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特許7607957アンギオポエチン様3(ANGPTL3)のsiRNA及びその用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-20
(45)【発行日】2025-01-06
(54)【発明の名称】アンギオポエチン様3(ANGPTL3)のsiRNA及びその用途
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/113 20100101AFI20241223BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20241223BHJP
   A61K 31/713 20060101ALI20241223BHJP
   A61K 47/54 20170101ALI20241223BHJP
【FI】
C12N15/113 Z ZNA
A61P3/06
A61K31/713
A61K47/54
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022578882
(86)(22)【出願日】2021-09-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-29
(86)【国際出願番号】 CN2021122118
(87)【国際公開番号】W WO2022068923
(87)【国際公開日】2022-04-07
【審査請求日】2022-12-19
(31)【優先権主張番号】202011061038.1
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110397429.9
(32)【優先日】2021-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110008013.3
(32)【優先日】2021-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522492783
【氏名又は名称】納▲タイ▼得(青島)生物医薬有限公司
【氏名又は名称原語表記】NANOPEPTIDE (QINGDAO) BIOTECHNOLOGY LTD.
【住所又は居所原語表記】Building #21, Qingdao International Academician Park No.171 Jinshui Road, Licang District Qingdao, Shandong 266199 (CN)
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】陳平
(72)【発明者】
【氏名】劉兆貴
(72)【発明者】
【氏名】張捷▲ティン▼
(72)【発明者】
【氏名】王▲ルイ▼
(72)【発明者】
【氏名】徐娟
(72)【発明者】
【氏名】付中国
(72)【発明者】
【氏名】張海霖
(72)【発明者】
【氏名】陳璞
【審査官】中野 あい
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-512155(JP,A)
【文献】国際公開第2019/055633(WO,A1)
【文献】特表2014-524738(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
siRNAであって、前記siRNAは、センス鎖と、アンチセンス鎖とを含み、前記アンチセンス鎖は、前記センス鎖と相補的に対合する相補性領域を含み、前記センス鎖は、SEQ ID NO:1のヌクレオチド配列であり、前記アンチセンス鎖は、SEQ ID NO:155のヌクレオチド配列であり、
前記siRNAがアンギオポエチン様3(ANGPTL3)を標的とすることを特徴とする、siRNA。
【請求項2】
siRNAコンジュゲートであって、前記siRNAコンジュゲートは、請求項1に記載のsiRNAと標的リガンドを含み、前記siRNAは、前記標的リガンドに共有結合的に連結される、ことを特徴とする、siRNAコンジュゲート。
【請求項3】
前記標的リガンドは、前記siRNAにおけるセンス鎖に連結されることを特徴とする、請求項2に記載のsiRNAコンジュゲート。
【請求項4】
前記標的リガンドは、チオリン酸エステル結合を介して前記siRNAにおけるセンス鎖の5'末端に連結されることを特徴とする、請求項3に記載のsiRNAコンジュゲート。
【請求項5】
前記標的リガンドは、少なくとも1つのN-アセチル-ガラクトサミンを含むことを特徴とする、請求項2に記載のsiRNAコンジュゲート。
【請求項6】
前記標的リガンドは、GalNAC標的ヘッド化合物であることを特徴とする、請求項5に記載のsiRNAコンジュゲート。
【請求項7】
前記標的リガンドは、下記の1043、1046、1048:
1043、
1046、
1048
であることを特徴とする、請求項6に記載のsiRNAコンジュゲート。
【請求項8】
医薬組成物であって、前記医薬組成物は、請求項1に記載のsiRNA及び/又は請求項2に記載のsiRNAコンジュゲートを含み、前記医薬組成物は、薬学的に許容される添加物を更に含むことを特徴とする、医薬組成物。
【請求項9】
請求項1に記載のsiRNA及び/又は請求項2に記載のsiRNAコンジュゲートの、薬物又はキットの製造への用途であって、前記薬物又はキットは、ANGPTL3遺伝子の発現を阻害するために用いられることを特徴とする、使用。
【請求項10】
前記薬物又はキットは、脂質異常症の予防及び/又は治療に用いられ、
前記脂質異常症は、高脂血症と高トリグリセリド血症を含み、
前記薬物又はキットは、細胞におけるANGPTL3遺伝子の発現の阻害に用いられることを特徴とする、
請求項9に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年09月30日に中国特許局で提出された、出願番号が202011061038.1である特許出願、2021年01月05日に中国特許局で提出された、特許出願番号が202110008013.3である特許出願、及び2021年04月13日に中国特許局で提出された、出願番号が202110397429.9である特許出願の優先権と利益を主張しており、同出願の内容の全ては、ここに参照として取り込まれる。
【0002】
本発明は、遺伝子工学技術分野に関し、具体的には、本発明は、アンギオポエチン様3(ANGPTL3)のsiRNA及びその用途に関する。
【背景技術】
【0003】
高脂血症は、脂質異常症とも呼ばれ、脂肪代謝又は運転異常により血漿脂質が正常値よりも高くなる全身性疾患である。脂質異常症の臨床症状としては、大きく分けて、(1)脂質の皮内沈着による黄色腫、(2)脂質の血管内皮沈着によるアテローム性動脈硬化症、冠動脈性心疾患、末梢血管疾患などが挙げられる。高脂血症はわが国で珍しくなく、調査によれば、成人での総血中コレステロール(TC)又はトリグリセリド(TG)の上昇は約10%から20%程度、また小児でも約10%もの高脂血症が見られ、母集団の血清コレステロール値の上昇は、2010年~2030年の間にわが国における心血管疾患ケースが約920万に増加し、わが国の人民の生活水準の著しい上昇、食習慣の変化などに深く関係しているとされている。従来の脂質異常症の治療薬としては、スタチン類、コレステロール吸収阻害剤、樹脂類、プロベナゾール類、フィブラート類、ニコチン酸及びその誘導体が主流であった。
【0004】
従来の治療薬の使用後には、多かれ少なかれ禁忌と副作用があるが、例えば、スタチン類の薬物は、現在よく使用されている血清総コレステロールを低下させる主要薬物であり、単純な血清総コレステロールレベルの上昇を治療する薬物も、血清総コレステロールレベルの上昇を主とし、血清トリアシルグリセロールレベルの僅かな上昇を伴う疾患の治療に用いられる。そのような薬物は、主に、ロバスタチン(メタプラトー)、シンバスタチン(ロスプラトー)、プラバスタチン(プラトー)、フルバスタチン(LaiShiKe)、アトルバスタチン(リバスタチン)、及びシンバスタチン(ベイスタキオン)などを含む。例えば、長期間の投与にわたり、腹部膨満、下痢、便秘、頭痛、不眠症、発疹、血栓性血小板減少性紫斑病(顔面、胸部、肢端におけるびまん性うっ血、血小板数の減少を伴う)がある。また、精神うつ病、感覚異常、顔面、頭皮、舌、四肢に多く発生し、しびれ感、灼熱感、皮膚アレルギー又は疼痛として現れる。脱皮や血清トランスアミナーゼの上昇を引き起こす。最悪の副反応は横紋筋溶解であり、筋力低下、筋肉痛、尿なし、血清クレアチンキナーゼのレベル上昇などが現れ、発生率は約1‰であった。薬物のタイムリーな中止が発見されないと、重症筋症が発生し、腎機能不全にさえもつながる。
【0005】
従って、長期服用可能で副作用の少ない脂質異常症治療薬の開発が早急に望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、関連技術における技術的課題の1つを少なくともある程度解決することを目的とする。そのために、本発明の1つの目的は、ANGPTL3の発現を阻害するためのsiRNAを提供することであり、本発明の発明者らは、適切な特異的な低分子干渉RNA配列及びsiRNAコンジュゲートを設計することにより、ANGPTL3を標的とし、細胞中のANGPTL3遺伝子の転写物を分解することにより、ANGPTL3タンパク質の発現量を低下させ、それにより、本発明によるsiRNAは、脂質異常症の予防及び/又は治療に有用である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのために、本発明の一態様は、siRNAを提供する。本発明の実施例によれば、前記siRNAは、センス鎖と、アンチセンス鎖とを含み、前記アンチセンス鎖は、前記センス鎖と相補的に対合する相補性領域を含み、ここで、前記センス鎖は、SEQ ID NO:1~SEQ ID NO:154の各鎖のヌクレオチド配列と5ヌクレオチド以下だけ異なるヌクレオチド配列から選択され、前記アンチセンス鎖は、SEQ ID NO:155~SEQ ID NO:308の各鎖のヌクレオチド配列と5ヌクレオチド以下だけ異なるヌクレオチド配列から選択される。
【0008】
アンギオポエチン様タンパク質3(ANGPTL3、NM_014495.4)は、主に肝臓細胞で発現される分泌タンパク質である。アンジオポエチン様タンパク質3(ANGPTL3)は、LDL-C、HDL-C及びトリグリセリド代謝の重要な調節因子であり、様々な潜在的な作用ノードを有することが研究によって示されており、ANGPTL3の機能喪失型突然変異は、LDL-C、VLDL-C、HDL-C及びトリグリセリド(TG)の低下をもたらし、GWASに基づく心血管疾患のリスクを低下させ、既知の遺伝子欠損の有害表現型がない。従って、ANGPTL3活性の阻害は、脂質異常症の予防又は治療に有効である。本発明の発明者らは、適切な低分子干渉RNA(siRNA)配列を設計することにより、肝細胞におけるANGPTL3の合成を特異的に減少させるとともに、脱標的効果を回避する。siRNAは、サイレンシング複合体(RNA-induced silencing complex:RISC)を形成し、標的遺伝子(ANGPTL3遺伝子)のmRNAの配列と相補的に対合し、標的遺伝子のmRNAを分解して標的遺伝子の発現を阻害し、更にLDL-C、VLDL-C、HDL-C及びトリグリセリド(TG)のレベルを低下させる。
【0009】
本発明の実施例によるsiRNAは、以下の付加的な技術的特徴の少なくとも1つを更に有してもよい。
【0010】
本発明は、siRNAを更に提供する。前記siRNAは、下記のいずれかの群のいずれか一対のsiRNAから選ばれる:
(1)アンギオポエチン様タンパク質3配列の60-80位のヌクレオチドを特異的に標的とすることができるものであって、好ましくは、前記siRNAのセンス鎖は、SEQ ID NO:10から選択され、アンチセンス鎖は、SEQ ID NO:165から選択されるものと、
(2)アンギオポエチン様タンパク質3配列の107-133位のヌクレオチドを特異的に標的とすることができるものであって、好ましくは、前記siRNAのセンス鎖は、SEQ ID NO:17から選択され、アンチセンス鎖は、SEQ ID NO:171から選択され、又は、前記siRNAのセンス鎖は、SEQ ID NO:18から選択され、アンチセンス鎖は、SEQ ID NO:172から選択されるものと、
(3)アンギオポエチン様タンパク質3配列の163-187位のヌクレオチドを特異的に標的とすることができるものであって、好ましくは、前記siRNAのセンス鎖は、SEQ ID NO:19から選択され、アンチセンス鎖は、SEQ ID NO:173から選択されるものと、
(4)アンギオポエチン様タンパク質3配列の304-388位のヌクレオチドを特異的に標的とすることができ、好ましくは、アンギオポエチン様タンパク質3配列の304-359位のヌクレオチドを特異的に標的とすることができるものであって、より好ましくは、前記siRNAのセンス鎖は、SEQ ID NO:27から選択され、アンチセンス鎖は、SEQ ID NO:181から選択され、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、SEQ ID NO: 29から選択され、アンチセンス鎖は、SEQ ID NO:183から選択され、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、SEQ ID NO: 31から選択され、アンチセンス鎖は、SEQ ID NO:185から選択され、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、SEQ ID NO: 32から選択され、アンチセンス鎖は、SEQ ID NO: 186から選択され、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、SEQ ID NO: 35から選択され、アンチセンス鎖は、SEQ ID NO: 189から選択され、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、SEQ ID NO: 36から選択され、アンチセンス鎖は、SEQ ID NO: 190から選択されるものと、
(5)アンギオポエチン様タンパク質3配列の430-459位のヌクレオチドを特異的に標的とすることができるものであって、好ましくは、前記siRNAのセンス鎖は、SEQ ID NO:43から選択され、アンチセンス鎖は、SEQ ID NO:197から選択され、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、SEQ ID NO: 44から選択され、アンチセンス鎖は、SEQ ID NO: 198から選択されるものと、
(6)アンギオポエチン様タンパク質3配列の1360-1430位のヌクレオチドを特異的に標的とすることができ、好ましくは、アンギオポエチン様タンパク質3配列の1397-1430位のヌクレオチドを特異的に標的とすることができるものであって、より好ましくは、前記siRNAのセンス鎖は、SEQ ID NO:145から選択され、アンチセンス鎖は、SEQ ID NO:299から選択され、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、SEQ ID NO: 150から選択され、アンチセンス鎖は、SEQ ID NO: 304から選択され、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、SEQ ID NO: 151から選択され、アンチセンス鎖は、SEQ ID NO: 305から選択され、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、SEQ ID NO: 152から選択され、アンチセンス鎖は、SEQ ID NO: 306から選択され、
又は、前記siRNAのセンス鎖は、SEQ ID NO: 154から選択され、アンチセンス鎖は、SEQ ID NO: 308から選択される。
【0011】
本発明の実施例によれば、前記siRNAは、少なくとも1つの修飾されたヌクレオチドを含み、
任意選択的に、前記修飾されたヌクレオチドは、
5'-ホスホロチオエート化ヌクレオチド、5-メチル化シトシンヌクレオチド、2'-O-メチル修飾ヌクレオチド、2'-O-2-メトキシエチル修飾ヌクレオチド、2'-フルオロ修飾ヌクレオチド、3'-窒素置換修飾ヌクレオチド、2'-デオキシ-2'-フルオロ修飾ヌクレオチド、2'-デオキシ修飾ヌクレオチド、固定化ヌクレオチド、脱塩基ヌクレオチド、2'-アミノ修飾ヌクレオチド、モルホリノヌクレオチド、ポリペプチドヌクレオチド、ホスホルアミデート、及び非天然塩基を含むヌクレオチドのうちの少なくとも1つから選択される。
【0012】
本発明の実施例によれば、前記相補性領域の長さは、少なくとも17bpであり、
任意選択的に、前記相補性領域の長さは、18~21bpであり、
任意選択的に、前記相補性領域の長さは、19bpである。
【0013】
本発明の実施例によれば、前記siRNAにおけるセンス鎖とアンチセンス鎖の長さは、25bp以下であり、
任意選択的に、前記siRNAにおけるセンス鎖とアンチセンス鎖の長さは、18~25bpであり、
任意選択的に、前記siRNAにおけるセンス鎖とアンチセンス鎖の長さは、21bpである。
【0014】
本発明の実施例によれば、前記siRNAにおけるセンス鎖とアンチセンス鎖の塩基は、1対1で相補的に対合してもよく、数個の塩基ずれているが、少なくとも17bpの相補性領域を有してもよい。
【0015】
本発明の別の態様は、siRNAコンジュゲートを提供する。前記siRNAコンジュゲートは、前述したsiRNAと標的リガンドを含み、ここで、前記siRNAは、標的リガンドに共有結合的に連結され、
好ましくは、前記標的リガンドは、前記siRNAにおけるセンス鎖に連結され、
より好ましくは、前記標的リガンドは、チオリン酸エステル結合を介して前記siRNAにおけるセンス鎖の5'末端に連結される。
【0016】
本発明の実施例によれば、前記標的リガンドは、少なくとも1つのN-アセチル-ガラクトサミンを含む。
【0017】
本発明の実施例によれば、前記標的リガンドは、GalNAC標的ヘッド化合物である。
【0018】
本発明の実施例によれば、前記GalNAC標的ヘッド化合物は、1043、1046、1048であり、その構造は、下記式1-3に示すとおりである。
【0019】
【化1】
GalNAC標的ヘッド1043
【0020】
【化2】
GalNAC標的ヘッド1046
【0021】
【化3】
GalNAC標的ヘッド1048
【0022】
本発明の実施例によれば、前記標的リガンドは、前記siRNAにおけるセンス鎖に連結される。
【0023】
本発明の別の態様は、医薬組成物を提供する。本発明の実施例によれば、前記医薬組成物は、前記siRNA及び/又は前記siRNAコンジュゲートを含み、任意選択的に、前記医薬組成物は、薬学的に許容される添加物を更に含む。
【0024】
これにより、本発明の実施例による医薬組成物は、細胞におけるANGPTL3の合成を阻害し、それによりLDL-C、VLDL-C、HDL-C及びトリグリセリド(TG)のレベルを低下させて、高脂血症及び高トリグリセリド血症の予防及び/又は治療に使用することができる。
【0025】
本発明のまた1つの態様は、キットを提供する。本発明の実施例によれば、前記キットは、前記siRNA及び/又はsiRNAコンジュゲートを含む。
【0026】
これにより、本発明の実施例によるキットは、細胞におけるANGPTL3遺伝子の発現を阻害し、それによりLDL-C、VLDL-C、HDL-C及びトリグリセリド(TG)のレベルを低下させて、高脂血症及び高トリグリセリド血症の予防及び/又は治療に使用することができる。
【0027】
本発明のまた1つの態様は、被験体のANGPTL3遺伝子の発現を阻害する方法を提供する。前記方法は、被験体に前記siRNA及び/又は前記siRNAコンジュゲートを投与し、ANGPTL3遺伝子の発現を阻害することを含む。
【0028】
本発明のまた1つの態様は、細胞におけるANGPTL3遺伝子の発現を阻害する方法を提供する。本発明の実施例によれば、前記方法は、前記siRNA及び/又は前記siRNAコンジュゲートを用いて前記細胞をトランスフェクトし、前記細胞におけるANGPTL3遺伝子の発現を阻害することを含む。
【0029】
本発明の実施例による細胞におけるANGPTL3遺伝子の発現を阻害する方法は、siRNAを利用してサイレンシング複合体を形成し、標的遺伝子であるANGPTL3遺伝子のmRNAの配列と相補的に対合し、標的遺伝子のmRNAを分解して標的遺伝子の発現を阻害し、更にLDL-C、VLDL-C、HDL-C及びトリグリセリド(TG)のレベルを低下させる。
【0030】
本発明の実施例によれば、前記細胞は、哺乳動物に由来し、
任意選択的に、前記細胞は、ヒトに由来し、
任意選択的に、前記細胞は、肝臓細胞である。
【0031】
本発明によるsiRNAを利用して、ヒトの肝臓細胞においてサイレンシング複合体を形成し、ANGPTL3遺伝子のmRNAの配列と相補的に対合し、ANGPTL3遺伝子のmRNAを分解してその発現を阻害し、更にLDL-C、VLDL-C、HDL-C及びトリグリセリド(TG)のレベルを低下させる。
【0032】
本発明のまた1つの態様は、前記siRNA及び/又は前記siRNAコンジュゲートの、薬物又はキットの製造への用途を提供する。本発明の実施例によれば、前記薬物又はキットは、ANGPTL3遺伝子の発現を阻害するために用いられる。
【0033】
本発明によるsiRNAを利用して薬物又はキットを製造し、前記薬物又はキットは、そのうちのsiRNAによって細胞におけるANGPTL3遺伝子の発現レベルを低下させることによって、脂質異常症の予防及び/又は治療を行う。
【0034】
本発明の実施例によれば、前記薬物又はキットは、脂質異常症の予防及び/又は治療に用いられ、
任意選択的に、前記脂質異常症は、高脂血症と高トリグリセリド血症を含み、
任意選択的に、前記薬物又はキットは、細胞におけるANGPTL3遺伝子の発現の阻害に用いられる。
【0035】
本発明のまた1つの態様は、脂質異常症の予防及び/又は治療のための方法を提供する。本発明の実施例によれば、前記方法は、被験体に前記siRNA及び/又は前記siRNAコンジュゲートを投与することを含む。
【0036】
本発明の実施例によれば、前記脂質異常症は、高脂血症と高トリグリセリド血症を含む。
【0037】
本発明の付加的な態様と利点は、以下の記述において部分的に与えられ、その一部が以下の説明から明らかとなるか又は本発明の実践によって理解される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
本発明の上記及び/又は付加的な態様と利点は、以下の図面を参照しながら記述される実施例の記述から明らかであり、容易に理解される。ここで、
図1】表2における一部のsiRNAが0.1 nMの濃度でHep 3B細胞をトランスフェクトした後、リアルタイム定量PCRを利用して検出された細胞におけるANGPTL3遺伝子(図面においてANL3と略称される)の発現量の結果を示す。
図2】表2における一部のsiRNAが10 nMの濃度でHep 3B細胞をトランスフェクトした後、リアルタイム定量PCRを利用して検出された細胞におけるANGPTL3遺伝子(図面においてANL3と略称される)の発現量の結果を示す。
図3】実施例3で合成されたGalNAc-siRNAコンジュゲートを示す。
図4】実施例4における各コンジュゲートの活性試験結果(EC50値)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の実施例を詳しく記述する。以下に記述された実施例は、例示的なものであり、本発明の解釈のみに用いられるが、本発明を限定するものと理解されるべきではない。
【0040】
「薬学的に許容される担体」は、当技術分野において公知のものであり、哺乳動物への本発明の化合物の投与に適した薬学的に許容される材料、組成物、又は担体を含む。前記担体は、ホスト物質を担持するか、又はホスト物質をある器官もしくは体の一部から別の器官もしくは体の別の一部に移すことに関与する液体又は固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒又は封入材料を含む。各担体は、製剤中の他の成分と適合性があり、患者に有害でないという意味で「許容される」でなければならない。薬学的に許容される担体として有用な材料の幾つかの例は、ラクトース、グルコース及びスクロースなどの糖類、トウモロコシデンプン及びジャガイモデンプンなどのデンプン類、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース及び酢酸セルロースなどのセルロース及びその誘導体、トラガカント粉末、麦芽、ゼラチン、タルク、カカオ脂及び坐剤ワックスなどの賦形剤、ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油及びダイズ油などの油、プロピレングリコールなどのグリコール類、グリセロール、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコールなどの多価アルコール類、オレイン酸エチル及びラウリン酸エチルなどのエステル類、寒天、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムなどの緩衝剤、アルギン酸、発熱物質を含まない水、リンゲル溶液、エタノール、リン酸緩衝剤、並びに医薬製剤に使用される他の無毒性適合性物質を含む。
【0041】
組成物において、湿潤剤、乳化剤、及び潤滑剤、例えばラウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウム、並びに着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤、及び香料、防腐剤、及び抗酸化剤が存在してもよい。
【0042】
本発明の医薬組成物は、経口、経鼻、局所、頬側、舌下、直腸及び/又は非経口投与に適したものを含む。製剤は、単位剤形で好都合に存在してもよく、且つ薬学分野で周知の任意の方法によって調製されてもよい。単一剤形を調製するために担体物質と組み合わせることができる活性成分の量は、一般的には、治療の役割を果たす化合物の量である。一般的には、100分の1を単位として、この量は、約1%から約99%、好ましくは約5%から約70%、最も好ましくは約10%から約30%の活性成分である。
【0043】
用語「治療」は、所望の薬理学的及び/又は生理学的効果を得ることを指すために使用される。前記効果は、疾患又はその症状の完全又は部分的予防の観点から予防的であってもよく、及び/又は疾患の部分的又は完全な治癒に起因する有害作用の観点から治療的であってもよい。本明細書で使用される「治療」は、哺乳動物、特にヒトの疾患をカバーし、この疾患は、(a)疾患にかかりやすいが、疾患がまだ確定的に診断されていない個体における疾患又は状態の発症の予防、(b)疾患の阻害、例えば、疾患の進行の遅延、又は(c)疾患の軽減、例えば、疾患に関連する症状の軽減を含む。本明細書で使用される「治療」は、個体における疾患を治療、治癒、緩解、改善、軽減又は阻害するために、薬物又は化合物を個体に投与する任意の使用をカバーし、本明細書に記載の化合物を含む薬物を、それを必要とする個体に投与することを含むが、これらに限定されない。
【0044】
本発明は、ANGPTL3の発現を阻害するためのsiRNAを提供する。本発明の実施例によれば、前記siRNAは、センス鎖と、アンチセンス鎖とを含み、前記アンチセンス鎖は、前記センス鎖と相補的に対合する相補性領域を含み、ここで、前記センス鎖は、SEQ ID NO:1~SEQ ID NO:154の各鎖のヌクレオチド配列と5ヌクレオチド以下だけ異なるヌクレオチド配列から選択され、前記アンチセンス鎖は、SEQ ID NO:155~SEQ ID NO:308の各鎖のヌクレオチド配列と5ヌクレオチド以下だけ異なるヌクレオチド配列から選択される。
【0045】
本発明の実施例によれば、前記センス鎖は、表2に示すSEQ ID NO:1~ SEQ ID NO:154を含むのに加えて、表2に示すセンス鎖と1、2、3、4、5ヌクレオチドだけ異なる連続したヌクレオチド配列を更に含む。
【0046】
本発明の実施例によれば、前記アンチセンス鎖は、表2に示すSEQ ID NO:155~ SEQ ID NO:308を含むのに加えて、表2に示すアンチセンス鎖と1、2、3、4、5ヌクレオチドだけ異なる連続したヌクレオチド配列を更に含む。
【0047】
本発明の実施例によれば、前記siRNAは、少なくとも1つの修飾されたヌクレオチドを含み、
前記修飾されたヌクレオチドは、
5'-ホスホロチオエート化ヌクレオチド、5-メチル化シトシンヌクレオチド、2'-O-メチル修飾ヌクレオチド、2'-O-2-メトキシエチル修飾ヌクレオチド、2'-フルオロ修飾ヌクレオチド、3'-窒素置換修飾ヌクレオチド、2'-デオキシ-2'-フルオロ修飾ヌクレオチド、2'-デオキシ修飾ヌクレオチド、固定化ヌクレオチド、脱塩基ヌクレオチド、2'-アミノ修飾ヌクレオチド、モルホリノヌクレオチド、ポリペプチドヌクレオチド、ホスホルアミデート、及び非天然塩基を含むヌクレオチドのうちの少なくとも1つから選択される。
【0048】
本発明の実施例によれば、前記相補性領域の長さは、18~21bpであり、例えば、19bpである。
【0049】
本発明の実施例によれば、前記siRNAにおけるセンス鎖とアンチセンス鎖の長さは、18~25bpであり、例えば、21bpである。
【0050】
本発明の具体的な実施例によれば、前記siRNAにおけるセンス鎖とアンチセンス鎖の長さは、21bpであり、前記センス鎖とアンチセンス鎖における塩基は、1対1で相補的に対合し、又は、前記siRNAにおけるセンス鎖とアンチセンス鎖において、19個の連続した相補的な塩基を有し、即ち、前記相補性領域の長さは、19bpである。
【0051】
本発明の実施例によれば、前記siRNAを用いて肝臓細胞をトランスフェクトし、細胞におけるANGPTL3遺伝子の発現を阻害する。
【0052】
アンギオポエチン様3(ANGPTL3)遺伝子標的に対して、本発明の発明者らは、適切な特異的な低分子干渉核酸(siRNA)配列を設計し、siRNAを合成し、トランスフェクト試薬を用いてsiRNAを細胞内に導入してサイレンシング複合体(RNA-induce siliencing complex:RISC)を形成し、標的遺伝子のmRNA配列を特異的に認識して標的結合し、5'末端から10-11位のクリップ間でmRNAを切断することにより、転写後遺伝子サイレンシングを起こさせ、アンジオポエチン様3分泌タンパク質の発現を調節する。
【0053】
本発明の実施例によれば、前記siRNAは、標的リガンドに共有結合的に連結される。
【0054】
本発明の実施例によれば、前記標的リガンドは、少なくとも1つのN-アセチル-ガラクトサミンを含む。
【0055】
本発明の実施例によれば、前記標的リガンドは、前記siRNAにおけるセンス鎖に連結される。
【0056】
以下、本発明の実施例を詳しく記述する。以下に記述された実施例は例示的なものであり、本発明を解釈するためのものだけであり、本発明を限定するものと理解されるべきではない。実施例における具体的な技術や条件は明記されていないものは、当該技術分野における文献に記載の技術や条件に従って、あるいは、生成物仕様に従って、行われる。使用する試薬又は機器のうち、メーカーが明記されていないものは、いずれも市販で入手可能な通常のものである。
【0057】
本実施例の一部の合成ルートは、CN202110397429.9、CN202110008013.3を参照してもよい。本出願の実施例は、ソースの導入により上記の2つの特許出願に組み込まれる。
【0058】
実施例1 インビトロ細胞モデル(Hep 3B細胞)による低分子干渉核酸(siRNA)の活性の試験
【0059】
1)懸濁トランスフェクト試薬の調合:siRNA母液の濃度は、50μMであり、DEPC水で希釈して10μM siRNAシステムを得て、50μl Opti-MEMで希釈して0.2μM siRNAシステムを得て、3-5回ブローイングして均一に混合した(最終濃度10nM)。50μl Opti-MEMで0.5ul 0.2μMSiRNAを希釈して0.002μM siRNAシステムを得て、3-5回ブローイングして均一に混合した(最終濃度0.1nM)。50μl Opti-MEMで希釈して2μl RNAiMAXを得て、3-5回ブローイングして均一に混合した。トランスフェクト試薬と低分子干渉核酸希釈液をそれぞれ混合し、3-5回ブローイングして均一に混合し、室温で10min静置した。
【0060】
2)細胞の処理:Hep3B細胞株コンフルエンス率>70%が顕微鏡で観察され、細胞をプレーティングし、2×10細胞/ウェルで12ウェルプレートにプレーティングし、各ウェルに10% FBS含有DMEM培地900μlを添加し、トランスフェクト複合体を12ウェルプレートに添加し、37℃、5%COインキュベーターで培養した。
【0061】
3)24h後に、細胞の総RNAを抽出し、リアルタイム定量PCR(Quantitative Real-Time PCR)によって細胞におけるANGPTL3 mRNA配列の発現状況を検出し、ここで、内部標準遺伝子PPIB、ANGPTL3の増幅に用いられるPCRプライマーを表1に示す。
【0062】
表1:内部標準遺伝子PPIB、ANGPTL3の増幅に用いられるPCRプライマー配列
【0063】
4)ANGPTL3発現レベルに対する低分子干渉核酸の阻害率は、下記式に応じて算出される。阻害率= [1-(実験群ANGPTL3 mRNAの発現量/実験群PPIB mRNAの発現量)/(陰性対照群ANGPTL3 mRNAの発現量/陰性対照群PPIB mRNAの発現量)]×100%。ここで、各実験群は、それぞれ低分子干渉核酸で処理された細胞であり、陰性対照群(Blankと記する)は、いずれかの低分子干渉核酸によって処理されていない細胞である。
【0064】
上記方法を利用して表2における、154対のsiRNAによってそれぞれ0.1 nMと10 nMの濃度でHep 3B細胞をトランスフェクトした後、ANGPTL3遺伝子(NM_014495.4)の発現に対する阻害率の結果を得る。
【0065】
表2:154対の標的ANGPTL3のsiRNA配列
【0066】
図1と2は、表2における一部のsiRNAによって0.1 nM又は10 nMの濃度でHep 3B細胞をトランスフェクトした後、リアルタイム定量PCRによって検出された細胞におけるANGPTL3遺伝子の発現量の結果をそれぞれ示す。図面に示されるsiRNAが0.1 nM、10 nMのいずれの濃度でHep 3B細胞をトランスフェクトしても、ANGPTL3遺伝子の発現を著しく低下させることができることは明らかである。
【0067】
実施例2、GalNAc結合標的ヘッドの合成
【0068】
一、GalNAc標的ヘッド1043の合成
以下の方法に応じて、TO-23及びTP-23(1043標的ヘッド結合siRNAの前駆体)のジアステレオ異性体を合成した。
【0069】
1、中間体GN-17-01の合成
【0070】
【0071】
(1)N雰囲気で、GC-1(12g、25.89mmol)をDCM(200mL)に溶解し、氷水浴で0~5℃に降温し、HBTU(11.78 g、31 mmol)とDIEA(10g,77.67mmol)を添加し、10分間撹拌した。
【0072】
(2)続いて、N-tert-ブトキシカルボニル-1,4-ブタンジアミン(4.87 g、25.89 mmol)を添加し、25℃まで昇温し、16時間撹拌して反応させ、TLCにより原料が実質的に消失したことを確認した。
【0073】
(3)飽和塩化アンモニウム溶液(100mL)を添加してクエンチし、分液し、DCM(100mL×2)で抽出した。
【0074】
(4)有機相を合わせて飽和食塩水(100mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、濾過して濃縮した。カラムクロマトグラフィーによる精製(DCM / MeOH = 20 / 1)により、白色の固形化合物GN-17-01(15 g、収率91%)を得た。
【0075】
2、中間体GN-17の合成
【0076】
【0077】
(1)GN-17-01(15g、23.67 mmol)をDCM(150mL)に溶解し、TFA(50mL)を添加し、25℃で1時間撹拌し、TLCにより原料が実質的に消失したことを確認し、濃縮した。
【0078】
(2)余分なTFAをアセトニトリル(100mL×3)とTFAとの共沸により除去して、フォーム状固体GN-17(TFA塩、12.6g)を得た。
【0079】
3、中間体TO-23-01の合成
【0080】

【0081】
(1)N雰囲気で、NC-4(2.6g、4.7 mmol)をDCM(200mL)に溶解し、氷水浴で0~5℃まで降温し、HATU(5.6g、14.83mmol)とDIEA(4.85g、37.6 mmol)を添加し、20分間撹拌した。
【0082】
(2)続いて、GN-17(8.45g、15.5 mmol)を添加し、25℃まで昇温し、4時間撹拌して反応させた。TLC検出によれば、原料が実質的に消失したことを確認した。
【0083】
(3)飽和塩化アンモニウム溶液(50mL)を添加してクエンチし、分液し、DCM(100mL×2)で抽出した。
【0084】
(4)有機相を合わせて飽和食塩水(100mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥した。
【0085】
(5)濾過、濃縮して粗生成物を得た。カラムクロマトグラフィーによる精製(DCM / MeOH = 10 / 1)により、白色の固形物TO-23-01(6.3g、収率63.1%)を得た。
【0086】
4、化合物TO-23(1043標的ヘッド)の合成
【0087】
【0088】
(1)TO-23-01(6.3g、3.0mmol)のMeOH(100mL)溶液に10%Pd/C(600mg)とPd(OH)/C(600mg)を添加し、Hで3回置換し、25℃で3時間撹拌して反応させ、TLC(DCM / MeOH = 8 / 1)検出によれば、原料が実質的に消失したことを確認した。
【0089】
(2)濾過、濃縮して粗生成物を得た。カラムクロマトグラフィーによる精製(DCM / MeOH / TEA = 10 / 1/ 0.1)により、白色の固形物TO-23(4.5g、収率75%)を得た。
【0090】
H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ 7.88-7.81 (m, 9H), 7.14 (s, 1H), 5.21 (d, J = 3.4 Hz, 3H), 4.95 (dd, J = 11.2, 3.4 Hz, 3H), 4.53 (d, J = 8.5 Hz, 3H), 4.07-3.97 (m, 9H), 3.88 (dt, J = 11.0, 9.0 Hz, 3H), 3.77-3.71 (m, 3H), 3.63-3.50 (m, 24H), 3.49-3.41 (m, 8H), 3.38-3.35 (m, 2H), 3.08-2.98 (m, 12H), 2.35ー 2.25 (m, 14H), 2.10 (s, 9H), 2.00 (s, 9H), 1.89 (s, 9H), 1.78 (s, 9H), 1.40-1.33 (s, 12H).
【0091】
MS (ESI): m/z [1/2M + H]理論値は、1000.5であり、実測値は、1000.3である。
【0092】
5、化合物TP-23(1043標的ヘッド結合siRNAの前駆体)の合成
【0093】
【0094】
(1)N雰囲気で、TO-23(2.3g、1.15 mmol)を乾燥DCM(40mL)に溶解し、DIEA(0.86mL、5.2mmol)を添加し、シリンジを利用して2-シアノエチル-N,N-ジイソプロピルクロロホスホロアミダイト(0.46mL、2.1mmol)の乾燥DCM(2mL)溶液を徐々に滴加した。25℃で1時間反応させた。TLC検出によれば、原料が実質的に消失したことを確認した。
【0095】
(2)飽和NaHCO(20mL)を添加しクエンチし、分液し、有機相を飽和NaHCO(20mL)溶液、飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水MgSO4で乾燥し、濾過、濃縮して粗生成物を得た。カラムクロマトグラフィーによる精製(シリカカラムを1.5%TEA/DCMによって予め塩基性化しており、DCM / MeOH / TEA = 15 / 1/ 0.1である)により、白色の固形物TP-23(1.8g、収率71.1%)を得た。
【0096】
H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ 7.91-7.79 (m, 9H), 7.15 (s, 1H), 5.21 (d, J = 3.4 Hz, 3H), 4.95 (dd, J = 11.2, 3.4 Hz, 3H), 4.53 (d, J = 8.5 Hz, 3H), 4.06-3.97 (m, 9H), 3.88 (dt, J = 11.1, 8.9 Hz, 3H), 3.78-3.66 (m, 6H), 3.63-3.41 (m, 36H), 3.07-2.98 (m, 12H), 2.76 (t, J = 5.9 Hz, 2H), 2.35-2.24 (m, 14H), 2.10 (s, 9H), 2.00 (s, 9H), 1.89 (s, 9H), 1.78 (s, 9H), 1.40-1.33 (m, 12H), 1.13 (dd, J = 6.7, 4.1 Hz, 12H)、
【0097】
31P NMR (162 MHz, DMSO-d) δ 147.81、
【0098】
MS (ESI): m/z [1/2M + Na]理論値は、1122.5であり、実測値は、1122.4である。
【0099】
二、GalNAc標的ヘッド1046の合成
【0100】
以下の方法に応じて、TO25及びTP-25(1046標的ヘッド結合siRNAの前駆体)のジアステレオ異性体を合成した。
【0101】
1、中間体NC-6-01の合成
【0102】
【0103】
(1)N雰囲気で、1000mL三口フラスコに、乾燥THF(300 mL)を添加し、氷浴で0-5℃に降温して撹拌し、60% NaH(14g、354.8mmol)を少しずつ加え、続いて、2-クロロエチルオキシエタノール(40g、322.5mmol)のTHF溶液(200mL)を徐々に滴加し、30分間保温して反応させ、更に、反応フラスコにベンジルブロミド(60.3g、354.8mmol)を滴加し、25℃まで昇温して16時間撹拌し、TLC検出によれば、原料が実質的に消費されたことを確認した。
【0104】
(2)飽和塩化アンモニウム溶液(150mL)を徐々に滴加してクエンチし、分液し、水相をEtOAc(100mL×2)で抽出し、有機相を合わせて飽和食塩水(300mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、濾過、濃縮して粗生成物を得た。粗生成物に対して、シリカカラムクロマトグラフィーによる精製(石油エーテル / EtOAc = 5/1)を行うことで、淡黄色油状化合物NC-6-01(53g、収率78%)を得た。
【0105】
MS (ESI): m/z [M + H] 理論値は、215.1であり、実測値は、215.1である。
【0106】
2、中間体NC-6-02の合成
【0107】
【0108】
(1)エチレンジアミン(196g、3.26mol)を2000mL三口フラスコに入れ、アセトニトリル(1000mL)、炭酸カリウム(90g、0.65 mol)及びヨウ化ナトリウム(60.6g、0.33mol)を添加して撹拌した。続いて、NC-6-01(70g、0.33mol)のアセトニトリル(100mL)溶液を反応フラスコに徐々に滴加し、60℃まで昇温し、16時間撹拌し、TLC検出によれば、原料が実質的に消費されたことを確認した。
【0109】
(2)反応を中止し、濃縮し、精製水(300mL)を添加し、濃塩酸でpHを4-5に調整し、EtOAc(200mL×3)で三回抽出し、水相に水酸化ナトリウム固形物を添加してpHを13-14に調整し、DCM(200mL×3)によって三回抽出し、有機相を合わせて飽和食塩水(300mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、濾過、濃縮して淡黄色油状物NC-6-02(69.5g、87%)を得た。
【0110】
MS (ESI): m/z [M + H]理論値は、239.2であり、時速値は、239.1である。
【0111】
3、中間体NC-6-03の合成
【0112】
【0113】
(1)NC-6-02(69.5g、0.29mol)とブロモ酢酸tert-ブチル(187g、0.96mol)をテトラヒドロフラン(700mL)と精製水(350mL)に添加し、撹拌し、氷水浴で5℃以下に降温し、炭酸カリウム(322g、2.34mol)を添加した。25℃で14時間撹拌して反応させ、TLC検出によれば、原料が完全に転化したことを確認した。
【0114】
(2)反応液に精製水(300mL)を添加し、静置分層して有機相を分取し、水相をEtOAc(200mL×2)によって二回抽出し、有機相を合わせて、飽和食塩水(500mL)を添加して洗浄し、無水NaSOで乾燥し、濾過、濃縮して淡黄色油状物NC-6-03 (201g)を得た。
【0115】
MS (ESI): m/z [M + H]理論値は、581.4であり、実測値は、581.3である。
【0116】
4、中間体NC-6の合成
【0117】
【0118】
(1)NC-6-03(23g、39.6mmol)を1,4-ジオキサン(200mL)に溶解し、濃塩酸(40mL)を添加し、60℃まで昇温して2時間反応させ、TLC検出によれば、原料が実質的に消費されたことを確認した。
【0119】
(2)濃縮し、1,4-ジオキサン(200mL)を再添加して濃縮し、白色の固形物粗生成物を得て、粗生成物を酢酸エチル(200mL)に添加し、2時間パルプ化し、吸引ろかし、ケーキを収集し、50℃で真空乾燥により白色固形化合物NC-6(22.6g、96.9%)を得た。
【0120】
(3)MS (ESI): m/z [M + H]理論値は、413.2であり、実測値は、413.1である。
【0121】
5、中間体TO-25-01の合成
【0122】
【0123】
(1)N雰囲気で、NC-6(1.5g、3.6mmol)、HBTU(4.5g、12.0 mmol)及びDIEA(4.75g、36mmol)をDCM(50mL)に添加し、30分間撹拌し、続いて、GN-17(6.4g、12.0mmol)とDIEA(4.75g、36mmol)のDCM(50mL)溶液を滴加し、25℃で16時間撹拌し、LCMS検出によれば、原料が実質的に消費されたことを確認した。
【0124】
(2)DCM(100mL)を添加して希釈し、反応液に1 N塩酸溶液(80mL×2)を添加して洗浄し、有機相を合わせて、飽和炭酸水素ナトリウム(100mL)で洗浄し、飽和食塩水(100mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、ろ過、濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカカラムクロマトグラフィーによる精製(DCM / MeOH = 7 / 1)により、白色の固形化合物TO-25-01(4.3g、収率60%)を得た。
【0125】
(3)MS (ESI): m/z [M/2 + H]理論値は、980.0であり、実測値は、979.9である。
【0126】
6、中間体TO-25の合成
【0127】
【0128】
(1)TO-25-01(4.3g、2.2mmol)をメタノール(80mL)に溶解し、10%パラジウム炭素(1.0g)を添加し、Hで三回置換し、25℃で2時間撹拌し、LCMS検出によれば、原料が実質的に消失したことを確認した。
【0129】
(2)ろ過、濃縮し、DCM(20 mL)を添加して溶解し、MTBE(300 mL)に徐々に滴加し、30分間撹拌して結晶化し、吸引濾過し、白色の固形化合物TO-25(3.7g、収率90%)を得た。
【0130】
H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ 8.48 (d, J = 5.6 Hz, 1H), 8.06 (t, J = 5.7 Hz, 2H), 7.85 (dd, J = 11.7, 6.8 Hz, 6H), 5.21 (d, J = 3.3 Hz, 3H), 4.95 (dd, J = 11.2, 3.3 Hz, 3H), 4.53 (d, J = 8.5 Hz, 3H), 4.08-3.83 (m, 14H), 3.75 (p, J = 4.8 Hz, 5H), 3.68-3.26 (m, 28H), 3.21-2.95 (m, 14H), 2.30 (q, J = 7.9, 6.7 Hz, 6H), 1.94-1.78 (m,, 36H), 1.41-1.38 (m, 12H)、
【0131】
MS (ESI): m/z [1/2M + H] 理論値は、934.9であり、実測値は、934.8である。
【0132】
7、TP-25の(1046標的ヘッド結合siRNAの前駆体)の合成
【0133】
【0134】
(1)N雰囲気で、TO-25(700mg、0.37mmol)を乾燥DCM(10mL)に溶解し、DIEA(0.31mL、1.9mmol)を添加し、シリンジを利用して2-シアノエチル-N,N-ジイソプロピルクロロホスホロアミダイト(0.19mL、0.74mmol)の乾燥DCM(1mL)溶液を徐々に滴加し、25℃で30分間反応させ、TLC検出によれば、原料が実質的に消失したことを確認した。
【0135】
(2)飽和NaHCO(10mL)を添加してクエンチし、DCM(10mL)で希釈し、分液し、有機相を飽和NaHCO(10mL)溶液、飽和食塩水(10mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、ろ過、濃縮して粗生成物を得た。カラムクロマトグラフィーによる精製(シリカカラムを1.5%TEA/DCMによって予め塩基性化しており、DCM / MeOH / TEA = 15 / 1/ 0.1である)により、白色の固形物TP-25(405mg、収率53%)を得た。
【0136】
H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ 8.12 (t, J = 6.0 Hz, 2H), 7.98-7.75 (m, 7H), 5.21 (d, J = 3.4 Hz, 3H), 4.96 (dd, J = 11.2, 3.4 Hz, 2H), 4.54 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 4.02 (q, J = 5.3, 4.5 Hz, 9H), 3.95-3.83 (m, 3H), 3.82-3.50 (m, 23H), 3.40-3.26 (m, 4H), 3.12-2.94 (m, 27H), 2.76-2.59 (m, 7H), 2.29 (t, J = 6.7 Hz, 5H), 2.11-1.78 (m, 38H), 1.38 (s, 12H), 1.16 (d, J = 7.5 Hz, 12H)、
【0137】
31P NMR (162 MHz, DMSO-d6) δ 147.97、
【0138】
MS (ESI): m/z [1/2M + Na] の理論値は、1057.0であり、実測値は、1057.4である。
【0139】
三、GalNAc標的ヘッド1048の合成
【0140】
以下の方法に応じて、TO26及びTP-26(1048標的ヘッド結合siRNAのの前駆体)のジアステレオ異性体を合成した。
【0141】
1、中間体GN-18-01の合成
【0142】
【0143】
(1)N雰囲気で、GC-2(20.1g、39.7mmol)をDCM(200mL)に溶解し、CDI(7.09g、73.7mmol)を少しずつ加え、25℃で3時間撹拌し、続いて、N-Boc-エチレンジアミン(7.0g、43.7mmol)とトリエチルアミン(12.05g、119.1mmol)を反応液に添加し、16時間反応させ、LCMS検出によれば、原料が実質的に消失したことを確認した。
【0144】
(2)飽和炭酸水素ナトリウム溶液(200mL)を添加してクエンチし、分液し、水相をDCM(100mL×3)で抽出し、有機相を合わせて、飽和塩化アンモニウム溶液(200mL)、飽和塩化ナトリウム溶液(200mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、ろ過、濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をメチルtert-ブチルエーテル(100mL)で洗浄し、油状生成物を濃縮して白色の固形化合物GN-18-01(24.43g、収率95.1%)を得た。
【0145】
MS (ESI): m/z [M + H]理論値は、650.3であり、実測値は、650.5である。
【0146】
2、中間体GN-18の合成
【0147】
【0148】
(1)GN-18-01(45.52g、70mmol)をHCl / EtOAc溶液(2N、500mL)に少しずつ添加し、25℃で2時間撹拌し、LCMS検出によれば、原料が実質的に消失したことを確認した。
【0149】
(2)溶媒を注ぎ出し、固形物を濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をメチルtert-ブチルエーテル(200mL)でパルプ化して精製し、ろ過し、ろ過ケーキを40℃で真空乾燥して白色の固形物GN-18(49.6g)を得た。
【0150】
MS (ESI): m/z [M + H] 理論値は、550.3であり、実測値は、550.5である。
【0151】
3、中間体TO-26-01の合成
【0152】
【0153】
(1)N雰囲気で、NC-6(1.5g、3.6mmol)、PyBOP(6.2g、12.0mmol)及びDIEA(4.75g、36mmol)をDCM(50mL)に添加して30分間撹拌し、続いて、GN-18(6.6g、12.0mmol)とDIEA(4.75g、36mmol)のDCM(50mL)溶液を滴加し、25℃で16時間撹拌し、LCMS検出によれば、原料が実質的に消費されたことを確認した。
【0154】
(2)DCM(100mL)を添加して希釈し、反応液に1N塩酸溶液(80mL×2)を添加して洗浄し、有機相を合わせて、飽和炭酸水素ナトリウム(100mL)、飽和食塩水(100mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、ろ過、濃縮して粗生成物を得た。粗生成物に対して、シリカカラムクロマトグラフィーによる精製(DCM / MeOH = 7 / 1)を行うことで、白色の固形化合物TO-26-01(4.7g、収率65%)を得た。
【0155】
MS (ESI): m/z [M/2 + H]理論値は、1004.0であり、実測値は、1004.2である。
【0156】
4、中間体TO-26(1048標的ヘッド)の合成
【0157】
【0158】
(1)TO-26-01(4.0g、2.0mmol)をメタノール(80mL)に溶解し、10%パラジウム炭素(1.0g)を添加し、Hで三回置換し、25℃で2時間撹拌し、LCMS検出によれば、原料が実質的に消失したことを確認した。
【0159】
(2)ろ過、濃縮し、DCM(20 mL)を添加して溶解し、MTBE(200 mL)に徐々に滴加し、30分間撹拌して結晶化し、吸引濾過し、白色の固形化合物TO-26(3.5g、収率91%)を得た。
【0160】
H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ 8.54 (s, 1H), 8.14 (s, 2H), 7.95-7.92 (m, 3H), 7.84 (d, J = 7.8 Hz, 3H), 5.21 (d, J = 3.4 Hz, 3H), 4.97 (dd, J = 11.2, 3.4 Hz, 3H), 4.54 (d, J = 8.5 Hz, 3H), 4.13-3.66 (m, 21H), 3.60-3.44 (m, 37H), 3.14 (d, J = 13.8 Hz, 15H), 2.31 (t, J = 6.4 Hz, 6H), 2.10 (s, 9H), 2.00 (s, 9H), 1.89 (s, 9H), 1.77 (s, 9H).
【0161】
MS (ESI): m/z [1/2M + H] 理論値は、958.9であり、実測値は、959.1である。
【0162】
5、TP-26(1048標的ヘッド結合siRNAの前駆体)の合成
【0163】
【0164】
(1)N雰囲気で、TO-26(900mg、0.47mmol)を乾燥DCM(12mL)に溶解し、DIEA(0.39mL、0.44mmol)を添加し、シリンジを利用して2-シアノエチル-N,N-ジイソプロピルクロロホスホロアミダイト(277mg、1.17mmol)の乾燥DCM(1mL)溶液を徐々に滴加し、25℃で30分間反応させ、TLC検出によれば、原料が実質的に消失したことを確認した。
【0165】
(2)飽和NaHCO(10mL)を添加してクエンチし、DCM(10mL)で希釈し、分液し、有機相を飽和NaHCO(10mL)溶液、飽和食塩水(10mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、ろ過、濃縮して粗生成物を得た。カラムクロマトグラフィーによる精製(シリカカラムを1.5%TEA/DCMによって予め塩基性化しており、DCM / MeOH / TEA = 15 / 1/ 0.1である)により、白色の固形物TP-26(600mg、収率60%)を得た。
【0166】
H NMR (400 MHz, DMSO-d6) H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ 8.15 (s, 2H), 7.94-7.81 (m, 7H), 5.22 (d, J = 3.4 Hz, 3H), 4.97 (dd, J = 11.2, 3.4 Hz, 3H), 4.55 (d, J = 8.5 Hz, 3H), 4.03 (s, 8H), 3.88 (dt, J = 11.2, 8.9 Hz, 3H), 3.81- 3.67 (m, 7H), 3.64 - 3.46 (m, 30H), 3.11 (d, J = 13.1 Hz, 19H), 2.76 (t, J = 5.9 Hz, 3H), 2.65 - 2.54 (m, 7H), 2.31 (t, J = 6.6 Hz, 7H), 2.11 (s, 9H), 2.00 (s, 9H), 1.89 (s, 9H), 1.77 (s, 9H), 1.13 (d, J = 6.8, 12H).
【0167】
31P NMR (162 MHz, DMSO-d6) δ 147.89、
【0168】
MS (ESI): m/z 1/2[M-i-PrN] 理論値は、1007.9であり、実測値は、1008.2である。
【0169】
実施例3、インビトロでの結合GalNAc標的ヘッド結合(修飾)siRNAコンジュゲートの構築
【0170】
以下のRNAi剤二本鎖のアンチセンス鎖とセンス鎖のオリゴヌクレオチド配列部分、及び標的リガンドとRNAとの連結は、いずれも、J. Org. Chem. 2012, 77, 4566―4577,Curr. Protoc. Nucleic Acid Chem., 81, e107に記載のホスホロアミダイトカップリング技術によるオリゴヌクレオチド合成用固相での合成に従う。標的リガンド1046、1048、1043はいずれも、チオリン酸エステル結合を介してsiRNAセンス鎖の5'末端に連結される。
【0171】
【0172】
【0173】
【0174】
合成されたGalNAc-siRNAコンジュゲートは、図3におけるテーブルに示すとおりである。テーブルにおける2列目のコンジュゲート構造は、3つの部分を含む。例えば、G1043-S2A2-A265の構造は、1043標的ヘッドがチオリン酸エステル結合を介して番号がA265であるsiRNAセンス鎖の5'末端に連結されることであり、S2A2は、A265に対するsiRNAの修飾タイプであり、具体的な修飾基と修飾方式は、以下のとおりである。
【0175】
核酸配列において、Aoは、アデニンヌクレオチドを表し、Uoは、ウリジンヌクレオチドを表し、Goは、グアノシンヌクレオチドを表し、Coは、シトシンヌクレオチドを表し、直接隣接するヌクレオチドの間に符号がなく、通常のリン酸エステル結合で連結されていることを示す。
【0176】
DNA:A G C T (Aは、2'-デオキシアデニンヌクレオチドを表し、Tは、2'-デオキシシチミジンヌクレオチドを表し、Gは、2'-デオキシグアノシンヌクレオチドを表し、Cは、2'-デオキシシトシンヌクレオチドを表す)。
【0177】
2'-F:aF gF cF uF (aFは、2'-フルオロアデニンヌクレオチドを表し、uFは、2'-フルオロウリジンヌクレオチドを表し、gFは、2'-フルオログアノシンヌクレオチドを表し、cFは、2'-フルオログアノシンヌクレオチドを表す)。
【0178】
2'-OMe:aM gM cM uM(aMは、2'-O-メチルアデニンヌクレオチドを表し、uMは、2'-O-メチルウリジンヌクレオチドを表し、gMは、2'-O-メチルグアノシンヌクレオチドを表し、cMは、2'-O-メチルシトシンヌクレオチドを表す)。
【0179】
*:は、チオリン酸エステル結合で連結されることを表す。
【0180】
配列におけるy、zは、標的ヘッドの位置を表す。
【0181】
実施例4:インビトロ細胞モデル(Hep 3B細胞)によるコンジュゲートの活性の試験
【0182】
ヒト肝臓癌Hep3B細胞(中国科学院上海細胞バンク)を、10%牛胎児血清(FBS)(Gibco、US)が添加されたDMEM(Gibco、US)において培養し、37℃、5% CO2の条件で培養した(il60、Thermo Fisher)。トランスフェクト実験の当日に、0.25% Trysin(Gibco、US)を用いて細胞を消化し、計数し、450μL/ウェル、5万/ウェルの密度で24ウェルプレートに接種した。続いて、lipofectmine2000(Thermo Fisher)トランスフェクト方式で、被験試料を添加した。RNAiMAX試薬マニュアルにおける標準フローに応じてトランスフェクトを行い、siRNAの最終濃度は、10nM/1nM/ 0.5nM/0.25nM/0.1nM/0.05nM/0.01nMであった。トランスフェクト群について、siNCを陰性対照とし、その配列は、以下のとおりである。
【0183】
センス鎖(sense):5'-UUCUCCGAACGUGUCACGUTT-3'
【0184】
アンチセンス鎖(antisense):5'-ACGUGACACGUUCGGAGAATT-3'。
【0185】
24h後、細胞の総RNAを抽出し、リアルタイム定量PCR(Quantitative Real-Time PCR)により、細胞におけるANGPTL3 mRNA配列の発現状況を検出し、ここで、内部標準遺伝子PPIB 、ANGPTL3の増幅に用いられるPCRプライマーは、表1に示すとおりである。
【0186】
各コンジュゲートの活性試験結果(EC50値)は、図4に示すとおりである。
【0187】
EC50値は、graphpad prismの非線形回帰によって算出され、半分のターゲットmRNA(ANGPTL3)の発現量を阻害する時のコンジュゲートの使用量を表す。
【0188】
結果から分かるように、選択されたコンジュゲートは、インビトロでの活性試験の実験において、ANGPTL3の相対的表現レベルを良好に低下させた結果が示された。
【0189】
実施例5:AAV-hANGPTL3マウスモデルの構築及び投与試験
【0190】
実験動物の基本情報は、表3に示すとおりである。
【0191】
実験動物は、済南朋悦実験動物繁殖有限公司から購入され、SPF級動物である。投与前に、上記マウスの体重を測定し、状態を観察した。体重が均一であり、状態に異常がない動物を選択して後続の実験を行った。
【0192】
表3:実験動物の基本情報
【0193】
飼育条件は、非SPF級飼育条件である。正常な飼育条件で、動物は、自由に食事して水を飲んだ。動物を購入した後、3-7日間の適応的培養を行った後に試験を開始した。
【0194】
モデル構築及び投与:各マウスに、2.5*10^11力価のウイルス溶液を、尾静脈を介して注射し、100ulとする。7日後、実験動物をランダムにグループ化し、各被験体に対して5mg/kgの用量で皮下投与した。投与してから72時間の後に、頚椎脱臼によって動物を犠牲し、肝組織を採取し、RNAの抽出と定量を行った。
【0195】
各コンジュゲートの結果は、表4に示される。
【0196】
表4:各コンジュゲートのマウスモデルへの投与の試験結果
【0197】
結果から分かるように、選択されたコンジュゲートがインビボ活性試験の実験においてもANGPTL3の相対的発現レベルを良好に低下させた結果が示される。
【0198】
本明細書の記載において、「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例」、「具体的な例」、又は「いくつかの例」などの用語に関する記載は、その実施例又は例に関連して記載される具体的な特徴、構造、材料、又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書において、上記用語の概略的な記述は、必ずしも同じ実施例又は例に向けられるものではない。そして、説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性は、いずれか1つ又は複数の実施例又は例において、適切な方法で組み合わされ得る。なお、当業者は、互いに矛盾しない限り、本明細書に記載された異なる実施例又は例及び異なる実施例又は例の特徴を結合して組み合わせることができる。
【0199】
以上において、本発明の実施例を示して記述したが、理解できるように、上記実施例は、例示的なものであり、本発明を限定するものと理解されるべきではない。当業者であれば、本発明の範囲内に上記実施例に対して変更、修正、置き換え及び変形を行うことができる。
図1
図2
図3
図4
【配列表】
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