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特許7607974トレイメイクシステム及びトレイメイク方法
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  • 特許-トレイメイクシステム及びトレイメイク方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-20
(45)【発行日】2025-01-06
(54)【発明の名称】トレイメイクシステム及びトレイメイク方法
(51)【国際特許分類】
   A61G 12/00 20060101AFI20241223BHJP
   A47G 23/10 20060101ALI20241223BHJP
【FI】
A61G12/00 B
A47G23/10
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023125227
(22)【出願日】2023-08-01
(62)【分割の表示】P 2018216453の分割
【原出願日】2018-11-19
(65)【公開番号】P2023133453
(43)【公開日】2023-09-22
【審査請求日】2023-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】309012166
【氏名又は名称】株式会社中島製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100114661
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 美洋
(72)【発明者】
【氏名】中島 弘喜
【審査官】井出 和水
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-266339(JP,A)
【文献】特開2004-067372(JP,A)
【文献】特開2002-202202(JP,A)
【文献】特開2005-267404(JP,A)
【文献】特開2018-108292(JP,A)
【文献】特開平08-335236(JP,A)
【文献】特開2009-217320(JP,A)
【文献】特開2008-132035(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 12/00
A47G 23/10
G06Q 50/22
G16H 10/00 - G16H 80/00
G06Q 50/12
B65G 1/137
G06T 7/00 - G06T 7/90
G06V 10/00 - G06V 30/424
G06K 7/10 - G06K 9/62
G07F 13/00 - G07F 15/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲食者ごとに予め定められた飲食物を盛付けた複数の食器をコンベアで搬送されるトレイに載置するトレイメイクシステムにおいて、
飲食物を盛付けた複数の食器が載置された状態の温度に対応した赤外線の画像をトレイごとに撮影し、撮影された画像から抽出された食器ごとの画像を分析し、食器ごとの飲食物の温度が適温であるか否かを確認することを特徴とするトレイメイクシステム。
【請求項2】
飲食者ごとに予め定められた飲食物を盛付けた複数の食器をコンベアで搬送されるトレイに載置するトレイメイクシステムにおいて、
飲食物を盛付けた複数の食器が載置された状態の画像と温度に対応した赤外線の画像をトレイごとに撮影し、撮影された飲食物を盛付けた複数の食器が載置された状態の画像をトレイに食器が正常に載置された状態のモデル画像と比較し、飲食者ごとに予め定められた飲食物の食器がトレイの正しい位置に載置されていることを確認するとともに、温度に対応した赤外線の画像から食器ごとの画像を抽出して分析し、食器ごとの飲食物の温度が適温であるか否かを確認することを特徴とするトレイメイクシステム。
【請求項3】
飲食者ごとに予め定められた飲食物を盛付けた複数の食器をコンベアで搬送されるトレイに載置するトレイメイク方法において、
飲食物を盛付けた複数の食器が載置された状態の温度に対応した赤外線の画像をトレイごとに撮影し、撮影された画像から抽出された食器ごとの画像を分析し、食器ごとの飲食物の温度が適温であるか否かを確認することを特徴とするトレイメイク方法。
【請求項4】
飲食者ごとに予め定められた飲食物を盛付けた複数の食器をコンベアで搬送されるトレイに載置するトレイメイク方法において、
飲食物を盛付けた複数の食器が載置された状態の画像と温度に対応した赤外線の画像をトレイごとに撮影し、撮影された飲食物を盛付けた複数の食器が載置された状態の画像をトレイに食器が正常に載置された状態のモデル画像と比較し、飲食者ごとに予め定められた飲食物の食器がトレイの正しい位置に載置されていることを確認するとともに、温度に対応した赤外線の画像から食器ごとの画像を抽出して分析し、食器ごとの飲食物の温度が適温であるか否かを確認することを特徴とするトレイメイク方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲食者ごとに予め定められた飲食物を盛付けた複数の食器をトレイに載置するトレイメイクシステム及びトレイメイク方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、病院や学校などにおいては、多数の飲食者に一斉に食事が提供される。その際には、各飲食者ごとに飲食物を盛付けた複数の食器をトレイに載置した状態で提供される。このように、飲食物を盛付けた複数の食器を飲食者ごとのトレイに載置する作業をトレイメイクと呼んでいる。
【0003】
そして、病院や学校などにおいては、飲食者各人の病状や体調や体質などに応じて、飲食者ごとに予め定められた食事を提供している。
【0004】
そのため、各飲食者ごとに予め定められた食事が情報として記載された食札が作成されており、トレイメイクする際には、作業者が各飲食者に対応した食札に記載された情報に基づいて、各飲食者ごとに異なる飲食物が盛付けられた複数の食器をそれぞれのトレイに載置する必要がある(たとえば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-108292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来のトレイメイクにおいては、各飲食者の病状や体調や体質などに応じて、予め定められた飲食物を盛付けた複数の食器をトレイに載置しなければならないために、誤って異なる飲食物を提供してしまうことがないように、トレイメイクされた後(各飲食者に配膳される前)に、トレイに誤って飲食物が載置されていないか厳重に確認する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明では、飲食者ごとに予め定められた飲食物を盛付けた複数の食器をコンベアで搬送されるトレイに載置するトレイメイクシステム又はトレイメイク方法において、飲食物を盛付けた複数の食器が載置された状態の温度に対応した赤外線の画像をトレイごとに撮影し、撮影された画像から抽出された食器ごとの画像を分析し、食器ごとの飲食物の温度が適温であるか否かを確認することにした。
【0008】
また、本発明では、飲食者ごとに予め定められた飲食物を盛付けた複数の食器をコンベアで搬送されるトレイに載置するトレイメイクシステム又はトレイメイク方法において、飲食物を盛付けた複数の食器が載置された状態の画像と温度に対応した赤外線の画像をトレイごとに撮影し、撮影された飲食物を盛付けた複数の食器が載置された状態の画像をトレイに食器が正常に載置された状態のモデル画像と比較し、飲食者ごとに予め定められた飲食物の食器がトレイの正しい位置に載置されていることを確認するとともに、温度に対応した赤外線の画像から食器ごとの画像を抽出して分析し、食器ごとの飲食物の温度が適温であるか否かを確認することにした。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、各飲食者に誤って飲食物が提供されるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係るトレイメイクシステムを示す平面説明図(a)、同側面説明図(b)。
図2】同動作説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係るトレイメイクシステム及びトレイメイク方法の具体的な構成について図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1に示すように、トレイメイクシステム1は、搬送手段2としてのベルトコンベアの下流側の端部上方に撮影手段3としてのカメラを設け、これらの搬送手段2と撮影手段3などに制御手段4としてのコントローラーを接続して、制御手段4によって搬送手段2や撮影手段3などの駆動を制御している。
【0013】
そして、トレイメイクシステム1では、各飲食者に提供されるトレイ5を搬送手段2によって上流側から下流側へ搬送し、搬送途中において作業者が各トレイ5に載置された食札6に掲載されている情報に基づいて各飲食者ごとに予め定められた飲食物を盛付けた食器7~11を各トレイ5に載置するトレイメイクが行われ、搬送手段2の下流側の端部において各食札6に掲載されている情報に基づいて各トレイ5の状態を確認し、正常なトレイ5のみを搬送カートなどを用いて各飲食者に提供するようにしている。
【0014】
搬送手段2は、上流側の端部から下流側の端部へ向けてトレイ5を搬送する。各トレイ5には、各飲食者ごとの食札6が載置される。各食札6には、飲食者を特定する情報や、その飲食者に予め定められた食事を特定する情報(食器7~11の種類や個数や配置などの情報)などが掲載されている。なお、食札6には、情報が文字で直接的に記載されている場合に限られず、情報を制御手段4で認識できるコード等のデータで間接的に記載されている場合も含まれる。
【0015】
作業者は、搬送手段2でトレイ5が上流側から下流側へ搬送される間に、各トレイ5に載置された食札6にしたがって各飲食者ごとに予め定められた飲食物を盛付けた食器7~11を予め定められた配置で各トレイ5に載置していく。
【0016】
そして、搬送手段2の下流側の端部では、撮影手段3によって各トレイ5ごとに各トレイ5に載置された食札6や食器7~11を撮影する。
【0017】
撮影手段3は、各トレイ5ごとに画像を取得することができるものであればよく、1台のカメラで各トレイ5の全体を撮影してもよく、また、複数台のカメラで各トレイ5の全体を撮影してもよい。また、撮影手段3は、通常の画像を撮影するカメラだけでなく、通常のカメラよりも高倍率で顕微鏡画像を撮影するカメラや、温度に対応した赤外線の画像を撮影するカメラなどを併せて用いることもできる。
【0018】
制御手段4は、搬送手段2を制御してトレイ5を上流側から下流側へ向けて搬送させるとともに、搬送手段2の下流側の端部まで搬送された各トレイ5を撮影手段3で撮影させる。
【0019】
そして、制御手段4は、図2に模式的に示すように、飲食物を盛付けた複数の食器7~11が載置された状態の画像をトレイ5ごとに撮影し、撮影された画像12を分析し、飲食者ごとに予め定められた飲食物がトレイ5に載置されていることを確認し、トレイ5に飲食物が正常に載置されていないと判断した場合には、報知手段を用いて作業者に通知する。これにより、トレイメイクシステム1では、作業者の目視による確認に加えて機械的な確認を行うことができ、各飲食者に誤って飲食物が提供されるのを防止することができる。
【0020】
その際に、制御手段4は、撮影手段3で撮影された画像12から食札6の画像13と食器7~11ごとの画像14~18を抽出し、食札6の画像13や各食器7~11ごとの画像14~18に基づいて飲食者ごとに予め定められた飲食物がトレイ5に載置されていることを確認する。
【0021】
たとえば、制御手段4は、画像12から食札6や食器7~11の形状や色などに基づいて食札6の画像13と食器7~11ごとの画像14~18を抽出する。
【0022】
また、制御手段4は、食札6の画像13から食札6に掲載されている情報を認識し、データーベースなどを利用して飲食者ごとに予め定められた情報を取得する。この飲食者ごとに予め定められた情報には、トレイ5に食器7~11が正常に載置された状態のモデル画像19や、各食器7~11ごとに飲食物が正常に盛付けられた状態のモデル画像20~24が含まれている。
【0023】
そして、制御手段4は、トレイ5の全体を撮影した画像12とトレイ5に食器7~11が正常に載置された状態のモデル画像19とを比較することで、トレイ5に食器7~11が過不足なく正しい位置に載置されているか否かを判断することができる。
【0024】
また、制御手段4は、各食器7~11ごとの画像14~18と各食器7~11ごとに飲食物が正常に盛付けられた状態のモデル画像20~24とを比較することで、各食器7~11に誤りや過不足がないか否かを判断することができる。
【0025】
なお、制御手段4は、トレイ5の全体を撮影した画像12やそれから抽出された各食器7~11ごとの画像14~18を解析することで、各食器7~11ごとの飲食物の盛付け状態(色彩や形状や量などの状態)や異物の混入の状態や、各食器7~11ごとの汚れや破損の状態などをも確認することができる。また、制御手段4は、高倍率又は高解像度で撮影された飲食物の画像を用いれば、飲食物に菌等が繁殖していないかなどをも確認することができる。さらに、制御手段4は、赤外線を撮影した画像を用いれば、飲食物の温度が適温であるか否かや、再加熱の有無やその際の温度設定などをも確認することができる。
【0026】
そして、制御手段4は、各トレイ5ごとに食器7~11の過不足や誤配置や飲食物の状態などを確認した後に、報知手段を用いて作業者に報知する。なお、上記トレイメイクシステム1では、食器7~11の過不足や誤配置や飲食物の状態などの誤りを通知するだけでなく、食札6から得られた情報に基づいて、飲食者ごとにアレルギー等の注意事項などをトレイメイクの作業者に報知して作業者の注意を喚起することもできる。また、上記トレイメイクシステム1では、搬送手段2の下流側の端部に撮影手段3を配置してトレイメイク後のトレイ5を撮影しているが、これに限られず、搬送手段2の上流側等に撮影手段3を配置して、トレイメイク前やトレイメイク中のトレイ5を撮影して、食札6から得られる情報に基づいて飲食者ごとにアレルギー等の注意事項や食器7~11の配置位置等の注意事項などを作業者に報知してもよい。
【0027】
以上に説明したように、上記トレイメイクシステム1やそこで行われるトレイメイク方法では、飲食物を盛付けた複数の食器7~11が載置された状態の画像12をトレイ5ごとに撮影し、撮影された画像12を分析し、飲食者ごとに予め定められた飲食物がトレイ5に載置されていることを確認する構成となっている。
【0028】
そのため、上記構成のトレイメイクシステム1やトレイメイク方法では、作業者の目視による確認に加えて機械的な確認を行うことができるので、各飲食者に誤って飲食物が提供されるのを防止することができる。
【0029】
また、上記トレイメイクシステム1やトレイメイク方法では、撮影された画像12から食器7~11ごとの画像14~18を抽出し、各食器7~11ごとの画像14~18に基づいて飲食者ごとに予め定められた飲食物がトレイ5に載置されていることを確認する構成となっている。
【0030】
そのため、上記構成のトレイメイクシステム1やトレイメイク方法では、各食器7~11ごとに各飲食者に誤って飲食物が提供されるのを防止することができ、また、各食器ごとに異物の混入や盛り付けの不具合なども併せて確認することができる。
【0031】
さらに、上記トレイメイクシステム1やトレイメイク方法では、飲食者ごとに作成された食札6をトレイ5に載置し、食札6の画像13をトレイ5ごとに撮影し、撮影された画像13を分析し、飲食者ごとに予め定められた飲食物がトレイ5に載置されていることを確認する構成となっている。
【0032】
そのため、上記構成のトレイメイクシステム1やトレイメイク方法では、食札6に掲載された各飲食者ごとに予め定められた飲食物の情報を自動的に取得することができ、各飲食者に誤って飲食物が提供されるのをより一層確実に防止することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 トレイメイクシステム 2 搬送手段
3 撮影手段 4 制御手段
5 トレイ 6 食札
7~11 食器 12~18 画像
19~24 モデル画像
図1
図2