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<図1A>
  • 特許-自動洗浄装置 図1A
  • 特許-自動洗浄装置 図1B
  • 特許-自動洗浄装置 図2
  • 特許-自動洗浄装置 図3
  • 特許-自動洗浄装置 図4A
  • 特許-自動洗浄装置 図4B
  • 特許-自動洗浄装置 図5
  • 特許-自動洗浄装置 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-20
(45)【発行日】2025-01-06
(54)【発明の名称】自動洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/14 20060101AFI20241223BHJP
   A47J 27/00 20060101ALI20241223BHJP
【FI】
A47J27/14 Z
A47J27/00 102
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2024066431
(22)【出願日】2024-04-16
【審査請求日】2024-08-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519020616
【氏名又は名称】TechMagic株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002343
【氏名又は名称】弁理士法人 東和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】馬渡 祥平
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2023/0061171(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第116114839(CN,A)
【文献】中国実用新案第217451357(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第103126513(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109106201(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110710862(CN,A)
【文献】中国実用新案第214595457(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/14
A47J 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器保持ユニットに保持された有底円筒状の調理容器を洗浄時に真上に配置したシンク内の洗浄ユニットで前記調理容器の内面を自動洗浄する自動洗浄装置であって、
前記洗浄ユニットが、前記調理容器の内周面に向けて濯ぎ水を噴出する周面洗浄ノズルと、前記調理容器の内底面に向けて濯ぎ水を噴出する底面洗浄ノズルと、前記調理容器の内周面と内底面とを繋ぐ内側傾斜面に向けて濯ぎ水を噴出する傾斜面洗浄ノズルとを備え、
前記シンク内に自転する前記調理容器に付着した汚れを剥離するスクレイパーが、前記周面洗浄ノズルの濯ぎ水噴出方向と逆方向の領域に配置され、
前記スクレイパーの汚れ付着面が、前記底面洗浄ノズルの濯ぎ水噴出範囲に位置していることを特徴とする自動洗浄装置。
【請求項2】
前記容器保持ユニットが、前記調理容器を上下に反転させた状態で自転自在に支持し、
前記周面洗浄ノズル、前記底面洗浄ノズルおよび前記傾斜面洗浄ノズルが、上下方向に濯ぎ水を扇状に噴出し、
前記周面洗浄ノズル、前記底面洗浄ノズルおよび前記傾斜面洗浄ノズルによる濯ぎ水の噴出方向が、前記容器保持ユニットにより自転する前記調理容器の自転方向と交叉していることを特徴とする請求項1に記載の自動洗浄装置。
【請求項3】
前記洗浄ユニットが、前記調理容器の内面に向けて洗浄液を噴出する洗浄液ノズルを備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の自動洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有底円筒状の調理容器を自動洗浄する自動洗浄装置に関し、特にシンク内に自転する調理容器に付着した汚れを剥離するスクレイパーが、周面洗浄ノズルの濯ぎ水噴出方向と逆方向の領域に配置されている自動洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有底円筒状の調理容器を自動洗浄する自動洗浄装置として、調理容器の下方のシンク内に設けられて出水方向が上向きである単一の出水ヘッドから調理容器に向けて清水が噴出すると共に調理容器が旋回することにより都合良く調理容器を洗浄するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】登録実用新案第3227512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した自動洗浄装置は、単一の出水ヘッドによって調理容器を洗浄するため、調理容器の形状によっては調理容器を十分に洗浄できないおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明は、前述したような従来技術の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、スクレイパーが周面洗浄ノズルの濯ぎ水噴出方向と逆方向の領域に配置され、スクレイパーの汚れ付着面が底面洗浄ノズルの濯ぎ水噴出範囲に位置して、確実に調理容器の内面を満遍なく洗浄すると共に効率よくスクレイパーの汚れ付着面に付着した汚れを除去する自動洗浄装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記目的は、以下の構成によって達成できる。すなわち、本発明の第1の態様の自動洗浄装置は、容器保持ユニットに保持された有底円筒状の調理容器を洗浄時に真上に配置したシンク内の洗浄ユニットで前記調理容器の内面を自動洗浄するものであって、前記洗浄ユニットが、前記調理容器の内周面に向けて濯ぎ水を噴出する周面洗浄ノズルと、前記調理容器の内底面に向けて濯ぎ水を噴出する底面洗浄ノズルと、前記調理容器の内周面と内底面とを繋ぐ内側傾斜面に向けて濯ぎ水を噴出する傾斜面洗浄ノズルとを備え、前記シンク内に自転する前記調理容器に付着した汚れを剥離するスクレイパーが、前記周面洗浄ノズルの濯ぎ水噴出方向と逆方向の領域に配置され、前記スクレイパーの汚れ付着面が、前記底面洗浄ノズルの濯ぎ水噴出範囲に位置していることを特徴とする。
【0007】
本発明の第2の態様の自動洗浄装置は、第1の態様の自動洗浄装置において、前記容器保持ユニットが、前記調理容器を上下に反転させた状態で自転自在に支持し、前記周面洗浄ノズル、前記底面洗浄ノズルおよび前記傾斜面洗浄ノズルが、上下方向に濯ぎ水を扇状に噴出し、前記周面洗浄ノズル、前記底面洗浄ノズルおよび前記傾斜面洗浄ノズルによる濯ぎ水の噴出方向が、前記容器保持ユニットにより自転する前記調理容器の自転方向と交叉していることを特徴とする。
【0008】
本発明の第3の態様の自動洗浄装置は、第1もしくは第2の態様の自動洗浄装置において、前記容器洗浄ユニットが、前記調理容器の内面に向けて洗浄液を噴出する洗浄液ノズルを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の第1の態様の自動洗浄装置によれば、洗浄ユニットが、調理容器の内周面に向けて濯ぎ水を噴出する周面洗浄ノズルと、調理容器の内底面に向けて濯ぎ水を噴出する底面洗浄ノズルと、調理容器の内周面と内底面とを繋ぐ内側傾斜面に向けて濯ぎ水を噴出する傾斜面洗浄ノズルとを備えていることにより、調理容器の内面を構成する内周面、内底面及び内側傾斜面のそれぞれに濯ぎ水が噴出されるため、調理容器の内面を満遍なく洗浄することができる。
【0010】
また、スクレイパーが、周面洗浄ノズルの濯ぎ水噴出方向と逆方向の領域に配置されていることにより、調理容器の内周面に濯ぎ水を噴出する際に周面洗浄ノズルから噴出される濯ぎ水がスクレイパーにあたらないため、洗浄ユニットがスクレイパーを有する場合であっても、確実に調理容器の内周面を洗浄することができる。
【0011】
さらに、シンク内に自転する調理容器に付着した汚れを剥離するスクレイパーが配設され、スクレイパーの汚れ付着面が、底面洗浄ノズルの濯ぎ水噴出範囲に位置していることにより、底面洗浄ノズルから噴出される濯ぎ水が調理容器の内底面だけでなくスクレイパーの汚れ付着面に付着した汚れも除去するため、効率よくスクレイパーの汚れ付着面に付着した汚れを除去することができる。
【0012】
本発明の第2の態様の自動洗浄装置によれば、周面洗浄ノズル、底面洗浄ノズルおよび傾斜面洗浄ノズルが、濯ぎ水を扇状に噴出し、周面洗浄ノズル、底面洗浄ノズルおよび傾斜面洗浄ノズルによる濯ぎ水の噴出方向が、容器保持ユニットによる調理容器の自転方向と交叉していることにより、調理容器を自転させつつ濯ぎ水を噴出することで、調理容器の内面の全面に濯ぎ水が噴出されるため、より確実に調理容器の内面を満遍なく自動洗浄することができるだけでなく、周面洗浄ノズル、底面洗浄ノズルおよび傾斜面洗浄ノズルが、濯ぎ水を扇状に噴出し、周面洗浄ノズル、底面洗浄ノズルおよび傾斜面洗浄ノズルが濯ぎ水を円錐状に噴出する場合に比べて、周面洗浄ノズル、底面洗浄ノズルおよび傾斜面洗浄ノズルから噴出される濯ぎ水の水圧を高められるため、調理容器の内面に対する洗浄効果をより高めることができる。
【0013】
本発明の第3の態様の自動洗浄装置によれば、洗浄ユニットが、調理容器の内面に向けて洗浄液を噴出する洗浄液ノズルを備えていることにより、調理容器に洗浄液を噴出した後に濯ぎ水を噴射して調理容器を洗浄可能となるため、調理容器を一般的な自動食洗機と同程度に洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1A】本発明の実施形態である自動調理機10(自動洗浄装置100)の左斜視図。
図1B】本発明の実施形態である自動調理機10(自動洗浄装置100)の調理終了後の左斜視図。
図2】本発明の実施形態である自動調理機10(自動洗浄装置100)の調理容器110とシンク210の上面概略図。
図3】本発明の実施形態である自動洗浄装置100の調理容器110とシンク210の図2におけるA-A面の前面側部断面図。
図4A図3に示すノズルのスプレーパターンを示す説明図。
図4B図3に示すノズルの流量分布を示す説明図。
図5】本発明の実施形態である自動洗浄装置100の調理容器110とシンク210の図2におけるB-B面の前面側部断面図。
図6】本発明の実施形態である自動洗浄装置100のスクレイパー250の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る自動洗浄装置を説明する。但し、以下に示す実施形態は本発明の技術思想を具体化するための自動洗浄装置を例示するものであって、本発明をこれらに特定するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものにも等しく適用し得るものである。以下の説明において、便宜上、上下、前後、左右等の表現を用いるが、これは対応する図面に示した方向に基づくものであり、あくまでも対応する図面に示した状態での方向の説明である。
【0016】
[実施形態の説明]
本発明の実施形態に係る自動洗浄装置について、図1A乃至図6を参照して説明する。
【0017】
<1.自動洗浄装置100の概要>
まず図1Aおよび図1Bを参照して、自動洗浄装置100の概要を説明する。なお、自動洗浄装置100は、自動調理機10の一部を構成しており、以下の説明では、自動洗浄装置100の機能等に加えて、自動調理機10の機能等についても説明を行う。
【0018】
図1Aを参照すると、自動洗浄装置100を備える自動調理機10は、着脱自在な調理容器110、容器加熱ユニット120、容器保持ユニット130、皿載せ台140、制御ユニット150及び洗浄ユニット200を備えている。
【0019】
調理容器110は、有底円筒状の容器であり、調理容器110の内側には調理する具材を攪拌するための撹拌部材等を備えることができる。
【0020】
容器加熱ユニット120は炒めもの等の調理のために容器を加熱する機能を備えている。皿載せ台140の後方には自動調理機10に調理動作を入力すると共に、自動調理機10の動作状態が表示される操作パネル151が設けられている。
【0021】
容器保持ユニット130は調理容器110を保持する。そして、炒めもの等の調理を効率的に行うために、調理容器110を調理容器110の深さ方向に延びる調理容器回転軸を中心に回転させるようにしている。また、容器保持ユニット130は、この容器保持ユニット130を皿載せ台140の上面を覆う方向へ回動するために自動調理機10の使用者が把持するハンドル131を有している。このため、容器保持ユニット130は、自動調理機10の使用者により調理容器110の姿勢を前後方向及び上下方向に変化させることができる。
【0022】
皿載せ台140は、図1Aの位置から左方向へ洗浄ユニット200のシンク210の開口を覆い隠すように移動することができる盛付用プレート141と、この盛付用プレート141を収容するプレート収容部材142とを有している。皿載せ台140の上面には、盛付用の皿が備えられる。調理が終了すると、自動調理機10の使用者が容器保持ユニット130を前方に回転させ、自動調理機10の使用者が調理容器110内の調理された料理をシンク210の開口を覆い隠した状態の盛付用プレート141に備えられた皿に盛り付ける。
【0023】
自動調理機10の使用者が自動調理機10によって調理された料理を盛付用プレート141に備えた皿に盛付した後、自動調理機10の使用者がこの皿をプレート収容部材142に載置する。そして、自動調理機10の使用者が盛付用プレート141を図1Aの位置へ戻す。その後、図1Bに示すように、自動調理機10(自動洗浄装置100)の使用者は、容器保持ユニット130をさらに前方へ回転させて、調理容器110が洗浄ユニット200のシンク210の開口へ挿入するように移動させる。そして、洗浄ユニット200は、後述のように調理後の調理容器110を洗浄する。
なお、洗浄ユニット200による調理容器110の洗浄は、調理容器110が洗浄ユニット200のシンク210の開口へ挿入されたことを検知することによって開始してもよいし、操作パネル151への入力に基づいて開始してもよい。
【0024】
<2.洗浄ユニット200の説明>
次に図2図5を参照して、洗浄ユニット200を説明する。図2は、図1Aの自動調理機10(自動洗浄装置100)の上方から視た調理容器110とシンク210の上面を概略して表した図であり、それぞれ、A-A断面は図3に、B-B断面は図5に示している。なお、調理容器110は前述したように図2の自転の方向Rに回転する。
【0025】
図3を参照すると、洗浄ユニット200での洗浄の際には、調理容器110は、開口を下方として、シンク210内に、シンク210の側面、底面に接触しないように収容される。
【0026】
シンク210の底面には、調理容器110の内面を臨めるように、上方に延出した柱状のノズルガイド230が設置されている。このノズルガイド230には、調理容器110の内底面Xを臨む位置に底面洗浄ノズルX220、調理容器110の内側傾斜面Yを臨む位置に傾斜面洗浄ノズルY222、調理容器110の内周面Zを臨む位置に周面洗浄ノズルZU224及び周面洗浄ノズルZD226が配設されている。
【0027】
ノズルガイド230の内部には、底面洗浄ノズルX220、傾斜面洗浄ノズルY222、周面洗浄ノズルZU224及び周面洗浄ノズルZD226のそれぞれに濯ぎ水を供給するための配管(図示せず)が備えられている。なお、図3において、ノズルガイド230は、直方体の柱状としているが、この形状に限定されず、例えば、調理容器110の内面軌跡に対応するような湾曲状の形状とすることもできる。
【0028】
底面洗浄ノズルX220、傾斜面洗浄ノズルY222、周面洗浄ノズルZU224及び周面洗浄ノズルZD226は、それぞれ調理容器110の内底面X、内側傾斜面Y、内周面Zに向けて濯ぎ水を噴出する。このように、調理容器110の内面を構成する内底面X、内側傾斜面Y、内側面Zのそれぞれに濯ぎ水が噴出されるため、調理容器110の内面であるX,Y,Zを満遍なく洗浄することができる。
【0029】
底面洗浄ノズルX220、傾斜面洗浄ノズルY222、周面洗浄ノズルZU224及び周面洗浄ノズルZD226が、それぞれ調理容器110の内底面X、内側傾斜面Y、内側面Zに向けて濯ぎ水を噴出する際に、調理容器110を周方向(図2参照)Rに自転させることができる。このように底面洗浄ノズルX220、傾斜面洗浄ノズルY222、周面洗浄ノズルZU224及び周面洗浄ノズルZD226による濯ぎ水の噴出方向と、容器保持ユニット130による調理容器110の自転の方向Rとが、互いに交叉するような位置関係とすることで、調理容器110の内面の全面に濯ぎ水が噴出されるため、より確実に調理容器110の内面を満遍なく自動洗浄することができる。
【0030】
図4Aおよび図4Bを参照すると、底面洗浄ノズルX220、傾斜面洗浄ノズルY222、周面洗浄ノズルZU224及び周面洗浄ノズルZD226から噴出される濯ぎ水は、図4Aのような二つの扇を重ね合わせた扇状のスプレーパターンを適用することができる。
【0031】
このようなスプレーパターンは図4Bに示すように、中央部分が高く、裾野が広がる流量分布を実現させる。流量分布が高い部分は同時に圧力も高くなる。流量が大きく、圧力が高い部分の洗浄力は高くなり、取れにくい汚れを払拭し、払拭された汚れは、前後の、圧力が多少低く、流量が小さい部分で洗い流すことができる。
【0032】
なお、スプレーパターンは、一般にフラットパターン、ストレートパターン、フルコーンパターン、ホロコーンパターンなどがあり、調理容器110の汚れ等の状態に応じて適宜選択することも可能である。
【0033】
また、図3では断面視で底面洗浄ノズルX220、傾斜面洗浄ノズルY222、周面洗浄ノズルZU224及び周面洗浄ノズルZD226の4つのノズルを示しているが、ノズルの数は4に限定されることはなく、例えば、それぞれのノズルの前後方向に複数のノズルを備えることで、さらに万遍ない洗浄力を実現させることができる。
【0034】
ノズルガイド230内の濯ぎ水を供給する配管は、ノズル毎に備えるものであっても、1つの配管から分岐するものであっても良いし、それぞれのノズルの噴出する圧力・流量を、汚れ具合に応じて変わるように、配管の径を変えることや、途中にオリフィスを備えるような構成とすることもできる。
【0035】
このように複数のノズルを備え、さらにノズルへの濯ぎ水を供給する配管を備えることで、濯ぎ水を噴出するノズルに加えて、一部のノズルからは洗浄液を噴出する構成とすることができる。そして、洗浄液を噴出した後に濯ぎ水を噴出することで、調理容器110の内面の洗浄を、一般的な自動食洗器と同程度となる、より確実な洗浄を実現させることができる。
【0036】
次に図5および図6を参照すると、図3と同様に、洗浄ユニット200での洗浄の際には、調理容器110は、開口を下方として、シンク210内に、シンク210の側面、底面に接触しないように収容されるが、ノズルガイド230の前方の面にはさらにスクレイパー240が配設されている。
【0037】
調理時に調理容器110の内面に付着した汚れ等は、濯ぎ水の噴出という流体的な洗浄だけでは除去しにくい場合がある。そのような場合、へら状のブレード等で内面の汚れ等を機械的に掻き出すことが有効となる。なお、通常、付着した汚れ等は、内面に強固に密着しているものではなく、外部からブレード等を繰り返し機械的に接触させることで、集合した汚れ等を崩れさせる、もしくは一部を剥離させることができる。
【0038】
スクレイパー240は、このような作用を奏するために配設されたものであり、図5のように特に汚れ等が付着しやすい内側傾斜面Y及び内周面Zの一部に沿ったブレードが調理容器110の内面に接触するようにしている。
【0039】
スクレイパー240の接触状態は、例えば図5に示すようなリンク機構やスプリングを適用することで、調理容器110の内面に損傷を与えることのないように内面への押し付けの力を調整することができる。
【0040】
リンク機構を適用したスクレイパー240の一例について詳細に説明する。スクレイパー240は、ノズルガイド230にボルト241によって固定された略T字型の支持板242と、この支持板242の左側にジョイント243にて回転自在に軸支されたブレード244と、支持板242の右側にジョイント245にて回転自在に軸支されたリンクA246と、ブレード244とリンクA246との両者を、ジョイント247にて回転自在に軸支するリンクB248と、リンクA246におけるジョイント245と逆側の自由端側及びリンクB248における左側のジョイント247と逆側の自由端側を結ぶスプリング250と、から構成されたクローズドループ構造のリンクである。そして、ブレード244のへら状の部分は、初期的に調理容器110の内面に当接するように、当該リンク構造が配置されている。
【0041】
スプリング250は引張状態で配置されており、このスプリング250がブレード244の汚れ等を掻き出すヘラ状の部分を調理容器110の内側傾斜面Y方向に付勢させることで、機械的に汚れ等を払拭する。しかしながら、汚れ等が調理容器110にこびりつき、内面に損傷を与えるような負荷が生ずるおそれがあるときには、この負荷がスプリング250による付勢よりも大きくなり、ブレード244は調理容器110の内面から離れるように、スプリング250の弾性が調節されている。
【0042】
このようにスクレイパー240は、ブレード244が調理容器110の内側傾斜面Yに対して、常に一定の押し付け力を維持して、調理容器110の内面に損傷を与えないクローズドループ構造のリンク機構を適用している。
【0043】
しかしながら、スクレイパー240が掻き取った汚れ等は、ブレード244の表面に蓄積し、これらの汚れ等がブレード244に固着、こびりつくおそれがある。そのため、本実施形態では図6に示すように、これらの汚れ等を流体的に払拭、洗い流す構成を付加している。図6は、図5の矢視Cから視た説明図であり、調理容器110が挿入されていないシンク210を上方から視ている。
【0044】
図6を参照すると、ノズルガイド230に設置されたスクレイパー240とノズルX220、ノズルY222とは隣接した位置関係となっている。なお、図6では、前後方向に複数のノズルを備える構成としている。そこで、スクレイパー240に近いノズルX220(F)に注目する。ノズルX220(F)から噴出される濯ぎ水を、図4Aのような二つの扇を重ね合わせた扇状のスプレーパターンを適用した場合、濯ぎ水が噴出される領域はスプレーエリアSAとなる。同様にノズルX220(F)と並行に配列されているノズルX220も図に示すようなスプレーエリアSAに濯ぎ水を噴出する。
【0045】
スプレーエリアSAは、ブレード244をカバーする範囲に及んでいるとともに、ノズルX220から噴出された濯ぎ水は、調理容器110の内底面X及び内側傾斜面Yに当たった後に調理容器110の内面に沿ってブレード244の方へ流れ、ブレード244は、直接的及び間接的に濯ぎ水によって洗浄される。
【0046】
このように、シンク210内において、回転する調理容器110に付着した汚れをスクレイパー240が掻き出た汚れ等は、それぞれのノズル、特に調理容器110の内底面であるXを臨む位置に配置されたノズルX220から噴出した濯ぎ水によって、スクレイパー240自身に残存した汚れともども洗浄することができる。したがって、スクレイパー240に、調理容器110の内面に損傷を与えるような付着物が残留することを防止できる。
【0047】
また、スクレイパー240は、図5のようにそれぞれのノズルから調理容器110の内面に濯ぎ水を噴出する方向とは、調理容器110の周方向で反対側に配置することが好ましい。
【0048】
スクレイパー240を、係る位置に配置することで、調理容器110の内周面Zに濯ぎ水を噴出する際にノズルY222から噴出される濯ぎ水がスクレイパー240にあたらない。係る構成にすることで、スクレイパー240を有無に拘わらず、確実に調理容器110の内周面Zを洗浄することができる。
【符号の説明】
【0049】
10・・・自動調理機
100・・・自動洗浄装置
110・・・調理容器
120・・・容器加熱ユニット
130・・・容器保持ユニット
131・・・ハンドル
140・・・皿載せ台
150・・・制御ユニット
151・・・制御パネル
200・・・洗浄ユニット
220・・・底面洗浄ノズルX
222・・・傾斜面洗浄ノズルY
224・・・周面洗浄ノズルZU
226・・・周面洗浄ノズルZD
230・・・ノズルガイド
240・・・スクレイパー
241・・・ボルト
242・・・支持板
243・・・ジョイント
244・・・ブレード
245・・・ジョイント
246・・・リンクA
247・・・ジョイント
248・・・リンクB
250・・・スプリング
【要約】
【課題】 調理容器の内面を満遍なく洗浄する自動洗浄装置を提供する。
【解決手段】 有底円筒状の調理容器110を保持する容器保持ユニット140の前方に配置されたシンク210内に配置された洗浄ユニット200で前記調理容器の内面を自動洗浄する自動洗浄装置100であって、前記洗浄ユニット200が、前記調理容器の内周面に向けて濯ぎ水を噴出する周面洗浄ノズル224、226と、前記調理容器の内底面に向けて濯ぎ水を噴出する底面洗浄ノズル220と、前記調理容器の内周面と内底面とを繋ぐ内側傾斜面に向けて濯ぎ水を噴出する傾斜面洗浄ノズル222とを備える。
【選択図】図3
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6