(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-20
(45)【発行日】2025-01-06
(54)【発明の名称】歩行補助システム、コントローラ、及び歩行補助システムの作動方法
(51)【国際特許分類】
A61H 1/02 20060101AFI20241223BHJP
【FI】
A61H1/02 R
(21)【出願番号】P 2021183317
(22)【出願日】2021-11-10
【審査請求日】2024-05-29
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和3年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、「大学発新産業創出プログラム 社会還元加速プログラム(SCORE)大学推進型」研究成果展開事業、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】504171134
【氏名又は名称】国立大学法人 筑波大学
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】矢野 博明
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/186182(WO,A1)
【文献】特開2008-220580(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歩行の体験に用いられる歩行補助システムであって、
ユーザの足を支持し、互いに離間して設けられた右足置部及び左足置部を含む歩行機構と、
前記歩行機構を移動させる駆動機構と、
前記歩行機構に対する動作軌跡を設定するためのコントローラと、
前記コントローラを介して設定された動作軌跡を検出する検出部と、
前記コントローラと独立して設けられ、前記検出部の検出結果に基づき、前記駆動機構を制御する制御装置と、
を備え
、
前記検出部は、前記歩行機構と連動した状態における前記コントローラが変動した経路を、前記動作軌跡として検出するセンサを含むこと
を特徴とする歩行補助システム。
【請求項2】
前記コントローラは、
筐体と、
前記筐体及び前記歩行機構の連動を維持する接続部と、
を含むこと
を特徴とする請求項
1記載の歩行補助システム。
【請求項3】
前記コントローラは、予め設定された動作軌跡の少なくとも一部を調整するための調整部を含み、
前記検出部は、前記コントローラ内に設けられ、前記調整部を介して調整された動作軌跡を検出し、前記制御装置に送信すること
を特徴とする請求項1
又は2記載の歩行補助システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記歩行機構における歩行方向、高さ方向、及び移動速度を含む制御条件を算出し、前記制御条件に基づき前記駆動機構を制御すること
を特徴とする請求項1~
3の何れか1項記載の歩行補助システム。
【請求項5】
前記検出部は、前記右足置部及び前記左足置部の何れか一方に対し、前記コントローラを介して設定された前記動作軌跡を検出すること
を特徴とする請求項1~
4の何れか1項記載の歩行補助システム。
【請求項6】
前記制御装置は、前記検出結果に基づき、前記右足置部及び前記左足置部の何れか一方の移動に対し、前記右足置部及び前記左足置部の何れか他方の移動が連動するように、前記駆動機構を制御すること
を特徴とする請求項
5記載の歩行補助システム。
【請求項7】
前記制御装置は、前記検出結果に基づき、前記右足置部に対して位相を反転させて前記左足置部が移動するように、前記駆動機構を制御すること
を特徴とする請求項
5記載の歩行補助システム。
【請求項8】
前記検出部は、前記コントローラを介して設定された、前記右足置部及び前記左足置部に対する前記動作軌跡を、それぞれ独立して検出すること
を特徴とする請求項1~
4の何れか1項記載の歩行補助システム。
【請求項9】
前記歩行機構と、前記駆動機構と、を含む歩行補助装置をさらに備え、
前記歩行機構は、
前記右足置部及び前記左足置部を含む足置機構と、
前記足置機構よりも下の位置に設けられ、前記足置機構と接続された接続機構と、
を含み、
前記駆動機構は、前記足置機構よりも下の位置に設けられ、前記接続機構を介して前記足置機構を歩行方向に移動させ、
前記接続機構は、
前記右足置部と接続された右側接続部と、
前記右側接続部と離間し、前記左足置部と接続された左側接続部と、
を含み、
前記駆動機構は、
前記右側接続部に対し、それぞれ独立して前記歩行方向に負荷を与えることで、前記歩行方向、及び高さ方向の少なくとも何れかに前記右足置部を移動させる一対の右側駆動部と、
前記左側接続部に対し、それぞれ独立して前記歩行方向に負荷を与えることで、前記歩行方向、及び前記高さ方向の少なくとも何れかに前記左足置部を移動させる一対の左側駆動部と、
を含むこと
を特徴とする請求項1~
8の何れか1項記載の歩行補助システム。
【請求項10】
請求項1~
9の何れか1項記載の歩行補助システムに用いられ、前記検出部が搭載されたことを特徴とするコントローラ。
【請求項11】
歩行の体験に用いられる歩行補助
システムの作動方法であって
、
互いに離間して設けられ
、ユーザの右足を支持するための右足置部及び
前記ユーザの左足を支持するための左足置部を含む歩行機構に対し、コントローラを介して設定された動作軌跡を検出する検出ステップと、
前記検出ステップ
で検出された動作軌跡に沿って前記歩行機構を移動させる駆動機構を、前記コントローラと独立して設けられた制御装置を介して制御する制御ステップと、
を備え
、
前記検出ステップは、センサを用いて、前記歩行機構と連動した状態における前記コントローラが変動した経路を、前記動作軌跡として検出することを含むこと
を特徴とする歩行補助
システムの作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、歩行補助システム、コントローラ、及び歩行補助方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、リハビリテーションや身体機能の向上等を目的として、歩行の体験に関する技術が注目を集めており、例えば特許文献1に開示された歩行訓練システム等が提案されている。
【0003】
特許文献1に開示された歩行訓練システムは、トレッドミルと、訓練者の脚に装着される脚ロボットと、モータ制御部と、トレッドミル制御部とを有する。脚ロボットは、膝関節の動作を補助するモータを備える。モータ制御部は、脚ロボットのモータを制御する。トレッドミル制御部は、モータの回転角度に応じて、トレッドミルの駆動速度を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、従来のエンドエフェクタ型の歩行リハビリテーション装置では、一般的なパーソナルコンピューター(PC)を用いて制御される傾向を示す。この場合、ユーザの足を載せるフットパッド(歩行機構)の動作の変更や修正は、マウスやキーボード、タッチパネル等を介して行われる。しかしながら、上記方法では、理学療法士やトレーナー等の歩行補助者は、歩行リハビリテーション装置に対する直感的な操作が難しいという事情がある。
【0006】
この点、特許文献1では、ユーザの動作に応じて脚ロボットやトレッドミルを制御する技術が開示されているに過ぎず、上述した直感的な操作を実現することが難しい。
【0007】
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、直感的な操作を実現できる歩行補助システム、コントローラ、及び歩行補助システムの作動方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1発明に係る歩行補助システムは、歩行の体験に用いられる歩行補助システムであって、ユーザの足を支持し、互いに離間して設けられた右足置部及び左足置部を含む歩行機構と、前記歩行機構を移動させる駆動機構と、前記歩行機構に対する動作軌跡を設定するためのコントローラと、前記コントローラを介して設定された動作軌跡を検出する検出部と、前記コントローラと独立して設けられ、前記検出部の検出結果に基づき、前記駆動機構を制御する制御装置と、を備え、前記検出部は、前記歩行機構と連動した状態における前記コントローラが変動した経路を、前記動作軌跡として検出するセンサを含むことを特徴とする。
【0010】
第2発明に係る歩行補助システムは、第1発明において、前記コントローラは、筐体と、前記筐体及び前記歩行機構の連動を維持する接続部と、を含むことを特徴とする。
【0011】
第3発明に係る歩行補助システムは、第1発明又は第2発明において、前記コントローラは、予め設定された動作軌跡の少なくとも一部を調整するための調整部を含み、前記検出部は、前記コントローラ内に設けられ、前記調整部を介して調整された動作軌跡を検出し、前記制御装置に送信することを特徴とする。
【0012】
第4発明に係る歩行補助システムは、第1発明~第3発明の何れかにおいて、前記制御装置は、前記歩行機構における歩行方向、高さ方向、及び移動速度を含む制御条件を算出し、前記制御条件に基づき前記駆動機構を制御することを特徴とする。
【0013】
第5発明に係る歩行補助システムは、第1発明~第4発明の何れかにおいて、前記検出部は、前記右足置部及び前記左足置部の何れか一方に対し、前記コントローラを介して設定された前記動作軌跡を検出することを特徴とする。
【0014】
第6発明に係る歩行補助システムは、第5発明において、前記制御装置は、前記検出結果に基づき、前記右足置部及び前記左足置部の何れか一方の移動に対し、前記右足置部及び前記左足置部の何れか他方の移動が連動するように、前記駆動機構を制御することを特徴とする。
【0015】
第7発明に係る歩行補助システムは、第5発明において、前記制御装置は、前記検出結果に基づき、前記右足置部に対して位相を反転させて前記左足置部が移動するように、前記駆動機構を制御することを特徴とする。
【0016】
第8発明に係る歩行補助システムは、第1発明~第4発明の何れかにおいて、前記検出部は、前記コントローラを介して設定された、前記右足置部及び前記左足置部に対する前記動作軌跡を、それぞれ独立して検出することを特徴とする。
【0017】
第9発明に係る歩行補助システムは、第1発明~第8発明の何れかにおいて、前記歩行機構と、前記駆動機構と、を含む歩行補助装置をさらに備え、前記歩行機構は、前記右足置部及び前記左足置部を含む足置機構と、前記足置機構よりも下の位置に設けられ、前記足置機構と接続された接続機構と、を含み、前記駆動機構は、前記足置機構よりも下の位置に設けられ、前記接続機構を介して前記足置機構を歩行方向に移動させ、前記接続機構は、前記右足置部と接続された右側接続部と、前記右側接続部と離間し、前記左足置部と接続された左側接続部と、を含み、前記駆動機構は、前記右側接続部に対し、それぞれ独立して前記歩行方向に負荷を与えることで、前記歩行方向、及び高さ方向の少なくとも何れかに前記右足置部を移動させる一対の右側駆動部と、前記左側接続部に対し、それぞれ独立して前記歩行方向に負荷を与えることで、前記歩行方向、及び前記高さ方向の少なくとも何れかに前記左足置部を移動させる一対の左側駆動部と、を含むことを特徴とする。
【0018】
第10発明に係るコントローラは、第1発明~第9発明の何れかにおける歩行補助システムに用いられ、前記検出部が搭載されたことを特徴とする。
【0019】
第11発明に係る歩行補助システムの作動方法は、歩行の体験に用いられる歩行補助システムの作動方法であって、互いに離間して設けられ、ユーザの右足を支持するための右足置部及び前記ユーザの左足を支持するための左足置部を含む歩行機構に対し、コントローラを介して設定された動作軌跡を検出する検出ステップと、前記検出ステップで検出された動作軌跡に沿って前記歩行機構を移動させる駆動機構を、前記コントローラと独立して設けられた制御装置を介して制御する制御ステップと、を備え、前記検出ステップは、センサを用いて、前記歩行機構と連動した状態における前記コントローラが変動した経路を、前記動作軌跡として検出することを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
第1発明~第9発明によれば、制御装置は、コントローラと独立して設けられ、検出結果に基づき駆動機構を制御する。即ち、制御装置の設けられる場所や位置等に関わらず、歩行機構に対する動作軌跡を設定することができる。このため、歩行補助者は、コントローラを用いることで、歩行機構に対する動作軌跡を任意に設定することができる。これにより、歩行補助システムの直感的な操作を実現することが可能となる。
【0021】
また、第1発明~第9発明によれば、検出部は、コントローラを介して設定された動作軌跡を検出する。即ち、動作軌跡として立脚期や遊脚期に関わらず、歩行機構の動作を一時的に停止するような設定もできる。このため、例えば歩行機構の動作を遊脚期で止めて、歩行補助者が体の動かし方のポイントを教示する等のインタラクティブな動作教示も行うことができる。これにより、教示方法の選択肢を飛躍的に拡大することができ、ユーザの早期歩行改善を図ることが可能となる。
【0022】
また、第1発明~第9発明によれば、センサは、歩行機構と連動した状態におけるコントローラが変動した経路を、動作軌跡として検出する。このため、制御対象となる歩行機構の動きを踏まえて、動作軌跡を設定することができる。これにより、歩行補助システムの直感的な操作を容易に実現することが可能となる。
【0023】
特に、第2発明によれば、コントローラは、筐体及び歩行機構の連動を維持する接続部を含む。このため、歩行補助者は、歩行機構の設けられる位置に関わらず、任意の姿勢でコントローラを用いた動作軌跡の設定を実施することができる。これにより、動作軌跡を設定する際の利便性を向上させることが可能となる。
【0024】
特に、第3発明によれば、検出部は、コントローラ内に設けられ、調整部を介して調整された動作軌跡を検出し、制御装置に送信する。このため、動作軌跡の詳細な設定をコントローラのみで実施することができる。これにより、利便性の向上を図ることが可能となる。
【0025】
特に、第4発明によれば、制御装置は、歩行機構における歩行方向、高さ方向、及び移動速度を含む制御条件を算出し、制御条件に基づき駆動機構を制御する。このため、ユーザの特徴に適した動作軌跡を設計することができる。これにより、歩行補助者が想定する動作軌跡を高精度に実現することが可能となる。
【0026】
特に、第5発明~第7発明によれば、検出部は、右足置部及び左足置部の何れか一方に対し、コントローラを介して設定された動作軌跡を検出する。このため、右足置部又は左足置部の何れか一方の詳細な移動を設定することができる。これにより、歩行補助者が想定する動作軌跡を、さらに高精度に再現することが可能となる。
【0027】
特に第6発明によれば、制御装置は、検出結果に基づき、右足置部及び左足置部の何れか一方の移動に対し、右足置部及び左足置部の何れか他方の移動が連動するように、駆動機構を制御する。このため、右足置部及び左足置部の何れか一方のみに対する動作軌跡を設定すれば、歩行機構の移動を実現することができる。これにより、歩行補助者が動作軌跡を設定する負荷を低減することが可能となる。
【0028】
特に、第7発明によれば、制御装置は、検出結果に基づき、右足置部に対して位相を反転させて左足置部が移動するように、駆動機構を制御する。このため、右足置部又は左足置部の何れか一方に対する動作軌跡を設定することで、右足置部及び左足置部を移動させることができる。これにより、利便性の向上を図ることが可能となる。
【0029】
特に、第8発明によれば、検出部は、右足置部及び左足置部に対する動作軌跡を、それぞれ独立して検出する。このため、足置部毎に異なる特徴の動作軌跡を容易に設定することができる。これにより、設定できる動作軌跡の条件を拡大させることが可能となる。
【0030】
特に、第9発明によれば、接続機構及び駆動機構は、足置機構よりも下の位置に設けられる。即ち、足置機構よりも上の位置には、足置機構を移動させるための機構が設けられない。このため、歩行補助者は、ユーザに接して直接指導し易くすることができる上、駆動機構等に巻き込まれることを防ぐことができる。これにより、ユーザへの直接指導に適した環境を実現することが可能となる。
【0031】
特に、第9発明によれば、一対の右側駆動部は、右側接続部に対し、それぞれ独立して歩行方向に負荷を与えることで、歩行方向、及び高さ方向の少なくとも何れかに右足置部を移動させる。また、一対の左側駆動部は、左側接続部に対し、それぞれ独立して歩行方向に負荷を与えることで、歩行方向、及び高さ方向の少なくとも何れかに左足置部を移動させる。即ち、一対の駆動部を用いて同一の方向(歩行方向)に沿って各接続部に負荷を与えることで、各足置部の歩行方向及び高さ方向の移動が実現される。このため、足置機構の制御に必要な構成を削減することができる。これにより、歩行補助装置の小型化を実現することが可能となる。
【0032】
また、第10発明によれば、検出部が搭載されたコントローラを用いることで、歩行補助システムの直感的な操作を実現することができる。
【0033】
また、第11発明によれば、制御ステップは、コントローラと独立して設けられた制御装置を介して、検出ステップで検出された動作軌跡に沿って駆動機構を制御する。即ち、制御装置の設けられる場所や位置等に関わらず、歩行機構に対する動作軌跡を設定することができる。このため、歩行補助者は、コントローラを用いることで、歩行機構に対する動作軌跡を任意に設定することができる。これにより、歩行補助システムの作動方法における直感的な操作を実現することが可能となる。
【0034】
また、第11発明によれば、検出ステップは、コントローラを介して設定された動作軌跡を検出する。即ち、動作軌跡として立脚期や遊脚期に関わらず、歩行機構の動作を一時的に停止するような設定もできる。このため、例えば歩行機構の動作を遊脚期で止めて、歩行補助者が体の動かし方のポイントを教示する等のインタラクティブな動作教示も行うことができる。これにより、教示方法の選択肢を飛躍的に拡大することができ、ユーザの早期歩行改善を図ることが可能となる。
また、第11発明によれば、検出ステップは、センサを用いて、歩行機構と連動した状態におけるコントローラが変動した経路を、動作軌跡として検出することを含む。このため、制御対象となる歩行機構の動きを踏まえて、動作軌跡を設定することができる。これにより、歩行補助システムの作動方法における直感的な操作を容易に実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】
図1は、本実施形態における歩行補助システムの一例を示す模式図である。
【
図2】
図2は、動作軌跡の一例を示す模式図である。
【
図3】
図3(a)及び
図3(b)は、コントローラの一例を示す模式図である。
【
図4】
図4は、ディスプレイの一例を示す模式図である。
【
図5】
図5(a)は、制御装置の構成の一例を示す模式図であり、
図5(b)は、制御装置の機能の一例を示す模式図である。
【
図6】
図6は、本実施形態における歩行補助方法の一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7(a)~
図7(c)は、補助接続部の一例を示す模式図である。
【
図8】
図8は、補助接続部を含むコントローラの一例を示す模式図である。
【
図9】
図9(a)は、本実施形態における歩行補助装置の一例を示す模式上面図であり、
図9(b)は、本実施形態における歩行補助装置の一例を示す模式側面図であり、
図9(c)は、本実施形態における歩行補助装置の一例を示す模式背面図である。
【
図10】
図10(a)は、本実施形態における右側接続部の一例を示す模式斜視図であり、
図10(b)は、第1右側支持部の一例を示す模式斜視図であり、
図10(c)は、第2右側支持部の一例を示す模式斜視図であり、
図10(d)は、右側回動軸の一例を示す模式斜視図である。
【
図14】
図14は、クロススライダ構造及びバネの一例を示す模式図である。
【
図16】
図16は、コントローラと、歩行機構との関係の一例を示す模式側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施形態としての歩行補助システム、コントローラ、及び歩行補助方法の一例について、図面を参照しながら説明する。なお、各図において、ユーザ9の足を前後に移動させる方向を歩行方向Xとし、ユーザ9の足を上下に移動させる方向を高さ方向Zとし、歩行方向X及び高さ方向Zと交わる方向を幅方向Yとする。また、各図における構成は、説明のため模式的に記載されており、例えば各構成の大きさや、構成毎における大きさの対比等については、図とは異なってもよい。
【0037】
(実施形態:歩行補助システム100)
図1は、本実施形態における歩行補助システム100の一例を示す模式図である。
【0038】
歩行補助システム100は、例えば
図1に示すように、ユーザ9の歩行の体験に用いられ、例えばユーザ9のリハビリテーションのような歩行改善に用いられる。歩行補助システム100は、例えば疑似的な歩行を体感するために用いられてもよい。歩行補助システム100は、歩行機構5と、駆動機構30と、コントローラ15と、検出部Tと、制御装置50とを備える。歩行補助システム100は、例えば歩行機構5と、駆動機構30とを含む歩行補助装置1を備えてもよい。
【0039】
<歩行機構5>
歩行機構5は、ユーザ9の足を支持する。歩行機構5は、歩行方向X、及び高さ方向Zに移動し、ユーザ9に適した歩行を補助する。歩行機構5は、互いに離間して設けられた右足置部11、及び左足置部12を含む。歩行機構5が右足置部11及び左足置部12を含むことで、通常の歩行に近い動作を実現することができる。右足置部11及び左足置部12は、例えば
図1に示すような形状を有するほか、ユーザ9の足を支持するための公知の装置が用いられてもよい。歩行機構5の一例は、後述する。
【0040】
<駆動機構30>
駆動機構30は、歩行機構5を移動させる。駆動機構30は、例えば右足置部11及び左足置部12をそれぞれ独立して移動させる。駆動機構30は、例えば
図1に示すような無端ベルト30Bと、モータ30Mとを含むほか、各足置部11、12を移動させるための公知の装置が用いられてもよい。駆動機構30の一例は、後述する。
【0041】
<コントローラ15>
コントローラ15は、歩行機構5に対する動作軌跡Mを設定するために用いられる。コントローラ15は、例えば
図2に示すように、歩行機構5の周辺で用いられ、例えば歩行機構5の側面に沿って用いられる。
【0042】
例えば歩行補助者9sは、コントローラ15を変動させることで、歩行機構5に対する動作軌跡Mを設定することができる。即ちコントローラ15を用いることで、予め設定された位置(例えば歩行機構5の停止位置)から変動した履歴を、動作軌跡Mとして設定することができる。特に、リハビリテーション等に利用される動作軌跡Mは、ユーザ9の特徴に応じて変更する必要があり、PC等を用いて目的とする軌跡を設定するには、膨大な時間を費やす必要がある。これに対し、コントローラ15を用いて動作軌跡Mを設定することで、設定時間の大幅な短縮を図ることができる。
【0043】
コントローラ15は、例えば歩行機構5と連動した状態で、動作軌跡Mを設定することができる。この際、コントローラ15は、歩行機構5との物理的接触又は非接触の状態で連動する。なお、コントローラ15と、歩行機構5との連動する位置は、例えば歩行機構5の側面や下面のほか、任意に設定することができる。
【0044】
コントローラ15は、例えば歩行機構5のうち、右足置部11及び左足置部12の何れか一方に対する動作軌跡Mを設定することができる。例えば、各足置部11、12の移動が連動するように制御される場合、各足置部11、12の何れか一方のみに対する動作軌跡Mを設定すれば、各足置部11、12の何れか他方に対する動作軌跡Mを設定する必要が無い。
【0045】
コントローラ15は、例えば歩行機構5のうち、右足置部11及び左足置部12の両方に対する動作軌跡Mを、独立して設定することができる。例えば、各足置部11、12の移動がそれぞれ独立するように制御される場合、各足置部11、12に対して異なる特徴の動作軌跡Mを容易に設定することができる。
【0046】
コントローラ15は、例えば
図3(a)及び
図3(b)に示すように、筐体16と、接続部17とを含む。コントローラ15は、例えば調整部18や、ディスプレイ19を含んでもよい。
【0047】
筐体16は、例えば片手で持てる程度の大きさで構成される。筐体16には、例えば検出部Tが搭載される。
【0048】
接続部17は、筐体16及び歩行機構5(
図3(b)では左足置部12)の連動を維持するために用いられる。接続部17の形状は、筐体16から突出する棒状のほか、例えば先端側が曲成された杖状でもよく、用途に応じて任意の形状を用いることができる。
【0049】
接続部17は、例えば連動部17aを含んでもよい。連動部17aは、歩行機構5の一部と、筐体16との連動を、物理的接触により維持するために用いられ、例えば歩行機構5に取付けられるほか、例えば接続部17及び歩行機構5に一対で取付けられてもよい。連動部17aとして、例えば面ファスナー、クリップ、磁石等の接触式部材が用いられる。連動部17aとして、例えば鉤状部材が用いられてもよく、この場合、歩行機構5に設けられた孔に連動部17aを挿通することで、歩行機構5と、筐体16とを連動させることができる。なお、連動部17aとして、後述するセンサ等を用いてもよく、この場合には、歩行機構5の一部と、筐体16との連動を、非接触により維持することができる。
【0050】
調整部18は、動作軌跡Mを新たに設定するために用いられるほか、例えば予め設定された動作軌跡Mの少なくとも一部を調整するために用いられてもよい。調整部18は、例えば動作軌跡Mのスケールを調整するほか、動作軌跡Mの形状の調整をするために用いられてもよい。調整部18は、例えばモードの切り替えや、ケイデンスの調整のように、コントローラ15の変動のみでは操作が困難なパラメータの変更に用いることができる。
【0051】
調整部18として、例えばスイッチ(例えば
図3(a)では18a~18c)が用いられる。調整部18は、例えば調整用スイッチ18a、18b、及び設定・変更スイッチ18c等のように、用途に応じて任意の数を含んでもよい。例えば設定・変更スイッチ18cを押している時に、動作軌跡Mの設定や変更を実行できるようにしてもよい。
【0052】
例えば調整部18は、軌跡体験モードと、軌跡変更モードとを実行するためのスイッチを含んでもよい。軌跡体験モードは、例えば歩行補助者9sがスイッチを押している間、予め設定された動作軌跡Mに基づき、歩行機構5が移動する。このため、ユーザ9は、これから体験する歩行動作を予め体験することができる。また、歩行者がスイッチを離した時、歩行機構5の移動が停止する。このため、歩行中の体の動かし方等を場面毎に教示することが可能となる。
【0053】
軌跡変更モードは、例えば動作軌跡Mの歩幅(歩行方向Xにおける歩行機構5の移動量)の大きさ、足高(高さ方向Zにおける歩行機構5の移動量)の大きさを変更する。例えば歩幅の変更は、歩行機構5が立脚期(右足置部11又は左足置部12の何れかの高さ方向Zにおける位置が最低の位置)の時に変更可能としてもよい。この場合、ユーザ9に対する安全性の向上を図ることが可能となる。また、例えば足高の変更は、遊脚期(各足置部11、12が立脚期以外の位置)の時に変更可能としてもよい。
【0054】
調整部18は、例えばコントローラ15内に設けられた検出部Tと電気的に接続される。この場合、検出部Tは、調整部18を介して設定又は調整された動作軌跡Mを検出し、検出結果を制御装置50に送信することができる。
【0055】
ディスプレイ19は、例えば
図4に示すように、動作軌跡Mを表示するほか、例えば歩行機構5等のような歩行補助装置1の状態を表示してもよい。ディスプレイ19として、例えば液晶や有機EL等のような公知の画像表示装置が用いられる。
【0056】
例えばディスプレイ19としてタッチパネル式の画像表示装置が用いられた場合、ディスプレイ19は調整部18を含んでもよい。この場合、例えば調整部18は、動作軌跡Mの特徴を調整するための調整ボタン18d~18iを含むほか、例えば動作軌跡Mの設定を開始及び停止するための調整ボタン18j、18kを含んでもよい。なお、調整部18は、上述した制御モードを設定するためのスイッチを含んでもよい。
【0057】
ディスプレイ19は、例えばコントローラ15内に設けられた検出部Tと電気的に接続されてもよい。この場合、検出部Tは、ディスプレイ19に含まれる調整部18を介して設定又は調整された動作軌跡Mを検出し、検出結果を制御装置50に送信することができる。
【0058】
<検出部T>
検出部Tは、コントローラ15を介して設定された動作軌跡Mを検出する。検出部Tは、例えば歩行補助者9sがコントローラ15を変動させた軌跡を、動作軌跡Mとして検出する。検出部Tは、例えば
図3(a)に示すように、コントローラ15に搭載されるほか、例えば歩行機構5に取付けられてもよい。
【0059】
検出部Tは、例えばセンサを含むほか、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置、RAM(Random Access Memory)等の記憶装置、無線モジュール等の通信装置のような電子機器を含んでもよい。例えばセンサ及び電子機器がコントローラ15に搭載される場合、動作軌跡Mを検出し、検出結果を制御装置50等に送信する処理を、コントローラ15のみで実現することができる。なお、例えば検出部Tが歩行機構5に搭載される場合、センサを制御装置50に接続することで、制御装置50がセンサから検出結果を直接取得することができ、電子機器が不要となる。
【0060】
センサは、例えば歩行機構5と連動した状態におけるコントローラ15の変動を、動作軌跡Mとして検出する。センサは、例えば歩行機構5に対するコントローラ15の相対位置の変動を、動作軌跡Mとして検出してもよい。なお、コントローラ15の変動を動作軌跡Mとして検出する方法は、例えばセンサの経時に伴う計測結果を二次元座標に変換する等、公知技術により実現することができる。
【0061】
センサとして、例えば加速度センサや力センサ等の公知のセンシング装置が用いられる。センサは、例えば歩行機構5と、コントローラ15とを連動させるために用いられてもよい。この場合、センサとして上述したセンシング装置のほか、例えば誘導形近接センサ、静電容量形近接センサ、磁気近接センサ等のセンシング装置が用いられる。これにより、歩行機構5と、筐体16とを非接触で連動した状態をモニタリングした上で、動作軌跡Mを検出することができる。
【0062】
検出部Tは、例えば歩行機構5のうち、右足置部11及び左足置部12の何れか一方に対し、コントローラ15を介して設定された動作軌跡Mを検出する。この場合、例えば調整部18により、対象とする右足置部11又は左足置部12の設定をできるようにしてもよい。上記のほか、例えば各足置部11、12に対してセンサを個別に設け、各センサの検出有無に基づき、動作軌跡Mの対象が右足置部11又は左足置部12であるかを判別できるようにしてもよい。
【0063】
検出部Tは、例えばコントローラ15を介して設定された、右足置部11及び左足置部12に対する動作軌跡Mを、それぞれ独立して検出してもよい。この場合、上述した調整部18の設定や、各センサに基づく判別により、右足用の動作軌跡M、又は左足用の動作軌跡Mとして検出してもよい。なお、検出部Tは、例えば右足用の動作軌跡M及び左足用の動作軌跡Mを同じタイミングで検出するほか、異なるタイミングで各動作軌跡Mを検出してもよい。
【0064】
<制御装置50>
制御装置50は、コントローラ15と独立して設けられ、信号に基づき駆動機構30を制御する。制御装置50として、例えばパーソナルコンピューター等の電子機器が用いられる。なお、制御装置50の少なくとも一部が、例えば歩行補助装置1に内蔵されてもよい。制御装置50は、例えば複数の歩行補助装置1の駆動機構30を制御してもよい。
【0065】
図5(a)は、制御装置50の構成の一例を示す模式図であり、
図5(b)は、制御装置50の機能の一例を示す模式図である。
【0066】
制御装置50は、例えば
図5(a)に示すように、筐体51と、CPU101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM103と、保存部104と、I/F105~107とを備える。各構成101~107は、内部バス110により接続される。
【0067】
CPU101は、制御装置50全体を制御する。ROM102は、CPU101の動作コードを格納する。RAM103は、CPU101の動作時に使用される作業領域である。保存部104には、歩行補助装置1の制御パラメータや、動作軌跡Mに関する情報等のような各種情報が記憶される。なお、各種情報として、過去の動作軌跡Mに関する情報(例えば動作ログ)、ユーザ9の個人を特定する情報、ユーザ9毎に紐づく動作軌跡Mに関する情報等の情報が含まれてもよい。保存部104として、例えばHDD(Hard Disk Drive)のほか、SSD(Solid State Drive)等のデータ保存装置が用いられる。なお、各構成101~104と同様の機能を有する構成が、検出部Tに含まれてもよい。
【0068】
I/F105は、歩行補助装置1、検出部T、インターネット等のような外部との各種情報の送受信を行うためのインターフェースである。I/F106は、入力部108との情報の送受信を行うためのインターフェースである。入力部108として、例えばキーボードが用いられ、歩行補助者9s等は、入力部108を介して、歩行補助装置1の制御コマンド等を入力する。I/F107は、表示部109との各種情報の送受信を行うためのインターフェースである。表示部109は、保存部104に保存された各種情報を表示する。表示部109として、公知のディスプレイが用いられる。
【0069】
図5(b)は、制御装置50の機能の一例を示す模式図である。制御装置50は、取得部111と、算出部112と、出力部113と、記憶部114とを備える。なお、
図5(b)に示した各機能は、CPU101が、RAM103を作業領域として、保存部104等に記憶されたプログラムを実行することにより実現される。
【0070】
取得部111は、検出部Tにより検出された検出結果を取得する。取得部111は、例えば歩行補助装置1を介して検出された各種情報を取得してもよい。取得部111は、例えば足置機構10に与えられた負荷の情報を取得する。この場合、取得部111は、例えば歩行補助装置1の足置機構10に設けられた検出部Tから、負荷の情報を取得する。
【0071】
算出部112は、取得部111により取得された検出結果等の各種情報に基づき、駆動機構30等の歩行補助装置1を制御するための制御条件を算出する。算出部112は、例えば保存部104に保存された過去のデータ等を用いて、駆動機構30の駆動条件を算出する。算出部112は、例えば検出結果に基づき、歩行機構5における歩行方向X、高さ方向Z、及び移動速度を、制御条件として算出する。なお、制御条件は、例えばコントローラ15の変動を、歩行機構5で再現するために必要なパラメータであり、公知の技術を用いて検出結果から制御条件を算出することができる。
【0072】
算出部112は、例えば検出結果の検出期間に対応する歩行機構5における歩行方向X、高さ方向Z、及び移動速度を算出することで、動作軌跡Mに対応する制御条件を算出することができる。例えば駆動機構30としてモータが用いられる場合、算出部112は、動作軌跡Mに対応するモータ回転数を、制御条件として算出してもよい。即ち、算出部112は、駆動機構30の特徴に応じたパラメータを、制御条件として算出することができる。
【0073】
算出部112は、例えば検出結果に基づき、右足置部11及び左足置部12の何れか一方の移動に対し、右足置部11及び左足置部12の何れか他方の移動が連動するように、制御条件を算出してもよい。この場合、右足置部11及び左足置部12の何れか一方のみに対する動作軌跡Mを設定すれば、歩行機構5の移動を実現することができる。
【0074】
算出部112は、例えば検出結果に基づき、右足置部11に対して位相を反転させて左足置部12を移動させるためのパラメータを、制御条件に含めてもよい。この場合、左足置部12の動作軌跡Mに対応する検出結果を取得せずに、左足置部12の移動を実現することが可能となる。なお、算出部112は、上述した「位相を反転させる」パラメータのほか、例えば位相を90°以上270°以下の範囲内における任意のパラメータを、制御条件に含めてもよい。
【0075】
算出部112は、例えば右足用及び左足用の動作軌跡Mの検出結果に基づき、各足置部11、12を独立して移動させるパラメータを、制御条件に含めてもよい。この場合、各足置部11、12に対し、それぞれ異なる特徴の移動を容易に実現することができる。
【0076】
出力部113は、算出部112により算出された制御条件を、駆動機構30等の歩行補助装置1に出力する。これにより、制御装置50は、駆動機構30を制御する。
【0077】
記憶部114は、各種情報を保存部104に保存する。記憶部114は、例えば取得部111により取得された動作軌跡Mに対応する信号や、算出部112により算出された制御条件を、保存部104に保存する。
【0078】
(実施形態:歩行補助方法)
次に、本実施形態における歩行補助方法の一例について説明する。
図6は、本実施形態における歩行補助方法の一例を示すフローチャートである。
【0079】
歩行補助方法は、検出ステップS110と、制御ステップS120とを備える。
【0080】
<検出ステップS110>
検出ステップS110は、歩行機構5に対し、コントローラ15を介して設定された動作軌跡Mを検出する。例えば歩行補助者9sは、歩行機構5を移動させたい経路に沿って、コントローラ15を変動させる。この際、検出部Tに含まれるセンサは、コントローラ15の変動する経路を、動作軌跡Mとして検出する。
【0081】
検出ステップS110では、例えば
図4に示すディスプレイ19を用いて設定された動作軌跡Mを検出してもよい。例えば調整ボタン18d、18eは、歩行方向Xにおける動作軌跡Mの長さ(歩幅)の増加及び減少を調整するために用いられる。調整ボタン18f、18gは、高さ方向Zにおける動作軌跡Mの長さ(足高)の増加及び減少を調整するために用いられる。調整ボタン18h、18iは、動作軌跡Mに沿って移動する歩行機構5の速度の増加及び減少を調整するために用いられる。このため、例えば検出部Tは、上述した各調整ボタン18d~18kを用いて設定された動作軌跡Mを検出する。
【0082】
例えば、ディスプレイ19に表示された動作軌跡Mに対し、コントローラ15を変動させることで、動作軌跡Mを調整してもよい。この場合、例えばディスプレイ19には動作軌跡Mの調整対象部分が表示される。歩行補助者9sは、調整対象部分の調整したい軌跡に沿って、コントローラ15を変動させる。これにより、検出部Tは、動作軌跡Mの調整対象部分と、コントローラ15が変動した軌跡との情報に基づき、調整後の動作軌跡Mとして検出する。
【0083】
なお、例えば動作軌跡Mは、例えばスプライン曲線でディスプレイ19に表示されてもよい。この場合、歩行機構5に近接するスプライン曲線の制御点が、コントローラ15の変動に対応するようにしてもよい。これにより、動作軌跡Mの一部を調整した場合においても、滑らかな軌跡を維持することができる。
【0084】
<制御ステップS120>
制御ステップS120は、検出ステップS110の検出結果に基づき、制御装置50を介して駆動機構30を制御する。例えば検出部Tに含まれる通信装置は、センサにより検出された検出結果を、制御装置50に送信する。なお、通信装置は公知の機器を用いることができ、送信手段は、例えばWi-Fi(登録商標)等の公知の無線接続手段が用いることができる。
【0085】
制御装置50の取得部111は、通信装置より送信された検出結果を取得する。その後、算出部112は、検出結果に基づき、制御条件を算出する。そして、出力部113は、制御条件を歩行補助装置1に出力する。これにより、制御装置50は、駆動機構30を制御することができ、駆動機構30が駆動し、歩行機構5が動作軌跡Mに基づいて移動する。
【0086】
なお、例えば制御条件を算出する前に、動作軌跡Mを表示部109に表示してもよい。この場合、例えば入力部108を介して動作軌跡Mの一部を調整した結果に基づき、制御条件を算出してもよい。例えば動作軌跡Mは、例えばスプライン曲線で表示部109に表示されてもよい。この場合、上述した検出ステップS110と同様に、動作軌跡Mの一部を調整した場合においても、滑らかな軌跡を維持することができる。
【0087】
上述した各ステップを実施することで、歩行補助方法が終了する。その後、例えばユーザ9が歩行補助装置1を用いて、疑似的な歩行を実行する。なお、例えばユーザ9が疑似的な歩行を実行している途中や、歩行補助装置1に載った状態において、上述した各ステップを実施してもよい。上述した各ステップを任意に実施することで、ユーザ9が疑似的な歩行を繰返し体験することができる。
【0088】
(コントローラ15の変形例)
次に、コントローラ15の変形例について説明する。上述したコントローラ15と、変形例との違いは、接続部17が補助接続部17bを含む点である。なお、上述した実施形態と同様の内容については、説明を省略する。
【0089】
補助接続部17bは、筐体16及び歩行機構5の連動を維持するために用いられる。補助接続部17bは、例えば接続部17及び歩行機構5に接続される。
【0090】
補助接続部17bは、例えば
図7(a)に示すように、基端部17bfと、先端部17bsとを有する。補助接続部17bは、高さ方向Zに延在する。補助接続部17bは、例えば50cm~100cm程度の長さを有する。
【0091】
基端部17bfは、例えば
図7(b)に示すように、接続部17と連接する形状を有し、例えば接続部17を差し込むための凹部を有する。このため、基端部17bfと接続部17とを連接することで、コントローラ15の変動に伴い、補助接続部17bを連動させることができる。基端部17bfは、例えば上述した連動部17aと同様の構造を有してもよい。この場合、基端部17bfは、連動部17aを介して接続部17と接続されてもよい。
【0092】
先端部17bsは、例えば
図7(c)に示すように、歩行機構5(
図7(c)では左足置部12)と連接する形状を有し、例えば歩行機構5は、先端部17bsを差し込むための凹部を有する。このため、先端部17bsと歩行機構5とを連接することで、コントローラ15の変動に伴い、補助接続部17bを介して歩行機構5を連動させることができる。先端部17bsは、例えば上述した連動部17aと同様の構造を有してもよい。この場合、先端部17bsは、歩行機構5に取付けられた連動部17aを介して、歩行機構5と接続されてもよい。
【0093】
コントローラ15が補助接続部17bを含むことで、例えば
図8に示すように、歩行補助者9sは、歩行機構5の高さまで屈まずに動作軌跡Mを設定することができる。このため、動作軌跡Mを設定する際の利便性を向上させることが可能となる。
【0094】
上記のほか、コントローラ15が補助接続部17bを含むことで、歩行補助者9sは、ユーザ9に接した状態で、動作軌跡Mを設定することができる。このため、動作軌跡Mを設定する際、ユーザ9の転倒等のような事故を抑制することが可能となる。
【0095】
(歩行補助装置1)
本実施形態における歩行補助装置1は、例えば制御装置50から送信された制御条件に基づき、歩行補助に必要な動作を実行する。制御装置50は、例えば歩行補助装置1を介して、歩行補助者9s等により与えられた負荷に関する情報を取得し、取得した情報に基づき歩行補助装置1の制御条件を設定してもよい。
【0096】
歩行補助装置1は、例えば
図1に示すように、上述した歩行機構5と、駆動機構30とを含む。歩行機構5は、足置機構10と、接続機構20とを含む。
【0097】
足置機構10は、ユーザ9の足を支持する。接続機構20は、足置機構10よりも下の位置に設けられ、足置機構10及び駆動機構30と接続される。駆動機構30は、足置機構10よりも下の位置に設けられ、接続機構20を介して足置機構10を歩行方向Xに移動させる。
【0098】
上記の通り、接続機構20及び駆動機構30は、高さ方向Zにおいて足置機構10よりも下の位置に設けられる。即ち、足置機構10よりも上の位置には、足置機構10を移動させるための機構が設けられない。このため、歩行補助者9sは、ユーザ9に接して直接指導することができる上、駆動機構30等に巻き込まれることを防ぐことができる。これにより、ユーザ9への直接指導に適した環境を実現することが可能となる。
【0099】
なお、歩行補助装置1は、例えばセーフティフレーム80や、体重免荷装置90等のような公知の補助機構を備えてもよい。歩行補助装置1は、例えば駆動機構30の一部を床面8に固定させ、接続機構20を歩行方向Xに移動可能な状態で用いられる。
【0100】
足置機構10は、例えば
図9(a)~
図9(c)に示すように、右足置部11及び左足置部12を含む。右足置部11及び左足置部12は、互いに離間して設けられる。
【0101】
接続機構20は、足置機構10を高さ方向Zに移動させる。接続機構20は、例えば歩行方向Xに沿って与えられた負荷に基づき、高さ方向Zに変位する構造が用いられる。接続機構20として、例えばパンタグラフ構造や、レージトング構造等のようなリンク構造が用いられるほか、板カム構造や直動カム構造のようなカム構造が用いられてもよい。なお、「リンク構造」は、「パンタグラフ構造」を含むものである。
【0102】
接続機構20は、右側接続部21と、左側接続部22とを含む。右側接続部21は、右足置部11と接続され、左足置部12と離間する。左側接続部22は、左足置部12と接続され、右足置部11及び右側接続部21と離間する。各接続部21、22として、それぞれ独立したリンク構造やカム構造等が用いられる。
【0103】
駆動機構30は、接続機構20を歩行方向Xに移動させる。駆動機構30は、例えば
図1に示すように、無端ベルト30Bと、モータ30Mとを含む。この場合、駆動機構30は、無端ベルト30Bを介して、モータ30Mから接続機構20に対してX方向に移動させるための負荷を与える。駆動機構30は、例えば油圧シリンダやエアシリンダ等のようなシリンダを含んでもよい。
【0104】
駆動機構30は、一対の右側駆動部31と、一対の左側駆動部32とを含む。一対の右側駆動部31及び一対の左側駆動部32は、それぞれ離間して設けられる。
【0105】
一対の右側駆動部31は、右側接続部21に対し、それぞれ独立して歩行方向Xに負荷を与えることで、歩行方向X、及び高さ方向Zの少なくとも何れかに右足置部11を移動させる。一対の左側駆動部32は、左側接続部22に対し、それぞれ独立して歩行方向Xに負荷を与えることで、歩行方向X、及び高さ方向Zの少なくとも何れかに左足置部12を移動させる。
【0106】
例えば、一対の右側駆動部31のうち、一方の右側駆動部31のみが右側接続部21に対して負荷を与える場合、右足置部11は高さ方向Zに移動する。また、一対の右側駆動部31が、右側接続部21に対して同じ大きさの負荷を与える場合、右足置部11は歩行方向Xに移動する。また、一対の右側駆動部31が、右側接続部21に対してそれぞれ異なる大きさの負荷を与える場合、右足置部11は歩行方向X及び高さ方向Zに移動する。なお、一対の左側駆動部32も、一対の右側駆動部31と同様の特徴を示すため、説明を省略する。
【0107】
上記の通り、一対の右側駆動部31は、右側接続部21に対し、それぞれ独立して歩行方向Xに負荷を与えることで、歩行方向X、及び高さ方向Zの少なくとも何れかに右足置部11を移動させる。また、一対の左側駆動部32は、左側接続部22に対し、それぞれ独立して歩行方向Xに負荷を与えることで、歩行方向X、及び高さ方向Zの少なくとも何れかに左足置部12を移動させる。即ち、一対の駆動部31、32を用いて同一の方向(歩行方向X)に沿って各接続部21、22に負荷を与えることで、各足置部11、12の歩行方向X及び高さ方向Zの移動が実現される。このため、足置機構10の制御に必要な構成を削減することができる。これにより、装置の小型化を実現することが可能となる。
【0108】
以下、各構成についての詳細を説明する。
【0109】
<足置機構10>
各足置部11、12は、例えば幅方向Yに沿って、ユーザ9の肩幅程度に離間する。各足置部11、12の形状は、例えば板状であり、ユーザ9の足裏を置くことが可能な形状であれば任意である。なお、例えばユーザ9の足を固定する公知の構成が、各足置部11、12の上面に設けられてもよく、ユーザ9の足が各足置部11、12の上面から離間した状態で支持されてもよい。
【0110】
足置機構10は、例えば歩行方向Xに延在する孔部を含んでもよい。この場合、孔部に対して接続機構20の一部が接続される。例えば各足置部11、12は、それぞれ歩行方向Xに離間した第1孔部11a、12a及び第2孔部11b、12bを含んでもよい。各孔部11a、11b、12a、12bは、例えば
図9(b)に示すように、各足置部11、12の歩行方向Xに沿った側面に設けられ、例えば両側面11s、12sに設けられてもよい。
【0111】
<接続機構20>
接続機構20は、例えば
図9(a)に示すように、高さ方向Zから見て、足置機構10と重なる。接続機構20は、例えば
図9(b)に示すように、床面8に接して歩行方向Xに移動する。
【0112】
例えば
図9(c)に示すように、歩行方向Xから見て、右側接続部21は、右足置部11の両側面11sよりも内側に設けられる。また、歩行方向Xから見て、左側接続部22は、左足置部12の両側面12sよりも内側に設けられる。この場合、歩行補助者9sがユーザ9の側方から直接指導する際、接続機構20との接触を抑制することができる。これにより、安全性の向上を図ることが可能となる。
【0113】
右側接続部21及び左側接続部22は、例えばパンタグラフ構造等のようなリンク構造を示す。リンク構造は、駆動機構30から与えられる負荷に伴い、高さが変化する構造を有する。
【0114】
例えば右側接続部21及び左側接続部22は、幅方向Yに併設された一対のパンタグラフ構造を示す。この場合、一対のパンタグラフ構造の回動は、互いに同じ動きで幅方向Yを軸として回動する。このため、幅方向Yに対する各足置部11、12の変動バラつきを、一対のパンタグラフ構造を介して抑制することができる。これにより、稼動時の安定性を向上させることが可能となる。
【0115】
リンク構造を示す各接続部21、22は、例えば複数の支持部と、回動軸とを含む。例えば各接続部21、22に含まれる支持部の数、及び回動軸の数は、等しい。以下、主に右側接続部21について説明をするが、左側接続部22についても同様の構成及び効果を得ることができるため、適宜説明を省略する。
【0116】
右側接続部21は、例えば
図10(a)に示すように、第1右側支持部21aと、第2右側支持部21bと、右側回動軸21cとを含む。第1右側支持部21a及び第2右側支持部21bは、右足置部11を支持する。
【0117】
第1右側支持部21aは、右足置部11、及び一対の右側駆動部31の一方と接続される。第1右側支持部21aは、例えば
図10(b)に示すように、一対の第1リンク21aaと、第1軸部21abとを含む。一対の第1リンク21aaは、互いに平行して設けられ、第1軸部21abを介して接続される。第1軸部21abは、例えば各第1リンク21aaにおける一端側に設けられる。
【0118】
第1右側支持部21aは、例えば車輪部21ac、挿通部21ad、及び第1先端部21aeの少なくとも何れかを含んでもよい。車輪部21ac、挿通部21ad、及び第1先端部21aeは、例えば一対の第1リンク21aaのそれぞれに設けられる。
【0119】
車輪部21acは、第1軸部21abの両端側に1つずつ設けられるほか、例えば端部毎に複数設けられてもよい。車輪部21acを設けることで、右側接続部21を円滑に移動させることができる。
【0120】
挿通部21adは、例えば第1リンク21aaの重心付近に設けられる。挿通部21adは、後述する右側回動軸21cを挿通し、第1リンク21aaが回動する際の中心として用いられる。
【0121】
第1先端部21aeは、右足置部11の接続箇所として設けられる。第1先端部21aeは、例えば第1軸部21abとは離間した端部(他端)側に設けられる。
【0122】
第1先端部21aeは、例えば第1孔部11aに内挿される。この際、第1右側支持部21aの回動に伴い、第1先端部21aeが第1孔部11aに沿って移動することで、右足置部11と第1右側支持部21aとの接続位置が変わる。このため、右足置部11と、右側接続部21との接続箇所が固定された場合に比べて、右足置部11の高さ方向Zにおける移動を制御し易くすることができる。
【0123】
第2右側支持部21bは、右足置部11、及び一対の右側駆動部31の他方と接続される。第2右側支持部21bは、例えば
図10(c)に示すように、一対の第2リンク21baと、第2軸部21bbとを含み、例えば車輪部21bc、挿通部21bd、及び第2先端部21beの少なくとも何れかを含んでもよい。
【0124】
第2右側支持部21bの詳細は、上述した第1右側支持部21aの詳細と同様のため、適宜説明を省略する。なお、第2先端部21beは、例えば第2孔部11bに内挿される。
【0125】
例えば
図10(a)に示すように、第1先端部21aeが第1孔部11aに内挿され、第2先端部21beが第2孔部11bに内挿される。この際、各右側支持部21a、21bの回動に伴い、各先端部21ae、21beが各孔部11a、11bに沿って移動することで、右足置部11と、右側接続部21との接続位置が変わる。このため、右足置部11の高さ方向Zの位置に関わらず、右足置部11から各右側支持部21a、21bに作用する荷重を均等にすることができる。これにより、右足置部11の上面を、床面8に対して平行に制御し易くすることができる。
【0126】
なお、例えば各先端部21ae、21be及び各孔部11a、11bは、幅方向Yに沿ってそれぞれ一対設けられてもよい。この場合、幅方向Yの安定性を向上させることが可能となる。
【0127】
右側回動軸21cは、幅方向Yに延在する。右側回動軸21cは、幅方向Yと交わる面における回動の中心として、第1右側支持部21a及び第2右側支持部21bと接続される。右側回動軸21cは、各右側支持部21a、21bに設けられた挿通部21ad、21bdに挿通される。
【0128】
各右側支持部21a、21bは、それぞれ異なる一対の右側駆動部31と接続される。第1右側支持部21aは、例えば
図11(a)及び
図11(b)に示すように、一方の右側駆動部31aと接続される第1接続点21fを有する。第1接続点21fは、例えば第1軸部21ab上に設けられるほか、第1右側支持部21aを歩行方向Xに沿って移動させることができる位置であれば任意である。
【0129】
第2右側支持部21bは、例えば
図11(c)及び
図11(d)に示すように、他方の右側駆動部31bと接続される第2接続点21sを有する。第2接続点21sは、例えば第2軸部21bb上に設けられ、幅方向Yにおいて第1接続点21fと離間する位置に設けられる。なお、第2接続点21sは、第2右側支持部21bを歩行方向Xに沿って移動させることができる位置であれば任意である。
【0130】
上述した各右側支持部21a、21b及び右側回動軸21cを用いる場合、例えば
図12(a)及び
図12(b)に示すように、右足置部11の高さ方向Zにおける位置(例えばH1、H2)は、右側回動軸21cを中心として、第1右側支持部21aと、第2右側支持部21bとの間の角度(例えばθ1、θ2)に伴い変化する。
【0131】
例えば各右側支持部21a、21bの回動に伴い、角度θ1から角度θ2に変化した場合、右足置部11の位置は、高さH1から高さH2に変化する。この際、各右側支持部21a、21bには歩行方向Xに負荷を与えるため、高さ方向Zに直接負荷を与える場合に比べて、自重等の影響を抑制することができる。このため、高さ方向Zに直接負荷を与えて位置を変化させる場合に比べて、位置制御を高精度に設定することができる。これにより、ユーザ9に適した歩行条件を高精度に設定することが可能となる。なお、上述した角度は、例えば右足置部11と右側回動軸21cとの間に形成される角度を示す。
【0132】
なお、接続機構20、
図10(a)等に示したパンタグラフ構造のほか、公知のリンク構造を含んでもよい。例えば右側接続部21は、各右側支持部21a、21bを複数接続したレージトング構造を示してもよい。この場合においても、パンタグラフ構造と同様に、ユーザ9に適した歩行条件を高精度に設定することが可能となる。
【0133】
接続機構20は、例えば
図13(a)~
図13(c)に示すように、リンク機構20gを含んでもよい。リンク機構20gは、足置機構10及び回動軸と接続され、歩行方向Xに沿った軸で回動する。
【0134】
リンク機構20gは、右側リンク機構21gと、左側リンク機構22gとを含み、各接続部21、22に独立して設けられる。右側リンク機構21gは、右足置部11及び右側回動軸21cと接続される。左側リンク機構22gは、左足置部12及び左側回動軸22cと接続される。
【0135】
高さ方向から見て、右側リンク機構21gと右足置部11との接続位置は、右側リンク機構21gと右側回動軸21cとの接続位置に重なる(
図13(c)の高さ方向Zに延在した矢印参照)。高さ方向から見て、左側リンク機構22gと左足置部12との接続位置は、左側リンク機構22gと左側回動軸22cとの接続位置に重なる。このため、足置機構10を制御する際、床面8に対する傾きを抑制することができる。これにより、稼動時の安全性をさらに向上させることが可能となる。
【0136】
接続機構20は、例えば
図14に示すように、バネ26を含んでもよい。バネ26は、駆動機構30からの負荷に対する足置機構10の高さ方向Zにおける変化量を増大させるために用いられる。
【0137】
例えばバネ26は、例えば第1右側支持部21a及び第2右側支持部21bに接続され、歩行方向Xに沿って伸縮する。例えば、第1右側支持部21a及び第2右側支持部21bを接近させる向きにバネ26が作用した場合、右足置部11を上に移動させる負荷を軽減することができる。このため、接続機構20がバネ26を含むことで、足置機構10を高さ方向Zに移動させる際、駆動機構30から作用する負荷量を低減することができる。これにより、駆動機構30の小型化を実現することが可能となる。
【0138】
なお、上述した接続機構20は、例えばバネ26の代わりに、クロススライダ構造25を含んでもよく、例えばバネ26とクロススライダ構造25とを含んでもよい。クロススライダ構造25は、バネ26と同様に、駆動機構30からの負荷に対する足置機構10の高さ方向Zにおける変化量を増大させるために用いられる。このため、接続機構20がバネ26及びクロススライダ構造25の少なくとも何れかを含むことで、足置機構10を高さ方向Zに移動させる際、駆動機構30から作用する負荷量を低減することができる。これにより、駆動機構30の小型化を実現することが可能となる。なお、バネ26及びクロススライダ構造25として、公知のものを用いることができる。
【0139】
<駆動機構30>
駆動機構30は、例えば無端ベルト30B及びモータ30Mを一組として、接続機構20に負荷を与える。この場合、一対の右側駆動部31及び一対の左側駆動部32として、それぞれ独立した無端ベルト30B及びモータ30Mが用いられる。駆動機構30は、例えば無端ベルト30Bを含まずに、接続機構20に負荷を与えてもよい。この場合、一対の右側駆動部31及び一対の左側駆動部32の少なくとも1つには、接続機構20に直接接続されたモータ30Mが用いられる。無端ベルト30Bを含まないことで、駆動箇所の削減に伴う安全性の向上や、装置全体の小型化を図ることができる。
【0140】
<レール40>
歩行補助装置1は、例えば床面8に固定されたレール40をさらに備えてもよい。レール40は、例えば
図15(a)に示すように、右側レール41と、左側レール42とを含む。各レール41、42は、それぞれ独立して設けられる。
【0141】
右側レール41は、右側接続部21と接続され、歩行方向Xに沿って床面8に固定される。歩行方向Xから見て、右側レール41は、右足置部11の両側面11sよりも内側に設けられる。左側レール42は、左側接続部22と接続され、歩行方向Xに沿って床面8に固定される。歩行方向Xから見て、左側レール42は、左足置部12の両側面12sよりも内側に設けられる。
【0142】
各レール41、42は、例えば
図15(b)及び
図15(c)に示すように、各接続部21、22において幅方向Yに延在する軸部21ab、22ab等から突出した突起部21h、22hと嵌合する。この場合、各接続部21、22が歩行方向Xに移動する際、幅方向Yへの変動を抑制することができる。これにより、稼働時の安全性を向上させることが可能となる。
【0143】
足置機構10は、例えば
図16に示すように、コントローラ15を差し込む凹部を有してもよいほか、例えば接続機構20の任意の位置に、コントローラ15を差し込む凹部を有してもよい。例えば足置機構10及び接続機構20の少なくとも何れかには、検出部Tが設けられてもよく、例えば上述した凹部内に検出部Tのセンサが設けられてもよい。
【0144】
本実施形態によれば、制御装置50は、コントローラ15と独立して設けられ、検出結果に基づき駆動機構30を制御する。即ち、制御装置50の設けられる場所や位置等に関わらず、歩行機構5に対する動作軌跡Mを設定することができる。このため、歩行補助者9sは、コントローラ15を用いることで、歩行機構5に対する動作軌跡Mを任意に設定することができる。これにより、歩行補助システム100の直感的な操作を実現することが可能となる。
【0145】
また、本実施形態によれば、検出部Tは、コントローラ15を介して設定された動作軌跡Mを検出する。即ち、動作軌跡Mとして立脚期や遊脚期に関わらず、歩行機構5の動作を一時的に停止するような設定もできる。このため、例えば歩行機構5の動作を遊脚期で止めて、歩行補助者9sが体の動かし方のポイントを教示する等のインタラクティブな動作教示も行うことができる。これにより、教示方法の選択肢を飛躍的に拡大することができ、ユーザ9の早期歩行改善を図ることが可能となる。
【0146】
また、本実施形態によれば、センサは、歩行機構5と連動した状態におけるコントローラ15の変動を、動作軌跡Mとして検出する。このため、制御対象となる歩行機構5の動きを踏まえて、動作軌跡Mを設定することができる。これにより、歩行補助システム100の直感的な操作を容易に実現することが可能となる。
【0147】
また、本実施形態によれば、コントローラ15は、筐体16及び歩行機構5の連動を維持する接続部17を含む。このため、歩行補助者9sは、歩行機構5の設けられる位置に関わらず、任意の姿勢でコントローラ15を用いた動作軌跡Mの設定を実施することができる。これにより、動作軌跡Mを設定する際の利便性を向上させることが可能となる。
【0148】
また、本実施形態によれば、検出部Tは、コントローラ15内に設けられ、調整部18を介して調整された動作軌跡Mを検出し、制御装置50に送信する。このため、動作軌跡Mの詳細な設定をコントローラ15のみで実施することができる。これにより、利便性の向上を図ることが可能となる。
【0149】
また、本実施形態によれば、制御装置50は、歩行機構5における歩行方向X、高さ方向Z、及び移動速度を含む制御条件を算出し、制御条件に基づき駆動機構30を制御する。このため、ユーザ9の特徴に適した動作軌跡Mを設計することができる。これにより、歩行補助者9sが想定する動作軌跡Mを高精度に実現することが可能となる。
【0150】
また、本実施形態によれば、検出部Tは、右足置部11及び左足置部12の何れか一方に対し、コントローラ15を介して設定された動作軌跡Mを検出する。このため、右足置部11又は左足置部12の何れか一方の詳細な移動を設定することができる。これにより、歩行補助者9sが想定する動作軌跡Mを、さらに高精度に再現することが可能となる。
【0151】
また、本実施形態によれば、制御装置50は、検出結果に基づき、右足置部11及び左足置部12の何れか一方の移動に対し、右足置部11及び左足置部12の何れか他方の移動が連動するように、駆動機構30を制御する。このため、右足置部11及び左足置部12の何れか一方のみに対する動作軌跡Mを設定すれば、歩行機構5の移動を実現することができる。これにより、歩行補助者9sが動作軌跡Mを設定する負荷を低減することが可能となる。
【0152】
また、本実施形態によれば、制御装置50は、検出結果に基づき、右足置部11に対して位相を反転させて左足置部12が移動するように、駆動機構30を制御する。このため、右足置部11又は左足置部12の何れか一方に対する動作軌跡Mを設定することで、右足置部11及び左足置部12を移動させることができる。これにより、利便性の向上を図ることが可能となる。
【0153】
また、本実施形態によれば、検出部Tは、右足置部11及び左足置部12に対する動作軌跡Mを、それぞれ独立して検出する。このため、足置部11、12毎に異なる特徴の動作軌跡Mを容易に設定することができる。これにより、設定できる動作軌跡Mの条件を拡大させることが可能となる。
【0154】
また、本実施形態によれば、接続機構20及び駆動機構30は、足置機構10よりも下の位置に設けられる。即ち、足置機構10よりも上の位置には、足置機構10を移動させるための機構が設けられない。このため、歩行補助者9sは、ユーザ9に接して直接指導し易くすることができる上、駆動機構30等に巻き込まれることを防ぐことができる。これにより、ユーザ9への直接指導に適した環境を実現することが可能となる。
【0155】
また、本実施形態によれば、一対の右側駆動部31は、右側接続部21に対し、それぞれ独立して歩行方向Xに負荷を与えることで、歩行方向X、及び高さ方向Zの少なくとも何れかに右足置部11を移動させる。また、一対の左側駆動部32は、左側接続部22に対し、それぞれ独立して歩行方向Xに負荷を与えることで、歩行方向X、及び高さ方向Zの少なくとも何れかに左足置部12を移動させる。即ち、一対の駆動部31、32を用いて同一の方向(歩行方向X)に沿って各接続部21、22に負荷を与えることで、各足置部11、12の歩行方向X及び高さ方向Zの移動が実現される。このため、足置機構10の制御に必要な構成を削減することができる。これにより、歩行補助装置1の小型化を実現することが可能となる。
【0156】
また、本実施形態によれば、検出部Tが搭載されたコントローラ15を用いることで、歩行補助システム100の直感的な操作を実現することができる。
【0157】
また、本実施形態によれば、制御ステップS120は、コントローラ15と独立して設けられた制御装置50を介して、検出結果に基づき駆動機構30を制御する。即ち、制御装置50の設けられる場所や位置等に関わらず、歩行機構5に対する動作軌跡Mを設定することができる。このため、歩行補助者9sは、コントローラ15を用いることで、歩行機構5に対する動作軌跡Mを任意に設定することができる。これにより、歩行補助方法における直感的な操作を実現することが可能となる。
【0158】
また、本実施形態によれば、検出ステップS110は、コントローラ15を介して設定された動作軌跡Mを検出する。即ち、動作軌跡Mとして立脚期や遊脚期に関わらず、歩行機構5の動作を一時的に停止するような設定もできる。このため、例えば歩行機構5の動作を遊脚期で止めて、歩行補助者9sが体の動かし方のポイントを教示する等のインタラクティブな動作教示も行うことができる。これにより、教示方法の選択肢を飛躍的に拡大することができ、ユーザ9の早期歩行改善を図ることが可能となる。
【0159】
例えば、本実施形態によれば、歩行方向Xから見て、右側接続部21は、右足置部11の両側面11sよりも内側に設けられ、左側接続部22は、左足置部12の両側面12sよりも内側に設けられてもよい。この場合、歩行補助者9sがユーザ9の側方から直接指導する際、接続機構20との接触を抑制することができる。これにより、安全性の向上を図ることが可能となる。
【0160】
例えば、本実施形態によれば、リンク構造は、駆動機構30から与えられる負荷に伴い高さが変化する構造を有してもよい。この場合、接続機構20の構造を簡素化することができる。これにより、装置のさらなる小型化を実現することが可能となる。
【0161】
例えば、本実施形態によれば、足置機構10の高さ方向Zにおける位置は、回動軸21c、22cを中心として、第1支持部と、第2支持部との間の角度に伴い変化してもよい。この場合、高さ方向Zに直接負荷を与えて足置機構10の位置を変化させる場合に比べて、位置制御を高精度に設定することができる。これにより、ユーザ9に適した歩行条件を高精度に設定することが可能となる。
【0162】
例えば、本実施形態によれば、高さ方向Zから見て、リンク機構20gと足置機構10との接続位置は、リンク機構20gと回動軸21c、22cとの接続位置に重なってもよい。この場合、足置機構10を制御する際、床面8に対する傾きを抑制することができる。これにより、稼動時の安定性を向上させることが可能となる。
【0163】
例えば、本実施形態によれば、右足置部11及び左足置部12は、第1支持部の先端部を内挿し、歩行方向Xに延在する第1孔部11a、12aと、第2支持部の先端部を内挿し、第1孔部11a、12aと離間して歩行方向Xに延在する第2孔部11b、12bと、を含んでもよい。この場合、各足置部11、12の上面を、床面8に対して平行に制御し易くすることができる。これにより、ユーザ9に適した歩行条件を、さらに高精度に設定することが可能となる。
【0164】
例えば、本実施形態によれば、接続機構20は、クロススライダ構造25、及びバネ26の少なくとも何れかを含んでもよい。この場合、足置機構10を高さ方向Zに移動させる際、駆動機構30から作用する負荷量を低減することができる。これにより、駆動機構30の小型化を実現することが可能となる。
【0165】
例えば、本実施形態によれば、一対の右側駆動部31、及び一対の左側駆動部32の少なくとも何れかは、無端ベルト30Bと、モータ30Mとを含んでもよい。この場合、足置機構10の歩行方向Xに対する移動範囲を、無端ベルト30Bの延在する範囲内に収めることができる。これにより、足置機構10の移動範囲を容易に制御することが可能となる。
【0166】
例えば、本実施形態によれば、右側レール41は、右足置部11の両側面11sよりも内側に設けられ、左側レール42は、左足置部12の両側面12sよりも内側に設けられてもよい。この場合、歩行補助者9sがユーザ9の側方から直接指導する際、各レール41、42との接触を抑制することができる。これにより、安全性の向上を図ることが可能となる。また、接続機構20が歩行方向Xに移動する際、幅方向Yへの変動を抑制することができる。これにより、稼働時の安定性を向上させることが可能となる。
【0167】
例えば、本実施形態によれば、足置機構10及び接続機構20の少なくとも何れかには、コントローラ15を介して作用した負荷を検知する検出部Tが設けられてもよい。また、制御装置50は、検出部Tの検知結果に基づき、駆動機構30を制御してもよい。この場合、ユーザ9の状態を踏まえ、歩行補助者9sがコントローラ15を用いて駆動機構30の制御を実現することができる。これにより、装置の動作を容易に制御することが可能となる。
【0168】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0169】
1 :歩行補助装置
5 :歩行機構
10 :足置機構
11 :右足置部
11a、12a :第1孔部
11b、12b :第2孔部
11s、12s :側面
12 :左足置部
15 :コントローラ
16 :筐体
17 :接続部
17a :連動部
17b :補助接続部
18 :調整部
20 :接続機構
20g :リンク機構
21 :右側接続部
21a :第1右側支持部
21b :第2右側支持部
21c :右側回動軸
21f :第1接続点
21s :第2接続点
22 :左側接続部
25 :クロススライダ構造
26 :バネ
30 :駆動機構
30B :無端ベルト
30M :モータ
31 :右側駆動部
32 :左側駆動部
40 :レール
50 :制御装置
8 :床面
80 :セーフティフレーム
9 :ユーザ
90 :体重免荷装置
100 :歩行補助システム
T :検出部
S110 :検出ステップ
S120 :制御ステップ
X :歩行方向
Y :幅方向
Z :高さ方向