IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社高橋工業の特許一覧

<>
  • 特許-端子台用接続装置 図1
  • 特許-端子台用接続装置 図2
  • 特許-端子台用接続装置 図3
  • 特許-端子台用接続装置 図4
  • 特許-端子台用接続装置 図5
  • 特許-端子台用接続装置 図6
  • 特許-端子台用接続装置 図7
  • 特許-端子台用接続装置 図8
  • 特許-端子台用接続装置 図9
  • 特許-端子台用接続装置 図10
  • 特許-端子台用接続装置 図11
  • 特許-端子台用接続装置 図12
  • 特許-端子台用接続装置 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-20
(45)【発行日】2025-01-06
(54)【発明の名称】端子台用接続装置
(51)【国際特許分類】
   H01R 11/01 20060101AFI20241223BHJP
   H01R 9/24 20060101ALI20241223BHJP
【FI】
H01R11/01 R
H01R9/24
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2024081068
(22)【出願日】2024-05-17
【審査請求日】2024-05-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】599063893
【氏名又は名称】株式会社高橋工業
(74)【代理人】
【識別番号】110001922
【氏名又は名称】弁理士法人日峯国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 登
【審査官】▲高▼橋 杏子
(56)【参考文献】
【文献】特許第3800334(JP,B2)
【文献】特開2008-071518(JP,A)
【文献】実開昭63-004077(JP,U)
【文献】実開昭49-133182(JP,U)
【文献】特開2002-343460(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 9/00
H01R 9/15-11/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子台に固定される端子用接続装置であって、
前記端子台は、端子台基部と、長い形状を成す中央隔壁と、前記中央隔壁の長手方向に沿って交互に配置された側隔壁対と配線ネジ対と、を備えていて、前記端子台において、前記端子台基部を前記端子台の裏面側である前記端子台の底部に配置し、前記端子台基部の表側に前記中央隔壁と前記側隔壁対と前記配線ネジ対とをそれぞれ配置し、
前記側隔壁対は、前記中央隔壁の前記長手方向に対する直角方向において、前記中央隔壁を挟んで、前記中央隔壁の一方側に配置された一方側隔壁と、前記中央隔壁の他方側に配置された他方側隔壁と、を備え
前記配線ネジ対は、前記中央隔壁の前記長手方向に対する直角方向において、前記中央隔壁を挟んで、前記中央隔壁の一方側に配置された一方側配線ネジと、前記中央隔壁の他方側に配置された他方側配線ネジと、を備えており、
前記端子用接続装置は、前記端子台の前記中央隔壁の前記長手方向に沿って長い形状を成す接続装置本体と、前記端子台が有する少なくとも一つの前記配線ネジ対の前記一方側配線ネジあるいは前記他方側配線ネジと電気的に接続するためのネジ用接続端子部と、前記端子用接続装置を前記端子台に固定するための第1固定装置と第2固定装置と、を備え、
前記第1固定装置と前記第2固定装置はそれぞれ、前記中央隔壁の前記長手方向に沿って配置された前記側隔壁対の内の第1側隔壁対と第2側隔壁対とに対応した位置に設けられると共に、前記第1固定装置が対応する前記第1側隔壁対と前記第2固定装置が対応する前記第2側隔壁対との間に、所定の数の前記側隔壁対が設けられており、
前記第1固定装置は、対応する前記第1側隔壁対に嵌合するための第1クリップ対を有し、
前記第1クリップ対は、対応する前記第1側隔壁対の一方側隔壁に嵌合するための第1一方側クリップ溝を有する第1一方側クリップと、対応する前記第1側隔壁対の他方側隔壁に嵌合するための第1他方側クリップ溝を有する第1他方側クリップと、を備え、
前記第2固定装置は、対応する前記第2側隔壁対に嵌合するための第2クリップ対を有し、
前記第2クリップ対は、対応する前記第2側隔壁対の一方側隔壁に嵌合するための第2一方側クリップ溝を有する第2一方側クリップと、対応する前記第2側隔壁対の他方側隔壁に嵌合するための第2他方側クリップ溝を有する第2他方側クリップと、を備え、
前記端子用接続装置が前記端子台に対して前記端子台の表側に配置され、前記接続装置本体の前記端子台に対向する側の面である前記接続装置本体の対向面に、前記第1固定装置と前記第2固定装置とが設けられ、
前記第1固定装置の前記第1クリップ対が有する前記第1一方側クリップ溝と前記第1他方側クリップ溝のそれぞれに、対応する前記第1側隔壁対の前記一方側隔壁が前記第1側隔壁対の前記一方側隔壁の表側端部から、および対応する前記第1側隔壁対の前記他方側隔壁が前記第1側隔壁対の前記他方側隔壁の表側端部から、さらに前記第2固定装置の前記第2クリップ対が有する前記第2一方側クリップ溝と前記第2他方側クリップ溝のそれぞれに、対応する前記第2側隔壁対の前記一方側隔壁が前記第2側隔壁対の前記一方側隔壁の表側端部から、および対応する前記第2側隔壁対の前記他方側隔壁が前記第2側隔壁対の前記他方側隔壁の表側端部から、それぞれ挿入されてそれぞれ嵌合し、前記端子台に前記端子用接続装置が固定される、
ことを特徴とする端子用接続装置。
【請求項2】
請求項1に記載の端子用接続装置において、
前記第1固定装置が有する前記第1クリップ対の前記第1一方側クリップが有する前記第1一方側クリップ溝および前記第1他方側クリップが有する前記第1他方側クリップ溝はそれぞれ、前記中央隔壁の前記長手方向に対して前記直角方向に沿って細長く広がった形状を成し、さらに前記第1一方側クリップ溝および前記第1他方側クリップ溝はそれぞれ、前記中央隔壁の前記長手方向に対する前記直角方向において、その両端が開放された形状を成し、
前記第2固定装置が有する前記第2クリップ対の前記第2一方側クリップが有する前記第2一方側クリップ溝および前記第2他方側クリップが有する前記第2他方側クリップ溝はそれぞれ、前記中央隔壁の前記長手方向に対して前記直角方向に沿って細長く広がった形状を成し、さらに前記中央隔壁の前記長手方向に対する前記直角方向において、その両端が開放された形状を成している、
ことを特徴とする端子用接続装置。
【請求項3】
請求項2に記載の端子用接続装置において、
前記端子用接続装置が固定される前記端子台には、前記配線ネジ対を構成する前記一方側配線ネジと前記他方側配線ネジとを固定するために、前記一方側配線ネジと前記他方側配線ネジとの根元にネジ台が設けられており、
前記第1固定装置が有する前記第1クリップ対の前記第1一方側クリップが有する前記第1一方側クリップ溝および前記第1他方側クリップが有する前記第1他方側クリップ溝はそれぞれ、前記第1クリップ対が嵌合する前記端子台の前記第1側隔壁対の両側に位置する前記ネジ台に向かって伸びる形状を成し、
前記第2固定装置が有する前記第2クリップ対の前記第2一方側クリップが有する前記第2一方側クリップ溝および前記第2他方側クリップが有する前記第2他方側クリップ溝はそれぞれ、前記第2クリップ対が嵌合する前記端子台の前記第2側隔壁対の両側に位置する前記ネジ台に向かって伸びる形状を成し、
前記第1クリップ対が有する前記第1一方側クリップ溝および前記第1他方側クリップ溝、および前記第2クリップ対が有する前記第2一方側クリップ溝および前記第2他方側クリップ溝はそれぞれ、前記中央隔壁の前記長手方向における幅が、前記第1一方側クリップ溝および前記第1他方側クリップ溝の根元側である前記接続装置本体に近い側において、および前記第2一方側クリップ溝および前記第2他方側クリップ溝の根元側である前記接続装置本体に近い側において、前記側隔壁対の前記長手方向における厚さL18より広い幅L2を有する非加圧部を有し、
前記第1クリップ対が有する前記第1一方側クリップ溝および前記第1他方側クリップ溝、および前記第2クリップ対が有する前記第2一方側クリップ溝および前記第2他方側クリップ溝はそれぞれ、前記非加圧部より先端側である前記接続装置本体より遠い側において、前記側隔壁対の前記厚さL18より狭い幅L3の形状を成す嵌合部分を有する、
ことを特徴とする端子用接続装置。
【請求項4】
請求項3に記載の端子用接続装置において、
前記第1固定装置が有する前記第1クリップ対の前記第1一方側クリップが有する前記第1一方側クリップ溝および前記第1他方側クリップ溝、および前記第2固定装置が有する前記第2クリップ対の前記第2一方側クリップが有する前記第2一方側クリップ溝および前記第2他方側クリップ溝はそれぞれ、前記各溝の先端における幅が前記嵌合部分における前記幅より広く、前記各溝の前記先端から前記各溝の前記嵌合部分に向かって徐々に前記各溝の幅が狭まる形状を成す、
ことを特徴とする端子用接続装置。
【請求項5】
請求項3に記載の端子用接続装置において、
前記第1固定装置と前記第2固定装置が、前記中央隔壁の前記長手方向において長い形状を成す前記接続装置本体における、前記所定数の前記側隔壁対を隔てた位置にそれぞれ固定され、
前記接続装置本体は電気伝導性を有する金属板で形成されており、
前記第1固定装置と前記第2固定装置との間に存在する前記配線ネジ対の前記一方側配線ネジあるいは前記他方側配線ネジの内の一つの側の接続ネジに接続するための前記ネジ用接続端子部が、前記接続装置本体の一方側あるいは他方側に設けられており、
前記接続装置本体における前記ネジ用接続端子部が設けられている側とは反対側の側端部である接続装置本体側端部に、前記接続装置本体と一体に形成された折り曲げ部が設けられ、
前記曲げ部は、前記側隔壁対に対してその表側を覆う位置に配置された前記接続装置本体の前記接続装置本体側端部において折り曲げられて、前記端子台における前記ネジ用接続端子部が設けられている側とは反対側に位置する配線ネジが設けられているネジ台の方に向かって伸びている、
ことを特徴とする端子用接続装置。
【請求項6】
請求項3に記載の端子用接続装置において、
前記接続装置本体は絶縁樹脂で成形された樹脂製接続装置本体であり、
前記樹脂製接続装置本体に前記第1固定装置と前記第2固定装置とが、前記所定数の前記側隔壁対を隔てて設けられており、
前記配線ネジ対の内の電気的な接続対象である接続対象配線ネジ対が有する一方側配線ネジあるいは他方側配線ネジの内の一つである接続対象ネジに電気的に接続するために前記ネジ用接続端子部が前記樹脂製接続装置本体に固定されており、
前記ネジ用接続端子部は、前記接続対象ネジに電気的な接続を行うための接触端と、前記接触端を移動可能に前記樹脂製接続装置本体に固定するための固定管と、前記接触端を前記樹脂製接続装置本体から遠ざける方向に作用するバネとを有し、
前記端子用接続装置が前記端子台に固定されていない状態では、前記接触端が、前記第1固定装置や前記第2固定装置が有する前記一方側クリップや前記他方側クリップより、前記バネの作用により、前記樹脂製接続装置本体から遠い位置に位置し、
また前記端子用接続装置が前記端子台に固定された状態では、前記接触端が前記接続対象ネジに接することにより前記バネが縮み、前記接触端が前記第1固定装置や前記第2固定装置が有する前記一方側クリップや前記他方側クリップの先端より、前記樹脂製接続装置本体に近い位置に位置する、
ことを特徴とする端子用接続装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子台に接続されている機器などの電気的特性を、前記端子台に接続したままの状態で計測あるいは検査、などを行うために、前記端子台の配線ネジに電気的に接続するために使用する端子台用接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
端子台を介して接続されている機器の計測や検査、などを行う場合に、対象機器を前記端子台から取外して行うことは、多大な時間を要する。このため従来から、前記端子台に前記機器を接続したままの状態で、上記計測や検査、などを行うことを可能とする、端子台用接続装置が知られている。この一例を特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3800334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1では、端子台用接続装置の具体例として耐電圧試験用短絡板が記載されている。上記特許文献1に記載の技術説明によると、耐電圧試験用短絡板の短絡板本体1に形成された弾性係止片2bが、端子台5に形成されたカバー係止用凹部7に係止され、これにより短絡板本体1が端子台5に固定される。しかし現状では、カバー係止用凹部7の形状を備えた端子台の製品は少ない。このため特許文献1に記載の耐電圧試験用短絡板を利用しようとした場合に、利用可能な端子台が一部に限られてしまう問題がある。
【0005】
広く使用されている端子台に上述の端子台用接続装置を固定できるようにすることが望ましい。しかし単に端子用接続装置を端子台に固定しょうとした場合に、解決しなければならない大きな課題がある。広く使用されている端子台は、電気機器などとの電気的な接続を行うために使用することを目的として作られている。検査などのための端子台用接続装置を保持し固定することを想定して作られているとは言い難い。このため電気的な絶縁を図るとの観点においては適した構造を備えているが、端子台用接続装置を保持し固定するとの観点においては、機械的な強度などの点で、解決しなければならない課題を有している。
【0006】
本発明の目的は、カバー係止用凹部の有無にかかわらず端子台に固定可能であり、この固定作業などにおいて前記端子台に損傷を与えないなどの課題に対応可能な、端子台用接続装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
〔第1の発明〕
第1の発明は、端子台に固定される端子用接続装置であって、
前記端子台は、長い形状を成す中央隔壁と、前記中央隔壁の長手方向に沿って交互に配置された側隔壁対と配線ネジ対と、を備えており
前記側隔壁対は、前記中央隔壁の前記長手方向に対する直角方向において、前記中央隔壁を挟んで、前記中央隔壁の一方側に配置された一方側隔壁と、前記中央隔壁の他方側に配置された他方側隔壁と、を備え、
前記配線ネジ対は、前記中央隔壁の前記長手方向に対する直角方向において、前記中央隔壁を挟んで、前記中央隔壁の一方側に配置された一方側配線ネジと、前記中央隔壁の他方側に配置された他方側配線ネジと、を備えており、
前記端子用接続装置は、前記端子台の前記中央隔壁の前記長手方向に沿って長い形状を成す接続装置本体と、前記端子台が有する少なくとも一つの前記配線ネジ対の前記一方側配線ネジあるいは前記他方側配線ネジと電気的に接続するためのネジ用接続端子部と、前記端子用接続装置を前記端子台に固定するための第1固定装置と第2固定装置と、を備え、
前記第1固定装置と前記第2固定装置とはそれぞれ、前記端子台の前記長手方向に配置された前記側隔壁対の内の第1側隔壁対と第2側隔壁対とに対応した位置に設けられると共に、前記第1固定装置が対応する前記第1側隔壁対と前記第2固定装置が対応する前記第2側隔壁対との間に、所定の数の前記側隔壁対が設けられており、
前記第1固定装置は、対応する前記第1側隔壁対に嵌合するための第1クリップ対を有し、
前記第1クリップ対は、対応する前記第1側隔壁対の一方側隔壁に嵌合するための第1一方側クリップ溝を有する第1一方側クリップと、対応する前記第1側隔壁対の他方側隔壁に嵌合するための第1他方側クリップ溝を有する第1他方側クリップと、を備え、
前記第2固定装置は、対応する前記第2側隔壁対に嵌合するための第2クリップ対を有し、
前記第2クリップ対は、対応する前記第2側隔壁対の一方側隔壁に嵌合するための第2一方側クリップ溝を有する第2一方側クリップと、対応する前記第2側隔壁対の他方側隔壁に嵌合するための第2他方側クリップ溝を有する第2他方側クリップと、を備える、
ことを特徴とする前記端子用接続装置である。
【0008】
〔第2の発明〕
第2の発明は、第1の発明の端子用接続装置において、
前記第1固定装置が有する前記第1クリップ対の前記第1一方側クリップが有する前記第1一方側クリップ溝および前記第1他方側クリップが有する前記第1他方側クリップ溝はそれぞれ、前記中央隔壁の前記長手方向に対して前記直角方向に沿って細長く広がった形状を成し、さらに前記第1一方側クリップ溝および前記第1他方側クリップ溝はそれぞれ、前記中央隔壁の前記長手方向に対する前記直角方向において、その両端が開放した形状を成し、
前記第2固定装置が有する前記第2クリップ対の第2一方側クリップが有する前記第2一方側クリップ溝および第2他方側クリップが有する第2他方側クリップ溝はそれぞれ、前記中央隔壁の前記長手方向に対して前記直角方向に沿って細長く広がった形状を成し、さらに前記中央隔壁の前記長手方向に対する前記直角方向において、その両端が開放した形状を成している、
ことを特徴とする端子用接続装置である。
【0009】
〔第3の発明〕
第3の発明は、第2の発明の端子用接続装置において、
前記端子用接続装置が固定される前記端子台には、前記配線ネジ対を構成する前記一方側配線ネジと前記他方側配線ネジとを固定するために、前記一方側配線ネジと前記他方側配線ネジとの根元にネジ台が設けられており、
前記第1固定装置が有する前記第1クリップ対の前記第1一方側クリップが有する前記第1一方側クリップ溝および前記第1他方側クリップが有する前記第1他方側クリップ溝はそれぞれ、前記第1クリップ対が嵌合する前記端子台の前記第1側隔壁対の両側に位置する前記ネジ台に向かって伸びる形状を成し、
前記第2固定装置が有する前記第2クリップ対の前記第2一方側クリップが有する前記第2一方側クリップ溝および前記第2他方側クリップが有する前記第2他方側クリップ溝はそれぞれ、前記第2クリップ対が嵌合する前記端子台の前記第2側隔壁対の両側に位置する前記ネジ台に向かって伸びる形状を成し、
前記第1クリップ対が有する前記第1一方側クリップ溝および前記第1他方側クリップ溝、および前記第2クリップ対が有する前記第2一方側クリップ溝および前記第2他方側クリップ溝はそれぞれ、前記中央隔壁の前記長手方向における幅が、前記第1一方側クリップ溝および前記第1他方側クリップ溝の根元側である前記接続装置本体に近い側において、および前記第2一方側クリップ溝および前記第2他方側クリップ溝の根元側である前記接続装置本体に近い側において、前記側隔壁対の前記長手方向における厚さL18より広い幅L2を有する非加圧部を有し、
前記第1クリップ対が有する前記第1一方側クリップ溝および前記第1他方側クリップ溝、および前記第2クリップ対が有する前記第2一方側クリップ溝および前記第2他方側クリップ溝はそれぞれ、前記非加圧部より先端側である前記接続装置本体より遠い側において、前記側隔壁対の前記厚さL18より狭い幅L3の形状を成す嵌合部を有する、
ことを特徴とする端子用接続装置である。
【0010】
〔第4の発明〕
第4の発明は、第3の発明の端子用接続装置において、
前記第1固定装置が有する前記第1クリップ対の前記第1一方側クリップが有する前記第1一方側クリップ溝および前記第1他方側クリップ溝、および前記第2固定装置が有する前記第2クリップ対の前記第2一方側クリップが有する前記第2一方側クリップ溝および前記第2他方側クリップ溝はそれぞれ、前記各溝の先端における幅が前記嵌合部における前記幅より広く、前記各溝の前記先端から前記各溝の前記嵌合部に向かって徐々に前記各溝の幅が狭まる形状を成す、
ことを特徴とする端子用接続装置である。
【0011】
〔第5の発明〕
第5の発明は、第3の発明の端子用接続装置において、
前記第1固定装置と前記第2固定装置が、前記長手方向において長い形状を成す前記接続装置本体における、前記所定数の前記側隔壁対を隔てた位置にそれぞれ固定され、
前記接続装置本体は電気伝導性を有する金属板で形成されており、
前記第1固定装置と前記第2固定装置との間に存在する前記配線ネジ対の前記一方側配線ネジあるいは前記他方側配線ネジの内の一つの側の接続ネジに接続するための前記ネジ用接続端子部が、前記接続装置本体の一方側あるいは他方側に設けられており、
前記接続装置本体における前記ネジ用接続端子部が設けられている側とは反対側の側端部である接続装置本体側端部に、前記接続装置本体と一体に形成された折り曲げ部が設けられ、
前記曲げ部は、前記側隔壁対の上を覆う位置に配置された前記接続装置本体の前記接続装置本体側端部において折り曲げられて、前記端子台における前記ネジ用接続端子部が設けられている側とは反対側に位置する配線ネジが設けられているネジ台の方に向かって伸びている、
ことを特徴とする端子用接続装置である。
【0012】
〔第6の発明〕
第6の発明は、第3の発明の端子用接続装置において、
前記接続装置本体は絶縁樹脂で成形された樹脂製接続装置本体であり、
前記樹脂製接続装置本体に前記第1固定装置と前記第2固定装置とが、前記所定数の前記側隔壁対を隔てて設けられており、
前記配線ネジ対の内の電気的な接続対象である接続対象配線ネジ対が有する一方側配線ネジあるいは他方側配線ネジの内の一つである接続対象ネジに電気的に接続するために前記ネジ用接続端子部が前記樹脂接続装置本体に固定されており、
前記ネジ用接続端子部は、前記接続対象ネジに電気的な接続を行うための接触端と、前記接触端を移動可能に前記樹脂製接続装置本体に固定するための固定管と、前記接触端を前記樹脂接続装置本体から遠ざける方向に作用するバネとを有し、
前記端子用接続装置が前記端子台に固定されていない状態では、前記接触端が、前記第1固定装置や前記第2固定装置が有する前記一方側クリップや前記他方側クリップより、前記バネの作用により、前記樹脂接続装置本体から遠い位置に位置し、
また前記端子用接続装置が前記端子台に固定された状態では、前記接触端が前記接続対象ネジに接することにより前記バネが縮み、前記接触端が前記第1固定装置や前記第2固定装置が有する前記一方側クリップや前記他方側クリップの先端より、前記樹脂接続装置本体に近い位置に位置する、
ことを特徴とする端子用接続装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、カバー係止用凹部の有無にかかわらず端子台に固定可能であり、この固定作業などにおいて前記端子台に損傷を与えないなどの課題に対応可能な、端子台用接続装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本願発明が適用された端子用接続装置を固定するための端子台の一例の説明する説明図である。
図2図1に示す端子台のA-A断面図である。
図3】本願発明が適用された一実施例である端子用接続装置の平面図である。
図4】本願発明が適用された一実施例である端子用接続装置の下面図である。
図5】本願発明が適用された一実施例である端子用接続装置を図1に示す端子台に固定した状態を説明する説明図である。
図6図5に記載の説明図のB-B断面図である。
図7】端子用接続装置に設けられた固定装置の下面図である。
図8図7に記載の固定装置のC-C断面図である。
図9】端子用接続装置を端子台に固定した状態での、固定装置基部の他方側クリップと他方側隔壁との関係を説明する説明図である。
図10】端子用接続装置の他の実施例の平面図である。
図11】端子用接続装置の他の実施例の下面図である。
図12】他の実施例のネジ用接続端子部を説明する説明図である。
図13】端子用接続装置を端子台に固定した状態を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下で説明する実施例において、同一符号が付された構成は基本的に同様の構造であり、同様の作用を為し、ほぼ同様の効果を奏する。重複した説明を避けるために、同一符号の構成に関する説明を省略する場合がある。
【0016】
1.本願発明が適用された端子用接続装置100が固定可能な端子台10の説明
本願発明の一実施例である端子用接続装置100が固定される端子台10の一例を図1に記載する。また図1におけるA-A断面を図2に記載する。端子台10は長手方向Vに沿って、一方側配線ネジ25と他方側配線ネジ29とを有する配線ネジ対22が多数設けられている。隣り合う配線ネジ対22の間の電気的な絶縁のために、隣り合う配線ネジ対22の間に側隔壁対16が設けられている。なお、図2に記載のように、配線ネジ対22を構成する一方側配線ネジ25や他方側配線ネジ29にはそれぞれ一方側配線26や他方側配線30が接続されているが、図1では一方側配線26や他方側配線30の記載を、図示の煩雑さを避けるために、省略している。
【0017】
図2に記載する端子台10の断面構造は一例であり、端子台10は他の構造であっても良い。以下に記載の側隔壁対16を有している端子台10であれば、本発明が適用された端子用接続装置100の固定対象となる。端子台10は底部に端子台基部12を有し、さらに一方側配線ネジ25や他方側配線ネジ29を固定するための一方側配線ネジ台24や他方側配線ネジ台28を有するネジ台23が設けられている。また図1に記載の例では、一方側配線ネジ25や他方側配線ネジ29を互いに電気的に短絡するための短絡金属板27がネジ台23の内部に設けられている。一方側配線ネジ25には一方側配線26が固定されており、他方側配線ネジ29には他方側配線30が接続されている。一方側配線26や他方側配線30の両方あるいは一方に、図示しない電気機器などが接続されている。一方側配線26や他方側配線30を上記電気機器などに接続した状態のままで、一方側配線ネジ25あるいは他方側配線ネジ29に所定の電圧などを印加することにより、上記図示しない電気機器などに対して、電気的な検査などを行うことができる。
【0018】
端子台10の長手方向Vに沿って、一方側配線ネジ25や他方側配線ネジ29の中央に幅Tを有する中央隔壁14が形成されている。中央隔壁14は端子台10全体の補強として作用し、さらに側隔壁対16を補強する機能を有している。このため側隔壁対16は、中央隔壁14に近い部分や一方側配線ネジ台24や他方側配線ネジ台28に近い部分が、一方側隔壁上端19や他方側隔壁上端21より、機械的強度が高い構造となっている。
【0019】
端子台10の側隔壁対16は、その本来の目的が隣り合う配線ネジ対22間の電気的な絶縁であり、端子用接続装置100を保持し固定することを目的としていない。従って側隔壁対16自身はその厚みが薄い。もし側隔壁対16の長手方向Vの方向の厚さを厚くすると機械的な強度は増大するが、隣り合う配線ネジ対22間の距離が広がり、端子台10が長手方向であるV方向において、必要以上に長い形状となる。実際に使用されている側隔壁対16は長手方向Vにおいて、薄い形状であり、長手方向Vの方向の力が側隔壁対16に加わると損傷する可能性がある。また側隔壁対16に対して捩じれ方向の力が加わっても、同様に損傷する可能性がある。側隔壁対16において、一方側隔壁上端19や他方側隔壁上端21に近い位置、あるいは中央隔壁14から遠い位置である側隔壁対16の一方側や他方側の端部は、ネジ台23に近い位置より破損し易い。
【0020】
2.本願発明の一実施例である端子用接続装置100の説明
図3は、本発明が適用された一実施例の端子用接続装置100の平面図である。また図4は、図3に記載の端子用接続装置100の下面図である。なお図4の下面図は、図3の記載平面図に対して一方側と他方側が逆転した状態、すなわち図3をその長手方向Vを中心として半回転させた状態を示している。
【0021】
これらの図において、端子用接続装置100は接続装置本体110と、多数のネジ用接続端子部120と、折り曲げ部113と、接続装置本体110の長手方向における両側に配置された2個の外部接続端子140と、を備えている。さらに接続装置本体110には、端子用接続装置100を端子台10に固定するための第1固定装置200と第2固定装置201と第3固定装置202が設けられている。これらは一例であり、第1固定装置200と第2固定装置201との2個であっても良いし、本実施例のように第3固定装置202を設けても良いし、さらに多くの数の固定装置を備えていても良い。大切なことは、少なくとも2個の固定装置を有していることである。なお第1固定装置200や第2固定装置201や第3固定装置202で示す固定装置は、以下で図7図8を用いて説明するが、本実施例においては、これらは同じ構造および同じ形状を成している。
【0022】
図3図4に記載の端子用接続装置100を、図1図2に記載の端子台10に固定した状態を図5に示し、図5のB-B断面図を図6に記載する。端子用接続装置100の接続装置本体110と、端子台10の長手方向Vに沿って配置された多数のネジ用接続端子部120と複数の外部接続端子140と、折り曲げ部113とは、一体的に一枚の金属板で作られている。金属板は導電性を有しており、多数のネジ用接続端子部120により電気的に接続された配線ネジ対22は、互いに同電位となる。また接続装置本体110に設けられた外部接続端子140に電圧が印加されると、多数のネジ用接続端子部120により電気的に接続された配線ネジ対22には、それぞれ同じ電圧が印加される。
【0023】
端子用接続装置100の接続装置本体110は端子台10の長手方向Vに対応して細長く伸びており、多数のネジ用接続端子部120が長手方向Vの方向に、それぞれが配線ネジ対22を構成する一方側配線ネジ25あるいは他方側配線ネジ29に対応する位置に設けられている。この実施例では一例として、各配線ネジ対22の他方側配線ネジ29に対応するように設けられている。図6は、ネジ用接続端子部120の形状を示すと共に、対応する他方側配線ネジ29へのネジ用接続端子部120の接続状態を示す。
【0024】
ネジ用接続端子部120は、隣り合う側隔壁対16と側隔壁対16との間に入り込み、他方側配線ネジ29に接触することが必要であり、長手方向Vの方向の幅が狭く作られている。また本実施例では、第1固定装置200や第2固定装置201や第3固定装置202が有する一方側クリップ213や他方側クリップ214が、それぞれ対応する側隔壁対16と嵌合した状態となることにより、端子用接続装置100が端子台10に固定される。このため隣り合う側隔壁対16間に入り込む部材は、ネジ用接続端子部120だけでない。第1固定装置200や第2固定装置201や第3固定装置202の他方側クリップ214が対応する側隔壁対16にそれぞれ嵌合した状態では、隣り合う側隔壁対16間に、対応するネジ用接続端子部120に加えて他方側クリップ214を構成する一方のクリップが入り込むことになる。従って本発明が適用された端子用接続装置100を端子台10に固定する場合には、隣り合う上側隔壁対16の間に、ネジ用接続端子部120と他方側クリップ214を構成するクリップ先端部216あるいはクリップ先端217が入り込む状態となり、ネジ用接続端子部120には、特許文献1に記載の弾性接触片3よりさらに幅を狭くすることが求められる。
【0025】
以下でも説明するが、端子用接続装置100の接続装置本体110には、第1固定装置200や第2固定装置201や第3固定装置202が設けられており、第1固定装置200や第2固定装置201や第3固定装置202はそれぞれ、一方側クリップ213や他方側クリップ214を備えるクリップ対212を有している。さらに一方側クリップ213や他方側クリップ214はそれぞれ、一方側クリップ溝222や他方側クリップ溝223を有していて、一方側クリップ溝222や他方側クリップ溝223の内部に、対応する側隔壁対16の一方側隔壁18や他方側隔壁20が入り込む状態となる。このようにして、第1固定装置200や第2固定装置201や第3固定装置202が対応する側隔壁対16にそれぞれ固定され、端子用接続装置100が端子台10に固定される。
【0026】
上述のとおり、側隔壁対16は長手方向Vの厚みが薄く、長手方向Vの方向の力が加わらないようにすることが重要である。第1固定装置200と第2固定装置201と第3固定装置202との一方側クリップ213や他方側クリップ214の位置関係が、少しであっても変化すると、側隔壁対16に長手方向Vの方向の力が加わることになる。このため接続装置本体110を構成する金属板は、反ったりして変形することが無いようにしなければならない。接続装置本体110のネジ用接続端子部120が形成されている側とは反対の側に、折り曲げ部113を形成している。この折り曲げ部113は、図6に記載のように、接続装置本体110の一方側、すなわちネジ用接続端子部120が設けられている側の反対の側において、側隔壁対16の一方側隔壁18の一方側隔壁上端19を覆うようにし、さらに一方側隔壁18の一方側の側端に沿って、一方側配線ネジ台24の側端の方に向かって、一方側配線26の近傍まで伸びている。このように接続装置本体110の接続装置本体上面114から、接続装置本体側端部112で曲がり、接続装置本体上面114に対して垂直方向に伸びる折り曲げ部113を設けることにより、金属板で作られた接続装置本体110における反りなどの変形を抑制することができる。
【0027】
上記接続装置本体110の変形を抑制する効果を向上するためには、接続装置本体110の長手方向Vに沿った長さに対する折り曲げ部113の長手方向Vに沿った長さの割合を大きくすることが好ましい。また折り曲げ部113を設ける位置を、接続装置本体110の長手方向Vにおける中央の近くとすることが好ましい。図3を例として説明すると、接続装置本体110の長手方向Vに沿った長さL10に対する折り曲げ部113の長手方向Vに沿った長さL11が、長さL10の半分の長さよりも長い形状となっている。また折り曲げ部113が接続装置本体110の長手方向Vに沿った長さの範囲において、ほぼ中央に位置している。従って接続装置本体110の変形に対して、折り曲げ部113は大きな抑止効果を奏する。
【0028】
3.端子用接続装置100を端子台10に固定した状態の説明
図5は、図3図4に記載の端子用接続装置100を端子台10に固定した状態を示す。また図5のB-B断面図を図6に示す。これらの図において、端子用接続装置100の接続装置本体110には、第1固定装置200と第2固定装置201と第3固定装置202が固定されている。1固定装置200と第2固定装置201と第3固定装置202を接続装置本体110に固定する方法は、特別な方法を必要とせず、ネジ止めであっても良いし、接着剤を使用した固定方法であっても良い。図5の例では、第1固定装置200と第3固定装置202との間が長いために、第3固定装置202を用い、三個の定装置を用いる例を記載している。実際に端子用接続装置100を利用する場合には、少なくとも二個の固定装置を設けることが重要である。図5の実施例では、第1固定装置200と第2固定装置201を有していればよい。固定力をさらに強めるには、さらに第3固定装置202を設けるなど、固定装置の数を増やして対応するのが良い。
【0029】
4.第1固定装置200や第2固定装置201、第3固定装置202の説明
上記第1固定装置200や第2固定装置201、第3固定装置202は同様の形状や同様の構成を有しており、図7図8に記載する。図7は第1固定装置200の下面図であり、図8図7のC-C断面図である。第1固定装置200や第2固定装置201、第3固定装置202を代表して第1固定装置200について説明する。第2固定装置201や第3固定装置202の作用効果は同じである。第1固定装置200は、中央隔壁14の両側に設けられている一方側隔壁18と他方側隔壁20とにそれぞれ対応して嵌合するための一方側クリップ213と他方側クリップ214とを有している。一方側クリップ213や他方側クリップ214は、長手方向Vの方向に対して直角の方向に長い形状の溝である一方側クリップ溝222や他方側クリップ溝223を有している。
【0030】
図1に記載のごとく、端子台10に設けられている側隔壁対16は中央隔壁14を挟んで一方の側に一方側隔壁18が設けられ、他方の側に他方側隔壁20が設けられている。図5に示す、端子用接続装置100を端子台10に固定した状態では、接続装置本体110に固定されている第1固定装置200や第2固定装置201や第3固定装置202はそれぞれ、一方側クリップ213や他方側クリップ214を有している。一方側クリップ213や他方側クリップ214は、図7に記載のごとく、その間が空いている。端子用接続装置100が端子台10に固定された状態では、この空いた部分に、図5に示す如く、中央隔壁14が入り込む状態となる。第1固定装置200に設けられた一方側クリップ213や他方側クリップ214は、中央隔壁14の両側に位置する一方側隔壁18や他方側隔壁20に対応する位置に設けられており、端子台10の長手方向Vに対して、一方側クリップ213の一方側クリップ溝222や他方側クリップ214の他方側クリップ溝223は、直角方向に伸びる形状を有していて、一方側クリップ溝222や他方側クリップ溝223はそれぞれ両端が、長手方向Vの直角方向において開放された形状を成している。
【0031】
5.側隔壁対16に対して力が加わるのを抑制する作用効果について
端子用接続装置100の接続装置本体110には、第1固定装置200や第2固定装置201が備えられている。上述の通り、第1固定装置200や第2固定装置201は一方側クリップ213と他方側クリップ214とを有している。第1固定装置200と第2固定装置201とは、それらの間に所定の数の配線ネジ対22や側隔壁対16が設けられていて、互いに所定の長さ離れた位置関係で接続装置本体110に取り付けられている。
【0032】
第1固定装置200や第2固定装置201が有する一方側クリップ213や他方側クリップ214は、端子台10において中央隔壁14を挟んで両側に設けられている一方側隔壁18や他方側隔壁20にそれぞれが嵌合することにより、端子用接続装置100が端子台10に固定される。このような構造により、第1固定装置200自身は、対応する側隔壁対16に対し、長手方向Vの方向の力が発生し難い構造となっている。しかし端子用接続装置100自身は長手方向Vの方向に長い形状を有する。このため、接続装置本体110に、第1固定装置200の位置から所定の距離離れた位置に、第2固定装置201が設けられている。仮に第1固定装置200だけが設けられ、第2固定装置201や第3固定装置202が無い場合には、長手方向Vに直角方向の成分を有する力が作用した場合、仮にその力が小さな力であっても、テコの原理で、側隔壁対16の一方側隔壁18や他方側隔壁20に大きな力が作用する。この結果側隔壁対16破損する恐れがある。しかし、第1固定装置200に加えて第2固定装置201あるいは第3固定装置202が設けられていると、上記テコの原理による力の拡大を抑制できる。従って本実施例で、第1固定装置200と第2固定装置201の、少なくとも2個の固定装置が設けられることにより、嵌合する側隔壁対16に、捩じれ方向の力が加わるのを抑制することができる。
【0033】
上述したが、本願発明が適用された実施例では、第1固定装置200から離れた位置に第2固定装置201が設けられている。第2固定装置201は、基本的には第1固定装置200同じ構造であり、同じ作用効果を奏する。すなわち第2固定装置201が有する一方側クリップ213と他方側クリップ214は、その間に中央隔壁14が入り込むための空間が設けられている。このように中央隔壁14のための空間を利用した位置関係で、一方側クリップ213と他方側クリップ214とを、長手方向Vの直角方向において、所定距離離れた状態で備えている。この構造により、第1固定装置200や第2固定装置201が、中央隔壁14の長手方向Vに対する直角方向から外れた方向の動きや、捻じれた方向の動きが抑えられる。従って固定のために使用される側隔壁対16に、捻じれ方向の力などが加わるのが抑えられ、側隔壁対16が損傷する可能性が抑制される。
【0034】
上述したように、第1固定装置200や第2固定装置201が有する一方側クリップ213や他方側クリップ214に設けられた一方側クリップ溝222や他方側クリップ溝223は、長手方向Vに対する直角方向において長い形状を有すると共に、一方側クリップ溝222や他方側クリップ溝223の両端が開放状態となっている。従って長手方向Vに対する直角方向の面に沿っていれば、傾くこと例えば長手方向Vを中心として少し回転することが可能となる。端子用接続装置100を端子台10に固定する作業において、あるいは端子用接続装置100を端子台10から取外す作業において、このように所定範囲内での傾きが許容される構造を成しているので、作業性が向上する。さらに上述した長手方向Vに対する直角面での動きが可能となるので、その他の方向の動きが抑えられる効果が生じる。なお、図5において、第3固定装置202も、第1固定装置200や第2固定装置201と同様の作用を奏する。
【0035】
接続装置本体110が長い場合に、上述したように、接続装置本体110の反りなどを防止するために、折り曲げ部113が設けられている。これとは別に第1固定装置200と第2固定装置201との間に第3固定装置202を設けることにより、端子台10に保持された端子用接続装置100の状態を安定させることができる。さらに接続装置本体110が有する各ネジ用接続端子部120と対応するネジとの電気的な接続の状態を良好に維持する効果も奏する。
【0036】
6.側隔壁対16の一方側隔壁上端19や他方側隔壁20の保護について
端子用接続装置100の接続装置本体110が有する第1固定装置200や第2固定装置201、第3固定装置202がそれぞれ有する一方側クリップ213や他方側クリップ214は、対応する側隔壁対16の一方側隔壁18や他方側隔壁20と、互いに嵌合状態となることにより、端子用接続装置100が端子台10に固定される。上述の通り、側隔壁対16は薄い形状であり、機械強度が低い。それでも側隔壁対16の根元に近い部分は一方側配線ネジ台24や他方側配線ネジ台28に繋がっており、この構造により機械強度が他の部分より高い。しかし側隔壁対16の一方側隔壁上端19や他方側隔壁上端21は、補強となるものが無く機械強度が低い。このため、図6に記載する一方側隔壁上端19や他方側隔壁上端21は特に破損し易い。一方側隔壁上端19や他方側隔壁上端21の破損を防止するための解決策を、図8および図9を用いて説明する。
【0037】
第1固定装置200や第2固定装置201、第3固定装置202が有する一方側クリップ213や他方側クリップ214は、これらと対応する側隔壁対16の一方側隔壁18や他方側隔壁20との嵌合状態や、そのための構成、さらには側隔壁対16が損傷するのを防ぐための作用効果などがほぼ同じである。従ってこれらを別々に説明することは避け、これらを代表して、第3固定装置202の一方側クリップ213とそれに対応する一方側隔壁18とについて説明し、上述した嵌合状態やさらに損傷を防止する作用効果について、説明する。なお図8図7のC-C断面図であり、図9図5に記載のD-D断面図である。
【0038】
図9において、端子用接続装置100の接続装置本体110に第3固定装置202の固定装置基部210が固定されており、固定装置基部210に一方側クリップ213が固定されている。等間隔に配置された側隔壁対16の一方側隔壁18は一方側配線ネジ台24および端子台基部12に固定されている。隣接する一方側隔壁18との間にはそれぞれ一方側配線ネジ25が設けられている。端子用接続装置100が端子台10に固定された状態では、図9に記載の一方側隔壁18の内の一方側クリップ213と対応する一方側隔壁18が、固定装置基部210に固定された一方側クリップ213の一方側クリップ溝222に入り込み、一方側クリップ溝222と対応する一方側隔壁18とが互いに嵌合した状態となっている。
【0039】
一方側クリップ213はクリップ基部211を備えていて、クリップ基部211には一方側クリップ片225や他方側クリップ片226が設けられ、一方側クリップ片225と他方側クリップ片226とにより、一方側クリップ溝222が形成されている。一方側クリップ溝222は、図7に記載する如く、中央隔壁14の長手方向Vに直角な方向に広がっており、その両端は開放状態となっている。この一方側クリップ溝222に側隔壁対16の一方側隔壁18が挿入され、一方側隔壁18と一方側クリップ溝222とが嵌合状態となる。
【0040】
一方側クリップ溝222を形成するための一方側クリップ片225や他方側クリップ片226の形状、および形成された一方側クリップ溝222の形状を、図8を用いて詳述する。クリップ基部211の中央に一方側クリップ溝222を形成するための一方側クリップ片225と他方側クリップ片226とが設けられている。一方側クリップ溝222は、クリップ基部211からクリップ先端217に至る長さL1を有していて、クリップ基部211からの長さL1の半分より長い範囲に渡って、一方側クリップ溝222の長手方向Vの方向の長さである一方側クリップ溝222の幅が、長さL2となっている。この長さL2は図9に記載のごとく、側隔壁対16の長手方向Vの方向での厚みL18より広い。従って図9に記載のごとく、クリップ基部211から長さL1の半分以上の長さの範囲では、一方側クリップ片225や他方側クリップ片226から側隔壁対16の一方側隔壁18に力が加わらない構造となっている。この明細書では非加圧部228と記す。この構造は、第1固定装置200や第2固定装置201、第3固定装置202に設けられている一方側クリップ213や他方側クリップ214においても、上述した通り、同じ構造および形状であり、それぞれ非加圧部228を各溝の根元側すなわちクリップ基部211の側に有している。上述したように第1固定装置200や第2固定装置201や第3固定装置202が有する各溝および一方側クリップ溝222や他方側クリップ溝223において、以下で説明する作用効果もほぼ同じとなる。
【0041】
一方側クリップ溝222において、長さL5の範囲からさらにクリップ先端217の方に位置する部分で、一方側クリップ溝222の長手方向Vの方向における幅が急激に狭くなり、幅L3となる。幅L3は側隔壁対16の長手方向V方向の厚みL18より少し狭い値である。この厚みL3を成す範囲が、長さL6として示すとおり、少し続く形状となっている。図8に記載の長さL6の部分が、側隔壁対16の長手方向V方向の厚みL18より一方側クリップ溝222の厚さが少し狭い状態の部分である。図9に記載するように、一方側クリップ溝222の長さL6部分は一方側隔壁18に対して両面から挟み込む状態となる部分であり、本明細書では嵌合部230と記す。長さL6の部分を過ぎると、この部分からクリップ先端217に向けて、図8に記載のクリップ先端部216の範囲で、一方側クリップ溝222の長手方向Vの幅が徐々に拡大する。従って側隔壁対16の一方側隔壁18が一方側クリップ溝222に入り込んで、端子用接続装置100が端子台10に固定されている状態では、図8に記載の一方側クリップ溝222の長さL6の部分で、側隔壁対16の一方側隔壁18により、一方側クリップ片225と他方側クリップ片226とが少し広げられる。クリップ基部211や一方側クリップ片225や他方側クリップ片226は、樹脂で形成されており、弾力性を有している。従って一方側クリップ溝222の長さL6の部分で一方側クリップ片225と他方側クリップ片226とが少し広げられても、一方側クリップ片225や他方側クリップ片226の変形により、形状の変化が吸収され、挿入された一方側隔壁18にその両面から押圧が加わる状態となり、一方側隔壁18が固定される。
【0042】
端子用接続装置100を端子台10に固定する作業において、一方側クリップ溝222に対応する側隔壁対16の一方側隔壁18の一方側隔壁上端19が、図8に記載のクリップ先端217から一方側クリップ溝222の内部に導かれる。クリップ先端部216の部分では一方側クリップ溝222の幅が少しずつ狭くなる。図5において、第1固定装置200や第2固定装置201、第3固定装置202の全ての一方側クリップ213や他方側クリップ214において、対応する側隔壁対16の一方側隔壁上端19や他方側隔壁上端21に対する一方側クリップ溝222や他方側クリップ溝223の長手方向V方向における幅が狭くなり、端子用接続装置100と端子台10との位置関係が定まる。
【0043】
端子用接続装置100は少なくとも2個の固定装置である第1固定装置200と第2固定装置201とを有するので、少なくとも第1固定装置200の一方側クリップ213と他方側クリップ214、および第2固定装置201の一方側クリップ213と他方側クリップ214とで、上記端子用接続装置100と端子台10との位置関係が定まりので、固定に寄与する側隔壁対16に対して、長手方向V方向の成分を有する力が加わるのが抑制される。これにより、固定に寄与する側隔壁対16に関する損傷が抑制される。
【0044】
固定に寄与する側隔壁対16の一方側隔壁上端19や他方側隔壁上端21は、図8の長さL6の領域を過ぎると、一方側クリップ溝222の長手方向Vの方向の長さが、側隔壁対16の厚みL18より広い長さL2の領域に入る。従って機械的な強度が低い一方側隔壁上端19や他方側隔壁上端21には、力が加わらない状態となる。この構造により側隔壁対16には損傷が生ない。一方側クリップ溝222と側隔壁対16との接触部分は、側隔壁対16の根元に近い部分となり、この根元に近い部分は一方側配線ネジ台24や端子台基部12により、側隔壁対16が補強されている部分である。従って側隔壁対16への損傷が生じ難い。もちろん上述したように、第1固定装置200と第2固定装置201とが使用されるなど、2個以上の固定装置を使用しているので、側隔壁対16に長手方向Vの方向に力が加わり難い構造としていることが重要である。
【0045】
図8図9において、クリップ根元部215は一方側クリップ溝222のクリップ基部211の側の端部が曲面を成している。このことにより、嵌合部230で一方側クリップ片225や他方側クリップ片226が少し広がる方向に変形しても、クリップ根元部215における応力の集中が抑えられ、破損を抑制できる効果を奏する。また一方側クリップ片225や他方側クリップ片226は、一方側クリップ溝222とは反対の側である外側の面において、クリップ先端217から徐々に厚みを増し、さらにクリップ根元部215において曲面の形状を成してクリップ基部211と一体化している。これらの形状においても応力の集中が抑制され、破損を抑制できる効果を奏している。このことは一方側クリップ溝222の非加圧部228と嵌合部230とのつながり部においても同様であり、角が生じないように曲面を介して繋がる形状としている。このことにより一方側クリップ片225や他方側クリップ片226が、図9に記載する如く、一方側配線ネジ25と一方側隔壁18との間の間隔が極めと少ない、すなわち一方側クリップ片225や他方側クリップ片226を厚くすることができない条件の下でも、破損を防止できる効果を奏している。
【0046】
7.他の実施例の説明
他の実施例を図10から図13を用いて説明する。上述の実施例では、接続装置本体110は導電性の金属板で作られていた。しかし用途に応じては、接続装置本体110を絶縁性の板で構成することが求められる。この実施例では、端子台10に設けられている配線ネジ対22と接続するためのネジ用接続端子部120を、他の配線ネジ対22と接続するための他のネジ用接続端子部120に対して互いに絶縁された状態に維持できるようにするために、金属製の接続装置本体110を使用する代わりに、絶縁特性を有する樹脂材を成形して製造した樹脂製接続装置本体111を使用している。接続装置本体110と樹脂製接続装置本体111では、電気的な絶縁性を有する点以外、例えば作用効果に関してはほぼ同じである。なお本明細書で用語「成形」は、型を使用して製作する方法や切削加工により製作する方法、更には3Dプリンタを使用して製作する方法、等を全て含むものとして使用する。
【0047】
図10は平面図であり、図11は下面図であるが、図11は、図10に記載の端子用接続装置100を、その長手方向Vを中心として回転させた状態で記載している。従って図10図11とでは、左右に記載されている構成が逆の配置となっている。これらの図において、第1固定装置200と第2固定装置201と第3固定装置202とは、先に説明した構造と同じであり、作用も、効果も同じである。第1固定装置200と第2固定装置201と第3固定装置202の構成と作用効果は大変重要であるが、既に説明したので、ここでは説明を省略する。
【0048】
端子用接続装置100の樹脂製接続装置本体111は長手方向Vに沿って長い形状を成し、第1固定装置200と第2固定装置201と第3固定装置202とが固定されている。先の実施例と同様、第1固定装置200と第2固定装置201とは接続装置本体110の長手方向Vにおける両端あるいはほぼ両端に近い位置に設けられている。このような配置にすることにより、接続装置本体110に対して、長手方向Vに対して捩じれた方向の力が生じるのを抑制することができる。このことは先の実施例で記載したとおりである。なお、先の実施例と同様、第1固定装置200と第2固定装置201との間に第3固定装置202が設けられている。これらの構成および作用効果は、図7から図9を用いて説明したとおりである。
【0049】
樹脂製接続装置本体111には、端子台10の配線ネジ対22に対応する位置にネジ用接続端子部120が設けられている。図12は、端子用接続装置100が端子台10に固定される以前のネジ用接続端子部120の状態を示す。樹脂製接続装置本体111にネジ用接続端子部120を固定するための孔116が設けられており、この孔116に、ネジ用接続端子部120を固定するための固定管134が挿入され、ナット128で樹脂製接続装置本体111に固定されている。固定管134の内部に、配線ネジ対22の例えば他方側配線ネジ29に接続するための接触端122を備えた移動軸124が設けられていて、ナット128で固定されている。移動軸124は固定管134の内部を貫通しているが、バネ130により、接触端122が接続装置本体110から遠ざかる方向に付勢されている。バネ130により固定管134の内部を貫通する移動軸124が付勢され、接触端122が樹脂製接続装置本体111から遠ざかる方向に移動する。移動軸124に設けられたストッパー125が固定管134の端部に接することにより移動軸124の移動が停止す。移動軸124の移動が停止した状態で、接触端122が保持される。移動軸124に設けられているストッパー125の位置を調整することにより、樹脂製接続装置本体111からの接触端122の最大長さが設定される。
【0050】
図12は、端子用接続装置100を端子台10に固定する前のネジ用接続端子部120の状態を示す。この構成では孔116が一方側クリップ213の方に設けられており、以下で説明するように移動軸124の先端部に設けられた接触端122が、配線ネジ対22の他方側配線ネジ29に電気的に接続される。配線ネジ対22の一方側配線ネジ25に、移動軸124の先端部に設けられた接触端122を電気的に接続する構成にする場合には、孔116を一方側クリップ213の方に設けることになる。その他の構成や作用効果は、接続装置本体側端部112を他方側配線ネジ29に接続する場合も、一方側配線ネジ25に接続する場合も同じである。これらの構成を代表して、図12に記載する、孔116を他方側配線ネジ29の方に受ける構成について説明する。
【0051】
移動軸124の先端部に設けられた接触端122を配線ネジ対22の他方側配線ネジ29に接続する構成である、図12に記載の構成において、端子用接続装置100を端子台10に固定する前の状態では、移動軸124の先端に設けられた接触端122が一方側クリップ213より少し突出した位置に保たれている。端子用接続装置100を端子台10に固定する時に、接触端122が予定したネジ、例えば予定した配線ネジ対22の他方側配線ネジ29に電気的に接続する場合に、予定された他方側配線ネジ29に接触端122が正しく接触する位置となるように、端子用接続装置100と端子台10との位置関係を手で調整し、端子用接続装置100を端子台10に固定する作業が行われる。接触端122が一方側クリップ213の先端より大きく突出する構成では、端子用接続装置100を端子台10に固定する際に、突出した接触端122が、固定作業を行う上でいろいろ障害となる。通常は、多数の接触端122が対応する配線ネジ対22の他方側配線ネジ29に接続されることとなるので、大きく突出した各接触端122を対応する他方側配線ネジ29にそれぞれ接触させて、各バネ130のばね圧に対向して各接触端122を樹脂製接続装置本体111の方に移動させることになるので、端子用接続装置100のブレが生じ易くなる。このブレにより固定に使用する側隔壁対16に、長手方向の力が加わり、側隔壁対16が損傷する恐れが生じる。
【0052】
端子用接続装置100を端子台10に固定する前の状態で、接触端122が他方側クリップ214の先端より樹脂製接続装置本体111の側に位置するようにした場合には、接触端122が対応する他方側配線ネジ29に接続する前の状態と、接触端122が対応する他方側配線ネジ29に接続した状態とにおける、バネ130の長さの変化量を大きくすることが困難となる。このため、端子用接続装置100が端子台10に固定された状態における、接触端122を対応する他方側配線ネジ29に接触させて他方側配線ネジ29を押圧する力が小さくなる。十分な電気的接続を維持する場合には、接触端122が所定以上の圧で他方側配線ネジ29を押圧することが望ましい。しかしバネ130の変化量が小さい場合、安定した範囲内で押圧力を維持することが困難となる。
【0053】
端子用接続装置100が端子台10に固定される前の状態で、接触端122が一方側クリップ213あるいは他方側クリップ214より少し突出した状態となり、端子用接続装置100が端子台10に固定された状態で他方側配線ネジ29によりバネ130が縮み、接触端122が一方側クリップ213や他方側クリップ214の先端部より樹脂製接続装置本体111側に位置する状態となる構成にすることにより、バネ130の長さの変化量を適した値とすることができ、接続状態において適した押圧を得ることができる。例えば端子台10に端子用接続装置100を固定する前の接触端122の一方側クリップ213あるいは他方側クリップ214の先端からの突出量は、数ミリメータ程度とすることが望ましい。対応する他方側配線ネジ29に電気的に接続する接触端122が多数存在する場合が多いので、端子用接続装置100が端子台10に固定される前の状態での接触端122が一方側クリップ213や他方側クリップ214の先端部から少し突出しており、一方端子用接続装置100が端子台10に固定された後では、接触端122が一方側クリップ213や他方側クリップ214の先端部より樹脂製接続装置本体111の側に位置する状態となる構成とすることにより、接触端122やバネ130などに仮に異常が生じた場合に、異常の発見が容易となる。
【0054】
端子台10に固定されている端子用接続装置100を取り外す場合も、接触端122が大きく飛び出すと、作業の邪魔になる。一方側クリップ213や他方側クリップ214に対して少しだけ突出する構成であれば、作業の邪魔にはならない。図13に記載する外部引出線142は計測や検査などを行うための外部引出線142である。なお、図12図13において、いろいろな参照符号を記載している。これらの参照符号で示される構成は、先の実施例で既に説明済である。同じ参照符号の構成は、同じ作用を為し効果を奏する。従ってこれら参照符号の構成は、先の実施例で説明した機能や作用や効果と同じである。このため本実施例での説明は省略する。また図10図11に記載のように、ネジ用接続端子部120が多数設けられている。ネジ用接続端子部120はそれぞれ図12図13に基づいて説明した構成と同じであり、上述の作用効果を奏する。
【0055】
8.上述した2つの実施例が有する特徴と作用効果について
上述した2つの実施例の特徴を説明し、さらに各特徴に基づく作用効果について、特徴毎に実施例の構成を参照しながら説明する。
【0056】
〔第1の特徴を備えた端子用接続装置〕
第1の特徴を備えた端子用接続装置100は、端子台10に固定される端子用接続装置100であって、
端子台10は、長い形状を成す中央隔壁14と、中央隔壁14の長手方向に沿って交互に配置された側隔壁対16と配線ネジ対22と、を備えており
側隔壁対16は、中央隔壁14の前記長手方向に対する直角方向において、中央隔壁14を挟んで、中央隔壁14の一方側に配置された一方側隔壁18と、中央隔壁14の他方側に配置された他方側隔壁20と、を備え、
配線ネジ対22は、中央隔壁14の前記長手方向に対する直角方向において、中央隔壁14を挟んで、中央隔壁14の一方側に配置された一方側配線ネジ25と、中央隔壁14の他方側に配置された他方側配線ネジ29と、を備えており、
端子用接続装置100は、端子台10の中央隔壁14の前記長手方向に沿って長い形状を成す接続装置本体110と、端子台10が有する少なくとも一つの配線ネジ対22の一方側配線ネジ25あるいは他方側配線ネジ29と電気的に接続するためのネジ用接続端子部120と、端子用接続装置100を端子台10に固定するための第1固定装置200と第2固定装置201と、を備え、
第1固定装置200と第2固定装置201とはそれぞれ、端子台10の長手方向に配置された側隔壁対16の内の第1側隔壁対16と第2側隔壁対16とに対応した位置に設けられると共に、第1固定装置200が対応する第1側隔壁対16と第2固定装置201が対応する第2側隔壁対16との間に、所定の数の側隔壁対16が設けられており、
第1固定装置200は、対応する第1側隔壁対16に嵌合するための第1クリップ対212を有し、
第1クリップ対212は、対応する第1側隔壁対16の一方側隔壁18に嵌合するための第1一方側クリップ溝222を有する第1一方側クリップ213と、対応する第1側隔壁対16の他方側隔壁20に嵌合するための第1他方側クリップ溝223を有する第1他方側クリップ214と、を備え、
第2固定装置201は、対応する第2側隔壁対16に嵌合するための第2クリップ対212を有し、
第2クリップ対212は、対応する第2側隔壁対16の一方側隔壁18に嵌合するための第2一方側クリップ溝222を有する第2一方側クリップ213と、対応する第2側隔壁対16の他方側隔壁20に嵌合するための第2他方側クリップ溝223を有する第2他方側クリップ214と、を備える、
ことを特徴とする。
【0057】
〔第1の特徴を備えた端子用接続装置100の作用効果について〕
端子台10は、長手方向Vに沿って交互に配列された配線ネジ対22と側隔壁対16とを備えている。側隔壁対16は、長手方向Vに沿って配置された配線ネジ対22相互間の電気的な絶縁を行うことが主目的である。この側隔壁対16は市販されているほぼすべての端子台10が有しており、この側隔壁対16を利用して端子用接続装置100を端子台10に固定する構造とすることにより、多くの製品に広く使用可能な端子用接続装置100を提供することが可能となる。しかし側隔壁対16を本来の目的とは異なる端子用接続装置100の固定のために使用しようとした場合に、機械的な強度に関する課題を解決することが必要となる。
【0058】
端子台10に設けられている側隔壁対16は、端子台10の長手方向Vにおける厚みが、薄く作られている。もし側隔壁対16の長手方向Vにおける厚さを厚くすると、端子台10の長手方向Vに沿って設けられている配線ネジ対22の相互間を広くしなければならない。このため端子台10全体の長手方向Vの長さが長くなる問題が生じる。上述したとおり、側隔壁対16を設けている主目的は、電気的な絶縁を行うことである。この目的のためには、側隔壁対16が薄い形状であっても十分に本来の目的を達成することができる。
【0059】
端子台10に端子用接続装置100を固定するために、端子用接続装置100は、側隔壁対16を挟み込むための一方側クリップ213や他方側クリップ214を備えた第1固定装置200や第2固定装置201を備えている。しかし上述の如く、端子台10に設けられている側隔壁対16は長手方向Vにおける厚みが薄い。このため長手方向Vにおいて側隔壁対16に加わる力に対する機械的強度が、不十分である問題を解決することが求められる。このためには、端子用接続装置100により、端子台10の側隔壁対16に対して、の長手方向Vに力が作用するのを抑制可能な構造とすることである。また側隔壁対16に対して捩じれ方向の力が生じない構造とすることが求められる。端子用接続装置100が端子台10に固定されている状態だけでなく、端子用接続装置100を端子台10に固定する作業中や、端子用接続装置100を端子台10から取外す作業中に、側隔壁対16に対して長手方向Vの力が作用したり、捻じれの力が作用したりすることが生じ難い構成とすることが重要である。
【0060】
第1の特徴を有する端子用接続装置100は、側隔壁対16を構成する一方側隔壁18や他方側隔壁20に対して、長手方向Vの力や捩じれの力が生じ難い構成を備えている。端子用接続装置100を端子台10に固定するために、端子用接続装置100が有する接続装置本体110には、互いに所定数の側隔壁対16だけ隔てた位置に第1固定装置200と第2固定装置201の少なくとの2個の固定装置が設けられている。さらに第1固定装置200や第2固定装置201はそれぞれ、一方側クリップ213と他方側クリップ214とを有している。
【0061】
第1の特徴を有する端子用接続装置100では、第1固定装置200が有する第1一方側クリップ213は第1一方側クリップ溝222を有していて、第1一方側クリップ213に対応する位置の第1側隔壁対16の一方側隔壁18に嵌合する。また第1他方側クリップ溝223を有する第1他方側クリップ214は第1側隔壁対16の他方側隔壁20に嵌合する。第1側隔壁対16の一方側隔壁18と第1側隔壁対16の他方側隔壁20とは、中央隔壁14を挟んで配置されており、第1固定装置200に回転する動きが生じることが抑制される構成となっている。
【0062】
さらに加えて上述のとおり第2固定装置201が設けられており、第2固定装置201も第1固定装置200と同様、第2一方側クリップ213と第2他方側クリップ214とを備えていている。第2固定装置201の第2一方側クリップ213と第2他方側クリップ214とはそれぞれ、対応する位置にある、第2側隔壁対16の第2一方側隔壁18と第2他方側隔壁20に嵌合する。このような構造により、端子用接続装置100は嵌合している側隔壁対16に対して、長手方向Vの力が作用するのが抑制される。さらに加えて、第1固定装置200と第2固定装置201が、互いに所定数の側隔壁対16だけ隔てた位置に固定されている。このため端子用接続装置100は端子台10の長手方向Vに対して捩じれが生じ難い構成となっている。
【0063】
上記構成から特に、端子用接続装置100を端子台10に固定する作業において、あるいは端子用接続装置100を端子台10から取外す作業において、第1固定装置200と第2固定装置201は、側隔壁対16に長手方向の力が加わるのが抑制される。さらに加えて、側隔壁対16に回転方向の力が加わるのが抑制される。この結果、端子台10が有する側隔壁対16を、端子用接続装置100を固定するために利用することが可能となる。
【0064】
〔第2の特徴を有する端子用接続装置100について〕
第2の特徴を有する端子用接続装置100は、第1の特徴を有する端子用接続装置100において、
第1固定装置200が有する第1クリップ対212の第1一方側クリップ213が有する第1一方側クリップ溝222および第1他方側クリップ214が有する第1他方側クリップ溝223はそれぞれ、中央隔壁14の前記長手方向に対して前記直角方向に沿って細長く広がった形状を成し、さらに第1一方側クリップ溝222および第1他方側クリップ溝223はそれぞれ、中央隔壁14の前記長手方向に対する前記直角方向において、その両端が開放した形状を成し、
第2固定装置201が有する第2クリップ対212の第2一方側クリップ213が有する第2一方側クリップ溝222および第2他方側クリップ213が有する第2他方側クリップ溝223はそれぞれ、中央隔壁14の前記長手方向に対して前記直角方向に沿って細長く広がった形状を成し、さらに中央隔壁14の前記長手方向に対する前記直角方向において、その両端が開放した形状を成している、
ことを特徴とする。
【0065】
〔第2の特徴を有する端子用接続装置100の作用効果について〕
第2の特徴を有する端子用接続装置100が固定される端子台10では、側隔壁対16がそれぞれ中央隔壁14の長手方向に対して前記直角方向に薄くて広がった形状を成している。この薄くて広がった形状の部分に、第1固定装置200の第1一方側クリップ溝222や第1他方側クリップ溝223、第2固定装置201の第2一方側クリップ溝222や第2他方側クリップ溝223がそれぞれ嵌合することにより、端子用接続装置100が端子台10に固定される。端子台10の側隔壁対16は、中央隔壁14の長手方向Vに対する直角方向の力に対しては比較的強い形状である。しかし中央隔壁14の長手方向Vにおける力に対しては機械的強度が弱い欠点を有している。従って端子用接続装置100の固定作業においてあるいは取外し作業において、端子用接続装置100が中央隔壁14の長手方向Vにおける動きが生じにくい構造が、端子用接続装置100に求められる。
【0066】
第1固定装置200の第1一方側クリップ溝222や第1他方側クリップ溝223、第2固定装置201の第2一方側クリップ溝222や第2他方側クリップ溝223がそれぞれ、中央隔壁14の長手方向に対して直角方向において、それぞれの端部が開放された形状を成している。この形状により、第2の特徴を備えた端子用接続装置100を前記端子台10に固定する作業において、端子用接続装置100は中央隔壁14の長手方向Vに対して前記直角方向の面での回転が生じ易い構成となっている。この結果、第2の特徴を有する端子用接続装置100を前記端子台10に固定する作業において、中央隔壁14の長手方向への動きが生じにくい。すなわちどの方向にも動かない構造であると、予期しない方向の動きが生じ易い。しかし、一方向の動きが可能な構造では、他の方向の動きを抑制し易い効果が生じる。この結果として第2の特徴を備えた端子用接続装置100では、第1固定装置200や第2固定装置201を保持する第1側隔壁対16や第2側隔壁対16に加わる中央隔壁14の長手方向の力を抑制でき、固定のために使用する第1側隔壁対16や第2側隔壁対16の破損の可能性を低減できる。
【0067】
〔第3の特徴を有する端子用接続装置100について〕
第3の特徴を有する端子用接続装置100は、第2の特徴を有する端子用接続装置100において、
端子用接続装置100が固定される端子台10には、配線ネジ対22を構成する一方側配線ネジ25と他方側配線ネジ29とを固定するために、一方側配線ネジ25と他方側配線ネジ29との根元にネジ台24やネジ台28が設けられており、
第1固定装置200が有する第1クリップ対212の第1一方側クリップ213が有する第1一方側クリップ溝222および第1他方側クリップ213が有する第1他方側クリップ溝223はそれぞれ、第1クリップ対212が嵌合する端子台10の第1側隔壁対16の両側に位置するネジ台24またはネジ台28に向かって伸びる形状を成し、
第2固定装置201が有する第2クリップ対212の第2一方側クリップ213が有する第2一方側クリップ溝222および第2他方側クリップ214が有する第2他方側クリップ溝223はそれぞれ、第2クリップ対212が嵌合する端子台10の第2側隔壁対16の両側に位置するネジ台24またはネジ台28に向かって伸びる形状を成し、
第1クリップ対212が有する第1一方側クリップ溝222および第1他方側クリップ溝223、および第2クリップ対212が有する第2一方側クリップ溝222および第2他方側クリップ溝223はそれぞれ、中央隔壁14の前記長手方向における幅が、第1一方側クリップ溝222および第1他方側クリップ溝223の根元側である接続装置本体110に近い側において、および第2一方側クリップ溝222および第2他方側クリップ溝223の根元側である接続装置本体110に近い側において、側隔壁対16の前記長手方向における厚さL18より広い幅L2を有する非加圧部228を有し、
第1クリップ対212が有する第1一方側クリップ溝222および第1他方側クリップ溝223、および第2クリップ対212が有する第2一方側クリップ溝222および第2他方側クリップ溝223はそれぞれ、前記非加圧部228より先端側である接続装置本体110より遠い側において、側隔壁対16の前記厚さL18より狭い幅L3の形状を成す嵌合部230を有する、
ことを特徴とする。
【0068】
〔第3の特徴を有する端子用接続装置100の作用効果について〕
端子台10の各側隔壁対16は、一方側配線ネジ台24や他方側配線ネジ台28により、機械的強度が補強された形状である。また中央隔壁14とそれぞれ一体化しているので、機械的な強度が中央隔壁14により補強される構造となっている。しかし一方側隔壁18の一方側隔壁上端19や他方側隔壁20の他方側隔壁上端21は、一方側配線ネジ台24や他方側配線ネジ台28より離れた位置にあり、機械的な強度が弱い。第3の特徴を有する端子用接続装置100では、第1固定装置200が有する第1クリップ対212の第1一方側クリップ溝222および第1他方側クリップ溝223、さらに第2固定装置201が有する前記第2クリップ対212の前記第2一方側クリップ溝222および前記第2他方側クリップ溝223はそれぞれ、端子用接続装置100が端子台10に固定された状態に置いて、側隔壁対16の一方側隔壁上端19や他方側隔壁上端21は、第1固定装置200が有する第1クリップ対212の第1一方側クリップ溝222および第1他方側クリップ溝223の非加圧部228に位置する。従って接触し難い形状となっている。仮に接触してもほとんど力が作用しない形状となっている。すなわち上記実施例では、非加圧部228が形成され、この非加圧部228では、端子用接続装置100端子台10に固定されている状態に置いて、側隔壁対16の一方側隔壁上端19や他方側隔壁上端21に対して力が加わらない形状となっている。このことは第2固定装置201や第3固定装置202が有する一方側クリップ213や他方側クリップ214に付いても同様である。このため、最も弱い部分である端子台10における側隔壁対16の一方側隔壁上端19や他方側隔壁上端21が損傷するのを防止できる。
【0069】
一方第1固定装置200や第2固定装置201や第3固定装置202において,一方側クリップ213や他方側クリップ214と対象の側隔壁対16とが嵌合する位置は、前記非加圧部228よりさらに一方側クリップ213や他方側クリップ214が有する一方側クリップ溝222や他方側クリップ溝223の先端側である。すなわち対象の側隔壁対16の一方側配線ネジ台24や他方側配線ネジ台28に近い方である。側隔壁対16に対して力が作用する場所を、上述した機械的な強度が弱い一方側隔壁上端19や他方側隔壁上端21を避けた場所とすることができる。
【0070】
〔第4の特徴を有する端子用接続装置100について〕
第4の特徴を有する端子用接続装置100は、第3の特徴を有する用接続装置100において、
前記第1固定装置200が有する前記第1クリップ対212の前記第1一方側クリップ213が有する前記第1一方側クリップ溝222および前記第1他方側クリップ溝223、および前記第2固定装置201が有する前記第2クリップ対212の前記第2一方側クリップ213が有する前記第2一方側クリップ溝222および前記第2他方側クリップ溝223はそれぞれ、前記各溝の先端における幅が前記嵌合部230における前記幅より広く、前記各溝の前記先端から前記各溝の前記嵌合部230に向かって徐々に前記各溝の幅が狭まる形状を成す、
ことを特徴とする。
【0071】
〔第4の特徴を有する端子用接続装置100の作用効果について〕
上述した如く、側隔壁対16はそれぞれ一方側隔壁上端19や他方側隔壁上端21は、端子台10の長手方向Vの力に対する強度が弱い。従って端子台10に端子用接続装置100を固定する作業において、一方側隔壁上端19や他方側隔壁上端21に端子台10の長手方向Vの力が加わらないようにすることが望ましい。
【0072】
第4の特徴を有する構成では、端子用接続装置100の第1固定装置200と第1固定装置200の各一方側クリップ213や他方側クリップ214が対応する側隔壁対16に少し挿入された後に、徐々に一方側隔壁上端19や他方側隔壁上端21に力が作用する構造となっている。少しずつ力が加わることにより、端子用接続装置100と端子台10との長手方向Vにおける位置関係が乱れることなく安定して定まる形状となっている。従って一方側隔壁上端19や他方側隔壁上端21に対し、端子台10の長手方向Vに急激に大きな力が加わるのを避ける構成となっている。
【0073】
図8に記載のように、第1一方側クリップ溝222および第1他方側クリップ溝223、第2一方側クリップ溝222、第2他方側クリップ溝223のそれぞれの先端部が広く、対応する側隔壁対16の一方側隔壁上端19や他方側隔壁上端21が挿入されるに従って互いの位置関係が正確な関係になる。このような構成により対応する側隔壁対16の一方側隔壁上端19や他方側隔壁上端21に対して、長手方向の大きな力が加わるのを抑制することができる。
【0074】
〔第5の特徴を有する端子用接続装置100について〕
第5の特徴を有する端子用接続装置100は、第3の特徴を有する端子用接続装置100において、
第1固定装置200と第2固定装置201が、前記長手方向において長い形状を成す接続装置本体110における、前記所定数の側隔壁対16を隔てた位置にそれぞれ固定され、
接続装置本体110は電気伝導性を有する金属板で形成されており、
第1固定装置200と第2固定装置201との間に存在する配線ネジ対22の一方側配線ネジ25あるいは他方側配線ネジ29の内の一つの側の接続ネジに接続するためのネジ用接続端子部120が、接続装置本体110の一方側あるいは他方側に設けられており、
接続装置本体110におけるネジ用接続端子部120が設けられている側とは反対側の側端部である接続装置本体側端部112に、接続装置本体110と一体に形成された折り曲げ部113が設けられ、
曲げ部113は、側隔壁対16の上を覆う位置に配置された接続装置本体110の接続装置本体側端部112において折り曲げられて、端子台10におけるネジ用接続端子部120が設けられている側とは反対側に位置する配線ネジ25が設けられているネジ台24の方に向かって伸びている、
ことを特徴とする。
【0075】
〔第5の特徴を有する端子用接続装置100の作用効果について〕
端子用接続装置100の接続装置本体110が金属板である場合に、経時変化や、温度変化などにより、接続装置本体110が反るなどの形状変化を生じる恐れがある。上述したように接続装置本体110に設けられた第1固定装置200や第2固定装置201がそれぞれ有する一方側クリップ溝222や他方側クリップ溝223と、これらに対応する側隔壁対16の一方側隔壁18や他方側隔壁20との位置関係が変化すると、一方側隔壁18や他方側隔壁20に対して、長手方向Vの力が加わる、あるいは捩じれ状態の力が加わる恐れが出てくる。このような力が加わると、上述したように、固定のために使用する側隔壁対16が損傷する恐れが生じる。
【0076】
第5の特徴を有する端子用接続装置100では、金属板からなる接続装置本体110は、その接続装置本体側端部112に沿って所定の長さの折曲がった形状である折り曲げ部113を有している。この折り曲げ部113により、接続装置本体110はそれ自身の反りや捩じれなどの変形が抑制される。従って接続装置本体110に設けられた第1固定装置200と第2固定装置201との間の位置関係の変化が抑制され、端子台10の側隔壁対16に対する上述の損傷を抑制することできる。
【0077】
〔第6の特徴を有する端子用接続装置100について〕
第6の特徴を有する端子用接続装置100は、第3の特徴を有する端子用接続装置100において、
接続装置本体110は絶縁樹脂で成形された樹脂製接続装置本体111であり、
樹脂製接続装置本体111に第1固定装置200と第2固定装置201とが、所定数の側隔壁対16を隔てて設けられており、
配線ネジ対22の内の電気的な接続対象である接続対象配線ネジ対22が有する一方側配線ネジ25あるいは他方側配線ネジ29の内の一つである接続対象ネジに電気的に接続するためにネジ用接続端子部120が樹脂接続装置本体111に固定されており、
ネジ用接続端子部120は、接続対象ネジ22に電気的な接続を行うための接触端122と、接触端122を移動可能に樹脂製接続装置本体111に固定するための固定管134と、接触端122を樹脂接続装置本体111から遠ざける方向に作用するバネ130とを有し、
端子用接続装置100が端子台10に固定されていない状態では、接触端122が、第1固定装置200や第2固定装置201が有する一方側クリップ213や他方側クリップ214より、バネ130の作用により、樹脂接続装置本体111から遠い位置に位置し、
また端子用接続装置100が端子台10に固定された状態では、接触端122が前記接続対象ネジに接することによりバネ130が縮み、接触端122が第1固定装置200や第2固定装置201が有する一方側クリップ213や他方側クリップ214の先端より、樹脂接続装置本体111に近い位置に位置する、
ことを特徴とする。
【0078】
〔第6の特徴を有する端子用接続装置100の作用効果について〕
第1固定装置200や第2固定装置201のネジ用接続端子部120が接続対象とする前記接続対象ネジと電気的に確実に接続することが求められる。また端子用接続装置100を端子台10に固定する作業を行い易くするためや端子用接続装置100を端子台10に固定する際の誤接続を抑制できることが望ましい。このため第6の特徴を有する端子用接続装置100が端子台10に固定される前の状態では、ネジ用接続端子部120の接触端122が、第1固定装置200や第2固定装置201が有する一方側クリップ213や他方側クリップ214の先端より外側に、すなわち樹脂製接続装置本体111に対して遠い位置に突出した状態となる。これにより、接触端122と前記接続対象ネジとの位置合わせが容易となる。本特徴を有する端子用接続装置100を固定する端子台10は、機械的な強度が小さい関係から、必要以外の方向の力が端子台10に加わるのをできるだけ避けることが望ましい。従ってネジ用接続端子部120の接触端122と前記接続対象ネジとの位置関係が分かり易いことが望ましい。また端子用接続装置100が端子台10に固定された状態では、ネジ用接続端子部120の接触端122が、前記接続対象ネジに接触することによりバネ130が縮み、一方側クリップ213や他方側クリップ214の先端部がネジ用接続端子部120の接触端122より、突出した状態となる。この結果ネジ用接続端子部120の接触端122を良好な状態で、前記接続対象ネジに電気的に接続することができる。さらにバネ130などが正常に動作することが視覚的に確認でき、信頼性の向上に繋がる。
【0079】
上述したように側隔壁対16は機械的強度が小さく、特に側隔壁対16の内の一方側配線ネジ台24や他方側配線ネジ台28から遠い位置にある、一方側隔壁上端19や他方側隔壁上端21の機械的強度が小さい。側隔壁対16の根元は例えば一方側配線ネジ台24や他方側配線ネジ台28と一体化していて、機械的強度が他の部分より高い。従って第1固定装置200や第2固定装置201が有する一方側クリップ213や他方側クリップ214はできるだけ、配線ネジ台28の近くまで伸びていることが望ましい。第6の特徴を有する端子用接続装置100が端子台10に固定された状態では、一方側クリップ213や他方側クリップ214の先端部が、一方側配線ネジ25や他方側配線ネジ29の近傍まで伸びており、一方側隔壁18や他方側隔壁20に加わる力の作用位置を、機械的強度が低い一方側隔壁上端19や他方側隔壁上端21から遠い位置とすることができる。
【0080】
端子用接続装置100を端子台10に固定する前の状態で、接触端122が他方側クリップ214の先端より樹脂製接続装置本体111の側に位置するようにした場合に、端子用接続装置100を端子台10に固定する前の状態と端子用接続装置100を端子台10に固定した後の状態とにおける、バネ130の長さの変化量を大きくすることが困難となる。このため、端子用接続装置100が端子台10に固定された状態における、接触端122が対応する他方側配線ネジ29を押圧する力が小さくなる。十分な電気的接続を維持するためには、接触端122が所定以上の圧で他方側配線ネジ29を押圧することが望ましい。しかしバネ130の変化量が小さい場合、安定した範囲内で押圧力を維持することが困難となる。端子用接続装置100が端子台10に固定される前の状態で、接触端122が一方側クリップ213あるいは他方側クリップ214より少し突出した状態とすることにより、バネ130の長さの変化量を大きくでき、接触端122を他方側配線ネジ29に接続した状態における押圧力を大きくでき、確実で安定した電気的な接続を得ることができる。
【符号の説明】
【0081】
10・・・端子台、12・・・端子台基部、14・・・中央隔壁、16・・・側隔壁対、18・・・一方側隔壁、19・・・一方側隔壁上端、20・・・他方側隔壁、21・・・他方側隔壁上端、22・・・配線ネジ対、23・・・ネジ台、24・・・一方側配線ネジ台、25・・・一方側配線ネジ、26・・・一方側配線、27・・・短絡金属板、28・・・他方側配線ネジ台、29・・・他方側配線ネジ、30・・・他方側配線、100・・・端子用接続装置、110・・・接続装置本体、111・・・樹脂製接続装置本体、112・・・接続装置本体側端部、113・・・折り曲げ部、114・・・接続装置本体上面、116・・・孔、120・・・ネジ用接続端子部、122・・・接触端、124・・・移動軸、126・・・保持具、128・・・ナット、130・・・バネ、134・・・固定管、140・・・外部接続端子、142・・・外部引出線、200・・・第1固定装置、208・・・取付部、210・・・固定装置基部、211・・・クリップ基部、212・・・クリップ対、213・・・一方側クリップ、214・・・他方側クリップ、215・・・クリップ根元部、216・・・クリップ先端部、217・・・クリップ先端、220・・・クリップ溝、222・・・一方側クリップ溝、223・・・他方側クリップ溝、225・・・一方側クリップ片、226・・・他方側クリップ片。
【要約】      (修正有)
【課題】カバー係止用凹部の有無にかかわらず端子台に固定可能な接続装置をの提供する。
【解決手段】ネジ用接続端子部120を備えた接続装置本体110と第1固定装置200と第2固定装置201とを備え、第1固定装置200は第1一方側クリップ溝を有する第1一方側クリップ213と第1他方側クリップ溝を有する第1他方側クリップ214とを備え、また第2固定装置201は、第2一方側クリップ溝を有する第2一方側クリップ213と第2他方側クリップ溝を有する第2他方側クリップ214とを備え、第1固定装置200と第2固定装置201とを所定の数の側隔壁対を挟んで配置し、第1固定装置200と第2固定装置201とはそれぞれ前記所定の数離れた位置の対応する側隔壁対と嵌合することにより、端子用接続装置を端子台に固定することを特徴とする端子用接続装置。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13