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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-20
(45)【発行日】2025-01-06
(54)【発明の名称】ホルスター
(51)【国際特許分類】
   F41C 33/02 20060101AFI20241223BHJP
【FI】
F41C33/02
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2024023086
(22)【出願日】2024-02-19
【審査請求日】2024-02-19
(73)【特許権者】
【識別番号】592174659
【氏名又は名称】有限会社佐野機工
(74)【代理人】
【識別番号】100200632
【弁理士】
【氏名又は名称】若▲崎▼ 義和
(72)【発明者】
【氏名】佐野 仗▲みつ▼
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05918784(US,A)
【文献】米国特許第05018654(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2023/0296350(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2023/0266099(US,A1)
【文献】特開2020-122617(JP,A)
【文献】米国特許第05961013(US,A)
【文献】米国特許第05284281(US,A)
【文献】米国特許第05100036(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F41C 33/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリガーとトリガーガードとを有する拳銃を収納するホルスターであって、
前記拳銃のグリップ以外を収納するホルスター本体と、
当該ホルスター本体に挿入された前記拳銃の前記トリガーガードの銃口側と当接する位置に設けた前面バネ式凸部と、
当該前面バネ式凸部に前記トリガーガードが当接した状態において、当該トリガーガードの両側面を挟む位置にあって、当接する前記トリガーガードの幅に合わせて伸縮する一対の側面バネ式凸部と、
前記トリガーガードの銃口側内面と係合し前記拳銃が抜かれる方向への移動を阻止する係合爪と当該係合を解除する解除レバーと前記係合爪と前記解除レバーとの間にある枢軸とを有するラッチ装置とを備え、
前記拳銃が挿入されたときに、前記前面バネ式凸部と前記係合爪とが前記トリガーガードの銃口側部分を挟み付けるとともに、一対の前記側面バネ式凸部が前記トリガーガードの幅に合わせて伸縮して側面を両側から挟み付けることを特徴とするホルスター。
【請求項2】
前記トリガーガードが前記前面バネ式凸部と当接しているとき、当該トリガーガードの底面と当接して、当該底面からの圧力に応じて伸縮する底面バネ式凸部をさらに前記ホルスター本体の内面に有する
ことを特徴とする請求項1に記載のホルスター。
【請求項3】
前記側面バネ式凸部は収納対象機種の拳銃が収納された状態での前記トリガーの先端よりも銃口側に位置し、かつ前記底面バネ式凸部は前記側面バネ式凸部よりもホルスター本体の開口部側に位置する
ことを特徴とする請求項2に記載のホルスター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はホルスターに関し、特にホルスター内に拳銃を固定するラッチ装置を備えたホルスターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ラッチ装置を備えたホルスターとしては、例えば、特許文献1に記載されているようなものがあった。図12は、特許文献1に記載された従来のホルスターを示すものである。
【0003】
図12に示すホルスターは迅速に拳銃を解除するラッチ装置を有するものであって、そのラッチ装置は拳銃を保持するための係止面45を有する係合端部42と指押しボタン端部44とを有するレバー43を備えていた。その係合端部42はトリガーガードと係合することによってホルスター内の拳銃を保持するための係合面45を有していた。外壁47は拳銃がホルスターに挿入できる距離を制限することによって係合端部を拳銃のトリガーに触れることから防いでいた。支持壁48とガイド壁49によって、レバーに対する横方向の動きを制限することによってトリガーガードとロック面の位置合わせが容易になっていた。迅速な解除操作は、指押しボタン端部44が押されたときにバネ式の舌部41がロックポイントを越えて外方へ動かすことによってなされていた。
【0004】
これにより、ホルスターは拳銃を挿入しているときは抜けないように保持し、抜出すときは迅速に拳銃をホルスター40から取り出すことができた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第5918784号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ホルスターは携行者が激しく動いたとしても、少しのがたつきもなく拳銃を保持する必要があるため、拳銃の機種ごとに専用のホルスターを製作する必要があるという課題を有していた。
【0007】
本発明は、上記従来の課題を解決するためになされ、その目的とするところは、サイズ等が多少異なる機種の拳銃であっても、拳銃が内部でがたつくことなく保持可能なホルスターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のホルスターは、トリガーとトリガーガードとを有する拳銃を収納するものであって、拳銃のグリップ以外を収納するホルスター本体と、当該ホルスター本体に挿入された拳銃のトリガーガードの銃口側と当接する位置に設けた前面バネ式凸部と、当該前面バネ式凸部にトリガーガードが当接した状態において、当該トリガーガードの両側面を挟む位置にあって、当接するトリガーガードの幅に合わせて伸縮する一対の側面バネ式凸部、トリガーガードの銃口側内面と係合し拳銃が抜かれる方向への移動を阻止する係合爪と当該係合を解除する解除レバーと係合爪と解除レバーとの間にある枢軸とを有するラッチ装置とを備え、拳銃が挿入されたときに、前面バネ式凸部と係合爪とがトリガーガードの銃口側部分を挟み付けるとともに、一対の側面バネ式凸部がトリガーガードの幅に合わせて伸縮して側面を両側から挟み付けることを特徴とする。
【0009】
これによれば、本発明のホルスターは拳銃を抜き差し方向、左右方向、抜き差し方向を中心軸とする回転方向のすべての動きを規制するので、形状や大きさが多少異なる複数の機種の拳銃でもホルスター本体により上下方向の動きを規制された拳銃であればどの方向にもがたつくことなく、固定することができる。
また、前面バネ式凸部と側面バネ式凸部が伸縮するので、トリガーガードの大きさや形状が多少異なる機種でも、トリガーガードを挟み付けて固定できるので、収納された拳銃をがたつくことなく保持することが可能である。
【0010】
また、本発明のホルスターは、トリガーガードが前面バネ式凸部と当接しているとき、当該トリガーガードの底面と当接して、当該底面からの圧力に応じて伸縮する底面バネ式凸部をさらにホルスター本体の内面に有する。
【0011】
これによれば、底面バネ式凸部が伸縮して拳銃のトリガーガードの底面を押し上げる一方、拳銃のシリンダーや銃身などの上面がホルスターと当接し、これらにより拳銃を上下で挟み固定するので、シリンダーがホルスター本体に篏合しない拳銃であっても、トリガーガードの銃口側部分と側面の固定とにより、拳銃の抜き差し方向、上下方向、左右方向、抜き差し方向を中心軸とする回転方向のすべての方向へのがたつきを防止することができる。
【0012】
また、本発明のホルスターの側面バネ式凸部は、収納対象機種の拳銃が収納された状態でのトリガーの先端よりも銃口側に位置し、かつ底面バネ式凸部は側面バネ式凸部よりもホルスター本体の開口部側に位置する。
【0013】
これによれば、収納される拳銃のトリガーがホルスターの側面バネ式凸部と当接することがない。加えて、底面バネ式凸部がトリガーガードを所定の範囲の高さに保つので側面バネ式凸部が確実にトリガーガードの側面を固定でき、収納対象機種と異なる拳銃であってもがたつきなく、安全に保持することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、拳銃のサイズが若干異なる複数の機種の拳銃であっても、一つのホルスターで拳銃をがたつきなく収納することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態1におけるホルスターに拳銃を収納した状態を示す図
図2】(a)本発明の実施の形態1のホルスター本体の右斜視図、(b)本発明の実施の形態1のホルスター本体の左斜視図
図3】(a)本発明の実施の形態1のラッチ装置の操作側からの斜視図、(b)本発明の実施の形態1のラッチ装置の取り付け面側からの斜視図
図4】本発明の実施の形態1のホルスターの内部を説明するために一部を切り取った斜視図
図5】(a)本発明の実施の形態1におけるホルスターに拳銃を挿入したときのラッチ装置による固定前の状態の正面図、(b)ホルスターに拳銃を挿入したときのラッチ装置による固定状態時の正面図
図6】(a)図5(a)のA-A断面図、(b)図5(a)の状態から拳銃のトリガーガードが係合爪を押し始めた時点の状態を示すA-A断面図、(c)図5(b)のA-A断面図、(d)図5(b)の状態からラッチ装置の解除レバーを押し下げて拳銃のトリガーガードがラッチ装置の係合爪から解放された状態を示すA-A断面図
図7】(a)本発明の実施の形態1のホルスターに収納対象機種の拳銃を収納したときのトリガーガードの固定状態を説明する拡大正面断面図、(b)装着対象機種の拳銃と異なる形状のトリガーガードを有する拳銃を装着したときのトリガーガードの固定状態を説明する拡大正面断面図
図8】本発明の実施の形態2のホルスターの内部を説明するために一部を切り取った斜視図
図9】本発明の実施の形態2のホルスター本体の右斜視図、(b)本発明の実施の形態2のホルスター本体の左斜視図
図10】(a)本実施の形態2のホルスターのトリガーガード固定部材の平面図、(b)図10(a)のB-B断面図、(c)本実施の形態2のホルスターのトリガーガード固定部材の右側面図
図11】(a)本発明の実施の形態2のホルスターに収納対象機種の拳銃を収納したときのトリガーガードの固定状態を説明する拡大正面断面図、(b)収納対象機種の拳銃と異なる形状のトリガーガードを有する拳銃を収納したときのトリガーガードの固定状態を説明する拡大正面断面図
図12】従来のラッチ装置付きホルスターを示す図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を図面を用いて詳細に説明する。
【0017】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態のホルスターに拳銃を収納した状態を示す図であり、挿入した拳銃部分を破線で示している。
【0018】
図1において、ホルスター10は、拳銃30のグリップ31を除く部分を収納するホルスター本体11にラッチ装置20が取り付けられている。
【0019】
また、ホルスター本体11のシリンダー保持部12は収納対象機種の拳銃、本実施の形態ではリボルバーであるが、それのシリンダー形状に合わせて成形されている。
【0020】
図2(a)、(b)はホルスター本体11のシリンダー保持部12の内面を説明するための図であり、収納対象機種の拳銃のシリンダー部分34がこのシリンダー保持部12と篏合するようにストッパー14、15が上下に付され、さらにそれぞれが左右の内面に付されている。これにより収納された拳銃の上下方向と左右方向(幅方向)の動きを規制する。なお、シリンダー保持部12はホルスター10からの拳銃の抜き差しがし易いようにシリンダー34と緩やかに篏合する。
【0021】
また、窓13は次に説明するラッチ装置20の取り付け位置に開けられている。
図3はラッチ装置20の斜視図であり、図3(a)は解除レバー22の操作面側から見た斜視図であり、図3(b)はホルスター本体への取り付け面側から見た斜視図である。
【0022】
図3(a)、(b)において、ラッチ装置20はラッチベース21と解除レバー22と係合部23と板バネ25と枢軸24からなる。解除レバー22と係合部23とは一体物であり、係合部23の先端には解除レバー22の操作面と反対側に係合爪231が付されている。
【0023】
ラッチベース21はホルスター本体11への取付け面と平行に枢軸24を軸止しており、解除レバー22と係合部23との一体物がこの枢軸24を中心に揺動可能となっている。
【0024】
また、この係合爪231には差し込み孔が設けてあり、ラッチベース21の取付け面に張り付けた板バネ25の舌片251が図3(b)に示すように係合爪231の差し込み孔に挿入されている。この板バネ25はステンレス製であり、板厚は0.2ミリメートルである。これにより、係合爪231はホルスター本体内側へ常に付勢され、係合爪231がホルスター本体11の窓13から内部へ突き出た状態を維持する。一方、解除レバー22の操作面を押し下げると、係合爪231は板バネ25の舌片251を変形させながら持ち上げられる。
【0025】
また、係合爪231の枢軸側は先端に向けて細くなるテーパ状の傾斜が付けられており、反対側は垂直面になっている。このため、係合爪231の傾斜面に対してラッチベース21の取り付け面と平行の力が加わると、係合爪231は枢軸24を中心に回動してラッチベース21側へ上昇するが、垂直面に対して取り付け面と平行に加圧されると、枢軸24がその圧力に抗し係合爪231はその位置に留まる。
【0026】
図4はホルスターの内部を説明するために一部を切り取った斜視図である。
【0027】
図4において、ホルスター本体11の内側底面には拳銃のトリガーガードを固定するためのトリガーガード固定部材12が取り付けられている。また、図示していないラッチベース20に取り付けられた係合部23の係合爪231は、前述したように定常状態でホルスター本体の窓13から内側に入り込んでいる。
【0028】
このトリガーガード固定部材12には、前面バネ式凸部121と一対の側面バネ式凸部122a、122bとが形成されている。そして、このトリガーガード固定部材12はポリアミド製で可撓性があり、前面バネ式凸部121は拳銃の挿入方向からの加圧を受けて最大約2ミリメートル押し込まれる変形が可能であり、加圧が解除されると元の位置まで復元する。
【0029】
また、前面バネ式凸部121は係合爪231と対になって挿入された拳銃のトリガーガードを挟み付けられるように係合爪231より前方(ホルスター奥側)に位置し、前面バネ式凸部121の中央の高さは係合爪231の中央の高さと同じ位置にある。
【0030】
一対の側面バネ式凸部122a、122bは、それぞれ最大約2ミリメートル、合計最大約4ミリメートルまで両者の間隔が圧力を受けて押し広げられる変形が可能であり、加圧が解除されると元の位置まで復元する。
【0031】
また、一対の側面バネ式凸部122a、122bは挿入された拳銃のトリガーガードの幅に合わせて伸縮して両側面から挟み付けるものであり、前面バネ式凸部121の先端よりも後方(ホルスター開口側)であるが、トリガーの先端よりも銃口側に位置し、縦方向の長さは係合爪231の最下部分より低い位置からホルスターの内側底面近くまである。
【0032】
また、横方向の長さは拳銃のトリガーガードの銃口側前面からトリガー先端までの長さより短い。これにより、側面バネ式凸部が拳銃のトリガー32に接触することはないので安全を保つことができる。
【0033】
次に、以上のように構成されたホルスター10に拳銃を挿入し固定されるまでのラッチ装置と前面バネ式凸部、側面バネ式凸部の動作について図面を用いて説明する。
【0034】
図5は、拳銃をホルスターに収納するときの拳銃と前面バネ式凸部と側面バネ式凸部とラッチ装置の動作を説明するためにホルスター本体を透視した正面図であり、図5(a)は拳銃のトリガーガードがラッチ装置の係合爪や前面バネ式凸部や側面バネ式凸部に接触する前の状態であり、図5(b)は拳銃のトリガーガードがラッチ装置の係合爪と前面バネ式凸部と側面バネ式凸部とにより固定された状態である。なお、図において、ラッチ装置のラッチベースは図示しておらず、ホルスター本体11を破線で示している。
【0035】
また、図6図5(a)、(b)に記載のA-A切断線で切断したときの断面図であり、図6(a)は拳銃のトリガーガードがラッチ装置の係合爪や前面バネ式凸部や側面バネ式凸部に接触する前の状態であり、図6(b)は拳銃のトリガーガードが係合爪を押し始めた時点の状態であり、図6(c)は拳銃のトリガーガードがラッチ装置の係合爪と前面バネ式凸部と側面バネ式凸部とにより固定された状態であり、図6(d)はラッチ装置の解除レバーを押し下げて拳銃のトリガーガードがラッチ装置の係合爪から解放された状態である。なお、図において、拳銃はトリガーガードとトリガーを除いて外形線を破線で示しており、ホルスター本体は省略している。
【0036】
図5(a)および図6(a)に示すように、拳銃がホルスターに挿入開始された時点では、トリガーガード固定部材12の前面バネ式凸部121と一対の側面バネ式凸部122a、122bは加圧されていない状態にあり、係合爪231は板バネ25に付勢されてホルスターの内側に入り込んでいる。
【0037】
次に、拳銃がさらに挿入されトリガーガード33の銃口側前面が係合爪231の傾斜面と当接すると、図6(b)に示すようにその傾斜により係合爪231はホルスターの外側方向へ押し出される。また、一対の側面バネ式凸部122a、122bは図のようにトリガーガード33の幅に合わせて押しつぶされるように変形し、トリガーガード33の両側面を挟み付ける。
【0038】
次に、さらに拳銃が挿入されると、係合爪231が完全に押し出されてトリガーガード33の前面が前面バネ式凸部121に当接し、そのまま押し続けると前面バネ式凸部121は押しつぶされて変形し、トリガーガード33はさらに前方へ移動する。このとき、バネ板の舌片251により付勢された係合爪231が、トリガーガード33の内側に入り込む。
【0039】
この時点で、拳銃を押し込むのをやめると図6(c)に示すように押しつぶされて変形していた前面バネ式凸部121がトリガーガード33を押し返して係合爪231の垂直面との間でトリガーガード33を挟み付けて固定する。また、トリガーガード33の両側面は引き続き側面バネ式凸部122a、122bにより挟み付けられ、幅方向への動きも固定される。
【0040】
この状態で拳銃を引き抜こうとしても、係合部23が枢軸24によりトリガーガード33の引き抜き方向への移動を止めるため引き抜くことはできない。
【0041】
次に、図6(d)に示すように、ラッチ装置の解除レバー22が押し下げられると係合部23が枢軸24を中心に回転してトリガーガード33の内側から係合爪231が外れる。
【0042】
これにより、拳銃30をホルスターの中から引き抜くことが可能になる。
【0043】
以上説明したように、収納対象機種の拳銃が本実施の形態のホルスターに挿入されると、拳銃のシリンダーと篏合したホルスター本体のシリンダー保持部12がホルスター内の拳銃の左右方向(ホルスターの幅方向)および上下方向への動きを規制し、また、前面バネ式凸部121と係合爪231とが拳銃の抜き差し方向への動きを規制し、一対の側面バネ式凸部122a、122bが幅方向とシリンダーの中心を軸とする回転方向について動きを規制する。
【0044】
これらにより、 本実施の形態のホルスターは拳銃の抜き差しをし易くするためにホルスターと拳銃のシリンダーとの篏合が緩いものであっても、収納した拳銃をがたつくことなく保持することができる。
【0045】
そして、本実施の形態のホルスターにおいては、収納対象機種以外のサイズの多少異なる拳銃であっても、がたつきなく保持することが可能である。以下にその点について説明する。
【0046】
図7は拳銃のトリガーガードの形状や大きさが収納対象機種のものと異なる拳銃の固定状態を説明するための部分拡大図であり、トリガーガードの幅方向の中心を通る切断線で切断したときの断面を示す。
【0047】
図7(a)は、収納対象機種の拳銃のトリガーガードがラッチ装置と前面バネ式凸部と側面バネ式凸部により固定された状態であり、図7(b)は、トリガーガードの形状が収納対象機種のものと異なるトリガーガードが固定された状態を示している。
【0048】
これらの図に示すようにトリガーガード33の形状が異なった機種の拳銃であっても側面バネ式凸部を前面バネ式凸部の近傍に設けることで、前面バネ式凸部121と係合爪231との固定位置が基準となり、その基準からの位置関係のみでトリガーガードを挟み付ける位置が決まるため、トリガーガードの形状が違うものでも、トリガーガードの銃口側部分の形状による位置のずれが生じにくく、一対の側面バネ式凸部122a、122bのいずれかの部分が当該トリガーガードの側面を確実に挟み付けることができる。
【0049】
また、トリガーガード33の幅が対象機種のものより多少異なっている機種の拳銃であっても、一対の側面バネ式凸部のバネ機能により間隔が拡縮可能なので、トリガーガードの側面を確実に挟み付けることができる。
【0050】
このように、拳銃のトリガーガードの形状や大きさが収納対象機種のものと異なっていても、前面バネ式凸部と係合爪と一対の側面バネ式凸部とがトリガーガードを固定するので、収納された拳銃が抜き差し方向、幅方向、上下方向、抜き差し方向を中心軸とする回転方向のすべてにおいてがたつきなく保持することができる。
【0051】
また、拳銃のトリガーガードの形状や大きさの相違に限らず、シリンダーのサイズが同じであって、ホルスター本体に銃身とトリガーガードを収納でき拳銃であれば、その他のサイズや形状が異なっていてもがたつきなく保持することができる。
【0052】
なお、本実施の形態では、ホルスター本体のシリンダー保持部において、上下左右各1つのストッパーが拳銃のシリンダーと緩く篏合したが、これに限らずホルスター本体内での上下方向の拳銃の動きを規制するものであればよく、シリンダーを固定するものに限られない。
【0053】
(実施の形態2)
図8は、本発明の第2の実施の形態におけるホルスターの内部を説明するために一部を切り取った斜視図であり、図9(a)、(b)はそのホルスター本体のシリンダー保持部の内面を説明する図である。
【0054】
実施の形態1の構成と異なるところは、図8においてホルスター本体11に付されたトリガーガード固定部材12に底面バネ式凸部123が追加されている点と、図9(a)、(b)においてシリンダー保持部内面にストッパー14のみが左右に一対付されている点である。
【0055】
図8に示すように、底面バネ式凸部123は前面バネ式凸部と拳銃のトリガーガードが当接しているとき、当該トリガーガードの底面と当接する位置にある。
【0056】
また、図9に示すように、シリンダー保持部12に付されたストッパー14は収納される拳銃のシリンダーの上方の円周面と当接する位置のみにある。このため、本実施の形態におけるホルスター本体11のシリンダー保持部12は拳銃のシリンダーを緩く篏合し、上下左右方向を規制するのではなく、収納した拳銃の上方向への移動のみを規制する。
【0057】
次に、底面バネ式凸部123が追加されたトリガーガード固定部材12について図面を用いて詳細に説明する。
【0058】
図10は上記した本実施の形態のトリガーガード固定部材12を示す図であり、図10(a)はその平面図であり、図10(b)は平面図(a)に記したB-B切断線で切断した正面断面図であり、図10(c)は右側面図である。
【0059】
追加された底面バネ式凸部123も前面バネ状凸部121や側面バネ状凸部122a、122bと同様にバネ機能により伸縮可能であり、拳銃のトリガーガードからの下方への圧力を受けて最大約3ミリメートル押し下げられる変形が可能であり、加圧が解除されると元の位置まで復元する。
【0060】
また、底面バネ式凸部123の高さは最も押しつぶされた状態でも側面バネ式凸部122a、122bの最下部の高さ以上を維持する。
【0061】
このように、本実施の形態では底面バネ状凸部123がトリガーガードの底部を下方から支えて押し上げる力を加える一方で、シリンダー保持部12のストッパー14による拳銃のシリンダーへの上方からの下向きの圧力を加えるので拳銃を上下から固定している。
【0062】
さらにまた、実施の形態1と同様に、前面バネ状凸部121と係合爪231とで拳銃のトリガーガードの前面を固定し、側面バネ状凸部122a、122bがトリガーガードの側面を固定する。
【0063】
ここで、本実施の形態におけるトリガーガード固定部材12が拳銃のトリガーガードを固定する状態を説明する。
【0064】
図11(a)は収納対象機種の拳銃の固定状態を説明するための部分拡大図であり、トリガーガードの幅方向の中心を通る切断線で切断したときの断面を示す。
【0065】
図11(b)は、トリガーガードの形状が収納対象機種のものと異なる拳銃のトリガーガードの固定状態を説明する部分拡大図であり、同様に断面を示している。
【0066】
図11(a)と図11(b)に示すように、本実施の形態においては、拳銃のホルスター内での上下方向の高さは底面バネ状凸部123により決まる。
【0067】
すなわち、前面バネ状凸部121と係合爪231とでトリガーガードの前面を挟み付けたときに、底面バネ状凸部123がトリガーガードの底面を下方から支えてトリガーガードの底部の高さを前述したように側面バネ状凸部122a、122bの最下部以上に保つ。また、一対の側面バネ状凸部122a、122bは底面バネ状凸部123の近傍にあるので、側面バネ状凸部の上下(縦)間のいずれかの位置でトリガーガードの側面を挟むことができる。そしてまた、この一対の側面バネ状凸部122a、122bが前面バネ状凸部121の近傍にもあるため、前面バネ式凸部121と係合爪231との固定位置からの位置関係のみでトリガーガードを挟み付ける位置が決まる。
【0068】
このため、一対の側面バネ状凸部122a、122bは、トリガーガードの形状が収納対象機種のものと異なっても、トリガーガードの側面を一対の側面バネ状凸部122a、122bのいずれかの部分で挟み付けることができる。
【0069】
また、実施の形態1と同様に、トリガーガードの幅が収納対象機種のものと多少異なっても、一対の側面バネ式凸部のバネ機能により両者間が拡縮可能なので、トリガーガードの側面を確実に挟み付けることができる。
【0070】
以上の通り、本実施の形態におけるホルスターは、挿入された拳銃を抜き差し方向、上下方向、左右方向、そして、シリンダーの中心を軸とする回転方向のすべての方向について動きを規制し、がたつくことなく収納対象機種の拳銃やそれとサイズの多少異なる拳銃を保持することができる。
【0071】
なお、本実施の形態のホルスターは、実施の形態1で示したようなシリンダーのサイズが同一であるが収納対象機種とはサイズや形状が異なった拳銃の他に、シリンダー保持部と拳銃のシリンダーとが篏合しない機種の拳銃であっても、拳銃の上方への移動を規制することができれば、底面バネ式凸部との間で上下方向の動きを規制するので、ホルスター本体にグリップ以外を収納できる拳銃であれば、ホルスター内でその拳銃をすべての方向へのがたつきなく固定することができる。
【0072】
なお、本実施の形態では、ホルスター本体のシリンダー保持部において、上方向への動きを規制する左右一対のストッパーが拳銃のシリンダーの上側の円周面と当接するが、これに限らずホルスター内での上方向の拳銃の動きを規制するものであればよく、シリンダーを固定するものに限られない。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明はホルスターに拳銃をがたつきなく収納するのに有用であり、サイズ等の多少異なる拳銃を一つのホルスターで収納可能にするのに適している。
【符号の説明】
【0074】
10 ホルスター
11 ホルスター本体
12 シリンダー保持部
13 窓
14、15 ストッパー
20 ラッチ装置
21 ラッチベース
22 解除レバー
23 係合部
24 枢軸
25 板バネ
27 ロック用固定軸
30 拳銃
31 グリップ
32 トリガー
33 トリガーガード
34 シリンダー
40 ホルスター
41 舌部
42 係合端部
43 レバー
44 指押しボタン端部
45 係止面
46 掛け金装置
47 外壁
48 支持壁
49 ガイド壁
121 前面バネ式凸部
122 側面バネ式凸部
123 底面バネ式凸部
231 係合爪
251 舌片
【要約】
【課題】 サイズや形状等が多少異なる複数機種の拳銃をがたつきことなく保持可能なホルスターを提供すること。
【解決手段】 拳銃のグリップ以外を収納するホルスター本体と、当該ホルスター本体内に挿入された拳銃のトリガーガードの銃口側と当接する位置に設けた前面バネ式凸部と、トリガーガードが当接した状態にあって、トリガーガードの幅に合わせて伸縮する一対の側面バネ式凸部と、トリガーガードの銃口側内面と係合する係合爪とそれを解除する解除レバーと係合爪と解除レバーとの間にある枢軸とを有するラッチ装置とを備え、拳銃が挿入されたときに、前面バネ式凸部と係合爪とがトリガーガードの銃口側部分を挟み付けるとともに、一対の側面バネ式凸部がトリガーガードの幅に合わせて側面を両側から挟み付けることにより、トリガーガードの大きさや形状が多少異なる機種でもがたつきなく保持する。
【選択図】 図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12