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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-20
(45)【発行日】2025-01-06
(54)【発明の名称】情報処理システムおよび情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/32 20160101AFI20241223BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20241223BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20241223BHJP
   G09G 5/12 20060101ALI20241223BHJP
   G09G 5/18 20060101ALI20241223BHJP
【FI】
G09G3/32 A
G09G3/20 612T
G09G3/20 650J
G09G3/20 680E
G09G5/00 510V
G09G5/00 520V
G09G5/00 550C
G09G5/12
G09G5/18
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2023552794
(86)(22)【出願日】2022-09-22
(86)【国際出願番号】 JP2022035333
(87)【国際公開番号】W WO2023058465
(87)【国際公開日】2023-04-13
【審査請求日】2024-06-04
(31)【優先権主張番号】P 2021163394
(32)【優先日】2021-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121131
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100168686
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 勇介
(72)【発明者】
【氏名】岡本 鋭造
(72)【発明者】
【氏名】江間 弘知
(72)【発明者】
【氏名】山根 祥嗣
(72)【発明者】
【氏名】千葉 信胤
(72)【発明者】
【氏名】伊達 秀樹
【審査官】武田 悟
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-83788(JP,A)
【文献】特開2019-134206(JP,A)
【文献】特開平11-184445(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112565620(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/20 - 5/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローリングシャッタ方式で表示部を撮影する撮影部の露光時間を取得する取得部と、
前記露光時間に基づいて、パッシブマトリクス駆動方式で発光する前記表示部に表示される映像の垂直ブランキング期間を制御する制御部と、
前記表示部と
を備え、
前記制御部は、前記露光時間が前記表示部の発光周期の整数倍となるように前記垂直ブランキング期間を制御する
ように構成された
情報処理システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記露光時間に基づいて、前記映像の隣接する2つのフレームのうちの一方のフレームである第1のフレームの前記垂直ブランキング期間を削除するように制御する
ように構成された
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1のフレームの次のフレームである第2のフレームの表示開始時刻を早めることにより、前記第1のフレームの前記垂直ブランキング期間を削除するように制御する
ように構成された
請求項に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記第2のフレームの前記垂直ブランキング期間を前記第1のフレームの前記垂直ブランキング期間だけ延長するように制御する
ように構成された
請求項に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記露光時間に基づいて、前記映像の全フレームの表示開始時刻を変更することにより、前記撮影部の全ての行の露光期間内に前記第2のフレームの前記垂直ブランキング期間を含めるように制御する
ように構成された
請求項に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記取得部は、前記撮影部の幕速を取得する
ように構成された
請求項に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記撮影部の前記幕速と前記露光時間に基づいて、前記撮影部の全ての行の前記露光期間内に前記第2のフレームの前記垂直ブランキング期間を含めるように制御する
ように構成された
請求項に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記制御部は、前記撮影部の前記幕速と前記露光時間に基づいて、現在のモードを、前記撮影部の全ての行の前記露光期間内に前記第2のフレームの前記垂直ブランキング期間を含めない第1のモード、または、前記撮影部の全ての行の前記露光期間内に前記第2のフレームの前記垂直ブランキング期間を含める第2のモードに設定する
ように構成された
請求項に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記制御部は、前記現在のモードを前記第2のモードに設定した場合、前記撮影部の全ての行の前記露光期間内に前記第2のフレームの前記垂直ブランキング期間を含めるように制御する
ように構成された
請求項に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記制御部は、前記撮影部の露光期間内に前記垂直ブランキング期間が含まれない場合、前記露光時間が前記表示部の発光周期の整数倍となるように前記垂直ブランキング期間を制御する
ように構成された
請求項に記載の情報処理システム。
【請求項11】
前記制御部は、前記露光期間内に前記垂直ブランキング期間が含まれない場合、前記露光時間が前記表示部の発光周期の整数倍となるように前記表示部のリフレッシュレートを決定し、前記リフレッシュレートに基づいて前記垂直ブランキング期間を制御する
ように構成された
請求項10に記載の情報処理システム。
【請求項12】
前記制御部は、前記撮影部の露光期間内に前記垂直ブランキング期間が含まれる場合、前記露光時間が前記表示部の発光周期の整数倍と前記垂直ブランキング期間の和となるように前記垂直ブランキング期間を制御する
ように構成された
請求項に記載の情報処理システム。
【請求項13】
前記制御部は、前記露光期間内に前記垂直ブランキング期間が含まれる場合、前記露光時間が前記表示部の発光周期の整数倍と前記垂直ブランキング期間の和となるように前記表示部のリフレッシュレートを決定し、前記リフレッシュレートに基づいて前記垂直ブランキング期間を制御する
ように構成された
請求項12に記載の情報処理システム。
【請求項14】
複数の表示ユニットから構成される前記表示部に表示するための映像信号を取得する入力部と、
前記映像信号を、前記表示部のそれぞれの前記表示ユニットに表示するための映像信号へ分割する分割部と、
前記垂直ブランキング期間を制御する制御信号と分割された前記映像信号を前記表示ユニットに出力する出力部と
をさらに備え、
前記制御部は、前記制御信号を生成することにより、前記垂直ブランキング期間を制御する
ように構成された
請求項1乃至13のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項15】
前記取得部と前記制御部は、第1の機器上に設けられ、
前記入力部、前記分割部、および前記出力部は、前記第1の機器とは異なる第2の機器上に設けられ、
前記制御部は、前記第2の機器に前記制御信号を出力する
ように構成された
請求項14に記載の情報処理システム。
【請求項16】
前記取得部、前記制御部、前記入力部、前記分割部、および前記出力部は、同一の機器上に設けられる
ように構成された
請求項14に記載の情報処理システム。
【請求項17】
情報処理システムが、
ローリングシャッタ方式で表示部を撮影する撮影部の露光時間に基づいて、パッシブマトリクス駆動方式で発光する前記表示部に表示される映像の垂直ブランキング期間を制御する制御ステップ
を含み、
前記制御ステップでは、前記露光時間が前記表示部の発光周期の整数倍となるように前記垂直ブランキング期間を制御する
情報処理方法。
【請求項18】
前記制御ステップでは、前記露光時間に基づいて、前記映像の隣接する2つのフレームのうちの一方のフレームである第1のフレームの前記垂直ブランキング期間を削除するように制御する
請求項17に記載の情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、情報処理システムおよび情報処理方法に関し、特に、表示部を撮影する場合において黒帯の発生を防止することができるようにした情報処理システムおよび情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイなどの直視型ディスプレイの市場が拡大している。例えば、コンテンツ制作現場で風景などの背景をLEDディスプレイに表示させることで再現し、その背景と被写体をカメラで撮影(再撮)するバーチャルプロダクション(Virtual Production)が急成長している。
【0003】
このようなVirtual Productionでは、カメラにおいてローリングシャッタ方式のイメージセンサで再撮が行われると、カメラの露光時間とLEDディスプレイの発光周期との非対応により、再撮された映像に帯状の輝度ムラである黒帯が発生する場合がある。黒帯は、他の領域に比べて輝度が低い帯状の領域であり、黒帯の色は、様々な濃度の黒色である。
【0004】
この黒帯の視認性を低下させるために、LEDディスプレイの発光周期を短縮させる、即ち露光期間内のLEDの発光回数を増加させることが考案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されている発明では、黒帯の視認性を低下させることはできるが、黒帯の発生自体を防止することは困難である。
【0006】
また、カメラの露光期間内に含まれる、LEDディスプレイに表示される映像の垂直ブランキング期間の回数が行によって異なることにより、黒帯が発生する場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】国際公開第2018/164105号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上により、表示部を撮影する場合において黒帯の発生を防止することが要望されているが、そのような要望に十分にこたえられていない状況である。
【0009】
本技術は、このような状況に鑑みてなされたものであり、表示部を撮影する場合において黒帯の発生を防止することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本技術の一側面の情報処理システムは、ローリングシャッタ方式で表示部を撮影する撮影部の露光時間を取得する取得部と、前記露光時間に基づいて、パッシブマトリクス駆動方式で発光する前記表示部に表示される映像の垂直ブランキング期間を制御する制御部と、前記表示部とを備え、前記制御部は、前記露光時間が前記表示部の発光周期の整数倍となるように前記垂直ブランキング期間を制御するように構成された情報処理システムである。
本技術の側面の情報処理方法は、情報処理システムが、ローリングシャッタ方式で表示部を撮影する撮影部の露光時間に基づいて、パッシブマトリクス駆動方式で発光する前記表示部に表示される映像の垂直ブランキング期間を制御する制御ステップを含み、前記制御ステップでは、前記露光時間が前記表示部の発光周期の整数倍となるように前記垂直ブランキング期間を制御する情報処理方法である。
本技術の側面においては、ローリングシャッタ方式で表示部を撮影する撮影部の露光時間に基づいて、パッシブマトリクス駆動方式で発光する前記表示部に表示される映像の垂直ブランキング期間が制御される。具体的には、前記露光時間が前記表示部の発光周期の整数倍となるように前記垂直ブランキング期間が制御される。
【0013】
なお、情報処理システムは、独立した装置であってもよいし、他の装置に組み込まれるモジュールであってもよいし、複数の装置により構成されてもよい。
【0014】
本技術の一側面の情報処理システムは、コンピュータにプログラムを実行させることにより実現することができる。
【0015】
また、本技術の一側面の情報処理システムを実現するために、コンピュータに実行させるプログラムは、伝送媒体を介して伝送することにより、又は、記録媒体に記録して、提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本技術を適用した再撮システムの第1実施の形態の概要を説明する図である。
図2図1のビデオカメラにより再撮された映像を示す図である。
図3図1の再撮システムの構成例を示す図である。
図4図3のビデオカメラの構成例を示すブロック図である。
図5図3のPCのハードウエアの構成例を示すブロック図である。
図6図5のCPUの機能的構成例を示すブロック図である。
図7】ビデオウォールコントローラの構成例を示すブロック図である。
図8】表示ユニットの詳細構成例を示すブロック図である。
図9】LEDアレイの構成例を示す図である。
図10】LEDアレイの発光動作を説明する図である。
図11】LEDアレイの発光周期を説明する図である。
図12】黒帯が発生する原因を説明する図である。
図13】黒帯が発生した再撮映像の例を示す図である。
図14】制御部によるリフレッシュレートの制御を説明する図である。
図15図4のビデオカメラの撮影処理を説明するフローチャートである。
図16】リフレッシュレート制御処理を説明するフローチャートである。
図17】映像信号処理を説明するフローチャートである。
図18】表示制御信号生成処理を説明するフローチャートである。
図19】表示処理を説明するフローチャートである。
図20】従来の方法で黒帯の視認性を低下させる再撮システムの一例を説明する図である。
図21】黒帯の視認性が低下した再撮映像の例を示す図である。
図22】本技術を適用した再撮システムの第2実施の形態の構成例を示す図である。
図23】垂直ブランキング期間制御部の構成例を示すブロック図である。
図24図22の表示ユニットの詳細構成例を示すブロック図である。
図25】垂直ブランキング期間を説明する図である。
図26】黒帯が発生する原因を説明する図である。
図27図22のPCによる制御を説明する図である。
図28】垂直ブランキング期間制御処理を説明するフローチャートである。
図29】本技術を適用した再撮システムの第3実施の形態の構成例を示す図である。
図30】垂直ブランキング期間制御部の構成例を示すブロック図である。
図31図29の表示ユニットの詳細構成例を示すブロック図である。
図32】垂直ブランキング期間を説明する図である。
図33】露光時間と垂直ブランキング期間を説明する図である。
図34】黒帯が発生する原因を説明する図である。
図35】制御モードを説明する図である。
図36】制御モードを説明する図である。
図37】垂直ブランキング期間制御処理を説明するフローチャートである。
図38】リフレッシュレート制御処理を説明する図である。
図39】リフレッシュレート制御処理を説明する図である。
図40】垂直ブランキング期間の制御を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本技術を実施するための形態(以下、実施の形態という)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1実施の形態(リフレッシュレートを制御する再撮システムの構成例)
2.第2実施の形態(垂直ブランキング期間も制御する再撮システムの構成例)
3.第3実施の形態(露光期間に垂直ブランキング期間が含まれる場合も考慮した再撮システムの構成例)
【0018】
なお、以下の説明で参照する図面において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0019】
<第1実施の形態>
<再撮システムの概要>
図1は、本技術を適用した情報処理システムを含む再撮システムの第1実施の形態の概要を説明する図である。
【0020】
図1に示すように、再撮システム10は、例えばバーチャルプロダクションに用いられるシステムであり、ビデオカメラ11とビデオウォール12を含む。撮影者21は、ビデオカメラ11を用いて、スタジオ22に設置されたビデオウォール12に表示される映像23を背景として、被写体であるバイク24を再撮する。
【0021】
<再撮された映像の例>
図2は、図1のビデオカメラ11により再撮された映像を示す図である。
【0022】
図2に示すように、ビデオカメラ11により再撮された映像30は、バイク24が、あたかも映像23が撮影された場所に存在するかのような映像となる。このように、撮影者21は、再撮システム10を用いて再撮を行うことにより、バイク24が、あたかも映像23が撮影された場所に存在するかのような映像30をスタジオ22で撮影することができる。
【0023】
<再撮システムの構成例>
図3は、再撮システム10の構成例を示す図である。
【0024】
図3に示すように、再撮システム10(情報処理システム)は、ビデオカメラ11およびビデオウォール12のほか、ビデオサーバ61、PC(パーソナルコンピュータ)62、およびビデオウォールコントローラ63により構成される。
【0025】
ビデオカメラ11は、ローリングシャッタ方式で撮影を行う撮影装置である。ビデオカメラ11は、撮影者21からの入力を受け付け、露光時間(開角度)等の設定を行う。また、ビデオカメラ11は、撮影者21からの撮影開始指示により、設定された露光時間で、ビデオウォール12に表示されている映像を背景として撮影する。なお、再撮システム10では、ビデオカメラ11と同様のビデオカメラが複数台使用されてもよい。
【0026】
ビデオウォール12(表示部)は、n個(nは正の整数)の表示ユニット(キャビネット)41-1乃至41-nがタイル状に配置された大型のLEDディスプレイである。図3では、nが6×24個である場合について図示している。なお、以下では、表示ユニット41-1乃至41-nを個々に区別する必要がない場合、単に、表示ユニット41と称する。
【0027】
表示ユニット41は、各画素に対応するLED(図示せず)が行列状(2次元アレイ状)に配置された、m個(mは正の整数)のLEDアレイ51-1乃至51-mがタイル状に配置されることにより構成される。図3では、mが4×3個である場合について図示している。なお、以下では、LEDアレイ51-1乃至51-mを個々に区別する必要がない場合、単に、LEDアレイ51と称する。
【0028】
ビデオウォール12の各表示ユニット41は、ビデオウォールコントローラ63に接続される。ビデオウォール12は、ビデオウォールコントローラ63から供給されるフレーム単位の映像信号とビデオウォール12の表示を制御する表示制御信号に基づいて、その映像信号に対応する映像をフレーム単位で表示する。具体的には、各表示ユニット41に供給される映像信号は、その表示ユニット41のビデオウォール12上の位置に対応する映像信号である。各表示ユニット41が、その映像信号に基づく映像を表示制御信号にしたがって表示することにより、ビデオウォール12全体として1フレームの映像が表示される。
【0029】
ビデオサーバ61は、例えばサーバコンピュータなどからなり、ビデオコンテンツ等のフレーム単位の映像信号をビデオウォールコントローラ63に供給する。ビデオサーバ61の代わりに、PCやBD(Blu-ray Disc)(登録商標)などの記録媒体からビデオウォールコントローラ63にフレーム単位の映像信号が提供されるようにしてもよい。
【0030】
PC62(情報処理システム)は、一般的な汎用のコンピュータである。PC62は、ビデオウォールコントローラ63を制御する制御コマンドを生成し、ビデオウォールコントローラ63に送信することにより、ビデオウォールコントローラ63を制御する。
【0031】
例えば、PC62は、ビデオカメラ11から送信されてくる露光時間を取得する。PC62は、その露光時間とビデオウォール12のLEDの発光周期とが対応するように、ビデオウォール12のリフレッシュレートを決定する。なお、リフレッシュレートとは、1秒間にLEDが発光する回数である。PC62は、決定されたリフレッシュレートを表す制御コマンドであるリフレッシュレートコマンドをビデオウォールコントローラ63に送信することにより、リフレッシュレートを制御する。
【0032】
ビデオウォールコントローラ63は、ビデオサーバ61から供給されるフレーム単位の映像信号に所定の信号処理を施す。ビデオウォールコントローラ63は、その結果得られるフレーム単位の映像信号を、各表示ユニット41の位置に応じてn個に分割し、各表示ユニット41に送信する。ビデオウォールコントローラ63はまた、PC62から供給されるリフレッシュレートコマンドに基づいて、そのリフレッシュレートコマンドが表すリフレッシュレート等を表す表示制御信号を各表示ユニット41に送信する。
【0033】
以上のように構成される再撮システム10では、各装置はゲンロック(Gen Lock)信号によりフレーム同期がとられている。従って、例えば、ビデオカメラ11における各フレームの露光開始時刻とビデオウォール12における各フレームの表示開始時刻は同期している。
【0034】
なお、ビデオウォールコントローラ63とビデオウォール12とは、一体とした構成であってもよく、これらが一体となったディスプレイ装置であってもよい。また、PC62、ビデオウォールコントローラ63、およびビデオウォール12は、一体とした構成であってもよく、これらが一体となったディスプレイ装置であってもよい。
【0035】
<ビデオカメラの構成例>
図4は、図3のビデオカメラ11の構成例を示すブロック図である。
【0036】
図4のビデオカメラ11は、入力部81、設定部82、駆動部83、光学系84、撮影部85、信号処理部86、モニタ87、映像出力部88、およびメモリ89により構成される。
【0037】
入力部81は、撮影者21からの入力を受け付け、その入力内容を表す入力信号を生成する。例えば、撮影者21は、撮影部85において光(の強度)を信号電荷(の量)に変換する際のダイナミックレンジの制約を考慮し、入力部81を操作して適切な露光時間を入力する。この場合、入力部81は、その露光時間を表す入力信号を生成し、設定部82に供給する。撮影者21が入力部81を操作して撮影開始指示を入力した場合、入力部81は、撮影開始を表す入力信号を生成して、駆動部83に供給する。
【0038】
設定部82は、入力部81からの入力信号に基づいて、その入力信号が表す露光時間等の撮影に関する各種の情報である撮影情報を設定する。設定部82は、撮影情報を駆動部83に供給するとともに、撮影情報のうちの露光時間を同軸ケーブルなどの有線を介してPC62に送信する。
【0039】
駆動部83は、設定部82からの撮影情報、入力部81からの撮影開始指示等に基づいて、撮影部85の受光面に行列状に配置された各画素部を駆動する制御信号である駆動信号を生成し、撮影部85に出力する。
【0040】
光学系84は、1枚または複数枚のレンズを有して構成され、被写体などからの光(入射光)を撮影部85に導き、撮影部85の受光面に結像させる。
【0041】
撮影部85は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等により構成される。撮影部85は、駆動部83から供給される駆動信号にしたがって各画素部を駆動し、ローリングシャッタ方式で撮影を行う。具体的には、撮影部85は、駆動部83から供給される駆動信号にしたがって、各画素部に蓄積された電荷に応じた電気信号を行単位で出力する。そして、撮影部85は、光学系84を介して各画素部に入射される光に対応する電荷の蓄積を行単位で開始する。撮影部85は、駆動部83から供給される駆動信号にしたがって、設定部82により設定された露光時間だけ蓄積された電荷に応じた電気信号を行単位で読み出し、列単位で信号処理部86に転送する。以上のようにして、撮影部85は、設定部82により設定された露光時間で撮影を行う。
【0042】
信号処理部86は、撮影部85から転送された電荷に応じた電気信号に対して各種の信号処理を施し、所定のデジタルビデオフォーマットのフレーム単位の映像信号に変換する。このフレーム単位の映像信号は、モニタ87や映像出力部88に供給されたり、メモリ89に供給されて記憶(記録)されたりする。モニタ87は、信号処理部86から供給されるフレーム単位の映像信号に基づいて、映像をフレーム単位で表示する。映像出力部88は、信号処理部86から供給されるフレーム単位の映像信号をビデオカメラ11の外部に出力する。
【0043】
<PCの構成例>
図5は、図3のPC62のハードウエアの構成例を示すブロック図である。
【0044】
図5のPC62において、CPU(Central Processing Unit)101,ROM(Read Only Memory)102,RAM(Random Access Memory)103は、バス104により相互に接続されている。
【0045】
バス104には、さらに、入出力インタフェース105が接続されている。入出力インタフェース105には、入力部106、出力部107、記憶部108、通信部109、及びドライブ110が接続されている。
【0046】
入力部106は、キーボード、マウス、マイクロフォンなどよりなる。出力部107は、ディスプレイ、スピーカなどよりなる。記憶部108は、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる。通信部109は、ネットワークインタフェースなどよりなる。ドライブ110は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリなどのリムーバブルメディア111を駆動する。
【0047】
以上のように構成されるPC62では、CPU101が、例えば、記憶部108に記憶されているプログラムを、入出力インタフェース105及びバス104を介して、RAM103にロードして実行することにより、各種の処理を行う。例えば、CPU101は、リフレッシュレートコマンドを生成し、そのリフレッシュレートをビデオウォールコントローラ63に送信するように通信部109を制御するリフレッシュレート制御処理を行う。
【0048】
PC62(CPU101)が実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブルメディア111に記録して提供することができる。また、プログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供することができる。
【0049】
PC62では、プログラムは、リムーバブルメディア111をドライブ110に装着することにより、入出力インタフェース105を介して、記憶部108にインストールすることができる。また、プログラムは、有線または無線の伝送媒体を介して、通信部109で受信し、記憶部108にインストールすることができる。その他、プログラムは、ROM102や記憶部108に、あらかじめインストールしておくことができる。
【0050】
なお、PC62が実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
【0051】
<リフレッシュレート制御部の構成例>
図6は、図5のCPU101がリフレッシュレート制御処理を行う場合の、CPU101の機能的構成例を示すブロック図である。
【0052】
CPU101はリフレッシュレート制御処理を行う場合、図6のリフレッシュレート制御部130として機能する。リフレッシュレート制御部130は、取得部131、制御部132、および送信制御部133により構成される。
【0053】
取得部131は、ビデオカメラ11の設定部82から送信され、通信部109を介して受信された露光時間を取得する。取得部131は、その露光時間を制御部132に供給する。
【0054】
制御部132は、取得部131から供給される露光時間とビデオウォール12のLEDの発光周期とが対応するように、ビデオウォール12のリフレッシュレートを決定する。制御部132は、そのリフレッシュレートを表す制御コマンド(制御信号)であるリフレッシュレートコマンドを生成することにより、リフレッシュレートを制御する。制御部132は、リフレッシュレートコマンドを送信制御部133に出力する。
【0055】
送信制御部133は、制御部132から供給されるリフレッシュレートコマンドを通信部109に供給し、そのリフレッシュレートコマンドのビデオウォールコントローラ63への送信を指示する。これにより、通信部109は、そのリフレッシュレートコマンドをLAN(Local Area Network)ケーブルなどの有線を介してビデオウォールコントローラ63に送信(出力)する。
【0056】
<ビデオウォールコントローラの構成例>
図7は、図3のビデオウォールコントローラ63の構成例を示すブロック図である。
【0057】
ビデオウォールコントローラ63は、LAN端子151、HDMI(High Definition Multimedia Interface)(登録商標)端子152、DP(Display Port)端子153、DVI(Digital Visual Interface)端子154、ネットワークIF(Interface)155、MPU(Micro Processor Unit)156、信号入力IF157、信号処理部158、DRAM(Dynamic Random Access Memory)159、分配部160、および信号出力IF161-1乃至161-nにより構成される。
【0058】
LAN端子151は、LANケーブルの接続端子であり、PC62の通信部109に接続されるLANケーブルが接続されている。LAN端子151は、LANケーブルを介してリフレッシュレートコマンド等の制御コマンドを受信し、ネットワークIF155を介してMPU156に供給する。
【0059】
MPU156は、ネットワークIF155を介して供給されるリフレッシュレートコマンドにしたがって、表示制御信号を生成する。また、MPU156は、ネットワークIF155を介して供給される映像信号の調整に関する制御コマンドである映像調整コマンドにしたがって、映像信号の調整を指示する映像調整信号を生成する。MPU156は、その表示制御信号と調整信号を信号処理部158に供給する。
【0060】
HDMI端子152、DP端子153、およびDVI端子154は、いずれも映像信号の入力端子である。図7の例では、ビデオサーバ61とHDMI端子152が接続されており、ビデオサーバ61から供給されるフレーム単位の映像信号は、入力部としてのHDMI端子152に入力され、HDMI端子152により取得される。HDMI端子152に入力されたフレーム単位の映像信号は、信号入力IF157に供給される。
【0061】
なお、図7の例では、ビデオサーバ61とHDMI端子152とが接続されるが、HDMI端子152、DP端子153、およびDVI端子154はいずれも規格が異なるのみであり、基本的には同様の機能を備えたものであるので、必要に応じて、そのいずれかが選択されて接続される。
【0062】
信号入力IF157は、HDMI端子152から供給されるフレーム単位の映像信号を所定のビデオフォーマットのフレーム単位の映像信号に変換し、信号処理部158に供給する。
【0063】
信号処理部158は、必要に応じて、DRAM159とデータをやり取りしながら、MPU156から供給される映像調整信号に基づいて、信号入力IF157を介して供給されるフレーム単位の映像信号に対して、ビデオウォール12全体に必要な信号処理を行う。具体的には、信号処理部158は、映像調整信号に基づいて、映像信号の色温度、コントラスト、ブライトネス等を調整する。信号処理部158は、調整後のフレーム単位の映像信号とMPU156から供給される表示制御信号とを分配部160に供給する。
【0064】
分配部160は、信号処理部158から供給されるフレーム単位の映像信号を、表示ユニット41-1乃至41-nにそれぞれ接続する信号出力IF161-1乃至161-nに分配する。具体的には、分配部160(分割部)は、フレーム単位の映像信号を各表示ユニット41の位置に応じてn個に分割し、その表示ユニット41に接続する信号出力IF161-1乃至161-nのいずれかに供給する。なお、以下では、信号出力IF161-1乃至161-nを個々に区別する必要がない場合、単に、信号出力IF161と称する。分配部160は、信号処理部158から供給される表示制御信号を各信号出力IF161に供給する。
【0065】
信号出力IF161(出力部)は、分配部160から供給されるフレーム単位の映像信号と表示制御信号を、自分に接続されている表示ユニット41に送信する。この送信の伝送媒体は、LANケーブルなどの有線であってもよいし、無線であってもよい。
【0066】
なお、ここでは、制御コマンドが、PC62から自動的に送信されてくるものとするが、ビデオウォールコントローラ63の要求に応じて送信されてくるようにしてもよい。
【0067】
<表示ユニットの詳細構成例>
図8は、表示ユニット41の詳細構成例を示すブロック図である。
【0068】
図8に示すように、表示ユニット41は、ドライバ制御部191とLEDブロック192により構成される。
【0069】
ドライバ制御部191は、信号入力IF211、信号処理部212、DRAM213、信号出力IF214-1乃至214-mを備えている。
【0070】
信号入力IF211は、ビデオウォールコントローラ63から送信されてくるフレーム単位の映像信号と表示制御信号を受信して信号処理部212に供給する。
【0071】
信号処理部212は、必要に応じてDRAM213とデータのやり取りしながら、信号入力IF211から供給されるフレーム単位の映像信号に対して、自分の表示ユニット41に個別に必要な信号処理を行う。具体的には、信号処理部212は、フレーム単位の映像信号に対して、DRAM213に記憶されているカラーマトリクスLUT(Look Up Table)などを用いて、自分の表示ユニット41に必要な色や輝度の補正を施す。信号処理部212は、信号処理後のフレーム単位の映像信号を、自分の表示ユニット41上の各LEDアレイ51の位置に応じてm個に分割する。信号処理部212は、LEDアレイ51ごとに、信号処理後のフレーム単位の映像信号に基づいて、そのLEDアレイ51を構成する各LEDの発光強度を設定するための表示信号をフレーム単位で生成する。
【0072】
信号処理部212には、LEDアレイ51-1乃至51-mそれぞれに対応する信号出力IF214-1乃至214-mが接続されている。なお、以下では、信号出力IF214-1乃至214-mを個々に区別する必要がない場合、単に、信号出力IF214という。信号処理部212は、各LEDアレイ51の表示信号を、そのLEDアレイ51に対応する信号出力IF214に供給する。信号処理部212はまた、信号入力IF211から供給される表示制御信号を各信号出力IF214に供給する。
【0073】
信号出力IF214は、信号処理部212から供給される表示信号と表示制御信号をLEDブロック192に送信する。
【0074】
LEDブロック192は、LEDドライバ221-1乃至221-mおよびLEDアレイ51-1乃至51-mにより構成される。
【0075】
LEDドライバ221-1乃至221-mは、ドライバ制御部191の信号出力IF214-1乃至214-mとそれぞれ接続するとともに、LEDアレイ51-1乃至51-mとそれぞれ接続されている。なお、以下では、LEDドライバ221-1乃至221-mを個々に区別する必要がない場合、単に、LEDドライバ221という。
【0076】
LEDドライバ221は、自分と接続する信号出力IF214から送信されてくる表示制御信号と表示信号に基づいて、自分と接続するLEDアレイ51を構成する各LEDの発光をPWM(Pulse Width Modulation)制御することにより、各LED241を駆動する。具体的には、LEDドライバ221は、LEDアレイ51の各LED241が、1秒間に表示制御信号が表すリフレッシュレートだけ、そのLED241に対応する表示信号に基づく強度で発光するように、デジタル信号であるPWM信号を生成し、各LED241に供給する。その結果、LEDアレイ51には、ビデオサーバ61から出力されたフレーム単位の映像信号に対応する映像のうちの、そのLEDアレイ51のビデオウォール12上の位置に対応する映像が表示される。
【0077】
<LEDアレイの構成例>
図9は、図8のLEDアレイ51の構成例を示す図である。
【0078】
図9に示すように、LEDアレイ51は、パッシブマトリクス駆動方式で発光が制御される。
【0079】
具体的には、LEDアレイ51は、p×p個(pは正の数)のLED241、並びに、輝度制御配線(Sig line)251および行選択配線(Scan line)252により構成される。LED241は、Common Cathode型のLEDである。p×p個のLED241は、行方向(縦方向)にp個並び、列方向(横方向)にp個並んだ行列状に配置されている。図9の例では、LED241の行方向と列方向の数は同一のp個であるが、LED241の行方向と列方向の数は異なっていてもよい。
【0080】
輝度制御配線251は、LED241の各列に対して設けられ、各列のLED241には、同一の輝度制御配線251が接続される。行選択配線252は、LED241の各行に対して設けられ、各行のLED241には、同一の行選択配線252が接続される。
【0081】
LEDドライバ221は、信号出力IF214から供給される表示制御信号に基づいて、その表示制御信号が表すリフレッシュレートに対応する発光周期で、行ごとにLED241が発光するように、各行のLED241の発光タイミングを制御する。
【0082】
具体的には、LEDドライバ221は、LED241が上の行から順に行単位で発光し、その発光が、表示制御信号が表すリフレッシュレートに対応する間隔で行われるように、基準クロックの周波数の調整および次の行の発光までの間隔の調整の少なくとも一方を行う。これにより、LEDドライバ221は、各行のLED241の発光タイミングで、その行に対応する行選択配線252に所定の固定電位を印加する。なお、所定の固定電位としてはGND電位(0V電位)が一般的だが、この限りではない。
【0083】
LEDドライバ221はまた、信号出力IF214から供給されるフレーム単位の表示信号に基づいて、各行のLED241の発光タイミングで、その行の各LED241のPWM信号を、そのLED241の列に対応する輝度制御配線251に入力する。
【0084】
以上により、LEDアレイ51では、各行のLED241の発光タイミングで、その行の各LED241が、そのLED241の表示信号に基づく輝度の光を発光する。その結果、LEDアレイ51では、上の行から順に行単位で映像信号に対応する映像が表示され、この映像は、1秒間にリフレッシュレートだけリフレッシュ(更新)される。
【0085】
<LEDアレイの発光動作の説明>
図10は、LEDアレイ51の発光動作を説明する図である。
【0086】
図10の例では、LEDアレイ51が15×15個のLED241から構成されている。
【0087】
図10のAに示すように、LEDアレイ51では、まず、LEDドライバ221の制御により、上から1行目のLED241が、表示信号に対応する輝度で発光する。次に、図10のBに示すように、LEDドライバ221の制御により、上から2行目のLED241が、表示信号に対応する輝度で発光する。以降も同様に、発光対象のLED241の行が順に降下していき、図10のCに示すように、LEDドライバ221の制御により、最下行のLED241が、表示信号に対応する輝度で発光する。以上のようにして、LEDアレイ51に、1フレーム分の映像信号に対応する映像のうちの、そのLEDアレイ51のビデオウォール12上の位置に対応する映像が表示される。本明細書では、これを1スキャンと称する。
【0088】
1回目のスキャン後、LEDドライバ221の制御により、再度、図10のAに示すように、上から1行目のLED241が、表示信号に対応する輝度で発光する。以降も同様に行単位のLED241の発光が繰り返され、1秒間にリフレッシュレートだけスキャンが行われる。例えば、表示制御信号が表すリフレッシュレートが3840Hzであり、映像信号のフレームレートが60p(プログレッシブ方式の60フレーム/秒、即ち60Hz)である場合、1フレーム区間内のスキャンの回数は、64回(=3840Hz/60Hz)である。リフレッシュレートは、1秒間に行われるスキャンの回数であるため、スキャン速度ということもできる。
【0089】
<発光周期の説明>
図11は、LEDアレイ51の発光周期を説明する図である。
【0090】
図11の例では、LEDアレイ51が15×15個のLED241から構成されている。図11のグラフにおいて、横軸は、ビデオウォール12の表示が開始してからの経過時間を表しており、縦軸は、LEDアレイ51の行を表している。図11のグラフでは、LEDアレイ51の上からi番目の行を行#iと表記している。図11のグラフにおける矩形は、その矩形の横方向の位置に対応する経過時間に、縦方向の位置に対応する行のLED241が表示信号に対応する輝度で発光することを示している。
【0091】
図11に示すように、LEDアレイ51では、上の行のLED241から順に行単位で発光が行われる。行#1乃至行#15全てのLED241の発光が終了、即ち1スキャンが終了すると、次のスキャンが開始される。この1スキャンの周期が、LED241の発光周期であり、リフレッシュレートの逆数である。例えば、リフレッシュレートが3840Hzである場合、発光周期は1/3840秒である。
【0092】
<黒帯発生の原因の説明>
図12は、露光時間がLEDの発光周期の整数倍ではない場合に再撮システムで再撮される映像において黒帯が発生する原因を説明する図である。
【0093】
図12において、横軸は表示が開始してからの経過時間を表し、縦軸はLEDの行を表し、図中上の位置ほどLEDの行の位置が上であることを表す。図12の例では、LEDアレイを構成するLEDの行数は15個であり、行方向(縦方向)に並んだ3個分のLEDアレイについて示している。図12において、模様が付けられた四角形は、その四角形の横方向の位置に対応する経過時間に、その四角形の縦方向の位置に対応する行のLEDが発光することを示している。四角形の模様は、その四角形に対応する行単位のLEDを含むLEDアレイごとに異なっている。これらのことは、後述する図14においても同様である。
【0094】
図12に示すように、まず、各LEDアレイの上から1行目のLEDが発光する。次に、各LEDアレイの上から2行目のLEDが発光する。以降も同様に、各LEDアレイの上の行から順に行単位でLEDが発光し、最後の行のLEDが発光すると、各LEDアレイは1回目のスキャンを終了する。各LEDアレイは1回目のスキャンを終了すると、2回目のスキャンを開始する。
【0095】
以降も同様に各LEDアレイがスキャンを繰り返し、各LEDアレイは、1フレーム区間内に、リフレッシュレートに対応する回数だけスキャンを行う。図12の例では、リフレッシュレートがフレームレートの4倍であり、1フレーム区間内に4回スキャンが行われる。即ち、図12の例では、フレームレートが60pである場合、リフレッシュレートは240Hzである。
【0096】
一方、ビデオカメラは、所定の露光時間でローリングシャッタ方式の撮影を行う。従って、各行のLEDの光による露光は上の行から順に行われ、各行の露光開始タイミングは異なる。なお、再撮システムの各装置ではフレーム同期がとられているため、1フレームの露光開始時刻と表示開始時刻は同期している。
【0097】
このような場合、ビデオカメラの露光時間とLEDの発光周期(スキャン周期)が対応しないとき、即ち露光時間がLEDの発光周期の整数倍ではないとき、各行において露光期間内のスキャン回数(LEDの発光回数)が均一ではない場合が発生する。図12の例では、露光期間が矩形261の範囲である行では露光期間内にLEDが1回しか発光しないが、露光期間が矩形261の範囲外である行では露光期間内にLEDが2回発光する。従って、ビデオカメラにより再撮された、露光期間が矩形261の範囲である行の画素の輝度は、露光期間が矩形261の範囲外である行の画素の輝度に比べて低くなる。その結果、ビデオカメラにより再撮された映像のうち、露光期間が矩形261の範囲である行の映像が黒帯となる。
【0098】
<黒帯が発生した再撮映像の例>
図13は、図12で説明した原因により黒帯が発生した再撮映像の例を示す図である。
【0099】
図13の例では、リフレッシュレートは3840Hzである。図13の例では、ビデオカメラは、卓球のラケットを持った人を被写体とし、ビデオウォールに表示された映像を背景として再撮している。その結果得られる再撮映像280には、図12で説明した原因により、横縞状の黒帯281がアーティファクトとして発生することがある。バーチャルプロダクションにおいて、再撮映像内に撮影現場に存在しない黒帯281が発生することは、その再撮映像の品質を低下させることになる。
【0100】
<リフレッシュレートの制御の説明>
図14は、図6の制御部132によるリフレッシュレートの制御を説明する図である。
【0101】
図14に示すように、制御部132は、ビデオカメラ11の露光時間と発光周期とが対応するように、リフレッシュレートを決定する。具体的には、例えば、制御部132は、露光開始時刻とスキャン開始時刻を同期させ、露光時間が発光周期の整数倍となるように、リフレッシュレートを制御する。
【0102】
図14の例では、制御部132は、露光時間が発光周期の2倍となるように、リフレッシュレートをフレームレートの4.6倍に制御している。これにより、図12の場合と比べてスキャン速度が上昇し、全ての行において露光期間内のスキャン回数が2回となる。その結果、ビデオカメラ11により再撮されたフレーム単位の映像信号において、輝度が低い画素の行が発生せず、黒帯が発生しない。
【0103】
図14の例では、図12の例に比べてリフレッシュレートが上昇するように制御されたが、リフレッシュレートは、露光時間と発光周期とが対応するように制御されればよく、図12の例に比べて低下するように制御されてもよい。
【0104】
<撮影処理の説明>
図15は、ビデオカメラ11の撮影処理を説明するフローチャートである。この撮影処理は、例えば、撮影者21が入力部81を操作して撮影開始指示を入力したとき、開始される。
【0105】
図15のステップS10において、入力部81は、撮影者21からの撮影開始指示の入力を受け付け、撮影開始を表す入力信号を生成して、駆動部83に供給する。
【0106】
ステップS11において、設定部82は、設定されている撮影情報のうちの露光時間をPC62に送信するとともに、その撮影情報を駆動部83に供給する。この撮影情報は、撮影者21が入力部81を操作して入力したものであり、その入力に応じて入力部81により生成された入力信号に基づいて設定部82により設定されたものである。
【0107】
ステップS12において、駆動部83は、ステップS11で設定部82から供給された撮影情報に基づいて駆動信号を生成し、撮影部85に供給する。
【0108】
ステップS13において、撮影部85は、ステップS12で駆動部83から供給される駆動信号にしたがってローリングシャッタ方式で撮影を行い、各画素部に露光時間だけ蓄積された電荷を信号処理部86に転送する。
【0109】
ステップS14において、信号処理部86は、撮影部85から転送された電荷の信号に対して各種の信号処理を施し、所定のデジタルビデオフォーマットのフレーム単位の映像信号に変換する。
【0110】
ステップS15において、信号処理部86は、ステップS14の処理の結果得られるフレーム単位の映像信号をモニタ87に供給することにより、その映像信号に対応するフレーム単位の映像を表示させる。このとき、信号処理部86は、必要に応じて、ステップS14の処理の結果得られるフレーム単位の映像信号を映像出力部88にも供給し、ビデオカメラ11の外部に出力させる。
【0111】
ステップS16において、信号処理部86は、ステップS14の処理の結果得られるフレーム単位の映像信号をメモリ89に供給することにより、その映像信号をメモリ89に記憶させる。
【0112】
ステップS17において、入力部81は、撮影者21からの撮影終了指示の入力を受け付けたかどうかを判定する。ステップS17で撮影終了指示の入力をまだ受け付けていないと判定された場合、処理はステップS18に進む。
【0113】
ステップS18において、設定部82は、露光時間が変更されたかどうかを判定する。具体的には、設定部82は、入力部81から新たな露光時間を表す入力信号が供給されたかどうかを判定する。設定部82は、入力部81から新たな露光時間を表す入力信号が供給された場合、ステップS18で露光時間が変更されたと判定する。そして、設定部82は、その露光時間を新たな露光時間として設定し、処理をステップS11に戻して、以降の処理を繰り返す。
【0114】
一方、設定部82は、入力部81から新たな露光時間を表す入力信号が供給されていない場合、ステップS18で露光時間が変更されていないと判定する。そして、設定部82は、処理をステップS13に戻し、以降の処理を繰り返す。
【0115】
ステップS17で撮影終了指示の入力を受け付けたと判定された場合、撮影処理は終了する。
【0116】
<リフレッシュレート制御処理の説明>
図16は、図6のリフレッシュレート制御部130のリフレッシュレート制御処理を説明するフローチャートである。このリフレッシュレート制御処理は、例えば、図15のステップS11の処理により、ビデオカメラ11の設定部82から露光時間が送信されてきたとき、開始される。
【0117】
図16のステップS31において、取得部131は、設定部82から送信され、通信部109を介して受信された露光時間を取得し、その露光時間を制御部132に供給する。
【0118】
ステップS32において、制御部132は、ステップS31で取得部131から供給される露光時間に基づいて、その露光時間とLED241の発光周期とが対応するように、ビデオウォール12のリフレッシュレートを決定する。制御部132は、そのリフレッシュレートを表すリフレッシュレートコマンドを生成し、送信制御部133に供給する。
【0119】
ステップS33において、送信制御部133は、ステップS32で制御部132から供給されるリフレッシュレートコマンドを通信部109に供給し、ビデオウォールコントローラ63への送信を指示することにより、リフレッシュレートコマンドをビデオウォールコントローラ63に送信させる。そして、処理は終了する。
【0120】
<映像信号処理の説明>
図17は、ビデオウォールコントローラ63の映像信号処理を説明するフローチャートである。この映像信号処理は、例えば、ビデオサーバ61からフレーム単位の映像信号が送信されてきたとき、開始される。
【0121】
図17のステップS51において、ビデオウォールコントローラ63の信号入力IF157は、ビデオサーバ61から送信されてくるフレーム単位の映像信号を、HDMI端子152を介して受信する。
【0122】
ステップS52において、信号入力IF157は、ステップS51で受信されたフレーム単位の映像信号を所定のビデオフォーマットのフレーム単位の映像信号に変換し、信号処理部158に供給する。
【0123】
ステップS53において、MPU156は、PC62の通信部109からLAN端子151およびネットワークIF155を介して、映像調整コマンドを受信したかどうかを判定する。MPU156は、ステップS53で映像調整コマンドをまだ受信していないと判定した場合、映像調整コマンドを受信するまで待機する。
【0124】
一方、MPU156は、ステップS53で映像調整コマンドを受信したと判定した場合、処理はステップS54に進む。ステップS54において、MPU156は、その映像調整コマンドにしたがって映像調整信号を生成し、信号処理部158に供給する。
【0125】
ステップS55において、信号処理部158は、必要に応じてDRAM159とデータをやり取りしながら、映像調整信号に基づいて、フレーム単位の映像信号に対してビデオウォール12全体に必要な信号処理を行う。信号処理部158は、調整後のフレーム単位の映像信号を分配部160に供給する。
【0126】
ステップS56において、分配部160は、ステップS55で信号処理部158から供給されるフレーム単位の映像信号を、各信号出力IF161に分配する。
【0127】
ステップS57において、各信号出力IF161は、ステップS56で分配部160から供給されるフレーム単位の映像信号を、自分に接続されている表示ユニット41に送信する。そして、映像信号処理は終了する。
【0128】
<表示制御信号生成処理の説明>
図18は、ビデオウォールコントローラ63の表示制御信号生成処理を説明するフローチャートである。この表示制御信号生成処理は、例えば、ビデオサーバ61からフレーム単位の映像信号が送信されてきたとき、開始される。
【0129】
図18のステップS71において、MPU156は、PC62の通信部109から、LAN端子151とネットワークIF155を介して、リフレッシュレートコマンドを受信しているかどうかを判定する。ステップS71でリフレッシュレートコマンドを受信していると判定された場合、MPU156は、処理をステップS72に進める。
【0130】
ステップS72において、MPU156は、受信しているリフレッシュレートコマンドにしたがって表示制御信号を生成し、その表示制御信号を、信号処理部158を介して分配部160に供給する。そして、処理はステップS74に進む。
【0131】
一方、ステップS71でまだリフレッシュレートコマンドを受信していないと判定された場合、ステップS73において、MPU156は、所定のリフレッシュレートを表す表示制御信号を生成し、その表示制御信号を、信号処理部158を介して分配部160に供給する。そして、処理はステップS74に進む。
【0132】
ステップS74において、分配部160は、表示制御信号を各信号出力IF161に供給する。ステップS75において、各信号出力IF161は、ステップS74で分配部160から供給される表示制御信号を、自分に接続されている表示ユニット41に送信する。そして、表示制御信号生成処理は終了する。
【0133】
<表示処理の説明>
図19は、各表示ユニット41の表示処理を説明するフローチャートである。この表示処理は、例えば、図17のステップS57の処理により映像信号が送信され、図18のステップS75の処理により表示制御信号が送信されてきたとき、開始される。
【0134】
図19のステップS91において、信号入力IF211は、ビデオウォールコントローラ63から送信されてくるフレーム単位の映像信号と表示制御信号を受信して信号処理部212に供給する。
【0135】
ステップS92において、信号処理部212は、必要に応じてDRAM213とデータのやり取りしながら、ステップS91で信号入力IF211から供給されるフレーム単位の映像信号に対して、自分の表示ユニット41に個別に必要な信号処理を行う。
【0136】
ステップS93において、信号処理部212は、信号処理後のフレーム単位の映像信号を、自分の表示ユニット41上の各LEDアレイ51の位置に応じてm個に分割する。ステップS94において、信号処理部212は、LEDアレイ51ごとに、信号処理後のフレーム単位の映像信号に基づいて、そのLEDアレイ51を構成する各LEDの表示信号をフレーム単位で生成する。
【0137】
ステップS95において、信号処理部212は、各LEDアレイ51の表示信号を、そのLEDアレイ51に対応する信号出力IF214に供給するとともに、ステップS91の処理で信号入力IF211から供給される表示制御信号を各信号出力IF214に供給する。
【0138】
ステップS96において、各信号出力IF214は、自分と接続するLEDドライバ221に映像信号と表示制御信号を送信する。
【0139】
ステップS97において、各LEDドライバ221は、自分と接続する信号出力IF214から送信されてくる表示信号と表示制御信号を受信する。ステップS98において、各LEDドライバ221は、表示信号と表示制御信号に基づいて、自分と接続するLEDアレイ51を構成する各LED241の発光をPWM制御することにより、各LED241を駆動する。その結果、各LEDアレイ51には、ビデオサーバ61から出力されたフレーム単位の映像信号に対応する映像のうちの、そのLEDアレイ51のビデオウォール12上の位置に対応する映像が表示される。
【0140】
以上のように、再撮システム10では、PC62が、ビデオウォール12を撮影するビデオカメラ11の露光時間とLED241の発光周期とが対応するように、ビデオウォール12のリフレッシュレートを制御する。従って、ビデオウォール12を再撮する場合において黒帯の発生を防止することができる。
【0141】
また、PC62は、露光時間を取得し、その露光時間に基づいてリフレッシュレートを制御するので、露光時間が変化する場合であっても、変化後の露光時間に基づいてリフレッシュレートを容易に制御し、黒帯の発生を防止することができる。
【0142】
<再撮システムの一例の説明>
図20は、従来の方法で黒帯の視認性を低下させる再撮システムの一例を説明する図である。
【0143】
図20の例では、LEDアレイを構成するLEDの行が4行である。図20のグラフにおいて、横軸は、ビデオウォールの表示が開始してからの経過時間を表しており、縦軸は、LEDアレイの行を表している。図20のグラフでは、LEDアレイの上からi番目の行を行#iと表記している。図20のグラフにおける矩形は、その矩形の横方向の位置に対応する経過時間に、縦方向の位置に対応する行のLEDが発光することを示している。
【0144】
従来の方法で黒帯の視認性を低下させる再撮システムは、LEDの発光周期を短縮する、即ちリフレッシュレートを上昇させることにより、黒帯の視認性を低下させる。具体的には、再撮システムは、例えば、図20の上段に示すリフレッシュレートを、図20の下段に示すように2倍にする。
【0145】
これにより、ビデオカメラの露光時間とLEDの発光周期が対応せず、各行における露光期間内のLEDの発光回数が均一ではない場合であっても、各行における輝度の不均一性を抑制することができる。
【0146】
例えば、1フレーム区間内のスキャンの回数が64回である場合、ある行の他の行との発光回数の差が-1回であるとき、その行の輝度は、他の行の輝度に比べて1/64(約1.56%)だけ低下する。これに対して、リフレッシュレートが2倍になり、1フレーム区間内のスキャンの回数が128回になると、ある行の他の行との発光回数の差が-1回であるとき、その行の輝度は、他の行の輝度に比べて1/128(約0.78%)だけしか低下しない。以上のように、リフレッシュレートが上昇することにより、各行における輝度の不均一性が抑制される。
【0147】
図21は、図20で説明した再撮システムにより黒帯の視認性が低下した再撮映像の例を示す図である。
【0148】
図21の例では、リフレッシュレートは7680Hzであり、図13と同様の被写体と背景が再撮されている。
【0149】
図21に示すように、リフレッシュレートが3840Hzの2倍の7680Hzである再撮映像300においても、横縞状の黒帯301は発生しているが、黒帯301は、リフレッシュレートが3840Hzである図13の再撮映像280内の黒帯281に比べて視認しにくい。
【0150】
しかしながら、従来の方法では、黒帯の視認性は低下するものの、黒帯が無くなることはない。また、LEDの表示階調精度を維持してリフレッシュレートを上昇させるためには、LEDドライバのPWM制御に用いられる基準クロックの周波数を上昇させるか、または、1スキャンで発光させるLEDの行の数を削減する必要がある。
【0151】
具体的には、PWM制御では、基準クロックをカウンタで積算することにより制御信号が生成されるため、LEDの表示階調精度を維持してリフレッシュレートを上昇させるためには、例えば、基準クロックの周波数を上昇させる必要がある。
【0152】
基準クロックの周波数f[Hz]は、リフレッシュレートRR[Hz]、表示階調精度t[ビット]、および1スキャンで発光させるLEDの行の数L[行]を用いて、以下の式(1)で表される。
【0153】
f=RR×2×L ・・・(1)
【0154】
例えば、リフレッシュレートが3840Hzであり、表示階調精度が12ビットであり、1スキャンで発光させるLEDの行の数が16行である場合、基準クロックの周波数は、約251.7MHzとなる。これに対して、リフレッシュレートが3840Hzの2倍の7680Hzになると、基準クロックの周波数も、リフレッシュレートが3840Hzであるときの2倍の約503.3MHzとなる。以上のように、LEDドライバの基準クロックの周波数(動作周波数)が上昇すると、LEDドライバの消費電力やLEDドライバの製造プロセスの変更などに伴うコストの増加を招く。
【0155】
一方、基準クロックの周波数を維持したまま、リフレッシュレートを上昇させる場合、上述した式(1)に示すように、1スキャンで発光させるLEDの行の数を削減する必要がある。1スキャンで発光させるLEDの行の数を削減するためには、LEDドライバの数を増加させる必要がある。例えば、リフレッシュレートを2倍にするために、1スキャンで発光させるLEDの行の数を1/2に削減する場合、LEDドライバの数を2倍にする必要がある。従って、コストの増加や基板上の部品実装面積の不足を招く。また、LEDドライバの増加に伴い、暗電力も増加する。暗電力とは、LEDが発光していない状態でも消費する電力のことであり、主にLEDドライバ、LEDドライバを駆動するための制御回路、電源回路などが消費している電力である。
【0156】
なお、上述した式(1)に示すように、表示階調精度、いわゆるグレースケールを低下させることにより、基準クロックの周波数および1スキャンで発光させるLEDの行の数を維持したまま、リフレッシュレートを上昇させることも可能である。例えば、表示階調精度を1ビット削減することにより、リフレッシュレートを2倍にすることもできる。しかしながら、表示階調精度が低下すると、再撮映像の品質が低下する。基準クロックの周波数を少しだけ上昇させることにより、表示階調精度の低下を抑制することもできるが、いずれにしても、再撮映像の品質は低下する。
【0157】
これに対して、再撮システム10では、露光時間に基づいてリフレッシュレートを制御するだけで、黒帯の発生を防止することができる。従って、製造コストの大幅な増加や表示階調精度の低下が発生しない。
【0158】
なお、リフレッシュレート制御部130がリフレッシュレートを制御せず、ユーザがリフレッシュレートを制御するようにしてもよい。この場合、ビデオカメラ11から露光時間が送信されず、ユーザが、露光時間とLED241の発光周期が対応するようにリフレッシュレートを決定し、そのリフレッシュレートを入力部106を用いてPC62に入力する。そして、PC62は、ユーザにより入力されたリフレッシュレート等を表す表示制御信号を生成する。
【0159】
再撮システム10では、ビデオカメラ11からPC62に露光時間が送信されたが、ユーザが入力部106を操作して、ビデオカメラ11の露光時間を入力し、リフレッシュレート制御部130が、その露光時間を取得するようにしてもよい。
【0160】
再撮システム10では、PC62が露光時間に基づいてリフレッシュレートを制御したが、ビデオカメラ11がビデオウォールコントローラ63やビデオウォール12に露光時間を送信し、ビデオウォールコントローラ63やビデオウォール12の少なくとも一部が、リフレッシュレート制御部130として機能するようにしてもよい。
【0161】
再撮システム10では、ビデオカメラ11の露光時間がLED241の発光周期の整数倍となるようにリフレッシュレートが制御されたが、このとき、実際には、露光時間に基づいて各フレームの垂直ブランキング期間も制御する必要がある場合がある。以下に、第2実施の形態として、垂直ブランキング期間も制御する再撮システムについて説明する。
【0162】
<第2実施の形態>
<再撮システムの構成例>
図22は、本技術を適用した情報処理システムを含む再撮システムの第2実施の形態の構成例を示す図である。
【0163】
図22の再撮システム400において、図3の再撮システム10と対応する部分については同一の符号を付してある。従って、その部分の説明は適宜省略し、再撮システム10と異なる部分に着目して説明する。
【0164】
図22の再撮システム400は、PC62、ビデオウォールコントローラ63、ビデオウォール12が、PC401、ビデオウォールコントローラ402、ビデオウォール403に代わる点が、再撮システム10と異なっており、その他は再撮システム10と同様に構成されている。
【0165】
具体的には、PC401(情報処理システム)は、一般的な汎用のコンピュータである。PC401は、ビデオウォールコントローラ402を制御する制御コマンドを生成し、ビデオウォールコントローラ402に送信することにより、ビデオウォールコントローラ402を制御する。
【0166】
例えば、PC401は、図3のPC62と同様に、リフレッシュレート制御処理を行う。また、PC401は、露光時間がLED241の発光周期(サブフレーム)の整数倍となるように、ビデオウォール403に表示される映像の垂直ブランキング期間を決定する。具体的には、PC401は、リフレッシュレート制御処理により決定されたリフレッシュレートに基づいて垂直ブランキング期間を表す制御コマンドである垂直ブランキング期間コマンドをビデオウォールコントローラ402に送信することにより、垂直ブランキング期間を制御する。
【0167】
ビデオウォールコントローラ402は、図7のビデオウォールコントローラ63と同様に構成されるが、表示制御信号が表す情報が異なる。具体的には、ビデオウォールコントローラ402は、ビデオウォールコントローラ63と同様に、ビデオサーバ61から供給されるフレーム単位の映像信号に所定の信号処理を施し、分割して、各表示ユニット411に送信する。ビデオウォールコントローラ402はまた、PC401から供給されるリフレッシュレートコマンドが表すリフレッシュレート、垂直ブランキング期間コマンドが表す垂直ブランキング期間等を表す表示制御信号を各表示ユニット411に送信する。
【0168】
ビデオウォール403(表示部)は、n個の表示ユニット411-1乃至411-nがタイル状に配置された大型のLEDディスプレイである。図22では、nが6×24個である場合について図示している。なお、以下では、表示ユニット411-1乃至411-nを個々に区別する必要がない場合、単に、表示ユニット411と称する。
【0169】
表示ユニット411は、タイル状に配置されたm個のLEDアレイ51を含む。ビデオウォール403の各表示ユニット411は、ビデオウォールコントローラ402に接続される。ビデオウォール403は、ビデオウォールコントローラ402から供給されるフレーム単位の映像信号と表示制御信号に基づいて、その映像信号に対応する映像をフレーム単位で表示する。具体的には、各表示ユニット411に供給される映像信号は、その表示ユニット411のビデオウォール403上の位置に対応する映像信号である。各表示ユニット411が、その映像信号に基づく映像を表示制御信号にしたがって表示することにより、ビデオウォール403全体として1フレームの映像が表示される。
【0170】
以上のように構成される再撮システム400では、再撮システム10と同様に、各装置はゲンロック信号によりフレーム同期がとられている。
【0171】
なお、ビデオウォールコントローラ402とビデオウォール403とは、一体とした構成であってもよく、これらが一体となったディスプレイ装置であってもよい。また、PC401、ビデオウォールコントローラ402、およびビデオウォール403は、一体とした構成であってもよく、これらが一体となったディスプレイ装置であってもよい。
【0172】
<垂直ブランキング制御部の構成例>
図22のPC401のハードウエア構成は、図5のPC62のハードウエア構成と同様であるので、説明は省略する。
【0173】
図23は、図22のPC401のCPUが垂直ブランキング期間を制御する垂直ブランキング期間制御処理を行う場合の、CPUの機能的構成例を示すブロック図である。
【0174】
PC401のCPUは垂直ブランキング期間制御処理を行う場合、図23の垂直ブランキング期間制御部420として機能する。垂直ブランキング期間制御部420は、取得部421、制御部422、および送信制御部423により構成される。
【0175】
取得部421は、リフレッシュレート制御処理により決定されたリフレッシュレートを取得し、そのリフレッシュレートを制御部422に供給する。
【0176】
制御部422は、取得部421から供給されるリフレッシュレートに基づいて垂直ブランキング期間を決定する。制御部422は、その垂直ブランキング期間を表す垂直ブランキング期間コマンドを生成することにより、垂直ブランキング期間を制御する。制御部422は、垂直ブランキング期間コマンドを送信制御部423に出力する。
【0177】
送信制御部423は、制御部422から供給される垂直ブランキング期間コマンドをPC401の通信部に供給し、その垂直ブランキング期間コマンドのビデオウォールコントローラ402への送信を指示する。これにより、通信部は、その垂直ブランキング期間コマンドをLANケーブルなどの有線を介してビデオウォールコントローラ402に送信(出力)する。
【0178】
<表示ユニットの詳細構成例>
図24は、図22の表示ユニット411の詳細構成例を示すブロック図である。
【0179】
図24の表示ユニット411において、図8の表示ユニット41と対応する部分については同一の符号を付してある。従って、その部分の説明は適宜省略し、表示ユニット41と異なる部分に着目して説明する。
【0180】
図24の表示ユニット411は、LEDブロック192の代わりにLEDブロック441が設けられる点が、表示ユニット41と異なっており、その他は表示ユニット41と同様に構成されている。
【0181】
LEDブロック441は、LEDドライバ221-1乃至221-mの代わりにLEDドライバ461-1乃至461-mが設けられる点が、LEDブロック192と異なっており、その他はLEDブロック192と同様に構成されている。
【0182】
LEDドライバ461-1乃至461-mは、ドライバ制御部191の信号出力IF214-1乃至214-mとそれぞれ接続するとともに、LEDアレイ51-1乃至51-mとそれぞれ接続されている。なお、以下では、LEDドライバ461-1乃至461-mを個々に区別する必要がない場合、単に、LEDドライバ461という。
【0183】
LEDドライバ461は、自分と接続する信号出力IF214から送信されてくる表示制御信号と表示信号に基づいて、自分と接続するLEDアレイ51を構成する各LED241の発光をPWM制御することにより、各LED241を駆動する。
【0184】
具体的には、LEDドライバ461は、LEDアレイ51の各LED241が、1秒間に表示制御信号が表すリフレッシュレートだけ、そのLED241に対応する表示信号に基づく強度で発光するように、PWM信号を生成する。LEDドライバ461は、そのPWM信号を各LED241に供給する。その結果、LEDアレイ51には、ビデオサーバ61から出力されたフレーム単位の映像信号に対応する映像のうちの、そのLEDアレイ51のビデオウォール403上の位置に対応する映像が表示される。LEDドライバ461はまた、表示制御信号に基づいて、その表示制御信号が表す垂直ブランキング期間を1フレームごとに設けるように、垂直ブランキング期間を制御する。
【0185】
<垂直ブランキング期間の説明>
図25は、ビデオウォール403に表示される映像の垂直ブランキング期間を説明する図である。
【0186】
図25において、横軸は発光時刻を表している。一番上の段は、ビデオウォール403に表示される映像の垂直同期信号(V-Sync)を表している。上から2番目以降の段は、ビデオウォール403の上から30行分のLED241の各行の発光タイミングを表しており、図25では上からi行目の行をLine#iと表記している。図25の例では、LEDアレイ51を構成するLED241の行数が15行であり、1フレーム区間内のスキャン回数は32回である。これらのことは、後述する図27においても同様である。
【0187】
図25に示すように、垂直同期信号の間、即ち1フレーム区間には、全スキャン終了後に、全てのLED241の発光が停止される垂直ブランキング期間(V-blanking)が設けられる。
【0188】
具体的には、まず、垂直同期信号に同期して、各LEDドライバ461は、自分と接続するLEDアレイ51の一番上の行のLED241から順に、行ごとに各LED241の表示信号(例えば0から2048までの値の画像データ)に対応するPWM信号を生成し、各LED241に供給する。これにより、各LEDアレイ51において一番上の行のLED241から順に発光が開始される。図25の例では、ビデオウォール12の上から1行目と16行目のLED241から同時に発光が開始される。各LEDアレイ51の一番下の行(図25の例では、ビデオウォール12の上から15行目と30行目の行)のLED241の発光が終了すると、即ち1スキャンが終了すると、再度スキャンが行われる。以降も同様にして、図25の例の場合32回スキャンが行われる。即ち、LEDドライバ461は、各LED241に対して同一のPWM幅のPWM信号を32回生成する。その後、次のフレームの垂直同期信号が発生するまで、垂直ブランキング期間となり、全てのLED241の発光が停止される。
【0189】
<黒帯発生の原因の説明>
図26は、露光時間がLEDの発光周期の整数倍ではない場合に再撮システムで再撮される映像において黒帯が発生する原因を説明する図である。
【0190】
図26において、横軸は発光時刻を表している。一番上の段は、ビデオウォールに表示される映像の垂直同期信号を表している。上から2番目以降の段は、ビデオウォールの上から30行分のLEDの各行の発光タイミングを表しており、図26では上からi行目の行をLine#iと表記している。図26の例では、LEDアレイを構成するLEDの行数が15行であり、1フレーム区間内のスキャン回数は32回である。
【0191】
スキャンについては、図25の場合と同様であるので、説明は省略する。ビデオカメラは、所定の露光時間でローリングシャッタ方式の撮影を行う。従って、各行のLEDの光による露光は上の行から順に行われ、各行の露光開始タイミングは異なる。なお、再撮システムの各装置ではフレーム同期がとられているため、1フレームの露光開始時刻と表示開始時刻は同期している。
【0192】
このような場合、ビデオカメラの露光時間とLEDの発光周期が対応しないとき、各行において露光期間内の発光期間が均一ではない場合が発生する。図26の例では、上から1行目や2行目の行においては、露光期間481内に1回目の発光の全期間が含まれる。しかしながら、上から15行目の行においては、露光期間481内に1回目の発光の全期間のうちの1/2(0.5)倍の期間482が含まれない。上から16行目の行においては、露光期間481内に1回目の発光の全期間のうちの0.8倍の期間483が含まれない。
【0193】
従って、ビデオカメラにより再撮された、上から15行目や16行目の行の画素の輝度は、上から1行目や2行目の行の画素の輝度に比べて低くなる。例えば、上から15行目の行の画素の輝度は、上から1行目や2行目の行の画素の輝度を1としたとき0.5となり、上から16行目の行の画素の輝度は、上から1行目や2行目の行の画素の輝度を1としたとき0.2となる。これにより、ビデオカメラにより再撮された映像のうち、上から15行目や16行目の行の映像が黒帯となる。以降の行においても周期的に同様の状況が発生することにより、ビデオカメラにより再撮された映像には、周期的に明暗が現れる。
【0194】
<PCによる制御の説明>
図27は、PC401による制御を説明する図である。
【0195】
図27に示すように、PC401の制御部132は、ビデオカメラ11の露光時間と発光周期とが対応するように、リフレッシュレートを決定する。具体的には、例えば、制御部132は、露光開始時刻とスキャン開始時刻を同期させ、露光時間が発光周期の整数倍となるように、リフレッシュレートを制御する。
【0196】
図27の例では、制御部132は、露光時間が発光周期の1倍となるように、リフレッシュレートを決定している。これにより、図26の場合と比べてスキャン速度が速くなり、全ての行において露光期間内のスキャン回数が1回となる。例えば、上から15行目の行においては、露光期間481内に1回目の発光の全期間が含まれる。上から16行目の行においては、露光期間481内に1回目の発光の全期間のうちの一部の期間491と、2回目の発光の全期間のうちの一部の期間492が含まれる。期間491と期間492の和は1回の発光の全期間である。従って、ビデオカメラ11により再撮された、全行の画素の輝度は同一になる。その結果、ビデオカメラ11により再撮されたフレーム単位の映像において、輝度が低い画素の行が発生せず、黒帯が発生しない。
【0197】
なお、上から16行目の行において、PWM幅が小さい場合には、2回目の発光による露光のみでも十分な輝度を得られる。
【0198】
以上のように、図26の場合と比べてスキャン速度を速めることにより黒帯の発生を防止する場合、図26の場合と比べて最後の32回目のスキャンの終了時刻が早くなる。従って、図26の場合と比べて最後のスキャンが終了してから次のフレームの表示が開始されるまでの期間493は期間494だけ長くなり、垂直ブランキング期間を期間494だけ長くする必要がある。即ち、リフレッシュレートに基づいて、垂直ブランキング期間を制御する必要がある。
【0199】
そこで、図23の制御部422は、リフレッシュレートに基づいて、そのリフレッシュレートに対応する1フレーム区間内のスキャンの回数だけスキャンが行われた後次のフレームの表示が開始されるまでの期間を計算し、垂直ブランキング期間に決定する。垂直ブランキング期間が長い場合、輝度が暗くなる場合がある。
【0200】
なお、露光期間481の傾きの横方向の距離(時間)は、最初の行の露光が開始されてから最後の行の露光が開始されるまでの時間である幕速を表す。この幕速は、ビデオカメラ11の撮影部の特性や画角によって異なる。
【0201】
図27の例では、図26の例に比べてリフレッシュレートが上昇するように制御されたが、リフレッシュレートは、露光時間と発光周期とが対応するように制御されればよく、図26の例に比べて低下するように制御されてもよい。
【0202】
<垂直ブランキング期間制御処理の説明>
図28は、図23の垂直ブランキング期間制御部420の垂直ブランキング期間制御処理を説明するフローチャートである。この垂直ブランキング期間制御処理は、例えば、リフレッシュレート制御部130の制御部132によりリフレッシュレートが決定されたとき、開始される。
【0203】
図28のステップS201において、取得部421は、制御部132からリフレッシュレートを取得し、そのリフレッシュレートを制御部422に供給する。
【0204】
ステップS202において、制御部422は、ステップS201で取得部421から供給されるリフレッシュレートに基づいて、そのリフレッシュレートに対応する1フレーム区間内のスキャンの回数だけスキャンが行われた後次のフレームの表示が開始されるまでの期間を計算し、垂直ブランキング期間に決定する。制御部422は、その垂直ブランキング期間を表す垂直ブランキング期間コマンドを生成し、送信制御部423に供給する。
【0205】
ステップS203において、送信制御部423は、ステップS202で制御部422から供給される垂直ブランキング期間コマンドを通信部109に供給し、ビデオウォールコントローラ402への送信を指示することにより、垂直ブランキング期間コマンドをビデオウォールコントローラ402に送信させる。そして、処理は終了する。
【0206】
以上のように、再撮システム400は、露光時間に基づいて、ビデオウォール403に表示される映像の垂直ブランキング期間を制御する。具体的には、再撮システム400は、露光時間に基づいて、露光時間が発光周期の整数倍となるようにリフレッシュレートを決定し、リフレッシュレートに基づいて垂直ブランキング期間を制御する。従って、ビデオウォール403を再撮する場合において黒帯の発生を防止することができる。
【0207】
上述した第1実施の形態および第2実施の形態では、露光期間は、1フレームの映像の表示期間内であったが、露光時間によっては、露光期間が2フレームの映像の表示期間に跨ぐ場合がある。即ち、露光期間に垂直ブランキング期間が含まれる場合がある。この場合、露光期間に含まれる垂直ブランキング期間の回数が行によって異なることにより、黒帯が発生する場合がある。以下に、第3の実施の形態として、このような黒帯の発生を防止する再撮システムについて説明する。
【0208】
<第3実施の形態>
<再撮システムの構成例>
図29は、本技術を適用した情報処理システムを含む再撮システムの第3実施の形態の構成例を示す図である。
【0209】
図29の再撮システム500において、図3の再撮システム10と対応する部分については同一の符号を付してある。従って、その部分の説明は適宜省略し、再撮システム10と異なる部分に着目して説明する。
【0210】
図29の再撮システム500は、PC62、ビデオウォールコントローラ63、ビデオウォール12が、PC501、ビデオウォールコントローラ502、ビデオウォール503に代わる点が、再撮システム10と異なっており、その他は再撮システム10と同様に構成されている。
【0211】
具体的には、PC501(情報処理システム)は、一般的な汎用のコンピュータである。PC501は、ビデオウォールコントローラ502を制御する制御コマンドを生成し、ビデオウォールコントローラ502に送信することにより、ビデオウォールコントローラ502を制御する。
【0212】
例えば、PC501は、ビデオカメラ11の露光時間と幕速とに基づいて、ビデオウォール503に表示される映像の垂直ブランキング期間を制御する制御モードを設定し、その制御モードを表す制御モードコマンドをビデオウォールコントローラ502に送信することにより、垂直ブランキング期間を制御する。ビデオカメラ11の幕速は、例えば、ユーザにより入力される。
【0213】
ビデオウォールコントローラ502は、図7のビデオウォールコントローラ63と同様に構成されるが、表示制御信号が表す情報が異なる。具体的には、ビデオウォールコントローラ502は、ビデオウォールコントローラ63と同様に、ビデオサーバ61から供給されるフレーム単位の映像信号に所定の信号処理を施し、分割して、各表示ユニット511に送信する。ビデオウォールコントローラ502はまた、PC501から供給される制御モードコマンドが表す制御モード等を表す表示制御信号を各表示ユニット511に送信する。
【0214】
ビデオウォール503(表示部)は、n個の表示ユニット511-1乃至511-nがタイル状に配置された大型のLEDディスプレイである。図29では、nが6×24個である場合について図示している。なお、以下では、表示ユニット511-1乃至511-nを個々に区別する必要がない場合、単に、表示ユニット511と称する。
【0215】
表示ユニット511は、タイル状に配置されたm個のLEDアレイ51を含む。ビデオウォール503の各表示ユニット511は、ビデオウォールコントローラ502に接続される。ビデオウォール503は、ビデオウォールコントローラ502から供給されるフレーム単位の映像信号と表示制御信号に基づいて、その映像信号に対応する映像をフレーム単位で表示する。具体的には、各表示ユニット511に供給される映像信号は、その表示ユニット511のビデオウォール503上の位置に対応する映像信号である。各表示ユニット511が、その映像信号に基づく映像を表示制御信号にしたがって表示することにより、ビデオウォール503全体として1フレームの映像が表示される。
【0216】
以上のように構成される再撮システム500では、再撮システム10と同様に、各装置はゲンロック信号によりフレーム同期がとられている。
【0217】
なお、ビデオウォールコントローラ502とビデオウォール503とは、一体とした構成であってもよく、これらが一体となったディスプレイ装置であってもよい。また、PC501、ビデオウォールコントローラ502、およびビデオウォール503は、一体とした構成であってもよく、これらが一体となったディスプレイ装置であってもよい。
【0218】
<垂直ブランキング制御部の構成例>
図29のPC501のハードウエア構成は、図5のPC62のハードウエア構成と同様であるので、説明は省略する。
【0219】
図30は、図29のPC501のCPUが垂直ブランキング期間を制御する垂直ブランキング期間制御処理を行う場合の、CPUの機能的構成例を示すブロック図である。
【0220】
PC501のCPUは垂直ブランキング期間制御処理を行う場合、図30の垂直ブランキング期間制御部520として機能する。垂直ブランキング期間制御部520は、取得部521、制御部522、および送信制御部523により構成される。
【0221】
取得部521は、ビデオカメラ11の設定部82から送信され、PC501の通信部を介して受信された露光時間を取得する。取得部521は、その露光時間を制御部522に供給する。
【0222】
制御部522は、取得部521から供給される露光時間とビデオカメラ11の幕速とに基づいて、垂直ブランキング期間の制御モードを設定する。制御部522は、その制御モードを表す制御モードコマンドを生成することにより、垂直ブランキング期間を制御する。制御部522は、制御モードコマンドを送信制御部523に出力する。
【0223】
送信制御部523は、制御部522から供給される制御モードコマンドをPC501の通信部に供給し、その制御モードコマンドのビデオウォールコントローラ502への送信を指示する。これにより、通信部は、その制御モードコマンドをLANケーブルなどの有線を介してビデオウォールコントローラ502に送信(出力)する。
【0224】
<表示ユニットの詳細構成例>
図31は、図29の表示ユニット511の詳細構成例を示すブロック図である。
【0225】
図31の表示ユニット511において、図8の表示ユニット41と対応する部分については同一の符号を付してある。従って、その部分の説明は適宜省略し、表示ユニット41と異なる部分に着目して説明する。
【0226】
図31の表示ユニット511は、LEDブロック192の代わりにLEDブロック541が設けられる点が、表示ユニット41と異なっており、その他は表示ユニット41と同様に構成されている。
【0227】
LEDブロック541は、LEDドライバ221-1乃至221-mの代わりにLEDドライバ561-1乃至561-mが設けられる点が、LEDブロック192と異なっており、その他はLEDブロック192と同様に構成されている。
【0228】
LEDドライバ561-1乃至561-mは、ドライバ制御部191の信号出力IF214-1乃至214-mとそれぞれ接続するとともに、LEDアレイ51-1乃至51-mとそれぞれ接続されている。なお、以下では、LEDドライバ561-1乃至561-mを個々に区別する必要がない場合、単に、LEDドライバ561という。
【0229】
LEDドライバ561は、自分と接続する信号出力IF214から送信されてくる表示制御信号と表示信号に基づいて、自分と接続するLEDアレイ51を構成する各LED241の発光をPWM制御することにより、各LED241を駆動する。
【0230】
具体的には、LEDドライバ561は、表示制御信号が表す制御モードに基づいて、各フレームの発光開始タイミングを制御する。LEDドライバ561は、LEDアレイ51の各LED241が、1秒間に所定のリフレッシュレートだけ、そのLED241に対応する表示信号に基づく強度で発光するようにPWM信号を生成し、各LED241に供給する。その結果、LEDアレイ51には、ビデオサーバ61から出力されたフレーム単位の映像信号に対応する映像のうちの、そのLEDアレイ51のビデオウォール503上の位置に対応する映像が表示される。
【0231】
<垂直ブランキング期間の説明>
図32は、ビデオウォール503に表示される映像の垂直ブランキング期間を説明する図である。
【0232】
図32の上の図は、ビデオウォール503の上から1乃至135行目の各行におけるLED241の発光タイミングを表している。図32の上の図において、横軸は、発光時刻を表し、縦軸は、LED241の各行を表す。図32の例では、ビデオウォール503のフレームレートは120Hzであり、1フレーム区間は1/119.88秒である。LEDアレイ51を構成するLED241の行数は15行である。図32の下の図は、135行目の行のLED241の発光タイミングを線で示している。
【0233】
図32の上の図に示すように、1フレーム区間には、全スキャン終了後に垂直ブランキング期間(V-blanking)が設けられる。図32の上の図における、各行の発光タイミングを結ぶ斜線どうしの間隔は、1スキャンの時間である。
【0234】
<露光時間と垂直ブランキング期間の説明>
図33は、露光時間と垂直ブランキング期間を説明する図である。
【0235】
図33の左側の図は、ビデオカメラ11の撮影部85の受光面を表している。図33の右側の図は、撮影部85の受光面の各行の画素に対応する、ビデオウォール503に表示される映像を示す図である。図33の右側の図の横軸は、映像の表示時刻を表し、縦軸は、その表示時刻に表示される映像に対応する撮影部85の受光面の画素の行の上からの行数を表している。図33の例では、ビデオウォール503のフレームレートは120Hzであり、ビデオカメラ11のフレームレートは60Hzである。
【0236】
図33の例では、図33の右側の図に示すように、露光時間、即ち開角度が360度である場合、ビデオウォール503に表示される2フレーム分の映像に対応する光により露光が行われる。開角度が270度である場合1.5フレーム分の映像に対応する光により露光が行われ、開角度が180度である場合1フレーム分の映像に対応する光により露光が行われる。開角度が90度である場合、0.5フレーム分の映像に対応する光により露光が行われる。
【0237】
ここで、開角度は0度から360度までの範囲の角度であるので、ビデオカメラ11の露光に用いられる光に対応する映像は、0から2フレーム分の映像であり得る。即ち、露光期間には、0から2回までの垂直ブランキング期間が含まれる可能性がある。
【0238】
<黒帯発生の原因の説明>
図34は、垂直ブランキング期間が制御されない場合に再撮システムで再撮される映像において黒帯が発生する原因を説明する図である。
【0239】
図34の横軸は、映像の表示時刻を表し、縦軸は、その表示時刻に表示される映像に対応する撮影部の受光面の画素の行の上からの行数を表している。図34の例では、ビデオウォールのフレームレートは120Hzであり、ビデオカメラのフレームレートは60Hzである。
【0240】
図34の例では、開角度が270度である場合、撮影部の受光面のL行目より上の行では、露光期間571内に垂直ブランキング期間が1回含まれるが、L行目より下の行では、露光期間571内に垂直ブランキング期間が2回含まれる。開角度が90度である場合、撮影部85の受光面のL行目より上の行では、露光期間571内に垂直ブランキング期間が含まれないが、L行目より下の行では、露光期間571内に垂直ブランキング期間が1回含まれる。
【0241】
ここで、垂直ブランキング期間では発光が行われない。従って、開角度が270度または90度である場合、ビデオカメラにより再撮されたL行目より下の行の画素の輝度は、L行目より上の行の画素の輝度に比べて低くなる。その結果、ビデオカメラにより再撮された映像のうち、L行目より下の行の映像が黒帯(Blackbelt)となる。
【0242】
なお、開角度が270度または90度である場合、発光開始タイミングをずらしても、必ず、露光期間571または572に含まれる垂直ブランキングの数が、行によって異なる。その結果、ビデオカメラにより再撮された映像には黒帯が発生する。
【0243】
一方、開角度が180度である場合、撮影部の受光面の全行において、露光期間571内に垂直ブランキング期間が1回含まれる。図示は省略するが、開角度が360度である場合、撮影部85の受光面の全行において、露光期間571内に垂直ブランキング期間が2回含まれる。従って、開角度が180度または360度である場合、黒帯は発生しない。
【0244】
<制御モードの説明>
図35および図36は、制御モードを説明する図である。
【0245】
図35および図36の横軸は、映像の表示時刻を表し、縦軸は、その表示時刻に表示される映像に対応する光で露光される撮影部85の受光面の画素の行の上からの行数を表している。図35および図36の例では、ビデオウォール503のフレームレートは120Hzであり、ビデオカメラ11のフレームレートは60Hzである。
【0246】
図35に示すように、例えば開角度が90度であり、撮影部85の一部の行の露光期間が垂直ブランキング期間を跨がず、残りの行の露光期間が1回の垂直ブランキング期間を跨ぐ場合、制御部522は、制御モードを、撮影部85の全ての行の露光期間内に偶数フレームの垂直ブランキング期間を含めない第1のモードに設定する。
【0247】
制御モードが第1のモードに設定された場合、LEDドライバ561は、隣接するフレームのうちの一方の奇数フレーム(第1のフレーム)の次のフレームである偶数フレーム(第2のフレーム)の発光開始タイミング(映像の表示開始時刻)を早めることにより、奇数フレームの垂直ブランキング期間を削除する。これにより、奇数フレームの表示期間581が垂直ブランキング期間だけ短縮され、偶数フレームの表示期間582が垂直ブランキング期間だけ延長される。
【0248】
以上のように、奇数フレームの垂直ブランキング期間が削除される場合、撮影部85の上から1行目の露光が開始されてから、最後の行の露光が終了する(シャッターが解放される)までの期間T、即ち幕速と露光時間の和の期間には垂直ブランキング期間が含まれなくなる。従って、撮影部85の全ての行の露光期間内に垂直ブランキング期間が含まれなくなる。その結果、ビデオカメラ11により再撮されたフレーム単位の映像信号において、輝度が低い画素の行が発生せず、黒帯が発生しない。
【0249】
一方、図36に示すように、例えば開角度が270度であり、撮影部85の一部の行の露光期間が1回の垂直ブランキング期間を跨ぎ、残りの行の露光期間が2回の垂直ブランキング期間を跨ぐ場合、制御部522は、制御モードを、撮影部85の全ての行の露光期間内に偶数フレームの垂直ブランキング期間を含める第2のモードに設定する。
【0250】
制御モードが第2のモードに設定された場合、LEDドライバ561は、第1のモードの場合と同様に、奇数フレームの垂直ブランキング期間を削除する。これにより、奇数フレームの表示期間591が垂直ブランキング期間だけ短縮され、偶数フレームの表示期間592が垂直ブランキング期間だけ延長される。そして、撮影部85の全ての行の露光期間571内に偶数フレームの垂直ブランキング期間が含まれるように、全フレームの発光開始時刻(表示開始時刻)を時間Dだけ後ろになるように変更する。
【0251】
これにより、撮影部85の全ての行の露光期間571内に偶数フレームの垂直ブランキング期間が含まれる。その結果、ビデオカメラ11により再撮されたフレーム単位の映像信号において、輝度が低い画素の行が発生せず、黒帯が発生しない。
【0252】
なお、全フレームの発光開始時刻は、例えば1フレーム区間までずらすことができる。例えば、フレームレートが120Hzである場合、全フレームの発光開始時刻は1/120秒までずらすことができる。
【0253】
制御部522は、幕速と露光時間に基づいて、撮影部85の一部の行の露光期間のみが1回の垂直ブランキング期間を跨ぐか、2回の垂直ブランキング期間を跨ぐかを判定する。そして、制御部522は、一部の行の露光期間のみが1回の垂直ブランキング期間を跨ぐと判定した場合、制御モードを第1のモードに設定する。制御部522は、一部の行の露光期間のみが2回の垂直ブランキング期間を跨ぐと判定した場合、制御モードを第2のモードにする。
【0254】
<垂直ブランキング期間制御処理の説明>
図37は、図30の垂直ブランキング期間制御部520の垂直ブランキング期間制御処理を説明するフローチャートである。この垂直ブランキング期間制御処理は、例えば、ビデオカメラ11の設定部82から露光時間が送信されてきたとき、開始される。
【0255】
図37のステップS331において、取得部521は、設定部82から送信され、PC501の通信部を介して受信された露光時間を取得し、その露光時間を制御部522に供給する。
【0256】
ステップS332において、制御部522は、ステップS331の処理により取得部521から供給される露光時間とビデオカメラ11の幕速とに基づいて、垂直ブランキング期間を削除する必要があるかどうかを判定する。具体的には、制御部522は、露光時間と幕速とに基づいて、撮影部85の全部の行の露光期間内に含まれる垂直ブランキング期間が同一であるかどうかを判定する。制御部522は、全部の行の露光期間内に含まれる垂直ブランキング期間が同一ではないと判定した場合、垂直ブランキング期間を削除する必要があると判定し、処理をステップS33に進める。
【0257】
ステップS333において、制御部522は、露光時間と幕速とに基づいて制御モードを設定する。具体的には、制御部522は、露光時間と幕速とに基づいて、撮影部85の一部の行の露光期間が垂直ブランキング期間を跨がず、残りの行の露光期間が1回の垂直ブランキング期間を跨ぐかどうかを判定する。制御部522は、一部の行の露光期間が垂直ブランキング期間を跨がず、残りの行の露光期間が1回の垂直ブランキング期間を跨ぐと判定した場合、制御モードを第1のモードに設定する。一方、一部の行の露光期間が垂直ブランキング期間を跨がず、残りの行の露光期間が1回の垂直ブランキング期間を跨ぐのではないと判定された場合、即ち一部の行の露光期間が1回の垂直ブランキング期間を跨ぎ、残りの行の露光期間が2回の垂直ブランキング期間を跨ぐ場合、制御部522は、制御モードを第2のモードに設定する。
【0258】
制御部522は、設定された制御モードを表す制御モードコマンドを生成することにより、垂直ブランキング期間を制御する。制御部522は、制御モードコマンドを送信制御部523に出力する。
【0259】
ステップS334において、送信制御部523は、ステップS333で制御部522から供給される制御モードコマンドをPC501の通信部に供給し、ビデオウォールコントローラ502への送信を指示することにより、制御モードコマンドをビデオウォールコントローラ502に送信させる。そして、処理は終了する。
【0260】
一方、ステップS332において、制御部522は、全部の行の露光期間内に含まれる垂直ブランキング期間が同一であると判定した場合、処理は終了する。
【0261】
以上のように、再撮システム500は、露光時間に基づいて、ビデオウォール503に表示される映像の垂直ブランキング期間を制御する。従って、ビデオウォール503を再撮する場合において黒帯の発生を防止することができる。
【0262】
なお、再撮システム500は、リフレッシュレート制御処理を行わなかったが、リフレッシュレート制御処理を行うようにしてもよい。この場合、リフレッシュレート制御処理は、露光期間内に垂直ブランキング期間が含まれるかどうかによって異なる。以下に、そのリフレッシュレート制御処理について説明する。
【0263】
<リフレッシュレート制御処理の説明>
図38および図39は、再撮システム500がリフレッシュレート制御処理を行う場合のリフレッシュレート制御処理を説明する図である。
【0264】
図38および図39において、横軸は発光時刻を表している。一番上の段は、ビデオウォール503に表示される映像の垂直同期信号を表している。上から2番目以降の段は、ビデオウォール503の上から30行分のLED241の各行の発光タイミングを表しており、図38および図39では上からi行目の行をLine#iと表記している。図38および図39では、LEDアレイ51を構成するLED241の行数が15行である。
【0265】
垂直ブランキング制御処理後において露光期間601内に垂直ブランキング期間が含まれない場合、図38に示すように、PC501(制御部)は、露光時間がLED241の発光周期の整数倍となるように、リフレッシュレートを決定する。図38の例では、露光時間が発光周期の7倍となっている。
【0266】
一方、垂直ブランキング制御処理後において露光期間602内に垂直ブランキング期間が1回含まれる場合、図39に示すように、PC501は、露光時間がLED241の発光周期の整数倍(N倍)と1回の垂直ブランキング期間の和となるように、リフレッシュレートを決定する。図38の例では、露光時間が発光周期の34倍と1回の垂直ブランキング期間との和になっており、1フレーム区間内のスキャン回数は32回である。
【0267】
なお、図示は省略するが、露光期間内に垂直ブランキング期間が2回含まれる場合、露光時間がLED241の発光周期の整数倍と2回の垂直ブランキング期間の和となるように、リフレッシュレートが決定される。
【0268】
PC501が、以上のようなリフレッシュレート制御処理を行う場合、第2実施の形態と同様に、リフレッシュレートに基づいて垂直ブランキング期間をさらに制御するようにしてもよい。
【0269】
<リフレッシュレートに基づく垂直ブランキング期間の制御の説明>
図40は、この場合のPC501によるリフレッシュレートに基づく垂直ブランキング期間の制御を説明する図である。
【0270】
図40において、横軸は発光時刻を表している。一番上の段は、ビデオウォール503に表示される映像の垂直同期信号を表している。上から2番目以降の段は、ビデオウォール503の上から30行分のLED241の各行の発光タイミングを表しており、図40では上からi行目の行をLine#iと表記している。図40の例では、LEDアレイ51を構成するLED241の行数が15行である。
【0271】
図40に示すように、露光期間611内に1回の垂直ブランキング期間が含まれる場合、PC501は、露光期間がLED241の発光周期の整数倍と1回の垂直ブランキング期間の和となるように垂直ブランキング期間を制御する。
【0272】
具体的には、まず、PC501は、露光期間がLED241の発光周期の整数倍と1回の垂直ブランキング期間の和となるようにリフレッシュレートを決定する。
【0273】
図40の例では、PC501は、露光時間が発光周期の33倍と1回の垂直ブランキング期間の和となるように、リフレッシュレートを決定している。これにより、全ての行において露光期間内のスキャン回数が33回となる。例えば、上から17行目の行においては、露光期間611内に最初の発光の全期間のうちの一部の期間621と、最後の発光の全期間のうちの一部の期間622が含まれる。期間621と期間622の和は1回の発光の全期間である。従って、ビデオカメラ11により再撮された、全行の画素の輝度は同一になる。その結果、ビデオカメラ11により再撮されたフレーム単位の映像において、輝度が低い画素の行が発生せず、黒帯が発生しない。
【0274】
次に、PC501は、決定されたリフレッシュレートに基づいて、1フレーム区間内の最後のスキャンが終了してから次のフレームの表示(発光)が開始されるまでの期間623を計算し、その期間623を垂直ブランキング期間に決定することにより、垂直ブランキングを制御する。
【0275】
一方、図示は省略するが、露光期間内に垂直ブランキング期間が含まれない場合、第2実施の形態と同様に、露光期間がLED241の発光周期の整数倍となるように垂直ブランキング期間を制御する。具体的には、PC401は、露光期間がLED241の発光周期の整数倍となるように決定されたリフレッシュレートに基づいて垂直ブランキングを制御する。
【0276】
再撮システム500では、露光期間に含まれる垂直ブランキング期間の回数の最大値が2回であったが、この回数は2回に限定されない。露光期間に含まれる垂直ブランキング期間の回数の最大値が2回以上である場合であっても、2回の場合と同様の処理を行うことにより、黒帯の発生を防止することができる。
【0277】
再撮システム400(500)では、ビデオカメラ11からPC401(501)に露光時間が送信されたが、ユーザがPC401(501)の入力部を操作して、ビデオカメラ11の露光時間を入力し、リフレッシュレート制御部130(垂直ブランキング期間制御部520)が、その露光時間を取得するようにしてもよい。
【0278】
再撮システム400(500)では、PC401(501)がリフレッシュレートや垂直ブランキング期間を制御したが、ビデオカメラ11がビデオウォールコントローラ402(502)やビデオウォール403(503)に露光時間を送信し、ビデオウォールコントローラ402(502)やビデオウォール403(503)の少なくとも一部が、リフレッシュレート制御部130や垂直ブランキング期間制御部420(520)として機能するようにしてもよい。
【0279】
第1乃至第3実施の形態では、PC62(401,501)はビデオカメラ11と同軸ケーブルなどの有線を介して信号をやり取りするものとするが、無線通信でやり取りするようにしてもよい。同様にPC62(401,501)は、ビデオウォールコントローラ63(402,502)とLANケーブルなどの有線を介して信号をやり取りするものとするが、無線通信でやり取りするようにしてもよい。
【0280】
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行することもできるし、ソフトウエアによって実行することもできる。
【0281】
再撮システム10(400,500)は、複数のビデオウォールコントローラ63(402,502)を設け、各ビデオウォールコントローラ63(402,502)がビデオウォール12(403,503)を分割して制御するようにしてもよい。ビデオウォール12(403,503)が1つの表示ユニット41(411,511)から構成される場合には、ビデオウォールコントローラ63(402,502)は設けられなくてもよい。この場合、ビデオサーバ61から出力されるフレーム単位の映像信号とPC62(401,501)から出力される制御コマンドは、直接ビデオウォール12(403,503)に入力される。
【0282】
本明細書において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)、処理等)の集合を意味し、すべての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置、および複数の処理を行うプロセッシングユニットは、いずれも、システムである。
【0283】
本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である
【0284】
例えば、上述した複数の実施の形態の全てまたは一部を組み合わせた形態を採用することができる。
【0285】
例えば、本技術は、1つの機能をネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングの構成をとることができる。
【0286】
また、上述のフローチャートで説明した各ステップは、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
【0287】
さらに、1つのステップに複数の処理が含まれる場合には、その1つのステップに含まれる複数の処理は、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
【0288】
なお、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、本明細書に記載されたもの以外の効果があってもよい。
【0289】
本技術は、以下の構成を取ることができる。
(1)
表示部を撮影する撮影部の露光時間に基づいて、前記表示部に表示される映像の垂直ブランキング期間を制御する制御部
を備える情報処理システム。
(2)
前記制御部は、前記露光時間に基づいて、前記映像の隣接する2つのフレームのうちの一方のフレームである第1のフレームの前記垂直ブランキング期間を削除する
ように構成された
前記(1)に記載の情報処理システム。
(3)
前記制御部は、前記第1のフレームの次のフレームである第2のフレームの表示開始時刻を早めることにより、前記第1のフレームの前記垂直ブランキング期間を削除する
ように構成された
前記(2)に記載の情報処理システム。
(4)
前記制御部は、前記第2のフレームの前記垂直ブランキング期間を前記第1のフレームの前記垂直ブランキング期間だけ延長する
ように構成された
前記(3)に記載の情報処理システム。
(5)
前記制御部は、前記露光時間に基づいて、前記映像の全フレームの表示開始時刻を変更することにより、前記映像の全ての行の露光期間内に前記第2のフレームの前記垂直ブランキング期間を含める
ように構成された
前記(3)または(4)に記載の情報処理システム。
(6)
前記制御部は、前記撮影部の幕速と前記露光時間に基づいて、前記映像の全ての行の前記露光期間内に前記第2のフレームの前記垂直ブランキング期間を含める
ように構成された
前記(5)に記載の情報処理システム。
(7)
前記制御部は、前記撮影部の幕速と前記露光時間に基づいて、現在のモードを、前記映像の全ての行の前記露光期間内に前記第2のフレームの前記垂直ブランキング期間を含めない第1のモード、または、前記映像の全ての行の前記露光期間内に前記第2のフレームの前記垂直ブランキング期間を含める第2のモードに設定する
ように構成された
前記(6)に記載の情報処理システム。
(8)
前記制御部は、前記現在のモードを前記第2のモードに設定した場合、前記映像の全ての行の前記露光期間内に前記第2のフレームの前記垂直ブランキング期間を含める
ように構成された
前記(7)に記載の情報処理システム。
(9)
前記制御部は、前記露光時間が前記表示部の発光周期の整数倍となるように前記垂直ブランキング期間を制御する
ように構成された
前記(1)に記載の情報処理システム。
(10)
前記制御部は、前記撮影部の露光期間内に前記垂直ブランキング期間が含まれない場合、前記露光時間が前記表示部の発光周期の整数倍となるように前記垂直ブランキング期間を制御する
ように構成された
前記(9)に記載の情報処理システム。
(11)
前記制御部は、前記露光期間内に前記垂直ブランキング期間が含まれない場合、前記露光時間が前記表示部の発光周期の整数倍となるように前記表示部のリフレッシュレートを決定し、前記リフレッシュレートに基づいて前記垂直ブランキング期間を制御する
ように構成された
前記(10)に記載の情報処理システム。
(12)
前記制御部は、前記撮影部の露光期間内に前記垂直ブランキング期間が含まれる場合、前記露光時間が前記表示部の発光周期の整数倍と前記垂直ブランキング期間の和となるように前記垂直ブランキング期間を制御する
ように構成された
前記(9)または(10)に記載の情報処理システム。
(13)
前記制御部は、前記露光期間内に前記垂直ブランキング期間が含まれる場合、前記露光時間が前記表示部の発光周期の整数倍と前記垂直ブランキング期間の和となるようにリフレッシュレートを決定し、前記リフレッシュレートに基づいて前記垂直ブランキング期間を制御する
ように構成された
前記(12)に記載の情報処理システム。
(14)
前記露光時間を取得する取得部
をさらに備える
前記(1)乃至(13)のいずれかに記載の情報処理システム。
(15)
複数の表示ユニットから構成される前記表示部に表示するための映像信号を取得する入力部と、
前記映像信号を、前記表示部のそれぞれの表示ユニットに表示するための映像信号へ分割する分割部と、
前記垂直ブランキング期間を制御する制御信号と分割された前記映像信号を前記表示ユニットに出力する出力部と
をさらに備え、
前記制御部は、前記制御信号を生成することにより、前記垂直ブランキング期間を制御する
ように構成された
前記(1)乃至(14)のいずれかに記載の情報処理システム。
(16)
前記制御部は、第1の機器上に設けられ、
前記入力部、前記分割部、および前記出力部は、前記第1の機器とは異なる第2の機器上に設けられ、
前記制御部は、前記第2の機器に前記制御信号を出力する
ように構成された
前記(15)に記載の情報処理システム。
(17)
前記制御部、前記入力部、前記分割部、および前記出力部は、同一の機器上に設けられる
ように構成された
前記(15)に記載の情報処理システム。
(18)
前記制御部による前記垂直ブランキング期間の制御にしたがって駆動するように構成された前記表示部
をさらに備える
前記(1)乃至(17)のいずれかに記載の情報処理システム。
(19)
前記表示部は、パッシブマトリクス駆動方式で発光し、
前記撮影部は、ローリングシャッタ方式で撮影を行う
ように構成された
前記(1)乃至(18)のいずれかに記載の情報処理システム。
(20)
情報処理システムが、
表示部を撮影する撮影部の露光時間に基づいて、前記表示部に表示される映像の垂直ブランキング期間を制御する制御ステップ
を含む情報処理方法。
【符号の説明】
【0290】
11 ビデオカメラ, 131 取得部, 152 HDMI端子, 153 DP端子, 154 DVI端子, 160 分配部, 161-1乃至161-n 信号出力IF, 400 再撮システム, 401 PC, 402 ビデオウォールコントローラ, 403 ビデオウォール, 411 表示ユニット, 422 制御部, 500 再撮システム, 501 PC, 502 ビデオウォールコントローラ, 503 ビデオウォール, 511 表示ユニット, 521 取得部, 522 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40