度測定装置20は、ベルトコンベヤ18の載置面18a上を搬送されるピロー包装袋10に対して図4に示すようにレーザー発生部21とレーザー受光部22を配置してレーザー光を透過させることができる。
横型ピロー包装機は、縦型ピロー包装機と比べて、装置の高さを低く抑えることができるので、包装機の設置場所において十分な高さを確保できない場合に有効である。また、形成されたピロー包装袋10が横方向に搬出されるので、傾けたくない被包装物が充填されている場合には、当該被包装物が包装空間11内で偏ることを防止することができる。或いは当該ピロー包装袋10に対して手作業で何らかの作業を行う場合にベルトコンベア18に連接させたテーブル上で作業可能となるので作業者の負担を減らすことができる。
【0038】
なお、本実施例において、ベルトベルトコンベヤ18からなる搬送装置を横型ピロー包装機に組み込んだ態様を例示したが、これに限定されるものでは無く、たとえば、第1実施例又は第2実施例に例示した縦型ピロー包装機の機外直下に、ベルトコンベヤ18からなり、製造されたピロー包装袋を横方向へ搬出する搬出路を備えた搬出装置を設け、当該搬出路途中に上記のレーザー式ガス濃度測定装置を設けるようにしても、第3実施例と同様に構成することができる。
すなわち、第3実施例に示したように横型ピロー包装機内にレーザー式ガス濃度測定装置20を組み込む構成に加えて、縦型ピロー包装機と搬出装置を組み合わせたり、横型ピロー包装機の搬送経路17Aに搬出装置を連接させたりして、縦型ピロー包装機或いは横型ピロー包装機の機外に設けた搬出路途中にレーザー式ガス濃度測定装置20を設置する構成であっても同様にレーザー発生部21とレーザー受光部22を配置することができるので、ピロー包装機のレイアウトに合わせて、自在にレーザー式ガス濃度測定装置20を設置することができ、設計の自由度と汎用性を向上させることができる。
【0039】
上記のように構成された横型ピロー包装機に係るレーザー式ガス濃度測定装置20の検査工程は、第1実施例又は第2実施例と同様に、測定装置配置工程と、ガス濃度測定工程、帰還工程を有している。ピロー包装袋10で被包装物を包装する工程は、搬送装置が行う処理工程以外は、第1実施例と同様であるから説明を省略する。
搬送装置は、ベルトコンベヤ18上で包材1及び当該包材1から形成されるピロー包装袋10を包材1の搬送経路17Aに沿って搬送する搬送工程と、その搬送を停止する停止工程に係る処理を交互に行うように構成されている。
また、第1実施例又は第2実施例と異なり、本実施例に係る横シール装置15は、図4に示すように、一台のシーラ16を有している。
そして、停止工程中にベルトコンベヤ18が停止しているとき、シーラ16がベルトコンベヤ18の載置面18aに対して下降して包材1を押下してシールするように構成されている。そのため、所定間隔で停止する停止工程の度に、シーラ16が包材1を周期的にシールすることができ、第1実施例で上記した第1シール工程と第2シール工程が行われる。これによって、第1封止部12と第2封止部13で区画された包装空間11を備えたピロー包装袋10を形成することができる。
その後シーラ16が上昇してピロー包装袋10が解放され、再び搬送工程に移行したとき、当該ピロー包装袋10が、測定装置配置工程と、ガス濃度測定工程、帰還工程からなる検査工程へ移行する。
【0040】
測定装置配置工程は、レーザー発生部21とレーザー受光部22を所定の位置に配置する処理を行う工程である。図4に示すように、横シール装置15のシーラ16側方に連なっている複数個のピロー包装袋10のうち、いずれか一つのピロー包装袋10に対して、レーザー発生部21とレーザー受光部22は、当該ピロー包装袋10が有する測定ポイントPB,PBに相対すると共にピロー包装袋10を挟んで互いに対向するように配置される。この位置を以下、第1ポイントPBとする。
ここで、横シール装置15のシーラ16が包材1を挟んでシールする方向を、ピロー包装袋10の幅方向とし、当該幅方向に対して上下に直交する方向をピロー包装袋10の厚さ方向とすると、第1ポイントPBと測定ポイントPB,PBの位置は、図4に示すように、ピロー包装袋10の厚さ方向に沿って設けられている。
なお、横型ピロー包装機の場合、ベルトコンベヤ18上に載置されたピロー包装袋10に液体、又は粉粒体からなる被包装物がそのまま充填されているときは、それら液体、粉粒体は重力の作用によって、ピロー包装袋10の下方へ溜まってしまう。そのため、図4に示すように、レーザー発生部21とレーザー受光部22が、ピロー包装袋10を挟んで上下方向に対向するように配置すると、被包装物が包装空間11内でレーザー光を妨げるおそれがある。そのため第3実施例に係るピロー包装袋10で包装される被包装物は、トレー、カプセル等に入れられた液体または粉粒体であることが好ましい。そして、トレー又はカプセル等を包材1で包装し、密封することによって、包装空間11内の測定ポイントPB,PB間に被包装物が配置されてしまうことを防止することができるので、レーザー光の光路cを確保することができる。
第1ポイントPBにレーザー発生部21とレーザー受光部22が配置された後、次のガス濃度測定工程へ移行する。
【0041】
ガス濃度測定工程は、第1ポイントPBに配置されたレーザー発生部21から測定ポイントPB,PBに対してレーザー光を射出し、包装空間11内で減衰したレーザー光をレーザー受光部22で受光して包装空間11内に残留している特定ガスのガス濃度を測定する処理を行う工程である。ガス濃度測定工程では、レーザー発生部21とレーザー受光部22が、搬送工程でベルトコンベヤ18が包材1及びピロー包装袋10を搬送する搬送速度と同期した同じ移動速度で移動するように構成されている。これによって、レーザー発生部21とレーザー受光部22は、ピロー包装袋10に対して相対的に停止しているので、ピロー包装袋10が搬送されている最中であっても、レーザー発生部21とレーザー受光部22は、測定ポイントPB,PBに対してレーザー光を射出し続けることができる。
また、ガス濃度測定工程は、ベルトコンベヤ18の搬送工程が終了して包材1及びピロー包装袋を停止させる停止工程へ移行したとき、終了する。このとき、測定対象のピロー包装袋10と共に移動してきたレーザー発生部21とレーザー受光部22の停止位置を第2ポイントPBとする。
第1ポイントPBと第2ポイントPB間でレーザー発生部21とレーザー受光部22が描く軌跡は、図4に示すように、ピロー包装袋10の搬送経路17Aに沿ったベルトコンベヤ18の載置面18aの軸を挟んで上下にレーザー発生部21とレーザー受光部22は互いに平行となるように構成されている。これによって、ピロー包装袋10が載置面18aの左右いずれかの方へ偏ってしまった場合であっても、レーザー発生部21とレーザー受光部22は、ピロー包装袋に対してレーザー光を射出することができる。
上記のように構成したガス濃度測定工程によれば、ピロー包装袋10と共に移動するレーザー発生部21とレーザー受光部22は、搬送工程中に移動する測定ポイントPB,PBを通じて、レーザー光を包装空間11に透過させ続けることができ、当該搬送工程中、レーザー発生部21とレーザー受光部22間の光路長を一定に保持することができる。そのため、レーザー光を複数回反射させる場合、また複数回射出する場合のいずれの場合であっても、光路長を一定に保持して、長時間の測定時間を確保することができるので、レーザー式ガス濃度測定装置20によるガス濃度の測定精度を向上させることができる。
レーザー発生部21とレーザー受光部22が第2ポイントPBへ到達したとき、ガス濃度測定工程は終了し、次の帰還工程へ移行する。
【0042】
帰還工程は、レーザー発生部21とレーザー受光部22を第2ポイントPBから第1ポイントPBへ帰還させる処理を行う工程である。図4に示すように、レーザー発生部21は、第2ポイントPBから上方へ離れ、第2ポイントPBを始点とし、第1ポイントPBを終点とする略コの字状の軌跡を描くように、第2ポイントPBから第1ポイントPBへ帰還するように構成されている。すなわち、ガス濃度測定工程と帰還工程を合わせて、レーザー受光部22は、いわゆるボックスモーションと呼ばれる矩形状の軌跡を描く動作を行うように構成されている。
一方、レーザー受光部22は、ベルトコンベヤ18の停止工程中に第2ポイントPBから第1ポイントPBへ上記のガス濃度測定工程で移動してきた経路で戻る動作を行うように構成されている。
これによって、レーザー発生部21とレーザー受光部22が、包材1及びピロー包装袋の流れに巻き込まれることを防止することができる。
なお、本実施例においてはレーザー発生部21がボックスモーションで動作するように構成したがこれに限定されるものでは無く、当該レーザー発生部21が第2ポイントPBを始点とし、第1ポイントPBを終点とする略半円状の軌跡を描くように動作させても良いし、また、レーザー受光部22もレーザー発生部21と同様にボックスモーションで帰還するように構成しても良い。
レーザー発生部21とレーザー受光部22が共にボックスモーションで動作するように構成した場合、搬送工程とガス濃度測定工程が一対一で対応している上記の場合に限定されず、複数組のレーザー発生部21とレーザー受光部22を備えるレーザー式ガス濃度測定装置20を設けて、搬送工程と停止工程が何回か繰り返される間、ガス濃度測定工程を行って測定時間を延ばす構成にすることができる。このように複数組のレーザー発生部21とレーザー受光部22がレーザー式ガス濃度測定装置20に組み込まれている場合は、第1ポイントP1B近傍に次のレーザー発生部21とレーザー受光部22を待機させておくことができる。これによって、ベルトコンベヤ18の停止時間に関わらず、当該横シール装置15から次々に搬出されるピロー包装袋10を連続して測定することができる。そのため、ピロー包装機の高速化を実現することができ、さらにはピロー包装袋10の検査効率、製造効率を向上させることができる。
【実施例4】
【0043】
次に、本発明のピロー包装袋のガス濃度測定方法に係る第4実施例を、以下添付した図面にしたがって説明する。図5は、本実施例に係るピロー包装袋のガス濃度測定方法の構成の概略を説明する説明図である。
【0044】
本実施例に係るピロー包装機とレーザー式ガス濃度測定装置20の構成は、第3実施例と同様であるから、説明を省略する。
一方、第3実施例と第4実施例の構成に係る相違点は、ピロー包装袋10に設けた測定ポイントPC,PCの位置と、ピロー包装袋10に対するレーザー発生部21とレーザー受光部22の向きである。
【0045】
横シール装置15のシーラ16が包材1を挟んでシールする方向を、ピロー包装袋10の幅方向とし、当該幅方向に対して上下に直交する方向をピロー包装袋10の厚さ方向とすると、第3実施例に係る測定装置配置工程において、測定ポイントPB,PBと当該測定ポイントPB,PBと相対する第1ポイントPBの位置は、図4に示すように、ピロー包装袋10の厚さ方向に沿って設けられている。
これに対して、本実施例に係る測定装置配置工程では、測定ポイントPC,PCと当該測定ポイントPC,PCと相対する第1ポイントPCの位置は、図5に示すように、ピロー包装袋10の幅方向に沿って設けられている。それに伴って、第2ポイントPC、及び帰還経路が設定される。
このように構成することによって、ピロー包装袋10に働く重力の作用で包装空間11内の下方に溜まる液体若しくは粉粒体であっても、その上方で被包装物が無い包装空間11を確保することができる。そのため、当該包装空間11に測定ポイントPC,PCを設けることによって、レーザー光の光路cを確保することができる。したがって、第3実施例に係るピロー包装袋10で限定したように、液体或いは粉粒体からなる被包装物をトレー、カプセル等に入れなくとも容易に測定することができる。
【0046】
本実施例に係るピロー包装袋のガス濃度測定方法によれば、レーザー式ガス濃度測定装置20のレーザー発生部21とレーザー受光部22が、縦型若しくは横型ピロー包装機の搬送装置又はベルトコンベヤ18で搬送されるピロー包装袋10の搬送速度と同期した同じ移動速度で移動するようにした。これによって、レーザー発生部21とレーザー受光部22は、ピロー包装袋10に対して相対的に停止している状態となる。これによって、ピロー包装袋10に設けた測定ポイントP,Pに対してレーザー光を射出することで、搬送工程中、長時間に亘って測定することができ、ピロー包装袋10の包装空間11内に残留している特定ガス濃度の測定精度を向上させることができる。
また、上記の実施例に示したように、レーザー式ガス濃度測定装置20をピロー包装袋10の搬送経路17,17Aに対して自在に設定することができ、ピロー包装機のレイアウトに合わせて最適な位置にレーザー発生部21とレーザー受光部22を配置して、測定に十分な光路長を確保することができる。
【符号の説明】
【0047】
1…包材、
10…ピロー包装袋、11…包装空間、12…第1封止部、13…第2封止部。
15…横シール装置、16…シーラ、17,17A…搬送経路、18…ベルトコンベヤ、18a…載置面、
20…レーザー式ガス濃度測定装置、
21…レーザー発生部、22…レーザー受光部、23…光源、24…制御部、25…受光センサ、26…計測部、
,PA,PB,PC…測定ポイント、P,PA,PB,PC…第1ポイント、P,PA,PB,PC…第2ポイント。
図1
図2
図3
図4
図5